WO2012026474A1

WO2012026474A1 - 包装用箱

Info

Publication number: WO2012026474A1
Application number: PCT/JP2011/068991
Authority: WO
Inventors: 弘一鷲見; 欣伺朗谷川; 純一滝田
Original assignee: 中外製薬株式会社
Priority date: 2010-08-23
Filing date: 2011-08-23
Publication date: 2012-03-01
Also published as: JP2012041082A; JP4991919B2

Abstract

　箱と、箱内部に収容した物品を衝撃から保護する緩衝部とを備える包装用箱。緩衝部２は、中蓋に略直角に折曲されて緩衝部全体を支持する支持面２１と、この面に略直角に折曲されて中蓋との間に第一の緩衝空間を介して配置される物品外周部保護面２２と、この面の一部に略直角に折曲されて中蓋に接着固定される外周保護面支持部２３と、この面に略直角に折曲されて側面との間に第二の緩衝空間を介して配置される物品底部保護面２４と、この面に略直角に折曲されて底面に接着固定される固定面２５とを備え、箱の内部に中蓋、側面に沿って略Ｌ字形の緩衝空間２０が画成される。

Description

包装用箱

　本発明は、ガラス容器など割れやすい物品の包装に使用する包装用箱に関する。

　従来、アンプルその他薬液を収容するガラス容器などの割れやすい物品を、包装用の紙箱等に収納する場合、物品を紙箱外部の衝撃から守るために、紙箱とガラス容器との隙間に発泡部材やエアーキャップなどの緩衝材が介装されていた。しかしながら、このような包装形式では、紙箱とは別体の緩衝材を準備する必要があり、また、包装工程が煩雑化して、包装コストが増大するという欠点があった。そこで、１枚のブランク板を折り畳んで組み立てる紙箱の内部に緩衝部を一体的に備えたものが提案された。このような技術は例えば特許文献１などに開示されている。この文献１の紙箱では、物品の収納空間の天面全面に二重構造が採られ、物品を紙箱外部の衝撃から保護するようになっている。

　しかしながら、上記文献１の紙箱においては、二重構造の箱内部側の面を構成する蓋緩衝部が、物品の収納空間の側面に近接する端位置においてのみ上蓋に連結されるため、蓋緩衝部の中央部が押圧されると容易に撓みが生じてしまう。よってアンプルその他薬液を収容するガラス容器などの包装のように、複数のガラス容器をそれぞれ横置きにして横一列に並べて収納する場合、箱内部に収納されたガラス容器の外周部に対して十分な緩衝効果を得ることが難しい。そこで、物品の外部衝撃による破損及び散逸を効果的に防止するために、天面内部において十分な緩衝効果が得られる緩衝構造を備えた包装用箱が創案され、これが特許文献２により提案された。

　この文献２の包装用箱は、一枚紙の箱形成用基板を折り曲げて組み立てられるもので、天面を開放した下箱部と、天面の一部を閉鎖する中蓋部と、中蓋部を上から覆い天面を閉鎖する上蓋部とからなる。中蓋部は、当接部及び連結支持部が中蓋板に順に折れ線を介して連設された緩衝部形成板により形成される。この場合、当接部は連結支持部により中蓋板から所定間隔をなすように保持されて、中蓋部が二重構造に形成される。連結支持部は、当接部と物品との当接位置（好ましくは天面の略中央部）に配置され、一列に配列された物品の端から端まで届く長さとされる。このように天面と略平行にかつ天面と所定の間隔をなすように当接面が設けられて、天面の一部が二重構造に構成され、そして、当接面と物品との当接位置において当接面が支持面に接続される。このような構成により、支持面が設けられた位置では、当接面が弾性的に支持されて当接部が撓みにくくなり、外部からの衝撃に対して十分な緩衝効果が得られ、物品の破損及び散逸を効果的に防止できるようになっている。

実用新案登録第２５６２６４８号公報特開２００６－３１２４９１公報

　上記文献２の包装用箱では、既述のとおり、当接面が物品との当接位置において支持面に接続されるため、物品に確実に当接する位置において十分な緩衝効果を得るには、支持面が、当接面が接続される箱側面と略平行に且つ天面の略中央に位置することが必要となる。このため支持面の位置が制限され、その結果、中蓋部全体のデザインの自由度が制限される、という問題がある。またこの包装用箱の場合、二重構造になっているのは天面のみであるので、特に、アンプルその他薬液を収容するガラス容器など割れやすい物品の包装に使用することを考慮すると、十分な緩衝効果が得られているとは言い難く、緩衝効果の点でさらなる改善が求められている。

　本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種の包装用箱において、緩衝部の支持面の位置や中蓋のデザインの自由度が制限されることがなく、特にアンプルその他薬液を収容するガラス容器などの割れやすい物品の包装に最適な緩衝構造を備えた包装用箱を提供することを目的とする。

　上記目的を達成するために、本発明によれば、頂部、底部、及び外周部を有する物品を収容するための包装用箱（Ｂ１）であって、
　略直方体の箱（１）と、前記箱（１）内部に一体的に形成され、前記箱（１）内部に収納した物品を前記箱（１）外部の衝撃から保護する緩衝部（２）とを備えた包装用箱（Ｂ１）において、前記緩衝部（２）は、箱（１）に収容された前記物品の外周部に対向する箱（１）の第一の面（１６）において前記物品の頂部側の一端部から延長して形成された緩衝部形成部（２）からなり、
　前記緩衝部形成部（２）は、
　前記箱（１）の第一の面（１６）の一端部から、前記箱（１）の内部側に向けて略直角に折り曲げ可能に連続し、前記箱（１）の第一の面（１６）との間に第一の緩衝空間（２０１）を形成し、前記緩衝部形成部（２）全体を支持するための支持面（２１）と、
　前記支持面（２１）から、前記箱（１）の第一の面（１６）に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記第一の面（１６）の内側面との間に前記第一の緩衝空間（２０１）を介して当該内側面に沿って配置され、前記物品の外周部に接触して、当該物品を保護するための物品外周部保護面（２２）と、
　前記物品外周部保護面（２２）の一部に、前記箱（１）の第一の面（１６）に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、前記第一の面（１６）の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して前記物品外周部保護面（２２）を突っ張り支持するための外周保護面支持部（２３）と、
　前記物品外周部保護面（２２）から、前記物品の底部に対向する第二の面（１２）との間に前記第一の緩衝空間（２０１）に連続する第二の緩衝空間（２０２）を形成して前記第二の面（１２）に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記第二の面（１２）の内側面との間に前記第二の緩衝空間（２０２）を介して当該内側面に沿って配置され、前記物品の底部に接触して、当該物品を保護するための物品底部保護面（２４）と、
　前記物品底部保護面（２４）から、前記箱（１）の第一の面（１６）に対向する第三の面（１１）の内側面に対して接触するように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記第三の面（１１）の内側面に接着固定される固定面（２５）とを備え、
　前記箱（１）の内部に、前記第一及び第二の緩衝空間（２０１、２０２）からなる略Ｌ字形の緩衝空間が画成される、包装用箱（Ｂ１）が提供される。

　また、この包装用箱（Ｂ１）は各部が次のように具体化されることが好ましい。
（１）箱（１）は、略矩形の底面（１１）と四つの側面（１２～１５）とからなり、前記第一の面である天面を開口され、複数の物品をそれぞれ各物品の上下方向を前記底面（１１）の短辺（３８１）方向と平行に横置きにして水平方向に並列に並べて収納可能な箱本体（１０）と、前記各物品の底部に対向する前記第二の面（１２）の上縁部に連続し、前記天面を少なくとも部分的に閉鎖可能な中蓋（１６）、及び前記各物品の頂部に対向する第四の面（１４）の上縁部に連続し、前記中蓋（１６）の上に重ね合わせて前記天面を閉鎖可能な上蓋（１７）とを備え、緩衝部形成部（２）は前記中蓋（１６）の前記物品の頂部側に対応する一端部の延長上に形成される。
（２）緩衝部形成部（２）の支持面（２１）、物品外周部保護面（２２）、物品底部保護面（２４）、及び固定面（２５）はそれぞれ、略四角形又は略台形に選択的に形成される。
（３）緩衝部形成部（２）の外周保護面支持部（２３）は、略Ｌ字形に折り曲げ可能な二面からなり、前記箱（１）の第一の面（１６）に向けて延び、前記物品外周部保護面（２２）を突っ張り支持するための支持部（２３１）、及び前記第一の面（１６）の内側面に接着固定するための固定部（２３２）を有する。
（４）物品底部保護面（２４）の一部に、前記箱（１）の第二の面（１２）に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、前記第二の面（１２）の内側面に接着固定されて、前記物品底部保護面（２４）を突っ張り支持するための底部保護面支持部を併せて備える。
（５）緩衝部形成部（２）の底部保護面支持部は、略Ｌ字形に折り曲げ可能な二面からなり、箱の第二の面（１２）に向けて延び、前記物品底部保護面（２４）を突っ張り支持するための支持部、及び第二の面（１２）の内側面に接着固定するための固定部を有する。

　さらに、上記目的を達成するために、本発明によれば、頂部、底部、及び外周部を有する物品を収容するための包装用箱（Ｂ２）であって、
　略直方体の箱（１）と、前記箱（１）内部に一体的に形成され、前記箱（１）内部に収納した物品を前記箱（１）外部の衝撃から保護する緩衝部（５）とを備えた包装用箱において、前記緩衝部（５）は、箱（１）に収容された前記物品の外周部に対向する箱（１）の第一の面（１６）において前記物品の頂部側の一端部から延長して形成された緩衝部形成部（５）からなり、
　前記緩衝部形成部（５）は、
　前記箱（１）の第一の面（１６）の一端部から、前記箱（１）の内部側に向けて略直角に折り曲げ可能に連続し、前記箱（１）の第一の面（１６）との間に第一の緩衝空間（５０１）を形成し、前記緩衝部形成部（５）全体を支持するための支持面（５１）と、
　前記支持面（５１）に前記箱（１）の第一の面（１６）に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記第一の面（１６）の内側面との間に前記第一の緩衝空間（５０１）を介して当該内側面に沿って配置され、前記物品の外周部に接触して、当該物品を保護するための第一の物品外周部保護面（５２１）と、
　前記第一の物品外周部保護面（５２１）の一部に、前記箱（１）の第一の面（１６）に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、前記第一の面（１６）の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して前記物品外周部保護面（５２１）を突っ張り支持するための第一の外周保護面支持部（５３１）と、
　前記第一の物品外周部保護面（５２１）から、前記物品の底部に対向する第二の面（１２）との間に前記第一の緩衝空間（５０１）に連続する第二の緩衝空間（５０２）を形成して前記第二の面（１２）に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記第二の面（１２）の内側面との間に前記第二の緩衝空間（５０２）を介して当該内側面に沿って配置され、前記物品の底部に接触して、当該物品を保護するための物品底部保護面（５４）と、
　前記物品底部保護面（５４）から、前記箱（１）の第一の面（１６）に対向する第三の面（１１）との間に前記第二の緩衝空間（５０２）に連続する第三の緩衝空間（５０３）を形成して第三の面（１１）に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記第三の面（１１）の内側面との間に前記第三の緩衝空間（５０３）を介して当該内側面に沿って配置され、前記第一の物品外周部保護面（５２１）の反対側で前記物品の外周部に接触して、当該物品を保護するための第二の物品外周部保護面（５２２）と、
　前記第二の物品外周部保護面（５２２）の一部に、前記第三の面（１１）に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、前記第三の面（１１）の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して前記第二の物品外周部保護面（５２２）を突っ張り支持するための第二の外周保護面支持部（５３２）と、
　前記第二の物品外周部保護面（５３２）から前記第三の面（１１）の内側面に向けて略直角にかつ当該内側面に対して面接触するように略Ｌ字型に折り曲げ可能に連続し、前記第三の面（１１）の内側面に接着固定される固定面（５５）とを備え、
　前記箱（１）の内部に、前記第一、第二、及び第三の緩衝空間（５０１、５０２、５０３）からなる略Ｕ字形の緩衝空間（５０）が画成される、包装用箱（Ｂ２）が提供される。

　この場合、物品底部保護面（５４）の一部から、箱（１）の第二の面（１２）に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、前記第二の面（１２）の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して前記物品底部保護面を突っ張り支持するための底部保護面支持部を併せて備えることが好ましい。

　本発明の包装用箱では、緩衝部が、箱に収容された物品の外周部に対向する箱の第一の面において物品の頂部側の一端部から延長して形成された緩衝部形成部からなり、箱の内部側に向けて略直角に折り曲げられて、箱の第一の面との間に第一の緩衝空間を形成し、緩衝部全体を支持するための支持面と、この支持面に対して略直角に折り曲げられて、箱の第一の面の内側面との間に第一の緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、物品の外周部に接触して、当該物品を保護するための物品外周部保護面と、この物品外周部保護面の一部に、箱の第一の面に向けて略直角に折り曲げられ、第一の面の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して物品外周部保護面を突っ張り支持するための外周保護面支持部と、この物品外周部保護面に対して略直角に折り曲げられて、物品の底部に対向する箱の第二の面の内側面との間に第二の緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、物品の底部に接触して、当該物品を保護するための物品底部保護面と、この物品底部保護面に対して略直角に折り曲げられて、箱の第一の面に対向する第三の面の内側面に接着固定される固定面とを備え、箱の内部に箱の第一の面及び第二の面の各内側面に沿って略Ｌ字形の緩衝空間が画成される。すなわち、物品外周部保護面は、この物品外周部保護面と箱の第一の面の内側面との間に固定される外周保護面支持部により突っ張り支持されるので、当該保護面は撓みにくく、また、外周保護面支持部がばね作用を有するので、当該保護面全体が十分な弾性（クッション性）を有する。このため、従来のように、物品に対して十分な緩衝効果を得るために、当接面（物品外周部保護面）と物品との当接位置において支持面に接続されるようにする必要がなく、したがって支持面の位置が何ら制限されることがなく、中蓋部（箱の一面）のデザインの自由度が制限されることもない。

　そして、この包装用箱では、箱の内部に箱の第一の面及び第二の面の各内側面に沿って、略Ｌ字形の緩衝空間を介して、物品外周部保護面及び物品底部保護面が配置されており、この箱の内部に収納される物品の外周部及び底部に対向する二面が二重構造になっている。従って特にアンプルその他薬液を収容するガラス容器などの包装において、十分な緩衝効果を得ることができ、物品の破損を確実に防止することができる。

　また、本発明の包装用箱では、物品の外周部に対向する箱の第一の面において物品の頂部側の一端部から延長して形成された緩衝部形成部が、箱の内部側に向けて略直角に折り曲げられて、箱の第一の面との間に第一の緩衝空間を形成し、緩衝部全体を支持するための支持面と、この支持面に対して略直角に折り曲げられて、箱の第一の面の内側面との間に第一の緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、物品の外周部に接触して、当該物品を保護するための第一の物品外周部保護面と、この第一の物品外周部保護面の一部に、箱の第一の面に向けて略直角に折り曲げられ、箱の第一の面の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して第一の物品外周部保護面を突っ張り支持するための第一の外周保護面支持部と、この第一の物品外周部保護面に対して略直角に折り曲げられて、物品の底部に対向する第二の面の内側面との間に第二の緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、物品の底部に接触して、当該物品を保護するための物品底部保護面と、この物品底部保護面に対して略直角に折り曲げられて、箱の第一の面に対向する第三の面の内側面との間に第三の緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、箱の第一の面とは反対側で物品の外周部に接触して、当該物品を保護するための第二の物品外周部保護面と、この第二の物品外周部保護面から第三の面に向けて略直角に折り曲げられ、第三の面の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して第二の物品外周部保護面を突っ張り支持するための第二の外周保護面支持部と、この第二の物品外周部保護面に対して略直角に折り曲げられて、第三の面の内側面に接着固定される固定面とを備え、箱の内部に箱の第一の面、第二の面及び第三の面の各内側面に沿って略Ｕ字形の緩衝空間が画成される。すなわち、第一の物品外周部保護面は、箱の第一の面の内側面との間に固定される第一の外周保護面支持部により突っ張り支持されるので撓みにくく、また、第一の外周保護面支持部がばね作用を有するので、当該保護面全体が十分な弾性を有する。このため、従来のように、物品に対して十分な緩衝効果を得るために、当接面（物品外周部保護面）と物品との当接位置において当接面が支持面に接続されるようにする必要がなく、したがって支持面の位置が何ら制限されることがなく、中蓋部（箱の一面）のデザインの自由度が制限されることもない。第二の物品外周部保護面についても第一の物品外周部保護面と同様の作用効果がある。

　そして、このこの包装用箱では、箱の内部に箱の第一の面、第二の面及び第三の面の各内側面に沿って、略Ｕ字形の緩衝空間を介して、第一の物品外周部保護面、物品底部保護面及び第二の物品外周部保護面が配置されており、この箱の内部に収納される物品の外周部、反対側の外周部及び底部に対向する三面が二重構造になっている。従って特に、アンプルその他薬液を収容するガラス容器などの包装において、緩衝効果はさらに増大し、物品の破損をより確実に防止することができる。

図１は、本発明の第一の実施の形態における包装用箱の全体構成を示す斜視図である。図２は、同包装用箱の全体構成を内部の構成とともに示す透視斜視図である。図３（ａ）は、同包装用箱の特に緩衝部の構成を示す、図２のＡ－Ａ線に沿った側面断面図である。図３（ｂ）は、同包装用箱の特に緩衝部の構成を示す、図２のＢ－Ｂ線に沿った側面断面図である。図４は、同包装用箱の組み立てる前の紙基材の平面展開図である。図５は、同包装用箱の上蓋を開封した状態を示す斜視図である。図６は、本発明の第二の実施の形態における包装用箱の特に緩衝部の構成を示す、図３（ｂ）と同様の側面断面図である。

　次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
　図１乃至図５に第一の実施の形態を示す。図１及び図２に示すように、包装用箱Ｂ１は、略直方体の箱１からなり、箱１内部に収納する物品を箱１外部の衝撃から保護するための緩衝部２を一体に備える。なおここで例示する包装用箱Ｂ１は、アンプルその他薬液を収容するガラス容器などの割れやすい物品（以下の第一の実施の形態の説明において、単に「アンプル」という。）を包装するための厚紙その他の紙材からなる紙の箱で、全体が、複数のアンプルをそれぞれ横置きにして水平方向に並列に並べて収納可能な直方体になっている。

　図１及び図３に示すように、箱１は、天面が開放された箱本体１０と、天面を部分的に閉鎖可能な中蓋１６と、中蓋１６の上に重ね合わせて天面を閉鎖可能な上蓋１７とを備える。箱本体１０は、略矩形の底面１１と、この底面１１をその四辺に沿って取り囲む四つの側面１２、１３、１４、１５とを有し、アンプルの上下方向を底面の短辺方向と平行に横置きにして、複数のアンプルを水平方向に並列に並べて収納可能である。中蓋１６は、アンプルを収容した際にその底部に対向する一方の長側面１２の上縁部に連続し、上蓋１７は、収容されたアンプルの頂部に対向する他方の長側面１４の上縁部に連続して、天面を長側面１４とともに開封できるように構成される。

　図２及び図３に示すように、緩衝部２は、アンプルの外周部に対向する箱の第一の面においてアンプルの頂部側の一端部、この場合、中蓋１６のアンプルの頂部側の一端部に延長して形成される。緩衝部２は、中蓋１６の一端部から箱１の内部側に向けて略直角に連続し、中蓋１６との間に第一の緩衝空間２０１を形成し、緩衝部２全体を支持するための支持面２１と、この支持面２１から中蓋１６に対して平行となるように略直角に連続し、中蓋１６の内側面との間に第一の緩衝空間２０１を介して当該内側面に沿って配置され、アンプルの外周部に接触して、アンプルを保護するための物品外周部保護面２２と、この物品外周部保護面２２の一部に、中蓋１６に向けて略直角に連続し、中蓋１６の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して物品外周部保護面２２を突っ張り支持するための外周保護面支持部２３と、物品外周部保護面２２から、アンプルの底部に対向する一方の長側面１２との間に第一の緩衝空間２０１に連続する第二の緩衝空間２０２を形成して長側面１２に対して平行となるように略直角に連続し、長側面１２の内側面との間に第二の緩衝空間２０２を介して当該内側面に沿って配置され、アンプルの底部に接触して、アンプルを保護するための物品底部保護面２４と、この物品底部保護面２４から、中蓋１６に対向する反対側の面でアンプルの外周部に対向する面、すなわち底面１１の内側面に沿って面接触するように長側面１４に向けて略直角に連続し、底面１１の内側面に接着固定される固定面２５とを備える。

　この緩衝部２の場合、外周保護面支持部２３は、略Ｌ字形に折り曲げ可能な二面からなり、箱１の中蓋１６の内側面に向けて延び、物品外周部保護面２２を突っ張り支持するための支持部２３１、及び中蓋１６の内側面に接着固定するための固定部２３２を有する。このようにして箱１の内部に、第一及び第二の緩衝空間２０１、２０２からなる略Ｌ字形の緩衝空間２０が画成される。

　箱１及び緩衝部２は、ブランクシート（空白紙）を打ち抜いて形成された一枚の紙基材Ｐとして一体に形成され、折り曲げて組み立てることにより形成される。

　図４に示すように、この紙基材Ｐは、一端側に上蓋１７をなす矩形状の上蓋部分１７Ｐが形成され、この上蓋部分１７Ｐの一方の長辺側に、箱１の一方の長側面１４をなす矩形の長側面部分１４Ｐ、底面１１をなす矩形の底面部分１１Ｐ、他方の長側面１２をなす矩形の長側面部分１２Ｐ、中蓋１６をなす矩形の中蓋部分１６Ｐ、緩衝部２を形成するための複合形状からなる緩衝部形成部２Ｐが順次、折れ線３１、３２、３３、３４、３５を介して連続して形成されてなる。上蓋部分１７Ｐの両短辺側には、箱１の短側面１３、１５をなす外側短側面部分１３１Ｐ、１５１Ｐが、それぞれ折れ線３６１、３６２を介して形成される。長側面部分１４Ｐの両短辺側には、それぞれ折れ線３７１、３７２を介してフラップ１８１、１８２が形成される。底面部分１１Ｐの両短辺側には、箱１の短側面１３、１５をなす内側短側面部分１３２Ｐ、１５２Ｐが、それぞれ折れ線３８１、３８２を介して形成される。、長側面部分１２Ｐの両短辺側には、それぞれ折れ線３９１、３９２を介してフラップ１９１、１９２が形成される。

　上蓋部分１７Ｐには、自由端側長辺側の中央部に切り込み４１１、４１１が入れられ、先端が当該長辺から僅かに突出する開封用のつまみ４１が形成される。このつまみ４１の両側の切り込み４１１、４１１の各基端に連続して、上蓋部分１７Ｐの両短辺上の長側面部分１４Ｐに近接する所定の位置まで斜めに、さらにそこから上蓋部分１７Ｐの各短辺、及び長側面部分１４Ｐの各短辺に亘って延びるミシン目状の切り込み４１２、４１２がそれぞれ形成される。また、この上蓋部分１７Ｐには、つまみ４１の基部から長側面部分１４Ｐに向けて、舌片状の、この場合、略半六角形状の舌部４２が切り込み形成される。

　これに対応して、この舌部４２の位置に対応する中蓋部分１６Ｐの所定の位置には、箱１の短辺方向に延びる平行な直線状切込４１３、４１３と、これらの直線状切込４１３、４１３の一端部間、この場合、緩衝部形成部２Ｐ側の端部間で長側面部分１２Ｐに向けて膨出する湾曲状切込４１４とからなる舌係止部４３が切り込み形成される。

　中蓋部分１６Ｐの長辺はそれぞれ上蓋部分１７Ｐの各長辺と同じ長さで、中蓋部分１６Ｐの短辺はそれぞれ上蓋部分１７Ｐの各短辺よりも少し短くなっていて、中蓋部分１６Ｐは箱１の天面全体の一部、この場合、箱１の一方の長側面１２の上端部から他方の長側面１４の上端部に向けておよそ四分の三当たりまでの範囲を閉鎖するように構成されている。一方、上蓋部分１７Ｐは天面全体を閉鎖するように構成されている。

　なお、上蓋部分１７Ｐと底面部分１１Ｐ、長側面部分１２Ｐと長側面部分１４Ｐ、外側短側面部分１３１Ｐ、１５１Ｐ、内側短側面部分１３２Ｐ、１５２Ｐ、長側面部分１２Ｐのフラップ１９１、１９２、長側面１４Ｐのフラップ１８１、１８２はそれぞれ、同じ大きさ、同じ形状になっている。

　緩衝部形成部２Ｐは、中蓋部分１６Ｐの端部から延長して、緩衝部２の支持面２１をなす矩形の支持面部分２１Ｐ、物品外周部保護面２２をなす台形の物品外周部保護面部分２２Ｐ、物品底部保護面２４をなす矩形の物品底部保護面部分２４Ｐ、固定面２５をなす台形の固定面部分２５Ｐが順次、折れ線３５及び４５～４７を介して連続して形成されてなる。物品外周部保護面部分２２Ｐと物品底部保護面部分２４Ｐとの間の折れ線４６上の所定の位置、この場合、物品外周部保護面部分２２Ｐの両短辺側に近接する二箇所に、折れ線４６上に繋ぎ部分を残して物品外周部保護面部分２２Ｐに向けて所定の大きさの略Ｕ字形の切り込みが形成され、外周保護面支持部分２３Ｐが形成される。各また外周保護面支持部２３Ｐの繋ぎ部分と自由端との間の所定の位置に、折れ線４８が付けられる。この折れ線４８に対して繋ぎ部分側が支持部２３１をなす支持部分２３１Ｐ、自由側が固定部２３２をなす固定部分２３２Ｐとなる。

　このような構成からなる紙基材Ｐは、まず、緩衝部形成部２Ｐの各部分２２Ｐ～２５Ｐを次のように折り曲げて、緩衝部２を組み立てる。まず初めに、中蓋部分１６Ｐに対して折れ線３５に沿って支持面部分２１Ｐをそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げ、中蓋１６の一方の長辺に沿ってこれに対して直角な支持面２１を形成する。続いて、この支持面部分２１Ｐに対して折れ線４５に沿って物品外周部保護面部分２２Ｐをそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げ、物品外周部保護面２２を中蓋１６の内側面に沿って第一の緩衝空間２０１を介して配置する。これに続いて、物品外周部保護面部分２２Ｐに設けた各外周保護面支持部分２３Ｐ、２３Ｐを、物品外周部保護面部分２２Ｐと物品底部保護面部分２４Ｐとの間の折れ線４６に沿って、中蓋部分１６Ｐに向けて略直角に折り曲げるとともに、各外周保護面支持部分２３Ｐ、２３Ｐ上の各折れ線４８、４８に沿ってその自由端側の固定部分２３２Ｐを中蓋部分１６Ｐに対して略直角のＬ字形に折り曲げられ、各外周保護面支持部２３、２３が物品外周部保護面２２と物品底部保護面２４との間に配置される。続いて、この物品外周部保護面部分２２Ｐに対して折れ線４６に沿って物品底部保護面２４Ｐをそれぞれの外側面を内側にして略直角に折り曲げ、物品底部保護面２４を長側面１２の内側面に沿って第二の緩衝空間２０２を介して配置する。続いて、この物品底部保護面部分２４Ｐに対して折れ線４７に沿って固定面部分２５Ｐをそれぞれの外側面を内側にして略直角に折り曲げ、固定面２５を底面１１上に配置する。そして、各外周保護面支持部２３の固定部２３２を中蓋部分１６の内側面に接着固定し、固定面２５を底面１１に接着固定する。なお、これらの接着部分は相互に接着剤を介して圧着固定される。

　次に、紙基材Ｐの残りの部分を次のように折り曲げて、箱１を組み立てる。まず、中蓋部分１６Ｐに対して折れ線３４に沿って長側面部分１２Ｐをそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げて、中蓋１６を形成する。続いて、この長側面部分１２Ｐに対して折れ線３３に沿って底面部分１１Ｐをそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げ、一方の長側面１２を形成する。続いて、この底面部分１１Ｐに対して折れ線３２に沿って他方の長側面部分１４Ｐをそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げ、底面１１を形成する。続いて、この長側面部分１４Ｐに対して上蓋部分１７Ｐをそれぞれの内側面を内側にして略直角に折り曲げ、長側面１４及び上蓋１７を形成し、上蓋１７を中蓋１６の上に重ね合わせる。この折り曲げが終わった段階で箱１の組み立ては一旦中断され、この後の組み立て及び必要箇所の接着は、箱１内部に複数のアンプルが収容された後に、引き続き行われる。

　この箱１内部にアンプルを収納する場合、複数のアンプルをいわゆるロンド・トレイ（ロンドレーションとも呼ばれる。米国ＲＯＮＤＯ社が開発した、複数のガラス容器を横置きにして横一例に並べて配置できるように、ガラス容器の外形に合わせて複数の溝が等間隔に並列に形成された、溝付きトレイ型の緩衝材）に横置きに横一列に並べて配置し、アンプルの底部と箱の物品底部保護面２４とが一致するようにしてこのロンド・トレイとともに箱１内部に収納する。このようにして箱１内部に複数のアンプルを収納したら、長側面部分１２Ｐ、１４Ｐの両短辺のフラップ１９１、１９２、１８１、１８２をそれぞれ内側に向けて略直角に折り曲げ、この上から底面部分１１Ｐの両短辺の内側短側面部分１３２Ｐ、１５２Ｐをそれぞれ内側に向けて略直角に折り曲げ、さらにその上から上蓋部分１７Ｐの両短辺の外側短側面部分１３１Ｐ、１５１Ｐをそれぞれ内側に略直角に折り曲げて、両短側面１３、１５を形成する。そして、上蓋１７を中蓋１６の上に重ね合わせて、上蓋１７のつまみ４１の両側を中蓋１６に接着固定し、各外側短側面１３１Ｐ、１５１Ｐを各内側短側面１３２Ｐ、１５２Ｐに重ね合わせて接着固定する。なお、これらの接着部分は相互に接着剤を介して圧着固定される。

　このようにして包装用箱Ｂ１は組み立てられ、箱１の内部に複数のアンプルがそれぞれ横置きにして横一列に収納される。そして、この箱１に収納された各アンプルは箱１の内部に一体に立体的に組み立てられた緩衝部２により保護される。この緩衝部２には、図３に示すように、箱１の中蓋１６及び一方の長側面１２の各内側面に沿って断面が略Ｌ字形の緩衝空間２０を介して、物品外周部保護面２２及び物品底部保護面２４が配置されており、この箱１の内部に収納される各アンプルの外周部及び底部に対向する二面が二重構造になっている。このような物品外周部保護面２２及び物品底部保護面２４により、アンプルの外周部及び底部が弾性的に当接支持される。この場合、物品外周部保護面２２は、中蓋１６の内側面との間に固定される外周保護面支持部２３、２３により突っ張り支持されて撓みにくい構造であり、また外周保護面支持部２３、２３がばね作用を有するため当該保護面２２全体が十分な弾性（クッション作用）を有する。また、物品底部保護面２４はこの物品外周部保護面２２と底面１１との間に支持固定されるので、箱１に衝撃が加えられても、箱１内部の各アンプルは物品外周部保護面２２及び物品底部保護面２４が形成する断面略Ｌ字形の保護面によりがたつきを押えられて、安定的に保持され、箱１外部の衝撃を十分に緩和して確実に保護される。

　なお、この包装用箱Ｂ１は、図２に示すように、上蓋１７及び一方の長側面１４の両短辺にミシン目状の切り込み４１２が形成されていて、上蓋１７が長側面１４とともに切り開き可能になっており、箱１の開封を容易に行うことができる。箱１を開封する場合は、上蓋１７のつまみ４１を上方に引き上げて長側面１４に向けて引張ると、上蓋１７に設けた二方向の斜めのミシン目、続いて上蓋１７両短辺のミシン目がそれぞれ破断されて上蓋１７が切り開かれ、さらにつまみ４１を引っ張ると、長側面１４の両短辺のミシン目がそれぞれ破断されて、長側面１４が切り開かれ、図５に示すように中蓋１６と底面１１との間に物品の取り出し口が開口される。よって箱１の開封を容易に行うことができる。また、こ中蓋１６は天面の一部を閉鎖しているだけなので、天面の残りの部分（中蓋１６が閉鎖していない天面部分）と一長側面（長側面１４に該当する部分）が開放されるので、箱１内部の各アンプルの頂部をつかみやすく、簡単に取り出すことができる。また、箱１から必要な数のアンプルを取り出した後は、中蓋１６の上に上蓋１７を重ね合わせ、上蓋１７の舌部４２を中蓋１６の舌係止部４３に差し込み係止することにより、上蓋１７を中蓋１６に固定することができ、箱１を簡易に閉鎖することができる。この場合、舌部４２及び舌係止部４３の既述の形状により、舌部４２の各辺が舌係止部４３の切り込み部に効果的に引っ掛かるので、指先を使って引き外さない限り、舌部４２は舌係止部４３から簡単に外れることがない。これにより、上蓋１７が中蓋１６の上に重ね合わされた状態が維持され、上蓋１７の浮き上がりが確実に防止される。

　以上説明したように、この包装用箱Ｂ１では、緩衝部２が、アンプルの外周部に対向する中蓋１６においてアンプルの頂部側の一端部から延長して形成された緩衝部形成部２Ｐからなる。緩衝部形成部２Ｐは、中蓋１６の内部側に向けて略直角に折り曲げられて、中蓋１６との間に第一の緩衝空間２０１を形成し、緩衝部２全体を支持するための支持面２１と、この支持面２１に対して略直角に折り曲げられて、中蓋１６の内側面との間に第一の緩衝空間２０１を介して当該内側面に沿って配置され、アンプルの外周部に接触して、アンプルを保護するための物品外周部保護面２２と、この物品外周部保護面２２の一部に、中蓋１６に向けて略直角に折り曲げられ、中蓋１６の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して物品外周部保護面２２を突っ張り支持するための外周保護面支持部２３、２３と、この物品外周部保護面２２に対して略直角に折り曲げられて、アンプルの底部に対向する一方の長側面１２の内側面との間に第二の緩衝空間２０２を介して当該内側面に沿って配置され、アンプルの底部に接触して、アンプルを保護するための物品底部保護面２４と、この物品底部保護面２４に対して略直角に折り曲げられて、中蓋１６に対向する反対側の面、つまり底面１１の内側面に接着固定される固定面２５とを備え、箱１の内部に中蓋１６及び一方の長側面１２の各内側面に沿って略Ｌ字形の緩衝空間２０が画成される。すなわち、物品外周部保護面２２は、中蓋１６の内側面との間に固定される外周保護面支持部２３、２３により突っ張り支持されるので撓みにくく、また、外周保護面支持部２３、２３がばね作用を有するので、当該保護面２２全体が十分な弾性（クッション性）を有する。このため、従来のように、物品に対して十分な緩衝効果を得るために、当接面（物品外周部保護面２２）とアンプルとの当接位置において当接面が支持面に接続されるようにする必要がなく、したがって支持面２１の位置が何ら制限されることがなく、中蓋部（中蓋１６）のデザインの自由度が制限されることもない。そして、この緩衝部２の場合、箱１の内部に中蓋１６及び一方の長側面１２の各内側面に沿って略Ｌ字形の緩衝空間２０を介して物品外周部保護面２２及び物品底部保護面２４が配置され、この箱１の内部に収納されるアンプルの外周部及び底部に対向する二面が二重構造になっているので、アンプルの包装において、十分な緩衝効果を得ることができ、箱１外部の衝撃によるアンプルの破損を確実に防止することができる。

　また、包装用箱Ｂ１は、緩衝部２を含めて１枚の紙基材Ｐを折り曲げて組み立てることにより形成するので、製造工程を簡易化し、コストの低減を図ることができる。

　なお、この実施の形態では、物品外周部保護面２２にのみ外周保護面支持部２３、２３を設けたが、必要に応じて、物品底部保護面２４にも、物品底部保護面２４を突っ張り支持するための底部保護面支持部を併せて備えてもよい。この場合、底部保護面支持部は物品底部保護面２４の一部に、一方の長側面１２に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、長側面１２の内側面に接着固定される。また、この場合、底部保護面支持部は略Ｌ字形に折り曲げ可能な二面からなり、一方の長側面１２の内側面に向けて延び、物品底部保護面２４を突っ張り支持するための支持部、及び長側面１２の内側面に接着固定するための固定部を有することが好ましい。このようにしても物品底部保護面２４に物品外周部保護面２２と同様の作用効果を付与することができる。

　また、この実施の形態では、固定面２５を物品底部保護面２４から一方の長側面１４に向けて略直角に連続配置して底面１１に接着固定する構成したが、他方の長側面１２に向けて略直角に連続配置して底面１１に接着固定するようにしてもよい。このようにしても緩衝部２を箱１内部に固定して、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。

　さらに、この実施の形態では、包装用箱Ｂ１は、複数のアンプルをそれぞれ横置きにして水平方向に並列に並べて収納可能な直方体に形成されているが、複数のアンプルその他薬液を収容するガラス容器などの割れやすい物品をそれぞれ縦置きにして水平方向に並列に並べて収納可能な直方体に形成してもよい。この場合でも、箱の一方の側面及び底面の各内側面に沿って断面略Ｌ字形の緩衝空間を介して物品外周部保護面及び物品底部保護面がそれぞれ外周保護面支持部により、又は必要に応じて外周保護面支持部及び底部保護面支持部により突っ張り支持されて配置され、この箱の内部に収納される各物品の外周部及び底部に対向する二面を二重構造にすることにより、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。

　図６に第二の実施の形態を示す。図６に示すように、包装用箱Ｂ２は、略直方体の箱１からなり、箱１内部に収納する複数のアンプルその他薬液を収容するガラス容器などの割れやすい物品（以下、第二の実施の形態の説明において、単に「物品」という。）を箱１外部の衝撃から保護するための緩衝部５を一体に備える。これらの箱１及び緩衝部５は、第一の実施の形態と同様に、ブランクシート（空白紙）を打ち抜いて形成された一枚の紙基材Ｐとして一体に形成され、折り曲げて組み立てることにより形成される。

　箱１は、第一の実施の形態と同様に、天面が開放された箱本体１０と、天面を部分的に閉鎖可能な中蓋１６と、中蓋１６の上に重ね合わせて天面を閉鎖可能な上蓋１７とを備える。箱本体１０は、略矩形の底面１１と、この底面１１をその四辺に沿って取り囲む四つの側面１２～１５とを有し、物品の上下方向を底面１１の短辺方向と平行に横置きにして、複数の物品を水平方向に並列に並べて収納可能である。中蓋１６は、各物品を収容した際にその底部に対向する一方の長側面１２の上縁部に連続し、上蓋１７は、収容された物品の頂部に対向する他方の長側面１４の上縁部に連続して、天面を他方の側面１４とともに開封できるように構成される。

　緩衝部５は、物品の外周部に対向する箱１の第一の面において物品の頂部側の一端部、この場合、中蓋１６の物品の頂部側の一端部に延長して形成される。緩衝部５は、中蓋１６の一端部から箱１の内部側に向けて略直角に折り曲げ可能に連続し、中蓋１６との間に第一の緩衝空間５０１を形成し、緩衝部５全体を支持するための支持面５１と、この支持面５１から中蓋１６に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、中蓋１６の内側面との間に第一の緩衝空間５０１を介して当該内側面に沿って配置され、物品の外周部に接触して、物品を保護するための第一の物品外周部保護面５２１と、第一の物品外周部保護面５２１の一部に、中蓋１６に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、中蓋１６の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して第一の物品外周部保護面５２１を突っ張り支持するための第一の外周保護面支持部５３１、５３１と、第一の物品外周部保護面５２１から、物品の底部に対向する一方の長側面１２との間に第一の緩衝空間５０１に連続する第二の緩衝空間５０２を形成して一方の長側面１２の内側面に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、一方の長側面１２の内側面との間に第二の緩衝空間５０２を介して当該内側面に沿って配置され、物品の底部に接触して、物品を保護するための物品底部保護面５４と、物品底部保護面５４から中蓋１６に対向する反対側の面で物品の外周部に対向する面、つまり底面１１との間に第二の緩衝空間５０２に連続する第三の緩衝空間５０３を形成して、底面１１に対して略平行となるように長側面１４に向けて略直角に折り曲げ可能に連続し、底面１１の内側面との間に第三の緩衝空間５０３を介して当該内側面に沿って配置され、第一の物品外周部保護面５２の反対側で物品の外周部に接触して、物品を保護するための第二の物品外周部保護面５２２と、第二の物品外周部保護面５２２の一部に、底面１１に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、底面１１の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して第二の物品外周部保護面５２２を突っ張り支持するための第二の外周保護面支持部５３２、５３２と、第二の物品外周部保護面５２２に底面１１の内側面に向けて略直角にかつ底面１１の内側面に面接触するように略Ｌ字形に折り曲げ可能に連続し、底面１１の内側面に接着固定される固定面５５とを備えて構成され、箱１の内部に中蓋１６、一方の側面１２、底面１１に沿って、第一、第二、及び第三の緩衝空間５０１、５０２、５０３からなる略Ｕ字形の緩衝空間５０が画成される。

　このように包装用箱Ｂ２では、第一の物品外周部保護面５２１は、中蓋１６の内側面との間に固定される第一の外周保護面支持部５３１、５３１により突っ張り支持されるので撓みにくく、また、第一の外周保護面支持部５３１、５３１がばね作用を有するので、当該保護面５２１全体が十分に弾性を有する。このため、従来のように、物品に対して十分な緩衝効果を得るために、当接面（第一の物品外周部保護面５２１）と物品との当接位置において当接面が支持面に接続されるようにする必要がなく、したがって支持面の位置が何ら制限されることがなく、中蓋部（中蓋１６）のデザインの自由度が制限されることもない。第二の物品外周部保護面５２２についても第一の物品外周部保護面５２１と同様の作用効果がある。そして、この緩衝部５の場合、箱１の内部に箱１の中蓋１６、一方の長側面１２及び底面１１の各内側面に沿って断面略Ｕ字形の緩衝空間５０を介して第一の物品外周部保護面５２１、物品底部保護面５４及び第二の物品外周部保護面５２２がそれぞれ、第一及び第二の外周保護面支持部５３１、５３１、５３２、５３２により突っ張り支持されて配置され、この箱１の内部に収納される物品の外周部、反対側の外周部及び底部に対向する三面が二重構造になっているので、物品の包装において、緩衝効果はさらに増大し、物品の破損を確実に防止することができる。

　なお、この実施の形態では、各物品外周部保護面５２１、５２２にのみ外周保護面支持部５３１、５３１、５３２、５３２を設けたが、必要に応じて、物品底部保護面５４にも、物品底部保護面５４を突っ張り支持するための底部保護面支持部を併せて備えてもよい。この場合、底部保護面支持部は物品底部保護面の一部に、一方の長側面に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、長側面の内側面に接着固定される。また、この場合、底部保護面支持部は略Ｌ字形に折り曲げ可能な二面からなり、一方の長側面の内側面に向けて延び、物品外周部保護面を突張り支持するための支持部、及び長側面の内側面に接着固定するための固定部を有することが好ましい。このようにしても物品底部保護面に物品外周部保護面と同様の作用効果を付与することができる。

　また、この実施の形態では、固定面５５を略Ｌ字形に形成して、底面１１に対する接触面を一方の長側面１４に向けて延ばし、底面１１に接着固定したが、略逆Ｌ字形に形成して底面１１に対する接触面を他方の長側面１２に向けて延ばし、底面１１に接着固定するようにしてもよい。このようにしても緩衝部５を箱１内部に固定して、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。

　さらに、この実施の形態では、包装用箱Ｂ２は、物品をそれぞれ横置きにして水平方向に並列に並べて収納可能な直方体に形成されているが、物品をそれぞれ縦置きにして水平方向に並列に並べて収納可能に直方体に形成してもよい。この場合でも、箱の一方の側面、底面及び他方の側面の各内側面に沿って断面略Ｕ字形の緩衝空間を介して物品外周部保護面、反対側の物品外周部保護面及び物品底部保護面が配置され、この箱の内部に収納される物品の外周部、反対側の外周部及び底部に対向する三面を二重構造にして、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。

　Ｂ１　包装用箱
　１　箱
　１０　箱本体
　１１　底面（第三の面）
　１２　長側面（第二の面）
　１３　短側面
　１４　長側面（第四の面）
　１５　短側面
　１６　中蓋（第一の面）
　１７　上蓋
　２　緩衝部
　２０　緩衝空間
　２０１　第一の緩衝空間
　２０２　第二の緩衝空間
　２１　支持面
　２２　物品外周部保護面
　２３　外周保護面支持部
　２３１　支持部
　２３２　固定部
　２４　物品底部保護面
　２５　固定面
　Ｐ　紙基材
　１１Ｐ　底面部分
　１２Ｐ　長側面部分
　１３１Ｐ　外側短側面部分
　１３２Ｐ　内側短側面部分
　１４Ｐ　長側面部分
　１５１Ｐ　外側短側面部分
　１５２Ｐ　内側短側面部分
　１６Ｐ　中蓋部分
　１７Ｐ　上蓋部分
　１８１、１８２　フラップ
　１９１、１９２　フラップ
　３１、３２、３３、３４、３５　折れ線
　３６１、３６２、３７１、３７２、３８１、３８２、３９１、３９２　折れ線
　４１　つまみ
　４２　舌部
　４３　舌係止部
　４１１　切込
　４１２　切込
　４１３　直線状切込
　４１４　湾曲状切込
　２Ｐ　緩衝部形成部
　２１Ｐ　支持面部分
　２２Ｐ　物品外周部保護面部分
　２３Ｐ　外周保護面支持部分
　２３１Ｐ　支持部分
　２３２Ｐ　固定部分
　２４Ｐ　物品底部保護面部分
　２５Ｐ　固定面部分
　４５～４７　折れ線
　４８　折れ線
　Ｂ２　包装用箱
　５　緩衝部
　５０　緩衝空間
　５０１　第一の緩衝空間
　５０２　第二の緩衝空間
　５０３　第三の緩衝空間
　５１　支持面
　５２１　第一の物品外周部保護面
　５２２　第二の物品外周部保護面
　５３１　第一の外周保護面支持部
　５３２　第二の外周保護面支持部
　５４　物品底部保護面
　５５　固定面

Claims

　頂部、底部、及び外周部を有する物品を収容するための包装用箱であって、
　略直方体の箱と、前記箱内部に一体的に形成され、前記箱内部に収納した物品を前記箱外部の衝撃から保護する緩衝部とを備えた包装用箱において、
　前記緩衝部は、箱に収容された前記物品の外周部に対向する箱の第一の面において前記物品の頂部側の一端部から延長して形成された緩衝部形成部からなり、
　前記緩衝部形成部は、
　前記箱の第一の面の一端部から、前記箱の内部側に向けて略直角に折り曲げ可能に連続し、前記箱の第一の面との間に第一の緩衝空間を形成し、前記緩衝部形成部全体を支持するための支持面と、
　前記支持面から、前記箱の第一の面に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記第一の面の内側面との間に前記第一の緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、前記物品の外周部に接触して、当該物品を保護するための物品外周部保護面と、
　前記物品外周部保護面の一部に、前記箱の第一の面に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、前記第一の面の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して前記物品外周部保護面を突っ張り支持するための外周保護面支持部と、
　前記物品外周部保護面から、前記物品の底部に対向する第二の面との間に前記第一の緩衝空間に連続する第二の緩衝空間を形成して前記第二の面に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記第二の面の内側面との間に前記第二の緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、前記物品の底部に接触して、当該物品を保護するための物品底部保護面と、
　前記物品底部保護面から、前記箱の第一の面に対向する第三の面の内側面に対して接触するように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記第三の面の内側面に接着固定される固定面と、
を備え、
　前記箱の内部に、前記第一及び第二の緩衝空間からなる略Ｌ字形の緩衝空間が画成される、
ことを特徴とする包装用箱。
　箱は、略矩形の底面と四つの側面とからなり、前記第一の面である天面を開口され、複数の物品をそれぞれ各物品の上下方向を前記底面の短辺方向と平行に横置きにして水平方向に並列に並べて収納可能な箱本体と、前記各物品の底部に対向する前記第二の面の上縁部に連続し、前記天面を少なくとも部分的に閉鎖可能な中蓋、及び前記各物品の頂部に対向する第四の面の上縁部に連続し、前記中蓋の上に重ね合わせて前記天面を閉鎖可能な上蓋とを備え、緩衝部形成部は前記中蓋の前記物品の頂部側に対応する一端部の延長上に形成される請求項１に記載の包装用箱。
　緩衝部形成部の支持面、物品外周部保護面、物品底部保護面、及び固定面はそれぞれ、略四角形又は略台形に選択的に形成される請求項１又は２に記載の包装用箱。
　緩衝部形成部の外周保護面支持部は、略Ｌ字形に折り曲げ可能な二面からなり、前記箱の第一の面に向けて延び、前記物品外周部保護面を突っ張り支持するための支持部、及び前記第一の面の内側面に接着固定するための固定部を有する請求項１乃至３のいずれかに記載の包装用箱。
　物品底部保護面の一部に、前記箱の第二の面に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、前記第二の面の内側面に接着固定されて、前記物品底部保護面を突っ張り支持するための底部保護面支持部を併せて備える請求項１乃至４のいずれかに記載の包装用箱。
　緩衝部形成部の底部保護面支持部は、略Ｌ字形に折り曲げ可能な二面からなり、箱の第二の面に向けて延び、前記物品底部保護面を突っ張り支持するための支持部、及び前記第二の面の内側面に接着固定するための固定部を有する請求項５に記載の包装用箱。
　頂部、底部、及び外周部を有する物品を収容するための包装用箱であって、
　略直方体の箱と、前記箱内部に一体的に形成され、前記箱内部に収納した物品を前記箱外部の衝撃から保護する緩衝部とを備えた包装用箱において、
　前記緩衝部は箱に収容された前記物品の外周部に対向する箱の第一の面において前記物品の頂部側の一端部から延長して形成された緩衝部形成部からなり、
　前記緩衝部形成部は、
　前記箱の第一の面の一端部から、前記箱の内部側に向けて略直角に折り曲げ可能に連続し、前記箱の第一の面との間に第一の緩衝空間を形成し、前記緩衝部形成部全体を支持するための支持面と、
　前記支持面に前記箱の第一の面に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記第一の面の内側面との間に前記第一の緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、前記物品の外周部に接触して、当該物品を保護するための第一の物品外周部保護面と、
　前記第一の物品外周部保護面の一部に、前記箱の第一の面に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、前記第一の面の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して前記物品外周部保護面を突っ張り支持するための第一の外周保護面支持部と、
　前記第一の物品外周部保護面から、前記物品の底部に対向する第二の面との間に前記第一の緩衝空間に連続する第二の緩衝空間を形成して前記第二の面に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記第二の面の内側面との間に前記第二の緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、前記物品の底部に接触して、当該物品を保護するための物品底部保護面と、
　前記物品底部保護面から、前記箱の第一の面に対向する第三の面との間に前記第二の緩衝空間に連続する第三の緩衝空間を形成して前記第三の面に対して略平行となるように略直角に折り曲げ可能に連続し、前記第三の面の内側面との間に前記第三の緩衝空間を介して当該内側面に沿って配置され、前記第一の物品外周部保護面の反対側で前記物品の外周部に接触して、当該物品を保護するための第二の物品外周部保護面と、
　前記第二の物品外周部保護面の一部に、前記第三の面に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、前記第三の面の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して前記第二の物品外周部保護面を突っ張り支持するための第二の外周保護面支持部と、
　前記第二の物品外周部保護面から前記第三の面の内側面に向けて略直角にかつ当該内側面に対して面接触するように略Ｌ字型に折り曲げ可能に連続し、前記第三の面の内側面に接着固定される固定面と、
を備え、
　前記箱の内部に、前記第一、第二、及び第三の緩衝空間からなる略Ｕ字形の緩衝空間が画成される、
ことを特徴とする包装用箱。
　物品底部保護面の一部から、箱の第二の面に向けて略直角に折り曲げ可能に形成され、前記第二の面の内側面に接着固定されて、当該内側面に対して前記物品底部保護面を突っ張り支持するための底部保護面支持部を併せて備える請求項７に記載の包装用箱。