JP5288370B2 - 生理活性物質を含む樹脂組成物とその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような生分解性ポリマーが臨床応用されている例は、縫合や止血に用いられる一部の医療器具(縫合糸、ガーゼ等)に限られているのが現状である。これは、ポリ乳酸などの生分解性ポリマーは、変形歪を固定することができない(形状セット性に劣る)、引張強さ、破断伸度、衝撃強さ等が十分でないなどの問題があるためである。
属は体内に残存し、2次的疾患の要因となるという問題は依然として解決されない。
また、他の生分解性ポリマーを用いてポリ乳酸などの性質を改良することも試みられている。例えば、ラクチド及び/又はグリコリドを重合させた重合体にゴム相を組み合わせて、ガラス転移温度を10℃程度とする技術が開示されている(特許文献8)。しかしながら、この技術では良好な形状セット性を達成することはできなかった。
なお、カプロラクトンとラクチド及び/又はグリコリドとの共重合体からなる伸縮性の素材も開発されている(特許文献9)。
しかしながら、形状セット性、引張強さ、破断伸度、衝撃強さの全てにおいて良好な物性を有する生分解性材料は、未だ得られていないという現状がある。
例えば、ポリ乳酸等の高分子材料の表面にイオンビームを照射して、照射部位に細胞を優先的に接着させる技術が開発されている(特許文献10、11)。
また、医療材料に生理活性物質を付着させる技術としては、金属製の医療器具の表面に生理活性物質を含有させた生分解性ポリマーをコーティングする技術が開発されている。生理活性物質を樹脂組成物に含有させるには、一般的には有機溶媒などに生理活性物質を溶解して樹脂組成物を浸漬する方法が多く取られている。しかしながら、樹脂組成物内から使用した有機溶媒を完全に除去することは困難である。一方、有機溶媒には、人体に有害なものが多く、このような有機溶媒を用いて製造した樹脂組成物を医療材料として使用した場合には、残留溶媒の人体への悪影響が問題となる。
本発明は、生分解性の樹脂組成物に付与された形状セット性、引張強さ、破断伸度、衝撃強さなどの好ましい物性を維持しながら、更にこの樹脂組成物に生理活性物質を含有させ、樹脂に種々の機能性を付与する技術を提供することを課題とする。
<I>ガラス転移温度40℃以上で、かつ乳酸及びグリコール酸から選ばれる少なくとも1種の構造を含む生分解性ポリマーと、ガラス転移温度又は副転移温度が40℃未満の生分解性ポリマーを特定の比率で溶融混練することにより、優れた形状セット性、引張強
さ、破断伸度、衝撃強さを有する生分解性ポリマー組成物を得ることができる。
<II>前記生分解性ポリマー組成物に生理活性物質を含有させることにより、上記優れた形状セット性、引張強さ、破断伸度、衝撃強さを維持しながら生体適合性、ドラッグデリバリー機能等の種々の機能を持つ樹脂組成物を得ることができる。
<III>前記生分解性ポリマー組成物に生理活性物質を含有させる方法として、液体又は超臨界状態の二酸化炭素に前記生理活性物質を溶解させ、前記生分解性ポリマー組成物に含浸させることにより、前記生分解性ポリマー組成物の良好な物性を維持しつつ、種々の機能を持ち、安全性が高い樹脂組成物を得ることができる。
<IV>前記生分解性ポリマー組成物に生理活性物質を含有させる方法として、人体に無害な有機溶媒及び気体、液体又は超臨界状態の二酸化炭素の混合物に前記生理活性物質を溶解させ、前記生分解性ポリマー組成物に含浸させることにより、前記生分解性ポリマー組成物に前記生理活性物質を効率よく含浸させることができる。
〔1〕 (1)ガラス転移温度40℃以上で、かつ乳酸及びグリコール酸から選ばれる少なくとも1種の構造を含む生分解性ポリマーを、全生分解性ポリマーに対して50.00〜99.99重量%、(2)ガラス転移温度又は副転移温度が40℃未満の生分解性ポリマーを、全生分解性ポリマーに対して0.01〜50.00重量%、及び(3)生理活性物質を、全樹脂組成物に対して0.001〜10.000重量%含むことを特徴とする樹脂組成物。
〔2〕 (2)ガラス転移温度又は副転移温度が40℃未満の生分解性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、α−アミノ酸、ラクトン、生分解性カーボネート、ジオキサノン、コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コンドロイチン硫酸、及びヒアルロン酸から選ばれる少なくとも1種の構造を含むことを特徴とする〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕 (2)ガラス転移温度又は副転移温度が40℃未満の生分解性ポリマーは、乳酸及びグリコール酸から選ばれる少なくとも1種と、カプロラクトン及びトリメチレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種からなる共重合体であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕 (1)ガラス転移温度40℃以上で、かつ乳酸及びグリコール酸から選ばれる少なくとも1種の構造を含む生分解性ポリマーと、(2)ガラス転移温度又は副転移温度が40℃未満の生分解性ポリマーは、ともに数平均分子量が1万〜100万の範囲にあることを特徴とする〔1〕〜〔3〕の何れか一に記載の樹脂組成物。
〔6〕 (3)生理活性物質は、樹脂組成物内に分散されていることを特徴とする〔1〕〜〔5〕の何れか一に記載の樹脂組成物。
〔7〕 (3)生理活性物質は、液体又は超臨界状体の二酸化炭素に溶解されて、前記生分解性ポリマーに含浸されることを特徴とする〔1〕〜〔6〕の何れか一に記載の樹脂組成物。
〔8〕 (3)生理活性物質は、人体に無害な有機溶媒及び気体、液体又は超臨界状態の二酸化炭素の混合物に溶解されて、前記生分解性ポリマーに含浸されることを特徴とする〔1〕〜〔6〕の何れか一に記載の樹脂組成物。
〔10〕 (1)ガラス転移温度40℃以上で、かつ乳酸及びグリコール酸から選ばれる少なくとも1種の構造を含む生分解性ポリマー、及び(2)ガラス転移温度又は副転移温度が40℃未満の生分解性ポリマーを溶融混練し、次に(3)生理活性物質を液体又は超臨界状態の二酸化炭素に溶解し、前記溶融混練した生分解性ポリマーに含浸させることを特徴とする〔9〕に記載の樹脂組成物の製造方法。
〔11〕 (1)ガラス転移温度40℃以上で、かつ乳酸及びグリコール酸から選ばれる少なくとも1種の構造を含む生分解性ポリマー、及び(2)ガラス転移温度又は副転移温度が40℃未満の生分解性ポリマーを溶融混練し、次に(3)生理活性物質を人体に無害な有機溶媒及び気体、液体又は超臨界状態の二酸化炭素の混合物に溶解し、前記溶融混練した生分解性ポリマーに含浸させることを特徴とする〔9〕に記載の樹脂組成物の製造方法。
〔12〕 前記生理活性物質の含浸は、生理活性物質の分解温度以下で行うことを特徴とする〔9〕〜〔11〕のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法。
〔14〕 前記成形体の形状は、フィルム状、シート状又は板状であることを特徴とする〔13〕に記載の成形体。
〔15〕 前記成形体の形状は、網状、繊維状、不織布状、織布状又はフィラメント状であることを特徴とする〔13〕に記載の成形体。
〔16〕 前記成形体の形状は、棒状、チューブ、パイプ、ボトル、円柱状又は異形品であることを特徴とする〔13〕に記載の成形体。
〔17〕 生体内に留置させる医療器具用であることを特徴とする〔13〕〜〔16〕の何れか一に記載の成形体。
〔18〕 前記医療器具が、体内埋込型の治療補助器具、組織縫合器具又は人工組織であることを特徴とする〔17〕に記載の成形体。
〔19〕 前記体内埋込型の治療補助器具が、生体内消滅型ステントであることを特徴とする〔18〕に記載の成形体。
(i)ポリ乳酸
(ii)ポリグリコール酸
(iii)乳酸−グリコール酸共重合体
(iv)乳酸及び/又はグリコール酸を含む(iii)以外の生分解性共重合体
合成で得られた医療用ポリ乳酸を使用することが好ましい。
ポリグリコール酸は、ポリ乳酸に比べて生体内での分解速度が速いため、生体内に留置されるべき期間が短い医療器具や生理活性物質の徐放速度を高めた医療器具などの材料として用いることが好ましい。
また、医療用であれば、依頼合成を行ったり、レゾマーRGシリーズ、LGシリーズ(ベーリンガーインゲルハイム)などの市販品を用いてもよい。
また、(iv)の何れの共重合体における重合体の種類は、特に制限されないが、ランダム共重合体であることが好ましい。ランダム重合により、モノマー単位の組成により、所望のガラス転移温度を有する共重合体を得ることが容易となる。また、このような重合体の製造も常法に従って重合させることにより行うことができる。
生分解性ポリマー〔I〕の含有量は、全生分解性ポリマーに対して50.00〜99.99重量%、好ましくは50〜95重量%、さらに好ましくは60〜95重量%である。
生分解性ポリマー〔II〕は、好ましくはガラス転移温度及び副転移温度の何れか一方が−150〜30℃、好ましくは、−50〜25℃、さらに好ましくは10℃〜25℃に現れることが望ましい。
「ガラス転移温度又は副転移温度が40℃未満」ということは、ポリマー成分が40℃未満の低温領域に大きな減衰ピーク(α緩和、β緩和、γ緩和など)を有することを意味する。すなわち、ガラス転移温度又は副転移温度において分子運動が生じやすく、変形も容易であることを意味する。
単重合体は、ガラス転移温度を調節することが困難であるため、共重合体であることが好ましい。
中でも好ましいのは、乳酸及びグリコール酸の少なくとも1種を含む共重合体である。このような構成とすることにより、前記生分解性ポリマー〔I〕との相溶性が向上する。前記生分解性ポリマー〔I〕との高い相溶性を得るためには、生分解性ポリマー〔II〕における乳酸及びグリコール酸から選ばれる少なくとも1種の含有率は、10〜98モル%が好ましく、30〜98モル%がより好ましい。
また、下記の実施例にも示すように、ランダム共重合体とすることにより、樹脂組成物の飛躍的な機械特性の向上が得られた。ランダム共重合体はブロック共重合体等と比較すると合成が手軽に安価にできるという大きな利点を有する。
生分解性ポリマー〔II〕の含有量は、全生分解性ポリマーに対して0.01〜50.
00重量%、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%である。
一方、生分解性ポリマー〔II〕の含有量が、全生分解性ポリマーに対して0.01重量%より少なくなると、外部からのエネルギーを吸収できる生分解性ポリマー〔II〕の作用が十分に発揮されず、形状セット性や耐衝撃性等の機械特性の向上が発現しなくなる。
具体的には、パクリタキセル、ドセタキセル水和物、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンデシン、塩酸イリノテカン、メトトレキサート、シクロフォスファミド等の抗がん剤;
シロリムス、タクロリムス水和物、アザチオプリン、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸グスペリスム、ミゾリビン、エベロリムス、エベロリムスプラス等の免疫抑制剤;
マイトマイシンC、塩酸ドキソルビシン、アクチノマイシンD、塩酸ダウノルビシン、塩酸イダルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸エピルビシン、塩酸ペプロマイシン、ジノスタチンスチマラマー等の抗生物質;
金チオリンゴ酸ナトリウム、ペニシラミン、ロベンザリットニナトリウム等の抗リウマチ剤;
へパリン、塩酸チクロピジン、ヒルジン等の抗血栓薬;
シンバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン等のHMG-CoA還元酵素阻害剤;
マレイン酸エナラプリル、アラセプリル、カプトプリル、塩酸イミダプリル、シラザプリル、塩酸デラプリル、リシノプリル、塩酸ベナゼプリル、トランドラプリル、塩酸キナプリル等のACE阻害剤;
ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタンシレキセチル、テルミサルタン、オルメサルタン、メドキソミル等のアンギオテンシンII受容体拮抗薬;
リシドミン、モルシドミン、S-Nitroso-N-acetyl-DL-penicil lamine (SNAP)、アルギニン等のNO供与剤;
塩酸エホニジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ニカルジピン、塩酸ベニジピン、塩酸ベラパミル、ニソルジピン、ニトレンジピン、ベシル酸アムロジピン等のカルシウム拮抗薬;コレスチラミン、ロパスタチン及びフルパスタチン等の抗高脂血症薬、
テキサメタゾン、プレゾニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルフィサラジン、アセチルサリチル酸、メゼラミン等の抗炎症剤;
αvβ3インテグリンの阻害作用も有しており、血管平滑筋細胞遊走の阻害剤としても使用できると考えられているαIIbβ3インテグリン阻害剤などのインテグリン阻害薬;
トラニラスト等の抗アレルギー剤;
カテキン類、アントシアニン、プロアントシアニジン、リコピン、β−カロチン等の抗酸化剤;
MN-447抗血栓剤等のGPIIbIIIa拮抗薬;
レチノイド、フラボノイド、カロチノイド;
べザトール、ビスラットゴールド等の脂質改善薬;
ニューキノロン系やリファンピシン系等のDNA合成阻害剤;
ゲニステイン、チルフォスチン、アーブスタチン等のチロシンキナーゼ阻害剤;
アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ等の抗血小板薬;
ラパマイシン、アンギオペプシン等の血管平滑筋増殖抑制薬;
EGF(epidermal growthfactor)、VEGF(vascular endothelial growth factor)、HGF(hepatocyte growth factor)、PDGF(platelet derived
growth factor)、BFGF(basic fibrolast growth factor)等の生体由来材料;
バリウム造影剤(硫酸バリウム)、ヨード系造影剤(ガストログラフィン)、非イオン性造影剤(イオパミドール等)、イオン性造影剤(ウログラフィン等)等の血管造影剤;インターフェロン等から選ぶことができる。
また、本発明の樹脂組成物は、非生分解性ポリマーは含有しないことが好ましい。
または二軸の押出機、ミキサー、各種のニーダー等の混練装置を用いて行えばよい。中でも、二軸の押出機を用いることが好ましい。
ここで「溶融混練」とは原料となるポリマー(原料ポリマー)の融点(結晶性でない場合はガラス転移温度)以上に二軸押出成形機またはミキサー混練機により加熱して原料ポリマーを溶融し、均一に分散するように混ぜ合わせることである。
ポリ乳酸を主成分とする場合、溶融混練の温度は、180〜250℃程度の範囲が採用される。この温度範囲以下であると樹脂が充分に融解せず、さらにこの温度範囲以上であると原料のポリエステル系樹脂が加水分解を引起しやすくなる。
ポリグリコール酸を主成分とする場合、溶融混練の温度は、220〜250℃程度の範囲が採用される。
生成する温度条件及び圧力条件は、有機溶媒の種類に応じて決定でき、例えばJ. Chem. Eng. Data, 35, 62(1991)などを参照して決定することができる。
有機溶媒の量は、樹脂組成物の種類及び生理活性物質の種類、さらに樹脂組成物の膨潤、発泡挙動に応じて、決定することができる。一般に、有機溶媒と二酸化炭素の混合物においては、有機溶媒の量が大きいほど、生理活性物質の溶解度は高くなる。一方、樹脂組成物の膨潤は有機溶媒の量が大きいほど減少し、生理活性物質は樹脂組成物内部に入りにくくなる。両者の競争により、樹脂組成物および生理活性物質の種類によって、含浸が最も効率的に進行する有機溶媒の量が存在する。また、含浸後、圧力を下げる操作において、樹脂組成物に溶解した二酸化炭素により樹脂組成物が発泡し、形状に影響を与える場合があるが、有機溶媒の量を大きくすることで形状を維持することができる。有機溶媒の量は、全溶媒(有機溶媒及び二酸化炭素の和)に対して、好ましくは2〜80モル%、さらに好ましくは5〜75モル%、さらに好ましくは5〜25モル%である。
成形体の形状としては、フィルム状、シート状、板状、網状、繊維状、不繊布状、繊布状、フィラメント状、棒状、チューブ、パイプ、ボトル、円柱状又は異形品等が挙げられる。
以下、各成形体及びその用途について、説明する。
フィルム類の製造に用いるダイとしては、Tダイ、円筒スリットのダイが好ましく用いられる。また、キャスト法や熱プレス法なども、フィルム類の製造に適用することができる。
また、成形体の厚みは特に限定するものではないが、1〜1000μmの範囲が実用上
好ましく、1〜500μmの範囲がさらに好ましい。
またフィルム類の表面に、前記生理活性物質やその他の任意成分を必要に応じて塗布、蒸着させることもできる。また、成形体の表面を、例えばα線、β線、γ線あるいは電子線等の照射、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、赤外線処理、スパッタリング処理、溶剤処理、研磨処理することもできる。これらの処理は、成形加工の過程で行なっても良いし、成形加工後に行なっても良いが、成形加工の過程、特に巻き取り機の手前で行うのが好ましい。
これらの成形体は、靭性、柔軟性、耐衝撃性(耐衝撃強さ)に優れ、脆性から延性(破断伸度が7%から200%以上)を有する。さらに、一定の歪が残る形状セット性(変形歪の80%以上が固定される)を有し、また、屈曲性、耐油性および接着性、ヒートシール性に優れるので、それらの特性を生かした医薬品の包装用フィルムやテープ、医療処置で用いるフィルム、ラミネート用フィルム、人工皮膚等の人工組織等に好適である。
これらの成形体は、靭性、柔軟性、耐衝撃性(耐衝撃強さ)に優れるので、それらの特性を生かして、縫合糸、ガーゼ等の組織縫合器具等に好適である。
これらの成形体は、靭性、柔軟性、耐衝撃性(耐衝撃強さ)に優れ、形状セット性を有しているため、それらの特性を生かして、ステント、プラグ、ネジ、ピン、スキャフォールド、ドラッグデリバリーシステム、骨固定材、骨接合材、骨セメント、歯周病手術時の歯根膜の組織再生を促すための器具等の体内埋込型の治療補助器具、ステープル、クリップ等の組織縫合器具、人工中耳、整形用移植片、神経導通体、人工血管等の人工組織等に好適である。
供することが可能となれば、その影響は甚大である。
薄肉ダンベル型試料の試験は約0.5mm厚のフィルムから2号型試験片の1/2の大きさのダンベル型を打ち抜き、JIS K7113に準じて実施した。試験機はOrientec (UCT) Tensilonを用いた。測定は同じ試料について3〜5回繰り返した。
以上の引張試験より引張弾性率、破断伸度を求めた。
薄肉ダンベル型試験片(厚さ約0.5mm、2号型試験片の1/2の大きさのダンベル型)を10mm/minの速度で、試験片の試験部有効長16mmが、32mmまで伸長されたときを、与えた歪量=100%、48mmまで伸長されたときを、与えた歪量=200%、として、伸長させた後、圧縮方向に同じ速度で戻し、そのときに荷重ゼロとなる点から残存歪率を求めた。試験機はOrientec (UCT) Tensilonを用いた。
薄肉の試料(約0.5mm厚)を用いてJIS K7160 (ISO 8256)に準じてシャルピー引張衝撃試験を実施した。試験機は東洋精機製のデジタル衝撃試験機を用いた。
(イ) 三井化学社製H-280 [190℃、2.16kg荷重におけるMFRは2.5g/10min、数平均分子量Mn=4.4万、重量平均分子量 Mw=13.5万、非晶性、ガラス転移温度=52.0℃](以下、PLA-1として略称することがある。)
(ロ) 三井化学社製 H-400 [190℃、2.16kg荷重におけるにおけるMFRは3g/10min、数平均分子量Mn=2.9万、重量平均分子量 Mw=10.5万、ガラス転移温度=60.2℃、融点=166℃](以下、PLA-2として略称することがある。)
(イ) 多木化学製 ラクチド−εカプロラクトン共重合体 [数平均分子量 Mn=約18万、ガラス転移温度=11.8℃、カプロラクトン含量=30.9重量%、カプロラクトン平均連続鎖長=1.91ユニットのランダム共重合体] (以下、P−1として略称することがある。)
(ロ) 多木化学製 ラクチド−εカプロラクトン共重合体 [数平均分子量 Mn=約19万、ガラス転移温度=−26.2℃、カプロラクトン含量=58.4重量%、カプロラクトン平均連続鎖長=3.2ユニットのランダム共重合体] (以下、P−2として略称することがある。)
(ハ) 多木化学製 ラクチド−トリメチレンカーボネート共重合体 [数平均分子量 Mn
=約19万、ガラス転移温度=6.2℃、トリメチレンカーボネート含量=52.1重量%、トリメチレンカーボネート平均連続鎖長=2.34ユニットのランダム共重合体] (以下、P−3として略称することがある。)
本発明で得られた樹脂組成物中の生理活性物質(薬剤)濃度はクロロフォルムを溶媒として蛍光分光検出器の付いたゲル浸透クロマトグラフにより、分析した。
ポリ乳酸含有組成物の試料調製には、本研究室で開発した小型二軸コニカルスクリュー押出成形機を用いた。(L/D=5、コニカルスクリュー根元径D=20mm、回転数範囲=0〜360rpm、温度範囲=常温〜400℃、バッチ式/フロー式の両モードの使用が可能)
推察される。
予めエタノールにて洗浄し、製造例及び参考製造例の樹脂組成物からなる乾燥した薄肉試験片(厚さ約0.5mm、12mm×12mm)1枚とパクリタキセル4.7−8.1mgを、相互に接触しないよう耐圧硝子製流通型圧力容器(内容積50cm3)内に設置した。パクリタキセルの使用量は、含浸条件におけるパクリタキセルの溶解度と試験片に吸収される量の双方を考慮し、何れの場合もパクリタキセルが大過剰となるように設定した。内部を低圧の二酸化炭素ガスによりパージしたのち、高圧ポンプ(日本分光製SCF―201)を用いて二酸化炭素圧入し、最終的に40℃、20MPaの超臨界状態とした。この内部の温度、圧力を保持したまま18−24時間放置し、パクリタキセルの含浸を行った。含浸過程の終了後、試験片の発泡を抑制するため、まず圧力を保持したまま室温まで冷却し、次いで0.1MPa/分以下の減圧速度となるよう徐々に二酸化炭素を容器内より放出して減圧を行って試料を得た。
あった。
Claims (15)
- (1)ガラス転移温度40℃以上のポリ乳酸からなる数平均分子量が6万〜70万の生分解性ポリマーを、全生分解性ポリマーに対して50.00〜99.99重量%、(2)ガラス転移温度又は副転移温度が40℃未満のラクチド−カプロラクトン共重合体及び/又はラクチド−トリメチレンカーボネート共重合体からなる数平均分子量が6万〜70万の生分解性ポリマーを、全生分解性ポリマーに対して0.01〜50.00重量%、及び(3)生理活性物質を、全樹脂組成物に対して0.001〜10.000重量%含むことを特徴とする樹脂組成物。
- 前記(1)ガラス転移温度40℃以上の生分解性ポリマーの重量平均分子量が10.5万〜13.5万であり、前記(2)ガラス転移温度又は副転移温度が40℃未満の生分解性ポリマーの数平均分子量が18万〜19万であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記(3)生理活性物質は、抗がん剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、アンギオテンシンII受容体拮抗薬、NO供
与剤、カルシウム拮抗薬、抗高脂血症薬、抗炎症剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイド、カロチノイド、脂質改善
薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、生
体由来材料、血管造影剤、及びインターフェロンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。 - 前記(3)生理活性物質は、樹脂組成物内に分散されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
(1)ガラス転移温度40℃以上のポリ乳酸からなる数平均分子量が6万〜70万の生分解性ポリマー、及び(2)ガラス転移温度又は副転移温度が40℃未満のラクチド−カ
プロラクトン共重合体及び/又はラクチド−トリメチレンカーボネート共重合体からなる数平均分子量が6万〜70万の生分解性ポリマーを溶融混練し、次に(3)生理活性物質を液体又は超臨界状態の二酸化炭素に溶解し、前記溶融混練した生分解性ポリマーに含浸させることを特徴とする製造方法。 - 請求項1〜4の何れか一項に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
(1)ガラス転移温度40℃以上のポリ乳酸からなる数平均分子量が6万〜70万の生分解性ポリマー、及び(2)ガラス転移温度又は副転移温度が40℃未満のラクチド−カプロラクトン共重合体及び/又はラクチド−トリメチレンカーボネート共重合体からなる数平均分子量が6万〜70万の生分解性ポリマーを溶融混練し、次に(3)生理活性物質を人体に無害な有機溶媒及び気体、液体又は超臨界状態の二酸化炭素の混合物に溶解し、前記溶融混練した生分解性ポリマーに含浸させることを特徴とする製造方法。 - 前記人体に無害な有機溶媒及び気体、液体又は超臨界状態の二酸化炭素の混合物が、エタノールと二酸化炭素の均一相である、請求項6に記載の製造方法。
- 前記生理活性物質の含浸は、生理活性物質の分解温度以下で行うことを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
- 前記成形体の形状は、フィルム状、シート状又は板状であることを特徴とする請求項9に記載の成形体。
- 前記成形体の形状は、網状、繊維状、不織布状、織布状又はフィラメント状であることを特徴とする請求項9に記載の成形体。
- 前記成形体の形状は、棒状、チューブ、パイプ、ボトル、又は円柱状であることを特徴とする請求項9に記載の成形体。
- 生体内に留置させる医療器具用であることを特徴とする請求項9〜12の何れか一項に記載の成形体。
- 前記医療器具が、体内埋込型の治療補助器具、組織縫合器具又は人工組織であることを特徴とする請求項13に記載の成形体。
- 前記体内埋込型の治療補助器具が、生体内消滅型ステントであることを特徴とする請求項14に記載の成形体。
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JP2007327660A JP5288370B2 (ja) | 2006-12-27 | 2007-12-19 | 生理活性物質を含む樹脂組成物とその製造方法 |
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