JP4130018B2 - 油圧緩衝器のダストカバー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧緩衝器に取付けられるダストカバーに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ピストンロッドとロッドガイド等の間に細かなゴミが入り込むと、これがピストンロッドを傷つけたり、油圧緩衝器内部に入り込むおそれもある。
そこで、実開昭５５−１４７５５０号公報にも開示されるように、従来からダンパーチューブに対するピストンロッドの挿入部を覆うようにダストカバーを取付けている。
【０００３】
上記ダストカバーは強度部材を構成するものではないので、軽量で腐食せず且つ安価であることが要求され、上記公報にも記載されているように、合成樹脂からなるものが多い。
そして、油圧緩衝器に装着した後に脱落することがないように、装着後にダストカバーの一部を加熱変形することでキャップ等に係止せしめている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のダストカバーを構成する樹脂材料は耐熱性に劣り、熱源の近くに配置した場合、変形する虞れがある。
また、円筒状或いは袋状をなす樹脂製品については、ブロー成形が有利である。ダストカバーは円筒状をなすためブロー成形にて製作することが考えられる。そして、ブロー成形の材料として熱可塑性エラストマーが優れている。
【０００５】
しかしながら、熱可塑性エラストマーからなるダストカバーは、成形後に一部を加熱変形せしめてキャップに固定することができない。また伸縮性に富むため従来の合成樹脂製のダストカバーと同一形状では、多少の力が作用すると抜けてしまうおそれがある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本発明は、円筒状をなすとともに上端部を小径開口部とし、この小径開口部にキャップに外挿して止着するようにした油圧緩衝器のダストカバーにおいて、このダストカバーは熱可塑性エラストマーからなり、またダストカバーの前記小径開口部の内周縁には上方に向かって起立した補強リング部が一体的に設けられ、前記補強リング部は、ブロー成形にて両端に袋部を備え、一方の袋部の近くにネック部を形成した中間部を形成し、前記中間体から袋部を切断除去する時に、前記中間体のネック部の前記ダストカバー本体側に一部残した部分を補強リングとして形成するようにした。材料として、熱可塑性エラストマーを使用することで、ブロー成形しやすくなり、また、補強リング部を設けることで、油圧緩衝器からの脱落を有効に防止できる。
【０００７】
特に、ブロー成形によって作られる中間体にネック部を設け、このネック部の少なくとも一部を本体（ダストカバーとなる部分）に残すように切断することで、特別な工程を経ることなく、補強リング部を設けることができる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図１は本発明に係るダストカバーを装着した油圧緩衝器の全体図、図２は本発明に係るダストカバーの拡大断面図、図３は図２のＡーＡ線断面図である。
【０００９】
油圧緩衝器は、アウターチューブ１内にインナーチューブ２を配置し、これらアウターチューブ１とインナーチューブ２の間に油溜室Ｓ１を形成し、インナーチューブ２内にはロッドガイド３及びシール４を介してピストンロッド５を挿入し、このピストンロッド５の下端にピストン６を固着し、このピストン６にてインナーチューブ２内を上部油室Ｓ２と下部油室Ｓ３に画成し、下部油室Ｓ３と前記油溜室Ｓ１とをボトムバルブ７を介して連通せしめている。
【００１０】
また、前記ピストンロッド５の上端とジョイント８との間にはカバーキャップ９が設けられ、このカバーキャップ９に本発明に係るダストカバー１０の上端部が外挿されている。
【００１１】
ダストカバー１０は熱可塑性エラストマーを材料としてブロー成形にて製作され、全体が略筒状をなし、上端部に前記カバーキャップ９の外径よりも小径の開口部１１を形成し、この開口部１１の内周縁に沿って上方への補強リング部１２を一体的に設けている。
【００１２】
また、小径の開口部１１の下方にはカバーキャップ９の形状に倣った湾曲部１３と、補強用の凹部１４を形成し、更にこれら湾曲部１３及び凹部１４の下部にカバーキャップ９の下端部に係止する段部１５を形成し、更に下端部には環状の補強用凸部１６を形成している。
【００１３】
次に、図４，５に基づいてダストカバー１０の製造方法について説明する。図４は切断装置を示し、切断装置はレバー２０にカッター２１を取付けるとともに、レバーの両端に駆動プーリ２２と被動プーリ２３を取付け、これら駆動プーリ２２と被動プーリ２３間にベルト２４を架け渡した構造になっている。
【００１４】
そして、ブロー成形にて得られた中間体３０からダストカバー１０を製造するには、中間体３０をリング２５内に挿入してベアリング３１にて保持し、この状態の中間体３０に前記切断装置のベルト２４を押し付け、ベルト２４を走行せしめることで中間体３０を回転せしめる。そして、更に強く切断装置を図４の矢印方向に押込むことで、図５にカッター２１にて回転する中間体３０の両端の袋部３０ａを切断除去する。
【００１５】
ところで、図５に示すように中間体３０の一方の袋部３０ａの近くにネック部３０ｂを形成しておき、一方の袋部３０ａを除去する際にネック部３０ｂの少なくとも一部が本体側（ダストカバーとなる部分）に残るように切断することで、残った部分が前記補強リング部１２となる。
【００１６】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、油圧緩衝器のダストカバーの材料として熱可塑性エラストマーを使用することで、ブロー成形しやすくなり、コストダウンが図れる。
また、ダストカバー上端の小径開口部の内周縁に上方に向かって起立した補強リング部を一体的に設けたので、材料として熱可塑性エラストマーを使用した場合でも油圧緩衝器からの脱落を有効に防止できる。
【００１７】
更に、ブロー成形によって作られる中間体にネック部を設け、このネック部の少なくとも一部を本体（ダストカバーとなる部分）に残すように切断することで、特別な工程を経ることなく、補強リング部を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るダストカバーを装着した油圧緩衝器の全体図
【図２】本発明に係るダストカバーの拡大断面図
【図３】図２のＡーＡ線断面図
【図４】切断装置の概略図
【図５】切断装置によってダストカバーの中間体を切断している状態を示す図
【符号の説明】
１…アウターチューブ、２…インナーチューブ、３…ロッドガイド、４…シール、５…ピストンロッド、６…ピストン、７…ボトムバルブ、８…ジョイント、９…カバーキャップ、１０…ダストカバー、１１…小径の開口部、１２…補強リング部、１３…湾曲部、１４…凹部、１５…段部、１６…補強用凸部、２０…レバー、２１…カッター、２２…駆動プーリ、２３…被動プーリ、２４…ベルト、２５…リング、３０…中間体、３０ａ…袋部、３０ｂ…ネック部、３１…ベアリング、Ｓ１…油溜室、Ｓ２…上部油室、Ｓ３…下部油室。
Claims (1)
- 円筒状をなすとともに上端部を小径開口部とし、この小径開口部にキャップに外挿して止着するようにした油圧緩衝器のダストカバーにおいて、このダストカバーは熱可塑性エラストマーからなり、またダストカバーの前記小径開口部の内周縁には上方に向かって起立した補強リング部が一体的に設けられ、前記補強リング部は、ブロー成形にて両端に袋部を備え、一方の袋部の近くにネック部を形成した中間体を成形し、前記中間体から両端袋部を切断除去してダストカバー本体を整形する行程において、前記一方の袋部を切断する時に、前記中間体のネック部の前記ダストカバー本体側に一部残した部分を補強リングとして形成することを特徴とする油圧緩衝器のダストカバー。
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