JP2006083396A - 反応性置換基を有する生分解性重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、成形性が良好で各種の利用形態に応じた機能性を有し、生分解性に優れた生分解性重合体を提供することを目的とする。
【解決手段】 発明者らは側鎖に水酸基等の置換基を有するポリラクチド系高分子の研究を行なった結果、このような反応性に富む置換基(官能基)を持つ生分解性重合体が高い生分解性を示すことを見出し、このような反応性に富む置換基(官能基)を持つ生分解性重合体を安定に製造する方法を見出すことにより、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、ラクチドとフェノール性水酸基を有するデプシペプチドとを開環重合して得られる生分解性共重合体を提供する。
【選択図】 なし

Description

この発明は、反応性置換基を有する生分解性共重合体に関し、より詳細にはラクチドとフェノール性水酸基を有するデプシペプチドとを開環重合して得られる生分解性共重合体に関する。
生分解性重合体は、手術用の糸などの医療用材料や、除草剤などの農薬組織体として利用されている。また近年、自然環境中に放置された時に酵素や微生物によって分解される点が環境保全面から注目され、研究が進められている。生分解性重合体は、種々の製品形状に加工するための成形性が良好である必要がある。また環境放置型重合体の場合は、生分解速度も速いことも求められている。
従来の代表的な生分解性重合体に脂肪族ポリエステルがある。脂肪族ポリエステルは生体適合性があり、分解物が無害である点において優れている。
代表的な脂肪族ポリエステルであるポリカプロラクトンは、比較的早い生分解速度をもっており、さらに柔軟性(耐衝撃性)に優れているが、機械的強度に劣り、また融点が約60℃と低く成形性に劣るという課題がある。
また、同じく脂肪族ポリエステルであるポリラクチドは、機械的性質が優れている反面、生分解速度が緩慢であり、固くて脆い、成形加工が困難などという課題がある。
ポリラクチドの成形性を改良するための技術としては、例えば、L−ラクチドをアゼライン酸・エチレングリコールとの共重合体とすることによって、L−ラクチドの重合体(融点181℃)に比べて融点が140℃に下がり、押し出し加工における粘度が低下して成形性が改良される技術が報告されている(特許文献1)。しかし、この公報には、生分解速度についての記載はなく、改善の余地があると考えられる。
また、ポリラクチドの生分解速度を改良するための技術としては、例えば、ε−カプロラクトンとオキセタンないしジメチルトリメチレンカーボネートからなるブロック共重合体が汚泥中ないし酵素を使った分解実験において易生分解性(分解速度に優れる特性)であることが報告されている(特許文献2)。しかし、この共重合体は、側鎖に官能基をもっていない。
また、デプシペプチドを用いて生分解速度を改良するための技術として、側鎖にアルキル基等の各種の基を持ったデプシペプチド重合体が報告されている(特許文献3)。しかし、この重合体は、既存の医療材料よりも分解速度を遅くしようとするものであり、側鎖に官能基をもっていない。
一方、リシンやアスパラギン酸に基づくデプシペプチドとL−ラクチドとの共重合体が生分解性を示す報告もなされており、ラクチド共重合体の側鎖にアミノ基やカルボキシル基を導入すると生分解性を有することが示されており、更にこのような官能基を導入するために重合時にベンジル基等で保護し、重合後に脱保護する方法も開示されている(非特許文献1)。
また、セリンに基づくデプシペプチドとL−ラクチド又はε−カプロラクトンとの共重合体が生分解性を示す報告もなされており、側鎖に水酸基を導入すると生分解性を有することが示されている(非特許文献2)。
生分解性重合体が側鎖に官能基を持っていると、その官能基を用いた種々の修飾が可能なので、生分解生重合体としての利用範囲を広げることができる。即ち機能性の高い生分解性重合体が得られる。発明者らは、この視点から、側鎖に置換基を有する高分子の研究を行なっているが、従来の置換基は反応性が乏しく、反応性に富む置換基(官能基)を持つ生分解性重合体はまだ知られていなかった。
特開平7−53685号 特開平7−304835号 特許第2559208号 T. Ouchi, et. al. J. Polym. Sci.: Part A: Polym. Chem. 1997 35, 377-383 G. John, et. al. J. Polym. Sci.: Part A: Polym. Chem. 1997 35, 1901-1907
本発明は、上記課題を解決して、成形性が良好で各種の利用形態に応じた機能性を有し、生分解性に優れた生分解性重合体を提供することを目的とする。
発明者らは側鎖に水酸基等の置換基を有するポリラクチド系高分子の研究を行なった結果、このような反応性に富む置換基(官能基)を持つ生分解性重合体が高い生分解性を示すことを見出し、このような反応性に富む置換基(官能基)を持つ生分解性重合体を安定に製造する方法を見出すことにより、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、ラクチドとフェノール性水酸基を有するデプシペプチドとを開環重合して得られる生分解性共重合体を提供することである。前記ラクチドがL−ラクチドであってもよい。本発明の生分解性共重合体は、下記化学式
Figure 2006083396
で表されてもよい。式中、n及びmは正数を表すが、これらは単に量的関係を示すものであり共重合物としてブロックやランダムの何れをも含むことを意味する。このようなフェノール性水酸基を含有する生分解性共重合体をポリイソシアネートで架橋させることにより、分解性や薬剤等の含浸性等を改善することも可能である。ポリイソシアネートとしてはNCO基を複数含む通常のいかなるポリイソシアネートを使用することができ、架橋反応においては適宜公知の触媒を使用してもよい。
この発明の別の目的は、保護されたフェノール性水酸基を有するデプシペプチドとラクチドとを開環重合させ、該フェノール性水酸基を脱保護することにより生分解性共重合体を製造する方法を提供することである。前記生分解性共重合体が下記化学式
Figure 2006083396
(式中、n及びmは上記と同様である。)で表されてもよい。
また、発明者らは、予めフェノール性水酸基を保護したデプシペプチドで重合体を作り、その後脱保護する方法によって、フェノール性水酸基をもち高分子量のデプシペプチド重合体を合成することに成功した。このデプシペプチドと、L−ラクチドとの共重合体とすることにより、反応性の高い共重合体を得ることができる。フェノール性水酸基をもつデプシペブチド共重合体は従来知られていなかった新物質である。この新物質は、海水中でラクチド重合体よりも早い生分解速度を示し、置換基の部分に各種の化学修飾を施すことが容易であるから、高機能をもつ生分解性共重合体として利用できる。
また、上記共重合体は、イソシアネートなどの架橋剤と反応させることにより水酸基同士が架橋した架橋構造をもつ共重合体とすることができる。
反応性置換基を保護したデプシペプチド共重合体は130〜150℃程度の融点を持ち、成形性に優れている。
デプシペプチドとラクチドとの割合を変えて製造することによって、生分解速度の異なる種々の共重合体が同じ成分から合成できる。
本発明の生分解性重合体は:
(1)反応性置換基を有するので、薬剤などの化学修飾が容易に行なえる生分解性重合体である。
(2)土壌・水中の微生物や酵素によって迅速に分解されるので、環境を汚染しないクリーンプラスチックとして利用できる。生体適合性に優れているので、体内で分解代謝されるバイオマテリアルとして利用できる。
(3)熱可塑性をもち、熱押しによる成形が容易である。
以下、デプシペプチドを用いた生分解性共重合体について説明する。
本発明の生分解性共重合体において、反応性置換基を有するデプシペプチドとは、開環した炭化水素側鎖にイオン性又は親水性の置換基を持つものをいう。また本発明において高分子量とは数平均分子量で2万以上の高分子化合物をいう。また、デプシペプチドを開環重合させた生分解性共重合体には、デプシペプチドのみの重合体(単独重合体)も合まれる。
1.保護された反応性置換基をもつデプシペプチドの合成
機能性や生分解性を高めるために導入する反応性置換基は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、などがある。本発明の共重合体を得るための出発原料としてのデプシペプチドの単量体は、反応性置換基がある状態では重合反応が困難なので、まずベンジル基で保護された反応性置換基を持つデプシペプチドの単量体を合成する。この反応の一例を下式に示す。
Figure 2006083396
α−アミノ酸であるL−チロシンのフェノール性水酸基をベンジル基で保護し、得られたO−ベンジル−Lチロシン[Tyr(Bzl)]とD,L−2ブロモプロピオニルブロミド(ヒドロキシ酸誘導体)とのSchotten−Baumann反応によって直鎖状のD,L−2ブロモプロピオニルチロシン(Bzl)(ベンジル基で保護されたD,L−2ブロモプロピオニルチロシン)を合成する。続いて、このものの分子内脱塩環化反応を行ない、環状デプシペプチド単量体L−3−(O−ベンジル)−チロシル−D,L−6−メチル−2,5−モルホリンジオン(以下、「L−BTMO」と略し、ベンジル基を脱保護したものを「L−TMO」と略す。)を得る。
デプシペプチドを構成するアミノ酸としては、上記のチロシンのほかにセリン、システインとすることもできる。
2.共重合体の合成
共重合体は、反応性置換基をもつデプシペプチドを開環重合させて得る。共重合させる相手物質には、分解によっても無害である脂肪族ポリエステルがあり、ラクチドやε−カプロラクトンが好ましい。重合反応の触媒としては、有機スズ化合物、有機アルミニウムと水、有機ランタノイド化合物の少なくとも一つ、又はこれらの組合わせが適用できる。
本発明の生分解性共重合体において、(L−LA/L−BTMO)の組成比、すなわち後述する(L−LA/L−TMO)の組成比は、用途・環境に応じて任意(100/0)〜(0/100)である。好ましくは(96/4)〜(70/30)である。L−BTMOが30モル%を超えると組成物が固くて脆くなりシート・フィルムなど有形の成形品が得られ難くなる。L−BTMOが4モル%未満であると、融点の低下が小さくなり、成形条件に制約を受けることがある。組成比は共重合体の仕込み割合で変更できる。
本発明の生分解性共重合体において、分子量(Mn)は、用途に応じて数千〜数十万の範囲が適切である。好ましくは2万〜20万である。分子量が2万未満であると粘度が小さくなり、20万を超えると粘度が高くなりすぎて、いずれも成形性が低下する。分子量の調整には、温度条件などを変更して行なう。
3.脱保護反応
フェノール性水酸基を保護しているベンジル基は、トリフルオロ酢酸(TFA)にチオアニソールを共存させておくことにより、脱保護することができる。トリフルオロメタンスルホン酸(TFMSA)−チオアニソール/TFA系でも脱保護が可能である。
4.ミクロスフイアの合成
アミノ酸ユニット含有重合体は、機能性高分子の一つであるドラッグデリバリーシステム(DDS)等への応用が考えれる。この場合、細かな粒子形状が好都合である。一つの微粒子形状であるミクロスフィアは、脱保護して得られた重合体を有機溶媒に溶解し、超音波によって水に分散する(O/Wエマルジョン法)ことによって得ることができる。本発明の共重合体は、親水性基を有しているので、水中への分散が良好となり、サブミクロン単位の微粒子が製造可能である。
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
参考例1〜3、比較例1〜3
4−ベンジルオキシカプロラクトンの合成
ケトン基を一つ保護した1,4−シクロヘキサンジオンモノエチレンケタールをTHF中で水素化アルミニウムリチウムにより還元し、8−ヒドロキシ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカンを収率69%で得た。反応の進行はIRスペクトルの変化[1712cm−1(CO)→3411cm−1(OH)]によって確認した。
得られたアルコールをTHF中で水素化ナトリウムによってアルコキシドイオンを生成させ、ベンジルブロミドを4当量加え、室温で24時間反応させることによって、8−ベンジルオキシ−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカンを収率93%で得た。この反応は二分子求核置換反応(S2)機構であるため、反応基質であるベンジルブロミドを過剰量加えることによって反応性を向上させた。
次に保護されたケトンすなわちケタールを酸で一晩処理することによってケトンに戻した。4−ベンジルオキシシクロヘキサノンが収率83%で得られた。反応の進行はIRスペクトルのCO伸縮ピーク(1712cm−1)の出現により確認した。
最後に、ジクロロメタン中、メタクロロ過安息香酸(MCPBA)によって室温で16時間、酸素原子挿入反応(Baeyer−Vi11iger反応)を行ない、環状ケトンをラクトンに変換し、目的物質である4−ベンジルオキシカプロラクトン(4BOCL)を収率83%で得た。反応の進行はIRスペクトルのCO伸縮ピークのシフト[1712cm−1(CO)→1737cm−1(COO)]により確認した。
4BOCL単独及び共重合体の合成
次に、上記で得られた4−ベンジルオキシカプロラクトン(4BOCL)の単独重合体(参考例3)及び4BOCLとL−ラクチド(L−LA)との共重合体[P(L−LA/4BOCL)]を合成し、共重合体の仕込み比率は、4BOCLが60%と50%の2水準で行なった(参考例1及び2)。合成条件は、アルゴン雰囲気下、触媒にはオクチル酸スズ[Sn(Oct)]を全モノマー量に対して0.2モル%用い、オイルバス中120℃で15時間反応とした。
比較例として、L−ラクチド(L−LA)とε−カプロラクトン(CL)とを共重合して共重合体[P(L−LA/CL)]を得た(比較例2)。合成条件は、上記と同じ条件とした。
他の比較例として、市販の2種類の単独重合体:ポリラクチド[P(L−LA)]、及びポリカプロラクトン[P(CL)]も準備した(比較例1及び3)。
物性値の測定
重合体の物性値の測定は、数平均分子量Mn、分子量分布の指標(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で行ない、ガラス転移点(Tg)及び融点(Tm)は、示差走査熱量測定法(DSC)で行なった。
上記の共重合体及び比較例の重合体の物性値を測定した結果を表1に示す。
Figure 2006083396
参考例1及び2の共重合体P(L−LA/4BOCL)は、比較例1の重合体P(L−LA)にくらべ、融点が低下している。これは、熱加工における粘度が低下して押し出し加工が容易になることを示している。また、比較例3の重合体P(CL)よりも高い融点を持ち、成形性が改善されている。
生分解性の測定
次に、参考例1〜2及び比較例1〜3で得られた共重合体及び単独重合体の10mm×10mm×0.5mmのフィルムを、沖合い約30mにある海面網生簀内の水深1.5mに沈め、水温13℃〜28℃での海水による分解性を評価した。なお参考例1〜2の共重合体P(L−LA/4BOCL)64、P(L−LA/4BOCL)48は、下式で示す脱保護反応を行なって供試した。
Figure 2006083396
P(L−LA/4BOCL)重合体3gを100mLのTHFに溶解させ、水素雰囲気下で活性炭にパラジウム(Pd 10重量%)を担持した触媒(Pd/C触媒)1.25gをこれに加えた。反応混合物を3日間室温で攪拌することにより、ベンジル基の脱保護を行ない、水酸基へと変換した。脱保護反応後、Pd/C触媒をろ過により除去し、ろ液(重合体溶液)の中に10倍量のジエチルエーテルを添加すると、目的の水酸基を有し、脱保護された共重合体[P(L−LA/4HCL)]が収率90%で沈殿物として得られた。脱保護反応の進行はH NMRスペクトルを測定することによって確認した。
図1に参考例1〜2及び比較例1〜3の各種重合体の分解速度を示す。図1に見られるように、参考例1の脱保護された共重合体P(L−LA/4HCL=36/64)の海水による分解性は、市販のポリラクチドやポリラクトン(比較例1,3)よりもかなり優れており、比較例2のラクチドとカプロラクトンの共重合体P(L−LA/CL=36/64)よりも優れていることがわかる。
また、参考例1〜2の脱保護された共重合体のP(L−LA/4HCL=36/64)とP(L−LA/4HCL=52/48)との生分解速度の差に見られるように、単量体のモル比を変えることにより共重合体の分解性を自由に変えることができる。従って、目的とする分解環境に合わせた分解速度を持つ共重合体が得られる。
さらに、参考例の脱保護された共重合体は、水酸基(官能性反応基)を有するため、官能性反応基を利用して薬剤などの化学修飾も簡便に行なうこともでき、新規な機能を持つ共重合体を容易に得ることができる。
実施例1〜3
(1)デプシペプチド単量体の合成
初めにチロシンの水酸基の保護を行なう。L−チロシン(L−Tyr)36g(0.2モル)と、硫酸銅(CuS0・5H0)25g(0.1モル)を1M NaOH水溶液200mLに懸濁して2時間攪拌した。メタノール1.2Lを加えた後、ベンジルブロミド(Bzl−Br)25mLと2M NaOH 100mLを数回に分けて加え、さらに3時間攪拌した。
得られた沈殿を濾取し、メタノール:水(1:1)で洗う。これを乳鉢内で1M HC1で何度もこねて脱銅する。生成物を濾取し、水、希NHOH、アセトン、次いでエーテルで洗って真空乾燥した。精製は、80%酢酸から再結晶するとO−ベンジル−L−チロシン[Tyr(Bzl)]が針状晶として得られた。
次にTyr(Bzl)17.5g(0.064モル)を0.5M NaOH 128mL(0.064モル)水溶液中で攪拌し、約5℃に冷却する。Tyr(Bzl)が完全に溶解するまで1M NaOHを加えた後、D,L−ブロモプロピオニルブロミド7.37mL(0.071モル)と1M NaOH 90mL(0.090モル)を交互に約30分かけて滴下した。反応溶液が常にアルカリ性であることを確認しながら、10時間反応を行なった。反応終了後に5N HC1を加え、薄い黄色の生成物を沈殿させた(pH3)。この生成物を吸引濾取し、真空乾燥後、エーテルを溶媒に用いてソックスレー抽出により精製した。ソックスレー抽出後も溶液が黄色であったため、溶液と生成物を遠心分離機にかけデカンテーションを行なった。NMRによりD,L−ブロモプロピオニルブロミドTyr(Bzl)の生成を確認した。
続いて、上記生成物28.1g(0.069モル)をジメチルホルムアミド(DMF)150mLに溶解し、NaHCO4.99g(0.059モル)を加えて、60℃で24時間還流して分子内脱塩環化反応させ、デプシペプチド単量体(L−BTMO)を得た。DMFを完全に減圧留去した後、過剰量のクロロホルムを加え脱塩した。得られた黄色の生成物を酢酸エチル/トルエン混合溶媒で3回再結晶して、白色の環状デプシペプチド単量体(L−BTMO)を得た。生成はNMRで確認した。
(2)デプシペプチド単量体の単独重合体の合成
L−BTMOの単独重合は、アルゴン雰囲気下、触媒にはオクチル酸スズ(II)[Sn(Oct)]を全単量体量に対して0.2モル%用いた。L−BTMO及びSn(Oct)(乾燥トルエン溶液)をシュレンクチューブ(重合容器)に加えた後、系内を真空にしてトルエンを留去、容器を封管し、オイルバス中160℃で48時間反応させた。生成物をクロロホルムに溶解し、メタノールで再沈して精製した。生成はNMRで確認した。
(3)L−ラクチド(L−LA)/L−BTMO共重合体の合成と熱特性
実施例として、色々に組成比を変えたL−LA/L−BTMO共重合体の合成を、アルゴン雰囲気下、触媒にはオクチル酸スズ(II)[Sn(Oct)]を全単量体量に対して0.2モル%用いて行なった(実施例1〜3)。L−BTMO及びSn(Oct)(乾燥トルエン溶液)をシュレンクチューブに加えた後、系内を真空にしてトルエンを留去、容器を封管し、オイルバル中130℃で8時間反応させた。
得られた共重合体のH NMRにより解析した共重合体の単量体モル比、収率、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定結果[数平均分子量(Mn)、分子量分布の指標:重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]、示差走査熱量計を用いて測定したガラス転位点(Tg)及び融点(Tm)を表2に示す。また、比較例として、市販のポリラクチド[P(L−LA)]及びポリカブロラクトン[P(CL)]の特性も併せて表2に記載した(比較例1,3)。
Figure 2006083396
表2に見られるように、実施例1〜3は比較例1のP(L−LA)の融点とさほど変わらず、比較例3のP(CL)の融点よりもかなり高く、熱加工性が優れている。
(4)L−LA/L−BTMOの脱保護
副反応を抑制するために導入しておいたベンジル保護基の除去を行った。
0.5M チオアニソール/TFAを用いて、氷水中で1時間、室温で30分脱保護反応を行ない、目的のL−3−チロシル−D,L−6−メチル−2,5−モルホリンジオン共重合体[P(L−LA/L−TMO)]を得た。保護基の除去の確認はNMRにより行なった。
脱保護反応によって、幾分分子量は低下し、分子量分布が広がるが、融点、融解熱、ガラス転位点などの熱特性には殆ど変化が見られなかった。
(5)L−LA/L−TMO共重合体の酵素分解性
生分解の速度を評価するために、タンパク質加水分解酵素として知られているプロティナーゼK(Tritirachium album由来、活性20IU和光純薬工業(株)製)を用いて酵素分解性を調べた。分解液作成用の水は蒸留後、さらにイオン交換した純水を使用した。
酵素をGoodの緩衝液(Tricine[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン];pH8.0)にサンプル管瓶内で溶解し、分解試験温度(37℃)に達するまで恒温槽中に放置した。各重合体サンプル(フィルム状)をポリエチレンシートメッシュ(網目約1×1mm)内に入れ、上記酵素分解液中で分解試験を開始した。分解はサンプル管瓶を往復振とう(100回/秒)しながら行った。分解性は所定の時間浸漬した重合体をイオン交換水でよく洗浄し、乾燥させた後、重量減少により評価した。評価結果を図2に示す。
図2に見られるように、実施例1、3のL−LA/L−TMO共重合体の酵素分解性も比較例1のP(L−LA)よりかなり優れている。
また、実施例1〜3のようにL−LA/L−TMO共重合体の組成比を変えることで、酵素分解性を変化させることも可能である。
実施例4
イソシアネートによる架橋構造体の生成
実施例1の脱保護反応で得られた共重合体[P(L−LA/L−TMO)3.7]0.1gをクロロホルムに溶解後、ヘキサメチレンジイソシアネート(OCN(CHNCO)0.01mLを加え、徐々に昇温・減圧操作を行ない70℃、50mmHgで1時間反応させた。得られた共重合体はクロロホルムに可溶であったがH NMR測定の結果、ウレタン結合由来のピークの出現や、ベンゼン環ピークのシフトから図3に示すような3次元的な架橋構造ができていることが考えられる。
この架橋構造を持つ生分解性共重合体は、直鎖状の架橋剤を用いているため、追加のベンゼン環をもつ架橋構造にくらべてより分解性に優れ、薬剤等の含浸性に優れた機能性共重合体とすることができる。
各種重合体(参考例1〜2及び比較例1〜3)の海水による分解速度を示す図である。 各種共重合体(実施例1、3及び比較例1)の酵素分解性を示す図である。 HDIによる[P(L−LA/L−TMO)]の架橋構造を示す図である。

Claims (6)

  1. ラクチドとフェノール性水酸基を有するデプシペプチドとを開環重合して得られる生分解性共重合体。
  2. 前記ラクチドがL−ラクチドである請求項1に記載の生分解性共重合体。
  3. 下記化学式
    Figure 2006083396
    (式中、n及びmは正数を表す。)で表される生分解性共重合体。
  4. 請求項3に記載の生分解性共重合体をポリイソシアネートで架橋させた重合物。
  5. 保護されたフェノール性水酸基を有するデプシペプチドとラクチドとを開環重合させ、該フェノール性水酸基を脱保護することにより生分解性共重合体を製造する方法。
  6. 前記生分解性共重合体が下記化学式
    Figure 2006083396
    (式中、n及びmは正数を表す。)で表される請求項5に記載の生分解性共重合体の製法。
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