JP3526856B2 - 生分解性ポリラクチド、ポリグリコリドまたはラクチド・グリコリド共重合体/ポリε−カプロラクトンマルチブロック共重合体およびその製造方法 - Google Patents
生分解性ポリラクチド、ポリグリコリドまたはラクチド・グリコリド共重合体/ポリε−カプロラクトンマルチブロック共重合体およびその製造方法Info
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Description
弾性などの機械的性質、および適切な加水分解性を有
し、ブロックの長さが規則的に配列された、生分解性の
ポリラクチド、ポリグリコリドまたはラクチド・グリコ
リド共重合体/ε−カプロラクトンの各セグメントを含
むマルチブロック共重合体およびその製造方法に関す
る。また、本発明は、前記マルチブロック共重合体から
なる、優れた機械的性質および適切な加水分解性を有す
る生分解性材料を提供する。
につれて、生分解性高分子に対する研究が盛んに進めら
れている。このような材料としては、天然の生分解性高
分子と、合成された生分解性高分子とがある。天然の生
分解性高分子材料には、コラーゲン、ゼラチンなどのポ
リペプチド類;ポリ−L−グルタミン酸、ポリ−L−リ
シンのようなポリアミノ酸類;およびアルギン酸、キチ
ンのような多糖類などが挙げられる。しかし、このよう
な天然の生分解性高分子材料は、その物性の範囲が限定
されているのみならず、加工性および大量生産性が不充
分で、種々の制約を伴う。
子に対する研究が盛んであり、物理的特性と加水分解特
性に優れた脂肪族ポリエステルを中心に、多くの研究が
進められている。しかしながら、このような合成高分子
物質は、生体を対象として使用する場合、生体内におけ
る安定性、生体適合性、低毒性、免疫性などの種々の条
件を必ず満たさなければならない。それ故に、米国のF
DAのような機関から承認を受けた物質と、比較的生体
適合性が広く知られた物質に限定された範囲で、研究が
進められている。現在広く常用されている生分解性の合
成高分子には、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグ
リコリド(PG)、ポリラクチド(PL)およびそれら
の誘導体であるラクチド・グリコリド共重合体、ラクチ
ド・ε−カプロラクトン共重合体などがある。
使用されるポリグリコリド、ポリラクチド、ラクチド・
グリコリド共重合体などの生分解性高分子材料は、非常
に硬い性質を有している。そのため、柔軟性と弾性が要
求される用途に適する生分解性材料を得るための研究
は、非常に重要である。ポリカプロラクトンの非常に柔
軟な性質を利用し、ラクチド、グリコリドなどをε−カ
プロラクトンと共重合させることにより、柔軟で、かつ
弾性を有する共重合体を製造する研究が盛んに進められ
ており、このような共重合体は、特許文献1に記載され
ているように、ランダムまたはブロック共重合体の形態
を有する。しかしながら、このような共重合体は、その
分子構造に制限された物性を有するため、多様な物性が
要求される生分解性材料において、特に人体組織臓器を
再生するための材料に使用される場合、多くの限界を有
する。
目的は、柔軟性や弾性などの機械的性質に優れ、生分解
期間が適切に調節できる生分解性共重合体、およびその
製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、
前記生分解性共重合体から、医療用マトリックスおよび
傷被覆材などの医療用素材を提供することである。
を達成するために研究を重ねた結果、ポリラクチド、ポ
リグリコリドまたはラクチド・グリコリド共重合体とε
−カプロラクトンとの、ブロックの長さが一定なマルチ
ブロック共重合体が、柔軟性と弾性をはじめとする機械
的性質に優れ、各種の用途に適合した生分解性を有する
ことを見出して、本発明を完成するに至った。
規則的な生分解性マルチブロック共重合体を合成し、該
共重合体が既存の材料では得られない種々の新たな物性
を示すことを見出し、特に共重合体内のε−カプロラク
トンブロックが、ポリラクチドの硬い性質を柔軟にする
のみならず、ソフトセグメントとして作用し、材料に弾
性を与えることを見出した。
リグリコリド(PG)またはラクチド・グリコリド共重
合体(PL/PG)であり;PCLは、ポリε−カプロ
ラクトンであり;nは、2〜2,000の整数である)
で示されるの生分解性マルチブロック共重合体に関す
る。
ク共重合体の製造方法に関する。
ド、ポリグリコリドまたはラクチド・グリコリド共重合
体と、ε−カプロラクトンからなるセグメントのマルチ
ブロック共重合体は、組織工学原材料および医療用原材
料として使用可能であり、下記一般式(1)の構造を有
する。
おりである)
コリドもしくはラクチド・グリコリド共重合体またはポ
リε−カプロラクトンの末端に、反応性が大きい官能
基、例えばハロホルミル基を導入する段階、および前記
ポリラクチド、ポリグリコリドもしくはラクチド・グリ
コリド共重合体またはポリε−カプロラクトン末端の官
能基を、対応するポリε−カプロラクトンまたはポリラ
クチド、ポリグリコリドもしくはラクチド・グリコリド
共重合体の末端のヒドロキシル基とカップリングさせる
段階とを含む、前記一般式(1)の生分解性マルチブロ
ック共重合体の製造方法を提供する。本発明に用いられ
る前記ポリラクチド、ポリグリコリドまたはラクチド・
グリコリド共重合体、およびポリε−カプロラクトン
は、それぞれの単量体から合成することができる。
は、必要な柔軟性、弾性およびその他の機械的性質を有
し、かつ適切な加水分解性を有することから、その重合
平均分子量が、2,000〜500,000であること
が好ましい。また、マルチブロック共重合体に柔軟性を
与え、かつ完全な生分解性を与えるために、該マルチブ
ロック共重合体を構成する個々のポリラクチドセグメン
ト、ポリグリコリドセグメントまたはラクチド・グリコ
リド共重合体セグメント、およびポリε−カプロラクト
ンセグメントの重量平均分子量が、それぞれ500〜3
0,000であることが好ましい。nは、2〜2,00
0であり、マルチブロック共重合体に優れた柔軟性を与
えるために、8以上であることが好ましい。
はラクチド・グリコリド共重合体とポリε−カプロラク
トンとの組成比は、マルチブロック形成の効果をより有
効に発揮するために、それぞれのセグメントを構成する
繰返し単位の、共重合体中のモル比で1/9〜9/1が
好ましく、3/7〜7/3がより好ましい。特に、ポリ
ラクチドとポリε−カプロラクトンとの組成比が、同様
に繰返し単位のモル比で1/9〜9/1であることが好
ましく、同様に3/7〜7/3がより好ましい。
発明を更に詳細に説明すると、以下のとおりである。な
お、ポリグリコリドまたはラクチド・グリコリド共重合
体も、本発明のマルチブロック共重合体の合成に、同様
に用いることができる。ラクチド・グリコリド共重合体
は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよく、
部分的にブロック共重合部分があってもよい。これらの
ポリラクチド、ポリグリコリドおよびラクチド・グリコ
リド共重合体は、2種以上を併用することもできる。
チドを開環重合してポリラクチドを製造した後、得られ
たポリマーから未反応の単量体および開始剤を除去する
ために、クロロホルムまたはジクロロメタンに溶解した
後、メタノール中で沈殿させて精製し、精製されたポリ
ラクチドの末端に、ハロホルミル基のような反応性が大
きい基を導入した後、ポリε−カプロラクトンとカップ
リング反応させることにより製造することができる。
て、第1段階の工程は、ポリラクチドの合成工程であ
る。たとえば、L−ラクチドとグリコール類を、オクタ
ン酸スズのような金属塩または金属酸化物と共にガラス
アンプルに入れた後、高真空(例えば1.33Pa{0.
01Torr})下で密封し、例えば130℃のオイルバス
で5時間反応を行う。グリコール類としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオールのようなアルキレン
グリコール;およびジエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコールのようなエーテルグリコールを用いること
ができる。なお、本発明のマルチブロック共重合体を医
療用の目的に使用する場合には、1,6−ヘキサンジオ
ールのような、生体内で安定なものを用いることが好ま
しい。反応後、ガラスアンプルを破壊し、試料をクロロ
ホルム、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素に
溶解した後、不純物をメタノールで抽出し、両末端にヒ
ドロキシル基を有するポリラクチド(OH−PL−O
H)を合成することができる(反応式1参照)。
ド、D−ラクチドおよびD,L−ラクチドが存在し、こ
のようなラクチドの開環重合の際に、塩化スズ、オクタ
ン酸スズ、酸化スズ、塩化亜鉛、酸化亜鉛などの触媒の
使用が効果的であるが、このうち、生体適合性を有する
L−ラクチドと、米国FDAの承認を受けたオクタン酸
スズが、生分解性高分子材料の合成には好ましい。
生体適合性を有するL−ラクチド、ならびに触媒として
オクタン酸スズを使用し、開始剤として1,6−ヘキサ
ンジオールのようなグリコール類を使用して、例えば数
平均分子量が約6,000のポリラクチドを製造するこ
とができる。更に、反応工程において、単量体であるL
−ラクチドと、開始剤であるグリコール類との比率を調
節することにより、多様な分子量を有するポリラクチ
ド、および更に高分子量のポリラクチドの製造が可能で
ある。
用いる縮合重合反応に比べて、得られるポリラクチドの
分子量の調節が可能なだけでなく、分子量分布もより均
一であり、また高分子量のポリラクチドを合成するにも
非常に有利である。
合法、溶液重合法、懸濁重合法などが使用可能である
が、有機溶媒、懸濁安定剤などの混入の防止を考慮すれ
ば、溶融状態で実施する塊状重合法による開環重合反応
が好ましい。ラクチドおよびグリコリドのような脂肪族
ポリエステルの反応温度は、130〜180℃程度が最
適であり、200℃以上ではエステル交換反応が生じ
て、所望の構造の高分子が形成できない。
ロロホルム、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水
素などの溶媒に対する溶解性が非常に優れているので、
このような溶媒に溶解したポリラクチド溶液から、未反
応単量体、開始剤、オリゴラクチド、触媒などをメタノ
ールで抽出することにより、これらの不純物を効果的に
除去できる。
H−PL−OH)末端の官能基は、ヒドロキシル基であ
る。このような官能基は、合成時に使用される開始剤の
種類により、その数を調節できる。本発明で使用される
グリコール類は、2個のヒドロキシル基を有する2価の
アルコールであって、反応後生成されるポリラクチドの
両末端を、すべてヒドロキシル基にすることができる。
端を、反応性が大きい官能基に転換する工程である。こ
の工程は、二段階の合成反応を経て行われる。第一は、
前記のポリラクチドの末端基にカルボキシル基(COO
H)を導入する反応であり、第二は、末端のカルボキシ
ル基をハロホルミル基に転換する反応である(反応式2
参照)。
には、ヒドロキシル基が存在し、このようなヒドロキシ
ル基で無水コハク酸を開環させることにより、カルボキ
シル基を導入することができる。この工程の触媒として
は、ピリジン、t−ブチルピリジン、2−ジメチルアミ
ノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリ
ジノピリジンのようなピリジン類;トリエチルアミン、
プロピルアミン、ピペリジンのような脂肪族アミン類;
イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−
4−メチルイミダゾールのようなイミダゾール類などが
使用できるが、複数段階の工程を通してトリエチルアミ
ン(TEA)とジメチルアミノピリジン(DMAP)を
同時に使用した場合、最高の反応率を示す。また、反応
溶媒として1,4−ジオキサンを用いると、クロロホル
ムに比べていくぶん高い反応率を示す。
(HOOC−PL−COOH)は、塩化スルフィニル
(SOCl2)のようなハロゲン化剤と反応して、末端
に反応性が大きいハロホルミル基(−COX、ここでX
はハロゲン原子を示す)を有するポリラクチドに転換さ
れる。Xとしては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素
が例示され、適度の反応性を与えることから、塩素が好
ましい。反応は、例えば、溶媒として無水のジクロロメ
タンを使用し、触媒としてジメチルホルムアミド(DM
F)を使用して、60℃で3〜4時間反応させる。この
ようにして合成したポリラクチド両末端のハロホルミル
官能基、例えばクロロホルミル基は、高い反応性により
非常に不安定で、長期間の保存の間に空気中の水分と反
応して、再びカルボキシル基に転換される。したがっ
て、合成したハロホルミル基を有するポリラクチド(X
CO−PL−COX、例えばClCO−PL−COC
l)を、反応後、ただちにカップリング反応に使用する
か、湿密状態に保存することが望ましい。
わりに、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テト
ラメチレンジアミンのようなジアミン類を用いて、両末
端にアミノ基を有するポリラクチド(NH2−PL−N
H2)を合成し、この末端を上記と同様にカルボキシル
化し、次いでハロホルミル化することもできる。
応で合成された、末端にハロホルミル官能基を有するポ
リラクチド(XCO−PL−COX)と、両末端基がヒ
ドロキシル基であるポリε−カプロラクトン(HO−P
CL−OH)とのカップリング反応である。このような
反応により、ポリラクチド/ポリε−カプロラクトンマ
ルチブロック共重合体を製造することができる。反応に
は、通常、溶媒と、反応剤としてピリジンを使用する。
ピリジンは、反応中に発生する塩酸ガスを除去して、カ
ップリング反応を進行させる役割を果たす。なお、ピリ
ジンは、添加の際に発熱反応を生じるため、例えば0℃
で少量ずつ添加しつつ反応させることが好ましい。
ε−カプロラクトンの末端基にハロホルミル基のような
反応性の大きい基を導入し、末端にヒドロキシル基を有
するポリラクチドとのカップリングによって、同様のマ
ルチブロック共重合体を合成することもできる。
ポリε−カプロラクトンマルチブロック共重合体が、9
0%以上の定量的な収率で得られる。1H−NMRおよ
びGPCによりそれぞれの官能基の反応および分子量の
増加から、末端基のカップリング反応によるマルチブロ
ック共重合体の形成を確認することができる。
に説明する。本発明は、実施例によって限定されるもの
ではない。
カプロラクトンのランダム共重合体と、ラクチド/ε−
カプロラクトン/ラクチドのターブロック共重合体を製
造して、本発明のマルチブロック共重合体と比較した。
ンプルに、単量体であるL−ラクチド200g(1.3
889モル)を仕込み、触媒としてオクタン酸スズ2.
8007g(0.0069モル)、および開始剤として
1,6−ヘキサンジオール12.5434g(0.10
63モル)を添加した。ポリテトラフルオロエチレンで
コーティングされたマグネチックバーをアンプルに挿入
し、アンプルを1.33Pa{0.01mmHg}の真空状態
を2時間維持して水分を除去し、乾燥窒素を注入した。
この操作を5回繰り返した後、アンプルを真空下にトー
チランプで加熱して密封した。
に入れ、撹拌して重合を5時間行った。重合が進むにつ
れて系の粘度が高くなり、撹拌が不可能になった。反応
を終結した後、アンプルを液体窒素で冷却してから、ア
ンプルを破壊して重合体を回収した。回収した試料をク
ロロホルムに溶解した後、メタノール中で沈殿させて、
触媒と未反応単量体および低分子量のポリマーを除去し
た。得られた試料を、常温で24時間以上真空乾燥し
た。
られ、白色を帯びていた。水素(1H)核磁気共鳴分析
から、開始剤によりラクチドが開環し、両末端基にヒド
ロキシル基が導入されていることを確認した。末端基と
単量体の積分比により、分子量が約2,800であるこ
とを確認した。時差走査熱分析により測定したガラス転
移温度および溶融温度は、それぞれ47.85℃および
144.53℃であった。
1,6−ヘキサンジオールと単量体であるラクチドのモ
ル比率を調節して、分子量が1,000〜10,000
のポリラクチドを合成した。
としては1,4−ジオキサン200mLを仕込み、実施例
1で得られた重合体10.00g(0.0036モ
ル)、および無水コハク酸0.9023g(0.009
0モル)を添加し、次いで、触媒としてDMAP0.9
319g(0.0076モル)とトリエチルアミン0.
7961g(0.0076モル)を添加し、常温で24
時間反応させた。反応後、メタノール中で沈殿させて、
未反応の無水コハク酸と触媒を除去した。得られた試料
を、常温で24時間以上真空乾燥した。反応後、水素(
1H)核磁気共鳴分析から、ヒドロキシル基により無水
コハク酸が開環され、末端にカルボキシル基が導入され
ていることを確認した。
子量がそれぞれ1,000〜10,000であるポリラ
クチドを使用して、それぞれの生成物(HOOC−PL
−COOH)を得た。
2で合成した物質(HOOC−PL−COOH)5.0
0g(0.0017モル)を仕込み、125mLの精製ジ
クロロメタンに完全に溶解させた。塩化スルフィニル
0.8086g(0.0068モル)とジメチルホルム
アミド2〜3滴を触媒として添加した後、60℃で約3
時間反応させた。反応後、真空蒸留して溶媒と未反応塩
化スルフィニルを除去し、精製工程なしに、水素
(1H)核磁気共鳴分析により、末端にハロホルミル基
が導入されていることを確認した。確認された試料を、
直ちにカップリング反応に使用した。
量平均分子量がそれぞれ1,000〜10,000のポ
リラクチド(HOOC−PL−COOH)を使用して、
それぞれの生成物(ClOC−PL−COCl)を合成
した。
lysciences, Inc.)の、重量平均分子量が530、1,
250、2,000および3,000のポリカプロラク
トンジオール10.00g(0.0080モル)を、そ
れぞれクロロホルムに溶解させた後、エチルエーテル中
で沈殿させて精製した。得られた精製ポリカプロラクト
ンジオールを、常温で24時間以上真空乾燥した。
3で合成した、重量平均分子量3,000のポリラクチ
ド5.00g(0.0017モル)と、実施例4で得ら
れた重量平均分子量1,250のポリカプロラクトンジ
オール2.125g(0.0017モル)を仕込んだ
後、反応容器を完全に窒素雰囲気に置換した。精製ジク
ロロメタン75mLを加えて完全に溶解させた後、0℃の
氷槽により、反応容器の温度を充分低く維持した後、精
製したピリジン1mLを少量ずつ添加した。ピリジンを添
加した後、反応容器の温度を常温に維持して、24時間
反応させた。反応溶液をメタノール中で沈殿させて重合
体を得、得られた試料を、常温で24時間以上真空乾燥
した。
ら、末端のヒドロキシル基とハロホルミル基が定量的に
カップリングされていることを確認した。更に、GPC
分析の結果、製造されたマルチブロック共重合体は、原
料ポリカプロラクトンとポリラクチドのそれぞれの分子
量より大きく、単峰性(unimodal)分散の分子量分布を
示した。このことにより、完全な構造のマルチブロック
共重合体が製造されたことを確認した。
た、各種の重量平均分子量のポリラクチド(ClOC−
PL−COCl)とポリカプロラクトンジオールを使用
し、前記と同様な方法により合成・精製してそれぞれの
生成物を製造し、同様な分析を行ってマルチブロックの
形成を確認した。
00のポリグリコリド1.7g(0.0017モル)を
使用した以外は、実施例5と同様な方法により、ポリグ
リコリドとポリカプロラクトンのマルチブロック共重合
体を製造した。
00のラクチド/グリコリド共重合体5g(0.001
7モル)を使用した以外は、実施例5と同様な方法によ
り、ラクチド・グリコリド共重合体とポリカプロラクト
ンのマルチブロック共重合体を製造した。
したポリε−カプロラクトン/ポリL−ラクチドマルチ
ブロック共重合体、ポリε−カプロラクトン/ポリグリ
コリドマルチブロック共重合体およびε−カプロラクト
ン/ラクチド・グリコリド共重合体マルチブロック共重
合体を、それぞれ5gずつ取り、ホットプレスを用い
て、厚さ1mmのシート状フィルムを作製した。作製した
フィルムを、横10mm、縦70mmに切断し、インストロ
ン(Instron社製, Model 5567, Canton MA, USA)を用い
て機械的特性と弾性を測定した。
ンプルに、L−ラクチド14.4g(0.1モル)およ
びε−カプロラクトン11.4g(0.1モル)、触媒
としてオクタン酸スズ0.406g(0.001モ
ル)、および開始剤として1,6−ヘキサンジオール
0.059g(0.0005モル)を添加した。アンプ
ルに、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングされ
たマグネチックバーを入れ、1.33Pa{0.01mmH
g}の真空状態を約2時間維持して水分を除去し、アン
プルをトーチランプで加熱して密封した。密封したアン
プルを150℃のオイルバスに入れ、撹拌して重合を2
4時間行った。重合が進むにつれて系の粘度が高くな
り、撹拌が不可能になった。反応を終結した後、アンプ
ルを液体窒素で冷却してから、アンプルを破壊して重合
体を回収した。回収した試料をクロロホルムに溶解した
後、メタノール中で沈殿させて、触媒と未反応単量体お
よび低分子量のポリマーを除去した。得られた試料を、
常温で24時間以上真空乾燥した。
流速1mL/minにより、30℃でゲル浸透クロマトグラフ
ィーにかけて分子量を測定した結果、重量平均分子量と
分子量分布係数は、それぞれ46,000および1.7
0であった。時差走査熱分析で測定したガラス転移温度
は、8.36℃であった。
スコに、ε−カプロラクトン11.4g(0.1モ
ル)、触媒としてオクタン酸スズ0.203g(0.0
005モル)、および開始剤として1,6−ヘキサンジ
オール0.059g(0.0005モル)を添加した。
この三つ口フラスコに撹拌機を設置し、1.33Pa
{0.01mmHg}の真空状態を2時間維持して水分を除
去し、続いて乾燥窒素を注入した。
入れて撹拌し、重合を40時間行った。反応が進むにつ
れて、系の粘度が高くなった。更にL−ラクチド14.
4g(0.1モル)とオクタン酸スズ0.203g
(0.0005モル)を添加した後、120℃のオイル
バスに入れて撹拌し、重合を150時間進行した。反応
が進むにつれて粘度が高くなり、撹拌が不可能になっ
た。反応を終結した後、アンプルを液体窒素で冷却して
から、アンプルを破壊して重合体を回収した。回収した
試料をクロロホルムに溶解した後、メタノール中で沈殿
させて、触媒と未反応単量体および低分子量のポリマー
を除去した。得られた試料を、常温で24時間以上真空
乾燥した。
られ、白色を帯びていた。水素(1H)核磁気共鳴分析
から、開始剤によりε−カプロラクトンとラクチドが開
環して、ターブロック共重合体が形成されていることを
確認した。時差走査熱分析により測定された溶融温度
は、54.00℃および165.31℃であった。
られたランダム共重合体は、低いガラス転移温度を示
し、非結晶性のため溶融温度は存在しなかった。比較例
2で得られたターブロック共重合体は、ポリマーセグメ
ントによるそれぞれ固有の溶融温度を示した。一方、実
施例5〜7で得られたマルチブロック共重合体は、単一
の溶融温度を示し、それは、ターブロック共重合体の高
い方の溶融温度に比べて、約15K{15℃}低い温度
であった。
おいては、前述のように各種の重量平均分子量を有する
ポリラクチドとポリカプロラクトンからマルチブロック
共重合体を得ているが、表1にはその代表例を示す。
共重合体が450%以上の比較的高い延伸率を示した。
引張強さは、マルチブロック共重合体が11〜17MPa
であるのに対して、ターブロック共重合体は20MPaで
あるがそのモジュラスは高く、ランダム共重合体は0.
001MPaと極端に低かった。
ルチブロック共重合体は、適切な引張強度およびモジュ
ラスを有するため、加工が容易であり、延伸率も既存の
共重合体に比べて大きい値を表している。
ック共重合体の弾性を、比較例1のランダム共重合体お
よび比較例2のターブロック共重合体と比較した。評価
は、変形率をそれぞれ10%ずつ変化させながら、共重
合体の復元率を測定することによって行った。すなわ
ち、実施例8で作製した試料、ならびに比較例1および
比較例2で得られた共重合体から、実施例8と同様にし
て作製した試料を、それぞれインストロンを使用して、
25℃で1cm/minの速度で所定の変形率まで伸張させ、
10秒間伸張状態を維持した後、5分後に長さを測定し
て、復元率を求めた。
実施例5については、表1と同様の代表例を示す。
特性の評価のための測定の結果、ターブロック共重合体
とランダム共重合体の場合、それぞれ10%の変形率に
おいて57%と17%、50%の変形率において42%
および4%の低い復元率を示したのに対し、ポリラクチ
ド/ポリε−カプロラクトンマルチブロック共重合体
は、50%の変形率に対しても90%前後の非常に高い
復元率を示した。
−カプロラクトンマルチブロック共重合体の製造方法
は、従来のカップリング反応に比べて非常に高い反応収
率で、構造の配列が規則的な高分子量の重合体が得られ
る。更に、分子鎖の形態がエステル結合で連結され、適
切な生分解期間を有し、体内の代謝過程で人体に無害な
形態で消滅する。
存の共重合体に比べてより柔軟で、かつ弾性が大きいの
で、既存の重合体が有する機械的性質の制約を克服し
て、特に、生体適合性に優れた生分解性材料であり、医
療用マトリックス、特に歯科用マトリックス、傷被覆
材、人工皮膚、人工血管などの組織細胞の培養、および
組織再生のような組織工学用材料などの医療用材料とし
て、有用である。
る筋肉組織は、弾性的性質が非常に重要に要求されるの
であるが、本発明の弾性を有する材料は、このような弾
性組織の再生に非常に優れた効果を示すことが見出され
た。
変形率に対する復元率を示した図面である。
Claims (10)
- 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】 (式中、 Aは、ポリラクチド(PL)、ポリグリコリド(PG)
またはラクチド・グリコリド共重合体(PL/PG)で
あり;PCLは、ポリε−カプロラクトンであり;n
は、2〜2,000の整数である)で示される生分解性
マルチブロック共重合体。 - 【請求項2】 重量平均分子量が、2,000〜50
0,000である、請求項1に記載の生分解性マルチブ
ロック共重合体。 - 【請求項3】 ポリラクチドセグメント、ポリグリコリ
ドセグメントまたはラクチド・グリコリド共重合体セグ
メント、およびポリε−カプロラクトンセグメントの重
量平均分子量が、それぞれ500〜30,000であ
る、請求項1に記載の生分解性マルチブロック共重合
体。 - 【請求項4】 ポリラクチド部分、ポリグリコリド部分
またはラクチド・グリコリド共重合体部分と、ε−カプ
ロラクトン部分との組成モル比が、1/9〜9/1であ
る、請求項1に記載の生分解性マルチブロック共重合
体。 - 【請求項5】 ポリラクチド部分と、ポリε−カプロラ
クトン部分との組成モル比が、1/9〜9/1である、
請求項1に記載の生分解性マルチブロック共重合体。 - 【請求項6】 ポリラクチド、ポリグリコリドもしくは
ラクチド・グリコリド共重合体、またはポリε−カプロ
ラクトンの末端にハロホルミル基を導入する段階;およ
びポリラクチド、ポリグリコリドもしくはラクチド・グ
リコリド共重合体、またはポリε−カプロラクトン末端
のハロホルミル基を、対応するポリε−カプロラクトン
またはポリラクチド、ポリグリコリドもしくはラクチド
・グリコリド共重合体の末端のヒドロキシル基とカップ
リングさせる段階を含む、下記一般式(1) 【化2】 (式中、 Aは、ポリラクチド(PL)、ポリグリコリド(PG)
またはラクチド・グリコリド共重合体(PL/PG)で
あり;PCLは、ポリε−カプロラクトンであり;n
は、2〜2,000の整数である)で示される生分解性
マルチブロック共重合体の製造方法。 - 【請求項7】 生分解性マルチブロック共重合体の重合
平均分子量が、2,000〜500,000である、請
求項6に記載の方法。 - 【請求項8】 ポリラクチドセグメント、ポリグリコリ
ドセグメントまたはラクチド・グリコリド共重合体セグ
メント、およびポリε−カプロラクトンセグメントの重
合平均分子量が、それぞれ500〜30,000であ
る、請求項6に記載の方法。 - 【請求項9】 ポリラクチド部分、ポリグリコリド部分
またはラクチド・グリコリド共重合体部分と、ポリε−
カプロラクトン部分との組成モル比が、1/9〜9/1
である、請求項6に記載の方法。 - 【請求項10】 ポリラクチド部分とポリε−カプロラ
クトン部分との組成モル比が、1/9〜9/1である、
請求項6に記載の方法。
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