WO2012137573A1

WO2012137573A1 - 燃焼バーナ、固体燃料焚きバーナ並びに固体燃料焚きボイラ、ボイラ及びボイラの運転方法

Info

Publication number: WO2012137573A1
Application number: PCT/JP2012/055850
Authority: WO
Inventors: 啓吾松本; 和宏堂本; 直文阿部; 潤葛西
Original assignee: 三菱重工業株式会社
Priority date: 2011-04-01
Filing date: 2012-03-07
Publication date: 2012-10-11
Also published as: US20160356490A1; EP3015766B1; KR20140141682A; KR101609523B1; EP3015766A1; EP2696139A1; EP2696139B1; KR101531808B1; EP2998651A1; CN103443543B; TW201307757A; KR101547095B1; MY166869A; KR101547083B1; BR112013024962A2; TWI531762B; EP2998651B1; KR20140142327A; KR20140142326A; US20140011141A1

Abstract

　燃焼バーナにおいて、微粉炭と１次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズル（５１）と、この燃料ノズル（５１）の外側から２次空気を吹き込み可能な２次空気ノズル（５２）とを設けると共に、燃料ノズル（５１）の先端部における軸中心側に保炎器（５４）を設け、燃料ノズル（５１）の内壁面とこの保炎器（５４）との間に整流部材（５５）を設けることで、固体燃料と空気とが混合した燃料ガスの適正な流れを実現可能とする。

Description

燃焼バーナ、固体燃料焚きバーナ並びに固体燃料焚きボイラ、ボイラ及びボイラの運転方法

　本発明は、発電用または工場用などのために蒸気を生成するためのボイラに適用される燃焼バーナ、例えば、微粉炭等の固体燃料（粉体燃料）を焚く固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラ、固体燃料と空気を燃焼させることで蒸気を生成するボイラ及びボイラの運転方法に関するものである。

　例えば、従来の微粉炭焚きボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に複数の燃焼バーナが周方向に沿って配設されると共に、上下方向に複数段にわたって配置されている。この燃焼バーナは、石炭が粉砕された微粉炭（燃料）と１次空気との混合気が供給されると共に、高温の２次空気が供給され、この混合気と２次空気を火炉内に吹き込むことで火炎を形成し、この火炉内で燃焼可能となっている。そして、この火炉は、上部に煙道が連結され、この煙道に排ガスの熱を回収するための過熱器、再熱器、節炭器などが設けられており、火炉での燃焼により発生した排ガスと水との間で熱交換が行われ、蒸気を生成することができる。

　このような微粉炭焚きボイラや燃焼バーナとしては、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。

特開平０８－１３５９１９号公報特開２００６－１８９１８８号公報特開平８－２９６８１５号公報特願平９－２０３５０５号公報特開２００６－０５７９０３号公報特開２００８－１４５００７号公報

　上述した従来の燃焼バーナにあっては、微粉炭と空気との燃料ガスが保炎器に衝突したとき、この保炎器の後端部で流れが剥離し、保炎器前端部での保炎能力を十分に発揮することが困難となってしまう。また、従来のボイラにあっては、微粉炭が水分や揮発分を有していることから、ボイラの運転出力に基づいて運転パラメータを調整するしかなく、石炭の性状から直接運転パラメータを設定することが困難である。

　本発明は、固体燃料と空気とが混合した燃料ガスの適正な流れを実現可能とする燃焼バーナ、固体燃料焚きバーナ並びに固体燃料焚きボイラを提供することを目的とする。
　また、本発明は、固体燃料及びこの固体燃料に含有する揮発分を適正に燃焼して運転効率の向上を図るボイラ及びボイラの運転方法を提供することを目的とする。

　本発明の燃焼バーナは、固体燃料と空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズルと、該燃料ノズルの外側から空気を吹き込み可能な２次空気ノズルと、前記燃料ノズルの先端部における軸心側に設けられる保炎器と、前記燃料ノズルの内壁面と前記保炎器との間に設けられる整流部材と、備えることを特徴とするものである。

　従って、燃料ノズルの内壁面と保炎器との間に整流部材が設けられることで、燃料ノズル内を流れる燃料ガスは、この整流部材によりその流れが整流され、保炎器の後端部における流れの剥離が抑制されると共に、流速がほぼ一定となって固体燃料が燃料ノズルの壁面に堆積することが抑制されることとなり、燃料ガスの適正な流れを実現することができる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記整流部材は、前記保炎器と所定の隙間をもって配置されることを特徴としている。

　従って、整流部材と保炎器との間に所定の隙間が確保されることで、整流部材と保炎器との間を流れる燃料ガスは、その流れが整流され、保炎器による保炎機能を十分に発揮させることが可能となる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記整流部材は、前記保炎器との距離が燃料ガスの流れ方向に沿ってほぼ同じになるように設けられることを特徴としている。

　従って、整流部材により保炎器との距離が燃料ガスの流れ方向に沿ってほぼ同じになることで、この整流部材と保炎器との間を流れる燃料ガスは、その流速がほぼ一定となり、燃料ノズルへの固体燃料の堆積や保炎器への固体燃料の付着を抑制することができる。また、流路が極端に狭くなることがないことから、閉塞を防止することができる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記保炎器は、燃料ガスの流れ方向における下流側に拡幅部が設けられる一方、前記整流部材は、燃料ガスの流れ方向における下流側に先細部が設けられることを特徴としている。

　従って、保炎器の先端部に拡幅部を設けることで、確実な保炎を実現することかできる一方、整流部材の先端部に先細部を設けることで、保炎器と整流部材との距離を燃料ガスの流れ方向でほぼ一定とすることができる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記保炎器は、燃料ガスの流れ方向における下流側に拡幅部が設けられる一方、前記整流部材は、前記拡幅部に対向しない位置に設けられることを特徴としている。

　従って、保炎器の拡幅部に対向しない位置に整流部材を設けることで、保炎器の拡幅部と燃料ノズルとの間における燃料ガスの流路が狭くなることはなく、燃料ガスの流速がほぼ一定とし、燃料ノズルへの固体燃料の堆積や保炎器への固体燃料の付着を抑制することができる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記整流部材は、前記燃料ノズルの内壁面に沿って設けられることを特徴としている。

　従って、整流部材を燃料ノズルの内壁面に設けることで、別途取付部材などを不要とし、組付性を向上することができると共に、製造コストを低減することができる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記保炎器は、水平方向に沿って配置される第１保炎部材と、鉛直方向に沿って配置される第２保炎部材とが交差するように配置された構造をなすことを特徴としている。

　従って、保炎器を第１保炎部材と第２保炎部材とが交差する構造とすることで、十分な保炎機能を確保することが可能となる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記第１保炎部材と前記第２保炎部材とは、それぞれ複数の保炎部材からなり、前記第１保炎部材が複数鉛直方向に所定隙間をもって配置される一方、前記第２保炎部材が複数水平方向に所定隙間をもって配置され、前記複数の第１保炎部材と前記複数の第２保炎部材とが交差するように配置された構造をなすことを特徴としている。

　従って、保炎器をダブルクロス構造とすることで、十分な保炎機能を確保することが可能となる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記第１保炎部材と前記第２保炎部材のいずれか一方の幅を他方の幅に対して大きな幅に設定することを特徴としている。

　従って、水平方向に沿って配置された第１保炎部材の幅を大きくすると、この幅の広い第１保炎部材により水平方向における保炎機能を向上することが可能となる。また、鉛直方向に沿って配置された第２保炎部材の幅を大きくすると、蒸気温度制御などのためにノズルの向きを上下に振るときに第２保炎部材が悪影響を与えることなく、保炎機能を向上することが可能となる。これは、ノズルが上下に動いたとき、固体燃料の吹き込み位置に対する保炎部材の位置が、第１保炎部材だと大きく変わるのに対し、第２保炎部材だとほとんど変わらないからである。

　また、本発明の燃焼バーナは、固体燃料と空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズルと、該燃料ノズルの外側から空気を吹き込み可能な２次空気ノズルと、前記燃料ノズルの先端部における軸心側に設けられる保炎器と、前記燃料ノズル内を流れる燃料ガスを軸心側に導く案内部材と、備えることを特徴とするものである。

　従って、燃料ノズル内を流れる燃料ガスを軸心側に導く案内部材が設けられることで、燃料ノズル内を流れる燃料ガスは、この案内部材により燃料ノズルの軸心側に導かれることとなり、燃料ガスの適正な流れを実現することができ、その結果、内部保炎性能を向上することができ、ＮＯｘ発生量を低減することができる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記案内部材は、前記２次空気ノズルにより吹き込まれる２次空気から離間する方向に燃料ガスを導くことを特徴としている。

　従って、案内部材により、燃料ガスが２次空気から離間する方向に導かれることとなり、燃料ガスと２次空気との混合が抑制され、燃焼火炎の外周部が低温のまま維持されるため、燃焼ガスと２次空気との混合によるＮＯｘ発生量を低減することができる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記案内部材は、前記燃料ノズルの内壁面に沿って配置されることを特徴としている。

　従って、案内部材を燃料ノズルの内壁面に沿って配置することで、効果的に燃料ノズル内を流れる燃料ガスを軸心側に導くことで、この燃料ガスを２次空気から離間する方向に導くことができる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記案内部材は、前記燃料ノズルの先端部に前記保炎器と対向して配置されることを特徴としている。

　従って、案内部材を保炎器と対向して配置することで、内部保炎性能を向上することができる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記案内部材は、前記保炎器における前記燃料ノズルの内壁面と対向する位置に配置されることを特徴としている。

　従って、保炎器に沿って流れる燃料ガスを案内部材により効果的に保炎器の先端部に集めて保炎することが可能となる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記案内部材は、前記保炎器より燃料ガスの流れ方向の上流側に配置されることを特徴としている。

　従って、案内部材と保炎器が離間していることから、案内部材が保炎器における保炎機能を損なわせることがない。

　本発明の燃焼バーナでは、前記保炎器は、水平方向に沿って鉛直方向に所定隙間をもって平行をなす２つの第１保炎部材と、鉛直方向に沿って水平方向に所定隙間をもって平行をなす２つの第２保炎部材とが交差するように配置された構造をなし、前記案内部材は、前記第１保炎部材と前記第２保炎部材とが交差する位置の外側に配置されることを特徴としている。

　従って、保炎器をダブルクロス構造とすることで、十分な保炎機能を確保することが可能となり、案内部材により燃料ノズル内を流れる燃料ガスを効果的に軸心側に導くことができる。

　本発明の燃焼バーナでは、前記保炎器は、燃料ガスの流れ方向における下流側に拡幅部を有し、前記案内部材は、前記拡幅部に対向して配置されることを特徴としている。

　従って、十分な保炎機能を確保することが可能となる。

　本発明の燃焼バーナでは、水平方向に沿って鉛直方向に所定隙間をもって平行をなす２つの保炎部材を有し、前記保炎部材の先端部が前記燃料ノズルの軸心側を向くことで前記案内部材を構成することを特徴としている。

　従って、保炎部材により案内部材を構成することで、構造の簡素化を可能とすることができる。

　また、本発明の固体燃料焚きバーナは、バーナ部と追加空気投入部とに分けて低ＮＯｘ燃焼を行う固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、粉体燃料及び一次空気を炉内へ投入する燃料バーナと、該燃料バーナの外周から２次空気を噴射する２次空気投入ポートとを備え、前記燃料バーナの流路前方部に、内部保炎として複数方向の部材を交差させたクロスタイプのスプリット部材を配設し、該スプリット部材の幅寸法が方向毎に異なることを特徴とするものである。

　このような固体燃料焚きバーナによれば、固体燃料焚きバーナが、粉体燃料及び一次空気を炉内へ投入する燃料バーナと、該燃料バーナの外周から２次空気を噴射する２次空気投入ポートとを備え、燃料バーナの流路前方部に、内部保炎として複数方向の部材を交差させたクロスタイプのスプリット部材を配設し、該スプリット部材の幅寸法が方向毎に異なるので、出口開口中央付近に設置したスプリット部材は、微粉炭及び空気の流路を分割して流れを内部で乱すとともに、スプリット部材の前方に再循環域を形成するため、内部保炎機構として機能する。この結果、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域の抑制が可能となる。

　上記の発明において、前記クロスタイプのスプリット部材は、上下方向が幅広であることが好ましく、これにより、ノズル角度を上下方向に変化させてもスプリッタ部材との位置関係に変化が生じにくくなる。

　上記の発明において、前記クロスタイプのスプリット部材は、左右方向が幅広であることが好ましく、これにより、横方向のスプリッタ機能が強くなるので、上下方向から投入される２次空気との直接干渉を抑制できる。

　上記の発明において、前記クロスタイプのスプリット部材は、左右方向及び上下方向の少なくとも一方に３本以上配設され、かつ、左右方向及び上下方向の少なくとも一方の中央部が幅広であることが好ましく、これにより、外周着火を防止しながら内部着火を強化することができる。

　また、本発明の固体燃料焚きバーナは、バーナ部と追加空気投入部とに分けて低ＮＯｘ燃焼を行う固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、内部保炎を有する燃料バーナと、保炎しない２次空気投入ポートとを備え、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナであって、前記固体燃料焚きバーナが、粉体燃料及び一次空気を炉内へ投入する燃料バーナと、該燃料バーナの外周から２次空気を噴射する２次空気投入ポートとを備え、前記燃料バーナの流路前方部に複数方向の部材を交差させたクロスタイプのスプリット部材を配設し、前記スプリット部材が交差して形成される交差角部の少なくとも１箇所に流路断面積を低減する遮蔽部材を設けたことを特徴とするものである。

　このような固定燃料焚きバーナによれば、固体燃料焚きバーナが、粉体燃料及び一次空気を炉内へ投入する燃料バーナと、該燃料バーナの外周から２次空気を噴射する２次空気投入ポートとを備え、燃料バーナの流路前方部に複数方向の部材を交差させたクロスタイプのスプリット部材を配設し、スプリット部材が交差して形成される交差角部の少なくとも１箇所に流路断面積を低減する遮蔽部材を設けたので、クロスタイプのスプリット部材による内部保炎機能をさらに強化することができる。

　上記の発明において、前記固体燃料焚きボイラは、バーナ部と追加空気投入部とに分けて低ＮＯｘ燃焼を行うことが好ましく、これにより、追加投入空気を分けることでさらに還元を強めることができる。

　本発明の固体燃料焚きボイラは、粉体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、前記炉内のコーナ部あるいは壁面部に配置されていることを特徴とするものである。

　このような固体燃料焚きボイラによれば、粉体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、前記炉内のコーナ部あるいは壁面部に配置されているので、燃料バーナの出口開口中央付近に配置されて内部保炎機構として機能するスプリット部材が粉体燃料及び空気の流路を分割して流れを乱す。この結果、空気の混合及び拡散が火炎の内部まで促進されるようになり、さらに着火面が細分化されることにより、着火位置が火炎の中央に寄って燃料の未燃分を低減する。すなわち、火炎の中心部まで酸素が入り込みやすくなるので、内部着火が効果的に行われるようになり、従って、火炎内部で迅速な還元が行われてＮＯｘの発生量は低減される。

　本発明の固体燃料焚きバーナは、バーナ部と追加空気投入部とに分けて低ＮＯｘ燃焼を行う固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、粉体燃料及び一次空気を炉内へ投入する燃料バーナと、該燃料バーナの外周から２次空気を噴射するコール２次ポートとを備え、前記燃料バーナの流路前方部に内部保炎用部材としてスプリット部材を配設し、該スプリット部材の外周側で前記コール２次ポートに隣接する端部の一部が除去されていることを特徴とするものである。

　このような固体燃料焚きバーナによれば、固体燃料焚きバーナが、粉体燃料及び一次空気を炉内へ投入する燃料バーナと、該燃料バーナの外周から２次空気を噴射するコール２次ポートとを備え、前記燃料バーナの流路前方部に内部保炎用部材としてスプリット部材を配設し、該スプリット部材の外周側でコール２次ポートに隣接する端部の一部が除去されているので、出口開口中央付近に設置したスプリット部材は、微粉炭及び空気の流路を分割して流れを内部で乱す。さらに、このスプリット部材は、スプリット部材の前方に再循環域を形成するため、内部保炎機構として機能する。この結果、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域の抑制が可能となる。

　特に、スプリット部材の端部を除去した領域では、スプリット部材を着火源とする着火を抑制できるようになり、かつ、火炎内部となるスプリット部材の中心部側で保炎機能を有効に活用できる。

　上記の発明において、前記内部保炎用部材は、複数方向の部材を交差させたクロスタイプのスプリット部材であることが望ましい。

　上記の発明において、前記内部保炎用部材のスプリット部材は、少なくとも一方向に複数本配設されていることが望ましい。

　上記の発明において、前記クロスタイプのスプリット部材は、複数方向のうち少なくとも一方向の端部が除去されていることが望ましく、これにより、スプリット部材の端部における着火源を低減して内部着火の促進が可能になる。すなわち、上下及び左右の２方向を交差させたクロスタイプのスプリット部材は、上下及び左右の端部のうち、少なくともいずれかが除去されていればよい。
　特に、旋回燃焼方式の場合には、上下方向の端部を除去したスプリット部材とすることが望ましく、これにより、２次空気と直接干渉しやすい上下端に高温高酸素領域が形成されることを防止できる。

　上記の発明において、前記クロスタイプのスプリット部材は、上下及び左右方向の少なくとも一方に３本以上配設され、上下左右の中央部に配置された少なくとも一方を残して端部が除去されていることが好ましく、これにより、最も外周着火に寄与すると考えられる領域にはスプリット部材が存在しない構造となる。

　このような固体燃料焚きボイラによれば、粉体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、前記炉内のコーナ部あるいは壁面部に配置されているので、燃料バーナの出口開口中央付近に配置されて内部保炎機構として機能するスプリット部材が粉体燃料及び空気の流路を分割して流れを乱す。この結果、空気の混合及び拡散が火炎の内部まで促進されるようになり、さらに着火面が細分化されることにより、着火位置が火炎の中央に寄って燃料の未燃分を低減する。すなわち、火炎の中心部まで酸素が入り込みやすくなるので、内部着火が効果的に行われるようになり、従って、火炎内部で迅速な還元が行われてＮＯｘの発生量は低減される。
　特に、スプリット部材の端部を除去した領域では、スプリット部材が着火源となる着火を抑制できるようになり、かつ、火炎内部となるスプリット部材の中心部側で保炎機能を有効に活用できる。

　本発明のボイラは、固体燃料と空気を燃焼させる火炉と、該火炉内で熱交換を行って熱を回収する熱交換器と、前記火炉に固体燃料と１次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズルと、前記火炉に該燃料ノズルの外側から２次空気を吹き込み可能な２次空気ノズルと、前記火炉における前記燃料ノズル及び前記２次空気ノズルより上方に追加空気を吹き込み可能な追加空気ノズルと、前記燃料ノズルと前記２次空気ノズルと前記追加空気ノズルへ供給する空気量を調整可能な空気量調整装置と、固体燃料の揮発分に応じて前記空気量調整装置を制御する制御装置と、を備えることを特徴とするものである。

　従って、制御装置は、固体燃料の揮発分に応じて空気量調整装置を制御し、この空気量調整装置は、燃料ノズルと２次空気ノズルと追加空気ノズルへ供給する空気量を調整することで、固体燃料の揮発分に応じて１次空気量、２次空気量、追加空気量が調整されることとなり、固体燃料の揮発分を適正に燃焼することができると共に、固体燃料を適正に燃焼することができ、ＮＯｘや未燃分の発生を抑制してボイラ運転効率の向上を図ることができる。

　本発明のボイラでは、前記制御装置は、固体燃料の揮発分に応じて前記空気量調整装置を制御し、１次空気と２次空気との合計空気量と、追加空気の空気量との配分を調整することを特徴としている。

　従って、１次空気と２次空気との合計空気量が固体燃料の揮発分を燃焼させるために必要な空気量であり、固体燃料の揮発分に応じて１次空気と２次空気との合計空気量を変更することで、固体燃料の揮発分を適正に燃焼することができる。

　本発明のボイラでは、前記火炉に前記２次空気ノズルの外側から３次空気を吹き込み可能な３次空気ノズルを設け、前記制御装置は、固体燃料の揮発分に応じて前記空気量調整装置を制御し、１次空気と２次空気との合計空気量と、３次空気と追加空気との合計空気量との配分を調整することを特徴としている。

　従って、１次空気と２次空気との合計空気量を変更することで、固体燃料の揮発分を適正に燃焼することができる。

　本発明のボイラでは、前記制御装置は、前記空気量調整装置を制御し、１次空気量と追加空気量を予め設定された所定の空気量とし、固体燃料の揮発分に応じて２次空気と３次空気との配分を調整することを特徴としている。

　従って、１次空気は、固体燃料を搬送するための搬送用空気であり、追加空気は、固体燃料の燃焼を完結させてＮＯｘの発生を抑制するものであることから、これらを所定の空気量とし、固体燃料の揮発分に応じて２次空気と３次空気との配分を調整することで、所定の燃空比を維持しながら、固体燃料とその揮発分を適正に燃焼することができる。

　本発明のボイラでは、前記制御装置は、固体燃料の揮発分が増加すると、２次空気の配分を増加することを特徴としている。

　従って、２次空気は燃料ガスと混合して固体燃料を燃焼させるための燃焼用空気であることから、固体燃料の揮発分が増加すると、２次空気の配分を増加することで、固体燃料とその揮発分を適正に燃焼することができる。

　また、本発明のボイラの運転方法は、固体燃料と空気を燃焼させる火炉と、該火炉内で熱交換を行って熱を回収する熱交換器と、前記火炉に固体燃料と１次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズルと、前記火炉に該燃料ノズルの外側から２次空気を吹き込み可能な２次空気ノズルと、前記火炉における前記燃料ノズル及び前記２次空気ノズルより上方に追加空気を吹き込み可能な追加空気ノズルと、を備えるボイラにおいて、固体燃料の揮発分に応じて２次空気と３次空気との配分を調整する、ことを特徴とするものである。

　従って、固体燃料の揮発分に応じて２次空気と３次空気との配分を調整することで、固体燃料の揮発分を適正に燃焼することができると共に、固体燃料を適正に燃焼することができ、ＮＯｘや未燃分の発生を抑制してボイラ運転効率の向上を図ることができる。

　本発明のボイラの運転方法では、固体燃料の揮発分が増加すると２次空気の配分を増加することを特徴としている。

　本発明の燃焼バーナによれば、固体燃料と空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズルと、燃料ノズルの外側から空気を吹き込み可能な２次空気ノズルと、燃料ノズルの先端部における軸心側に設けられる保炎器と、燃料ノズルの内壁面と保炎器との間に設けられる整流部材とを設けるので、燃料ガスの適正な流れを実現することができる。

　また、本発明の燃焼バーナによれば、固体燃料と空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズルと、燃料ノズルの外側から空気を吹き込み可能な２次空気ノズルと、燃料ノズルの先端部における軸心側に設けられる保炎器と、燃料ノズル内を流れる燃料ガスを軸心側に導く案内部材とを設けるので、燃料ガスの適正な流れを実現することができ、その結果、内部保炎性能を向上することができる。

　また、本発明の固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラによれば、燃料バーナの出口開口に内部保炎機構として機能する複数方向のスプリット部材を設けたので、スプリット部材が交差する燃料バーナの出口開口中央付近では、粉体燃料及び空気の流路を分割して流れを乱すことができ、さらに、スプリット部材が着火面を細分化する。従って、着火位置が火炎の中央に寄り、中央では相対的に酸素濃度が低いため、火炎内部で迅速な還元が行われるようになり、固体燃料焚きボイラから最終的に排出されるＮＯｘの発生量は低減される。さらには、複数方向のスプリッタを設けたことで、内部の空気拡散が促進され、火炎が局所的に極端な酸素不足となり、未燃分が発生することを抑制できる。

　即ち、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域を抑制し、追加空気投入部から排出される最終的なＮＯｘ発生量の低減が可能になる。換言すれば、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域が抑制されることにより、予混合燃焼に近い燃焼をする火炎内部で発生したＮＯｘが効果的に還元されるので、追加空気投入部に到達するＮＯｘ量の減少及び追加空気投入により発生するＮＯｘ量の減少により、最終的に排出されるＮＯｘ量が減少するという顕著な効果が得られる。

　また、本発明のボイラ及びボイラの運転方法によれば、固体燃料の揮発分に応じて２次空気、３次空気、追加空気などの配分を調整するので、固体燃料及びこの固体燃料に含有する揮発分を適正に燃焼して運転効率の向上を図ることができる。

図１は、本発明の実施例１に係る燃焼バーナを表す正面図である。図２は、実施例１の燃焼バーナを表す断面図である。図３は、実施例１の燃焼バーナにおける変形例を表す断面図である。図４は、実施例１の燃焼バーナにおける変形例を表す断面図である。図５は、実施例１の燃焼バーナにおける変形例を表す正面図である。図６は、実施例１の燃焼バーナにおける変形例を表す断面図である。図７は、実施例１の燃焼バーナにおける変形例を表す断面図である。図８は、実施例１の燃焼バーナにおける変形例を表す正面図である。図９は、実施例１の燃焼バーナが適用された微粉炭焚きボイラを表す概略構成図である。図１０は、実施例１の微粉炭焚きボイラにおける燃焼バーナを表す平面図である。図１１は、本発明の実施例２に係る燃焼バーナを表す断面図である。図１２は、本発明の実施例３に係る燃焼バーナを表す断面図である。図１３は、本発明の実施例４に係る燃焼バーナを表す断面図である。図１４は、本発明の実施例５に係る燃焼バーナを表す断面図である。図１５は、本発明の実施例６に係る燃焼バーナを表す断面図である。図１６は、本発明の実施例７に係る燃焼バーナを表す正面図である。図１７は、実施例７の燃焼バーナを表す断面図である。図１８は、実施例７の燃焼バーナが適用された微粉炭焚きボイラを表す概略構成図である。図１９は、実施例７の微粉炭焚きボイラにおける燃焼バーナを表す平面図である。図２０は、本発明の実施例８に係る燃焼バーナを表す断面図である。図２１は、本発明の実施例９に係る燃焼バーナを表す正面図である。図２２は、本発明の実施例１０に係る燃焼バーナを表す正面図である。図２３は、本発明の実施例１１に係る燃焼バーナを表す断面図である。図２４は、実施例１１の燃焼バーナの変形例を表す断面図である。図２５は、本発明に係る固体燃料焚き（石炭燃料焚き）バーナについて実施例１２を示す図で、（ａ）は固体燃料焚きバーナを火炉内から見た正面図、（ｂ）は（ａ）に示す固体燃料焚きバーナのＡ－Ａ断面図（固体燃料焚きバーナの縦断面図）である。図２６は、図２５の固体燃料焚きバーナに空気を供給している空気供給系統を示す図である。図２７は、本発明に係る固体燃料焚き（石炭焚き）ボイラの構成例を示す縦断面図である。図２８は、図２４の横（水平）断面図である。図２９は、追加空気投入部を備えて空気を多段投入する固体燃料焚きボイラの概要を示す説明図である。図３０は、図２５に示した固体燃料焚きバーナのスプリット部材について、（ａ）は断面形状の一例を示す図、（ｂ）断面形状の第１変形例を示す図、（ｃ）は断面形状の第２変形例を示す図、（ｄ）は断面形状の第３変形例を示す図である。図３１は、本発明に係る固体燃料焚き（石炭燃料焚き）バーナについて実施例１４を示す図で、（ａ）は固体燃料焚きバーナを火炉内から見た正面図、（ｂ）は（ａ）に示す固体燃料焚きバーナのＢ－Ｂ断面図（固体燃料焚きバーナの縦断面図）である。図３２は、（ａ）は遮蔽部材の一形状例を示す図３１（ａ）のＣ－Ｃ断面図、（ｂ）は（ａ）に示した遮蔽部材の他の形状例を示す断面図である。図３３は、本発明に係る旋回燃焼ボイラ用の固体燃料焚き（石炭燃料焚き）バーナについて実施例１５を示す図で、（ａ）は固体燃料焚きバーナを火炉内から見た正面図、（ｂ）は（ａ）に示す固体燃料焚きバーナのＡ－Ａ断面図（固体燃料焚きバーナの縦断面図）である。図３４は、図３３の固体燃料焚きバーナに空気を供給している空気供給系統を示す図である。図３５は、本発明に係る固体燃料焚きボイラ（石炭焚きボイラ）の構成例を示す縦断面図である。図３６は、図３５の横（水平）断面図である。図３７は、追加空気投入部を備えて空気を多段投入する固体燃料焚きボイラの概要を示す説明図である。図３８は、図３３に示した固体燃料焚きバーナのスプリット部材について、（ａ）は断面形状の一例を示す図、（ｂ）断面形状の第１変形例を示す図、（ｃ）は断面形状の第２変形例を示す図、（ｄ）は断面形状の第３変形例を示す図である。図３９は、本発明の実施例１７に係るボイラとしての微粉炭焚きボイラを表す概略構成図である。図４０は、実施例１７の微粉炭焚きボイラにおける燃焼バーナを表す平面図である。図４１は、実施例１７の燃焼バーナを表す正面図である。図４２は、実施例１７の燃焼バーナを表す断面図である。図４３は、１次空気及び２次空気に対するＮＯｘ発生量及び未燃分発生量を表すグラフである。

　以下に添付図面を参照して、本発明の燃焼バーナ、固体燃料焚きバーナ並びに固体燃料焚きボイラ、ボイラ及びボイラの運転方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。

　従来の微粉炭焚きボイラの燃焼バーナとしては、上述した特許文献１に記載されたものがある。この特許文献１に記載された燃焼装置では、微粉炭噴出孔（１次流路）内部の中心と外周部との間に保炎器を設けることで、この保炎器に微粉炭濃縮流を衝突させ、広い負荷範囲において安定して低ＮＯｘ燃焼を可能としている。

　しかし、この従来の燃焼装置にあっては、微粉炭と空気との燃料ガスが保炎器に衝突したとき、この保炎器の後端部で流れが剥離し、保炎器前端部での保炎能力を十分に発揮することが困難となってしまう。また。微粉炭と空気との燃料ガスが流れる流路にて、保炎器の近傍では、この保炎器の配置により流路断面積が小さくなり、その上流側に比べて燃料ガスの流速が速くなる。すると、保炎器の上流側で燃料ガスの流速が遅くなり、この燃料ガスに含まれる微粉炭が流路の下部に堆積あるいは付着してしまう。

　実施例１は、この課題を解決するものであり、固体燃料と空気とが混合した燃料ガスの適正な流れを実現可能とする燃焼バーナを提供することを目的とする。

　図１は、本発明の実施例１に係る燃焼バーナを表す正面図、図２は、実施例１の燃焼バーナを表す断面図、図３及び図４は、実施例１の燃焼バーナにおける変形例を表す断面図、図５は、実施例１の燃焼バーナにおける変形例を表す正面図、図６及び図７は、実施例１の燃焼バーナにおける変形例を表す断面図、図８は、実施例１の燃焼バーナにおける変形例を表す正面図、図９は、実施例１の燃焼バーナが適用された微粉炭焚きボイラを表す概略構成図、図１０は、実施例１の微粉炭焚きボイラにおける燃焼バーナを表す平面図である。

　実施例１の燃焼バーナが適用された微粉炭焚きボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を固体燃料として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラである。

　この実施例１において、図９に示すように、微粉炭焚きボイラ１０は、コンベンショナルボイラであって、火炉１１と燃焼装置１２とを有している。火炉１１は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉１１を構成する火炉壁の下部に燃焼装置１２が設けられている。

　燃焼装置１２は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５を有している。本実施例にて、この燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５は、周方向に沿って４個均等間隔で配設されたものが１セットとして、鉛直方向に沿って５セット、つまり、５段配置されている。

　そして、各燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５は、微粉炭供給管２６，２７，２８，２９，３０を介して微粉炭機（ミル）３１，３２，３３，３４，３５に連結されている。この微粉炭機３１，３２，３３，３４，３５は、図示しないが、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブルが駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に対向して複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。従って、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送空気（１次空気）により分級された微粉炭を微粉炭供給管２６，２７，２８，２９，３０から燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５に供給することができる。

　また、火炉１１は、各燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５の装着位置に風箱３６が設けられており、この風箱３６に空気ダクト３７の一端部が連結されており、この空気ダクト３７は、他端部に送風機３８が装着されている。従って、送風機３８により送られた燃焼用空気（２次空気、３次空気）を、空気供給配管３７から風箱３６に供給し、この風箱３６から各燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５に供給することができる。

　そのため、燃焼装置１２にて、各燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５は、微粉炭と１次空気とを混合した微粉燃料混合気（燃料ガス）を火炉１１内に吹き込み可能であると共に、２次空気を火炉１１内に吹き込み可能となっており、図示しない点火トーチにより微粉燃料混合気に点火することで、火炎を形成することができる。

　なお、一般的に、ボイラの起動時には、各燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５は、油燃料を火炉１１内に噴射して火炎を形成している。

　火炉１１は、上部に煙道４０が連結されており、この煙道４０に、対流伝熱部として排ガスの熱を回収するための過熱器（スーパーヒータ）４１，４２、再熱器４３，４４、節炭器（エコノマイザ）４５，４６，４７が設けられており、火炉１１での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。

　煙道４０は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス管４８が連結されている。この排ガス管４８は、空気ダクト３７との間にエアヒータ４９が設けられ、空気ダクト３７を流れる空気と、排ガス管４８を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５に供給する燃焼用空気を昇温することができる。

　なお、排ガス管４８は、図示しないが、脱硝装置、電気集塵機、誘引送風機、脱硫装置が設けられ、下流端部に煙突が設けられている。

　従って、微粉炭機３１，３２，３３，３４，３５が駆動すると、生成された微粉炭が搬送用空気と共に微粉炭供給管２６，２７，２８，２９，３０を通して燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５に供給される。また、加熱された燃焼用空気が空気ダクト３７から風箱３６を介して各燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５に供給される。すると、燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５は、微粉炭と搬送用空気とが混合した微粉燃料混合気を火炉１１に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉１１に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。この火炉１１では、微粉燃料混合気と燃焼用空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉１１内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス（排ガス）がこの火炉１１内を上昇し、煙道４０に排出される。

　なお、火炉１１では、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。そして、微粉炭の燃焼により発生したＮＯｘが火炉１１で還元され、その後、アディショナルエアが追加供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるＮＯｘの発生量が低減される。

　このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器４５，４６，４７によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管（図示せず）に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器４１，４２に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器４１，４２で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント（例えば、タービン等）に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器４３，４４に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉１１をドラム型（蒸気ドラム）として説明したが、この構造に限定されるものではない。

　その後、煙道４０の節炭器４５，４６，４７を通過した排ガスは、排ガス管４８にて、図示しない脱硝装置にて、触媒によりＮＯｘなどの有害物質が除去され、電気集塵機で粒子状物質が除去され、脱硫装置により硫黄分が除去された後、煙突から大気中に排出される。

　ここで、燃焼装置１２について詳細に説明するが、この燃焼装置１２を構成する各燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５は、ほぼ同様の構成をなしていることから、最上段に位置する燃焼バーナ２１についてのみ説明する。

　燃焼バーナ２１は、図１０に示すように、火炉１１における４つの壁面に設けられる燃焼バーナ２１ａ，２１ｂ，２１ｃ，２１ｄから構成されている。各燃焼バーナ２１ａ，２１ｂ，２１ｃ，２１ｄは、微粉炭供給管２６から分岐した各分岐管２６ａ，２６ｂ，２６ｃ，２６ｄが連結されると共に、空気ダクト３７から分岐した各分岐管３７ａ，３７ｂ，３７ｃ，３７ｄが連結されている。

　従って、火炉１１の各壁面にある各燃焼バーナ２１ａ，２１ｂ，２１ｃ，２１ｄは、火炉１１に対して、微粉炭と搬送用空気が混合した微粉燃料混合気を吹き込むと共に、その微粉燃料混合気の外側に燃焼用空気を吹き込む。そして、各燃焼バーナ２１ａ，２１ｂ，２１ｃ，２１ｄからの微粉燃料混合気に着火することで、４つの火炎Ｆ１，Ｆ２，Ｆ３，Ｆ４を形成することができ、この火炎Ｆ１，Ｆ２，Ｆ３，Ｆ４は、火炉１１の上方から見て（図１０にて）反時計周り方向に旋回する火炎旋回流となる。

　このように構成された燃焼バーナ２１（２１ａ，２１ｂ，２１ｃ，２１ｄ）にて、図１及び図２に示すように、中心側から燃料ノズル５１と、２次空気ノズル５２と、３次空気ノズル５３とが設けられると共に、保炎器５４が設けられている。燃料ノズル５１は、微粉炭（固体燃料）と搬送用空気（１次空気）とを混合した燃料ガス（微粉燃料混合気）を吹き込み可能なものである。２次空気ノズル５２は、第１ノズル５１の外側に配置され、燃料ノズル５１から噴射された燃料ガスの外周側に燃焼用空気（２次空気）を吹き込み可能なものである。３次空気ノズル５３は、２次空気ノズル５２の外側に配置され、２次空気ノズル５２噴射された２次空気の外周側に３次空気を吹き込み可能なものである。

　また、保炎器５４は、燃料ノズル５１内であって、燃料ガスの吹き込み方向の下流側で、且つ、軸中心心側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用として機能するものである。この保炎器５４は、水平方向に沿う第１保炎部材６１，６２と、鉛直方向（上下方向）に沿う第２保炎部材６３，６４とを十字形状をなすように配置した、所謂、ダブルクロススプリット構造をなすものである。そして、各第１保炎部材６１，６２は、その厚さが一定な平板形状をなす平坦部６１ａ，６２ａと、この平坦部６１ａ，６２ａの前端部（燃料ガスの流れ方向の下流端部）に一体に設けられた拡幅部６１ｂ，６２ｂを有している。この拡幅部６１ｂ，６２ｂは、断面が二等辺三角形状をなし、燃料ガスの流れ方向の下流側に向って幅が広くなり、前端がこの燃料ガスの流れ方向に直交する平面となっている。なお、図示しないが、各第２保炎部材６３，６４についても同様の構造となっている。

　そのため、燃料ノズル５１及び２次空気ノズル５２は、長尺な管状構造を有し、燃料ノズル５１は、矩形状の開口部５１ａを有し、２次空気ノズル５２は、矩形リング状の開口部５２ａを有していることから、燃料ノズル５１と２次空気ノズル５２とは、二重管構造となっている。燃料ノズル５１及び２次空気ノズル５２の外側に、３次空気ノズル５３が二重管構造として配置されており、矩形リング状の開口部５３ａを有している。その結果、燃料ノズル５１の開口部５１ａの外側に２次空気ノズル５２の開口部５２ａが配設され、この２次空気ノズル５２の開口部５２ａの外側に３次空気ノズル５３の開口部５３ａが配設されることとなる。なお、３次空気ノズル５３は、二重管構造として配置せずに、２次空気ノズル５２の外周側に別途複数のノズルを配置して３次空気ノズルとしてもよい。

　これらのノズル５１，５２，５３は、開口部５１ａ，５２ａ，５３ａが同一面上に揃えられて配置されている。また、保炎器５４は、燃料ノズル５１の内壁面、または、燃料ガスが流れる流路の上流側から図示しない板材により支持されている。また、燃料ノズル５１は、内部にこの保炎器５４としての複数の保炎部材６１，６２，６３，６４が配置されていることから、燃料ガスの流路が９つに分割されることとなる。そして、保炎器５４は、前端部に幅が広がった拡幅部６１ｂ，６２ｂが位置することとなり、この拡幅部６１ｂ，６２ｂは、前端面が開口部５１ａと同一面上に揃えられている。

　また、実施例１の燃焼バーナ２１では、燃料ノズル５１の内壁面と保炎器５４との間に整流部材５５が設けられている。この整流部材５５は、燃料ノズル５１の内壁面と所定の隙間をもつと共に、保炎器５４と所定の隙間をもって配置されている。

　即ち、整流部材５５は、水平方向に沿う第１整流部材６５，６６と、鉛直方向（上下方向）に沿う第２整流部材６７，６８とを枠形状をなすように配置した構造をなすものである。即ち、第１整流部材６５は、燃料ノズル５１の上壁と第１保炎部材６１との間に位置し、第１整流部材６６と、燃料ノズル５１の下壁と第１保炎部材６２との間に位置している。また、第２整流部材６７は燃料ノズル５１の側壁（図１にて、左壁）と第２保炎部材６３との間に位置し、第２整流部材６８は、燃料ノズル５１の側壁（図１にて、右壁）と第２保炎部材６４との間に位置している。

　そして、各第１整流部材６５，６６は、その厚さが一定な平板形状をなす平坦部６５ａ，６６ａと、この平坦部６５ａ，６６ａの前端部（燃料ガスの流れ方向の下流端部）に一体に設けられた先細部６５ｂ，６６ｂを有している。この先細部６５ｂ，６６ｂは、断面が二等辺三角形状をなし、燃料ガスの流れ方向の下流側に向って幅が狭くなり、前端が鋭角となっている。なお、図示しないが、各第２整流部材６７，６８についても同様の構造となっている。

　この場合、各保炎部材６１，６２，６３，６４と各整流部材６５，６６，６７，６８とは、燃料ガスの流れ方向の長さがほぼ同様であり、燃料ガスの流れ方向に直交する方向に対向して配置されている。なお、各保炎部材６１，６２，６３，６４と各整流部材６５，６６，６７，６８とは、拡幅部６１ｂ，６２ｂと先細部６５ｂ，６６ｂも、燃料ガスの流れ方向の長さがほぼ同様であり、燃料ガスの流れ方向に直交する方向に対向して配置されている。

　保炎器５４と整流部材５５は、上述した拡幅部６１ｂ，６２ｂと先細部６５ｂ，６６ｂが設けられた形状となすことから、保炎器５４と整流部材５５とおける燃料ガスの流れ方向に直交する方向の距離が、燃料ガスの流れ方向に沿ってほぼ同じとなっている。

　従って、この燃焼バーナ２１では、微粉炭と１次空気とを混合した燃料ガスが燃料ノズル５１の開口部５１ａから炉内に吹き込まれると共に、その外側にて２次空気が２次空気ノズル５２の開口部５２ａから炉内に吹き込まれ、その外側にて３次空気が３次空気ノズル５３の開口部５３ａから炉内に吹き込まれる。このとき、燃料ガスは、燃料ノズル５１の開口部５１ａにて、保炎器５４により分岐されて着火され、燃焼して燃焼ガスとなる。また、この燃料ガスの外周に２次空気が吹き込まれることで、燃料ガスの燃焼が促進される。また、燃焼火炎の外周に、３次空気が吹き込まれることで、２次空気と３次空気の割合を調整し、最適な燃焼を得ることができる。

　そして、この燃焼バーナ２１では、保炎器５４がスプリット形状をなすので、燃料ガスが燃料ノズル５１の開口部５１ａにて保炎器５４により分岐され、このとき、保炎器５４が燃料ノズル５１の開口部５１ａの中央領域に配置され、この中央領域にて、燃料ガスの着火及び保炎が行われる。これにより、燃焼火炎の内部保炎（燃料ノズル５１の開口部５１ａの中央領域における保炎）が実現される。

　そのため、燃焼火炎の外部保炎が行われる構成と比較して、燃焼火炎の外周部が低温となり、２次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度を低くでき、燃焼火炎の外周部におけるＮＯｘ発生量が低減される。

　また、燃焼バーナ２１では、内部保炎する構成が採用されるため、燃料ガス及び燃焼空気（２次空気及び３次空気）が直進流として供給されることが好ましい。即ち、燃料ノズル５１、２次空気ノズル５２、３次空気ノズル５３が、燃料ガス、２次空気、３次空気を旋回させることなく直進流として供給する構造を有することが好ましい。この燃料ガス、２次空気、３次空気が直進流として噴射されて燃焼火炎が形成されるため、燃焼火炎を内部保炎する構成において、燃焼火炎内のガス循環が抑制される。これにより燃焼火炎の外周部が低温のまま維持され、２次空気との混合によるＮＯｘ発生量が低減される。

　更に、燃焼バーナ２１では、燃料ノズル５１と保炎器５４との間に、それぞれと所定の隙間をもって整流部材５５が設けられている。そのため、特に、保炎器５４と整流部材５５との間に流れる燃料ガスが整流されることで、保炎器５４の後端部における燃料ガスの剥離がなくなり、先端部に向けた燃料ガスの流れが形成されるため、この保炎器５４は、先端部で十分な保炎力を確保することができる。

　また、保炎器５４の先端部に拡幅部６１ｂ，６２ｂが設けられ、整流部材５５の先端部に先細部６５ｂ，６６ｂが設けられることから、保炎器５４と整流部材５５との間に形成される流路は、その長手方向でほぼ同様の通路断面積となり、ここを流れる燃料ガスの流速が均一化され、燃料ガスの流速が全体として低減するため、この保炎器５４は、先端部で十分な保炎力を確保することができる。また、微粉炭焚きボイラでは、蒸気温度や排ガス特性を調整する必要があり、その際にも整流部材５５により内部保炎確保することが可能となる。

　なお、燃焼バーナ２１にて、保炎器５４及び整流部材５５の構成は、上述した実施例に限定されるものではない。

　例えば、図３に示すように、燃焼バーナ２１にて、中心側から燃料ノズル５１と、２次空気ノズル５２と、３次空気ノズル５３とが設けられると共に、保炎器７１が設けられている。この保炎器７１は、燃料ノズル５１内であって、燃料ガスの吹き込み方向の下流側で、且つ、軸中心心側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用として機能するものである。この保炎器７１は、水平方向に沿う第１保炎部材７２，７３と、鉛直方向に沿う第２保炎部材（図示略）とを十字形状をなすように配置した、所謂、ダブルクロススプリット構造をなすものである。そして、第１保炎部材７２，７３は、断面が二等辺三角形状をなして燃料ガスの流れ方向の下流側に向って幅が広くなる拡幅形状となっており、前端が燃料ガスの流れ方向に直交する平面となっている。なお、各第２保炎部材についても同様の構造となっている。

　従って、燃料ガスが燃料ノズル５１の開口部５１ａにて保炎器７１により分岐されることで、前端面側に回りこんで燃焼火炎の内部保炎が可能となり、２次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度が低くなり、燃焼火炎の外周部におけるＮＯｘ発生量が低減される。また、このとき、整流部材５５により保炎器７１との間に流れる燃料ガスが整流されることで、燃料ガスの剥離がなくなり、また、ここを流れる燃料ガスの流速が均一化されて流速が低減するため、この保炎器７１は、先端部で十分な保炎力を確保することができる。

　また、図４に示すように、燃焼バーナ２１にて、中心側から燃料ノズル５１と、２次空気ノズル５２と、３次空気ノズル５３とが設けられると共に、保炎器５４が設けられている。そして、燃料ノズル５１の内壁面と保炎器５４との間に整流部材７５が設けられている。この整流部材７５は、燃料ノズル５１の内壁面と所定の隙間をもつと共に、保炎器５４と所定の隙間をもって配置されている。即ち、整流部材７５は、水平方向に沿う第１整流部材７６，７７と、鉛直方向（上下方向）に沿う第２整流部材（図示略）とを枠形状をなすように配置した構造をなすものである。そして、各第１整流部材７６，７７は、その厚さが一定な平板形状をなしている。なお、各第２整流部材についても同様の構造となっている。

　この場合、各整流部材７６，７７は、各保炎部材６１，６２より燃料ガスの流れ方向の長さが若干短くなっており、燃料ガスの流れ方向に直交する方向に対向して配置されている。即ち、各保炎部材６１，６２の平坦部６１ａ，６２ａと各整流部材７６，７７とは、燃料ガスの流れ方向の長さがほぼ同様となっている。

　保炎器５４と整流部材７５は、上述した拡幅部６１ｂ，６２ｂが設けられた形状となすことから、保炎器５４と整流部材７５とおける燃料ガスの流れ方向に直交する方向の距離が、燃料ガスの流れ方向に沿ってほぼ同じとなっている。そして、この保炎器５４は、燃料ガスの流れ方向における下流側に拡幅部６１ｂ，６２ｂが設けられる一方、整流部材７５は、この拡幅部６１ｂ，６２ｂに対向しない位置に設けられている。

　従って、燃料ガスが燃料ノズル５１の開口部にて保炎器５４により分岐されることで、前端面側に回りこんで燃焼火炎の内部保炎が可能となり、２次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度が低くなり、燃焼火炎の外周部におけるＮＯｘ発生量が低減される。また、このとき、整流部材７５により保炎器５４との間に流れる燃料ガスが整流されることで、燃料ガスの剥離がなくなり、また、ここを流れる燃料ガスの流速が均一化されて流速が低減するため、この保炎器５４は、先端部で十分な保炎力を確保することができる。

　また、図５に示すように、燃焼バーナ２１にて、中心側から燃料ノズル５１と、２次空気ノズル５２と、３次空気ノズル５３とが設けられると共に、保炎器８１が設けられている。そして、燃料ノズル５１の内壁面と保炎器８１との間に整流部材５５が設けられている。この保炎器８１は、燃料ノズル５１内であって、燃料ガスの吹き込み方向の下流側で、且つ、軸中心心側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用として機能するものである。この保炎器８１は、水平方向に沿う第１保炎部材８２，８３と、鉛直方向に沿う第２保炎部材８４，８５とを十字形状をなすように配置した、所謂、ダブルクロススプリット構造をなすものである。そして、第１保炎部材８２，８３は、第２保炎部材８４，８５に比べて大きな幅に設定されている。

　従って、燃料ガスが燃料ノズル５１の開口部５１ａにて保炎器８１により分岐されることで、前端面側に回りこんで燃焼火炎の内部保炎が可能となり、２次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度が低くなり、燃焼火炎の外周部におけるＮＯｘ発生量が低減される。この場合、第１保炎部材８２，８３は、第２保炎部材８４，８５より幅広であることから、第１保炎部材８２，８３は、第２保炎部材８４，８５より高い保炎能力を有している。本実施例のバーナ２１は、旋回燃焼方式であり、燃料ガスの上下から空気の供給があることから、内部保炎のために水平方向に高い保炎能力を確保することが有効となる。

　ここでは、水平方向に沿った第１保炎部材８２，８３を鉛直方向に沿った第２保炎部材８４，８５より大きな幅に設定することで、この幅の広い第１保炎部材８２，８３により水平方向における保炎機能を向上することが可能となる。一方で、鉛直方向に沿った第２保炎部材８４，８５を水平方向に沿った第１保炎部材８２，８３より大きな幅に設定するように構成してもよい。この場合、蒸気温度制御などのために燃料ノズル５１の向きを上下に振るときに、第２保炎部材８４，８５が悪影響を与えることなく、保炎機能を向上することが可能となる。これは、燃料ノズル５１が上下に動いたとき、燃料ガスの吹き込み位置に対する保炎部材の位置が、第１保炎部材８２，８３だと大きく変わるのに対し、第２保炎部材８４，８５だとほとんど変わらないからである。

　また、図６に示すように、燃焼バーナ２１にて、中心側から燃料ノズル５１と、２次空気ノズル５２と、３次空気ノズル５３とが設けられると共に、保炎器９１が設けられている。この保炎器９１は、燃料ノズル５１内であって、燃料ガスの吹き込み方向の下流側で、且つ、軸中心心側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用として機能するものである。この保炎器９１は、水平方向に沿う第１保炎部材９２，９３と、鉛直方向に沿う第２保炎部材（図示略）とを十字形状をなすように配置した、所謂、ダブルクロススプリット構造をなすものである。そして、第１保炎部材９２，９３は、平坦部９２ａ，９３ａと拡幅部９２ｂ，９３ｂと先細部９２ｃ，９３ｃとを有しており、先細部９２ｃ，９３ｃは、後端部に設けられて燃料ガスの流れ方向の上流側に向って幅が狭くなっている。なお、各第２保炎部材についても同様の構造となっている。

　そして、燃料ノズル５１の内壁面と保炎器９１との間に整流部材９５が設けられている。この整流部材９５は、燃料ノズル５１の内壁面と所定の隙間をもつと共に、保炎器９１と所定の隙間をもって配置されている。即ち、整流部材９５は、水平方向に沿う第１整流部材９６，９７と、鉛直方向（上下方向）に沿う第２整流部材（図示略）とを枠形状をなすように配置した構造をなすものである。そして、各第１整流部材９６，９７は、平坦部９６ａ，９７ａと先細部９６ｂ，９７ｂと先細部９６ｃ，９７ｃとを有しており、先細部９６ｃ，９７ｃは、後端部に設けられて燃料ガスの流れ方向の上流側に向って幅が狭くなっている。なお、各第２整流部材についても同様の構造となっている。

　従って、燃料ガスが燃料ノズル５１の開口部５１ａにて保炎器９１により分岐されることで、前端面側に回りこんで燃焼火炎の内部保炎が可能となり、２次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度が低くなり、燃焼火炎の外周部におけるＮＯｘ発生量が低減される。また、このとき、整流部材９５により保炎器９１との間に流れる燃料ガスが整流されることで、燃料ガスの剥離がなくなり、また、ここを流れる燃料ガスの流速が均一化されて流速が低減するため、この保炎器９１は、先端部で十分な保炎力を確保することができる。また、保炎器９１及び整流部材９５は、先細部９２ｃ，９３ｃ，９６ｃ，９７ｃが設けられていることで、燃料ガスが保炎器９１や整流部材９５に沿って滑らかに流れることとなり、剥離が抑制される。

　また、図７に示すように、燃焼バーナ２１にて、中心側から燃料ノズル５１と、２次空気ノズル５２と、３次空気ノズル５３とが設けられると共に、保炎器５４が設けられている。そして、燃料ノズル５１の内壁面と保炎器５４との間に整流部材１０１が設けられている。この整流部材１０１は、燃料ノズル５１の内壁面と所定の隙間をもつと共に、保炎器５４と所定の隙間をもって配置されている。即ち、整流部材１０１は、水平方向に沿う第１整流部材１０２，１０３と、鉛直方向（上下方向）に沿う第２整流部材（図示略）とを枠形状をなすように配置した構造をなすものである。そして、各第１整流部材１０２，１０３は、その厚さが一定な平板形状をなす平坦部１０２ａ，１０３ａと、その前端部（燃料ガスの流れ方向の下流端部）に一体に設けられた拡幅部１０２ｂ，１０３ｂを有している。なお、各第２整流部材についても同様の構造となっている。

　この場合、各整流部材１０２，１０３は、各保炎部材６１，６２より燃料ガスの流れ方向の長さが若干短くなっており、燃料ガスの流れ方向に直交する方向に対向して配置されている。即ち、各保炎部材６１，６２の平坦部６１ａ，６２ａと各整流部材１０２，１０３とは、燃料ガスの流れ方向の長さがほぼ同様となっている。

　従って、燃料ガスが燃料ノズル５１の開口部にて保炎器５４により分岐されることで、前端面側に回りこんで燃焼火炎の内部保炎が可能となり、２次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度が低くなり、燃焼火炎の外周部におけるＮＯｘ発生量が低減される。また、このとき、整流部材１０１により保炎器５４との間に流れる燃料ガスが整流されることで、燃料ガスの剥離がなくなり、また、ここを流れる燃料ガスの流速が均一化されて流速が低減するため、この保炎器５４は、先端部で十分な保炎力を確保することができる。更に、整流部材１０１が保炎器５４より短いことから、先端部に拡幅部１０２ｂ，１０３ｂを設けて保炎機能を付与しても、燃料ノズル５１の通路面積を極端に狭くすることがなく、保炎力を向上することができ、難燃性の燃料であっても安定燃焼させることができる。

　また、図８に示すように、燃焼バーナ２１にて、中心側から燃料ノズル１１１と、２次空気ノズル１１２と、３次空気ノズル１１３とが設けられると共に、保炎器１１４が設けられている。そして、燃料ノズル１１１の内壁面と保炎器１１４との間に整流部材１１５が設けられている。この場合、燃料ノズル１１１は、円形の開口部を有しており、２次空気ノズル１１２と３次空気ノズル１１３も、同様に、円筒形状をなしている。このような構成は、特に、燃焼バーナ２１を対向して配置した構成に適用される。

　保炎器１１４は、燃料ノズル１１１内であって、燃料ガスの吹き込み方向の下流側で、且つ、軸中心心側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用として機能するものである。この保炎器１１４は、水平方向に沿う２つの保炎部材と鉛直方向に沿う２つの保炎部材を交差するように配置している。また、整流部材１１５は、燃料ノズル１１１の内壁面と所定の隙間をもつと共に、保炎器１１４と所定の隙間をもって配置されている。即ち、整流部材１１５は、水平方向に沿う２つの整流部材と鉛直方向に沿う２つの整流部材とを枠形状をなすように配置した構造をなすものである。

　従って、燃料ガスが燃料ノズル１１１の開口部にて保炎器１１４により分岐されることで、前端面側に回りこんで燃焼火炎の内部保炎が可能となり、２次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度が低くなり、燃焼火炎の外周部におけるＮＯｘ発生量が低減される。また、このとき、整流部材１１５により保炎器１１４との間に流れる燃料ガスが整流されることで、燃料ガスの剥離がなくなり、また、ここを流れる燃料ガスの流速が均一化されて流速が低減するため、この保炎器１１４は、先端部で十分な保炎力を確保することができる。

　このように実施例１の燃焼バーナにあっては、微粉炭と１次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズル５１と、この燃料ノズル５１の外側から２次空気を吹き込み可能な２次空気ノズル５２とを設けると共に、燃料ノズル５１の先端部における軸中心側に保炎器５４を設け、燃料ノズル５１の内壁面とこの保炎器５４との間に整流部材５５を設けている。

　従って、燃料ノズル５１の内壁面と保炎器５４との間に整流部材５５を設けることで、燃料ノズル５１内を流れる燃料ガスは、この整流部材５５によりその流れが整流され、保炎器５４の後端部における燃料ガスの流れの剥離が抑制されると共に、流速がほぼ一定となって微粉炭燃料が燃料ノズル５１の内壁面に堆積（または、付着）することが抑制されることとなり、燃料ガスの適正な流れを実現することができる。

　また、実施例１の燃焼バーナでは、整流部材５５を保炎器５４と所定の隙間をもって配置している。従って、整流部材５５と保炎器５４との間に所定の隙間が確保されることで、整流部材５５と保炎器５４との間を流れる燃料ガスは、その流れが整流されて保炎器５４に適正に導入されることとなり、保炎器５４による保炎機能を十分に発揮させることが可能となる。

　また、実施例１の燃焼バーナでは、整流部材５５により、保炎器５４と整流部材５５との距離が燃料ガスの流れ方向に沿ってほぼ同じになるように設定している。従って、整流部材５５により保炎器５４との距離が燃料ガスの流れ方向に沿ってほぼ同じになることで、この整流部材５５と保炎器５４との間を流れる燃料ガスは、その流速がほぼ一定となり、燃料ノズル５１の微粉炭燃料の堆積や保炎器５４への微粉炭燃料の付着を抑制することができる。

　また、実施例１の燃焼バーナでは、保炎器５４における燃料ガスの流れ方向における下流側に拡幅部６１ｂ，６２ｂを設ける一方、整流部材５５における燃料ガスの流れ方向における下流側に先細部６５ｂ，６６ｂを設けている。従って、保炎器５４の先端部に拡幅部６１ｂ，６２ｂを設けることで、確実な保炎を実現することかできる一方、整流部材５５の先端部に先細部６５ｂ，６６ｂを設けることで、保炎器５４と整流部材５５との距離を燃料ガスの流れ方向でほぼ一定とすることができる。

　また、実施例１の燃焼バーナにあっては、保炎器５４を、水平方向に沿って鉛直方向に所定隙間をもって平行をなす２つの第１保炎部材６１，６２と、鉛直方向に沿って水平方向に所定隙間をもって平行をなす２つの第２保炎部材６３，６４とが交差するように配置した構造としている。従って、保炎器５４をダブルクロス構造とすることで、十分な保炎機能を確保することが可能となる。

　また、実施例１の燃焼バーナにあっては、保炎器５４における燃料ガスの流れ方向における下流側に拡幅部６１ｂ，６２ｂを設ける一方、整流部材７５をこの拡幅部拡幅部６１ｂ，６２ｂに対向しない位置に設けている。従って、保炎器５４の拡幅部６１ｂ，６２ｂに対向しない位置に整流部材７５を設けることで、保炎器５４の拡幅部６１ｂ，６２ｂと燃料ノズル５１との間における燃料ガスの流路が狭くなることはなく、燃料ガスの流速がほぼ一定とし、燃料ノズル５１の微粉炭燃料の堆積や保炎器５４への微粉炭燃料の付着を抑制することができる。

　図１１は、本発明の実施例２に係る燃焼バーナを表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

　実施例２の燃焼バーナにおいて、図１１に示すように、燃焼バーナ２１にて、中心側から燃料ノズル５１と、２次空気ノズル５２と、３次空気ノズル５３とが設けられると共に、保炎器１２１が設けられている。そして、燃料ノズル５１の内壁面と保炎器１２１との間に整流部材１２２が設けられている。

　保炎器１２１は、燃料ノズル５１の軸中心部に水平方向に沿うように配置されており、その構成は、実施例１で説明した第１保炎部材６１，６２とほぼ同様の構成となっている。即ち、保炎器１２１は、燃料ガスの流れ方向の下流側に向って幅が広くなる拡幅部を有し、前端が燃料ガスの流れ方向に直交する平面となっている。

　整流部材１２２は、燃料ノズル５１の内壁面に沿って固定されることで、保炎器１２１と所定の隙間をもって配置されている。即ち、整流部材１２２は、水平方向に沿う第１整流部材１２３，１２４を有しており、燃料ガスの流れ方向の下流端部に、保炎器１２１の拡幅部に上下に対向する傾斜部１２３ａ，１２４ａが設けられている。この場合、第１整流部材１２３，１２４を燃料ノズル５１の内壁面に直接固定したが、燃料ノズル５１の上流部から支持部材を延設して第１整流部材１２３，１２４を支持してもよい。

　そのため、保炎器１２１と整流部材１２２は、上述した拡幅部と傾斜部１２３ａ，１２４ａが対向して設けられた形状となり、保炎器１２１と整流部材１２２とおける燃料ガスの流れ方向に直交する方向の距離が、燃料ガスの流れ方向に沿ってほぼ同じとなっている。

　従って、燃料ガスが燃料ノズル５１の開口部５１ａにて保炎器１２１により分岐されることで、前端面側に回りこんで燃焼火炎の内部保炎が可能となり、２次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度が低くなり、燃焼火炎の外周部におけるＮＯｘ発生量が低減される。また、このとき、整流部材１２２により保炎器１２１との間に流れる燃料ガスが整流されることで、燃料ガスの剥離がなくなり、また、ここを流れる燃料ガスの流速が均一化されて流速が低減するため、この保炎器１２１は、先端部で十分な保炎力を確保することができる。

　このように実施例２の燃焼バーナにあっては、整流部材１２２を燃料ノズル５１の内壁面に設けている。従って、整流部材１２２を燃料ノズル５１の内壁面に設けることで、別途、取付部材などを不要とし、簡単に整流部材１２２を支持することが可能となり、整流部材１２２の組付性を向上することができると共に、製造コストを低減することができる。また、２次空気の混合を遅らせることができ、更に、外周の高温高酸素領域を低減することができる。

　図１２は、本発明の実施例３に係る燃焼バーナを表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

　実施例３の燃焼バーナにおいて、図１２に示すように、燃焼バーナ２１にて、中心側から燃料ノズル５１と、２次空気ノズル５２と、３次空気ノズル５３とが設けられると共に、保炎器１３１が設けられている。そして、この保炎器１３１の内側に整流部材１３５が設けられている。

　保炎器１３１は、燃料ノズル５１の軸中心部に水平方向に沿うように配置されており、水平方向に沿う２つの保炎部材と鉛直方向に沿う２つの保炎部材を交差するように配置されている。また、整流部材１３５は、保炎器１３１における各保炎部材の間に位置して水平方向と鉛直方向に交差して十字形状をなす第１整流部材１３６と、保炎器１３１及び整流部材１３６より上流側に位置して燃料ノズル５１の内壁面に固定される第２整流部材１３７，１３８とを有している。

　第１整流部材１３６は、燃料ノズル５１の内壁面に固定されることで、保炎器１３１と所定の隙間をもって配置されている。また、第２整流部材１３７，１３８は、保炎器１３１より燃料ガスの上流側で、燃料ノズル５１の内壁面に固定されており、燃料ノズル５１内を流れる燃料ガスをその中心部側に導くことができる。

　従って、燃料ガスが燃料ノズル５１にて保炎器１３２，１３３により分岐されることで、前端面側に回りこんで燃焼火炎の内部保炎が可能となり、２次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度が低くなり、燃焼火炎の外周部におけるＮＯｘ発生量が低減される。また、このとき、第２整流部材１３７，１３８により燃料ガスが燃料ノズル５１の中心部側に導き、第１整流部材１３６により保炎器１３２との間に流れる燃料ガスが整流されることで、燃料ガスの剥離がなくなり、また、ここを流れる燃料ガスの流速が均一化されて流速が低減するため、この保炎器１３２は、先端部で十分な保炎力を確保することができる。

　このように実施例３の燃焼バーナにあっては、整流部材１３５として、保炎器１３１の内側に位置して十字形状をなす第１整流部材１３６と、保炎器１３１より上流側に位置する第２整流部材１３７，１３８とを設けている。従って、燃料ノズル５１内を流れる燃料ガスは、この第２整流部材１３７，１３８により燃料ノズル５１の中心部側に導かれ、第１整流部材１３６によりその流れが整流されることとなり、燃料ガスの適正な流れを実現することができる。

　図１３は、本発明の実施例４に係る燃焼バーナを表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

　実施例４の燃焼バーナにおいて、図１３に示すように、燃焼バーナ２１にて、中心側から燃料ノズル５１と、２次空気ノズル５２と、３次空気ノズル５３とが設けられると共に、保炎器５４が設けられている。そして、この保炎器５４の内側に整流部材１４１が設けられている。保炎器１３１は、燃料ノズル５１の軸中心部に水平方向に沿うように配置されている。整流部材１４１は、保炎器５４の内側で水平方向と鉛直方向に交差して十字形状をなしている。この場合、整流部材１４１は、先端部が保炎器５４より上流側に位置している。

　従って、燃料ガスが燃料ノズル５１にて保炎器５４により分岐されることで、前端面側に回りこんで燃焼火炎の内部保炎が可能となり、２次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度が低くなり、燃焼火炎の外周部におけるＮＯｘ発生量が低減される。また、このとき、整流部材１４１により保炎器５４との間に流れる燃料ガスが整流されることで、燃料ガスの剥離がなくなり、また、ここを流れる燃料ガスの流速が均一化されて流速が低減するため、この保炎器５４は、先端部で十分な保炎力を確保することができる。

　このように実施例４の燃焼バーナにあっては、保炎器５４の内側に燃料ノズル５１の内壁面に固定するように整流部材１４１を設けている。従って、燃料ノズル５１内を流れる燃料ガスは、整流部材１４１によりその流れが整流されることとなり、燃料ガスの適正な流れを実現することができる。

　図１４は、本発明の実施例５に係る燃焼バーナを表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

　実施例５の燃焼バーナにおいて、図１４に示すように、燃焼バーナ２１にて、中心側から燃料ノズル５１と、２次空気ノズル５２と、３次空気ノズル５３とが設けられると共に、保炎器１２１が設けられている。そして、燃料ノズル５１の内壁面と保炎器１２１との間に整流部材１５１が設けられている。

　保炎器１２１は、燃料ノズル５１の軸中心部に水平方向に沿うように配置されており、その構成は、実施例１で説明した第１保炎部材６１，６２とほぼ同様の構成となっている。整流部材１５１は、燃料ノズル５１の内壁面と所定の隙間をもつと共に、保炎器１２１と所定の隙間をもって配置されている。即ち、整流部材１５１は、水平方向に沿う第１整流部材１５２，１５３と、鉛直方向（上下方向）に沿う第２整流部材（図示略）とを枠形状をなすように配置した構造をなすものである。そして、各第１整流部材１５２，１５３は、先端部が保炎器１２１に接近し、後端部が保炎器１２１から離間するように傾斜配置されている。なお、各第２整流部材についても同様の構造となっている。

　この場合、各整流部材１５２，１５３は、先端部が保炎器１２１に接近していることから、整流部材１５２，１５３と保炎器１２１との間の隙間が下流側に行くほど狭くなっている。

　従って、燃料ガスが燃料ノズル５１の開口部にて保炎器１２１により分岐されることで、前端面側に回りこんで燃焼火炎の内部保炎が可能となり、２次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度が低くなり、燃焼火炎の外周部におけるＮＯｘ発生量が低減される。また、このとき、整流部材１５１により保炎器１２１との間に流れる燃料ガスが整流されることで、燃料ガスの剥離がなくなり、また、ここを流れる燃料ガスの流速が均一化されて流速が低減するため、この保炎器１２１は、先端部で十分な保炎力を確保することができる。

　このように実施例５の燃焼バーナにあっては、保炎器１２１の外側に燃料ノズル５１の内壁面に固定するように整流部材１５１を設け、先端部を保炎器１２１側に接近するように傾斜させている。従って、燃料ノズル５１内を流れる燃料ガスは、整流部材１５１によりその流れが整流されることとなり、燃料ガスの適正な流れを実現することができる。

　図１５は、本発明の実施例６に係る燃焼バーナを表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

　実施例６の燃焼バーナにおいて、図１５に示すように、燃焼バーナ２１にて、中心側から燃料ノズル５１と、２次空気ノズル５２と、３次空気ノズル５３とが設けられると共に、保炎器１６１が設けられている。この保炎器１６１は、水平方向に沿う第１保炎部材１６２，１６３と、鉛直方向に沿う第２保炎部材（図示略）とを十字形状をなすように配置した、所謂、ダブルクロススプリット構造をなすものである。そして、第１保炎部材１６２，１６３は、所定厚さの板形状となっている。なお、各第２保炎部材についても同様の構造となっている。

　本実施例は、この保炎器１６１における各保炎部材１６２，１６３の外面が整流部材として機能する。

　従って、燃料ガスが燃料ノズル５１の開口部５１ａにて保炎器１６１により分岐されることで、前端面側に回りこんで燃焼火炎の内部保炎が可能となり、２次空気により高酸素雰囲気下にある燃焼火炎の外周部の温度が低くなり、燃焼火炎の外周部におけるＮＯｘ発生量が低減される。また、このとき、保炎器１６１の外面により燃料ノズル５１と保炎器１６１との間に流れる燃料ガスが整流されることで、燃料ガスの剥離がなくなり、また、ここを流れる燃料ガスの流速が均一化されて流速が低減するため、この保炎器１６１は、先端部で十分な保炎力を確保することができる。

　なお、上述した各実施例にて、各保炎器の構成を各種挙げて説明したが、この構成は上述したものに限定されるものではない。即ち、本発明のバーナは、内部保炎を実現するものであり、燃料ノズルの内壁面ではなくて、燃料ノズルの軸心側に保炎器が設けられていればよく、保炎部材の数や位置などは適宜設定すればよいものであり、保炎部材が燃料ノズルの内壁面から離間していてもよいものである。また、整流部材の構成も各種挙げて説明したが、この構成も上述したものに限定されるものではない。即ち、整流部材が燃料ノズルの内壁面と保炎器との間にあればよいものであり、保炎器が複数ある場合には、整流部材が保炎器の間に配置されることも含んでいる。

　また、上述した各実施例では、燃焼装置１２として、火炉１１の壁面に設けられる４つの各燃焼バーナ２１，２２，２３，２４，２５を鉛直方向に沿って５段配置して構成したが、この構成に限定されるものではない。即ち、燃焼バーナを壁面に配置せずにコーナーに配置してもよい。また、燃焼装置は、旋回燃焼方式に限らず、燃焼バーナを一つの壁面に配置したフロント燃焼方式、燃焼バーナを二つの壁面に対向配置した対向燃焼方式としてもよい。

　また、本発明の保炎器は、三角形断面形状の拡幅部を設けたが、この形状に限定されるものではなく四角形状でもよく、拡幅部をなくしてもよいものである。

　従来の微粉炭焚きボイラの燃焼バーナとしては、例えば、上述した特許文献１に記載されたものがある。特許文献１に記載された燃焼装置では、微粉炭噴出孔（１次流路）内部の中心と外周部との間に保炎器を設けることで、この保炎器に微粉炭濃縮流を衝突させ、広い負荷範囲において安定して低ＮＯｘ燃焼を可能としている。

　しかし、この従来の燃焼装置にあっては、微粉炭と空気との燃焼ガスが保炎器に衝突したとき、この保炎器の後端部で流れが剥離し、保炎器前端部での保炎能力を十分に発揮することが困難となってしまう。すると、保炎器の外側で着火が発生し、ＮＯｘが発生してしまうという問題がある。

　本発明は、上述した課題を解決するものであり、固体燃料と空気とが混合した燃料ガスの適正な流れを実現してＮＯｘ発生量を低減可能とする燃焼バーナを提供することを目的とする。

　図１６は、本発明の実施例７に係る燃焼バーナを表す正面図、図１７は、実施例７の燃焼バーナを表す断面図、図１８は、実施例７の燃焼バーナが適用された微粉炭焚きボイラを表す概略構成図、図１９は、実施例７の微粉炭焚きボイラにおける燃焼バーナを表す平面図である。

　実施例７の燃焼バーナが適用された微粉炭焚きボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を固体燃料として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラである。

　この実施例７において、図１８に示すように、微粉炭焚きボイラ２１０は、コンベンショナルボイラであって、火炉２１１と燃焼装置２１２とを有している。火炉２１１は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉２１１を構成する火炉壁の下部に燃焼装置２１２が設けられている。

　燃焼装置２１２は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５を有している。本実施例にて、この燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５は、周方向に沿って４個均等間隔で配設されたものが１セットとして、鉛直方向に沿って５セット、つまり、５段配置されている。

　そして、各燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５は、微粉炭供給管２２６，２２７，２２８，２２９，２３０を介して微粉炭機（ミル）２３１，２３２，２３３，２３４，２３５に連結されている。この微粉炭機２３１，２３２，２３３，２３４，２３５は、図示しないが、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブルが駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に対向して複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。従って、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送空気（１次空気）により分級された微粉炭を微粉炭供給管２２６，２２７，２２８，２２９，２３０から燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５に供給することができる。

　また、火炉２１１は、各燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５の装着位置に風箱２３６が設けられており、この風箱２３６に空気ダクト２３７の一端部が連結されており、この空気ダクト２３７は、他端部に送風機２３８が装着されている。従って、送風機２３８により送られた燃焼用空気（２次空気、３次空気）を、空気ダクト２３７から風箱２３６に供給し、この風箱２３６から各燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５に供給することができる。

　そのため、燃焼装置２１２にて、各燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５は、微粉炭と１次空気とを混合した微粉燃料混合気（燃料ガス）を火炉２１１内に吹き込み可能であると共に、２次空気を火炉２１１内に吹き込み可能となっており、図示しない点火トーチにより微粉燃料混合気に点火することで、火炎を形成することができる。

　なお、一般的に、ボイラの起動時には、各燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５は、油燃料を火炉２１１内に噴射して火炎を形成している。

　火炉２１１は、上部に煙道２４０が連結されており、この煙道２４０に、対流伝熱部として排ガスの熱を回収するための過熱器（スーパーヒータ）２４１，２４２、再熱器２４３，２４４、節炭器（エコノマイザ）２４５，２４６，２４７が設けられており、火炉２１１での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。

　煙道２４０は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス管２４８が連結されている。この排ガス管２４８は、空気ダクト２３７との間にエアヒータ２４９が設けられ、空気ダクト２３７を流れる空気と、排ガス管２４８を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５に供給する燃焼用空気を昇温することができる。

　なお、排ガス管２４８は、図示しないが、脱硝装置、電気集塵機、誘引送風機、脱硫装置が設けられ、下流端部に煙突が設けられている。

　従って、微粉炭機２３１，２３２，２３３，２３４，２３５が駆動すると、生成された微粉炭が搬送用空気と共に微粉炭供給管２２６，２２７，２２８，２２９，２３０を通して燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５に供給される。また、加熱された燃焼用空気が空気ダクト２３７から風箱２３６を介して各燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５に供給される。すると、燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５は、微粉炭と搬送用空気とが混合した微粉燃料混合気を火炉２１１に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉２１１に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。この火炉２１１では、微粉燃料混合気と燃焼用空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉２１１内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス（排ガス）がこの火炉２１１内を上昇し、煙道２４０に排出される。

　なお、火炉２１１では、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。そして、微粉炭の燃焼により発生したＮＯｘが火炉２１１で還元され、その後、アディショナルエアが追加供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるＮＯｘの発生量が低減される。

　このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器２４５，２４６，２４７によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管（図示せず）に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器２４１，２４２に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器２４１，２４２で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント（例えば、タービン等）に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器２４３，２４４に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉２１１をドラム型（蒸気ドラム）として説明したが、この構造に限定されるものではない。

　その後、煙道２４０の節炭器２４５，２４６，２４７を通過した排ガスは、排ガス管２４８にて、図示しない脱硝装置にて、触媒によりＮＯｘなどの有害物質が除去され、電気集塵機で粒子状物質が除去され、脱硫装置により硫黄分が除去された後、煙突から大気中に排出される。

　ここで、燃焼装置２１２について詳細に説明するが、この燃焼装置２１２を構成する各燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５は、ほぼ同様の構成をなしていることから、最上段に位置する燃焼バーナ２２１についてのみ説明する。

　燃焼バーナ２２１は、図１９に示すように、火炉２１１における４つの壁面に設けられる燃焼バーナ２２１ａ，２２１ｂ，２２１ｃ，２２１ｄから構成されている。各燃焼バーナ２２１ａ，２２１ｂ，２２１ｃ，２２１ｄは、微粉炭供給管２２６から分岐した各分岐管２２６ａ，２２６ｂ，２２６ｃ，２２６ｄが連結されると共に、空気ダクト２３７から分岐した各分岐管２３７ａ，２３７ｂ，２３７ｃ，２３７ｄが連結されている。

　従って、火炉２１１の各壁面にある各燃焼バーナ２２１ａ，２２１ｂ，２２１ｃ，２２１ｄは、火炉２１１に対して、微粉炭と搬送用空気が混合した微粉燃料混合気を吹き込むと共に、その微粉燃料混合気の外側に燃焼用空気を吹き込む。そして、各燃焼バーナ２２１ａ，２２１ｂ，２２１ｃ，２２１ｄからの微粉燃料混合気に着火することで、４つの火炎Ｆ１，Ｆ２，Ｆ３，Ｆ４を形成することができ、この火炎Ｆ１，Ｆ２，Ｆ３，Ｆ４は、火炉２１１の上方から見て（図１９にて）反時計周り方向に旋回する火炎旋回流となる。

　このように構成された燃焼バーナ２２１（２２１ａ，２２１ｂ，２２１ｃ，２２１ｄ）にて、図１６及び図１７に示すように、中心側から燃料ノズル２５１と、２次空気ノズル２５２と、３次空気ノズル２５３とが設けられると共に、保炎器２５４が設けられている。燃料ノズル２５１は、微粉炭（固体燃料）と搬送用空気（１次空気）とを混合した燃料ガス（微粉燃料混合気）を吹き込み可能なものである。２次空気ノズル２５２は、燃料ノズル２５１の外側に配置され、燃料ノズル２５１から噴射された燃料ガスの外周側に燃焼用空気（２次空気）を吹き込み可能なものである。３次空気ノズル２５３は、２次空気ノズル２５２の外側に配置され、２次空気ノズル２５２から噴射された２次空気の外周側に３次空気を吹き込み可能なものである。

　また、保炎器２５４は、燃料ノズル５１内であって、燃料ガスの吹き込み方向の下流側で、且つ、軸中心側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用として機能するものである。この保炎器２５４は、水平方向に沿う第１保炎部材２６１，２６２と、鉛直方向（上下方向）に沿う第２保炎部材２６３，２６４とを十字形状をなすように配置した、所謂、ダブルクロススプリット構造をなすものである。そして、各第１保炎部材２６１，２６２は、その厚さが一定な平板形状をなす平坦部２６１ａ，２６２ａと、この平坦部２２６１ａ，２６２ａの前端部（燃料ガスの流れ方向の下流端部）に一体に設けられた拡幅部６１ｂ，２６２ｂを有している。この拡幅部２６１ｂ，２６２ｂは、断面が二等辺三角形状をなし、燃料ガスの流れ方向の下流側に向って幅が広くなり、前端がこの燃料ガスの流れ方向に直交する平面となっている。なお、図示しないが、各第２保炎部材２６３，２６４についても同様の構造となっている。

　そのため、燃料ノズル２５１及び２次空気ノズル２５２は、長尺な管状構造を有し、燃料ノズル２５１は、矩形状の開口部２５１ａを有し、２次空気ノズル２５２は、矩形リング状の開口部２５２ａを有していることから、燃料ノズル２５１と２次空気ノズル２５２とは、二重管構造となっている。燃料ノズル２５１及び２次空気ノズル２５２の外側に、３次空気ノズル２５３が二重管構造として配置されており、矩形リング状の開口部２５３ａを有している。その結果、燃料ノズル２５１の開口部２５１ａの外側に２次空気ノズル２５２の開口部２５２ａが配設され、この２次空気ノズル２５２の開口部２５２ａの外側に３次空気ノズル２５３の開口部２５３ａが配設されることとなる。なお、３次空気ノズル２５３は、二重管構造として配置せずに、２次空気ノズル２５２の外周側に別途複数のノズルを配置して３次空気ノズルとしてもよい。

　これらのノズル２５１，２５２，２５３は、開口部２５１ａ，２５２ａ，２５３ａが同一面上に揃えられて配置されている。また、保炎器２５４は、燃料ノズル２５１の内壁面、または、燃料ガスが流れる流路の上流側から図示しない板材により支持されている。また、燃料ノズル２５１は、内部にこの保炎器２５４としての複数の保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４が配置されていることから、燃料ガスの流路が９つに分割されることとなる。そして、保炎器２５４は、前端部に幅が広がった拡幅部２６１ｂ，２６２ｂが位置することとなり、この拡幅部２６１ｂ，２６２ｂは、前端面が開口部２５１ａと同一面上に揃えられている。

　また、実施例７の燃焼バーナ２２１では、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスを軸心側に導く案内部材２５５が設けられている。この案内部材２５５は、２次空気ノズル２５２により吹き込まれる２次空気から離間する方向に燃料ガスを導くものである。

　この案内部材２５５は、燃料ノズル２５１の先端部にその内壁面に周方向に沿って配置されている。即ち、案内部材２５５は、燃料ノズル２５１の上壁面に沿って配置される上案内部材２６５と、燃料ノズル２５１の下壁面に沿って配置される下案内部材２６６と、燃料ノズル２５１の左右壁面に沿って配置される左右案内部材２６７，２６８とを有している。そして、この案内部材２５５は、燃料ノズル２５１の先端部に保炎器２５４の拡幅部２６１ｂ，２６２ｂに対向するように配置されている。そして、案内部材２５５は、断面が三角形状をなし、燃料ガスの流れ方向の下流側に向ってその幅が広くなるような傾斜面２６９が形成されており、前端がこの燃料ガスの流れ方向に直交する平面となり、開口部２５１ａ，２５２ａと同一面上に揃えられている。なお、この案内部材５５は、各保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４と交差する位置が切り欠かれて形成されている。

　従って、この燃焼バーナ２２１では、微粉炭と１次空気とを混合した燃料ガスが燃料ノズル２５１の開口部２５１ａから炉内に吹き込まれると共に、その外側にて２次空気が２次空気ノズル２５２の開口部２５２ａから炉内に吹き込まれ、その外側にて３次空気が３次空気ノズル２５３の開口部２５３ａから炉内に吹き込まれる。このとき、燃料ガスは、燃料ノズル２５１の開口部２５１ａにて、保炎器２５４により分岐されて着火され、燃焼して燃焼ガスとなる。また、この燃料ガスの外周に２次空気が吹き込まれることで、燃料ガスの燃焼が促進される。また、燃焼火炎の外周に、３次空気が吹き込まれることで、２次空気と３次空気の割合を調整し、最適な燃焼を得ることができる。

　そして、この燃焼バーナ２２１では、保炎器２５４がスプリット形状をなすので、燃料ガスが燃料ノズル２５１の開口部２５１ａにて保炎器２５４により分岐され、このとき、保炎器２５４が燃料ノズル２５１の開口部２５１ａの中央領域に配置され、この中央領域にて、燃料ガスの着火及び保炎が行われる。これにより、燃焼火炎の内部保炎（燃料ノズル２５１の開口部２５１ａの中央領域における保炎）が実現される。

　また、燃焼バーナ２２１では、内部保炎する構成が採用されるため、燃料ガス及び燃焼空気（２次空気及び３次空気）が直進流として供給されることが好ましい。即ち、燃料ノズル２５１、２次空気ノズル２５２、３次空気ノズル２５３が、燃料ガス、２次空気、３次空気を旋回させることなく直進流として供給する構造を有することが好ましい。この燃料ガス、２次空気、３次空気が直進流として噴射されて燃焼火炎が形成されるため、燃焼火炎を内部保炎する構成において、燃焼火炎内のガス循環が抑制される。これにより燃焼火炎の外周部が低温のまま維持され、２次空気との混合によるＮＯｘ発生量が低減される。

　更に、燃焼バーナ２２１では、燃料ノズル２５１の前端部に全周に位置して案内部材２５５が配置されていることから、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスは、この案内部材２５５の傾斜面２６９により軸心側、つまり、保炎器２５４側に導かれる。すると、燃料ノズル２５１により炉内に吹き込まれる燃料ガスは、２次空気ノズル２５２により吹き込まれる２次空気から離間する方向に導かれる。そのため、燃料ガスは、この燃料ガスより比較的高速となる２次空気から離れることで、保炎器２５４による内部保炎が適正に行われることとなる。また、燃料ガスは、この燃料ガスが２次空気から離れることで、２次空気との混合によるＮＯｘ発生量が低減される。更に、保炎器２５４に向けて微粉炭を適正に供給することができる。

　このように実施例７の燃焼バーナにあっては、微粉炭と１次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズル２５１と、この燃料ノズル２５１の外側から２次空気を吹き込み可能な２次空気ノズル２５２とを設けると共に、燃料ノズル２５１の先端部における軸中心側に保炎器２５４を設け、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスを軸心側に導く案内部材２５５を設けている。

　従って、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスは、この案内部材２５５により燃料ノズル２５１の軸心側、つまり、保炎器２５４側に導かれることとなり、燃料ノズル２５１内で燃料ガスの適正な流れを実現することができ、その結果、保炎器２５４による内部保炎性能を向上することができる。

　また、実施例７の燃焼バーナでは、案内部材２５５は、２次空気ノズル２５２により吹き込まれる２次空気から離間する方向に燃料ガスを導いている。従って、案内部材２５５により、燃料ガスが２次空気から離間する方向に導かれることとなり、燃料ガスと２次空気との混合が抑制され、保炎器２５４による内部保炎性能を向上することができると共に、燃焼火炎の外周部が低温のまま維持されるため、燃焼ガスと２次空気との混合によるＮＯｘ発生量を低減することができる。

　また、実施例７の燃焼バーナでは、案内部材２５５を燃料ノズル２５１の内壁面に沿って配置している。従って、燃料ノズル２５１の全域にわたって効果的にこの燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスを保炎器２５４側に導くことができると共に、この燃料ガスを２次空気から離間する方向に導くことができ、保炎器２５４による内部保炎性能を向上することができる。

　また、実施例７の燃焼バーナでは、案内部材２５５を燃料ノズル２５１の先端部に保炎器２５４と対向して配置している。この場合、案内部材２５５を保炎器２５４における拡幅部２６１ｂ，２６２ｂに対向して配置している。従って、案内部材２５５により燃料ガスを保炎器２５４における拡幅部２６１ｂ，２６２ｂに導くことで、十分な保炎機能を確保して内部保炎性能を向上することができる。

　図２０は、本発明の実施例８に係る燃焼バーナを表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

　実施例８の燃焼バーナにおいて、図２０に示すように、燃焼バーナ２２１にて、中心側から燃料ノズル２５１と、２次空気ノズル２５２と、３次空気ノズル２５３とが設けられると共に、保炎器２５４が設けられている。そして、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスを軸心側に導くことで、２次空気ノズル２５２により吹き込まれる２次空気から離間する方向に燃料ガスを導く案内部材２７１が設けられている。

　この案内部材２７１は、燃料ノズル２５１内に配置された保炎器２５４に対向しない位置、つまり、この保炎器２５４より燃料ガスの流れ方向の上流側であって、燃料ノズル２５１の内壁面に周方向に沿って配置されている。この案内部材２７１は、燃料ノズル２５１の内壁面から保炎器２５４側に突出するリング状をなし、燃料ノズル２５１内の燃料ガスを軸心側に導く案内面（傾斜面または湾曲面）２７２が形成されている。

　従って、燃焼バーナ２２１では、燃料ノズル２５１の前端部に全周に位置して案内部材２７１が配置されていることから、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスは、この案内部材２７１の案内面２７２により軸心側、つまり、保炎器２５４側に導かれる。すると、燃料ノズル２５１により炉内に吹き込まれる燃料ガスは、２次空気ノズル２５２により吹き込まれる２次空気から離間する方向に導かれる。そのため、燃料ガスは、この燃料ガスより比較的高速となる２次空気から離れることで、保炎器２５４による内部保炎が適正に行われることとなる。また、燃料ガスは、この燃料ガスが２次空気から離れることで、２次空気との混合によるＮＯｘ発生量が低減される。

　このように実施例８の燃焼バーナにあっては、微粉炭と１次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズル２５１と、この燃料ノズル２５１の外側から２次空気を吹き込み可能な２次空気ノズル２５２とを設けると共に、燃料ノズル２５１の先端部における軸中心側に保炎器２５４を設け、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスを軸心側に導く案内部材２７１を保炎器２５４より燃料ガスの流れ方向の上流側に設けている。

　従って、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスは、この案内部材２７１により燃料ノズル２５１の軸心側、つまり、保炎器２５４側に導かれることとなり、燃料ノズル２５１内で燃料ガスの適正な流れを実現することができ、その結果、保炎器２５４による内部保炎性能を向上することができる。また、案内部材２７１が保炎器２５４より上流側に設けられていることで、燃料ガスを保炎器２５４に効果的に導くことが可能となり、保炎器２５４による内部保炎性能を向上することができる。また、案内部材２７１が燃料ノズル２５１内の先端部側に設けられていないことから、案内部材２７１自体が保炎器として機能することがない。

　図２１は、本発明の実施例９に係る燃焼バーナを表す正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

　実施例９の燃焼バーナにおいて、図２１に示すように、燃焼バーナ２２１にて、中心側から燃料ノズル２５１と、２次空気ノズル２５２と、３次空気ノズル２５３とが設けられると共に、保炎器２５４が設けられている。そして、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスを軸心側に導くことで、２次空気ノズル２５２により吹き込まれる２次空気から離間する方向に燃料ガスを導く案内部材が設けられている。

　この案内部材は、保炎器２５４における拡幅部２６１ｂ，２６２ｂにて、燃料ノズル２５１の内壁面と対向する位置に配置されている。即ち、保炎器２５４は、水平方向に沿う第１保炎部材２６１，２６２と、鉛直方向に沿う第２保炎部材２６３，２６４とが交差して配置されており、案内部材は、この各保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４における拡幅部２６１ｂ，２６２ｂの端部に形成された切欠面２６１ｃ，２６２ｃ，２６３ｃ，２６４ｃとして構成されている。この各切欠面２６１ｃ，２６２ｃ，２６３ｃ，２６４ｃは、各保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４を正面から見て、端部の両側に傾斜面が形成されることで先細形状となるように形成されている。

　従って、燃焼バーナ２２１では、保炎器２５４の各保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４の端部に案内部材としての切欠面２６１ｃ，２６２ｃ，２６３ｃ，２６４ｃが形成されていることから、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスは、この各切欠面２６１ｃ，２６２ｃ，２６３ｃ，２６４ｃにより軸心側、つまり、各保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４の長手方向の内側に導かれる。つまり、燃料ガスが各保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４の切欠面２６１ｃ，２６２ｃ，２６３ｃ，２６４ｃの近傍を通過するとき、各保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４の前面側が負圧となり、燃料ガスがこの負圧領域に引き込まれることで、図２１に矢印で表す流れが発生する。

　すると、燃料ノズル２５１により炉内に吹き込まれる燃料ガスは、２次空気ノズル２５２により吹き込まれる２次空気から離間する方向に導かれる。そのため、燃料ガスは、この燃料ガスより比較的高速となる２次空気から離れることで、保炎器２５４による内部保炎が適正に行われることとなる。また、燃料ガスは、この燃料ガスが２次空気から離れることで、２次空気との混合によるＮＯｘ発生量が低減される。

　このように実施例９の燃焼バーナにあっては、微粉炭と１次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズル２５１と、この燃料ノズル２５１の外側から２次空気を吹き込み可能な２次空気ノズル２５２とを設けると共に、燃料ノズル２５１の先端部における軸中心側に保炎器２５４を設け、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスを軸心側に導く案内部材として、保炎器２５４の各保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４の端部に切欠面２６１ｃ，２６２ｃ，２６３ｃ，２６４ｃを形成している。

　従って、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスは、この切欠面２６１ｃ，２６２ｃ，２６３ｃ，２６４ｃにより燃料ノズル２５１の軸心側、つまり、保炎器２５４の中心側に導かれることとなり、燃料ノズル２５１内で燃料ガスの適正な流れを実現することができ、その結果、保炎器２５４による内部保炎性能を向上することができる。また、保炎器２５４の端部に切欠面２６１ｃ，２６２ｃ，２６３ｃ，２６４ｃを形成することで案内部材を構成していることから、装置の簡素化を可能とすることができる。

　なお、この実施例９にて、案内部材を、保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４における長手方向の端部に形成された先細形状をなす切欠面２６１ｃ，２６２ｃ，２６３ｃ，２６４ｃとしたが、この形状に限定されるものではない。例えば、保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４における長手方向の端部を一辺側だけ切り欠いて切欠面を形成したり、保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４の長手方向に直交する方向で切断することで、燃料ノズル２５１の内壁面から離間させるような切欠部としたりしてもよい。また、各切欠面２６１ｃ，２６２ｃ，２６３ｃ，２６４ｃは、拡幅部２６１ｂ，２６２ｂと同様に、燃料ガスの流れ方向の下流側が拡幅する形状としてもよい。

　図２２は、本発明の実施例１０に係る燃焼バーナを表す正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

　実施例１０の燃焼バーナにおいて、図２２に示すように、燃焼バーナ２２１にて、中心側から燃料ノズル２５１と、２次空気ノズル２５２と、３次空気ノズル２５３とが設けられると共に、保炎器２５４が設けられている。そして、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスを軸心側に導くことで、２次空気ノズル２５２により吹き込まれる２次空気から離間する方向に燃料ガスを導く案内部材が設けられている。

　この案内部材は、第１保炎部材２６１，２６２と第２保炎部材２６３，２６４とが交差する位置の外側に三角板２８１，２８２，２８３，２８４として配置されている。具体的には、第１保炎部材２６１，２６２の拡幅部２６１ｂ，２６２ｂと第２保炎部材２６３，２６４の拡幅部（図示略）とが交差する位置の外側、つまり、燃料ノズル２５１の軸中心とは反対側に配置されている。この各三角板２８１，２８２，２８３，２８４は、各保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４を正面から見て、交差した角部の外側に傾斜面が形成されることで三角形状をなして形成されている。

　従って、燃焼バーナ２２１では、保炎器５４の各保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４が交差する外側に三角板２８１，２８２，２８３，２８４が配置されていることから、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスは、この各三角板２８１，２８２，２８３，２８４により軸心側、つまり、各保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４の中央部に導かれる。つまり、燃料ガスが各三角板２８１，２８２，２８３，２８４の近傍を通過するとき、各三角板２８１，２８２，２８３，２８４の前面側が負圧となり、燃料ガスがこの負圧領域に引き込まれることで、図２２に矢印で表す流れが発生する。

　このように実施例１０の燃焼バーナにあっては、微粉炭と１次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズル２５１と、この燃料ノズル２５１の外側から２次空気を吹き込み可能な２次空気ノズル２５２とを設けると共に、燃料ノズル２５１の先端部における軸中心側に保炎器２５４を設け、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスを軸心側に導く案内部材として、保炎器２５４の各保炎部材２６１，２６２，２６３，２６４が交差する位置の外側に三角板２８１，２８２，２８３，２８４が配置されている。

　従って、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスは、この三角板２８１，２８２，２８３，２８４により燃料ノズル２５１の軸心側、つまり、保炎器２５４の中心側に導かれることとなり、燃料ノズル２５１内で燃料ガスの適正な流れを実現することができ、その結果、保炎器２５４による内部保炎性能を向上することができる。また、保炎器２５４を、水平方向に沿って鉛直方向に所定隙間をもって平行をなす２つの第１保炎部材２６１，２６２と、鉛直方向に沿って水平方向に所定隙間をもって平行をなす２つの第２保炎部材２６３，２６４とが交差するように配置した構造としている。従って、保炎器２５４をダブルクロス構造とすることで、十分な保炎機能を確保することが可能となる。更に、案内部材を三角板２８１，２８２，２８３，２８４とすることで、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスを効果的に軸心側に導くことができる。

　なお、この実施例１０にて、案内部材を、三角板２８１，２８２，２８３，２８４としたが、この形状に限定されるものではない。例えば、各三角板２８１，２８２，２８３，２８４を、拡幅部２６１ｂ，２６２ｂと同様に、燃料ガスの流れ方向の下流側が拡幅する形状としてもよい。

　図２３は、本発明の実施例１１に係る燃焼バーナを表す断面図、図２４は、実施例１１の燃焼バーナの変形例を表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。

　実施例１１の燃焼バーナにおいて、図２３に示すように、燃焼バーナ２２１にて、中心側から燃料ノズル２５１と、２次空気ノズル２５２と、３次空気ノズル２５３とが設けられると共に、保炎器２９１が設けられている。そして、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスを軸心側に導くことで、２次空気ノズル２５２により吹き込まれる２次空気から離間する方向に燃料ガスを導く案内部材が設けられている。

　即ち、保炎器２９１は、水平方向に沿う保炎部材２９２，２９３を有し、この保炎部材２９２，２９３は、その厚さが一定な平板形状をなす平坦部２９２ａ，２９３ａと、この平坦部２９２ａ，２９３ａの前端部（燃料ガスの流れ方向の下流端部）に一体に設けられた拡幅部２９２ｂ，２９３ｂを有している。この拡幅部２９２ｂ，２９３ｂは、断面が二等辺三角形状をなし、燃料ガスの流れ方向の下流側に向って幅が広くなり、前端がこの燃料ガスの流れ方向に直交する平面となっている。

　そして、この保炎部材２９２，２９３は、前端部が燃料ノズル２５１の軸心側を向くことで案内部材を構成している。つまり、保炎部材２９２，２９３は、前端部に形成された拡幅部２９２ｂ，２９３ｂ同士が、平坦部２９２ａ，２９３ａの後端部同士より接近して配置することで、燃料ノズル２５１の軸中心に対して傾斜している。

　従って、燃焼バーナ２２１では、燃料ノズル２５１内の保炎器２９１にて、保炎部材２９２，２９３の前端部が接近するように配置していることから、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスは、この保炎部材２９２，２９３により軸心側に導かれる。つまり、保炎部材２９２，２９３の前端部が接近しているため、燃料ガスは、保炎部材２９２，２９３間で高速になる一方、燃料ノズル２５１と保炎部材２９２，２９３との間で低速となり、全体として燃料ノズル２５１の軸中心側に導かれる。

　すると、燃料ノズル２５１により炉内に吹き込まれる燃料ガスは、２次空気ノズル２５２により吹き込まれる２次空気から離間する方向に導かれる。そのため、燃料ガスは、この燃料ガスより比較的高速となる２次空気から離れることで、保炎器２９１による内部保炎が適正に行われることとなる。また、燃料ガスは、この燃料ガスが２次空気から離れることで、２次空気との混合によるＮＯｘ発生量が低減される。

　この場合、保炎器２９１を構成する保炎部材２９２，２９３の傾斜角度を調整可能としてもよい。即ち、図２４に示すように、保炎部材２９２，２９３は、燃料ノズル２５１の燃料ガスの流れ方向に直交する水平方向に沿う支持軸２９５，２９６により上下に回動自在に支持されており、駆動装置２９７により回動可能となっている。即ち、保炎部材２９２，２９３は、駆動装置２９７によりその傾斜角度を個別に調整可能となっている。

　従って、例えば、燃料ガスの性質や速度、２次空気の速度、また、火炉２１１内の燃焼状態などに基づいて、駆動装置２９７が保炎部材２９２，２９３の角度を個別に調整することで、燃料ガスの最適な吹き込み状態を維持することが可能となる。

　このように実施例１１の燃焼バーナにあっては、微粉炭と１次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズル２５１と、この燃料ノズル２５１の外側から２次空気を吹き込み可能な２次空気ノズル２５２とを設けると共に、燃料ノズル２５１の先端部における軸中心側に保炎器２９１を設け、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスを軸心側に導く案内部材として、保炎器２９１における保炎部材２９２，２９３を前端部が燃料ノズル２５１の軸心側を向くように配置している。

　従って、燃料ノズル２５１内を流れる燃料ガスは、傾斜した保炎部材２９２，２９３により燃料ノズル２５１の軸心側、つまり、保炎器２９１の中央部側に導かれることとなり、燃料ノズル２５１内で燃料ガスの適正な流れを実現することができ、その結果、保炎器２９１による内部保炎性能を向上することができる。また、案内部材を保炎器２９１における保炎部材２９２，２９３の配置により構成したことで、構造の簡素化を可能とすることができる。

　また、実施例１１の燃焼バーナでは、駆動装置２９７により保炎部材２９２，２９３の傾斜角度を個別に調整可能としている。従って、例えば、燃料ガスの性質や速度、２次空気の速度、また、火炉２１１内の燃焼状態などに基づいて保炎部材２９２，２９３の角度が変更されることで、燃料ガスの最適な吹き込み状態を維持することが可能となる。

　なお、上述した各実施例にて、保炎器２５４，２９１の構成を各種挙げて説明したが、この構成は上述したものに限定されるものではない。即ち、本発明のバーナは、内部保炎を実現するものであり、燃料ノズル２５１の内壁面ではなくて、燃料ノズル２５１の軸心側に保炎器が設けられていればよく、保炎部材の数や位置などは適宜設定すればよいものであり、保炎部材が燃料ノズル２５１の内壁面から離間していてもよいものである。また、案内部材の構成も各種挙げて説明したが、この構成も上述したものに限定されるものではない。即ち、案内部材により燃料ノズル内の燃料ガスを軸心側に導くことができればよいものである。

　また、上述した各実施例では、本発明の案内部材を燃料ノズルの内壁面や保炎器に設けて構成したが、燃料ノズルの内壁面と保炎器との間に別部材を設けて構成してもよい。例えば、燃料ノズルの内壁面と保炎器との間に保炎器と平行または交差する方向に沿って案内部材を設けることで、この案内部材を四角形状や菱形をなす枠形などとしてもよい。

　また、上述した各実施例では、燃焼装置２１２として、火炉２１１の壁面に設けられる４つの各燃焼バーナ２２１，２２２，２２３，２２４，２２５を鉛直方向に沿って５段配置して構成したが、この構成に限定されるものではない。即ち、燃焼バーナを壁面に配置せずにコーナーに配置してもよい。また、燃焼装置は、旋回燃焼方式に限らず、燃焼バーナを一つの壁面に配置したフロント燃焼方式、燃焼バーナを二つの壁面に対向配置した対向燃焼方式としてもよい。

　従来、固体燃料焚きのボイラには、例えば、固体燃料として微粉炭（石炭）を焚く微粉炭焚きボイラがある。このような微粉炭焚きボイラにおいては、旋回燃焼ボイラ及び対向燃焼ボイラという二種類の燃焼方式が知られている。

　このうち、微粉炭焚きの旋回燃焼ボイラにおいては、燃料の微粉炭とともに石炭焚きバーナ（固体燃料焚きバーナ）から投入される１次空気の上下に２次空気投入用の２次空気投入ポートを設置して、石炭焚きバーナ周囲の２次空気について流量調整を行っている。上述した１次空気は、燃料の微粉炭を搬送するために必要な空気量であるから、石炭を粉砕して微粉炭とするローラミル装置において空気量が規定される。そして、上述した２次空気は、旋回燃焼ボイラ内において火炎全体を形成するために必要となる空気量を吹き込むものであるから、旋回燃焼ボイラの２次空気量は、概ね微粉炭の燃焼に必要な全空気量から１次空気量を差し引いたものとなる。また、旋回燃焼ボイラのバーナにおいては、微粉炭を外周に濃淡分離し、さらに、火炎外周の着火を強化する外部保炎が行われている。

　これに対して、対向燃焼ボイラのバーナにおいては、例えば、上述した特許文献２に開示されているように、１次空気（微粉炭供給）の外周側に２次空気及び３次空気を導入して空気導入量の微調整を行うことが行われている。即ち、火炉内から見て円形としたバーナの外周に保炎機構（先端角度の調整、旋回等）を設置するとともに、バーナ外周に近接して２次空気や３次空気の投入口を同心円状に設置する外部保炎構造のバーナが一般的である。

　また、従来の微粉炭焚きバーナにおいては、例えば、上述した特許文献３に開示されているように、微粉炭を外周に濃淡分離し、さらに火炎外周の着火を強化することが行われている。また、上述した特許文献４にも、外周保炎器及びスプリットにより構成された保炎器が開示されている。この場合、外周保炎器がメインであり、スプリットは補助的なものとなっている。

　ところで、上述した従来の旋回燃焼ボイラにおいては、石炭焚きバーナの上下に設けられる２次空気投入用の２次空気投入ポートが各々１本とされ、２次空気投入ポートから投入される２次空気量の微調整はできない構成となっている。このため、火炎の外周には高温酸素残存領域が形成されることとなり、特に２次空気が集中する領域では、高温酸素残存領域が強くなってＮＯｘ発生量を増加させる要因となるため好ましくない。

　また、従来の石炭焚きバーナは、バーナ外周に保炎機構（先端角度の調整、旋回等）を設置し、さらに、すぐ外周に近接して２次空気（あるいは３次空気）の投入ポートを設置することが一般的である。このため、火炎の外周で着火が起こり、火炎の外周において大量の空気が混合されることとなる。この結果、火炎外周の燃焼は、火炎外周の高温酸素残存領域において酸素濃度が高い高温状態で進行することになり、従って、ＮＯｘは火炎外周で発生していた。このようにして、火炎外周の高温酸素残存領域で発生したＮＯｘは、火炎の外周を通過するので、火炎内部と比較して還元が遅れることとなり、これが石炭焚きボイラからＮＯｘを発生させる要因となっていた。

　一方、対向燃焼ボイラにおいても、旋回により、火炎外周で着火するため、火炎の外周で同様にＮＯｘが発生する要因となっていた。

　このような背景から、上述した従来の石炭焚きバーナ及び石炭焚きボイラのように、粉体の固体燃料を焚く固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラにおいては、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域を抑制し、追加空気投入部から排出される最終的なＮＯｘ発生量を低減することが望まれる。

　本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域を抑制（弱く）することにより、追加空気投入部から排出される最終的なＮＯｘ発生量の低減を可能にした固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラを提供することにある。

　以下、本発明に係る固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラの一実施例を図面に基づいて説明する。なお、本実施例では、固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラの一例として、微粉炭（粉体の固体燃料である石炭）を燃料とする固体燃料焚きバーナを備えた旋回燃焼ボイラについて説明するが、これに限定されることはない。
　図２７から図２９に示す旋回燃焼ボイラ３１０は、火炉３１１内へ空気を多段で投入することにより、バーナ部３１２から追加空気投入部（以下、「ＡＡ部」と呼ぶ）３１４までの領域を還元雰囲気にして燃焼排ガスの低ＮＯｘ化を図っている。

　図中の符号３２０は微粉炭（粉体の固体燃料）及び空気を投入する固体燃料焚きバーナ、３１５は追加空気を投入する追加空気投入ノズルである。固体燃料焚きバーナ３２０には、例えば、図２７に示すように、微粉炭を１次空気で搬送する微粉炭混合気輸送管３１６及び２次空気を供給する送気ダクト３１７が接続され、追加空気投入ノズル３１５には、２次空気を供給する送気ダクト３１７が接続されている。
　このように、上述した旋回燃焼ボイラ３１０は、粉体燃料の微粉炭（石炭）及び空気を火炉３１１内へ投入する固体燃料焚きバーナ３２０が各段の各コーナ部に配置される旋回燃焼方式のバーナ部３１２とされ、各段にそれぞれ１または複数の旋回火炎が形成される旋回燃焼方式を採用している。

　図２５に示す固体燃料焚きバーナ３２０は、微粉炭及び空気を投入する微粉炭バーナ（燃料バーナ）３２１と、微粉炭バーナ３２１の上下に各々配置された２次空気投入ポート３３０とを備えている。
　２次空気投入ポート３３０は、ポート毎の空気流量調整を可能にするため、例えば、図２６に示すように、送気ダクト３１７から分岐した２次空気の供給ライン毎に、流量調整手段として開度調整可能なダンパ３４０を備えている。

　上述した微粉炭バーナ３２１は、１次空気により搬送された微粉炭を投入する矩形状のコール１次ポート３２２と、コール１次ポート３２２の周囲を取り囲むように設けられて２次空気の一部を投入するコール２次ポート３２３とを備えている。なお、コール２次ポート３２３についても、図２６に示すように、流量調整手段として開度調整可能なダンパ３４０を備えている。なお、コール１次ポート３２２は、円形や楕円でもよい。

　微粉炭バーナ３２１の流路前方部には、即ち、コール１次ポート３２２の流路前方部には複数方向のスプリット部材３２４が配設され、図示省略の支持部材等に固定されている。このスプリット部材３２４は、例えば、図２５（ａ）に示すように、コール１次ポート３２２の出口開口部において上下方向及び左右方向に各々１本ずつ、合計２本が所定の間隔を有する格子状に配設されている。
　即ち、２本のスプリット部材３２４は、上下方向及び左右方向の異なる２方向に向けて格子状に配設されるクロスタイプとすることで、微粉炭バーナ３２１におけるコール１次ポート３２２の出口開口部を細分化（４分割）しているが、スプリット部材３２４の数については、上下方向及び左右方向共に複数本としてもよい。
　また、スプリット部材３２４に挟まれる部分では、圧損が大きく、噴出口での流速が低下し、より内部での着火が促進される。
　このような構成のスプリット部材３２４は、火炎Ｆの外周に形成される高温酸素残存領域Ｈを抑制し、ＡＡ部３１４から排出される最終的なＮＯｘ発生量の低減に有効である。

　上述したスプリット部材３２４は、例えば、図３０（ａ）から図３０（ｄ）に示すような断面形状を採用することにより、微粉炭及び空気の流れをスムーズに分離させて乱すことができる。
　図３０（ａ）に示すスプリット部材３２４は、三角形の断面形状を有している。図示の三角形は正三角形や二等辺三角形であり、火炉３１１内に向けた出口側の一辺が微粉炭及び空気の流れ方向と略直交するように配置されている。換言すれば、三角形断面を形成する角部の１つを、微粉炭及び空気の流れ方向に向けた配置が採用されている。

　図３０（ｂ）に示すスプリット部材３２４Ａは、略Ｔ字状の断面形状を有し、火炉３１１内に向けた出口側に微粉炭及び空気の流れ方向と略直交する面が配置されている。なお、このような略Ｔ字状断面形状を変形させることにより、例えば、図３０（ｃ）に示すように、台形状の断面形状を有するスプリット部材３２４Ａ′としてもよい。

　また、図３０（ｄ）に示すスプリット部材３２４Ｂは、略Ｌ字状の断面形状を有している。即ち、上述した略Ｔ字状の一部を切り取ったような断面形状であり、特に、左右（水平）方向に配置する場合においては、上方の凸部を除去した略Ｌ字形状にすれば、スプリット部材３２４Ｂに微粉炭が堆積することを防止できる。なお、上方の凸部を除去した分、下方の凸部を大きくすることで、スプリット部材３２４Ｂに必要な分離性能を確保することができる。
　しかし、上述したスプリット部材３２４等の断面形状については、例えば、略Ｙ字形状等のように、図示の例に限定されることはない。

　このように構成した固体燃料焚きバーナ３２０において、微粉炭バーナ３２１の出口開口中央付近に設置したスプリット部材３２４は、微粉炭及び空気の流路を分割して流れを内部で乱すとともに、スプリット部材３２４の前方（下流側）に再循環域を形成するため、内部保炎機構として機能する。
　一般に、従来の固体燃料焚きバーナ３２０は、火炎外周で輻射を受けて燃料の微粉炭に着火する。火炎外周で微粉炭に着火すると、ＮＯｘは高温の酸素が残存する火炎外周の高温酸素残存領域Ｈ（図２５（ｂ）参照）で発生し、十分に還元されないまま残存してＮＯｘ排出量を増加させている。

　しかし、内部保炎機構として機能するスプリット部材３２４が設けられたことにより、微粉炭は火炎内部で着火するようになる。このため、ＮＯｘは火炎内部で発生し、火炎内部で発生したＮＯｘは還元作用を有する炭化水素類を多く含んでいることから、空気不足の状態にある火炎内で迅速に還元される。従って、火炎外周に保炎器を設置する保炎をやめて、即ち、バーナ外周に保炎機構を設置しない構造の固体燃料焚きバーナ３２０とし、火炎外周でのＮＯｘ発生を抑制することも可能になる。

　特に、複数方向のスプリット部材３２４を配設したクロスタイプとすることにより、微粉炭バーナ３２１の出口開口中央付近に対し、異なる方向のスプリット部材３２４を交差させた交差部を容易に設けることができる。このような交差部が微粉炭バーナ３２１の出口開口中央付近に存在していると、微粉炭バーナ３２１の出口開口においては、中央付近で微粉炭及び空気の流路が複数に分割されるので、複数に分流する際に流れが乱される。
　即ち、スプリット部材３２４が左右一方向の場合、中央部における空気の拡散や着火が遅れて局所的に極端な空気不足領域が存在し、未燃分増加の原因になるが、スプリット部材３２４を複数方向に配設して交差部が形成されるクロスタイプでは、火炎内部での空気の混合が促進されるとともに着火面が細分化されるので、結果として未燃分の低減が可能になる。

　換言すれば、交差部を形成するようにスプリット部材３２４を配設すれば、空気の混合・拡散が火炎の内部で促進され、さらに着火面が細分化されることにより、着火位置が火炎の中央部（軸中心部）に寄って微粉炭の未燃分を低減する。即ち、火炎の中心部まで酸素が入り込みやすくなるので、内部着火が効果的に行われるようになり、従って、火炎内部で迅速な還元が行われてＮＯｘの発生量は低減される。
　この結果、火炎外周に設置した保炎器による保炎をやめ、火炎外周に保炎器のない固体燃料焚きバーナ３２０を用いて火炎外周でのＮＯｘ発生を抑制することは、より一層容易になる。

　このような複数方向のスプリット部材３２４において、本実施例では、スプリット部材３２４を炉内側から見た部材幅寸法をスプリッタ幅Ｗとした場合、方向毎にスプリッタ幅Ｗが異なるクロスタイプのものを配設している。
　例えば、図２５（ａ）に示すクロスタイプの構成例では、コール１次ポート３２２の出口開口部に上下方向のスプリット部材（以下、「縦スプリッタ」と呼ぶ）３２４Ｖ及び左右方向のスプリット部材（以下、「横スプリッタ」と呼ぶ）３２４Ｈが各々１本ずつ配設されている。

　そして、縦スプリッタ３２４Ｖのスプリッタ幅Ｗｖが、横スプリッタ３２４Ｈのスプリッタ幅Ｗｈより太く広い幅広（Ｗｖ＞Ｗｈ）となっているが、逆の構成としてもよい。
　即ち、図示のスプリット部材３２４は、縦方向のスプリッタ機能を強化することにより、横方向のスプリッタ機能を相対的に低下させるため、縦スプリッタ３２４Ｖのスプリッタ幅Ｗｖを横スプリッタ３２４Ｈのスプリッタ幅Ｗｈより大きく設定した構造である。
　このような構成は、角度調整可能な燃料バーナ３２１の角度変化に対応するものである。

　燃料バーナ３２１は、例えば、図２５（ｂ）に示すように、旋回燃焼ボイラ３１０で生成する蒸気温度を所望の値に調整するため、バーナ角度（ノズル角度）αを上下方向に適宜変化させることができる。
　しかしながら、バーナ角度αが変化しても、適所に固定支持されているスプリット部材３２４は、燃料バーナ３２１と一体に角度変化しない。このため、燃料バーナ３２１とスプリット部材３２４との位置関係は、バーナ角度αの変化に応じて変動することとなる。

　上述したバーナ角度αを上下に変化させると、微粉炭及び１次空気を投入する際には、微粉炭流と横スプリッタ３２４Ｈとの位置関係が変動する。このような位置関係の変動は、横スプリッタ３２４Ｈのスプリッタ幅Ｗｈが幅広になるほど大きな影響を受けるようになるので、結果的にバーナ性能も影響を受けて一定に保つことは困難になる。従って、燃料バーナ３２１のバーナ角度αが変化しても、バーナ性能が影響を受けないようにすることが望まれる。
　そこで、本実施例においては、縦スプリッタ３２４Ｖのスプリッタ幅Ｗｖを相対的に幅広とし、縦方向のスプリッタ機能を強化したスプリット部材３２４は、横スプリッタ３２４Ｈのスプリッタ幅Ｗｈが必要最小限まで狭められ、バーナ角度αの変化による位置関係の変動を最小限に抑えたものである。

　従って、スプリット部材３２４は、スプリッタ幅Ｗの小さい横スプリッタ３２４Ｈを残し、上下及び左右の両方向にスプリッタが存在するクロスタイプとなるので、空気の混合促進及び着火面の細分化を維持することができる。このため、スプリット部材３２４は、火炎の中心部まで空気が入り込みやすくなり、結果として中央部の着火促進により未燃分の低減が可能になるというクロスタイプの利点を維持したまま、バーナ角度αの変化による位置関係の変動を最小限に抑えて、バーナ性能を略一定に保つことができる。

　また、２次空気投入ポート３３０が微粉炭バーナ３２１の上下方向に配置される旋回燃焼方式の場合には、横スプリッタ３２４Ｈのスプリッタ幅Ｗｈが、縦スプリッタ３２４Ｖのスプリッタ幅Ｗｖより太く広い幅広（Ｗｈ＞Ｗｖ）とする。
　これは、縦スプリッタ３２４Ｖのスプリッタ幅Ｗｖが必要以上に大きいと、スプリッタ機能が強くなって微粉炭の着火源となりやすいためである。

　しかも、縦スプリッタ３２４Ｖの上下両端部付近での着火は、着火源が２次空気投入ポート３３０に近い位置にあるため、火炎外周での着火が２次空気と直接干渉しやすい状況にある。この結果、縦スプリッタ３２４Ｖを着火源として火炎外周で着火した微粉炭には多量の空気が混合されることとなり、従って、高温の酸素が残存する火炎外周の高温酸素残存領域ＨでＮＯｘを発生する。このＮＯｘは、十分に還元されないまま残存し、最終的なＮＯｘ排出量を増加させる原因となる。

　しかし、横スプリッタ３２４Ｈのスプリッタ幅Ｗｈを幅広とし、横スプリッタ３２４Ｈのスプリッタ機能を強化すると、微粉炭バーナ３２１の上下に存在する２次空気投入ポート３３０の近傍では着火源が縮小されて小さくなる。即ち、幅広とした横スプリッタ３２４Ｈの下流側には、大きな再循環域となる負圧領域が形成され、強いスプリッタ機能が発揮されるため、微粉炭及び１次空気の流れは上下方向の中心部に集中しやすくなる。

　この結果、縦スプリッタ３２４Ｖの両端部付近を着火源とし、火炎外周で着火するとともに大量の空気が混合される微粉炭量は大幅に減少する。一方、微粉炭及び１次空気の混合・拡散は、火炎の内部まで促進されて空気（酸素）が火炎の中心部まで入り込みやすくなる。この結果、内部着火が効果的に行われるようになるので、火炎内部における迅速な還元が行われてＮＯｘの発生量は低減される。
　この場合、縦スプリッタ３２４Ｖを残すことにより、即ち、スプリッタ幅Ｗｖの小さい縦スプリッタ３２４Ｖを設けて上下及び左右に存在するクロスタイプのスプリット部材３２４とすることにより、空気の混合促進及び着火面の細分化がなされる。このため、クロスタイプのスプリット部材３２４を備えた固体燃料焚きバーナ３２０は、火炎の中心部まで空気が入り込みやすくなり、結果として中央部の着火促進により未燃分の低減が可能になる。

　次に、本発明の実施例１３に係る固体燃料焚きバーナを説明する。
　この実施例では、固体燃料焚きバーナ３２０に設けられたスプリット部材３２４が、スプリッタ幅Ｗの異なる複数方向に配置したスプリット部材３２４により構成され、かつ、同方向に３本以上配置した中央部のスプリッタ幅Ｗを幅広にして周辺部を相対的に狭めた構成となっている。

　このように構成されたスプリット部材３２４は、固体燃料焚きバーナ３２０の中央部に幅広にしたスプリッタが配置されているので、中央部のスプリッタ機能が強化された構造となり、外部着火を防止しながら内部着火を強化できるようになる。
　即ち、本実施例の固体燃料焚きバーナ３２０は、中央部を幅広にしたクロスタイプのスプリット部材３２４を備えているので、微粉炭バーナ３２１の外周部で着火源となるスプリッタの存在が最小限に抑えられることにより、外部着火の防止または抑制が可能となり、さらに、中央部のスプリッタ機能が強化されたことにより、火炎の中心部まで空気が入り込みやすくなり、結果として中央部の着火促進により未燃分の低減が可能になる。

　ところで、上述した構成例では、上下及び左右に各々３本のスプリッタを配設し、上下及び左右の中央に配置された１本のみを幅広としているが、スプリッタの数は勿論のこと、幅広とするスプリッタの数や位置等については、これに限定されることはない。
　例えば、上下及び左右に４本のスプリッタを配設し、上下及び左右の中央部となる２本ずつを幅広としてもよい。また、中央部に配置されたスプリッタは、上下及び左右の両方を幅広とする必要はなく、例えば、中央部に配置された上下のみまたは左右のみを幅広としてもよい。従って、複数方向の一方にのみ３本以上のスプリッタを配置して中央部を幅広とし、他の方向については、幅広または幅の狭い１本とする構成や、幅の狭い１本とする構成等も包含される。

　次に、本発明の実施例１４に係る固体燃料焚きバーナを図３１に基づいて説明する。なお、上述した実施例と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。この実施例では、微粉炭及び１次空気の流れを火炎内部の中央部（軸中心側）に導くため、固体燃料焚きバーナ３２０Ａに設けられたスプリット部材３２４が、複数方向に配置したスプリッタどうしの交差角部に取り付けた遮蔽部材を備えている。即ち、スプリット部材３２４の機能をより一層向上させ、火炎内部の着火面増加や内部保炎強化を図るという目的を達成するため、スプリット部材３２４の機能補強部材として、スプリット部材３２４が交差して形成される交差角部の少なくとも１箇所に、流路断面積を低減する遮蔽部材を設けたものである。

　上述した遮蔽部材は、例えば、交差角部の交差中心部側を塞ぐようにしてスプリット部材３２４に取り付けられた三角板３５０が好適であり、炉内側から見たコール１次ポート３２２の開口面積は、即ち微粉炭及び１次空気の流路断面積は、三角板３５０の面積に相当する分だけ減少する。この三角板３５０は、微粉炭及び１次空気の流路断面積を低減するだけでなく、火炎内部の着火面を増加するとともに、微粉炭及び１次空気の流れを中央部に導く機能も有している。

　換言すれば、三角板３５０は、スプリット部材３２４の下流側に形成されて再循環域となる負圧領域を増大させるように設置する遮蔽部材であり、スプリット部材３２４の保炎効果を強化することができる。
　従って、上下及び左右に交差するスプリッタ３２４Ｈ，３２４Ｖの交差部に形成された４箇所の交差角部のうち、少なくとも１箇所に設けられていればよい。

　また、上述した遮蔽部材は、図３２（ａ）に示した三角板（三角形の板状部材）３５０に限定されることはなく、例えば、円形や楕円形を１／４にした形状の板材としてもよい。さらに、例えば、図３２（ｂ）に示す三角錐３５０Ａのように、流れをいったん外向きに導いて再循環域を形成する傾斜面を備えたものでもよい。
　このように、スプリッタ３２４Ｈ，３２４Ｖの交差部に、三角板３５０や三角錐３５０Ａのような遮蔽部材を設けると、スプリット部材３２４の機能はより一層向上し、火炎内部の着火面増加や内部保炎強化を達成できる。

　上述した本実施例の固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラによれば、火炎Ｆの外周に形成される高温酸素残存領域Ｈを抑制することにより、ＡＡ部３１４から排出される最終的なＮＯｘ発生量の低減が可能になる。
　なお、本発明は上述した実施例に限定されることはなく、例えば、粉体の固体燃料が微粉炭に限定されないなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。

　さて、従来の石炭焚きバーナは、バーナ外周に保炎機構（先端角度の調整、旋回等）を設置し、さらに、すぐ外周に近接して２次空気（あるいは３次空気）の投入ポートを設置することが一般的である。このため、火炎の外周で着火が起こり、火炎の外周において大量の空気が混合されることとなる。この結果、火炎外周の燃焼は、火炎外周の高温酸素残存領域において酸素濃度が高い高温状態で進行することになり、従って、ＮＯｘは火炎外周で発生していた。このようにして、火炎外周の高温酸素残存領域で発生したＮＯｘは、火炎の外周を通過するので、火炎内部と比較して還元が遅れることとなり、これが石炭焚きボイラからＮＯｘを発生させる要因となっていた。

　以下、本発明に係る固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラの一実施例を図面に基づいて説明する。なお、本実施例では、固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラの一例として、微粉炭（粉体の固体燃料である石炭）を燃料とする固体燃料焚きバーナを備えた旋回燃焼ボイラについて説明するが、これに限定されることはない。

　図３５から図３７に示す旋回燃焼ボイラ４１０は、火炉４１１内へ空気を多段で投入することにより、バーナ部４１２から追加空気投入部（以下、「ＡＡ部」と呼ぶ）４１４までの領域を還元雰囲気にして燃焼排ガスの低ＮＯｘ化を図っている。

　図中の符号４２０は微粉炭（粉体の固体燃料）及び空気を投入する固体燃料焚きバーナ、４１５は追加空気を投入する追加空気投入ノズルである。固体燃料焚きバーナ４２０には、例えば、図３５に示すように、微粉炭を１次空気で搬送する微粉炭混合気輸送管４１６及び２次空気を供給する送気ダクト４１７が接続され、追加空気投入ノズル４１５には、２次空気を供給する送気ダクト４１７が接続されている。
　このように、上述した旋回燃焼ボイラ４１０は、粉体燃料の微粉炭（石炭）及び空気を火炉４１１内へ投入する固体燃料焚きバーナ４２０が各段の各コーナ部に配置される旋回燃焼方式のバーナ部４１２とされ、各段にそれぞれ１または複数の旋回火炎が形成される旋回燃焼方式を採用している。

　図３３に示す固体燃料焚きバーナ４２０は、微粉炭及び空気を投入する微粉炭バーナ（燃料バーナ）４２１と、微粉炭バーナ４２１の外周から２次空気を噴射するコール２次ポートとを備えている。本実施例において、微粉炭バーナ４２１の外周から２次空気を噴射する２次空気ポートは、微粉炭バーナ４２１の上下に各々配置された２次空気投入ポート４３０と、後述するコール２次ポート４２３とにより構成される。
　２次空気投入ポート４３０は、ポート毎の空気流量調整を可能にするため、例えば、図３４に示すように、送気ダクト４１７から分岐した２次空気の供給ライン毎に、流量調整手段として開度調整可能なダンパ４４０を備えている。

　上述した微粉炭バーナ４２１は、１次空気により搬送された微粉炭を投入する矩形状のコール１次ポート４２２と、コール１次ポート４２２の周囲を取り囲むように設けられて２次空気の一部を投入するコール２次ポート４２３とを備えている。なお、コール２次ポート４２３についても、図３４に示すように、流量調整手段として開度調整可能なダンパ４４０を備えている。なお、コール１次ポート４２２は、円形や楕円でもよい。

　微粉炭バーナ４２１の流路前方部には、即ち、コール１次ポート４２２の流路前方部にはスプリット部材４２４が配設され、図示省略の支持部材等に固定されている。このスプリット部材４２４は、例えば、図３３（ａ）に示すように、コール１次ポート４２２の出口開口部において、上下方向の略中心位置に水平方向の１本が配設され、水平（左右）方向の両端部が部分的に除去された除去部４２４ａとなっている。なお、図３３（ａ）において、除去部４２４ａは破線で表示されている。

　この場合、図３３に示すように、スプリット部材４２４からコール２次ポート４２３に隣接する端部の一部を除去したスプリット部材４２４の長さ（軸中心からの長さ）Ｌ２は、微粉炭バーナ４２１の流路幅、即ち、コール１次ポート４２２の流路幅（軸中心からの流路幅）をＬ１とした場合、寸法比Ｌ２／Ｌ１がＬ２／Ｌ１＞０．２となるように設定する。また、この寸法比Ｌ２／Ｌ１は、より好ましい値はＬ２／Ｌ１＞０．６である。即ち、スプリット部材４２４から端部の一部を除去する除去部４２４ａについては、上述した寸法比がＬ２／Ｌ１＞０．２の条件を満たすように、より好ましくはＬ２／Ｌ１＞０．６の条件を満たすように設けたものが望ましい。

　上述したスプリット部材４２４は、例えば、図３８（ａ）から図３８（ｄ）に示すような断面形状を採用することにより、微粉炭及び空気の流れをスムーズに分離させて乱すことができる。
　図３８（ａ）に示すスプリット部材４２４は、三角形の断面形状を有している。図示の三角形は正三角形や二等辺三角形であり、火炉４１１内に向けた出口側の一辺が微粉炭及び空気の流れ方向と略直交するように配置されている。換言すれば、三角形断面を形成する角部の１つを、微粉炭及び空気の流れ方向に向けた配置が採用されている。

　図３８（ｂ）に示すスプリット部材４２４Ａは、略Ｔ字状の断面形状を有し、火炉４１１内に向けた出口側に微粉炭及び空気の流れ方向と略直交する面が配置されている。なお、このような略Ｔ字状断面形状を変形させることにより、例えば、図３８（ｃ）に示すように、台形状の断面形状を有するスプリット部材４２４Ａ′としてもよい。

　図３８（ｄ）に示すスプリット部材４２４Ｂは、略Ｌ字状の断面形状を有している。即ち、上述した略Ｔ字状の一部を切り取ったような断面形状であり、特に、左右（水平）方向に配置する場合においては、上方の凸部を除去した略Ｌ字形状にすれば、スプリット部材４２４Ｂに微粉炭が堆積することを防止できる。なお、上方の凸部を除去した分、下方の凸部を大きくすることで、スプリット部材４２４Ｂに必要な分離性能を確保することができる。
　しかし、上述したスプリット部材４２４等の断面形状については、例えば、略Ｙ字形状等のように、図示の例に限定されることはない。

　ところで、本実施例のスプリット部材４２４はこれに限定されることはなく、従って、上述したスプリット部材４２４は、例えば、上下方向及び左右方向に各々２本ずつ、合計４本が所定の間隔を有する格子状に配設されたものでもよい。この場合、上下方向の２本については、２次空気投入ポート４３０に近い上下両端部が除去され、左右方向の２本については、コール１次ポート４２２の左右両端部まで設けられるなど、種々の態様が選択可能である。
　即ち、４本のスプリット部材４２４を設置する場合には、上下方向及び左右方向の異なる２方向に向けて格子状に配設されるクロスタイプとすることで、微粉炭バーナ４２１におけるコール１次ポート４２２の出口開口部を細分化（９分割）している。また、スプリット部材４２４に挟まれる部分では、圧損が大きく、噴出口での流速が低下し、より内部での着火が促進される。

　なお、除去する部分（除去部４２４ａ）は、例えば、上下方向のスプリット部材４２４については、上述した左右方向のスプリット部材４２４の位置にあわせなくてもよい。また、スプリット部材４２４の端部は、全方向を除去することにより、外周部での着火を完全に抑制できるため、外周に保炎器を設置しない構造とすることが望ましい。
　また、上述した除去部４２４ａは、２次空気量がより多くなる方向、即ち、コール２次ポート４２３の外周（上下）に２次空気投入ポート４３０が隣接して設けられた方向に設けてもよい。

　このように構成した固体燃料焚きバーナ４２０において、微粉炭バーナ４２１の出口開口中央付近に設置したスプリット部材４２４は、微粉炭及び空気の流路を分割して流れを内部で乱すとともに、スプリット部材４２４の前方（下流側）に再循環域を形成するため、内部保炎機構として機能する。
　一般に、従来の固体燃料焚きバーナ４２０は、火炎外周で輻射を受けて燃料の微粉炭に着火する。火炎外周で微粉炭に着火すると、ＮＯｘは高温の酸素が残存する火炎外周の高温酸素残存領域Ｈ（図３３（ｂ）参照）で発生し、十分に還元されないまま残存してＮＯｘ排出量を増加させている。

　しかし、内部保炎機構として機能するスプリット部材４２４が設けられたことにより、微粉炭は火炎内部で着火するようになる。このため、ＮＯｘは火炎内部で発生し、火炎内部で発生したＮＯｘは還元作用を有する炭化水素類を多く含んでいることから、空気不足の状態にある火炎内で迅速に還元される。従って、火炎外周に保炎器を設置する保炎をやめて、即ち、除去部４２４ａを形成することによりバーナ外周に保炎機構を設置しない構造の固体燃料焚きバーナ４２０とすれば、火炎外周でのＮＯｘ発生を抑制することも可能になる。

　特に、複数方向のスプリット部材４２４を配設したクロスタイプとすることにより、微粉炭バーナ４２１の出口開口中央付近に対し、異なる方向のスプリット部材４２４を交差させた交差部を容易に設けることができる。このような交差部が微粉炭バーナ４２１の出口開口中央付近に存在していると、微粉炭バーナ４２１の出口開口においては、中央付近で微粉炭及び空気の流路が複数に分割されるので、複数に分流する際に流れが乱される。
　即ち、スプリット部材４２４が左右一方向の場合、中央部における空気の拡散や着火が遅れて局所的に極端な空気不足領域が存在し、未燃分増加の原因になるが、スプリット部材４２４を複数方向に配設して交差部が形成されるクロスタイプでは、火炎内部での空気の混合が促進されるとともに着火面が細分化されるので、結果として未燃分の低減が可能になる。

　換言すれば、交差部を形成するようにスプリット部材４２４を配設すれば、空気の混合・拡散が火炎の内部で促進され、さらに着火面が細分化されることにより、着火位置が火炎の中央部（軸中心部）に寄って微粉炭の未燃分を低減する。即ち、火炎の中心部まで酸素が入り込みやすくなるので、内部着火が効果的に行われるようになり、従って、火炎内部で迅速な還元が行われてＮＯｘの発生量は低減される。
　この結果、火炎外周に設置した保炎器による保炎をやめ、火炎外周に保炎器のない固体燃料焚きバーナ４２０を用いて火炎外周でのＮＯｘ発生を抑制することは、より一層容易になる。

　このような複数方向のスプリット部材４２４において、本実施例では、スプリット部材４２４の外周側でかつコール２次ポート４２３に隣接する複数個所の端部、即ち、左右端部の少なくとも一部を除去すればよい。
　図３３（ａ）に示す構成例の第１変形例では、上述したように、外周側となる上下方向のスプリット部材４２４から上下両端部を除去する。即ち、スプリット部材４２４の上下両端部を除去した外周側の領域は、スプリット部材４２４が存在せず、しかも、スプリット部材４２４からコール２次ポート４２３及び２次空気投入ポート４３０までの距離が増している。なお、クロスタイプのスプリット部材４２４は、横方向の左右端部でも外周着火が生じるものの、旋回燃焼においては、左右方向から火炎の周囲に吹き込まれる２次空気量が限られるため、本実施例では左右両端部を残して着火面を確保している。

　この結果、スプリット部材４２４が存在しない上下両端の外周側領域では、スプリット部材４２４を着火源とする着火が生じなくなり、一方、火炎内部となるスプリット部材４２４の中心部側では、保炎機能を有効に活用できる。従って、２次空気投入量が多い２次空気投入ポート４３０に近いため、２次空気と直接干渉しやすい上下両端部側の領域では、着火が生じにくくなることにより、火炎外周に高温高酸素領域が形成されることを防止または抑制できる。即ち、コール２次ポート４２３及び２次空気投入ポート４３０に隣接する上下両端部を除去したスプリット部材４２４は、微粉炭バーナ４２０の内部で着火を強化できるとともに、火炎外周の高温酸素領域、特に火炎上下端の高温酸素領域が形成されることを防止できる。

　ところで、上述したスプリット部材４２４の端部除去は、第１変形例に限定されることはない。
　示す第２変形例では、スプリット部材４２４が上下左右に各々２本ずつ配設されている。この場合、上述した実施例と同様に、上下方向のスプリット部材４２４について、コール２次ポート４２３及び２次空気投入ポート４３０に近い上下両端部の全てが除去されている。このスプリット部材４２４は、１本としてもよいし、３本以上でもよい。

　第３変形例では、スプリット部材４２４が上下左右に各々３本ずつ配設されている。この変形例における上下方向のスプリット部材４２４は、コール２次ポート４２３及び２次空気投入ポート４３０に近い上下両端部のうち、中央に配置された１本のみが除去されている。なお、上下方向のスプリット部材４２４については、特に上下両端部を除去しない上下方向のスプリット部材４２４については、より上下端部あるいは全体のスプリッタ幅Ｗを狭めて着火面積を低減することが望ましい。

　このように、微粉炭バーナ４２１の上下に隣接してコール２次ポート４２３及び２次空気投入ポート４３０が配設されている旋回燃焼ボイラ用の固体燃料焚きバーナ４２０においては、上下両端部の少なくとも一部を除去したクロスタイプのスプリット部材４２４を設置することにより、特に２次空気と直接干渉しやすい上下端に高温高酸素領域が形成されることを防止または抑制できる。
　こうして火炎の外周に形成される高温酸素残存領域が抑制されると、予混合燃焼に近い燃焼をする火炎内部で発生したＮＯｘが効果的に還元されるようになる。従って、ＡＡ部４１４まで到達するＮＯｘ量の減少や追加空気投入により発生するＮＯｘ量の減少により、ＡＡ部４１４から最終的に排出されるＮＯｘ量が減少する。

　また、第４変形例では、クロスタイプのスプリット部材４２４が、上下及び左右方向の少なくとも一方に３本以上配設され、上下左右の中央部に配置された少なくとも一方を残して端部が除去されている。
　即ち、第４変形例は、スプリット部材４２４が上下左右に各々３本ずつ配設されている構成は第２変形例及び第３変形例と同じである。しかし、この変形例では、上下及び左右の中央に配置された１本のスプリット部材４２４が端部まで設けられ、その両端に配置されたスプリット部材４２４は、上下左右の端部が全て除去されている。

　このように、第４変形例のスプリット部材４２４とすれば、上下左右の中央部を除く外周部にスプリット部材４２４が存在しない構造となり、最も外周着火に寄与すると考えられる領域にはほとんどスプリット部材４２４が存在していない。このため、第４変形例のような構成例のスプリット部材４２４は、スプリット部材４２４が着火源となる外周着火の有効な防止策となる。

　また、本実施例のスプリット部材４２４は、例えば、第５変形例のように、必要に応じて外周着火源となりうる左右端部の少なくとも一部を除去してもよい。
　即ち、保炎器として機能するクロスタイプのスプリット部材４２４においては、横方向の左右両端部でも外周着火を生じることがあるので、上下及び左右の端部を全部除去した構造は、外部着火を完全に防止するために有効である。特に、微粉炭バーナ４２１の左右に２次空気投入ポートを設ける場合には、上述した上下の２次空気投入ポート４３０と同様の理由により、左右の端部も削除して着火源を低減することが望ましい。

　次に、本発明の実施例１６に係る対向燃焼ボイラに適用される固体燃料焚きバーナを説明する。
　本実施例の固体燃料焚きバーナには、円形断面としたコール１次ポートの外周に、複数の同心円状とした２次空気投入ポートが設けられている。この２次空気投入ポートは、例えば、内部２次空気投入ポート及び外部２次空気投入ポートの２段で構成されるが、これに限定されることはない。

　また、コール１次ポートの出口中心部には、異なる２方向のスプリット部材が格子状に複数本（例えば、縦及び横方向に合計４本）配設されている。この場合のスプリット部材については、実施例１５で説明した数、配置及び断面形状等を適用可能であるが、特に、円形であることから、全周にわたって端部を除去することが望ましい。あるいは、円形スプリット部材を設けて円形内部に放射状スプリット部材を複数本配設し、円形の周方向を複数に分割した構成としてもよい。この場合、円形スプリット部材については、複数の同心円としてもよい。

　上述した本実施例の固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラによれば、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域Ｈを抑制することにより、ＡＡ部４１４から排出される最終的なＮＯｘ発生量の低減が可能になる。
　なお、本発明は上述した実施例に限定されることはなく、例えば、粉体の固体燃料が微粉炭に限定されないなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。

　微粉炭焚きボイラでは、固体燃料として微粉炭（石炭）を使用している。この場合、石炭は、水分や揮発分を含んでおり、その種類によって水分量がばらついている。そのため、石炭に含まれる水分や揮発分に応じたボイラの運転制御が必要となる。

　石炭の揮発分を考慮したボイラの運転制御としては、例えば、上述した特許文献に記載されたものがある。特許文献５に記載された微粉炭バーナおよびこれを用いたボイラは、微粉炭と搬送空気との微粉炭混合気を噴出する微粉炭混合気通路と、微粉炭の揮発分放出に有効な高温で低酸素濃度である高温ガスを噴出する高温ガス供給通路を設けたものである。また、特許文献６に記載された石炭焚きボイラ装置は、微粉炭を石炭焚きボイラに送給する１次空気の温度を検出する温度検出器と、１次空気の温度を調整する１次空気温度調整手段と、温度検出器の検出結果を基に１次空気が所定温度となる様に１次空気温度調整手段を制御する制御装置とを設けたものである。

　上述した従来のボイラにあっては、いずれも微粉炭を加熱することで、水分や揮発分を調整してから火炉内で燃焼させている。この場合、ボイラの運転出力に基づいて運転パラメータを調整するしかなく、石炭の性状から直接運転パラメータを設定することが困難である。

　本発明は、上述した課題を解決するものであり、固体燃料及びこの固体燃料に含有する揮発分を適正に燃焼して運転効率の向上を図るボイラ及びボイラの運転方法を提供することを目的とする。

　図３９は、本発明の実施例１７に係るボイラとしての微粉炭焚きボイラを表す概略構成図、図４０は、実施例１７の微粉炭焚きボイラにおける燃焼バーナを表す平面図、図４１は、実施例１７の燃焼バーナを表す正面図、図４２は、実施例１７の燃焼バーナを表す断面図、図４３は、１次空気及び２次空気に対するＮＯｘ発生量及び未燃分発生量を表すグラフである。

　実施例１７の燃焼バーナが適用された微粉炭焚きボイラは、石炭を粉砕した微粉炭を固体燃料として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラである。

　この本実施例において、図３９に示すように、微粉炭焚きボイラ５１０は、コンベンショナルボイラであって、火炉５１１と燃焼装置５１２とを有している。火炉５１１は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉５１１を構成する火炉壁の下部に燃焼装置５１２が設けられている。

　燃焼装置５１２は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５を有している。本実施例にて、この燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５は、周方向に沿って４個均等間隔で配設されたものが１セットとして、鉛直方向に沿って５セット、つまり、５段配置されている。

　そして、各燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５は、微粉炭供給管５２６，５２７，５２８，５２９，５３０を介して微粉炭機（ミル）５３１，５３２，５３３，５３４，５３５に連結されている。この微粉炭機５３１，５３２，５３３，５３４，５３５は、図示しないが、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブルが駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に対向して複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。従って、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送空気（１次空気）により分級された微粉炭を微粉炭供給管５２６，５２７，５２８，５２９，５３０から燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５に供給することができる。

　また、火炉５１１は、各燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５の装着位置に風箱５３６が設けられており、この風箱５３６に空気ダクト５３７の一端部が連結されており、この空気ダクト５３７は、他端部に送風機５３８が装着されている。更に、火炉５１１は、各燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５の装着位置より上方にアディショナル空気ノズル５３９が設けられており、このアディショナル空気ノズル５３９に空気ダクト５３７から分岐した分岐空気ダクト５４０の端部が連結されている。従って、送風機５３８により送られた燃焼用空気（２次空気、３次空気）を、空気ダクト５３７から風箱５３６に供給し、この風箱３６から各燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５に供給することができると共に、分岐空気ダクト５４０からアディショナル空気ノズル５３９に供給することができる。

　そのため、燃焼装置５１２にて、各燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５は、微粉炭と１次空気とを混合した微粉燃料混合気（燃料ガス）を火炉５１１内に吹き込み可能であると共に、２次空気及び３次空気を火炉５１１内に吹き込み可能となっており、図示しない点火トーチにより微粉燃料混合気に点火することで、火炎を形成することができる。

　また、微粉炭供給管５２６，５２７，５２８，５２９，５３０は、微粉燃料混合気量を調整可能な流量調整弁５４１，５４２，５４３，５４４，５４５が設けられ、空気ダクト５３７は、燃焼用空気（２次空気、３次空気）量を調整可能な流量調整弁５４６が設けられ、分岐空気ダクト５４０は、追加空気量を調整可能な流量調整弁５４７が設けられている。そして、制御装置５４８は、各流量調整弁５４１，５４２，５４３，５４４，５４５，５４６，５４７の開度を調整可能となっている。この場合、微粉炭供給管５２６，５２７，５２８，５２９，５３０に流量調整弁５４１，５４２，５４３，５４４，５４５を設けなくてもよい。

　なお、一般的に、ボイラの起動時には、各燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５は、油燃料を火炉５１１内に噴射して火炎を形成している。

　火炉５１１は、上部に煙道５５０が連結されており、この煙道５５０に、対流伝熱部として排ガスの熱を回収するための過熱器（スーパーヒータ）５５１，５５２、再熱器５５３，５５４、節炭器（エコノマイザ）５５５，５５６，５５７が設けられており、火炉５１１での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。

　煙道５５０は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス管５５８が連結されている。この排ガス管５５８は、空気ダクト５５７との間にエアヒータ５５９が設けられ、空気ダクト５３７を流れる空気と、排ガス管５５８を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５に供給する燃焼用空気を昇温することができる。

　なお、排ガス管５５８は、図示しないが、脱硝装置、電気集塵機、誘引送風機、脱硫装置が設けられ、下流端部に煙突が設けられている。

　従って、微粉炭機５３１，５３２，５３３，５３４，５３５が駆動すると、生成された微粉炭が搬送用空気と共に微粉炭供給管５２６，５２７，５２８，５２９，５３０を通して燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５に供給される。また、加熱された燃焼用空気が空気ダクト５３７から風箱５３６を介して各燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５に供給されると共に、分岐空気ダクト５４０からアディショナル空気ノズル５３９に供給される。すると、燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５は、微粉炭と搬送用空気とが混合した微粉燃料混合気を火炉５１１に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉５１１に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。また、アディショナル空気ノズル５３９は、追加空気を火炉５１１に吹き込み、燃焼制御を行うことができる。この火炉５１１では、微粉燃料混合気と燃焼用空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉５１１内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス（排ガス）がこの火炉５１１内を上昇し、煙道５５０に排出される。

　なお、火炉５１１では、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。そして、微粉炭の燃焼により発生したＮＯｘが火炉５１１で還元され、その後、追加空気（アディショナルエア）が追加供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるＮＯｘの発生量が低減される。

　このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器５５５，５５６，５５７によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管（図示せず）に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器５５１，５５２に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器５５１，５５２で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント（例えば、タービン等）に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器５５３，５５４に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉５１１をドラム型（蒸気ドラム）として説明したが、この構造に限定されるものではない。

　その後、煙道５５０の節炭器５５５，５５６，５５７を通過した排ガスは、排ガス管５５８にて、図示しない脱硝装置にて、触媒によりＮＯｘなどの有害物質が除去され、電気集塵機で粒子状物質が除去され、脱硫装置により硫黄分が除去された後、煙突から大気中に排出される。

　ここで、燃焼装置５１２について詳細に説明するが、この燃焼装置５１２を構成する各燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５は、ほぼ同様の構成をなしていることから、最上段に位置する燃焼バーナ５２１についてのみ説明する。

　燃焼バーナ５２１は、図４０に示すように、火炉５１１における４つの壁面に設けられる燃焼バーナ５２１ａ，５２１ｂ，５２１ｃ，５２１ｄから構成されている。各燃焼バーナ５２１ａ，５２１ｂ，５２１ｃ，５２１ｄは、微粉炭供給管５２６から分岐した各分岐管５２６ａ，５２６ｂ，５２６ｃ，５２６ｄが連結されると共に、空気ダクト５３７から分岐した各分岐管５３７ａ，５３７ｂ，５３７ｃ，５３７ｄが連結されている。

　従って、火炉５１１の各壁面にある各燃焼バーナ５２１ａ，５２１ｂ，５２１ｃ，５２１ｄは、火炉５１１に対して、微粉炭と搬送用空気が混合した微粉燃料混合気を吹き込むと共に、その微粉燃料混合気の外側に燃焼用空気を吹き込む。そして、各燃焼バーナ５２１ａ，５２１ｂ，５２１ｃ，５２１ｄからの微粉燃料混合気に着火することで、４つの火炎Ｆ１，Ｆ２，Ｆ３，Ｆ４を形成することができ、この火炎Ｆ１，Ｆ２，Ｆ３，Ｆ４は、火炉５１１の上方から見て（図４０にて）反時計周り方向に旋回する火炎旋回流となる。

　このように構成された燃焼バーナ５２１（５２１ａ，５２１ｂ，５２１ｃ，５２１ｄ）にて、図４１及び図４２に示すように、中心側から燃料ノズル５６１と、２次空気ノズル５６２と、３次空気ノズル５６３とが設けられると共に、保炎器５６４が設けられている。燃料ノズル５６１は、微粉炭（固体燃料）と搬送用空気（１次空気）とを混合した燃料ガス（微粉燃料混合気）を吹き込み可能なものである。２次空気ノズル５６２は、第１ノズル５６１の外側に配置され、燃料ノズル５６１から噴射された燃料ガスの外周側に燃焼用空気（２次空気）を吹き込み可能なものである。３次空気ノズル５６３は、２次空気ノズル５６２の外側に配置され、２次空気ノズル５６２から噴射された２次空気の外周側に３次空気を吹き込み可能なものである。

　また、保炎器５６４は、燃料ノズル５６１内であって、燃料ガスの吹き込み方向の下流側で、且つ、軸中心心側に配置されることで、燃料ガスの着火用及び保炎用として機能するものである。この保炎器５６４は、水平方向に沿う２つの保炎部材と、鉛直方向（上下方向）に沿う２つの保炎部材とを十字形状をなすように配置した、所謂、ダブルクロススプリット構造をなすものである。そして、保炎器５６４は、各保炎部材の前端部（燃料ガスの流れ方向の下流端部）に拡幅部が形成されている。

　そのため、燃料ノズル５６１及び２次空気ノズル５６２は、長尺な管状構造を有し、燃料ノズル５６１は、矩形状の開口部５６１ａを有し、２次空気ノズル５６２は、矩形リング状の開口部５６２ａを有していることから、燃料ノズル５６１と２次空気ノズル５６２とは、二重管構造となっている。燃料ノズル５６１及び２次空気ノズル５６２の外側に、３次空気ノズル５６３が二重管構造として配置されており、矩形リング状の開口部５６３ａを有している。その結果、燃料ノズル５６１の開口部５６１ａの外側に２次空気ノズル５６２の開口部５６２ａが配設され、この２次空気ノズル５６２の開口部５６２ａの外側に３次空気ノズル５６３の開口部５６３ａが配設されることとなる。

　これらのノズル５６１，５６２，５６３は、開口部５６１ａ，５６２ａ，５６３ａが同一面上に揃えられて配置されている。また、保炎器５６４は、燃料ノズル５６１の内壁面、または、燃料ガスが流れる流路の上流側から図示しない板材により支持されている。また、燃料ノズル５６１は、内部にこの保炎器５６４としての複数の保炎部材が配置されていることから、燃料ガスの流路が９つに分割されることとなる。そして、保炎器５６４は、前端部に幅が広がった拡幅部が位置することとなり、この拡幅部は、前端面が開口部５６１ａと同一面上に揃えられている。

　また、燃焼バーナ５２１にて、燃料ノズル５６１は、微粉炭機５３１からの微粉炭供給管５２６が接続されている。２次空気ノズル５６２は、送風機５３８からの空気ダクト５３７が分岐した一方の連結ダクト５６６が接続され、３次空気ノズル５６３は、この空気ダクト５３７が分岐した他方の連結ダクト５６７が接続され、空気ダクト５３７と各連結ダクト５６６，５６７との分岐部に流量調整弁（三方弁またはダンパ）５６８が装着されている。そして、制御装置５４８（図３９参照）は、この流量調整弁５６８の開度を調整可能であり、各連結ダクト５６６，５６７への空気の配分を調整可能となっている。

　従って、この燃焼バーナ５２１では、微粉炭と１次空気とを混合した燃料ガスが燃料ノズル５６１の開口部５６１ａから炉内に吹き込まれると共に、その外側にて２次空気が２次空気ノズル５６２の開口部５６２ａから炉内に吹き込まれ、その外側にて３次空気が３次空気ノズル５６３の開口部５６３ａから炉内に吹き込まれる。このとき、燃料ガスは、燃料ノズル５６１の開口部５６１ａにて、保炎器５６４により分岐されて着火され、燃焼して燃料ガスとなる。また、この燃料ガスの外周に２次空気が吹き込まれることで、燃料ガスの燃焼が促進される。また、燃焼火炎の外周に、３次空気が吹き込まれることで、燃焼火炎の外周部が冷却される。

　そして、この燃焼バーナ５２１では、保炎器５６４がスプリット形状をなすので、燃料ガスが燃料ノズル５６１の開口部５６１ａにて保炎器５６４により分岐され、このとき、保炎器５６４が燃料ノズル５６１の開口部５６１ａの中央領域に配置され、この中央領域にて、燃料ガスの着火及び保炎が行われる。これにより、燃焼火炎の内部保炎（燃料ノズル５６１の開口部５６１ａの中央領域における保炎）が実現される。

　また、燃焼バーナ５２１では、内部保炎する構成が採用されるため、燃料ガス及び燃焼空気（２次空気及び３次空気）が直進流として供給されることが好ましい。即ち、燃料ノズル５６１、２次空気ノズル５６２、３次空気ノズル５６３が、燃料ガス、２次空気、３次空気を旋回させることなく直進流として供給する構造を有することが好ましい。この燃料ガス、２次空気、３次空気が直進流として噴射されて燃焼火炎が形成されるため、燃焼火炎を内部保炎する構成において、燃焼火炎内のガス循環が抑制される。これにより燃焼火炎の外周部が低温のまま維持され、２次空気との混合によるＮＯｘ発生量が低減される。

　ところで、本実施例の微粉炭焚きボイラ５１０では、固体燃料として微粉炭（石炭）を使用しており、この微粉炭は、揮発分を含んでいることから、その揮発分により燃焼形態が相違してしまう。

　そこで、本実施例の微粉炭焚きボイラ５１０では、図３９及び図４２に示すように、制御装置５４８は、各流量調整弁５４１，５４２，５４３，５４４，５４５，５４６，５４７，５６８の開度を変更することで、燃料ガス量、２次空気量、３次空気量、追加空気量を調整可能となっていることから、微粉炭の揮発分に応じてこの燃料ガス量、２次空気量、３次空気量、追加空気量を調整している。

　この場合、制御装置５４８は、微粉炭の揮発分に応じて、１次空気と２次空気との合計空気量と、追加空気の空気量との配分を調整することが望ましく、具体的には、１次空気と２次空気との合計空気量と、３次空気と追加空気との合計空気量との配分を調整する。

　本実施例では、１次空気量と追加空気量が予め設定された所定の空気量であることから、制御装置５４８は、微粉炭の揮発分に応じて２次空気と３次空気との配分を調整する。そして、制御装置５４８は、微粉炭の揮発分が増加すると、２次空気の配分を増加するようにしている。

　即ち、燃料ノズル５６１は、微粉炭と１次空気とを混合した燃料ガスを火炉５１１内に吹き込むものであり、１次空気は微粉炭の搬送用空気であることから、この燃料ガスにおける微粉炭と１次空気との配分、つまり、１次空気量は、微粉炭機５３１，５３２，５３３，５３４，５３５により決定してしまう。また、アディショナル空気ノズル５３９は、燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５による燃焼に対して、燃焼用空気を投入することで酸化燃焼を行い、燃焼を完結させる。ここで、アディショナル空気ノズル５３９からの追加空気は、主燃焼ゾーンでの還元雰囲気を強めてＮＯｘの排出量を減少させるものであることから、ボイラごとにその追加空気量が決まってしまう。

　一方、２次空気ノズル５６２は、空気ダクト５３７から連結ダクト５６６を通って供給された空気を２次空気として火炉１１内に吹き込むものであり、主に燃料ノズル５６１から吹き込まれた燃料ガスと混合して燃焼する燃焼用空気として使用される。３次空気ノズル５６３は、空気ダクト５３７から連結ダクト５６６を通って供給された空気を３次空気として火炉５１１内に吹き込むものであり、主にアディショナル空気ノズル３５９と同様に、燃焼火炎に対する追加空気として使用される。

　そのため、制御装置５４８は、流量調整弁５６８の開度を変更することで、１次空気と２次空気との合計空気量と、３次空気と追加空気との合計空気量、つまり、２次空気と３次空気との空気量の配分を調整することで、微粉炭の揮発分量の変動に対応している。ここで、制御装置５４８は、微粉炭の揮発分量が増加すると、３次空気量を減少する一方、２次空気量を増加して２次空気と３次空気の配分を変更している。

　ここで、図４３に示すように、１次空気と２次空気との合計空気量が増加すると、ＮＯｘの発生量が増加する一方、未燃分の発生量が減少する。即ち、燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５は、着火部（燃料ノズル５５１の開口部５５１ａ近傍）で微粉炭の揮発分が主に燃焼するものであり、ここでの空気量が過剰になると、ＮＯｘの発生量が増加し、ここでの空気量が不足すると、微粉炭の円滑な燃焼が進行せずに未燃分の発生量が増加する。そのため、この燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５では、着火部で微粉炭の揮発分を考慮し、ＮＯｘの発生量と未燃分の発生量が低く抑えられる量の空気量を設定する必要がある。

　なお、微粉炭の揮発分は、石炭を各微粉炭機５３１，５３２，５３３，５３４，５３５に投入する前に計測しておき、この揮発分量データとして制御装置５４８に入力しておく。また、微粉炭の揮発分に対する２次空気と３次空気との配分比率は、ボイラの形態や燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５による燃焼形態などにより異なることから、予め実験により設定し、例えば、マップを作成して制御装置５４８に記憶しておく。

　従って、燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５にて、火炉５１１に対して、燃料ノズル５６１により燃料ガスが吹き込まれ、２次空気ノズル５６２により２次空気が吹き込まれ、３次空気ノズル５６３により３次空気が吹き込まれる。このとき、燃料ガスは、保炎器５６４で着火されて燃焼し、更に２次空気が混合されて燃焼し、このとき、火炉５１１内に主燃焼領域が形成される。そして、この主燃焼領域の外側に対して、３次空気ノズル５６３により３次空気が吹き込まれることで、燃焼火炎の外周部が冷却されると共に燃焼が促進される。続いて、アディショナル空気ノズル５３９は、火炉５１１に対して追加空気を吹き込み、燃焼制御を行う。

　つまり、火炉５１１にて、燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５の燃料ノズル５６１からの燃料ガスと２次空気ノズル５６２からの２次空気が燃焼した燃焼ガスは、理論空気量未満となり、内部が還元雰囲気に保持される。そして、微粉炭の燃焼により発生したＮＯｘは、３次空気により還元され、その後、追加空気により微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるＮＯｘの発生量が低減される。

　このとき、制御装置５４８は、事前に計測した微粉炭の揮発分量と、予め記憶された微粉炭の揮発分量に対する２次空気と３次空気との配分比率マップとに基づいて、燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５における２次空気と３次空気の配分比率を求め、流量調整弁５６８の開度を設定する。そして、制御装置５４８は、この設定した開度に基づいて、流量調整弁５６８の開度を調整する。すると、燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５にて、２次空気ノズル５６２からの２次空気量と、３次空気ノズル５６３からの３次空気量が、微粉炭の揮発分量に対して最適な量となり、微粉炭並びに揮発分が適正に燃焼する。

　このように実施例１７のボイラにあっては、微粉炭と空気を燃焼させる火炉５１１と、この火炉５１１内で熱交換を行って熱を回収する過熱器５５１，５５２と、火炉５１１に微粉炭と１次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズル５６１と、火炉５１１に２次空気を吹き込み可能な２次空気ノズル５６２と、火炉５１１に３次空気を吹き込み可能な３次空気ノズル５６３と、火炉５１１における燃料ノズル５６１及び２次空気ノズル５６２より上方に追加空気を吹き込み可能なアディショナル空気ノズル５３９と、２次空気量と３次空気量との配分を行う流量調整弁５６８と、微粉炭の揮発分に応じて流量調整弁５６８の開度を制御する制御装置５４８とを設けている。

　従って、制御装置５４８は、微粉炭の揮発分に応じて流量調整弁５６８の開度を制御し、２次空気ノズル５６２への空気量と、３次空気ノズル５６３への空気量の配分を調整することで、微粉炭の揮発分に応じて２次空気量と３次空気量が調整されることとなり、微粉炭の揮発分を適正に燃焼することができると共に、微粉炭を適正に燃焼することができ、ＮＯｘや未燃分の発生を抑制してボイラ運転効率の向上を図ることができる。また、所定の燃空比を維持しながら、微粉炭とその揮発分を適正に燃焼することができる。

　また、実施例１７のボイラでは、制御装置５４８は、微粉炭の揮発分が増加すると、２次空気の配分を増加するようにしている。２次空気は、燃料ガスと混合して微粉炭を燃焼させるための燃焼用空気であることから、微粉炭の揮発分が増加すると、２次空気の配分を増加することで、微粉炭とその揮発分を適正に燃焼することができる。

　また、実施例１７のボイラの運転方法にあっては、微粉炭焚きボイラ５１０にて、微粉炭の揮発分に応じて２次空気と３次空気との配分を調整するようにしている。従って、微粉炭の揮発分を適正に燃焼することができると共に、微粉炭を適正に燃焼することができ、ＮＯｘや未燃分の発生を抑制してボイラ運転効率の向上を図ることができる。

　なお、上述した実施例では、２次空気量と３次空気量との配分を調整することで、微粉炭の揮発分が増加すると、２次空気の配分を増加するようにしたが、この構成に限定されるものではない。例えば、微粉炭機５３１，５３２，５３３，５３４，５３５における空気量（搬送用空気量）を増減させたり、追加空気量を増減させたりしてもよい。

　また、本発明のボイラは、微粉炭焚きボイラ５１０の構成や燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５の構成や数などに限定されるものではない。

　また、上述した実施例では、燃焼装置５１２として、火炉５１１の壁面に設けられる４つの各燃焼バーナ５２１，５２２，５２３，５２４，５２５を鉛直方向に沿って５段配置して構成したが、この構成に限定されるものではない。即ち、燃焼バーナを壁面に配置せずにコーナーに配置してもよい。また、燃焼装置は、旋回燃焼方式に限らず、燃焼バーナを一つの壁面に配置したフロント燃焼方式、燃焼バーナを二つの壁面に対向配置した対向燃焼方式としてもよい。

　１０　微粉炭焚きボイラ
　１１　火炉
　２１，２２，２３，２４，２５　燃焼バーナ
　５１，１１１　燃料ノズル
　５２，１１２　２次空気ノズル
　５３，１１３　３次空気ノズル
　５４，７１，８１，９１，１１４，１２１，１３１，１６１　保炎器
　５５，７５，９５，１０１，１１５，１３５，１４１，１５１　整流部材
　２１０　微粉炭焚きボイラ
　２１１　火炉
　２２１，２２２，２２３，２２４，２２５　燃焼バーナ
　２５１　燃料ノズル
　２５２　２次空気ノズル
　２５３　３次空気ノズル
　２５４，２９１　保炎器
　２５５，２７１　案内部材
　２６１，２６２，２６３，２６４　保炎部材
　２６１ｃ，２６２ｃ，２６３ｃ，２６４ｃ　切欠面（案内部材）
　２８１，２８２，２８３，２８４　三角板（案内部材）
　２９７　駆動装置
　３１０　旋回燃焼ボイラ
　３１１　火炉
　３１２　バーナ部
　３１４　追加空気投入部（ＡＡ部）
　３２０，３２０Ａ　固体燃料焚きバーナ
　３２１　微粉炭バーナ（燃料バーナ）
　３２２　コール１次ポート
　３２３　コール２次ポート
　３２４　スプリット部材
　３２４Ｖ　縦スプリッタ
　３２４Ｈ　横スプリッタ
　３３０　２次空気投入ポート
　３４０　ダンパ
　３５０　三角板（遮蔽部材）
　３５０Ａ　三角錐（遮蔽部材）
　４１０　旋回燃焼ボイラ
　４１１　火炉
　４１２　バーナ部
　４１４　追加空気投入部（ＡＡ部）
　４２０　固体燃料焚きバーナ
　４２１　微粉炭バーナ（燃料バーナ）
　４２２　コール１次ポート
　４２３　コール２次ポート
　４２４　スプリット部材
　４２４ａ　除去部
　４３０　２次空気投入ポート
　４４０　ダンパ
　５１０　微粉炭焚きボイラ
　５１１　火炉
　５２１，５２２，５２３，５２４，５２５　燃焼バーナ
　５３７　空気ダクト
　５３９　アディショナル空気ノズル（追加空気ノズル）
　５４０　分岐空気ダクト
　５４１，５４２，５４３，５４４，５４５，５４６，５４７，５６８　流量調整弁（空気量調整装置）
　５４８　制御装置
　５５１，５５２　過熱器（熱交換器）
　５５３，５５４　再熱器（熱交換器）
　５５５，５５６，５５７　節炭器（熱交換器）
　５６１　燃料ノズル
　５６２　２次空気ノズル
　５６３　３次空気ノズル

Claims

　固体燃料と空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズルと、
　該燃料ノズルの外側から空気を吹き込み可能な２次空気ノズルと、
　前記燃料ノズルの先端部における軸心側に設けられる保炎器と、
　前記燃料ノズルの内壁面と前記保炎器との間に設けられる整流部材と、
　備えることを特徴とする燃焼バーナ。
　前記整流部材は、前記保炎器と所定の隙間をもって配置されることを特徴とする請求項１に記載の燃焼バーナ。
　前記整流部材は、前記保炎器との距離が燃料ガスの流れ方向に沿ってほぼ同じになるように設けられることを特徴とする請求項１または２に記載の燃焼バーナ。
　前記保炎器は、燃料ガスの流れ方向における下流側に拡幅部が設けられる一方、前記整流部材は、燃料ガスの流れ方向における下流側に先細部が設けられることを特徴とする請求項１から３のいずれか一つに記載の燃焼バーナ。
　前記保炎器は、燃料ガスの流れ方向における下流側に拡幅部が設けられる一方、前記整流部材は、前記拡幅部に対向しない位置に設けられることを特徴とする請求項１から３のいずれか一つに記載の燃焼バーナ。
　前記整流部材は、前記燃料ノズルの内壁面に沿って設けられることを特徴とする請求項２に記載の燃焼バーナ。
　前記保炎器は、水平方向に沿って配置される第１保炎部材と、鉛直方向に沿って配置される第２保炎部材とが交差するように配置された構造をなすことを特徴とする請求項１から６のいずれか一つに記載の燃焼バーナ。
　前記第１保炎部材と前記第２保炎部材とは、それぞれ複数の保炎部材からなり、前記第１保炎部材が複数鉛直方向に所定隙間をもって配置される一方、前記第２保炎部材が複数水平方向に所定隙間をもって配置され、前記複数の第１保炎部材と前記複数の第２保炎部材とが交差するように配置された構造をなすことを特徴とする請求項７に記載の燃焼バーナ。
　前記第１保炎部材と前記第２保炎部材のいずれか一方の幅を他方の幅に対して大きな幅に設定することを特徴とする請求項７または８に記載の燃焼バーナ。
　固体燃料と空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズルと、
　該燃料ノズルの外側から空気を吹き込み可能な２次空気ノズルと、
　前記燃料ノズルの先端部における軸心側に設けられる保炎器と、
　前記燃料ノズル内を流れる燃料ガスを軸心側に導く案内部材と、
　備えることを特徴とする燃焼バーナ。
　前記案内部材は、前記２次空気ノズルにより吹き込まれる２次空気から離間する方向に燃料ガスを導くことを特徴とする請求項１０に記載の燃焼バーナ。
　前記案内部材は、前記燃料ノズルの内壁面に沿って配置されることを特徴とする請求項１０または１１に記載の燃焼バーナ。
　前記案内部材は、前記燃料ノズルの先端部に前記保炎器と対向して配置されることを特徴とする請求項１０に記載の燃焼バーナ。
　前記案内部材は、前記保炎器における前記燃料ノズルの内壁面と対向する位置に配置されることを特徴とする請求項１０または１１に記載の燃焼バーナ。
　前記案内部材は、前記保炎器より燃料ガスの流れ方向の上流側に配置されることを特徴とする請求項１０または１１に記載の燃焼バーナ。
　前記保炎器は、水平方向に沿って鉛直方向に所定隙間をもって平行をなす２つの第１保炎部材と、鉛直方向に沿って水平方向に所定隙間をもって平行をなす２つの第２保炎部材とが交差するように配置された構造をなし、前記案内部材は、前記第１保炎部材と前記第２保炎部材とが交差する位置の外側に配置されることを特徴とする請求項１０または１１に記載の燃焼バーナ。
　前記保炎器は、燃料ガスの流れ方向における下流側に拡幅部を有し、前記案内部材は、前記拡幅部に対向して配置されることを特徴とする請求項１０から１６のいずれか一つに記載の燃焼バーナ。
　水平方向に沿って鉛直方向に所定隙間をもって平行をなす２つの保炎部材を有し、前記保炎部材の先端部が前記燃料ノズルの軸心側を向くことで前記案内部材を構成することを特徴とする請求項１０または１１に記載の燃焼バーナ。
　固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、粉体燃料及び一次空気を炉内へ投入する燃料バーナと、該燃料バーナの外周から２次空気を噴射する２次空気投入ポートとを備え、
　前記燃料バーナの流路前方部に、内部保炎として複数方向の部材を交差させたクロスタイプのスプリット部材を配設し、該スプリット部材の幅寸法が方向毎に異なることを特徴とする固体燃料焚きバーナ。
　前記クロスタイプのスプリット部材は、上下方向が幅広であることを特徴とする請求項１９に記載の固体燃料焚きバーナ。
　　前記クロスタイプのスプリット部材は、左右方向が幅広であることを特徴とする請求項１９に記載の固体燃料焚きバーナ。
　前記クロスタイプのスプリット部材は、左右方向及び上下方向の少なくとも一方に３本以上配設され、かつ、左右方向及び上下方向の少なくとも一方の中央部が幅広であることを特徴とする請求項１９に記載の固体燃料焚きバーナ。
　固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、内部保炎を有する燃料バーナと、保炎しない２次空気投入ポートとを備え、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナであって、
　前記固体燃料焚きバーナが、粉体燃料及び一次空気を炉内へ投入する燃料バーナと、該燃料バーナの外周から２次空気を噴射する２次空気投入ポートとを備え、
　前記燃料バーナの流路前方部に複数方向の部材を交差させたクロスタイプのスプリット部材を配設し、前記スプリット部材が交差して形成される交差角部の少なくとも１箇所に流路断面積を低減する遮蔽部材を設けたことを特徴とする固定燃料焚きバーナ。
　前記固体燃料焚きボイラがバーナ部と追加空気投入部とに分けて低ＮＯｘ燃焼を行うことを特徴とする請求項１９から２３のいずれか一つに記載の固体燃料焚きバーナ。
　粉体燃料及び空気を炉内へ投入する請求項１９から２４のいずれか一つに記載の固体燃料焚きバーナが、前記炉内のコーナ部あるいは壁面部に配置されていることを特徴とする固体燃料焚きボイラ。
　固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、粉体燃料及び一次空気を炉内へ投入する燃料バーナと、該燃料バーナの外周から２次空気を噴射するコール２次ポートとを備え、
　前記燃料バーナの流路前方部に内部保炎用部材としてスプリット部材を配設し、該スプリット部材の外周側で前記コール２次ポートに隣接する端部の一部が除去されていることを特徴とする固体燃料焚きバーナ。
　前記内部保炎用部材が、複数方向の部材を交差させたクロスタイプのスプリット部材であることを特徴とする請求項２６に記載の固体燃料焚きバーナ。
　前記内部保炎用部材のスプリット部材は、少なくとも一方向に複数本配設されていることを特徴とする請求項２６または２７に記載の固体燃料焚きバーナ。
　前記クロスタイプのスプリット部材は、複数方向のうち少なくとも一方向の端部が除去されていることを特徴とする請求項２７または２８に記載の固体燃料焚きバーナ。
　前記クロスタイプのスプリット部材は、上下及び左右方向の少なくとも一方に３本以上配設され、上下左右の中央部に配置された少なくとも一方を残して端部が除去されていることを特徴とする請求項２８に記載の固体燃料焚きバーナ。
　前記固体燃料焚きボイラがバーナ部と追加空気投入部とに分けて低ＮＯｘ燃焼を行うことを特徴とする請求項２６から２９のいずれか一つに記載の固体燃料焚きバーナ。
　粉体燃料及び空気を炉内へ投入する請求項２６から３１のいずれか一つに記載の固体燃料焚きバーナが、前記炉内のコーナ部あるいは壁面部に配置されていることを特徴とする固体燃料焚きボイラ。
　固体燃料と空気を燃焼させる火炉と、
　該火炉内で熱交換を行って熱を回収する熱交換器と、
　前記火炉に固体燃料と１次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズルと、
　前記火炉に該燃料ノズルの外側から２次空気を吹き込み可能な２次空気ノズルと、
　前記火炉における前記燃料ノズル及び前記２次空気ノズルより上方に追加空気を吹き込み可能な追加空気ノズルと、
　前記燃料ノズルと前記２次空気ノズルと前記追加空気ノズルへ供給する空気量を調整可能な空気量調整装置と、
　固体燃料の揮発分に応じて前記空気量調整装置を制御する制御装置と、
　を備えることを特徴とするボイラ。
　前記制御装置は、固体燃料の揮発分に応じて前記空気量調整装置を制御し、１次空気と２次空気との合計空気量と、追加空気の空気量との配分を調整することを特徴とする請求項３３に記載のボイラ。
　前記火炉に前記２次空気ノズルの外側から３次空気を吹き込み可能な３次空気ノズルを設け、前記制御装置は、固体燃料の揮発分に応じて前記空気量調整装置を制御し、１次空気と２次空気との合計空気量と、３次空気と追加空気との合計空気量との配分を調整することを特徴とする請求項３３または３４に記載のボイラ。
　前記制御装置は、前記空気量調整装置を制御し、１次空気量と追加空気量を予め設定された所定の空気量とし、固体燃料の揮発分に応じて２次空気と３次空気との配分を調整することを特徴とする請求項３５に記載のボイラ。
　前記制御装置は、固体燃料の揮発分が増加すると、２次空気の配分を増加することを特徴とする請求項３３から３６のいずれか一つに記載のボイラ。
　固体燃料と空気を燃焼させる火炉と、
　該火炉内で熱交換を行って熱を回収する熱交換器と、
　前記火炉に固体燃料と１次空気とを混合した燃料ガスを吹き込み可能な燃料ノズルと、
　前記火炉に該燃料ノズルの外側から２次空気を吹き込み可能な２次空気ノズルと、
　前記火炉における前記燃料ノズル及び前記２次空気ノズルより上方に追加空気を吹き込み可能な追加空気ノズルと、
　を備えるボイラにおいて、
　固体燃料の揮発分に応じて２次空気と３次空気との配分を調整する、
　ことを特徴とするボイラの運転方法。
　固体燃料の揮発分が増加すると２次空気の配分を増加することを特徴とする請求項３８に記載のボイラの運転方法。