WO2012137681A1 - 生分解性樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]アミノ酸を除く多価カルボン酸に由来する構成単位(a-1)とヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(a-2)を有する重量平均分子量1,000~30,000の共重合体(A)、及び、生分解性樹脂(B)を含有する生分解性樹脂組成物(C)
であり、好ましくは、以下のいずれかである。
本発明に用いる共重合体(A)は、アミノ酸を除く多価カルボン酸に由来する構成単位(a-1)とヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(a-2)を有する。共重合体(A)はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体の何れでも構わない。
本発明に用いる生分解性樹脂(B)は、生分解性を有する樹脂であれば良く、特に限定されない。例えば、ポリヒドロキシカルボン酸、ジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル樹脂を使用できる。
本発明の生分解性樹脂組成物(C)は、共重合体(A)と生分解性樹脂(B)を混合することにより得られる。その質量組成比[(A)/(B)]は共重合体(A)と生分解性樹脂(B)の合計量を100として、好ましくは1/99~20/80、より好ましくは5/95~15/85である。質量組成比がこれらの範囲内にあると、生分解性樹脂(B)の持つ性質を維持しつつ共重合体(A)による分解速度促進効果が発揮されるため好ましい。また、共重合体(A)の量が多いほど分解速度の大きな樹脂組成物が得られる。
本発明の生分解性成形体は、生分解性樹脂組成物(C)を通常の樹脂成形加工法で成形したものである。この成形体は、具体的には、フィルム、食品包装材、衛生用品用包装材、農園芸資材、繊維、不織布、又は徐放性薬剤であることが好ましい。
試料を溶媒に溶解し(濃度0.5質量%)、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、重量平均分子量(Mw)を求めた。装置はWaters製 GPCシステム、カラムはSHODEX製 LF-G、LF-804、検出はRIでWaters製2414を用いた。溶媒はクロロホルム、標準物質はポリスチレンを用い、流速1.0ml/分で測定を行った。
装置は島津製作所製DSC-60を用い、4~5mg程度の試料について、昇温速度10℃/分で20℃~250℃の温度範囲にて測定を行ない、ガラス転移点温度(Tg)を求めた。
プレスフィルムを三化ダンベル型に打ち抜き、23℃、20mm/minの引張速度条件で測定した。
撹拌装置、脱気口を備えた500mlサイズのガラス製反応器に、和光純薬製D,L-リンゴ酸13.4g(0.1モル)、Purac製90%L-乳酸100.2g(1.0モル)及び和光純薬製チタンテトライソプロポキシド18.5mg(0.0016モル)を装入した。この場合、仕込みのリンゴ酸と乳酸とのモル比は1:10になる。反応器をオイルバスに漬け、135℃、10mmHgで窒素を流通させながら30時間撹拌した。反応器をオイルバスから取り出し、反応溶液をステンレスバット上に取り出して冷却固化させた。得られた無色透明の固体を粉砕し、粉末状ポリマー65gを得た。ポリマーのMwは3,300であった。
D,L-リンゴ酸の量を6.7g(0.05モル)に変更したこと以外は、調製例1と同様にして各成分を反応器に装入し、反応させて、粉末状ポリマー62gを得た。この場合、仕込みのリンゴ酸と乳酸とのモル比は1:20になる。ポリマーのMwは3,900であった。
D,L-リンゴ酸の量を2.68g(0.02モル)に変更したこと以外は、調製例1と同様にして各成分を反応器に装入し、反応させて、粉末状ポリマー60gを得た。この場合、仕込みのリンゴ酸と乳酸とのモル比は1:50になる。ポリマーのMwは5,000であった。
D,L-リンゴ酸の代わりに、和光純薬製クエン酸1水和物21.0g(0.1モル)を使用したこと以外は、調製例1と同様にして各成分を反応器に装入し、反応させて(但し反応温度は160℃)、粉末状ポリマー69gを得た。この場合、仕込みのクエン酸と乳酸とのモル比は1:10になる。ポリマーのMwは2,600であった。
実施例1と同じガラス製反応器に、和光純薬製L-アスパラギン酸13.3g(0.1モル)、Purac製90%L-乳酸50.1g(0.5モル)及び和光純薬製チタンテトライソプロポキシド18.5mg(0.0016モル)を装入した。この場合、仕込みのアスパラギン酸と乳酸とのモル比は1:5になる。反応器をオイルバスに漬け、160℃で窒素を流通させながら30時間撹拌した。30分~1時間程度で粉末は次第に消滅し、反応液は黄色の着色が見られた。反応器をオイルバスから取り出し、反応溶液をステンレスバット上に取り出して冷却固化させた。得られた薄黄褐色透明の固体を粉砕し、粉末状ポリマー32gを得た。ポリマーのMwは6,200であった。
Mwが24.0万のポリ乳酸(三井化学社製LACEA H-400)54gに、調製例1で得たリンゴ酸-乳酸共重合体(リンゴ酸と乳酸とのモル比1:10)を6g添加し、東洋精機製ラボプラストミル20C200を用い、温度180℃、回転数50rpmの条件で10分間混練を行った。
調製例1で得たリンゴ酸-乳酸共重合体の代わりに調製例4で得たクエン酸-乳酸共重合体6gを使用したこと以外は、実施例1と同様にして150μm厚のフィルムを作製した。フィルムのMwは17.8万、Tgは55.0℃、引張強度は61.2MPaで、無色透明で柔軟かつ強度の高いフィルムであった。YI値は4.0であった。このフィルムに対して、実施例1と同様にして分解性の評価を行った。50℃の条件、及び60℃の条件のいずれも、蒸留水に浸漬後、フィルムにはすぐに白化が見られた。また50℃の条件では5日経過時、60℃の条件では19時間経過時にはフィルムの引張強度が0になった。評価結果を表1~表4に示す。
ポリ乳酸の量を59.4g、調製例1で得たリンゴ酸-乳酸共重合体の量を0.6gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして150μm厚のフィルムを作製した。フィルムのMwは21.0万、Tgは59.8℃、引張強度は62.3MPaで、無色透明で柔軟かつ強度の高いフィルムであった。YI値は4.0であった。このフィルムに対して、実施例1と同様にして分解性の評価を行った。評価結果を表1~表4に示す。
ポリ乳酸の量を48g、調製例1で得たリンゴ酸-乳酸共重合体の量を12gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして150μm厚のフィルムを作製した。フィルムのMwは9.9万、Tgは50.9℃、引張強度は59.1MPaで、無色透明で柔軟かつ強度の高いフィルムであった。YI値は4.0であった。このフィルムに対して、実施例1と同様にして分解性の評価を行った。50℃の条件、及び60℃の条件のいずれも、蒸留水に浸漬後、フィルムにはすぐに白化が見られた。また50℃の条件では1.5日経過時、60℃の条件では14時間経過時にはフィルムの引張強度が0になった。評価結果を表1~表4に示す。
調製例1で得たリンゴ酸-乳酸共重合体(リンゴ酸と乳酸とのモル比1:10)の代わりに調製例2で得たリンゴ酸-乳酸共重合体(リンゴ酸と乳酸とのモル比1:20)6gを使用したこと以外は、実施例1と同様にして150μm厚のフィルムを作製した。フィルムのMwは18.8万、Tgは56.1℃、引張強度は62.5MPaで、無色透明で柔軟かつ強度の高いフィルムであった。YI値は3.9であった。このフィルムに対して、実施例1と同様にして分解性の評価を行った。50℃の条件、及び60℃の条件のいずれも、蒸留水に浸漬後、フィルムにはすぐに白化が見られた。評価結果を表1~表4に示す。
ポリ乳酸の量を48gに変更し、また調製例1で得たリンゴ酸-乳酸共重合体(リンゴ酸と乳酸とのモル比1:10)の代わりに調製例3で得たリンゴ酸-乳酸共重合体(リンゴ酸と乳酸とのモル比1:50)12gを使用したこと以外は、実施例1と同様にして150μm厚のフィルムを作製した。フィルムのMwは14.5万、Tgは51.1℃、引張強度は60.6MPaで、無色透明で柔軟かつ強度の高いフィルムであった。YI値は4.1であった。このフィルムに対して、実施例1と同様にして分解性の評価を行った。50℃の条件、及び60℃の条件のいずれも、蒸留水に浸漬後、フィルムにはすぐに白化が見られた。また50℃の条件では5日経過時、60℃の条件では19時間経過時にはフィルムの引張強度が0になった。評価結果を表1~表4に示す。
ポリ乳酸の代わりにMwが15.0万のポリブチレンサクシネートアジペート(昭和高分子社製ビオノーレ 3010)54gを使用したこと以外は、実施例1と同様にして150μm厚のフィルムを作製した。フィルムのMwは12.3万で、白色で柔軟かつ強度の高いフィルムであった。このフィルムに対して、実施例1と同様にしてMw保持率の測定による分解性の評価を行った。評価結果を表1及び表3に示す。
調製例1で得たリンゴ酸-乳酸共重合体を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして150μm厚のフィルムを作製した。フィルムのMwは23.1万、Tgは59.8℃、引張強度は67.0MPaで、無色透明のフィルムであった。YI値は3.9であった。このフィルムに対して、実施例1と同様にして分解性の評価を行った。何れの温度条件でもフィルムの外観は無色透明のままであった。評価結果を表1~表4に示す。
調製例1で得たリンゴ酸-乳酸共重合体の代わりに比較調製例1で得たアスパラギン酸-乳酸共重合体6gを使用したこと以外は、実施例1と同様にして150μm厚のフィルムを作製した。フィルムのMwは21.7万、Tgは59.8℃、引張強度は63.2MPaで、黄褐色透明のフィルムであった。YI値は18.9であった。このフィルムに対して、実施例1と同様にして分解性の評価を行った。評価結果を表1~表4に示す。
調製例1で得たリンゴ酸-乳酸共重合体を使用しなかったこと以外は、実施例7と同様にして150μm厚のフィルムを作製した。フィルムのMwは14.8万で、白色のフィルムであった。このフィルムに対して、実施例1と同様にしてMw保持率の測定による分解性の評価を行った。評価結果を表1及び表3に示す。
ポリ乳酸の量を59.4gに変更し、また調製例1で得たリンゴ酸-乳酸共重合体の代わりに東京化成製O-アセチルクエン酸トリエチル0.6gを使用したこと以外は、実施例1と同様にして150μm厚のフィルムを作製した。フィルムのMwは23.2万、Tgは58.2℃、引張強度は62.3MPaで、無色透明のフィルムであった。YI値は3.9であった。このフィルムに対して、実施例1と同様にして分解性の評価を行った。評価結果を表1~表4に示す。
調製例1で得たリンゴ酸-乳酸共重合体の代わりに東京化成製O-アセチルクエン酸トリエチル6gを使用したこと以外は、実施例1と同様にして150μm厚のフィルムを作製した。フィルムのMwは22.9万、Tgは44.1℃、引張強度は28.5MPaで、無色透明のフィルムであった。YI値は4.0であった。このフィルムに対して、実施例1と同様にして分解性の評価を行った。評価結果を表1~表4に示す。
実施例1で得たフィルムについて、島津製作所製UV-3100PCを用いて、波長200~800nmの光に対する透過率を1nm毎に測定した。結果を図1に示す。
比較例2で得たフィルムについて、実施例8と同様にして、波長200~800nmの光に対する透過率を1nm毎に測定した。結果を図1に示す。
実施例1で得たフィルムを23±2℃、50±5%RH環境下で放置した。放置後14日後、23日後、52日後、107日後、253日後、368日後のフィルムのMw保持率とフィルムの引張強度保持率をそれぞれ表5及び表6に示す。
比較例1で得たフィルムについて、実施例9と同様にして保存安定性の評価を行った。評価結果を表5及び表6に示す。
Claims (10)
- アミノ酸を除く多価カルボン酸に由来する構成単位(a-1)とヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(a-2)を有する重量平均分子量1,000~30,000の共重合体(A)、及び、生分解性樹脂(B)を含有する生分解性樹脂組成物。
- 多価カルボン酸が、ヒドロキシジカルボン酸及び/又はヒドロキシトリカルボン酸である請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
- 多価カルボン酸が、リンゴ酸及び/又はクエン酸である請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
- 生分解性樹脂(B)が、ポリヒドロキシカルボン酸である請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
- 生分解性樹脂(B)が、ポリ乳酸である請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
- 共重合体(A)における構成単位(a-1)と構成単位(a-2)のモル組成比[(a-1)/(a-2)]が、1/10~1/50である請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
- 共重合体(A)と生分解性樹脂(B)の質量組成比[(A)/(B)]が、共重合体(A)と生分解性樹脂(B)の合計量を100として1/99~20/80である請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
- 共重合体(A)の重量平均分子量が2,500~20,000である請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
- 請求項1記載の生分解性樹脂組成物からなる生分解性成形体。
- 請求項1記載の生分解性樹脂組成物からなるフィルム。
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