WO2010047157A1 - スピーカ装置 - Google Patents

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Abstract

 比較的簡単な構造で大音量の再生音を放射することができる薄型のスピーカ装置を提供し、且つボイスコイルへの音声信号の入力をボイスコイルの振動に悪影響を与えることなく行う。ボイスコイルの振動を方向変換して振動板に伝える振動方向変換部と、ボイスコイルが直線的に振動するようにボイスコイルを静止部に保持する保持部とを備え、静止部に設けた音声信号入力端子に入力された音声信号が保持部を介してボイスコイルに入力される。

Description

スピーカ装置
 本発明は、スピーカ装置に関するものである。
 一般的なスピーカ装置として、ダイナミック型スピーカ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このダイナミック型スピーカ装置は、例えば図1に示すように、フレーム3Jと、コーン形状の振動板21Jと、振動板21Jをフレーム3Jに支持するエッジ4Jと、振動板21Jの内周部に接合されたボイスコイルボビン610Jと、ボイスコイルボビン610Jをフレーム3Jに支持するダンパ7Jと、ボイスコイルボビン610Jに巻き回されたボイスコイル611Jと、ヨーク51J,磁石52J,プレート53Jを備えると共に、ボイスコイル611Jが配置される磁気ギャップが形成された磁気回路とを有する。このスピーカ装置では、音声信号がボイスコイル611Jに入力されると、磁気ギャップ内のボイスコイル611Jに生じたローレンツ力によりボイスコイルボビン610Jが振動し、その振動によって振動板21Jが駆動される。
特開平8-149596号公報(第1図)
 前述した一般的なダイナミック型スピーカ装置は、例えば図1に示すように、振動板21Jの音響放射側に対して反対側にボイスコイル611Jが配設され、ボイスコイル611J及びボイスコイルボビン610Jの振動方向と振動板21Jの振動方向が同じ方向になるように構成されている。このようなスピーカ装置では、振動板21Jが振動するための領域、ボイスコイルボビン610Jが振動するための領域、磁気回路が配置される領域等が振動板21Jの振動方向(音響放射方向)に沿って形成されることになるので、スピーカ装置の全高が比較的大きく成らざるを得ない構造になっている。
 詳細には、図1に示すように、スピーカ装置の振動板21Jの振動方向に沿った大きさは、コーン形状の振動板21Jの振動方向に沿った大きさ及び振動板21Jをフレーム3Jに支持するエッジ4Jの全高(a)、振動板21Jとボイスコイルボビン610Jとの接合部からボイスコイル611Jの上端までのボイスコイルボビン高さ(b)、ボイスコイルの全高(c)、ボイスコイル611Jの下端部からヨーク51Jの上面までの高さに相当する、磁気回路の主に磁石高さ(d)、磁気回路の主にヨーク51Jの厚さ(e)等からなる。このようなスピーカ装置においては、充分な振動板21Jの振動ストロークを確保するためには、前述したa,b,c,dの高さを充分に確保する必要があり、また充分な駆動力を得るためには前述したc,d,eの高さを充分に確保する必要があるので、特に、大音量対応型スピーカ装置では、スピーカ装置の全高が大きく成らざるを得ない。
 このように、従来のスピーカ装置では、ボイスコイルボビン610Jの振動方向と振動板21Jの振動方向とが同方向になっているので、振動板21Jの振幅を大きくして大音量を得ようとすると、ボイスコイルボビン610Jの振動ストロークを確保するためにスピーカ装置の全高が大きくなってしまい、装置の薄型化を達成し難い。すなわち、装置の薄型化と大音量化を両立し難い問題がある。
 しかしながら、ボイスコイル611Jの振動を効率よく振動板21Jに伝達させるためには、ボイスコイル611Jの振動を直接振動板21Jに伝えること、すなわち、ボイスコイル611Jの振動方向と振動板21Jの振動方向とを一致させることが好ましい。ボイスコイル611Jの振動方向と振動板21Jの振動方向が異なる場合には、ボイスコイル611Jの振動が確実に振動板21Jに伝えられないことがあり、これがスピーカ装置の再生効率の悪化に繋がる問題が生じる。特に、高音域の良好な再生特性を得るためには、ボイスコイル611Jの振動を確実に振動板に伝えることが必要になる。
 一方、一般的なスピーカ装置では、ボイスコイル611Jに音声信号を入力するために、ボイスコイル611Jの端部にリード線(錦糸線等)を接続して、このリード線をフレームに配備した信号端子まで引き出して接続している。これによると、音声信号によってボイスコイルが振動すると、それに連れてリード線が振動してボイスコイルの振動に悪影響を与える問題がある。
 本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、比較的簡単な構造で大音量の再生音を放射することができる薄型のスピーカ装置を提供すること、ボイスコイルの振動を確実に振動板に伝えて再生効率の高いスピーカ装置を得ること、また、ボイスコイルへの音声信号の入力をボイスコイルの振動に悪影響を与えることなく行うこと、等が本発明の目的である。
 このような目的を達成するために、本発明によるスピーカ装置は、以下の独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
 [請求項1]振動板と、前記振動板を振動自在に支持する静止部と、該静止部に設けられ、音声信号によって前記振動板に振動を与える駆動部とを備え、前記駆動部は、音声信号が入力されて前記振動板とは異なる方向に振動する平板状のボイスコイルと、前記ボイスコイルが配置される磁気ギャップを有する磁気回路と、前記ボイスコイルの振動を前記振動板に伝える剛性の振動方向変換部と、前記ボイスコイルが直線的に振動するように該ボイスコイルを前記静止部に保持する保持部とを備え、前記静止部に設けた音声信号入力端子に入力された音声信号が前記保持部を介して前記ボイスコイルに入力されることを特徴とするスピーカ装置。
従来技術の説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置の基本構成を示した説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置の基本構成(駆動部)を示した説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置の基本構成(駆動部)を示した説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置の基本構成(駆動部)を示した説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置の基本構成(振動方向変換部の動作)を示した説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置の構成例(保持部によるボイスコイルの保持機構)を示した説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置の構成例(保持部によるボイスコイルの保持機構)を示した説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置の構成例(保持部によるボイスコイルの保持機構)を示した説明図(同図(A)背面斜視図、同図(B)正面斜視図)である。 本発明の実施形態における振動方向変換部の構成例を示した説明図である。 本発明の実施形態における振動方向変換部の構成例を示した説明図である。 本発明の実施形態における振動方向変換部の構成例を示した説明図である。 本発明の実施形態における振動方向変換部の構成例を示した説明図である。 本発明の実施形態における振動方向変換部の構成例を示した説明図である。 本発明の実施例に係るスピーカ装置の説明図(振動板を除いた平面図)である。 本発明の実施例に係るスピーカ装置の説明図(振動板を除いた平面図)である。 本発明の実施例に係るスピーカ装置の説明図(振動板を除いた平面図)である。 本発明の実施例に係るスピーカ装置の説明図(振動板を除いた断面図)である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の他の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置の組立構造を示した説明図である。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置を用いた電子機器を示した説明図。 本発明の実施形態に係るスピーカ装置を用いた自動車を示した説明図。
 本発明の実施形態に係るスピーカ装置は、振動板と、前記振動板を振動方向に沿って振動自在に支持する静止部と、該静止部に設けられ、音声信号によって前記振動板に振動を与える駆動部とを備え、前記駆動部は、音声信号が入力されて前記振動板とは異なる方向に振動する平板状のボイスコイルと、前記ボイスコイルが配置される磁気ギャップを有する磁気回路と、前記ボイスコイルの振動を前記振動板に伝える剛性の振動方向変換部と、前記ボイスコイルが直線的に振動するように該ボイスコイルを前記静止部に保持する保持部とを備え、前記静止部に設けた音声信号入力端子に入力された音声信号が前記保持部を介して前記ボイスコイルに入力されることを特徴とする。
 このような特徴のスピーカ装置では、音声信号が駆動部のボイスコイルに入力されると、磁気回路の磁気ギャップに配置されたボイスコイルにローレンツ力が生じて、ボイスコイルが、振動板の振動方向に対して異なる方向、好適には振動板の振動方向に対して直交する方向に沿って振動する。これに対して振動方向変換部が機能してボイスコイルの振動を方向変換して振動板に伝える。振動板は、振動方向変換部を介して伝達された駆動力によりボイスコイルとは異なる(例えば、ボイスコイルと直交する)振動方向に沿って振動する。
 一般的なスピーカ装置では、例えば振動板の背面側にボイスコイルボビンが配置され、振動板の振動方向とボイスコイルボビンの振動方向とが同方向になるように構成されているために、振動方向に沿って振動板およびボイスコイルボビンが振動するための領域を要するので、スピーカ装置の音響放射方向に沿った幅が比較的大きい。
 一方、本発明の実施形態に係るスピーカ装置では、振動板の振動方向に対して異なる方向、好適には、振動板の振動方向に対して直交する方向に形成された磁気ギャップを有する磁気回路とその磁気回路に沿って振動するボイスコイル、更にはボイスコイルの振動方向を方向変換して振動板に伝える振動方向変換部を有するので、前述した一般的なスピーカ装置と比べて、音響放射方向に沿った幅が比較的小さい。つまり、薄型スピーカ装置を提供することができる。また、ボイスコイルの振動ストロークをスピーカ装置の全高に影響しない方向に設定できるので、ボイスコイルの振動ストロークすなわち振動板の振幅を大きくした場合であってもスピーカ装置の薄型化を達成しやすい。これによって、スピーカ装置の薄型化と大音量化を両立することが可能になる。
 そして、本発明の実施形態では、ボイスコイルが直線的に振動するように、ボイスコイルを静止部に保持する保持部を備えているので、保持部に保持されて直線的に振動するボイスコイルの振動が振動方向変換部を介して振動板に伝わり、振動板を効率的に振動させることができる。
 更に、静止部に設けた音声信号入力端子に入力された音声信号が保持部を介してボイスコイルに入力されるので、ボイスコイルと音声信号入力端子とを電気的に接続するリード線がボイスコイルの振動に連なって振動してボイスコイルの振動に悪影響を与えることを排除できる。また、前述したリード線に余長を与える空間を設けなくても良いので、静止部としてのフレーム内空間のコンパクト化が可能になり、スピーカ装置全体の小型化・薄型化が可能になる。
 ボイスコイルと音声信号入力端子との接続配線が保持部と一体に移動することになるので、この接続配線が駆動部における振動部材と干渉して異音の発生や配線の断線等が生じる不具合を排除できる。
 より具体的には、前記保持部は、導電性金属で形成され、前記ボイスコイルの端部又は該端部からの引き出し線と電気的に接続され、前記静止部側の端部で前記音声信号入力端子と電気的に接続されていることを特徴とする。これによると、保持部自体を接続配線にするので、別途配線を設ける必要がなく、保持部の静止部側或いはボイスコイル側への端部接続が接続配線の電気的な接続を兼ねるので、製造工程を簡略化することができる。また、金属製部材によって振動方向以外には高い剛性を持たせることができるので、ボイスコイルの振動を確実に規制することができる。
 また、前記保持部は、前記ボイスコイルの振動方向に沿った一方向の弾性変形を許容して他の方向への変形を規制した湾曲板状部材であることを特徴とする。これによると、湾曲板状部材の湾曲方向に沿っては弾性的な変形がなされるが、それと直交する方向には高い剛性を持たせることができる。これによると、簡単な加工部材で精度良くボイスコイルの振動方向を直線的に規制することができる。
 また、前記保持部は、前記ボイスコイルを左右対称に保持していることを特徴とする。これによると、直線的に振動するボイスコイルを傾斜やローリングが生じることなく安定して保持することが可能になる。
 また、左右の前記保持部が一体化されて前記ボイスコイル端縁の一辺を保持していることを特徴とする。これによると、ボイスコイルの振動方向と直交する方向に高い剛性を示す保持部の特性を利用して、ボイスコイルの端縁の一辺を補強することができ、振動時のボイスコイルの変形や破損を抑止し、スピーカ装置の耐久性を向上させることができる。
 また、前記振動方向変換部は、前記ボイスコイルの振動と前記静止部から受ける反力によって前記ボイスコイルと前記振動板との間に形成されたリンク部分を角度変換させるリンク機構を備えることを特徴とする。これによると、ボイスコイルの振動は静止部からの反力を受けながら確実に振動板に伝達されることになり、ボイスコイルの振動方向と振動板の振動方向が異なる場合であっても、良好な振動の伝達効率を得ることができ、スピーカ装置の良好な再生効率を得ることができる。特に、ボイスコイルの振動を確実に振動板に伝えることで高音域の良好な再生特性を得ることが可能になる。
 また、前記フレームは平面状の底面を有し、前記振動板は前記フレームの底面に沿って平面的に支持され、前記磁気ギャップは前記フレームの底面に沿って形成され、前記振動方向変換部は前記フレームの底面からの反力により当該底面と交差する方向に前記振動板を振動させることを特徴とする。これによると、スピーカ装置全体をフレームの底面に沿った平面的な形状にすることができ、全体的な装置の薄型化が可能になる。
 また、前記磁気回路は、互いに逆方向の磁場が形成される一対の磁気ギャップを有し、前記ボイスコイルは、平面状に形成されて、前記一対の磁気ギャップで逆方向に電流が流れるように環状に形成されることを特徴とする。これによると、平面状のボイスコイルを一対の磁気ギャップを利用して高い駆動力で平面的に振動させることができ、ボイスコイルの平面的な剛性を高めることで、揺らぎが比較的小さい直線的な振動が可能になる。特に、前述した平面状のフレーム底面を有するものでは、フレーム底面上の薄い空間をボイスコイルの振動スペースにすることができ、厚さ方向のスペース効率を向上させることができる。
 また、前記駆動部を一対設け、前記振動方向変換部を互いに略左右対称に対向配置したことを特徴とする。対向するボイスコイルの振動を逆向きに同期させることで、一対の駆動部の駆動力を加えて一つの振動板を振動させることができ、薄型・小型化したスピーカ装置であっても高い駆動力を得ることができる。
 以下、図面に基づいてより具体的に説明する。図2~図9は、本発明の実施形態に係るスピーカ装置の基本構成を示した説明図である。図2(a)が平面図(振動板は仮想線で示し、振動板を除いた状態を示している)、図2(b)が図2(a)におけるA-A断面図(振動板を含む)、図3~図9は駆動部を示した説明図(図3が組立斜視図、図4が分解斜視図、図5が断面図、図6が振動方向変換部の動作を示した説明図、図7~図9がボイスコイルの保持機構の具体例を示した説明図)である。以下の説明において、音響放射方向(SD)をZ軸方向と規定し、スピーカ装置の長手方向をそのZ軸方向に直交するX軸方向、Z軸方向とX軸方向に直交する方向をY軸方向と規定している。
 本発明の実施形態に係るスピーカ装置1は、振動板2と、振動板2を振動方向に沿って振動自在に支持する静止部100と、静止部100に設けられ、音声信号によって振動板2に振動を与える駆動部4とを備えている。静止部100は、振動板2及び駆動部4等の振動を支持する部位の総称であって、ここでは、フレーム3、フレーム3の機能を兼ねた後述するヨーク部、取り付けユニット等が静止部100にあたる。静止部100は、それ自体が完全に静止していることを意図するわけではなく、それ全体が駆動部4の振動の影響を受けて、或いは他の力を受けて、振動するものであってもよい。振動板2はその外縁がエッジ5を介して静止部100であるフレーム3の外周縁部3Aに支持されている。このエッジ5の機能によって振動板2は基本的にZ軸方向にのみ振動方向が規制されている。音声信号が駆動部4に加えられると駆動部4が駆動し、その駆動によって生じる振動が振動板2に与えられる。
 駆動部4は、磁気回路40とボイスコイル60と振動方向変換部7とを備えており、ボイスコイル60が磁気回路40の磁気ギャップ40Gに沿って一軸方向に振動し、その振動を振動方向変換部7が方向変換して振動板2に伝える。図示の例では、X軸方向に沿ってボイスコイル60が振動し、それと直交するZ軸方向に振動板2が振動可能に配置されており、振動方向変換部7は、ボイスコイル60のX軸方向の振動を自身の変化する斜設角度に変換して、振動板2をZ軸方向に振動させている。
 磁気回路40は、振動板2の振動方向(例えばZ軸方向)とは異なる方向(例えばX軸方向)に沿って磁気ギャップ40Gを形成している。図示の例では、振動板2の振動方向と直交する方向に沿って磁気ギャップ40Gを形成しているが、特にそれに限定されるものではなく、所定の角度をなす方向に沿って磁気ギャップ40Gを形成しても良い。
 ボイスコイル60は、音声信号が入力される導線を巻き回して平板状に形成され、それ自身が静止部100に振動自在に配置されるか、或いはボイスコイル支持部6を介して静止部100に振動自在に配置される。ボイスコイル支持部6は、保持部(ダンパ)8によって振動方向が直線的に規制され、磁気ギャップ40Gに沿った方向のみの移動が許容されており、ボイスコイル60に音声信号が入力されると、磁気ギャップ40G内のボイスコイル60にローレンツ力が作用して、ボイスコイル60と一体に振動する。
 振動方向変換部7は、ボイスコイル60の振動を方向変換して振動板2に伝えるものである。この振動方向変換部7は、後述するようなボイスコイル60又はボイスコイル支持部6と振動板2との間で角度変更自在に斜設される剛性のリンク部分と、リンク部分の両端に形成される関節部分とを備えており、ボイスコイル支持部6の振動と静止部(本実施形態ではフレーム3)から受ける反力によってボイスコイル支持部6と振動板2との間に形成されたリンク部分(第1のリンク部分)70の角度を変換させる。
 保持部8は、ボイスコイル60が直線的に振動するように、ボイスコイル60又はボイスコイル支持部6を静止部100となるフレーム3に保持するものである。この実施形態では保持部8は音声信号をボイスコイル60に伝達する伝達経路を形成しており、静止部100となるフレーム3に設けた音声信号入力端子9に入力された音声信号が保持部8を介してボイスコイル60に入力されている。
 このような本発明の実施形態によると、例えば音声信号発生源からフレーム3に備えた音声信号入力端子9に音声信号が送られ、更に音声信号入力端子9から保持部8を介してボイスコイル60に音声信号が入力されると、振動板2の許容される振動方向とは異なる方向に沿って形成された磁気ギャップ40Gに沿ってボイスコイル60又はボイスコイル支持部6が振動することになり、この振動が振動方向変換部7によって方向変換されて振動板2に伝達されることになって、振動板2を振動させて音響放射方向SDに音声信号に応じた音が放射される。
 この際、磁気ギャップ40Gの方向を振動板2の振動方向及びスピーカ装置1の厚さ方向に交差させているので、磁気回路40の駆動力或いは、ボイスコイル60又はボイスコイル支持部6の振動ストロークを大きくすることが直接的にスピーカ装置1の厚さ方向(Z軸方向)の大きさに影響を与えない。よって、大音量化を図りながらスピーカ装置1の薄型化を実現することが可能になる。また、構造的にはボイスコイル60又はボイスコイル支持部6の振動ストロークよりスピーカ装置1の厚さを薄くすることも可能になり、薄型化が実現しやすい構造になっている。
 また、振動方向変換部7は、機械的なリンク機構によってボイスコイル60又はボイスコイル支持部6の振動方向を変換して振動板2に伝えているので、振動の伝達効率が高い。更に、リンク部分70の角度変換が静止部100となるフレーム3からの反力を受けて行われるので、より確実にボイスコイル60又はボイスコイル支持部6からの振動を振動板に伝えることができる。これによって、スピーカ装置1の良好な再生効率を得ることができ、特に、ボイスコイル60の振動を確実に振動板2に伝えることで高音域の良好な再生特性を得ることが可能になる。
 更には、静止部100となるフレーム3に設けた音声信号入力端子9に入力された音声信号が保持部8を介してボイスコイル60に入力されるので、ボイスコイル60と音声信号入力端子9とを電気的に接続するリード線がボイスコイル60の振動に連なって振動してボイスコイル60の振動に悪影響を与えることを排除できる。また、前述したリード線に余長を与える空間を設けなくても良いので、フレーム3内空間のコンパクト化が可能になり、スピーカ装置全体の小型化・薄型化が可能になる。
 以下、本実施形態に係るスピーカ装置1の各構成要素について詳細に説明する。
 [静止部100(フレーム3)]静止部100は、振動板2を振動方向に沿って振動自在に支持すると共に駆動部4を内部で支持している。また、静止部100としてのフレーム3は振動方向変換部7のリンク機構の一部を支持してリンク機構の動作に対してフレーム3からの反力を加える。このようなフレーム3は平面状の底面31Aを有していることが望ましい。
 また、フレーム3は、ボイスコイル60又はボイスコイル支持部6に対し静止している状態にて配置されている静止部100でもある。なお、ここでいう静止部100は、完全に静止している状態を意図するものではなく、例えば、振動板2を支持できる程度に静止していればよい。この静止部100には、スピーカ装置1を駆動する際に生じる振動が伝搬し、振動が静止部100全体に生じていても構わない。また、静止部100は後述する磁気回路40を機械的に一体となって配置されていればよく、フレーム3は磁気回路40に支持されているとも言えるので、フレーム3は静止部100になり、また、磁気回路40自体又は磁気回路40の構成部材、或いは磁気回路40にて支持されている部材が静止部100に成りうる。
 図2に示したフレーム3は、音響放射方向(SD)から視認すると、平面形状が矩形状に形成されており、断面形状が凹形状に形成されている。図示のように、フレーム3は、詳細には、平面形状が矩形状の底板部31と、底板部31の外周部から音響放射方向(SD)に向かって立設される矩形状の筒状部32とを有し、上部に開口部30が形成されている。また、底板部31上には磁気回路40が配置され、筒状部32の上端部にはエッジ5の外周部が接着剤などにより接合され、開口部30にはエッジ5を介して支持された振動板2が配置されている。図示の例では、筒状部32の上端部には、内側に向かって延在した平坦な外周縁部3Aが形成されており、この外周縁部3Aにエッジ5が接合されている。フレーム3の形成材料としては、例えば樹脂、金属などの公知の材料を採用することができる。また、フレーム3の代わりに、後述する磁気回路4を構成するヨーク部41が前述のフレーム3と同形状を備え、エッジ5等を支持するようにしても構わない。
 また、図2(b)に示すように、フレーム3は例えば側面部や底面部に孔部33が形成されている。この孔部33は、例えば通気孔として機能する。例えば通気孔を設けない場合、スピーカ駆動時に、振動板2の振動に伴い、振動板2とフレーム3により囲まれた空間の空気がバネ性を帯びて、振動板2の振動が低減する場合がある。これに対して、図示の例では、孔部33が設けられているので、そのような振動板2の振動低減を抑止することができる。また、この孔部33は磁気回路40やボイスコイル60の熱を放熱するように機能する。また、フレーム3には音声信号入力端子9が設けられている。この音声信号入力端子9には、例えばスピーカ装置外部に設けられた、アンプ、イコライザ、チューナ、放送受信機、テレビジョンなどの音声信号発生源と電気的に接続する信号線が接続されている。
 [振動板2]振動板2は、図2(b)に示すように、振動方向(Z軸方向)に沿って振動自在にフレーム3に支持されている。振動板2は、スピーカ駆動時、音響放射方向(SD)に音波を放射する。また、振動板2は、エッジ5を介してフレーム3に支持されており、振動方向以外の方向、詳細にはX軸方向やY軸方向に沿った移動は、エッジ5により規制されている。このエッジ5と振動板2は一体形成されてもよい。
 振動板2の形成材料としては、例えば、樹脂系材料、金属系材料、紙系材料、セラミックス系材料、複合材料などを採用することができる。振動板2は、例えば剛性を有することが好ましい。振動板2は、例えば平板形状、ドーム形状、コーン形状などの規定形状に形成することができる。図示の例で振動板2は平板形状に形成されており、また、フレーム3の平面状の底面31Aに沿って支持されている。薄型化の実現を課題とする本発明の実施形態としては、平板形状の振動板2が特に好ましい。また、振動板2は、音響放射方向(SD)から視認した形状(平面形状)が、矩形状、楕円形状、円形状、多角形状など、規定形状に形成することができる。図示の例では、振動板2は平面形状が矩形状に形成されている。
 振動板2は、振動自在にフレーム3に支持されており、振動板2の背面側(音響放射方向とは逆側)における振動板2とフレーム3とで囲まれる空間が音響放射方向に対して遮断されているので、振動板2の背面側から発せられる音波が音響放射方向に向けて放射されるのを抑止でき、振動板2の前面側(音響放射面)から発せられる音波と干渉することを抑止することができる。
 [エッジ5]エッジ5は、振動板2とフレーム3と間に配置され、内周部が振動板2の外周部を支持するとともに、外周部がフレーム3に接合することにより、振動板2を規定位置に保持する。詳細には、エッジ5は、振動板2を振動方向(Z軸方向)に沿って振動自在に支持するとともに、振動方向に直交する方向には制動する。図示のエッジ5は、音響放射方向から視認した場合、リング形状に形成されている。エッジ5は、図2(b)に示すように、断面形状が規定形状、例えば凸形状、凹形状、波型形状などに形成されている。本実施形態ではエッジ5は、音響方向に凹形状に形成されている。エッジ5は、例えば、皮,布,ゴム,樹脂,それらに目止め加工を施したもの、ゴム、樹脂や発泡樹脂などを規定の形状に成形した部材等を採用することができる。
 [磁気回路40]磁気回路40は、フレーム3に内に配置されている。図示の磁気回路40は、図2(b)に示すように、フレーム3に収容されており、フレーム3の平面状の底面31Aに沿って磁気ギャップ40Gが形成されている。磁気回路40としては、例えば、内磁型磁気回路、外磁型磁気回路、等を採用することができる。
 磁気回路40の具体的な構造としては、図4及び図5に示すように、ヨーク部41、および磁石42を有する。図示の磁気回路40は、複数の磁石42A~42Dを有する。この磁気回路40では、磁石42が、磁気ギャップ40Gの磁場の方向に沿った両側に設けられている。例えば磁気ギャップ40Gは、ボイスコイル60がX軸方向に沿って規定範囲内で移動することができるようにX軸方向に沿って形成されている。
 ヨーク部41は、下側平坦部41A、上側平坦部41B、および支柱部41Cを有する。下側平坦部41Aと上側平坦部41Bは規定間隔をあけて略平行に配置されており、中央部には、支柱部41Cが下側平坦部41Aおよび上側平坦部41Bに対して略直交する方向へ延在するように形成されている。
 磁気ギャップ40Gの磁場中のボイスコイル60に音声信号(電流)が流れた場合、フレミング左手の法則により、磁場の方向および電流の方向それぞれに直交する方向に沿ってローレンツ力が生じる。本実施形態に係るスピーカ装置1は、振動板2の振動方向と異なる規定方向、詳細には、振動板2の振動方向(Z軸方向)に対して直交する方向(X軸方向)に沿って、ボイスコイル60にローレンツ力が生じて、ボイスコイル60がX軸方向に沿って振動するように、ボイスコイル60および磁気回路40が構成されている。平坦部41A,41Bには磁石42A~42Dが配置され、磁石42Aと磁石42Cとで一つの磁気ギャップ40G1が形成され、磁石42Bと磁石42Dとでもう一つの磁気ギャップ40G2が形成されている。この一対の磁気ギャップ40G1と磁気ギャップ40G2は、平面的に並べて形成され、互いに逆方向の磁場が形成されるようになっている。
 一方、本実施形態に係るリング状のボイスコイル60は、音響放射方向(SD)から視認した場合、平面形状が略矩形状に形成されており、Y軸方向に沿って形成された直線部60A,60Cと、X軸方向に沿って形成された直線部60B,60Dにより構成されている。ボイスコイル60の直線部60A,60Cは、磁気回路40の磁気ギャップ40G内に配置され、磁場の方向がZ軸方向に沿うように規定されている。ボイスコイル60の直線部60B,60Dには磁場を印加しないほうが好ましい。また、直線部60B,60Dに磁場が印加されている場合でも、その直線部60B,60Dに生じるローレンツ力が互いに相殺するように構成されている。
 また、本実施形態に係るボイスコイル60は、薄型の平板形状に形成されており、巻き数を比較的多くすることで、磁気ギャップ40G中の部分を比較的大きくすることができ、スピーカ駆動時、比較的大きな駆動力を得ることができる。
 そして、本実施形態に係る磁気回路40は、図5に示すように、ボイスコイル60の直線部60Aにかかる磁場の向きが、直線部60Cに係る磁場の向きに対して逆向きとなるように、複数の磁石42A~42Dが着磁されている。また、ボイスコイル60の直線部60A,直線部60Cそれぞれには逆向きに音声信号が流れるように、ボイスコイル60は環状に形成されている。
 このようなスピーカ装置1では、ボイスコイル60に音声信号が入力されると、直線部60Aに生じるローレンツ力と、直線部60Cに生じるローレンツ力が同一方向となり、例えば直線部60A,60Cのいずれか一方のみに磁場を印加している構成と比較して、駆動力が2倍となっている。このため、このような構成の磁気回路40とボイスコイル60では、比較的薄型に構成することができ、かつ比較的大きな駆動力を得ることができる。
 [ボイスコイル60及びボイスコイル支持部6]ボイスコイル支持部6は、前述したボイスコイル60を備えるとともに、振動板2の振動方向に対して異なる方向に沿って移動自在に形成されている。図示の例では、フレーム3の平面状の底面31Aに沿って形成された磁気ギャップ40Gに沿って振動自在に配置されている。更に詳細には、本実施形態に係るボイスコイル支持部6は、X軸方向に沿ってのみ移動自在に形成されており、それ以外の方向には移動が規制されている。
 また、ボイスコイル支持部6は、磁気回路40の磁気ギャップ40G内にボイスコイル60が配置されるとともに、ボイスコイル60から移動方向に沿って磁気ギャップ40G外まで延出した形状の平面状の絶縁部材61を有する。また、ボイスコイル支持部6は、開口部62が形成されており、その開口部62の外周に沿ってボイスコイル60が備えられている。このような構造のボイスコイル支持部6は、絶縁部材61の内部にボイスコイル60が埋め込まれた構造にすることができるので、これによってボイスコイル60の強度を補強することができ、ボイスコイル60の歪みを低減することができる。
 図示の例では開口部62は、磁気回路40の支柱部41Cに遊嵌されており、この状態でボイスコイル支持部6の移動範囲が規制されている。具体的には開口部62は矩形状に形成されており、ボイスコイル支持部6の移動方向に沿った両辺の間隔が、支柱部41Cの幅と略同じ大きさ又は大きく形成されており、移動方向に直交する方向の両辺の間隔は、ボイスコイル支持部6の移動範囲に対応して比較的大きく形成されている。
 [振動方向変換部7]振動方向変換部7は、ボイスコイル支持部6の振動と静止部100としてのフレーム3から受ける反力によってボイスコイル支持部6と振動板2との間に形成されたリンク部分(第1のリンク部分)70を角度変換させるリンク機構を備える。具体的には、図2及び図3に示した例では、一端をボイスコイル支持部6との関節部70Aとし、他端を振動板2との関節部70Bとする第1のリンク部分70と、一端を第1のリンク部分70の中間部との関節部71Aとし、他端をフレーム3との関節部71Bとする第2のリンク部分71とを有し、第1のリンク部分70と第2のリンク部分71をボイスコイル支持部6の振動方向(例えば、X軸方向)に対して異なる方向に傾斜配置している。
 ここでいうリンク部分とは、リンク機構を形成するための一部であって、基本的には変形しない(剛性を有する)部分で、その両端に関節部を有する。この関節部は二つの部材を回転可能に接合することによって形成することもできるし、一つの部材を任意の角度に屈折自在にした屈折箇所として形成することもできる。図2(b)に示した例では、関節部71Bは、静止部100となるフレーム3の底面31A上に突出して形成された支持部34上に形成されている。また、後述するように、静止部100として、フレーム3の代わりにヨーク部41であってもよく、ヨーク部41が静止部100である場合には、前述の支持部34はヨーク部41上に配置される。
 図2及び図3に示した例では、第1のリンク部分70,第2のリンク部分71,関節部70A,70B,71A,71Bによってリンク機構が形成されている。この例では第2のリンク部分71とフレーム3との関節部71Bが位置変位しない関節部であって、他の関節部70A,70B,71Aは位置が変位する関節部になっている。これによって、全体のリンク機構は関節部71Bにおいてフレーム3からの反力を受ける構造になっている。このリンク機構では、関節部70Aがボイスコイル支持部6の振動によってX軸方向に移動すると、関節部70BはZ軸方向に沿って移動することになり、ボイスコイル支持部6の振動を方向変換して振動板2に伝える。
 本発明の実施形態に係る振動方向変換部7は、線状の屈折部を有する板状部材によって形成することができ、この屈折部を前述したリンク機構の関節部にすることができる。すなわち、図示の例では、第1のリンク部分70及び第2のリンク部分71を板状部材によって形成し、リンク機構の関節部70A,70B,71A,71Bを線状の屈折部によって形成することができる。これによると、振動板2との接合部分を線状に接合することができるので、平面状の振動板2に対して幅方向に沿って均一に振動を加えることができ、振動板全体を略同位相で振動させることが可能になる。すなわち、分割振動の発生を抑えて特に高音域側の再生が可能になる。また、各リンク部分は剛性を有するので、固有振動モードでの振動が発生しにくく、リンク部分のたわみ振動等が振動板2の振動へ悪影響を与えるのを抑止し、音響特性が低減することを抑止できる。
 本実施形態に係る振動方向変換部7は、図示はしていないが、例えば通気孔を形成しても良い。通気孔は、スピーカ振動時の振動板2とフレーム3で囲まれる空間の空気圧の局所的な変動を低減することができ、空気圧による振動方向変換部7の制動を抑止する。また、通気孔によって例えばリンク部分に中抜きが形成されて、リンク部分を軽量化できるので、これによって高域再生が可能になる。また、振動方向変換部7の軽量化は特に再生特性の広域化や、所定の音声電流に対する音波の振幅及び音圧レベルを大きくすることに有効である。また、リンク部分に通気孔を形成することで、リンク部分に作用する空気圧(制動力)を比較的小さくすることができる。
 また、振動方向変換部7は、屈折部で繋がった一体部品からなるようにしてもよい。この場合は、複雑なリンク機構を形成する振動方向変換部7を即座にボイスコイル支持部6や振動板2に接合することができ、装置の組立性が良好になる。また、振動方向変換部7は例えばボイスコイル支持部6や振動板2と一体に形成することも可能である。
 図6は、本発明の実施形態に係るスピーカ装置1の動作を説明するための説明図である。詳細には、図6(b)は振動板2が基準位置に位置した状態の振動方向変換部7の状態、図6(a)は振動板2が基準位置に対して音響放射側に変位している状態の振動方向変換部7の状態、図6(c)は振動板2が基準位置に対して音響放射側に対して反対方向に変位している状態の振動方向変換部7の状態を示している。
 前述したように、関節部71Bが唯一位置変動しない関節部であり、これがフレーム3に対して支持され、フレーム3からの反力をリンク機構に付与している。これによって、ボイスコイル支持部6が基準位置X0からX軸方向にX1だけ移動すると、図6(a)に示すように、異なる方向に傾斜配置している第1のリンク部分70と第2のリンク部分71の角度がほぼ同角度立ち上がることになり、関節部71Bでフレーム3からの反力を受けて関節部70Bは確実に振動板2を基準位置Z0からZ軸方向にZ1だけ押し上げる。また、ボイスコイル支持部6が基準位置X0からX軸と逆方向にX2だけ移動すると、図6(c)に示すように、第1のリンク部分70と第2のリンク部分71の角度がほぼ同角度下がることになり、関節部71Bでフレーム3からの反力を受けて関節部70Bは確実に振動板2を基準位置Z0からZ軸と逆方向にZ2だけ押し下げる。
 ここで、関節部70Aから関節部71Aまでのリンク部分の長さaと関節部71Aから関節部70Bまでのリンク部分の長さbと関節部71Aから関節部71Bまでのリンク部分の長さcを等しくして、ボイスコイル支持部6の移動方向の直線上に関節部70Aと関節部71Bを配置していることが好ましい。このようなリンク機構はスコットラッセルの機構として知られており、関節部70A,70B,71Bは関節部71Aを中心として直径が第1のリンク部分70の長さ(a+b=2a)の円周上にある。すなわち、関節部70A,71B,70Bのなす角は常に直角になる。これによって、ボイスコイル支持部6をX軸方向に移動させると、第1のリンク部分70と振動板2との関節部70Bは常にX軸と垂直なZ軸に沿って移動することになり、ボイスコイル支持部6の振動方向をそれとは垂直方向に変換して振動板2に伝えることができる。
 [保持部(ダンパ)8]保持部8は、ボイスコイル支持部6が磁気回路40に接触しないように、ボイスコイル支持部6を磁気ギャップ40G内の規定位置に保持するとともに、ボイスコイル支持部6を振動方向(X軸方向)に沿って移動自在に支持している。この保持部8は、ボイスコイル支持部6の振動方向と異なる方向、例えばZ軸方向やY軸方向には、ボイスコイル支持部6が移動しないように規制している。
 図7~図9は、保持部8によるボイスコイル支持部6の保持機構の具体例を示した説明図である。保持部8は、例えば、導電性金属で形成され、ボイスコイル支持部6側の端部でボイスコイル60の端部又は該端部からの引き出し線60P,60Qと電気的に接続され、フレーム3側の端部で音声信号入力端子9と電気的に接続されている。前述したように保持部8自体を導電性金属からなる振動配線にしても良いし、保持部8が配線基板(基板上に例えば線状の配線が形成されているもの)になっていてもよい。
 図示の例では、保持部8は、ボイスコイル支持部6の振動方向に沿った一方向の変形を許容して他の方向への変形を規制した湾曲板状部材であり、ボイスコイル支持部6を略左右対称に保持している。図7の例では、保持部8の両端部は、一端が接続部8Aによってボイスコイル支持部6側に取り付けられており、他端が接続部8Bでフレーム3側に取り付けられている。接続部8A,8Bは樹脂等の絶縁体で構成されており、ボイスコイル60から引き出された引き出し線60P,60Qは、保持部8と半田等を用いて電気的に接続されており、保持部8は音声信号入力端子9と電気的に接続されている。
 また、この接続部8A,8Bは電気的な接続端子を形成していてもよく、接続部8Aがボイスコイル60の端部又はその端部から引き出された引き出し線60P,60Qに接続され、接続部8Bが音声信号入力端子9と電気的に接続されていてもよい。
 従来のスピーカ装置に使用されるリード線は、スピーカ装置を駆動する際、振動するので、リード線がスピーカ装置を構成する部材、例えばフレーム3Jに接触することを抑止すべく、所定の空間内にてリード線を引き回す必要があり、スピーカ装置の薄型化を阻害する一つの要因となっている。しかし、図7の例のように、ボイスコイル支持部6上に引き出し線60P、60Qが形成されることで、引き出し線60P、60Qを引き回すための所定の空間を設ける必要がなく、スピーカ装置1を薄型化することが可能となる。
 接続部8Bには、外部からの配線を取り付けるための複数の溝部が形成されている。接続部8Bには、保持部8の他端が取り付けられており、ボイスコイル支持部6が基本的にX軸方向に振動するよう、接続部8Bは保持部8をフレーム3に支持している。また、引出線60P、60Qが導電性の保持部8まで延びて、電気的に接続されることで、引出線60P、60Qと保持部8とが断線することを抑止でき、スピーカ装置1の信頼性を向上させることができる。
 湾曲板状部材である導電性金属からなる保持部8は、保持部8の変形によってX軸に沿った方向にボイスコイル支持部6の移動を許容し、Z軸に沿った方向に関しては湾曲板状部材の高い剛性によって移動を規制している。したがって、ボイスコイル支持部6はZ軸方向にはフレーム3に対して常に所定の高さが保持されている。また略左右対称に保持部8を設けることで、ボイスコイル支持部6のY方向の動きに対しては保持部8の弾性力による釣り合い状態にあり、これもフレーム3に対して所定の位置に保持されている。
 図8に示す例では、左右の保持部が一体化されてボイスコイル支持部6端縁の一辺6aを保持している(図7に示す例と同一箇所は同一符号を付して重複説明を省略する)。すなわち、左右の保持部を一体化した一体保持部80を備えている。一体保持部80は、波形に形成された板状部材であり、ボイスコイル支持部6の一辺6aに沿ったスリット80Bが形成されており、このスリット80Bに前述した一辺6a全体が保持されている。また一体保持部80の両端80A,80Aはフレーム3に接続されている。これによって、波形の形成された一体保持部80のZ軸に沿った方向の剛性によって、ボイスコイル支持部6の変形や破損を抑止している。
 図9(同図(A)が背面斜視図、同図(B)が正面斜視図)に示す例では、取り付けユニット81を介してボイスコイル支持部6がフレームに取り付けられており、連結ユニット82を介してボイスコイル支持部6と振動方向変換部7とが連結されている。この例では、ボイスコイル支持部6の振動方向一端縁6b(X軸方向先端部分)に連結ユニット82が取り付けられ、その連結ユニット82の左右両側にそれぞれ保持部8,8の内端8a,8aが取り付けられ、取り付けユニット81のX軸方向先端部に備えられた音声信号入力端子9に保持部8,8の外端8b,8bが接続されている。また、引き出し線60P,60Qの端子部60P1,60Q1がボイスコイル支持部6上に形成され、その端子部60P1,60Q1と前述した保持部8の内端8a,8aが電気的に接続されている。
 更には、ボイスコイル支持部6のX軸方向後方部分は、左右両端に一体保持部80の外端80a,80aが接続され、一体保持部80の中央部80bが取り付けユニット81のX軸方向後端に設けられた取り付け端部81Aに接続されている。具体的には、ボイスコイル支持部6における振動方向他端縁(一辺6a)の両側端には、一体保持部80に向けて凸状の突起部(支持部)6a1,6a1が形成され、一体保持部80の両側端部80a,80aには突起部6a1,6a1が支持されるスリット(被支持部)80a1,80a1が形成され、このスリット80a1,80a1に突起部6a1,6a1が挿入されている。そして、この取り付けユニット81をフレーム3の内部に取り付けるようにしている。これによると、各部を取り付けユニット81に取り付けて一体にした後、これをまとめてフレーム3に取り付けるので製造時の位置決め工程等を簡略化することができ、製造時間の短縮化を図ることができる。また、一体保持部80がボイスコイル支持部6の幅方向に対して外に張り出さないので、幅方向の小型化が可能になる。
 取り付けユニット81は、ボイスコイル支持部6の振動方向に沿った両側縁とボイスコイル支持部6の振動方向他端縁(一辺6a)とを囲むように配置されている。取り付けユニット81のボイスコイル支持部6の振動方向に沿った両側縁の外側に位置する接続部83,83に保持部8の端部が取り付けられ、取り付けユニット81のボイスコイル支持部6の振動方向他端縁(一辺6a)の外側に位置する取り付け端部81Aに左右の保持部を一体化した一体保持部80の中央部80bを支持し、取り付けユニット81を介してボイスコイル支持部6をフレーム3に取り付けている。また、取り付け端部81Aの内側側面86には、一体保持部80に向かって凸状の支持部81A1が形成され、一体保持部80の中央には支持部81A1に支持されるスリット(被支持部)80b1が形成されている。
 取り付けユニット81は、ボイスコイル支持部6の下方で且つ周囲を囲むように、フレーム3上に設けられている。取り付けユニット81は、外部からの接続配線が取り付けられる音声入力端子9と、保持部8の外端8bが取り付けられる柱状の接続部(支柱)83と、接続部83からX軸方向後方に延在する腕部84と、腕部84にて支持される取り付け端部81Aとを備える。取り付け端部81Aは、腕部84にて支持される底面部85と、底面部85からZ軸方向に延在する内側側面86とを備える。内側側面86には、前述したように一体保持部80の中央部80bが取り付けられる。また、取り付け端部81Aはその断面形状が略くの字状に形成されている。
 前述したように、一体保持部80の中央部80bのスリット80b1に、取り付け端部81Aの凸状の支持部80A1が挿入されることで、一体保持部80がフレーム3上で一定の位置にて保持されつつ、ボイスコイル支持部6をフレーム3に対し支持することができる。また、一体保持部80をフレーム上に設ける際、取り付け端部81Aの凸状の支持部80A1を利用し、位置決めを行うことができ、フレーム上の規定の位置に一体保持部80を配置することができる。
 図10~図14は、本発明の実施形態における振動方向変換部の構成例を示したものである。前述した実施形態と共通する箇所は同一符号を付して重複説明を省略する。図10(a),(b)及び図11に示す実施形態はそれぞれ2つの特徴を有しており、その一つは、振動方向変換部7が、ボイスコイル支持部6の振動方向両端に設けられ、両端に設けられた振動方向変換部7のリンク部分によって平行リンクが形成されていること、他の特徴は、駆動部4を一対設け、振動方向変換部7を互いに左右対称に対向配置していることである。
 図10(a),(b)に示すスピーカ装置1S,1Tは、それぞれ、一つの振動板2に対して、左右一対の駆動部4(R),4(L)を備えており、駆動部4(R),4(L)は左右対称に設けられている。つまり、駆動部4(R)には、磁気回路40(R)とボイスコイル支持部6(R)が設けられ、ボイスコイル支持部6(R)の振動板2中心側の端部には第1のリンク部分70(R)と第2のリンク部分71(R)が設けられ、ボイスコイル支持部6(R)の外側端部には、一端をボイスコイル支持部6(R)との関節部72A(R)とし、他端を振動板2との関節部72B(R)とする外側リンク部分72(R)が設けられている。同様に、駆動部4(L)には、磁気回路40(L)とボイスコイル支持部6(L)が設けられ、ボイスコイル支持部6(L)の振動板2中心側の端部には第1のリンク部分70(L)と第2のリンク部分71(L)が設けられ、ボイスコイル支持部6(L)の外側端部には、一端をボイスコイル支持部6(L)との関節部72A(L)とし、他端を振動板2との関節部72B(L)とする外側リンク部分72(L)が設けられている。
 そして、図10(a)に示したスピーカ装置1Sは、ボイスコイル支持部6(R),6(L)の振動板2中心側端部に設けられる振動方向変換部において、第1のリンク部分70(R),70(L)の振動板2との関節部70Bが共通部となっており、第2のリンク部分71(R),71(L)のフレーム3との関節部71Bが共通部になっている。これよって、関節部70B,71A(R),71A(L),71Bによって菱形状のリンク機構が形成され、ボイスコイル支持部6(R),6(L)の互いにX軸方向に沿って近接・離間する振動を方向変換して振動板2にZ軸方向(音響放射方向)の振動を与える。この場合にも、関節部71Bがフレーム3に支持されていることで、ボイスコイル支持部6(R),6(L)の近接・離間振動に対して、第1のリンク部分70(R),70(L)及び第2のリンク部分71(R),71(L)からなるリンク機構がフレーム3からの反力を受け、この反力によって振動板2を確実にZ軸方向に振動させている。
 また、一つのボイスコイル支持部6(R)の振動方向両側に設けられる第1のリンク部分70(R)と外側リンク部分72(R)、或いはボイスコイル支持部6(L)の振動方向両側に設けられる第1のリンク部分70(L)と外側リンク部分72(L)は、それぞれ平行リンクを形成しており、ボイスコイル支持部6(R),6(L)のX方向の移動によって、ほぼ平行な第1のリンク部分70(R)と外側リンク部分72(R)、或いは第1のリンク部分70(L)と外側リンク部分72(L)がほぼ同じ角度で角度変換することになる。これによって3箇所の関節部70B,72B(R),72B(L)が振動板2の平面状態を維持しながら上下動することになり、平面状の振動板2に略同位相で振動させることが可能になる。これによって、振動板2の分割振動を抑制することが可能になる。この際、一対のボイスコイル支持部6(R),6(L)の振動は、略同位相・略同振幅で互いに逆方向に振動することが条件になる。
 図10(b)に示したスピーカ装置1Tは、関節部70Bが関節部70B(R)と70B(L)に分離してそれぞれ離間配置され、関節部71Bが関節部71B(R)と71B(L)に分離してそれぞれ離間配置されている以外は、図10(a)に示したスピーカ装置1Sと同様である。したがって、図10(b)に示したスピーカ装備1Tは図10(a)に示したスピーカ装置1Sと同様の機能を示すが、スピーカ装置1Tは同時に上下動する4箇所の関節部70B(R),70B(L),72B(R),72B(L)によって振動板2が上下動するので、更に振動板2の分割振動を抑制することが可能になる。
 図11に示す実施形態は、外側リンク部分のリンク機構を除いては、図11に示す実施形態と同様である(図示の例は図10(a)に対応する構成例を示しているが、同様に外側リンク部分のみを換えて図10(b)に対応する構成例を実施することができる。図10との共通部分は同一符号を付して重複説明を省略する)。同図(a)は全体断面図、同図(b),(c)は外側リンク部分とフレームとの関節部を示した説明図である。このスピーカ装置1Uは、外側リンク部分が第1の外側リンク部分72(R),72(L)と第2の外側リンク部分73(R),73(L)を備える。ここでも、略左右対称の一対の駆動部4(R),4(L)を備えている。
 図11に示したスピーカ装置1Uでは、一端をボイスコイル支持部6(R)又は6(L)の外側部分との関節部72A(R)又は72A(L)とし、他端を振動板2との関節部72B(R)又は72B(L)とする第1の外側リンク部分72(R),72(L)と、一端を第1の外側リンク部分72(R)又は72(L)の中間部との関節部73A(R)又は73A(L)とし、他端をフレーム3との関節部73B(R)又は73B(L)とする第2の外側リンク部分73(R),73(L)とを備える。図示の例では、関節部73B(R),73B(L)は支持部35を介してフレーム3に支持されている。
 第2の外側リンク部分73(R),73(L)とフレーム3との関節部73B(R),73B(L)について説明すると、図11(b)に示すように、ボイスコイル支持部6(R)には開口部63が形成され、開口部63を介して第2の外側リンク部分73(R)の端部がフレーム3に支持部35を介して支持されていてもよいし、同図(c)に示すように、第2の外側リンク部分73(R)は端部が門型状に形成され、ボイスコイル支持部6(R)を跨いで端部がフレーム3に支持部35を介して支持されていてもよい(図示は右側(R)の例のみを示したが左側も同様(ほぼ左右対称)である)。
 このような実施形態によると、ボイスコイル支持部6(R),6(L)外側端部のリンク部分においても、フレームからの反力を受けるリンク機構を形成することができ、ボイスコイル支持部6(R),6(L)の移動に対して、フレーム3からの反力を利用して第1の外側リンク部分72(R),72(L)を角度変換するので、確実に振動板2を上下動させることができる。
 また、この実施形態では、第1のリンク部分70(R),70(L)及び第2のリンク部分71(R),71(L)からなるリンク機構が、ボイスコイル支持部6(R),6(L)がX軸方向に沿って移動する際に、常にフレーム3からの反力を受けることになるので、振動板2を上下動(Z軸方向に移動)させるときに振動板2から受ける反力によってボイスコイル支持部6(R),6(L)が上下動することを抑止できる。これによって、ボイスコイル支持部6(R),6(L)を円滑に振動させることができると共に、この振動を円滑に振動板2に伝えることができる。
 図12は、本発明の実施形態に係るスピーカ装置の一部を示す説明図である(同図(a)が側面図、同図(b),(c)が振動方向変換部の平面図)。ここでは、ボイスコイル支持部6の振動を方向変換して振動板2に伝える振動方向変換部の他の実施形態を示している。
 この振動方向変換部は、一端をボイスコイル支持部6との関節部170Aとし、他端を振動板2との関節部170Bとする第1のリンク部分170と、一端を第1のリンク部分170の中間部との関節部171Aとし、他端をフレーム3との関節部171Bとする第2のリンク部分171と、ボイスコイル支持部6から一体的に延設されるか又はボイスコイル支持部6の一部からなる第3のリンク部分172と、振動板2に沿って固着されるか又は振動板2の一部からなる第4のリンク部分173と、一端を第3のリンク部分172の端部との関節部174Aとし、他端を第4のリンク部分173との関節部174Bとする第5のリンク部分174とを有し、第1のリンク部分170と第5のリンク部分174及び第3のリンク部分172と第4のリンク部分173がそれぞれ平行リンクを形成している。
 このような振動方向変換部によると、ボイスコイル支持部6の振動によって、関節部170AがX軸方向の基準位置X0からX1に移動すると、これによって平行リンクを形成している第3のリンク部分172と第4のリンク部分173は平行状態を維持して、第1のリンク部分170と第5のリンク部分174が立ち上がるように角度変換する。その際、関節部171Bがフレーム3に支持されているので、フレーム3からの反力を受けて第1のリンク部分170と第5のリンク部分174の角度変換が確実に行われ、ボイスコイル支持部6の位置X0から位置X1への変位を振動板2の位置Z0から位置Z1への変位に確実に変換する。
 同様に、関節部170AがX軸方向の基準位置X0からX2に移動すると、これによって平行リンクを形成している第3のリンク部分172と第4のリンク部分173は平行状態を維持して、第1のリンク部分170と第5のリンク部分174が倒れるように角度変換する。その際、関節部171Bがフレーム3に支持されているので、フレーム3からの反力を受けて第1のリンク部分170と第5のリンク部分174の角度変換が確実に行われ、ボイスコイル支持部6の位置X0から位置X2への変位を振動板2の位置Z0から位置Z2への変位に確実に変換する。
 このような実施形態によると、一つのボイスコイル支持部6のX軸方向の振動が略同位相・略同振幅で振動する2箇所の関節部170B,174B及び第4のリンク部分173におけるZ軸方向の振動に変換されることになる。これによって、振動板2は、広い範囲で支持されて略同位相・略同振幅の振動が与えられることになるので、面積が広い平面的な振動板2に対してボイスコイル支持部6の振動を略同位相で伝達することができる。
 図12(a)に示した振動方向変換部のリンク機構は、各リンク部分を同図(b),(c)に示すような板状部材によって形成することができる。各関節部分はリンク部分相互を回転可能に接合したものであっても良いし、リンク部分相互が屈折自在に連結又は一体化しているものであっても良い。板状部材は、剛性が高く軽量の部材が好ましく、繊維強化プラスチックフィルム等を用いることができる。
 図12(b)の例では、第3のリンク部分172,第4のリンク部分173,第5のリンク部分174をそれぞれ一対に平行配置しており、第1のリンク部分170を二股に形成してその中間部に第2のリンク部分171との関節部171Aが形成され、第2のリンク部分171は、一対に平行配置されている第3のリンク部分172,第4のリンク部分173,第5のリンク部分174の間に配備されている。
 同図(c)の例では、第3のリンク部分172,第4のリンク部分173,第5のリンク部分174が中央に配置されており、第1のリンク部分170の両側中間位置に関節部171Aを設けて第2のリンク部分171を中央が延設された第1のリンク部分170の両側に形成している。
 このようにリンク部分を1つの板状部材で形成することで、振動板2を面で支持して振動させることができるので、更に振動板2全体を略同位相で振動させることができ、分割振動を抑制することが可能になる。図12に示した実施形態は、図10に示した例のように、駆動部を一対設けて、振動方向変換部を互いに左右対称に対向配置させることも可能である。この場合には、より多くの箇所で振動板2を支持して略同位相の振動を加えることができるので、更に分割振動を抑制することができる。
 また、リンク部分を複数の板状部材で形成することもできるが、1つの板部材で形成することで製造工程を簡略化することができる。リンク部分を1つの板状部材で形成する際、1つの平板状の板状部材からリンク部分を切り出しても構わない。
 図13は、本発明の実施形態に係るスピーカ装置の一部を示す説明図である(同図(a)が側面図、同図(b)が斜視図、同図(c)が分解斜視図)。ここでも、ボイスコイル支持部6の振動を方向変換して振動板2に伝える振動方向変換部の他の実施形態を示している。ここでは、駆動部を一対設けて、振動方向変換部を互いに略左右対称に対向配置させる場合であって、振動方向変換部を一体部品で形成する場合の一例を示す。
 この実施形態に係る振動方向変換部は、一端をボイスコイル支持部6との関節部270A(R),270A(L)とし、他端を振動板2との関節部270B(R),270B(L)とする一対の第1のリンク部分270(R),270(L)を有する。また、一端を第1のリンク部分270(R),270(L)の中間部との関節部271A(R),271A(L)とし、他端をフレーム3(後述する第6のリンク部分275)との関節部271B(R),271B(L)とする一対の第2のリンク部分271(R),271(L)を有する。更に、ボイスコイル支持部6から一体的に延設される一対の第3のリンク部分272(R),272(L)と、振動板2に沿って固着される第4のリンク部分273とを有する。また、一端を第3のリンク部分272(R),272(L)の端部との関節部274A(R),274A(L)とし、他端を第4のリンク部分273との関節部274B(R),274B(L)とする一対の第5のリンク部分274(R),274(L)を有する。そして、第4のリンク部分273の両端に第1のリンク部分270と振動板2(第4のリンク部分273)との関節部270B(R),270B(L)を形成し、第2のリンク部分271(R),271(L)とフレーム3(後述する第6のリンク部分275)との関節部271B(R),271B(L)を第4のリンク部分273とほぼ等しい長さの第6のリンク部分275の両端に形成する。更には、第1のリンク部分270(R)と第5のリンク部分274(R)又は第1のリンク部分270(L)と第5のリンク部分274(L)が平行リンクを形成し、第3のリンク部分272(R),272(L)と第4のリンク部分273がそれぞれ平行リンクを形成する。
 このような振動方向変換部のリンク機構は、実質的は、図12に示した実施形態のリンク機構をほぼ左右対称に対向配置し、その関節部174Bを離間配置したものと同等である。この例では、各リンク部分を板状部材によって形成し、リンク部分間の各関節部は線状の屈折部によって形成してリンク部分相互間が屈折部を介して一体的に形成されている。また、各関節部の近傍において、各リンク部分の端部には傾斜面が形成されている。特に、傾斜面はリンク部分が関節部において屈折する際に、互いに近づき合うリンク部分の側面とは逆側の側面に形成されており、リンク部分が関節部において効率良く屈折できるように形成されている。そして、このようなリンク機構を有する振動方向変換部が図13(b)に示すように一体部品になっており、その端部にボイスコイル支持部6の接合部200が形成されている。
 また、この実施形態の振動方向変換部は、リンク部分を形成する一つの板状部材全体を凸台形状に屈折させて第1のリンク部分270(R),270(L)と第4のリンク部分273を形成し、この板状部材を部分的に切り出して凹台形状に屈折させて第2のリンク部分271(R),271(L)と第6のリンク部分275を形成している。
 更に、この振動方向変換部は、図13(c)に示すように、2枚の板状部材201,202を貼り合わせて形成し、一方の板状部材201に第1のリンク部分270(R),270(L),第2のリンク部分271(R),271(L),第4のリンク部分273,第6のリンク部分275を形成し、他方の板状部材202に、第3のリンク部分272(R),272(L)と第5のリンク部分274(R),274(L)を形成している。そして、第1のリンク部分270(R),270(L)と第4のリンク部分273に沿って第3のリンク部分272(R),272(L)と第5のリンク部分274(R),274(L)を形成すると共に、第2のリンク部分271(R),271(L)と第6のリンク部分275に対応する開口202Aが板状部材202に形成されている。
 このような実施形態では、2つの対向するボイスコイル支持部6に対して一つの一体部品の装着のみで振動方向変換部のリンク機構を形成することができるので、一対の駆動部を備えたスピーカ装置を形成する場合にも組み立て作業を簡易に行うことができる。また、第6のリンク部分275を設けることで、ボイスコイル支持部6の対向振動(複数のボイスコイル支持部6が互いに逆方向にほぼ同位相で振動すること)に対しては、特に関節部271B(R),271B(L)をフレーム3に取り付けなくても、この関節部271B(R),271B(L)のフレーム3上での位置が常に一定に保持されることになり、これによっても振動方向変換部のスピーカ装置への組み込みを簡易化することができる。
 そして、リンク機構としては、右側の第1のリンク部分270(R)と第3のリンク部分274(R)、左側の第1のリンク部分270(L)と第3のリンク部分274(L)によって平行リンクが形成されているので、ボイスコイル支持部6の対向振動に対して振動板2に固着される第4のリンク部分273をZ軸方向に沿って安定して平行移動させることができる。これによって、平面状の振動板2に対して安定した振動を加えることが可能になる。
 図14に示す実施形態は、図13に示した実施形態の改良例である。図14(a)に示す例では、ボイスコイル支持部6の対向振動によって曲げが生じ易いリンク部分に対して凸部210を設けて剛性を高めている。図示の例では、第1のリンク部分270(R),270(L),第2のリンク部分271(R),271(L),第3のリンク部分272(R),272(L),第6のリンク部分275にそれぞれ凸部210が設けられている。また、同図(b)に示す例では、特に強度を必要としないリンク部分において開口部220を設けて振動方向変換部の軽量化を図っている。図示の例では、第4のリンク部分273に開口部220が設けられている。振動方向変換部の軽量化は特に再生特性の広域化や、所定の音声電流に対する音波の振幅及び音圧レベルを大きくすることに有効である。
[実施例と搭載例;図15~図17、図18、図19~図27]
 図15~図17は、本発明の実施例を示した説明図(振動板を省略した状態の平面図)である(前述した実施形態と同一箇所は同一符号を付して重複説明を省略する)。図15に示す例は、図7に示した保持部8の保持機構を採用している。静止部100となるフレーム3は振動板(図示省略)を囲い且つ磁気回路40を支持できる必要最小限の大きさの枠になっている。保持部8の両端に接続部8A,8Bが設けられ、接続部8Bがフレーム3の内面に取り付けられ、接続部8Aがボイスコイル支持部6に取り付けられている。ボイスコイル支持部6に支持されたボイスコイル60からの引き出し線は、接続部8Aから保持部8,接続部8Bを介してフレーム3の外側から接続される入力信号線(図示省略)に接続されている。図16に示す例は、図8に示した保持部8の保持機構を採用している以外は図15に示す例と同様のものである。一体保持部80がボイスコイル支持部6の一辺6aに取り付けられ、この一体保持部80の両端に設けられる接続部8A,8Aがフレーム3に取り付けられている。図17に示す例では、図9に示した保持機構を採用しており、取り付けユニット81を介してボイスコイル支持部6がフレーム3に接続されており、連結ユニット82を介してボイスコイル支持部6と振動方向変換部7とが連結されている。取り付けユニット81は左右の駆動部を一体に支持しており、フレーム3に一体に取り付け可能になっている。図15~図17に示した例では、リンク部分70又は72に通気孔70P又は72Pが形成されており、リンク部分70又は72がボイスコイル支持部6の振動によって角度変換するときの空気抵抗を低減するようになっている。
 図18は、図10(a)に示した実施形態の変形例である(図10(a)と共通する部分は同一符号を付して重複説明を省略する)。この変形例に係るスピーカ装置1Vでは、エッジ5等を支持する部材を磁気回路40の構成部材であるヨーク部410によって形成している。ヨーク部410は、ボイスコイル支持部6に対して静止している状態にて配置されている静止部100でもある。また、ヨーク部410は、振動板2に対面する底面部410Aとそれを囲む側面部410Bとを備える。そして、磁気ギャップ40Gを形成するために底面部410Aに凸状部410Sを形成して、この凸状部410Sと磁石42との間にボイスコイル支持部6が摺動する磁気ギャップ40Gが形成されている。また、ヨーク部410の底面部410A上に支持部411が形成され、この支持部411で第2のリンク部分71の関節部71Bが支持され、静止部100となるヨーク部410からの反力を受けている。エッジ5の外縁部はヨーク部410の側面部410Bの頂部410Cに取り付けられることで、ヨーク部410に支持されている。
 なお、静止部100となるヨーク部410は、完全に静止している状態を示しているのではなく、例えば、振動板2を支持できる程度に静止していれば良く、スピーカ装置1Vを駆動する際に生じる振動が伝搬し、振動が静止部全体に生じても構わない。また、静止部100が取り付けユニット81であっても構わない。
 図19~図27は、本発明の他の実施例に係るスピーカ装置1Wを示した説明図である(図19が上面図、図20がX-X断面図、図21が背面図、図22が第1の構成部材を外した斜視図、図23が第2の構成部材を外した底面図、図24,図25が要部の分解斜視図、図26(a)(b)が要部の部分拡大断面斜視図、図27がスピーカ装置全体の分解斜視図)。前述した説明と共通する部分は同一符号を付して重複説明を省略する。スピーカ装置1Wは、前述した静止部100に設けられる音声信号入力端子として、端子部材91と、外部から入力される音声信号を入力するための配線92とを備えている。
 図19に示した例では、振動板2は、音響放射方向から視認した形状が矩形状に形成されており、その中央部付近に外形が楕円形であるとともに、断面形状が凹状の湾曲部2Aを形成することで、振動板2の振動方向及びボイスコイル60の振動方向において所定の曲げ剛性を有している。また、凹状の湾曲部2Aを振動板2に形成することで、湾曲部2Aにおける密度が他の振動板2の一部分における密度より大きくなり、剛性を比較的大きくすることもできる。また、一対の振動方向変換部7が対向して配置される場合には、振動方向変換部7と振動板2との間に形成される一対の関節部分274Bの間に湾曲部2Aが形成されている。
 振動板2が振動板2の振動方向にて剛性(曲げ剛性を含む)を有しているので、振動板2のたわみなどの発生を抑止し、音波間に位相差が生じること、分割振動の発生による音響特性の低下などを抑止することができる。また、振動板2と振動方向変換部振動方向変換部7との間に形成される一対の関節部分274Bの間において、振動板2に湾曲部2Aを形成することで、たわみが発生することを抑止することができる。
 また、振動板2は、ボイスコイル60の振動方向に沿う短軸と、ボイスコイル60の振動方向に対し直交する方向に沿う長軸を備えた略矩形状に形成されており、長軸又は短軸の方向に沿って、図示省略の補強部を形成しても構わない。補強部は、例えば断面形状がV字状又はその他の形状の溝部であり、振動板2の表面や裏面に対して、直線状、環状、格子状に形成され、この溝部の内には、例えばダンプ剤(ダンピング剤、制動材)等の充填材を塗布(付与)しても構わない。これにより、溝部を充填材で満たすことで、振動板2の剛性(曲げ剛性を含む)を向上させることができ、スピーカ音圧周波数特性のピークディップを小さくすることができる。また、補強部の他の例として、溝部を形成する代わりに、例えば不織布等からなる図示省略の繊維系部材を貼着しても構わない。これにより、補強部を繊維系部材にすることで、振動板2の剛性(曲げ剛性)を向上させることができ、振動板2が振動する際、振動方向変換部から伝搬する振動や空気抵抗によって振動板2にたわみなどの変形が生じることを抑止することができる。さらに、補強部が設けられることで、振動板2の内部損失を向上させることができる。
 また、振動板2は、アクリル系樹脂等からなる発泡樹脂で構成された第1の層と、ガラス繊維等の繊維系部材で構成された第2の層とで形成され、第1の層を一対の第2の層にて挟んだ積層構造となっている。なお、振動板2の形成材料としては、例えば、樹脂系材料、金属系材料、紙系材料、繊維系材料、セラミックス系材料、複合材料などを採用することができる。
 振動板2を静止部100となるフレーム3に振動自在に支持するエッジ5は、振動板2とフレーム3との間に配置され、その内周部が振動板2の外周部を支持するとともに、外周部がフレーム3に直接又は他の部材を介して接合することにより、振動板2を規定位置に保持する。他の部材としては、パッキンとしての機能を備える弾性部材(樹脂部材を含む)や接着用樹脂等が挙げられる。詳細には、エッジ5は、振動板2を振動方向(Z軸方向)に沿って振動自在に支持するとともに、振動方向に直交する方向(Y軸方向)には制動する。エッジ5は、音響放射方向から視認した形状がリング形状(環状)に形成されており、その断面形状は規定形状、例えば音響放射方向に凹形状、凸形状、波型形状などに形成されている。エッジ5の形成材料としては、例えば、皮,布,ゴム,樹脂,それらに目止め加工を施したもの、ゴムや樹脂などを規定の形状に成形した部材等、公知の材料を採用することができる。また、エッジ5の一部又は全周には、表面(音響放射側の面)又は裏面(音響放射側とは逆側の面)に向けて突出する突起部、凹形状を形成して、エッジ5の規定方向における剛性を向上させても構わない。
 静止部100は、振動板2側に配置される第1の構成部材(第1フレーム)110と、第1の構成部材110と対向して配置される第2の構成部材(第2フレーム)120とで形成されており、駆動部4が第1の構成部材110と第2の構成部材120とによって挟み込まれるように支持される。磁気回路40は、ボイスコイル60を挟んでその近傍に配置される一対の磁極部材(ヨーク部41,磁石42)を有し、これら磁極部材が分離されて第1の構成部材110と第2の構成部材120にそれぞれ支持されている。また、ボイスコイル60は、保持部8を介して取り付けユニット81に保持され、このボイスコイル60が第1の構成部材110又は第2の構成部材120いずれか一方に取り付けられることで、ボイスコイル60を静止部100に対し規定の位置に保持している。
 静止部100は、振動板2を取り囲む外周枠部101と、外周枠部101の内側を橋渡しする橋渡し部102とを備え、橋渡し部102は、前述したリンク機構7L(振動方向変換部7)に反力を与えるとともに、リンク機構7Lの振動方向にて剛性を備えている。また、振動方向変換部7としては図13に示した一体部品を採用している。
 前述したようにボイスコイル60が振動すると、その振動がリンク機構7Lを介して振動板2に伝達されるが、その際、リンク部分270,271,274を角度変換させるリンク機構7Lは、振動板2からの反力を受ける。このような反力をリンク機構7Lが受けた場合に、リンク機構7Lを支持する静止部100がたわむとリンク機構7L自体が振動してしまい、リンク機構7Lがリンク部分51に不要な振動を伝達することになる。リンク部分270,271,274に伝達された不要な振動が振動板2に伝達されると、ボイスコイル60の振動が効率よく振動板2に伝達できなくなる。そこで、リンク機構7Lを支持する静止部100の一部である橋渡し部102にたわみが生じることを抑止する機能を付与することで、不要な振動がリンク部分及び振動板2に伝達されることを抑止できる。これによって、ボイスコイル60の振動が効率よく振動板2に伝達される。
 橋渡し部102がリンク機構7Lを支持し、振動板2からリンク機構7Lを介して受ける力に対して剛性を有するためには、振動板2の振動方向において、外周枠部101のコンプライアンスに対して、橋渡し部102のコンプライアンスが、実質的に同じか、または小さいことが好ましい。より具体的には、橋渡し部102における厚みが、振動板2又は磁気回路40を支持する静止部100の一部における厚みと実質的に同じか、又は大きいことが好ましい。
 図示の例では、第2の構成部材3Cに設けられる橋渡し部102には、その延在する方向及び振動板2の振動方向に向かって突出する第1の突出部102Aが形成されている。この第1の突出部102Aは橋渡し部102の長手方向に沿って形成されるリブ構造であり、これによって橋渡し部102の曲げ剛性を高めている。また、振動板2と対向する橋渡し部102の面内には、第1の突出部102Aと交差する方向に延びる第2の突出部102Bが形成されている。この第2の突出部102Bは、橋渡し部102の両端部における補強リブになり、その両端で橋渡し部102を外周枠部101に剛性支持している。
 さらに、橋渡し部102には、第1の突出部102A及び第2の突出部102Bに対して交差する方向に延びる第3の突出部102Cが、振動板2に対向する静止部100の面内に形成されており、複数の第2の突出部102B及び第3の突出部102Cにて、平面形状が多角形状の補強部103が形成されている。
 また、第1の構成部材3Bは、静止部100における外周枠部101を第1の外周枠部101Aとして、この第1の外周枠部101Aの内側に振動板2を支持する第2の外周部101Bを備える。第2の外周枠部101Bの内側の開口は、エッジ5と振動板2によって塞がれることになる。振動板2がエッジ5を介して支持される第2の外周枠部101Bには、音響放射方向に向かって突起する突起部101B1が形成されている。この突起部101B1によって振動板2の周囲を支持するための剛性を得ている。
 静止部100となる第1の構成部材3Bと第2の構成部材3Cは、長軸と短軸を有する平面形状を有し、橋渡し部102は、短軸方向に沿って形成されている。また、橋渡し部102を長軸方向に沿って形成すること、或いは長軸方向及び短軸方向に沿って形成することもでき、静止部100の剛性を得ることが可能となる。
 第1の構成部材3Bの四隅に凸部100mが形成され、第2の構成部材3Cの四隅に凹部100nが形成されており、凸部100mと凹部100nとが嵌合して、第1の構成部材3Bと第2の構成部材3Cとが結合する。凸部100mは第1の構成部材3Bと第2の構成部材3Cの一方に形成されればよく、凹部100nは第1の構成部材3Bと第2の構成部材3Cの他方に形成されればよい。凹部100nは孔部として形成しても構わない。
 振動方向変換部7は、リンク機構7Lとして第1のリンク部分270と第2のリンク部分271とを備え、第2のリンク部分271の一端は第1のリンク部分270に支持され、他端が橋渡し部102に支持されている。第2のリンク部分271を支持する橋渡し部102は、平板状に形成されており、第2のリンク部分271の他端と橋渡し部102とが連結される連結部104は、一平面を形成している。
 第2のリンク部分271の他端は、橋渡し部102と嵌合することで、振動方向変換部7と橋渡し部102とが連結している。橋渡し部102の連結部104には突起部104Aが形成されており、第2のリンク部分271の端部に関節部分52を介して一体形成される連結部分(第6のリンク部分)275には、突起部104Aが挿入される孔部104Bが形成されている。
 橋渡し部102における連結部104の突起部104Aは、静止部100に対する振動方向変換部7の位置を決める位置決め部になっている。第2のリンク部分271の端部に関節部分52を介して一体形成される連結部分(第6のリンク部分)275が有する孔部104Bに突起部104Aが挿入されることで、静止部100に対し振動方向変換部7を位置決めしている。
 静止部100となる第1の構成部材3Bと第2の構成部材3Cが結合した状態では、第1の構成部材3Bに支持される振動板2の背面に振動方向変換部7の第2の連結部分(第4のリンク部分)273が連結され、第2の構成部材3Cにおける橋渡し部102の中央部分に形成される連結部104に振動方向変換部7の不動の連結部分(第6のリンク部分)275が連結される。
 第2の連結部分(第4のリンク部分)273は第1のリンク部分270の端部に関節部分270Bを介して一体化された部分であり、この第2の連結部分(第4のリンク部分)273と振動板2とが連結することによって、第1のリンク部分270の端部と振動板2とが連結されている。なお、第2の連結部分(第4のリンク部分)273と対向する振動板2の音響放射側の面には凹部が形成されており、振動板2は剛性を備えている。不動の連結部分(第6のリンク部分)275は第2のリンク部分271の端部に関節部分271Bを介して一体化された部分であり、この連結部分(第6のリンク部分)275には孔部104Bが形成されており、この孔部104Bに連結部104の突起部104Aが挿入され、連結部104と第2のリンク部分271の端部とが連結されている。
 図23及び図24は、取り付けユニット81と保持部8の取り付けを逆方向から見た分解斜視図である。取り付けユニット81は、ボイスコイル60の振動方向(X軸方向)に延在してボイスコイル60の両側縁に沿って配置される複数の腕部84と、腕部84との間を連結する架橋部87とを備えている。腕部84は、ボイスコイル60に連結される保持部8を支持しており、静止部100となる第1の構成部材110と第2の構成部材120との間に支持されるフランジ部84aを形成している。腕部84には、平坦な連結部84bと、腕部84から静止部100に向かって突出する突出部84cを有している。
 架橋部87は、フランジ部84aから振動板2又は静止部100となる第1の構成部材110若しくは第2の構成部材120に向かって突出した形状を有し、ボイスコイル60と架橋部87との間には規定間隔が設けられている。また、ボイスコイル60と対向する架橋部87の一部は、ボイスコイル60とは異なる高さにて配置されている。なお、架橋部87は図示の例では、振動板2側に突出する形状が示されているが、これに限定されず、必要に応じて静止部100側に突出する形状にしても構わない。さらに、架橋部87は複数備えられ、磁気回路40の磁極部材となる(ヨーク部41,磁石42)を迂回して、一方の腕部84から他方の腕部84へ延びており、ボイスコイル60の振動方向に対し交差する方向(Y軸方向)に延在する、ボイスコイル60の両側縁60E,60Fの近傍に配置されている。図示の例では、一方の架橋部87Aは、振動方向変換部7が連結されるボイスコイル支持部6の一方側縁6cに配置し、他方の架橋部87Bは、ボイスコイル支持部6の他方側縁6dに配置されている。また、他方の架橋部87Bには、後述する第2の保持部88Bとの連結部87aがフランジ部84aから振動板2又は静止部100に向かって突出する形状に形成されている。
 なお、ボイスコイル支持部6の振動方向変換部側に対して逆側における、ボイスコイル支持部6の他方側縁6dは、ボイスコイル60側に凹状に形成されており、ボイスコイル60の振動によってボイスコイル支持部6が振動し、取り付けユニット81と接触することを抑止できる平面形状に、ボイスコイル支持部6は形成されている。具体的には、後述の取り付けユニット81の内側側面87bとボイスコイル支持部6の他方側縁6dとの間に比較的大きい間隙を形成するとともに、第2の保持部8(88B)の左右両端の平坦部88e側に移るにつれて、第2の保持部8(88B)に向かって突出する平面形状になっている。
 保持部8は、例えば、導電性金属で形成され、図9に示された例と同様に、連結ユニット82を挟んでボイスコイル60の振動方向に対し交差する方向(Y軸方向)に取り付けられる一対の第1の保持部88Aと、ボイスコイル60の振動方向に対し交差する方向(Y軸方向)に一体化される第2の保持部88Bを備えている。第1の保持部88Aは、腕部84及びボイスコイル60の一側縁60E側、図示の例ではボイスコイル支持部6の一方側縁6cに一方の架橋部87Aと接近して連結される。第2の保持部88Bは、一方の腕部84から他方の腕部84にかけて連続的に形成され、ボイスコイル60の他側縁60F側、図示の例ではボイスコイル支持部6の他方側縁6dに他方の架橋部87Bを介して連結される。さらに、第1の保持部88Aには、直線状の断面形状を有する平板部(第1の面)88aと、この平板部88aから突出する端子接合面(第2の面)88bと、平板部88aに対して連続的に形成され、湾曲した平面形状を有する湾曲部88cと、平板部88aに対して交差する方向に延在する接続面(第3の面)88dを備えている。
 そして、取り付けユニット81の腕部84に形成される平坦な連結部84bには、第1の保持部88Aの平板部88aが直接又は他の部材を介して接合等により連結されるとともに、連結ユニット82がボイスコイル支持部6の一方側縁6cに対し嵌合等により取り付けられている。また、第2の保持部88Bは、その両端部がボイスコイル支持部6の他方側縁6dに取り付けられるとともに、中央部が他方の架橋部87Bの連結部87aに取り付けられている。ここで他の部材として、接着用樹脂や樹脂部材等の弾性部材、制振部材が挙げられる。それによって、取り付けユニット81とボイスコイル支持部6と保持部8(第1の保持部88A,第2の保持部88B)とをユニット化して、第1の構成部材110と第2の構成部材120の間に組み込むことができるようにしている。さらに、ここでは、第2の保持部88Bをボイスコイル支持部6の幅内に配置して、ボイスコイル支持部6の保持機構がボイスコイル支持部6の幅方向に嵩張らないようにしている。
 一体部品である第2の保持部88Bと取り付けユニット81は、接着用樹脂を介して連結されている。第2の保持部88Bの左右両端に形成した平板部88e,88eが、ボイスコイル支持部6の他方側縁6dの左右両端の接続部6e,6eにそれぞれ連結部品6f,6fを介して連結され、第2の保持部88Bの中央に形成した平板部88fが、取り付けユニット81の連結部87aに連結される。なお、ボイスコイル支持部40の振動方向変換部側に対して逆側における、ボイスコイル支持部6の他方側縁6dは、ボイスコイル60側に凹状に形成されており、ボイスコイル60の振動によってボイスコイル支持部6が振動し、取り付けユニット81と接触することを抑止できる平面形状に、ボイスコイル支持部6は形成されている。具体的には、取り付けユニット81の連結部87aとボイスコイル支持部6の他方側縁6dとの間に比較的大きい間隙を形成するとともに、第2の保持部88Bの左右両端の平板部88e側に移るに連れて、第2の保持部88Bに向かって突出する平面形状になっている。また、第2の保持部88Bは連続部材で形成されているので、中央部分においても連続した形状を有するが、複数の部材で形成しても構わなく、特に限定はしない。なお、第2の保持部88Bの一部は静止部100から外側に突出して配置されているが、これに限定されず、静止部100の内部に収納されるように変更しても構わない。なお、第2の保持部88Bの左右両端の平坦部88eには、ボイスコイル支持部6の他方側縁6dの左右両端の接続部6eが挿入される孔部が形成されている。
 図26は、第1の構成部材110を上下反転した状態の要部拡大斜視図であり、同図(a)は、第1の保持部88Aの端子接合面(第2の面)88bが端子部材91に接続しているところを詳細に示している。同図(b)は、第1の保持部88Aの接続面(第3の面)88dが、ボイスコイル60の端部からの引き出し線60P,60Qの端子部60P1,60Q1に接続しているところを詳細に示している。第1の保持部88Aは一端側の端子接合面88bが端子部材91に接続され、他端側の接続面88dが端子部60P1,60Q1を介してボイスコイル60の引き出し線60P,60Qに接続されている。端子部材91は一対の第1の保持部88Aの一端側を配線92(外部)と電気的に接続しており、配線92から入力される音声信号は端子部材91及び第1の保持部88Aを介してボイスコイル60の引き出し線60P,60Qに供給される。端子部材91は、棒状の導電性部材であって、位置決め孔91Aが形成されており、この位置決め孔91Aに静止部100に設けられた位置決め突起111を挿入させることで静止部100における特定箇所に位置決めされる。なお、端子部材91の一部分には絶縁処理が施されており、第1の保持部88Aの端子接合面88bと接続する領域における導電性部材の表面が露出しており、第1の保持部88Aと電気的に接続可能となっている。また、端子部材91を樹脂部材等の絶縁性を備える部材(絶縁部材)で構成して、この絶縁部材の上に導電性部材を設けて、第1の保持部88Aの端子接合面88bと電気的に接続しても構わない。
 ボイスコイル支持部6の一方側縁6cに取り付けた連結ユニット82には、振動方向変換部7とが連結される。この振動方向変換部7としては図13に示した一体部品を採用し、その端部に形成された接合部200を、連結ユニット82の側面に形成される接続段部82Aに取り付けることなどにより、連結ユニット82と振動方向変換部7が着脱自在に連結される。さらに必要に応じて連結ユニット82には、ボイスコイル60の振動方向に沿って貫通する貫通孔82Bが形成されている。この貫通孔82Bはボイスコイル支持部6の振動に対して連結ユニット82に作用する空気抵抗を低減するために形成される通気孔である。この連結ユニット82は、振動方向変換部7の第1の連結部分53Aとボイスコイル支持部6の端部とを間隔を開けて連結しており、これによって振動方向変換部7の高さ内に磁気回路40の高さが収まるようにしている。
 また、振動方向変換部7は、振動板2又はボイスコイル60、若しくは振動板2やボイスコイル60以外の他の部材を含む被取付部材300に対し、例えば接合部材としての接着剤や両面テープ、締結部材としてのネジ等の連結部材で連結されており、被取付部材300に近接するように関節部分270Bを配置している。振動方向変換部7の関節部270A,270B,274B等に近接する被取付部材300の面側には、関節部270A,270B,274B等との接触を避ける接触回避部310が形成されている。この接触回避部310は、振動方向変換部7と被取付部材300とを接合する接合部材を拘束する接合部材拘束部としても機能する。この接触回避部310は、関節部270A,270B,274B等に沿って凹状に形成される、例えば凹部や切欠部や溝部等であり、関節部270A,270B,274B等と、関節部270A,270B,274B等の近傍に配置される被取付部材300の表面との間に所定の空間を形成して、振動方向変換部7と被取付部材300との間に介在する接着部材が関節部270A,270B,274B等に拘わるのを抑止している。図20に示される例では、被取付部材300となる振動方向変換部7の接合部200に接触回避部310として凹部を関節部分270Aに近接するように形成し、振動板2に接触回避部310として凹部を関節部分270Bに近接するように形成し、第4のリンク部分273に接触回避部310として凹部を関節部分274Bに近接するように形成している。それによって、振動方向変換部7の一部や振動方向変換部7と振動板2の端面とが接着剤や両面テープ等の接合部材で貼り合わされる際、関節部分270A,270Bに向けてはみ出た接着剤や両面テープの端部が、接触回避部310の凹部に入り込むことで、関節部270A,270B,274B等に接触して付着することないようにしている。
 複数の駆動部14に対応するボイスコイル60,60に音声信号を入力するために、複数のボイスコイル60,60の一方のボイスコイル60から他方のボイスコイル60に向けて延在し、複数のボイスコイル60,60に対する共通の端子部材91,91が一対、静止部100に設けられている。また、端子部材91,91は、静止部100であるフレーム3を構成する第1の構成部材110と第2の構成部材120との間に形成される図示省略の開口部の内部に端子部材91,91が配置されている。このため、各ボイスコイル60の一端と他端にそれぞれ端子部を設ける場合と比較して端子部の配置を省スペース化でき、スピーカ装置の小型化或いは薄型化が可能になる。また、端子部材91,91を安定に静止部100に固定することができ、ボイスコイル60,60との接続不良を回避できる。また、端子部材91,91は、一方のボイスコイル60から他方のボイスコイル60に沿う長軸と、当該長軸と交差する短軸とを有する形状に形成されている。このように細長形状にすることで、設置スペースの効率を高めることができる。
 端子部材91,91には、外部と電気的に接続された配線92,92(第2の配線)との接続部91aが形成され、端子部材91,91とが接続部91aで電気的に接続されている。配線92(第2の配線)は、静止部100の側面に固定されると共に、端子部材91,91に接続される。静止部100の外周枠部101は、配線92が取り付けられる側面を備え、静止部100の側面には、配線92を案内する案内部106,106が形成されている。
 一方、ボイスコイル60を支持するボイスコイル支持部6(基体)上には、ボイスコイル60の端部から引き出されたボイスコイル引出線31に接続される導電層32が形成されている。導電層32は、ボイスコイル60の導電部材を囲むようにボイスコイル支持部6(基体)上にパターン形成され、この導電層32がボイスコイル60の導電部材と保持部15とを電気的に接続している。
 保持部15には、ボイスコイル60と端子部材91とを電気的に接続する配線が形成されており、端子部材91,91の端部と配線とが電気的に接続され、保持部15の配線とボイスコイル引出線とが接続され、端子部材91,91に配線92が接続することで、ボイスコイル60に外部から音声信号が入力される。
 保持部15には、端子部材91,91と接続する接続部F1が形成されている。この接続部F1は、振動板2の振動方向(X軸方向)と交差する方向に延在し、端子部81,81に当接するように、平板状に形成されている。また、保持部15には、導電層32と接続する接続部F2も形成されており、振動板2の振動方向(Z軸方向)と交差する方向に延在し、導電層32の端部に当接するように、平板状に形成されている。
 図27は、スピーカ装置全体の組立工程を示した説明図である。第1の構成部材110と第2の構成部材120のうち、一方には取り付けユニット81に向かって突出する凸部100mと、他方には凸部100mが挿入される凹部100nが形成されており、取り付けユニット81の四隅には凸部100mが通過する孔部89が形成されている。図示の例では、第1の構成部材110の内面側に複数の凸部100mが形成され、これら凸部100mと対向するように、腕部84のフランジ部84aに孔部89が開穿されるとともに、第2の構成部材120の内面側に凹部100nを形成している。この凹部100nに代えて貫通孔を形成してもよい。
 このようなスピーカ装置1Wを組み立てる際には、振動方向変換部7の接合部200を、連結ユニット82にそれぞれ挿入することで、振動方向変換部7と、既にユニット化された取り付けユニット81、ボイスコイル支持部6、保持部8(第1の保持部88A,第2の保持部88B)とを一体化し、取り付けユニット81の孔部89を第1の構成部材110又は第2の構成部材120の凸部100mに嵌合することで、これらボイスコイル60を挟むように磁気回路40の一対の磁極部材(ヨーク部41,磁石42)を静止部100に対してそれぞれ位置決めするとともに、第1の構成部材110と第2の構成部材120で挟み込むようにしている。これによって、振動方向変換部7の不動の第6のリンク部分275が第2の構成部材120の底部120Aに形成される支持台120Bに嵌合して移動不能に支持され、取り付けユニット81等の他の部品も第1の構成部材110及び第2の構成部材120に対して所定の位置に配置される。また、静止部100の第1の構成部材110が備える凸部100mを、取り付けユニット81の四隅に設けられる接続孔部89に挿入することで、静止部100に対して所定の位置で固定される。
 図示の例では、第1の構成部材110の内面に対し、先ず、磁気回路40の一方の磁極部材(ヨーク部41,磁石42)を組み込み、その後、取り付けユニット81、振動方向変換部7等を順次組み込んでそれぞれ位置決めし、その後、第2の構成部材120を重ね合わせて各部品を挟み込むとともに、磁気回路40の他方の磁極部材(ヨーク部41,磁石42)を組み込んでいる。それに伴い、第1の構成部材110に形成される凸部100mが、取り付けユニット81の孔部89及び第2の構成部材120の凹部100n内に挿入されることで、取り付けユニット81とボイスコイル支持部6と保持部8(第1の保持部88A,第2の保持部88B)とが、第1の構成部材110と第2の構成部材120の間にて固定される。そして、最後に振動方向変換部7の第4のリンク部分273と振動板2とが接合部材としての接着剤で接合されるとともに、振動板2の外周部がエッジ5を介して第1の構成部材110の中央開口部の口縁部に取り付けられる。
 また、組立工程としては、以下のようにしても構わない。まず、端子部材91,91に配線92を接続する(接続端子部と配線との接続工程)。次にヨーク部41に磁石42を接合する(磁気回路の組み立て工程)。次に、第1の構成部材110の外周枠部101Aに、配線92が接続された端子部材91,91を取り付ける(静止部と接続端子部との取り付け工程)。次に、第1の構成部材110へ、前述したボイスコイル60が取り付けられた一対の取り付けユニット81を取り付ける(静止部と取り付けユニットとの取り付け工程)。この時、端子部材91,91と取り付けユニット81に取り付けられている保持部15Aとを、半田等を用いて電気的に接続する(接続端子部と保持部との接続工程)。次に、ボイスコイル60に連結部104を取り付ける(ボイスコイルと連結部との取り付け工程)。次に振動方向変換部7を連結部104に取り付ける(振動方向変換部と連結部との連結工程)。次に、振動方向変換部7の不動の第6のリンク部分275を第2の構成部材120の底部120Aに形成される支持台120Bに取り付ける(振動方向変換部と第2の構成部材との取り付け工程)。次に、第1の構成部材110の上に第2の構成部材120を配置する(静止部の組み立て工程)。この後、第2の構成部材120の外周枠部101Aに磁石42を接合した磁極部材(ヨーク部)41を取り付ける(静止部と磁気回路との取り付け工程)。次に、第1の構成部材110の第2の外周枠部101Bに振動板2とエッジ5(振動体)とを装着する(静止部と振動体との取り付け工程)。次に、振動体と振動方向変換部とを接合する(振動体と振動方向変換部との取り付け工程)次に、第1の構成部材100の第1の外周枠部101Aに磁石42を接合した磁極部材(ヨーク部)41を取り付ける(静止部と磁気回路との取り付け工程)。最後に、第1の構成部材110の第1の外周枠部101Aに設けられた案内部106に、配線92を取り付ける(静止部と配線との取り付け工程)。なお、必要に応じて、前述の工程の順序を変更して構わない。
 静止部100となるフレーム3は前述のように、第1の構成部材となる第1フレーム110と第2の構成部材となる第2フレーム120とを備え、第1フレーム110はスピーカ装置1Wの音響放射側に配置されており、第2フレーム120は音響放射側と逆(背面)側に配置されている。スピーカ装置1の駆動部14は第1フレーム110と第2フレーム120とによって挟み込まれるように支持されている。
 第1フレーム110が備える環状に形成された外周枠部101は、磁気回路40の磁極部材(ヨーク部)41の片側(41B)を支持している。一方、第2フレーム120は外周枠部101と橋渡し部102を備え、磁気回路40の磁極部材(ヨーク部)41の片側(41A)を支持する。
 第1フレーム110及び第2フレーム120は、ヨーク部41の一部を収容する凹状の受け部105を備える。この受け部105にはヨーク部41の突出部41pが嵌め込まれ、適切な磁気ギャップを形成するためにヨーク部41を位置決めする。また、第2フレーム120における外周枠部101と橋渡し部102との間には、開口部101Sが形成されている。この外周枠部101には、開口部101Sの外周縁に沿って、図示省略の第4の突起部が形成されている。第4の突起部は外周枠部101の捩れ剛性を高めている。
 さらに、第1フレーム110には、ボイスコイル60の過剰振動を抑止するための過剰振動抑止部108(図26参照)が形成されている。過剰振動抑止部108は、ボイスコイル30の可動領域内、特にボイスコイル30の振動方向に沿う端縁に形成された切欠部内にて突出しており、これにボイスコイル支持部6が当たることでボイスコイル60の過剰振動が抑止される。
 磁気回路40は、磁極部材22が磁石を接合した状態で第1フレーム110、第2フレーム120に装着されている。磁極部材22は複数の突出部41pを備えており、この突出部41pが受け部105に支持される。板状の磁性体であるヨーク部41は、振動方向変換部7から静止部100にかけて、その幅が小さくなっており、これによって、保持部15がヨーク部41に接触することを抑止している。
 磁気回路40は、ヨーク部41A,41Bが第1フレーム110,第2フレーム120に取り付けられ、第1フレーム110と第2フレーム120が結合されることで、ヨーク部41A,41Bの間又は磁石42の間に磁気ギャップ20Gとしての間隙を備える。
 ところで、このようなスピーカ装置は、構成する構成部材が複数あるので、組み立てる際、各構成部材の位置決めに精度が必要となる。また、複数の構成部材を組み立てる際、作業が複雑化するという問題がある。しかし、このスピーカ装置1Wは、取り付けユニット81を用いることで、ボイスコイル60に対する保持部8、磁気回路40又は静止部100との位置決めを精度良く行うことができる。また、取り付けユニット81を用いることで、複数の部品がブロック化され、作業の効率化を図ることができるとともに、製造上における検査を行いやすくなり、不良率の低減化を図ることができる。また、万が一、ボイスコイル60、保持部8に不良が発生したとしても、取り付けユニット81を用いることで、ボイスコイル60及び保持部8を1セットとして取り外したり、交換したりすることができる。さらに、組立状態では、第1の構成部材110と、第1の構成部材110の近傍に配置される磁気回路40の一方の磁極部材(ヨーク部41)との間に間隙が形成されていることで、振動板2の振動が一方の磁極部材(ヨーク部41)を介して磁気回路40に伝搬し、磁気回路40とボイスコイル60との接触を誘発することを抑止している。
 この実施例によると、磁気回路40の高さがほぼ装置全体の全高になっており、その磁気回路40の中心付近をボイスコイル支持部6が振動する構造になり、ボイスコイル支持部6の端部と振動方向変換部7の端部とが連結ユニット82を介して異なる高さで接続されている。これによって、振動方向変換部7の各リンク部分は装置の高さ内で十分な長さを確保することができ、また、磁気回路40の高さの一部を振動方向変換部7の高さ内に収めることが可能になる。
 本発明の実施形態に係るスピーカ装置は薄型化が可能であり、且つ大音量化の実現も可能である。また、比較的簡単な構造で大音量の再生音を放射することができる薄型のスピーカ装置は、ボイスコイルの振動方向と異なる方向に振動板を振動させることによって得ることができる。この際、機械的なリンク機構を用いてボイスコイルの振動方向を異なる方向に変換しようとすると、リンク機構の関節部分にはスピーカ装置に要求される高速の繰り返し振動に耐えうる耐久性が必要になると共に、高速の繰り返し振動時にも異音を生じない柔軟性が必要になる場合がある。上述したスピーカ装置の構成により、リンク機構の関節部分は耐久性や柔軟性を備えることができる。
 また、ボイスコイルの振動を方向変換して振動板に伝えるには、方向変換後にもボイスコイルの振動が効率よく正確に再現されることが必要になり、リンク機構に機械的な歪みが生じないことやリンク機構自体が軽量であることが必要となる場合がある。更には、このようなリンク機構をスピーカ装置に組み込むときの作業容易性やリンク機構自体を製造する際の製造容易性が必要となる場合がある。上述したスピーカ装置の構成により、軽量化及び製造容易性が可能となる。
 このようなスピーカ装置は各種電子機器や車載用として効果的に用いることができる。図28は、本発明の実施形態に係るスピーカ装置を備える電子機器を示した説明図である。同図(a)に示した携帯電話或いは携帯情報端末のような電子機器1000、或いは同図(b)に示したフラットパネルディスプレイのような電子機器2000は、電子機器2000が備える被取付部材としての筐体内にスピーカ装置1を収納する、又は電子機器2000の被取付部材としての筐体側面にスピーカ装置1を取り付けても、スピーカ装置1の設置に必要な厚さスペースを小さくできるので、電子機器全体の薄型化が可能になる。また、薄型化された電子機器においても充分な音声出力を得ることができる。図29は、本発明の実施形態に係るスピーカを備えた自動車を示した説明図である。同図に示した自動車3000は、スピーカ装置1の薄型化によって車内スペースの拡大が可能になる。特に被取付部材としてのドアパネルや天井に本発明の実施形態に係るスピーカ装置1を取り付けても、ドアパネルや天井の出っ張りを比較的小さくでき、運転者の操作スペースの拡大や、室内のスペースを拡大することが可能になる。また、充分な音声出力が得られるので、雑音が多い高速走行時等でも車内で快適に音楽やラジオ放送を楽しむことができる。
 また、人の居住を用途とする住宅(建築物)や会議、講演会、パーティー等、多数の人数を収容して催しを行うことができるホテル、旅館や研修施設等(建築物)では、被取付部材としての壁や天井に、スピーカ装置1の設置に必要な厚さスペースを小さくできるので、室内における不要なスペースを削除でき、スペースを有効に活用することができる。また、近年、プロジェクターや大画面テレビ等の普及に伴い、音響・映像設備を備える居室を設ける例が見られるようになっており、一方で音響・映像設備を備える居室を設けずに、リビングルーム等をシアタールームとして使用するケースも見られる。このようなケースにおいても、スピーカ装置1を用いることで、簡易にリビングルーム等をシアタールーム化でき、さらにリビングルーム内の空間を有効に活用することが可能である。なお、スピーカ装置1の配置場所は、例えば、居室内の天井や壁等(被取付部材)が挙げられる。
 以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用することができる。なお、本出願には、2008年1月28に国際出願したPCT/JP2008/051197、2008年10月14日に国際出願したPCT/JP2008/068580、2008年10月27日に国際出願したPCT/JP2008/069480、2009年2月27日に国際出願したPCT/JP2009/053752、2009年2月26日に国際出願したPCT/JP2009/053592、2009年1月20日に国際出願したPCT/JP2009/050764、2009年03月19日に国際出願したPCT/JP2009/055533、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055496、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055497、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055498、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055534、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055523、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055524、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055525、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055526、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055527、2009年3月19日に国際出願したPCT/JP2009/055528に記載される全ての内容は、本出願に組み込まれる。

Claims (51)

  1.  振動板と、前記振動板を振動自在に支持する静止部と、該静止部に設けられ、音声信号によって前記振動板に振動を与える駆動部とを備え、
     前記駆動部は、
     音声信号が入力されて前記振動板とは異なる方向に振動する平板状のボイスコイルと、
     前記ボイスコイルが配置される磁気ギャップを有する磁気回路と、
     前記ボイスコイルの振動を前記振動板に伝える剛性の振動方向変換部と、
     前記ボイスコイルが直線的に振動するように該ボイスコイルを前記静止部に保持する保持部とを備え、
     前記静止部に設けた音声信号入力端子に入力された音声信号が前記保持部を介して前記ボイスコイルに入力されることを特徴とするスピーカ装置。
  2.  前記保持部は、導電性金属で形成され、前記ボイスコイルの端部又は該端部からの引き出し線と電気的に接続され、前記静止部側の端部で前記音声信号入力端子と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  3.  前記保持部は、前記ボイスコイルの振動方向に沿った一方向の変形を許容して他の方向への変形を規制した湾曲板状部材であることを特徴とする請求項2に記載のスピーカ装置。
  4.  前記保持部は、前記ボイスコイルを略左右対称に保持していることを特徴とする請求項3に記載のスピーカ装置。
  5.  左右の前記保持部が一体化されて前記ボイスコイル支持部端縁の一辺を保持していることを特徴とする請求項4に記載のスピーカ装置。
  6.  前記保持部の接続端部には凹部が形成され、
     前記ボイスコイルの端縁の一部が前記凹部に挿入されていることを特徴とする請求項4記載のスピーカ装置。
  7.  前記ボイスコイルと前記振動方向変換部とを連結する連結ユニットが設けられ、
     前記保持部は、前記連結ユニットを介して、前記ボイスコイルを保持しており、
     前記連結ユニットは一対の前記保持部の間に設けられ、
     前記ボイスコイルの振動方向一端縁が前記連結ユニットに取り付けられていることを特徴とする請求項4記載のスピーカ装置。
  8.  前記ボイスコイルの振動方向に沿った両側縁と前記ボイスコイルの振動方向他端縁とを囲むように配置される取り付けユニットが設けられ、
     該取り付けユニットの前記ボイスコイルの振動方向に沿った両側縁の外側に位置する接続部に前記保持部の端部が取り付けられ、
     該取り付けユニットの前記ボイスコイルの振動方向他端縁の外側に位置する取り付け端部に左右の前記保持部を一体化した一体保持部の中央部を支持し、
     前記取り付けユニットを介して前記ボイスコイル支持部を前記フレームに取り付けることを特徴とする請求項4記載のスピーカ装置。
  9.  前記取り付け端部の内側側面には、前記一体保持部に向かって凸状の支持部が形成され、前記一体保持部の中央には当該支持部に支持される被支持部が形成されていることを特徴とする請求項8記載のスピーカ装置。
  10.  前記ボイスコイルにおける前記振動方向他端縁の両側端に前記一体保持部に向かって凸状の支持部が形成され、前記一体保持部の両側端部には当該凸状の支持部に支持される被支持部が形成されていることを特徴とする請求項9記載のスピーカ装置。
  11.  前記静止部としてフレームが設けられ、
     前記振動方向変換部は、前記ボイスコイルと前記振動板との間に形成されたリンク部分を角度変換させるリンク機構を備えることを特徴とする請求項1のスピーカ装置。
  12.  前記静止部としてフレームを設け、該フレームは平面状の底面を有し、前記振動板は前記フレームの底面に沿って平面的に支持され、前記磁気ギャップは前記フレームの底面に沿って形成され、前記振動方向変換部は前記フレームの底面からの反力により当該底面と交差する方向に前記振動板を振動させることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  13.  前記磁気回路は、互いに逆方向の磁場が形成される一対の磁気ギャップを有し、
     前記ボイスコイルは、平面状に形成されて、前記一対の磁気ギャップで逆方向に電流が流れるように環状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  14.  前記駆動部を一対設け、前記振動方向変換部を互いに略左右対称に対向配置したことを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  15.  前記静止部は、前記フレーム上に設けられる支持部であることを特徴とする請求項11に記載のスピーカ装置。
  16.  前記静止部は、前記駆動部を構成するヨーク部、又は前記ヨーク部上に設けられる支持部であることを特徴とする請求項1記載のスピーカ装置。
  17.  前記静止部としてフレームを設け、該フレームは、前記磁気回路を形成するヨーク部であることを特徴とする請求項1記載のスピーカ装置。
  18.  前記ヨーク部は平面状の底面を有し、前記振動板は前記ヨーク部の底面に沿って平面的に支持され、前記磁気ギャップは前記ヨーク部の底面に沿って形成され、前記振動方向変換部は前記ヨーク部の底面からの反力により当該底面と交差する方向に前記振動板を振動させることを特徴とする請求項17記載のスピーカ装置。
  19.  前記ボイスコイルを、前記保持部を介して前記静止部に対し保持する取り付けユニットを備え、
     前記取り付けユニットは、前記ボイスコイルを前記静止部に対して規定の位置に配置することを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  20.  前記取り付けユニットは、前記ボイスコイルの振動方向に延在する、当該ボイスコイルの両側縁に沿って配置される複数の腕部と、前記腕部との間を連結する架橋部とを備え、
     前記腕部は、前記ボイスコイルに連結される前記保持部を支持していることを特徴とする請求項19に記載のスピーカ装置。
  21.  前記磁気回路は、前記ボイスコイルの近傍に配置される磁極部材を備え、
     前記架橋部は、前記磁極部材を迂回して、前記一方の腕部から前記他方の腕部へ延びていることを特徴とする請求項20に記載のスピーカ装置。
  22.  前記架橋部を複数備え、
     前記架橋部は、前記ボイスコイルの振動方向に対し交差する方向に延在する、当該ボイスコイルの両側縁の近傍に配置されていることを特徴とする請求項21に記載のスピーカ装置。
  23.  前記保持部を複数備え、
     前記一方の保持部は、前記腕部及び前記ボイスコイルに連結され、
     前記複数の架橋部のうち、一方の架橋部を、前記振動方向変換部が連結される前記ボイスコイルの一方の側縁側に配置し、
     他方の側縁側に配置される前記他方の架橋部及び前記ボイスコイルに、前記他方の保持部が連結されること
    を特徴とする請求項22に記載のスピーカ装置。
  24.  前記腕部は、前記静止部に支持されるフランジ部を備えることを特徴とする請求項23に記載のスピーカ装置。
  25.  前記架橋部は、前記フランジ部から前記振動板又は前記静止部に向かって突出した形状を有し、
     前記ボイスコイルと対向する前記架橋部との間には、規定間隔が設けられていることを特徴とする請求項24に記載のスピーカ装置。
  26.  前記腕部に形成される、前記一方の保持部との連結部は、前記フランジ部から前記振動板又は前記静止部に向かって突出する形状に形成されていることを特徴とする請求項25に記載のスピーカ装置。
  27.  前記他方の架橋部に形成される、前記他方の保持部との連結部は、前記フランジ部から前記振動板又は前記静止部に向かって突出する形状に形成されていることを特徴とする請求項25に記載のスピーカ装置。
  28.  前記静止部は、前記振動板側に配置される第1の構成部材と、前記第1の構成部材と対向して配置される第2の構成部材とで形成されており、
     前記第1の構成部材又は前記第2の構成部材に、前記取り付けユニットが取り付けられることを特徴とする請求項20に記載のスピーカ装置。
  29.  前記第1の構成部材と前記第2の構成部材との間には、外部と前記ボイスコイルとを電気的に接続する端子部材が配置されており、
     前記腕部に形成される、前記一方の保持部との連結部は、当該腕部から前記静止部に向かって突出する突出部を備え、
     前記突出部は、前記端子部材に取り付けられていることを特徴とする請求項28に記載のスピーカ装置。
  30.  前記一方の架橋部の側に配置される前記一方の保持部には、前記ボイスコイルに外部から入力される音声信号を入力するための配線が形成されており、
     前記配線と前記端子部材は、前記腕部が有する前記一方の保持部との前記連結部の突出部の近傍にて、電気的に接続されていることを特徴とする請求項29に記載のスピーカ装置。
  31.  前記一方の架橋部の側に配置される前記一方の保持部と前記端子部材とが、前記腕部が有する前記連結部の突出部の近傍にて接合することで、
    前記配線と前記端子部材とが電気的に接続されることを特徴とする請求項30に記載のスピーカ装置。
  32.  前記一方の架橋部の側に配置される前記一方の保持部は、前記腕部が有する前記連結部に接合される第1の面と、当該第1の面から突出して、前記端子部材と接合する第2の面とを備えることを特徴とする請求項31に記載のスピーカ装置。
  33.  前記取り付けユニットは、前記第1の構成部材又は前記第2の構成部材に嵌合することで、前記静止部に対して位置決めされることを特徴とする請求項28に記載のスピーカ装置。
  34.  前記第1の構成部材と前記第2の構成部材のうち、一方には前記取り付けユニットに向かって突出する凸部と、
     他方には前記凸部が挿入される凹部が形成されており、
     前記取り付けユニットには前記凸部が通過する孔部が形成されていることを特徴とする請求項33に記載のスピーカ装置。
  35.  前記他方の架橋部の側には、前記一方の腕部から前記他方の腕部にかけて連続的に形成された前記他方の保持部が配置されており、
     前記連続的に形成された他方の保持部は、当該保持部が有する両端部の間にて、その一部が前記他方の架橋部の連結部に取り付けられることを特徴とする請求項27に記載のスピーカ装置。
  36.  前記一方の保持部には、外部から入力される音声信号を前記ボイスコイルに入力する前記配線の一部が形成されており、
     前記一方の保持部は、湾曲した平面形状を有する湾曲部と、
     当該湾曲部に対して連続的に形成され、直線状の断面形状を有する平板部とを備え、
     前記一方の保持部は、前記平板部を第1の面として、前記第1の面から突出するとともに、当該第1の面に対して交差する方向に延在する第3の面を有し、
     前記第3の面は、前記ボイスコイル側の端部の近傍に形成されて、前記ボイスコイルと電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  37.  前記振動方向変換部は、一端部が前記ボイスコイルに角度変更自在に直接又は他の部材を介して連結されるとともに、他端部が前記振動板に角度変更自在に直接又は他の部材を介して連結され、
     前記振動板の振動方向及び前記ボイスコイルの振動方向それぞれに対して斜設された剛性のリンク部分を備えることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  38. 前記振動方向変換部における前記ボイスコイル側の端部と前記ボイスコイルの前記振動方向変換部側の端部との間に両端部の位置を前記振動方向に沿って異ならせて連結する連結部を備えることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  39.  前記振動方向変換部は、前記振動板及び前記ボイスコイルを含む被取付部材と連結しているとともに、該被取付部材に近接する関節部分を備え、
     前記関節部分に近接する前記被取付部材の面側には、前記関節部分と接触することを避ける接触回避部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  40.  前記振動方向変換部は、前記振動板および前記ボイスコイルを含む被取付部材と連結しているとともに、該被取付部材に近接する関節部分を備え、
     前記関節部分と対向する前記被取付部材の面側には、前記振動方向変換部と前記被取付部材とを接合する接着部材の収容部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  41.  前記振動方向変換部は、前記ボイスコイルと前記振動板との間で角度変更自在に斜設される剛性のリンク部分と、該リンク部分の両端に形成される関節部分とを備え、
     前記関節部分は、当該関節部分を跨いだ両側の部分で連続する屈折自在な連続部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  42.  前記ボイスコイルは、平面状で且つ環状に巻かれた導電部材と、前記導電部材を支持する剛性の基体とを備え、
     前記基体における前記導電部材の外側の表面には、導電層がパターン形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  43.  前記導電層は、前記導電部材を取り囲むように一対配備され、前記導電部材に音声信号を入力するための中継線として機能することを特徴とする請求項42に記載のスピーカ装置。
  44.  前記ボイスコイルを、前記静止部に直接又は他の部材を介して、前記ボイスコイルの振動方向に振動自在に保持する第1の保持部を備えることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  45.  前記ボイスコイルを、前記静止部に直接又は他の部材を介して、当該ボイスコイルの振動方向に振動自在に保持する第2の保持部を備えることを特徴とする請求項44に記載のスピーカ装置。
  46.  前記振動方向変換部における前記ボイスコイル側の端部と前記ボイスコイルの前記振動方向変換部側の端部との間に両端部の位置を前記振動方向に沿って異ならせて連結する連結部を備え、
     前記連結部と前記静止部との間において、前記第1の保持部は該連結部の左右に配置され、
     前記第2の保持部は、前記第1の保持部に対して前記静止部側で、前記ボイスコイルに対して左右に配置され、
     前記第1の保持部及び前記第2の保持部は前記ボイスコイルを略左右対称に前記静止部に直接又は他の部材を介して保持することを特徴とする請求項45に記載のスピーカ装置。
  47.  前記第2の保持部は、中央部が直接又は他の部材を介して前記静止部に保持され、その両端が前記ボイスコイルの左右端に接続されていることを特徴とする請求項46記載のスピーカ装置。
  48.  前記第1の保持部及び前記第2の保持部は、取り付けユニットを介して前記連結部及び前記ボイスコイルを前記静止部に保持することを特徴とする請求項46に記載のスピーカ装置。
  49.  請求項1記載のスピーカ装置を備えることを特徴とする電子機器。
  50.  請求項1記載のスピーカ装置を備えることを特徴とする自動車。
  51.  請求項1に記載のスピーカ装置を備えることを特徴とする建築物。
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