WO2011021400A1 - ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム - Google Patents

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Abstract

 本発明の目的は、従来の膜厚10μmのフィルムに対して膜厚が8μm程度と薄くても、高い破断強度と、適度な伸び率とを有するポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムを提供することである。本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、100重量部の塩化ビニル系樹脂と、アジピン酸ジアルキルエステル可塑剤(A1)および重量平均分子量が1000~3000のアジピン酸系ポリエステル可塑剤(A2)からなる群より選ばれる一以上の可塑剤(A)を0~15重量部と、分子の両末端のヒドロキシル基と、安息香酸および2-エチルヘキシル酸のそれぞれとが脱水縮合反応してジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物からなる可塑剤(B)を10~30重量部と、エポキシ化植物油からなる可塑剤(C)を10~20重量部とを含み、かつ可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が20~35重量部である塩化ビニル系樹脂組成物からなる。

Description

ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム
 本発明は、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムに関する。詳しくは、生鮮食品などを収納した包装容器を上方に突上げて、上部からフィルムで包装する突上げ式自動包装機による包装に適したポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム、さらには高ストレッチ自動包装機による包装に適したポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムに関する。
 各種の生鮮食品や加工食品等は、それらの鮮度を保ち、見栄えを良くするために、プラスチックフィルムにより包装されている。食品、特に生鮮食品の包装では、食品の鮮度を維持するために、フィルムを引き伸ばして食品を容器ごと包み込み、フィルムをシールして密封する必要がある。このような包装に用いられる食品容器包装用フィルムとして、種々のストレッチフィルムが開発されており、食品の包装、特に精肉、鮮魚、青果等の生鮮食品を容器とともに包装するフィルムとして広く使用されている。また、これらのフィルムを用いて食品を包装する自動包装機として、高ストレッチ自動包装機、突上げ式自動包装機およびピロー式自動包装機等が開発されており、食品容器の包装の効率化が図られている。
 このような自動包装機の中で、突上げ式自動包装機は、例えば、(1)食品等の物品を収納した容器(以下、食品容器という)をベルト上に載置して、水平方向に搬送する搬送部、(2)搬送部の終端位置に設けられ、搬送された食品容器を上部に突上げるリフト装置、(3)突き上げられた食品容器を包装用フィルムで包み込むためのフィルム供給機構と包装機構、(4)食品容器を包装密封するためのフィルムの折り込み手段、および折り込まれたフィルムを加熱して融着するための加熱手段、さらに(5)最終的に包装された食品容器を搬出するための諸々の付帯設備から構成されている。このような突上げ式自動包装機では、食品容器は、突き上げられた食品容器を包装用フィルムで覆い、フィルムを縦方向および横方向に引き伸ばして包み込み、折り込まれて重なり合ったフィルムを加熱融着等して密封包装される。
 一方、食品容器包装用のストレッチフィルムは、透明性、防曇性、柔軟性およびヒートシール性等の性能に優れていることが必要である。そのため、食品容器包装用のストレッチフィルムとしては、従来から塩化ビニル系樹脂を主成分とするフィルムが、諸性能を満たすものとして用いられている(例えば特許文献1~5などを参照)。塩化ビニル系樹脂には、上記のようなストレッチフィルムとして必要な性能を付与するため種々の可塑剤が添加される。したがって、ストレッチフィルムの可塑剤としては、優れた性能を付与し、かつ環境問題も引き起こさないものが検討されてきた。
 たとえば、特許文献1では、可塑剤としてジイソノニルアジペート、炭素原子数が6、8または10の直鎖のアルキル基を有するジn-アルキルアジペート、炭素原子数が7または9の直鎖および/または側鎖のアルキル基を有するジアルキルアジペート、およびジ(2-エチルヘキシル)アジペートからなる群から選ばれるアジピン酸ジアルキルエステルを含有するポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムが開示されている。
 近年、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムには、特に生鮮食品の流通や大型店舗の食品販売方法の変遷や、食品容器包装技術等の進歩に適合することが要請されている。特に、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムに、包装材料としての性能を付与する可塑剤が種々検討されている。特許文献2では、可塑剤として、ジイソノニルアジペートと、炭素数6~8のアルキル基を有するアジピン酸ジエステルとを用いることにより、膜厚が12.5~14.5μm程まで薄く、透明性も良好なストレッチフィルムが得られることが開示されている。
 特許文献3では、可塑剤として、平均分子量が1000~3000のアジビン酸系ポリエステル可塑剤、炭素数が8以上のアルキル基を有するアジピン酸エステル系可塑剤および/または炭素数10以下のアルキル基を有する脂肪族アルコール2種以上とアジピン酸との反応で得られる混合アジピン酸エステル系可塑剤を用いるポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムが開示されている。特許文献3では、フィルム厚を12μm以下へ薄膜化しても使用時に破れることがなく、押出成形性が極めて良好であるとされている。
 特許文献4では、可塑剤として、重量平均分予量が1000~3000のアジピン酸系ポリエステル系可塑剤と、重量平均分子量が1000~3500のアクリル系重合体とを含有する塩化ビニル系樹脂組成物からなるポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムが開示されている。同様に、特許文献5では、可塑剤として、重量平均分子量が1000~3000のアジピン酸系ポリエステル可塑剤と、炭素数10以下のアルキル基を有する脂肪族アルコール2種以上とアジピン酸との反応で得られる混合アジピン酸エステル系可塑剤とを含有する塩化ビニル系樹脂組成物からなるポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムが開示されている。これらのストレッチフィルムは、10μm以下の薄膜で、食品容器の自動包装特性や防曇性に優れ、n-ヘプタン抽出量が30ppm~50ppmである。
特許第15969334号公報 特開平7-149924号公報 特開2002-293957号公報 特開2006-104241号公報 特開2006-104242号公報
 ところで、食品容器包装用のストレッチフィルム、特に突上げ式自動包装機による包装に用いられるポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、コストを低減させる観点などから、フィルム膜厚みが薄くても高い破断強度を有することが求められる。しかしながら、従来のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、可塑剤としてアジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸アルキルエステルを多く含むため、フィルム厚みを薄くしたときの破断強度が不十分となる場合があった。このように、食品容器包装用フィルムとしての諸物性を満たしつつ、フィルム厚みを薄くしても破れることのない高い破断強度を有する、自動包装適性に優れたポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムが望まれている。
 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムとして、透明性、柔軟性、復元性およびヒートシール性等の諸物性を有しつつ、従来の膜厚10μmのフィルムに対して膜厚が8μm程度と薄くても、破断強度と伸び率に優れたポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムを提供すること;特に突上げ式自動包装機による食品収納容器の包装に好適なポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムを提供することを目的とする。
 本発明者らは、可塑剤として「分子の両末端のヒドロキシル基と、安息香酸と2-エチルヘキシル酸のそれぞれと脱水縮合反応してジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物」を含むポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、高い破断強度を有するため、フィルム厚みを薄くできることを見出した。一方で、「分子の両末端のヒドロキシル基と、安息香酸または2-エチルヘキシル酸との脱水縮合反応によりジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物」を含むフィルムは脆くなりやすいため、破断伸び率が低下しやすくなるとの不具合もあった。そこで本発明では、アジピン酸アルキルエステルからなる可塑剤(A)と、前述のトリエチレングリコール化合物からなる可塑剤(B)の合計量を調整すること、さらに好ましくは可塑剤(A)と可塑剤(B)の配合比を調整することなどによって、ストレッチフィルムの破断強度と伸び率とのバランスを調整できること同等以上の伸び率を維持しつつ、高い破断強度を有するストレッチフィルムが得られることを見出した。本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
 本発明は、以下のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムに関する。
 [1] 100重量部の塩化ビニル系樹脂と、アジピン酸と炭素数6以上のアルキル基を有する脂肪族アルコールとの反応物であるアジピン酸ジアルキルエステル可塑剤(A1)および重量平均分子量が1000~3000のアジピン酸系ポリエステル可塑剤(A2)からなる群より選ばれる一以上の可塑剤(A)を0~15重量部と、分子の両末端のヒドロキシル基と、安息香酸および2-エチルヘキシル酸のそれぞれとが脱水縮合反応してジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物からなる可塑剤(B)を10~30重量部と、エポキシ化植物油からなる可塑剤(C)を10~20重量部と、を含み、かつ前記可塑剤(A)と前記可塑剤(B)の合計量が20~35重量部である塩化ビニル系樹脂組成物からなる、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
 [2] 前記可塑剤(A)が、アジピン酸ジイソノニルである、[1]記載のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
 [3] 前記可塑剤(A)/前記可塑剤(B)が、重量比で0.65以下である、[1]または[2]に記載のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
 [4] 前記トリエチレングリコール化合物は、下記式で表される、[1]~[3]のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 [5] 100重量部の塩化ビニル系樹脂と、アジピン酸ジアルキルエステル系可塑剤(A1)を8~32重量部と、分子の両末端のヒドロキシル基と、安息香酸および2-エチルヘキシル酸との脱水縮合反応によりジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物からなる可塑剤(B)を8~32重量部と、エポキシ化植物油からなる可塑剤(C)を10~20重量部とを含み、かつ前記可塑剤(A1)と前記可塑剤(B)の合計量が28~42重量部である塩化ビニル系樹脂組成物からなる、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
 [6] 前記可塑剤(A)が、アジピン酸ジイソノニルである、[5]に記載のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
 [7] 前記トリエチレングリコール化合物は、下記式で表される、[5]または[6]に記載のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 [8] 前記可塑剤(A1)/前記可塑剤(B)が、重量比で0.8以上である、[5]~[7]のいずれかに記載のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
 本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、透明性、柔軟性、復元性およびヒートシール性等の諸物性を有しつつ、従来の膜厚10μmのフィルムに対して膜厚が8μm程度と薄くても、破断強度と伸び特性に優れている。このため、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、特に突上げ式自動包装機や高ストレッチ式自動包装機による食品収納容器の包装に好適である。また、本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、破れやしわの発生などもなく、優れた包装特性を有する。さらに、フィルムの薄膜化を可能にしたため、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムの製造コストを削減でき、さらには使用済みのストレッチフィルムの回収量の減少や回収作業効率も向上できる。
 本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、1)塩化ビニル系樹脂と、2)アジピン酸ジアルキルエステル可塑剤(A1)および平均分子量が1000~3000のアジピン酸系ポリエステル可塑剤(A2)からなる群より選ばれる一以上の可塑剤(A)と、3)分子の両末端のヒドロキシル基と、安息香酸および2-エチルヘキシル酸との脱水縮合反応によりジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物からなる可塑剤(B)と、4)エポキシ化植物油からなる可塑剤(C)とを含む塩化ビニル系樹脂組成物からなる。
 塩化ビニル系樹脂組成物に含まれる塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル由来の構成単位を主な構成単位として含む塩化ビニル重合体であり、塩化ビニル単独重合体、または塩化ビニルと他の共重合可能なモノマーとの共重合体(塩化ビニル共重合体)でありうる。フィルムの機械的強度を高めるためには、好ましくは塩化ビニル単独重合体である。
 塩化ビニル共重合体における共重合可能なモノマーの例には、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸ジエステル、エチレンおよびプロピレン等が含まれる。塩化ビニル共重合体に含まれる、共重合可能なモノマーに由来する構成単位の含有割合は、10モル%以下であることが好ましい。
 塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、好ましくは1000~1300である。塩化ビニル系樹脂の平均重合度が上記範囲であれば、塩化ビニル系樹脂を含む樹脂組成物を溶融させたときの流動性が良好であるため、押出成形によりフィルムを成形し易い。また、ストレッチフィルムとしてのフィルム強度やゴム弾性等の物性、耐熱性、防曇性などにも優れ、食品容器自動包装機による包装特性にも優れるからである。塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、JIS K6721に準拠した方法により測定される値である。
 突き上げ式自動包装機による包装に適したフィルムに用いられる塩化ビニル系樹脂は、好ましくは平均重合度が1000程度である塩化ビニル単独重合体である。高ストレッチ式自動包装機による包装に適したフィルムに含まれる塩化ビニル系樹脂は、平均重合度が1300程度であることが好ましい。
 塩化ビニル系樹脂は、乳化重合、懸濁重合、溶液重合および塊状重合等の通常の重合方法で得られたものであってよい。
 塩化ビニル系樹脂組成物に含まれる可塑剤(A)は、炭素数6以上のアルキル基を有する脂肪族アルコールとアジピン酸との反応物であるアジピン酸ジアルキルエステル可塑剤(A1)、および重量平均分子量が1000~3000のアジピン酸系ポリエステル可塑剤(A2)からなる群より選ばれる一以上であり、好ましくはアジピン酸ジアルキルエステル可塑剤(A1)である。これらの可塑剤(A)は、フィルムに高い伸び特性を付与しうる。アジピン酸系ポリエステル可塑剤の重量平均分子量は、GPC分析法などにより測定することができる。
 アジピン酸ジアルキルエステル可塑剤(A1)は、脂肪族アルコールと、アジピン酸との反応物でありうる。脂肪族アルコールの例には、炭素原子数が6以上のアルキル基を含む脂肪族アルコールが含まれ、好ましくは炭素原子数が6、8もしくは10の直鎖のアルキル基、または炭素原子数が7もしくは9の直鎖もしくは側鎖のアルキル基を有する脂肪族アルコールが含まれる。アジピン酸ジアルキルエステル可塑剤における脂肪族アルコールは、1種類だけでもよいし、2種であってもよい。
 アジピン酸ジアルキルエステル可塑剤(A1)の例には、アジピン酸ジn-ヘキシル、アジピン酸ジn-オクチル、アジビン酸ジn-デシル、アジピン酸ジイソヘプチル、アジピン酸ジイソノニル、およびジ(2-エチルヘキシル)アゼレート等が含まれ、好ましくはアジピン酸ジイソノニルである。塩化ビニル系樹脂組成物に含まれるアジピン酸ジアルキルエステル可塑剤(A1)は、1種類単独であっても、2種類以上の混合物であってよい。2種類以上の混合物であるアジピン酸系ポリエステル可塑剤(A2)の例には、アジピン酸n-アルキル混合エステル(n-アルキル:C6、C8およびC10)が含まれる。
 重量平均分子量が1000~3000のアジピン酸系ポリエステル可塑剤(A2)は、アジピン酸と2価アルコールとの反応物である。2価アルコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、プタンジオール、1.6-ヘキサンジオール等が含まれる。アジピン酸系ポリエステル可塑剤における2価アルコールは、1種類だけであってもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
 重量平均分子量が1000~3000のアジピン酸系ポリエステル可塑剤(A2)は、フィルムに耐溶剤抽出性を付与しうる。重量平均分子量が1000未満のアジピン酸系ポリエステル可塑剤を含むフィルムは、耐溶剤抽出性に優れる。重量平均分子量が3000を超えるアジピン酸系ポリエステル可塑剤を含む樹脂組成物は、溶融時の流動性が低いことがある。
 塩化ビニル系樹脂組成物に含まれる可塑剤(B)は、トリエチレングリコール由来の繰り返し単位を含み、分子両末端にヒドロキシル基を有する化合物と、安息香酸と2-エチルヘキシル酸のそれぞれと反応させてジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物を含む。トリエチレングリコール化合物は、好ましくは下記式で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 上記式における繰り返し数nは1~6であり、好ましくは1である。上記式におけるnが1超である場合、可塑剤(B)の重量平均分子量は、好ましくは1000以下である。
 前記トリエチレングリコール化合物は、トリエチレングリコール由来の繰り返し単位を含み、分子両末端にヒドロキシル基を有する化合物と、安息香酸および2-エチルヘキシル酸とを反応させて得ることができる。
 本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、前記トリエチレングリコール化合物を可塑剤(B)として含有した点に特徴がある。このようなトリエチレングリコール化合物は、フィルムに伸び特性を付与しうるだけでなく、フィルムの破断強度を著しく高めうる。このようなトリエチレングリコール化合物を含むフィルムは、従来のストレッチフィルムより薄い膜厚であっても、十分な破断強度を有し、かつ適度の倍率で伸長することができ、包装機適性が良好である。
 本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムを構成する塩化ビニル系樹脂組成物における可塑剤(A)と可塑剤(B)の含有量は、包装様式に応じて適宜調整されうる。
 たとえば、突き上げ式自動包装用のストレッチフィルムには、適度な伸び率を有しつつ、より高い破断強度を有することが求められる。突き上げ式自動包装用のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムを構成する塩化ビニル系樹脂組成物における、前記可塑剤(A)の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して好ましくは0~15重量部であり、より好ましくは5~10重量部であり;前記可塑剤(B)の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して好ましくは10~30重量部であり、より好ましくは15~25重量部であり;かつ可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が好ましくは20~35重量部であり、より好ましくは25~30重量部である。
 可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が25重量部未満であると、フィルムの伸び率が低くなる。また、フィルムの剥離力が大きくなり、巻回体からフィルムを引き出すときに脈動することもあり、皺が発生して円滑に引き出すことができないこともある。一方、可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が35重量部超であると、フィルムを幅方向(TD方向)に広げる際、フィルムの端部が滑りやすいため掴み難くなり、突き上げられて食品容器を包み込む工程で支障が生じやすくなる。可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が25~35重量部の範囲であれば、フィルムの強度が十分であり、包装機特性にも優れている。
 さらに、突き上げ式自動包装用のストレッチフィルムを構成する塩化ビニル系樹脂組成物における可塑剤(A)/可塑剤(B)は、重量比で0.65以下であることが好ましく、0.3以下がより好ましい。可塑剤(A)に対する可塑剤(B)の割合が多いと、フィルムの破断強度を高めうるからである。このため、可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が上記範囲であり、かつ可塑剤(A)/可塑剤(B)が一定以下であるフィルムは、破断強度が十分に高く、適度な伸び率も維持できる。
 高ストレッチ性自動包装用のストレッチフィルムは、高い延伸倍率で引っ張られるため、より高い伸び率を有することが求められる。このため、高ストレッチ性自動包装用のストレッチフィルムでは、可塑剤(A1)と(B)の合計量を多くすることが好ましい。
 具体的には、本発明の高ストレッチ性自動包装用のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムを構成する塩化ビニル系樹脂組成物における、前記可塑剤(A1)の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して好ましくは8~32重量部であり、10~30重量部であり;前記可塑剤(B)の含有量が好ましくは8~32重量部であり、より好ましくは10~30重量部であり;かつ可塑剤(A1)と可塑剤(B)の合計量が好ましくは28~42重量部の範囲であり、より好ましくは30~40重量部である。
 可塑剤(A1)と可塑剤(B)の合計量が28重量部未満では、フィルムの伸び率が不十分である。このため、自動包装機による食品容器の包装に際して幅方向に高い倍率で延伸した時に切れやすく、包装機適性が不十分となることがある。一方、可塑剤(A1)と可塑剤(B)の合計量が42重量部を超えると、包装機適性は良好であるが、巻回体から引き出し難くなったり、滑りやすくなったり、巻回体の端面にずれが生じたりしやすく、包装機適性が低下する。また、フィルムの色相が濃くなり、見栄えが損なわれる点でも好ましくない。
 さらに、高ストレッチ性自動包装用のストレッチフィルムを構成する塩化ビニル系樹脂組成物における可塑剤(A1)/可塑剤(B)は、重量比で0.8以上であることが好ましく、1.1以上であることがより好ましい。可塑剤(B)に対する可塑剤(A1)の割合が多いと、フィルムの伸び率を高めうるからである。このため、可塑剤(A1)と可塑剤(B)の合計量が上記範囲であり、かつ可塑剤(A1)/可塑剤(B)が一定以上であるフィルムは、伸び率が十分に高く、かつ適度な破断強度を維持できる。
 本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムには、上記の可塑剤(A)および可塑剤(B)の他にも、エポキシ化植物油からなる可塑剤(C)をさらに含む。エポキシ化植物油とは、主に大豆油や亜麻仁油等の植物油をエポキシ化して得られるものである。エポキシ化植物油の例には、エポキシ化オレイン酸とエポキシ化リノール酸を含有するエポキシ化大豆油や、エポキシ化オレイン酸、エポキシ化リノール酸およびエポキシ化リノレン酸を含有するエポキシ化亜麻仁油等が含まれる。
 本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムを得るための塩化ビニル系樹脂組成物において、可塑剤(C)の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して10~20重量部であることが好ましい。この含有量の範囲で、自動包装機適性の優れたストレッチフィルムが得られる。可塑剤(C)の含有量が10重量部未満であると、低温でのフィルムの伸び率が低下しやすく、20重量部超であると、可塑剤(C)のブリードによるフィルム端面のずれが生じやすく(タケノコ状となりやすく)、いずれもストレッチフィルムの包装機適性が劣る。
 本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記可塑剤(A)、可塑剤(B)および可塑剤(C)の他にも、防曇剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、顔料および界面活性剤等の添加剤をさらに含んでいてもよい。
 防曇剤の例には、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
 本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムの厚みは、包装様式にもよるが、例えば12μm以下であり、好ましくは8~10μmである。
 前述の通り、突き上げ式自動包装用のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、適度な伸び率を有しつつ、十分に高い破断強度を有することが好ましい。このため、突き上げ式自動包装用のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、厚さ10μmのときの23℃におけるTD方向の破断強度が1.7N/cm以上であることが好ましく、1.8N/cm以上であることがより好ましい。また、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムの厚さ10μmのときの23℃におけるTD方向の破断時の最大伸び率が200%以上であることが好ましく、280%以上であることがより好ましい。
 高ストレッチ式自動包装機用のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、高い倍率(例えば232倍)で引っ張られるため、適度な破断強度を有しつつ、十分に高い伸び率を有することが好ましい。このため、高ストレッチ式自動包装機用のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、厚さ10μmのときの23℃におけるTD方向の破断時の最大伸び率が300%以上であることが好ましく、400%以上であることがより好ましく、415%以上であることがさらに好ましい。フィルムの破断強度および破断時の最大伸び率は、JISK7127に準拠した方法により測定される。
 本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、任意の方法で製造することができる。たとえば、1)塩化ビニル系樹脂に、上記可塑剤(A)、可塑剤(B)および可塑剤(C)を加え、必要に応じてさらに他の添加剤を加えた後、均一に混合して塩化ビニル系樹脂組成物を調製するステップ;2)調製した塩化ビニル系樹脂組成物を、T-ダイ法またはインフレーションダイ法等の押出成形法により製膜するステップ、を経てポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムを製造することができる。各成分の混合方法は、例えばヘンシェルミキサー等の混合機を用いた通常の混合方法であってよい。
 本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、可塑剤(B)を含む。このため、本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、膜厚が8μmと薄くても、アジピン酸系ポリエステル可塑剤やアジピン酸ジアルキル系可塑剤を含む、従来の膜厚10μmのポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムと同等以上の破断強度を有する。
 また、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムに含まれる可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量を多くすることで、伸び率(またはストレッチ性)をより高めることができる。このようなポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、膜厚が10μm程度と薄くても、TD方向の破断時の最大伸び率が400%以上と高い。このため、フィルムの幅方向の延伸倍率が232倍程度である食品容器自動包装機、例えば(株)寺岡精工製 AW-3600においても、良好な包装機適性を示す。
 実施例および比較例で用いられる塩化ビニル樹脂および可塑剤を以下に示す。
 1)塩化ビニル樹脂
  大洋塩ビ(株)製 T-1000 塩化ビニル単独重合体
  大洋塩ビ(株)製 TH-1300〔エチレン-塩化ビニル共重合体(エチレン5モル%)〕
 2)可塑剤(A)
 アジピン酸ジイソノニル((株)ジェイプラス、製品名:DINA)
 アジピン酸ヘキシル、アジピン酸オクチルおよびアジピン酸デシルの混合物((株)ジェイプラス、製品名:D610A)
 3)可塑剤(B)
 安息香酸および2-エチルヘキシル酸とジエステルを構成する、下記式で示されるトリエチレングリコール化合物〔(株)LG化学(韓国)製 銘柄名:LGflex EBN.W、重量平均分子量388〕
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 3)可塑剤(C)
 エポキシ化大豆油:(株)ダイセル化学工業製 製品略号:ESBO
 1.突き上げ式自動包装機用ストレッチフィルム
 (実施例1)
 100重量部の塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ(株)製 T-1000)に、可塑剤(A)として10重量部のアジピン酸ジイソノニル((株)ジェイプラス、製品名:DINA)、可塑剤(B)として18重量部のトリエチレングリコール化合物((株)LG化学(韓国)製 銘柄名:LGflex EBN.W)、および可塑剤(C)として10重量部のエポキシ化大豆油((株)ジェイプラス、製品名:ESBO)を加えた組成物に、1.0重量部のCa-Zn系安定剤、1.5重量部のポリグリセリン脂肪酸エステル、1.0重量部のソルビタン脂肪酸エステル、および1.0重量部のポリオキシエチレンアルキルエーテルをさらに配合して、加熱混合して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。この塩化ビニル系樹脂組成物を、押出機にてスクリューにより210℃で溶融混練した後、Tダイ法により押出成形し、厚さ8μm、10μmのストレッチフィルムをそれぞれ製膜した。
 (実施例2~7)
 可塑剤の種類と含有量を表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして厚さ8μm、10μmのストレッチフィルムをそれぞれ製膜した。
 (比較例1)
 可塑剤(B)を配合せず、可塑剤の種類と含有量を表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして厚さ8μm、10μmのストレッチフィルムをそれぞれ製膜した。
 実施例1~7および比較例1で得られたストレッチフィルムの引張特性;具体的には、フィルムのTD方向の破断強度と破断時の最大伸び率を以下の方法で評価した。これらの結果を表1に示す。
 引張特性(破断時の最大伸び率および破断強度)
 (株)オリエンテック製 引張試験機UCT-500を用いて、JISK7127に基づき2号試験片(10mm×100mm)を、フィルムのTD方向に引っ張ったときの、フィルムが破断するまでの破断強度と最大伸び率をそれぞれ求めた。フィルムの破断強度および最大伸び率の測定は、温度23±2℃、引張速度500mm/minの条件で実施した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に示されるように、実施例1~7のストレッチフィルムは、いずれもフィルム厚みが8~10μmと薄くても、高い破断強度を有し、かつ破断時の最大伸び率も比較的良好であることがわかる。具体的には、フィルム厚みが10μmでのTD方向の破断強度が1.85N/cm以上と高く、かつ破断時の最大伸び率が286%以上と従来と同等以上であることがわかる。フィルム厚みが8μmでは、若干ばらつきがあるものの、TD方向の破断強度が、概ね1.48N/cm以上と高く、破断時の最大伸び率も248%以上と良好であることがわかる。
 これに対して比較例1のストレッチフィルムは、いずれもフィルム厚みが8~10μmと薄いと、破断強度が低いことがわかる。具体的には、フィルム厚みが10μmでのTD方向の破断強度が1.69N/cmと低く、フィルム厚みが8μmでのTD方向の破断強度が1.16N/cmと低いことがわかる。
 フィルム厚みが8μmでの実施例1~4のストレッチフィルムにおいては、いずれも可塑剤(B)/可塑剤(A)の配合比が増えるにつれて、TD方向の破断強度が高くなる傾向がみられる。フィルム厚みが10μmでの実施例5~7のストレッチフィルムにおいても同様の傾向がみられる。
 2.高ストレッチ式自動包装機用フィルム
 (実施例9)
 100重量部の塩化ビニル樹脂〔エチレン-塩化ビニル共重合体(エチレン5モル%) 大洋塩ビ(株)TH-1300〕に、可塑剤(A)として10重量部のアジピン酸ジイソノニル(A1)、可塑剤(B)として22重量部のトリエチレングリコール化合物〔(株)LG化学(韓国)製 銘柄名:LGflex EBN.W、平均分子量388〕、および可塑剤(C)として15重量部のエポキシ化大豆油〔(株)ダイセル化学工業、製品略号:ESBO〕を加え、1.0重量部のCa-Zn系安定剤、1.5重量部のポリ(ジ)グリセリン脂肪酸エステル、1.0重量部のソルビタン脂肪酸エステルおよび1.0重量部のポリオキシエチレンアルキルエーテルをさらに加えて加熱混合して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。この塩化ビニル系樹脂組成物を、押出機にてスクリュー混練し、Tダイスから約210℃で溶融押出しした。これにより、厚み12μm、10μmおよび8μmのフィルムをそれぞれ製膜した。得られたフィルムを、引巻取機により、幅300mmのロール状に巻き取った。
 (実施例10~14)
 可塑剤の含有量を表2に示されるように変更した以外は実施例9と同様にしてストレッチフィルムを製膜した。
 (比較例2~7)
 可塑剤の含有量を表3に示されるように変更した以外は実施倒9と同様にしてストレッチフィルムを製膜した。
 実施例9~14および比較例2~7で得られたストレッチフィルムの引張特性、色相および包装機特性を以下のようにして評価した。これらの結果を表2および3に示す。
 1)引張特性(破断時の最大伸び率および破断強度)
 (株)オリエンテック社製 引張試験機UCT-500を用いて、JIS K7127に基づき2号試験片(10mm×100mm)を、フィルムのTD方向に引っ張ったときの、フィルムが破断するまでの破断強度と最大伸び率をそれぞれ求めた。フィルムの破断強度および最大伸び率の測定は、温度23±2℃、引張速度500mm/minの条件で実施した。
 2)色相
 ロール状に巻かれたストレッチフィルムの色相を視感により評価した。
 ○:良好
 ×:不良(くすんだ色)
 3)包装機適性
 剥離性
  ロール状の巻回体からの引き出し時の、滑り、ズレ、およびゆるみ等の引き取りの状態を評価した。
  ○:問題を生じることなく良好
  △:多少問題あり
  ×:引き出し難い、滑る、ロール末端が次第に崩れる等の問題あり
 カット性
  機械包装時におけるフィルムのカット性を評価した。
  ○:良好にカットされる
  ×:カットが円滑ではない
 シワ
  巻回体から引き出すとき、または包装物のフィルム表面に生じるシワの有無を評価した。
  ○:シワを生じない
  ×:包装鬱にシワを生じ、また円滑に引き出せず、シワを生じる
 掴み滑り
  フィルムを横手方向の両端を両面から掴んで搬送するベルトでの掴みの状態を評価した。
  ○:抜けることがない
  ×:容易に抜けて包装不良を起こす
 包装機適性の総合評価
  ○:良好
  △:適用性にやや欠ける
  ×:問題あり
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表2および3に示されるように、実施例9~14のストレッチフィルムは、良好な包装機特性を有しつつ、比較例2~6のストレッチフィルムよりも高い引張伸び率を有することがわかる。特にフィルムのTD方向の破断時の最大伸び率は、可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が多いほど高く、可塑剤(A)/可塑剤(B)の重量比が大きいほど高くなることがわかる。
 本出願は、2009年8月20日出願の特願2009-190766に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
 本発明のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、薄い膜厚でも、高い破断強度と適度な伸び率とを有する。このため、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、特に突上げ式自動包装機や高ストレッチ式自動包装機による食品収納容器の包装に好適である。

Claims (8)

  1.  100重量部の塩化ビニル系樹脂と、
     アジピン酸と炭素数6以上のアルキル基を有する脂肪族アルコールとの反応物であるアジピン酸ジアルキルエステル可塑剤(A1)および重量平均分子量が1000~3000のアジピン酸系ポリエステル可塑剤(A2)からなる群より選ばれる一以上の可塑剤(A)を0~15重量部と、
     分子の両末端のヒドロキシル基と、安息香酸および2-エチルヘキシル酸のそれぞれとが脱水縮合反応してジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物からなる可塑剤(B)を10~30重量部と、
     エポキシ化植物油からなる可塑剤(C)を10~20重量部と、を含み、かつ
     前記可塑剤(A)と前記可塑剤(B)の合計量が20~35重量部である塩化ビニル系樹脂組成物からなる、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
  2.  前記可塑剤(A)が、アジピン酸ジイソノニルである、請求項1に記載のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
  3.  前記可塑剤(A)/前記可塑剤(B)が、重量比で0.65以下である、請求項1に記載のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
  4.  前記トリエチレングリコール化合物は、下記式で表される、請求項1に記載のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
  5.  100重量部の塩化ビニル系樹脂と、
     アジピン酸と炭素数6以上のアルキル基を有する脂肪族アルコールとの反応物であるアジピン酸ジアルキルエステル系可塑剤(A1)を8~32重量部と、
     分子の両末端のヒドロキシル基と、安息香酸および2-エチルヘキシル酸との脱水縮合反応によりジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物からなる可塑剤(B)を8~32重量部と、
     エポキシ化植物油からなる可塑剤(C)を10~20重量部と、を含み、かつ
     前記可塑剤(A1)と前記可塑剤(B)の合計量が28~42重量部である塩化ビニル系樹脂組成物からなる、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
  6.  前記可塑剤(A1)が、アジピン酸ジイソノニルである、請求項5に記載のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
  7.  前記トリエチレングリコール化合物は、下記式で表される、請求項5に記載のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
  8.  前記可塑剤(A1)/前記可塑剤(B)が、重量比で0.8以上である、請求項5に記載のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルム。
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