JP6950885B2 - 生分解性樹脂多孔質体 - Google Patents

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本発明は、生分解性樹脂多孔質体に関し、特に加水分解性に優れる生分解性樹脂多孔質体に関する。
生分解性樹脂はフィルムや繊維としてさまざまな用途に用いられているが、多孔質体としても薬物輸送等の用途に有用であるとの期待がある。
非特許文献1には、生分解性樹脂で多孔質体を成形し、水系溶液中での加水分解性速度について観察した報告がある。通常、同サイズで孔のない成形体と比較して、多孔質体は表面積が大きくなる分、水との接触が多くなり加水分解が促進される、と考えられる。そして、比重が同じ場合、孔径が小さいほど多孔質体の表面積が大きくなるため、分解速度もそれに比例して速くなると考えられる。
非特許文献2には、ポリ乳酸の多孔質膜をポリ乳酸−1,4−ジオキサン−水溶液から熱誘起相分離法により製造する方法が開示されており、0.6〜4.4μmの微細孔を有する多孔質膜を形成している。
また、本出願人は、特許文献1及び特許文献2において、生分解性樹脂(ポリ乳酸)に多価カルボン酸・ヒドロキシカルボン酸共重合体を配合すると、加水分解が促進されることをフィルムや繊維形状では確認している。
WO2012/137681 WO2014/038608
Biomaterials 21 (2000) 1595−1605 Journal of Membrane Science 238 (2004) 65−73
しかし非特許文献1においては、孔のサイズがある程度より小さくなると、加水分解がむしろ遅くなるという現象が確認されている。その理由としては、生分解性樹脂のカルボン酸残基が自己触媒として機能しているものが、水中に逃げやすくなるためではないかと推測されている(非特許文献1、1603頁参照)。
本発明の目的は、加水分解性に優れ、特に孔径が小さい多孔質体でも加水分解速度の低下が少ない生分解性樹脂多孔質体を提供することにある。
本発明は、多価カルボン酸に由来する構成単位(a−1)及びヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(a−2)から構成される共重合体(A)と、生分解性樹脂(B)とを含有する生分解性樹脂多孔質体に関する。
本発明者らは、生分解性樹脂の多孔質体において、特許文献1及び2に記載の共重合体を配合してみたところ、孔径が小さい多孔質体でも加水分解速度の低下がみられなかった。
即ち、本発明により、加水分解性に優れ、特に孔径が小さい多孔質体でも加水分解速度の低下が少ない生分解性樹脂多孔質体を提供することができる。
実施例1、2および比較例1で製造した多孔質体(1)〜(3)の加水分解試験における質量保持率の変化を示すグラフである。
<共重合体(A)>
本発明に用いる共重合体(A)は、多価カルボン酸に由来する構成単位(a−1)とヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(a−2)を有する。なお、「構成単位」とは、重合性単量体に由来する単位であり、末端基は含まない。共重合体(A)はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体の何れでも構わない。
構成単位(a−1)は多価カルボン酸に由来する構成単位であれば良く、特に限定されない。多価カルボン酸は2価または3価の多価カルボン酸から選択される1種以上であることが好ましく、中でも、アミノジカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシトリカルボン酸がより好ましく、アスパラギン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選択される1種以上であることが特に好ましい。これら多価カルボン酸は1種または異なる2種以上を有していてもよい。多価カルボン酸に由来する構成単位は、イミド環等の環構造を形成していてもよく、該環構造が開環していてもよく、またはこれらが混在していてもよい。
構成単位(a−2)はヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位であれば良く、特に限定されない。中でも、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシカプリン酸等のα−ヒドロキシカルボン酸;グリコライド、ラクタイド、p−ジオキサノン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン又はε−カプロラクトンに由来する構成単位が好ましく、乳酸、グリコール酸から選択される1種以上に由来する構成単位がより好ましい。
共重合体(A)は、以上説明した構成単位(a−1)及び構成単位(a−2)を有する共重合体であれば良く、特に限定されない。中でも、アスパラギン酸−乳酸共重合体、リンゴ酸−乳酸共重合体、クエン酸−乳酸共重合体が特に好ましい。
共重合体(A)における構成単位(a−1)と構成単位(a−2)のモル組成比[(a−1)/(a−2)]は、重合時の仕込量で、好ましくは1/1〜1/50、より好ましくは1/10〜1/20である。モル組成比がこれらの範囲内にあると、分解速度促進効果に優れ、生分解性樹脂(B)との相溶性にも優れた共重合体が得られる。
共重合体(A)中には、多価カルボン酸やヒドロキシカルボン酸以外の構成単位(他の共重合成分に由来する単位)が存在していてもよい。ただし、その量は共重合体(A)の性質を大きく損なわない程度であることが必要である。かかる点から、その量は共重合体(A)全体の構成単位100モル%中、およそ20モル%以下であることが望ましい。
共重合体(A)の酸価は、0.2mmol/g〜5mmol/g(KOH)であることが好ましい。酸価は、より好ましくは、0.5mmol/g〜5mmol/gである。本発明で言う「酸価」は、後述する実施例に記載の方法で測定されたものである。共重合体(A)の酸価が上記範囲にあれば、多孔質体とした時に加水分解促進効果が大きくなる。
共重合体(A)の重量平均分子量は1,000以上、50,000以下であり、好ましくは2,500以上、30,000以下であり、特に好ましくは2,500〜10,000の範囲内である。この重量平均分子量は、後述する実施例に記載の条件で、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により求めた値である。
共重合体(A)の製造方法は特に限定されない。一般的には、多価カルボン酸とヒドロキシカルボン酸を所望の比で混合し、触媒の存在下又は非存在下で、加熱減圧下にて脱水重縮合することで得ることができる。また、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸の無水環状化合物と多価カルボン酸とを反応させることで得ることもできる。
<生分解性樹脂(B)>
本発明に用いる生分解性樹脂(B)は、生分解性を有する樹脂であれば良く、特に限定されない。例えば、ポリヒドロキシカルボン酸、ジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル樹脂を使用できる。なお、生分解性樹脂(B)には共重合体(A)は含まれない。
本発明において、ポリヒドロキシカルボン酸は、水酸基とカルボキシル基とを併せ有するヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し単位(構成単位)を有する重合体又は共重合体を意味する。
ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシラウリン酸、2−ヒドロキシミリスチン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、2−ヒドロキシステアリン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ酢酸、マンデル酸、サリチル酸、カプロラクトン等のラクトン類の開環生成物が挙げられる。これらの2種以上を混合して用いても良い。
ポリヒドロキシカルボン酸は、生分解性樹脂(B)としての性質を損なわない限り、ヒドロキシカルボン酸以外の他の構成単位(共重合成分)を有していてもよいが、ポリヒドロキシカルボン酸の全構成単位100モル%中、ヒドロキシカルボン酸由来の構成単位は好ましくは20モル%以上であり、より好ましくは50モル%以上であり、特に好ましくは100%である。
ポリヒドロキシカルボン酸のうち、共重合体(A)との相溶性の点からは、ヒドロキシカルボン酸が乳酸である重合体または共重合体が好ましく、ポリ乳酸(単独重合体)がより好ましい。ポリ乳酸は、乳酸を出発原料として合成されたものであっても、ラクタイドを出発原料として合成されたものであっても良い。
本発明において、ジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル樹脂は、ジオール及びジカルボン酸に由来する繰り返し単位(構成単位)を有する重合体又は共重合体を意味し、生分解性樹脂(B)としての性質を損なわない限り、ジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル以外の他の構成単位(共重合成分)を有していてもよい。
ジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリジエチレンサクシネート、ポリジエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネートアジペート、ポリジエチレンセバケート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンセバケートが挙げられる。
生分解性樹脂(B)の分子量は特に限定されないが、共重合体(A)よりも分子量の大きなものが好ましい。共重合体(A)との混合のし易さを考慮すると、生分解性樹脂(B)の重量平均分子量は、好ましくは2,000〜2,000,000、より好ましくは3,000〜1,000,000、特に好ましくは50,000超、500,000以下である。この重量平均分子量は、後述する実施例に記載の条件で、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により求めた値である。
また、生分解性樹脂(B)の酸価が0.005mmol/g〜0.2mmol/gであることが好ましい。生分解性樹脂(B)の酸価は、0.005mmol/g〜0.1mmol/gであることがより好ましい。生分解性樹脂(B)の酸価は、共重合体(A)の酸価と同様にして測定される。
〔生分解性樹脂多孔質体〕
本発明の生分解性樹脂多孔質体は、共重合体(A)と生分解性樹脂(B)を混合した樹脂組成物(以下、樹脂組成物(C)という)を多孔質化することにより得られる。その質量組成比[(A)/(B)]は、共重合体(A)と生分解性樹脂(B)の合計量を100として、1/99〜50/50であり、好ましくは1/99〜45/55であり、より好ましくは1/99〜40/60であり、特に好ましくは5/95〜20/80である。質量組成比がこれらの範囲内にあると、生分解性樹脂(B)の持つ性質を維持しつつ共重合体(A)による分解速度促進効果が発揮されるため好ましい。また、共重合体(A)の量が多いほど分解速度の大きな樹脂組成物が得られる。
生分解性樹脂(B)に共重合体(A)を混合する方法は特に限定されない。好ましくは両者を溶融混練するか、溶媒に溶解させ攪拌混合する。このような製法により、共重合体(A)と生分解性樹脂(B)とから、均一な樹脂組成物を得ることが出来る。
樹脂組成物(C)は、生分解性樹脂(B)のもつ性質を大きく損なわない範囲で、共重合体(A)及び生分解性樹脂(B)以外のポリマーや通常の樹脂に添加され得る添加剤が含まれていても良い。
樹脂組成物(C)の分子量は特に限定されない。成形性を考慮すると、樹脂組成物(C)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100万、より好ましくは5,000〜50万、特に好ましくは50,000〜30万である。この重量平均分子量は、後述する実施例に記載の条件で、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により求めた値である。
多孔質体を得る方法としては、特に制限されることなく、従来公知の方法により多孔質体とすることができる。例えば、相分離法、抽出法、化学処理法、延伸法、照射エッチング法、融着法、発泡法、これらの組み合わせなどが挙げられる。特に、本発明においては、孔径の小さい細孔を有する多孔質体を提供できる相分離法、特に熱誘起相分離法が好ましい。熱誘起相分離法については非特許文献2に詳細が記載されている。
本発明に係る生分解性樹脂多孔質体は、後述する水銀圧入法で測定した場合の容積基準の平均細孔径が10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。また、空隙率は60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。また、比表面積は0.04m/g以上であることが好ましく、1m/g以上がより好ましく、50m/g以上がさらに好ましい。また、後述する水銀圧入法での測定値から算出した極大細孔直径(水銀圧入法による極大細孔直径)は100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。多孔質体がこれらの範囲にあると、共重合体(A)を添加したときの加水分解速度が大きくなる点で好ましい。
多孔質体には、細孔が連続して繋がっている開孔型と、細孔が孤立している独立気孔型とがあるが、本発明に係る生分解性樹脂多孔質体の細孔は、開孔型であることが好ましい。開孔型であると分解速度が速くなるため好ましい。
本発明に係る生分解性樹脂多孔質体が、孔のサイズが小さくても加水分解を促進する理由は、以下のように考えている。すなわち、非特許文献1では孔のサイズがある程度より小さくなると、生分解性樹脂のカルボン酸残基が自己触媒として機能しているものが水中に逃げやすくなるため、加水分解がむしろ遅くなると推測されているが、本発明の生分解性樹脂多孔質体に含有される共重合体(A)は、多価カルボン酸残基を多く含むことにより触媒機能を発現するとともに、生分解性樹脂(B)との相溶性が高いため、すぐには水中に逃げず生分解性樹脂多孔質体中に留まり、触媒作用を継続して発現しているものと推察している。
多孔質体の形態としては、膜・フィルム、シート、粒状体、発泡体等、目的に応じて所望の形状とすることができる。
本発明に係る生分解性樹脂多孔質体は、創傷被覆材、細胞培養基材、薬物輸送システム(DDS)用の担体などの医療材料、農業用の農薬徐放基材、触媒担持体、酸触媒、油吸着材などの用途に適している。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例における各測定方法は以下の通りである。
<重量平均分子量(Mw)>
試料をクロロホルムに溶解し(濃度約0.5質量%)、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、重量平均分子量(Mw)をポリスチレン換算の値として求めた。
測定条件を以下に示す。
RI検出器:日本分光RI−2031、
カラム:SHODEX製 LF−GおよびLF−804、
カラム温度:40℃、
溶媒:クロロホルム、
流速:1.0ml/分。
<酸価>
試料約0.5gを精秤し、クロロホルム/メタノール(70/30 (v/v))20mLに溶解させ、自動滴定装置(京都電子工業社製AT−510)を用い、0.1N水酸化カリウム/2−プロパノール溶液を滴定液とし、当量点までに要した容量から逆算して求めた。
<走査型電子顕微鏡(SEM)観察>
日本電子(株)製、JSM−6010LA型を用い、70μA、20kVで観察した。
<空隙率、平均及び極大細孔直径、比表面積>
全自動細孔分布測定装置(Pore Master 60-GT、カンタクローム社製)を用いて測定した。測定範囲400μm〜0.0036μm、水銀接触角140°、水銀表面張力480dyn/cmの条件設定にて、約0.1gの試料を10Φx30mmのセルを用いて細孔分布曲線を測定した。得られた細孔分布曲線から得られる累積細孔容積と、用いた試料の水銀圧入前後の重量の変化から、水銀の密度を13.5487g/cc(20℃)として細孔容積を算出し、以下の式により空隙率を測定した。また、単位重量1gあたりの表面積として比表面積を算出し、細孔を一つの円筒形と仮定したときの平均細孔直径として平均細孔直径を算出した。また、極大細孔直径を、対数細孔径頻度分布曲線(dv/dlogD)の極大値から求めた。
空隙率(%)={細孔容積(cm)/(試料の嵩容積+細孔容積)(cm)}×100
<製造例1> 乳酸−リンゴ酸共重合体(PML)の製造
撹拌装置、脱気口をつけた500mlサイズのガラス製反応器に和光純薬製D,L−リンゴ酸13.4g(0.1モル)、Purac社製90%L−乳酸100.2g(1.0モル)及び和光純薬製チタンテトライソプロポキシド18.5mg(0.0016モル)を装入した。この場合、仕込みのリンゴ酸と乳酸とのモル比は1:10であった。反応器をオイルバスに漬け、135℃、1.33kPa(10mmHg)で窒素を流通させながら30時間撹拌した。反応器をオイルバスから取り出し、反応溶液をステンレスバット上に取り出して冷却固化させた。得られた無色透明の固体を粉砕し、粉末状ポリマー(PML)65gを得た。
得られたPMLについて、上述の方法により測定した重量平均分子量は3300であった。また、酸価は2.1mmol/gであった。
<実施例1> 多孔質体(1)の製造
ポリ乳酸(三井化学社製「レイシア(登録商標)H100」、重量平均分子量=16.6万、酸価=0.081mmol/g)80質量部および製造例1で調製したPMLの20質量部に、前記ポリ乳酸/PML混合物の濃度が10質量%となるように1,4−ジオキサンを加え、80℃、3時間で溶解した。脱イオン水を1,4−ジオキサン/脱イオン水=88/12(質量比)となるように加え、80℃で15分加熱した。得られた溶液を氷浴で急冷し、得られたゲルを脱イオン水により溶媒置換したのち、室温にて真空乾燥して多孔質体を得た。得られた多孔質体の分析結果を表1に示した。
<実施例2> 多孔質体(2)の製造
ポリ乳酸を90質量部、乳酸−リンゴ酸共重合体を10質量部用いた以外は実施例1と同様に多孔質体を製造した。得られた多孔質体の分析結果を表1に示した。
<比較例1> 多孔質体(3)の製造
乳酸−リンゴ酸共重合体を用いなかった以外は実施例1と同様に多孔質体を製造した。得られた多孔質体の分析結果を表1に示した。
Figure 0006950885
<加水分解試験1>
実施例1,2及び比較例で製造した多孔質体(1)〜(3)各0.4gを、それぞれpH7.4のリン酸緩衝液4mLに浸漬し、37℃で静置した。所定の時間が経過した後試料を回収し、5℃の蒸留水で試料を洗浄した後、24時間室温にて真空乾燥して質量を測定した。加水分解による質量保持率は以下の式により算出した。
試験前の試料の質量をW、試験後の真空乾燥した試料の質量をWとすると、
質量保持率(%) = W/W ×100 (%)
結果を表2に示す。また、図1に実施例1、2および比較例1により得られた多孔質体の質量保持率の変化を示す。
Figure 0006950885
<製造例2> 乳酸−アスパラギン酸共重合体(PAL)の製造
撹拌装置、脱気口をつけた500mlサイズのガラス製反応器に和光純薬製L−アスパラギン酸39.9g(0.3モル)、Purac社製90%L−乳酸300.3g(3.0モル)を装入した。反応器をオイルバスに漬け、180℃で窒素を流通させながら7時間脱水重合した。得られた固体を粉砕し、粉末状ポリマー(PAL)を得た。得られたPALについて、上述の方法により測定した重量平均分子量は3500であった。また、酸価は1.5mmol/gであった。
<実施例3> 多孔質体(4)の製造
乳酸−リンゴ酸共重合体を製造例2で調製した乳酸−アスパラギン酸共重合体に変更した以外は実施例1と同様に多孔質体(4)を製造した。得られた多孔質体(4)の分析結果を表3に示した。
<実施例4> 多孔質体(5)の製造
ポリ乳酸を80質量部、製造例2で調製した乳酸−アスパラギン酸共重合体を20質量部用いた以外は実施例3と同様に多孔質体(5)を製造した。得られた多孔質体(5)の分析結果を表3に示した。
Figure 0006950885
<加水分解試験2>
実施例3および4で製造した多孔質体(4)および(5)の加水分解試験を上述の実施例1の場合と同様に行った。結果を比較例1の結果と共に表4に示す。
Figure 0006950885
表2、表4の結果から、本発明の多孔質体は細孔が小さくても、加水分解速度が従来品より速いのは明らかである。
<実施例5>多孔質体(6)の製造
ポリ乳酸/PML混合物の濃度が15質量%となるように1,4−ジオキサンを加えた以外は実施例1と同様に製造し、多孔質体(1)よりも極大細孔径の小さい多孔質体(6)を製造した。
<実施例6>多孔質体(7)の製造
ポリ乳酸/PML混合物の濃度が15質量%となるように1,4−ジオキサンを加えた以外は実施例2と同様に製造し、多孔質体(2)よりも極大細孔径の小さい多孔質体(7)を製造した。
<比較例2> 多孔質体(8)の製造
ポリ乳酸の濃度を15%とした以外は比較例1と同様に多孔質体(8)を製造した。
<加水分解試験3>
実施例5および6で製造した多孔質(6)および(7)、比較例2で製造した多孔質体(8)の加水分解試験を上述の実施例1の場合と同様に行った。結果を表5に示す。
Figure 0006950885
表5から、細孔がより小さくなっても加水分解速度が従来品より速いのは明らかである。

Claims (10)

  1. アミノジカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸及びヒドロキシトリカルボン酸から選択される1種以上である多価カルボン酸に由来する構成単位(a−1)及びヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(a−2)から構成される共重合体(A)と、生分解性樹脂(B)とを含有し、
    共重合体(A)の構成単位(a−1)と構成単位(a−2)のモル組成比[(a−1)/(a−2)]が、1/1〜1/20であり、
    水銀圧入法による極大細孔直径が100μm以下であ
    共重合体(A)と生分解性樹脂(B)との質量組成比[(A)/(B)]が、共重合体(A)と生分解性樹脂(B)との合計量を100として1/99〜50/50である、生分解性樹脂多孔質体。
  2. 共重合体(A)の酸価が0.2mmol/g〜5mmol/gである請求項に記載の生分解性樹脂多孔質体。
  3. 共重合体(A)の重量平均分子量が1,000以上、50,000以下である請求項1または2に記載の生分解性樹脂多孔質体。
  4. 生分解性樹脂(B)の酸価が0.005mmol/g〜0.2mmol/gである請求項1〜のいずれか1項に記載の生分解性樹脂多孔質体。
  5. 生分解性樹脂(B)の重量平均分子量が50,000超、500,000以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の生分解性樹脂多孔質体。
  6. 多価カルボン酸に由来する構成単位(a−1)が、アスパラギン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸から選択される1種以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の生分解性樹脂多孔質体。
  7. ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位(a−2)が、乳酸、グリコール酸から選択される1種以上に由来する構成単位である請求項1〜のいずれか1項に記載の生分解性樹脂多孔質体。
  8. 生分解性樹脂(B)が脂肪族ポリエステルである請求項に記載の生分解性樹脂多孔質体。
  9. 生分解性樹脂(B)がポリ乳酸である請求項に記載の生分解性樹脂多孔質体。
  10. 空隙率が60%以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載の生分解性樹脂多孔質体。
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