WO2012127928A1

WO2012127928A1 - 冷飲料注出装置

Info

Publication number: WO2012127928A1
Application number: PCT/JP2012/053067
Authority: WO
Inventors: 細木　忠治; 陶山　富夫; 恩田　良一; 秀充鈴江; 佐伯　龍雄
Original assignee: ホシザキ電機株式会社
Priority date: 2011-03-18
Filing date: 2012-02-10
Publication date: 2012-09-27
Also published as: JPWO2012127928A1; JP5952805B2

Abstract

　冷蔵室１５内に冷気が循環供給される冷蔵庫１０の上面に、注出タワー５０が冷蔵室１５の天井壁１５Ｂに形成された窓孔１６を介して冷蔵室１５と連通した形態で立設され、冷蔵室１５に収納されたビール樽Ｂから引き出されたビールホース３５が、注出タワー５０内を立ち上がってその上端部に設けられた注出口５２に接続されている。熱伝導性に優れた材質からなりパイプ６１の下端に冷熱収集板６２を設けてなる冷却具６０が備えられ、この冷却具６０の冷熱収集板６２が窓孔１６に被着され、かつパイプ６１が注出タワー５０内に立ち上がって配設されるとともに、パイプ６１の回りに断熱材７０，７１が充填され、パイプ６１内にビールホース３５が挿通されている。

Description

冷飲料注出装置

　本発明は、冷飲料注出装置に関する。

　冷飲料注出装置の一例として、ビールディスペンサが知られている。このものは、断熱性の冷蔵庫内にビール樽を収納して冷気供給装置により庫内に冷気を循環供給することで同ビール樽が冷蔵され、また同ビール樽にガスボンベが接続されるとともに、同ビール樽から引き出されたホースが、冷蔵庫の上面に立設された注出タワー内を立ち上がって同注出タワーの上端部に設けられた開閉コック付きの注出口と接続された構造になり、注出口を開くことによりガスボンベから供給された炭酸ガスの圧力で樽内の冷却されたビールがホースを通って注出口からビールジョッキ等に注出されるようになっている。

　ここで、ビールがホース内で待機している間、あるいは同ホースに沿って注出タワーを流通する間に同ビールが温度上昇することを防ぐ手段を講じる必要があり、従来その一例として、注出タワーから庫内の天井部に亘ってガイドを設けて、庫内に吹き出された冷気の一部を注出タワー内に導入したり（特許文献１参照）、あるいは注出タワー内を負圧に傾けて同じく庫内に吹き出された冷気の一部を注出タワー内に導入するようにしたもの（特許文献２参照）が知られている。

実開昭６０－７６６９９号公報特開２０１０－１８５６３９号公報

　（発明が解決しようとする課題）
　しかしながら上記従来の手段はいずれも、冷気の一部を注出タワー内の冷却に使用する構造であるため、それだけ負荷であるビール樽に当てられる冷気の量が減ることになり、結果ビール樽の冷却速度が低下するという問題があった。
　本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、貯蔵室の冷却速度の低下を招くことなく注出タワー内におけるホースの回りを効率良く冷却できるようにするところにある。

　（課題を解決するための手段）
　本発明は、内部が飲料容器を貯蔵する貯蔵室とされた断熱性の貯蔵庫と、前記貯蔵室に冷気を循環供給する冷気供給装置と、前記貯蔵室の壁部に形成された開口部を介して前記貯蔵室と連通した形態で前記貯蔵庫の上面よりも上方に立ち上がり形成された注出タワーと、前記注出タワーの上部に設けられた飲料の注出口と、前記飲料容器から引き出され前記注出タワー内を立ち上がって前記注出口に接続されたホースと、が具備された冷飲料注出装置において、熱伝導性に優れた材質からなりパイプの一端に冷熱収集部を設けてなる冷却具が備えられ、この冷却具が、前記冷熱収集部が前記貯蔵室の内部に突出し、かつ前記パイプが前記壁部の前記開口部から前記注出タワー内に立ち上がって配された形態で装着されるとともに、前記パイプの回りに断熱材が充填され、前記パイプ内に前記ホースが挿通されている構成としたところに特徴を有する。

　貯蔵室内に冷気が循環供給される際、その一部が冷却具の冷熱収集部に接触することで同冷熱収集部が冷却され、その冷熱がパイプに伝導して冷却され、それに伴いパイプ内に挿通されたホースが放射熱で冷却されて、ホース内で待機しており、または同ホース内を流通する冷飲料の温度上昇が防止される。注出タワーに冷気を導入することなく、熱伝導によりホースの回りを冷却できるようにしたのであるから、貯蔵室の冷却速度の低下が防止される。また、パイプの回りには厚肉の断熱層が確保できるために外熱の影響も受け難い。
　貯蔵室の冷却速度の低下を招くことなく注出タワー内におけるホースの回りを効率良く冷却することができる。

　また、以下のような構成としてもよい。　
　（１）前記冷却具の前記冷熱収集部が、前記壁部の前記開口部における内面側を塞ぐことが可能な冷熱収集板によって構成され、同冷熱収集板が前記開口部の内面に被着されるとともに、前記パイプが前記注出タワー内に立ち上がって配されている。冷熱収集板が冷却具の被取付部を兼用するから、当該冷却具に別途被取付部材を設ける場合と比べると、省スペース化や部品点数の削減を図ることができる。
　（２）前記冷却具において、前記パイプの前記冷熱収集板を設けた側の一端が、前記冷熱収集板から突出して設けられている。パイプの突出した一端部にも冷気が接触することで冷熱の収集が促進され、パイプをさらに冷却することができる。

　（３）前記冷却具の前記冷熱収集板における前記貯蔵室と対向した面には、前記貯蔵室に循環される冷気を受けて同貯蔵室に貯蔵された前記飲料容器に向ける風向板が一体的に形成されている。風向板を設けたことで冷気との接触面積が拡大できて冷熱の収集が促進されるとともに、冷気が飲料容器に効率良く当てられて貯蔵室内の冷却速度も高めることができる。
　（４）前記注出タワーが、前記貯蔵室の天井壁に形成された前記開口部を介して前記貯蔵室と連通した形態で前記貯蔵庫の上面に立設され、前記冷熱収集板が前記開口部の下面に被着されることに伴い前記パイプが前記注出タワー内に立ち上がって配されている。パイプを注出タワー内に下面側から挿入したのち、冷熱収集板を開口部の下面を覆って取り付けるだけで、冷却具の配設作業が簡単に行える。

　（５）前記貯蔵室の一面にはファンと冷却器とを上下に並べて収容した縦長の冷却ダクトが配設されるとともに、同冷却ダクトの下部位置には庫内空気の吸込口が、上部位置には冷気の吹出口がそれぞれ設けられることにより前記冷気供給装置が形成されており、前記ファンが駆動されることにより、前記貯蔵室の底部側から庫内空気を吸い込んで前記冷却器を通過する間に生成された冷気を前記貯蔵室の天井部に向けて吹き出すようにして、冷気が前記貯蔵室に循環供給されるようになっている。冷却器と熱交換された後の相対的に低温の冷気が冷却具の冷熱収集板に接触するから、パイプがより冷却されやすい。

　（発明の効果）
　本発明によれば、貯蔵室の冷却速度の低下を招くことなく注出タワー内におけるホースの回りを効率良く冷却することができる。

本発明の実施形態１に係るビールディスペンサの外観斜視図内部構造を示す分解斜視図注出部の構造を示す分解斜視図正面図扉を外した状態の正面図縦断面図冷却具の斜視図注出部の構造を示す部分断面図冷蔵室の天井壁側の構造を示す冷蔵庫の一部切欠底面図排出口付近の構造を示す部分断面図実施形態２に係る冷却具の斜視図その注出部の構造を示す部分断面図実施形態３に係る冷却具の斜視図その注出部の構造を示す部分断面図実施形態４に係る注出部の構造の概略を示す断面図

　＜実施形態１＞
　本発明の実施形態１を図１ないし図１０によって説明する。この実施形態では、ビールディスペンサを例示している。
　ビールディスペンサは、ビール樽Ｂを収納して冷蔵する冷蔵庫１０を備え、冷蔵庫１０の下面に機械室３０が設けられるとともに、上面に注出部４０が設けられた構造である。
　冷蔵庫１０は、前面開口の縦長の箱形をなす断熱性の冷蔵庫本体１１と、この冷蔵庫本体１１の前面開口部１２における一方の縦縁（例えば右側縁）に揺動開閉可能に装着された同じく断熱性の扉１３とから構成されている。

　冷蔵庫本体１１内の奥面における正面視左側の隅部には、縦向きにダクトパネル１７が張られることによって、図９に示すように、断面略台形をなす縦長の冷却ダクト１８が形成されており、したがって冷蔵庫本体１１内における冷却ダクト１８の手前側の領域が、上記したビール樽Ｂが収納される冷蔵室１５となっている。この例では、ビール樽Ｂは、図５及び図６に示すように、正面視で右奥側と左手前側の各領域において２段に積み上げられた形態で最大４個が収納できるようになっている。

　冷蔵庫１０の下面に配される機械室３０は、周面形状が上記の冷蔵庫１０の周面形状に略倣った扁平な箱形に形成されている。機械室３０内には、詳しくは図示しないが、圧縮機、空冷式の凝縮器等からなる冷凍装置と、電装箱等が収納されており、同機械室３０の底面にはキャスタ３１，３２が設けられ、移動可能すなわち可搬式とされている。

　上記した冷却ダクト１８の庫内側の面を構成するダクトパネル１７の下端部には、庫内空気の吸込口２０が形成されているとともに、上端部には冷気の吹出口２１が形成されている。
　冷却ダクト１８内には、上記した吹出口２１と吸込口２０の間の位置において冷却器２３（蒸発器）が設置されている。冷却器２３は、上記の機械室３０に設置された冷凍装置と冷媒配管で循環接続されることによって、周知の冷凍回路が構成されている。
　吹出口２１の裏側には、ファンモータからなる冷却ファン２５が装備されている。ここで冷却ファン２５は、図６に示すように、２段に詰まれたビール樽Ｂの上方の天井部１５Ａの領域と対応した高さ位置にあり、かつその回転中心軸が、図５及び図９に参照して示すように、冷蔵室１５内の中心部付近を指向している。
　以上により、本発明の冷気供給装置が構成されている。

　したがって、冷凍装置と冷却ファン２５とが駆動されると、庫内空気が吸込口２０から吸い込まれて冷却ダクト１８内を上方に流通する間に、冷却器２３と熱交換して冷気が生成され、その冷気が吹出口２１から冷蔵室１５の天井部１５Ａに対して冷却ファン２５の回転中心軸に沿った方向に吹き出され、冷蔵室１５内に循環流通されるようになっている。
　なお、冷却ダクト１８の底面には、冷却器２３からの除霜水等を受けるドレンパン２６が配設されている。

　ビール樽Ｂの上面には、図６に示すように、ビール圧送用のホース３５（ビールホース３５）の接続口Ｂ１と、ガスボンベＧ（図５参照）から引き出されたガス供給用のホース（ガスホース／図示せず）の接続口Ｂ２とが設けられている。
　注出を行うべきビール樽Ｂの接続口Ｂ１に接続されたビールホース３５は、詳しくは後記するように、冷蔵庫１０の上面に構築された注出部４０に設けられた開閉コック５３付きの注出口５２に接続されている。

　一方、ガスボンベＧは、冷蔵室１５の右側面の上端部における奥行のほぼ中央位置において、図５に示すように、前後方向を向いて寝た姿勢でホルダ３７内に収容されている。ここでホルダ３７における庫内側の下側角部がＲ面３８となっており、上記した冷却ダクト１８の吹出口２１から吹き出された冷気がホルダ３７のＲ面３８に当たることにより、同図の矢線ａに示すように、右側面に沿って流下する方向に導くようになっている。すなわち、Ｒ面３８が風向面となっている。
　上記のガスボンベＧのガスホースが接続口Ｂ２に接続されることで、炭酸ガスが供給されるようになっており、コック５３を開くと、ビール樽Ｂ内の冷却されたビールが炭酸ガスの圧力を受けて注出部４０の注出口５２から注出されるようになっている。

　注出部４０の構造を、図３及び図８によって説明する。冷蔵庫本体１１の上面には、当該冷蔵庫１０（扉１３を含む）とほぼ同じ平面形状を持った載置ステージ４１が設置されている。したがって載置ステージ４１の手前側の縁部が、閉じられた扉１３の上方を覆った形態で配される。載置ステージ４１には前後方向に細長い長円形断面の中心孔４２が開口されている一方、同中心孔４２の回りには一段低くなった環状のドレンパン４３が形成されている。このドレンパン４３の上面開口には、上記の中心孔４２と同心に一回り小さい中心孔４６を有し、かつ前後に２分割されたグリル４５が被着されている。グリル４５には複数の通孔４７が形成されているとともに、ドレンパン４３の底面にはグリル４５を受けるスペーサ４８が形成されている。ドレンパン４３の底面における手前側の縁部、すなわち冷蔵庫本体１１の前面開口部１２よりも手前側に突出した部分には排出口４９が形成され、常にはキャップ４９Ａで閉鎖されている。
　後記するようにジョッキ等の容器から溢れたビールがグリル４５上に零れると、グリル４５の通孔４７を通してドレンパン４３に滴下して受けられ、キャップ４９Ａを外すことで排出口４９から排出できるようになっている。

　載置ステージ４１の中央部には、注出タワー５０が立ち上がって設置されている。注出タワー５０は、前後方向に細長い長円形断面の筒形に形成されており、同注出タワー５０の上面はカバー５１で閉塞されているとともに、注出タワー５０の上端部の前面には、上記した開閉コック５３付きの注出口５２が手前側に突出して装着されている。また、詳しくは図示しないが、注出タワー５０の下端部の内周面における四隅の位置に、ねじ孔が開けられたねじ受けが突出形成されている。
　注出タワー５０の下端面は、スペーサ５５を介して載置ステージ４１における中心孔４２の孔縁部４２Ａに載置され、後記する冷却具６０を取り付けるボルト５８により共締めされて固定されている。
　なお、冷蔵室１５の天井壁１５Ｂには、載置ステージ４１の中心孔４２の直下において、同中心孔４２と整合した長円形断面をなす窓孔１６が上下面を貫通して形成されている。

　さて、注出タワー５０内には、同注出タワー５０内を立ち上がって配管されるビールホース３５の回りを冷却するべく手段が講じられている。そのため、図７に示すような冷却具６０が準備されている。この冷却具６０は、共にアルミニウム等の熱伝導性に優れた金属からなるパイプ６１と冷熱収集板６２とから構成されている。
　パイプ６１は、上記したビールホース３５をクリアランスを持って挿通可能な円管であって、図６に示すように、天井壁１５Ｂの窓孔１６の下端面から注出タワー５０に取り付けられた注出口５２の付近にまで達する高さ寸法を有している。
　冷熱収集板６２は、天井壁１５Ｂの窓孔１６の下面開口を覆うことが可能な前後方向にやや長い平面長方形に形成され、その中心にパイプ６１の下端が緊密に嵌合される取付孔６３が開口されているとともに、四隅にボルト５８の挿通孔６４が形成されている。

　冷却具６０は、パイプ６１の下端が冷熱収集板６２の取付孔６３内に下面と面一となる形態で嵌合され、溶接等により固定されることで形成されている。
　この冷却具６０は、パイプ６１が天井壁１５Ｂの窓孔１６から注出タワー５０内に挿入され、冷熱収集板６２が天井壁１５Ｂの窓孔１６の下面開口を覆って当てられたのち、四隅の挿通孔６４にボルト５８を通し、窓孔１６並びに載置ステージ４１の中心孔４２の孔縁部を貫通したのち、スペーサ５５の挿通孔５６から上記した注出タワー５０の下端部内周に設けられた４箇所のねじ孔（図示せず）にねじ込むことで固定されている。併せて、注出タワー５０も固定される。
　以上により、冷熱収集板６２が天井壁１５Ｂにおける窓孔１６が開口された位置の下面に張られ、この冷熱収集板６２と一体的に結合されたパイプ６１が、注出タワー５０の中心において、注出口５２の取付位置付近まで立ち上がって配設された状態となる。また、図９に示すように、冷却ファン２５の軸線方向（冷気の吹き出し方向）の延長線上に、冷熱収集板６２の中心付近が位置している。

　そして、注出口５２にビールホース３５の一端が接続され、同ホース３５の他端がパイプ６１内を下方に向けて通されて、その他端が冷蔵室１５の天井部１５Ａ内に垂下し、ビール樽Ｂの接続口Ｂ１に接続可能とされている。
　また、注出タワー５０の内部から載置ステージ４１の中心孔４２と天井壁１５Ｂの窓孔１６の内部に亘り、パイプ６１の回りを覆うようにして、断熱材７０が装着され、また注出タワー５０の上端部にも断熱材７１が装着されている。
　両断熱材７０，７１は、ポリプロピレンにより予め所定形状に形成されている。断熱材７０は、図３及び図６に示すように、上部側が注出タワー５０内に緊密に嵌るような大径部で、下端部が、載置ステージ４１の中心孔４２から天井壁１５Ｂの窓孔１６に亘って緊密に嵌る小径部となった段付き形状であり、かつ、冷却具６０のパイプ６１が挿通される中心孔７０Ａが全高に亘って形成された形状である。また、断熱材７１は厚板状である。

　このように断熱材７０，７１を、発泡充填するのではなく、別体として形成しておいて後から装着する構造としたのは、注出タワー５０を着脱可能とするためである。図８に示す状態から、ボルト５８を外して冷却具６０を冷蔵室１５内に抜けば、注出タワー５０を断熱材７０，７１ともども上方に抜いて外すことができる。このように注出タワー５０が外せるようになっていると、製品としてのビールディスペンサを輸送する場合に、製品寸法を注出タワー５０の分だけ低くすることができるために輸送コストを低減でき、また、輸送時に注出タワー５０に異物が接触して損傷を受けることも回避できる。さらに輸送時に、外した注出タワー５０は、冷蔵庫１０内に収納しておけばよいので、注出タワー５０を別途運ぶ必要もない。
　搬入後に組み立てる場合は、注出タワー５０の下面から突出している断熱材７０の小径部を、載置ステージ４１の中心孔４２から天井壁１５Ｂの窓孔１６に亘って嵌めつつ、注出タワー５０の下端を中心孔４２の孔縁部４２Ａに載せ、そののち冷蔵室１５側から冷却具６０を押し込んで、最後にボルト５８で固定すれば良いから、現場での組付作業も容易にできる。注出タワー５０が組み付けられた状態では、特に断熱材７０が段付き形状となっていることで、冷蔵室１５内の冷気も洩れ難い。

　本実施形態のビールディスペンサは上記のような構造であって、続いて使用例を説明する。
　扉１３を開けて冷蔵室１５内にビール樽Ｂを最大４個まで収納し、併せてホルダ３７内にガスボンベＧを収納する。一のビール樽Ｂの接続口Ｂ１に対し、冷蔵室１５内に垂下したビールホース３５の下端が接続されるとともに、ガスボンベＧから引き出されたガスホースが当該ビール樽Ｂの接続口Ｂ２に接続されて、同ビール樽Ｂ内に炭酸ガスが供給される。ビール樽Ｂ内のビールは、ビールホース３５を通って注出口５２まで圧送された状態となる。上記のような配管接続が終わったら、扉１３が閉じられる。

　この状態で冷却運転が開始され、すなわち冷凍装置と冷却ファン２５とが運転されると、庫内空気が下端部に設けられた吸込口２０から吸い込まれ、冷却ダクト１８内を上方に流通する間に冷却器２３と熱交換して冷気が生成され、その冷気が吹出口２１から冷却ファン２５の回転中心軸に沿った方向に吹き出される。
　冷気は基本的には、図５の矢線ａに示すように、冷蔵室１５の天井部１５Ａを通って対向した右側面の上部位置に向けて吹き出され、同位置に配されたガスボンベＧのホルダ３７のＲ面３８で案内されて下方に向けられ、引き続いて冷却ダクト１８の下端部の吸込口２０から吸い込まれるといった循環流が生じる。これに伴い、図６の矢線ｂに示すように、冷気が収納されたビール樽Ｂの回りを循環流通し、ビール樽Ｂすなわちそれらの内部のビールが冷却される。

　その間、図８に示すように、吹出口２１から吹き出された冷気の一部が冷却具６０の冷熱収集板６２に当たりつつ流れることによって同冷熱収集板６２が冷却され、同図並びに図６の矢線ｃに示すように、その冷熱がパイプ６１に伝導して冷却され、それに伴いパイプ６１内に挿通されたビールホース３５が放射熱で冷却され、同ビールホース３５内で待機しているビールも冷却される。
　吹き出された冷気が冷熱収集板６２に当たった際、パイプ６１内に侵入しようとするが、パイプ６１内にはビールホース３５が挿通されていて、僅かなクリアランスがあることに留められているから、パイプ６１内に侵入する冷気の量が最小限に抑えられ、言い換えると冷蔵室１５内に循環供給される冷気の風量の減少もほとんど無く、冷蔵室１５における冷却速度の低下を招くことがない。

　例えば、冷蔵室１５に収納した４０Ｌ（リットル）の水を２５℃から２℃まで冷却する場合に、従来の注出タワー内に積極的に冷気を導入していた場合と比較すると、本実施形態の方が冷却時間が３０分程度短縮できたことが確認されている。
　また、ビールホース３５を冷却具６０における小径のパイプ６１内に通していて、パイプ６１の回りに厚肉の断熱材７０，７１を装着することができ、その結果外熱の影響を受け難くできて、パイプ６１内を冷却雰囲気に維持することに有効となる。本実施形態では、パイプ６１内の温度を０℃付近に維持することが可能となっている。

　ビールを注出する場合は、グリル４５上にジョッキ等の容器を置き、注出口５２のコック５３を開くと、所定のビール樽Ｂ内で冷却されたビールが炭酸ガスの圧力を受けてビールホース３５を圧送され、注出口５２から容器内に注出される。この間、上記のように、注出タワー５０に挿通されたビールホース３５は回りのパイプ６１の冷熱で冷却されているから、同ビールホース３５を流通する間にビールが温度上昇することが防止される。
　注出していたビール樽Ｂが空となったら、ビールホース３５とガスホースとを同ビール樽Ｂから外し、以前から収納されていた他のビール樽Ｂに付け替える。また必要に応じて、空となったビール樽Ｂと新たなビール樽Ｂとを交換して収納する。

　上記の注出時等において、ジョッキ等の容器から溢れたビールは、グリル４５の通孔４７を通してドレンパン４３に滴下して受けて溜められる。溜まったビールを排出する場合は、扉１３を開放したのちに、ドレンパン４３の手前側の位置に設けられた排出口４９の下方に、バケツ等のドレン容器を配し、キャップ４９Ａを外して排出口４９からドレン容器に排出すればよい。
　載置ステージ４１（ドレンパン４３）における扉１３の上部に突出した部分に排出口４９を設けたから、ドレン容器を宛がうことや、キャップ４９Ａを外すこと等に鑑み、排出作業が簡単に行える。また、排出口４９は閉じた扉１３によって隠れる位置に設けてあるから、ユーザーに対して美観を損ねるおそれもない。

　以上説明したように本実施形態のビールディスペンサでは、冷蔵室１５内のビール樽Ｂを冷却するために冷気が循環供給される際、その一部が冷却具６０の冷熱収集板６２に接触することで同冷熱収集板６２が冷却され、その冷熱がパイプ６１に伝導して冷却され、それに伴いパイプ６１内に挿通されたビールホース３５が放射熱で冷却され、注出前にビールホース３５内で待機しているビールや、注出時にビールホース３５内を流通するビールが温度上昇することが防止される。
　注出タワー５０に冷気を導入することなく、熱伝導によりビールホース３５の回りを冷却できるようにしたのであるから、冷蔵室１５に回される冷気の風量が減少せず、ビール樽Ｂの冷却速度が低下することが防止される。特に、冷却器２３と熱交換された後の相対的に低温の冷気が冷却具６０の冷熱収集板６２に接触することから、パイプ６１がより冷却されやすい。また、パイプ６１の回りには厚肉の断熱材７０，７１の層が確保できるために外熱の影響も受け難い。
　結果、冷蔵室１５の冷却速度の低下を招くことなく注出タワー５０内におけるホースの回りを効率良く冷却することができる。

　＜実施形態２＞
　次に、本発明の実施形態２を図１１及び図１２によって説明する。
　実施形態２では、冷却具６０Ａの構造に変更が加えられている。すなわち、パイプ６１Ａの寸法が実施形態１のパイプ６１に比べて所定長さ長く形成されており、このパイプ６１Ａが冷熱収集板６２の取付孔６３に嵌装されたのち、下端部６５の長くなった分だけ冷熱収集板６２の下面側に突出した形態で一体的に結合されている。
　したがって、冷却具６０Ａが冷蔵室１５の天井壁１５Ｂに当てられて固定されると、パイプ６１Ａの下端部６５の所定長さ部分が、冷熱収集板６２の下面側すなわち冷蔵室１５の天井部１５Ａに突出した形態となる。
　その他の構造については上記実施形態１と同様であって、実施形態１と同一機能を有する部材、部位については同一符号を付すことで重複した説明は省略する。

　この実施形態２では、吹出口２１から吹き出された冷気の一部が冷却具６０Ａの冷熱収集板６２に当たることと併せて、パイプ６１Ａの突出した下端部６５にも当たることとなり、冷熱の収集がより促進されて、パイプ６１Ａをさらに冷却することが可能となる。

　＜実施形態３＞
　図１３及び図１４は、本発明の実施形態３を示す。この実施形態３の冷却具６０Ｂでは、上記実施形態１に例示した冷却具６０の冷熱収集板６２に対し、同じくアルミニウム等の熱伝導性に優れた金属板製の風向板６７が一体的に固定されている。詳細には、風向板６７は、取付孔６３の前側の位置において、下端を手前側に突出させた斜め姿勢で配されて、溶接等で固定されている。風向板６７の下端は例えば、手前側に積まれた上段のビール樽Ｂの上面の中心部付近を指向している。

　実施形態３では、風向板６７を設けたことにより吹出口２１から吹き出された冷気との接触面積が拡大され、冷熱の収集が促進される。また、図１４の矢線ｄに示すように、風向板６７に当たった冷気は同風向板６７に沿ってビール樽Ｂの上面に向けられ、すなわち冷気を冷蔵室１５内におけるビール樽Ｂの収納領域に循環させて同ビール樽Ｂに効率良く当てることができ、冷蔵室１５内の冷却速度も高めることが可能となる。

　＜実施形態４＞
　本発明の実施形態４を図１５によって説明する。以下には、上記実施形態１との相違点を中心に説明するが、実施形態１と同一機能を有する部位、部材については、適宜に同一符号を付すことで説明を簡略化または省略する。
　この実施形態では、注出タワー８０が、冷蔵庫本体１１の側面の上部位置から立ち上がって設けられているとともに、冷蔵室１５の天井部１５Ａの側壁１５Ｃに開口部１６Ｃが貫通形成されている。

　冷却具８１は、同じく熱伝導性に優れた金属からなるパイプ８２と冷熱収集板８６とから構成されている。パイプ８２は、縦長のパイプ本体８３の上下両端に、短寸の上方屈曲部８４と長寸の下方屈曲部８５とが、同じ方向を向いて直角曲げされて形成されており、一方、冷熱収集板８６は厚板状に形成され、同冷熱収集板８６に形成された取付孔８７に、パイプ８２の下方屈曲部８５の先端が嵌着されるようになっている。
　パイプ８２は、注出タワー８０内の中心に収容され、上方屈曲部８４の先端が注出タワー８０の側面の上部位置に開口し、下方屈曲部８５の先端が同側面の下部位置から外部に突出し、注出タワー８０内のパイプ８２の回りには断熱材９０が充填されている。

　このような注出タワー８０が、冷蔵庫本体１１の側面に取り付けられることに伴い、パイプ８２の下方屈曲部８５の先端が開口部１６Ｃを貫通して冷蔵室１５の天井部１５Ａに突出し、同突出端に嵌着された冷熱収集板８６が、側壁１５Ｃの内面に固定されている。
　また、注出タワー８０の側面におけるパイプ８２の上方屈曲部８４の開口位置には注出口５２が装着され、注出口５２に接続されたビールホース３５が、パイプ８２内に挿通されて冷蔵室１５の天井部１５Ａに引き出され、ビール樽Ｂの接続口Ｂ１に接続可能とされている。

　本実施形態のビールディスペンサでは、冷蔵室１５内のビール樽Ｂを冷却するために冷気が循環供給される際、その一部が冷却具８１の冷熱収集板８６に接触することで同冷熱収集板８６が冷却され、その冷熱がパイプ８２に伝導して冷却され、それに伴いパイプ８２内に挿通されたビールホース３５が放射熱で冷却され、注出前にビールホース３５内で待機しているビールや、注出時にビールホース３５内を流通するビールが温度上昇することが防止される。
　注出タワー８０に冷気を導入することなく、熱伝導によりビールホース３５の回りを冷却できるようにしたのであるから、冷蔵室１５に回される冷気の風量が減少せず、ビール樽Ｂの冷却速度が低下することが防止される。また、パイプ８２の回りには厚肉の断熱材９０の層が確保できるために外熱の影響も受け難い。結果、冷蔵室１５の冷却速度の低下を招くことなく注出タワー８０内におけるホース３５の回りを効率良く冷却することができる。

　なお、本実施形態４の変形例として、注出タワー８０の配設位置を、冷蔵庫本体１１の背面等の他の周面から立ち上げるようにしてもよい。
　また、注出タワー８０における冷蔵室１５と連通する高さ位置は、冷蔵室１５の周壁における任意の高さ位置に設定してもよい。

　＜他の実施形態＞
　本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
　（１）冷却具に備える冷熱収集部は、上記実施形態に例示した天井壁または周壁の開口部に被着される形態の冷熱収集板に限らず、単に天井壁または周壁から貯蔵室内に突出して冷熱を収集することに機能するだけのものであってもよい。
　（２）また冷却具に対して別途被取付部材を備え、その被取付部材を天井壁、周壁等に固定することで冷却具を所定位置に装着するようにしてもよく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
　（３）冷気の循環経路は、上記実施形態とは逆に、冷蔵室の天井部側から庫内空気を引いて生成された冷気を底部側に吹き出す経路であってもよく、その他冷蔵室内に満遍なく冷気が巡るようにできれば任意の経路に設定できる。
　（４）上記と付随して、冷却ダクトを設ける位置も任意に設定できる。

　（５）冷却具として、実施形態２に例示したパイプの一端を冷熱収集板から突出させた構造と、実施形態３に例示した風向板を設けた構造とを併用した構造のものとしてもよい。
　（６）本発明は、キャスタを備えない据え置き式のビールディスペンサにも同様に適用できる。
　（７）本発明は、上記実施形態に例示したビール樽に限らず、他の発泡飲料、さらには非発泡飲料を貯留した飲料容器を冷蔵して、同飲料容器内の飲料を注出するようにした冷飲料注出装置全般に広く適用することができる。

　Ｂ…ビール樽（飲料容器）　１０…冷蔵庫（貯蔵庫）　１５…冷蔵室（貯蔵室）　１５Ａ…天井部　１５Ｂ…天井壁　１６…窓孔（開口部）　１７…ダクトパネル　１８…冷却ダクト　２０…吸込口　２１…吹出口　２３…冷却器　２５…冷却ファン（ファン）　３５…ビールホース（ホース）　４０…注出部　５０…注出タワー　５２…注出口　５８…ボルト　６０，６０Ａ，６０Ｂ…冷却具　６１，６１Ａ…パイプ　６２…冷熱収集板（冷熱収集部）　６５…（パイプ６１Ａの）下端部　６７…風向板　７０，７１…断熱材　８０…注出タワー　８１…冷却具　８２…パイプ　８６…冷熱収集板（冷熱収集部）　９０…断熱材

Claims

内部が飲料容器を貯蔵する貯蔵室とされた断熱性の貯蔵庫と、
　前記貯蔵室に冷気を循環供給する冷気供給装置と、
　前記貯蔵室の壁部に形成された開口部を介して前記貯蔵室と連通した形態で前記貯蔵庫の上面よりも上方に立ち上がり形成された注出タワーと、
　前記注出タワーの上部に設けられた飲料の注出口と、
　前記飲料容器から引き出され前記注出タワー内を立ち上がって前記注出口に接続されたホースと、が具備された冷飲料注出装置において、
　熱伝導性に優れた材質からなりパイプの一端に冷熱収集部を設けてなる冷却具が備えられ、
　この冷却具が、前記冷熱収集部が前記貯蔵室の内部に突出し、かつ前記パイプが前記壁部の前記開口部から前記注出タワー内に立ち上がって配された形態で装着されるとともに、前記パイプの回りに断熱材が充填され、
　前記パイプ内に前記ホースが挿通されていることを特徴とする冷飲料注出装置。
前記冷却具の前記冷熱収集部が、前記壁部の前記開口部における内面側を塞ぐことが可能な冷熱収集板によって構成され、同冷熱収集板が前記開口部の内面に被着されるとともに、前記パイプが前記注出タワー内に立ち上がって配されていることを特徴とする請求項１記載の冷飲料注出装置。
前記冷却具において、前記パイプの前記冷熱収集板を設けた側の一端が、前記冷熱収集板から突出して設けられていることを特徴とする請求項２記載の冷飲料注出装置。
前記冷却具の前記冷熱収集板における前記貯蔵室と対向した面には、前記貯蔵室に循環される冷気を受けて同貯蔵室に貯蔵された前記飲料容器に向ける風向板が一体的に形成されていることを特徴とする請求項２または請求項３に記載の冷飲料注出装置。
前記注出タワーが、前記貯蔵室の天井壁に形成された前記開口部を介して前記貯蔵室と連通した形態で前記貯蔵庫の上面に立設され、前記冷熱収集板が前記開口部の下面に被着されることに伴い前記パイプが前記注出タワー内に立ち上がって配されていることを特徴とする請求項２記載の冷飲料注出装置。
前記貯蔵室の一面にはファンと冷却器とを上下に並べて収容した縦長の冷却ダクトが配設されるとともに、同冷却ダクトの下部位置には庫内空気の吸込口が、上部位置には冷気の吹出口がそれぞれ設けられることにより前記冷気供給装置が形成されており、
　前記ファンが駆動されることにより、前記貯蔵室の底部側から庫内空気を吸い込んで前記冷却器を通過する間に生成された冷気を前記貯蔵室の天井部に向けて吹き出すようにして、冷気が前記貯蔵室に循環供給されるようになっていることを特徴とする請求項５記載の冷飲料注出装置。