WO2013047549A1 - 浄化カラムおよび浄化カラムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

 本発明が解決しようとする課題は被浄化物質除去性能が非常に優れた浄化カラムを提供することにある。または、上記浄化カラムの製造方法を提供することである。 上記課題の解決手段は、両側端部に隔壁が形成された筒状ケーシングを有し、前記ケーシング内に中空糸が内蔵され、前記中空糸の両端部が前記隔壁外部に開口した状態で前記隔壁に接着固定された浄化カラムにおいて、前記ケーシングの両端部の隔壁に、隔壁を貫通しケーシング内外を連通する貫通孔を有する浄化カラム、である。

Description

浄化カラムおよび浄化カラムの製造方法
 本発明は、血液浄化等に使用する中空糸をケーシング内に内蔵した浄化カラムに係り、好ましくは、処理液中の有害物質を効率的に吸着させることが可能な浄化カラムに関する。
 従来、一般的に用いられてきた中空糸型カラムは、例えば、以下の方法によって得られるものである。まず、筒型ケーシング内に中空糸(なお、本発明において「中空糸」とは、「中空糸膜」も含むものである。)の束を充填し、この中空糸束の両端を樹脂組成物でケーシング内面に固定して隔壁を設ける。次に、ケーシングの両端に被処理液(「処理液」と称されることもある)の供給口または排出口となる接続口を備えるヘッダーと呼ばれるキャップ部材をそれぞれ装着して、中空糸型カラムを得る。このような中空糸型カラムの使用法としては、該ヘッダーの供給口から処理液を供給し、各中空糸膜内部を通過する際に中空糸外側の透析液などの浄化液により浄化処理を行う。その後、ヘッダーの排出口から被処理液を排出する。
 また、中空糸束の両端部を樹脂組成物で固定して隔壁となす工程はポッティング工程といい、例えば、中空糸束を装填したケーシングの両端開口にキャップ(「隔壁部形成用治具」と称されることもある)を被せて閉塞し、この状態でケーシング内に、当該ケーシングの外周部両端近傍に突設した処理液の流入口及び流出口からポリウレタンなどの樹脂液を注入し、この樹脂液を遠心力によりケーシングの端部に流動させて硬化させ、その後、キャップを外して不要部分を切除することにより中空糸束の端部をケーシング内の端部に固定するとともに中空糸膜の両端を開口している。
 これまでに、この種類の中空糸型カラムに血液等の処理液を導入することで物質を除去する試みが為されており、中空糸の表面に被吸着物質と相互作用を成すリガンドを実質上均一に固定させることで悪性(除去対象)物質を吸着する方法が知られている(特許文献1)。
 また、ケーシング内部の中空糸外部に吸着剤を充填したカラムにおいて、中空糸内部に血液を流して中空糸外部に濾過された血漿を吸着剤によって浄化した後、逆濾過により前記血液フィルタ内部に戻すカラムも考案されている(特許文献2)。
 また、ケーシングの両端のポッティング部(隔壁部)において、隔壁の厚み方向にポッティング部を貫通する孔を付与し、中空糸の内側と外側の両側に処理液を均一に分散させようとする例も存在する(特許文献3,4,5,6)。
 一方で、浄化カラムの両端をポッティングによる固定を行わずにメッシュ等で封止した例もある(特許文献7、8、9)。
また、浄化カラムの片側のみをポッティングで固定した例もある(特許文献10)。
特開平2-29260号公報 特開平8-141076号公報 特開平5-161831号公報 特開平5-161832号公報 特開平6-343836号公報 特開2007-90309号公報 特開2009-254695号公報 特開2011-156022号公報 国際公開第2009/128564号 特表2002-504020号公報
 しかし、上述の従来技術は以下のような課題を有する。
 すなわち、特許文献1に記載の技術は、中空糸の内側に比べて、外側が吸着除去に寄与しにくいという欠点があり、目的とする吸着機能を有しない場合がある。
 また、特許文献2に記載の手法では、中空糸膜などの分離膜をケーシング内に固定した後、後の工程で吸着剤をケーシング内に充填することによる、工程の複雑化、吸着剤の挿入口の確保、吸着剤の均一な分散などが問題となる。また、処理液が浄化カラムを通過するに際して、その前半では、濾液や血漿成分(処理液)は中空糸膜内側より外側に移行方向が固定されやすい。そして、その通過の後半では、中空糸膜外側から内側へと移行方向が固定されやすいことになる。したがって、血中の蛋白成分や吸着剤に用いられる微粒子が中空糸膜の孔に付着し、膜が目詰まりを起こし性能が低下することが懸念される。
 また、特許文献3,4,5および6に記載の発明では、中空糸の一端が閉口されているため、処理液の圧力損失の増大や、目詰まりを起こし易いことによるカラムの圧力上昇が懸念される。
 また、特許文献7、8、9に記載の手法では、中空糸の内外に処理液を同時に導入することが可能であるが、中空糸内部と中空糸外部の流量比のコントロールが困難であることや、カラム内の流れがケーシングの一部に偏ることが懸念されることから、効率の面やカラムの安定性の面で問題がある。また、中空糸端部を固定していない状態で端部カットを行うと、微細な異物などが発生し、これらが溶出物となる可能性がある。
 また、特許文献10に記載の手法では、貫通孔が存在しないために中空糸の外側が吸着に十分寄与しないことや中空糸の一片が固定されていないことから、糸同士の癒着により表面積が減少したり、輸送中等に糸の破損が起きやすい等の問題点がある。また特許文献10には、浄化カラムの被処理液排出部を閉口し、ケーシング胴部に別の排出部を設けた発明の記載もある。しかし、カラム内はデッドエンドとなるため、圧力損失が非常に大きくなることや、人工腎臓などの血液浄化用中空糸膜モジュールの場合は、血液透析の終了後、生理食塩水を用いて血液を体内に戻す作業(「返血」と称されることもある)を行うが、その際に血液が中空糸に多数残存する、残血と呼ばれる現象の増加が懸念される。
 以上の従来技術が有する課題に対し、本発明が解決しようとする課題は被浄化物質除去性能が非常に優れた浄化カラムを提供することにある。または、上記浄化カラムの製造方法を提供することである。
 上記課題を解決するために、本発明は、両側端部に隔壁が形成された筒状ケーシングを有し、前記ケーシング内に中空糸が内蔵され、前記中空糸の両端部が前記隔壁外部に開口した状態で前記隔壁に接着固定された浄化カラムにおいて、前記ケーシングの両端部の隔壁に、隔壁を貫通しケーシング内外を連通する貫通孔を有する浄化カラムの構成を採る。
 本発明によれば、筒状ケーシング内で中空糸の内外に同時に処理液を流すことが可能な浄化カラムを提供でき、中空糸素材を適宜選択することにより処理液中の物質を非常に効率よく除去することができる。
隔壁部端面において外周部付近領域と中心部付近領域を示す模式図である。 隔壁部端面(領域A)を、重心Oを通り中心角が90°となる任意の2本の直線で4領域に分けた模式図である。 図2で用いた2本の直線を、重心Oを中心として45°回転させた2本の直線で領域Aを4領域に分けた模式図である。 隔壁部端面における外周部付近領域に貫通孔が配された模式図である。 図4の模式図を45°回転させた模式図である。 隔壁部端面における外周部付近領域に貫通孔が配された模式図である。 隔壁部端面における外周部付近領域に貫通孔が配された模式図である。 樹脂注入口が設けられた筒状ケーシングの模式図(側面図)である。 内周面に貫通孔形成用の凸部を有する隔壁部形成用治具の模式図(斜視図)である。 浄化カラムの模式図(側面図)である。 β2-MGのクリアランスの測定に用いられる回路図である。
 本発明の浄化カラムは、筒状ケーシングおよび中空糸を有する。また、本発明の浄化カラムは、筒状ケーシングの両側端部に隔壁が形成され、筒状ケーシング内には中空糸が内蔵されている。また、本発明の浄化カラムは、前記ケーシングの両端部の隔壁に、隔壁を貫通しケーシング内外を連通する貫通孔を有するものである。
 詳しくは後述するが、本発明の浄化カラムは、処理液が外部から導入される用途などに供せられる。そして、一般的な従来の中空糸型人工腎臓または浄水器においては、中空糸の両端部は、隔壁外部に開口した状態で隔壁に固定されている。これによって、隔壁に中空糸端部を固定することができる。また、これによって、処理液を、隔壁の外から、中空糸の内部(中空部)を通じて、浄化カラムの内部に導入することができる。ただし、従来の中空糸型人工腎臓または浄水器の隔壁はそれ以外の貫通孔などを持たないので、処理液は、隔壁の外から、中空糸の内部のみを通じて、浄化カラムの内部に導入される。
 本発明の浄化カラムも、中空糸の両端部が隔壁外部に開口した状態で前記隔壁に接着固定されている。これによって、従来技術と同様、隔壁に中空糸端部を固定することができると共に、処理液を、隔壁の外から、中空糸の内部を通じて、浄化カラムの内部に導入することができる。
 しかし、本発明の浄化カラムは、前記ケーシングの両端部の隔壁に、該隔壁を貫通しケーシング内外を連通する貫通孔を有するものである。ここで、貫通孔とは、中空糸によって隔壁部に開けられる空間ではなく、中空糸とは別個に、隔壁部の中空糸長手方向に貫通している開口部のことである。すなわち、本発明でいう貫通孔とは、隔壁部に存在してこれを貫通するものであり、ケーシングの内部と外部を連通する孔のことである。
 ケーシング内外を連通する貫通孔を設けることにより、処理液を、隔壁の外から、貫通孔を通じても、浄化カラムの内部に導入することができる。このように、本発明では、中空糸内部および外部の両方に処理液を導くことができ、ケーシング内部全体に処理液を適切に分配することができる。このように、中空糸内部のみならず、中空糸外部にも被処理液を導入することにより、被処理液と中空糸との接触面積が飛躍的に増大し、被吸着物質をより効率的に吸着除去することができる。また、中空糸がその膜厚部に細孔をもつ場合には、膜厚部の両側から処理液を導入することで膜厚部細孔への被吸着物質の拡散性を向上できる。
 つまり、本発明の浄化カラムは、両側端部に隔壁が形成された筒状ケーシングを有し、ケーシング内に中空糸が内蔵されたカラムであって、該隔壁部に貫通孔を設けることで、ケーシング内部全体に処理液を適切に分配することができ、処理液中に含まれる物質をより効率的に吸着除去できるものである。
 また、本発明において、ケーシング端部の形状(断面形状)としては、例えば円形または楕円形が挙げられ、当該ケーシング端部には内蔵された中空糸の端部を固定する等の目的のため、ウレタン樹脂等により隔壁が形成されていることが好ましい。
 隔壁部断面から見た貫通孔の形状としてはとくに限られないが、処理液の目詰まりのし難さという観点から、円形もしくは楕円形であることが好ましい。また、側面側(処理液の流れ方向)から見た場合の形態としては、圧力損失を考慮すると、流路が平滑な筒状であることが好ましいが、この場合、処理液の導入側と排出側で断面積が同じでもよく、異なっても構わない。
 また、隔壁部において、隔壁部によって封止されるケーシングの内部に接している側の表面を「隔壁部内壁面」とし、隔壁部によって封止されるケーシングの外部に接している側の表面を「隔壁部外壁面」とすると、本発明では、中空糸の両端部は隔壁部外壁面にて開口した状態であるので、処理液は導入側から排出側まで中空糸内部を連通して流れることもできる。
 ケーシング端面における貫通孔の位置、または複数の貫通孔の配置は処理液の流れを最適化するために重要である。処理液の導入側の隔壁に設けられた貫通孔と排出側の隔壁に設けられた貫通孔が、ケーシング内の軸方向における最短距離を結ぶような位置関係にある場合には、貫通孔を通過する処理液はカラム内をショートパスする可能性が高い。カラム内においてショートパスを起こした場合には、被処理液と中空糸の接触が一部の中空糸に偏るため、十分な吸着除去性能が得られないことがある。
 そのため、貫通孔は、処理液の導入側と排出側とで、隔壁内壁面上の異なる位置にあることが好ましい。つまり、処理液の導入側の隔壁の内壁面上にある貫通孔を、処理液の排出側の隔壁の内壁面上に投影した時に、処理液の排出側の隔壁の内壁面上にある貫通孔上に処理液の導入側の隔壁の内壁面の貫通孔の投影像が重ならないことが好ましい。なお、この場合、ケーシングの両側端部の形状は同一であることを前提としている。
 次に、貫通孔の配置について、好ましい態様の例を2つ挙げつつ、説明する。
 一つ目の例は、処理液の導入される側では貫通孔を隔壁部端面の外周部付近に配し、処理液の排出される側では貫通孔を隔壁部端面の中心部付近に配するものである。貫通孔の位置をこのように配することで、カラム内の中空糸全体への接触効率が高くなる。
 具体例を端部概略断面図である図1に基づき説明する。図1に示すように、ケーシング端面における一方の隔壁の内壁面において、その全体領域をAとし、Aの重心をOとした際に、Aと同様に重心をOとするAの1/2の相似な形状で囲まれる領域をA、AからAを除いた領域をAとした場合に、次の項目(a)または(b)が満たされることが好ましい。特に好ましくは、(a)および(b)の両方が満たされることである。なお、ここで、「重心をOとする1/2の相似な形状」とは、任意に、重心から隔壁表面の外周部までを半径方向に直線で結んだ際、該直線を長さ方向に1/2にする中心の点で囲まれる形状のことである。
 (a)処理液が導入される側の隔壁部の内壁面において、貫通孔の面積の総和の70%以上がAに存在すること。
 (b)処理液が排出される側の隔壁部の内壁面において、貫通孔の面積の総和の70%以上がAに存在すること。
 すなわち、この例では、隔壁部内壁面における、貫通孔の面積の総和のうち、処理液が導入される側ではAに70%以上、さらに好ましくは90%以上存在し、処理液が排出される側ではAに70%以上、さらに好ましくは90%以上存在することとなる。
 ここで、かかる壁面の一例を、図4,図6に示す。また、図6は、浄化カラムの隔壁部内壁面において、貫通孔の面積の総和の70%以上がAに存在する場合の一例を示す概略図であり、図4は、浄化カラムの隔壁部外壁面において、貫通孔の面積の総和の70%以上がAに存在する場合の一例を示す概略図である。
 本発明のもう一つの好ましい例は、処理液の導入される側では貫通孔を隔壁部端面の中心部付近に配し、処理液の排出される側では貫通孔を隔壁部端面の外周部付近に配するものである。貫通孔の位置をこのように配することで、カラム内における圧力損失の低減や、処理液が滞留する可能性を低減できる。
 具体的には、次の項目(c)または(d)が満たされることが好ましく、特に好ましくは、(c)および(d)の両方が満たされることである。
(c)処理液が導入される側の隔壁部の内壁面において、貫通孔の面積の総和の70%以上がAに存在する。
(d)処理液が排出される側の隔壁部の内壁面において、貫通孔の面積の総和の70%以上がAに存在する。
 すなわち、この例では、隔壁部内壁面における、貫通孔の面積の総和のうち、処理液が導入される側ではAに70%以上、さらに好ましくは90%以上存在し、処理液が排出される側ではAに70%以上、さらに好ましくは90%以上存在することとなる。
 次に、本発明における貫通孔の大きさについて、好ましい例を挙げながら、説明する。
 一つひとつの貫通孔(つまり、個々の貫通孔)の面積が大き過ぎる場合にはカラム全体における処理液の流れが偏ることがあり、小さ過ぎる場合には処理液が通過する際の圧力損失が大きくなる傾向がある。そのため、隔壁部のうち、隔壁部によって封止されるケーシングの内部に接している側の表面を「隔壁部内壁面」とすると、一つひとつの貫通孔(個々の貫通孔)の隔壁内壁面における面積の上限は、ケーシング端面における隔壁の内壁面の全体領域をAとした場合、Aの面積の1/8以下であることが好ましく、より好ましくは1/20以下である。また下限としては、ケーシング端面における隔壁の全体領域をAとした場合、Aの面積の1/5000以上であることが好ましく、さらに好ましくは1/2000以上である。
 さらに、端面あたりの貫通孔の占有面積が大き過ぎる場合には、隔壁部の強度が弱くなり、輸送中や操作中の衝撃によるカラムの破損や処理液のリークの懸念が増す傾向にある。一方で、占有面積が小さ過ぎる場合には処理液導入中の圧上昇、処理液の分配不良等を招く恐れがある。これらのことから、貫通孔の隔壁内壁面における面積の総和の下限は、Aの面積の1/1000以上であり、より好ましくは1/200以上、さらに好ましくは1/50以上となる。一方で、上限としては、Aの面積の1/2以下であり、より好ましくは1/4以下である。 このように、本発明では、ケーシング端面における隔壁部の内壁面において、貫通孔の個々の面積が前記領域Aの面積の1/8以下であり、かつ前記貫通孔の面積の総和が前記領域Aの面積の1/1000以上、1/2以下であることが特に好ましい。
 また、端面における貫通孔の位置としては、カラム内に処理液をムラなく分配するという観点から適度に分散していることが望ましい。具体例を端部概略断面図である図2、3に基づき説明する。ケーシング端面における隔壁の内壁面の全体領域をAとし、Aの重心をOとした際に、ケーシング端面の重心Oを通り中心角が90°となる2本の直線で隔壁部の内壁面の全体領域AをA~Aの4つの領域に分ける。尚、上記2本の直線は、A~Aの4つ領域の面積比ができるだけ小さくなるように配するものとする。前記A~Aに関する一例を図2に示す。また、A~Aのそれぞれの領域に存在する貫通孔の面積の総和をS~Sとする。また、前記2本の直線を、重心Oを中心として45°回転させた2本の直線で分けられる4つの領域をA~A11とし、A~A11のそれぞれの領域に存在する貫通孔の面積の総和をS~S11とする。前記A~A11に関する一例を図3に示す。処理液をカラム内にムラなく分配するためには、以上のように規定されるA~A11およびS~S11に関して、以下の2つの項目(i)および(ii)を満たすことが好ましい。すなわち、
 (i)S~Sにおいて、総面積の最も大きいものをSmax1、総面積の最も小さいものをSmin1とし、S~S11において、総面積の最も大きいものをSmax2、総面積の最も小さいものをSmin2としたときに、Smax1/Smin1およびSmax2/Smin2がそれぞれ3.0以下であること。
 (ii)A~Aの4領域およびA~A11の4領域において、4領域それぞれに少なくとも1つは他の領域と重ならない独立した貫通孔を持つことである。
 また、Smax1/Smin1およびSmax2/Smin2は2.0以下であることがより好ましい。
 浄化カラムのケーシング長としては、長すぎる場合、カラム内への中空糸の挿入性が悪化することや、浄化カラムとして実使用する際の取扱いが難しくなることが考えられる。また、短すぎる場合には、内蔵する中空糸をカットする際の固定が難しくなる。そのため、浄化カラムのケーシング長は3cm以上、1500cm以下であり、更に好ましくは5cm以上、50cm以下である。ここで、ケーシング長とは、隔壁が設けられたり、キャップが装着される前の、筒状ケーシングの軸方向の長さのことである。
 また、両端隔壁部の間のケーシングの形状は問わないが、本発明の効果を発揮するためには、ケーシング内径は、同一のカラムにおいて、最大のケーシング内径に対する最小のケーシング内径の比率が0.7以上であることが好ましい。
 また、当該ケーシングの外周部両端の近傍に突設した流入口や流出口が設けられても良い。本発明の浄化カラムが透析用に供せられる場合などでは、ケーシングに設けられた当該流入口や流出口は「透析用のポート」などと称せられることもある。また、図8に示すように、隔壁用の樹脂を筒状ケーシング内に導入するために、筒状ケーシングの端部に樹脂注入口を設けても良い。なお、透析用のポートは、樹脂注入口として使用することもできる。
 本発明でいう中空糸とは、内部に被処理液の流路となる中空孔を有する円筒状の糸膜であり、中空孔の開口端が封止されることなくポッティング部(隔壁部)の外側の面で開口しており、処理機能を備えている糸体である。
 中空糸は、後述の実施例に示すように、好ましくは約10000本~100000本程度の複数本の中空糸からなる中空糸束が長手方向に引き揃えられてケーシングの軸方向に配設されている。
 本発明における中空糸の素材としては、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAという)、ポリアクリロニトリル(以下、PANという)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セルロース、セルローストリアセテート等が用いられるが、中でも、タンパク質を吸着できる特性を有する素材を含むことが好ましく、例えば、PMMA、PAN等が挙げられる。
 本発明に用いる中空糸は、膜厚部の厚み方向に、非対称構造であっても、均一な対称構造であっても良い。特に、対称構造をもつ膜では膜の厚み方向に均一な膜構造を有することで吸着面積をより確保できるため好ましい。本発明における対称構造とは、中空糸を、長軸方向に対して垂直に切断し、膜厚部断面を露出させて、該断面を走査型電子顕微鏡(たとえば日立社製、S-5500)にて観察した際に、以下の要件を満たす構造のことである。すなわち、膜厚部断面において、膜厚部を膜の厚み方向に対して1/2のところで分割し、それぞれ、中空糸の中空部に近い膜厚部の領域を内表面近傍領域とし、中空糸の外表面に近い膜厚部の領域を外表面近傍領域とする。そして、内表面近傍領域の膜厚部断面に孔が観察される場合は、それぞれの孔について円相当径を求める。得られた円相当径を平均して、内表面近傍領域における平均孔径を得る。外表面近傍領域についても、同様に、孔の円相当径を求め、外表面近傍領域における平均孔径を得る。走査型電子顕微鏡で2μm×2μmの範囲を任意に20箇所撮影し平均の孔径を算出する。それぞれの領域における平均孔径の算出に際しては、走査型電子顕微鏡(5万倍)で2μm×2μmの範囲を任意に20箇所撮影し、平均の孔径を算出するものとする。そして、内表面近傍領域における平均孔径に対する外表面近傍領域における平均孔径(外表面近傍領域における平均孔径/内表面近傍領域における平均孔径)が0.5倍以上2.0倍以下、より好ましくは0.75倍以上1.5倍以下である場合、当該中空糸は対称構造を持つものとする。
 つまり、本発明では、中空糸の膜厚部がスポンジのような孔構造を持つ場合、膜の厚み方向において、孔径の均一性が高いことが好ましい。
 また、本発明では、中空糸の膜厚部が細孔を有していても良い。膜厚部の平均細孔径としては、好ましくは1~100nmである。膜厚部が細孔を有する場合、平均細孔径が小さいと、被吸着物質が孔に入らないため、吸着効率が低下することがある。一方で細孔径が大きすぎても、空隙部分に被吸着物質が吸着されないため、逆に吸着効率が低下することがある。すなわち、除去対象とする被吸着物質の大きさに応じて最適な孔径が存在し、孔径の選択を誤ると十分な被吸着物質の吸着が出来ないことがある。中空糸膜の平均細孔径は、示差走査熱量(DSC)測定により、細孔内の水の毛管凝集による氷点降下度を測ることで求められる。
 さらに、中空糸の素材の少なくとも一部に、陰性荷電を有している素材を用いると、中空糸の空隙率をより高くすることが可能となるため、開孔率が大きくなり、吸着面積を増大させることができるために好ましい。一般的にイオン性基を含むと親水性が増し、疎水性溶媒中で素材が微分散(すなわち、細かな孔が数多く形成される)する傾向にある。陰性荷電を有する官能基としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、亜リン酸基、エステル基、亜硫酸基、次亜硫酸基、スルフィド基、フェノール基、ヒドロキシシリル基等の置換基を有する素材が挙げられる。中でもスルホ基、カルボキシル基、エステル基から選ばれる少なくとも1種が好ましい。スルホ基を有するものとしてはビニルスルホン酸、アクリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸パラスチレンスルホン酸、3-メタクリロキシプロパンスルホン酸、3-アクリロキシプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ピリジン塩、キノリン塩、テトラメチルアンモニウム塩などがあげられる。陰性荷電量としては、乾燥した中空糸1gあたり5μeq以上、30μeq以下のものが好ましい。陰性荷電量は、例えば、滴定法を用いて測定することが出来る。
 また、本発明における浄化カラムを、血液浄化用途に用いる場合には、吸着対象物質として、例えばβ2-マイクログロブリン(以下、β2-MGという)が挙げられる。β2-MGは分子量11,800であるため、分子量約67,000のアルブミンに比較して、小さい孔を通過し得る。しかしながら、β2-MGを吸着によって除去する場合、内表面の開孔率を大きくして分子量11,800のβ2-MGの吸着サイト、すなわち、β2-MG分子が十分に入り込むスペースの孔を増加させる必要がある。従って、より高分子量のアルブミンが漏出する可能性が生じるのであるが、このとき、膜の構造の均一性が高い程、アルブミンの漏出を抑えやすい。
 本発明において、中空糸の膜厚が小さすぎると中空糸の強度が弱くなることや、中空糸の両側に血液を導入した際、膜厚部の吸着サイトが容易に飽和してしまい、吸着効率が低下することも考えられる。一方で、膜厚が大きすぎると内外表面からの距離が大きい膜厚中心部は吸着に十分利用されず、余分となる。また、カラム当たりの中空糸の充填本数が低下すること、製造する際に相分離の進行速度が内表面と外表面で大きく異なり不利となることなども懸念される。したがって、中空糸の膜厚は20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましく、一方で100μm以下が好ましく、より好ましくは75μm以下である。なお、膜厚は、以下の方法で求められる。まず、ケーシング内に内蔵された中空糸のうち、任意に100本を抽出する。次いで、一つの中空糸の任意の2箇所において、中空糸の内径Riおよび外径Roをそれぞれ測定し、それぞれ膜厚値を得る。
膜厚値=(Ro-Ri)/2
他の中空糸についても同様に、1本の中空糸について上記2箇所における膜厚値を求め、総計200個の膜厚値を得る。得られた総計200個の膜厚値を平均して、最終的な膜厚の値を得る。
 なお、RiおよびRoは、中空糸を純水で十分に洗浄した後、直ちに、中空糸膜をスライドグラスとカバーガラスの間に挟み、投影機(たとえばNikon社製V-10A)を用いて測定することにより得られる。尚、ケーシング内に内蔵された中空糸本数が100本未満である場合には、その全ての糸を測定する。
 また、中空糸の内径が小さすぎると、例えば血液浄化用途に用いる場合、血液の圧力損失が増大することが懸念され、また詰まりによるろ過量の低下も考えられる。一方、大きすぎると、同じく血液浄化用途に用いる場合、血液浄化器の充填液量が大きくなり、体外循環の際患者に負担がかかることが考えられる。したがって中空糸の内径は120~260μmであることが好ましい。
 本発明において、浄化カラムにおける中空糸のカラム充填率を適切にすることが重要である。すなわち、充填率が低い場合には、中空糸がカラム内に十分に分散しない可能性があり、貫通孔からカラム内に処理液をムラなく分配しても、中空糸の位置に偏りが生じることによって除去効率の低下が懸念される。そのため、中空糸の充填率としては、35%以上が好ましく、さらに好ましくは50%以上となる。また一方で、充填率が高すぎる場合には、中空糸外側への流量が減少することや、圧力損失の増大が懸念される。そのため、充填率は80%以下、好ましくは65%以下となる。
 ここで、充填率は、ケーシング内に充填された中空糸の体積をVaとし、ケーシングの空間容積をVjとすると、下式により算出される。
充填率(%)=Va/Vj×100
なお、Vaは以下のように求める。まず、ケーシング内に内蔵された中空糸のうち、任意に100本を抽出する。次いで、一つの中空糸の任意の2箇所において、中空糸の内径Riおよび外径Roをそれぞれ測定し、以下の式に基づいて、それぞれVaを求める。
Va=(Ro/2)×π×L-(Ri/2)×π×L
ここで、Lは、ケーシングの両端隔壁の外壁間の最短距離(長さ)である。他の中空糸についても同様に、1本の中空糸について上記2箇所におけるVa値を求め、総計200個のVa値を得る。得られた総計200個のVa値を平均して、最終的な「ケーシング内に充填された中空糸の体積Va」を得る。
 なお、RiおよびRoは、中空糸を純水で十分に洗浄した後、直ちに、中空糸膜をスライドグラスとカバーガラスの間に挟み、投影機(たとえばNikon社製V-10A)を用いて測定することにより得られる。尚、ケーシング内に内蔵された中空糸本数が100本未満である場合には、その全ての糸を測定する。
 また、本発明に係る隔壁部の貫通孔の形成方法として、次のような「隔壁部形成用治具」を用いる方法を挙げることができる。
 まず、中空糸を筒状ケーシングとなるプラスチックケースなどに内蔵する。次に、ケーシングの両端部に隔壁部形成用治具を仮装着(仮キャップ)する。ここで、用いる隔壁部形成用治具とは、図9に示すように、その内周面に貫通孔形成用の凸部を有するものである。貫通孔形成用治具の凸部によって隔壁に貫通孔を形成することができる。
 次いで、中空糸両端部に中空糸をケースに固定するための樹脂を筒状ケーシングに入れる。ここで、筒状ケーシングに樹脂を導入するために、貫通孔形成用治具に樹脂注入用の孔が設けられていても良い。
 必要に応じて、樹脂注入用の孔を封じた後に、隔壁部形成用治具が仮装着された筒状ケーシングを遠心機で回転させることによって、筒状ケーシングの両端部に樹脂を均一に充填する。ただし、貫通孔形成用治具の凸部が存在している空間には樹脂が充填されない。
 そして、樹脂が固化して隔壁が形成された後に、貫通孔形成用治具を外して、両端部に樹脂が充填された筒状ケーシングを得る。ここで、貫通孔形成用治具の凸部が存在していた空間には樹脂が充填されないので、隔壁に貫通孔が形成される。
 次いで、隔壁部において、樹脂によって中空糸の中空部が閉塞している部分をカッター等で切断して取り除く。これによって、中空糸が隔壁外部に開口した状態の隔壁を形成することができる。
 以上の方法によって、中空糸の両端部が前記隔壁外部に開口した状態で前記隔壁に接着固定され、かつ隔壁に貫通孔を有する浄化カラムを得ることができる。
 また、隔壁部における貫通孔の数や位置、形状などは、この隔壁部形成用治具の凸部の数や位置、形状によって自由に変更することができる。なお、当該治具をカラム端部(筒状ケーシングの端部)に配置する際、治具の凸部は中空糸の束の隙間に挿入されるため、凸部の先端は鋭利な針状であることが好ましい。
 また、隔壁部形成用治具は、プラスチックや金属により構成されることが好ましい。前者の場合には、金型による射出成形や、素材を切削加工することにより製作され、後者の場合には、素材を切削加工することにより製作される。また、貫通孔の作成は、従来通りに隔壁部を形成した後、ドリルやキリといった先端が鋭利に突き出た工具で形成することも可能であるが、この場合、削りかすの発生や糸束を損傷することが懸念されるため、好ましくない。
 また、隔壁部のそれぞれの貫通孔は、内壁面と外壁面を結ぶ孔の形状がカラム内の処理液流れ方向に並行でも良いし、斜めであっても良い。 また、隔壁部の材質としては、通常、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの公知の熱硬化性樹脂が用いられるが、場合により熱可塑性樹脂を用いることもできる。
 本発明の使用用途は多種多様であり、血液浄化器としても用いることができる。処理方法には全血を直接灌流する方法と血液から血漿を分離した後血漿をカラムに通す方法とがあるが、本発明の浄化カラムはいずれの方法にも用いることができる。
 また、血液浄化器として用いる場合、1回の処理量や操作の簡便性などの観点から体外循環回路に組み込みオンラインで吸着除去を行う手法が好ましい。この場合、本発明の浄化カラムを単独で用いても良いし、透析時などに人工腎臓と直列に繋いで用いることもできる。このような手法を用いることで、透析と同時に人工腎臓のみでは除去が不十分である物質を除去することができる。特に人工腎臓では除去が困難である大分子量物質を浄化カラムを用いて吸着除去することで人工腎臓の機能を補完できる。
 また、人工腎臓と同時に用いる場合には、回路内において、人工腎臓の前に接続しても良いし人工腎臓の後に接続しても良い。人工腎臓の前に接続するメリットとしては、人工腎臓による透析の影響を受けにくいため、浄化カラムの本来の性能を発揮し易い。一方で人工腎臓の後に接続するメリットとしては、人工腎臓で除水を行った後の血液を処理するため、溶質濃度が高く、吸着除去効率の増加が期待できる。
 以下に本発明に係る浄化カラムの作成例について説明する。
 [中空糸の作成]
 ポリマーを溶媒に溶かした紡糸原液を調整する。このとき、陰性荷電基を有するポリマーを同時に溶解することも出来る。陰性荷電が高く、原液濃度(原液中の溶媒を除いた物質の濃度)が低い程、中空糸の空隙率を高くすることが出来るため、陰性荷電基および原液濃度を適宜設定することにより、空隙率をコントロールすることが可能である。かかる観点から、本発明において好ましい原液濃度は30重量%以下であり、より好ましくは27重量%以下、さらに好ましくは24重量%以下である。中空糸は、内側の管に中空部分を形成させるための液体もしくは気体を、外側の管に紡糸原液を流すことができる2重管環状スリット型中空糸膜用口金を用い、これらの液体等を一定距離の乾式空中部分を通した後に凝固浴に吐出する事により得られる。内側の管に注入される液体としては、たとえば、上記紡糸原液が溶解可能な溶媒、水やアルコールなどの凝固剤、これらの混合物、あるいはこれらに溶解可能な重合体やそれとの混合物の非溶媒であるような疎水性の液体、たとえば、n-オクタン、流動パラフィンなどの脂肪族炭化水素、ミリスチン酸イソプロピルの様な脂肪酸エステルなども使用できる。また、吐出糸条が空中での温度変化によってゲル化したり、凝固によって速やかに強固な構造を形成する場合には、自己吸引や圧入によって、窒素ガスや空気などの不活性気体を用いることができる。このような気体注入法は工程上からも非常に有利な方法である。温度変化によってゲル化をおこすような原液系の場合には、乾式部分において冷風を吹き付け、ゲル化を促進させることができる。中空糸の膜厚は紡糸原液の吐出量により、内径は注入液体もしくは気体の量によりコントロールする方法が一般的である。
 2重管環状スリット中空糸膜用口金から吐出された紡糸原液は凝固浴にて中空の糸形状に凝固される。凝固浴は通常、水やアルコールなどの凝固剤、または紡糸原液を構成している溶媒との混合物からなる。通常は水を用いることができる。本発明においては、凝固浴中に先述の陰性荷電を有する官能基をもつ溶液を添加することができる。また、凝固浴の温度をコントロールすることにより、空隙率を変化させることができる。空隙率は紡糸原液の種類等によって影響を受け得るために、凝固浴の温度も適宜選択されるものであるが、一般に凝固浴温度を高くすることにより、空隙率を高くすることが出来る。この機序は正確には明らかではないが、原液からの脱溶媒と凝固収縮との競争反応で、高温浴では脱溶媒が速く、収縮する前に凝固固定されるからではないかと考えられる。しかしながら、凝固浴温度が高くなりすぎると、膜孔径が過大になるため、例えば、中空糸がPMMAを含む膜で、かつ内管に気体を入れる場合の凝固浴温度は39℃以上が好ましく、42℃以上がより好ましい。一方で、50℃以下が好ましく、より好ましくは46℃以下である。このとき、上記した如く、凝固浴に、陰性荷電を有する官能基をもつ溶液を添加することで血液適合性を向上させることが可能である。
 次いで、凝固した中空糸に付着している溶媒を洗浄する工程を通過させる。中空糸を洗浄する手段は特に限定されないが、多段の水を張った浴(水洗浴という)中に中空糸を通過させる方法が好んで用いられる。水洗浴中の水の温度は、膜を構成する重合体の性質に応じて決めればよい。例えばPMMAを含む膜である場合、30~50℃が用いられる。
 また、中空糸は水洗浴の後に孔径を保持するために、保湿成分を付与する工程を入れても良い。ここでいう保湿成分とは、中空糸の湿度を保つことが可能な成分、または、空気中にて、中空糸の湿度低下を防止することが可能な成分をいう。保湿成分の代表例としてはグリセリンやその水溶液などがある。
 水洗や保湿成分付与の終わった後、収縮性の高い中空糸の寸法安定性を高めるため、加熱した保湿成分の水溶液が満たされた浴(熱処理浴という)の工程を通過させることも可能である。熱処理浴には加熱した保湿成分の水溶液が満たされており、中空糸がこの熱処理浴を通過することで、熱的な作用を受けて、収縮し、以後の工程で収縮しにくくなり、膜構造を安定させることが出来る。このときの熱処理温度は、膜素材によって異なるが、PMMAを含む膜の場合には75℃以上が好ましく、82℃以上がより好ましい。また、90℃以下が好ましく、86℃以下がより好ましい温度として設定される。
 [浄化カラムの作成]
 得られた中空糸を用いて浄化カラムとする手段の一例を示すと次の通りである。
 まず、中空糸を必要な長さに切断し、必要本数を束ねた後、血液浄化器用モジュールの筒部分(浄化カラムの筒状ケーシング)となるプラスチックケースに入れる。その後、内周面に貫通孔形成用の凸部を有する隔壁部形成用治具をプラスチックケースの両端に仮キャップし、中空糸両端部に中空糸をケースに固定するための樹脂を入れてポッティング工程を行う。浄化カラムが医療用途に供せられる場合、医療用ポッティング樹脂としては、ポリウレタン系樹脂が好ましく用いられる。このとき遠心機でカラムを回転させながら、隔壁形成用治具に突設させたポッティング樹脂注入口、もしくは、カラムのケーシング側面に突設させた注入口(透析液用のポートや樹脂注入口)から樹脂を入れてポッティングする方法は、樹脂が均一に充填されるために好ましい方法である。樹脂が固化して隔壁が形成された後、隔壁部形成用治具を外して、樹脂の両端をカッター等で切断して中空糸が樹脂で閉塞している部分を取り除いて開口端面を形成する。この際、隔壁部形成用治具の凸部が貫通孔となる。以上の方法によって、本発明の浄化カラムを作成することができる。
 なお、得られた浄化カラムに、ヘッダーキャップと呼ばれる処理液の入り口、出口ポートを取り付けても良い。
 また、医療用具等に用いる際には滅菌を行う必要がある。殺菌、滅菌方法としては、種々の殺菌・滅菌方法、例えば、高圧蒸気滅菌、ガンマ線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、薬剤殺菌、紫外線殺菌などが例示できる。これらの方法のうち、ガンマ線滅菌は滅菌効率と材料に与える影響が少なく好ましい。
 実施例1
 重量平均分子量が40万のsyn-PMMAを31.7重量部、重量平均分子量が140万のsyn-PMMAを31.7重量部、重量平均分子量が50万のiso-PMMAを16.7重量部、パラスチレンスルホン酸ソーダを1.5mol%含む分子量30万のPMMA共重合体20重量部をジメチルスルホキシド376重量部と混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液の110℃での粘度は1240poiseであった。得られた紡糸原液を93℃に保温された環状スリット部分の外径/内径=2.1/1.95mmφの2重管中空糸膜用口金から、2.5g/minの速度で、空気中に吐出した。ここで、同時に2重管の内管部分には窒素ガスを注入し、空中部分を50cm走行させた後、凝固浴に導いた。凝固浴に用いた水温(凝固浴温度)を42℃として中空糸を得た。それぞれの中空糸を水洗後、保湿剤としてグリセリンを63重量%水溶液として付与した後、熱処理浴温度を86℃とし、余分のグリセリンを除去した後にスペーサー糸を巻き付けて60m/minで巻き取った。得られた中空糸の内径/膜厚は200/30μmであった。
 得られた中空糸をおよそ13000本を束ね、中空糸内側部の有効膜面積が1.6m、中空糸外側部の有効膜面積が2.0mとなるように、内径40mmの円形断面を有する筒状のプラスチックケース(両端の近傍に樹脂注入口を有する筒状ケーシング)に有効長(ここで、有効長とは、ケーシング長から隔壁の長さを減じた長さを指す)19.5cmとなるように装填し、モジュールを得た。その後両端にポッティング部形成用治具(隔壁部形成用治具)をセットした。この際、処理液導入側の端面(隔壁の内壁面)の貫通孔が図4に示す配置で、処理液排出側の端面(隔壁の内壁面)の貫通孔が図6に示す配置で形成されるように、ポッティング部形成用治具として治具中のモジュール端面(ケーシングの両端部に位置する隔壁の外壁面)との接触面に、凸部を持つものを使用した。図4および6に示す通り貫通孔はそれぞれ8個であるが、処理液導入側の端面の貫通孔は、図4(および図4を45°回転させた図面である図5)に示すように中心からの距離が7mmのものが4個と、中心からの距離が15mmのものが4個の2種類の貫通孔から成立しているが、処理液排出側の端面の貫通孔は8個全てが中心から等距離に位置している。遠心機でモジュールを回転させながら樹脂注入口から中空糸両端部に樹脂を入れ、樹脂が固化した後、両端を切断し、中空糸が樹脂で閉塞している部分をカッターで取り除き、ヘッダーと呼ばれる血液入り口、出口ポートを取り付けて図10に示すような浄化カラムを作成した。その結果、処理液導入側が図4、処理液排出側が図6のような端面をもつ浄化カラムを得た。得られた浄化カラムの隔壁端面の直径は、処理液導入側、処理液排出側のいずれも50mmであり、貫通孔は全て円形であり、一つ当たりの貫通孔の直径は3mmであった。次いで純水でカラム内部を洗浄した後、各ポートをキャップでシールし、フィルムで包装し、γ線照射を行った。
 得られた浄化カラムについて、以下に示す方法でβ2-MGのクリアランス測定を行った。結果を表1に示す。
 (1)β2-MGのクリアランスの測定方法
 吸着カラムの性能評価として、β-MGのクリアランスを測定した。β-MGは、長期透析合併症である透析アミロイドーシスの原因タンパク質であることが知られている。β2-MGのクリアランスは次のようにして測定した。
1.ACD-A液を用いて抗凝固した牛血液を遠心分離して得た牛血漿に、β2-MGを1mg/Lとなるように添加し、タンパク濃度6.5±0.5g/dLの牛血漿溶液を調整する。かかる牛血漿について、その2Lを循環用に、1.5Lをクリアランス測定用として分けた。
2.回路を図11のようにセットした。
3.Bi回路入口部を上記で調整した牛血液2L(37℃)の入った循環用ビーカー内に入れ、流速を200mL/minとしてBiポンプをスタートし、Bo回路出口部から排出される液体90秒間分を廃棄後、ただちにBo回路出口部を循環用ビーカー内に挿入れて循環状態とした。
4.循環を1時間行った後ポンプを停止した。
5.Bi回路入口部を上記で調整したクリアランス測定用の牛血液内に入れ、Bo回路出口部を廃棄用ビーカー内に入れた。
6.図11の閉鎖循環回路を用いて、血液側(中空糸内側)流量(QBin)200mL/min、濾過液流量10mL/min/mの条件で2Lの牛血漿溶液を循環する。
7.循環を停止し、血液側供給液を新しい牛血漿溶液に交換し、シングルパス回路を用いて血液側(中空糸内側)流量(QBin)200mL/minで流した。
8.シングルパス送液開始後4~5分の間に血液入口側液および血液出口側液をそれぞれ10ml採取し、β2-MGのクリアランス測定用サンプルとする。
9.4.のサンプル中のβ2-MG濃度をラテックス凝集免疫測定法を用いて測定する(参考文献として医療と検査機器・試薬26(2)127-134、2003がある)。β2-MGクリアランスは以下の式により算出される。β2-MGクリアランス=(QBin×CBin-QBout×CBout)/CBin
CBin : 血液入口側のβ2-MGの濃度(mg/L)
CBout: 血液出口側のβ2-MGの濃度(mg/L)
QBin : 血液側入口流量(mL/min)
QBout: 血液側出口流量(mL/min)
 実施例2
 実施例1で得られた中空糸およそ13000本を束ね、中空糸内側部の有効膜面積が1.6m、中空糸外側部の有効膜面積が2.0mとなるように、内径40mmの円形断面を有する筒状プラスチックケースに有効長19.5cmとなるように装填し、モジュールを得た。その後両端にポッティング部形成用治具をセットした。この際、処理液導入側の端面の貫通孔が図6、処理液排出側の端面の貫通孔が図4にそれぞれ示す配置で形成されるように、ポッティング部形成用治具として治具中のモジュール端面との接触面に凸部を持つものを使用した。遠心機でモジュールを回転させながら樹脂注入口から中空糸両端部に樹脂を入れ、樹脂が固化した後、両端を切断し、中空糸が樹脂で閉塞している部分をカッターで取り除き、ヘッダーと呼ばれる血液入り口、出口ポートを取り付けて図10に示すような浄化カラムを作成した。その結果、処理液導入側が図6、処理液排出側が図4のような端面をもつ浄化カラムを得た。得られた浄化カラムの隔壁端面の直径は処理液導入側、処理液排出側のいずれも50mmであり、貫通孔は全て円形であり、一つ当たりの貫通孔の直径は3mmであった。その後の工程やその他の条件は実施例1に従った。
 得られた浄化カラムについて、実施例1と同様の方法でβ2-MGのクリアランス測定を行った。結果を表1に示す。
 実施例3
 実施例1で得られた中空糸およそ13000本を束ね、中空糸内側部の有効膜面積が1.6m、中空糸外側部の有効膜面積が2.0mとなるように、内径40mmの円形断面を有する筒状プラスチックケースに有効長19.5cmとなるように装填し、モジュールを得た。その後両端にポッティング部形成用治具をセットした。この際、処理液導入側、排出側いずれの端面においても貫通孔が図4に示す配置で形成されるように、ポッティング部形成用治具として治具中のモジュール端面との接触面に凸部を持つものを使用した。遠心機でモジュールを回転させながら樹脂注入口から中空糸両端部に樹脂を入れ、樹脂が固化した後、両端を切断し、中空糸が樹脂で閉塞している部分をカッターで取り除き、ヘッダーと呼ばれる血液入り口、出口ポートを取り付けて図10に示すような浄化カラムを作成した。その結果、処理液導入側、排出側いずれも図4のような端面をもつ浄化カラムを得た。その後の工程やその他の条件は実施例1に従った。
 得られた浄化カラムについて、実施例1と同様の方法でβ2-MGのクリアランス測定を行った。
 実施例4
 実施例1で得られた中空糸およそ13000本を束ね、中空糸内側部の有効膜面積が1.6m、中空糸外側部の有効膜面積が2.0mとなるように、内径40mmの円形断面を有する筒状プラスチックケースに有効長19.5cmとなるように装填し、モジュールを得た。その後両端にポッティング部形成用治具をセットした。この際、処理液導入側の貫通孔を図4、排出側の貫通孔が図7に示す配置で形成されるように、ポッティング部形成用治具として、治具中のモジュール端面との接触面に凸部を持つものを使用した。遠心機でモジュールを回転させながら樹脂注入口から中空糸両端部に樹脂を入れ、樹脂が固化した後、両端を切断し、中空糸が樹脂で閉塞している部分をカッターで取り除き、ヘッダーと呼ばれる血液入り口、出口ポートを取り付けて図10に示すような浄化カラムを作成した。その結果、処理液導入側、排出側がそれぞれ図4,図7のような端面をもつ浄化カラムを得た。その後の工程やその他の条件は実施例1に従った。
 得られた浄化カラムについて、実施例1と同様の方法でβ2-MGのクリアランス測定を行った。
 比較例1
 実施例1で得られた中空糸およそ13000本を束ね、中空糸内側部の有効膜面積が1.6m、中空糸外側部の有効膜面積が2.0mとなるように、内径40mmの円形断面を有する筒状プラスチックケースに有効長19.5cmとなるように装填し、カラムを得た。その後中空糸をカラムの両端で切断し、ポッティングによる固定の代わりに、両端部を直径40mm、厚さ0.5mmのポリエチレンテレフタラート製のメッシュ(繊維径:200μm、目開:435μm)で固定した。次いで純水でカラム内部を洗浄した後、各ポートをキャップでシールし、フィルムで包装し、γ線照射を行った。なお、その他の条件は実施例1に従った。
 得られた浄化カラムについて、実施例1と同様の方法でβ2-MGのクリアランス測定を行った。
 比較例2
 実施例1で得られた中空糸およそ13000本を束ね、中空糸内側部の有効膜面積が1.6m、中空糸外側部の有効膜面積が2.0mとなるように、内径40mmの円形断面を有する筒状プラスチックケースに有効長19.5cmとなるように装填し、モジュールを得た。その後両端にポッティング部形成用治具をセットした。この際、治具としては、従来の凸部を持たないものを使用した。得られた浄化カラムの隔壁端面の直径は、処理液導入側、処理液排出側のいずれも50mmであった。その後の工程やその他の条件は実施例1に従った。
 得られた浄化カラムについて、実施例1と同様の方法でβ2-MGのクリアランス測定を行った。
 比較例3
 実施例1で得られた中空糸およそ13000本を束ね、中空糸内側部の有効膜面積が1.6m、中空糸外側部の有効膜面積が2.0mとなるように、内径40mmの円形断面を有する筒状プラスチックケースに有効長19.5cmとなるように装填し、モジュールを得た。その後両端にポッティング部形成用治具をセットした。この際、治具としては、従来の凸部を持たないものを使用した。また、処理液排出側の治具のポッティング液流入口を閉口することで、処理液導入側のみに隔壁を形成させた。得られた浄化カラムの隔壁端面の直径は50mmであった。その後の工程やその他の条件は実施例1に従った。
 得られた浄化カラムについて、実施例1と同様の方法でβ2-MGのクリアランス測定を行った。
 以上の結果から、実施例1~4に示したような隔壁に貫通孔をもつ浄化カラムは比較例1,2に比べてβ2-MGクリアランスが高い値を示した。
 実施例1、2、3、4は、比較例1、2、3に比べてβ2-MGクリアランスが高い値を示した。
 比較例1は、メッシュで封止しただけであるため、中空糸の内側、外側への処理液の分配が適切にできなかったと考えられる。また、比較例2は中空糸の外側に処理液を流すことができない分、β2-MGクリアランスが低下したと思われる。比較例3は中空糸の外側に処理液がほとんど流れないため、β2-MGクリアランスが低下したと思われる。
 また、実施例1~4を比べると、特に実施例2、3に比べて実施例1ではβ2-MGクリアランスが高かったことから、実施例1のように、処理液の入口側の貫通孔を端面の外周部付近に、出口側の貫通孔を端面の中心部付近に配置することでカラム内の中空糸を最大限有効に使えるものと思われる。一方で、実施例3のように、処理液の入口側、出口側のいずれの貫通孔も中心部に近い場所に配した場合には、外周部の中空糸の外側を流れる処理液が少ないために性能が低かったと思われる。また、実施例4については、貫通孔の数および貫通孔の面積が小さい分、外周部への流量が低下したため実施例1に比べてβ2-MGクリアランスが低下したと思われる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
1 ケーシング端面における隔壁の全体領域
2 Aの重心Oを重心とする、Aの1/2の相似な形状で囲まれる領域
3 AからAを除いた領域
O Aの重心
~A7 該端面の面積を4等分するような重心Oを通り中心角が90°となる任意の2本の直線で分けられるAの4つの領域
1 隔壁部端面
2 貫通孔
3 浄化カラム
4 Biポンプ
5 廃棄用容器
6 循環用血液
7 クリアランス測定用血液
8 Bi回路
9 Bo回路
10 Di回路
11 筒状ケーシング
12 樹脂注入口
13 隔壁部形成用治具
14 貫通孔形成用の凸部
15 中空糸
16 隔壁
17 ヘッダー

Claims (11)

  1.  両側端部に隔壁が形成された筒状ケーシングを有し、前記ケーシング内に中空糸が内蔵され、前記中空糸の両端部が前記隔壁外部に開口した状態で前記隔壁に接着固定された浄化カラムにおいて、前記ケーシングの両端部の隔壁に、隔壁を貫通しケーシング内外を連通する貫通孔を有する浄化カラム。
  2.  前記ケーシング端面における隔壁部の内壁面において、全体領域をAとし、Aの重心をOとした際に、Aと同様に重心をOとするAの1/2の相似な形状で囲まれる領域をA2とし、AからAを除いた領域をAとした場合に、次の項目(a)および(b)を満足する請求項1に記載の浄化カラム。
    (a)処理液が導入される側の隔壁部の内壁面において、貫通孔の面積の総和の70%以上がAに存在する。
    (b)処理液が排出される側の隔壁部の内壁面において、貫通孔の面積の総和の70%以上がAに存在する。
  3.  前記ケーシング端面における隔壁部の内壁面において、全体領域をAとし、Aの重心をOとした際に、Aと同様に重心をOとするAの1/2の相似な形状で囲まれる領域をA2とし、AからAを除いた領域をAとした場合に、次の項目(c)および(d)を満足する請求項1に記載の浄化カラム。
    (c)処理液が導入される側の隔壁部の内壁面において、貫通孔の面積の総和の70%以上がAに存在する。
    (d)処理液が排出される側の隔壁部の内壁面において、貫通孔の面積の総和の70%以上がAに存在する。
  4.  前記ケーシング端面における隔壁部の内壁面において、前記貫通孔の個々の面積が前記領域Aの面積の1/8以下であり、かつ前記貫通孔の面積の総和が前記領域Aの面積の1/1000以上、1/2以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の浄化カラム。
  5. 前記ケーシング端面における隔壁部の内壁面において、全体領域をAとし、Aの重心をOとした際に、
    重心Oを通り中心角が90°となる任意の2本の直線で隔壁部の内壁面の全体領域AをA~Aの4つの領域に分け、
    ~Aのそれぞれの領域に存在する貫通孔の面積の総和をS~Sとし、
    また、前記2本の直線を、重心Oを中心として45°回転させた2本の直線で分けられる4つの領域をA~A11とし
    ~A11のそれぞれの領域に存在する貫通孔の面積の総和をS~S11とした場合に、次の項目(i)および(ii)を満足する請求項1~4のいずれかに記載の浄化カラム。
    (i)S~Sにおいて、総面積の最も大きいものをSmax1、総面積の最も小さいものをSmin1とし、
    ~S11において、総面積の最も大きいものをSmax2、総面積の最も小さいものをSmin2としたときに、
    max1/Smin1およびSmax2/Smin2がそれぞれ3.0以下であること。
    (ii)A~Aの4領域およびA~A11の4領域のそれぞれに少なくとも1つは他の領域と重ならない独立した貫通孔を持つこと。
  6.  前記ケーシング内における前記中空糸の充填率が35%以上である請求項1~5のいずれかに記載の浄化カラム。
  7.  前記中空糸が膜の厚み方向に均一の対称膜構造を持つことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の浄化カラム。
  8.  前記中空糸の膜厚が20μm以上、100μm以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の浄化カラム。
  9.  血液浄化器であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の浄化カラム。
  10.  人工腎臓と直列に接続して用いることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の浄化カラム。
  11.  中空糸が内蔵された筒状ケーシングの両端部に隔壁部形成用治具を装着して、前記中空糸の両端部が前記隔壁外部に開口した状態で前記中空糸が前記隔壁に接着固定するように前記ケーシングの両側端部に隔壁部を形成して得られる浄化カラムの製造方法であって、前記隔壁部形成用治具はその内周面に貫通孔形成用の凸部を有する浄化カラムの製造方法。
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