WO2014024471A1

WO2014024471A1 - 紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品

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Publication number: WO2014024471A1
Application number: PCT/JP2013/004737
Authority: WO
Inventors: 貴文水口; 小林　大祐; 隼本橋; 雄一朗松尾
Original assignee: 日本化薬株式会社
Priority date: 2012-08-08
Filing date: 2013-08-06
Publication date: 2014-02-13
Also published as: TW201414785A; CN104540671A; JP6049055B2; TWI593744B; JP2014034605A

Abstract

　本発明は、２以上の光学基材が、キシレン化合物とホルムアルデヒドを反応させて得られるノボラック化合物（Ａ）、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）及び光重合開始剤（Ｃ）を含有することを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物によって貼り合わされた光学部材及び当該紫外線硬化型樹脂組成物に関する。本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、活性エネルギー線を照射して硬化させたときの硬化性に優れ、硬化時の収縮が小さく、硬化物の透明性、基材との接着性、柔軟性及びリワーク性に優れることから、２以上の光学基材を貼り合わせてなるタッチパネルやタッチパネル付き表示装置等の光学部材の作製に用いる光学透明接着剤として、極めて有用である。

Description

紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品

　本発明は、光学透明部材の貼り合わせに有用な紫外線硬化型樹脂組成物に関する。

　近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ＥＬディスプレイ等の表示装置の表示面に、タッチパネルを貼り合わせ、画面入力を可能とした装置が広く利用されている。この表示装置は、その表示面上に、透明電極が形成されたガラス板又は樹脂製フィルムを透明電極が向き合うように貼り合わせて得られるタッチパネルを積層し、更に、該タッチパネルのタッチ入力面側に、ガラス製又は樹脂製の透明保護板を積層した構造を有している。

　タッチパネルにおける、透明電極が形成されたガラス板又はフィルムと、ガラス製又は樹脂製の透明保護板との貼り合わせ、並びに、表示装置の表示画面へのタッチパネルの貼り合わせ等には、両面粘着シートを用いる技術があるが、気泡が入りやすいという問題があった。両面粘着シートに代わる技術として光硬化型樹脂組成物で貼り合せる技術が提案されている（特許文献１～３）。

　一方で、表示装置の薄型化や大画面化が進んでいる。それに伴い、その表示画面に貼りあわされるタッチパネルも同様に、薄型化や大画面化が進んでいる。例えば、タッチパネルの透明保護板、基板又は表示装置の表示画面用のガラス板又は樹脂製フィルム等が薄くなり、大型化も図られている。そのため、光硬化型樹脂組成物を用いて、上記の光学基材どうしを貼り合わせた場合、該樹脂組成物の硬化収縮によって、タッチパネルや表示画面が変形してしまう問題があった。また、貼り合わされる基材の材質がガラス／アクリル樹脂、ガラス／ポリカーボネート樹脂等の組合わせで、両者の材質が異なる場合、両材質の熱膨張や吸湿性の違いから、耐湿熱試験において接着面が剥がれる問題があった。これらの問題を解決するため、硬化時の収縮を抑え、基材への接着性および柔軟性に優れた硬化物を与える光硬化型樹脂組成物が求められていた。しかし、このような特性を備える特許文献１に記載のポリイソプレンを、光硬化型樹脂組成物の主成分として使用した場合、リワークする際にヘプタン、ヘキサン等といった有機溶剤で除去しなければならず、リワーク性に劣る問題があった。また、特許文献２に記載されているようなシクロアルカン骨格を有するエポキシ樹脂を使用した場合は、硬化物の柔軟性が劣る問題があり、特許文献３に記載されているような組成物においても硬化時の黄変が懸念されている。そのため、特許文献１～３に記載された光硬化型樹脂組成物は、必ずしも市場の要求を十分満足するものではなかった。

国際公開第２０１０／０２７０４１号特開２０１０－２４８３８７号公報特表２０１１－５１１８５１号公報

　本発明は、硬化性に優れ、硬化時の収縮が小さく、硬化物の透明性、基材との接着性かつ柔軟性、リワーク性に優れる光学透明接着剤を得ることが出来る紫外線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。

　本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するノボラック化合物と（メタ）アクリレート化合物、及び、光重合開始剤を含有する紫外線硬化型樹脂組成物により、上記の課題が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。

　本発明は、下記の（１）～（１９）に関する。
（１）　２以上の光学基材が、キシレン化合物とホルムアルデヒドとを反応させて得られるノボラック化合物（Ａ）、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）及び光重合開始剤（Ｃ）を含有する紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物により貼り合わされた光学部材。
（２）　２以上の光学基材が、下記式（１）

（式中、Ｘは繰り返し単位ごとにそれぞれ独立して－（ＣＨ_２Ｏ）ｎＣＨ_２－であり、ｎは０～１０の整数を示す。繰り返し構造においてＸは同一でも異なっても良い。Ｙはそれぞれ独立して水素原子、－ＣＨ_２ＯＨ、－（ＣＨ_２Ｏ）_ＬＣＨ_３、－ＣＨ_２ＯＣＨ_３、－ＣＨ_２ＯＯＣＨ_３であり、Ｌは０～１０の整数を示す。ｍは０～１０の整数を示す。）
で表されるノボラック化合物（Ａ）、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）及び光重合開始剤（Ｃ）を含有する紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物により貼り合わされた光学部材。
（３）　２以上の光学基材を含む光学部材の該２以上の光学基材の貼り合わせに使用される、キシレン化合物とホルムアルデヒドとを反応させて得られるノボラック化合物（Ａ）、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）及び光重合開始剤（Ｃ）を含有する紫外線硬化型樹脂組成物。
（４）　２以上の光学基材を含む光学部材の該２以上の光学基材の貼り合わせに使用される、下記式（１）

（式中、Ｘは繰り返し単位ごとにそれぞれ独立して－（ＣＨ_２Ｏ）ｎＣＨ_２－であり、ｎは０～１０の整数を示す。繰り返し構造においてＸは同一でも異なっても良い。Ｙはそれぞれ独立して水素原子、－ＣＨ_２ＯＨ、－（ＣＨ_２Ｏ）_ＬＣＨ_３、－ＣＨ_２ＯＣＨ_３、－ＣＨ_２ＯＯＣＨ_３であり、Ｌは０～１０の整数を示す。ｍは０～１０の整数を示す。）
で表されるノボラック化合物（Ａ）、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）及び光重合開始剤（Ｃ）を含有する紫外線硬化型樹脂組成物。

（５）　２以上の光学基材が紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物によって接着されている光学部材の製造において、該２以上の光学基材の接着に、エネルギー線を照射して硬化させる液状樹脂接着剤として使用される上記（３）に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
（６）　２以上の光学基材が紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物によって接着されている光学部材の製造において、該２以上の光学基材の接着に、エネルギー線を照射して硬化させる液状樹脂接着剤として使用される上記（４）に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
（７）　（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）が、（メタ）アクリロイル基を１個又は２個有する（メタ）アクリレート化合物である上記（３）～（６）の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
（８）　（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）として、（ｉ）ウレタン（メタ）アクリレート又は（ｉｉ）ポリ（Ｃ２～Ｃ４）アルキレングリコールモノ又はジ（メタ）アクリレートの少なくとも何れか一方を含む上記（３）～（７）の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
（９）　（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）として、ラウリル（メタ）アクリレート、２－エチルヘキシルカルビトールアクリレート、アクリロイルモルホリン、４－ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート、テトラヒドロフルフリル（メタ）アクリレート、イソステアリル（メタ）アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル（メタ）アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル（メタ）アクリレート、２－デシルテトラデカニル（メタ）アクリレート、ポリアルキレングリコール（メタ）アクリレート、ポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ（メタ）アクリレート、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールＡ型ジ（メタ）アクリレートからなる群から選ばれる１種以上を含む上記（３）～（８）の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
（１０）　（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）としてウレタン（メタ）アクリレートを含有する上記（８）又は（９）に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。

（１１）　組成物の総量に対して、一般式（１）で示される構造を有する化合物（Ａ）を５～９５重量％、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）を５～９５重量％及び光重合開始剤（Ｃ）を０．０１～５重量％、それぞれ含有する上記（３）～（１０）のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
（１２）　（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）に対するノボラック化合物（Ａ）の重量割合が１～１０である上記（３）～（１１）のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
（１３）　硬化収縮率が３．０％以下である上記（３）～（１１）のいずれか１項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
（１４）　１ＭＨｚの比誘電率が５．０以下である上記（３）～（１３）のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
（１５）　上記（３）～（１４）のいずれか１項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物。
（１６）　上記（３）～（１４）のいずれか１項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物により、２以上の光学基材を貼り合わせたタッチパネル。
（１７）　下記第一工程、第二工程及び第三工程、
（第一工程）光学基材に紫外線硬化型樹脂組成物を塗布して、少なくとも２つの光学基材を貼り合わせる工程。
（第二工程）貼り合わせた光学基材に対して、照射量１０～２０００ｍＪ／ｃｍ^２で紫外線を照射することで仮硬化を行う工程。
（第三工程）第二工程後、（ｉ）貼り合わせた光学基材に欠陥がない場合には、それに照射量１００～３０００ｍＪ／ｃｍ^２の紫外線を照射し、仮硬化した該樹脂組成物を本硬化させるか、又は、（ｉｉ）貼り合わせた光学基材に欠陥がある場合には、該光学基材から仮硬化した該樹脂組成物層をアルコールの溶剤の存在下に、除去する工程、
を経由することで製造されるタッチパネルにおける、第一工程の２つ以上の光学基材の貼り合わせへの、上記（３）～（１４）のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の使用。
（１８）　上記（３）～（１４）のいずれか１項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物により２以上の光学基材を貼り合わせたタッチパネル付き表示装置。
（１９）　２以上の光学基材を貼り合わせて光学部材を製造するための、上記（３）～（１４）のいずれか１項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の使用。

　本発明によれば、硬化性に優れ、硬化時の収縮が小さく、硬化物の透明性、基材との接着性かつ柔軟性、リワーク性に優れる光学的に透明な液状樹脂接着剤として使用することが出来る紫外線硬化型樹脂組成物、その硬化物により少なくとも２つに光学基材が貼りあわされた光学部材、例えばタッチパネル又はタッチパネル付き表示装置等を提供することができる。

本発明の光学部材の製造工程の一例を説明するための概略図である。

　本発明の紫外線硬化型樹脂組成物（以下、「本発明の樹脂組成物」ともいう）は、特定の構造を有するノボラック化合物、（メタ）アクリレート化合物、及び光重合開始剤を含有する。

　本発明の樹脂組成物に含有されるノボラック化合物（Ａ）は、キシレン化合物とホルムアルデヒドとの反応により得ることができる。
　本発明の樹脂組成物に含有されるノボラック化合物（Ａ）としては、下記一般式（１）で表されるノボラック化合物（Ａ）が好ましい。

（式中、Ｘは繰り返し単位ごとにそれぞれ独立して－（ＣＨ_２Ｏ）ｎＣＨ_２－であり、ｎは０～１０の整数を示す。繰り返し構造においてＸは同一でも異なっても良い。Ｙはそれぞれ独立して水素原子、－ＣＨ_２ＯＨ、－（ＣＨ_２Ｏ）_ＬＣＨ_３、－ＣＨ_２ＯＣＨ_３、－ＣＨ_２ＯＯＣＨ_３であり、Ｌは０～１０の整数を示す。ｍは０～１０の整数を示す。）
　なお、上記一般式（１）において、Ｙが何れも水素原子、又は、－（ＣＨ_２Ｏ）_ＬＣＨ_３でＬが０、又は、－ＣＨ_２ＯＣＨ_３又は－ＣＨ_２ＯＯＣＨ_３の場合、ｍは１～１０を示すものとする。

　この場合において、ｎ及びＬの値はそれぞれ、０～６の整数が好ましく、０～３の整数がより好ましい。ｍの値は０～６の整数が好ましく、０～４の整数がより好ましい。場合により、ｍの値は１～６の整数が好ましく、１～４の整数がより好ましい。
　なお、本明細書において「ノボラック化合物（Ａ）」又は単に「（Ａ）成分」と云う場合は、前記キシレン化合物とホルムアルデヒドとの反応により得られるノボラック化合物（Ａ）又は上記一般式（１）で表されるノボラック化合物（Ａ）、若しくはその両者を意味する。

　上記（１）に記載された、キシレン化合物とホルムアルデヒドとの反応により得られるノボラック化合物（Ａ）、又は、上記一般式（１）で表されるノボラック化合物（Ａ）（以下においては、一般式（１）のノボラック化合物（Ａ）ともいう）は、公知の手法であれば特に限定なく得られ、例えば、酸触媒を触媒として使用し（又は無触媒で）、キシレン化合物とホルムアルデヒドを縮合する反応により得ることができる。
　この反応で使用しうるキシレン化合物としては、ｏ－キシレン、ｍ－キシレン及びｐ－キシレンが挙げられる。これらは単独で用いても、これらのうち２種以上を併用してもよい。
　ここで、キシレン化合物としては、ｍ－キシレンが好ましい。

　また、用いうるホルムアルデヒドは、パラホルムアルデヒド、ホルマリン等であってもよく、特にその態様を問わず使用することができる。ホルムアルデヒドの使用量は、キシレン化合物１モルに対して通常０．２～２．０モル、好ましくは０．３～１．８モル、より好ましくは０．４～１．６モルである。

　用いうる酸触媒の具体例としては、塩酸、硫酸、蓚酸及びｐ－トルエンスルホン酸などが挙げられる。酸触媒の使用量はホルムアルデヒド１．０モルに対して、通常０．０１～５．０モル、好ましくは０．０５～４．０モル、より好ましくは０．１～３．０モルである。

　キシレン化合物とホルムアルデヒドの縮合反応は、酸触媒の存在下、還流温度以下で１～１０時間行えばよい。反応が終了したら、生成物をそのまま或いはトルエン、キシレン及びメチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解した後、水洗を繰り返して酸触媒を除去する。その後、溶剤及び／または未反応のキシレン化合物及びホルムアルデヒドを加熱減圧下で除去することにより、本発明で使用するノボラック化合物（Ａ）が得られる。本発明で使用するノボラック化合物（Ａ）としては、前記一般式（１）で表されるノボラック化合物（Ａ）が好ましい。

　ノボラック化合物（Ａ）（好ましくは一般式（１）で示される構造を有するノボラック化合物（Ａ））は、上記の製造方法により得たものであっても、また、下記の市販品であってもよく、該化合物は、本発明の硬化型樹脂組成物に接着剤としての柔軟性を付与することができる。一般式（１）で示される構造を有するノボラック化合物（Ａ）としては、ｎ、Ｌ及びｍがそれぞれ独立に０～１０の整数の範囲であり、かつ、上記一般式（１）において、キシレン化合物由来成分とホルムアルデヒド由来成分の両者を含む化合物は、制限なく使用することができる。
　一般式（１）のノボラック化合物（Ａ）は、市販品として容易に入手することも可能であり、例えば、ニカノールＹシリーズ（ニカノールＹ－５０、ニカノールＹ－１００、ニカノールＹ－１０００）、ニカノールＬシリーズ（ニカノールＬＬＬ、ニカノールＬＬ、ニカノールＬ）、ニカノールＨ及びニカノールＧとして、フドー株式会社より入手できる。特にニカノールＹシリーズ及びニカノールＬシリーズは、（メタ）アクリレートとの相溶性が優れているため好ましい。

　ノボラック化合物（Ａ）（好ましくは一般式（１）で示される構造を有するノボラック化合物（Ａ））としては、数平均分子量が、ポリスチレン換算値で、１００～１０００であるものが好ましく、１００～７００であるものがより好ましく、２００～６００であるものが特に好ましい。数平均分子量が小さすぎる場合には、柔軟性、接着性に劣る恐れがあり、数平均分子量が大きすぎる場合には相溶性に劣る恐れがある。数平均分子量が２００～６００であるノボラック化合物（Ａ）の市販品としては、上記のニカノールＹシリーズ及びニカノールＬシリーズが挙げられる。

　ノボラック化合物（Ａ）（好ましくは一般式（１）で示される構造を有するノボラック化合物（Ａ））の樹脂組成物中における重量割合（樹脂組成物の総量に対する含量割合）は通常５重量％～９５重量％程度（正確には９４．９９重量％）であり、５重量％～９０重量％程度が好ましく、１０重量％～８５重量％程度がより好ましい。また、場合により、該（Ａ）成分は３０重量％～９０重量％も好ましい。また、リワーク性等の点から、前記（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）（以下において単に（Ｂ）成分とも云う）としてウレタン（メタ）アクリレートを含み、且つ、該（Ａ）成分の含量割合が２０重量％～９０重量％であるとき、好ましく、３０重量％～９０重量％はより好ましく、更に好ましくは４０重量％～９０重量％であり、最も好ましくは５０重量％～９０重量％である。ノボラック化合物（Ａ）の重量割合が少な過ぎると柔軟性が劣り、多過ぎると硬化性が悪くなる恐れがある。
　また、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）の含有量Ｂに対するノボラック化合物（Ａ）（好ましくは一般式（１）で示される構造を有するノボラック化合物（Ａ））の含有量Ａの比率Ａ／Ｂ（重量比）が１．０～１０．０である場合、極めて柔軟性に優れ、硬化性にも優れた光硬化型樹脂組成物とすることができる。Ａ／Ｂの比率（重量比）は１．０～９．０が好ましく、１．１～８．５がより好ましい。Ａ／Ｂの比率は大きくなるほど硬化に影響する架橋成分が少なくなるが、（Ｂ）を適宜選択することにより、硬化性が良好で、且つ、柔軟性のある硬化物を得ることができる。

　本発明の樹脂組成物は、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）を含有する。該（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）としては、（メタ）アクリロイル基を１個以上有する公知の（メタ）アクリレート化合物であれば、特に限定することなく使用することができる。
　該（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）としては、例えば、（メタ）アクリロイル基を１個有する（メタ）アクリレート化合物、２官能以上の（メタ）アクリレート、ウレタン（メタ）アクリレート、ポリイソプレン骨格及び／又はポリブタジエン骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマー及びエポキシ（メタ）アクリレート等を挙げることが出来る。
　本発明の樹脂組成物は、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）として、（メタ）アクリロイル基を１個又は２個有する（メタ）アクリレート化合物を含有する場合、好ましい。
　なお、本明細書において「（メタ）アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートのいずれか一方又は両者を意味し、同様な「（メタ）」のついた用語も、それぞれに応じて、「（メタ）アクリレート」の場合と同様に、メタの付いた化合物及びメタの付かない化合物のいずれか一方又は両者を意味する。

　本発明の樹脂組成物に含有される（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）としては、（メタ）アクリロイル基を１個有する（メタ）アクリレート化合物が好適に用いられる。（メタ）アクリロイル基を１個有する（メタ）アクリレート化合物として、具体的には、イソオクチル（メタ）アクリレート、イソアミル（メタ）アクリレート、ラウリル（メタ）アクリレート、イソデシル（メタ）アクリレート、ステアリル（メタ）アクリレート、イソステアリル（メタ）アクリレート、セチル（メタ）アクリレート、イソミリスチル（メタ）アクリレート、トリデシル（メタ）アクリレート、２－デシルテトラデカニル（メタ）アクリレート等の炭素数５～３０のアルキル（メタ）アクリレート、より好ましくは炭素数１０～３０のアルキル（メタ）アクリレート；ベンジル（メタ）アクリレート、テトラヒドロフルフリル（メタ）アクリレート、アクリロイルモルホリン、フェニルグリシジル（メタ）アクリレート、トリシクロデカン（メタ）アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル（メタ）アクリレート、イソボルニル（メタ）アクリレート、ジシクロペンタニル（メタ）アクリレート、１－アダマンチルアクリレート、２－メチル－２－アダマンチルアクリレート、２－エチル－２－アダマンチルアクリレート、１－アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチル（メタ）アクリレート、等の環状骨格を有する（メタ）アクリレート；２－ヒドロキシプロピル（メタ）アクリレート、４－ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート等の水酸基を有する炭素数１～５のアルキル（メタ）アクリレート；エトキシジエチレングリコール（メタ）アクリレート、ポリプロピレングリコール（メタ）アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル（メタ）アクリレート等のポリアルキレングリコール（メタ）アクリレートまたはポリアルキレングリコール変性ノニルフェニル（メタ）アクリレート、好ましくはポリ（Ｃ２～Ｃ４）アルキレングリコール（メタ）アクリレートまたはポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル（メタ）アクリレート；エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸（メタ）アクリレート、エチレンオキシド変性ブトキシ化リン酸（メタ）アクリレート及びエチレンオキシド変性オクチルオキシ化リン酸（メタ）アクリレート等のエチレンオキシド変性－フェノキシ化－またはＣ３－Ｃ１０アルコキシ化－リン酸（メタ）アクリレート等；を挙げることができる。

　上記の（メタ）アクリロイル基を１個有する（メタ）アクリレートの具体例の中でも、炭素数１０～３０のアルキル（メタ）アクリレート、２－エチルヘキシルカルビトールアクリレート、アクリロイルモルホリン、４－ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート、テトラヒドロフルフリル（メタ）アクリレート、イソステアリル（メタ）アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル（メタ）アクリレート、ポリアルキレングリコール（メタ）アクリレート（好ましくはポリ（Ｃ２～Ｃ４）アルキレングリコールモノ（メタ）アクリレート）、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル（メタ）アクリレート、２－デシルテトラデカニル（メタ）アクリレートが好ましい。
　特に、樹脂の柔軟性の観点からは、炭素数１０～３０のアルキル（メタ）アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル（メタ）アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル（メタ）アクリレート、テトラヒドロフルフリル（メタ）アクリレート、数平均分子量８００～５０００のポリアルキレングリコール（メタ）アクリレート（好ましくはポリ（Ｃ２～Ｃ４）アルキレングリコール（メタ）アクリレート）が好ましい。
　一方、ガラスへの密着性を向上させる観点からは、４－ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート等の水酸基を有する炭素数１～５のアルキル（メタ）アクリレート、及び、アクリロイルモルホリンの使用が好ましく、４－ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート又はアクリロイルモルホリンの使用が特に好ましい。
　上記の炭素数１０～３０のアルキル（メタ）アクリレートとしては、炭素数１２～２５のアルキル（メタ）アクリレートが好ましく、具体的には、上記例示に含まれる炭素数１２～２５のアルキル（メタ）アクリレートが挙げられ、より好ましくはイソステアリル（メタ）アクリレートが挙げられる。
　上記から、単官能（メタ）アクリレートとして好ましい化合物として、ラウリル（メタ）アクリレート、２－エチルヘキシルカルビトールアクリレート、アクリロイルモルホリン、４－ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート、テトラヒドロフルフリル（メタ）アクリレート、イソステアリル（メタ）アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル（メタ）アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル（メタ）アクリレート及び２－デシルテトラデカニル（メタ）アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つの（メタ）アクリレートを挙げることが出来る。

　本発明の樹脂組成物には、２官能以上の（メタ）アクリレートを含有することができる。
　例えば、トリシクロデカンジメチロールジ（メタ）アクリレート、ジオキサングリコールジ（メタ）アクリレート、ポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート及びポリテトラメチレングリコールジ（メタ）アクリレート等のポリアルキレングリコールジ（メタ）アクリレート（好ましくはポリＣ２～Ｃ４アルキレングリコールジ（メタ）アクリレート）、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールＡ型ジ（メタ）アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ（メタ）アクリレート及びエチレンオキシド変性リン酸ジ（メタ）アクリレート等の２官能（メタ）アクリレート；
トリメチロールプロパントリ（メタ）アクリレート及びトリメチロールオクタントリ（メタ）アクリレート等のトリメチロールＣ２～Ｃ１０アルカントリ（メタ）アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ（メタ）アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ（メタ）アクリレート及びトリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ（メタ）アクリレート等のトリメチロールＣ２～Ｃ１０アルカンポリアルコキシトリ（メタ）アクリレート、トリス［（メタ）アクロイルオキシエチル］イソシアヌレ－ト、ペンタエリスリトールトリ（メタ）アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ（メタ）アクリレート及びプロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ（メタ）アクリレート等のアルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ（メタ）アクリレート等の３官能（メタ）アクリレート；及び、
ペンタエリスリトールポリエトキシテトラ（メタ）アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ（メタ）アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ（メタ）アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ（メタ）アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ（メタ）アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ（メタ）アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ（メタ）アクリレート等の４官能以上の（メタ）アクリレートを挙げることができる。

　特に、樹脂の柔軟性の観点から、本発明の樹脂組成物は、（Ｂ）成分として、ポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート及びポリテトラメチレングリコールジ（メタ）アクリレート等のポリアルキレングリコールジ（メタ）アクリレート（好ましくはポリＣ２～Ｃ４アルキレングリコールジ（メタ）アクリレート）、又は、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールＡ型ジ（メタ）アクリレートを含有することが好ましい。該ポリアルキレングリコールジ（メタ）アクリレートの数平均分子量は、８００～１００００程度が好ましく、１０００～６０００程度がより好ましい。
　本発明においては、硬化収縮を抑えるために、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）として、１又は２官能の（メタ）アクリレート化合物を使用することが好ましい。

　本発明の樹脂組成物においては、これら（メタ）アクリロイル基を１個以上有する（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）は、１種のみを使用してもよく、また、２種以上を任意の割合で混合して使用することもできる。本発明の樹脂組成物は、２種以上の（Ｂ）成分を含有することが好ましい。
　（Ｂ）成分の本発明の樹脂組成物中における重量割合（樹脂組成物の総量に対する含量割合）は通常５～９５重量％、場合により５～９０重量％、好ましくは１０～７０重量％である。（Ｂ）成分の含有量が少な過ぎると硬化物の硬化性が乏しくなる恐れがあり、多過ぎると収縮が大きくなる恐れがある。２種以上の（Ｂ）成分を使用するときは、（Ｂ）成分の合計含有量が上記の重量割合の範囲内であればよい。

　本発明の樹脂組成物には、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）として、ウレタン（メタ）アクリレートを含有させることができる。ウレタン（メタ）アクリレートは多価アルコール、ポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有（メタ）アクリレートを反応させることによって得られる。本発明で使用されるウレタン（メタ）アクリレートは、通常、２官能のウレタン（メタ）アクリレートである。

　上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、１，４－ブタンジオール、１、６－ヘキサンジオール、１，８－オクタンジオール、１，９－ノナンジオール、２－メチル－１，８－オクタンジオール、３－メチル－１，５－ペンタンジオール、及び、２－ブチル－２－エチル－１，３－プロパンジオール等の炭素数１～１０の直鎖又は分岐アルキレングリコール及びそれらのオリゴマー；トリメチロールプロパン、及び、ペンタエリスリトール等のトリオール；ビスフェノールＡポリエトキシジオール、及び、ビスフェノールＡポリプロポキシジオール等のビスフェノール系ジオール（ビスフェノールのポリアルキレンオキサイド付加物）；及び、トリシクロデカンジメチロール、及び、ビス－〔ヒドロキシメチル〕－シクロヘキサン等の環状骨格を有するアルコール；等の多価アルコール、及び、これら多価アルコールと多塩基酸（例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、及び、テトラヒドロ無水フタル酸等）との反応によって得られるポリエステルポリオール；これら多価アルコールとε－カプロラクトンとの反応によって得られるカプロラクトンアルコール；ポリカーボネートポリオール（例えば１，６－ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等）；ポリエーテルポリオール（例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及び、エチレンオキサイド変性ビスフェノールＡ等）；及び、イソプレン骨格やブタジエン骨格を有するジオール；等が挙げられる。
　該多価アルコールとしては、硬化後の樹脂の柔軟性の観点からポリエーテルポリオールが好ましく、（Ａ）成分との相溶性の観点からポリプロピレングリコールがより好ましく、基材への密着性の観点から数平均分子量が２０００以上のポリプロピレングリコールが特に好ましい。このときの数平均分子量の上限は特に限定されないが、１００００以下が好ましく、５０００以下がより好ましい。

　上記有機ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、２，２，４－トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及び、２，４，４－トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の鎖状飽和炭化水素イソシアネート；イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジシクロペンタニルイソシアネート、メチレンビス（４－シクロヘキシルイソシアネート）、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、及び、水添トルエンジイソシアネート等の環状飽和炭化水素イソシアネート；及び、２，４－トリレンジイソシアネート、１，３－キシレンジイソシアネート、ｐ－フェニレンジイソシアネート、３，３‘－ジメチルー４，４’－ジイソシアネート、６－イソプロピル－１，３－フェニルジイソシアネート、及び、１，５－ナフタレンジイソシアネート等の芳香族炭化水素のイソシアネート；等が挙げられる。
　該有機ポリイソシアネートとしては、透明性の観点から、イソホロンジイソシアネートまたはトリレンジイソシアネートが好ましい。

　又、上記ヒドロキシル基含有（メタ）アクリレートとしては、例えばヒドロキシエチル（メタ）アクリレート、ヒドロキシプロピル（メタ）アクリレート、ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート等のヒドロキシＣ２～Ｃ４アルキル（メタ）アクリレート；ジメチロールシクロヘキシルモノ（メタ）アクリレート；及び、ヒドロキシカプロラクトン（メタ）アクリレート等を使用することができる。

　ウレタン（メタ）アクリレートを得るための前記反応は、例えば、以下のようにして行う。即ち、多価アルコールの水酸基１当量あたりの有機ポリイソシアネートのイソシアネート基が、好ましくは１．１～２．０当量、さらに好ましくは１．１～１．５当量になるように多価アルコールと有機ポリイソシアネートを混合し、好ましくは７０～９０℃で反応させることにより、ウレタンオリゴマーを合成する。次いで、得られたウレタンオリゴマーのイソシアネート基１当量あたりのヒドロキシ（メタ）アクリレート化合物の水酸基が、好ましくは１～１．５当量となるように、得られたウレタンオリゴマーとヒドロキシ（メタ）アクリレート化合物を混合し、７０～９０℃で反応させることにより、目的とするウレタン（メタ）アクリレートを得ることができる。

　上記ウレタン（メタ）アクリレートの重量平均分子量としては７０００～２５０００程度が好ましく、１００００～２００００がより好ましい。重量平均分子量が小さすぎると、樹脂組成物の硬化時の収縮が大きくなるおそれがあり、重量平均分子量が大きすぎると樹脂組成物の硬化性が乏しくなるおそれがある。

　本発明の樹脂組成物において（Ｂ）成分として使用するウレタン（メタ）アクリレートは、１種のみを使用してもよく、また、２種以上を任意の割合で混合して使用することもできる。本発明の樹脂組成物は、硬化物のリワーク性の観点から、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）として、上記ウレタン（メタ）アクリレートを使用することが好ましい。上記ウレタン（メタ）アクリレートを使用する場合の、本発明の樹脂組成物中における重量割合は、通常０．１～５０重量％、好ましくは１～４０重量％、より好ましくは２～４０重量％である。

　本発明の樹脂組成物においては、光学基材の貼り合わせに用いる光硬化型接着剤としての特性に優れることから、（Ｂ）成分として、（ｉ）ウレタン（メタ）アクリレート、又は、（ｉｉ）ポリ（Ｃ２～Ｃ４）アルキレングリコールモノ又はジ（メタ）アクリレート（好ましくはジ（メタ）アクリレート）、の少なくとも何れか一方を含有することが、好ましい。特に、リワーク性の点からはウレタン（メタ）アクリレートを含む態様は好ましい。（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）の総量に対して、（ｉ）ウレタン（メタ）アクリレート又は／及び（ｉｉ）ポリ（Ｃ２～Ｃ４）アルキレングリコールモノ又はジ（メタ）アクリレートの含量（両者を含むとき合計含量）が３０～１００重量％である態様はより好ましく、７０～１００重量％である態様は更に好ましい。残部はその他の（メタ）アクリレート化合物である。好ましくはモノ（メタ）アクリレート化合物である。

　本発明の樹脂組成物には、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）として、ポリイソプレン骨格及び／又はポリブタジエン骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマーを含有させることができる。該ポリイソプレン骨格及び／又はポリブタジエン骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマーとしては、公知のものであれば特に限定することなく使用することができる。
　上記ポリイソプレン骨格及び／又はポリブタジエン骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマーとして、好適には、（ａ）イソプレン重合体、ブタジエン重合体またはこれらの共重合体をまず合成し、次に、これらの重合体に不飽和酸無水物を反応させ、その後、得られたポリマー中の一部または全部に、ヒドロキシ（メタ）アクリレート化合物を反応させることにより得られるオリゴマー、または、（ｂ）水酸基末端イソプレン重合体、水酸基末端ブタジエン重合体または水酸基末端イソプレン－ブタジエン共重合体に、不飽和カルボン酸、好ましくは（メタ）アクリル酸またはその誘導体を反応させて得られるオリゴマー、を使用することができる。

　まず、（ａ）イソプレン重合体、ブタジエン重合体またはこれらの共重合体をまず合成し、次に、これらの重合体に不飽和酸無水物を反応させ、その後、得られたポリマー中の一部または全部に、ヒドロキシ（メタ）アクリレート化合物を反応させることにより得られるオリゴマーについて説明する。

　上記イソプレン重合体、ブタジエン重合体またはこれらの共重合体としては、イソプレンまたはブタジエンの１種類を単独で重合することにより得られるイソプレン重合体またはブタジエン重合体を使用しても良いし、イソプレン及びブタジエンの混合物を共重合させることにより得られるイソプレン－ブタジエン共重合体を使用しても構わない。以下、これらをあわせて、「オリゴマー用重合体」と云う。

　上記重合の方法としては、イソプレンおよび／またはブタジエンを、メチルリチウム、エチルリチウム、ｓ－ブチルリチウム、ｎ－ブチルリチウム又はペンチルリチウムなどのアルキルリチウム、又は、ナトリウムナフタレン錯体を開始剤としてアニオン重合させることにより該オリゴマー用重合体を得ることもでき、また、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物、又は、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾビスニトリル化合物を開始剤としてラジカル重合させることによって該オリゴマー用重合体を製造することもできる。
　なお、これらの重合反応は、ヘキサン、ヘプタン、トルエン又はキシレン等の溶媒の存在下に－１００℃～２００℃で０．５～１００時間、反応物を反応させて行うことができる。

　本発明に使用する前記オリゴマー用重合体の数平均分子量は、柔軟性を付与する観点から、通常２０００～１０００００であり、５０００～５００００が好ましく、２００００～５００００が特に好ましい。

　次に、上述の方法により得られたオリゴマー用重合体に不飽和酸無水物を反応させる。この反応は、例えば、前記オリゴマー用重合体と不飽和酸無水物をヘキサン、ヘプタン、トルエン又はキシレン等の溶媒などの、反応に不活性な溶媒の存在下、または無溶媒で、通常、常温～３００℃、０．５～１００時間反応させることで行うことができる。

　上記不飽和酸無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などを使用することができる。
　上記不飽和酸無水物の使用量は、通常、オリゴマー用重合体１００重量部に対して０．１～２００重量部の範囲であるのが好ましく、０．１～１００重量部の範囲内であることがより好ましい。
　前記オリゴマー用重合体に対しての該酸無水物基の反応による付加は、上記の条件で反応させることにより、通常、１分子あたりの付加数が１～３０個の範囲であり、２～２０個の範囲であることが好ましい。

　次に、上記オリゴマー用重合体に導入された酸無水物基の一部または全部にヒドロキシ（メタ）アクリレート化合物を反応させることにより、ポリイソプレン骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマー又はポリイソプレン－ポリブタジエン共重合体骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマーを得ることが出来る。
　上記の反応は、ヘキサン若しくはヘプタン等の溶媒中または無溶媒で、通常、ヒドロキシ（メタ）アクリレート化合物の水酸基が該導入された酸無水物基１当量に対して好ましくは１～１．５当量となるように、ヒドロキシ（メタ）アクリレート化合物と該酸無水物基が導入されたオリゴマー用重合体を混合し、２０～２００℃で０．１～１００時間反応させることで、行うことができる。

　該ヒドロキシ（メタ）アクリレート化合物としては、例えばヒドロキシエチル（メタ）アクリレート、ヒドロキシプロピル（メタ）アクリレート又はヒドロキシブチル（メタ）アクリレート等のヒドロキシＣ２～Ｃ４アルキル（メタ）アクリレート；ジメチロールシクロヘキシルモノ（メタ）アクリレート；及び、ヒドロキシカプロラクトン（メタ）アクリレート等を使用することができる。

　次に、（ｂ）水酸基末端イソプレン重合体、水酸基末端ブタジエン重合体または末端に水酸基を有するイソプレン－ブタジエン共重合体に、不飽和カルボン酸またはその誘導体を反応させて得られるオリゴマーを得る方法について説明する。

　水酸基末端イソプレン重合体、水酸基末端ブタジエン重合体または水酸基末端イソプレン－ブタジエン共重合体における水酸基の一部または全部に、不飽和カルボン酸またはその誘導体を反応させることにより、ポリイソプレン骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマー又はイソプレン－ブタジエン共重合体骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマーを得ることが出来る。
　上記の反応は、ヘキサン又はヘプタン等の溶媒中または無溶媒で、通常、いずれかの上記重合体と不飽和カルボン酸またはその誘導体を、２０～２００℃で０．１～１００時間反応させることにより行うことができる。

　上記不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、α－エチルアクリル酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸又はメチルテトラヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸、及び、これらの酸ハライド、アミド、イミド、無水物及びエステル等の誘導体を使用することができる。好ましくは（メタ）アクリル酸及びそのハライド、アミド、イミド及びエステル等であある。

　このようにして得られるポリイソプレン骨格及び／又はポリブタジエン骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマーの具体例としては、株式会社クラレ製ＵＣ－２０３（イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と２－ヒドロキシエチルメタクリレートのエステル化物オリゴマー）、日本曹達株式会社製ＮＩＳＳＯ―ＰＢ　ＴＥ―２０００（両末端メタクリレート変性ブタジエン系オリゴマー）等を例示することができる。

　本発明の樹脂組成物においては、これらポリイソプレン骨格及び／又はポリブタジエン骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマーは、１種のみを使用してもよく、また、２種以上を任意の割合で混合して使用することもできる。ポリイソプレン骨格及び／又はポリブタジエン骨格を有する（メタ）アクリレートオリゴマーを使用する場合、その本発明の紫外線硬化型接着剤中における重量割合は、通常５～９０重量％、好ましくは２０～８０重量％、より好ましくは２５～５０重量％である。

　本発明の樹脂組成物には、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）として、本発明の特性を損なわない範囲でエポキシ（メタ）アクリレートを使用することができる。本発明の樹脂組成物は、通常、エポキシ（メタ）アクリレートを含まなくても良いが、必要に応じて含有させることができる。エポキシ（メタ）アクリレートは、硬化性、硬化物の硬度及び硬化速度を向上させる機能がある。
　該エポキシ（メタ）アクリレートとしては、グリシジルエーテル型エポキシ化合物と（メタ）アクリル酸を反応させることにより得られたものであればいずれも使用できる。好ましく使用されるエポキシ（メタ）アクリレートを得るためのグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、ビスフェノールＡ或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールＦ或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールＡ或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールＦ或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、及び、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。

　上記エポキシ（メタ）アクリレートは、これらグリシジルエーテル型エポキシ化合物と、（メタ）アクリル酸を、下記のような条件で反応させることにより得られる。

　グリシジルエーテル型エポキシ化合物のエポキシ基１当量に対して、（メタ）アクリル酸を０．９～１．５モル、より好ましくは０．９５～１．１モルの比率で、グリシジルエーテル型エポキシ化合物と（メタ）アクリル酸とを反応させる。反応温度は８０～１２０℃が好ましく、反応時間は１０～３５時間程度である。反応を促進させるために、例えばトリフェニルフォスフィン、ＴＡＰ（２，４，６－トリス（ジメチルアミノメチル）フェノール）、トリエタノールアミン又はテトラエチルアンモニウムクロライド等の触媒を使用するのが好ましい。また、反応中、重合を防止するために重合禁止剤として、例えば、パラメトキシフェノール及びメチルハイドロキノン等を使用することもできる。

　本発明の樹脂組成物において好適に使用することができるエポキシ（メタ）アクリレートとしては、ビスフェノールＡ型のエポキシ化合物より得られた、ビスフェノールＡ型エポキシ（メタ）アクリレートである。本発明において、エポキシ（メタ）アクリレートの重量平均分子量としては５００～１００００が好ましい。
　本発明の樹脂組成物においては、これらエポキシ（メタ）アクリレートは、１種のみを使用してもよく、また、２種以上を任意の割合で混合して使用することもできる。その場合、エポキシ（メタ）アクリレートの本発明の樹脂組成物中における重量割合は通常５～９０重量％、好ましくは１０～８５重量％である。

　本発明の樹脂組成物に含有される光重合開始剤（Ｃ）としては、特に限定はされないが、例えば、１－ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン（イルガキュアー（登録商標、以下同じ）１８４；ＢＡＳＦ製）、２－ヒドロキシ－２－メチル－［４－（１－メチルビニル）フェニル］プロパノールオリゴマー（エサキュアＯＮＥ；ランバルティ製）、１－[４－（２－ヒドロキシエトキシ）－フェニル]－２－ヒドロキシ－２－メチル－１－プロパン－１－オン（イルガキュアー２９５９；ＢＡＳＦ製）、２－ヒドロキシ－１－｛４－［４－（２－ヒドロキシ－２－メチル－プロピオニル）－ベンジル]－フェニル｝－２－メチル－プロパン－１－オン（イルガキュアー１２７；ＢＡＳＦ製）、２，２－ジメトキシ－２－フェニルアセトフェノン（イルガキュアー６５１；ＢＡＳＦ製）、２－ヒドロキシ－２－メチル－１－フェニル－プロパン－１－オン（ダロキュア（登録商標、以下同じ）１１７３；ＢＡＳＦ製）、２－メチル－１－［４－（メチルチオ）フェニル］－２－モルホリノプロパン－１－オン（イルガキュアー９０７；ＢＡＳＦ製）、オキシ－フェニル－アセチックアシッド２－［２－オキソ－２－フェニル－アセトキシ－エトキシ]－エチルエステルとオキシ－フェニル－アセチックアシッド２－［２－ヒドロキシ－エトキシ]－エチルエステルの混合物（イルガキュアー７５４；ＢＡＳＦ製）、２－ベンジル－２－ジメチルアミノ－１－（４－モルホリノフェニル）－ブタン－１－オン、２－クロロチオキサントン、２，４－ジメチルチオキサントン、２，４－ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、２，４，６－トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド（スピードキュアＴＰＯ（登録商標、以下同じ）；ＬＡＭＢＳＯＮ社製）、ビス（２，４，６－トリメチルベンゾイル）－フェニルフォスフィンオキサイド、ビス（２，６－ジメトキシベンゾイル）－２，４，４－トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
　透明性の観点から、１－ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン（イルガキュアー１８４；ＢＡＳＦ製）、２－ヒドロキシ－２－メチル－［４－（１－メチルビニル）フェニル］プロパノールオリゴマー（エサキュアＫＩＰ－１５０；ランバルティ製）、フェニルグルコキシル酸メチルエステル（ダロキュアＭＢＦ；ＢＡＳＦ製）、又は、オキシ－フェニル－アセチックアシッド２－［２－オキソ－２－フェニル－アセトキシ－エトキシ]－エチルエステルとオキシ－フェニル－アセチックアシッド２－［２－ヒドロキシ－エトキシ]－エチルエステルの混合物（イルガキュアー７５４；ＢＡＳＦ製）が好ましい。また、接着剤内部の硬化性を良好にする観点からは、２，４，６－トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド（スピードキュアＴＰＯ；ＬＡＭＢＳＯＮ社製）が好ましい。

　本発明の樹脂組成物においては、これら（Ｃ）成分は、１種のみを使用してもよく、また、２種以上を任意の割合で混合して使用することもできる。（Ｃ）成分の本発明の樹脂組成物中における重量割合は通常０．０１～５重量％、好ましくは０．０２～５重量％、より好ましくは０．０５～５重量％である。
　ここで、透明性を向上させるために２，４，６－トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドのみを光重合開始剤として使用する場合、好適な本発明の樹脂組成物中における重量割合（樹脂組成物の総量に対する含量割合、以下同じ）は通常０．０１～１．０重量％であり、０．０２～０．８重量％がより好ましく、０．０５～０．８重量％が特に好ましい。

　本発明の樹脂組成物は、更に、上記（Ａ）成分、（Ｂ）成分及び（Ｃ）成分以外のその他の成分を、必要に応じて含むことができる。
　該その他の成分としては、例えば、光重合開始助剤となりうる化合物（例えばアミン類）、オキセタン化合物、柔軟化成分、（メタ）アクリルポリマー、及び、その他の添加剤等を挙げることが出来る。
　該その他の成分の含量割合は、本発明の樹脂組成物の総量に対して、その他の成分の合計で、０～８０重量％であり、好ましくは０～６０重量％、より好ましくは０～５０重量％、更に好ましくは、０～４０重量％程度であり、最も好ましくは０～３０重量％である。以下に、該その他の成分について、説明する。
　光重合開始助剤となりうる化合物として、例えばアミン類等を挙げることが出来、上記の光重合開始剤と併用してもよい。使用しうるアミン類等としては、安息香酸２－ジメチルアミノエチルエステル、ジメチルアミノアセトフェノン、ｐ－ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルまたはｐ－ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等が挙げられる。該アミン類等の光重合開始助剤を使用する場合、本発明の樹脂組成物中の含有量は通常０．００５～５重量％、好ましくは０．０１～３重量％である。

　本発明の樹脂組成物においては、その他の成分として、必要によりオキセタン化合物を含有させることができる。該オキセタン化合物は含まなくても良いが、必要により、含有させることにより、硬化物の硬度等の調整をできる場合がある。
使用できるオキセタン化合物は公知のものであれば特に限定されない。
　オキセタン化合物の具体例としては、例えば、４－ビス[（３－エチル－３－オキセタニルメトキシ）メチル]ベンゼン、４－ビス[（３－メチル－３－オキセタニルメトキシ）メチル]ベンゼン、３－メチル－３－グリシジルオキセタン、３－エチル－３－ヒドロキシメチルオキセタン、３－メチル－３－ヒドロキシメチルオキセタン、ジ（１－エチル（３－オキセタニル））メチルエーテル、３－エチル－３－（フェノキシメチル）オキセタン、３－（シクロヘキシルオキシ）メチル－３－エチルオキセタン、キシリレンビスオキセタン、フェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。通常用いられるオキセタン化合物であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、２種以上を用いてもよい。

　本発明の紫外線硬化型接着剤においては、これらオキセタン化合物は、１種のみを使用してもよく、また、２種以上を任意の割合で混合して使用することもできる。オキセタン化合物を使用する場合、オキセタン化合物の本発明の樹脂組成物中における重量割合は通常５～７０重量％、好ましくは５～５０重量％である。

　本発明の樹脂組成物には、硬化物の柔軟性の観点から、その他の成分として、必要に応じて（Ａ）成分以外の柔軟化成分を使用することができる。使用できる柔軟化成分の具体例としては、ポリマー、オリゴマー、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、グリコールエステル類、脂肪族二塩基酸エステル類、脂肪酸エステル類、クエン酸エステル類、エポキシ系可塑剤、ヒマシ油類、テルペン系水素添加樹脂、スチレンポリマー、スチレン－ブタジエン共重合体、スチレン－イソプレン共重合体、ポリカーボネート等が挙げられる。上記のオリゴマー及びポリマーの例としては、ポリイソプレン骨格及び／又はポリブタジエン骨格を有するオリゴマー（例えば、水酸基末端イソプレン重合体オリゴマー、水酸基末端ブタジエン重合体オリゴマーまたは水酸基末端イソプレン－ブタジエン共重合体オリゴマー）又はポリマー等を例示することができる。
　好ましい一例としては、（メタ）アクリルポリマー又は水酸基末端液状ポリイソプレン（Ｐｏｌｙ　ｉｐ、出光興産株式会社製）等が挙げられる。
　（Ａ）成分以外の上記柔軟化成分を使用する場合、本発明の樹脂組成物中における該柔軟化成分の重量割合は、通常３～８０重量％、好ましくは３～７０重量％、より好ましくは３～５０重量％である。

　また、上記の柔軟化成分におけるポリマーの一つとして、（メタ）アクリルポリマーを使用する態様は、好ましい態様の一つである。

　（メタ）アクリルポリマーは、アクリル系又はメタクリル系モノマーを原料として重合させたポリマー、又は、該モノマー以外の他の重合性モノマーと該モノマーとの共重合体が挙げられ、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等の通常の方法によって製造できる。
　特に好ましい製造方法としては、高温で連続的にラジカル重合を行って製造することが好ましい。具体的には、以下のプロセスによって製造するものである。まず、アクリル系又はメタクリル系モノマーに対して微量の重合開始剤と微量の溶剤を混合させる。そして、１５０℃以上の温度において、１０分以上高圧下で反応させる。その後、分離機で未反応成分と反応により得られた（メタ）アクリルポリマーに分離して、（メタ）アクリルポリマーを得ることができる。
　ここで、得られた（メタ）アクリルポリマーに重合開始剤が混入していると、保存安定性に劣る恐れがあるため、溶剤を留去しながら反応を行うか、（メタ）アクリルポリマーを分離した後に溶剤を留去することが好ましい。

　（メタ）アクリルポリマーの原料として使用されるアクリル系又はメタクリル系モノマーとしては、（メタ）アクリル酸、α－エチルアクリル酸；メチル（メタ）アクリレート、ｎ－プロピル（メタ）アクリレート、イソプロピル（メタ）アクリレート、ｎ－ブチル（メタ）アクリレート、ｓｅｃ－ブチル（メタ）アクリレート、ｔｅｒｔ－ブチル（メタ）アクリレート、２－エチルブチル（メタ）アクリレート、１，３－ジメチルブチル（メタ）アクリレート、ヘキシル（メタ）アクリレート、２－エチルヘキシル（メタ）アクリレート、オクチル（メタ）アクリレート、３－エトキシプロピル（メタ）アクリレート、３－エトキシブチル（メタ）アクリレート、ジメチルアミノエチル（メタ）アクリレート、２－ヒドロキシエチル（メタ）アクリレート、ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート、α－（ヒドロキシメチル）エチル（メタ）アクリレート、フェニル（メタ）アクリレート、ベンジル（メタ）アクリレート、フェニルエチル（メタ）アクリレート等のエステル系（メタ）アクリレート等が挙げられ、これらの１種のみを使用してもよく、また、２種以上を使用することもできる。

　共重合させてもよい他の重合性モノマーとしては、不飽和二重結合を有する公知の化合物を用いることができ、例えば、スチレン、３－ニトロスチレン、４－メトキシスチレン；α－メチルスチレン、β－メチルスチレン、２，４－ジメチルスチレン、ビニルトルエン、α－エチルスチレン、α－ブチルスチレン、及び、α－ヘキシルスチレン等のアルキルスチレン類；４－クロロスチレン、３－クロロスチレン、及び、３－ブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類；クロトン酸、α－メチルクロトン酸、α－エチルクロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、及び、グルタコン酸等の不飽和二重結合を有するカルボン酸類が挙げられる。

　これらのうち、組成物の他の成分への溶解性、硬化物の接着性の面から、アクリル系又はメタクリル系モノマーとしてはメチル（メタ）アクリレート、ｎ－ブチル（メタ）アクリレート、２－エチルヘキシル（メタ）アクリレート及びオクチル（メタ）アクリレート等のＣ１～Ｃ１０アルキル（メタ）アクリレート；又は、２－ヒドロキシエチル（メタ）アクリレート及びヒドロキシブチル（メタ）アクリレート等の水酸基を有するＣ１～Ｃ１０アルキル（メタ）アクリレートが好ましく、他の重合性モノマーとしてはスチレン等が好ましい。

　本発明においては、（メタ）アクリルポリマーの重量平均分子量としては、１５００～３００００であり、好ましくは３０００～２００００、特に好ましくは５０００～１５０００である。重量平均分子量が少な過ぎる場合は、硬化物の接着性が劣る傾向にあり、一方、大き過ぎる場合には、他のモノマーに溶解しにくくなったり白濁したりするため好ましくない。

　（メタ）アクリルポリマーは、市販品として容易に入手することもできる。例えば、東亞合成株式会社製「ＡＲＵＦＯＮシリーズ」が挙げられ、ＵＰ－１１７０やＵＨ－２１９０として入手できる。また、三菱レイヨン株式会社製ＢＲ－１０２２（商品名）として入手することもできる。

　（メタ）アクリルポリマーを使用する場合、その本発明の樹脂組成物中における重量割合は通常５重量％～８０重量％であり、５重量％～６０重量％が好ましく、５重量％～５０重量％程度がより好ましい。

　本発明の樹脂組成物には、更に、その他の添加剤として、必要に応じて酸化防止剤、有機溶剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、蛍光増白剤、光安定剤（例えば、ヒンダードアミン化合物等）、充填剤等の添加剤を加えてもよい。

　酸化防止剤の具体例としては、例えば、ＢＨＴ、２，４－ビス－（ｎ－オクチルチオ）－６－（４－ヒドロキシ－３，５－ジ－ｔ－ブチルアニリノ）－１，３，５－トリアジン、ペンタエリスリチル・テトラキス［３－（３，５－ジ－ｔ－ブチル－４－ヒドロキシフェニル）プロピオネート］、２，２－チオ－ジエチレンビス［３－（３，５－ジ－ｔ－ブチル－４－ヒドロキシフェニル）プロピオネート］、トリエチレングリコール－ビス［３－（３－ｔ－ブチル－５－メチル－４－ヒドロキシフェニル）プロピオネート］、１，６－ヘキサンジオール－ビス［３－（３－ｔ－ブチル－５－メチル－４－ヒドロキシフェニル）プロピオネート］、オクタデシル－３－（３，５－ジ－ｔ－ブチル－４－ヒドロキシフェニル）プロピオネート、Ｎ，Ｎ－ヘキサメチレンビス（３，５－ジ－ｔ－ブチル－４－ヒドロキシ－ヒドロシンナマミド）、１，３，５－トリメチル－２，４，６－トリス（３，５－ジ－ｔ－ブチル－４－ヒドロキシベンジル）ベンゼン、トリス－（３，５－ジ－ｔ－ブチル－４－ヒドロキシベンジル）－イソシアヌレート、オクチル化ジフェニルアミン、２，４－ビス［（オクチルチオ）メチル］－Ｏ－クレゾール、イソオクチル－３－（３，５－ジ－ｔ－ブチル－４－ヒドロキシフェニル）プロピオネート、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。

　有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、及び、キシレン等が挙げられる。

　シランカップリング剤の具体例としては、例えば、３－グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、３－グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、２－（３，４－エポキシシクロヘキシル）エチルトリメトキシシラン、Ｎ－（２－アミノエチル）３－アミノプロピルメチルジメトキシシラン、Ｎ－（２－アミノエチル）３－アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、３－アミノプロピルトリエトキシシラン、３－メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、Ｎ－（２－（ビニルベンジルアミノ）エチル）３－アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、３－メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、３－クロロプロピルメチルジメトキシシラン、及び、３－クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤；イソプロピル（Ｎ－エチルアミノエチルアミノ）チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ（ジオクチルピロフォスフェート）オキシアセテート、テトライソプロピルジ（ジオクチルフォスファイト）チタネート、及び、ネオアルコキシトリ（ｐ－Ｎ－（β－アミノエチル）アミノフェニル）チタネート等のチタン系カップリング剤；Ｚｒ－アセチルアセトネート、Ｚｒ－メタクリレート、Ｚｒ－プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス（ドデカノイル）ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス（エチレンジアミノエチル）ジルコネート、ネオアルコキシトリス（ｍ－アミノフェニル）ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Ａｌ－アセチルアセトネート、Ａｌ－メタクリレート、及び、Ａｌ－プロピオネート等のジルコニウム或いはアルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。

　重合禁止剤の具体例としては、パラメトキシフェノール、メチルハイドロキノン等が挙げられる。

　光安定剤の具体例としては、例えば、１，２，２，６，６－ペンタメチル－４－ピペリジルアルコール、２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジルアルコール、１，２，２，６，６－ペンタメチル－４－ピペリジル（メタ）アクリレート（アデカ株式会社製、ＬＡ－８２）、テトラキス(１，２，２，６，６－ペンタメチル－４－ピペリジル)－１，２，３，４－ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジル)－１，２，３，４－ブタンテトラカルボキシラート、１，２，３，４－ブタンテトラカルボン酸と１，２，２，６，６－ペンタメチル－４－ピペリジノールおよび３，９－ビス（２－ヒドロキシ－１，１－ジメチルエチル）－２，４，８，１０－テトラオキサスピロ[５．５]ウンデカンとの混合エステル化物、デカン二酸ビス（２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジル）セバケート、ビス（１－ウンデカンオキシ－２，２，６，６－テトラメチルピペリジン－４－イル）カーボネート、２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジルメタクリレート、ビス（２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジル）セバケート、ビス（１，２，２，６，６－ペンタメチル－４－ピペリジル）セバケート、４－ベンゾイルオキシ－２，２，６，６－テトラメチルピペリジン、１－〔２－〔３－（３，５－ジ－ｔｅｒｔ－ブチル－４－ヒドロキシフェニル）プロピオニルオキシ〕エチル〕－４－〔３－（３，５－ジ－ｔｅｒｔ－ブチル－４－ヒドロキシフェニル）プロピオニルオキシ〕－２，２，６，６－テトラメチルピペリジン、１，２，２，６，６－ペンタメチル－４－ピペリジニル－（メタ）アクリレート、ビス（１，２，２，６，６－ペンタメチル－４－ピペリジニル）〔〔３，５－ビス（１，１－ジメチルエチル）－４－ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス（２，２，６，６－テトラメチル－１（オクチルオキシ）－４－ピペリジニル）エステル，１，１－ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、Ｎ，Ｎ’，Ｎ″，Ｎ″′－テトラキス－（４，６－ビス－（ブチル－（Ｎ－メチル－２，２，６，６－テトラメチルピペリジン－４－イル）アミノ）－トリアジン－２－イル）－４，７－ジアザデカン－１，１０－ジアミン、ジブチルアミン・１，３，５－トリアジン・Ｎ，Ｎ’－ビス（２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジル－１，６－ヘキサメチレンジアミンとＮ－（２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジル）ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔６－（１，１，３，３－テトラメチルブチル）アミノ－１，３，５－トリアジン－２，４－ジイル〕〔（２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジル）イミノ〕ヘキサメチレン〔（２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジル）イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと４－ヒドロキシ－２，２，６，６－テトラメチル－１－ピペリジンエタノールの重合物、２，２，４，４－テトラメチル－２０－（β－ラウリルオキシカルボニル）エチル－７－オキサ－３，２０－ジアザジスピロ〔５・１・１１・２〕ヘネイコサン－２１－オン、β－アラニン，Ｎ，－（２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジニル）－ドデシルエステル／テトラデシルエステル、Ｎ－アセチル－３－ドデシル－１－（２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジニル）ピロリジン－２，５－ジオン、２，２，４，４－テトラメチル－７－オキサ－３，２０－ジアザジスピロ〔５，１，１１，２〕ヘネイコサン－２１－オン、２，２，４，４－テトラメチル－２１－オキサ－３，２０－ジアザジシクロ－〔５，１，１１，２〕－ヘネイコサン－２０－プロパン酸ドデシルエステル／テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド，〔（４－メトキシフェニル）－メチレン〕－ビス（１，２，２，６，６－ペンタメチル－４－ピペリジニル）エステル、２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、及び、１，３－ベンゼンジカルボキシアミド，Ｎ，Ｎ’－ビス（２，２，６，６－テトラメチル－４－ピペリジニル）等のヒンダードアミン系化合物；オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物；２－（２Ｈ－ベンゾトリアゾール－２－イル）－４－（１，１，３，３－テトラメチルブチル）フェノール、２－（２－ヒドロキシ－５－メチルフェニル）ベンゾトリアゾール、２－〔２－ヒドロキシ－３－（３，４，５，６－テトラヒドロフタルイミド－メチル）－５－メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、２－（３－ｔｅｒｔ－ブチル－２－ヒドロキシ－５－メチルフェニル）－５－クロロベンゾトリアゾール、２－（２－ヒドロキシ－３，５－ジ－ｔｅｒｔ－ペンチルフェニル）ベンゾトリアゾール、メチル３－（３－（２Ｈ－ベンゾトリアゾール－２－イル）－５－ｔｅｒｔ－ブチル－４－ヒドロキシフェニル）プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、及び、２－（２Ｈ－ベンゾトリアゾール－２－イル）－６－ドデシル－４－メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物；２，４－ジ－ｔｅｒｔ－ブチルフェニル－３，５－ジ－ｔｅｒｔ－ブチル－４－ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系化合物；２－（４，６－ジフェニル－１，３，５－トリアジン－２－イル）－５－〔（ヘキシル）オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物；等が挙げられる。特に好ましくは、ヒンダードアミン系化合物である。

　充填剤の具体例としては、例えば、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア及びタルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられる。

　上記の各種添加剤は任意成分であり、本発明の樹脂組成物に含まれていなくてもよい。各種添加剤が本発明の樹脂組成物中に存在する場合、各種添加剤の樹脂組成物中における重量割合は、０．０１～３重量％、好ましくは０．０１～１重量％、より好ましくは０．０２～０．５重量％である。

　本発明の樹脂組成物は、前記した各成分を常温～８０℃で混合溶解して得ることができる。必要により夾雑物をろ過等の操作により取り除いてもよい。本発明の液状樹脂接着剤として使用される接着用樹脂組成物は、塗布性を考え、２５℃の粘度が３００～１５０００ｍＰａ・ｓの範囲となるように、成分の配合比を適宜調節することが好ましい。

　本発明の樹脂組成物の好ましい硬化収縮率は３．０％以下であり、より好ましくは２．０％以下、更に好ましくは１．５％以下、特に好ましくは、１．０％以下である。これにより、紫外線硬化型樹脂組成物が硬化する際に、樹脂硬化物に蓄積される内部応力を低減することができ、基材と紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物からなる層との界面に歪みができることを有効に防止することができる。
　また、前記の通りガラス等の基材の薄型化が進んでおり、樹脂組成物の硬化収縮率が大きい場合には、硬化時の当該基材の反りが大きくなり、表示性能に大きな悪影響を及ぼすため、当該観点からも、硬化収縮率は少ない方が好ましい。
　本発明の樹脂組成物においては、硬化物の１ＭＨｚでの比誘電率が５．０以下であることが好ましく、３．０以下であることが特に好ましい。該比誘電率が高すぎる場合には、タッチパネル用に使用した際に応答性が良くなりすぎてしまい、タッチパネルをタッチした際に、その周辺箇所まで感知する可能性が増え、結果的に感度不良を引き起こす恐れがあるためである。

　本発明の樹脂組成物の硬化物（厚さ２００μｍ）における４００ｎｍ～８００ｎｍでの透過率が９０％以上であることが好ましい。透過率が低すぎる場合、光が透過し難く、表示装置に使用した場合に視認性が低下してしまうためである。
　また、該硬化物の４００～４５０ｎｍでの透過率が高いと視認性の向上が一層期待できることから、４００～４５０ｎｍでの透過率が９０％以上であることが好ましい。

　以下に、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物の好ましい態様を例示する。なお、下記においては「本発明の紫外線硬化型樹脂組成物」を、簡略に「樹脂組成物」と表示する。
（Ｉ）前記（Ａ）成分、前記（Ｂ）成分及び光重合開始剤（Ｃ）を含有する紫外線硬化型樹脂組成物において、該（Ａ）成分の数平均分子量が１００～１０００、好ましくは１００～７００、より好ましくは２００～６００である樹脂組成物。
（ＩＩ）前記（Ａ）成分が、前記一般式（１）で示される構造を有するノボラック化合物（Ａ）である上記（Ｉ）に記載の樹脂組成物。
（ＩＩＩ）前記（Ｂ）成分として、（メタ）アクリロイル基を１個又は２個有する（メタ）アクリレートを含有する上記（Ｉ）又は（ＩＩ）に記載の樹脂組成物。
（ＩＶ）前記（Ｂ）成分として、（ｉ）ウレタン（メタ）アクリレート、又は、（ｉｉ）ポリ（Ｃ２～Ｃ４）アルキレングリコールモノ又はジ（メタ）アクリレートの少なくとも何れか一方を含有する上記（Ｉ）～（ＩＩＩ）に記載の樹脂組成物。
（Ｖ）（ｉ）ウレタン（メタ）アクリレート、及び、（ｉｉ）ポリ（Ｃ２～Ｃ４）アルキレングリコールモノ又はジ（メタ）アクリレート（好ましくはジ（メタ）アクリレート）、のいずれか一方若しくは両者を含み、その含量（両者を含むときは合計含量）が、（Ｂ）成分の総量に対して３０～１００重量％であり、残部がその他の（メタ）アクリレート化合物である上記（ＩＶ）に記載の樹脂組成物。
（ＶＩ）前記（Ｂ）成分として、ウレタン（メタ）アクリレートを含有する上記（Ｉ）～（Ｖ）の何れか一項に記載の樹脂組成物。
（ＶＩＩ）（ｉ）ウレタン（メタ）アクリレート、及び、（ｉｉ）ポリ（Ｃ２～Ｃ４）アルキレングリコールモノ又はジ（メタ）アクリレート（好ましくはジ（メタ）アクリレート）、のいずれか一方若しくは両者を含み、その含量（両者を含むときは合計含量）が、（Ｂ）成分の総量に対して７０～１００重量％である上記（ＶＩ）に記載の樹脂組成物。
（ＶＩＩＩ）該ウレタン（メタ）アクリレートが、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有（メタ）アクリレートの反応物である上記（ＩＶ）～（ＶＩＩ）の何れか一項に記載の樹脂組成物。
（ＩＸ）樹脂組成物の総量に対する該ウレタン（メタ）アクリレートの含量が２～４０重量％である上記（ＩＶ）～（ＶＩＩＩ）の何れか一項に記載の樹脂組成物。

（Ｘ）前記（Ｂ）成分として、ラウリル（メタ）アクリレート、２－エチルヘキシルカルビトールアクリレート、アクリロイルモルホリン、４－ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート、テトラヒドロフルフリル（メタ）アクリレート、イソステアリル（メタ）アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル（メタ）アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル（メタ）アクリレート及び２－デシルテトラデカニル（メタ）アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つの単官能（メタ）アクリレートを含有する上記（Ｉ）～（ＩＸ）の何れか一項に記載の樹脂組成物。
（ＸＩ）前記（Ｂ）成分として、ウレタン（メタ）アクリレート、ポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ（メタ）アクリレート及びアルキレンオキサイド変性ビスフェノールＡ型ジ（メタ）アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つのジ（メタ）アクリレートを含有する上記（Ｉ）～（ＩＸ）の何れか一項に記載の樹脂組成物。
（ＸＩＩ）樹脂組成物の総量に対して、（Ａ）成分の含量が５～９５重量％であり、（Ｂ）成分の含量が５～９５重量％であり、光重合開始剤（Ｃ）の含量が０．０１～５重量％であり、（Ａ）成分、（Ｂ）成分及び光重合開始剤（Ｃ）以外のその他の成分が０～５０重量％である上記（Ｉ）～（ＸＩ）の何れか一項に記載の樹脂組成物。
（ＸＩＩＩ）（Ａ）成分の含量が３０～９０重量％である上記（ＩＸ）に記載の樹脂組成物、
（ＸＩＶ）樹脂組成物の総量に対する（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）の含量Ｂに対するノボラック化合物（Ａ）の含量Ａの重量割合Ａ／Ｂが１～１０である上記（Ｉ）～（ＸＩＩＩ）の何れか一項に記載の樹脂組成物。

（ＸＶ）硬化収縮率が３％以下、好ましくは２％以下である上記（Ｉ）～（ＸＩＶ）の何れか一項に記載の樹脂組成物。
（ＸＶＩ）１ＭＨｚの比誘電率が５．０以下である上記（Ｉ）～（ＸＶ）の何れか一項に記載の樹脂組成物。
（ＸＶＩＩ）厚さ２００μｍの硬化物の４００～８００ｎｍでの平均透過率が少なくとも９０％である上記（Ｉ）～（ＸＶＩ）の何れか一項に記載の樹脂組成物。
（ＸＶＩＩＩ）活性エネルギー線の照射により硬化する硬化物の屈折率が１．４５～１．５５である上記（Ｉ）～（ＸＶＩＩ）の何れか一項に記載の樹脂組成物。

　本発明の樹脂組成物は、ノボラック化合物（Ａ）及び（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）の両者を含むことにより、仮硬化後においても、貼り合わせた光学基材からの剥離性が良く、貼り合わされた光学基材を再生するリワーク性に優れる。
　好ましい態様においては、該樹脂組成物は、ノボラック化合物（Ａ）として一般式（１）で表されるノボラック化合物（Ａ）、及び、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）として、ウレタン（メタ）アクリレート又は／及び（メタ）アクリロイル基を１個有する（メタ）アクリレートを含む。特に、リワーク性に優れるという点では、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）として、少なくとも、ウレタン（メタ）アクリレートを含有する本発明の樹脂組成物が好ましい。該樹脂組成物は、仮硬化後においても光学基材からの剥離性に特に優れることから、貼り合わせ及び仮硬化等の製造工程途中で生じた欠陥のある貼り合わせ光学基材から、該樹脂組成物、好ましくは仮硬化の該樹脂組成物を除去して、貼り合わされた光学基材を、元の光学基材に再生するリワーク性に優れる。
　通常、該樹脂組成物を用いて貼り合わされた光学基材から、リワークの目的で該樹脂組成物層を剥離する（除去する）には、該樹脂組成物が仮硬化されていないときはそのまま若しくは仮硬化した後、仮硬化されているときはそのまま、貼り合わされた光学基材を加熱し、次いで、ワイヤー等の除去手段を用いて、未仮硬化の樹脂組成物層若しくは仮硬化された該樹脂組成物層を切り進むことによって、該光学基材から該樹脂組成物層を剥離する（除去する）ことができる。その際、剥離を容易にするために溶剤が使用される。また、該樹脂組成物層（仮硬化したものを含む）をワイヤー等で剥離しても、光学基材にその一部が付着物として残ることがあるので、この付着物も、好ましくは溶剤の存在下に、拭き取る等の除去手段で、完全に除去することが好ましい。
　用いる溶剤としては、イソプロピルアルコール等のアルコール溶剤が好ましく、炭素数３又は４の分岐したアルコール溶剤がより好ましく、イソプロピルアルコールがより好ましい。
　本発明の、前記ノボラック化合物（Ａ）及び（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）を含む樹脂組成物は、仮硬化の段階では、剥離性に優れるため、溶剤としてイソプロピルアルコール等のアルコール溶剤の使用により、より容易に該樹脂組成物層の除去を行うことができる。
　なお、本明細書において、「仮硬化」とは、本発明の樹脂組成物が流動性を失うが、まだ、樹脂組成物としての柔らかさを有し、溶剤を存在させることにより、容易に除去することができる程度に硬化した段階を言う。

　本発明の樹脂組成物を用いて少なくとも２つの光学基材を貼り合わせることにより、本発明の樹脂組成物の硬化物層を有する光学部材（例えば、タッチパネル、表示装置、タッチパネル付き表示装置等）を得ることができる。貼り合わせる２つの光学基材の少なくとも一方の光学基材の貼り合わせ面に、上記本発明の樹脂組成物を塗布して、塗布層を形成した後、２つの基材の貼り合わせ面同士で、該塗布層を挟むように、２つの光学基材を貼り合わせる。その後、貼り合わされた光学基材を通して、そこに挟まれた該樹脂組成物層に活性エネルギー線を照射して、該塗布層を硬化させることにより、２つの光学基材が貼り合わされた光学部材を得ることが出来る。同様な操作を繰り返すことで、３つ以上の光学基材が貼り合わされた光学部材を得ることが出来る。
　上記の光学部材の製造方法をより詳しく説明する。本発明の樹脂組成物を、貼り合わせる光学基材の少なくとも一方に、スリットコーター、ロールコーター、スピンコーター又はスクリーン印刷法等の塗工装置を用いて、塗布した樹脂の膜厚が１０～３００μｍとなるように塗布し、その後、他方の光学基材を貼り合わせる。次いで、透明基材側から活性エネルギー線として、例えば、紫外～近紫外（波長２００～４００ｎｍ付近）の光線を該樹脂組成物層に照射し、該樹脂組成物を硬化させることにより、２つの光学基材を接着させることができる。このときの活性エネルギー線の照射量（積算光量）は約１００～４０００ｍＪ／ｃｍ^２が好ましく、特に好ましくは、２００～３０００ｍＪ／ｃｍ^２程度である。紫外～近紫外の光線照射による硬化に使用する光源は、紫外～近紫外の光線を照射するランプであれば、その種類を問わない。例えば、低圧、高圧若しくは超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、（パルス）キセノンランプ、または無電極ランプ等が挙げられる。

　本発明の光学部材は、例えば、図１に示す工程により効率的に、欠陥が少ない光学部材を製造することができる。図１に従って、該光学部材の製造方法をより詳細に説明する。
　まず、図１における各略称について説明する。
「塗布」は、貼り合わせる光学基材の少なくとも一方に、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を塗布する工程である。
「貼合」は、上記で紫外線硬化型樹脂組成物を塗布された光学基材の少なくとも２つを貼り合わせる工程である。
「貼合」の後の「検査」は、上記で貼り合わされた光学基材について、貼り合わせに欠陥（気泡の混入等）が無いか否かを検査する工程である。
「OK」は、検査での合格を意味する。
「NG」は、検査で欠陥が見出されたことを意味する。
「低UV」は、貼り合わされた光学基材を通して、光学基材に挟まれている該樹脂組成物層に、低い照射量（積算光量）の活性エネルギー線を照射して、該樹脂組成物を仮硬化させる工程である。
「リペア」は、欠陥が見出された貼り合わされた光学基材から、仮硬化された該樹脂組成物を取り除き、光学基材を再使用に回す（リワーク）工程である。
「本UV」は、本硬化のために活性エネルギー線を、仮硬化した該樹脂組成物層に照射して、仮硬化した該樹脂組成物層を、本硬化させる工程である。
　図１に示すように、「塗布」工程で、光学基材に本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を塗布して、次いで、「貼合」工程で、少なくとも２つの光学基材を貼り合わせた後に、「低UV」工程で、該樹脂組成物層に低い照射量の活性エネルギー線（例えば紫外線）を照射し、仮硬化し、次いで、「本UV」工程で、より高い照射量の活性エネルギー線で本硬化することにより、本発明の光学部材を得ることができる。

　図１に示すように、「貼合」工程後と、「低UV」工程後に、「検査」工程（製造過程で生じる欠陥を検査する工程）を入れることにより、検査で欠陥が見つかった場合には、その時点で、その貼り合わされた光学基材を製造工程から外して、該光学基材を再生させることができるので、非常に好ましい。貼り合わされた光学基材を再生するには、光学基材に挟まれた上記樹脂組成物層を、仮硬化していない場合には、仮硬化させ、仮硬化している場合にはそのまま、好ましくはアルコール溶剤の存在下に、ワイヤー等を用いる除去手段で、除去して、光学基材を最初の状態に戻せば良い。そのように再生された光学基材は、通常の光学基材と全く同様に、再度最初の工程に使用することが出来る。
　本明細書においては、貼りあわされた光学基材から、上記の樹脂組成物（仮硬化したものを含む）を除去して、個々の最初の光学基材に戻し、再度最初の工程に使用することを「リワーク」とも云う。
　上記の該樹脂組成物の塗布は、貼り合わせる光学基材の少なくとも一方に、スリットコーター、ロールコーター、スピンコーター又はスクリーン印刷法等の塗工装置を用いて、塗布すればよい。該樹脂組成物の塗布層の厚さは、１０～３００μｍ程度であれば良い。
　少なくとも２つの光学基材の貼り合わせは、少なくとも一方に該樹脂組成物の塗布層を有する光学基材を用いて、貼り合わせる２つの光学基材の貼り合わせ面で該樹脂組成物の層を挟むように、２つの光学基材を貼り合わせ、必要に応じて、更に、それをくり返すことにより、行うことができる。貼り合わされた光学基材に挟まれた該樹脂組成物層の厚さ（硬化物層の厚さもほぼ同じ）は、１０～３００μｍ程度であり、好ましくは５０～３００μｍ程度であり、より好ましくは１００～３００μｍであり、最も好ましくは１５０～２５０μｍである。
　好ましくは、次に、こうして得られた貼りあわされた光学基材に、貼り合わせにより生じる欠陥が検出されるか否かを検査する（以下、「欠陥検査」という）。貼り合わせによる欠陥としては、例えば、光学基材と該樹脂組成物層との間に気泡が介在する等の欠陥を挙げることが出来る。
　上記欠陥検査の結果、欠陥が見出された場合には、貼りあわされた光学基材のリワークのため、該樹脂組成物層の除去を行う。好ましくは該樹脂組成物層に低い照射量の活性エネルギー線を照射し、仮硬化した後、上記除去手段等を用いて、該仮硬化した樹脂組成物層を貼りあわされた光学基材から除去する。活性エネルギー線を照射するときの照射条件等は、下記の仮硬化における照射方法に準ずる。樹脂組成物層が除去され、再生された光学基材は、最初の光学基材と同様に、再度光学部材の製造に使用される。

　上記欠陥検査において、欠陥が無いことが確認された場合には、低い照射量（積算光量）の活性エネルギー線、例えば波長２００～４００ｎｍ付近の紫外～近紫外線により、該樹脂組成物層の仮硬化を行う。ここでの照射量は、通常１０～２０００ｍＪ／ｃｍ^２であり、好ましくは、５０～５００ｍＪ／ｃｍ^２程度である。１０ｍＪ／ｃｍ^２より少ないと、仮硬化物層が光学基材に付着しにくくなる恐れがあり、２０００ｍＪ／ｃｍ^２より多いと、硬化物層と光学基材が剥離しにくくなる恐れがある。紫外～近紫外の光線照射による硬化に使用する光源は、紫外～近紫外の光線を照射するランプであれば、その光源の種類を問わない。例えば、低圧、高圧若しくは超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、（パルス）キセノンランプ、または無電極ランプ等が挙げられる。
　仮硬化においては、光学基材の間に挟まれた樹脂組成物層の全面に紫外線を照射しても構わないし、該樹脂組成物層の数箇所を集中的に照射させる方法を採用しても構わない。

　仮硬化後に再度欠陥検査を行い、欠陥が無ければ、仮硬化された該樹脂組成物層に再度活性エネルギー線を照射し、本硬化を行うことで、本発明の光学部材が得られる。
　本硬化における照射量（積算光量）は通常１００～３０００ｍＪ／ｃｍ^２であり、１０００～２０００ｍＪ／ｃｍ^２が好ましい。本硬化において使用する光源は、仮硬化と同じように、紫外～近紫外の光線を照射するランプであればよい。

　一方、仮硬化後の欠陥検査で欠陥が発見された場合には、上記方法により、光学基材から仮硬化した該樹脂組成物層を除去する。仮硬化した該樹脂組成物層が完全に除去され、再生した光学基材は、再度光学部材を得るために使用される。

　上記製造工程途中での検査により、欠陥品を製造工程から外し、光学基材の再生を行うことで、より効率的に、欠陥品の少ない光学部材を提供することができるようになる。
　また、本発明の樹脂組成物は前記した様に、剥離性に優れるため、仮硬化後においても、ワイヤーなどの除去手段を使用して、好ましくは、溶剤の存在下に、該仮硬化した該樹脂組成物を貼りあわされた光学基材の間から、容易に除去し、貼りあわされた光学基材を容易に再生することができる。
　溶剤としては、イソプロピルアルコール等のアルコール溶剤、好ましくは炭素数３～４の分岐アルコール溶剤、より好ましくは、イソプロピルアルコールを挙げることが出来る。

　本発明の光学部材の好ましい製造方法の一例として、下記第一工程、第二工程及び第三工程を経由する方法が挙げられる。
（第一工程）光学基材に、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を塗布して、少なくとも２つの光学基材を貼り合わせる工程。
（第二工程）貼り合わせた光学基材を通して、照射量１０～２０００ｍＪ／ｃｍ^２で紫外線を該樹脂組成物層に照射し、該樹脂組成物層を仮硬化させる工程。
（第三工程）第二工程後、欠陥検査を行い、
（i)欠陥がない場合には、仮硬化した該樹脂組成物層に、照射量１００～３０００ｍＪ／ｃｍ^２の紫外線を照射し、
（ii)欠陥がある場合には、貼り合わされた光学基材から、仮硬化した該樹脂組成物層をアルコール溶剤の存在下に除去する工程。
　また、上記において、第一工程後、欠陥検査を行い、貼りあわされた光学基材に欠陥が無い時は、次の第二工程に進み、欠陥が見出された場合には、その欠陥品を製造工程から外して、貼りあわされた光学基材の間の該樹脂組成物層を除去して、光学基材を再生する工程を含む場合、より好ましい。
　なお、上記の貼りあわされた光学基材の間の該樹脂組成物層を除去する場合、そのまま除去してもよいが、通常、貼り合わせた光学基材を通して、該樹脂組成物層に、照射量１０～２０００ｍＪ／ｃｍ^２の紫外線を照射して、仮硬化を行った後、貼りあわされた光学基材の間から、仮硬化した該樹脂組成物層を、好ましくは、アルコール溶剤の存在下に除去するのがより好ましい。

　本発明の樹脂組成物は２以上の光学基材を貼り合わせるのに好適に使用することができる。当該光学基材としては、特に限定されないが、板状又はシート状の光学基材が好ましい。板状又はシート状の光学基材としては、下記の透明板等の板、シート、表示体（画像表示装置）、タッチパネル、後記光学機能材料等が例として挙げられる。好ましくは、貼りあわされる該光学基材の少なくとも一つはタッチパネル用の光学基材（例えば、タッチ面保護用光学基材又はタッチパネル支持用光学基材等）である場合より好ましい。
　本発明の樹脂組成物を用いて好適に貼り合わせることができる光学基材の組合せの具体例としては、（１）タッチパネルにおいて使用される複数の透明板、（２）タッチパネルと透明シート又は透明板との組合せ、（３）表示装置における、表示体と光学機能材料（透明板、タッチパネル等）との組合せ、等が挙げられるが、これらに限定されるものでは無い。

　本発明の樹脂組成物は、タッチパネルにおいて、複数の透明板を貼り合わせる接着剤として好適に使用することができる。
　透明板の材質としては、様々な材料が使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタラート（ＰＥＴ）、ポリカーボネート（ＰＣ）、ポリメタクリル酸メチル（ＰＭＭＡ）、ＰＣとＰＭＭＡの複合体、ガラス、シクロオレフィンコポリマー（ＣＯＣ）、シクロオレフィンポリマー（ＣＯＰ）、トリアセチルセルロース（ＴＡＣ）、アクリル樹脂等の樹脂（プラスチック）から作製された透明板又はシート、それらを複数枚積層した偏光板等の機能性透明積層板又はシート、及び、無機ガラス又は樹脂の加工品（例えば、レンズ、プリズム、ＩＴＯガラスなど）等を使用することができる。

　本発明の樹脂組成物は、タッチパネルとシート又は板を貼り合わせる接着剤としても使用することができる。
　ここで、シートとしては、アイコンシート、化粧シート、保護シートが挙げられ、板としては化粧板、保護板が挙げられる。そして、該シートないし板の材質としては、上記透明板の材質の説明において列挙した各材料が適用できる。また、タッチパネルのタッチ入力面及びその反対側の基材面の材質としては、ガラス、ＰＥＴ、ＰＣ、ＰＭＭＡ、ＰＣとＰＭＭＡの複合体、ＣＯＣ、ＣＯＰが挙げられる。

　本発明の樹脂組成物は、液晶表示装置（ＬＣＤ）等の表示装置において、表示体と光学機能材料とを貼り合わせるためにも好適に使用することができる。表示体としては、ＬＣＤ（ガラス製表示面に偏光板を貼り付けてあるＬＣＤ等）、ＥＬディスプレイ、ＥＬ照明、電子ペーパーやプラズマディスプレイ等の表示装置が挙げられる。また、光学機能材料としては、アクリル板、ＰＣ板、ＰＥＴ板及びＰＥＮ（ポリエチレンナフタレート）板等の透明プラスチック板；強化ガラス；及び、タッチパネル（タッチパネル入力センサー）などが挙げられる。
　特に、本発明においては貼り合わせる光学基材の少なくとも一つがタッチパネル用の光学基材であるとき、好ましい。

　本発明の樹脂組成物を透明板（透明光学基材）を貼り合わせる接着剤として使用する場合、視認性向上のために、その硬化物の屈折率が１．４５～１．５５であることが好ましい。
　当該屈折率の範囲内であれば、透明板として使用される基材との屈折率の差を低減させることができ、光の乱反射を抑えて光損失を低減させることが可能となる。
　本発明の光学部材の好ましい態様を以下に例示する。
（ｉ）前記（Ｉ）～（ＸＶＩＩ）の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物、又は、課題を解決するための手段の項に記載の（３）～（１４）の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層により、少なくとも２つの光学基材が貼り合わされた光学部材。
（ｉｉ）光学部材がタッチパネルである上記（ｉ）に記載の光学部材。
（ｉｉｉ）一方の光学基材が光学機能材料であり、他方の光学基材が表示装置である上記（ｉ）に記載の光学部材。
（ｉｖ）光学基材が、保護用基材、タッチパネル及び表示装置の三者であり、この三者がこの順で積層され、それぞれの光学基材の間が接着剤層で接着されており、且つ、少なくとも何れか一つの接着剤層が上記（ｉ）に記載の硬化物層である上記（ｉ）に記載の光学部材。

　本発明の樹脂組成物で貼り合わせた表示体と光学機能材料とを含む表示パネルは、例えば、テレビ、小型ゲーム機、携帯電話、パソコン、タブレット端末などの電子機器に組み込むことができる。

　以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。

　実施例１～８として、下記表１に示した組成からなる本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を調製した。

　なお、表１中に略称で示した各成分は下記の通りである。
ニカノールＹ－５０：メタキシレンとホルムアルデヒドとの反応生成物（数平均分子量２５０）、フドー株式会社製
ニカノールＹ－１０００：メタキシレンとホルムアルデヒドとの反応生成物（数平均分子量３３０）、フドー株式会社製
ニカノールＬＬＬ：メタキシレンとホルムアルデヒドとの反応生成物（数平均分子量３４０）、フドー株式会社製
ニカノールＬＬ：メタキシレンとホルムアルデヒドとの反応生成物（数平均分子量３６５）、フドー株式会社製
ニカノールＬ：メタキシレンとホルムアルデヒドとの反応生成物（数平均分子量４００）、フドー株式会社製
ＵＡ－１：ポリプロピレングリコール（数平均分子量３０００）、イソホロンジイソシアネート、２－ヒドロキシエチルアクリレートの３成分をモル比１：１．３：２で反応させて得られるウレタンアクリレート。
ＦＡ－５１２ＡＳ：ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、日立化成工業株式会社製
Ｓ－１８００Ａ：イソステアリルアクリレート、新中村化学工業株式会社製
ＡＰ－４００：ポリプロピレングリコールモノアクリレート、日油株式会社製
４－ＨＢＡ：４－ヒドロキシブチルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製
ＦＡ－Ｐ２１００Ａ：ポリプロピレングリコール（数平均分子量１０００）のジアクリレート、日立化成工業株式会社製
ＦＡ－Ｐ２２００Ａ：ポリプロピレングリコール（数平均分子量２０００）のジアクリレート、日立化成工業株式会社製
ＦＡ－Ｐ２４００Ａ：ポリプロピレングリコール（数平均分子量４０００）のジアクリレート、日立化成工業株式会社製
スピードキュアＴＰＯ：２，４，６－トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ＬＡＭＢＳＯＮ社製
Ｐｏｌｙｉｐ：水酸基末端液状ポリイソプレン（数平均分子量２５００）、出光興産株式会社製
ＢＲ－１０２２：アクリルポリマー、三菱レイヨン株式会社製

　得られた本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を用いて下記の評価を行った。

（硬化性）厚さ１ｍｍのスライドガラス２枚のうちの１枚に、得られた紫外線硬化型樹脂組成物を膜厚が２００μｍとなるように塗布し、その塗布面に他の１枚を貼り合わせた。ガラス越しに高圧水銀灯（８０Ｗ／ｃｍ、オゾンレス）で２０００ｍＪ／ｃｍ^２の紫外線を該樹脂組成物層に照射して、該樹脂組成物を硬化させた。得られた硬化性評価用サンプルの硬化状態を目視にて確認し、下記の評価基準で硬化状態を評価した。
○・・・完全に硬化していた
△・・・半硬化状態
×・・・未硬化

（硬化収縮率）フッ素系離型剤を塗布した厚さ１ｍｍのスライドガラス２枚のうちの１枚の離型剤塗布面に、得られた紫外線硬化型樹脂組成物を膜厚が２００μｍとなるように塗布した。次いで、２枚の当該スライドガラスを、該樹脂組成物の塗布層を挟み、それぞれの離型剤塗布面が向かい合うように貼り合わせた。ガラス越しに高圧水銀灯（８０Ｗ／ｃｍ、オゾンレス）で２０００ｍＪ／ｃｍ^２の紫外線を該樹脂組成物層に照射して、該樹脂組成物を硬化させた。その後、２枚のスライドガラスを剥離して、膜比重測定用の硬化物を作製した。次いで、ＪＩＳ　Ｋ７１１２　Ｂ法に準拠した方法により、得られた硬化物の比重（ＤＳ）を測定した。また、２５℃での該樹脂組成物の液比重（ＤＬ）を測定し、次式より硬化収縮率を算出した。また、下記の評価基準で硬化収縮率を評価した。
硬化収縮率（％）＝（ＤＳ－ＤＬ）÷ＤＳ×１００
◎・・・２．０％未満
○・・・２．０％以上、３．０％未満
×・・・３．０％以上

（接着性）厚さ０．８ｍｍのスライドガラスと厚さ０．８ｍｍのアクリル板のうちの一方に、得られた紫外線硬化型樹脂組成物を膜厚が２００μｍとなるように塗布し、その塗布面に他方を貼り合わせた。スライドガラス越しに高圧水銀灯（８０Ｗ／ｃｍ、オゾンレス）で２０００ｍＪ／ｃｍ^２の紫外線を該樹脂組成物層に照射して、、該樹脂組成物を硬化させ、接着性評価用サンプルを作製した。これを、８５℃、８５％ＲＨ環境下、２５０時間放置した。放置後のサンプルについて、目視にてスライドガラス又はアクリル板からの硬化物の剥がれの有無を確認し、下記の評価基準で接着性を評価した。
○・・・剥がれなし
×・・・剥がれあり

（柔軟性）得られた紫外線硬化型樹脂組成物を充分に硬化させ、ＪＩＳ　Ｋ７２１５に準じて、デュロメータＯＯ硬さを測定した。得られた測定値に基づき下記基準により柔軟性を評価した。
◎・・・１０未満
○・・・１０以上、２０未満
×・・・２０以上

（透明性）フッ素系離型剤を塗布した厚さ１ｍｍのスライドガラス２枚のうちの１枚に、得られた紫外線硬化型樹脂組成物を膜厚が２００μｍとなるように塗布した。次いで、２枚の該スライドガラスを、該樹脂組成物の塗布層を挟み、それぞれの離型剤塗布面が向かい合うように貼り合わせた。ガラス越しに高圧水銀灯（８０Ｗ／ｃｍ、オゾンレス）で２０００ｍＪ／ｃｍ^２の紫外線を該樹脂組成物層に照射して、該樹脂組成物を硬化させた。得られた硬化物をスライドガラスから剥離して、透明性測定用の硬化物を作製した。該硬化物の透明性は分光光度計（Ｕ－３３１０、日立ハイテクノロジーズ株式会社製）を用いて、４００～８００ｎｍ及び４００～４５０ｎｍの波長領域における平均透過率をそれぞれ測定した。得られた各測定値に基づき、下記基準により透明性を評価した。
◎・・・４００～８００ｎｍの透過率が９０％以上かつ４００～４５０ｎｍの透過率が９０％以上
○・・・４００～８００ｎｍの透過率が９０％以上かつ４００～４５０ｎｍの透過率が８８～９０％以上
×・・・４００～８００ｎｍの透過率が９０％未満

（比誘電率）離型処理の施されたＰＥＴフィルム２枚のうち１枚に、得られた紫外線硬化型樹脂組成物を膜厚が２００μｍとなるように塗布し、その塗布面に他の１枚を貼りあわせた。ＰＥＴフィルム越しに高圧水銀灯（８０Ｗ／ｃｍ、オゾンレス）で２０００ｍＪ／ｃｍ^２の紫外線を該樹脂組成物層に照射して該樹脂組成物を硬化させ、比誘電率測定用の硬化物を作製した。比誘電率は誘電率測定器（６４４０Ｂ，Ｗａｙｎｅ　Ｋｅｒｒ社製、１ＭＨｚ）を用いて測定した。得られた測定値に基づき、下記基準により１ＭＨｚでの比誘電率を評価した。
◎・・・比誘電率３．０未満
○・・・比誘電率３．０以上～５．０未満
×・・・比誘電率５．０以上

（リワーク性）厚さ０．８ｍｍのスライドガラスと厚さ０．８ｍｍのアクリル板のうちの一方に、得られた紫外線硬化型樹脂組成物を膜厚が２００μｍとなるように塗布し、その塗布面に他方を貼り合わせた。ガラス越しに高圧水銀灯（８０Ｗ／ｃｍ、オゾンレス）で５０ｍＪ／ｃｍ^２の紫外線を該樹脂組成物層に照射して該樹脂組成物を硬化させ、リワーク性評価用サンプルを作製した。得られたサンプルを加熱した後、ワイヤーを用いて該硬化物層を切り進むことによって、各光学基材と該硬化物層の剥離を行った。その際に剥離を容易にするために、溶剤としてイソプロピルアルコールを使用した。剥離後、基材に付着した樹脂組成物の硬化物（以下、付着物という）をイソプロピルアルコールを使用して拭き取り、拭き取り不可能な付着物があるかどうかを確認した。その結果、実施例１～４、６及び８においては、付着物を完全に取り除くことができた。実施例５及び７においても、繰り返し拭き取ることにより、付着物を取り除くことができた。
◎・・・付着物を完全に取り除くことができた。
○・・・繰り返し拭き取ることにより付着物を取り除くことができた。
×・・・付着物を取り除くことができなかった。

　表１の結果より、キシレンとホルムアルデヒドとを反応させて得られるノボラック化合物（Ａ）、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）及び光重合開始剤（Ｃ）を含有する実施例１～８の本発明の樹脂組成物の使用により、硬化性に優れ、硬化時の収縮が小さく、硬化物の透明性、基材との接着性、柔軟性、低誘電性、及び、リワーク性に優れる光学透明接着剤が得られることが確認出来た。

　本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、活性エネルギー線を照射して硬化させたときの硬化性に優れ、硬化時の収縮が小さく、さらに、透明性に優れ、光学基材に対する接着性が良好で、柔軟性を有し、比誘電率が低く、かつ、リワーク性に優れる硬化物が得られることから、２以上の光学基材を貼り合わせてなる光学部材の作製において使用される光硬化型透明接着剤として極めて有用である。本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、タッチパネルやタッチパネル付き表示装置における光学基材を貼り合わせる用途において、特に有用である。

Claims

　２以上の光学基材が、キシレン化合物とホルムアルデヒドとを反応させて得られるノボラック化合物（Ａ）、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）及び光重合開始剤（Ｃ）を含有する紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物により貼り合わされた光学部材。
　２以上の光学基材が、下記式（１）

（式中、Ｘは繰り返し単位ごとにそれぞれ独立して－（ＣＨ_２Ｏ）ｎＣＨ_２－であり、ｎは０～１０の整数を示す。繰り返し構造においてＸは同一でも異なっても良い。Ｙはそれぞれ独立して水素原子、－ＣＨ_２ＯＨ、－（ＣＨ_２Ｏ）_ＬＣＨ_３、－ＣＨ_２ＯＣＨ_３、－ＣＨ_２ＯＯＣＨ_３であり、Ｌは０～１０の整数を示す。ｍは０～１０の整数を示す。）
で表されるノボラック化合物（Ａ）、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）及び光重合開始剤（Ｃ）を含有する紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物により貼り合わされた光学部材。
　２以上の光学基材を含む光学部材の該２以上の光学基材の貼り合わせに使用される、キシレン化合物とホルムアルデヒドとを反応させて得られるノボラック化合物（Ａ）、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）及び光重合開始剤（Ｃ）を含有する紫外線硬化型樹脂組成物。
　２以上の光学基材を含む光学部材の該２以上の光学基材の貼り合わせに使用される、下記式（１）

（式中、Ｘは繰り返し単位ごとにそれぞれ独立して－（ＣＨ_２Ｏ）ｎＣＨ_２－であり、ｎは０～１０の整数を示す。繰り返し構造においてＸは同一でも異なっても良い。Ｙはそれぞれ独立して水素原子、－ＣＨ_２ＯＨ、－（ＣＨ_２Ｏ）_ＬＣＨ_３、－ＣＨ_２ＯＣＨ_３、－ＣＨ_２ＯＯＣＨ_３であり、Ｌは０～１０の整数を示す。ｍは０～１０の整数を示す。）
で表されるノボラック化合物（Ａ）、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）及び光重合開始剤（Ｃ）を含有する紫外線硬化型樹脂組成物。
　２以上の光学基材が紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物によって接着されている光学部材の製造において、該２以上の光学基材の接着に、エネルギー線を照射して硬化させる液状樹脂接着剤として使用される請求項３に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
　２以上の光学基材が紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物によって接着されている光学部材の製造において、該２以上の光学基材の接着に、エネルギー線を照射して硬化させる液状樹脂接着剤として使用される請求項４に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）が、（メタ）アクリロイル基を１個又は２個有する（メタ）アクリレート化合物である請求項３～請求項６の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
　（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）として、（ｉ）ウレタン（メタ）アクリレート又は（ｉｉ）ポリ（Ｃ２～Ｃ４）アルキレングリコールモノ又はジ（メタ）アクリレートの少なくとも何れか一方を含む請求項３～請求項７の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）として、ラウリル（メタ）アクリレート、２－エチルヘキシルカルビトールアクリレート、アクリロイルモルホリン、４－ヒドロキシブチル（メタ）アクリレート、テトラヒドロフルフリル（メタ）アクリレート、イソステアリル（メタ）アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル（メタ）アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル（メタ）アクリレート、２－デシルテトラデカニル（メタ）アクリレート、ポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ（メタ）アクリレート、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールＡ型ジ（メタ）アクリレートからなる群から選ばれる１種以上を含む請求項３～請求項８の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）としてウレタン（メタ）アクリレートを含有する請求項８又は請求項９に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
　組成物の総量に対して、一般式（１）で示される構造を有する化合物（Ａ）を５～９５重量％、（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）を５～９５重量％及び光重合開始剤（Ｃ）を０．０１～５重量％、それぞれ含有する請求項３～請求項１０のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
　（メタ）アクリレート化合物（Ｂ）に対するノボラック化合物（Ａ）の重量割合が１～１０である請求項３～請求項１１のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
　硬化収縮率が３．０％以下である請求項３～請求項１１のいずれか１項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
　１ＭＨｚの比誘電率が５．０以下である請求項３～１３のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
　請求項３ないし請求項１４のいずれか１項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物。
　請求項３ないし請求項１４のいずれか１項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物により、２以上の光学基材を貼り合わせたタッチパネル。
　下記第一工程、第二工程及び第三工程、
（第一工程）光学基材に紫外線硬化型樹脂組成物を塗布して、少なくとも２つ以上の光学基材を貼り合わせる工程、
（第二工程）貼り合わせた光学基材に対して、照射量１０～２０００ｍＪ／ｃｍ^２の紫外線を照射することで該光学基材の間に挟まれた該樹脂組成物の仮硬化を行う工程、
（第三工程）第二工程後、（ｉ）貼り合わせた光学基材に欠陥がない場合には、それに照射量１００～３０００ｍＪ／ｃｍ^２の紫外線を照射し、仮硬化した該樹脂組成物を本硬化させるか、又は、（ｉｉ）貼り合わせた光学基材に欠陥がある場合には、該光学基材から仮硬化した該樹脂組成物層をアルコール溶剤の存在下に、除去する工程、
を経由することで製造されるタッチパネルにおける、第一工程の２つ以上の光学基材の貼り合わせへの、請求項３～請求項１４のいずれか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の使用。
　請求項３～請求項１４のいずれか１項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物により２以上の光学基材を貼り合わせたタッチパネル付き表示装置。
　２以上の光学基材を貼り合わせて光学部材を製造するための、請求項３～請求項１４のいずれか１項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の使用。