WO2013140595A1 - 非水電解質二次電池用負極活物質、非水電解質二次電池、電池パック及び非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 長寿命な非水電解質二次電池用負極活物質を提供する。 【解決手段】 実施形態の非水電解質二次電池用負極活物質は、炭素質物と、炭素質物中に酸化ケイ素物相と、酸化ケイ素相中にケイ素相と、炭素質物中にジルコニア相と、とをする負極活物質であって、粉末X線回折測定において2θ=30±1°に回折ピークを有することを特徴とする。
Description
本発明の実施形態は、非水電解質二次電池用負極活物質、非水電解質二次電池、電池パック、及び非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法に係わる。
近年、急速なエレクトロニクス機器の小型化技術の発達により、種々の携帯電子機器が普及しつつある。そして、これら携帯電子機器の電源である電池にも小型化が求められており、高エネルギー密度を持つ非水電解質二次電池が注目を集めている。
特に、シリコン、スズなどのリチウムと合金化する元素、非晶質カルコゲン化合物などリチウム吸蔵容量が大きく、密度の高い物質を用いる試みがなされてきた。中でもシリコンはシリコン原子1に対してリチウム原子を4.4の比率までリチウムを吸蔵することが可能であり、質量あたりの負極容量は黒鉛質炭素の約10倍となる。しかし、シリコンは、充放電サイクルにおけるリチウムの挿入脱離に伴う体積の変化が大きく活物質粒子の微粉化などサイクル寿命に問題があった。
特に、シリコン、スズなどのリチウムと合金化する元素、非晶質カルコゲン化合物などリチウム吸蔵容量が大きく、密度の高い物質を用いる試みがなされてきた。中でもシリコンはシリコン原子1に対してリチウム原子を4.4の比率までリチウムを吸蔵することが可能であり、質量あたりの負極容量は黒鉛質炭素の約10倍となる。しかし、シリコンは、充放電サイクルにおけるリチウムの挿入脱離に伴う体積の変化が大きく活物質粒子の微粉化などサイクル寿命に問題があった。
発明者らは鋭意実験を重ねた結果、微細な一酸化珪素と炭素質物とを複合化し焼成した活物質において、微結晶SiがSiと強固に結合するSiO2に包含または保持された状態で炭素質物中に分散した活物質を得られ、高容量化およびサイクル特性の向上を達成できることを見出した。しかしながら、このような活物質においても数百回の充放電サイクルを行うと容量が低下し、長期間の使用には寿命特性が不十分である。
さらに、容量低下の過程を詳細に調査したところ、活物質中に含まれる微結晶Siが充放電を繰り返す間に成長し結晶子サイズが大きくなることが分かった。この結晶子サイズの成長により充放電時のLiの挿入脱離による体積変化の影響が大きくなり、容量低下が生じるという問題があった。
さらに、容量低下の過程を詳細に調査したところ、活物質中に含まれる微結晶Siが充放電を繰り返す間に成長し結晶子サイズが大きくなることが分かった。この結晶子サイズの成長により充放電時のLiの挿入脱離による体積変化の影響が大きくなり、容量低下が生じるという問題があった。
長寿命な非水電解質二次電池及び電池パック、これに用いる非水電解質二次電池用負極活物質、この非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
実施形態の非水電解質二次電池用負極活物質は、炭素質物と、炭素質物中に酸化ケイ素物相と、酸化ケイ素相中にケイ素相と、炭素質物中にジルコニア相と、をする負極活物質であって、粉末X線回折測定において2θ=30±1°に回折ピークを有することを特徴とする。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1の概念図に示すように、第1実施形態の負極活物質100は、炭素質物101と、炭素質物101中に酸化ケイ素相102と、酸化ケイ素相102中にケイ素相103と、炭素質物101中にジルコニア相104とを含む。
(第1実施形態)
図1の概念図に示すように、第1実施形態の負極活物質100は、炭素質物101と、炭素質物101中に酸化ケイ素相102と、酸化ケイ素相102中にケイ素相103と、炭素質物101中にジルコニア相104とを含む。
負極活物質100は、Liの挿入脱離をするケイ素を含む粒子である。負極活物質100の平均一次粒径は5μm以上100μm以下、比表面積は0.5m2/g以上10m2/g以下の粒子であることが好ましい。活物質の粒径および比表面積はリチウムの挿入脱離反応の速度に影響し、負極特性に大きな影響をもつが、この範囲の値であれば安定して特性を発揮することができる。なお、平均一次粒径は、SEM画像からランダムに選んだ10の負極活物質の粒径を平均して求める。また、比表面積は、水銀圧入法による細孔分布測定を行って求める。
実施形態の炭素質物101は、導電性材料であって、酸化ケイ素相102とジルコニア相104と複合化されている。炭素質物101は、負極活物質を形作る。炭素質物101としては、グラファイト、ハードカーボン、ソフトカーボン、アモルファス炭素とアセチレンブラックからなる群から選ばれる1種類以上を用いることができる。その中でも、グラファイトのみ、あるいはグラファイトとハードカーボンの混合物が、下記の理由により好ましい。グラファイトは、活物質の導電性を高める点で負極活物質100の炭素質物101として好ましい。ハードカーボンは、活物質全体を被覆し膨張収縮を緩和する効果が大きい点で、負極活物質100の炭素質物101として好ましい。なお、上記複合化とは、酸化ケイ素相102とジルコニア相104が炭素質物101に内包された形態と保持された形態の両方を含む。
なお、負極活物質100は、上記に挙げた炭素質物101と同種の化合物で被覆されていても良い。被覆されると、酸化ケイ素相102やジルコニア相104が露出せず、炭素系の化合物で覆われるため、負極活物質100の導電性が優れるという利点がある。
実施形態の酸化ケイ素相102は、炭素質物101中に粒状に存在する。酸化ケイ素相102は、非晶質、低晶質、結晶質などの構造とるSiOy(1<y≦2)の化学式で表される化合物からなる。酸化ケイ素相102は、ケイ素相103に物理的に結合し、ケイ素相103を包含または保持する。酸化ケイ素相102は凝集すると酸化ケイ素相102同士が結合し、酸化ケイ素相が粗大化してしまう。酸化ケイ素相102が粗大化した負極活物質100を二次電池に用いると、そのサイクル特性の劣化率が高くなることが好ましくない。酸化ケイ素相102の凝集を防ぐために、酸化ケイ素相102は炭素質物101中に分散されていることが好ましい。
酸化ケイ素相102の相の大きさが小さく、相の大きさのばらつきが少ないと、ケイ素相103の凝集と相の粗大化が起きにくくなる。ケイ素相103の凝集と粗大化を防いだ負極活物質100を負極に用いた二次電池は、充放電サイクルによる容量劣化率が低下し、寿命特性が向上する。酸化ケイ素相102の好ましい平均最大直径は、50nmから1000nmの範囲が好ましい。この範囲より大きいとケイ素相103の凝集抑制効果が得られない。また、この範囲より小さい場合には活物質作製の際に酸化ケイ素相102を炭素質物101中に分散させるのが難しくなるとともに、活物質としての導電性の低下によるレート特性の低下や初回充放電容量効率の低下等の問題が生じる。さらに好ましくは、100nm以上500nm以下であり、この範囲であるとさらに良好な寿命特性を得ることが出来る。なお、相の平均最大直径とは、SEM-EDX((Scanning Electron Microscope Energy Dispersive X-ray Spectrometer)で、負極活物質100の断面を観察し、酸化ケイ素相102であると特定された相の直径のうち最大の長さのものを平均した値である。平均値を算出するには、10以上のサンプルを用いる。
また、活物質全体として良好な特性を得るためには、酸化ケイ素相102の大きさのばらつきはできるだけ少ない方が好ましい。相を粒子とみなした体積分での16%累積径をd16%、84%累積径をd84%としたときに(d84%-d16%)/2であらわされる標準偏差に対して、(標準偏差/平均サイズ)の値が1.0以下であることが好ましく、さらに0.5以下であると優れた寿命特性を得ることができる。なお、平均サイズ(体積平均)、(d84%-d16%)/2で定義される標準偏差は、次の方法で求める。合成した焼成後の負極活物質100について断面のSEM画像を撮影した。撮影した画像イメージをSEM画像分析ソフトウェア(株式会社マウンテック社製Mac-View(登録商標))により、相を粒子とみなして分析し粒径分布データを得た。得られた粒度分布データより、平均サイズ(体積平均)、(d84%-d16%)/2で定義される標準偏差及び、(標準偏差/平均サイズ)の値を算出した。
実施形態のケイ素相103は、リチウムを挿入脱離する結晶性のケイ素からなる。ケイ素相103は、酸化ケイ素相102内に存在し、酸化ケイ素相102に包含又は保持されている形態が好ましい。ケイ素相103の大きさが小さいと、リチウム挿入脱離に伴う膨張収縮量が小さくなることが好ましい。ケイ素相103が大きいと、ケイ素相103膨張の際に、炭素質物101にクラックが生じるなどして、負極活物質100が微粉化してしまうことが好ましくない。そこで、ケイ素相103の平均最大直径は、数nm以上100nm以下が好ましい。ケイ素相103は、膨張によって、相が結合して粗大化しやすいことから、ケイ素相103は酸化ケイ素相102に分散していることが好ましい。ケイ素相103への多量のリチウムの挿入脱離による膨張収縮を、酸化ケイ素相102と炭素質物101へ分散することにより緩和して活物質粒子の微粉化を防ぐ。なお、ケイ素相103の平均最大直径は、酸化ケイ素相102の平均最大直径と同様の方法で求めることができる。
ケイ素相103と炭素質物101の比率は、ケイ素相103のSi元素と炭素質物101のC元素のモル比が0.2≦Si/C≦2の範囲であると、高容量かつ優れた大電流特性を維持できるためにより好ましい。ケイ素相103のSi元素と酸化ケイ素相のSiOyのモル比は、0.6≦Si/SiOy≦1.5であることが、負極活物質100として大きな容量と良好なサイクル特性を得ることができるため望ましい。
実施形態のジルコニア相104は、ジルコニアと安定化ジルコニアのいずれか又は両方からなる。ジルコニアの安定化剤としては、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、ハフニウムなどの酸化物である。ジルコニア相104は、炭素質物101中に存在する。ジルコニア相104は、酸化ケイ素相102の凝集と粗大化を防ぐ観点から、酸化ケイ素相102の近傍に分布していることが好ましい。
ジルコニア相104は、酸化ケイ素粒子同士の融着を物理的に抑制する。また、負極活物質100の前駆体の焼成時に、ジルコニアが相転移してジルコニアの体積が収縮し、炭素質物101に空孔を生じる。この空孔がケイ素相103のリチウム吸蔵放出に伴う膨張収縮を緩和しサイクル寿命の向上につながると考えられる。ジルコニアは1000℃付近の焼成で単斜晶から正方晶に相転移する。正方晶ジルコニアは2θ=30、50と60°にそれぞれ結晶構造の(101)、(112)、(211)に帰属されるXRD回折ピークを有する。単斜晶ジルコニアには、2θ=30、50と60°にXRD回折ピークがない。なお、ジルコニアの安定化剤の種類などによって、多少のピークシフトが生じる。そこで、実施形態の負極活物質100に正方晶ジルコニアが含まれる場合は、2θ=30±1°にXRD回折ピークを有する。また、この正方晶ジルコニアの(101)面の回折ピークのピーク面積Bと2θ=28°付近に観察されるシリコン(111)のピーク面積Aの比(B/A)が0.05以上0.5以下であることが好ましい。(B/A)が0.05未満では空孔形成効果が十分でなく、0.5を超えると活物質に含まれるシリコンの量が小さくなるためである。
さらに、ジルコニアの一部が酸化ケイ素と反応しジルコン(ZrSiO4)となっていてもよい。酸化ケイ素相102とジルコニア相104の界面でジルコンが生成することで強固に結合し、複合体の強度が向上するためである。
ジルコニアの添加量は、酸化ケイ素相102とケイ素相103のSi元素とジルコニア相104のZr元素とのモル比率において0.001≦Zr/Si≦0.200であることが好ましい。この範囲であると高容量で長寿命かつ大電流特性に優れた負極活物質100を得ることができるためである。特に好ましい添加量は、Zr/Siのモル比が、0.01以上、0.15以下である範囲である。添加されたジルコニアは炭素質物101内での分散状態を保持するために、ジルコニア相104の平均最大直径は、酸化ケイ素相102の0.1倍から10倍の範囲であることが好ましく、0.2倍から2倍であると特に好ましい。
また、粒子の構造の保持および酸化ケイ素相102の凝集を防ぎ、導電性を確保するために、炭素質物101中に炭素繊維を含むことが好ましい。添加される炭素繊維の直径は酸化ケイ素相102と同程度のサイズであると効果的であり、平均直径が50nm以上1000nm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であると特に好ましい。炭素繊維の含有量は、負極活物質100の質量に対して、0.1質量%以上、8質量%以下の範囲であることが好ましく、0.5質量%以上、5質量%以下であると特に好ましい。なお、炭素繊維の平均直径は、SEM画像から、ランダムに10の炭素繊維を選び、その平均直径とする。
炭素質物101中にアルコキシドおよびLi化合物が含まれていてもよい。これらの物質が含まれることで、酸化ケイ素相102に含まれるSiO2と炭素質物101の結合が強固になると共に、Liイオン導電性に優れるLi4SiO4が酸化ケイ素相102中に生成する。アルコキシドとしては、シリコンエトキシド等が挙げられる。Li化合物としては、炭酸リチウム、酸化リチウム、水酸化リチウム、シュウ酸リチウム、塩化リチウムなどが挙げられる。
また、Li4SiO4などのリチウムシリケートが、酸化ケイ素相102の表面または内部に分散されていてもよい。炭素質物101に添加されたリチウム塩は熱処理を行うことで炭素質物101内の酸化ケイ素相102と固体反応を起こしリチウムシリケートを形成すると考えられる。
また、活物質の粉末X線回折測定におけるSi(220)面の回折ピークの半値幅は、1.0°以上、8.0°以下であることが好ましい。Si(220)面の回折ピーク半値幅はSi相の結晶粒が成長するほど小さくなり、Si相の結晶粒が大きく成長するとリチウムの挿入脱離に伴う膨張収縮に伴い活物質粒子に割れ等を生じやすくなるが、このため半値幅が1.0°以上、8.0°以下の範囲内であればこの様な問題が表面化することを避けられる。
(製造方法)
次に第1実施形態に係る非水二次電池用負極活物質100材料の製造方法について説明する。この手順を図2に示す。
実施形態では、酸化ケイ素であるSiOX(0.8≦x≦1.5)と、ジルコニウム化合物と、有機化合物である樹脂と、グラファイト、コークス、低温焼成炭とピッチからなる群から選ばれる1種以上の炭素材料と、を混合し、1000℃以上1400℃以下で焼成して負極活物質を得る。
第1実施形態に係る負極活物質100は、原料を固相あるいは液相における力学的処理、攪拌処理等により混合、焼成処理を経て合成することができる。
次に第1実施形態に係る非水二次電池用負極活物質100材料の製造方法について説明する。この手順を図2に示す。
実施形態では、酸化ケイ素であるSiOX(0.8≦x≦1.5)と、ジルコニウム化合物と、有機化合物である樹脂と、グラファイト、コークス、低温焼成炭とピッチからなる群から選ばれる1種以上の炭素材料と、を混合し、1000℃以上1400℃以下で焼成して負極活物質を得る。
第1実施形態に係る負極活物質100は、原料を固相あるいは液相における力学的処理、攪拌処理等により混合、焼成処理を経て合成することができる。
(複合化処理:S01)
複合化処理においては、酸化ケイ素原料とジルコニウム化合物を混合し、混合物に有機材料と炭素材料を加え、さらに混合して複合体を形成する。
複合化処理においては、酸化ケイ素原料とジルコニウム化合物を混合し、混合物に有機材料と炭素材料を加え、さらに混合して複合体を形成する。
酸化ケイ素原料とジルコニウム化合物を混合は、力学的な処理によって行うことができる。力学的な処理としては、例えば、ターボミル、ボールミル、メカノフュージョン、ディスクミルなどを挙げることが出来る。
力学的な処理の運転条件は機器ごとにことなるが、十分に粉砕・複合化が進行するまで行なうことが好ましい。しかしながら、複合化の際に出力を上げすぎる、あるいは時間を掛けすぎるとSiとCが反応してLiの挿入反応に対し不活性なSiCが生成する。そのため、処理の条件は、粉砕・複合化が十分進行し、かつSiCの生成が起こらない適度な条件を定める必要がある。
力学的な処理の運転条件は機器ごとにことなるが、十分に粉砕・複合化が進行するまで行なうことが好ましい。しかしながら、複合化の際に出力を上げすぎる、あるいは時間を掛けすぎるとSiとCが反応してLiの挿入反応に対し不活性なSiCが生成する。そのため、処理の条件は、粉砕・複合化が十分進行し、かつSiCの生成が起こらない適度な条件を定める必要がある。
ケイ素相103と酸化ケイ素相102の前駆体である酸化ケイ素原料としては、SiOX(0.8≦x≦1.5)を用いることが好ましい。特にSiO(x≒1)を用いることが、ケイ素相103と酸化ケイ素相102の量的関係を好ましい比率とする上で望ましい。また、SiOxは混合の際に粉砕してもよいし、微粉末のものを用いても良い。微細化後のSiOxの平均一次粒径は50nm以上1000nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは平均一次粒径が100nm以上500nm以下であり、粒径のばらつきが小さいSiOXを用いるとよい。なお、SiOxの平均一次粒径はレーザー光回折で得た粒度分布から算出した体積平均径である。
ジルコニア相104の前駆体であるジルコニウム化合物としては、無機材料である単斜晶ジルコニア粉末、低結晶性のジルコニアの他、ジルコニウムアルコキシドのようなジルコニウム化合物、例えばジルコニウムブトキシド等を液体で加えても良い。また、添加するジルコニアにはイットリウム、カルシウム、マグネシウム、ハフニウムなどの酸化物がドープされていてもよい。
混合物、有機材料と炭素材料は、液相での混合攪拌により複合化を行うことができる。混合攪拌処理は例えば各種攪拌装置、ボールミル、ビーズミル装置およびこれらの組み合わせにより行うことができる。酸化ケイ素材料、ジルコニア化合物、有機材料と炭素材料との複合化は分散媒を用いた液中で液相混合を行うと良い。なお、乾式の混合では、酸化ケイ素材料、炭素材料とジルコニア化合物を凝集させることなく均一に分散させることが難しい。
分散媒としては有機溶媒、水等を用いることができるが、一酸化ケイ素と炭素前駆体および炭素材の双方と良好な親和性をもつ液体を用いることが好ましい。具体例として、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどを挙げることができる。
有機材料としては、液体であり容易に重合可能なモノマーあるいはオリゴマーなどの有機化合物が用いられる。例えば、フラン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂またはこれらのモノマーが挙げられる。具体的なモノマーとしては、フルフリルアルコール、フルフラール、フルフラール誘導体等のフラン化合物が挙げられ、モノマーは複合化材料の混合物中で重合させて用いる。重合させるには、塩酸、酸無水物を加えるなどすればよい。
炭素材料としては、グラファイト、コークス、低温焼成炭とピッチなどからなる群から選ばれる1種以上用いることができる。特に、ピッチなど加熱により溶融するものは力学的なミル処理中には溶融して複合化が良好に進まないため、コークス・グラファイトなど溶融しないものと混合して使用すると良い。
(焼成処理:S02)
焼成は、Ar中等の不活性雰囲気下にて行なわれる。焼成においては、有機材料が炭化されると共に、SiOXは不均化反応によりケイ素相103(ケイ素)と酸化ケイ素相102(SiOy)の2相に分離する。さらに、ジルコニアまたは安定化ジルコニアが正方晶ジルコニアに相転移する。
焼成は、Ar中等の不活性雰囲気下にて行なわれる。焼成においては、有機材料が炭化されると共に、SiOXは不均化反応によりケイ素相103(ケイ素)と酸化ケイ素相102(SiOy)の2相に分離する。さらに、ジルコニアまたは安定化ジルコニアが正方晶ジルコニアに相転移する。
この不均化反応は800℃より高温で進行し、微小なケイ素相103と酸化ケイ素相102に分離する。反応温度が上がるほどケイ素相103の結晶は大きくなり、ケイ素(220)のピークの半値幅は小さくなる。好ましい範囲の半値幅が得られる焼成温度は850℃~1600℃の範囲である。また、不均化反応により生成したケイ素相103のSiは1400℃より高い温度では炭素と反応して炭化ケイ素に変化する。炭化ケイ素はリチウムの挿入に対して全く不活性であるため炭化ケイ素が生成すると活物質の充放電容量は低下する。また、ジルコニアを正方晶に相転移させるために、不均化反応は1000℃以上であることが好ましい。従って、焼成の温度は1000℃以上1400℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは1000℃以上1100℃以下である。焼成温度が1000℃未満ではジルコニアの正方晶への相転移が十分に進行せず、1400℃を超えると、ジルコニア粒子の融着が進み、酸化ケイ素粒子に比べ粗大となる恐れがあるためである。焼成時間は、1時間から12時間程度の間であることが好ましい。
(炭素被覆処理:S03)
複合化処理後の焼成処理前に複合化処理によって得られた複合体である粒子に炭素被覆を行ってもよい。被覆に用いる材料としては、ピッチ、樹脂、ポリマーなど不活性雰囲気下で加熱されて炭素質物101となるものを用いることが出来る。具体的には石油ピッチ、メソフェーズピッチ、フラン樹脂、セルロース、ゴム類など1200℃程度の焼成でよく炭化されるものが好ましい。これは焼成処理の項で述べたとおり、1400℃より高い温度では焼成を行うことができないためである。
複合化処理後の焼成処理前に複合化処理によって得られた複合体である粒子に炭素被覆を行ってもよい。被覆に用いる材料としては、ピッチ、樹脂、ポリマーなど不活性雰囲気下で加熱されて炭素質物101となるものを用いることが出来る。具体的には石油ピッチ、メソフェーズピッチ、フラン樹脂、セルロース、ゴム類など1200℃程度の焼成でよく炭化されるものが好ましい。これは焼成処理の項で述べたとおり、1400℃より高い温度では焼成を行うことができないためである。
被覆方法は、モノマー中に複合体粒子を分散した状態で重合し固化したものを焼成に供する。または、ポリマーを溶媒中に溶解し、複合体粒子を分散したのち溶媒を蒸散し得られた固形物を焼成に供する。また、炭素被覆に用いる別の方法としてCVDによる炭素被覆を行うこともできる。この方法は800~1000℃に加熱した試料上に不活性ガスをキャリアガスとして気体炭素源を流し、試料表面上で炭化させる方法である。この場合、炭素源としてはベンゼン、トルエン、スチレンなどを用いることができる。
この炭素被覆処理や複合化処理の際に、アルコキシド、Li化合物や炭素繊維を同時に添加してもよい。
以上のような合成方法により本実施形態に係る負極活物質100が得られる。炭化焼成後の生成物は各種ミル、粉砕装置、グラインダー等を用いて粒径、比表面積等を調製してもよい。
以上のような合成方法により本実施形態に係る負極活物質100が得られる。炭化焼成後の生成物は各種ミル、粉砕装置、グラインダー等を用いて粒径、比表面積等を調製してもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る非水電解質二次電池を説明する。
第2実施形態に係る非水電解質二次電池は、外装材と、外装材内に収納された正極と、外装材内に正極と空間的に離間して、例えばセパレータを介在して収納された活物質を含む負極と、外装材内に充填された非水電解質とを具備する。
第2実施形態に係る非水電解質二次電池を説明する。
第2実施形態に係る非水電解質二次電池は、外装材と、外装材内に収納された正極と、外装材内に正極と空間的に離間して、例えばセパレータを介在して収納された活物質を含む負極と、外装材内に充填された非水電解質とを具備する。
実施形態に係る非水電解質二次電池200の一例を示した図3、図4の概念図を参照してより詳細に説明する。図3は、袋状外装材202がラミネートフィルムからなる扁平型非水電解質二次電池200の断面概念図であり、図4は図3のA部の拡大断面図である。なお、各図は説明のための概念図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
扁平状の捲回電極群201は、2枚の樹脂層の間にアルミニウム箔を介在したラミネートフィルムからなる袋状外装材202内に収納されている。扁平状の捲回電極群201は、外側から負極203、セパレータ204、正極205、セパレータ204の順で積層した積層物を渦巻状に捲回し、プレス成型することにより形成される。最外殻の負極203は、図4に示すように負極集電体203aの内面側の片面に負極合剤203bを形成した構成を有する。その他の負極203は、負極集電体203aの両面に負極合剤203bを形成して構成されている。負極合剤203b中の活物質は、第1実施形態に係る電池用活物質を含む。正極205は、正極集電体205aの両面に正極合剤205bを形成して構成されている。
捲回電極群201の外周端近傍において、負極端子206は最外殻の負極203の負極集電体203aに電気的に接続され、正極端子207は内側の正極205の正極集電体205aに電気的に接続されている。これらの負極端子206及び正極端子207は、袋状外装材202の開口部から外部に延出されている。例えば液状非水電解質は、袋状外装材202の開口部から注入されている。袋状外装材202の開口部を負極端子206及び正極端子207を挟んでヒートシールすることにより捲回電極群201及び液状非水電解質を完全密封している。
負極端子206は、例えばアルミニウムまたはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子206は、負極集電体203aとの接触抵抗を低減するために、負極集電体203aと同様の材料であることが好ましい。
正極端子207は、リチウムイオン金属に対する電位が3~4.25Vの範囲における電気的安定性と導電性とを備える材料を用いることができる。具体的には、アルミニウムまたはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子207は、正極集電体205aとの接触抵抗を低減するために、正極集電体205aと同様の材料であることが好ましい。
正極端子207は、リチウムイオン金属に対する電位が3~4.25Vの範囲における電気的安定性と導電性とを備える材料を用いることができる。具体的には、アルミニウムまたはMg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子207は、正極集電体205aとの接触抵抗を低減するために、正極集電体205aと同様の材料であることが好ましい。
以下、非水電解質二次電池200の構成部材である袋状外装材202、正極205、負極203、電解質、セパレータ204について詳細に説明する。
1)袋状外装材202
袋状外装材202は、厚さ0.5mm以下のラミネートフィルムから形成される。或いは、外装材は厚さ1.0mm以下の金属製容器が用いられる。金属製容器は、厚さ0.5mm以下であることがより好ましい。
袋状外装材202は、厚さ0.5mm以下のラミネートフィルムから形成される。或いは、外装材は厚さ1.0mm以下の金属製容器が用いられる。金属製容器は、厚さ0.5mm以下であることがより好ましい。
袋状外装材202の形状は、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、及びボタン型から選択できる。外装材の例には、電池寸法に応じて、例えば携帯用電子機器等に積載される小型電池用外装材、二輪乃至四輪の自動車等に積載される大型電池用外装材などが含まれる。
ラミネートフィルムは、樹脂層間に金属層を介在した多層フィルムが用いられる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂層は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って外装材の形状に成形することができる。
金属製容器は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素を含む合金が好ましい。合金中に鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属が含まれる場合、その量は100質量ppm以下にすることが好ましい。
2)正極205
正極205は、活物質を含む正極合剤205bが正極集電体205aの片面もしくは両面に担持された構造を有する。
前記正極合剤205bの片面の厚さは1.0μm~150μmの範囲であることが電池の大電流放電特性とサイクル寿命の保持の点から望ましい。従って正極集電体205aの両面に担持されている場合は正極合剤205bの合計の厚さは20μm~300μmの範囲となることが望ましい。片面のより好ましい範囲は30μm~120μmである。この範囲であると大電流放電特性とサイクル寿命は向上する。
正極合剤205bは、正極活物質の他に導電剤を含んでいてもよい。
また、正極合剤205bは正極材料同士を結着する結着剤を含んでいてもよい。
正極205は、活物質を含む正極合剤205bが正極集電体205aの片面もしくは両面に担持された構造を有する。
前記正極合剤205bの片面の厚さは1.0μm~150μmの範囲であることが電池の大電流放電特性とサイクル寿命の保持の点から望ましい。従って正極集電体205aの両面に担持されている場合は正極合剤205bの合計の厚さは20μm~300μmの範囲となることが望ましい。片面のより好ましい範囲は30μm~120μmである。この範囲であると大電流放電特性とサイクル寿命は向上する。
正極合剤205bは、正極活物質の他に導電剤を含んでいてもよい。
また、正極合剤205bは正極材料同士を結着する結着剤を含んでいてもよい。
正極活物質としては、種々の酸化物、例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えばLiCOO2)、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えばLiNi0.8CO0.2O2)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn2O4、LiMnO2)を用いると高電圧が得られるために好ましい。
導電剤としてはアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などを挙げることができる。
結着材の具体例としては例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ弗化ビニリデン(PVdF)、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
結着材の具体例としては例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ弗化ビニリデン(PVdF)、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
正極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、正極活物質80~95質量%、導電剤3~20質量%、結着剤2~7質量%の範囲にすることが、良好な大電流放電特性とサイクル寿命を得られるために好ましい。
集電体205aとしては、多孔質構造の導電性基板かあるいは無孔の導電性基板を用いることができる。集電体の厚さは5~20μmであることが望ましい。この範囲であると電極強度と軽量化のバランスがとれるからである。
正極205は、例えば活物質、導電剤及び結着剤を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製し、このスラリーを集電体205aに塗布し、乾燥し、その後、プレスを施すことにより作製される。正極205はまた活物質、導電剤及び結着剤をペレット状に形成して正極合剤205bとし、これを集電体205a上に形成することにより作製されてもよい。
3)負極203
負極203は、負極活物質とその他負極材料を含む負極合剤203bが負極集電体203aの片面もしくは両面に層状に担持された構造を有する。負極活物質には、第1実施形態に係る負極活物質100を用いる。
前記負極合剤203bの厚さは1.0~150μmの範囲であることが望ましい。従って負極集電体203aの両面に担持されている場合は負極合剤203bの合計の厚さは20~300μmの範囲となる。片面の厚さのより好ましい範囲は30~100μmである。この範囲であると大電流放電特性とサイクル寿命は大幅に向上する。
負極203は、負極活物質とその他負極材料を含む負極合剤203bが負極集電体203aの片面もしくは両面に層状に担持された構造を有する。負極活物質には、第1実施形態に係る負極活物質100を用いる。
前記負極合剤203bの厚さは1.0~150μmの範囲であることが望ましい。従って負極集電体203aの両面に担持されている場合は負極合剤203bの合計の厚さは20~300μmの範囲となる。片面の厚さのより好ましい範囲は30~100μmである。この範囲であると大電流放電特性とサイクル寿命は大幅に向上する。
負極合剤203bは負極材料同士を結着する結着剤を含んでいてもよい。結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ弗化ビニリデン(PVdF)、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリイミド、ポリアラミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸等を用いることができる。また、結着剤には2種またはそれ以上のものを組み合わせて用いてもよく、活物質同士の結着に優れた結着剤と活物質と集電体の結着に優れた結着剤の組み合わせや、硬度の高いものと柔軟性に優れるものを組み合わせて用いると、寿命特性に優れた負極を作製することができる。
また、負極合剤203bは導電剤を含んでいてもよい。導電剤としてはアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などを挙げることができる。
また、負極合剤203bは導電剤を含んでいてもよい。導電剤としてはアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などを挙げることができる。
集電体203aとしては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレスまたはニッケルから形成することができる。集電体203aの厚さは5~20μmであることが望ましい。この範囲であると電極強度と軽量化のバランスがとれるからである。
負極203は、例えば活物質、導電剤及び結着剤を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製し、このスラリーを集電体203aに塗布し、乾燥し、その後、プレスを施すことにより作製される。負極203はまた活物質、導電剤及び結着剤をペレット状に形成して負極合剤203bとし、これを集電体203a上に形成することにより作製されてもよい。
負極203は、例えば活物質、導電剤及び結着剤を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製し、このスラリーを集電体203aに塗布し、乾燥し、その後、プレスを施すことにより作製される。負極203はまた活物質、導電剤及び結着剤をペレット状に形成して負極合剤203bとし、これを集電体203a上に形成することにより作製されてもよい。
負極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、負極活物質80~95質量%、導電剤3~20質量%、結着剤2~7質量%の範囲にすることが、良好な大電流放電特性とサイクル寿命を得られるために好ましい。
4)電解質
電解質としては非水電解液、電解質含浸型ポリマー電解質、高分子電解質、あるいは無機固体電解質を用いることができる。
非水電解液は、非水溶媒に電解質を溶解することにより調製される液体状電解液で、電極群中の空隙に保持される。
電解質としては非水電解液、電解質含浸型ポリマー電解質、高分子電解質、あるいは無機固体電解質を用いることができる。
非水電解液は、非水溶媒に電解質を溶解することにより調製される液体状電解液で、電極群中の空隙に保持される。
非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)とPCやECより低粘度である非水溶媒(以下第2溶媒と称す)との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることが好ましい。
第2溶媒としては、例えば鎖状カーボンが好ましく、中でもジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、γ-ブチロラクトン(BL)、アセトニトリル(AN)、酢酸エチル(EA)、トルエン、キシレンまたは、酢酸メチル(MA)等が挙げられる。これらの第2溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。特に、第2溶媒はドナー数が16.5以下であることがより好ましい。
第2溶媒の粘度は、25℃において2.8cmp以下であることが好ましい。混合溶媒中のエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は、体積比率で1.0%~80%であることが好ましい。より好ましいエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は体積比率で20%~75%である。
非水電解液に含まれる電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO4)、六弗化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウ弗化リチウム(LiBF4)、六弗化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]等のリチウム塩(電解質)が挙げられる。中でもLiPF6、LiBF4を用いるのが好ましい。
電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5~2.0mol/Lとすることが望ましい。
電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5~2.0mol/Lとすることが望ましい。
5)セパレータ204
非水電解液を用いる場合、および電解質含浸型ポリマー電解質を用いる場合においてはセパレータ204を用いることができる。セパレータ204は多孔質セパレータを用いる。セパレータ204の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリ弗化ピニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を用いることができる。中でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるため好ましい。
非水電解液を用いる場合、および電解質含浸型ポリマー電解質を用いる場合においてはセパレータ204を用いることができる。セパレータ204は多孔質セパレータを用いる。セパレータ204の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリ弗化ピニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を用いることができる。中でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるため好ましい。
セパレータ204の厚さは、30μm以下にすることが好ましい。厚さが30μmを越えると、正負極間の距離が大きくなって内部抵抗が大きくなる恐れがある。また、厚さの下限値は、5μmにすることが好ましい。厚さを5μm未満にすると、セパレータ204の強度が著しく低下して内部ショートが生じやすくなる恐れがある。厚さの上限値は、25μmにすることがより好ましく、また、下限値は1.0μmにすることがより好ましい。
セパレータ204は、120℃の条件で1時間おいたときの熱収縮率が20%以下であることが好ましい。熱収縮率が20%を超えると、加熱により短絡が起こる可能性が大きくなる。熱収縮率は、15%以下にすることがより好ましい。
セパレータ204は、多孔度が30~70%の範囲であることが好ましい。これは次のような理由によるものである。多孔度を30%未満にすると、セパレータ204において高い電解質保持性を得ることが困難になる恐れがある。一方、多孔度が60%を超えると十分なセパレータ204強度を得られなくなる恐れがある。多孔度のより好ましい範囲は、35~70%である。
セパレータ204は、多孔度が30~70%の範囲であることが好ましい。これは次のような理由によるものである。多孔度を30%未満にすると、セパレータ204において高い電解質保持性を得ることが困難になる恐れがある。一方、多孔度が60%を超えると十分なセパレータ204強度を得られなくなる恐れがある。多孔度のより好ましい範囲は、35~70%である。
セパレータ204は、空気透過率が500秒/1.00cm3以下であると好ましい。空気透過率が500秒/1.00cm3を超えると、セパレータ204において高いリチウムイオン移動度を得ることが困難になる恐れがある。また、空気透過率の下限値は、30秒/1.00cm3である。空気透過率を30秒/1.00cm3未満にすると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがあるからである。
空気透過率の上限値は300秒/1.00cm3にすることがより好ましく、また、下限値は50秒/1.00cm3にするとより好ましい。
空気透過率の上限値は300秒/1.00cm3にすることがより好ましく、また、下限値は50秒/1.00cm3にするとより好ましい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る電池パックを説明する。
第3実施形態に係る電池パックは、上記第2実施形態に係る非水電解質二次電池(即ち、単電池)を一以上有する。電池パックに複数の単電池が含まれる場合、各単電池は、電気的に直列、並列、或いは、直列と並列に接続して配置される。
図5及び図6を参照して電池パック300を具体的に説明する。図5に示す電池パック300では、単電池301として図3に示す扁平型非水電解液電池200を使用している。
次に、第3実施形態に係る電池パックを説明する。
第3実施形態に係る電池パックは、上記第2実施形態に係る非水電解質二次電池(即ち、単電池)を一以上有する。電池パックに複数の単電池が含まれる場合、各単電池は、電気的に直列、並列、或いは、直列と並列に接続して配置される。
図5及び図6を参照して電池パック300を具体的に説明する。図5に示す電池パック300では、単電池301として図3に示す扁平型非水電解液電池200を使用している。
複数の単電池301は、外部に延出した負極端子302及び正極端子303が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ304で締結することにより組電池305を構成している。これらの単電池301は、図6に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
プリント配線基板306は、負極端子302及び正極端子303が延出する単電池301側面と対向して配置されている。プリント配線基板306には、図6に示すようにサーミスタ307、保護回路308及び外部機器への通電用端子309が搭載されている。なお、組電池305と対向する保護回路基板306の面には組電池305の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
正極側リード310は、組電池305の最下層に位置する正極端子303に接続され、その先端はプリント配線基板306の正極側コネクタ311に挿入されて電気的に接続されている。負極側リード312は、組電池305の最上層に位置する負極端子302に接続され、その先端はプリント配線基板306の負極側コネクタ313に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ311、313は、プリント配線基板306に形成された配線314、315を通して保護回路308に接続されている。
サーミスタ307は、単電池305の温度を検出するために用いられ、その検出信号は保護回路308に送信される。保護回路308は、所定の条件で保護回路308と外部機器への通電用端子309との間のプラス側
配線316a及びマイナス側配線316bを遮断できる。所定の条件とは、例えばサーミスタ307の検出温度が所定温度以上になったときである。また、所定の条件とは単電池301の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単電池301もしくは単電池301全体について行われる。個々の単電池301を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単電池301中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図5及び図6の場合、単電池301それぞれに電圧検出のための配線317を接続し、これら配線317を通して検出信号が保護回路308に送信される。
配線316a及びマイナス側配線316bを遮断できる。所定の条件とは、例えばサーミスタ307の検出温度が所定温度以上になったときである。また、所定の条件とは単電池301の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単電池301もしくは単電池301全体について行われる。個々の単電池301を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単電池301中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図5及び図6の場合、単電池301それぞれに電圧検出のための配線317を接続し、これら配線317を通して検出信号が保護回路308に送信される。
正極端子303及び負極端子302が突出する側面を除く組電池305の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート318がそれぞれ配置されている。
組電池305は、各保護シート318及びプリント配線基板306と共に収納容器319内に収納される。すなわち、収納容器319の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート318が配置され、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板306が配置される。組電池305は、保護シート318及びプリント配線基板306で囲まれた空間内に位置する。蓋320は、収納容器319の上面に取り付けられている。
なお、組電池305の固定には粘着テープ304に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
図5、図6では単電池301を直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには並列に接続しても、または直列接続と並列接続を組み合わせてもよい。組み上がった電池パックをさらに直列、並列に接続することもできる。
以上記載した本実施形態によれば、上記第3実施形態における優れた充放電サイクル性能を有する非水電解質二次電池を備えることにより、優れた充放電サイクル性能を有する電池パックを提供することができる。
以上記載した本実施形態によれば、上記第3実施形態における優れた充放電サイクル性能を有する非水電解質二次電池を備えることにより、優れた充放電サイクル性能を有する電池パックを提供することができる。
なお、電池パックの態様は用途により適宜変更される。電池パックの用途は、大電流を取り出したときに優れたサイクル特性を示すものが好ましい。具体的には、デジタルカメラの電源用や、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車等の車載用が挙げられる。特に、高温特性の優れた非水電解質二次電池を用いた電池パックは車載用に好適に用いられる。
以下に具体的な実施例(各実施例で説明する夫々の条件で、図3で説明した電池を具体的に作成した例)を挙げ、その効果について述べる。
(実施例1)
次のような条件でSiOの粉砕し、粉砕物、炭素材料とジルコニア化合物を混練し、混練物をArガス中で焼成し、100を得た。
次のような条件でSiOの粉砕し、粉砕物、炭素材料とジルコニア化合物を混練し、混練物をArガス中で焼成し、100を得た。
平均一次粒径が22.6μmのSiOを98質量部と平均一次粒径が2.0μmのイットリアドープ単斜晶ジルコニアを2質量部を測り取って、次のように粉砕混合した。連続式ビーズミル装置にてビーズ径0.5mmのビーズを用いエタノールを分散媒として6時間の粉砕処理を行った。粉砕処理物の平均一次粒径は、0.5μmであった。次に、フルフリルアルコール4.0g、エタノール10g、水0.125gの混合液に粉砕処理物2.8g、平均一次粒径が3μmの黒鉛粉末0.5gと平均直径180nmの炭素繊維0.08gを加え混練機にて混練処理しスラリー状とした。混錬後のスラリーにフルフリルアルコールの重合触媒となる希塩酸を0.2g加え室温で18時間放置することで、乾燥、固化して炭素複合体を得た。
得られた炭素複合体を1100℃で3h、Arガス中にて焼成し、室温まで冷却後、粉砕し30μm径のふるいをかけてふるい下に負極活物質を得た。
得られた炭素複合体を1100℃で3h、Arガス中にて焼成し、室温まで冷却後、粉砕し30μm径のふるいをかけてふるい下に負極活物質を得た。
実施例1において得られた活物質について、以下に説明する充放電試験、X線回折測定およびICP測定を行い、充放電特性および物性を評価した。
得られた試料77質量部に平均径3μmのグラファイト15質量部、ポリイミド8質量部を分散媒に入れ、混練し、厚さ12μmの銅箔上に塗布して圧延した。分散媒としてN-メチルピロリドンを用いた。圧延後、250℃で2時間、Arガス中にて熱処理し、所定のサイズに裁断した後、100℃で12時間、真空乾燥し、試験電極とした。対極および参照極を金属Li、電解液をLiPF6(1M)のEC・DEC(体積比EC:DEC=1:2)溶液とした電池をアルゴン雰囲気中で作製した。
(充放電試験)
この電池について充放電試験を行った。充放電試験の条件は、参照極と試験電極間の電位差0.01Vまで1mA/cm2の電流密度で充電、さらに0.01Vで16時間の定電圧充電を行い、放電は1mA/cm2の電流密度で1.5Vまで行った。この条件でのサイクルを3回行ったのちに電流値を2.5mA/cm2として同じ条件で充放電サイクルを行い。2.5mA/cm2における放電容量と1mA/cm2での放電容量の比を算出した、さらに、参照極と試験電極間の電位差0.01Vまで1mA/cm2の電流密度で充電、1mA/cm2の電流密度で1.5Vまで放電するサイクルを200回行い、1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の維持率を測定した。
この電池について充放電試験を行った。充放電試験の条件は、参照極と試験電極間の電位差0.01Vまで1mA/cm2の電流密度で充電、さらに0.01Vで16時間の定電圧充電を行い、放電は1mA/cm2の電流密度で1.5Vまで行った。この条件でのサイクルを3回行ったのちに電流値を2.5mA/cm2として同じ条件で充放電サイクルを行い。2.5mA/cm2における放電容量と1mA/cm2での放電容量の比を算出した、さらに、参照極と試験電極間の電位差0.01Vまで1mA/cm2の電流密度で充電、1mA/cm2の電流密度で1.5Vまで放電するサイクルを200回行い、1サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の維持率を測定した。
(X線回折測定)
得られた粉末試料について粉末X線回折測定を行い、Si(220)面のピークの半値幅を測定した。測定は株式会社マック・サイエンス社製X線回折測定装置(型式M18XHF22)を用い、以下の条件で行った。
対陰極:Cu
管電圧:50kv
管電流:300mA
走査速度:1°(2θ)/min
時定数:1sec
受光スリット:0.15mm
発散スリット:0.5°
散乱スリット:0.5°
得られた粉末試料について粉末X線回折測定を行い、Si(220)面のピークの半値幅を測定した。測定は株式会社マック・サイエンス社製X線回折測定装置(型式M18XHF22)を用い、以下の条件で行った。
対陰極:Cu
管電圧:50kv
管電流:300mA
走査速度:1°(2θ)/min
時定数:1sec
受光スリット:0.15mm
発散スリット:0.5°
散乱スリット:0.5°
回折パターンより、d=1.92Å(2θ=47.2°)に現れるSiの面指数(220)のピークの半値幅(2θ)を測定した。また、Si(220)のピークが活物質中に含有される他の物質のピークと重なりをもつ場合には、ピークを単離し半値幅を測定した。2θ=30、50,60°における回折ピークの有無を確認し、さらにSiの面指数(111)のピークの面積AおよびZrO2に由来する2θ=30°のピークについての面積Bを測定し、B/Aを算出した。
(ICP測定)
得られた活物質を、硝酸、フッ酸、硫酸の混合液に230℃下で溶解し、硫酸のみとなるまで揮発させて定容化してZr定量用のICP測定用サンプルを作成した。炭酸ナトリウムを用いて同様に活物質をアルカリ溶解しSi定量用のICP測定用サンプルを作成した。作成した測定用サンプルについてICP-AESによりSi、Zrを定量測定しZr/Siモル比を算出した。
得られた活物質を、硝酸、フッ酸、硫酸の混合液に230℃下で溶解し、硫酸のみとなるまで揮発させて定容化してZr定量用のICP測定用サンプルを作成した。炭酸ナトリウムを用いて同様に活物質をアルカリ溶解しSi定量用のICP測定用サンプルを作成した。作成した測定用サンプルについてICP-AESによりSi、Zrを定量測定しZr/Siモル比を算出した。
表1に充放電試験における放電容量、初回サイクルの放電容量に対する200サイクル後の容量維持率、粉末X線回折から得た2θ=30、50,60°における回折ピークの有無、Siの面指数(111)ピークの面積Aおよび正方晶系ZrO2に由来する2θ=30°のピーク面積Bの比(B/A)およびSi(220)ピークの半値幅測定結果、ICP測定より得たZr/Siモル比を示す。
以下の実施例と比較例に関して、下記表1にまとめた。以下の実施例および比較例については実施例1と異なる部分のみ説明し、その他の合成および評価手順については実施例1と同様に行ったので説明を省略する。
(実施例2)
SiOを99質量部とし、イットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末を1質量部とした他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
SiOを99質量部とし、イットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末を1質量部とした他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
(実施例3)
SiOを99.8質量部とし、イットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末を0.2質量部とした他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
SiOを99.8質量部とし、イットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末を0.2質量部とした他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
(実施例4)
SiOを90質量部とし、イットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末を10質量部とした他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
SiOを90質量部とし、イットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末を10質量部とした他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
(実施例5)
SiOを83質量部とし、イットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末を17質量部とした他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
SiOを83質量部とし、イットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末を17質量部とした他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
(実施例6)
SiOを70質量部とし、イットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末を30質量部とした他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
SiOを70質量部とし、イットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末を30質量部とした他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
(実施例6)
SiOを65質量部とし、イットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末を45質量部とした他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
SiOを65質量部とし、イットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末を45質量部とした他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
(比較例1)
粉砕処理時にイットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末の添加を行わない他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
粉砕処理時にイットリアドープ単斜晶ジルコニア粉末の添加を行わない他は実施例1と同様に合成を行い、活物質を得た。
図7に実施例および比較例のXRD回折パターンを示す。比較例のサンプルとは異なり、ジルコニアを添加した実施例の回折パターンでは2θ=30°および50、60°に回折ピークを有する。
表1から明らかなように、炭素質物中に分散されたシリコン酸化物と、前記シリコン酸化物中に分散されたシリコンとからなる複合体であり、粉末X線回折測定において2θ=30°に回折ピークを有する実施例1~7の負極活物質を備えた二次電池は、200サイクル目の容量維持率が優れており、長寿命であることがわかる。特に実施例1~4の活物質は寿命特性に加え、放電容量と大電流特性の双方が優れていることが理解できる。
これに対し、2θ=30°に回折ピークを有しない比較例1の負極活物質は、100サイクル目の容量維持率が実施例1~7に比較して小さくなった。
これに対し、2θ=30°に回折ピークを有しない比較例1の負極活物質は、100サイクル目の容量維持率が実施例1~7に比較して小さくなった。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限られず、特許請求の範囲に記載の発明の要旨の範疇において様々に変更可能である。また、本発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
Claims (9)
- 炭素質物と、
前記炭素質物中に酸化ケイ素物相と、
前記酸化ケイ素相中にケイ素相と、
前記炭素質物中にジルコニア相と、
を有する負極活物質であって、
粉末X線回折測定において2θ=30±1°に回折ピークを有することを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質。 - 前記ジルコニア相は、正方晶ジルコニア又は安定化正方晶ジルコニアからなる相であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
- 前記負極活物質の粉末X線回折測定におけるSi(111)面の回折ピークの面積Aと正方晶系ジルコニア(101)面の回折ピークの面積Bの比(B/A)が0.05以上0.5以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
- 前記酸化ケイ素相とケイ素相に含まれるシリコン元素に対するジルコニア相に含まれるジルコニウム元素の含有量のモル比が0.001以上、0.2以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
- 粉末X線回折測定におけるSi(220)面の回折ピークの半値幅が1.0°以上、8.0°以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極活物質。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の負極活物質は、1000℃以上1400℃以下の温度で焼成されたものであることを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の負極活物質を含む負極と、正極活物質を含む正極と、非水電解質とを具備することを特徴とする非水電解質二次電池。
- 請求項7に記載の非水電解質二次電池を用いたことを特徴とする電池パック。
- SiOX(0.8≦x≦1.5)と、
ジルコニウム化合物と、
樹脂と、
グラファイト、コークス、低温焼成炭とピッチからなる群から選ばれる1種以上の炭素材料と、を混合し、
1000℃以上1400℃以下で焼成することを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
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