JP2016210894A - ステレオコンプレックスマルチブロック共重合体及び成形体 - Google Patents

ステレオコンプレックスマルチブロック共重合体及び成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】高い耐熱性及び弾性率と高い破断伸びとを両立可能なマルチブロック共重合体を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸からなるブロックとポリカプロラクトンからなるブロックとを備え、ポリ乳酸からなるブロックが、該ポリ乳酸を構成する乳酸と鏡像異性の関係にあるキラルモノマーから構成されたキラルポリマーによって、ステレオコンプレックス化されている、ステレオコンプレックスマルチブロック共重合体とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性、弾性率及び破断伸びを両立したステレオコンプレックスマルチブロック共重合体に関する。
ポリ乳酸等に代表される生分解性高分子は、止血用材料、接着・癒着防止用材料、再生工学用材料等の医療分野への応用が期待されている。しかしながら、ポリ乳酸自体は硬い材料であり、そのままでは医療分野への応用が制限される。医療分野に広く応用可能な材料とするためには、例えば、ポリ乳酸をその他の高分子との共重合体とするとよい。具体的には、ポリ乳酸とポリグリコール酸との共重合体が、抜糸不要な手術用の糸として実用化されている。或いは、特許文献1、2に開示されているように、ポリ乳酸とポリカプロラクトンとのマルチブロック共重合体は、優れた機械的性質を有し、医療用マトリックス及び傷被覆材等の医療用素材として好適な素材である。一方で、特許文献3、4に開示されているように、各種共重合体をステレオコンプレックス化する技術も知られている。
特開2013−060499号公報 特許第3526856号 特表2014−512438号公報 国際公開第2011/030766号
ポリ乳酸系共重合体において、ポリ乳酸ブロックをステレオコンプレックス化した場合、高い耐熱性及び弾性率の向上が期待できる。しかしながら、ポリ乳酸以外のブロックに由来する性能が低下する虞があった。例えば、優れた柔軟性(破断伸び)を達成するため、ポリ乳酸ブロックと柔軟性の高いポリマーからなるブロックとを備えた共重合体とした場合において、ポリ乳酸ブロックをステレオコンプレックス化させると、柔軟性が失われてしまう虞があった。このように、高い耐熱性及び弾性率と高い破断伸びとを両立することは困難と考えられていた。
そこで、本発明は、高い耐熱性及び弾性率と高い破断伸びとを両立可能なマルチブロック共重合体を提供することを課題とする。
本発明者らは、ポリ乳酸系共重合体について鋭意研究を進めた結果、以下の知見を得た。
(1)ポリ乳酸とポリカプロラクトンとのマルチブロック共重合体において、ポリ乳酸ブロックをステレオコンプレックス化した場合、ステレオコンプレックス化前と比較して、高い耐熱性及び弾性率を確保できるだけでなく、意外にも破断伸びが同等以上となる。
(2)特に、マルチブロック共重合体において、各ブロックの重合度を所定の範囲としたうえで、ポリ乳酸ブロックをステレオコンプレックス化させると良い。
(3)ポリ乳酸とポリカプロラクトンとのマルチブロック共重合体において、各ブロックの重合度を所定の範囲とし、且つ、当該ポリ乳酸と鏡像異性の関係にあるキラルポリマーを所定量添加した場合に、ステレオコンプレックスに係る結晶化度が一層高まり、好ましい。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。すなわち、
第1の本発明は、ポリ乳酸からなるブロックとポリカプロラクトンからなるブロックとを備え、ポリ乳酸からなるブロックが、ポリ乳酸を構成する乳酸と鏡像異性の関係にあるキラルモノマーから構成されたキラルポリマーによって、ステレオコンプレックス化されている、ステレオコンプレックスマルチブロック共重合体である。
本発明において、「ポリ乳酸からなるブロック」とは、ポリL−乳酸からなるブロック、ポリD−乳酸からなるブロックのいずれであってもよい。「当該ポリ乳酸を構成する乳酸と鏡像異性の関係にあるキラルモノマー」とは、ポリ乳酸からなるブロックがL−乳酸からなる場合、キラルモノマーはD−乳酸であり、ポリ乳酸からなるブロックがD−乳酸からなる場合、キラルモノマーはL−乳酸である。
第1の本発明において、ポリ乳酸の重合度(P)が4以上300以下であり、ポリカプロラクトンの重合度(P)が4以上300以下であることが好ましい。
第1の本発明において、ポリ乳酸100質量部に対して、キラルポリマーを25質量部以上175質量部以下備えることが好ましい。ここで、「ポリ乳酸100質量部に対して、キラルポリマーを25質量部以上175質量部以下備える」とは、共重合体におけるポリ乳酸からなるブロックの合計を100質量部とした場合に、当該共重合体が25質量部以上175質量部以下のキラルポリマーによってステレオコンプレックス化されていることを意味する。
第1の本発明において、ポリ乳酸の重合度(P)に対するポリカプロラクトンの重合度(P)の比(P/P)が0.7以上2.5以下であることが好ましい。より好ましくは1.0以上2.5以下である。
第1の本発明において、共重合体に備えられたポリ乳酸からなるブロックとポリカプロラクトンからなるブロックとの合計の分子量が25000以上であることが好ましい。当該分子量が小さ過ぎると、再沈殿による回収が困難となる場合があり、また、力学特性評価試料の作製が困難となる場合がある。
第2の本発明は、第1の本発明に係るステレオコンプレックスマルチブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマーを成形してなる成形体である。
本発明によれば、高い耐熱性及び弾性率と高い破断伸びとを両立可能なマルチブロック共重合体を提供することができる。
PLLA−PCLマルチブロック共重合体をPDLAでステレオコンプレックス化させる場合において、PDLAの添加量の影響を示す結果である。 PLLA−PCLマルチブロック共重合体をPDLAでステレオコンプレックス化させる場合において、ステレオコンプレックス形成前後における応力‐歪み曲線結果を示す図である。 PLLA−PCLマルチブロック共重合体をPDLAでステレオコンプレックス化させる場合において、ステレオコンプレックス形成前後におけるにおける熱分析(DSC)結果を示す図である。
1.ステレオコンプレックスマルチブロック共重合体
本発明に係るステレオコンプレックスマルチブロック共重合体(以下、単に「本発明に係る共重合体」という場合がある。)は、ポリ乳酸からなるブロックとポリカプロラクトンからなるブロックとを備え、ポリ乳酸からなるブロックが、当該ポリ乳酸を構成する乳酸と鏡像異性の関係にあるキラルモノマーから構成されたキラルポリマーによって、ステレオコンプレックス化されていることを特徴とする。
1.1.ポリ乳酸からなるブロック
本発明に係る共重合体は、ポリ乳酸からなるブロックを備えている。ポリ乳酸は、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸のいずれであってもよい。
ポリ乳酸からなるブロックにおいて、当該ポリ乳酸の重合度(P)は4以上300以下であることが好ましい。下限はより好ましくは10以上、さらに好ましくは25以上であり、上限はより好ましくは100以下、さらに好ましくは75以下、特に好ましくは50以下である。ポリ乳酸の重合度が小さ過ぎると結晶化が困難となる場合がある他、べたつきにより取り扱いが難しくなる虞がある。一方、ポリ乳酸の重合度が大き過ぎるとマルチブロック共重合体の合成が難しくなる虞がある。尚、本発明者らの知見によれば、ポリ乳酸の重合度が50程度の場合と、ポリ乳酸の重合度が300程度の場合とで、ステレオコンプレックスの秩序性自体は同等であり、重合度をさらに大きくすることも可能と考えられる。この意味で、ポリ乳酸の重合度の上限は特に限定されないとも言えるが、上述の通り、マルチブロック共重合体の合成を想定した場合は、ポリ乳酸の重合度の上限を300程度とすることが好ましい。
1.2.ポリカプロラクトンからなるブロック
本発明に係る共重合体は、ポリカプロラクトンからなるブロックを備えている。
ポリカプロラクトンからなるブロックにおいて、当該ポリカプロラクトンの重合度(P)は好ましくは4以上300以下である。下限はより好ましくは10以上、さらに好ましくは25以上であり、上限はより好ましくは100以下、さらに好ましくは75以下、特に好ましくは50以下である。ポリカプロラクトンの重合度が小さ過ぎると柔軟性が低下する場合があり、大き過ぎると弾性率が低下する場合がある。
本発明に係る共重合体において、上記ポリ乳酸の重合度(P)に対する上記ポリカプロラクトンの重合度(P)の比(P/P)は0.7以上2.5以下であることが好ましい。Pに対してPが小さ過ぎると柔軟性が低下する場合があり、大き過ぎると弾性率が低下する場合がある。
本発明に係る共重合体において、ポリ乳酸からなるブロックとポリカプロラクトンからなるブロックとの合計の分子量については、下限が25000以上であることが好ましい。当該ブロックの合計分子量を当該下限以上とすることで、容易に再沈殿させることができ、本発明に係る効果を一層好適に発揮させつつ、熱可塑性エラストマーとして各種用途に適用可能な好ましい共重合体とすることができる。さらには機械的特性に優れた薄膜等を得ることもできる。
1.3.その他のブロック
本発明に係る共重合体には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリ乳酸及びポリカプロラクトン以外のポリマーからなるブロックを備えていてもよい。例えば、ポリ乳酸やポリカプロラクトン以外の脂肪族ポリエステルからなるブロックを備えていてもよい。
本発明に係る共重合体において、ポリ乳酸からなるブロックとポリカプロラクトンからなるブロックとは、交互に結合されていてもよいし、ランダムに結合されていてもよい。ただし、ポリ乳酸からなるブロックとポリカプロラクトンからなるブロックとがランダムに結合されている場合、例えば、ポリ乳酸からなるブロック同士が結合し、大きな一つのポリ乳酸ブロックを構成することとなる。この場合、当該大きな一つのポリ乳酸ブロックにおけるポリ乳酸の重合度全体が、4以上300以下であることが好ましい。ポリカプロラクトンからなるブロックについても同様である。
1.4.キラルポリマー
本発明に係る共重合体は、上述のポリ乳酸からなるブロックが、当該ポリ乳酸を構成する乳酸と鏡像異性の関係にあるキラルモノマーから構成されたキラルポリマーによってステレオコンプレックス化されている。
キラルポリマーの重合度(P)は好ましくは4以上300以下である。下限はより好ましくは10以上、さらに好ましくは25以上であり、上限はより好ましくは100以下、さらに好ましくは75以下である。キラルポリマーの重合度が小さ過ぎても大き過ぎてもステレオコンプレックスを形成できない虞がある。
本発明に係る共重合体において、上述のポリ乳酸の重合度(P)に対する上記キラルポリマーの重合度(P)の比(P/P)は特に限定されるものではない。キラルポリマーの重合度が小さくとも大きくとも、ステレオコンプレックス化が可能である。
本発明に係る共重合体において、上述のポリ乳酸100質量部に対して、キラルポリマーを25質量部以上175質量部以下備えることが好ましい。下限はより好ましくは50質量部以上であり、上限はより好ましくは150質量部以下である。特に、100質量部前後(例えば90質量部以上110質量部以下)とすることが好ましい。キラルポリマーの量をこの範囲内とすることで、より結晶性の高いステレオコンプレックスマルチブロック共重合体を得ることができる。
1.5.ステレオコンプレックスマルチブロック共重合体の製造方法
本発明に係る共重合体は、溶媒中で、ポリ乳酸とポリカプロラクトンとのマルチブロック共重合体、及び、キラルポリマーを混合することによって、容易に製造可能である。尚、ポリ乳酸とポリカプロラクトンとのマルチブロック共重合体については、例えば、一端を保護基で保護したポリ(ε−カプロラクトン)を合成後(下記式(1))、ここにポリ乳酸を重合させてジブロック共重合体を合成し(下記式(2))、脱保護(下記式(3))の後、ジブロック共重合体同士を重合させる(下記式(4))ことにより、容易に製造可能である。この方法によれば、マルチブロック共重合体の各ブロックの長さ等を容易に変更することができる。尚、溶媒や触媒については適宜選択して用いれば良い。溶媒や触媒の一例については、実施例において詳述する。
以上のように、本発明に係るステレオコンプレックスマルチブロック共重合体は、ポリ乳酸ブロックがステレオコンプレックス化されていることで、高い耐熱性と弾性率とを備えている。また、硬いポリ乳酸及びキラルポリマーによってステレオコンプレックス化されているにもかかわらず、ポリカプロラクトンブロック由来の高い柔軟性(破断伸び)を維持、若しくは、それ以上の高い柔軟性を備えている。すなわち、本発明に係る共重合体は、高い耐熱性及び弾性率と高い破断伸びとを両立可能である。また、主鎖が脂肪族エステルで構成されているため、生分解性材料としても期待できる。
2.熱可塑性エラストマーを成形してなる成形体
本発明に係る共重合体は、従来公知の方法で種々の形状に成形し、成形体とすることができる。例えば、本発明に係る共重合体を含む熱可塑性エラストマーを成形することによって人工血管等の高い弾性率と破断伸びとが要求される医療材料や、柔軟性と強度の両立が要求される環境材料等として、広く応用することができる。成形方法については特に限定されるものではなく、溶融成形等、種々の成形法を適宜選択すればよい。
以下、実施例により、本発明に係るステレオコンプレックスマルチブロック共重合体について、その製造方法の具体例やその効果をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の具体的形態に限定されるものではない。尚、実施例において、PLLA、PCL、PDLAに付された数字(25、33、50)は、重合度の理論値を意味する。
1.ポリ(ε‐カプロラクトン)(PCL)の合成
50mLシュレンク管の中にε‐カプロラクトン5mL、ベンジルアルコール190μL、ベンゼン20mL、チオウレア(N’-(3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl)-N-cyclohexyl-thiourea、以下「TU」)0.89g(モノマーに対して5mol%)、モレキュラーシーブを適量入れて一晩振とうさせた。
30mLシュレンク管にジアザビシクロウンデセン(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene、以下「DBU」)360μL(モノマーに対して5mol%)、ベンゼン5mLを入れて一晩振とうさせた。
DBUを含有するベンゼン溶液を50mLシュレンク管にシリンジを使って移し入れ、反応を開始した。反応時間を下記表1の通り変化させて重合度を調整した。反応終了後、安息香酸を0.25mg入れ、1時間振とうし、触媒を失活させた。ヘキサンに再沈殿、真空乾燥後、アセトン約15mLに溶解し、0.1M塩化ナトリウム水溶液に再沈殿、ろ過後、40℃にて加熱真空乾燥した。得られたポリ(ε‐カプロラクトン)の重合度や収率、Mw/Mnを下記表1に示す。
2.ポリ(L‐乳酸)‐ポリ(ε‐カプロラクトン)ジブロック共重合体(PLLA−PCL DBC)の合成
50mLシュレンク管をヒートガンで3回加熱乾燥させた。ダイヤフラムポンプでシュレンク管内を窒素置換した。合成したPCL2.5g(0.8mmol)、L‐ラクチド3.0g(20mmol)、TU0.4g(モノマーの5mol%)、ジクロロメタン15mL、モレキュラーシーブを適量入れ、一晩振とうした。その後、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン280μLを入れて反応開始し、3時間振とうした。反応終了後、メタノールに再沈殿、ろ過後、真空乾燥した。得られたジブロック共重合体(PLLA25−PCL25)の重合度や収率、Mw/Mnを下記表2に示す。
開始剤のポリカプロラクトンの種類や、モノマーのL−ラクチドの比率を変えて重合度の異なるジブロック共重合体を合成した。合成方法については、ポリカプロラクトンの重合度やL−ラクチドの比率を変えたこと以外は、上述と同様とした。得られたジブロック共重合体の重合度、収率、Mw/Mnを下記表2に示す
3.ポリ(L‐乳酸)‐ポリ(ε‐カプロラクトン)ジブロック共重合体の脱保護
300mLナス型フラスコに得られたジブロック共重合体3.0g、Pd/C0.30g、THF120mlを加えた。窒素ガスを充填した管付き風船を三方コックに取り付け、ダイヤフラムポンプで反応容器内を窒素置換した後、同様に水素置換し、室温で24時間程度攪拌した。反応終了後、セライトろ過によりPd/Cを除去した。ろ液をエバポレーターで濃縮し、メタノールに再沈殿、ろ過後、常温真空乾燥を行った。収率はいずれも90%以上であった。
4.ポリ乳酸‐ポリ(ε‐カプロラクトン)マルチブロック共重合体(PLLA−PCL MBC)の合成
30mLシュレンク管を3回ヒートガンで加熱乾燥させた。ダイヤフラムポンプでシュレンク管内を窒素置換した。脱保護したジブロック共重合体1.0g、ジクロロメタン3mL、ジメチルアミノピリジンパラトルエンスルホン酸塩(DPTS)0.01g(ジブロック共重合体の20mol%)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.0025g(DPTSの25wt%)を入れ完全に溶解させた。ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)46μL(ジブロック共重合体の200mol%)を入れ反応を開始させた。反応溶液の粘度が上昇し、撹拌子が動かなくなったら、ジクロロメタンで適宜希釈した。24時間後反応を終了し、メタノールに再沈殿、ろ過後、真空乾燥した。得られたマルチブロック共重合体の収率、Mw/Mn、Mw、粘度ηを下記表3に示す。
5.ポリ(D‐乳酸)(PDLA)の合成
50mLシュレンク管をヒートガンで3回加熱乾燥させた。ダイヤフラムポンプでシュレンク管内を窒素置換した。D‐ラクチド3.0g(28mmol)、ベンジルアルコール87μL、チオウレア0.4g(モノマーの5mol%)、ジクロロメタン20mL、モレキュラーシーブを適量入れ、一晩振とうさせた。トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン270μLを入れて反応開始した。3時間振とうし、反応終了後、2−プロパノールに再沈殿、ろ過後、真空乾燥した。得られたポリ(D‐乳酸)の重合度、収率、Mw/Mnを下記表4に示す。
6.ポリ(D‐乳酸)の脱保護
200mLナス型フラスコにポリ(D‐乳酸)2.0g、Pd/C0.20g、THF80mlを加えた。窒素ガスを充填した管付き風船を三方コックに取り付け、ダイヤフラムポンプで反応容器内を窒素置換した後、同様に水素置換し、室温で24時間程度攪拌した。反応終了後、セライトろ過によりPd/Cを除去した。ろ液をエバポレーターで濃縮し、メタノールに再沈殿、ろ過後、常温真空乾燥を行った。収率はいずれも90%以上であった。
7.ステレオコンプレックスマルチブロック共重合体(PLLA−PCL+PDLA)の作製
得られたマルチブロック共重合体0.2gと脱保護したポリ(D‐乳酸)0.12gとを、PLLA:PDLA=1:1(wt:wt)になるように量り取り、クロロホルム4mLに溶解させ3時間以上撹拌し均一溶液を調製した。ポリマー溶液を親水化処理したガラス基板上にキャストした。2時間以上カバーをして放置し、その後一晩常温真空乾燥した。水浴中で膜をはがし、40℃にて、12時間加熱真空乾燥を行った。得られた膜に対して、DSC、XRD、引張試験により、熱特性、結晶特性、力学特性の特性解析を行った。
8.評価結果
下記表5に、各マルチブロック共重合体、及び、各ステレオコンプレックスマルチブロック共重合体からなる膜について、引張強度、破断伸び、引張弾性率及び結晶化度を示す。
表5に示すように、いずれのマルチブロック共重合体についても、ステレオコンプレックス化によって引張弾性率や引張強度が同等以上となっている。一方で、破断伸びについても高い値を維持している。中でもポリ乳酸の重合度(P)に対するポリカプロラクトンの重合度(P)の比(P/P)が0.7以上2.5以下(特に好ましくは1.0以上2.5以下)である場合に、ステレオコンプレックス化によって、引張強度、引張弾性率の維持・向上とともに、破断伸びも極めて良好な値となっている。また、ステレオコンプレックス化によって結晶化度が上昇していることから、耐熱性も向上しているといえる。
9.ランダムマルチブロック共重合体とした場合について
以下に示す方法により、PLLAとPCLとのランダムマルチブロック共重合体を作製し、ここに上述のPDLA25をPLLA:PDLA=1:1(wt:wt)になるように添加して、ステレオコンプレックスマルチブロック共重合体を得た。
30mLシュレンク管を3回ヒートガンで加熱乾燥させた。ダイヤフラムポンプでシュレンク管内を窒素置換した。脱保護PLLAと脱保護PCLをH NMRにより算出した数平均重合度(Mn)を用いてPCL(重合度25.5)とPLLA(重合度29.8)のモル比が1:1になるように計算した。その結果、PCL0.95g、PLLA1.4g、ジクロロメタン3mL、DPTS0.01g、DMAP0.0025gを入れ完全に溶解させた。DIPCI46μLを入れ反応を開始させた。反応溶液の粘度が上昇し、撹拌子が動かなくなったら、ジクロロメタンで適宜希釈した。24時間後反応終了し、メタノールに再沈殿、ろ過、真空乾燥した。収率は97%であった。
得られたランダムマルチブロック共重合体とPDLAを上記と同様の方法によりステレオコンプレックスとし、力学特性を評価した。
下記表6に、ステレオコンプレックス化前後における、引張強度、破断伸び、引張弾性率及び結晶化度を示す。
表6に示す結果から明らかなように、ランダムマルチブロック共重合体を用いた場合も、ステレオコンプレックス化によって引張弾性率や引張強度が同等以上となっている。一方で、破断伸びについても極めて高い値となっている。また、ステレオコンプレックス化によって結晶化度が上昇していることから、耐熱性も向上しているといえる。
10.PDLAの添加量の影響
PLLA25−PCL25に対し、PDLA25を添加し、ステレオコンプレックス形成の有無を確認した。結果を図1に示す。尚、図1において、「25%」とは、PLLA100質量部に対して、PDLAを25質量部添加したことを意味する。
図1に示すように、PLDA25の添加量を変化させた場合、ステレオコンプレックスの結晶化度が変化することが分かった。特に、PLLA100質量部に対してPDLA50質量部以上100質量部以下添加した場合に高い結晶化度が得られた。
参考データとして、下記表7に、マルチブロック共重合体に添加するPDLAの量を0%、50%、75%、100%と変化させた場合における、引張強度、破断伸び、引張弾性率及び結晶化度を示す。
表7に示す結果から明らかなように、PLLA100質量部に対してPDLA50質量部以上100質量部以下添加した場合、いずれにおいても、ステレオコンプレックス化によって引張弾性率や引張強度が同等以上となっている。一方で、破断伸びについても高い値を維持している。また、ステレオコンプレックス化によって結晶化度が上昇していることから、耐熱性も向上しているといえる。
11.熱分析結果及び力学特性試験結果
図2に、ステレオコンプレックス形成前(PLLA25−PCL25)とステレオコンプレックス形成後(PLLA25−PCL25+PDLA25)における応力‐歪み曲線結果を、図3に、ステレオコンプレックス形成前(PLLA25−PCL25、PLLA50−PCL50)とステレオコンプレックス形成後(PLLA25−PCL25+PDLA25、PLLA50−PCL50+PDLA50)における熱分析(DSC)結果を示す。
図2、3に示す結果から、ステレオコンプレックス化によって力学特性が向上するとともに、耐熱性も向上することが分かる。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う、ステレオコンプレックスマルチブロック共重合体もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明によれば、高い耐熱性及び弾性率と高い破断伸びとを両立可能なマルチブロック共重合体を提供することができる。当該共重合体は、熱可塑性エラストマーとして医療材料や環境材料に応用可能である。

Claims (6)

  1. ポリ乳酸からなるブロックとポリカプロラクトンからなるブロックとを備え、
    前記ポリ乳酸からなるブロックが、該ポリ乳酸を構成する乳酸と鏡像異性の関係にあるキラルモノマーから構成されたキラルポリマーによって、ステレオコンプレックス化されている、
    ステレオコンプレックスマルチブロック共重合体。
  2. 前記ポリ乳酸の重合度(P)が4以上300以下であり、
    前記ポリカプロラクトンの重合度(P)が4以上300以下である、
    請求項1に記載のステレオコンプレックスマルチブロック共重合体。
  3. 前記ポリ乳酸100質量部に対して、前記キラルポリマーを25質量部以上175質量部以下備える、請求項1又は2に記載のステレオコンプレックスマルチブロック共重合体。
  4. 前記ポリ乳酸の重合度(P)に対する前記ポリカプロラクトンの重合度(P)の比(P/P)が0.7以上2.5以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のステレオコンプレックスマルチブロック共重合体。
  5. 共重合体に備えられたポリ乳酸からなるブロックとポリカプロラクトンからなるブロックとの合計の分子量が25000以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のステレオコンプレックスマルチブロック共重合体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のステレオコンプレックスマルチブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマーを成形してなる成形体。
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