WO2014024669A1

WO2014024669A1 - 緩衝器

Info

Publication number: WO2014024669A1
Application number: PCT/JP2013/069858
Authority: WO
Inventors: 覚武尾
Original assignee: カヤバ工業株式会社
Priority date: 2012-08-10
Filing date: 2013-07-23
Publication date: 2014-02-13
Also published as: JP2014035048A; US20150167775A1; CN104487730B; JP5873406B2; CN104487730A; DE112013004010T5; US9574635B2

Abstract

　筒状のアウターシェル（１）とアウターシェル（１）内に摺動自在に挿入されたピストンロッド（２）とを備える緩衝器（１００）であって、ピストンロッド（２）に連結されて内部にアウターシェル（１）の進入を許容する筒状のダストカバー（３）と、一端がアウターシェル（１）に装着され他端が常時ダストカバー（３）内に配置されてピストンロッド（２）の外周を覆う筒状のベローズ（４）と、を備える。

Description

緩衝器

　本発明は、緩衝器に関する。

　緩衝器は、アウターシェルと、アウターシェル内に摺動自在に挿入されるピストンロッドとを備え、ピストンロッドがアウターシェルに対して軸方向に相対移動する際に、ピストンロッドのアウターシェルに対する相対移動を抑制する減衰力を発揮する。このような緩衝器は、たとえば、車両における車体と車軸との間や、キャビンと車体との間に介装されて使用され、減衰力の発揮によって車体やキャビン等の制振対象の振動を抑制することができる。

　このような緩衝器は、外部に露出されて使用されるため、埃、塵や泥（以下、「泥等」という）がピストンロッドに付着しやすい。ピストンロッドの外周に付着した泥等は、ピストンロッドがアウターシェル内に進入する際に、ピストンロッドの外周をシールするダストシールによって掻き落されるようになっている。しかし、泥等が乾燥しピストンロッドに強固に付着してダストシールでうまく掻き落とすことができない場合には、ダストシールの内側に設けられるオイルシールの劣化を促進させてしまう恐れがある。このため、ＪＰ２０００－８１０７１ＡやＪＰ２０１０－１７５０４３Ａに開示される緩衝器は、ピストンロッドの外周を覆うダストカバーを取り付けて泥等からピストンロッドを保護している。

　上記のようにダストカバーを備えた緩衝器の場合、ダストカバーの長さが長ければ長いほどピストンロッドへの泥等の付着を防止することができる。しかし、ダストカバーの長さを長くすると、アウターシェルの外表面に吹付け塗装する際に、ダストカバーがアウターシェルを覆ってしまい、特に、アウターシェルの上端に未塗装部分ができてしまう。このように、アウターシェルに未塗装部分ができることは、アウターシェルの防錆上の観点から好ましくない。

　したがって、ＪＰ２０００－８１０７１Ａに開示される緩衝器では、ダストカバーの全長は、最伸長時に、アウターシェルの上端をわずかに覆う程度として、未塗装部分が発生しないようにしている。しかし、このような場合では、アウターシェルとダストカバーとの間から泥等がダストカバー内に侵入しやすくなり、ピストンロッドの外周を保護する保護効果が薄くなってしまう。

　また、ＪＰ２０１０－１７５０４３Ａに開示された緩衝器では、ダストカバーの全長は、泥等の侵入を充分に抑制できる程度の長さを有している。このため、吹付け塗装については、ダストカバーを装着前に行うようにしている。しかしながら、この場合には、ピストンロッドの外周の摺動面まで塗装されてしまわないように、ピストンロッドをアウターシェル内に押し込んで緩衝器を最収縮状態に維持したうえでアウターシェルの外周を吹付け塗装するといった加工が必要となる。このような加工においては、吹付け塗装は緩衝器を機械にセットして行う必要や、ピストンロッドの外周をマスキングしてからアウターシェルを塗装するような加工が必要であり、塗装方法が複雑になる。したがって、塗装加工に手間と工数がかかるといった新たな問題が生じる。

　そこで、本発明は、ピストンロッドの外周を充分に保護でき、かつ、塗装加工性の悪化を招くことがない緩衝器を提供することを目的とする。

　本発明のある態様によれば、筒状のアウターシェルとアウターシェル内に摺動自在に挿入されたピストンロッドとを備える緩衝器であって、ピストンロッドに連結されて内部にアウターシェルの進入を許容する筒状のダストカバーと、一端がアウターシェルに装着され他端が常時ダストカバー内に配置されて前記ピストンロッドの外周を覆う筒状のベローズと、を備える。

図１は、本発明の実施形態に係る緩衝器の側面図である。図２は、本発明の実施形態の変形例に係る緩衝器の側面図である。

　以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。

　図１に示すように、本実施形態に係る緩衝器１００は、筒状のアウターシェル１と、アウターシェル１内に摺動自在なピストンロッド２と、を備える緩衝器本体Ｄと、ピストンロッド２に連結されて内部にアウターシェル１の進入を許容する筒状のダストカバー３と、一端４ａがアウターシェル１に装着され他端４ｂが常時ダストカバー３内に配置されてピストンロッド２の外周を覆う筒状のベローズ４と、を備える。

　緩衝器本体Ｄは、具体的には図示しないが、たとえば、アウターシェル１内に収容されるインナーチューブと、インナーチューブ内に摺動自在に挿入されるピストンと、一端がピストンに連結されてインナーチューブ内に移動自在に挿入されるピストンロッド２と、インナーチューブ内にピストンによって区画される伸側室と圧側室と、伸側室と圧側室とを連通する通路と、を備える。また、伸側室および圧側室には作動油等の作動流体が充満される。作動流体は、作動油以外にも、たとえば、水、水溶液といった液体を使用することもできる。

　外力によってアウターシェル１に対してピストンロッド２が軸方向に相対移動すると、換言すれば、緩衝器本体Ｄが外力によって伸縮すると、ピストンがピストンロッド２とともに軸方向に移動してインナーチューブ内の伸側室或いは圧側室を圧縮し、伸側室と圧側室の圧力に差圧が生じる。この差圧をピストンで受けることにより、緩衝器本体Ｄは、アウターシェル１とピストンロッド２の軸方向の相対移動を抑制する減衰力を発揮する。

　本実施形態における緩衝器本体Ｄは、伸側室にのみピストンロッド２が挿通される片ロッド型である。また、図示はしないが、緩衝器本体Ｄは、アウターシェル１とインナーチューブとの間の環状隙間として形成されて気体と液体が充填されるリザーバを備えている。リザーバは、緩衝器本体Ｄの伸縮に伴ってアウターシェル内に出入りするピストンロッド２の体積を補償する。このように、本実施形態の緩衝器本体Ｄは、片ロッド複筒型である。また、アウターシェル１の内周に直接ピストンを摺動させてアウターシェル１内に伸側室と圧側室とを区画する場合には、アウターシェル１内にフリーピストンを摺動自在に挿入してアウターシェル１内にピストンロッド２の体積を補償する気室を区画するか、ブラダ等の弾性隔壁でアウターシェル１内に気体室を区画するようにしてもよい。その場合には、緩衝器本体Ｄをインナーチューブを設けない単筒型とすることもできる。さらに、緩衝器本体Ｄは、片ロッド型ではなく、両ロッド型としてもよい。

　以下、各部について詳細に説明する。まず、アウターシェル１は、筒状部材であって、図１中の下端がキャップ５によって封止されるとともに、アウターシェル１のピストンロッド側端である図１中の上端には筒状のシールケース６が取り付けられている。

　シールケース６は、アウターシェル１のピストンロッド側端の内周に取り付けられる筒状の大径部６ａと、大径部６ａのピストンロッド側端から径方向の内側へ向けて突出するフランジ部６ｂと、フランジ部６ｂの内周から上端側へ立ち上がる筒状の小径部６ｃと、小径部６ｃに設けられる環状のストッパ６ｄと、を備えている。小径部６ｃ内には、シール部材７が収容される。ストッパ６ｄは、小径部６ｃより大径の外径を有し、小径部６ｃの上端に溶接などによって取り付けられる。

　シール部材７は、ピストンロッド２の外周に摺接してピストンロッド２の外周をシールすることによりアウターシェル１内からの液体の漏洩を防止するシール部７ａと、ピストンロッド２の外周に付着したダストを掻き落すダストシール部７ｂと、を備えている。

　ピストンロッド２の図１中の上端２ａには、ダストカバー３が取り付けられている。ダストカバー３は、内周がピストンロッド２の外周に装着される環状の連結部３ａと、連結部３ａの外周から図１中の下方へ伸びるカバー本体３ｂと、を備える。カバー本体３ｂの内径は、アウターシェル１の外径よりも大径であり、カバー本体３ｂ内にアウターシェル１の進入が可能である。このように、ダストカバー３は、緩衝器本体Ｄの伸縮を阻害しないようになっている。

　ベローズ４は、たとえば、ゴムや合成樹脂で形成される。ベローズ４は、図１中の下端である一端４ａに、筒状の嵌合部４ｃを備えている。嵌合部４ｃは、シールケース６の小径部６ｃの外周に嵌合する。嵌合部４ｃがフランジ部６ｂとストッパ６ｄによって挟持されることにより、ベローズ４は、シールケース６を介してアウターシェル１に装着される。このように、ベローズ４のアウターシェル１への装着には、後述する図２に示した緩衝器のように直接的にアウターシェルにベローズを取り付けるだけでなく、シールケース６等を介して間接的に取り付けることも含まれる。

　また、ベローズ４は、嵌合部４ｃよりも上方に蛇腹部４ｄを備える。蛇腹部４ｄよりも上端である他端４ｂには、環状の摺接部４ｅが設けられ、摺接部４ｅの外周がダストカバー３の内周に摺接する。

　ベローズ４は、アウターシェル１に取り付けられる一端４ａよりも他端４ｂの方が大径であり、蛇腹部４ｄは他端４ｂに向けて徐々に拡径されている。

　緩衝器本体Ｄが最収縮する状態では、ベローズ４の他端４ｂに設けた摺接部４ｅが、ダストカバー３の連結部３ａの下端に当接して蛇腹部４ｄが圧縮されて縮んだ状態となる。緩衝器本体Ｄが最伸長する状態では、蛇腹部４ｄが縮んだ状態から伸びるため、ベローズ４の他端４ｂに設けた摺接部４ｅがダストカバー３の図１中の上方への移動に追随する。このため、緩衝器本体Ｄの伸長時にベローズ４の他端４ｂがダストカバー３内から外に脱落することが無い。つまり、緩衝器本体Ｄが最伸長したにおいて、自然長（負荷を与えない状態における軸方向長さ）となったベローズ４の他端４ｂの位置が、ダストカバー３の下端位置よりも、図１中の上方になるように設定されている。このため、ベローズ４の他端４ｂが常時ダストカバー３内に配置される。

　上記のように、ベローズ４をアウターシェル１に取り付けると、ベローズ４は、ピストンロッド２の外周を覆い、ダストカバー３とベローズ４とでピストンロッド２の外周の空間を外部から遮断する。このため、ピストンロッド２への泥等の付着を防止することができる。

　また、ベローズ４を取付けてもアウターシェル１の外表面の吹付け塗装の邪魔にならず、ダストカバー３の長さは従来の緩衝器と同等の長さでよい。このため、そのまま塗装してもアウターシェル１の外表面に未塗装部分を生じさせず、アウターシェル１の錆を防止できる。さらに、ダストカバー３の装着前に緩衝器本体Ｄを最収縮状態に維持したり、ピストンロッド２をマスキングしたりしてアウターシェル１を塗装するような複雑な塗装方法を採用する必要もなく、そのまま吹き付け塗装が可能であるため、塗装加工も非常に簡単である。

　このように本実施形態に係る緩衝器１００によれば、ピストンロッド２の外周を充分に保護でき、かつ、塗装加工性の悪化を招くことがない。

　また、ベローズ４の他端４ｂの外周をダストカバー３の内周に摺接させることでベローズ４の径方向への振動を抑制することもできるため、ベローズ４とダストカバー３との打音を低減することができる。

　さらに、ベローズ４がピストンロッド２の外周を覆っていることで、アウターシェル１内の液体がシール部材７を乗り越えて外部へ滲み出た場合でも、ベローズ４が液体溜まりとして機能するため、緩衝器外へ液体の漏洩を防止することができる。

　このように、ベローズ４の他端４ｂの外周全周をダストカバー３の内周に摺接させることで、ピストンロッド２の外周の空間を外部から遮断することができ、泥等の侵入を完全に防止することができる。しかしながら、ベローズ４の他端４ｂの外周を全周に亘ってダストカバー３の内周に摺接させるのではなく、一部に隙間が生じるようになっていてもよい。この場合でも、ピストンロッド２へ至る泥等の侵入経路がダストカバー３のみを備える従来の緩衝器よりも長くなって、泥等がダストカバー３内に侵入しにくくなり、ピストンロッド２への泥等の付着を防止することができる。また、ベローズ４の他端４ｂをダストカバー３の内周に全く摺接させない場合でも、ピストンロッド２へ至る泥等の侵入経路がダストカバー３のみを備える従来の緩衝器よりも長くなるので、ピストンロッド２への泥等の付着を防止することができる。

　ベローズをアウターシェルに固定する構造は、上記した構造以外でもよい。図２に示す緩衝器は、アウターシェル１０のピストンロッド側端である図２中の上端が内側に折り曲げられた折曲部１０ａを備える。折曲部１０ａが、ピストンロッド２の外周をシールするシール部材１１およびピストンロッド２の外周を軸支するロッドガイド１２をアウターシェル１０に固定する。この場合には、ベローズ１３の一端１３ａにアウターシェル１０のピストンロッド側端内周に挿入される環状の固定部１３ｂを設けて、固定部１３ｂが折曲部１０ａを把持することでベローズ１３をアウターシェル１０へ固定してもよい。

　また、図示しないが、アウターシェル１０の折曲部１０ａに固定される環状の固定部１３ｂとベローズ１３とを別体としてもよい。この場合には、ベローズ１３の一端１３ａの外周にフランジを設け、固定部１３ｂの内周には、ロッドガイド１２との間でフランジが挿入される隙間を形成するような把持部を設ける。そして、固定部１３ｂの把持部とロッドガイド１２とでフランジを挟持して、ベローズ１３をアウターシェルに固定するようにしてもよい。

　固定部１３ｂは、金属製でもよいし、ベローズ１３と同じ材料で形成してもよい。ベローズ１３の蛇腹部１３ｃをゴムとし、固定部１３ｂを金属とする場合には、たとえば、蛇腹部１３ｃを形成するゴムを固定部１３ｂに溶着、融着、接着等して一体化するようにしてもよい。

　以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。

　本願は２０１２年８月１０日に日本国特許庁に出願された特願２０１２－１７７９０２に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims

　筒状のアウターシェルと前記アウターシェル内に摺動自在に挿入されたピストンロッドとを備える緩衝器であって、
　前記ピストンロッドに連結されて内部に前記アウターシェルの進入を許容する筒状のダストカバーと、
　一端が前記アウターシェルに装着され他端が常時前記ダストカバー内に配置されて前記ピストンロッドの外周を覆う筒状のベローズと、を備える緩衝器。
　請求項１に記載の緩衝器であって、
　前記ベローズの他端の外周が、前記ダストカバーの内周に摺接する緩衝器。
　請求項１に記載の緩衝器であって、
　前記アウターシェルのピストンロッド側端に設けられる筒状のシールケースをさらに備え、
　前記シールケースは、
　前記アウターチューブのピストンロッド側端の内周に装着される筒状の大径部と、
　前記大径部のピストンロッド側端から内側へ向けて突出するフランジ部と、
　前記フランジ部の内周から立ち上がる筒状の小径部と、
　前記小径部に設けられる環状のストッパと、を備え、
　前記ベローズは、一端に前記小径部の外周に嵌合する筒状の嵌合部を備え、
　前記ベローズは、前記嵌合部が前記フランジ部と前記ストッパとで挟持されることで前記アウターシェルに固定される緩衝器。
　請求項１に記載の緩衝器であって、
　前記ベローズは、一端に前記アウターシェルのピストンロッド側端内周に挿入される環状の固定部を備え、
　前記アウターシェルのピストンロッド側端には、内側へ折り曲げられる折曲部が設けられ、
　前記ベローズは、前記折曲部が前記固定部を把持することで前記アウターシェルへ固定される緩衝器。