図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド車両の制御装置に係る駆動系統の構成を概念的に示す図である。この図1に示すハイブリッド車両10は、駆動源として機能するエンジン12及びモータジェネレータMGを備えており、それらエンジン12及びモータジェネレータMGにより発生させられた駆動力は、トルクコンバータ16、自動変速機18、差動歯車装置20、及び左右1対の車軸22をそれぞれ介して左右1対の駆動輪24へ伝達されるように構成されている。斯かる構成から、上記ハイブリッド車両10は、上記エンジン12及びモータジェネレータMGの少なくとも一方を走行用の駆動源として駆動される。すなわち、上記ハイブリッド車両10においては、専ら上記エンジン12を走行用の駆動源とするエンジン走行、専ら上記モータジェネレータMGを走行用の駆動源とするEV走行(モータ走行)、及び上記エンジン12及びモータジェネレータMGを走行用の駆動源とするハイブリッド走行の何れかが選択的に成立させられる。
上記エンジン12は、例えば、燃料が燃焼室内に直接噴射される筒内噴射型のガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であり、好適には上記モータジェネレータMGの駆動により始動される。また、上記エンジン12の駆動(出力トルク)を制御するために、電子スロットル弁を開閉制御するスロットルアクチュエータ、燃料噴射制御を行う燃料噴射装置、及び点火時期制御を行う点火装置等を備えた出力制御装置14が設けられている。この出力制御装置14は、後述する電子制御装置58から供給される指令に従ってスロットル制御のために上記スロットルアクチュエータにより電子スロットル弁を開閉制御する他、燃料噴射制御のために上記燃料噴射装置による燃料噴射を制御し、点火時期制御のために上記点火装置による点火時期を制御する等して上記エンジン12の出力制御を実行する。
前記モータジェネレータMGは、駆動力を発生させるモータ(発動機)及び反力を発生させるジェネレータ(発電機)としての機能を有する電動機であり、前記エンジン12とそのモータジェネレータMGとの間の動力伝達経路には、係合状態に応じてその動力伝達経路における動力伝達を制御するクラッチK0が設けられている。すなわち、前記エンジン12の出力部材であるクランク軸26は、斯かるクラッチK0を介して前記モータジェネレータMGのロータ30に選択的に連結されるようになっている。また、そのモータジェネレータMGのロータ30は、前記トルクコンバータ16の入力部材であるフロントカバー32に連結されている。
上記クラッチK0は、例えば、油圧アクチュエータによって係合制御される多板式の油圧式摩擦係合装置であり、油圧制御回路34から供給される油圧に応じてその係合状態が係合(完全係合)、スリップ係合、乃至開放(完全開放)の間で制御されるようになっている。このクラッチK0が係合されることにより、上記クランク軸26とフロントカバー32との間の動力伝達経路における動力伝達が行われる(接続される)一方、上記クラッチK0が開放されることにより、上記クランク軸26とフロントカバー32との間の動力伝達経路における動力伝達が遮断される。また、上記クラッチK0がスリップ係合されることにより、上記クランク軸26とフロントカバー32との間の動力伝達経路においてそのクラッチK0の伝達トルクに応じた動力伝達が行われる。
前記自動変速機18は、例えば、予め定められた複数の変速段(変速比)の何れかが選択的に成立させられる有段式の自動変速機構であり、斯かる変速を行うために複数の係合要素を備えて構成されている。例えば、多板式のクラッチやブレーキ等、油圧アクチュエータによって係合制御される複数の油圧式摩擦係合装置を備えており、上記油圧制御回路34から供給される油圧に応じてそれら複数の油圧式摩擦係合装置が選択的に係合乃至開放されることにより、それら油圧式摩擦係合装置の連結状態の組合せに応じて複数(例えば、第1速から第6速)の前進変速段(前進ギヤ段、前進走行用ギヤ段)、或いは後進変速段(後進ギヤ段、後進走行用ギヤ段)の何れかが選択的に成立させられる。
図2は、図1のハイブリッド車両10における前記モータジェネレータMG及びトルクコンバータ16付近の構成を説明するために、その一部を切り欠いて示す断面図である。なお、前記モータジェネレータMG、トルクコンバータ16、自動変速機18、及びクランク軸26はそれらに共通の軸心Cに対して略対称的に構成されており、図2においては軸心Cの下半分が省略されている。この図2に示すように、前記モータジェネレータMG、トルクコンバータ16、及び自動変速機18は、何れもトランスミッションケース36内に収容されている。このトランスミッションケース36は、例えばアルミダイキャスト製の分割式ケースであり、車体等の非回転部材に固定されている。
前記クラッチK0は、円筒状のクラッチドラム38と、そのクラッチドラム38よりも小径であってクラッチドラム38と同心且つ相対回転可能に設けられた円筒状のクラッチハブ40と、それらクラッチドラム38とクラッチハブ40との間の円環状の間隙内に設けられた摩擦係合部材42と、その摩擦係合部材42を軸心C方向において押圧するクラッチピストン44とを、備えている。上記クラッチドラム38は、前記モータジェネレータMGのロータ30におけるボス部30aに例えば溶接等により一体的に固設されており、そのロータ30と一体回転させられるようになっている。また、上記摩擦係合部材42は、上記クラッチドラム38に相対回転不能に係合された複数の円環板状のセパレータと、それら複数のセパレータ間にそれぞれ設けられて上記クラッチハブ40に相対回転不能に係合された複数の円環板状の摩擦プレートとを、備えている。
このように構成された前記クラッチK0においては、上記摩擦係合部材42が上記クラッチピストン44により軸心C方向に押圧されて上記セパレータと摩擦プレートとが相互に摩擦係合させられることで、上記クラッチドラム38とクラッチハブ40との間の相対回転が抑制されるようになっている。すなわち、上記摩擦係合部材42のセパレータと摩擦プレートとの摩擦係合により、上記クラッチドラム38とクラッチハブ40との間が相互に動力伝達可能な状態とされる。なお、このクラッチK0は、好適には、後述する電子制御装置58から指令が出力されない状態においては係合させられる常閉型(ノーマリークローズ)のクラッチとされる。
前記クランク軸26は、その出力端部すなわち前記モータジェネレータMG側の一端部がドライブプレート46等を介して前記クラッチK0のクラッチハブ40と一体的に回転させられる回転軸48に連結されている。すなわち、前記クランク軸26とクラッチハブ40とは、共通の軸心Cまわりに一体的に回転させられるように上記ドライブプレート46及び回転軸48等を介して連結されている。また、前記トルクコンバータ16のポンプ翼車16pには機械式の油圧ポンプ28が連結されており、そのポンプ翼車16の回転に伴いその油圧ポンプ28により発生させられた油圧が前記油圧制御回路34に元圧として供給されるようになっている。
また、前記トルクコンバータ16のポンプ翼車16pとタービン翼車16tとの間には、それらポンプ翼車16p及びタービン翼車16tが一体的に回転させられるように直結するロックアップクラッチLUが設けられている。このロックアップクラッチLUは、油圧制御回路34から供給される油圧に応じてその係合状態が係合(完全係合)、スリップ係合、乃至開放(完全開放)の間で制御されるようになっている。すなわち、上記ロックアップクラッチLUは、前記モータジェネレータMGと駆動輪24との間の動力伝達経路に設けられ、係合状態に応じてその動力伝達経路における動力伝達を制御する第2のクラッチに相当する。
前記モータジェネレータMGは、上記回転軸48の外周側において前記トランスミッションケース36により軸心Cまわりの回転可能に支持されたロータ30と、そのロータ30の外周側において前記トランスミッションケース36に一体的に固定されたステータ50とを、備えている。前記ロータ30は、1対の軸受52を介して前記トランスミッションケース36に回転可能に支持された円筒状のボス部30aと、上記ステータ50の内周側においてそのステータ50との間に僅かな隙間を隔てた状態で軸心C方向に積層された複数の円環状の鋼板を有するロータ部30bと、それらボス部30aとロータ部30bとを一体に連結する連結部30cとを、備えている。前記ロータ30は、上記ロータ部30bの内周側に連結されると共に例えば溶接等により前記フロントカバー32に一体的に固定された伝達部材54を介してそのフロントカバー32に連結されている。また、上記ステータ50は、複数の円環状の鋼板がそれぞれ軸心C方向に積層されたコア50aと、そのコア50aの内周部の周方向の一部に環状に巻き掛けられ、周方向に連続して複数設けられたコイル50bとを、備えている。このコア50aは、周方向の複数箇所においてボルト等により前記トランスミッションケース36に一体的に固定されている。
このように構成された前記モータジェネレータMGは、図1に示すインバータ56を介してバッテリやコンデンサ等の図示しない蓄電装置に接続されており、後述する電子制御装置58によりそのインバータ56が制御されることで上記コイル50bに供給される駆動電流が調節されることにより、前記モータジェネレータMGの駆動が制御されるようになっている。換言すれば、上記電子制御装置58によりそのインバータ56が制御されることで前記モータジェネレータMGの出力トルクが増減させられるようになっている。なお、斯かるモータジェネレータMGからの出力トルクは、前記クラッチK0の開放時(非係合時)には前記トルクコンバータ16に対してのみ出力されるが、前記クラッチK0の係合時にはその出力トルクの一部が前記トルクコンバータ16に出力されると共に他部が前記エンジン12に出力される。
なお、前記エンジン12の始動に際しては、前記モータジェネレータMGから前記クラッチK0を介して伝達されるエンジン始動のためのトルクにより前記エンジン12が回転駆動され、それによりエンジン回転速度NEが引き上げられつつエンジン点火や燃料供給等が制御されることで前記エンジン12が始動される。すなわち、前記エンジン12の始動は、着火による爆発エネルギから得られるトルクと、前記クラッチK0による係合エネルギから得られるトルクすなわち前記モータジェネレータMGからクラッチK0を介して伝達されるエンジン始動トルクとで前記エンジン12が回転駆動されることにより行われる。
また、前記ハイブリッド車両10は、図1に例示するような制御系統を備えている。この図1に示す電子制御装置58は、CPU、RAM、ROM、及び入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUがRAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、前記エンジン12の駆動制御、そのエンジン12の始動制御、前記モータジェネレータMGの駆動制御、前記自動変速機18の変速制御、前記クラッチK0の係合力制御、及び前記ロックアップクラッチLUの係合制御等の基本的な制御に加え、後述する本実施例のクラッチK0の誤係合時における制御等の各種制御を実行する。すなわち、上記電子制御装置58は、図1に示すハイブリッド車両10の制御装置として機能する。
図1に示すように、上記電子制御装置58には、前記ハイブリッド車両10に設けられた各センサにより検出される各種入力信号が供給されるようになっている。例えば、アクセル開度センサ60により検出されるアクセル開度ACCを表す信号、電動機回転速度センサ62により検出される前記モータジェネレータMGの回転速度(電動機回転速度)NMGを表す信号、エンジン回転速度センサ64により検出される前記エンジン12の回転速度(エンジン回転速度)NEを表す信号、タービン回転速度センサ66により検出される前記トルクコンバータ16のタービン翼車16tの回転速度(タービン回転速度)NTを表す信号、車速センサ68により検出される車速Vを表す信号、及び水温センサ70により検出される前記エンジン12の冷却水温TWを表す信号等が上記電子制御装置58に入力される。ここで、電動機回転速度センサ62により検出される前記モータジェネレータMGの回転速度NMGは、前記トルクコンバータ16の入力回転速度であり、そのトルクコンバータ16におけるポンプ翼車16pの回転速度に相当する。また、上記タービン回転速度センサ66により検出されるタービン翼車16tの回転速度NTは、前記トルクコンバータ16の出力回転速度であり、前記自動変速機18の入力回転速度に相当する。
また、前記電子制御装置58から、前記ハイブリッド車両10に設けられた各装置に各種出力信号が供給されるようになっている。例えば、前記エンジン12の駆動制御のためにそのエンジン12の出力制御装置14に供給される信号、前記モータジェネレータMGの駆動制御のために前記インバータ56に供給される信号、前記自動変速機18の変速制御のために前記油圧制御回路34における複数の電磁制御弁に供給される信号、前記クラッチK0の係合制御のために前記油圧制御回路34における第1リニアソレノイド弁SL1(図3を参照)に供給される信号、及び前記ロックアップクラッチLUの係合制御のために前記油圧制御回路34における第2リニアソレノイド弁SL2(図3を参照)に供給される信号等が、前記電子制御装置58から各部へ供給される。
図3は、前記油圧制御回路34における前記クラッチK0及びロックアップクラッチLUの油圧制御に係る構成を説明する図である。この図3に示すように、前記油圧制御回路34は、前記クラッチK0に備えられた油圧アクチュエータに供給される油圧PK0を調圧する第1リニアソレノイド弁SL1と、前記ロックアップクラッチLUに備えられた油圧アクチュエータに供給される油圧PLUを調圧する第2リニアソレノイド弁SL2とを、備えている。これら第1リニアソレノイド弁SL1及び第2リニアソレノイド弁SL2は、何れも前記油圧ポンプ28から供給される油圧から調圧される例えばライン圧PLを元圧として、前記電子制御装置58から供給される指令信号に基づいて制御されるソレノイドの電磁力に従って入力ポートと出力ポート又はドレーンポートとの間の連通状態が変化させられることにより、上記指令信号に応じた油圧PK0、PLUをそれぞれ調圧して、前記クラッチK0及びロックアップクラッチLUそれぞれの係合を制御するための油圧アクチュエータに供給する。
図4は、前記電子制御装置58に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図4に示すハイブリッド駆動制御手段72は、前記ハイブリッド車両10におけるハイブリッド駆動制御を実行する。すなわち、図4に示すように、前記出力制御装置14を介して前記エンジン12の駆動(出力トルク)を制御するエンジン駆動制御手段74、及び前記インバータ56を介して前記モータジェネレータMGの駆動を制御するモータジェネレータ駆動制御手段76を備えており、それらエンジン駆動制御手段74及びモータジェネレータ駆動制御手段76を介して前記エンジン12及びモータジェネレータMGによる前記ハイブリッド車両10の駆動制御を行う。例えば、前記エンジン12を停止させると共に専ら前記モータジェネレータMGを走行用の駆動源とするEV走行モード、専ら前記エンジン12を走行用の駆動源とするエンジン走行モード、前記エンジン12及びモータジェネレータMGを共に走行用の駆動源とすると共に走行状態に応じてそのモータジェネレータMGにより回生(発電)を行うハイブリッド走行モードを、前記ハイブリッド車両10の走行状態に応じて選択的に成立させる。
上記EV走行モードにおいて、上記ハイブリッド駆動制御手段72は、専ら前記モータジェネレータMGを走行用の駆動源として前記ハイブリッド車両10の走行制御を行う。すなわち、予め記憶された駆動力マップから運転者の出力要求量としてのアクセル開度ACCや車速V等に基づいて要求出力軸トルクを決定し、その要求出力軸トルクから充電要求値等を考慮して要求駆動力を算出する。そして、その要求駆動力が得られるように前記モータジェネレータMGの駆動(出力トルク)を制御する。このEV走行モードにおいて、前記エンジン12の駆動は停止させられると共に前記クラッチK0は開放(完全開放)される。これにより、前記エンジン12とモータジェネレータMGとの間の動力伝達経路は遮断され、そのエンジン12から前記ロックアップクラッチ16側へ動力伝達は行われず、逆にそのロックアップクラッチ16側から前記エンジン12へのトルク伝達も行われない。
前記エンジン走行モードにおいて、前記ハイブリッド駆動制御手段72は、専ら前記エンジン12を走行用の駆動源として前記ハイブリッド車両10の走行制御を行う。すなわち、上述のようにして求められる要求駆動力が得られるように目標エンジン出力を算出し、運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められて記憶された前記エンジン12の最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)に沿ってそのエンジン12を作動させつつ上記目標エンジン出力が得られるエンジン回転速度NE及びエンジントルクとなるように前記エンジン12の駆動を制御する。このエンジン走行モードにおいて、前記クラッチK0は係合(完全係合)される。また、前記モータジェネレータMGは空転させられるが、走行状態に応じて回生を行うように作動させられるものであってもよい。
前記ハイブリッド走行モードにおいて、前記ハイブリッド駆動制御手段72は、前記エンジン12及びモータジェネレータMGを共に走行用の駆動源として前記ハイブリッド車両10の走行制御を行う。すなわち、前述のようにして求められる要求駆動力が得られるように伝達損失、補機負荷、前記モータジェネレータMGのアシストトルク等を考慮して目標エンジン出力を算出し、運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められて記憶された前記エンジン12の最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)に沿ってそのエンジン12を作動させつつ上記目標エンジン出力が得られるエンジン回転速度NE及びエンジントルクとなるように前記エンジン12及びモータジェネレータMGの駆動を制御する。
また、前記ハイブリッド駆動制御手段72は、前記モータジェネレータMGによる回生(発電)を制御する。すなわち、予め定められた関係から運転者の出力要求量としてのアクセル開度ACC等に基づいて回生の実行が判定された場合には、前記モータジェネレータMGにより回生が行われるようにその作動を制御する。このようにして前記モータジェネレータMGの回生により発生させられた電気エネルギは、前記インバータ56を介して図示しない蓄電装置に蓄積される。そして、前記モータジェネレータMGが駆動源として用いられる際に、蓄電装置から前記インバータ56を介してそのモータジェネレータMGに電気エネルギが供給されて駆動力が発生させられる。
図4に示す変速制御手段78は、予め定められた関係から前記ハイブリッド車両10の状態に基づいて前記自動変速機18の変速制御を実行する。例えば、予め定められた変速マップから、前記車速センサ68により検出される車速V及び前記要求駆動力等に基づいて、前記自動変速機18において成立させられるべき変速段を判定し、その変速段が成立させられるように前記自動変速機18へ供給される油圧を制御する。具体的には、前記油圧制御回路34に備えられた電子制御弁の作動(出力油圧)を制御することで、その油圧制御回路34から前記自動変速機18における各油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータへ供給される油圧を制御する。
ロックアップクラッチ係合制御手段80は、前記トルクコンバータ16に備えられたロックアップクラッチLUの係合状態を制御する。例えば、予め定められたロックアップ線図から、前記車速センサ68により検出される車速V及び前記要求駆動力等に基づいて、前記ロックアップクラッチLUを係合(完全係合)、開放(完全開放)、或いは一定の領域でスリップ係合させる。具体的には、前記油圧制御回路34に備えられた第2リニアソレノイド弁SL2に備えられたソレノイドの励磁電流を制御することで、その第2リニアソレノイド弁SL2により調圧される前記ロックアップクラッチLUの係合制御に係る油圧PLUを制御する。
誤係合判定手段82は、前記クラッチK0の誤係合を判定する。すなわち、例えば前記EV走行モード等において斯かるクラッチK0の開放指示が出力されているにもかかわらずそのクラッチK0が誤って係合したか否かを判定する。具体的には、前記エンジン回転速度センサ64により検出される前記エンジン12の回転速度NEの変化に基づいて前記クラッチK0の誤係合を判定する。前述のように、前記EV走行モードにおいては、前記クラッチK0の開放指示が出力され、前記油圧制御回路34の第1リニアソレノイド弁SL1による出力油圧が制御されること等により前記クラッチK0が開放され、それと共に前記エンジン12の駆動は停止させられる。この状態において、前記エンジン回転速度センサ64により検出される前記エンジン12の回転速度NEは通常の状態においては0となるが、前記第1リニアソレノイド弁SL1の故障等により前記クラッチK0が誤って係合した場合、前記エンジン12の引き摺りトルクが生じて前記エンジン回転速度センサ64により検出されるそのエンジン12の回転速度NEは上昇させられる。すなわち、上記誤係合判定手段82は、好適には、前記EV走行モードにおいて前記エンジン回転速度センサ64により検出される前記エンジン12の回転速度NEが上昇を開始した場合には、前記クラッチK0が誤って係合したものと判定する。また、前記エンジン12に引き摺りトルクが発生した場合、その分だけ前記モータジェネレータMGの回転速度NMGが低下させられるため、そのモータジェネレータMGの回転速度NMGすなわち前記電動機回転速度センサ62により検出される回転速度NMGに基づいて前記クラッチK0の誤係合を判定するものであってもよい。
前記エンジン駆動制御手段74は、上記誤係合判定手段82により前記クラッチK0の誤係合が判定された場合には、前記エンジン12の回転速度NEが前記モータジェネレータMGの回転速度NMGに近づくようにそのエンジン12の駆動を制御する。すなわち、上記誤係合判定手段82により前記クラッチK0の誤係合が判定された場合には、少なくとも前記エンジン12が駆動を開始するように前記出力制御装置14に備えられた点火装置による点火(ファイアリング)を開始する。好適には、上記誤係合判定手段82により前記クラッチK0の誤係合が判定された場合には、前記エンジン12をアイドル駆動させるアイドリング制御(アイドルトルク制御)を行う。また、好適には、前記エンジン回転速度センサ64により検出される前記エンジン12の回転速度NEと、前記電動機回転速度センサ62により検出される前記モータジェネレータMGの回転速度NMGとの回転速度差が可及的に小さくなるように、前記出力制御装置14を介して前記エンジン12の駆動(回転速度、出力トルク)を制御する。
また、前記ハイブリッド駆動制御手段72は、好適には、前記EV走行モードにおいて前記誤係合判定手段82により前記クラッチK0の誤係合が判定された場合には、前記エンジン12及びモータジェネレータMGを駆動源として走行するハイブリッド走行モードへ移行させる。すなわち、前記クラッチK0を開放することができず係合状態となったままの実態に合わせて、前記EV走行モードの成立が判定される場合であってもハイブリッド走行モードを成立させる。また、好適には、前記EV走行モードにおいて前記誤係合判定手段82により前記クラッチK0の誤係合が判定された場合には、専ら前記エンジン12を駆動源とするエンジン走行モードへ移行させる。すなわち、前記EV走行モードの成立が判定される場合であってもエンジン走行モードを成立させる。
また、前記エンジン駆動制御手段74は、好適には、前記誤係合判定手段82により前記クラッチK0の誤係合が判定された後、前記エンジン12を駆動させる場合には、そのエンジン12の回転速度NEと前記モータジェネレータMGの回転速度NMGとの回転速度差ΔN(=|NMG-NE|)に基づいて前記エンジントルクの上限値を定める。例えば、前記エンジン12の回転速度NEと前記モータジェネレータMGの回転速度NMGとの回転速度差ΔNが0でなくなった時点、すなわち前記クラッチK0にスリップ(滑り)が発生した時点における前記エンジン12の出力トルクを、以降の制御におけるそのエンジン12の上限トルクとして設定する。換言すれば、前記クラッチK0の差回転が検出された時点における前記エンジン12の推定出力トルクに基づいてそのクラッチK0の伝達トルクを推定し、その時点におけるエンジン12の推定出力トルクを以降の制御におけるそのエンジン12の上限トルクとして設定する。
また、前記ロックアップクラッチ係合制御手段80は、好適には、前記誤係合判定手段82により前記クラッチK0の誤係合が判定された場合において前記エンジン12の回転速度NEが上昇させられる場合には、前記ロックアップクラッチLUの伝達トルクを低下させる。具体的には、前記油圧制御回路34に備えられた第2リニアソレノイド弁SL2に備えられたソレノイドの励磁電流を制御することで、その第2リニアソレノイド弁SL2により調圧される前記ロックアップクラッチLUの係合制御に係る油圧PLUを制御し、そのロックアップクラッチLUの係合圧を低下させる。これにより、前記ロックアップクラッチLUの係合が判定される場合であってもそのロックアップクラッチLUが開放乃至スリップ係合状態とされる。
また、前記ハイブリッド駆動制御手段72は、好適には、前記誤係合判定手段82により前記クラッチK0の誤係合が判定されて前記エンジン12の回転速度上昇が検知された時点での出力回転速度が一定に保たれるようにフィードバック制御を行う。この出力回転速度とは、前記駆動輪24の回転速度に対応するものであり、例えば前記トルクコンバータ16の出力回転速度である。すなわち、前記ハイブリッド駆動制御手段72は、好適には、前記誤係合判定手段82により前記クラッチK0の誤係合が判定されて前記エンジン12の回転速度上昇が検知された時点で前記タービン回転速度センサ66により検出されたタービン回転速度NTが、以後一定の値に維持されるようにフィードバック制御する。具体的には、前記タービン回転速度NTが一定の値に保たれるように前記エンジン12及び前記モータジェネレータMGの出力トルクを制御(補正)する。また、前記エンジン12はアイドルトルク制御を継続しつつ、前記モータジェネレータMGの駆動を制御することにより上記フィードバック制御を行うものであってもよい。
また、前記変速制御手段78は、好適には、前記誤係合判定手段82により前記クラッチK0の誤係合が判定されて前記エンジン12の回転速度上昇が検知された場合には、前記自動変速機18においてその時点で成立させられている変速段よりも高速側(低変速比側)の変速段へ変速を行う。例えば、前記自動変速機18が前進6速の有段変速機である場合において、前記誤係合判定手段82により前記クラッチK0の誤係合が判定されて前記エンジン12の回転速度上昇が検知された時点で、前記自動変速機18において前進第4速が成立させられていた場合には、その自動変速機18において前進第5速乃至前進第6速へのアップ変速を行う。これにより、前記エンジン12の回転速度上昇に対応する減速力が低減させられ、運転者の違和感を好適に抑制することができる。
図5は、本発明との比較のために、従来技術において前記クラッチK0が誤って係合した場合における各部の回転速度等の関係値及び車両に生じる前後方向の加速度を示すタイムチャートである。なお、図5及び後述する図6、図7では、前記エンジン12の回転速度乃至トルクを実線で、前記モータジェネレータMGの回転速度乃至トルクを一点鎖線でそれぞれ示している。図5に示す例では、時点t1において、前記第1リニアソレノイド弁SL1に断線が発生する等して前記クラッチK0における誤係合が発生し、時点t2において完全係合させられるまでそのクラッチトルクが単調に増加させられている。また、斯かるクラッチK0の誤係合に起因して前記エンジン12に引き摺りトルク(負のトルク)が発生し、時点t1から時点t3までの間、前記エンジン12の回転速度NEが単調に増加させられる。このエンジンの引き摺りトルクに対応して、時点t1から時点t3までの間、車両に前後方向の加速度(減速G)が発生し、運転者はその間アクセル操作等によらない減速に違和感を覚えるおそれがある。
図6は、前記クラッチK0が誤って係合した場合における本実施例の制御に関して、各部の回転速度等の関係値及び車両に生じる前後方向の加速度を図5に示す例と対比して示すタイムチャートである。この図6に示す例では、上述した図5に示す例と同様に時点t1において、前記第1リニアソレノイド弁SL1に断線が発生する等して前記クラッチK0における誤係合が発生し、時点t2において完全係合させられるまでそのクラッチトルクが単調に増加させられている。ここで、本実施例の制御では、前記クラッチK0の誤係合が判定された時点で前記エンジン12の駆動が開始(ファイアリング)される。図6では、前記エンジン12の始動を回転速度における星印で示している。また、説明の便宜上、時点t2において前記クラッチK0が完全係合させられた時点でそのクラッチK0の誤係合が判定されたものとして、時点t2から前記エンジン12の駆動が開始されているが、時点t2に前後して前記クラッチK0の誤係合が判定される例では、その時点から前記エンジン12の駆動が開始される。また、図6に示す例では、前記エンジン12の点火後にそのエンジン12がアイドルトルク制御されている。斯かる制御により、図5に示す時点t3よりも早い時点t3′において前記エンジン12の回転速度NEの上昇が収束して前記モータジェネレータMGの回転速度NMGと略等しくなり、そのエンジン12の引き摺りトルクに起因する車両前後方向の加速度(減速G)が解消する。すなわち、図5を用いて上述した従来技術よりも前記エンジン12の引き摺り時間を短縮することができ、運転者の違和感を好適に抑制することができる。
図7は、前記クラッチK0が誤って係合した場合における本実施例の他の制御に関して、各部の回転速度等の関係値及び車両に生じる前後方向の加速度を図5に示す例と対比して示すタイムチャートである。この図7に示す例では、前述した図5に示す例と同様に時点t1において、前記第1リニアソレノイド弁SL1に断線が発生する等して前記クラッチK0における誤係合が発生し、時点t2において完全係合させられるまでそのクラッチトルクが単調に増加させられている。ここで、本実施例の制御では、前記クラッチK0の誤係合が判定された時点で前記エンジン12の駆動が開始(ファイアリング)される。図7では、前記エンジン12の始動を回転速度における星印で示している。また、説明の便宜上、時点t2において前記クラッチK0が完全係合させられた時点でそのクラッチK0の誤係合が判定されたものとして、時点t2から前記エンジン12の駆動が開始されているが、時点t2に前後して前記クラッチK0の誤係合が判定される例では、その時点から前記エンジン12の駆動が開始される。また、図7に示す例では、前記エンジン12の回転速度NEの上昇が判定された時点t1において、前記ロックアップクラッチLUの伝達トルクが低下させられるようにそのロックアップクラッチLUが開放されている。更に、前記エンジン12が始動された時点t2以降はそのエンジン12及びモータジェネレータMGを駆動源として走行するハイブリッド走行モードへ移行させられると共に、前記エンジン12の回転速度上昇が検知された時点t1で前記タービン回転速度センサ66により検出されたタービン回転速度NT(図7では太い破線で示す)が一定の値に維持されるように、前記エンジン12及びモータジェネレータMGの制御(フィードバック制御)が行われている。斯かる制御により、図5に示す時点t3よりも早い時点t3″において前記エンジン12の回転速度NEの上昇が収束し、そのエンジン12の引き摺りトルクに起因する車両前後方向の加速度(減速G)が解消する。また、そのエンジン12の上昇開始が判定された時点t1から時点t3″に至るまでタービン回転速度NTが一定の値に保たれるようにフィードバック制御が行われているため、減速違和感を更に好適に低減することができる。すなわち、図5を用いて上述した従来技術よりも前記エンジン12の引き摺り時間を短縮することができ、運転者の違和感を好適に抑制することができる。
図8は、前記クラッチK0の誤係合時における前記電子制御装置58による制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)SA1において、前記エンジン回転速度センサ64により検出される前記エンジン12の回転速度NEの変化に基づいて、前記クラッチK0が誤って係合されたか否かが判断される。このSA1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、SA1の判断が肯定される場合には、SA2において、エンジンファイアリングすなわち前記エンジン12の駆動開始制御が行われる。次に、SA3において、前記エンジン12のアイドルトルク制御すなわちアイドリング制御が行われる。次に、SA4において、前記エンジン12の完爆が行われると共に前記クラッチK0の係合が行われたか否かが判断される。このSA4の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、SA4の判断が肯定される場合には、SA5において、車両の走行モードが専ら前記モータジェネレータMGを駆動源とするEV走行モードから前記エンジン12及びモータジェネレータMGを駆動源とするハイブリッド走行モードへ移行させられる。次に、SA6において、前記エンジン12の回転速度NEと前記モータジェネレータMGの回転速度NMGとの回転速度差ΔN(=|NMG-NE|)が予め定められた閾値(例えば、略0である僅かな値)より大きいか否かが判断される。このSA6の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、SA6の判断が肯定される場合には、SA7において、エンジントルクの上限値(最大値)が、SA6の判断が肯定された時点における前記エンジン12の出力トルクに制限された後、本ルーチンが終了させられる。
図9は、前記クラッチK0の誤係合時における前記電子制御装置58による他の制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、SB1において、前記エンジン回転速度センサ64により検出される前記エンジン12の回転速度NEの変化に基づいて、前記クラッチK0が誤って係合されたか否かが判断される。このSB1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、SB1の判断が肯定される場合には、SB2において、前記ロックアップクラッチLUの伝達トルクが低下させられるようにそのロックアップクラッチLUの滑り制御(スリップ係合制御)が行われる。次に、SB3において、前記クラッチK0の誤係合が判定されたSB1時点での出力回転速度例えばタービン回転速度NTが一定に保たれるように前記モータジェネレータMGの回転速度NMGがフィードバック制御された後、本ルーチンが終了させられる。
図10は、前記クラッチK0の誤係合時における前記電子制御装置58による更に別の制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、SC1において、前記エンジン回転速度センサ64により検出される前記エンジン12の回転速度NEの変化に基づいて、前記クラッチK0が誤って係合されたか否かが判断される。このSC1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、SC1の判断が肯定される場合には、SC2において、前記自動変速機18においてその時点で成立させられている変速段よりも高速側(低変速比側)の変速段へ変速が行われた後、本ルーチンが終了させられる。
以上、図8~図10を用いて説明した制御において、SA2、SA3、及びSA7が前記エンジン駆動制御手段74の動作に、SB3が前記モータジェネレータ駆動制御手段76の動作に、SC2が前記変速制御手段78の動作に、SB2が前記ロックアップクラッチ係合制御手段80の動作に、SA1、SB1、及びSC1が前記誤係合判定手段82の動作にそれぞれ対応する。
このように、本実施例によれば、前記クラッチK0の開放指示が出力されている前記EV走行中にそのクラッチK0が誤って係合した誤係合時には、前記エンジン12の回転速度NEが前記モータジェネレータMGの回転速度NMGに近づくようにそのエンジン12の駆動が変化させられることから、前記クラッチK0の係合状態によらず前記エンジン12の引き摺りトルクを抑制することができ、そのクラッチK0の滑り時間を短縮することで前後方向の加速度の発生を好適に抑えることができる。すなわち、エンジン12とモータジェネレータMGとの間に設けられたクラッチK0の誤係合時における運転者の違和感を簡便に低減するハイブリッド車両10の制御装置を提供することができる。
また、前記誤係合時には、前記エンジン12がアイドル駆動させられるものであるため、前記クラッチK0の係合状態によらずエンジンブレーキトルクを抑制することができ、前記クラッチK0の誤係合時における減速感を好適に低減することができる。
また、前記誤係合時には、前記エンジン12及びモータジェネレータMGを駆動源として走行するハイブリッド走行が行われるものであるため、前記クラッチK0の係合状態に合わせてハイブリッド走行に移行することで、運転者の違和感を好適に低減することができる。
また、前記誤係合時には、前記エンジン12の回転速度NEと前記モータジェネレータMGの回転速度NMGとの回転速度差ΔNに基づいて前記エンジントルクの上限値が定められるものであるため、前記クラッチK0の滑りを好適に抑えることができ、そのクラッチK0の発熱や損失増大等の不具合の発生を抑制することができる。
また、前記モータジェネレータMGと駆動輪24との間の動力伝達経路に、係合状態に応じてその動力伝達経路における動力伝達を制御する第2のクラッチとしてのロックアップクラッチLUを備え、前記誤係合時において前記エンジン12の回転速度NEが上昇させられる場合には、そのロックアップクラッチLUの伝達トルクが低下させられるものであるため、前記クラッチK0の誤係合時における減速感を更に好適に低減することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例において、前記ハイブリッド車両10は、EV走行時に駆動源として機能する1つのモータジェネレータMGを備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、主に発電機及びエンジンスタータモータとして用いられる第1のモータジェネレータと、主に副駆動源として用いられる第2のモータジェネレータとを備えたハイブリッド車両にも、本発明は好適に適用される。すなわち、本発明のハイブリッド車両の制御装置は、エンジンと、モータジェネレータと、それらエンジン及びモータジェネレータの間の動力伝達経路に設けられたクラッチとを、備えたハイブリッド車両に広く適用されるものである。
また、前述の実施例において、前記エンジン12とモータジェネレータMGとの間の動力伝達経路に設けられたクラッチK0は、油圧により係合状態が制御される油圧式摩擦係合装置であったが、例えば、電磁気的に係合状態が制御される電磁式クラッチ或いは磁粉式クラッチが前記エンジン12とモータジェネレータMGとの間の動力伝達経路に設けられたものであっても構わない。すなわち、本発明は、エンジンとモータジェネレータとの間の動力伝達経路にその動力伝達経路における動力伝達を制御するクラッチを備えたハイブリッド車両に広く適用され得るものである。
また、前述の実施例では、複数の油圧式摩擦係合装置を備えた有段式の自動変速機18が備えられたハイブリッド車両10に本発明が適用された例を説明したが、例えば、自動変速機としてベルト式無段変速機等のCVTを備えたハイブリッド車両にも本発明は好適に適用される。また、斯かる態様において、前記クラッチK0の誤係合が判定されて前記エンジン12の回転速度上昇が検知された場合には、上記CVTにおいてその時点で成立させられている変速比よりも高速側(低変速比側)の変速比へ変速を行う等の制御が好適に実行される。
また、前述の実施例では、前記モータジェネレータMGと駆動輪24との間の動力伝達経路に、係合状態に応じてその動力伝達経路における動力伝達を制御する第2のクラッチとして前記ロックアップクラッチLUを備えたハイブリッド車両10に本発明が適用された例を説明したが、例えば、前記自動変速機18に備えられた複数の油圧式摩擦係合装置のうち、ニュートラル状態を成立させるための油圧式摩擦係合装置が前記第2のクラッチとして前記モータジェネレータMGと駆動輪24との間の動力伝達経路に備えられたものであってもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。