WO2011004476A1 - スピーカ装置 - Google Patents

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    • H04R9/02Details

Abstract

 ボイスコイルの振動を方向変換して効率よく振動板に伝え、振動板をたわみなく振動させる。振動板と、振動体を振動自在に支持する静止部と、静止部に設けられ、音声信号によって前記振動板に振動を与える駆動部とを備え、駆動部は、音声信号が入力されて前記振動板とは異なる方向に振動するボイスコイルと、前記ボイスコイルが配置される磁気ギャップを有する磁気回路と、ボイスコイル及び前記振動板の振動方向に対し斜設されて、前記ボイスコイルの振動を前記振動板に伝える剛性の振動方向変換部とを備え、前記振動方向変換部は、一端部が前記ボイスコイルに角度変更自在に直接又は他の部材を介して連結されるとともに、他端部が前記振動板に角度変更自在に直接又は他の部材を介して連結され、振動板は、振動板の振動方向において、剛性を備える。

Description

スピーカ装置
 本発明は、スピーカ装置に関するものである。
 一般的なスピーカ装置として、ダイナミック型スピーカ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このダイナミック型スピーカ装置は、例えば図1に示すように、フレーム3Jと、コーン形状の振動板21Jと、振動板21Jをフレーム3Jに支持するエッジ4Jと、振動板21Jの内周部に接合されたボイスコイルボビン610Jと、ボイスコイルボビン610Jをフレーム3Jに支持するダンパ7Jと、ボイスコイルボビン610Jに巻き回されたボイスコイル611Jと、ヨーク51J,磁石52J,プレート53Jを備えると共に、ボイスコイル611Jが配置される磁気ギャップが形成された磁気回路とを有する。このスピーカ装置では、音声信号がボイスコイル611Jに入力されると、磁気ギャップ内のボイスコイル611Jに生じたローレンツ力によりボイスコイルボビン610Jが振動し、その振動によって振動板21Jが駆動される。
特開平8-149596号公報(第1図)
 前述した一般的なダイナミック型スピーカ装置は、例えば図1に示すように、振動板21Jの音響放射側に対して反対側にボイスコイル611Jが配設され、ボイスコイル611J及びボイスコイルボビン610Jの振動方向と振動板21Jの振動方向が同じ方向になるように構成されている。このようなスピーカ装置では、振動板21Jが振動するための領域、ボイスコイルボビン610Jが振動するための領域、磁気回路が配置される領域等が振動板21Jの振動方向(音響放射方向)に沿って形成されることになるので、スピーカ装置の全高が比較的大きく成らざるを得ない構造になっている。
 詳細には、図1に示すように、スピーカ装置の振動板21Jの振動方向に沿った大きさは、コーン形状の振動板21Jの振動方向に沿った大きさ及び振動板21Jをフレーム3Jに支持するエッジ4Jの全高(a)、振動板21Jとボイスコイルボビン610Jとの接合部からボイスコイル611Jの上端までのボイスコイルボビン高さ(b)、ボイスコイルの全高(c)、ボイスコイル611Jの下端部からヨーク51Jの上面までの高さに相当する、磁気回路の主に磁石高さ(d)、磁気回路の主にヨーク51Jの厚さ(e)等からなる。このようなスピーカ装置においては、充分な振動板21Jの振動ストロークを確保するためには、前述したa,b,c,dの高さを充分に確保する必要があり、また充分な駆動力を得るためには前述したc,d,eの高さを充分に確保する必要があるので、特に、大音量対応型スピーカ装置では、スピーカ装置の全高が大きく成らざるを得ない。
 このように、従来のスピーカ装置では、ボイスコイルボビン610Jの振動方向と振動板21Jの振動方向とが同方向になっているので、振動板21Jの振幅を大きくして大音量を得ようとすると、ボイスコイルボビン610Jの振動ストロークを確保するためにスピーカ装置の全高が大きくなってしまい、装置の薄型化を達成し難い。すなわち、装置の薄型化と大音量化を両立し難い問題がある。
 この問題を解決する手立てとして、ボイスコイルの振動方向を振動板の振動方向とは異なる方向にして、ボイスコイルの振動を機械的に方向変換して振動板に伝えることが考えられる。これが実現されれば、ボイスコイルの振動ストロークを大きくしても、これが直接スピーカ装置の厚さに影響せず、薄型のスピーカ装置を実現することができる。これを実現して薄型のスピーカ装置を得るためには、ボイスコイルの振動を方向変換して如何に効率的に振動板に伝えるかが問題になる。
 また、一般的なダイナミック型スピーカ装置では、振動板21Jをコーン形状にすることで分割振動の発生を抑制しているが、コーン形状の振動板21Jでは振動板21Jの比較的大きい高さがスピーカ装置の薄型化を阻害することになる。振動板を平板形状にすることで薄型化が可能になるが、その場合には振動板を大口径にするほどたわみなどが生じ易くなり、振動板から発せられる音波間に位相差が生じる問題がある。また、振動板にたわみなどが生じることで分割振動(分割共振を含む)が発生し、音響特性を低下させる問題がある。特に、前述したように、ボイスコイルの振動を方向変換して振動板に伝えることを考えた場合、フラット形状の振動板がたわみなどを生じないように、ボイスコイルの振動を効率よく振動板に伝えることが必要になる。
 本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、大音量の再生音を放射することができる薄型のスピーカ装置を提供すること、ボイスコイルの振動を方向変換して効率よく振動板に伝え、フラット形状の振動板をたわみなく振動させること、等が本発明の目的である。
 このような目的を達成するために、本発明によるスピーカ装置は、以下の独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
 [請求項1]振動板と、該振動板を振動自在に支持する静止部と、該静止部に設けられ、音声信号によって前記振動板に振動を与える駆動部とを備え、前記駆動部は、音声信号が入力されて前記振動板とは異なる方向に振動するボイスコイルと、前記ボイスコイルが配置される磁気ギャップを有する磁気回路と、前記ボイスコイル及び前記振動板の振動方向に対し斜設されて、前記ボイスコイルの振動を前記振動板に伝える剛性の振動方向変換部とを備え、前記振動方向変換部は、一端部が前記ボイスコイルに角度変更自在に直接又は他の部材を介して連結されるとともに、他端部が前記振動板に角度変更自在に直接又は他の部材を介して連結され、前記振動板は、当該振動板の振動方向において、剛性を備えることを特徴とするスピーカ装置。
従来技術の説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置の基本構成を示した説明図である(同図(a)がX軸方向に沿った断面図、同図(b)が駆動部の動作を示した説明図)。 振動方向変換部の構成例と動作を説明する説明図である。 振動方向変換部の構成例と動作を説明する説明図である。 振動方向変換部の形成例を示す説明図である(図5(a)は側面図、図5(b)は斜視図、図5(c)はA部拡大図)。 振動方向変換部の形成例を示す説明図である。 振動方向変換部を採用したスピーカ装置を示した説明図である(同図(a)がX軸方向に沿った断面図、同図(b)が駆動部の動作を示した説明図)。 振動方向変換部を採用したスピーカ装置を示した説明図である(同図(a)がX軸方向に沿った断面図、同図(b)が駆動部の動作を示した説明図)。 具体的な振動方向変換部を示す説明図である。 具体的な振動方向変換部を示す説明図である。 振動方向変換部の他の例を示す説明図である。 振動方向変換部の他の例を示す説明図である。 振動方向変換部の他の例を示す説明図である。 振動方向変換部の他の例を示す説明図である。 振動板の形成例を示す説明図である。 振動板の他の形成例を示した説明図である。 振動板の他の形成例を示した説明図である。 エッジの形成例を示す説明図である。 エッジの他の形成例を示した説明図である。 エッジの他の形成例を示した説明図である。 エッジの他の形成例を示した説明図である。 本発明の実施例を説明する説明図(斜視図)である。 本発明の実施例を説明する説明図(断面斜視図)である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置の搭載例を示した説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置の搭載例を示した説明図である。
 以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態は図示の内容を含むがこれのみに限定されるものではない。なお、以後の各図の説明で、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。
[スピーカ装置の基本構成;図2]
 図2は本発明の実施形態に係るスピーカ装置の基本構成を示した説明図である(同図(a)がX軸方向に沿った断面図、同図(b)が駆動部の動作を示した説明図)。スピーカ装置1は、振動板10と、振動板10を振動方向に沿って振動自在に支持する静止部100と、静止部100に設けられ、音声信号によって振動板10に振動を与える駆動部14とを備え、駆動部14は、磁気ギャップ20Gを形成する磁気回路20と、音声信号が入力され、振動板10の振動方向とは異なる方向に振動するボイスコイル30と、ボイスコイル30の振動を方向変換して振動板10に伝える振動方向変換部50とを備えている。図示においては、ボイスコイル30はボイスコイル支持部40に支持されているが、ボイスコイル30自体が振動方向変換部50と連結されるものであってもよい。ここでは、ボイスコイル30の振動方向をX軸方向とし、それと直交する2方向をそれぞれY軸方向とZ軸方向としている。
 振動板10は、平面視が略矩形状であるか、又は円形状や楕円形状、或いはその他の形状のものであってもよい。また、振動板10の断面形状は、例えば、平板形状、ドーム形状、コーン形状などの規定形状に形成することができる。図示の例は、振動板10の断面形状が平面であるが、湾曲形状でも構わない。また、必要に応じて、振動板10の全高を比較的小さくし、スピーカ装置1の薄型化を図っても構わない。
 静止部100は、振動板10及び駆動部14等の振動を支持する部位の総称であって、ここでは、フレーム12、フレーム12の機能を兼ねた後述するヨーク部、取付ユニット等が静止部100にあたる。静止部100は、それ自体が完全に静止していることを意図するわけではなく、それ全体が駆動部14の振動の影響を受けて、或いは他の力を受けて、振動するものであってもよい。図示の例では、振動板10の外周部はエッジ11を介して静止部100であるフレーム12に支持されている。
 駆動部14は、磁気回路20、ボイスコイル30、振動方向変換部50を備えており、ボイスコイル30が磁気回路20の磁気ギャップ20Gに沿って一軸方向に振動し、その振動を振動方向変換部50が方向変換して振動板10に伝える。図示の例では、X軸方向に沿ってボイスコイル30が振動し、それと直交するZ軸方向に振動板10が振動可能に配置されており、振動方向変換部50は、ボイスコイル30のX軸方向の振動を自身の変化する斜設角度に変換して、振動板10をZ軸方向に振動させている。
 磁気回路20は、複数の磁気ギャップ20Gをボイスコイル30の振動方向(例えばX軸方向)に沿って並べるように、磁石21(21A,21B)と磁極部材(ヨーク部)22(22A,22B)を備えている。ここでは、一対の磁気ギャップ20Gの磁場方向が互いに逆方向(±Z軸方向)になるように磁石21(21A,21B)の磁極方向が設定されており、互いに逆方向に磁場を有する磁気ギャップ20Gに対して互いに逆方向(±Y軸方向)の電流が流れるように導電部材が巻き回されたボイスコイル30を配置することによって、ボイスコイル30に磁気ギャップ20Gに沿った方向(±X軸方向)の駆動力(ローレンツ力)を生じさせている。磁石21と磁極部材(ヨーク部)22の配置関係は図示の例に限らない。
 ボイスコイル30は、音声信号が入力される導線(導電部材)を巻き回して形成され、それ自身が静止部100に振動自在に配置されるか、或いはボイスコイル支持部40を介して静止部100に振動自在に配置される。ボイスコイル支持部40は、例えば平板状の絶縁部材で形成することができ、その表面上又は内部にボイスコイル30が支持される。また、ボイスコイル30は、ボイスコイル30の振動方向における長さに対し、ボイスコイル30の振動方向に対し直交する方向におけるボイスコイルの長さを比較的大きくすることで、スピーカ駆動時に比較的大きな駆動力を得ることができる。ボイスコイル支持部40を例えば平板状の絶縁部材で形成することで、ボイスコイル30全体に剛性(曲げ剛性、捩れ剛性も含む)を付加させることができる。
 また、ボイスコイル支持部40としての平板状の絶縁部材には、導線の外側に複数の導電層32が形成されている。この導電層32は、導線の始点及び終点から引き出されるボイスコイル引出線31と電気的に接続される。また、後述する保持部15を介して外部と電気的に接続されており、外部からの音声信号をボイスコイル30に入力する中継線として機能している。また、例えば、ボイスコイルに対して遊離する導線を中継線としてスピーカ装置内で引き回す場合には、配線を引き回すスペースを別途必要とする。しかし、中継線としての導電層32をボイスコイル支持部40の表面に形成することで、中継線のためのスペースを確保する必要がなくなり、スピーカ装置を薄型化することができる。
 また、図示の例では、ボイスコイル30及びボイスコイル支持部40は平板状に形成されているが、これに限定されず、筒形状に形成しても構わない。また、ボイスコイル30又はボイスコイル30を支持するボイスコイル支持部40が筒形状である場合には、振動方向変換部50側の端部に、振動方向変換部が角度変更自在に連結することを可能にする、平板状の蓋部を取り付けても構わない。
 このボイスコイル30は、図示省略の保持部によって静止部100に保持されている。保持部は、ボイスコイル30又はボイスコイル支持部40を静止部100に対し振動方向(例えばX軸方向)に沿って振動自在に保持するとともに、それ以外の方向へは移動しないように規制する構成を有する。例えば、保持部は、ボイスコイル30の振動方向(例えば、X軸方向)に沿って変形可能であり、この振動方向に交差する方向には剛性を有する湾曲板部材によって形成することができる。また、ボイスコイル30は、ボイスコイル30の振動方向における長さに対し、ボイスコイル30の振動方向に対し直交する方向におけるボイスコイルの長さを比較的大きくすることで、スピーカ駆動時に比較的大きな駆動力を得ることができる。
 振動方向変換部50は、ボイスコイル30又はボイスコイル支持部40と振動板10との間で角度変更自在に斜設される剛性のリンク部分51と、リンク部分51の両端に形成され、振動方向変換部50の角度変化の支点となる関節部分52とを備えている。振動方向変換部50の連結部分53は、振動板10又はボイスコイル30、若しくは振動板10やボイスコイル30以外の他の部材を含む被取付部材200に対し、例えば接合部材としての接着剤や両面テープ、締結部材としてのネジ等の連結部材で連結されており、被取付部材200に近接するように関節部分52を配置している。図示の例では、振動方向変換部50の一端の連結部分53(53A)が、ボイスコイル30又はボイスコイル支持部40と連結部60を介して連結されるが、連結部60を介することなく直接連結してもよい。連結部60は、振動方向変換部50におけるボイスコイル側の端部と、ボイスコイル30又はボイスコイル支持部40の振動方向変換部側の端部との間に形成され、両端部を振動方向に沿って間隔を開けて連結させるものである。また、連結部60は、磁気回路20の厚さを吸収し、スピーカ装置の薄型化を図っている。
 さらに、振動方向変換部50の関節部分52に近接する被取付部材200の面側には、関節部分52との接触を避ける接触回避部70が形成されている。この接触回避部70は、振動方向変換部50と被取付部材200とを接合する接合部材を拘束する接合部材拘束部としても機能する。この接触回避部70は、関節部分52に沿って凹状に形成される、例えば凹部や切欠部や溝部等であり、関節部分52と、関節部分52の近傍に配置される被取付部材200の表面との間に所定の空間を形成して、振動方向変換部50と被取付部材200との間に介在する接着部材が関節部分52に拘わるのを抑止している。図示の例では、被取付部材200となる連結部60に接触回避部70として切欠部71を関節部分52(52A)に近接するように形成し、振動板10に接触回避部70として凹部72を関節部分52(52B)に近接するように形成している。それによって、振動方向変換部50の連結部分53と、連結部60又は振動板10の端面とが接着剤や両面テープ等の接合部材で貼り合わされる際、関節部分52に向けてはみ出た接着剤や両面テープの端部が、切欠部71又は凹部72に入り込むことで、関節部分52に接触して付着することないようにしている。
 このようなスピーカ装置1は、同図(a)に示すように、駆動部14のボイスコイル30に、電気信号として音声信号SSを入力することで、同図(b)に示すように、磁気回路20の磁気ギャップ20Gに沿ってボイスコイル30又はボイスコイル支持部40が例えば図示のX軸方向に振動する。これにより、この振動が振動方向変換部50によって方向変換されて振動板10に伝達されることになって、振動板10を例えば図示のZ軸方向に振動させて音響放射方向SDに音声信号に応じた音が放射される。
 このようなスピーカ装置1によると、振動方向変換部50によって、ボイスコイル30の振動方向と振動板10の振動方向を異なる方向にしているので、振動板10の振動方向に沿ってボイスコイル30を振動させる場合と比較して、振動板10の背面側を薄型化することが可能になる。これによって、低音域を高音圧で再生できる薄型のスピーカ装置を得ることができる。
 さらに、ボイスコイル30の振動を振動方向変換部50によって方向変換して振動板10に伝えるので、ボイスコイル30の振幅を大きくすることで、振動板10の振幅を大きくしても、スピーカ装置1の音響放射方向の厚さ(スピーカ装置の全高)は大きくならない。これによって、大音量の再生音を放射することができる薄型のスピーカ装置を得ることができる。
 また、振動方向変換部50の連結部分53と被取付部材200を接合部材として接着剤を使用して連結する場合には、その接合に伴い接着剤が拡散伸展して関節部分52に向けはみ出し、関節部分52に接着剤が付着すると、関節部分52が硬化して可動しなくなる可能性がある。また接合部材として両面テープを使用した際にも、この両面テープの端部が関節部分52に向けはみ出して、関節部分52に両面テープが付着すると、関節部分52が硬化して可動しなくなる可能性がある。さらに、接着剤や両面テープの端部等が付着して硬化した関節部分52は、繰り返して屈曲又は屈折或いは回転運動することで、破断するおそれがある。このように関節部分52が破断すると、接着剤や両面テープの端部等が付着した個所は振動板10やボイスコイル30或いはその他の部材等の被取付部材200に接触したり離れたりすることを繰り返し、その度に異音(当たり音)が発生してしまう。一方、接着剤や両面テープの端部等がはみ出して関節部分52に付着しないように、接着剤の塗布量や両面テープによる接合面積を少なくすると、振動方向変換部50と被取付部材200との連結力が低下し、端面から剥がれ等が生じて異音の元になったり、さらには完全に剥がれてしまいスピーカの破壊につながるという問題がある。さらに、関節部分52が被取付部材200の近傍に配置されているので、関節部分52が被取付部材200に接触して、関節部分52が損傷したり、或いは振動方向変換部50が被取付部材200に対し屈曲又は屈折或いは回転運動ができなくなる場合がある。しかし、このスピーカ装置1では、関節部分52に近接する被取付部材200の面側に接触回避部70を形成しているので、関節部分材52との接触を抑止すると共に、接触による異音発生などを抑止できる。また、振動方向変換部50の連結部分53と被取付部材200とを連結するために使用した接着剤や両面テープ等の接合部材がはみ出しても、接合部材拘束部としても機能を有する接触回避部70に入り込んで関節部分52に付着して、関節部分52の可動を妨げることを抑止できる。これによって、振動方向変換部50と被取付部材200との連結力を高く保ちながら関節部分52の機能を維持することができる。被取付部材200に対し振動方向変換部50が確実に屈曲又は屈折或いは回転運動するので、破断による関節部分52の被取付部材200への接触や異音の発生等を抑止することができる。
[振動方向変換部;図3~図14]
 図3及び図4は、振動方向変換部50の構成例と動作を説明する説明図である。ボイスコイル30の振動を方向変換して振動板10に伝える剛性の振動方向変換部50は、振動板10側とボイスコイル30側のそれぞれに関節部分52を形成してボイスコイル30の振動方向に対して斜設されたリンク部分51を有する。ここで、関節部分52とは、2つの剛性を有する部材を回転自在に接合する部分、又は一体化された剛性を有する2つの部分を屈折又は屈曲自在にする部分であり、リンク部分51とは、関節部分52が端部に形成された剛性を有する部分である。ここで、剛性とはボイスコイル30の振動を振動板10に伝達できる程度に変形しないことを指し、全く変形しないことのみを指しているわけではない。リンク部分51は、板状又は棒状に形成することができる。
 図3に示した形態例では、一つのリンク部分51を備え、その両端に関節部分52(52A,52B)が形成され、一方の関節部分52Aがボイスコイル30又はボイスコイル支持部40の端部に形成され、他方の関節部分52Bが振動板10側に形成されている。他方の関節部分52Bは、振動板10に接続されていてもよいし、振動板10に他の部材を介して接続されていてもよい。他の部材としては公知の部材を用いることができ、例えば関節部分52と振動板10との接合強度が向上する金属部材などを選択しても構わない(図3においては振動板10は図示省略している)。
 同図(a)は、リンク部分51が振動の中間位置にある場合を示している。リンク部分51は、ボイスコイル30(又はボイスコイル支持部40)と振動板10との間に角度θ0で斜設されている。このとき、ボイスコイル30から振動板10の振動方向に沿って距離H0だけ離れた位置Z0に振動板10側の関節部分52Bが配置されている。ボイスコイル30(又はボイスコイル支持部40)は、一軸方向(例えば、X軸方向)に振動するように振動方向が規制されており、振動板10は、ボイスコイル30の振動方向とは異なる方向(例えばZ軸方向)に振動するように、その振動方向が規制されている。
 同図(b)に示すように、ボイスコイル30の端部に形成された関節部分52Aが当初の位置X0から振動方向(X軸方向)にΔX1だけ移動して位置X1に達すると、リンク部分51の傾斜角度がθ1(θ0>θ1)に変換されて、振動板10側の関節部分52Bの位置が振動板10の振動方向(Z軸方向)にΔZ1だけ移動して位置Z1に達する。すなわち、振動板10をΔZ1だけ振動方向に沿って押し上げる。
 同図(c)に示すように、ボイスコイル30の端部に形成された関節部分52Aが当初の位置X0から振動方向(-X軸方向)にΔX2だけ移動して位置X2に達すると、リンク部分51の傾斜角度がθ2(θ0<θ2)に変換されて、振動板10側の関節部分52Bの位置が振動板10の振動方向(-Z軸方向)にΔZ2だけ移動して位置Z2に達する。すなわち、振動板10をΔZ2だけ振動方向に沿って押し下げる。
 このようにリンク部分51及び関節部分52(52A,52B)からなる振動方向変換部50の機能は、ボイスコイル30の振動をリンク部分51の変化する斜設角度に変換して振動板10に伝え、振動板10をボイスコイル30の振動方向とは異なる方向に振動させることである。
 図4は、振動方向変換部50の他の構成例及びその動作を説明するための説明図である。詳細には、同図(b)は振動板10が基準位置に位置した状態の振動方向変換部50の状態、同図(a)は振動板10が基準位置に対して音響放射側に変位している状態の振動方向変換部50の状態、同図(c)は振動板10が基準位置に対して音響放射側に対して反対方向に変位している状態の振動方向変換部50の状態を示している(振動板10は図示省略している)。
 この振動方向変換部50は、リンク部分51が振動板側とは逆側に位置するフレーム12等の静止部100からの反力を受けて角度変換する機能を有する。詳しくは、振動方向変換部50は、一端をボイスコイル30側の関節部分52Aとし、他端を振動板10側の関節部分52Bとする第1のリンク部分51Aと、一端を第1のリンク部分51の中間部との関節部分52Cとし、他端を静止部100との関節部分52Dとする第2のリンク部分51Bとを有し、第1のリンク部分51Aと第2のリンク部分51Bをボイスコイル30の振動方向に対して異なる方向に傾斜配置している。更に詳しくは、振動方向変換部50は、一端をボイスコイル30側の第1の関節部分52Aとし、他端を振動板10側の第2の関節部分52Bとする第1のリンク部分51Aと、一端を第1のリンク部分51Aの中間部との第3の関節部分52Cとし、他端を静止部100との第4の関節部分52Dとする第2のリンク部分51Bとを有し、第1の関節部分52Aと、第2の関節部分52Bと、第4の関節部分52Dとが、第3の関節部分52Cを中心とする第1のリンク部分51Aの長さにほぼ等しい直径の円周上にある。
 この振動方向変換部50では、関節部分52Dが唯一位置変動しない関節部分であり、これが静止部100(或いはフレーム12)に対して支持され、静止部100からの反力をリンク部分51に付与している。これによって、ボイスコイル30(或いはボイスコイル支持部40)が基準位置X0からX軸方向にΔX1だけ移動すると、図4(a)に示すように、異なる方向に傾斜配置している第1のリンク部分51Aと第2のリンク部分51Bの角度がほぼ同角度立ち上がることになり、関節部分52Dで静止部100からの反力を受けて関節部分52Bは確実に振動板10を基準位置Z0からZ軸方向にΔZ1だけ押し上げる。また、ボイスコイル30が基準位置X0からX軸と逆方向にΔX2だけ移動すると、図4(c)に示すように、第1のリンク部分51Aと第2のリンク部分51Bの角度がほぼ同角度下がることになり、関節部分52Dで静止部100からの反力を受けて関節部分52Bは確実に振動板10を基準位置Z0からZ軸とは逆方向にΔZ2だけ押し下げる。
 ここで、関節部分52Aから関節部分52Cまでのリンク部分の長さaと関節部分52Cから関節部分52Bまでのリンク部分の長さbと関節部分52Cから関節部分52Dまでのリンク部分の長さcを実質的に等しくして、ボイスコイル30の移動方向と略平行に関節部分52Aと関節部分52Dを配置していることが好ましい。このようなリンク機構はスコットラッセルの機構として知られており、関節部分52A,52B,52Dは関節部分52Cを中心として直径が第1のリンク部分51Aの長さ(a+b=2a)の円周上にある。すなわち、関節部分52Aと関節部分52Dを通る直線と、関節部分52Bと関節部分52Dを通る直線とがなす角は直角になる。これによって、ボイスコイル30をX軸方向に移動させると、第1のリンク部分51Aと振動板10との関節部分52BはX軸と垂直なZ軸に沿って移動することになり、ボイスコイル30の振動方向をそれとは垂直方向に変換して振動板10に伝えることができる。
 図5及び図6は、振動方向変換部50の形成例を示す説明図である(図5(a)は側面図、図5(b)は斜視図、図5(c)はA部拡大図)。振動方向変換部50は、前述したようにリンク部分51とその両端に形成される関節部分52(52A,52B)を備える。図示の例では、リンク部分51の両端側には関節部分52を介して連結部分53(第1の連結部分53A,第2の連結部分53B)が形成されている。ここで、第1の連結部分53Aはボイスコイル30又はボイスコイル支持部40に対し直接又は他の部材を介して連結されてボイスコイル30と一体に振動する部分であり、第2の連結部分53Bは振動板10に直接又は他の部材を介して連結されて振動板10と一体に振動する部分である。
 この振動方向変換部50は、リンク部分51と関節部分52A,52Bと第1,第2の連結部分53A,53Bが一体に形成されており、関節部分52A,52Bは、関節部分52A,52Bを跨いだ両側の部分で連続する屈折自在な連続部材で形成されている。ここでの連続部材は、リンク部分51と第1,第2の連結部分53A,53Bの全体を形成する部材であっても良いし、リンク部分51と第1,第2の連結部分53A,53Bの一部を形成する部材であってもよい。このような第2の連結部分53Bを設けて、リンク部分51が広範囲で振動板10を支持するようにすることで、振動板10を同位相で振動させることができる。ここでいう屈折とは、概念上屈曲も含む。
 振動方向変換部50を板状部材で形成した場合には、関節部分52は図5(b)に示すように幅方向に延びる線状に形成されることになる。また、リンク部分51は変形しない剛性であることが要求され、関節部分52は屈折自在であることが要求されるので、リンク部分51或いは連結部分53の厚さt1に対して関節部分52の厚さt2を薄肉状に形成することで、一体の部材に異なる性質を持たせている。
 また、関節部分52とリンク部分51との厚さの変化を傾斜面状に形成し、関節部分52を跨いだ両側の部分の端部に面が対面する傾斜面51t,53tを形成する。これによって、リンク部分51が角度変更される際にリンク部分51の厚みが角度変更に対して干渉するのを抑止することができる。
 さらに、関節部分52Aに近接して配置される被取付部材200となる連結部60の端部には、接触回避部70として凹部又は切欠部71、図5(a)に示した例では断面形状が傾斜状の切欠部を形成することで、関節部分52Aと連結部60との間に空間が形成されるようにしている。また、関節部分52Bに近接して配置される被取付部材200の振動板10には、接触回避部70として凹部又は切欠部72、図示の例では断面形状が湾曲状の凹部を形成することで、関節部分52Bと振動板10との間に空間が形成されるようにしている。これによって、関節部分52A,52Bと被取付部材200との接触を抑止できる。また、リンク部分51の第1の連結部分53Aと連結部60の端面及び第2の連結部分53Bと振動板10をそれぞれ接合部材としての接着剤で貼り合わせる場合に、接着剤が関節部分52A,52Bに向けはみ出したとしても、凹部又は切欠部71,72に入り込むので、関節部分52A,52Bに付着せず、付着するとしても関節でない部分(屈折又は屈曲しない剛性を有する部分)だけであるため、関節部分52A,52Bの屈折動作又は屈曲動作の妨げを抑止することができる。
 図6に示した例は、屈折自在の連続部材に剛性の部材を一体化してリンク部分或いは連結部分を形成しており、関節部分を連続部材で構成される部分としている。同図(a)に示す例では、屈折自在なシート状部材である連続部材50Pの表面に剛性部材50Qを貼り付けて、リンク部分51或いは連結部分53を形成している。これによると、連続部材50Pは関節部分52を跨いだ両側の部分で連続的に延在しており、関節部分52は実質的に連続部材50Pのみで屈折自在に形成されている。一方、連続部材50Pに剛性部材50Qが貼り付けられたリンク部分51或いは連結部分53は剛性を有する部分に形成されることになる。
 同図(b)に示す例では、連続部材50Pを挟持するように剛性部材50Qを貼り付けてリンク部分51或いは連結部分53を形成している。ここでも剛性部材50Qが貼り付けられていない部分が関節部分52になる。同図(c)に示す例では、リンク部分51を形成する剛性部材が剛性部材50Q1,50Q2を積層して多層に形成されている。さらに、同図(c)において、剛性部材50Q1又は剛性部材50Q2を多層構造にしても構わない。このように屈折自在な連続部材50Pに剛性部材50Qを部分的に貼り付けることで、屈折自在な関節部分52と剛性を有するリンク部分51,連結部分53を一体に形成することができる。
 連続部材50Pは、スピーカ装置の駆動時に繰り返される関節部分52の屈折に耐え得るだけの強度と耐久性を有し、屈折動作の繰り返し時に音を発しない程度に柔軟性を有するものが好ましい。具体例としては、連続部材50Pは高強度繊維の織物又は不織物によって形成することができる。織物の例としては、均一素材の平織り、縦糸と横糸が異なる材質の平織り、1本交互に糸材質を変えた平織り、交撚糸による平織り、引き揃えの平織り等にすることができ、平織り以外には、三軸,四軸織り、三軸,四軸組布、編み物、一方向引き揃えの繊維等にすることができる。
 高強度繊維を全部又は一部に用いる場合には、高強度繊維をボイスコイル支持部40の振動方向に沿って配置することで、ボイスコイル30又はボイスコイル支持部40の振動に対して十分な強度を得ることができる。縦糸と横糸を共に高強度繊維にした場合には、繊維方向をボイスコイル支持部40の振動方向に対して共に約45°傾斜させることで、縦糸と横糸に均等な張力がかかり耐久性を向上させることができる。高強度繊維としては、アラミド繊維,カーボン繊維,ガラス繊維等を用いることができる。また、連続部材の曲げ応力や剛性等の物性を調整するために、ダンプ剤(ダンピング剤、制動材)を塗布(付与)しても構わない。
 剛性部材50Qとしては、軽量で成形し易く硬化後に剛性を有するものがよく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属、紙等を用いることができる。剛性部材50Qは板状に成形後、連続部材50Pの関節部分52を除く部分の表面に接合剤としての接着剤で貼り付けることによって、振動方向変換部50を形成することができる。また、剛性部材50Qとして熱硬化性樹脂を用いる場合には、繊維質の連続部材50Pにおけるリンク部分51や連結部分53に部分的に樹脂を含浸させた後硬化させて振動方向変換部50を形成することができる。また、剛性部材50Qとして樹脂や金属を用いる場合には、インサート成形によってリンク部分51と連結部分53において連続部材50Pと剛性部材50Qを一体化することができる。なお、前述の一体形成に関する技術は、2005年5月12日に米国出願されたUS20050127233(公開番号:US2005/253298)、2005年5月13日に米国出願されたUS20050128232(公開番号:US2005/253299)に記載されており、本願は前記の公報に記載される内容を援用する。
 図7及び図8は、前述した振動方向変換部を採用したスピーカ装置を示した説明図である(図7(a)及び図8(a)がX軸方向に沿った断面図、同図(b)が駆動部の動作を示した説明図)。前述の説明と共通する箇所は同一符号を付して重複説明を一部説明する。図7及び図8に示したスピーカ装置1A,1Bでは、ボイスコイル支持部40に連結されてボイスコイル支持部40と一体に振動する第1の連結部分53Aと、振動板10に連結されて振動板10と一体に振動する第2の連結部分53Bとを備えると共に、リンク部分を複数備えたリンク機構50Lが形成されている。
 図7に示したスピーカ装置1Aでは、振動方向変換部50は剛性の第1のリンク部分51Aと第2のリンク部分51Bを備えたリンク機構50Lによって形成されている。第1のリンク部分51Aは、一端側に関節部分52Aを介して第1の連結部分53Aが形成され、他端側に関節部分52Bを介して第2の連結部分53Bが形成されており、第2のリンク部分51Bは、一端側に関節部分52Cを介して第1のリンク部分51Aの中間部が形成され、他端側に関節部分52Dを介してボイスコイル支持部40の振動に対して不動の連結部分53Cが形成されている。
 そして、図示の例では、第1の連結部分53Aは連結部60を介して又は直接ボイスコイル支持部40の端部に連結されており、第2の連結部材53Bは直接振動板10に連結されており、不動の連結部分53Cは静止部100となるフレーム12の底部12Aに連結されている。関節部分52Dに近接して配置される被取付部材200のフレーム12の底部12Aには、接触回避部70として凹部又は切欠部73、図示の例では切欠部を形成することで、関節部分52Dとフレーム12の底部12Aとの間に空間が形成されるようにしている。第1のリンク部分51Aと第2のリンク部分51Bはボイスコイル支持部40の振動方向(X軸方向)に対して異なる方向に傾斜配置され、静止部100は、振動方向変換部50に対して振動板10側とは逆側に設けられている。図示の例では、静止部100はフレーム12の底部12Aによって形成しているが、これに換えて磁気回路20のヨーク部22Aを振動方向変換部50の下まで延在させ、このヨーク部22Aを静止部100にしてもよい。
 図7(b)に示すように、ボイスコイル支持部40側の関節部分52Aはボイスコイル支持部40の移動に伴ってX軸方向に移動し、静止部100に連結された関節部分52Dは固定された状態になり、静止部100から受ける反力によって、関節部分52Aの移動が第1のリンク部分51Aと第2のリンク部分51Bの変化する角度に変換され、振動板10側の関節部分52Bを振動板10の振動方向(例えばZ軸方向)に移動させる。
 図8に示したスピーカ装置1Bは、図7に示した駆動部14を左右対称に互いに対向配置したものであり、駆動部14(R),14(L)を備え、それぞれの駆動部14(R),14(L)にリンク機構50L(R),50L(L)とボイスコイル支持部40(R),40(L)と磁気回路20(R),20(L),連結部60(R),60(L)を設けている。
 そして、リンク機構50L(R),(L)は、対向配置される一対の第1のリンク部分51A,一対の第2のリンク部分51B,一対の第1の連結部分53A,第2の連結部分53B,不動の連結部分53Cが一体になって振動方向変換部50を形成している。一対の第1の連結部分53Aはそれぞれボイスコイル支持部40に連結され、第2の連結部分53Bは振動板10に連結され、不動の連結部分53Cはフレーム12の底部12Aに連結されている。
 これによると、図8(b)に示すように、ボイスコイル支持部40(R),40(L)の振動方向を同期させた逆向きにすることで、2つの駆動部14(R),14(L)の駆動力を合わせて振動板10を振動させることができる。また、振動板10側の関節部分52Bを複数箇所に設けることができるので、振動板10の支持点が増え、振動板10の振動の位相を合わせることが可能になる。
 図9及び図10は、更に具体的な振動方向変換部を示す説明図である(図9(a)は斜視図、図9(b)は同図(a)におけるA部の拡大図、図10(a)は関節部分を引き伸ばして全体を平坦化した状態の平面図、図10(b)は関節部分を引き伸ばして全体を平坦化した状態の側面図)。この例では、振動方向変換部50は一体化された一部品で形成され、前述したように、一対の第1のリンク部分51Aとその両端にそれぞれ関節部分52A,52Bが形成され、一対の第2のリンク部分51Bとその両端にそれぞれ関節部分52C,52Dが形成されている。また、一対の第1のリンク部分51Aの一端側に関節部分52Aを介して第1の連結部分53Aが形成され、一対の第1のリンク部分51Aの他端側に形成される関節部分52B間に第2の連結部分53Bが形成され、第2のリンク部分51Bの他端側に形成された関節部分52D間に不動の連結部分53Cが形成されている。そして、第1のリンク部分51A,51Aと第2の連結部分53Bが凸状に屈折され、第2のリンク部分51B,51Bと不動の連結部分53Cが凹状に屈折されている。
 図9(b)に示すように、関節部分52Aは、前述した連続部材50Pによって屈折自在に形成され、第1のリンク部分51Aには前述した剛性部材50Qが貼り付けられ、第1の連結部分53Aにも前述した剛性部材50Qが貼り付けられている。そして、前述した全ての関節部分が同様の構成に形成されている。また、各関節部分では傾斜面51t,53tが対向して形成されている。
 図10(a)に示すように、リンク部分51A,51Bと各関節部分と連結部分53A,53B,53Cからなる振動方向変換部50は、一体のシート状部品から形成されている。一体のシート状部品を直線的に横断するように関節部分52Aが形成され、一体のシート状部品を部分的に横断するように関節部分52B,52C,52Dが形成されている。また、一体のシート状部品の長手方向に沿って一対の切り欠き部50Sを形成することで第2のリンク部分51B,51Bと不動の連結部分53Cが切り出されて形成されている。
 図10(b)に示すように、このような振動方向変換部50を形成するには、例えば、シート状部材である連続部材50P上全面に剛性部材50Qを形成するための樹脂材料を塗布するなどして積層し、各関節部分とその両側の傾斜面51t,53tを形成すべくV字状の型抜きを行う。その後前述した切り欠き部50Sを形成して、樹脂材を硬化させる。ここで用いる樹脂材料は液状の未硬化の樹脂材料や樹脂フィルムを用いることができる。
 また、各関節部分とその両側の傾斜面51t,53tを形成する際、剛性部材50Qを樹脂材で形成すると同時に成形しても構わない。この時、剛性部材50Qを成形する金型に予め断面形状がV字状の溝又は凹部を形成しておくことが好ましい。
 図11,図12,図13は、振動方向変換部50の他の例を示す説明図である(図11(a)が側面図、図11(b)が斜視図、図12が動作説明図、図13(a),(b)が形成例の説明図)。この振動方向変換部50(リンク機構50L)は、駆動部を一対設けて、振動方向変換部50を互いに略左右対称に対向配置させる場合であって、複数のリンク部分で平行リンクを形成している。
 振動方向変換部50は、一端を第1の連結部分53A(R),53A(L)との関節部分52A(R),52A(L)とし、他端を第2の連結部分53Bとの関節部分52B(R),52B(L)とする一対の第1のリンク部分51A(R),51A(L)を有する。また、一端を第1のリンク部分51A(R),51A(L)の中間部との関節部分52C(R),52C(L)とし、他端を不動の連結部分53Cとの関節部分52D(R),52D(L)とする一対の第2のリンク部分51B(R),51B(L)を有する。前述したように第1の連結部分53Aはボイスコイル30又はボイスコイル支持部40に直接、或いは他の部材としての連結部60を介して連結され、第2の連結部分53Bは振動板10に連結され、不動の連結部分53Cは、静止部100となるフレーム12の底部12Aや磁気回路20を形成するヨーク部22等に連結される。
 更に、一端が第1の連結部分53A(R),53A(L)から一体的に延設される一対の連結部分53D(R),53D(L)との関節部分52E(R),52E(L)であって、他端が第2の連結部分53Bと一体の連結部分53Eとの関節部分52F(R),52F(L)である第3のリンク部分51C(R),(L)を有する。
 そして、第1のリンク部分51A(R)と第3のリンク部分51C(R)、第1のリンク部分51A(L)と第3のリンク部分51C(L)、第2のリンク部分51B(R)と第3のリンク部分51C(L)、第2のリンク部分51B(L)と第3のリンク部分51C(R)がそれぞれ平行リンクを形成している。
 このような振動方向変換部50のリンク機構50Lは、実質的は、図7に示した形態例のリンク機構と平行リンク機構を組み合わせた機能を有し、各リンク部分及び連結部分を連続部材50Pに剛性部材50Qを一体化させて形成し、リンク部分間の各関節部分は屈折自在な連続部材50Pで線状に形成して、リンク部分相互間が関節部分を介して一体的に形成されている。
 図示の例では、関節部分52F(R),52F(L)に近接して配置される第2の連結部分53Bと、関節部分52A(R),52A(L)に近接して配置される一対の連結部分53D(R),53D(L)には、接触回避部70として凹部76を形成することで、各関節部分と連結部分との間に空間が形成されるようにしている。
 この振動方向変換部50の動作を図12によって説明する。この例ではフレーム12に支持される不動の連結部分53Cが静止部100として機能することになる。このような振動方向変換部50によると、ボイスコイル支持部40の振動によって、関節部分52A(R),(L)がX軸方向の基準位置X0からX1に移動すると、平行リンク機構によって第2の連結部分53Bとそれに一体の連結部分53Eが平行状態を維持して上昇し、平行リンクを形成している第1のリンク部分51A(R),(L)と第3のリンク部分51C(R),(L)が立ち上がるように角度変更する。その際、関節部分52D(L),(R)が静止部となる不動の連結部分53Cの両端で支持されているので、静止部からの反力を受けて第1のリンク部分51A(R),(L)と第3のリンク部分51C(R),(L)の角度変更が確実に行われ、関節部分52A(R),(L)の位置X0から位置X1への変位を振動板10の位置Z0から位置Z1への変位に確実に変換する。
 同様に、関節部分52A(R),(L)がX軸方向の基準位置X0からX2に移動すると、平行リンク機構によって第2の連結部分53Bとそれに一体の連結部分53Eは平行状態を維持して下降し、平行リンクを形成している第1のリンク部分51A(R),(L)と第3のリンク部分51C(R),(L)が倒れるように角度変更する。その際、関節部分52D(R),(L)が静止部に支持されているので、静止部からの反力を受けて第1のリンク部分51A(R),(L)と第3のリンク部分51C(R),(L)の角度変更が確実に行われ、関節部分52A(R),(L)の位置X0から位置X2への変位を振動板10の位置Z0から位置Z2への変位に確実に変換する。
 このような振動方向変換部50によると、一つのボイスコイル支持部40のX軸方向の振動が略同位相・略同振幅で振動する関節部分52B(R),(L),52F(R),(L)及び第2の連結部分53BにおけるZ軸方向の振動に変換されることになる。これによって、振動板10は、広い範囲で支持されて略同位相・略同振幅の振動が与えられることになるので、面積が広い平面的な振動板10に対してボイスコイル支持部40の振動を略同位相で伝達することができる。
 図11(b)に示すように、振動方向変換部50は、連結部分53B,53D(R),(L),第3のリンク部分51C(R),(L)をそれぞれ幅方向一対に平行配置しており、第1のリンク部分51A(R),(L)を二股に形成してその中間部に第2のリンク部分51B(R),(L)との関節部分52C(R),(L)が形成され、第2のリンク部分51B(R),(L)及び連結部分53Cは、幅方向一対に平行配置されている連結部分53B,53D(R),(L),第3のリンク部分51C(R),(L)の間に配備されている。
 このようにリンク部分を1つのシート状(板状)部品で形成することで、振動板10を面で支持して振動させることができるので、振動板10全体を略同位相で振動させることができ、分割振動を抑制することが可能になる。
 また、図11(b)に示すように、この形態の振動方向変換部50は、リンク部分を形成する一つの板状部材全体を凸台形状に屈折させて第1のリンク部分51A(R),(L)と第2の連結部分53Bを形成し、この板状部材を部分的に切り出して凹台形状に屈折させて第2のリンク部分51B(R),(L)と不動の連結部分53Cを形成している。
 図13によって、このような振動方向変換部50の形成方法を説明する。一つの形成方法としては、この振動方向変換部50は、図13(a)に示すように、複数(2枚)のシート状(板状)部品501,502を貼り合わせて形成し、一方のシート状部品501に、第1の連結部分53A(R),(L),第1のリンク部分51A(R),(L),第2のリンク部分51B(R),(L),第2の連結部分53B,不動の連結部分53Cを形成し、他方のシート状部品502に、連結部分53D,第3のリンク部分51C(R),(L)と連結部分53Eを形成している。そして、第1のリンク部分51A(R),(L)と第2の連結部分53Bに沿って連結部分53D(R),(L)と第3のリンク部分51C(R),(L)を形成すると共に、第2のリンク部分51B(R),(L)と不動の連結部分53Cに対応する開口502Aがシート状部品502に形成されている。
 この例では、一方のシート状部品501における第2のリンク部分51B(R),(L)と不動の連結部分53Cに対応する他方のシート状部品502に形成される開口502Aの大きさが、他方のシート状部品502の一端から内側に向かって拡大するように形成されている。このようにすることで、第2のリンク部分51B(R),(L)と不動の連結部分53Cが他のシート状部品502に接触するのを抑止して、リンク機構の動きを円滑に行わせることができる。
 シート状部品501,502が連続部材50Pと剛性部材50Qによって形成されているものでは、図13(b)に示すように、連続部材50Pを対面させた状態で2つの部品501,502を連結する。これによると、連続部材50Pを一体化して、関節部分52の屈折を円滑に行うことができる。この場合においても、関節部分52に近接する個所には、接触回避部70として凹部又は切欠部76が形成される。
 また、各関節部分の近傍において、各リンク部分の端部には図5(c)に示したような傾斜面が形成されている。傾斜面はリンク部分が関節部分において屈折する際に、互いに干渉しないように形成されており、リンク部分が関節部分において効率良く屈折できるようになっている。
 他の形成例としては、図13(c)に示すように、前述したシート状部品501の端部に連続して前述したシート状部品502を一体に形成して、折りたたみ線fで矢印方向に折り畳むことで、図11及び図12に示した振動方向変換部50を得ることができる。この例では、図10に示した例と同様に、シート状部材である連続部材50P上全面に剛性部材50Qを形成するための樹脂材を積層させ、各関節部分とその両側の傾斜面を形成すべくV字状の型抜きを行い、その後前述した切り欠き部50Sと開口502Aを形成して、樹脂材を硬化させることで簡易に形成することができる。
 また、各関節部分とその両側の傾斜面51t,53tを形成する際、剛性部材50Qを樹脂材で形成すると同時に成形しても構わない。この時、剛性部材50Qを成形する金型に予め断面形状がV字状の溝又は凹部を形成しておくことが好ましい。
 図8~図13に示した振動方向変換部50では、2つの対向するボイスコイル支持部40に対して一つの一体部品を用いることで、振動方向変換部50のリンク機構を形成することができるので、一対の駆動部を備えたスピーカ装置を形成する場合にも組み立て作業を簡易に行うことができる。また、不動の連結部分53Cを設けることで、ボイスコイル支持部40の対向振動(複数のボイスコイル支持部40が互いに逆方向となるように振動すること)に対しては、特に関節部分52D(R),(L)をフレーム12に支持しなくても、この関節部分52D(R),(L)の位置が一定に保持されることになり、これによっても振動方向変換部のスピーカ装置への組み込みを簡易化することができる。
 そして、図11~図13に示した振動方向変換部50では、リンク機構として、右側の第1のリンク部分51A(R)と第3のリンク部分51C(R)、左側の第1のリンク部分51A(L)と第3のリンク部分51C(L)によって平行リンクが形成されているので、ボイスコイル支持部40の対向振動に対して振動板10に固着される第2の連結部分53BをZ軸方向に沿って安定に平行移動させることができる。これによって、平面状の振動板10に対して安定した振動を加えることが可能になる。
 このようなスピーカ装置1,1A,1Bによると、音声信号SSが入力されると、振動板10の許容される振動方向とは異なる方向に沿って形成された磁気ギャップ20Gに沿ってボイスコイル支持部40が振動することになり、この振動が振動方向変換部50によって方向変換されて振動板10に伝達されることになって、振動板10を振動させて音響放射方向SDに音声信号SSに応じた音が放射される。
 この際、磁気ギャップ20Gの方向を振動板10の振動方向及びスピーカ装置1,1A,1Bの厚さ方向に交差させているので、磁気回路20の駆動力或いはボイスコイル30の振動を大きくすることが直接的にスピーカ装置1,1A,1Bの厚さ方向(Z軸方向)の大きさに影響を与えない。よって、大音量化を図りながらスピーカ装置1,1A,1Bの薄型化を実現することが可能になる。
 また、振動方向変換部50は、機械的なリンク機構によってボイスコイル支持部40の振動方向を変換して振動板10に伝えているので、振動の伝達効率が高い。特に、図7~図8に示したスピーカ装置1A,1Bでは、第1のリンク部分51Aと第2のリンク部分51Bの角度変更がボイスコイル支持部40の振動と静止部100からの反力によって行われるので、より確実にボイスコイル支持部40からの振動を振動板10に伝えることができる。これによって、スピーカ装置1A,1Bの良好な再生効率を得ることができる。
 また、図2、図7及び図8に示したスピーカ装置1,1A,1Bでは、連結部60を設けることで、ボイスコイル30又はボイスコイル支持部40の端部40Aの位置と振動方向変換部50の端部50Aの位置との間に段差(間隔)を形成することができる。これによって、磁気回路20のZ軸方向の幅(高さ)を振動方向変換部50の高さの中に収めることができ、駆動力を確保する上で必要になる磁気回路20の高さを十分に確保しながら、スピーカ装置1,1A,1Bを薄型化することが可能になる。また、連結部60を設けることでスピーカ装置1,1A,1Bの薄型化を達成しても十分に振動方向変換部50の必要高さ(リンク部分51の長さ)を確保することができ、振動板10の振幅を比較的大きくすることが可能になる。
 更には、連結部60の底部61がフレーム12の底部12A或いは静止部100上を所定の間隙を設けた状態でスライドするように形成することで、ボイスコイル支持部40の振動を安定化することが可能になる。また、振動方向変換部50の端部の移動を直線的に行うことができ、振動板10に連結される振動方向変換部50の端部の動きを、確実且つ安定化することができる。
 図14に示す振動方向変換部50は、図11に示した形態の改良例である。図14(a)に示す例では、ボイスコイル支持部40の対向振動によって曲げが生じ易いリンク部分に対して凸部510を設けて剛性を高めている。図示の例では、第1のリンク部分51A(R),(L),第2のリンク部分51B(R),(L),連結部分53D(R),(L),連結部分53Cにそれぞれ凸部510が設けられている。また、同図(b)に示す例では、特に強度を必要としないリンク部分において開口部520を設けて振動方向変換部の軽量化を図っている。図示の例では、連結部分53Bに開口部520が設けられている。振動方向変換部の軽量化は特に再生特性の広域化や、所定の音声電流に対する音波の振幅及び音圧レベルを大きくすることに有効である。
[振動板;図15~図17]
 図15は、振動板10の形成例を示す説明図である(同図が部分的な平面図)。振動板10は、その表面(音響放射側の面)又は裏面(音響放射側とは逆側の面)に、凹状部又は突起部を形成するか、或いは補強することで、振動板10の振動方向において剛性(曲げ剛性)が大きくなる機能を有している。さらに、振動板10は、ボイスコイル30の振動方向(X軸方向)においても剛性(曲げ剛性を含む)を大きくする機能を有することが好ましい。図15に示した例では、振動板10は、音響放射方向から視認した形状が矩形状に形成されており、その中央部付近に外形が楕円形であるとともに、断面形状が凹状の湾曲部10Aを形成することで、振動板10の振動方向及びボイスコイル30の振動方向において所定の曲げ剛性を有するようにしている。凹状の湾曲部10Aを振動板10に形成することで、湾曲部10Aにおける密度が他の振動板10の一部分における密度より大きくなり、剛性を比較的大きくすることもできる。湾曲部10Aの形成方法としては、先端部が曲面状の形状を有する押圧部材で平板状の部材を押圧するか、又は樹脂部材で振動板10を成形する際に用いる金型において、樹脂部材が注入される空間側の面に予め曲面状で突出する形状である突出部を設けることで、湾曲部10Aを成形すること等が挙げられる。
 また、図8に示したスピーカ装置1Bのように一対の振動方向変換部50が対向して配置される場合には、振動方向変換部50と振動板10との間に形成される一対の関節部分52Bの間に湾曲部10Aが形成されている。なお、同図中の符号Vは、ボイスコイル30の振動方向(X軸方向)を示している。
 ここで、前述したようにボイスコイル30の振動を振動方向変換部50が方向変換することで、振動板10に振動が伝達されて、振動板10がボイスコイル30の振動方向Vと交差する方向に振動する。この時、振動板10の振動方向(Z軸方向)にて、振動板10に振動方向変換部50による外力が作用するので、たわみなどが生じ、振動板10から発せられる音波間に位相差が生じるという問題がある。また、振動板10にたわみなどが生じることで、分割振動(分割共振も含む)が発生し、音響特性を低下させる問題がある。しかし、このような実施形態では、振動板10が振動板10の振動方向にて剛性(曲げ剛性を含む)を有しているので、振動板10のたわみなどの発生を抑止し、音波間に位相差が生じること、分割振動の発生による音響特性の低下などを抑止することができる。特に、図8に示したスピーカ装置1Bのように一対の振動方向変換部50が対向して配置される場合には、ボイスコイル30の振動方向Vに沿って、互いに逆向きの2つの外力が振動板10に作用する。この時、振動板10にたわみが生じる場合がある。そこで、振動板10と振動方向変換部振動方向変換部50との間に形成される一対の関節部分52Bの間において、振動板10に湾曲部10Aを形成することで、たわみが発生することを抑止することができる。また、振動板10が、ボイスコイル30の振動方向Vにも剛性(曲げ剛性を含む)を有する構造にした場合には、ボイスコイル30の振動方向Vへの振動板10のたわみなどの発生が抑止され、音波間に位相差が生じること、分割振動の発生による音響特性の低下などを抑止することができる。また、高域における遮断特性が改善され、高域における不要なピーク・ディップを低減することができる(メカニカルハイカット機能の低減が図れる)。
 図16,図17に示した例は、振動板10の他の形成例を示した説明図である。(図16(a)(b)が部分的な平面図、図17が断面図)。図16に示した振動板10は、ボイスコイル30の振動方向Vに沿う短軸と、ボイスコイル30の振動方向に対し直交する方向(Y軸方向)に沿う長軸を備えた略矩形状に形成されており、長軸又は短軸の方向に沿って補強部10Bが形成されている。補強部10Bは、例えば断面形状がV字状又はその他の形状の溝部であり、振動板10の表面や裏面に対して、直線状、環状、格子状に形成され、この溝部の内には、例えばダンプ剤(ダンピング剤、制動材)等の充填材を塗布(付与)しても構わない。図16(a)に示された例では、補強部10BとしてV字状の溝部10B1を、ボイスコイル30の振動方向Vと略平行に一対形成し、これら溝部10B1に硬化型樹脂等からなる充填材10B2が充填されている。また、補強部10Bの配置方向は、これに限定されず、例えば図16(b)に示されるように、補強部10Bをボイスコイル30の振動方向Vと交差する方向と略平行に一対形成しても構わない。これにより、溝部10B1を充填材10B2で満たすことで、振動板10の剛性(曲げ剛性を含む)を向上させることができ、スピーカ音圧周波数特性のピークディップを小さくすることができる。また、補強部10Bの他の例として、溝部10B1を形成する代わりに、例えば不織布等からなる図示省略の繊維系部材を貼着しても構わない。これにより、補強部10Bを繊維系部材にすることで、振動板10の剛性(曲げ剛性)を向上させることができ、振動板10が振動する際、振動方向変換部から伝搬する振動や空気抵抗によって振動板10にたわみなどの変形が生じることを抑止することができる。さらに、補強部10Bが設けられることで、振動板10の内部損失を向上させることができる。特に、補強部10Bとして繊維系部材を用いたり、振動板10の溝部に補強部10Bとしての充填材10B2で満たした場合に、振動板10の内部損失を比較的大きくすることができる。
 また、振動板10の形成材料としては、例えば、樹脂系材料、金属系材料、紙系材料、繊維系材料、セラミックス系材料、複合材料などを採用することができる。図17に示した例では、振動板10は、例えばアクリル系樹脂等からなる発泡樹脂で構成された第1の層10Cと、例えばガラス繊維等の繊維系部材で構成された第2の層10Dとで形成され、第1の層10Cを一対の第2の層10Dにて挟んだ積層構造としている。さらに、第1の層10Cと第2の層10Dとの間には、接着機能を有する樹脂で構成される第3の層10Eを挟み込んで、第1の層10Cと第2の層10Dがそれぞれ接着されている。これによって、振動板10の剛性(曲げ剛性を含む)を向上させることができる。なお、前述した第1の層10Cに代えてハニカム構造の層を積層することも可能である。また、振動板10の一部を発泡構造にすることで、剛性を維持しつつ軽量化を図ることもできる。
[エッジ;図18~図20]
 図18は、エッジ11の形成例を示す説明図である(同図(a)が振動板を含んだ部分的な平面図、同図(b)及び同図(c)がY-Y断面図)。エッジ11は、振動板10と静止部100であるフレーム12との間に配置され、その内周部が振動板10の外周部を支持するとともに、外周部がフレーム12に直接又は他の部材を介して接合することにより、振動板10を規定位置に保持する。他の部材としては、パッキンとしての機能を備える弾性部材(樹脂部材を含む)や接着用樹脂等が挙げられる。詳細には、エッジ11は、振動板10を振動方向(Z軸方向)に沿って振動自在に支持するとともに、振動方向に直交する方向(Y軸方向)には制動する。エッジ11は、音響放射方向から視認した形状がリング形状(環状)に形成されており、その断面形状は規定形状、例えば音響放射方向に凹形状、凸形状、波型形状などに形成されている。エッジ11の形成材料としては、例えば、皮,布,ゴム,樹脂,それらに目止め加工を施したもの、ゴムや樹脂などを規定の形状に成形した部材等、公知の材料を採用することができる。
 また、エッジ11の一部又は全周には、表面(音響放射側の面)又は裏面(音響放射側とは逆側の面)に向けて突出する突起部11Aが形成される。突起部11Aは、前述した補強部10Bと同様に、ボイスコイル30の振動方向V及びボイスコイル30の振動方向Vに対し直交する方向(Y軸方向)のいずれか一方又は両方に沿って延びるように形成されている。同図(a)に示した例では、突起部11Aは、エッジ11においてボイスコイル30の振動方向Vに延びる辺の中央に配置されている。
 同図(b)に示した例では、エッジ11全体の断面形状が表面に向けて凹形状に形成され、そのボイスコイル30の振動方向Vに沿う短軸の中央に、裏面に向けて突出する突起部11Aを、ボイスコイル30の振動方向Vに延びるように複数本形成している。また、同図(c)に示した例では、表面に向けて突出する突起部11Aを、ボイスコイル30の振動方向Vに沿って延びるように複数本形成している。これによって、エッジ11をボイスコイル30の振動方向Vにおける剛性が向上し、振動板10を規定方向に振動させることを可能にする。振動方向変換部50から振動板10に振動が伝わることでエッジ11にストレスが作用し、エッジ11に亀裂等が生じることを抑止することができる。特に、図8に示したスピーカ装置1Bのように、一対の振動方向変換部50が対向して配置される場合には、一対の振動方向変換部は互いに逆向きに振動をするため、ボイスコイル30の振動方向Vに沿う振動が相殺されて、エッジ11にストレスが作用することを抑止することができる。
 また、突起部11Aの配置方向は、図18(a)に示された例に限定されず、例えば図19(a)に示されるように、突起部11Aをボイスコイル30の振動方向Vに対し交差する方向に沿って形成しても構わないし、同図(b)に示されるように、突起部11Aをボイスコイル30の振動方向に対し交差する方向に沿って形成しても構わないし、環状に形成しても構わないし、同図(c)に示されるように、突起部11Aを斜めに形成しても構わない。
 図20,図21に示した例は、エッジ11の他の形成例を示した説明図である。(図20が振動板を含んだ部分的な平面図、図21(a)~(u)が断面図)。図20に示した例は、エッジ11は矩形状に形成され、振動板10はその角部が円弧状のトラック状に形成されており、この振動板10の円弧状角部とエッジ11の直角状角部11Bとの距離が、これらの角部を除く振動板10とエッジ11と間の距離に対して大きくなるようにしている。図20に示した例においても、エッジ11のボイスコイル30の振動方向Vに沿う短軸の中央に、表面又は裏面に向けて突出する突起部11Aを、ボイスコイル30の振動方向Vに延びるように複数本形成している。
 図21(a)~(u)は、エッジ11の断面形状の変形例を示すものである。また、図面上、エッジ11の左側の端部が振動板10と連結し、右側の端部がフレーム12と連結する。また、エッジ11のうち、左側の端部が傾斜状に形成され、右側の端部は平板状に形成されているエッジ、或いは左側の端部及び右側の端部は平板状に形成されているエッジがあるが、図示されるエッジ11の形状に限定されず、必要に応じて図示される各エッジ11の形状を流用しても構わなく、特に限定はされない。同図(a)に示した例は、エッジ11全体の断面形状が円弧状であって、その一部に外方へ突出する突起11Cを備えている。同図(b)に示した例は、エッジ11全体の断面形状が円弧状であって、その表裏両面に凹凸11Dを備えている。同図(c)に示した例は、エッジ11全体の断面形状が円弧状であって、その一部に内方へ突出する突起11Eを備えている。同図(d)に示した例は、エッジ11全体の断面形状が円弧状であって、その一部に複数の湾曲部11Fを有している。同図(e)に示した例は、エッジ11全体の断面形状が円弧状であって、その一部に外方へ尖って突出する複数の突出部11Gを備えている。
 同図(f)~(j)に示した例は、エッジ11全体の断面形状が円弧状であって肉厚部11Hと肉薄部11Iを備えている。同図(k)~(n)に示した例は、複数の湾曲部11Kを備えている。同図(o)及び(p)に示した例は、頂部に肉厚部11Lを備えている。同図(q)及び(r)に示した例は、頂部に肉薄部11Mを備えている。同図(s)~(u)に示した例は、湾曲部は対向する直線部11Nと、直線部11Nの間に形成される曲線部11Oとを備えている。さらに、頂部に厚肉部及び薄肉部を備えており、内周部及び外周部が頂部の薄肉部より厚く形成されている。また、内周部又は外周部が頂部の厚肉部より厚く形成すること、頂部の表面側における曲率半径に対し裏面側の曲率半径を小さく形成すること、突出部11(11Aから11Gを含む)を図18に示されるようなボイスコイル30の振動方向又は交差する方向に延ばすこと等、必要に応じてエッジ11の形状を変更しても構わない。
[実施例と搭載例;図22及び図23、図24~図30]
 以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図22及び図23は、本発明の実施例に係るスピーカ装置1Sを示した説明図である(図22が斜視図、図23が断面斜視図)。前述した説明と共通する部分は同一符号を付して重複説明を省略する。スピーカ装置1Sは、振動板10の外周を振動方向変換部50にて支持することで、振動方向変換部50の一部が振動板10となるように一体形成したものである。詳しくは、振動方向変換部50は、ボイスコイル30の振動方向に対し斜設されるとともに、ボイスコイル30又はボイスコイル支持部40の両端部に関節部分52A,52Gを介して連結される一対の第1のリンク部分51A,51Gと、第1のリンク部分51A,51Gに関節部分52B,52Hを介して連結される振動板10とを備え、一対の第1のリンク部分51A,51Gで平行リンクを形成している。さらに、ボイスコイル30又はボイスコイル支持部40と、一対の第1のリンク部分51A,51Gと関節部分52A,52G,52B,52Hからなる振動方向変換部50と、振動板10とは、一体のシート状部品から形成されている。
 図示の例では、ボイスコイル30又はボイスコイル支持部40と、ボイスコイル30に対応する磁気回路20及び振動方向変換部50を左右対称に互いに対向配置したものである。すなわち、一対の磁気回路20(R),20(L)によって駆動される一対のボイスコイル30又はボイスコイル支持部40に、振動方向に沿った両端部それぞれに振動方向変換部50が備えられ、中央に第1のリンク部分の一方である内側の第1のリンク部分51A(R),51A(L)と第2のリンク部分51B(R),51B(L)がそれぞれ一対ずつ設けられ、各ボイスコイル30又はボイスコイル支持部40の外側には第1のリンク部分の他方である外側の第1のリンク部分51G(R),51G(L)が一対設けられている。内側の第1のリンク部分51A(R),51A(L)は、振動板10の中央部(重心位置)に、関節部分52B(R),52B(L)を介して屈折自在に接合されている。一方、外側の第1のリンク部分51G(R),51G(L)は、振動板10の外周部と関節部分52H(R),52H(L)を介して屈折自在に連結されている。
 第2のリンク部分51Bは、一方の端部が内側の第1のリンク部分51A(R),51A(L)の中間部に関節部分52C(R),52C(L)を介して連結され、他方の端部が静止部100となるフレーム12の底部12Aに関節部分52D(R),52D(L)を介して支持され、静止部100からの反力を内側の第1のリンク部分51A(R),51A(L)に付与している。また、第2のリンク部分51Bは、内側の第1のリンク部分51A(R),51A(L)の一部を切り欠くことで形成され、第2のリンク部分51Bを含めて一体のシート状部品から形成されている。なお、外側の第1のリンク部分51G(R),51G(L)は、必要に応じて設けなくても構わない。また、図示の例では第1のリンク部分51A(R)と第1のリンク部分51A(L)の間、又は第2のリンク部分51B(R)と第2のリンク部分51B(L)の間には規定間隔が設けられていないが、必要に応じて規定間隔を設けても構わない。
 そして、振動板10において関節部分52B(R),52B(L)と対向する個所には、接触回避部70として凹部又は切欠部77を形成することで、各関節部分との間に空間が形成されるようにしている。また、第1のリンク部分51A(R),51A(L)において、関節部分52B(L),52B(R)が対向する面側に接触回避部70としての凹部又は切欠部77が形成されている。また、フレーム12の底部12Aにおいて関節部分52D(R),52D(L)が対向する個所には、接触回避部70としての凹部又は切欠部77が形成されている。
 また、図示の例では、振動板10と静止部100であるフレーム12との間には、バッフル板10Fを配置している。図示の例に限らず、振動板10の外周部はエッジ11を介してバッフル板10Fに支持されてもよいし、バッフル板10Fを設けずにエッジ11を介して静止部100であるフレーム12に支持させてもよい。さらに、外側の第1のリンク部分51G(R),51G(L)と振動板10の外周部との間に配置される関節部分52H(R),52H(L)は、振動板10の外周部の幅方向全長に亘り形成しているが、これに限らず、振動板10の外周部の幅方向中間位置と関節部分52H(R),52H(L)を介して外側の第1のリンク部分51G(R),51G(L)が屈折自在に連結されるようにしてもよい。
 これによって、振動板10は振動方向変換部50の一部となり、振動方向変換部50別途振動板を配置する必要がないので、部品点数が減ってスピーカ装置1Sの製造を容易にすることができる。特に、ボイスコイル30又はボイスコイル支持部40と振動方向変換部50と振動板10とが一体のシート状部品から一体形成される場合には、各部品の組み付けをも容易にすることができる。また、第2のリンク部分51B(L),51B(R)は別部材で形成して、第1のリンク部分51A(L),51A(R)に関節部分を介して連結しても構わない。さらに、振動板10は、複数の異なる位置で線状に振動方向変換部50に支持されていることになる。また、振動板10全体を略同位相にて振動させることが可能になる。
 また、内側の第1のリンク部分51A(R),51A(L)及び外側の第1のリンク部分51G(R),51G(L)は2つの対向した平行リンクを形成しているので、ボイスコイル30の対向振動(複数のボイスコイル30が互いに逆方向となるように振動すること)によって、複数の接合部が略同位相・略同振幅で振動することになる。これによっても、振動板10全体が略同位相で振動することになり、分割振動(分割共振も含む)の発生を抑制することができる。
 図24~図30は、本発明の他の実施例に係るスピーカ装置1Tを示した説明図である(図24が平面図、図25がX-X断面図、図26が背面図、図27が第1の構成部材を外した斜視図、図28が第2の構成部材を外した底面図、図29が要部の分解斜視図、図30(a)(b)が要部の部分拡大断面斜視図)。前述した説明と共通する部分は同一符号を付して重複説明を省略する。振動方向変換部50としては図12及び図13に示した例を採用している。
 図24に示した例では、振動板10は、音響放射方向から視認した形状が矩形状に形成されており、その中央部付近に外形が楕円形であるとともに、断面形状が凹状の湾曲部10Aを形成することで、振動板10の振動方向及びボイスコイル30の振動方向において所定の曲げ剛性を有している。また、凹状の湾曲部10Aを振動板10に形成することで、湾曲部10Aにおける密度が他の振動板10の一部分における密度より大きくなり、剛性を比較的大きくすることもできる。また、一対の振動方向変換部50が対向して配置される場合には、振動方向変換部50と振動板10との間に形成される一対の関節部分52Bの間に湾曲部10Aが形成されている。
 振動板10が振動板10の振動方向にて剛性(曲げ剛性を含む)を有しているので、振動板10のたわみなどの発生を抑止し、音波間に位相差が生じること、分割振動の発生による音響特性の低下などを抑止することができる。また、振動板10と振動方向変換部振動方向変換部50との間に形成される一対の関節部分52Bの間において、振動板10に湾曲部10Aを形成することで、たわみが発生することを抑止することができる。
 また、振動板10は、ボイスコイル30の振動方向に沿う短軸と、ボイスコイル30の振動方向に対し直交する方向に沿う長軸を備えた略矩形状に形成されており、長軸又は短軸の方向に沿って、図示省略の補強部を形成しても構わない。補強部は、例えば断面形状がV字状又はその他の形状の溝部であり、振動板10の表面や裏面に対して、直線状、環状、格子状に形成され、この溝部の内には、例えばダンプ剤(ダンピング剤、制動材)等の充填材を塗布(付与)しても構わない。これにより、溝部を充填材で満たすことで、振動板10の剛性(曲げ剛性を含む)を向上させることができ、スピーカ音圧周波数特性のピークディップを小さくすることができる。また、補強部の他の例として、溝部を形成する代わりに、例えば不織布等からなる図示省略の繊維系部材を貼着しても構わない。これにより、補強部を繊維系部材にすることで、振動板10の剛性(曲げ剛性)を向上させることができ、振動板10が振動する際、振動方向変換部から伝搬する振動や空気抵抗によって振動板10にたわみなどの変形が生じることを抑止することができる。さらに、補強部が設けられることで、振動板10の内部損失を向上させることができる。
 また、振動板10は、アクリル系樹脂等からなる発泡樹脂で構成された第1の層と、ガラス繊維等の繊維系部材で構成された第2の層とで形成され、第1の層を一対の第2の層にて挟んだ積層構造となっている。なお、振動板10の形成材料としては、例えば、樹脂系材料、金属系材料、紙系材料、繊維系材料、セラミックス系材料、複合材料などを採用することができる。
 振動板10を静止部100となるフレーム12に振動自在に支持するエッジ11は、振動板10とフレーム12との間に配置され、その内周部が振動板10の外周部を支持するとともに、外周部がフレーム12に直接又は他の部材を介して接合することにより、振動板10を規定位置に保持する。他の部材としては、パッキンとしての機能を備える弾性部材(樹脂部材を含む)や接着用樹脂等が挙げられる。詳細には、エッジ11は、振動板10を振動方向(Z軸方向)に沿って振動自在に支持するとともに、振動方向に直交する方向(Y軸方向)には制動する。エッジ11は、音響放射方向から視認した形状がリング形状(環状)に形成されており、その断面形状は規定形状、例えば音響放射方向に凹形状、凸形状、波型形状などに形成されている。エッジ11の形成材料としては、例えば、皮,布,ゴム,樹脂,それらに目止め加工を施したもの、ゴムや樹脂などを規定の形状に成形した部材等、公知の材料を採用することができる。また、エッジ11の一部又は全周には、表面(音響放射側の面)又は裏面(音響放射側とは逆側の面)に向けて突出する突起部、凹形状を形成して、エッジ11の規定方向における剛性を向上させても構わない。
 静止部100は第1の構成部材12Bと第2の構成部材12Cとに分割され、第1の構成部材12Bの中央開口部に振動板10がエッジ11を介して支持されている。磁気回路20は、ボイスコイル30を挟んで上側に配置される一部分と、下側に配置される他部分とに分離可能な構造となっており、上側の一部分が第1の構成部材12Bに支持され、下側の他部分が第2の構成部材12Cに支持されている。図示の例では、第1の構成部材12Bに対して上側のヨーク部22Bが、第2の構成部材12Cに対して下側のヨーク部22Aがそれぞれ略平行となるように支持されている。
 静止部100は、振動板10を取り囲む外周枠部101と、外周枠部101の内側を橋渡しする橋渡し部102とを備え、橋渡し部102は、前述したリンク機構50L(振動方向変換部50)に反力を与えるとともに、リンク機構50Lの振動方向にて剛性を備えている。
 前述したようにボイスコイル30が振動すると、その振動がリンク機構50Lを介して振動板10に伝達されるが、その際、リンク部分51を角度変換させるリンク機構50Lは、振動板10からの反力を受ける。このような反力をリンク機構50Lが受けた場合に、リンク機構50Lを支持する静止部100がたわむとリンク機構50L自体が振動してしまい、リンク機構50Lがリンク部分51に不要な振動を伝達することになる。リンク部分51に伝達された不要な振動が振動板10に伝達されると、ボイスコイル30の振動が効率よく振動板10に伝達できなくなる。そこで、リンク機構50Lを支持する静止部100の一部である橋渡し部102にたわみが生じることを抑止する機能を付与することで、不要な振動がリンク部分及び振動板10に伝達されることを抑止できる。これによって、ボイスコイル30の振動が効率よく振動板10に伝達される。
 橋渡し部102がリンク機構50Lを支持し、振動板10からリンク機構50Lを介して受ける力に対して剛性を有するためには、振動板10の振動方向において、外周枠部101のコンプライアンスに対して、橋渡し部102のコンプライアンスが、実質的に同じか、または小さいことが好ましい。より具体的には、橋渡し部102における厚みが、振動板10又は磁気回路20を支持する静止部100の一部における厚みと実質的に同じか、又は大きいことが好ましい。
 図示の例では、第2の構成部材12Cに設けられる橋渡し部102には、その延在する方向及び振動板10の振動方向に向かって突出する第1の突出部102Aが形成されている。この第1の突出部102Aは橋渡し部102の長手方向に沿って形成されるリブ構造であり、これによって橋渡し部102の曲げ剛性を高めている。また、振動板10と対向する橋渡し部102の面内には、第1の突出部102Aと交差する方向に延びる第2の突出部102Bが形成されている。この第2の突出部102Bは、橋渡し部102の両端部における補強リブになり、その両端で橋渡し部102を外周枠部101に剛性支持している。
 さらに、橋渡し部102には、第1の突出部102A及び第2の突出部102Bに対して交差する方向に延びる第3の突出部102Cが、振動板10に対向する静止部100の面内に形成されており、複数の第2の突出部102B及び第3の突出部102Cにて、平面形状が多角形状の補強部103が形成されている。
 また、第1の構成部材12Bは、静止部100における外周枠部101を第1の外周枠部101Aとして、この第1の外周枠部101Aの内側に振動板10を支持する第2の外周部101Bを備える。第2の外周枠部101Bの内側の開口は、エッジ11と振動板10によって塞がれることになる。振動板10がエッジ11を介して支持される第2の外周枠部101Bには、音響放射方向に向かって突起する突起部101B1が形成されている。この突起部101B1によって振動板10の周囲を支持するための剛性を得ている。
 静止部100となる第1の構成部材12Bと第2の構成部材は、長軸と短軸を有する平面形状を有し、橋渡し部102は、短軸方向に沿って形成されている。また、橋渡し部102を長軸方向に沿って形成すること、或いは長軸方向及び短軸方向に沿って形成することもでき、静止部100の剛性を得ることが可能となる。
 第1の構成部材12Bの四隅に凸部100mが形成され、第2の構成部材12Cの四隅に凹部100nが形成されており、凸部100mと凹部100nとが嵌合して、第1の構成部材12Bと第2の構成部材12Cとが結合する。凸部100mは第1の構成部材12Bと第2の構成部材12Cの一方に形成されればよく、凹部100nは第1の構成部材12Bと第2の構成部材12Cの他方に形成されればよい。凹部100nは孔部として形成しても構わない。
 振動方向変換部50は、リンク機構50Lとして第1のリンク部分51Aと第2のリンク部分51Bとを備え、第2のリンク部分51Bの一端は第1のリンク部分51Aに支持され、他端が橋渡し部102に支持されている。第2のリンク部分51Bを支持する橋渡し部102は、平板状に形成されており、第2のリンク部分51Bの他端と橋渡し部102とが連結される連結部104は、一平面を形成している。
 第2のリンク部分51Bの他端は、橋渡し部102と嵌合することで、振動方向変換部50と橋渡し部102とが連結している。橋渡し部102の連結部104には突起部104Aが形成されており、第2のリンク部分51Bの端部に関節部分52を介して一体形成される連結部分53Cには、突起部104Aが挿入される孔部104Bが形成されている。
 橋渡し部102における連結部104の突起部104Aは、静止部100に対する振動方向変換部50の位置を決める位置決め部になっている。第2のリンク部分51Bの端部に関節部分52を介して一体形成される連結部分53Cが有する孔部104Bに突起部104Aが挿入されることで、静止部100に対し振動方向変換部50を位置決めしている。
 静止部100となる第1の構成部材12Bと第2の構成部材12Cが結合した状態では、第1の構成部材12Bに支持される振動板10の背面に振動方向変換部50の第2の連結部分53Bが連結され、第2の構成部材12Cにおける橋渡し部102の中央部分に形成される連結部104に振動方向変換部50の不動の連結部分53Cが連結される。
 第2の連結部分53Bは第1のリンク部分51Aの端部に関節部分52Bを介して一体化された部分であり、この第2の連結部分53Bと振動板10とが連結することによって、第1のリンク部分51Aの端部と振動板10とが連結されている。なお、第2の連結部分53Bと対向する振動板10の音響放射側の面には凹部が形成されており、振動板10は剛性を備えている。不動の連結部分53Cは第2のリンク部分51Bの端部に関節部分52Dを介して一体化された部分であり、この連結部分53Cには孔部104Bが形成されており、この孔部104Bに連結部104の突起部104Aが挿入され、連結部104と第2のリンク部分51Bの端部とが連結されている。
 ボイスコイル30が支持されるボイスコイル支持部40は、その振動方向の一端に連結部60が取り付けられ、連結部60はボイスコイル支持部40の幅に沿って延在するように取り付けられている。連結部60には、振動方向変換部50の第1の連結部分53Aが着脱自在に接続される接続段部60sが形成されるとともに、ボイスコイル支持部40の振動方向に沿って貫通する貫通孔60pが形成されている。貫通孔60pはボイスコイル支持部40の振動に対して連結部60に作用する空気抵抗を低減するために形成される通気孔である。
 この連結部60は、振動方向変換部50の第1の連結部分53Aとボイスコイル支持部40の端部とを間隔を開けて連結しており、これによって振動方向変換部50の高さ内に磁気回路20の高さが収まるようにしている。
 このボイスコイル支持部40及び連結部60は、保持部15によって第1の構成部材12B及び第2の構成部材12Cに保持される。保持部15は、ボイスコイル支持部40の振動方向に沿った一方向の変形を許容して他の方向への変形を規制した湾曲板状部材からなる第1の保持部15Aと第2の保持部15Bとを備えている。第1の保持部15Aと第2の保持部15Bは、取り付けユニット16を介してボイスコイル支持部40を第1の構成部材12B及び第2の構成部材12Cに保持している。第1の保持部15Aは連結部60を取り付けユニット16の一側部に保持しており、左右それぞれに設けられた第1の保持部15Aの内側の端部が連結部60の両外側の端部に接続され、各第1の保持部15Aの外側の端部が取り付けユニット16にそれぞれ接続されている。また第1の保持部15Aは導電性金属で形成され、ボイスコイル30の端部から引き出されたボイスコイル引出線31と導電層32を介して電気的に接続されており、第1の保持部15Aを介して音声信号がボイスコイル30に供給されるようにしている。また、第1の保持部15Aは、フレーム12に支持される直線状の端子部81,81と電気的に接続し、これら端子部81,81にそれぞれ電気的に接続する配線82,配線82を介して、外部と電気的に接続されている。
 第2の保持部15Bは、その中央部が取り付けユニット16の他側部に接続され、その両端がボイスコイル支持部40の左右端に接続されている。ここでは、第2の保持部15Bをボイスコイル支持部40の幅内に配置して、ボイスコイル支持部40の保持機構がホイスコイル支持部40の幅方向に嵩張らないようにしている。また、第2の保持部15Bは連続部材で形成されているので、中央部分においても連続した形状を有するが、複数の部材で形成しても構わなく、特に限定はしない。なお、第2の保持部15Bの一部は静止部100から外側に突出して配置されているが、これに限定されず、静止部100の内部に収納されるように変更しても構わない。
 図29は、取り付けユニット16と第2の保持部15Bの取り付けを一方向から見た分解斜視図である。一体部品である第2の保持部15Bと取り付けユニット16は、接着用樹脂を介して連結されている。第2の保持部15Bの左右両端の平板部F,Fが、ボイスコイル30の振動方向に配置される端縁40f1の左右両端の接続部40g,40gにそれぞれ連結部品40g1,40g1を介して連結され、第2の保持部15Bの中央の平板部Fが取り付けユニット16の連結端部16f1に連結される。なお、ボイスコイル支持部40の振動方向変換部側に対して逆側における、ボイスコイル支持部40の端縁40f1は、ボイスコイル30側に凹状に形成されており、ボイスコイル30の振動によってボイスコイル支持部40が振動し、取り付けユニット16と接触することを抑止できる平面形状に、ボイスコイル支持部40は形成されている。具体的には、取り付けユニット16の連結端部16f1とボイスコイル支持部40の端縁40f1との間に比較的大きい間隙を形成するとともに、第2の保持部15Bの左右両端の平板部F側に移るに連れて、第2の保持部15Bに向かって突出する平面形状になっている。なお、第2の保持部15Bの左右両端の平坦部Fには、ボイスコイル支持部40の他方側縁40f1の左右両端の接続部40gが挿入される孔部が形成されている。
 複数の駆動部14に対応するボイスコイル30,30に音声信号を入力するために、複数のボイスコイル30,30の一方のボイスコイル30から他方のボイスコイル30に向けて延在し、複数のボイスコイル30,30に対する共通の端子部81,81が一対、静止部100に設けられている。また、端子部81,81は、静止部100であるフレーム12を構成する第1の構成部材12Bと第2の構成部材12Cとの間に形成される図示省略の開口部の内部に端子部81,81が配置されている。このため、各ボイスコイル30の一端と他端にそれぞれ端子部を設ける場合と比較して端子部の配置を省スペース化でき、スピーカ装置の小型化或いは薄型化が可能になる。また、端子部81,81を安定に静止部100に固定することができ、ボイスコイル30,30との接続不良を回避できる。また、端子部81,81は、一方のボイスコイル30から他方のボイスコイル30に沿う長軸と、当該長軸と交差する短軸とを有する形状に形成されている。このように細長形状にすることで、設置スペースの効率を高めることができる。
 端子部81,81には、外部と電気的に接続された配線82,82(第2の配線)との接続部81aが形成され、端子部81,81とが接続部81aで電気的に接続されている。配線82(第2の配線)は、静止部100の側面に固定されると共に、端子部81,81に接続される。静止部100の外周枠部101は、配線82が取り付けられる側面を備え、静止部100の側面には、配線82を案内する案内部106,106が形成されている。
 一方、ボイスコイル30を支持するボイスコイル支持部40(基体)上には、ボイスコイル30の端部から引き出されたボイスコイル引出線31に接続される導電層32が形成されている。導電層32は、ボイスコイル30の導電部材を囲むようにボイスコイル支持部40(基体)上にパターン形成され、この導電層32がボイスコイル30の導電部材と保持部15とを電気的に接続している。
 保持部15には、ボイスコイル30と端子部81とを電気的に接続する配線が形成されており、端子部81,81の端部と配線とが電気的に接続され、保持部15の配線とボイスコイル引出線とが接続され、端子部81,81に配線82が接続することで、ボイスコイル30に外部から音声信号が入力される。
 保持部15には、端子部81,81と接続する接続部F1が形成されている。この接続部F1は、振動板10の振動方向(X軸方向)と交差する方向に延在し、端子部81,81に当接するように、平板状に形成されている。また、保持部15には、導電層32と接続する接続部F2も形成されており、振動板10の振動方向(Z軸方向)と交差する方向に延在し、導電層32の端部に当接するように、平板状に形成されている。
 図30は、図27を異なる方向から見た部分拡大図であり、同図(a)は、第1の保持部15Aの一方の接続面F2が導電層32の接続端子部32aに接続しているところを詳細に示している。同図(b)は、第1の保持部15Aの他方の接続面F1が端子部81に接続しているところを詳細に示している。第1の保持部15Aは一端側の接続面F1が端子部81に接続され、他端側の接続面F2が導電層32の接続端子部32aを介してボイスコイル引出線31に接続されている。端子部81は一対の第1の保持部15Aの一端側を配線82(外部)と電気的に接続しており、配線82から入力される音声信号は端子部81及び第1の保持部15Aを介してボイスコイル引出線31に供給される。端子部81は、棒状の導電性部材であって、位置決め孔が形成されており、この位置決め孔に静止部100に設けられた位置決め突起111を挿入させることで静止部100における特定箇所に位置決めされる。なお、端子部81の一部分には絶縁処理が施されており、第1の保持部15Aの接続面F1と接続する領域における導電性部材の表面が露出しており、第1の保持部15Aと電気的に接続可能となっている。また、端子部81を樹脂部材等の絶縁性を備える部材(絶縁部材)で構成して、この絶縁部材の上に導電性部材を設けて、保持部15の接続面F1と電気的に接続しても構わない。
 取り付けユニット16は、第1の保持部15Aの端部が接続される第1の接続部16aが連結部60の左右両側に設けられ、第2の保持部15Bが接続される第2の接続部16bがボイスコイル支持部40の後方に設けられ、第1の接続部16aと第2の接続部16bとを一体に支持する一体支持部16cを有する。また、取り付けユニット16の四隅には、静止部100の第1の構成部材12Bが備える凸部100mと対向する接続孔部16dを備えている。この凸部100mを、接続孔部16d及び第2の構成部材12Cが有する凹部100n内に挿入することで、ホイスコイル支持部40と連結部60と保持部15と取り付けユニット16とがユニット化され、第1の構成部材12B及び第2の構成部材12Cの間に固定される。
 また、このようなスピーカ装置1Tを組み立てる際には、図12及び図13に示した振動方向変換部50の第1の連結部分53A(R),53A(L)を、連結部60の接続段部60sにそれぞれ取り付けることで、振動方向変換部50と、既にユニット化されたボイスコイル支持部40、連結部60、保持部15(第1の保持部15A,第2の保持部15B)及び取り付けユニット16とを一体化し、これら(ボイスコイル支持部40等)の上下に磁気回路20の上側のヨーク部22Bと下側のヨーク部22Aをそれぞれ配置するとともに、静止部100の第1の構成部材12Bと第2の構成部材12Cで挟み込むようにしている。これによって、振動方向変換部50の不動の連結部分53Cが第2の構成部材12Cの底部12Aに形成される支持台12Dに嵌合して移動不能に支持され、取り付けユニット16等の他の部品も第1の構成部材12B及び第2の構成部材12Cに対して所定の位置に位置決めされる。また、静止部100の第1の構成部材12Bが備える凸部100mを、取り付けユニット16の四隅に設けられる接続孔部16dに挿入することで、静止部100に対して所定の位置で固定される。
 図示の例では、第1の構成部材12Bの内面に対し、先ず、磁気回路20の上側のヨーク部22Bを組み込み、その後、取り付けユニット16、振動方向変換部50等を順次組み込んでそれぞれ位置決めし、その後、第2の構成部材12Cを重ね合わせて各部品を挟み込むとともに、磁気回路20の下側のヨーク部22Aを組み込んでいる。そして、最後に振動方向変換部50の第2の連結部分53Bと振動板10とが接合部材としての接着剤で接合されるとともに、振動板10の外周部がエッジ11を介して第1の構成部材12Bの第2の外枠部101Bに取り付けられる。また、エッジ11の外周部近傍において、第2の外枠部101Bの底部に溝部が周状に形成されており、エッジ11と第1の構成部材12Bとを接合部材としての接着剤のはみ出しを収容する接合部材収容部として形成されている。また、エッジ11の外周部をフレーム12Bへ向かって突出する突出部を形成し、この突出部を溝部に入り込ませることで、エッジ11と第1の構成部材12Bとの接合力を向上させることができる。
 また、組立工程としては、以下のようにしても構わない。まず、接続端子81,81に配線82を接続し、ヨーク部22に磁石21を接合する。次に、第1の構成部材12Bの外周枠部101Aに、配線82が接続された接続端子81,81を取り付ける。次に、第1の構成部材12Bへ、前述したボイスコイル30が取り付けられた一対の取り付けユニット16を取り付ける。この時、接続端子81,81と取り付けユニット16に取り付けられている保持部15Aとを、半田等を用いて電気的に接続する。次に、振動方向変換部50を連結部104に取り付けて、振動方向変換部50とボイスコイル30とを接続する。次に、第1の構成部材12Bの上に第2の構成部材12Cを配置して、この第2の構成部材12Cの外周枠部101Aに磁石21を接合した磁極部材(ヨーク部)22を取り付ける。次に、第1の構成部材12Bの第2の外周枠部101Bに振動板10とエッジ11とを装着する。次に、第1の構成部材12Bの第1の外周枠部101Aに磁石21を接合した磁極部材(ヨーク部)22を取り付ける。最後に、第1の構成部材12Bの第1の外周枠部101Aに設けられた案内部106に、配線82を取り付ける。
 静止部100となるフレーム12は前述のように、第1の構成部材(第1フレーム)12Bと第2の構成部材(第2フレーム)12Cとを備え、第1の構成部材12Bはスピーカ装置1Tの音響放射側に配置されており、第2の構成部材12Cは音響放射側と逆(背面)側に配置されている。スピーカ装置1の駆動部14は第1の構成部材12Bと第2の構成部材12Cとによって挟み込まれるように支持されている。
 第1の構成部材12Bが備える環状に形成された外周枠部101は、磁気回路20の磁極部材(ヨーク部)22の片側(22B)を支持している。一方、第2の構成部材12Cは外周枠部101と橋渡し部102を備え、磁気回路20の磁極部材(ヨーク部)22の片側(22A)を支持する。
 第1の構成部材12B及び第2の構成部材12Cは、ヨーク部22の一部を収容する凹状の受け部105を備える。この受け部105には突出部22pが嵌め込まれ、適切な磁気ギャップを形成するためにヨーク部22を位置決めする。また、第2の構成部材12Cにおける外周枠部101と橋渡し部102との間には、開口部101Sが形成されている。この外周枠部101には、開口部101Sの外周縁に沿って、図示省略の第4の突起部が形成されている。第4の突起部は外周枠部101の捩れ剛性を高めている。
 さらに、第1の構成部材12Bには、ボイスコイル30の過剰振動を抑止するための過剰振動抑止部108(図30参照)が形成されている。過剰振動抑止部108は、ボイスコイル30の可動領域内、特にボイスコイル30の振動方向に沿う端縁に形成された切欠部内にて突出しており、これにボイスコイル支持部40が当たることでボイスコイル30の過剰振動が抑止される。
 磁気回路20は、磁極部材22が磁石を接合した状態で第1の構成部材12B、第2の構成部材12Cに装着されている。磁極部材22は複数の突出部22pを備えており、この突出部22pが受け部105に支持される。板状の磁性体であるヨーク部22は、振動方向変換部50から静止部100にかけて、その幅が小さくなっており、これによって、保持部15がヨーク部22に接触することを抑止している。
 磁気回路20は、ヨーク部22A,22Bが第1の構成部材12B,第2の構成部材12Cに取り付けられ、第1の構成部材12Bと第2の構成部材12Cが結合されることで、ヨーク部22A,22Bの間又は磁石21の間に磁気ギャップ20Gとしての間隙を備える。
 この実施例によると、磁気回路20の高さがほぼ装置全体の全高になっており、その磁気回路20の中心付近をボイスコイル支持部40が振動する構造になり、ボイスコイル支持部40の端部と振動方向変換部50の端部とが連結部60を介して異なる高さで接続されている。これによって、振動方向変換部50の各リンク部分は装置の高さ内で十分な長さを確保することができ、また、磁気回路20の高さの一部を振動方向変換部50の高さ内に収めることが可能になる。さらに、第1の構成部材12Bと、第1の構成部材12Bの近傍に配置される上側のヨーク部22Bとの間に間隙が形成されていることで、振動板10の振動が上側のヨーク部22Bを介して磁気回路20に伝搬し、磁気回路20とボイスコイル30との接触を誘発することを抑止している。
 以上のように、本発明の実施形態に係るスピーカ装置1は薄型化が可能であり、且つ大音量化の実現も可能である。また、比較的簡単な構造で大音量の再生音を放射することができる薄型のスピーカ装置は、ボイスコイルの振動方向と異なる方向に振動板を振動させることによって得ることができる。この際、機械的なリンク機構を用いてボイスコイルの振動方向を異なる方向に変換しようとすると、リンク機構の関節部分にはスピーカ装置に要求される高速の繰り返し振動に耐えうる耐久性が必要になると共に、高速の繰り返し振動時にも異音を生じない柔軟性が必要になる場合がある。上述したスピーカ装置の構成により、リンク機構の関節部分は耐久性や柔軟性を備えることができる。
 また、ボイスコイルの振動を方向変換して振動板に伝えるには、方向変換後にもボイスコイルの振動が効率よく正確に再現されることが必要になり、リンク機構に機械的な歪みが生じないことやリンク機構自体が軽量であることが必要となる場合がある。更には、このようなリンク機構をスピーカ装置に組み込むときの作業容易性やリンク機構自体を製造する際の製造容易性が必要となる場合がある。上述したスピーカ装置の構成により、軽量化及び製造容易性が可能となる。
 このようなスピーカ装置は各種電子機器や車載用として効果的に用いることができる。図31は、本発明の実施形態に係るスピーカ装置を備える電子機器を示した説明図である。同図(a)に示した携帯電話或いは携帯情報端末のような電子機器2、或いは同図(b)に示したフラットパネルディスプレイのような電子機器3では、電子機器3が備える被取付部材としての筐体内にスピーカ装置1を収納する、又は電子機器の被取付部材としての筐体側面にスピーカ装置1を取り付けても、スピーカ装置1の設置に必要な厚さスペースを小さくできるので、電子機器全体の薄型化が可能になる。また、薄型化された電子機器においても充分な音声出力を得ることができる。図32は、本発明の実施形態に係るスピーカを備えた自動車を示した説明図である。同図に示した自動車4は、スピーカ装置1の薄型化によって車内スペースの拡大が可能になる。特に被取付部材としてのドアパネルや天井に本発明の実施形態に係るスピーカ装置1を取り付けても、ドアパネルや天井の出っ張りを比較的小さくでき、運転者の操作スペースの拡大や、室内のスペースを拡大することが可能になる。また、充分な音声出力が得られるので、雑音が多い高速走行時等でも車内で快適に音楽やラジオ放送を楽しむことができる。
 また、スピーカ装置1を備える建築物として、人の居住を用途とする住宅(建築物)や会議、講演会、パーティー等、多数の人数を収容して催しを行うことができるホテル、旅館や研修施設等(建築物)では、被取付部材としての壁や天井にスピーカ装置1を設置した場合、スピーカ装置1の設置に必要な厚さスペースを小さくできるので、室内における不要なスペースを削除でき、スペースを有効に活用することができる。また、近年、プロジェクターや大画面テレビ等の普及に伴い、音響・映像設備を備える居室を設ける例が見られるようになっており、一方で音響・映像設備を備える居室を設けずに、リビングルーム等をシアタールームとして使用するケースも見られる。このようなケースにおいても、スピーカ装置1を用いることで、簡易にリビングルーム等をシアタールーム化でき、さらにリビングルーム内の空間を有効に活用することが可能である。なお、スピーカ装置1の配置場所は、例えば、居室内の天井や壁等(被取付部材)が挙げられる。なお、本出願には、2008年1月28に国際出願したPCT/JP2008/051197、2008年10月14日に国際出願したPCT/JP2008/068580、2008年10月27日に国際出願したPCT/JP2008/069480、2008年10月23日に国際出願したPCT/JP2008/069269、2009年2月27日に国際出願したPCT/JP2009/053752、2009年2月26日に国際出願したPCT/JP2009/053592、2009年1月20日に国際出願したPCT/JP2009/050764、2009年03月19日に国際出願したPCT/JP2009/055533、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055496、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055497、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055498、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055534、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055523、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055524、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055525、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055526、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055527、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055528に記載される全ての内容は、本出願に組み込まれる。
 以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
 また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用することができる。

Claims (39)

  1.  振動板と、該振動板を振動自在に支持する静止部と、該静止部に設けられ、音声信号によって前記振動板に振動を与える駆動部とを備え、
     前記駆動部は、
     音声信号が入力されて前記振動板とは異なる方向に振動するボイスコイルと、
     前記ボイスコイルが配置される磁気ギャップを有する磁気回路と、
     前記ボイスコイル及び前記振動板の振動方向に対し斜設されて、前記ボイスコイルの振動を前記振動板に伝える剛性の振動方向変換部とを備え、
     前記振動方向変換部は、一端部が前記ボイスコイルに角度変更自在に直接又は他の部材を介して連結されるとともに、他端部が前記振動板に角度変更自在に直接又は他の部材を介して連結され、
     前記振動板は、当該振動板の振動方向において剛性を有することを特徴とするスピーカ装置。
  2.  前記振動板と前記振動方向変換部との間には、前記振動方向変換部の角度変化の支点となる関節部分が形成されており、
     前記振動板には、前記関節部分の近傍に該関節部分に沿って凹部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  3.  前記関節部分に近接する前記振動板の面側に前記凹部が形成され、
     前記凹部は、前記関節部分と前記振動板とが接触するのを避ける接触回避部であることを特徴とする請求項2に記載のスピーカ装置。
  4.  前記振動板は、前記ボイスコイルの振動方向において剛性を有することを特徴とする請求項3に記載のスピーカ装置。
  5.  前記振動板には、その中央部付近に湾曲部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のスピーカ装置。
  6.  複数の前記磁気回路と、複数の前記磁気回路に対応する複数の前記ボイスコイルと前記振動方向変換部とを備え、
     前記磁気回路と、前記磁気回路に対応する前記ボイスコイルとは、対向して配置されており、
     前記振動方向変換部と前記振動板との間に形成される一対の関節部分の間に前記湾曲部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のスピーカ装置。
  7.  前記振動板は、前記ボイスコイルの振動方向に沿う短軸と、前記ボイスコイルの振動方向に対し直交する方向に沿う長軸を備えることを特徴とする請求項6に記載のスピーカ装置。
  8.  前記振動板には、前記長軸又は前記短軸の方向に沿って、補強部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載のスピーカ装置。
  9.  前記補強部は、溝部であることを特徴とする請求項8に記載のスピーカ装置。
  10.  前記溝部に充填材が満たされていることを特徴とする請求項9に記載のスピーカ装置。
  11.   前記充填材は、硬化型樹脂であることを特徴とする請求項10に記載のスピーカ装置。
  12.  前記補強部は、繊維系部材であることを特徴とする請求項10に記載されるスピーカ装置。
  13.  前記振動板、前記ボイスコイル及び前記静止部と、前記振動方向変換部との間には関節部分が設けられており、
     前記振動方向変換部は、前記ボイスコイルの振動方向に対し斜設されるとともに、前記ボイスコイルの両端部に前記関節部分を介して連結される一対の第1のリンク部分と、前記第1のリンク部分に前記関節部分を介して連結される前記振動板とを備え、
     前記第1のリンク部分のいずれか一方と前記静止部との間には第2のリンク部分が配置されており、
     前記第2のリンク部分は、一方の端部が前記第1のリンク部分の一方に前記関節部分を介して連結され、他方の端部が前記静止部に前記関節部分を介して支持されるとともに、前記第1のリンク部分の一方に対して斜設されることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  14.  前記第1のリンク部分と前記振動板とは、前記関節部分を介して一体形成されることを特徴とする請求項13に記載のスピーカ装置。
  15.  前記振動板及び前記ボイスコイルと、前記振動方向変換部との間には関節部分が設けられており、
     複数の前記ボイスコイルと、前記ボイスコイルに対応する複数の前記磁気回路及び複数の前記振動方向変換部とを備え、
     前記振動方向変換部は、前記ボイスコイルの振動方向に対し斜設されるとともに、前記ボイスコイルの両端部に前記関節部分を介して連結される一対の第1のリンク部分と、前記第1のリンク部分に前記関節部分を介して連結される前記振動板とを備えることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  16.  前記第1のリンク部分と前記振動板とは、前記関節部分を介して一体形成されることを特徴とする請求項15に記載のスピーカ装置。
  17.  前記振動方向変換部と前記静止部との間に前記関節部が設けられており、
     前記第1のリンク部分と前記静止部との間には第2のリンク部分が配置されており、
     前記第2のリンク部分は、一方の端部が前記第1のリンク部分に前記関節部分を介して連結され、他方の端部が前記静止部に前記関節部分を介して支持されるとともに、前記第1のリンク部分に対して斜設されることを特徴とする請求項16に記載のスピーカ装置。
  18.  前記振動板は、互いに異なる部材で形成される第1の層と第2の層の積層構造を備えることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  19.  前記振動板は、発泡樹脂で構成された前記第1の層と、繊維系部材で構成された前記第2の層とで形成されることを特徴とする請求項18に記載のスピーカ装置。
  20.  前記振動板は、前記第1の層を前記第2の層にて挟んだ積層構造を有することを特徴とする請求項19に記載のスピーカ装置。
  21.  前記第1の層と前記第2の層との間には、樹脂材料で構成される第3の層10Eが形成されていることを特徴とする請求項20に記載のスピーカ装置。
  22.  前記振動板は、エッジを介して前記静止部に支持されており、
     前記エッジには突起部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  23.  前記突起部は、前記ボイスコイルの振動方向に延びていることを特徴とする請求項22に記載のスピーカ装置。
  24.  前記振動板と前記エッジは矩形状に形成されており、
     角部における前記振動板と前記エッジと間の距離は、前記角部を除く前記振動板と前記エッジと間の距離に対して大きいことを特徴とする請求項22に記載のスピーカ装置。
  25.  前記振動方向変換部は、前記ボイスコイル支持部と前記振動板との間に形成されたリンク部分を角度変換させるリンク機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  26.  前記振動方向変換部における前記ボイスコイル側の端部と前記ボイスコイルの前記振動方向変換部側の端部との間に両端部の位置を前記振動方向に沿って異ならせて連結する連結部を備えることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  27.  前記振動方向変換部は、前記振動板及び前記ボイスコイルを含む被取付部材と連結しているとともに、該被取付部材に近接する関節部分を備え、
     前記関節部分に近接する前記被取付部材の面側には、前記関節部分と接触することを避ける接触回避部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  28.  前記振動方向変換部は、前記振動板及び前記ボイスコイルを含む被取付部材と連結しているとともに、該被取付部材に近接する関節部分を備え、
     前記関節部分と対向する前記被取付部材の面側には、前記振動方向変換部と前記被取付部材とを接合する接着部材の収容部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  29.  前記振動方向変換部は、前記ボイスコイルと前記振動板との間で角度変更自在に斜設される剛性のリンク部分と、該リンク部分の両端に形成される関節部分とを備え、
     前記関節部分は、当該関節部分を跨いだ両側の部分で連続する屈折自在な連続部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  30.  前記ボイスコイルは、平面状で且つ環状に巻かれた導電部材と、前記導電部材を支持する剛性の基体とを備え、
     前記基体における前記導電部材の外側の表面には、導電層がパターン形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  31.  前記導電層は、前記導電部材を取り囲むように一対配備され、前記導電部材に音声信号を入力するための中継線として機能することを特徴とする請求項30に記載のスピーカ装置。
  32.  前記ボイスコイルを、前記静止部に直接又は他の部材を介して、前記ボイスコイルの振動方向に振動自在に保持する第1の保持部を備えることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  33.  前記ボイスコイルを、前記静止部に直接又は他の部材を介して、当該ボイスコイルの振動方向に振動自在に保持する第2の保持部を備えることを特徴とする請求項32に記載のスピーカ装置。
  34.  前記振動方向変換部における前記ボイスコイル側の端部と前記ボイスコイルの前記振動方向変換部側の端部との間に両端部の位置を前記振動方向に沿って異ならせて連結する連結部を備え、
     前記連結部と前記静止部との間において、前記第1の保持部は該連結部の左右に配置され、
     前記第2の保持部は、前記第1の保持部に対して前記静止部側で、前記ボイスコイルに対して左右に配置され、
     前記第1の保持部及び前記第2の保持部は前記ボイスコイルを略左右対称に前記静止部に直接又は他の部材を介して保持することを特徴とする請求項33に記載のスピーカ装置。
  35.  前記第2の保持部は、中央部が直接又は他の部材を介して前記静止部に保持され、その両端が前記ボイスコイルの左右端に接続されていることを特徴とする請求項34記載のスピーカ装置。
  36.  前記第1の保持部及び前記第2の保持部は、取り付けユニットを介して前記連結部及び前記ボイスコイルを前記静止部に保持することを特徴とする請求項34に記載のスピーカ装置。
  37.  請求項1に記載のスピーカ装置を備えることを特徴とする電子機器。
  38.  請求項1に記載のスピーカ装置を備えることを特徴とする自動車。
  39.  請求項1に記載のスピーカ装置を備えることを特徴とする建築物。
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