WO2014068783A1

WO2014068783A1 - モノレール分岐装置

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Publication number: WO2014068783A1
Application number: PCT/JP2012/078607
Authority: WO
Inventors: 政尚粟
Original assignee: 株式会社日立製作所
Priority date: 2012-11-05
Filing date: 2012-11-05
Publication date: 2014-05-08
Also published as: PH12015500926A1; BR112015009620A2

Abstract

　車両走行時の撓みを抑え、且つ、桁構造の簡素化を図ったモノレール分岐装置を提供する。　直線状態及び曲線状態に進路を切り換えるモノレール分岐装置において、該モノレール分岐装置は、直線移動桁（１１）と、円弧上の曲線移動桁（１２）とからなり、直線移動桁（１１）及び曲線移動桁（１２）は、一方の端部に回転中心となる台車（２１ａ）、（２１ｄ）を設置し、もう一方の端部及び中間部には、移動可能な移動支持台車（２１ｂ）、（２１ｃ）、（２１ｅ）、（２１ｆ）を設置しており、台車（２１ｂ）、（２１ｃ）、（２１ｅ）、（２１ｆ）には、ロック受（４３ｂ）、（４３ｃ）、（４３ｅ）、（４３ｆ）を設置しており、地上側の、直線状態の台車位置と、曲線状態の台車位置の中間位置に、固定装置（４１ａ）、（４１ｂ）を設置し、固定装置（４１ａ）、（４１ｂ）は、ロックローラ（４５）を回転移動させる動力を有し、直線状態及び曲線状態でロックローラ（４５）を回転移動させて、台車のロック受に掛け合う。

Description

モノレール分岐装置

　本発明は、モノレール分岐装置に関し、特に、一方の軌道から他方の軌道に進路の切り替える跨座型モノレール分岐装置に関するものである。

　モノレール車両が運行される軌道に供される２差分岐装置は、一方の単線軌道と、他方の複線軌道の内のいずれか軌道と、を選択的に接続する装置である。
　従来の２差分岐装置に供される分岐桁の構成には大きく分けて２種類があり、一方は、直列に配列した複数の短い桁同士をピン結合して関節式に折れ曲げることができる分岐桁を構成して、選択された進路に合わせて分岐桁の形状を直線状または曲線状に変更して進路を構成する方式である。他方は、直線分岐桁と曲線分岐桁とを準備し、両分岐桁を併設するとともに同期して移動させることによって進路を選択的に構成する方式である。

国際公開第００／５３８４８号

　一方の分岐装置は、曲線状の進路を構成した時、隣接する桁同士をピンで接続した接続部に角折れが生じる。角折れを解消するためには、桁の側面を走行するタイヤ（案内輪と安定輪）の走行面を滑らかに接続する装置が必要となり、構造が複雑になり高価になりやすい。このため、他方の分岐装置の方が、部品点数が少なく安価に構成することができる。

　特許文献１に示される他方の分岐装置は、直線分岐桁および曲線分岐桁の長手方向の両端部を台車で支持する構造となっており、直線（曲線）分岐桁の長手方向を支持する間隔（支間）が長くなる。このため、モノレール車両が直線（曲線）分岐桁を走行する時に桁の中間部が上下及び水平方向に大きく撓むことで乗り心地が劣化することが懸念される。桁の撓みを抑制するためには、桁の剛性を高くする必要があるが、モノレール車両を支持する台車の条件から、桁幅を広くすることは出来ないため、桁の内部に補強を増やす、あるいは桁を構成する鋼板の板厚を厚くする等の対策が必要となり、桁の重量が増加するととともに構造が複雑になる懸念がある。

　さらに、一体に構成された直線分岐桁と曲線分岐桁を水平面内で移動して進路を切り替えるので、各分岐桁を所定の位置に位置決めした後、各分岐桁が移動しないように保持（固定）する機構が必要となる。直線（曲線）分岐桁は一体に構成されているため重量が大きく、駆動装置のみで所定の位置に正確に位置決めすることが難しい点がある。

　本発明は、上記課題に鑑みて、モノレール車両が分岐装置を構成する直線（曲線）分岐桁を走行する時、直線（曲線）分岐桁の上下方向および左右方向の撓みを抑制するとともに、分岐装置が進路を構成する時に直線分岐桁および曲線分岐桁を所定の位置に正確に位置決めして、位置決めされた位置に各分岐桁を保持することによって、モノレール車両の乗り心地の劣化を抑制できる低コストのモノレール分岐装置を提供することを目的とする。

　上記目的を達成するため本発明は、一方の単線軌道と、他方の複線軌道の内のいずれかの軌道とを、直線移動桁または前記直線移動桁に沿って配置された円弧状の曲線移動桁のいずれかで接続するモノレール分岐装置であって、前記モノレール分岐装置は、前記直線移動桁および前記曲線移動桁の長手方向の両端部と中央部とを支持する台車と、前記直線移動桁と前記曲線移動桁とを連結する連結軸と、前記直線移動桁または前記曲線移動桁での前記接続を切り替える駆動装置と、前記台車を固定する固定装置と、を有し、モノレール分岐装置において、前記固定装置は、鉛直面内で回動するロックアームと、前記ロックアームの先端部に備えられるロックローラとを有しており、前記台車は、前記台車の側面に、前記ロックローラが上方から押し込まれるロック受とを有すること、を特徴とする。

　本発明により、上記課題に鑑みて、モノレール車両が分岐装置を構成する直線（曲線）分岐桁を走行する時、直線（曲線）分岐桁の上下方向および左右方向の撓みを抑制するとともに、分岐装置が進路を構成する時に直線分岐桁および曲線分岐桁を所定の位置に正確に位置決めして、位置決めされた位置に各分岐桁を保持することによって、モノレール車両の乗り心地の劣化を抑制できる低コストのモノレール分岐装置を提供することができる。

図１は、本発明のモノレール分岐装置が直線移動桁で進路を構成した状態の平面図である。図２は、本発明のモノレール分岐装置の曲線移動桁で進路を構成した状態の平面図である。図３は、本発明のモノレール分岐装置の直線（曲線）移動桁の側面図である。図４は、本発明のモノレール分岐装置における台車の拡大図である。図５は、本発明のモノレール分岐装置における移動桁接続部の拡大図である。図６は、本発明のモノレール分岐装置における固定装置の解錠状態の側面図である。図７は、本発明のモノレール分岐装置における固定装置の鎖錠状態の側面図である。図８は、本発明のモノレール分岐装置における固定装置の平面図である。図９は、本発明のモノレール分岐装置における曲線移動桁の水平荷重を支持する支持装置を備える分岐桁接続部の拡大図である。図１０は、本発明のモノレール分岐装置における曲線移動桁の水平荷重を支持する支持装置を備える分岐桁接続部の断面図である。

　以下、本発明に関わる分岐装置の実施形態を図面に従って説明する。

　図１は、本発明のモノレール分岐装置の直線移動桁で進路を構成した状態の平面図である。図２は、本発明のモノレール分岐装置の曲線移動桁で進路を構成した状態の平面図である。図３は、本発明のモノレール分岐装置の直線（曲線）移動桁の側面図である。

　図１～図３に示すモノレール分岐装置は、一方の単線軌道（固定桁１を含む軌道）と、他方の複線軌道（固定桁２を含む軌道と固定桁３を含む軌道）の内のいずれかの軌道と、を選択的に接続する装置である。
　図１は、直線移動桁が選択されて固定桁１と固定桁２とを接続する直線状の進路が構成された状態の平面図である。図２は、曲線移動桁が選択されて固定桁１と固定桁３とを接続する曲線状の進路が構成された状態の平面図である。

　直線移動桁１１は、桁１１ａと桁１１ｂを直列に接続して構成されており、同様に、曲線移動桁１２は桁１２ａと桁１２ｂを直列に接続して構成されている。
　直線移動桁１１の長手方向の一方の端部は台車２１ａ（固定桁２に隣接する部位）に、他方の端部は台車２１ｃに支持されており、直線移動桁１１の長手方向の中央部（桁１１ａと桁１１ｂとの接続部）は台車２１ｂに支持される。
　同様に、曲線移動桁１２の長手方向の一方の端部は台車２１ｄ（固定桁３に隣接する部位）に、他方の端部は台車２１ｆに支持されており、曲線移動桁１２の長手方向の中央部（桁１２ａと桁１２ｂとの接続部）は台車２１ｅに支持されている。

　直線移動桁１１は、一方の端部を支持する台車２１ａを回転中心として、その長手方向の中央部を支持する台車２１ｂと、他方の端部を支持する台車２１ｃと、によって、水平面内で回転移動できる。なお、台車２１ａは固定桁２の端部の近傍に設置され、台車２１ｃは固定桁１の近傍に設置されている。台車２１ｂは、直線移動桁１１の長手方向に交差する態様で設置されているレール３１ａ上を切り替え方向に移動し、同様に、台車２１ｃはレール３２ｂ上を切り替え方向に移動する。

　同様に、曲線移動桁１２は、一方の端部を支持する台車２１ｄを回転中心として、その長手方向の中央部を支持する台車２１ｅと、他方の端部を支持する台車２１ｆと、によって、水平面内で回転移動できる。なお、台車２１ｄは固定桁３の端部の近傍に設置され、台車２１ｆは固定桁１の近傍に設置されている。台車２１ｅは、曲線移動桁１２の長手方向に交差する態様で設置されているレール３１ａ上を切り替え方向に移動し、同様に、台車２１ｆはレール３２ｂ上を切り替え方向に移動する。

　直線移動桁１１の他方の端部と曲線移動桁１２の他方の端部とは連結軸６１によって接続されており、直線移動桁１１にはモノレール車両の進路を切り替える駆動装置が接続されている。駆動装置によって直線移動桁１１が切り替えると、直線移動桁１１に連結軸６１によって接続されている曲線移動桁１２も同期して切り替えられる。

　直線移動桁１１および曲線移動桁１２は、運搬性や施工性を高めるために、複数の桁に分割された分割構造を採用しており、各桁は現場に搬入された後に接続されて直線移動桁１１および曲線移動桁１２に組み立てられる。
　本実施例の直線移動桁１１（曲線移動桁１２）は、２つの桁からなる２分割構造を例示しているが、桁の数は限定されず３つの桁あるいはそれ以上の桁からなる分割構造としても良い。

　直線移動桁１１および曲線移動桁１２は、駆動装置により回転移動されて、固定桁１と固定桁２とを接続する直線状態と、固定桁１と固定桁３を接続する曲線状態とを切り替えできる。
　直線移動桁１１および曲線移動桁１２を水平面内に回動してモノレール車両の進路を切り替える分岐装置は、地上側に設置されたギアモータ５３と、ギアモータ５３に接続される減速機５２と、減速機５２の出力軸に接続されるとともに水平面内で旋回するアーム５４と、アーム５４の先端に取り付けられるとともに桁１１ｂの下面に備えられるアームガイド５１に係合するローラ５５と、から構成される。

　アーム５４の先端部に備えられるローラ５５が、直線移動桁１１を構成する桁１１ｂの下面に備えられるアームガイド５１に係合されているので、駆動装置のアーム５４が水平面内で旋回すると、ローラ５５がアームガイド５１の側壁を押しながらアームガイド５１に沿って案内されることによって、直線移動桁１１が移動して、任意の進路に切り替えられる。

　例えば、直線移動桁１１が図１から図２の状態に切り替えるときは、ギアモータ５３からの動力は、アーム５４に伝えられ、アーム５４が時計回りに回転する。このとき、ローラ５５は、アームガイド５１の側面を押しながらアームガイド５１内を案内されて、直線移動桁１１が図２の状態に切り替えられる。

　直線移動桁１１が切り替えられる時、直線移動桁１１に連結軸６１を介して接続されている曲線移動桁１２も直線移動桁１１の切り替え動作に同期して切り替えられる。また、図２から図１の状態に切り替えるときは、駆動装置のアーム５４を逆回転（反時計回り）させる。直線移動桁１１と曲線移動桁１２とが連結軸６１によって接続されているため、直線移動桁１１のみに切り替え動作を作用させることによって、曲線移動桁１２を同時に切り替えることができる。

　直線移動桁１１はモノレール車両が走行する際の上下荷重を支持し、曲線移動桁１２は、上下荷重に加えて、曲線移動桁１２を通過するモノレール車両に生じる遠心力に伴う水平荷重を支持する。

　上下荷重は、前述したように直線（曲線）移動桁を支持する各台車２１ａから２１ｆによって支持される。本発明による分岐装置は、曲線移動桁１２に作用する水平荷重を支持するとともに、直線移動桁１１および曲線移動桁１２の微小な最終的な位置決め（正確な位置決め）と切り替えられた各移動桁を拘束する装置である固定装置を備えている。図４～８によって、本発明による固定装置を説明する。

　図４は、本発明のモノレール分岐装置における台車の拡大図である。図５は、本発明のモノレール分岐装置における分岐桁接続部の拡大図である。図６は、本発明のモノレール分岐装置における固定装置の解錠状態の側面図である。図７は、本発明のモノレール分岐装置における固定装置の鎖錠状態の側面図である。図８は、本発明のモノレール分岐装置における固定装置の平面図である。

　図４に示すように、直線移動桁１１は、直線移動桁１１を構成する桁１１ａと桁１１ｂとの接続部において両者に担ぐ態様で台車２１ｂによって支持されており、台車２１ｂは、切り替え方向（直線移動桁１１の長手方向に交差する方向）に敷設されたレール３１ａ上を移動可能に載置されている。
　台車２１ｂの側面には、後述する固定装置４１ａ（図６参照）を構成するロックローラ４５が嵌入されて、台車２１ｂを所定の位置に位置決めした後に固定（保持）するロック受４３ｂが備えられている。

　地面側に備えられる固定装置４１ａと固定装置４１ｂ（図１参照）は、直線移動桁１１を支持する２台の台車２１ｂ、２１ｃ、または、曲線移動桁１２を支持する２台の台車２１ｅ、２１ｆのいずれかの１組の台車を位置決めして固定する。

　モノレール分岐装置が直線移動桁１１（図１の状態）から曲線移動桁１２（図２の状態）に切り替えた場合、移動する台車２１ｅの長手方向の一方の端部は、移動する前の台車２１ｂの長手方向の他方の端部が配置されていた場所に重なる位置まで移動する。
　モノレール分岐装置のコストを低減するために、台車２１ｂと台車２１ｅとを共通の固定装置４１ａで固定する。このため、各台車に備えられるととともに固定装置４１ａが係合するロック受は、上述した重なる位置に置かれる台車２１ｂの他方の端部と、台車２１ｅの一方の端部に備えられる（図８参照）。

　直線移動桁１１と曲線移動桁１２とはその長手方向の端部を中心に回動するため、台車２１ｂの他方の端部と、台車２１ｅの一方の端部とは、交差する態様で重なる。このため各ロック受は、ロック受座を介して固定装置４１ａと正対する態様で各台車に備えられる。
　正対する態様とは、固定装置４１ａのロックアーム４８が回動する鉛直面と、ロック受４３ｂ（４３ｅ）を構成する板部と、が平行に配置されることである。

　具体的には、台車２１ｂのロック受４３ｂは、ロック装置４１ａに正対する面を有す台形状のロック受座２２ｂを介して、台車２１ｂの長手方向の他方の端部の側面に備えられる。台車２１ｅに備えられるロック受４３ｅも、同様のロック受座２２ｅを介して、台車２１ｅの長手方向の一方の端部に備えられる。

　なお、直線移動桁１１を支持する台車２１ｃに備えられるロック受４３ｃと曲線移動桁１２を支持する台車２１ｆに備えられるロック受４３ｆは、モノレール分岐装置が進路を切り替えた際に、台車２１ｃと台車２１ｆは大きく移動するので、移動する台車２１ｆが移動する前の台車２１ｃが配置されていた場所に重なることはなく、台車２１ｃのロック受４３ｃの取り付け構造と、台車２１ｆのロック受４３ｆの取り付け構造とを共通の構造としても良い。

　固定装置４１ａと台車２１ｂに備えられるロック受４３ｂとの係合関係は、他の固定装置とロック受との関係と同一なので、代表として固定装置４１ａとロック受４３ｂとの構成について説明する。

　図６と図７に示すように、固定装置４１ａ（４１ｂ）は、アクチュエータ４６と、アクチュエータ４６を受ける受台４７ａと、アクチュエータ４６に接続されたロックアーム４８と、ロックアーム４８を受ける受台４７ｂと、ロックアーム４８の先端部に備えられるロックローラ４５と、から構成されている。
　ロックローラ４５は円柱状の形態をなしており、ロックアーム４８の先端部にその長手方向に沿う軸周りに回動可能に備えられている。受台４７ａは、紙面に垂直な軸線周りにアクチュエータ４６を回動可能に支持しており、同様に、受台４７ｂは、紙面に垂直な軸周りにロックアーム４８を回動可能に支持している。

　固定装置４１ａのアクチュエータ４６によって、ロックアーム４８は、鉛直面（紙面に平行な面）内で、受台４７ｂに設けられた軸周りに旋回することによって、切り替えが完了した直線移動桁１１を支持する台車２１ｂに備えられるロック受４３ｂに、ロックアーム４８の先端部に備えられるロックローラ４５を上方から押し込んで台車２１ｂを固定する。

　ロック受４３ｂ（図４と図８参照）は、台車２１ｂの側面から桁１１ａ（１１ｂ）の長手方向に沿う方向に、鉛直面内に延伸する２枚の対向する板部を有している。ロックローラ４５が押し込まれるので、ロック受４３ｂの上部は、開放されている。ロック受４３ｂの上部の幅寸法L₁（台車２１ｂの長手方向に沿う方向）は、ロックローラ４５の外径より大きく、ロック受４３ｂの下部の幅寸法L₂はロックローラ４５の外径とほぼ同じ寸法に設定されている。

　直線移動桁１１と曲線移動桁１２とを切り替える駆動装置のアーム５４の先端部に備えられるローラ５５と、直線移動桁１１を構成する桁１１ｂの下面に備えられるアームガイド５１と、の間で摩擦抵抗が大きくなったり、当接面の摩耗が著しく進行したりしないように、隙間（寸法公差の許容）が設けられている。直線移動桁１１と曲線移動桁１２とを連結する連結軸６１の接続部も同様である。
　このため、駆動装置のアーム５４の旋回によって直線移動桁１１を移動して切り替え動作を完了しても、上記の理由によって、直線移動桁１１と曲線移動桁１２とは所定の位置に正確に位置決めされない場合がある。

　このような場合であっても、固定装置４１ａのロックアーム４８を鉛直面内で上から下方向へ回動する動作と、その先端部に備えられるロックローラ４５を、上部の幅寸法を下部の幅寸法（ロックローラ４５の外径とほぼ同寸法）より大きく設定されたるロック受４３ｂ（台車２１ｂの側面に具備される）に押し込む過程において、台車２１ｂは正確な位置に移動されて直線移動桁１１は正確に位置決めされる。

　切り替えられた直線移動桁１１と曲線移動桁１２とを所定の位置に正確に位置決めすることができるので、固定桁との接続部において一連の滑らかな進路を構成することができる。特に、固定桁の側面と、直線移動桁１１および曲線移動桁１２の側面と、の間に段差が生じないので、この接続部を通過するモノレール車両を支持する台車（図示なし）が左右方向（進行方向に交差する方向）の乗り心地が劣化することを抑制できる。

　以上の作用効果は、固定装置４１ａが、曲線移動桁１２を支持する台車２１ｅに備えられるロック受４３ｅを固定する場合、および、固定装置４１ｂの、台車２１ｃ（直線移動桁１１を支持する）および台車２１ｆ（曲線移動桁１２を支持する）のロック受に対するロック動作においても同様に奏される。
　また、ロック受の上部の幅寸法をその下部の幅寸法より大きくした設定した例を上述したが、ロック受の上部の幅寸法と下部の幅寸法とが同一の場合であっても、円柱状のロックローラ４５がロック受けに押し込まれる過程で移動桁を支持する台車を所定の位置に正確に位置決することができる。

　さらに、曲線移動桁１２を支持する台車２１ｅに備えられるロック受４３ｅに嵌入された固定装置４１ａのロックアーム４８（ローラ４５）は、モノレール車両が曲線移動桁１２を通過する際に生じる遠心力に起因して曲線移動桁１２に作用する水平荷重も受け止める。このため、モノレール車両の通過に伴い曲線移動桁１２が大きく撓んだり、傾いたりすることも抑制できる。

　モノレール分岐装置が、直線移動桁１１で構成された進路（図１）から曲線移動桁１２で構成された進路（図２）に切り替える際の固定装置４１ａ、４１ｂの動作について説明する。

　図１の状態では、固定装置４１ａ、４１ｂは、図７の状態となっている。このとき、固定装置４１ａは、直線移動桁１１を支持する台車２１ｂに備えられるロック受４３ｂに係合して台車２１ｂを固定しており、固定装置４１ｂは、直線移動桁１１を支持する台車２１ｃに備えられるロック受４３ｃに係合して台車２１ｃを固定している。そして、それぞれの固定装置４１ａ、４１ｂのアクチュエータ４６を（縮める方向に）作動させることでロックアーム４８が上側へ回転して図６の状態となる。

　この後、上述した駆動装置を作動させて直線移動桁１１と曲線移動桁１２を図２の状態まで回転移動させる。このとき、台車２１ｅは固定装置４１ａの前に、台車２１ｆは固定装置４１ｂの前に、それぞれ移動する。その後、それぞれの固定装置４１ａ、４１ｂのアクチュエータ４６を（伸ばす方向に）作動させることでロックアーム４８が水平方向へ回転する。

　固定装置４１ａは、曲線移動桁１２を支持する台車２１ｅに備えられるロック受４３ｅにロックローラ４５を押し込んで、台車２１ｅを正確な位置決めするとともに固定する。固定装置４１ｂは、曲線移動桁１２を支持する台車２１ｆに備えられるロック受４３ｆにロックローラ４５を押し込んで、台車２１ｆを正確な位置に位置決めするとともに固定する。なお、図２から図１の状態に切り替えるときは、逆の順で作用させればよい。

　このよう構成にすることで、共通の固定装置を、直線状態の固定、曲線状態の固定のいずれにも使用することができる。この結果、少ない固定装置で直線（曲線）移動桁を固定することできるので、低コストのモノレール分岐装置を提供することができる。

　上記構成によって、モノレール車両が分岐装置を構成する分岐桁を走行する時、分岐桁の上下方向および左右方向の大きな撓みを抑制するとともに、分岐装置が進路を構成する時に直線路および曲線路を構成する移動桁を、所定の位置に正確且つ容易に位置決めして固定（保持）することができるので、モノレール分岐装置を通過するモノレール車両の乗り心地の劣化を抑制することができる。

　モノレール分岐装置を通過するモノレール車両によって生じる遠心力に伴う水平荷重は、特に、曲線移動桁１２の長手方向の中央部に作用する。
　図９と図１０に、曲線移動桁１２の長手方向の中央部の接続部を支持する台車２１ｅの水平荷重を支持する構造を説明する。

　図９は、本発明のモノレール分岐装置における曲線移動桁の水平荷重を支持する支持装置を備える分岐桁接続部の拡大図である。図１０は、本発明のモノレール分岐装置における曲線移動桁の水平荷重を支持する支持装置を備える分岐桁接続部の断面図である。

　通常、モノレール車両がモノレール分岐装置を走行する時に、モノレール分岐装置を構成する分岐（移動）桁に作用する水平荷重は、モノレール車両が曲線移動桁を通過する際に生じる遠心荷重に起因するものがほとんどである。このため、モノレール分岐装置に作用する水平荷重は、曲線軌道が構成された時にのみに作用すると考えてよい。このため、図９と図１０に示した水平荷重を支持する支持装置（以下、ストッパ式支持装置）は、曲線移動桁の長手方向の中間部（接続部）にのみ設けられる。

　ストッパ式支持装置は、曲線移動桁１２の長手方向の中間部の下面から垂下する態様で設置されるストッパ板７２と、このストッパ板７２の面に当接されるとともに地上側に備えられる緩衝器７１と、から構成されている。
　水平（遠心）荷重は、曲線移動桁１２の曲率中心から径方向の外側（曲率中心の反対側）の方向にのみ作用するため、ストッパ板７２の径方向の外側に緩衝器７１を配置して、水平荷重が作用した時にストッパ板７２を緩衝器７１が受け止める構成としている。

　この構成によって、モノレール分岐装置をモノレール車両が通過する時に、曲線移動桁１２に備えられるストッパ板７２が緩衝器７１によって支持されるため、曲線移動桁１２が大きく撓んだり、傾いたり、径方向に移動したりすることを抑制できる。したがって、モノレール分岐装置を構成する曲線分岐桁１２が剛性を維持できるので、これを通過するモノレール車両の乗り心地の劣化を抑制することができる。

　なお、ストッパ式支持装置は、図４から図８で説明した固定装置４１ａ（４１ｂ）が有する水平荷重を保持する機能を補助する目的で備えても良い。ストッパ式支持装置を備えた場合、固定装置４１ａ（４１ｂ）を構成するロックアーム４８を回動可能に支持する部位（受４７ｂ）の保守等を軽減できる。

　以上の様に本発明によれば、上記の如く分岐器を構成することにより、車両走行時の水平荷重及び上下荷重に対する桁の撓みを解消できる分岐器を提供することができる。

　なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、さまざまな変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

１、２、３…固定桁
１１…直線移動桁　　　　　　　　　　　　　１２…曲線移動桁
１１ａ、１１ｂ、１２ａ、１２ｂ…桁　　　　２１ａ～２１ｆ…台車
２２ａ～２２ｆ…ロック受台
３１ａ、３２ｂ…レール　　　　　　　　　　４１ａ、４１ｂ…固定装置
４３ｅ、４３ｃ、４３ｅ、４３ｆ…ロック受　４５…ロックローラ
４６…アクチュエータ　　　　　　　　　　　４７ａ、４７ｂ…受台
４８…ロックアーム　　　　　　　　　　　　５１…アームガイド
５２…減速機　　　　　　　　　　　　　　　５３…ギアモータ
５４…アーム　　　　　　　　　　　　　　　５５…ローラ
６１…連結軸　　　　　　　　　　　　　　　７１…ストッパ
７２…緩衝器

Claims

　一方の単線軌道と、他方の複線軌道の内のいずれかの軌道とを、直線移動桁または前記直線移動桁に沿って配置された円弧状の曲線移動桁のいずれかで接続するモノレール分岐装置であって、
　前記モノレール分岐装置は、
　前記直線移動桁および前記曲線移動桁の長手方向の両端部と中央部とを支持する台車と、
　前記直線移動桁と前記曲線移動桁とを連結する連結軸と、
　前記直線移動桁または前記曲線移動桁での前記接続を切り替える駆動装置と、
　前記台車を固定する固定装置と、
を有するモノレール分岐装置において、
　前記固定装置は、
　鉛直面内で回動するロックアームと、
　前記ロックアームの先端部に備えられるロックローラと
を有しており、
　前記台車は、
　前記台車の側面に、前記ロックローラが上方から押し込まれるロック受と
を有すること、
を特徴とするモノレール分岐装置。
　請求項１に記載されたモノレール分岐装置において、
　前記ロック受は、
　前記直線移動桁または前記曲線移動桁の長手方向に沿う方向に、前記側面から鉛直面内に延伸する対向する２枚の板部を有しており、
　前記台車の長手方向に沿う前記対向する２枚の板部の幅方向寸法は、
前記ロックローラの外径とほぼ等しいこと
を特徴とするモノレール分岐装置。
　請求項２に記載されたモノレール分岐装置において、
　前記台車の長手方向に沿う前記対向する２枚の板部の上部の幅寸法は、
　前記台車の長手方向に沿う前記対向する２枚の板部の下部の幅寸法より大きく設定されていること
を特徴とするモノレール分岐装置。
　請求項１に記載されたモノレール分岐装置において、
　前記直線移動桁を支持する台車は、長手方向の中央部を支持する第１台車を有し、
　前記曲線移動桁を支持する台車は、長手方向の中央部を支持する第２台車を有し、
　前記第１台車の長手方向の他方の端部に備えられる第１ロック受と、
　前記第２台車の長手方向の一方の端部に備えられる第２ロック受と、
を有しており、
　前記第１ロック受は、前記固定装置に前記第１ロック受を正対する態様で備えるための第１ロック受座を介して前記第１台車に備えられており、
　前記第２ロック受は、前記固定装置に前記第２ロック受を正対する態様で備えるための第２ロック受座を介して前記第２台車に備えられており、
　前記第１ロック受と前記第２ロック受とは、共通の前記固定装置の前記ロックローラが押し込まれること
を特徴とするモノレール分岐装置。
　請求項１に記載されたモノレール分岐装置において、
　前記直線移動桁および前記曲線移動桁は、分割された複数の桁を直列に接続した接続部を有しており、
　前記接続部が前記台車によって支持されていること
を特徴とするモノレール分岐装置。
　請求項１に記載されたモノレール分岐装置において、
　前記曲線移動桁は、
　前記曲線移動桁の長手方向の中央部の下面から下方に延伸するストッパ板を有しており、
　一方の前記単線軌道と、他方の複線軌道の内のいずれかの前記軌道とが曲線移動桁で接続された時に、前記ストッパ板に当接する緩衝器を備えること
を特徴とするモノレール分岐装置。