JP2008178387A - 固形培地耕用の養液栽培装置及び養液栽培方法 - Google Patents
固形培地耕用の養液栽培装置及び養液栽培方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008178387A JP2008178387A JP2007267885A JP2007267885A JP2008178387A JP 2008178387 A JP2008178387 A JP 2008178387A JP 2007267885 A JP2007267885 A JP 2007267885A JP 2007267885 A JP2007267885 A JP 2007267885A JP 2008178387 A JP2008178387 A JP 2008178387A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nutrient solution
- container
- cultivation
- medium
- region
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【課題】簡便な装置と土耕栽培程度の簡単な管理方法により養液栽培特有の高い成長効果が得られる固形培地耕用の養液栽培装置及び養液栽培方法を提供する。
【解決手段】培地充填領域を有する養液栽培容器1及び培地を含む固形培地耕用の養液栽培装置であって、前期養液栽培容器1が、養液供給時に、養液の液面が最高養液水位53を超えず維持するための手段を有し、前記培地充填領域に自律平衡性に基づく毛管作用によって養液を移動することのできる多孔質無機粒子を50容量%以上含む培地が充填されている、固形培地耕用の養液栽培装置を用いる。
【選択図】図4
【解決手段】培地充填領域を有する養液栽培容器1及び培地を含む固形培地耕用の養液栽培装置であって、前期養液栽培容器1が、養液供給時に、養液の液面が最高養液水位53を超えず維持するための手段を有し、前記培地充填領域に自律平衡性に基づく毛管作用によって養液を移動することのできる多孔質無機粒子を50容量%以上含む培地が充填されている、固形培地耕用の養液栽培装置を用いる。
【選択図】図4
Description
本発明は、固形培地耕用の養液栽培装置及び養液栽培方法に関する。
従来、野菜や花卉などの園芸栽培は、土壌を使用する土耕栽培であった。しかし、土のないところで植物を栽培することができ、また、土壌の条件に影響を受けずに植物が栽培することができるために、1940年代から、養液を用いた養液栽培が行われ始めた。養液栽培の利点は、土壌を用いる土耕栽培の問題点である連作障害、及び土壌に起因する病害虫の問題を回避することができること、自動化及びシステム化を行うことが可能であり、作業が省力化され、労働条件の改善が期待できること、更に、植物への養液の供給管理を行うことにより、肥料や養分の利用効率が高められ、植物の高い成長効果が期待できる事などが挙げられる。
養液栽培は、給液循環、あるいは間歇給排水する培養液の湛液中や土壌に代る媒体によって植物を生育させる栽培法であり、主に水耕と固形培地耕に分類される。水耕には、根の全体又は一部が培養液には入っている状態の湛液型循環式水耕や、水流が浅く根の大部分が空気中に曝されている、NFT耕(Nutient Film Technique)などがある。また、固形培地耕は、レキ及びロックウールなど培地を用い、養液を供給する栽培法であり、用いる培地としては、レキ、砂、又はパーライトなどの無機培地と、もみ殻、ピートモス、ヤシ殻、又はおがくずなどの有機培地、ポリウレタン、ポリエステル、又はポリビニールなどの有機合成培地などがある。また、養液の供給方式により、養液を栽培系の外に出さない閉鎖系と、養液を栽培系の系外に廃棄する非閉鎖系(いわゆる、かけ流し式)とに分けられ、更に、閉鎖系は養液を循環させる循環式と循環させない非循環式とに分けられる。また、循環式の中には、かけ流した養液を回収して再利用するシステムもある。
養液栽培は土耕栽培と比較して、前記のような利点を有しているが、養液栽培には、養分摂取特性にあわせた組成と濃度に調整した培養液を給液する専用の装置システムが必要である。また、植物に養水分を摂取させるメカニズムが土耕栽培とは異なり、生育ステージや気象条件等で培養液の養分摂取量や吸収成分が変動し、湛液中や固形培地に特定の栄養塩類が集積し、培養液の組成やpHが変化して栄養障害等が発生することがある。従って、常に培養液を適正な組成や濃度に調整するための高度な培養液の管理が必要である。また、このような養液の管理が必要なために、養液栽培は、雨水が養液に混入する露地栽培には不向きであった。
一方、従来から家庭園芸の分野でも、プランターなどの栽培容器と培養土を用いて、野菜類などを栽培する土壌栽培が盛んに行われている。しかし、土壌栽培は地力栽培のため、作物によっては相当な量の培養土が必要となり、栽培容器が大きくなって重量が増え、置き場所や移動が制限される。また、栽培容器の用土の量が限られるために、肥料の選択や施肥法が難しく、更に、栽培期間の長くなる果菜類などでは、毎日の潅水による用土の流失や肥料塩による固化等の問題が発生して栽培の支障となる。また、収穫後の用土の再利用や廃棄処分等の問題もあり、露地庭の少ない都市部の住宅やマンション等の集合住宅のベランダ等において、栽培容器を用いた用土栽培により、簡易に野菜等を栽培することは困難である。
このような栽培容器を用いた用土栽培に代わり、土を用いず養液栽培を行うための野菜園芸用の養液栽培装置が販売されている。例えば、小規模な養液槽と循環ポンプを組合せた湛液式の水耕栽培装置(協和株式会社、ホームハイポニカ)、養液循環動力等を一切使用せず、容器内の培養液上に浮かした特殊な親水性吸液パネルの上に根系を形成させる浮き根栽培装置(山崎肯哉氏考案)、業務用に開発された専用の培地材(ロックウール)を容器に設置して給液する掛け流し式や間歇給排水する循環式の養液栽培装置、及び湛液に気泡を発生させる水気耕栽培装置等がある。これらの装置は商業用の園芸栽培で実用化されている装置やそのシステムの概念を家庭園芸用に縮小簡易化したものであるが、栽培できる作物の種類や数量から見て、栽培装置や肥料溶液が比較的高価であり、設置場所にも制約があり、いずれも家庭園芸の場で本格的に野菜栽培が出来るような実用的な見地で作られた装置ではなかった。また、養液栽培は園芸用の装置であっても適正な培養液の補正や定期的な交換等の養液管理が同じように必要であり、養液栽培への興味から一部の園芸愛好家に購入されている程度で、広く普及するような状況にはない。また、家庭園芸用の水耕による簡易な養液栽培容器(特許文献1)等も開発されているが、養液の管理は従来の方法と同様であり、充分に管理することができないものであった。
植物の根は、能動的なイオン吸収などによって浸透圧を高め、蒸発散によって土壌よりも低い水ポテンシャルを保つことで、水分ポテンシャル勾配を形成して養水分を吸収する。しかし、養分と水は均等に吸収するとは限らない。養液栽培の場合は、土壌栽培のような間孔隙に維持された土壌溶液からの養水分の摂取形態と異なり、根圏域の毛管孔間隙に依らずに、一定の空気孔隙量(pF1で18〜23%)を確保しながら、例えばpF1〜2の高い水分ポテンシャルを保つようにして培養液を給液し、植物の根が出来るだけ養水分と酸素を吸収しやすいようにいる。従って、例えば、湛液型循環式水耕のように根が養液に入っている場合は、植物は養液中の特定の養分、例えば、窒素、リン酸、カリ及びマンガンなどを積極的に摂取してしまい、養液の組成やpHが変化してしまう。この現象は、湛液型循環式水耕のみに見られるものではなく、固形培地耕であるレキ耕及びロックウール耕などにおいても、問題となる現象である。そのため、培養液の管理は、電気伝導度(EC)を指標にして濃度調節を行い、pHも5.0〜7.0位の範囲で調整しなければならなかった。しかし、ECは単にイオン濃度を測定するものであり、例えば、過剰に摂取された窒素、リン酸、カリ及びマンガンなどの濃度を直接測定するものではないため、それだけでは十分な養液管理を行うことは困難である。
従来から、培養液としては、園芸試験場標準の組成と濃度の均衡培養液が園試処方として用いられ、一般的に広く普及している。しかし、園試処方は、ある程度の培地緩衝能を持つレキ耕栽培用として開発されたものであり、湛液型循環式水耕に用いると、作物は生育環境や生育ステージで水分吸収とイオン吸収の相対比が異なる為に、pHやECの変動が大きくなる場合があり、作物によって栄養不全などの障害が発生することがわかった。そのために、培養液の吸収成分や濃度の研究がおこなわれ、栽培条件が一定なら、水分吸収と各養分吸収の最適な相対比がある事が分かり、水耕栽培用としては、山崎処方などの作物ごとに組成と濃度の異なる均衡培養液が開発されて用いられるようになった。商業用の園芸栽培においては、これらの培養液を、作物ごと、装置システム、気象環境、及び育成ステージなどに合わせて、利用する原水を含め濃度や組成を調整して使用し、指標とするECやpHによる養液管理が行われている。更に、ヨーロッパから入ってきたロックウール耕は、水耕やレキ耕とは異なる性質を持つ固形培地であるが、ロックウール耕に最適化された培養液がグローダン社から発売されている。このように、培養液の組成と濃度は、栽培品種、栽培時期、生育段階、温度光条件等によって変化するが、勿論、養液栽培システムや給液方法の違いによっても使い分けられる必要がある。
以上のように、商業用、又は家庭園芸用の養液栽培においても、前記のように養液を循環させる方法では養液管理に高度な管理が必要であり、培地等の緩衝能が全く期待できない湛液水耕栽培では作物ごとの綿密な管理も必要である。また、養液を循環させないかけ流し法では、養液の管理はそれほど困難ではないが、養液をかけ流すため、養液の無駄が生じ、費用がかかることや、更に、廃液が環境中へ排出されることから、環境への問題が発生する。また、循環式又はかけ流し式でも、ベランダなどの露地では、降雨により養液に雨水が混入するため、養液管理が困難となり、基本的に露地栽培はできなかった。加えて、前記のように、養液栽培はある程度の設備が必要であり、簡易な養液栽培装置による手間の掛からない栽培方法ではなかった。
本発明者は、簡便な装置と用土栽培よりも簡単な管理方法により、養液栽培特有の高い成長効果が得られる固形培地耕用の養液栽培装置及び養液栽培方法について、鋭意研究を重ねた結果、養液栽培容器の下方に養液を貯留させ、多孔質無機粒子の細孔の毛管現象によって養液を上方に移動させることによって、地力栽培に近い養水分の供給条件が得られる土壌に因む理想的な固相、液相、及び気相の3相を持つ培地構造を開発した。言い換えれば養液栽培容器内に充填した培地の下方に、給液によって培地を透過した養液の貯留領域を設け、培地として用いる多孔質無機粒子の持つ細孔に働く毛管作用によって、貯留養液を上方の養液供給領域の培地に移動させる事によって、用土栽培と同様な作物の養水分摂取条件が得られる土壌に因む最適な液相、固相、気相の三相となる培地構造を開発し、安価なコストと培養液の高度な管理を必要としない簡易な管理により、従来の養液栽培と同等あるいはそれ以上の成長効果が得られることを見出した。また、植物の養水分摂取で減少する培地養水分が、自律的に貯留領域から毛管移動して補充されるのに合わせて、前記培地に空気が効果的に流入するように栽培容器を構成する事で、培地養水分のイオン組成が概ね維持され、養液栽培で問題とされている特定イオンの過剰摂取や急激な培地のpHの変動が避けられる事を見出した。また、従来の固形培地耕用の養液栽培装置及び養液栽培方法は、基本的には、露地栽培はできなかったが、本発明の養液栽培装置を用いることによって、雨水の侵入する露地栽培においても、本格的な養液栽培が可能であることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。従って、本発明の課題は、従来の培養液の高度な管理の課題を解決して、簡便で実効性が高く、都市での園芸野菜栽培などに広く利用できる容器養液栽培法と装置を提供することにある。
本発明は、こうした知見に基づくものである。従って、本発明の課題は、従来の培養液の高度な管理の課題を解決して、簡便で実効性が高く、都市での園芸野菜栽培などに広く利用できる容器養液栽培法と装置を提供することにある。
本発明は、養液供給領域及び養液貯留領域を含む培地充填領域を有する養液栽培容器、並びに培地を含む固形培地耕用の養液栽培装置であって、前記養液栽培容器が、養液の液面が養液貯留領域の最高養液水位を超えず維持するための手段を有し、前記培地が養液を養液貯留領域から養液供給領域に、動的平衡に基づく毛管作用によって移動させることのできる多孔質無機粒子を50容量%以上含む培地である、固形培地耕用の養液栽培装置に関する。
本発明による養液栽培装置の好ましい態様においては、前記多孔質無機粒子が、連通孔である一次細孔を有し、前記一次細孔の直径分布が、少なくとも0.1〜2μmの範囲を含み、より好ましくは、多孔質無機粒子が、珪藻土焼成粒である。本発明による養液栽培装置の好ましい態様においては、前記培地が陽イオン交換容量を有する結晶二次粘土鉱物粒を含む。
本発明による養液栽培装置の好ましい態様においては、前記養液栽培容器が、前記最高養液水位より上方の培地充填領域に空気を供給する通気手段を有し、特には、前記通気手段が、養液栽培容器の最高養液水位以上の上方の側面に設けた通気孔である。
本発明による養液栽培装置の好ましい態様においては、前記養液供給領域の深さが3cm以上であり、養液貯留領域の容量が、養液供給領域の容量の10容量%以上である。
本発明による養液栽培装置の好ましい態様においては、前記最高養液水位を維持するための手段が、前記最高養液水位の高さに設けた排水通気孔である。
本発明による養液栽培装置の別の好ましい態様においては、前記養液栽培容器が、
(a)最高養液水位より高い外側容器、及び
(b)外側容器の内側に位置し、外側容器との間に間隙を有し、最高養液水位の高さの内側容器を含み、前記外側容器が、最高養液水位より下方に排水孔を有し、前記最高養液水位を維持するための手段が外側容器と内側容器との間隙及び排水孔によって構成される排水手段である。
本発明による養液栽培装置の別の好ましい態様においては、前記養液栽培容器が、
(a)最高養液水位の高さの外側容器、及び
(b)最高養液水位より高く、外側容器の内側に位置し、外側容器との間に間隙を有する内側容器を含み、前記内側容器が最高養液水位より下方に排水孔を有し、前記最高養液水位を維持するための手段が内側容器の排水孔及び内側容器と外側容器との間隙によって構成される排水手段である。
本発明による養液栽培装置の好ましい態様においては、前記多孔質無機粒子が、連通孔である一次細孔を有し、前記一次細孔の直径分布が、少なくとも0.1〜2μmの範囲を含み、より好ましくは、多孔質無機粒子が、珪藻土焼成粒である。本発明による養液栽培装置の好ましい態様においては、前記培地が陽イオン交換容量を有する結晶二次粘土鉱物粒を含む。
本発明による養液栽培装置の好ましい態様においては、前記養液栽培容器が、前記最高養液水位より上方の培地充填領域に空気を供給する通気手段を有し、特には、前記通気手段が、養液栽培容器の最高養液水位以上の上方の側面に設けた通気孔である。
本発明による養液栽培装置の好ましい態様においては、前記養液供給領域の深さが3cm以上であり、養液貯留領域の容量が、養液供給領域の容量の10容量%以上である。
本発明による養液栽培装置の好ましい態様においては、前記最高養液水位を維持するための手段が、前記最高養液水位の高さに設けた排水通気孔である。
本発明による養液栽培装置の別の好ましい態様においては、前記養液栽培容器が、
(a)最高養液水位より高い外側容器、及び
(b)外側容器の内側に位置し、外側容器との間に間隙を有し、最高養液水位の高さの内側容器を含み、前記外側容器が、最高養液水位より下方に排水孔を有し、前記最高養液水位を維持するための手段が外側容器と内側容器との間隙及び排水孔によって構成される排水手段である。
本発明による養液栽培装置の別の好ましい態様においては、前記養液栽培容器が、
(a)最高養液水位の高さの外側容器、及び
(b)最高養液水位より高く、外側容器の内側に位置し、外側容器との間に間隙を有する内側容器を含み、前記内側容器が最高養液水位より下方に排水孔を有し、前記最高養液水位を維持するための手段が内側容器の排水孔及び内側容器と外側容器との間隙によって構成される排水手段である。
また、本発明は、養液供給領域及び養液貯留領域を含む培地充填領域を有し、養液の液面が養液貯留領域の最高溶液水位を超えず維持するための手段を有する養液栽培容器、及び動的平衡性に基づく毛管作用によって、培地の養液貯留領域から養液供給領域に、養液を移動させることができる多孔質無機粒子を50容量%以上含む培地を含む、固形培地耕用の養液栽培キットにも関する。
更に、本発明は養液供給領域及びその下方の養液貯留領域を含む培地充填領域に、培地を充填し、養液貯留領域の最高水位以下に養液を供給することによって、培地充填領域に植栽した植物を栽培する固形培地耕用の養液栽培方法であって、前記培地が培地の動的平衡性に基づく毛管作用によって、養液を養液貯留領域から養液供給領域に養液を移動させることのできる多孔質無機粒子を50容量%以上含むことを特徴とする、前記固形培地耕用の養液栽培方法に関する。
更に、本発明は養液供給領域及びその下方の養液貯留領域を含む培地充填領域に、培地を充填し、養液貯留領域の最高水位以下に養液を供給することによって、培地充填領域に植栽した植物を栽培する固形培地耕用の養液栽培方法であって、前記培地が培地の動的平衡性に基づく毛管作用によって、養液を養液貯留領域から養液供給領域に養液を移動させることのできる多孔質無機粒子を50容量%以上含むことを特徴とする、前記固形培地耕用の養液栽培方法に関する。
本発明によれば、商業用の本格的な養液栽培においても、家庭園芸用の養液栽培においても、安価な費用及び簡易な管理により、従来の養液栽培と同等以上の効果を得ることができる養液栽培装置を提供することが可能である。具体的には、プランターや植木鉢などの栽培容器を利用し、養液の供給を用土栽培における灌水と同じように行うことで、専用の給液装置等を使わずに植物を栽培することが可能である。また、従来の循環式などの養液栽培と比較して養液の管理が容易であり、養液への酸素の供給も不要である。更に、本発明の養液栽培装置は雨水が浸入する露地栽培においても、使用することが可能である。また、用土栽培と比較すると、培地の量が1/2程度で、用土栽培以上の成長効率のよい植物の栽培を行うことができ、更に、土壌伝染性病害の発生の可能性が無く、洗浄の容易な無機培地を利用することにより、培地の再利用が容易である。具体的には、本発明方法に用いる養液栽培容器と前記培地を組合わせて培養液を供給する事により、培地充填域に養液供給領域(毛管不飽和領域)と養液貯留領域(毛管飽和領域)が構成され、土壌に因む最適な範囲の固相、液相、及び気相の三相と、土壌にたとえれば、適度の保水性と排水性を具備し、水分張力で言えば、pF1.6〜4.2の幅広い範囲の有効溶水分量が保たれた養液供給領域(毛管不飽和領域)培地が構成される。そして、植物の蒸発散で減少した養液供給領域(毛管不飽和領域)の養水分は、培地の動的平衡を維持しようとする毛管作用によって、水理的連続性を維持して、養液貯留領域(毛管飽和領域)から培地内を自律的に移動して補充される。
従って、培地に保持される養水分の水分張力は変化が少なく、水分の移動が一定的となり、よって、培地領域に保持される養水分が、植物の生育には、マスフローとイオン拡散による水とイオンの相関性の高い代謝依存的な養分摂取の対象となり、特定養分の過剰摂取とならない効果的な栽培条件を提供することができる。よって、培地養液のECやpHなどのチェックの必要が無く、均衡培養液の希釈養液(1.0〜0.25倍)を、栽培ステージや気象条件を考慮した蒸発散量に従って、1日1回乃至2回程度、養液貯留領域(毛管飽和領域)に貯液させる為に給液するだけで済み、用土栽培における散水と同じような給液管理で養液栽培を行うことが可能になった。
従って、培地に保持される養水分の水分張力は変化が少なく、水分の移動が一定的となり、よって、培地領域に保持される養水分が、植物の生育には、マスフローとイオン拡散による水とイオンの相関性の高い代謝依存的な養分摂取の対象となり、特定養分の過剰摂取とならない効果的な栽培条件を提供することができる。よって、培地養液のECやpHなどのチェックの必要が無く、均衡培養液の希釈養液(1.0〜0.25倍)を、栽培ステージや気象条件を考慮した蒸発散量に従って、1日1回乃至2回程度、養液貯留領域(毛管飽和領域)に貯液させる為に給液するだけで済み、用土栽培における散水と同じような給液管理で養液栽培を行うことが可能になった。
本発明の養液栽培装置は、固形培地耕用の養液栽培装置であって、養液栽培容器と、培地とを含んでいる。前記養液栽培容器は、その形状は特に限定されず、例えば、プランター、又は植木鉢のような形状でもよい。前記養液栽培容器は、その内部に培地充填領域を有している。培地充填領域は、養液栽培容器の内部の培地が充填される領域であり、容器の底面から上方への連続した領域であり、培地充填領域の高さは、養液栽培容器の上縁より下方であれば、特に限定されるものではないが、養液栽培容器の底面からの高さの50〜100%の範囲が好ましく、70〜100%の範囲が特に好ましい。
培地充填領域は、培地を含む領域であり、最高養液水位より上方の養液供給領域と、最高養液水位より下方の養液貯留領域を含む。最高養液水位は、後述の養液栽培容器の態様(A)、(B)又は(C)に示すように、養液の排水手段を有する場合は、過剰な養液の排水手段による水位の上限によって決定することができる。また、前記最高養液水位まで養液を供給する手段の場合は、最高養液水位を任意に決定し、養液を供給することができる。養液供給領域と養液貯留領域とは、最高養液水位を境界線として分けることができる。本明細書において「最高養液水位」は、養液貯留領域に貯留した養液が毛管現象などによって、養液供給領域に移動し、貯留している養液の水位が低下したとしても、最高養液水位が変化するものではない。
養液貯留領域は、養液が最高養液水位まで満たされた場合に、培地によって形成される養液の毛管が飽和状態になっている領域であり、「毛管飽和領域」ということができる。一方、養液供給領域は、培地によって形成される養液の毛管が完全には飽和状態ではなく、不飽和状態になっている領域であり、「毛管不飽和領域」ということができる。
養液貯留領域は、養液が最高養液水位まで満たされた場合に、培地によって形成される養液の毛管が飽和状態になっている領域であり、「毛管飽和領域」ということができる。一方、養液供給領域は、培地によって形成される養液の毛管が完全には飽和状態ではなく、不飽和状態になっている領域であり、「毛管不飽和領域」ということができる。
養液供給領域(毛管不飽和領域)は、主に植物の根に、養液と酸素を供給する領域である。後述する培地を培地充填領域に充填し、培養液を培地充填領域に供給すると、養液供給領域(毛管不飽和領域)に保液された後、透過して養液貯留領域(毛管飽和領域)に貯留され、養液供給領域(毛管不飽和領域)の養水分の蒸発散に伴って減少した養水分が毛管作用により、養液貯留領域(毛管飽和領域)から自律的に移動して補充され、合わせて空気が養液供給領域(毛管不飽和領域)に供給されるが、養液供給領域(毛管不飽和領域)は、培地の持つ空隙率によって、培地の固相率は一定となるが、液相と気相は、養液貯留領域(毛管飽和領域)上面からの高さで、水分張力が変わるので液相率が変化し、その高さ位置毎に異なる三相構造が構成されることになる。平均的な養液供給領域(毛管不飽和領域)の培地の三相構造は、好ましくは、固相は、20〜50%、液相が20〜60%、気相が10〜50%であり、より好ましくは、固相は、25〜45%、液相が30〜50%、気相が20〜40%であり、最も好ましくは約30%の固相に、約40%の液相と、約30%の気相とに配分される構成である。
なお、養液貯留領域(毛管飽和領域)においても、毛管作用による養液移動により、液面が低下して毛管不飽和溶液領域となり、養液供給領域(毛管不飽和領域)と同様の三相構造をとることになる。この養液供給領域(毛管不飽和領域)と同じような固相、液相、気相の三相構造となる領域を、本明細書において「養液貯留上部領域」と称する。
前期養液供給領域(毛管不飽和領域)の深さは、植物が養水分を摂取する為に根を展開する領域であり、栽培される植物によって必要な根圏域が異なるため、特に限定される事は無いが、好ましくは3cm以上であり、より好ましくは5cm以上であり、最も好ましくは8cm以上である。また、前期養液供給領域(毛管不飽和領域)の深さの上限は、好ましくは50cm以下であり、より好ましくは30cm以下であり、最も好ましくは20cm以下である。
養液貯留領域(毛管飽和領域)は、養液を最高養液水位より下方に貯留する領域であり、上方の養液供給領域(毛管不飽和領域)の培地養水分の減少に従って、毛管作用によって自律的に養液を移動供給させる領域である。従って、前記養液貯留領域(毛管飽和領域)は、養液供給領域(不飽和毛管溶液領域)の下方に隣接し、水理的連続性を維持して毛管作用が働くように前記養液貯留領域(毛管飽和領域)と養液供給領域(毛管不飽和領域)とに、同一培地が一体となって充填されている。養液貯留領域は、飽和状態で毛管に保持された溶液を養液供給領域に供給移動させる張力勾配を備えていれば良く、その深さは特に限定されないが、その下限は、養液供給領域の容量に対して、好ましくは10容量%以上であり、より好ましくは20容量%以上であり、最も好ましくは30容量%以上である。更に、その上限も特に限定されるものではないが、好ましくは500容量%以下であり、より好ましくは100容量%以下であり、最も好ましくは50容量%以下である。養液供給領域(毛管不飽和領域)及び養液貯留領域(毛管飽和領域)の容量は、当業者によって、公知の方法で測定する事が可能である。
養液貯留領域(毛管飽和領域)の形態も、前記のように養液供給領域(毛管不飽和領域)に燐接して一体を成しており、養液供給領域(毛管不飽和領域)に移動出来る毛管保持溶液の容量を備えていれば、特に限定されるものではない。
また、養液栽培容器は、養液が給液された場合、養液の液面が最高水位を超えずに維持する手段を有している。最高水位は、養液が給液された場合に養液が飽和毛管溶液として貯留される最上面であり、前記培地充填領域の高さより低位にあれば、特に制限されないが、その上には植物が養水分を摂取する根を展開する領域が必要であり、例えば、市販のプランターや植木鉢を用いる場合、養液栽培容器の底面からの高さの10%〜60%が好ましく、25%〜50%がより好ましく、23%〜43%が最も好ましい。この最高溶液水位は、前記のように、養液供給領域(毛管不飽和領域)と養液貯留領域(毛管飽和領域)を分ける水位であるが、前記のように、養液供給領域(毛管不飽和領域)は、植物が養水分を摂取する根を展開出来る深さであれば、特に限定されることはなく、また、養液貯留領域(毛管飽和領域)は、養液供給領域(毛管不飽和領域)に移動できる毛管溶液を保持する容量を備えていれば、その深さは特に限定されない。
本発明の養液栽培装置において、養液栽培容器として用いることのできる代表的な態様について添付図面に沿って説明するが、養液栽培容器は、これらの態様に限定されるものではない。
《態様(A)》
図1は、養液栽培容器1の態様の切断面を模式的に示す斜視図であり、図2は、その横断面の模式図である。図1及び図2に示すとおり、養液栽培容器1は、外側容器2と内側貯留容器3とからなり、内側貯留容器3は外側容器2の内側に位置しており、外側容器2と内側貯留容器3の間には間隙4を有している。養液栽培容器1の内部には、内側貯留容器3の内側底面31から上方にかけて培地充填領域5を有している。培地充填領域5の高さは、外側容器2の上縁21より下方であれば、特に限定されず、栽培する植物などに合わせて任意に決定できるが、養液栽培容器1の高さの70〜100%の範囲が好ましい。また、養液栽培容器1は、養液が供給された場合に養液が液相、すなわち飽和毛管溶液として貯留される最高水位である最高養液水位53を有している。更に、養液栽培容器1は養液の液面、すなわち飽和毛管溶液面が最高養液水位53を超えず維持するための手段を有しており、本態様においては、内側貯留容器3から、あふれた養液を排水する手段である。
図1は、養液栽培容器1の態様の切断面を模式的に示す斜視図であり、図2は、その横断面の模式図である。図1及び図2に示すとおり、養液栽培容器1は、外側容器2と内側貯留容器3とからなり、内側貯留容器3は外側容器2の内側に位置しており、外側容器2と内側貯留容器3の間には間隙4を有している。養液栽培容器1の内部には、内側貯留容器3の内側底面31から上方にかけて培地充填領域5を有している。培地充填領域5の高さは、外側容器2の上縁21より下方であれば、特に限定されず、栽培する植物などに合わせて任意に決定できるが、養液栽培容器1の高さの70〜100%の範囲が好ましい。また、養液栽培容器1は、養液が供給された場合に養液が液相、すなわち飽和毛管溶液として貯留される最高水位である最高養液水位53を有している。更に、養液栽培容器1は養液の液面、すなわち飽和毛管溶液面が最高養液水位53を超えず維持するための手段を有しており、本態様においては、内側貯留容器3から、あふれた養液を排水する手段である。
外側容器2の形状は、特に限定されないが、例えば、プランター及び植木鉢のような形状でもよく、プランターの長い辺を更に延ばした細長い形状でもよい。外側容器2は、前記最高養液水位53より下方に換気孔22を有しており、通常の市販されているプランターや植木鉢などをそのまま、外側容器2として利用することも可能である。
内側貯留容器3は、養液を貯留することができるように、原則として、底面及び側面に孔などがない。プランターなどの上部を切断して内側貯留容器3として利用する事も可能であるが、その場合は、底面や側面の排水孔を塞いで利用する。内側貯留容器3の大きさは、一定量の養液を貯留することのできる大きさであれば、特に限定されない。外側容器2と内側貯留容器3の間の間隙4の幅は、あふれた養液又は水がその間隙4を養液や水の自重により自然落下する幅があれば、特に限定されない。
図1及び図2に示した態様においては、養液を養液栽培容器1に供給した場合に、過剰に養液が供給されると、内側貯留容器3の上縁32の最も低い部分からあふれるため、その部分の高さが最高養液水位53となる。また、内側貯留容器3として、側面に孔を有する内側貯留容器3を利用することも可能であるが、この場合は、養液が供給されたときに、その側面の孔から養液があふれるため、その孔の高さが最高養液水位53となる。
養液栽培容器1は、その内部に培地充填領域5を有している。培地充填領域5は、最高養液水位53より上方の養液供給領域(毛管不飽和領域)51と最高養液水位53より下方の養液貯留領域(毛管飽和領域)52とを含む。養液供給領域51と養液貯留領域52とについては、詳しく後述するが、養液供給領域51は、主に植物の根に養水分、及び酸素を供給するための領域(すなわち、毛管不飽和領域)であり、養液貯留領域52は、主に、養液供給領域51に培地の毛管作用(毛管現象)によって、自律的に供給される養液を貯留するための領域(すなわち、毛管飽和領域)である。
養液栽培容器1は、養液の液面が最高養液水位53を超えず維持するための維持手段を有している。この維持手段は本態様においては、養液貯留領域(毛管飽和領域)52に貯留することできる養液量を超えた過剰な養液を排水する手段である。具体的には、内側貯留容器3の最も低い上縁部分からあふれた養液は、外側容器2と内側貯留容器3の間の間隙4を通過し、外側容器2の換気孔22から排水される。従って、前記排水手段は、内側貯留容器3の最も低い上縁部分、間隙4及び、外側容器2の換気孔22から構成される。
養液栽培容器1の内側の養液供給領域51は、前記のように主として植物の根に養水分、及び酸素を供給するための領域(いわゆる、毛管不飽和領域)であり、養水分の他に、空気を供給する必要がある。空気は、図1及び図2の培地充填領域5の上面から養液が自然透過(自然落下)した後の、養液供給領域51の培地の粒子の間隙(いわゆる、連通孔間隙)に供給されるが、外側容器2の排水孔22及び外側容器2と内側貯留容器3との間隙4からも養液供給領域51に供給されることができる。更に、積極的に空気を養液供給領域51に供給するために、外側容器2の養液供給領域(毛管不飽和領域)51の高さの外側容器2の側面に通気孔(図示せず)を設けることもできる。以上の態様が、本発明の養液栽培装置に用いることのできる養液栽培容器の代表的な好ましい態様であるが、以下の(B)又は(C)のような態様をとることも可能である。
《態様(B)》
また、本発明の養液栽培装置に用いることのできる養液栽培容器は、単一の栽培容器からなることも可能である。養液栽培容器の内部には、底面から上方にかけて培地充填領域を有している。養液栽培容器は、養液が供給された場合に養液が貯留される最高水位である最高養液水位を有しており、養液の液面が最高養液水位を超えず維持するための手段は、養液栽培容器の側面の通気排水孔である。この場合、通気排水孔の位置が最高養液水位となり、培地充填領域は、最高養液水位より上方の養液供給領域(毛管不飽和領域)と最高養液水位より下方の養液貯留領域(毛管飽和領域)とに分けることができる。また、通気排水孔より下方には、孔を有さないため、プランターや植木鉢などを養液栽培容器として利用する場合は、底面や側面の排水孔を塞いで利用する。
また、本発明の養液栽培装置に用いることのできる養液栽培容器は、単一の栽培容器からなることも可能である。養液栽培容器の内部には、底面から上方にかけて培地充填領域を有している。養液栽培容器は、養液が供給された場合に養液が貯留される最高水位である最高養液水位を有しており、養液の液面が最高養液水位を超えず維持するための手段は、養液栽培容器の側面の通気排水孔である。この場合、通気排水孔の位置が最高養液水位となり、培地充填領域は、最高養液水位より上方の養液供給領域(毛管不飽和領域)と最高養液水位より下方の養液貯留領域(毛管飽和領域)とに分けることができる。また、通気排水孔より下方には、孔を有さないため、プランターや植木鉢などを養液栽培容器として利用する場合は、底面や側面の排水孔を塞いで利用する。
図10は、養液栽培容器1の態様(B)の切断面を模式的に示す斜視図であり、図11は、その横断面の模式図である。図10及び図11に示すとおり、養液栽培容器1は、単一の栽培容器からなり、養液栽培容器1の内部には、底面11から上方にかけて培地充填領域5を有している。培地充填領域5の高さは、養液栽培容器1の上縁12より下方であれば、特に限定されず、栽培する植物などに合わせて任意に決定できるが、養液栽培容器1の高さの70〜100%の範囲が好ましい。また、養液栽培容器1は、養液が供給された場合に養液が貯留される最高水位である最高養液水位53を有している。更に、養液栽培容器1は養液の液面が最高養液水位53を超えず維持するための手段を有しており、態様(B)においては、養液栽培容器1の側面の排水通気孔23である。培地充填領域5は、前記態様(A)と同じように、最高養液水位53より上方の養液供給領域51と最高養液水位53より下方の養液貯留領域52とに分けることができる。
養液栽培容器1の形状は、特に限定されないが、例えば、プランター及び植木鉢のような形状でもよく、プランターを長い辺を更に延ばした細長い形状でもよい。養液栽培容器1は、養液貯留領域52に養液を貯留することができるように、原則として、養液栽培容器1の底面及び最高養液水位53より下方の側面に孔などがないものが好ましい。通常の市販されているプランターや植木鉢などを養液栽培容器1として利用することができるが、その場合は、底面や側面の排水孔を塞いで利用することが好ましい。
養液栽培容器1は、養液の液面が最高養液水位53を超えず維持するための維持手段を有している。この維持手段は本態様(B)においては、養液貯留領域52に貯留することできる養液量を超えた過剰な養液を排水する手段である。図10及び図11に示した態様(B)においては、具体的には、養液を養液栽培容器1に供給した場合に、過剰な養液が排水通気孔23から排出されるため、排水通気孔23の高さが最高養液水位53となり、排水通気孔23が、前記排水手段となる。
排水通気孔23を設ける位置は、最高養液水位の高さである。すなわち、養液が貯留される最高水位の高さが好ましく、養液栽培容器の底面からの高さの10〜60%が好ましく、25〜50%がより好ましく、23〜43%が最も好ましい。例えば65型の185mmの高さのプランターの場合、底面から18.5mm〜111mmが好ましく、46.3mm〜92.5mmがより好ましく、42.6〜79.6mmが最も好ましい。排水通気孔23の形及び大きさは、最高養液水位を維持することができる限り限定されるものではないが、例えば、円形の場合は、直径1mm〜10mmが好ましく、1.5mm〜7mmがより好ましく、2mm〜5mmが最も好ましい。1mmより小さいと排水しにくくなり、10mmより大きいと培地が流失しやすいからである。また、排水通気孔23の数も特に限定されるものではなく、例えば65型のプランターの場合、好ましくは、1〜100であり、より好ましくは2〜50であり、最も好ましくは5〜30である。
養液栽培容器1の内部の培地充填領域5、特には養液供給領域51には、前記のように養分、水分の他に、空気を供給することが好ましい。空気は、図10及び11の培地充填領域5の上面から養液が自然落下した後の、養液供給領域51の培地の粒子の間隙に培地の上面から供給されるが、排水通気孔23からも培地充填領域5、特に養液供給領域51に供給される。更に、積極的に空気を養液供給領域51に供給するために、養液栽培容器1の養液供給領域51の高さの養液栽培容器1の側面に通気孔13を設けることが好ましい。
《態様(C)》
更に、本発明の養液栽培装置に用いることのできる養液栽培容器は、外側貯留容器と内側容器とからなることも可能である。内側容器は外側貯留容器の内側に位置しており、外側貯留容器と内側容器の間には間隙を有している。外側貯留容器の高さは、内側容器より低く、外側貯留容器の高さが、養液が供給された場合に養液が貯留される最高水位である最高養液水位となる。内側容器は、最高養液水位より下方に排水孔を有しており、通常の市販されているプランターや植木鉢などを内側容器として利用することができる。一方、外側貯留容器は、排水孔を有さないため、市販のプランターなどを用いる場合は、上部を切断し、排水孔を塞いで利用する。また、内側容器の内部には、底面から上方にかけて培地充填領域を有している。前記のように養液栽培容器は、養液が供給された場合に養液が貯留される最高水位である最高養液水位を有している。養液を養液栽培容器に供給した場合に、養液が内側容器の排水孔から排出され、外側貯留容器と内側容器の間隙を上昇し、外側貯留容器の上縁の最も低い部分からあふれるため、上縁の最も低い部分の高さが最高養液水位となる。この場合、培地充填領域は、最高養液水位より上方の養液供給領域(毛管不飽和領域)と最高養液水位より下方の養液貯留領域(毛管飽和領域)とに分けることができる。養液の液面が最高養液水位を超えず維持するための維持手段は本態様においては、養液貯留領域に貯留することできる養液量を超えた過剰な養液を排水する手段であり、具体的には、前記のように、内側容器の排水孔から排出され、外側貯留容器と内側容器の間隙を上昇し、外側貯留容器の上縁の最も低い部分からあふれ、外側容器の外に排水される。従って、前記排水手段は、内側容器の排水孔、間隙及び、外側貯留容器の上縁の最も低い部分から構成される。
更に、本発明の養液栽培装置に用いることのできる養液栽培容器は、外側貯留容器と内側容器とからなることも可能である。内側容器は外側貯留容器の内側に位置しており、外側貯留容器と内側容器の間には間隙を有している。外側貯留容器の高さは、内側容器より低く、外側貯留容器の高さが、養液が供給された場合に養液が貯留される最高水位である最高養液水位となる。内側容器は、最高養液水位より下方に排水孔を有しており、通常の市販されているプランターや植木鉢などを内側容器として利用することができる。一方、外側貯留容器は、排水孔を有さないため、市販のプランターなどを用いる場合は、上部を切断し、排水孔を塞いで利用する。また、内側容器の内部には、底面から上方にかけて培地充填領域を有している。前記のように養液栽培容器は、養液が供給された場合に養液が貯留される最高水位である最高養液水位を有している。養液を養液栽培容器に供給した場合に、養液が内側容器の排水孔から排出され、外側貯留容器と内側容器の間隙を上昇し、外側貯留容器の上縁の最も低い部分からあふれるため、上縁の最も低い部分の高さが最高養液水位となる。この場合、培地充填領域は、最高養液水位より上方の養液供給領域(毛管不飽和領域)と最高養液水位より下方の養液貯留領域(毛管飽和領域)とに分けることができる。養液の液面が最高養液水位を超えず維持するための維持手段は本態様においては、養液貯留領域に貯留することできる養液量を超えた過剰な養液を排水する手段であり、具体的には、前記のように、内側容器の排水孔から排出され、外側貯留容器と内側容器の間隙を上昇し、外側貯留容器の上縁の最も低い部分からあふれ、外側容器の外に排水される。従って、前記排水手段は、内側容器の排水孔、間隙及び、外側貯留容器の上縁の最も低い部分から構成される。
図12は、養液栽培容器1の態様(C)の横断面の模式図である。図12に示すとおり、養液栽培容器1は、外側貯留容器6と内側容器7とからなり、内側容器7は外側貯留容器6の内側に位置しており、外側貯留容器6と内側容器7の間には間隙4を有している。養液栽培容器1の内部には、内側容器7の内側底面71から上方にかけて培地充填領域5を有している。培地充填領域5の高さは、内側容器7の上縁72より下方であれば、特に限定されず、栽培する植物などに合わせて任意に決定できるが、養液栽培容器1の底面からの高さの70〜100%の範囲が好ましい。また、養液栽培容器1は、養液が供給された場合に養液が貯留される最高水位である最高養液水位53を有している。更に、養液栽培容器1は養液の液面が最高養液水位53を超えず維持するための手段を有しており、本態様(C)においては、あふれた養液を排水する手段である。培地充填領域5は、前記態様(A)と同じように、最高養液水位53より上方の養液供給領域51と最高養液水位53より下方の養液貯留領域52とに分けることができる。
内側容器7の形状は、特に限定されないが、例えば、プランター及び植木鉢のような形状でもよく、プランターを長い辺を更に延ばした細長い形状でもよい。内側容器7は、前記最高養液水位53より下方に排水孔22を有しており、通常の市販されているプランターや植木鉢などを内側容器7として利用することができる。
外側貯留容器6は、内側容器7の内部に養液を貯留することができるように、原則として、底面及び側面に孔などがないものが好ましい。プランターなどの上部を切断して外側貯留容器6として利用する事も可能であるが、その場合は、底面や側面の排水孔を塞いで利用することが好ましい。外側貯留容器6の大きさは、内側容器7を内部に配置することのできる大きさであれば、特に限定されない。外側貯留容器6と内側容器7の間の間隙4の幅は、排水孔22から排出された養液又は水がその間隙4を上方へと通過できる幅があれば、特に限定されない。
図12に示した態様(C)においては、養液を養液栽培容器1に供給した場合に、養液が内側容器7の排水孔22から排出され、外側貯留容器6と内側容器7の間隙4を上昇し、外側貯留容器6の上縁61の最も低い部分からあふれるため、上縁61の最も低い部分の高さが最高養液水位53となる。また、外側貯留容器6として、側面に孔を有する外側貯留容器6を利用することも可能であるが、この場合は、養液が供給されたときに、その側面の孔から養液があふれるため、その孔の高さが最高養液水位53となる。
養液栽培容器1は、養液の液面が最高養液水位53を超えず維持するための維持手段を有している。この維持手段は本態様(C)においては、養液貯留領域52に貯留することできる養液量を超えた過剰な養液を排水する手段である。具体的には、前記のように、内側容器7の排水孔22から排出され、外側貯留容器6と内側容器7の間隙4を上昇し、外側貯留容器6の上縁61の最も低い部分からあふれ、外側容器の外に排水される。従って、前記排水手段は、内側容器7の排水孔22、間隙4及び、外側貯留容器6の上縁61の最も低い部分から構成される。
養液栽培容器1の内部の培地充填領域5、特に養液供給領域51は、前記のように養分、水分の他に、空気を供給することが好ましい。空気は、図12の培地充填領域5の上面から養液が自然落下した後の、養液供給領域51の培地の粒子の間隙に上面から供給されるが、更に、積極的に空気を養液供給領域51に供給するために、養液供給領域51の高さの内側容器7の側面に通気孔13を設けることが好ましい。
前記の本発明の態様において、排水孔、排水通気孔及び通気孔は、その孔から養液栽培容器内の培地が流出することを防ぐため、培地が漏れない程度の粗さの網や防根シートを有することが好ましい。更に、排水孔は、排水された養液などを回収するため、排水チューブを有し、排水された養液を回収できるような構造とすることもできる。
養液栽培容器1の材料は特に限定されないが、プランターや植木鉢に使用することのできる、形状維持性を有する硬質材料を使用することができる。また、前記態様(A)及び(C)のように外部容器と内部容器からなる場合は、外部容器と内部容器とを一体成型して製造することもできる。
最高養液水位53を超えず維持するための手段は、前記の養液栽培容器の態様(A)、(B)、及び(C)に用いられている最高養液水位を超えた養液を排水する排水手段でもよいが、養液が供給されたときに、養液が最高養液水位以下に維持することができれば、特に排水手段に限定されるものではない。具体的には、最高養液水位まで養液を供給する手段でもよく、例えば、水位センサーと連動した自動給水装置により養液を最高養液水位まで供給する手段、水位計又は水位管によって水位を確認しながら手動で最高養液水位まで養液を供給する手段、養液栽培容器に直結させた、カートリッジ式養液タンクから最高養液水位まで給水する手段などを挙げることができる。
前記通気手段は、培地充填領域、特に養液供給領域に空気を供給する手段であるが、養液貯留領域の養液が毛管作用によって養液供給領域に移動し、貯留している養液の水位が低下した場合には、養液貯留領域、すなわち養液貯留上部領域にも前記通気手段によって空気が供給される。前記態様(A)における最高養液水位を維持するための手段である排水手段は、養液の排水手段であると共に、培地充填領域に空気を供給する通気手段でもある。また、前記態様(B)における最高養液水位を維持するための手段である排水手段、すなわち、排水通気孔も培地充填領域に空気を供給する通気手段でもある。
前記の排水手段以外の通気手段としては、積極的に養液供給領域及び養液貯留上部領域に空気を供給する手段を設けることができる。このような通気手段として、通気孔、内側通気構造物、又は通気チューブを挙げることができる。
通気孔は、養液栽培容器における養液供給領域の高さ以上の側面、すなわち最高養液水位以上の高さの養液栽培容器の側面に設けることができる。通気孔の位置は、最高養液水位以上の養液栽培容器の側面であれば、特に限定されることはない。また、通気孔の形、大きさ及び数も、養液供給領域及び養液の水位より上方の養液貯留上部領域に空気を供給することができ、それらの領域に気相を形成することのできるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、培地の容積が約10Lの65型のプランターの場合を例にとって説明すると、培地10Lに対して、通気孔の大きさは、円形の場合、直径1mm〜10mmが好ましく、1.5mm〜7mmがより好ましく、2mm〜5mmが最も好ましい。1mmより小さいと培地により詰まって通気しにくくなり、10mmより大きいと培地が流失しやすいからである。また、通気孔の数は、培地10Lに対して、直径3mmの通気孔1〜100個設けることが好ましく、より好ましくは2〜50個であり、最も好ましくは5個〜30個である。
また、内側通気構造物は、養液栽培容器とその内部に充填された培地との間に空気を通過させ、供給する構造物を意味する。内側通気構造物としては、例えば、養液栽培容器と同じ形の栽培容器に孔を形成した構造物(以下、有孔通気構造物と称する)、孔を有する可塑性のシート(以下、有孔シートと称する)及び可塑性や金属製の網状のシート(以下、ネット状シートと称する)を挙げることができる。
図13は、内側通気構造物として、有孔通気構造物17を、前記態様(B)の養液栽培容器1に用いた場合の横断面の模式図である。例えば、前記態様(B)の養液栽培容器1とほぼ同じ形のプランターを用い、上部と底面を切断し、側面に通気孔を設けることによって有効通気構造物17として利用することが可能である。この有孔通気構造物17と養液細微容器1の間の間隙を空気が通過し、更に有孔通気構造物通気孔14を通過して養液供給領域51及び養液貯留上部領域55に空気を供給することができる。
更に、通気手段として、通気チューブを用いることができる。通気チューブは、養液栽培容器の側面に孔を設けて、その孔から通気チューブを挿入するものである。通気チューブを挿入する孔は、前記排水通気孔又は通気孔を用いることができる。図14は、通気チューブ16を前記態様(B)の養液栽培容器に用いた場合の横断面の模式図である。例えば、通気孔13又は排水通気孔23から通気チューブ16を培地充填領域に挿入する。通気チューブ16は通気チューブ通気孔15を有しており、この通気チューブにより、外気より養液供給領域51及び養液貯留上部領域55に空気を供給することができる。
図1及び2に示すとおり、養液栽培装置の培地充填領域の端部に浮子式水位計を設置することができる。また、図3は、外部に水位管を設置した養液栽培容器の断面図の模式図である。最高水位53を超えず維持する手段として、浮子式水位計又は水位管により、養液量を確認しながら、最高養液水位まで培養液を供給することができる。これらの浮子式水位計又は水位管を用いた最高養液水位53を超えず維持するための手段は、単独で用いることも可能であるが、図1及び2に示すように、前記排水手段と組み合わせて、併用して用いることもできる。
図4は、カートリッジ式養液タンクを設けた養液栽培容器の断面図の模式図である。養液栽培装置の最高養液水位53に合わせて給液皿93の液面94の高さを調節することによって、養液栽培容器の最高養液水位53より液面が低下すると、最高養液水位まで自動的に給液することができる。具体的には、養液栽培容器1と給液皿93を連結管95により結合させ、給液皿93の液面94を養液栽培容器の最高養液水位の液面の高さに会わせて設置し、培養液91を充填したカートリッジ式養液タンク92から、養液栽培容器の培養液の低下に合せて自動的に補給させることができる。このカートリッジ式養液タンクによる、最高養液水位53を超えず維持するための手段も、単独で用いることも可能であるが、前記態様(A)、(B)又は(C)等に用いられている排水手段と組み合わせて、併用して用いることもできる。
図15は、内側通気構造物として、ネット状シート18を、前記態様(B)の養液栽培容器1に用い、カートリッジ式養液タンクを取付けた実施態様の横断面の模式図である。例えば容器、前記態様(B)の養液栽培容器1の内側にネット状シート18を設け、養液栽培容器1の側面の排水通気孔23及びネット状シート18によって、養液栽培容器1に空気を供給することができる。
本発明の養液栽培装置に使用することのできる培地は、養液栽培容器の培地充填領域に充填し、培養液を上から供給することにより、養液供給領域が、およそ固相30%、液相40%、気相30%からなる土壌に因む最適な三相構造を構成し、その液相に有効溶水分となる張力を持つ不飽和毛管溶液を保持することができる培地である。前記培地は好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上、最も好ましくは80%以上の多孔質無機粒子を含む。前記培地は、この多孔質無機粒子に加え、塩基置換容量を有する結晶二次粘土鉱物粒を含むことができる。塩基置換容量を有する結晶二次粘土鉱物粒は、好ましくは1〜30%、より好ましくは、5〜20%、最も好ましくは、10〜15%含むことができる。更に、培地は、その他の固形培地耕の養液栽培において培地に添加することのできる成分を含むことができる。その他の成分としては、例えば、ピートモス、バーク、水苔、軽石等を挙げることができる。培地の養液供給領域(毛管不飽和領域)は、有効溶水分を保持する培地間孔隙が、一定の保水性と通水性を合わせ持つような孔径分布を持つことが好ましく、例えば、pF1.6〜3.0の養液や水が移動し易い孔隙から、pF3.0〜4.2の養液や水の移動が困難ではあるが、毛管連絡水が切断されない連続した微細間孔隙を配分保持する水理的連続性を維持できる培地孔間隙を有することが好ましい。
前記多孔質無機粒子は、給液によって構成された養液貯留領域(毛管飽和領域)の培地溶液を、養液供給領域(毛管不飽和領域)の蒸発散に伴って発生する培地養水分の減少を、培地の動的平衡を維持する為に働く毛管作用により、水理的連続性を維持して養水分を養液供給領域(毛管不飽和領域)に移動させることのできる孔径分布を持つ毛管細孔を有する多孔質無機粒子が好ましい。具体的には、一次細孔の細孔直径として、2μmより大きい細孔及び0.1μmより小さい細孔を有していてもよいが、少なくとも0.1〜2μmの範囲の細孔を含むものが好ましく、この範囲の細孔を細孔全体の容量の25%以上含む多孔質無機粒子であることが好ましい。このような細孔を有することにより、多孔質無機粒子は、植物が利用することのできる養液及び/又は水分の水理的連続性が維持され、培地全体の保持する養水分を余す事なく毛管移動させて利用できるからである。多孔質無機粒子の空隙率は、好ましくは45〜90%であり、より好ましくは、50〜75%であり、最も好ましくは60〜75%である。粒径は、好ましくは0.05〜10mmであり、より好ましくは、0.5〜8mmであり、最も好ましくは、1〜6mmである。このような物性の多孔質無機粒子を50%以上含む培地を、本発明の溶液栽培装置に用いることにより、養液供給領域の培地の固相と液相と気相との三相構造を、土壌に因む最適な三相構造とし、栽培する植物の培地養水分摂取や気相蒸気圧変化によって発生する液相の養水分量の低下を自律的に回復させることが可能となる。
前記多孔質無機粒子としては、具体的には、粘土などを焼成したセラミック粒、パーライト、粒状フェノール樹脂、レカトン(商品名)、パミスサンドなどの軽石を使用することができるが、好ましくは、珪藻土焼成粒である。
珪藻土焼成粒は、珪藻土を細かく破砕し、狭さく物の粘土と共に造粒して焼成した粒材や、狭さく物が比較的少なく、珪藻土をただ破砕して焼成した後に、目的に従って分級した珪藻土焼成粒材などがあるが、それぞれの粒子が、数ミクロンから100ミクロンの直径の珪殻単体に開いた0.1〜2μの1次細孔と焼成により構成された3μm以上の2次細孔、紛粒子による3次細孔を有している。中でも、珪藻土を狭さく物の粘土と共に造粒して焼成した珪藻土焼成粒材は、保有する細孔の分布が、例えば、39%が、3μm以上の連通孔隙であり(pF3以下に相当する)、43%が1〜3μm、12%が0.5〜1μm、6%が0.5μm以下の細孔であると言われている。従って、栽培容器内の養液供給領域の培地高さでは、39%の3μm以上の細孔は、養液の給液後に、養液の一部が重力により下方に移動し気相となるが、残りの約55%の3〜0.5μmの細孔を含めて全孔間隙の約40%〜60%の領域は、植物の萎凋点以下(pF4.2以下)の範囲を含めて、給液された養液が孔間隙に残留して毛管移動する植物が利用することのできる有効水としての液相を構成する。因みに、米検査機関での分析結果では、2mm径の前記珪藻土造粒焼成材の重力テンション30cm(約pF1.5に相当)下での含水率(体積含水率)は37.5%であり、その時の空隙率は34.7%、残りの27.8%が固相、また、重力テンション10cm(約pF1に相当)下での含水率(体積含水率)は57.8%であり、その時の空隙率は14.3%、残りの27.9%が固相となる試験資料が明らかにされている。以上のように、珪藻土焼成粒を基材とする培地は、50〜75%程度の空隙率を有しており、その細孔に水分や肥料成分を植物栽培に最適な状態で吸収保持することができる。
また、粒径が0.3〜10mmの珪藻土焼成粒を用いることにより、粒子相互の間隙も気相となるが、粒径は特に前記のものに限られず、0.01〜20mmの粒度分布の珪藻土焼成粒を用いることができる。また、粒径は揃っているものでもよいが、前記のように珪藻土を焼成して、細かく破砕した珪藻土焼成粒の場合は、特に粒径が揃っていなくても、培地として使用することが可能である。珪藻土焼成粒は、好ましくは0.01〜10mmの粒径の範囲のものを90%以上含むものであり、より好ましくは0.05〜8mmの粒径の範囲のものを、90%以上含むものであり、最も好ましくは0.1〜5mmの粒径の範囲のものを90%以上含むものである。珪藻土焼成粒は、前記のような細孔分布の連通孔間隙率を有し、適当な粒径の粒子を用いることのより、土壌における理想的な固相と液相と気相との三相構造を形成することが可能である。また、本発明に使用することのできる培地によって形成される三層構造は、過剰な養分摂取を発生させない水分張力のpF1.6〜pF4.2となる毛管細孔の孔径分布を有している。
pFは土の粒子が水を保持する力を水柱高(単位センチメートル)に換算し、その絶対値の常用対数を取ったものであり、粉体の粒子間に存在する水のエネルギー状態を示す化学ポテンシャルをμとしたとき、
pF=log(−Δμ)
で表わされる値をいう。
従来の養液栽培においては、植物の根に基本的に高度に水分と養分を吸収させるため、60%から95%を有する培地の孔間隙の空気孔隙量をpF1で、18〜23%確保しながら、残り80%内外をpF1〜2の液層で占めるように維持していた。本発明の養液栽培装置においては、最適な三相構造となる保水性と高い排水性(飽和透水係数0.16cm/Sec)を保持する孔径分布の培地毛管孔間隙がpF1.6〜4.2の有効水分となる範囲の張力の養水分を保持するためであり、養水分過剰とならず、また、容易には毛管が切れず、植物の生育にとっても、最適な栽培条件を培地に提供することが可能となった。
具体的には、本発明の養液栽培装置に含まれる、培地のpFの分布範囲は、最も好ましくはpF1.6〜4.2であるが、pF1.6以下及びpF4.2以上を示す培地の領域が含まれることを除外するものではなく、また、pF1.6〜4.2より狭いpFの分布範囲示す培地を除外するものではない。
なお、土壌水分恒数から見た水分張力の範囲では、pF3〜pF4.2は、畝場における毛管切断点からいちょう点となる範囲であるが、それは飽くまでも土壌懸錘水の場合であり、本栽培装置のような下部の養液貯留領域からの水理的連続性が維持された培地養水分の毛管移動は有効水であり、培地水蒸気となって培地内を移動する水分でもある。
pFは土の粒子が水を保持する力を水柱高(単位センチメートル)に換算し、その絶対値の常用対数を取ったものであり、粉体の粒子間に存在する水のエネルギー状態を示す化学ポテンシャルをμとしたとき、
pF=log(−Δμ)
で表わされる値をいう。
従来の養液栽培においては、植物の根に基本的に高度に水分と養分を吸収させるため、60%から95%を有する培地の孔間隙の空気孔隙量をpF1で、18〜23%確保しながら、残り80%内外をpF1〜2の液層で占めるように維持していた。本発明の養液栽培装置においては、最適な三相構造となる保水性と高い排水性(飽和透水係数0.16cm/Sec)を保持する孔径分布の培地毛管孔間隙がpF1.6〜4.2の有効水分となる範囲の張力の養水分を保持するためであり、養水分過剰とならず、また、容易には毛管が切れず、植物の生育にとっても、最適な栽培条件を培地に提供することが可能となった。
具体的には、本発明の養液栽培装置に含まれる、培地のpFの分布範囲は、最も好ましくはpF1.6〜4.2であるが、pF1.6以下及びpF4.2以上を示す培地の領域が含まれることを除外するものではなく、また、pF1.6〜4.2より狭いpFの分布範囲示す培地を除外するものではない。
なお、土壌水分恒数から見た水分張力の範囲では、pF3〜pF4.2は、畝場における毛管切断点からいちょう点となる範囲であるが、それは飽くまでも土壌懸錘水の場合であり、本栽培装置のような下部の養液貯留領域からの水理的連続性が維持された培地養水分の毛管移動は有効水であり、培地水蒸気となって培地内を移動する水分でもある。
更に、前記培地は、塩基置換容量を有する結晶二次粘土鉱物粒を含むことが好ましい。塩基置換容量を有する結晶二次粘土鉱物粒は、培地中の陽イオンを保持したり、離したりすることのできる陽イオン交換容量を有しており、培地のpHの変動を防ぎ、培地に緩衝作用とを与えることができる。基置換容量を有する結晶二次粘土鉱物粒としては、例えば、天然ゼオライト粒を使用することができる。天然ゼオライト粒は、50〜170meq/100g程度の塩基置換容量を有しており、アナルサイム、モルデナイト、クリノプチライトの3種類があり、培地に添加する天然ゼオライト粒としては、モルデナイト、クリノプチライトが好ましい。例えば、3〜5mmの粒径のモルデナイト系粒材を前記培地に体積比で、好ましくは1〜30%、より好ましくは、5〜20%、最も好ましくは、10〜15%含むことができる。
天然ゼオライト粒は、結晶二次粘土鉱物微粒子から構成されている。従って、粒子の表面積が大きく、その微細粒子間に吸着する水分を水蒸気として保有することができる。前記培地の珪藻土焼成粒より大きな表面積を持つので、培地内蒸気圧の低下には、保持する過剰水を他の培地材よりも先に放出して、気相の換気を促進する効果を持つ。更に、培地として添加することによって、植物の根から分必される有機酸等の代謝排出物を吸着して、培地の根圏環境を一定に保つ効果も有している。
培地は、前記の多孔質無機粒子、特には珪藻土焼成粒のみからなるものでもよいが、珪藻土焼成粒に、前記天然ゼオライト粒を、好ましくは1〜30%、より好ましくは、5〜20%、最も好ましくは、10〜15%含むことができる。更に、珪藻土焼成粒を50%容量以上含む限り、珪藻土焼成粒及び天然ゼオライト粒以外の成分を含むこともできる。
以下に、本発明の固形培地耕用の養液栽培方法を説明する。
養液栽培容器に、前記多孔質無機粒子を50%以上含む培地を適当量充填する。培地に直接、植物の種を幡種し発芽させるか、前記培地と同じ組成の培地を用い発芽させた苗を植え込むか、又は土耕栽培で発芽させた苗の根の用土を洗い落として、植え込む。例えば、65型のプランター(容積約12L)を養液栽培容器として用い、果菜類のトマトや胡瓜、茎葉類のブロッコリーやキャベツなどの苗を植える場合は、3本の苗を植え込むことが好ましい。次に、養液栽培容器の中の培地に最高養液水位まで養液を供給する。最高養液水位まで養液を供給する手段は、自由供給し、最高養液水位を超えた過剰な養液を排水する手段でもよく、最高養液水位を認識し、最高養液水位まで養液を供給する手段でもよい。養液は、水位センサーと連動した自動給水装置により、常に最高養液水位まで貯留されることもできる。また、水位計又は水位管によって水位を確認しながら手動で最高養液水位まで養液を供給してもよく、カートリッジ式養液タンクから最高養液水位まで給水してもよい。培養液の供給は培地の養液又は水が減少し、毛管作用によって移動する養水分が一定量以下になり、植物の水分ストレスとなる前に供給する必要がある。従って、一定の水位まで溶液が減少した場合に、自動的に供給するか、水位計又は水位管により養液栽培容器内の養液を確認し、供給することが好ましい。最も好ましくは、養液栽培容器の養液貯留領域52の水位が、養水分の養液供給領域51への毛管移動や蒸散等により、0〜30%になった場合に、培養液を供給し、このサイクルと繰り返す。このような培養液の供給のサイクルを繰り返すことによって、養液貯留領域(毛管飽和領域)52にも養液の供給のサイクルごとに、一時的に、毛管作用による養液移動により、液面が低下して毛管不飽和溶液領域となり、養液供給領域(毛管不飽和領域)と同様の三相構造をとる「養液貯留上部領域」が形成され、植物の根が養液貯留領域52にも伸長し、水分ストレスにも強い培地根圏環境に適応した根系が形成される。具体的には、苗の時期は3日に一度程度、真夏の高蒸散時以外は、最成長期でも1日1〜2回程度の給液回数で管理することができる。また、日射量にも依るが、春秋野菜のブロッコリー、カリフラワー、レタス、キャベツ等は標準プランターの3本仕立てで、1日1回の3L内外の給液により栽培管理が可能である。
養液栽培容器に、前記多孔質無機粒子を50%以上含む培地を適当量充填する。培地に直接、植物の種を幡種し発芽させるか、前記培地と同じ組成の培地を用い発芽させた苗を植え込むか、又は土耕栽培で発芽させた苗の根の用土を洗い落として、植え込む。例えば、65型のプランター(容積約12L)を養液栽培容器として用い、果菜類のトマトや胡瓜、茎葉類のブロッコリーやキャベツなどの苗を植える場合は、3本の苗を植え込むことが好ましい。次に、養液栽培容器の中の培地に最高養液水位まで養液を供給する。最高養液水位まで養液を供給する手段は、自由供給し、最高養液水位を超えた過剰な養液を排水する手段でもよく、最高養液水位を認識し、最高養液水位まで養液を供給する手段でもよい。養液は、水位センサーと連動した自動給水装置により、常に最高養液水位まで貯留されることもできる。また、水位計又は水位管によって水位を確認しながら手動で最高養液水位まで養液を供給してもよく、カートリッジ式養液タンクから最高養液水位まで給水してもよい。培養液の供給は培地の養液又は水が減少し、毛管作用によって移動する養水分が一定量以下になり、植物の水分ストレスとなる前に供給する必要がある。従って、一定の水位まで溶液が減少した場合に、自動的に供給するか、水位計又は水位管により養液栽培容器内の養液を確認し、供給することが好ましい。最も好ましくは、養液栽培容器の養液貯留領域52の水位が、養水分の養液供給領域51への毛管移動や蒸散等により、0〜30%になった場合に、培養液を供給し、このサイクルと繰り返す。このような培養液の供給のサイクルを繰り返すことによって、養液貯留領域(毛管飽和領域)52にも養液の供給のサイクルごとに、一時的に、毛管作用による養液移動により、液面が低下して毛管不飽和溶液領域となり、養液供給領域(毛管不飽和領域)と同様の三相構造をとる「養液貯留上部領域」が形成され、植物の根が養液貯留領域52にも伸長し、水分ストレスにも強い培地根圏環境に適応した根系が形成される。具体的には、苗の時期は3日に一度程度、真夏の高蒸散時以外は、最成長期でも1日1〜2回程度の給液回数で管理することができる。また、日射量にも依るが、春秋野菜のブロッコリー、カリフラワー、レタス、キャベツ等は標準プランターの3本仕立てで、1日1回の3L内外の給液により栽培管理が可能である。
培養液は、公知の養液栽培用の均衡培養液を用いることができる。培養液の処方としては、園試処方、山崎処方、神園処方、高野処方、静大処方、神奈川園試処、千葉農試処方、大阪農技センター処方、千葉大処方、愛知農総試志村などを挙げることができる。また、市販されている培養液を用いることも可能であり、大塚化学(粉体)A処方、大塚化学(粉体)B処方、サラダ菜処方、ホウレンソウ処方、イチゴ処方、及びトマト処方、又は片山チッカリン(粉体)のキュウリ・メロン、トマト、イチゴ、ピーマン、及びレタス用など、又は多木科学(液肥)のキュウリ、メロン、シュンギク、ミツバ、レタス、コマツナ、クレソン、ピーマン、ナス、コカブ、イチゴ用などの培養液を挙げることができる。例えば、園試処方を用いる場合、水1000Lあたり、KNO3を808gと、Ca(NO3)2・4H2Oを944gと、MgSO4・7H2Oを492gと、NH4H2PO4を152gとを溶解させた溶液に所定の微量要素を添加し、培養液として用いることができる。これらの培養液を、植物の種類、育成ステージ、成長状態及び気候条件に合わせて、1〜1/4の濃度に希釈して、給液することによって植物を栽培することができる。また、夏季の高温の露地栽培では、一般に蒸発散量は通常の栽培時の2〜3倍に達するので、培地の乾燥状態を見て、給水を実施することが好ましい。
湛液水耕栽培では、根が直接培養液に入っているために、培養液の管理が重要であり、例えば、植物ごとに専用の培養液を用いる。また、レキ耕栽培やロックウール耕栽培においても、培養液の管理は重要である。しかしながら、本発明の栽培方法において使用することのできる培養液は、特に厳密に組成を管理する必要が無く、また、栽培の間に養液の組成をチェックする必要もない。従って、本発明の栽培方法においては、前記の培養液、又はそれ以外の培養液を、特別に選択する必要なく、使用することが可能である。これは、本発明方法に用いる養液栽培容器と培地を組合わせることにより、給液によって土壌に因む最適な固相、液相、及び気相の3相構造と培地の持つ独特の毛管細孔に、幅広い張力で保持される養水分を有する培地構造が達成できた為であり、このことにより、植物には、従来の養液栽培のようには養水分が高度に摂取されず、土耕栽培における散水と同じような養液補給で養液栽培を行うことが可能になった。
湛液水耕栽培では、根が直接培養液に入っているために、培養液の管理が重要であり、例えば、植物ごとに専用の培養液を用いる。また、レキ耕栽培やロックウール耕栽培においても、培養液の管理は重要である。しかしながら、本発明の栽培方法において使用することのできる培養液は、特に厳密に組成を管理する必要が無く、また、栽培の間に養液の組成をチェックする必要もない。従って、本発明の栽培方法においては、前記の培養液、又はそれ以外の培養液を、特別に選択する必要なく、使用することが可能である。これは、本発明方法に用いる養液栽培容器と培地を組合わせることにより、給液によって土壌に因む最適な固相、液相、及び気相の3相構造と培地の持つ独特の毛管細孔に、幅広い張力で保持される養水分を有する培地構造が達成できた為であり、このことにより、植物には、従来の養液栽培のようには養水分が高度に摂取されず、土耕栽培における散水と同じような養液補給で養液栽培を行うことが可能になった。
従って、養液の供給以外に、補足的に緩効性の固形肥料及び緩効性の被覆肥料を培地内に添加し、養液の供給や水の供給によって、徐々に植物に供給することもできる。例えば、緩効性の固形肥料としてマグアンプ(商品名)、エートボール(商品名)を挙げることができる。
本発明の固形培地耕用の養液栽培装置及び養液栽培方法で栽培することのできる植物は、特に限定されないが、例えば、ブロッコリー、カリフラワー、トマト、キュウリ、メロン、ナス、サヤエンドウ、キャベツ、ハクサイ、ネギ、イチゴ、ミニトマトを挙げることができる。例えば、容積が約10〜12Lの65型のプランターを養液栽培容器として用いる場合は、培地全体の保有容水量が4.5リッター程度であり、湿潤時の総重量でも、約10kg程度と軽く、移動や取扱が容易であり、春秋野菜のブロッコリー、カリフラワー、結球レタス、又はキャベツ等は3本仕立てで栽培することができる。本発明の固形培地耕用の養液栽培装置及び養液栽培方法により、秋物野菜であるブロッコリーを栽培した場合と、露地栽培によりブロッコリーを栽培した場合を比較すると、本発明の養液栽培装置及び養液栽培方法を用いた方が成長が早まり、10日〜2週間早く収穫することが可能であった。
《作用》
本発明の養液栽培装置により、従来の養液栽培と比較して効率よく植物を栽培できる理由は、完全に解明されているわけではないが、以下のように推論することができる。しかしながら、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
従来の湛液水耕では、培養液の湛液中に根を自由に伸長させる。また固形培地耕においては、高い通導性を有する培地に供給した培養液を重力移動させ、あわせて根圏に十分な酸素量を確保し、培地の水分ポテンシャルをpF1〜2前後の高いレベルに維持して、作物の養分摂取エネルギー負荷を軽減し、栽培施設内の気象環境などを制御して、潤沢な養液摂取に適応した根の伸長によって高い栽培効果を得るようにしていた。
本発明の養液栽培装置により、従来の養液栽培と比較して効率よく植物を栽培できる理由は、完全に解明されているわけではないが、以下のように推論することができる。しかしながら、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
従来の湛液水耕では、培養液の湛液中に根を自由に伸長させる。また固形培地耕においては、高い通導性を有する培地に供給した培養液を重力移動させ、あわせて根圏に十分な酸素量を確保し、培地の水分ポテンシャルをpF1〜2前後の高いレベルに維持して、作物の養分摂取エネルギー負荷を軽減し、栽培施設内の気象環境などを制御して、潤沢な養液摂取に適応した根の伸長によって高い栽培効果を得るようにしていた。
一方、本発明で利用される珪藻土焼成粒材は、珪藻土を均一な粒状にし、1000℃以上の高温で焼成して製造するセラミックス化した硬質の多孔質粒子であり、容積比重が約0.6、孔隙率が70%以上の連通細孔を有し、ケイ酸、アルミニウム、鉄が主要成分である。
従来は、土壌の透水性の改善資材として、緑化造園工事等で植栽される樹木の根鉢やゴルフ場芝植生土壌に、10%内外を混合施用することで通気性と保水性が改善されて、良好な植物の生育が得られるようになる土壌改良材である。
しかし、珪藻土焼成粒材が持つ細孔構造は、前記のように培地の水分ポテンシャルをpF1〜2前後の高いレベルに維持して、培養液を重力移動させる養液栽培には、かえって過湿や肥料塩の蓄積の要因となって、従来の養液栽培の培地としての効果が見出せなかった。ところが、本発明の養液培養装置及び養液栽培方法における、珪藻土焼成粒を主体とする培地を培地充填領域に充填し、培養液を給液して養液供給領域(毛管不飽和領域)及び養液貯留領域(毛管不飽和領域)を形成させる事で、驚くべきことに、培地充填域の植物にとって理想的な養液の供給環境が得られ、従来の養液栽培と比較しても充分に優れた植物の成長効果と収穫が可能であることがわかった。
これは、珪藻土焼成粒が特有の細孔構造を有しており、この珪藻土焼成粒を50%以上使用することにより、その空隙率と空隙となる毛細管の孔径分布に因り、重力に逆らって培地毛細管を吸水上昇して保持される養液が、植物にとって過剰な養分摂取とならない幅広い水分張力を保持した最適な培地の液相率を維持する事ができる事と、また、培地溶液の水分張力の変化が少なく、安定した自律的な毛管移動のために植物の養分摂取が、マスフローとイオン拡散による水とイオンの相関性の高い代謝依存的な形態となって、過剰な特定イオンの摂取に因る急激な培地のpHの変動が避けられると考えられる。従って、本発明の養液栽培装置及び養液栽培方法は、多孔質無機粒子、特に珪藻土焼成粒の特有の細孔構造により、培地が、吸収、保持できる培地養水分量とそのポテンシャルエネルギーを、植物の養水分摂取に最適な状態で培地に保持させ、その水理的定常性が毛管作用によって継続的に維持されるために、このような効果的な養水分の摂取の養液栽培が可能になったと思われる。
依って、本発明の養液栽培装置は、培養液の給液、透過によって、保肥能及びイオン緩衝能を具備させた土壌に因む最適な固相と液相と気相との三相構造と培地の持つ独特の毛管細孔分布による最適な範囲の水分張力で養水分が保持される毛管溶液の不飽和領域が、養液供給領域に形成される。これに対し、養液貯留領域は、浸透した培養液の毛管溶の液飽和領域となり、植物の蒸発散によって起こる液相と気相の変化に対し、培地の毛管作用により、養液栽培装置の培地充填領域全体に、気相を含めて一定の動的平衡が、自律的に維持される。例えば、1日1回などの、蒸発散量に従った一定のサイクルの給液によって、養液供給領域の植物の根は、上部に近いほど高密度な根群が伸長し、養液貯留領域に近くなるほど粗く分伎した低密度の根群となる。これは、養液貯留領域からの高さによって、培地の保水量が少なくなって行く事を意味している。
本発明の養液栽培装置で栽培した植物は、前記のような根系を伸長することによって、培地養水分が減少し養液供給領域の水ポテンシャルが低下すると、養液供給領域ばかりでなく、養液貯留領域からも吸収を行うようになり、分伎の少ない根群が養液供給領域の高密度に伸長した根系の養水分摂取を補足するようになる。このように、養液供給領域と養液貯留領域とに根密度の異なる根系が形成され、養液栽培の高い養液の吸収を行うことができる。従って、植物は乾燥し易い養液供給領域からは高密度の根群を伸長させて吸水を優先し、培地が乾燥するに従い養液貯留領域からの吸水を行うようになる。また、養液供給領域の培地が、最適な土壌の持つ三相構造と保水張力を形成することにより、高い水分ポテンシャルで保持されている溶液のマスフローと低い水分ポテンシャルで保持されている溶液のイオン拡散とになって、植物の根への養液の吸収は、培養液の濃度、PH、及び温度に対する影響を受けにくい。本発明の養液栽培装置によって形成される根系は、培地の三相構造と幅広い保水張力に培地の緩衝能もあって、培養液の濃度、pH、温度に対する適応幅が広く、多くの根圏微生物も根毛に着生することができる。実際に、豆科植物のさやえんどうの栽培では、根粒菌の着生も目視で確認できている。また、培地の微生物叢を含めた緩衝能の効果もあり、従来の培養液の組成や濃度の管理の指標とするECやpHの管理の必要が無く、活発な成長に伴う蒸発散に合わせた水とイオンの摂取に相関させた養液供給の栽培管理が可能となる。従って、厳密な養液の管理を行わなくても養液栽培を容易に行うことができる。また、露地栽培での降雨などによる適時な清水の培地内の透過は、培地を固化させる硫酸カルシュムなどの過剰な塩類の除去効果となっている。
従来は、土壌の透水性の改善資材として、緑化造園工事等で植栽される樹木の根鉢やゴルフ場芝植生土壌に、10%内外を混合施用することで通気性と保水性が改善されて、良好な植物の生育が得られるようになる土壌改良材である。
しかし、珪藻土焼成粒材が持つ細孔構造は、前記のように培地の水分ポテンシャルをpF1〜2前後の高いレベルに維持して、培養液を重力移動させる養液栽培には、かえって過湿や肥料塩の蓄積の要因となって、従来の養液栽培の培地としての効果が見出せなかった。ところが、本発明の養液培養装置及び養液栽培方法における、珪藻土焼成粒を主体とする培地を培地充填領域に充填し、培養液を給液して養液供給領域(毛管不飽和領域)及び養液貯留領域(毛管不飽和領域)を形成させる事で、驚くべきことに、培地充填域の植物にとって理想的な養液の供給環境が得られ、従来の養液栽培と比較しても充分に優れた植物の成長効果と収穫が可能であることがわかった。
これは、珪藻土焼成粒が特有の細孔構造を有しており、この珪藻土焼成粒を50%以上使用することにより、その空隙率と空隙となる毛細管の孔径分布に因り、重力に逆らって培地毛細管を吸水上昇して保持される養液が、植物にとって過剰な養分摂取とならない幅広い水分張力を保持した最適な培地の液相率を維持する事ができる事と、また、培地溶液の水分張力の変化が少なく、安定した自律的な毛管移動のために植物の養分摂取が、マスフローとイオン拡散による水とイオンの相関性の高い代謝依存的な形態となって、過剰な特定イオンの摂取に因る急激な培地のpHの変動が避けられると考えられる。従って、本発明の養液栽培装置及び養液栽培方法は、多孔質無機粒子、特に珪藻土焼成粒の特有の細孔構造により、培地が、吸収、保持できる培地養水分量とそのポテンシャルエネルギーを、植物の養水分摂取に最適な状態で培地に保持させ、その水理的定常性が毛管作用によって継続的に維持されるために、このような効果的な養水分の摂取の養液栽培が可能になったと思われる。
依って、本発明の養液栽培装置は、培養液の給液、透過によって、保肥能及びイオン緩衝能を具備させた土壌に因む最適な固相と液相と気相との三相構造と培地の持つ独特の毛管細孔分布による最適な範囲の水分張力で養水分が保持される毛管溶液の不飽和領域が、養液供給領域に形成される。これに対し、養液貯留領域は、浸透した培養液の毛管溶の液飽和領域となり、植物の蒸発散によって起こる液相と気相の変化に対し、培地の毛管作用により、養液栽培装置の培地充填領域全体に、気相を含めて一定の動的平衡が、自律的に維持される。例えば、1日1回などの、蒸発散量に従った一定のサイクルの給液によって、養液供給領域の植物の根は、上部に近いほど高密度な根群が伸長し、養液貯留領域に近くなるほど粗く分伎した低密度の根群となる。これは、養液貯留領域からの高さによって、培地の保水量が少なくなって行く事を意味している。
本発明の養液栽培装置で栽培した植物は、前記のような根系を伸長することによって、培地養水分が減少し養液供給領域の水ポテンシャルが低下すると、養液供給領域ばかりでなく、養液貯留領域からも吸収を行うようになり、分伎の少ない根群が養液供給領域の高密度に伸長した根系の養水分摂取を補足するようになる。このように、養液供給領域と養液貯留領域とに根密度の異なる根系が形成され、養液栽培の高い養液の吸収を行うことができる。従って、植物は乾燥し易い養液供給領域からは高密度の根群を伸長させて吸水を優先し、培地が乾燥するに従い養液貯留領域からの吸水を行うようになる。また、養液供給領域の培地が、最適な土壌の持つ三相構造と保水張力を形成することにより、高い水分ポテンシャルで保持されている溶液のマスフローと低い水分ポテンシャルで保持されている溶液のイオン拡散とになって、植物の根への養液の吸収は、培養液の濃度、PH、及び温度に対する影響を受けにくい。本発明の養液栽培装置によって形成される根系は、培地の三相構造と幅広い保水張力に培地の緩衝能もあって、培養液の濃度、pH、温度に対する適応幅が広く、多くの根圏微生物も根毛に着生することができる。実際に、豆科植物のさやえんどうの栽培では、根粒菌の着生も目視で確認できている。また、培地の微生物叢を含めた緩衝能の効果もあり、従来の培養液の組成や濃度の管理の指標とするECやpHの管理の必要が無く、活発な成長に伴う蒸発散に合わせた水とイオンの摂取に相関させた養液供給の栽培管理が可能となる。従って、厳密な養液の管理を行わなくても養液栽培を容易に行うことができる。また、露地栽培での降雨などによる適時な清水の培地内の透過は、培地を固化させる硫酸カルシュムなどの過剰な塩類の除去効果となっている。
以下に実施例及び比較例を示し本発明の具体的な説明を行うが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1》
本実施例1では、前記態様(A)の本発明の養液栽培装置を用いてブロッコリーの栽培を行った。
まず、650型(65型)のプランター(650mmx220mmx185mm)を2つ用意し、外側容器と内側容器として使用した。1つのプランターを70mmの高さで切断し、底面の排水孔を塞ぎ、内側容器として用いた。切断した内側容器のプランターを、もうひとつの外側容器のプランターの内部に設置し、養液栽培容器とした。浮子式水位計を養液栽培容器の端部に立て、培地を養液栽培容器の高さの90%まで充填した。培地は、2mmの粒径のイソライトCG(イソライト工業株式会社)85%と3〜5mmの粒径のモルデナイト系粒(日東ゼオライト工業株式会社)15%とを混合したものを用いた。この培地に、ブロッコリーの苗を3株植え込んだ。苗は、2mmの粒径のイソライトCGを、市販セルトレイに充填し、種を幡種し発芽させたものを用い、培地と一緒に植え込んだ。
本実施例1では、前記態様(A)の本発明の養液栽培装置を用いてブロッコリーの栽培を行った。
まず、650型(65型)のプランター(650mmx220mmx185mm)を2つ用意し、外側容器と内側容器として使用した。1つのプランターを70mmの高さで切断し、底面の排水孔を塞ぎ、内側容器として用いた。切断した内側容器のプランターを、もうひとつの外側容器のプランターの内部に設置し、養液栽培容器とした。浮子式水位計を養液栽培容器の端部に立て、培地を養液栽培容器の高さの90%まで充填した。培地は、2mmの粒径のイソライトCG(イソライト工業株式会社)85%と3〜5mmの粒径のモルデナイト系粒(日東ゼオライト工業株式会社)15%とを混合したものを用いた。この培地に、ブロッコリーの苗を3株植え込んだ。苗は、2mmの粒径のイソライトCGを、市販セルトレイに充填し、種を幡種し発芽させたものを用い、培地と一緒に植え込んだ。
養液は、窒素、リン酸、カリ成分(10−8−27の養液栽培肥料)ウォーターファーム1号(清和肥料工業株式会社)微量要素入りと硝酸石灰(Ca(NO3)2・4H2O)を用い、園試処方に従い、溶解調製した。この培養液を1倍〜1/4倍程度に希釈し、養液最高水位まで、水位計で確認しながら、培地の上面全体に散水するようにゆっくり給液した。なお、本実施例では、過剰な養液は、排水手段によって廃液されるため、特に厳密に養液最高水位まで給水することを確認する必要はない。養液の給液は、苗の間は3日に一回程度、成長期は1日一回程度行った。また、夏場の気温の高い時期は、給水も適宜行った。
2005年9月19日に苗を植え込み、12月4日に収穫可能となった。本発明の養液栽培装置を用いることにより、約70〜80日で収穫が可能であった。苗の植え込み直後(第5日)、成長期(10月11日)、及び収穫可能(12月4日)となったブロッコリーの写真を図5に示す。
《実施例2》
本実施例1では、前記態様(A)の本発明の養液栽培装置を用いてトマトの栽培を行った。2mmの粒径のイソライトCG(イソライト工業株式会社)を用いたこと、及び養液として前記均衡培養液を用いたこと以外は、実施例1の操作を繰り返した。
本実施例1では、前記態様(A)の本発明の養液栽培装置を用いてトマトの栽培を行った。2mmの粒径のイソライトCG(イソライト工業株式会社)を用いたこと、及び養液として前記均衡培養液を用いたこと以外は、実施例1の操作を繰り返した。
2005年5月23日に苗を植え込んだ。苗の植え込み直後(第7日)、成長期(6月19日)第3花房開花、及び大1花房果着色開始(7月17日)し、収穫可能となった中玉トマト(金子種苗)の「レットオーレ」の写真を図6に示す。650型(65型)のプランターと培養土を用いた土耕栽培では、4段花房で摘心しないと充分な成長が得られないが、本実施例では、10段花房まで成長させることが可能であり、充分に成長した美味しいトマトを収穫することができた。
《実施例3》
本実施例3では、前記態様(A)の本発明の養液栽培装置を用いてキュウリ(サカタ)の「四葉」の栽培を行った。6mmの粒径のイソライトCG(イソライト工業株式会社)を用いたこと以外は、実施例1の操作を繰り返した。
本実施例3では、前記態様(A)の本発明の養液栽培装置を用いてキュウリ(サカタ)の「四葉」の栽培を行った。6mmの粒径のイソライトCG(イソライト工業株式会社)を用いたこと以外は、実施例1の操作を繰り返した。
2005年4月29日に幡種した。苗の時期(5月23日)、成長期(6月23日)、及び収穫可能(7月15日)となったキュウリの写真を図7に示す。
《実施例4》
本実施例4では、前記態様(A)の本発明の養液栽培装置を用いてカリフラワーの栽培を行った。イソライトCG(イソライト工業株式会社)を90%用い、モルデナイト系粒(日東ゼオライト工業株式会社)を10%用いたこと以外は、実施例1の操作を繰り返した。
本実施例4では、前記態様(A)の本発明の養液栽培装置を用いてカリフラワーの栽培を行った。イソライトCG(イソライト工業株式会社)を90%用い、モルデナイト系粒(日東ゼオライト工業株式会社)を10%用いたこと以外は、実施例1の操作を繰り返した。
2005年9月9日に苗を植え込んだ。苗の植え込み直後(第5日)、成長期(10月13日)、及び収穫可能(11月17日)となったカリフラワーの写真を図8に示す。
《実施例5》
本実施例5では、前記態様(A)の本発明の養液栽培装置を用いてイチゴの栽培を行った。イソライトCG(イソライト工業株式会社)を90%用い、モルデナイト系粒(日東ゼオライト工業株式会社)を10%用いたこと以外は、実施例1の操作を繰り返した。
本実施例5では、前記態様(A)の本発明の養液栽培装置を用いてイチゴの栽培を行った。イソライトCG(イソライト工業株式会社)を90%用い、モルデナイト系粒(日東ゼオライト工業株式会社)を10%用いたこと以外は、実施例1の操作を繰り返した。
2005年9月19日に苗を植え込んだ。苗の植え込み直後(9月19日)、成長期(11月23日)、及び収穫可能(2006年5月20日)となったイチゴの写真を図9に示す。
《実施例6》
本実施例6では、前記態様(A)の本発明の養液栽培装置を用いてオクラ、キャベツ、ナス、ピーマン、レタス、絹さやエンドウ、ハクサイ、ミニトマト、葉ネギの栽培を行った。イソライトCG(イソライト工業株式会社)を90%用い、モルデナイト系粒(日東ゼオライト工業株式会社)を10%用いたこと以外は、実施例1の操作を繰り返し、土耕栽培以上の収穫を得ることができた。
本実施例6では、前記態様(A)の本発明の養液栽培装置を用いてオクラ、キャベツ、ナス、ピーマン、レタス、絹さやエンドウ、ハクサイ、ミニトマト、葉ネギの栽培を行った。イソライトCG(イソライト工業株式会社)を90%用い、モルデナイト系粒(日東ゼオライト工業株式会社)を10%用いたこと以外は、実施例1の操作を繰り返し、土耕栽培以上の収穫を得ることができた。
《実施例7》
本実施例7では、前記態様(B)の本発明の養液栽培装置を用いてオクラの栽培を行った。
65型のプランター(650mmx220mmx185mm)を用意し、底部測面の排水孔をパッキン付き螺子で塞ぎ、プランターの側面に、排水通気孔及び通気孔を設けた。排水通気孔は底面から70mmの高さの位置に、直径3mmの排水孔を約5cm間隔にキリを用いて、養液栽培装置の周囲にわたり33個設けた。また、通気孔は、底面から約120mmの位置に、直径3mmの通気孔を約10cm間隔にキリを用いて、養液栽培装置の周囲にわたり10個設けた。浮子式水位計を養液栽培容器の端部に立て、培地を養液栽培容器の高さの90%まで充填した。培地は、2mmの粒径のイソライトCG(イソライト工業株式会社)85%と3〜5mmの粒径のモルデナイト系粒(日東ゼオライト工業株式会社)15%とを混合したものを用いた。この培地に、オクラの苗を3株植え込んだ。苗は、2mmの粒径のイソライトCGを、市販セルトレイに充填し、種を幡種し発芽させたものを用い、2007年5月20日に培地と一緒に植え込んだ。
本実施例7では、前記態様(B)の本発明の養液栽培装置を用いてオクラの栽培を行った。
65型のプランター(650mmx220mmx185mm)を用意し、底部測面の排水孔をパッキン付き螺子で塞ぎ、プランターの側面に、排水通気孔及び通気孔を設けた。排水通気孔は底面から70mmの高さの位置に、直径3mmの排水孔を約5cm間隔にキリを用いて、養液栽培装置の周囲にわたり33個設けた。また、通気孔は、底面から約120mmの位置に、直径3mmの通気孔を約10cm間隔にキリを用いて、養液栽培装置の周囲にわたり10個設けた。浮子式水位計を養液栽培容器の端部に立て、培地を養液栽培容器の高さの90%まで充填した。培地は、2mmの粒径のイソライトCG(イソライト工業株式会社)85%と3〜5mmの粒径のモルデナイト系粒(日東ゼオライト工業株式会社)15%とを混合したものを用いた。この培地に、オクラの苗を3株植え込んだ。苗は、2mmの粒径のイソライトCGを、市販セルトレイに充填し、種を幡種し発芽させたものを用い、2007年5月20日に培地と一緒に植え込んだ。
なお、比較のために前記態様(A)の栽培容器と並べて栽培を開始した。苗の植え込み後(第35日)2007年6月25日の比較写真及び成長しての収穫中期(7月27日及び9月4日)、の比較写真を図16に示す。各写真の左が態様(A)の養液栽培容器を用いたものであり、右が態様(B)の養液栽培容器を用いたものである。いずれも、土耕栽培以上の収穫を得ることができた。
本発明の養液栽培装置により、商業用の本格的な養液栽培においても、安価な費用及び簡易な管理により、従来の養液栽培と同等の効果を得ることができ、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、結球レタス、ハクサイ、トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、メロン、サヤエンドウ、いんげん、葉ネギ、イチゴ、ミニトマトなどを栽培することができる。また、家庭園芸用の養液栽培においても、プランターや植木鉢などの栽培容器を利用し、養液の供給を土耕栽培における灌水と同じように行うことで、植物を栽培することが可能な養液栽培装置を提供することができる。更に、本発明の養液栽培装置は雨水が浸入する露地栽培においても、使用することが可能であり、商業用の本格的な養液栽培においても、家庭園芸用の養液栽培においても、本格的な植物の栽培が可能である。
1・・・養液栽培容器;
11・・・養液栽培容器の底面
12・・・養液栽培容器の上縁
13・・・通気孔
14・・・有孔通気構造物通気孔
15・・・通気チューブ通気孔
16・・・通気チューブ
17・・・有孔通気構造物
18・・・ネット状シート
2・・・外側容器;
21・・・外側容器の上縁
22・・・排水孔;
23・・・排水通気孔
3・・・内側貯留容器;
31・・・内側貯留容器の内側底面;
32・・・内側貯留容器の上縁
4・・・間隙;
5・・・培地充填領域;
51・・・養液供給領域;
52・・・養液貯留領域;
53・・・最高養液水位;
54・・・浮子式水位計
55・・・養液貯留上部領域
6・・・外側貯留容器
61・・・外側貯留容器の上縁
7・・・内側容器
71・・・内側底面
72・・・内側容器の上縁
8・・・外部水位計
81・・・水位計連結管
9・・・外部カートリッジ
91・・・培養液;
92・・・カートリッジ式養液タンク;
93・・・給液皿;
94・・・液面;
95・・・カートリッジ連結管。
96・・・珪藻土焼成粒
97・・・ゼオライト粒。
11・・・養液栽培容器の底面
12・・・養液栽培容器の上縁
13・・・通気孔
14・・・有孔通気構造物通気孔
15・・・通気チューブ通気孔
16・・・通気チューブ
17・・・有孔通気構造物
18・・・ネット状シート
2・・・外側容器;
21・・・外側容器の上縁
22・・・排水孔;
23・・・排水通気孔
3・・・内側貯留容器;
31・・・内側貯留容器の内側底面;
32・・・内側貯留容器の上縁
4・・・間隙;
5・・・培地充填領域;
51・・・養液供給領域;
52・・・養液貯留領域;
53・・・最高養液水位;
54・・・浮子式水位計
55・・・養液貯留上部領域
6・・・外側貯留容器
61・・・外側貯留容器の上縁
7・・・内側容器
71・・・内側底面
72・・・内側容器の上縁
8・・・外部水位計
81・・・水位計連結管
9・・・外部カートリッジ
91・・・培養液;
92・・・カートリッジ式養液タンク;
93・・・給液皿;
94・・・液面;
95・・・カートリッジ連結管。
96・・・珪藻土焼成粒
97・・・ゼオライト粒。
Claims (15)
- 養液供給領域及び養液貯留領域を含む培地充填領域を有する養液栽培容器、並びに培地を含む固形培地耕用の養液栽培装置であって、前記養液栽培容器が、養液の液面が養液貯留領域の最高養液水位を超えず維持するための手段を有し、前記培地が養液を養液貯留領域から養液供給領域に、動的平衡に基づく毛管作用によって移動させることのできる多孔質無機粒子を50容量%以上含む培地である、固形培地耕用の養液栽培装置。
- 前記多孔質無機粒子が、連通孔である一次細孔を有し、前記一次細孔の直径分布が、少なくとも0.1〜2μmの範囲を含む、請求項1に記載の養液栽培装置。
- 前記多孔質無機粒子が、珪藻土焼成粒である、請求項1又は2に記載の養液栽培装置。
- 前記培地が陽イオン交換容量を有する結晶二次粘土鉱物粒を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の養液栽培装置。
- 前記養液栽培容器が、前記最高養液水位より上方の培地充填領域に空気を供給する通気手段を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の養液栽培装置。
- 前記養液供給領域の深さが3cm以上であり、養液貯留領域の容量が、養液供給領域の容量の10容量%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の養液栽培装置。
- 前記通気手段が、養液栽培容器の最高養液水位以上の上方の側面に設けた通気孔である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の養液栽培装置。
- 前記最高養液水位を維持するための手段が、前記最高養液水位の高さに設けた排水通気孔である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の養液栽培装置。
- 前記養液栽培容器が、
(a)最高養液水位より高い外側容器、及び
(b)外側容器の内側に位置し、外側容器との間に間隙を有し、最高養液水位の高さの内側容器を含み、前記外側容器が、最高養液水位より下方に排水孔を有し、前記最高養液水位を維持するための手段が外側容器と内側容器との間隙及び排水孔によって構成される排水手段である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の養液栽培装置。 - 前記養液栽培容器が、
(a)最高養液水位の高さの外側容器、及び
(b)最高養液水位より高く、外側容器の内側に位置し、外側容器との間に間隙を有する内側容器を含み、前記内側容器が最高養液水位より下方に排水孔を有し、前記最高養液水位を維持するための手段が内側容器の排水孔及び内側容器と外側容器との間隙によって構成される排水手段である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の養液栽培装置。 - 養液供給領域及び養液貯留領域を含む培地充填領域を有し、養液の液面が養液貯留領域の最高溶液水位を超えず維持するための手段を有する養液栽培容器、及び動的平衡性に基づく毛管作用によって、培地の養液貯留領域から養液供給領域に、養液を移動させることができる多孔質無機粒子を50容量%以上含む培地を含む、固形培地耕用の養液栽培キット。
- 養液供給領域及びその下方の養液貯留領域を含む培地充填領域に、培地を充填し、養液貯留領域の最高水位以下に養液を供給することによって、培地充填領域に植栽した植物を栽培する固形培地耕用の養液栽培方法であって、前記培地が培地の動的平衡性に基づく毛管作用によって、養液を養液貯留領域から養液供給領域に養液を移動させることのできる多孔質無機粒子を50容量%以上含むことを特徴とする、前記固形培地耕用の養液栽培方法。
- 前記多孔質無機粒子が、連通孔である一次細孔を有し、前記一次細孔の直径分布が、少なくとも0.1〜2μmの範囲を含む、請求項12に記載の固形培地耕用の養液栽培方法。
- 前記多孔質無機粒子が珪藻土焼成粒である、請求項12又は13に記載の前記固形培地耕用の養液栽培方法。
- 前記培地が、陽イオン交換容量を有する結晶二次粘土鉱物粒を含む、請求項12〜14のいずれか一項に記載の、前記固形培地耕用の養液栽培方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007267885A JP2008178387A (ja) | 2006-12-26 | 2007-10-15 | 固形培地耕用の養液栽培装置及び養液栽培方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006350158 | 2006-12-26 | ||
JP2007267885A JP2008178387A (ja) | 2006-12-26 | 2007-10-15 | 固形培地耕用の養液栽培装置及び養液栽培方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008178387A true JP2008178387A (ja) | 2008-08-07 |
Family
ID=39722784
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007267885A Pending JP2008178387A (ja) | 2006-12-26 | 2007-10-15 | 固形培地耕用の養液栽培装置及び養液栽培方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008178387A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR200455667Y1 (ko) | 2011-06-28 | 2011-09-22 | 사혜령 | 자동 급배수 장치가 설치된 화분 |
WO2012133199A1 (ja) * | 2011-03-30 | 2012-10-04 | シャープ株式会社 | 植物栽培器 |
ES2544356R1 (es) * | 2014-02-28 | 2015-09-16 | Jose Manuel CABERO DIEGUEZ | Maceta con sifon de riego. |
EP2939525A4 (en) * | 2012-12-28 | 2016-08-17 | Toyo Tire & Rubber Co | ARTIFICIAL SOIL AGGREGATES AND ARTIFICIAL SOIL SUBSTRATE |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0255550U (ja) * | 1988-10-14 | 1990-04-23 | ||
JPH0260554U (ja) * | 1988-10-24 | 1990-05-02 | ||
JPH02138926A (ja) * | 1988-11-19 | 1990-05-28 | Shigeto Kimura | 植物栽培装置および栽培方法並びに栽培管理装置 |
JPH07115859A (ja) * | 1993-10-26 | 1995-05-09 | Ohbayashi Corp | 人工植栽用コンテナ及びその連続敷設方法 |
JP3056097U (ja) * | 1998-07-23 | 1999-02-02 | イソライト工業株式会社 | 植栽用連接状通気管 |
JP2001161159A (ja) * | 1999-12-07 | 2001-06-19 | Tetra Co Ltd | 緑化構造物及び構造物の緑化方法 |
JP2005224211A (ja) * | 2004-02-16 | 2005-08-25 | Chiba Hiroko | プランターと水耕式植栽法 |
JP2006217816A (ja) * | 2005-02-08 | 2006-08-24 | Katakura Chikkarin Co Ltd | 機械定植用育苗培土 |
-
2007
- 2007-10-15 JP JP2007267885A patent/JP2008178387A/ja active Pending
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0255550U (ja) * | 1988-10-14 | 1990-04-23 | ||
JPH0260554U (ja) * | 1988-10-24 | 1990-05-02 | ||
JPH02138926A (ja) * | 1988-11-19 | 1990-05-28 | Shigeto Kimura | 植物栽培装置および栽培方法並びに栽培管理装置 |
JPH07115859A (ja) * | 1993-10-26 | 1995-05-09 | Ohbayashi Corp | 人工植栽用コンテナ及びその連続敷設方法 |
JP3056097U (ja) * | 1998-07-23 | 1999-02-02 | イソライト工業株式会社 | 植栽用連接状通気管 |
JP2001161159A (ja) * | 1999-12-07 | 2001-06-19 | Tetra Co Ltd | 緑化構造物及び構造物の緑化方法 |
JP2005224211A (ja) * | 2004-02-16 | 2005-08-25 | Chiba Hiroko | プランターと水耕式植栽法 |
JP2006217816A (ja) * | 2005-02-08 | 2006-08-24 | Katakura Chikkarin Co Ltd | 機械定植用育苗培土 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012133199A1 (ja) * | 2011-03-30 | 2012-10-04 | シャープ株式会社 | 植物栽培器 |
KR200455667Y1 (ko) | 2011-06-28 | 2011-09-22 | 사혜령 | 자동 급배수 장치가 설치된 화분 |
EP2939525A4 (en) * | 2012-12-28 | 2016-08-17 | Toyo Tire & Rubber Co | ARTIFICIAL SOIL AGGREGATES AND ARTIFICIAL SOIL SUBSTRATE |
ES2544356R1 (es) * | 2014-02-28 | 2015-09-16 | Jose Manuel CABERO DIEGUEZ | Maceta con sifon de riego. |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Savvas et al. | Application of soilless culture technologies in the modern greenhouse industry—A review | |
Hussain et al. | A review on the science of growing crops without soil (soilless culture)-a novel alternative for growing crops | |
CN102498889B (zh) | 植物栽培系统 | |
US8122642B1 (en) | Horticultural growth medium | |
US7836632B2 (en) | Plant-cultivating container and plant-cultivating method | |
Waiba et al. | Soil-less vegetable cultivation: A review | |
Kratky | Three non-circulating hydroponic methods for growing lettuce | |
Vartanyan et al. | Increase of Soil Moisture Content by Applying Polymer-Mineral Material | |
JP2008178387A (ja) | 固形培地耕用の養液栽培装置及び養液栽培方法 | |
Rodríguez-Delfín et al. | Soil based and simplified hydroponics rooftop gardens | |
Goswami et al. | Soil-less culture (hydroponics)—A review | |
US20150216129A1 (en) | Planting sponge and method for manufacturing the same | |
JPH08294335A (ja) | 湛水式養液栽培装置 | |
JP5638992B2 (ja) | もみ殻ともみ殻くん炭の混合培地を使用した栽培方法 | |
Benko et al. | Hydroponic Production Systems in Greenhouses | |
Jagtap et al. | Present status and future prospective of hydroponics technique: hope and hype for future welfare | |
JP2002253054A (ja) | 植物栽培用装置及びこの装置を使用した植物栽培方法 | |
Bhullar et al. | Design and evaluation of wick type and recirculation type substrate hydroponic systems for greenhouse tomatoes. | |
JP7373467B2 (ja) | 植物栽培方法 | |
Lichty et al. | Substrates affect irrigation frequency and plant growth of potted orchids | |
JP5627971B2 (ja) | 容器栽培培地 | |
Nisar et al. | Chapter-7 Prospectus of Soilless Culture in Vegetable Crops | |
Verma | Soilless Cultivation Techniques in Protected Structures | |
Morgan | Substrate-based Hydroponic Systems. | |
Agrawal | Development and performance evaluation of hydroponic systems with different media and irrigation methods |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100805 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120316 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120501 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20121009 |