JP6049814B2 - 固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラ - Google Patents
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上述した1次空気は、燃料の微粉炭を搬送するために必要な空気量であるから、石炭を粉砕して微粉炭とするローラミル装置において空気量が規定される。そして、上述した2次空気は、旋回燃焼ボイラ内において火炎全体を形成するために必要となる空気量を吹き込むものであるから、旋回燃焼ボイラの2次空気量は、概ね微粉炭の燃焼に必要な全空気量から1次空気量を差し引いたものとなる。
また、旋回燃焼ボイラのバーナにおいては、微粉炭を外周に濃淡分離し、さらに、火炎外周の着火を強化する外部保炎が行われている。
また、下記の特許文献3にも、外周保炎器及びスプリットにより構成された保炎器が開示されている。この場合、外周保炎器がメインであり、スプリットは補助的なものとなっている。
このようにして、火炎外周の高温酸素残存領域で発生したNOxは、火炎の外周を通過するので、火炎内部と比較して還元が遅れることとなり、これが石炭焚きボイラからNOxを発生させる要因となっていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域を抑制(弱く)することにより、追加空気投入部から排出される最終的なNOx発生量の低減を可能にした固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラを提供することにある。
本発明に係る固体燃料焚きバーナは、バーナ部と追加空気投入部とに分けて低NOx燃焼を行う固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、粉体燃料及び一次空気を炉内へ投入する燃料バーナと、該燃料バーナの外周から2次空気を噴射する燃料バーナ用2次ポートとを備え、前記燃料バーナの流路前方部に、複数方向に延在する複数の内部保炎部材を配設し、前記内部保炎部材が交差する交差角部に、流路断面積を低減する遮蔽部材が設けられていることを特徴とするものである。
ここで、内部保炎部材は、その長手方向の両端部の幅が中央部の幅よりも小さいため、2次空気投入ポートの近傍では着火源が縮小されて小さくなる。したがって、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域の抑制が可能となる。
図3〜図5に示す旋回燃焼ボイラ10は、火炉11内へ空気を多段で投入することにより、バーナ部12から追加空気投入部(以下、「AA部」と呼ぶ)14までの領域を還元雰囲気にして燃焼排ガスの低NOx化を図っている。
このように、上述した旋回燃焼ボイラ10は、粉体燃料の微粉炭(石炭)及び空気を火炉11内へ投入する固体燃料焚きバーナ20が各段の各コーナ部に配置される旋回燃焼方式のバーナ部12とされ、各段にそれぞれ1または複数の旋回火炎が形成される旋回燃焼方式を採用している。
図1に示す固体燃料焚きバーナ20は、微粉炭及び空気を投入する微粉炭バーナ(燃料バーナ)21と、微粉炭バーナ21の上下に各々配置された2次空気投入ポート30とを備えている。
2次空気投入ポート30は、ポート毎の空気流量調整を可能にするため、たとえば図2に示すように、送気ダクト17から分岐した2次空気の供給ライン毎に、流量調整手段として開度調整可能なダンパ40を備えている。
すなわち、2本のスプリット部材24は、上下方向及び左右方向の異なる2方向に向けて格子状に配設されるクロスタイプとすることで、微粉炭バーナ21におけるコール1次ポート22の出口開口部を細分化(4分割)しているが、スプリット部材24の数については、上下方向及び左右方向共に複数本としてもよい。
また、スプリット部材24に挟まれる部分では、圧損が大きく、噴出口での流速が低下し、より内部での着火が促進される。
このような構成のスプリット部材24は、火炎Fの外周に形成される高温酸素残存領域Hを抑制し、14から排出される最終的なNOx発生量の低減に有効である。
図6(a)に示すスプリット部材24は、三角形の断面形状を有している。図示の三角形は正三角形や二等辺三角形であり、火炉11内に向けた出口側の一辺が微粉炭及び空気の流れ方向と略直交するように配置されている。換言すれば、三角形断面を形成する角部の1つを、微粉炭及び空気の流れ方向に向けた配置が採用されている。
しかし、上述したスプリット部材24等の断面形状については、たとえば略Y字形状等のように、図示の例に限定されることはない。
一般に、従来の固体燃料焚きバーナ20は、火炎外周で輻射を受けて燃料の微粉炭に着火する。火炎外周で微粉炭に着火すると、NOxは高温の酸素が残存する火炎外周の高温酸素残存領域H(図1(b)参照)で発生し、十分に還元されないまま残存してNOx排出量を増加させている。
すなわち、スプリット部材24が左右一方向の場合、中央部における空気の拡散や着火が遅れて局所的に極端な空気不足領域が存在し、未燃分増加の原因になるが、スプリット部材24を複数方向に配設して交差部が形成されるクロスタイプでは、火炎内部での空気の混合が促進されるとともに着火面が細分化されるので、結果として未燃分の低減が可能になる。
この結果、火炎外周に設置した保炎器による保炎をやめ、火炎外周に保炎器のない固体燃料焚きバーナ20を用いて火炎外周でのNOx発生を抑制することは、より一層容易になる。
たとえば図1(a)に示すクロスタイプの構成例では、コール1次ポート22の出口開口部に上下方向のスプリット部材(以下、「縦スプリッタ」と呼ぶ)24V及び左右方向のスプリット部材(以下、「横スプリッタ」と呼ぶ)24Hが各々1本ずつ配設されている。
すなわち、図示のスプリット部材24は、縦方向のスプリッタ機能を強化することにより、横方向のスプリッタ機能を相対的に低下させるため、縦スプリッタ24Vのスプリッタ幅Wvを横スプリッタ24Hのスプリッタ幅Whより大きく設定した構造である。
このような構成は、角度調整可能な燃料バーナ21の角度変化に対応するものである。
しかしながら、バーナ角度αが変化しても、適所に固定支持されているスプリット部材24は、燃料バーナ21と一体に角度変化しない。このため、燃料バーナ21とスプリット部材24との位置関係は、バーナ角度αの変化に応じて変動することとなる。
そこで、本実施形態においては、縦スプリッタ24Vのスプリッタ幅Wvを相対的に幅広とし、縦方向のスプリッタ機能を強化したスプリット部材24は、横スプリッタ24Hのスプリッタ幅Whが必要最小限まで狭められ、バーナ角度αの変化による位置関係の変動を最小限に抑えたものである。
これは、縦スプリッタ24Vのスプリッタ幅Wvが必要以上に大きいと、スプリッタ機能が強くなって微粉炭の着火源となりやすいためである。
この場合、縦スプリッタ24Vを残すことにより、すなわち、スプリッタ幅Wvの小さい縦スプリッタ24Vを設けて上下及び左右に存在するクロスタイプのスプリット部材24とすることにより、空気の混合促進及び着火面の細分化がなされる。このため、クロスタイプのスプリット部材24を備えた固体燃料焚きバーナ20は、火炎Fの中心部まで空気が入り込みやすくなり、結果として中央部の着火促進により未燃分の低減が可能になる。
次に、本発明の第2参考実施形態に係る固体燃料焚きバーナを説明する。
この実施形態では、固体燃料焚きバーナ20に設けられたスプリット部材24(内部保炎部材)が、スプリッタ幅Wの異なる複数方向に配置したスプリッタにより構成され、かつ、同方向に3本以上配置した中央部のスプリッタ幅Wを幅広にして周辺部を相対的に狭めた構成となっている。
すなわち、本実施形態の固体燃料焚きバーナ20は、中央部を幅広にしたクロスタイプのスプリット部材24を備えているので、微粉炭バーナ21の外周部で着火源となるスプリッタの存在が最小限に抑えられることにより、外部着火の防止または抑制が可能となり、さらに、中央部のスプリッタ機能が強化されたことにより、火炎Fの中心部まで空気が入り込みやすくなり、結果として中央部の着火促進により未燃分の低減が可能になる。
たとえば、上下及び左右に4本のスプリッタを配設し、上下及び左右の中央部となる2本ずつを幅広としてもよい。また、中央部に配置されたスプリッタは、上下及び左右の両方を幅広とする必要はなく、たとえば中央部に配置された上下のみまたは左右のみを幅広としてもよい。従って、複数方向の一方にのみ3本以上のスプリッタを配置して中央部を幅広とし、他の方向については、幅広または幅の狭い1本とする構成や、幅の狭い1本とする構成等も包含される。
次に、本発明の実施形態に係る固体燃料焚きバーナを図7に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、微粉炭及び1次空気の流れを火炎内部の中央部(軸中心側)に導くため、固体燃料焚きバーナ20Aに設けられたスプリット部材24(内部保炎部材)が、複数方向に配置したスプリッタどうしの交差角部に取り付けた遮蔽部材(内部保炎部材)を備えている。すなわち、スプリット部材24の機能をより一層向上させ、火炎内部の着火面増加や内部保炎強化を図るという目的を達成するため、スプリット部材24の機能補強部材として、スプリット部材24が交差して形成される交差角部の少なくとも1箇所に、流路断面積を低減する遮蔽部材を設けたものである。
従って、上下及び左右に交差するスプリッタ24H,24Vの交差部に形成された4箇所の交差角部のうち、少なくとも1箇所に設けられていればよい。
このように、スプリッタ24H,24Vの交差部に、三角板50や三角錐50Aのような遮蔽部材を設けると、スプリット部材24の機能はより一層向上し、火炎内部の着火面増加や内部保炎強化を達成できる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、たとえば粉体の固体燃料が微粉炭に限定されないなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 火炉
12 バーナ部
14 追加空気投入部(AA部)
20,20A 固体燃料焚きバーナ
21 微粉炭バーナ(燃料バーナ)
22 コール1次ポート
23 コール2次ポート(燃料バーナ用2次ポート)
24 スプリット部材(内部保炎部材)
24V 縦スプリッタ
24H 横スプリッタ
30 2次空気投入ポート
40 ダンパ
50 三角板(内部保炎部材である遮蔽部材)
50A 三角錐(内部保炎部材である遮蔽部材)
F 火炎
H 高温酸素残存領域
Claims (4)
- 固体燃料焚きボイラのバーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、粉体燃料及び一次空気を炉内へ投入する燃料バーナと、該燃料バーナの外周から2次空気を噴射する燃料バーナ用2次ポートとを備え、
前記燃料バーナの流路前方部に、複数方向に延在する複数の内部保炎部材を配設し、前記内部保炎部材が交差する交差角部に、流路断面積を低減する遮蔽部材が設けられていることを特徴とする固体燃料焚きバーナ。 - 前記遮蔽部材は、前記交差角部の交差中心部側を塞ぐように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の固体燃料焚きバーナ。
- 前記燃料バーナの上下に近接して2次空気投入ポートが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体燃料焚きバーナ。
- 粉体燃料及び空気を炉内へ投入する請求項1から3のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナが、前記炉内のコーナ部あるいは壁面部に配置されていることを特徴とする固体燃料焚きボイラ。
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