JP5344898B2 - 旋回燃焼ボイラ - Google Patents
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Description
このうち、微粉炭焚きの旋回燃焼ボイラにおいては、燃料の微粉炭とともに石炭バーナから投入される1次空気の上下に2次空気投入用の2次空気ポートを設置し、石炭バーナ周囲の2次空気について流量調整を行っている。なお、2次空気投入用の2次空気ポートは、オイルバーナを兼ねる場合もある。
上述した2次空気は、旋回燃焼ボイラ内において火炎全体を形成するために必要となる空気量を吹き込むものである。従って、旋回燃焼ボイラの2次空気量は、概ね微粉炭の燃焼に必要な全空気量から1次空気量を差し引いたものとなる。
このため、空気が拡散しにくい火炎内部では、低温領域が形成されることにより素酸化物(NOx)の還元は進まない。一方、火炎外周では、窒素酸化物の発生要因となる高温酸素残存領域を強めることとなる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、火炎内部に低温領域が形成されることを防止または抑制し、かつ、火炎外周に形成される高温酸素残存領域を抑制してNOx発生量の低減が可能となる旋回燃焼ボイラを提供することにある。
本発明に係る旋回燃焼ボイラは、粉体燃料及び空気を炉内へ投入するバーナが各段の各コーナ部に配置される旋回燃焼方式のバーナ部とされ、各段にそれぞれ1または複数の旋回火炎が形成される旋回燃焼ボイラにおいて、前記バーナが、粉体燃料及び1次空気を投入する燃料バーナと、該燃料バーナの周囲に配置されて2次空気を投入する2次空気投入ポートとを備え、前記燃料バーナが、中心部から1次空気の中に前記2次空気の一部を吹き込む燃料バーナ内2次空気ポートを備え、前記2次空気投入ポート及び前記燃料バーナ内2次空気ポートは、ポート毎の2次空気量を調整可能な流量調整手段を備え、前記2次空気投入ポートは、周囲の各ポートを複数に分割した2次空気分割ポートを備え、該2次空気分割ポート毎の2次空気量を調整可能な流量調整手段を備えていることを特徴とするものである。
また、2次空気投入ポート及び燃料バーナ内2次空気ポートは、ポート毎の2次空気量を調整可能な流量調整手段を備えているので、2次空気投入量の配分をポート毎に適正化することができる。そして、前記燃料バーナ内2次空気ポートは、水平方向の2次空気量を調整可能な流量調整手段を備えているので、燃料バーナ内2次空気ポートから投入される2次空気流量を水平(左右)方向に調整することができ、この結果、たとえば炉壁側の2次空気量を増して酸素濃度を上げ、炉壁の硫化腐食を防止することができる。
この場合、前記2次空気分割ポートは、投入する2次空気の流速調整手段を備えていることが好ましく、これにより、火炎の高温酸素残存領域形成をより精密に調整することが可能になる。
図9に示す旋回燃焼ボイラ10は、火炉11内へ空気を多段で投入することにより、バーナ部12から追加空気投入部(以下、「AA部」と呼ぶ)14までの領域を還元雰囲気にして燃焼排ガスの低NOx化を図っている。還元雰囲気となるバーナ部12からAA部14までの距離については、すなわち、還元燃焼ゾーンの距離(高さ)については、長くなるほど燃焼ガスの滞留時間が長くなってNOx発生量は小さくなる。なお、図中の符号20は微粉炭等の粉体燃料及び空気を投入するバーナ、15は追加空気を投入する追加空気投入ノズルであり、以下の説明では、旋回燃焼ボイラ10が、粉体燃料として微粉炭を使用する微粉炭焚きとする。
微粉炭バーナ21の上下には、2次空気投入用として各々独立した2次空気投入ポート30が設けられている。そして、微粉炭バーナ21には、1次空気の中に2次空気の一部を吹き込むため、コール1次ポート22の内部に1または複数の燃料バーナ内2次空気ポート(以下、「バーナ内2次ポート」と呼ぶ)24が設けられている。なお、図1に示す実施例では、1本のバーナ内2次ポート24がコール1次ポート22の略中心位置に配設されているが、2本または3本以上を配設してもよい。
具体的に説明すると、微粉炭バーナ21から投入された微粉炭は、1次空気及び2次空気を得て火炉11内で燃焼し、火炉11内に延在して旋回する火炎Fを形成する。バーナ内2次ポート24がない従来構造のバーナを採用した場合、火炎Fの内部にはコール1次ポート22の外周から投入された2次空気が拡散しにくい領域、すなわち低温領域Lが火炎内部に存在する。しかし、上述したバーナ内2次ポート24から2次空気の一部を投入することにより、火炎Fの内部に対する2次空気の拡散が促進されて低温領域Lの形成を防止または抑制することができる。換言すれば、火炎Fの内部にバーナ内2次ポート24から2次空気の一部が投入されるので、火炎内部において2次空気を短時間で拡散させることができる。
このように、本発明の旋回燃焼ボイラ10は、1次空気の中に2次空気の一部を吹き込むバーナ内2次ポート24を設けることにより、火炎Fの内部に低温領域Lが形成されることを防止または抑制したので、火炎Fの外周に形成される高温酸素残存領域Hを抑制してNOx発生量の低減が可能になる。また、バーナ内2次ポート24を旋回燃焼に用いることで、旋回火炎の流れを乱すことなく、NOxの低減が可能である。また、火炎Fは一般に対向燃焼に比べて狭く、空気のより早期の拡散が期待できる。
このような流速差を設けることにより、火炎Fの内部においては、2次空気の拡散や微粉炭と空気との撹拌効率がより一層向上する。この場合、1次空気及び2次空気のどちらの流速を速く設定してもよいが、拡散をより一層促進するためには、バーナ内ポート24から投入される2次空気の流速を速くしたほうがより効果的である。
このような構成とすれば、左右一対のバーナ内2次ポート24L,24Rから投入される2次空気流量を各々調整することにより、水平(左右)方向における2次空気投入量を調整して最適化することができる。すなわち、水平方向において火炉11内の炉壁側に投入される2次空気量が増すようにオフセットすることにより、炉壁側の酸素濃度を上昇させて炉壁の硫化腐食を防止することができる。
なお、2次空気分割ポート30Aの分割数については、上述した3分割に限定されることはない。
具体的には、火炎Fから遠い外部2次空気ポート31a,31bの2次空気分配割合を増し、火炎Fに近い内部2次空気ポート33a,33bの2次空気分配割合を小さくすることにより、火炎Fの外周に形成される高温酸素残存領域Hをより精密に調整して緩和することができるので、低NOx化の促進が可能になる。
図示の構成例では、コール1次ポート22の上下内壁面に串歯構造部60を取り付けてある。この串歯構造部60は、コール1次ポート22内を流れる流体、すなわち微粉炭及び空気の流れを乱す機能を有している。この結果、串歯構造部60の下流側では、微粉炭及び空気を撹拌する流れが形成されて混合を促進し、さらに、串歯構造部60の下流側近傍(特に谷部の近傍)には再循環域が形成されて着火を促進するので、内部に火炎面を形成し、未燃分の少ない良好な燃焼及び低NOx化が可能になる。また、旋回火炎との組合せによる格別の効果として、串歯構造は火炎を広げることなく保炎が可能である。すなわち、火炎内への空気の拡散がより早期に起こり、結果として低NOxを実現できる。
このような構成とすることにより、バーナ内2次ポート24Aから投入される2次空気の拡散性をより一層向上させることができるので、低温領域Lの形成をより一層効率よく防止または抑制することができる。
このような構成とすることにより、バーナ内2次ポート24Bから投入される2次空気により、微粉炭バーナ21Cの前方となる火炎Fの内部に再循環域が形成されるので、微粉炭と空気との混合が促進されるとともに、着火性を向上させることができる。
なお、バーナ内2次ポート24Bの先端出口については、径を絞った出口開口を採用しても同様の作用効果が期待できる。
このような構成とすることにより、保炎器25に対して微粉炭がほとんど衝突しないので、微粉炭の衝突による摩耗がない状態で保炎できるようになり、保炎の強化により火炎Fの還元力を強めることができる。また、保炎器と前記串歯構造を両方設けた場合、格別な効果として着火が強化され、火炎内部に早期に火炎面が形成される。このため、火炎伝播が迅速に起こり、火炎内部が有効に利用できる。
また、上述した実施形態及び各変形例については、適宜選択して組合せることが可能であり、組み合わせた構成に応じて互いの作用効果を得ることができる。
そして、上述した旋回燃焼ボイラ10に関する本発明は、保炎に旋回を用い、火炎が広がる中に空気を吹き込む対向燃焼ボイラのバーナとは異なり、保炎に旋回を用いることはできないので、上述した内部保炎構造や保炎器の設置により、保炎を図っている。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、たとえば粉体燃料が微粉炭に限定されないなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 火炉
12 バーナ部
14 追加空気投入部(AA部)
20,20A,20B バーナ
21,21′,21A,21B,21C,21D 微粉炭バーナ
22 コール1次ポート
23 コール2次ポート
24,24′ 燃料バーナ内2次空気ポート(バーナ内2次ポート)
24L,24R,24A,24B バーナ内2次ポート
25 保炎器
30 2次空気投入ポート
30A 2次空気分割ポート
40 ダンパ
60 串歯構造部
F 火炎
H 高温酸素残存領域
L 低温領域
Claims (10)
- 粉体燃料及び空気を炉内へ投入するバーナが各段の各コーナ部に配置される旋回燃焼方式のバーナ部とされ、各段にそれぞれ1または複数の旋回火炎が形成される旋回燃焼ボイラにおいて、
前記バーナが、粉体燃料及び1次空気を投入する燃料バーナと、該燃料バーナの周囲に配置されて2次空気を投入する2次空気投入ポートとを備え、
前記燃料バーナが、中心部から1次空気の中に前記2次空気の一部を吹き込む燃料バーナ内2次空気ポートを備え、
前記2次空気投入ポート及び前記燃料バーナ内2次空気ポートは、ポート毎の2次空気量を調整可能な流量調整手段を備え、
前記2次空気投入ポートは、周囲の各ポートを複数に分割した2次空気分割ポートを備え、該2次空気分割ポート毎の2次空気量を調整可能な流量調整手段を備えていることを特徴とする旋回燃焼ボイラ。 - 前記燃料バーナ内2次空気ポートから投入される2次空気は、前記1次空気と流速差をもって投入されることを特徴とする請求項1に記載の旋回燃焼ボイラ。
- 前記燃料バーナが濃淡分離機構を有しており、前記燃料バーナ内2次空気ポートから投入される2次空気は、前記粉体燃料の流量割合が高い領域に投入されることを特徴とする請求項1または2に記載の旋回燃焼ボイラ。
- 前記燃料バーナ内2次空気ポートは、水平方向の2次空気量を調整可能な流量調整手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の旋回燃焼ボイラ。
- 前記2次空気分割ポートは、投入する2次空気の流速調整手段を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の旋回燃焼ボイラ。
- 前記燃料バーナの適所に串歯構造が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の旋回燃焼ボイラ。
- 前記燃料バーナ内2次空気ポートは、複数に分割した先端出口から2次空気を外向きに投入することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の旋回燃焼ボイラ。
- 前記燃料バーナ内2次空気ポートは、先端出口面積が拡大または縮小されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の旋回燃焼ボイラ。
- 前記燃料バーナが保炎器を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の旋回燃焼ボイラ。
- 前記バーナ部の上部に追加空気投入部を備え、前記バーナ部から前記追加空気等入部までの領域を還元雰囲気とする空気の多段投入が行われることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の旋回燃焼ボイラ。
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