WO2013038743A1

WO2013038743A1 - 管理用トレーユニット

Info

Publication number: WO2013038743A1
Application number: PCT/JP2012/059206
Authority: WO
Inventors: 義人大村; 栄一郎因泥
Original assignee: 株式会社トーショー
Priority date: 2011-09-14
Filing date: 2012-04-04
Publication date: 2013-03-21
Also published as: JP2013059563A; US20140346068A1; JP5748624B2

Abstract

　撮像方式でも個別収容領域単位での確実な検出を行える画像が得られるうえ、個別収容領域に分ける自由度が高い管理用トレーユニットを実現する。複合仕切り部材２０は、ベース部２１と、所定の間隔を開けて平行に並ぶ複数の仕切り部２２，２３を備えている。また、複合仕切り部材２０には、仕切り部２２と仕切り部２３のそれぞれの一端を連結する連結壁部２４が設けられている。仕切り部２２と仕切り部２３と連結壁部２４との間に形成された空間２５は、１つの個別収容領域を構成している。また、仕切り部２３と連結壁部２４とによって形成され、ベース部２１の第２の辺の側に形成される空間２６は、他の複合仕切り部材の仕切り部やトレー１０の側壁を利用することによって、１つの個別収容領域を構成する

Description

管理用トレーユニット

　この発明は、医療現場で使用される医薬品及び／または医療器具の使用状況を管理するための管理用トレーユニットに関する。詳しくは、トレー内に複数の個別収容領域を画定して、各個別収容領域に医薬品及び／または医療器具を個別に収容するとともに、医薬品及び／または医療器具の使用の有無を把握するために用いる管理用トレーユニットに関する。

　特許文献１及び２には、医薬品及び／または医療器具を収容する管理用トレーユニットが開示されている。これらの管理用トレーユニットでは、医薬品及び／または医療器具がトレー内底で重ならないで平面上（二次元的）に並ぶとともに収容した各医薬品及び／または医療器具を個別に管理するように構成されている。特許文献１に開示された第１のタイプの管理用トレーユニットでは、電子タグを予め装着した複数の仕切り部材を適宜な個数だけ適宜な配置でトレーに入れて、医薬品及び／または医療器具を個別に収容する複数の個別収容領域を形成している。

　特許文献２に示された第２のタイプの管理用トレーユニットでは、トレーの内底に敷ける印刷用紙に医薬品及び／または医療器具の識別コードを印刷している。そして特許文献２に示された管理システムでは、トレーにセットすべき医薬品及び／または医療器具の配置を調剤指示に応じて決定する配置決定手段と、トレーの内底に敷ける印刷用紙に医薬品及び／または医療器具の識別コードを前記配置に対応させて印刷する印刷手段と、トレーと共に印刷用紙を上から撮る撮像手段と、その画像から識別コードを読み取って医薬品及び／または医療器具の使用の有無を判別する判定手段とを備えている。判定手段は、識別コードを読み取れたときには該当箇所の医薬品及び／または医療器具は使用されたと判定し、識別コードを読み取れなかったときには該当箇所の薬品類は使用されていないと判定することにより、読取結果に基づく医薬品及び／または医療器具使用の有無判別を行う。

　特許文献２に示された管理用トレーユニットでは、印刷済み用紙をトレーの内底に敷き、その上に重ねるようにして着脱式の仕切り部材をトレーに収めることにより、簡単に、トレー内に多数の個別収容領域を形成することができる。そしてこの管理用トレーユニットでは、個別収容領域それぞれに医薬品及び／または医療器具の識別コードを付すことができる。そして、トレーを手術や治療などの医療行為に供し、戻ってきたトレーを撮像装置の下に置いてシステムに委ねる。そうすると、トレーと共に印刷用紙が上から撮られ、さらに、その画像から各個別収容領域の識別コードが読み取られ、その読取結果に基づいて医薬品及び／または医療器具の有無が判別される。このように、画像処理を行うに際して、多岐に亘る医薬品及び／または医療器具の画像を認識する直接的な手法を用いるのでなく、個別収容領域内で医薬品及び／または医療器具の有無に応じて見え隠れする既知の識別コードを読み取る間接的な手法を採用したことにより、個別収容領域単位で医薬品及び／または医療器具の使用の有無が的確に判別される。

　特許文献２に示された管理用トレーユニットでは、トレーに挿抜される仕切り部材は、等ピッチや不等ピッチの格子状部材やその一部を切り欠いたものからなる。仕切り部材が、空トレーに挿着されるとトレーの内部空間を仕切って多数の個別収容領域に分ける。なお、印刷用紙には、医薬品及び／または医療器具の識別コードの他、セット名や薬品名などの関連データが印刷されることもある（例えば特許文献２の実施例１を参照）。

　なお、このような医薬品及び／または医療器具管理システムにおいて使用される管理用トレーユニットでは、識別コードとしてカラービットコードが導入されている。バーコードは一般にシート表面に印刷されて光学的に読み取られるが、多様な物品の表面への印刷にも読取にも適う識別コードとして、色の配列で符号化情報を表すカラービットコード（１Ｄや１．５Ｄのカラービットコードと呼ばれたりリフレクティブカラーコードと呼ばれることもある）が開発されている（例えば特許文献３，４参照）。その読取では、カラービットコードを含んだ画像データをエリアセンサ等の撮像装置で取り込んで複数の色領域あるいは色領域群に区分けし、区分けした各領域色や各領域群を境界条件や個数条件等を用いて絞り込んでから実際にデコードを行う。カラービットコードを用いると、二次元バーコードのような切り出しマーク等を用いなくても、シンプルにデコードできる。

特開２００９－１２５３２０号公報特開２０１１－０２４６６３号公報特開２００８－２８７４１４号公報特開２００９－００３７２１号公報

　特許文献２に示された撮像方式の医薬品及び／または医療器具管理システムで使用する管理用トレーユニットでは、医薬品及び／または医療器具管理の識別コードを印刷した印刷用紙がトレーと仕切り部材との間に置かれる。そのため、そのままでは仕切りをトレーに挿着させるときに印刷用紙が邪魔になるので、識別コードの各個別収容領域への付け方も変えることとなる。

　本発明の目的は、撮像方式でも個別収容領域単位での確実な検出を行える画像が得られるうえ、個別収容領域に分ける自由度が高い管理用トレーユニットを実現することにある。

　本発明の管理用トレーユニットは、医薬品及び／または医療器具を収容するトレーと複数の仕切り部材とを備えている。本発明において、「医薬品」には、アンプル・バイアル・造影剤等の注射薬の他、箱・ボトル等に収容された錠剤・散剤等や、医薬品と一緒に使用される補助薬品も含まれる。また「医療器具」には、ピンセット、はさみ等の治療や
手術に使用される各種の器具が含まれる。複数の仕切り部材は、トレーの内部に配置され且つトレーの底壁部に対して位置決めされて、トレーの内部に医薬品及び／または医療器具を個別に収容する複数の個別収容領域を画定する。

　複数の仕切り部材には、底壁部に沿って延び且つ医薬品または医療器具が個別収容領域に収容された状態で医薬品または医療器具によって全部または一部が覆われるベース部と底壁部から離れる方向にベース部から延びる１以上の仕切り部とを備えて、単独でまたは他の仕切り部材と協働して１以上の個別収容領域を画定する複数の複合仕切り部材が含まれている。

　複合仕切り部材のベース部の医薬品または医療器具によって覆われる部分の表面には、複合仕切り部材により画定された個別収容領域に収容される医薬品または医療器具を特定する識別コードが、医薬品または医療器具が無い状態で光学的に読み取り可能に設けられている。

　本発明においては、複数の複合仕切り部材のベース部及びトレーの底壁部に、複合仕切り部材を底壁部に対して着脱可能に取り付けるアタッチメントを構成するアタッチメント部材がそれぞれ設けられている。

　このような本発明の管理用トレーユニットにあっては、トレーの内部に個別収容領域を新規に画定するときや、画定した個別収容領域を変更するようなときには、複合仕切り部材の位置を変えることにより、トレーの内部を収容予定の医薬品または医療器具に対応した所望の個別収容領域に分割することができる。しかも、各個別収容領域について、該当する個別収容領域に収容すべき医薬品または医療器具の識別コードを付された複合仕切り部材を一つずつ採択することで、容易かつ的確に、識別コードを各個別収容領域の内底に付けておくことができる。また、このようにして各個別収容領域に付された識別コードは、トレーと仕切り部材との間に印刷用紙を置く既述の管理用トレーユニットと同様に一括撮像可能なものとなっている。

　そして、使用時には、既述した従来の医薬品または医療器具管理システムと同様に、画定済みトレーの各個別収容領域に医薬品または医療器具をセットし、そのトレーを手術や治療などの医療行為に供し、戻ってきたトレーを撮像装置の下に置いてシステムに委ねる。そうすると、後は自動で、トレーが上から撮られ、さらに、その画像から各個別収容領域の機械読取用識別コードが読み取られ、その読取結果に基づいて医薬品または医療器具の使用が検知される。この場合も、既述の従来システムと同様、個別収容領域内で医薬品または医療器具の有無に応じて見え隠れする既知の識別コードを読み取る間接的な手法を採用したことにより、個別収容領域単位で医薬品及び／または医療器具の使用が的確に判別される。

　したがって、この発明によれば、センサが少なくて製造も保守も遣りやすい撮像方式でも個別収容領域単位での確実な検出を行える画像が得られるうえ個別収容領域を画定する際の自由度まで高い管理用トレーユニットを実現することができる。

　また、前述のアタッチメントが面ファスナで構成されていてもよい。トレーの底壁部に設けられるアタッチメント部材が、面ファスナのフック面を備えたファスナ部材及びループ面を備えたファスナ部材の一方であり、複合仕切り部材のベース部に設けられるアタッチメント部材が、面ファスナのフック面を備えたファスナ部材及びループ面を備えたファスナ部材の他方という構成となる。このようにすると、簡便かつ安価にアタッチメント部材を実装することができる。

　さらに、前述のアタッチメントが永久磁石の磁極を利用する構造を有していてもよい。トレーの底壁部に設けられるアタッチメント部材が、永久磁石及び永久磁石が吸引される磁性体の一方であり、複合仕切り部材のベース部に設けれられるアタッチメント部材が永久磁石及び永久磁石が吸引される磁性体の他方という構造になる。このようにした場合は、簡便かつ安価にアタッチメント部材を実装することができるうえ、適度な磁場環境に置くことで一時的に吸引力を加減することまでできる。

　また、前述のトレーの底壁部に設けられるアタッチメント部材が、トレーの底壁部の面方向に所定の間隔をあけて配置された複数の位置決め用被嵌合部からなり、複合仕切り部材のベース部に設けられるアタッチメント部材がトレーの底壁部と対向する裏面側に設けられて複数の位置決め用被嵌合部の一部と嵌合する１以上の位置決め用嵌合部から構成されていてもよい。このような構成にすると、複合仕切り部材を装着する位置を容易に決めることができる。

　前述の複数の被嵌合部は、トレーの底壁部上に配置されるプレートにマトリックス状に形成された複数の穴または凹部からなり、１以上の嵌合部は複数の穴または凹部に嵌合される１以上の凸部からなることが好ましい。このようにすると、複合仕切り部材をすばやく整然と並べることができる。

　また、ベース部の横幅が前述の複数の穴または凹部のピッチの単位長より長いものが含まれており、ベース部の上面のうち仕切り部からピッチの単位長以上離隔している部分に識別コードの全部または一部であって該当部分が隠されると機械読取ができなくなる部分が付されていることが好ましい。このようにすると、ピッチの単位長の３倍以上の幅を持つ個別収容領域については確実に、ピッチ単位長の２倍の幅を持つ個別収容領域についても高い確率で、識別コードが収容した医薬品または医療器具によって隠されるので、一括撮像に基づく検出の信頼性が高まる。

　複合仕切り部材は、矩形状の輪郭を有するベース部と、ベース部の対向する第１及び第２の辺に沿って延びて所定の間隔を開けて並ぶ複数の仕切り部とを備えており、複数の仕切り部の隣合う二つの仕切り部間に形成された空間が個別収容領域の少なくとも一部を構成していてもよい。このような複合仕切り部材は、トレーの側壁や他の仕切り部材と協働することなく、単独で１以上の個別収容領域を形成することができるため、個別収容領域をより容易に形成することができる。

　複合仕切り部材が前述のように複数の仕切り部を備えている場合、複数の仕切り部は第１及び第２の辺と平行に設けられており、複合仕切り部材のベース部には、第１及び第２の辺とは異なる対向する第３及び第４の辺の一方に沿って、複数の仕切り部の一端を連結する連結壁部が設けられていることが好ましい。このようにすると、医薬品及び／または医療器具が仕切り部に沿って移動してしまうことを防ぐために、他の仕切り部材やトレーの側壁を利用する必要がない。

　また、前述の複数の仕切り部のうち、第１の辺に隣接する仕切り部は第１の辺と一致するように設けて、第２の辺に隣接する仕切り部は第２の辺から間隔をあけて設けてもよい。このような複数の仕切り部を備えた複合仕切り部材は、二つの仕切り部間に形成される個別収容領域の幅よりベース部の幅が広くなっているため、その個別収容領域がかなり細かったり小さくても、トレーの底壁部に安定な姿勢で同じ位置に固定することができる。これにより、取り扱い対象の医薬品及び／または医療器具に小物や細物が含まれていても、全ての医薬品及び／または医療器具に安定した個別収容領域が提供されることとなる。

　さらに、複数の仕切り部のうち、第１の辺に隣接する仕切り部は第１の辺から間隔をあけて設けられており、第２の辺に隣接する仕切り部は第２の辺から間隔をあけて設けられてもよい。このようにすると、ベース部の幅がより広くなっているため、さらに複合仕切り部材が安定する。

　複合仕切り部材は、矩形状の輪郭を有するベース部と、ベース部の対向する第１及び第２の辺の一方の辺に沿って延びる１つの仕切り部と、第１及び第２の辺とは異なる対向する第３及び第４の辺の一方の辺に沿って延びて、仕切り部の一端と連結された連結壁部とを備えていてもよい。このようにすると、ベース部の仕切り部がない側の２辺は開放されているため、大きい医薬品及び／または医療器具を収容することができる。

　さらに、前述の仕切り部は、第１及び第２の辺の一方の辺と一致するようにベース部に設けられており、連結壁部は、第３及び第４の辺の一方の辺と一致するようにベース部に設けられていることが好ましい。このようにすると、ベース部全体を１の個別収容領域の全部又は一部にすることになるため、より大きい医薬品及び／または医療器具を収容することができる。

　また、ベース部の厚みは、仕切り部から離れるにつれて薄くなって、ベース部の上面が傾斜するようにしてもよい。このようにすると、仕切り部から離れた位置に医薬品及び／または医療器具が収まるようにすることができる。

　なお、複合仕切り部材のベース部の上面には、識別コードとは別に、目視だけで医薬品または医療器具を特定できる情報を表示することができる。このようにすると、個別収容領域の画定が手作業でも容易かつ的確に行えることとなる。

本発明の第１の実施の形態について、管理用トレーユニットの構造等を示し、トレーと複合仕切り部材との展開斜視図である。（ａ）が個別収容領域を画定したトレーの斜視図、（ｂ）が医薬品及び／または医療器具を収容済みのトレーの斜視図である。カートの斜視図である。（ａ）が複合仕切り部材の平面図、（ｂ）が複合仕切り部材の斜視図、（ｃ）が複合仕切り部材の正面図、（ｄ）が複合仕切り部材の右側面図である。（ａ）が複合仕切り部材の平面図、（ｂ）が複合仕切り部材の斜視図、（ｃ）が複合仕切り部材の正面図、（ｄ）が複合仕切り部材の右側面図である。（ａ）が複合仕切り部材の平面図、（ｂ）が複合仕切り部材の斜視図、（ｃ）が複合仕切り部材の正面図、（ｄ）が複合仕切り部材の右側面図である。（ａ）が複合仕切り部材の平面図、（ｂ）が複合仕切り部材の斜視図、（ｃ）が複合仕切り部材の正面図、（ｄ）が複合仕切り部材の右側面図である。（ａ）が識別コードと、医薬品または医療器具情報表示部を装着した複合仕切り部材の平面図、（ｂ）が識別コードと、医薬品または医療器具情報表示部を装着した複合仕切り部材の変形例の平面図である。識別コード及び医薬品または医療器具情報表示部を装着した複数の複合仕切り部材の平面図である。識別コード及び医薬品または医療器具情報表示部を装着した複合仕切り部材の平面図である。トレーの底壁部に複合仕切り部材を並べて装着したところの平面図である。使用済みトレーの検査ユニットの斜視図である。検知装置のブロック図である。医薬品及び／または医療器具を収容したトレーの平面図である。本発明の第２の実施の形態について、管理用トレーユニットの構造等を示し、トレーと複合仕切り部材との展開斜視図である。（ａ）が個別収容領域を画定したトレーの斜視図、（ｂ）が医薬品及び／または医療器具を収容済みのトレーの斜視図である。（ａ）～（ｄ）、何れも、複合仕切り部材の斜視図である。（ａ）～（ｄ）、何れも、複合仕切り部材の斜視図である。中敷部材の平面図である。中敷部材に仕切り部材を装着したところの平面図である。更に医薬品及び／または医療器具を収容したところの平面図である。アタッチメント部材に永久磁石を利用した場合のトレーの一部と複合仕切り部材の断面図である。ベース部の上面を傾斜させた複合仕切り部材の断面図である。複合仕切り部材の平面図である。

　以下特許文献２等に示された管理システムで使用可能な本発明の管理用トレーユニットの実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、添付図面には、簡明化等のため、ボルト等の締結具や，ヒンジ等の連結具，電気回路・電子回路等の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。

　図１は、本発明の管理用トレーユニット１の第１の実施の形態の展開斜視図である。管理用トレーユニット１は、医薬品及び／または医療器具８を収容するトレー１０と、トレー１０の内底に敷かれる平板状の中敷部材１１と、複数の複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０とを備えている。また、図２（ａ）は、トレー１０の内部に中敷部材１１を配置し、さらに中敷部材１１の上に複数の複合仕切り部材２０，５０および６０を設置して、トレー１０の内部に複数の個別収容領域を画定した状態のトレー１０と、このトレー１０に収容予定の医薬品及び／または医療器具８の斜視図である。図２（ｂ）は医薬品及び／または医療器具８を収容済みのトレー１０の斜視図である。

　本実施の形態の空のトレー１０は、浅い角皿状の箱体形状を有している。なおトレー１０の形状は、薬品類８を並べて収容することが可能で、しかも手に持って運んだり、机上に置くことができ、また薬品類８を複合仕切り部材２０，５０，６０により画定された複数の個別収容領域に出し入れできれるものであれば、任意である。

　中敷部材１１は、トレー１０の内部にピッタリ収まって内底に固定されるようになっている。なお中敷部材１１は、トレー１０の内部に入れても移動しないように、適宜なフック等でトレー１０の内底に固定されるようになっていてもよい。本実施の形態で用いる中敷部材１１は、板材の上面に面ファスナを構成するフック面を備えたファスナ部材及びループ面を備えたファスナ部材の一方のファスナ部材１２が貼り付けられた構造を有している。本実施の形態では、ファスナ部材１２は、図示の例では中敷部材１１の上面の全域に配されているが、仕切片２０，５０，６０を装着しない領域については、ファスナ部材１２を設けなくてもよい。

　ファスナ部材１２は、複合仕切り部材２０，５０，６０に設けられた後述するファスナ部材２９，５９，６９と組み合わされて、面ファスナを構成する。面ファスナは、複数の複合仕切り部材２０，５０，６０のベース部とトレー１０の底壁部とを着脱可能に取り付けるアタッチメントとして機能するものであれば、市販の汎用品で足りる。例えばファスナ部材１２，２９（５９，６９）のうち何れか一方がループ面を備えており、他方がフック面を備えたものが、普及していて使い易い。ファスナ部材１２及び２９（５９，６９）を向かい合わせにして当接すると、ループ面とフック面とが係合して、ファスナ部材１２とファスナ部材２９（５９，６９）との間には、引き剥がしにも横ずらしにも当接状態を維持しようとする力が作用する。

　複数の複合仕切り部材２０，５０，６０は、何れもトレー１０の底壁部に中敷部材１１を介して装着されて、トレー１０の内部を仕切って複数の個別収容領域を画定する。本実施の形態で用いる複合仕切り部材２０，５０，６０は、何れも単独でトレー１０の底壁部の全域をカバーするほど大きなものではなく、複数または多数の複合仕切り部材２０，５０，６０がカバーする複数の分担領域を合わせることによりトレー１０の底壁部で必要な範囲をカバーするものである。個々の複合仕切り部材２０，５０，６０には、下面にファスナ部材２９，５９，６９が貼り付けられている。このファスナ部材２９，５９，６９は、トレー１０の底壁部の中敷部材１１のファスナ部材１２と面ファスナを構成する。その結果、複合仕切り部材２０，５０，６０は、ファスナ部材２９，５９，６９を中敷部材１１のファスナ部材１２と当接させることにより、中敷部材１１に装着され、中敷部材１１を介してトレー１０の内底に固定保持される。複合仕切り部材２０，５０，６０が、トレー１０の底壁部に対して固定されてトレー１０の内部を仕切ることで、複合仕切り部材２０，５０，６０が担当する複数の個別収容領域を画定する。

　図２（ａ）および（ｂ）に示すように、複数の医薬品及び／または医療器具８が、それぞれ対応する個別収容領域内に収容された後、図３に示すようなカート９の複数の棚にトレー１０は収納される。

　この実施の形態では、３種類の複合仕切り部材２０，５０，６０を用いている。図４（ａ）乃至（ｄ）に示すように、複合仕切り部材２０は、矩形状の輪郭を有するベース部２１と、ベース部の対向する第１及び第２の辺に沿って延びて所定の間隔を開けて平行に並ぶ複数の仕切り部２２，２３を備えている。第１の辺に隣接する仕切り部２２は第１の辺と一致するように設けられており、第２の辺に隣接する仕切り部２３は第２の辺から間隔をあけて設けられている。また、複合仕切り部材２０には、第１及び第２の辺とは異なる対向する第３及び第４の辺の一方に沿って、仕切り部２２と仕切り部２３のそれぞれの一端を連結する連結壁部２４が設けられている。仕切り部２２と仕切り部２３と連結壁部２４との間に形成された空間２５は、１つの個別収容領域を構成している。そしてベース部２１の底部には、ファスナ部材２９が設けられている。また、仕切り部２３と連結壁部２４とによって形成され、ベース部２１の第２の辺の側に形成される空間２６は、他の複合仕切り部材の仕切り部やトレー１０の側壁を利用することによって、１つの個別収容領域を構成する（図１４参照）。

　図５（ａ）乃至（ｄ）は、図５（ａ）乃至（ｄ）に示した複合仕切り部材２０の変形例を示している。この複合仕切り部材２０´には、図５（ａ）乃至（ｄ）に示した複合仕切り部材２０の構成部分と同様の部分に同じ符号に「´」を付した符号を付して説明を省略する。この複合仕切り部材２０´は、仕切り部２２´の位置が、複合仕切り部材２０とは逆になっている。

　図６に示すように、複合仕切り部材６０は、矩形状の輪郭を有するベース部６１と、ベース部６１の対向する第１及び第２の辺に沿って延びて所定の間隔を開けて平行に並ぶ複数の仕切り部６２，６３を備えている。第１の辺に隣接する仕切り部６２は第１の辺から間隔をあけて設けられており、第２の辺に隣接する仕切り部２３も第２の辺から間隔をあけて設けられている。また、複合仕切り部材６０には、第１及び第２の辺とは異なる対向する第３及び第４の辺の一方に沿って、仕切り部６２と仕切り部６３のそれぞれの一端を連結する連結壁部６４が設けられている。そしてベース部６１の底部には、ファスナ部材６９が設けられている。仕切り部６２と仕切り部６３と連結壁部６４との間に形成された空間６５は、１つの個別収容領域を構成している。また、仕切り部６２と連結壁部６４とによって形成され、ベース部６１の第１の辺の側に形成される空間６６は、他の複合仕切り部材の仕切り部やトレー１０の側壁を利用することによって、単独で１つの個別収容領域を構成する場合もあれば、１つの個別収容領域の一部を構成する場合もある（図１４参照）。同様に、また、仕切り部６３と連結壁部６４とによって形成され、ベース部６１の第２の辺の側に形成される空間６７も、他の複合仕切り部材の仕切り部やトレー１０の側壁を利用することによって、単独で１つの個別収容領域を構成する場合もあれば、１つの個別収容領域の一部を構成する場合もある。

　図７に示すように、複合仕切り部材５０は、矩形状の輪郭を有するベース部５１と、ベース部５１の第１の辺に沿って延びて、第１の辺と一致するように設けられた仕切り部５２を備えている。また、複合仕切り部材５０には、第１の辺とは対向しない第３及び第４の辺の一方に沿って、仕切り部５２の一端と連結された連結壁部５４が設けられている。そしてベース部５１の底部には、ファスナ部材５９が設けられている。仕切り部５２と連結壁部５４とによって形成される空間５５は、他の複合仕切り部材の仕切り部やトレー１０の側壁を利用することによって、単独で１つの個別収容領域を構成する場合もあれば、１つの個別収容領域の一部を構成する場合もある（図１４参照）。

　また、図８（ａ）および（ｂ）は、識別コード２７と医薬品または医療器具情報表示部２８を複合仕切り部材２０、２０´に装着した状態をそれぞれ示す平面図である。さらに、図９は、個別収容領域を画定するように並べた４つの複合仕切り部材６０に、識別コード２７と医薬品または医療器具情報表示部２８を装着した状態を示す平面図である。また、図１０は、識別コード２７と医薬品または医療器具情報表示部２８を複合仕切り部材５０に装着した状態を示す平面図である。さらに、図１１は、トレー１０の内部に複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０を配置して複数の個別収容領域を画定し、各個別収容領域に医薬品及び／または医療器具８を収容した管理用トレーユニット１の平面図である。これらの複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０では、複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０のそれぞれのベース部２１，２１´，５１，６１の上面に、それぞれが担当するトレー１０の個別収容領域に収容すべき薬品及び／または医療器具８に係る識別コード２７と医薬品または医療器具情報表示部２８とが、直接印刷あるいは印刷シール貼付などで付されている。複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０は、識別コード２７を個別収容領域の底壁部に保持するコード保持手段となっている。識別コード２７は、薬品及び／または医療器具８を特定するための符号であり、通常は他の調剤機等でも用いられている共通の薬品コードが使用される。具体的な印刷表示は、１Ｄや１．５Ｄのカラービットコードで行われ、カラープリンタを用いて例えば直線状や渦巻状の表示が使用できるようになっている。医薬品または医療器具情報表示部２８は、薬品及び／または医療器具８を特定するための名称であり、ゴシック体といった目視だけで特定できる文字で印刷表示されている。

　後者の医薬品または医療器具情報表示部２８は、複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０のベース部２１，２１´，５１，６１の上面のうち、仕切り部２２，２２´，２３，２３´，５２，６２，６３の何れか一方に近い部分に付されているのに対し、前者の識別コード２７は、ベース部２１，２１´，５１，６１の上面のうち仕切り部２２，２２´，２３，２３´，５２，６２，６３から遠い部分に付されている。特に、空間２５，２５´，６５についてはその横幅が担当する個別収容領域の横幅Ｗに完全一致するので、識別コード２７の横位置Ｓが該当する個別収容領域の横幅Ｗのほぼ半分の所にされている（図８及び９参照）。

　また、空間２６，２６´についても、その横幅が単独で担当する個別収容領域の横幅Ｗに完全一致または略一致する場合や（図８参照）、空間６６と空間６７を合わせた横幅が担当する個別収容領域の横幅Ｗに完全一致または略一致する場合も（図９参照）、識別コード２７の横位置Ｓが該当する個別収容領域の横幅Ｗのほぼ半分の所にされている。

　このような識別コード２７の横位置Ｓは、該当する個別収容領域に薬品及び／または医療器具８が収容されると、識別コード２７の全部または一部が薬品及び／または医療器具８によって隠されて、該当する個別収容領域から識別コード２７を機械読取できなくなる部位である。

　図１２は、使用済みのトレー１０とそこから取り出された医薬品及び／または医療器具８を検知する検査ユニット（撮像装置３０，コンピュータ等からなる検査装置４０）とを含む作業用机の斜視図である。そして図１３は検知装置４０の内部にコンピュータプログラムによって構成された各種の手段のブロック図である。この管理用トレーユニット１を用いた薬品管理システムは、管理用トレーユニット１と、トレー１０を上から撮る撮像手段としての撮像装置３０と、その画像から識別コード２７を読み取って薬品及び／または医療器具８の使用を検知する検知手段としての検知装置４０とを備えている。

　そのうち、撮像装置３０と検知装置４０は作業用机の上に取り付けられて、検査ユニットを構成している。

　撮像装置３０としては（図１２及び図１３参照）、例えばＣＣＤカメラが採用され、撮像方向を下にして机上面の上方に設置されている。撮像装置３０は、机上の撮影範囲にトレー１０が置かれると作動してそのトレー１０を上から撮る。本実施の形態では、トレー１０の底壁部に装着された複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０のベース部２１，２１´，５１，６１の上面に付された識別コード２７がカラーで印刷されているので、その画像も的確に得られるよう、カラー撮影の可能な撮像装置が採用されている。

　検知装置４０は、いわゆるノートパソコン等のプログラマブルな情報処理装置からなり、撮像装置３０から画像データを入力して出力装置４６に薬品及び／または医療器具８の使用状況の集計結果等を出力するものである。そのために、検査装置４０を構成する情報処理装置では、画像データ４１とコードデータ４２のデータ領域がメモリに割り付けられるとともに、読取プログラム４３と判定プログラム４４と集計プログラム４５がインストールされている。

　画像データ４１は、識別コード２７の付された複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０を底壁部に装着されたトレー１０の薬品類セット面を撮像装置３０で撮ったカラー画像である。この装置では特に使用済みトレー１０を対象として撮った画像が画像データ４１として使用されるようになっている。

　コードデータ４２は、識別コード２７を読み取るのに必要なパターン情報であり、１Ｄや１．５Ｄのカラービットコードを規定するデータが予め登録されている。

　読取プログラム４３は、画像データ４１が得られる度に、その画像データに対しコード
切出やコード認識を試行して、その画像からコードデータ４２を利用して識別コード２７を読み取るようになっている（例えば特許文献３，４参照）。

　判定プログラム４４は、読取プログラム４３の識別コード読取結果に基づいて薬品及び／または医療器具８の使用を検知するが、識別コード２７が読み取れたときには使用済みトレー１０から該当の薬品及び／または医療器具８が取り出されて使用されたと判定するようになっている。

　集計プログラム４５は、判定プログラム４４の判定結果から薬品及び／または医療器具の使用数量を剤種や機種毎に計数するとともに、トレー単位や日時単位など適宜な基準で集計し、その計数結果や集計結果を出力装置４６に出力するようになっている。

　出力装置４６は、薬品及び／または医療器具の使用結果を視認可能な状態やデータ管理等の可能な状態で出力できるものであれば足り、検知装置４０に付属のディスプレイでも良く、プリンタなどの印刷装置でも良く、電子データを在庫管理システムやピッキングシステム等へ送信する通信ユニットでも良い。

　この実施の形態の管理用トレーユニット１を用いた薬品管理システムについて、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。この薬品管理システムは、基本的に院内薬局やナースセンター等の調剤場所に置かれる。トレー１０に薬品及び／または医療器具８を収容する作業や，トレー１０から取り出された薬品及び／または医療器具８を検査ユニット（３０，４０）で検知する処理も，調剤場所で行われる。ただし、トレー１０から薬品及び／または医療器具８を取り出して使用するのは、通常、手術室など別の場所である。

　その詳細を作業手順に従い、空のトレー１０の内部の個別収容領域の画定、仕切済みトレー１０への複数の個別収容領域への薬品及び／または医療器具８の収容、収容済みトレー１０の搬出および使用済みトレー１０の搬入、使用済み薬品及び／または医療器具８の検知の順で、以下に述べる。

　先ず（図１参照）、空のトレー１０の内部に個別収容領域を画定するために、空のトレー１０の内底に中敷部材１１を敷き、それに複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０を装着する作業を適宜繰り返して仕切済みトレー１０を作り上げる（図２，図１３参照）。そうすると、仕切済みトレー１０の内部は、複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０の仕切り部２２，２３，２２´，２３´，５２，６２，６３と連結壁部２４，２４´，５４，６４とで仕切られて、多数の個別収容領域に分割される。各個別収容領域は、平面視の形が矩形に近く、サイズの同じものを幾つか作るのも、サイズの異なるものを作るのも、配置の決定も、配置の変更も、複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０の着脱で簡単かつ迅速に行うことができる。

　例えば（図１１参照）、横幅が仕切り部２２，２３，２２´，２３´，６２，６３に挟まれた細めの個別収容領域１３や、複合仕切り部材６０の片方の空間６６，６７で規定された最小幅の個別収容領域１４、それと複合仕切り部材６０の空間６６と空間６７とを合わせて画定された細めより少し広い個別収容領域１５、複合仕切り部材５０で画定された広めの個別収容領域１６，１７等を容易に作ることができる。どのサイズの個別収容領域についても、個別収容領域の内底に含まれる識別コード２７と医薬品または医療器具情報表示部２８の組が各個別収容領域に一組ずつになるよう、また識別コード２７がなるべく個別収容領域の内底の中央に位置するよう、複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０の選択と向きに注意しながら、手術セット薬品といった収容予定の薬品及び／または医療器具８に一対一で対応する個別収容領域を作っておく。

　次に（図２（ｂ），図１４参照）、薬剤師や看護師などの調剤作業者が仕切済みトレー１０の各個別収容領域に一つずつ薬品及び／または医療器具８を収容する。調剤作業者は個別収容領域内の識別コード２７及び医薬品または医療器具情報表示部２８の何れか一方または双方と薬品及び／または医療器具８の識別コード及び医薬品または医療器具情報表示部の何れか一方または双方とが一致しているのを目視等で確認しながら収容すれば良い。そのため、収容作業も容易かつ迅速に行うことができるので、手術セット薬品などの必要な薬品及び／または医療器具８を収容した収容済みトレー１０が素早く完成する（図２（ｂ），図１４参照）。

　そして（図３参照）、完成した収容済みトレー１０は一旦はカート９に積み込んでおく。次に、次の仕切済みトレー１０の作成と、それに対する薬品及び／または医療器具８の収容とを繰り返して、次々に収容済みトレー１０を完成させ、それらも次々にカート９に積み込む。使用場所が同じか近い収容済みトレー１０は、纏めて一緒に搬送すると良い。収容済みトレー１０が総て揃うかタイムアウトしたようなときには、カート９を手術室などの使用場所へ移動させて薬品及び／または医療器具８を使用させる。そして、収容していた多数の薬品及び／または医療器具８のうち総てが又は一部が使用場所で取り出されて不使用の薬品及び／または医療器具８だけが残っている使用済みトレー１０は、搬出時のカート９か他のカート９に積み込んで搬送し、調剤場所に搬入する。

　それから（図１２参照）、調剤場所に戻って来た使用済みトレー１０は、手術等で使用された薬品及び／または医療器具８が取り出されて無くなっている。そこで、直ちにでも後ほどでも良いが、薬品及び／または医療器具８の使用状況確認のため人手で検査ユニット３０＋４０の机上の撮影範囲に置く。

　すると（図１３参照）、撮像装置３０によって使用済みトレー１０が上から撮られ、その画像データ４１が検知装置４０に取り込まれる。画像データ４１には、複合仕切り部材２０，２０´，５０，６０による個別収容領域の画定状態と、各個別収容領域での薬品及び／または医療器具８の収容状態とが、写っており、薬品及び／または医療器具８の取り出された個別収容領域では識別コード２７が現われるが、薬品及び／または医療器具８の残っている個別収容領域では識別コード２７が隠されている。

　画像データ４１が入力されると、読取プログラム４３によってコードデータ４２に基づく識別コード２７の読取が行われ、判定プログラム４４によって読取プログラム４３の識別コード読取結果に基づいて薬品及び／または医療器具８の使用が検知される。具体的には、画像データ４１から識別候補領域が切り出されて、各切出領域で識別コード読取が試行され、識別コード２７が読み取れたときには、該当する薬品及び／または医療器具８が使用されたと判定される。それから、集計プログラム４５によって、判定プログラム４４の判定結果に基づいて薬品及び／または医療器具８の使用数量が剤種やトレー単位などで集計され、その集計結果が出力装置４６から出力される。こうして、使用済みトレー１０を人手で撮影範囲に置けば、後は自動で、使用済みトレー１０が撮られ、そのトレー１０から取り出して使用された薬品及び／または医療器具８がトレー毎に把握されて、在庫や発注の管理にも利用される。使用状況の確認が済んだトレー１０は、机上から他の保管棚などに移されて、再使用や変更に備えることとなる。

　なお、上記第１の実施の形態では、安価で手軽なアタッチメント部材の具体例として面ファスナが採用され、ファスナ部材１２が中敷部材１１の上面に装着されていた。しかし、ファスナ部材１２はトレー１０の内底面に直に装着しても良く、そうすることにより中敷部材１１を省くことができる。

　図１５～図２１及び図２３は、第２の実施の形態を説明するために用いる図である。図１乃至図１４の第１の実施の形態の構成と同様の部分には、図１乃至図１４に付した符号の数に１００の数を加えた数の符号を付して説明を省略する。図１５は、トレー１１０と中敷部材１１１と複合仕切り部材１２０と仕切り部材１７０との展開斜視図である。また、図１６（ａ）は、個別収容領域を画定したトレー１１０と収容予定の医薬品及び／または医療器具１０８との斜視図である。さらに、図１６（ｂ）は、医薬品及び／または医療器具１０８を収容済みのトレー１１０の斜視図である。

　また、図１７（ａ）～（ｄ）は何れも一つの仕切り部を備えた複合仕切り部材１２０の斜視図である。さらに、図１８（ａ）～（ｄ）は何れも一つの仕切り部１２２´と連結壁部１２４´を有する複合仕切り部１２０´の斜視図である。図１９は中敷部材１１１の平面図であり、図２０はそれに複合仕切り部材１２０と仕切り部材１７０を配置して複数の個別収容領域を画定したところの平面図である。また、図２１は、トレー１１０の内部に複合仕切り部材１２０と仕切り部材１７０を配置して複数の個別収容領域を画定し、各個別収容領域に医薬品及び／または医療器具１０８を収容した管理用トレーユニット１０１の平面図である。

　この実施の形態では、円柱状のピン１２９を位置決め用嵌合部として用い、円筒状の孔１１２を位置決め用被嵌合部として用いている。中敷部材１１１には（図１５，図１９参照）、多数の孔１１２がマトリクス状配置で形成されている。孔１１２のマトリクス状配置は平面視で縦横の二次元配置である。多数の孔１１２のピッチは縦と横とで異なっていても良い。縦と横のピッチが等しい場合には同じ仕様の複合仕切り部材１２０または仕切り部材１７０を縦向きにも横向きにも使用できるので、この実施例では縦と横のピッチ単位長Ｐが等しくなっている。

　複合仕切り部材１２０と仕切り部材１７０は（図１５～１７，図２０参照）、何れもトレー１１０の底壁部に配置されてトレー１１０の内部を仕切って複数の個別収容領域を画定する仕切り部材である。個々の複合仕切り部材１２０と仕切り部材１７０は、トレー１１０の内底の中敷部材１１１の孔１１２に対してピン１２９を抜取り可能に挿着されることによりトレー１１０の底壁部に配置されるようになっている（図１８参照）。

　複合仕切り部材１２０は（図１７（ａ），（ｂ）を参照）、矩形状の輪郭を有するベース部１２１と、ベース部１２１の第１の辺に沿って延びて、第１の辺と一致するように設けられた仕切り部１２２を備えている。仕切り部１２２によって形成される空間１２５は、他の仕切り部材やトレー１１０の側壁を利用することによって、１つの個別収容領域を構成する（図２０および図２１参照）。

　同様に、図１８の複合仕切り部材１２０´は、矩形状の輪郭を有するベース部１２１と、ベース部１２１´の第１の辺に沿って延びて、第１の辺と一致するように設けられた仕切り部１２２´と連結壁部１２４´とを備えている。仕切り部１２２´と連結壁部１２４´によって形成される空間１２５´は、他の仕切り部材やトレー１１０の側壁を利用することによって、１つの個別収容領域を構成する。

　また、ピン１２９，１２９´が、細い円柱状であって、下向きに突き出ているので、ピン１２９，１２９´を孔１１２に差し込むことで、複合仕切り部材１２０，１２０´と仕切り部材１７０が中敷部材１１１に対して抜取り可能に挿着されるものとなっている。

　医薬品または医療器具情報表示部１２８は、ベース部１２１の上面のうち仕切り部１２２に近い部分に付されているのに対し、識別コード１２７は、ベース部１２１の上面のうち仕切り部１２２から遠い部分に付されている。特に、ベース部１２１の横幅Ｗが孔１１２のピッチ単位長Ｐより長い複合仕切り部材１２０については（図１７（ｃ），（ｄ）参照）、ベース部１２１の上面のうち仕切り部１２２からピッチ単位長Ｐ以上離隔している部分に識別コード１２７の全部または一部であって該当部分が隠されると機械読取ができなくなる部分が付されている。

　識別コード１２７が直線状の場合は（図１７（ｃ）参照）、一部であっても全長に亘る部分が露出すると機械読取が可能なので、識別コード１２７の全部を仕切り部１２２からピッチ単位長Ｐ以上離隔させるのが無難である。しかし、識別コード１２７が直線状でなく例えば渦巻状の場合は（図１７（ｄ），１８（ｃ），１８（ｄ）参照）、渦巻状の連なりの何処かが切れる程度に隠されれば機械読取ができなくなるので、その程度かそれ以上の部分を仕切り部１２２，１２２´からピッチ単位長Ｐ以上離隔させておけば足りる。そうすれば、ピッチ単位長Ｐの３倍以上の幅を持つ個別収容領域については、薬品及び／または医療器具１０８を収容したときに、遊びがあってもピッチ単位長Ｐ以下であれば確実に識別コード１２７が薬品及び／または医療器具１０８によって隠されて読取不能になるので、正確なものとなる。

　ただし、ピッチ単位長Ｐの２倍の幅を持つ個別収容領域については、識別コード１２７を仕切り部１２２，１２２´からピッチ単位長Ｐ以上離隔させる配置を行っていても、薬品及び／または医療器具１０８が仕切り部１２２，１２２´に寄った状態では識別コード１２７が不所望に読み取られてしまう可能性がある。また、ベース部１２１，１２１´の横幅Ｗが孔１１２のピッチ単位長Ｐ以下の場合は（図１８（ｂ），（ｄ）参照）、そのような識別コード１２７の配置がそもそも無理である。これらの場合でも、識別コード１２７の不所望な読取の発生を抑制するには、ベース部１２１，１２１´の厚みを一定ではなく、仕切り部１２２，１２２´の近くは厚く、仕切り部１２２，１２２´から離れるにつれて薄くなるようにして、ベース部１２１，１２１´の上面を傾斜させておけば（図２３）、薬品及び／または医療器具１０８が識別コード１２７の上へ自然に移動するようになる。

　仕切り部材１７０は（図１５，図２０，図２１参照）、板状体の仕切り部と、その下端部に突設された複数本のピンとを具えたものである。仕切り部材１７０は、上述した複合仕切り部材１２０，１２０´と同様、図示しない位置決め用嵌合部を孔１１２に差し込むことで、中敷部材１１１に対して抜取り可能に挿着されるようになっている。

　なお、上記第２の実施の形態では、孔１１２が中敷部材１１１に形成されていたが、孔１１２はトレー１１０の内底部に直に形成しても良く、そうすることにより中敷部材１１１を省くことができる。

　図２２は、第３の実施の形態を説明するために用いる図である。図１乃至図１４の第１の実施の形態の構成と同様の部分には、図１乃至図１４に付した符号の数に２００の数を加えた数の符号を付して説明を省略する。第３の実施の形態では、安価で手軽なアタッチメント部材としては、永久磁石を利用している。図２２に示すように、トレー２１０の底板や中敷部材２１１を永久磁石にするとともに、複合仕切り部材２２０の底部に永久磁石２２９を固定してもよい。また複合仕切り部材２２０を永久磁石または磁性材料から形成してもよい。なおトレー２１０の底板側を永久磁石にすれば複合仕切り部材２２０の全部またはベース部に軟鉄を採用しても良い。個別収容領域を画定した状態にする安定化の観点からは磁気吸引力が強い方が望ましいのに対し、個別収容領域を容易に画定し直すことができるという観点からは磁気吸引力が弱い方が好ましい。そのため個別収容領域を画定し直すときには、電磁石の上にトレー２１０を載置して一時的に磁気引力を弱めると、複合仕切り部材２２０の並べ直しがやり易くなる。

［その他］
　なお、上記の実施の形態では、使用済みトレー１０を一つずつ撮影していたが、トレー１０が小さくて撮像装置３０の撮影範囲に複数並べて置ける場合は、複数のトレー１０を纏めて一度に撮影するようにしても良い。

　また、複合仕切り部材の他の具体例としては、ベース部の四辺のそれぞれに、各辺の全部または一部と一致する、仕切り部または連結壁部を設けてもよい。図２４に示す複合仕切り部材９０は、矩形状の輪郭を有するベース部９１と、ベース部の対向する第１及び第２の辺に沿って延びて所定の間隔を開けて平行に並ぶ複数の仕切り部９２，９３を備えている。第１の辺に隣接する仕切り部９２は第１の辺と一致するように設けられており、第２の辺に隣接する仕切り部９３は第２の辺の一部と一致するように設けられている。また、複合仕切り部材９０には、第１及び第２の辺とは異なる対向する第３及び第４の辺に沿って、仕切り部９２の一端と連結された連結壁部９４と、仕切り部９３の一端と連結された連結壁部９５が設けられている。

　さらに、上記の実施の形態では、検査ユニット（３０，４０）が机上に纏めて装備されていたが、検査ユニット（３０，４０）は、別々に具体化しても良く、既述したトレー内部一括撮像方式の薬品管理システム（特許文献２参照）のようにトレー搬送用カートなどに搭載しても良く、薬品管理システムと合体させても良い。

　なお、上記実施の形態では、検知装置４０は、画像データ４１から識別コード２７を読み取れたときには直ちに該当する薬品及び／または医療器具８の使用があったものと判定するようになっていた。しかしながら、既述したトレー内部一括撮像方式の薬品管理システムの判定プログラムのように（特許文献２参照）、セットデータを参照した一致確認まで行うようにしても良い。例えば、登録モードでは判定プログラム４４の結果をセットデータに登録する登録プログラムを検知装置４０に追加インストールしておいて、仕切済みトレー１０に薬品及び／または医療器具８を収容する前に仕切済みトレー１０を検査ユニット（３０，４０）で処理して識別コード２７の配置状態をセットデータに登録させることや、収容済みトレー１０から薬品及び／または医療器具８を取り出して使用する前に収容済みトレー１０を検査ユニット（３０，４０）で処理して識別コード２７の配置状態をセットデータに登録させることで、使用済みトレー１０の検査結果をセットデータに照らし合わせてチェックすることができる。

　本発明の管理用トレーユニットは、上述したような院内薬局向けシステムに限らず、手術室向けや、ＩＣＵ向け、病棟向けなど種々の医療現場で使用することができる。

８…医薬品及び／または医療器具、
９…カート、
１０…トレー、
１１…中敷部材、
１２，２９…面ファスナ、
２０，５０，６０，９０，１２０…複合仕切り部材、
２１，５１，６１，９１，１２１…ベース部、
２２，２３，５２，６２，６３，９２，９３，１２２，１２３…仕切り部
２４，５４，６４，９４，９５…連結壁部、
２７…識別コード、
２８…医薬品または医療器具情報表示部、
３０…撮像装置（検査ユニット）、
４０…検知装置（検査ユニット）、
４１…画像データ、
４２…コードデータ、
４３…読取プログラム、
４４…判定プログラム、
４５…集計プログラム、
４６…出力装置、

Claims

　医薬品及び／または医療器具を収容するトレーと、
　前記トレーの内部に配置され且つ前記トレーの底壁部に対して位置決めされて、前記トレーの内部に前記医薬品及び／または医療器具を個別に収容する複数の個別収容領域を画定する複数の仕切り部材とを備え、
　前記複数の仕切り部材には、前記底壁部に沿って延び且つ前記医薬品または前記医療器具が前記個別収容領域に収容された状態で前記医薬品または前記医療器具によって全部または一部が覆われるベース部と前記底壁部から離れる方向に前記ベース部から延びる１以上の仕切り部とを備えて、単独でまたは他の仕切り部材と協働して１以上の前記個別収容領域を画定する複数の複合仕切り部材が含まれており、
　前記複合仕切り部材の前記ベース部の前記医薬品または前記医療器具によって覆われる部分の表面には、前記複合仕切り部材により画定された前記個別収容領域に収容される前記医薬品または前記医療器具を特定する識別コードが、前記医薬品または前記医療器具が無い状態で光学的に読み取り可能に設けられており、
　前記複数の複合仕切り部材の前記ベース部及び前記トレーの前記底壁部には、前記複合仕切り部材を前記底壁部に対して着脱可能に取り付けるアタッチメントを構成するアタッチメント部材がそれぞれ設けられていることを特徴とする管理用トレーユニット。
　前記アタッチメントが面ファスナからなり、前記底壁部に設けられる前記アタッチメント部材が、前記面ファスナのフック面を備えたファスナ部材及びループ面を備えたファスナ部材の一方であり、前記ベース部に設けられる前記アタッチメント部材が、前記面ファスナのフック面を備えたファスナ部材及びループ面を備えたファスナ部材の他方である請求項１に記載の管理用トレーユニット。
　前記アタッチメントが永久磁石の磁力を利用する構造を有している請求項１に記載の管理用トレーユニット。
　前記底壁部に設けられる前記アタッチメント部材が、前記永久磁石及び前記永久磁石が吸引される磁性体の一方であり、前記ベース部に設けれられる前記アタッチメント部材が前記永久磁石及び前記永久磁石が吸引される磁性体の他方である請求項３に記載の管理用トレーユニット。
　前記底壁部に設けられる前記アタッチメント部材が、前記底壁部の面方向に所定の間隔をあけて配置された複数の位置決め用被嵌合部からなり、前記ベース部に設けられる前記アタッチメント部材が前記トレーの前記底壁部と対向する裏面側に設けられて前記複数の位置決め用被嵌合部の一部と嵌合する１以上の位置決め用嵌合部からなる請求項１に記載の管理用トレーユニット。
　前記複数の被嵌合部は、前記底壁部上に配置されるプレートにマトリックス状に形成された複数の穴または凹部からなり、前記１以上の嵌合部は前記複数の穴または凹部に嵌合される１以上の凸部からなる請求項５に記載の管理用トレーユニット。
　前記ベース部の横幅が前記複数の穴または凹部のピッチの単位長より長いものが含まれており、前記ベース部の上面のうち前記仕切り部から前記単位長以上離隔している部分に前記識別コードの全部または一部であって該当部分が隠されると機械読取ができなくなる部分が付されていることを特徴とする請求項６に記載の管理用トレーユニット。
　前記複合仕切り部材は、矩形状の輪郭を有する前記ベース部と、前記ベース部の対向する第１及び第２の辺に沿って延びて所定の間隔を開けて並ぶ複数の前記仕切り部とを備えており、
　前記複数の仕切り部の隣合う二つの前記仕切り部間に形成された空間が前記個別収容領域の少なくとも一部を構成している請求項１乃至７のいずれか１項に記載の管理用トレーユニット。
　前記複合仕切り部材は、矩形状の輪郭を有する前記ベース部と、前記ベース部の対向する第１及び第２の辺に沿って延びて所定の間隔を開けて並ぶ複数の前記仕切り部とを備えており、
　前記複数の仕切り部の隣合う二つの前記仕切り部間に形成された空間が前記個別収容領域の少なくとも一部を構成しており、
　前記複数の仕切り部は前記第１及び第２の辺と平行に設けられており、
　前記ベース部には、前記第１及び第２の辺とは異なる対向する第３及び第４の辺の一方に沿って、前記複数の仕切り部の一端を連結する連結壁部が設けられている請求項１乃至７のいずれか１項に記載の管理用トレーユニット。
　前記複合仕切り部材は、矩形状の輪郭を有する前記ベース部と、前記ベース部の対向する第１及び第２の辺に沿って延びて所定の間隔を開けて並ぶ複数の前記仕切り部とを備えており、
　前記複数の仕切り部の隣合う二つの前記仕切り部間に形成された空間が前記個別収容領域の少なくとも一部を構成しており、
　前記複数の仕切り部は前記第１及び第２の辺と平行に設けられており、
　前記ベース部には、前記第１及び第２の辺とは異なる対向する第３及び第４の辺の一方に沿って、前記複数の仕切り部の一端を連結する連結壁部が設けられており、
　前記複数の仕切り部のうち、前記第１の辺に隣接する前記仕切り部は前記第１の辺と一致するように設けられており、前記第２の辺に隣接する前記仕切り部は前記第２の辺から間隔をあけて設けられている請求項１乃至７のいずれか１項に記載の管理用トレーユニット。
　前記複合仕切り部材は、矩形状の輪郭を有する前記ベース部と、前記ベース部の対向する第１及び第２の辺に沿って延びて所定の間隔を開けて並ぶ複数の前記仕切り部とを備えており、
　前記複数の仕切り部の隣合う二つの前記仕切り部間に形成された空間が前記個別収容領域の少なくとも一部を構成しており、
　前記複数の仕切り部は前記第１及び第２の辺と平行に設けられており、
　前記ベース部には、前記第１及び第２の辺とは異なる対向する第３及び第４の辺の一方に沿って、前記複数の仕切り部の一端を連結する連結壁部が設けられており、
　前記複数の仕切り部のうち、前記第１の辺に隣接する前記仕切り部は前記第１の辺から間隔をあけて設けられており、前記第２の辺に隣接する前記仕切り部は前記第２の辺から間隔をあけて設けられている請求項１乃至７のいずれか１項に記載の管理用トレーユニット。
　前記複合仕切り部材は、矩形状の輪郭を有する前記ベース部と、前記ベース部の対向する第１及び第２の辺の一方の辺に沿って延びる１つの前記仕切り部と、前記第１及び第２の辺とは異なる対向する第３及び第４の辺の一方の辺に沿って延びて、前記仕切り部の一端と連結された連結壁部とを備えている請求項１乃至７のいずれか１項に記載の管理用トレーユニット。
　前記複合仕切り部材は、矩形状の輪郭を有する前記ベース部と、前記ベース部の対向する第１及び第２の辺の一方の辺に沿って延びる１つの前記仕切り部と、前記第１及び第２の辺とは異なる対向する第３及び第４の辺の一方の辺に沿って延びて、前記仕切り部の一端と連結された連結壁部とを備えており、
　前記仕切り部は前記第１及び第２の辺の前記一方の辺と一致するように前記ベース部に設けられており、
　前記連結壁部は前記第３及び第４の辺の一方の辺と一致するように前記ベース部に設けられている請求項１乃至７のいずれか１項に記載の管理用トレーユニット。
　前記ベース部の厚みは、前記仕切り部から離れるにつれて薄くなっており、前記ベース部の上面が傾斜している請求項１に記載の管理用トレーユニット。
　前記ベース部の上面には、前記識別コードとは別に、目視だけで前記医薬品または前記医療器具を特定できる情報が表示されている請求項１に記載の管理用トレーユニット。