JP5037722B2 - スピーカ装置用振動方向変換部及びスピーカ装置 - Google Patents
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Description
本発明は、スピーカ装置用振動方向変換部及びスピーカ装置に関するものである。
図1は、従来のスピーカ装置を示した説明図である。一般的なスピーカ装置として、ダイナミック型スピーカ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このダイナミック型スピーカ装置は、例えば図1に示すように、フレーム3Jと、コーン形状の振動板21Jと、振動板21Jをフレーム3Jに支持するエッジ4Jと、振動板21Jの内周部に接合されたボイスコイルボビン610Jと、ボイスコイルボビン610Jをフレーム3Jに支持するダンパ7Jと、ボイスコイルボビン610Jに巻き回されたボイスコイル611Jと、ヨーク部51J,磁石52J,プレート53Jを備えると共に、ボイスコイル611Jが配置される磁気ギャップが形成された磁気回路とを有する。このスピーカ装置では、音声信号がボイスコイル611Jに入力されると、磁気ギャップ内のボイスコイル611Jに生じたローレンツ力によりボイスコイルボビン610Jが振動し、その振動によって振動板21Jが駆動される。
前述した一般的なダイナミック型スピーカ装置は、例えば図1に示すように、振動板21Jの音響放射側に対して反対側にボイスコイル611Jが配設され、ボイスコイル611J及びボイスコイルボビン610Jの振動方向と振動板21Jの振動方向が同じ方向になるように構成されている。そして、このようなスピーカ装置では、振動板21Jが振動するための領域、ボイスコイルボビン610Jが振動するための領域、磁気回路が配置される領域等が振動板21Jの振動方向(音響放射方向)に沿って形成されることになるので、スピーカ装置の全高が比較的大きく成らざるを得ない構造になっている。
詳細には、図1に示すように、スピーカ装置の振動板21Jの振動方向に沿った大きさは、コーン形状の振動板21Jの振動方向に沿った大きさ及び振動板21Jをフレーム3Jに支持するエッジ4Jの全高(a)、振動板21Jとボイスコイルボビン610Jとの接合部からボイスコイル611Jの上端までのボイスコイルボビン高さ(b)、ボイスコイル高さ(c)、磁気回路の主に磁石高さ(d)、磁気回路の主にヨーク部51Jの厚さ(e)等からなる。このようなスピーカ装置においては、充分な振動板21Jの振動ストロークを確保するためには、前述したa,b,c,dの高さを充分に確保する必要があり、また充分な駆動力を得るためには前述したc,d,eの高さを充分に確保する必要があるので、特に、大音量対応型スピーカ装置では、スピーカ装置の全高が大きく成らざるを得ない。
このように、従来のスピーカ装置では、ボイスコイルボビン610Jの振動方向と振動板21Jの振動方向とが同方向になっているので、振動板21Jの振幅を大きくして大音量を得ようとすると、ボイスコイルボビン610Jの振動ストロークを確保するためにスピーカ装置の全高が大きくなってしまい、装置の薄型化を達成し難い。すなわち、装置の薄型化と大音量化を両立し難い問題がある。
しかしながら、ボイスコイル611Jの振動を効率良く振動板21Jに伝達させるためには、ボイスコイル611Jの振動を直接振動板21Jに伝えること、すなわち、ボイスコイル611Jの振動方向と振動板21Jの振動方向とを一致させることが好ましい。ボイスコイル611Jの振動方向と振動板21Jの振動方向が異なる場合には、ボイスコイル611Jの振動が確実に振動板21Jに伝えられないことがあり、これがスピーカ装置の再生効率の悪化に繋がる問題が生じる。
一方、一般的なダイナミック型スピーカ装置では、コーン形状の振動板21Jの内周部にボイスコイルボビン610Jが接合されており、ボイスコイルボビン610Jから振動板21Jの内周部に駆動力が伝達されるので、振動板全体を略同位相にて駆動させることが比較的困難である。このため振動板全体を略同位相にて駆動することができるスピーカ装置が望まれている。
ところで、薄型スピーカ装置として、例えばコンデンサ型スピーカ装置が知られている。このコンデンサ型スピーカ装置は、振動板(可動電極)と固定電極とが向い合せに配置された構造を有する。このスピーカ装置は、電極間への直流電圧の印加により振動板が変位した状態となり、音声信号が重畳された信号が電極に入力されると、その信号に応じて振動板が振動する。しかし、このコンデンサ型スピーカ装置では、比較的大振幅の音声信号が入力されると、駆動力が非線形に著しく変化して、再生音の音質が比較的低くなる場合がある。
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、比較的簡単な構造で大音量の再生音を放射することができる薄型のスピーカ装置を提供すること、ボイスコイルの振動を確実に振動板に伝えて再生効率の高いスピーカ装置を得ること、比較的簡単な構造で高音質な再生音を放射することができる薄型のスピーカ装置を提供すること、また、比較的簡単な構成で振動板が略同位相で振動する薄型のスピーカ装置を提供すること、等が本発明の目的である。
比較的簡単な構造で大音量の再生音を放射することができる薄型のスピーカ装置は、ボイスコイルの振動方向と異なる方向に振動板を振動させることによって得ることができる。この際、機械的なリンク機構を用いてボイスコイルの振動方向を異なる方向に変換しようとすると、リンク機構の関節部分にはスピーカ装置に要求される高速の繰り返し振動に耐えうる耐久性が必要になると共に、高速の繰り返し振動時にも異音を生じない柔軟性が必要になる。
また、ボイスコイルの振動を方向変換して振動板に伝えるには、方向変換後にもボイスコイルの振動が効率よく正確に再現されることが必要になり、リンク機構に機械的な歪みが生じないことやリンク機構自体が軽量であることが要求される。更には、このようなリンク機構をスピーカ装置に組み込むときの作業容易性やリンク機構自体を製造する際の製造容易性が求められる。
このような目的を達成するために、本発明は、以下の各独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
[請求項1]スピーカ装置に用いられ、ボイスコイルを支持するボイスコイル支持部の振動を方向変換し、振動板を前記ボイスコイル支持部の振動方向と異なる方向に振動させる振動方向変換部であって、前記ボイスコイル支持部と前記振動板との間で角度変更自在に斜設される剛性のリンク部分と、該リンク部分の両端に形成される関節部分とを備え、前記関節部分は、当該関節部分を跨いだ両側の部分で連続する屈折自在な連続部材で形成されていることを特徴とするスピーカ装置用振動方向変換部。
[請求項27]振動板と、該振動板を振動方向に沿って振動自在に支持するフレームと、該フレームに設けられ、音声信号によって前記振動板に振動を与える駆動部とを備え、前記駆動部は、前記振動板の振動方向とは異なる方向に沿って磁気ギャップを形成する磁気回路と、音声信号が入力されるボイスコイルを支持し前記磁気ギャップに沿って振動可能に保持されるボイスコイル支持部と、前記ボイスコイル支持部の振動を方向変換して前記振動板に伝える振動方向変換部とを備え、前記振動方向変換部は、前記ボイスコイル支持部と前記振動板との間で角度変更自在に斜設される剛性のリンク部分と、該リンク部分の両端に形成される関節部分とを備え、前記関節部分は、当該関節部分を跨いだ両側の部分で連続する屈折自在な連続部材で形成されていることを特徴とするスピーカ装置。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図2は本発明の一実施形態に係るスピーカ装置用振動方向変換部を備えたスピーカ装置を示す説明図である(同図(a)がX軸方向に沿った断面図、同図(b)が駆動部の動作を示した説明図)。スピーカ装置1は、振動板10と、振動板10を振動方向に沿って振動自在に支持するフレーム12と、フレーム12に設けられ、音声信号によって振動板10に振動を与える駆動部14とを備え、駆動部14は、振動板10の振動方向とは異なる方向に沿って磁気ギャップ20Gを形成する磁気回路20と、音声信号SSが入力されるボイスコイル30を支持し磁気ギャップ20Gに沿って振動可能に保持されるボイスコイル支持部40と、ボイスコイル支持部40の振動を方向変換して振動板10に伝える振動方向変換部50とを備えている。図示においては、ボイスコイル支持部40の振動方向をX軸方向とし、それと直交する2方向をそれぞれY軸方向とZ軸方向としている。
振動方向変換部50は、ボイスコイル支持部40と振動板10との間で角度変更自在に斜設される剛性のリンク部分51と、リンク部分51の両端に形成される関節部分52(52A,52B)とを備え、関節部分52は、関節部分52を跨いだ両側の部分で連続する屈折自在な連続部材で形成されている。
このような特徴のスピーカ装置1では、音声信号SSが駆動部14のボイスコイル30に入力されると、磁気回路20の磁気ギャップ20Gに配置されたボイスコイル30にローレンツ力が生じて、ボイスコイル支持部40が、振動板10の振動方向に対して異なる方向(X軸方向)、好適には振動板の振動方向に対して直交する方向に沿って振動する。これに対して振動方向変換部50が機能してボイスコイル支持部40の振動を方向変換して振動板10に伝える。振動板10は、振動方向変換部50を介して伝達された駆動力によりボイスコイル支持部40とは異なる振動方向(例えば、ボイスコイル支持部40の振動と直交するZ軸方向)に沿って振動する。
一般的なスピーカ装置では、例えば振動板の背面側にボイスコイルボビンが配置され、振動板の振動方向とボイスコイルボビンの振動方向とが同方向になるように構成されているために、振動方向に沿って振動板およびボイスコイルボビンが振動するための領域を要するので、スピーカ装置の音響放射方向に沿った幅(全高)が比較的大きい。
一方、本発明の実施形態に係るスピーカ装置1では、振動板10の振動方向に対して異なる方向、好適には、振動板10の振動方向に対して直交する方向に形成された磁気ギャップ20Gを有する磁気回路20とその磁気回路20に沿って振動するボイスコイル支持部40、更にはボイスコイル支持部40の振動方向を方向変換して振動板10に伝える剛性の振動方向変換部50を有するので、前述した一般的なスピーカ装置と比べて、音響放射方向SDに沿った幅が比較的小さい。つまり、薄型スピーカ装置を提供することができる。また、ボイスコイル支持部40の振動ストロークをスピーカ装置1の全高に影響しない方向に設定できるので、ボイスコイル支持部40の振動ストロークすなわち振動板10の振幅を大きくした場合であってもスピーカ装置1の薄型化を達成しやすい。これによって、スピーカ装置1の薄型化と大音量化を両立することが可能になる。
振動方向変換部50の関節部分52は、この関節部分52を跨いだ両側の部分で連続する屈折自在な連続部材で形成されている。これによると関節部分52の両側の部分を折り曲げるだけで関節部分52を形成できるので、簡易に関節部分52を形成することができる。また、関節部分52自体には繋ぎ目がないので、連続部材を耐久性の高い部材にすることで、音響発生時のボイスコイル支持部40の振動によって繰り返される屈折に十分耐え得る関節部分52を形成することができる。更には、連続部材を柔軟な材料で形成することで、繰り返し屈折時に異音が生じるのを抑止することができ、スピーカ装置1の良好な音質を維持することができる。
スピーカ装置1の各部を更に詳細に説明する。振動板10は、図示のように、振動方向(Z軸方向)に沿って振動自在にフレーム12に支持されている。振動板10は、スピーカ駆動時、音響放射方向SDに音波を放射する。また、振動板10は、エッジ11を介してフレーム12に支持されており、振動方向以外の方向、詳細にはX軸方向やY軸方向に沿った移動は、エッジ11により規制されている。このエッジ11と振動板10は一体形成されてもよい。
振動板10の形成材料としては、例えば、樹脂系材料、金属系材料、紙系材料、繊維系材料、セラミックス系材料、複合材料などを採用することができる。振動板10は、例えば剛性を有することが好ましい。振動板10は、例えば平板形状、ドーム形状、コーン形状などの規定形状に形成することができる。図示の例で振動板10は平板形状に形成されており、また、フレーム12の平面状の底面12Aに沿って支持されている。薄型化の実現を課題とする本発明の実施形態としては、平板形状の振動板10が特に好ましい。また、振動板10は、音響放射方向から視認した形状(平面形状)が、矩形状、楕円形状、円形状、多角形状など、規定形状に形成することができる。
また、必要に応じて、振動板10の表面(音響放射側の面)又は裏面(音響放射側とは逆側の面)に、突起部を形成しても構わない。突起部は振動板10の剛性を大きくする機能を有する。突起部は振動板10の表面に対し、直線状、環状、格子状に形成してもよく、例えば直線状の突起部を振動板の表面に複数形成するなど、適宜変更してもよい。
振動板10は、振動自在にフレーム12に支持されており、振動板10の背面側(音響放射方向とは逆側)における振動板10とフレーム12とで囲まれる空間が音響放射方向に対して遮断されている場合には、振動板10の背面側から発せられる音波が音響放射方向に向けて放射されるのを抑止できる。
エッジ11は、振動板10とフレーム12との間に配置され、内周部が振動板10の外周部を支持するとともに、外周部がフレーム12に接合することにより、振動板10を規定位置に保持する。詳細には、エッジ11は、振動板10を振動方向(Z軸方向)に沿って振動自在に支持するとともに、振動方向に直交する方向には制動する。図示のエッジ11は、音響放射方向から視認した場合、リング形状(環状)に形成されており、断面形状は規定形状、例えば凸形状、凹形状、波型形状などに形成されている。図示のエッジ11は、音響放射方向に凹形状に形成されているが、音響放射方向に凸形状に形成されても構わない。エッジ11は、例えば、皮,布,ゴム,樹脂,それらに目止め加工を施したもの、ゴムや樹脂などを規定の形状に成形した部材等を採用することができる。
駆動部14の磁気回路20は、図示の例では、振動板10の振動方向と直交する方向に沿って磁気ギャップ20Gを形成しているが、特にそれに限定されるものではない。ボイスコイル支持部40は、磁気ギャップ20G内に支持されるボイスコイル30を有し磁気ギャップ20Gに沿って振動するものである。ボイスコイル支持部40は後述する保持部によって動きが規制され、磁気ギャップ20Gに沿った方向のみの移動が許容されており、ボイスコイル30に音声信号SSが入力されると、磁気ギャップ20G内のボイスコイル30にX軸方向に沿ったローレンツ力が作用して、ボイスコイル30と一体のボイスコイル支持部40がX軸方向に沿って振動する。
ボイスコイル支持部40を振動させるための磁気回路20は、ボイスコイル支持部40上で平面的に巻かれたボイスコイル30を流れる電流に対して同方向のローレンツ力を与えるために、磁束方向が異なる一対の磁気ギャップ20Gがボイスコイル支持部40の振動方向に沿って並べて配置され、ボイスコイル30が一対の磁気ギャップ20Gを巡回するように配置されている。
図示した例では、磁気回路20は、磁石21(21A,21B)とヨーク部22(22A,22B)によって形成されており、Z軸方向で互いに逆向きの磁極を有する一対の磁石21A,21BをX軸方向の所定間隔で並べて配置し、一対の磁石21A,21Bとヨーク部22Bとの間に前述した磁気ギャップ20Gを形成している。そして磁石21A,21B上を流れる電流がY軸方向で互いに逆方向になるようにボイスコイル30を巻き回すことで、ボイスコイル30にX軸方向に沿ったローレンツ力が働くようにしている。
ヨーク部22は、ボイスコイル40に対し静止している状態にて配置されている静止部でもある。また、駆動部14を構成するヨーク部22は、磁石21の下方に配置される底面部22Dと、底面部22Dを囲むように形成される側面部22Eとを備える。なお、静止部であるヨーク部22は、完全に静止している状態を意図するわけではなく、例えば、振動板10を支持できる程度に静止していれば良く、スピーカ装置1Tを駆動する際に生じる振動が伝播し、振動が静止部全体に生じても構わない。
ボイスコイル支持部40と振動方向変換部50は、連結部60を介して連結されている。連結部60は、振動方向変換部50におけるボイスコイル支持部側の端部とボイスコイル支持部40の振動方向変換部側の端部との間に形成され、両端部の位置を振動方向に沿って異ならせて連結させるものである。これによると、ボイスコイル支持部40の配置を振動方向変換部50の高さ方向にシフトさせることができ、磁気回路20の高さを振動方向変換部50の高さに含ませることができるので、全高を更に薄型化することが可能になる。また、全高の薄型化に際して、振動方向変換部50の高さを十分に確保することができるので、ボイスコイル支持部40の振動を大きな振幅で振動板10の振動に変換することが可能になる。図示の例では連結部60を介してボイスコイル支持部40と振動方向変換部50を連結しているが、連結部60を介することなく直接連結することもできる。
図2(b)に示すように、関節部分52は、リンク部分51を連結対象に対して角度変更自在に連結するものであり、ボイスコイル支持部40の振動に伴って、ボイスコイル支持部40側の関節部分52AはX軸方向に移動し、振動板10側の関節部分52Bは振動板10の振動方向(例えばZ軸方向)に沿って移動する。関節部分52Aをフレーム12の底面12Aに沿ってスライドするように形成することで、ボイスコイル支持部40の振動を安定化することが可能になると共に、振動方向変換部50の端部の移動を直線的に行うことができ、振動板10に連結される振動方向変換部50の端部の動きを確実且つ安定化することができる。
図3は、本発明の実施形態に係る振動方向変換部の一例を示す説明図である(同図(a)は側面図、同図(b)は斜視図、同図(c)は同図(b)におけるA部の拡大図である。)。振動方向変換部50は、前述したようにリンク部分51とその両端に形成される関節部分52(52A,52B)を備える。図示の例では、リンク部分51の両端側には関節部分52を介して連結部分53(第1の連結部分53A,第2の連結部分53B)が形成されている。ここで、第1の連結部分53Aはボイスコイル支持部40に連結されてボイスコイル支持部40と一体に振動する部分であり、第2の連結部分53Bは振動板10に連結されて振動板10と一体に振動する部分である。
この振動方向変換部50は、リンク部分51と関節部分52A,52Bと第1,第2の連結部分53A,53Bが一体に形成されており、関節部分52A,52Bは、当該関節部分52A,52Bを跨いだ両側の部分で連続する屈折自在な連続部材で形成されている。ここでの連続部材は、リンク部分51と第1,第2の連結部分53A,53Bの全体を形成する部材であっても良いし、リンク部分51と第1,第2の連結部分53A,53Bの一部を形成する部材であってもよい。
振動方向変換部50を板状部材で形成した場合には、関節部分52は図3(b)に示すように幅方向に延びる線状に形成されることになる。また、リンク部分51は変形しない剛性であることが要求され、関節部分52は屈折自在であることが要求されるので、リンク部分51或いは連結部分53の厚さt1に対して関節部分52の厚さt2を薄肉状に形成することで、一体の部材に異なる性質を持たせている。
また、関節部分52とリンク部分51との厚さの変化を傾斜面状に形成し、関節部分52を跨いだ両側の部分の端部に面が対面する傾斜面51t,53tを形成する。これによって、リンク部分51が角度変更される際にリンク部分51の厚みが角度変更に対して干渉するのを防ぐことができる。
図4は、振動方向変換部50の他の形成例を示した説明図である。ここでは、屈折自在の連続部材に剛性の部材を一体化してリンク部分或いは連結部分を形成しており、関節部分を連続部材のみの部分としている。同図(a)に示す例では、屈折自在なシート状部材である連続部材50Pの表面に剛性部材50Qを貼り付けて、リンク部分51或いは連結部分53を形成している。これによると、連続部材50Pは関節部分52を跨いだ両側の部分で連続的に延在しており、関節部分52はこの連続部材50Pのみで屈折自在に形成されている。一方、連続部材50Pに剛性部材50Qが貼り付けられたリンク部分51或いは連結部分53は剛性を有する部分に形成されることになる。
同図(b)に示す例では、連続部材50Pを挟持するように剛性部材50Qを貼り付けてリンク部分51或いは連結部分53を形成している。ここでも剛性部材50Qが貼り付けられていない部分が関節部分52になる。同図(c)に示す例では、リンク部分51を形成する剛性部材が多層の剛性部材50Q1,50Q2を積層して形成されている。なお、同図(c)において、多層の剛性部材50Q1を多層の剛性部材50Q2と実質的に同じ構造にしても構わない。このように屈折自在な連続部材50Pに剛性部材50Qを部分的に貼り付けることで、屈折自在な関節部分52と剛性を有するリンク部分51,連結部分53を一体に形成することができる。
連続部材50Pは、スピーカ装置の駆動時に繰り返される関節部分52の屈折に耐え得るだけの強度と耐久性を有し、屈折動作の繰り返し時に音を発しない柔軟性を有するものが好ましい。具体例としては、連続部材50Pは高強度繊維の織物又は不織物によって形成することができる。織物の例としては、図5に示したように、均一素材の平織り(同図(a))、縦糸と横糸が異なる材質の平織り(同図(b))、1本交互に糸材質を変えた平織り(同図(c))、交撚糸による平織り(同図(d))、引き揃えの平織り(同図(e))等にすることができ、平織り以外には、三軸,四軸織り、三軸,四軸組布、編み物、一方向引き揃えの繊維等にすることができる。
高強度繊維を全部又は一部に用いる場合には、高強度繊維をボイスコイル支持部40の振動方向に沿って配置することで、ボイスコイル支持部40の振動に対して十分な強度を得ることができる。縦糸と横糸を共に高強度繊維にした場合には、繊維方向をボイスコイル支持部40の振動方向に対して共に約45°傾斜させることで、縦糸と横糸に均等な張力がかかり耐久性を向上させることができる。高強度繊維としては、アラミド繊維,カーボン繊維,ガラス繊維等を用いることができる。また、連続部材の曲げ応力や剛性等の物性を調整するために、ダンプ剤(ダンピング剤、制動材)を塗布(付与)しても構わない。
剛性部材50Qとしては、軽量で成形し易く硬化後に剛性を有するものがよく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属、紙等を用いることができる。剛性部材50Qは板状に成形後、連続部材50Pの関節部分52を除く部分の表面に接着剤で貼り付けることによって振動方向変換部50を形成することができる。また、剛性部材50Qとして熱硬化性樹脂を用いる場合には、繊維質の連続部材50Pにおけるリンク部分51や連結部分53に部分的に樹脂を含浸させた後硬化させて振動方向変換部50を形成することができる。また、剛性部材50Qとして樹脂や金属を用いる場合には、インサート成形によってリンク部分51と連結部分53において連続部材50Pと剛性部材50Qを一体化することができる。
図6は、インサート成形によって連続部材50Pと剛性部材50Qを一体化する形成例を示した説明図である。同図(a)に示した例は連続部材50Pの一面側に剛性部材50Qを一体化する例であって、内面に連続部材50Pが当接する金型M10B内に予め成形された又は未成形の連結部材50Pを入れ込んでおき、その上に剛性部材50Qを形成するキャビティa11を有する金型M10Aを嵌め合わせ、キャビティa11に連通する射出口a10に射出装置M11を接続してキャビティa11内に成形材料を注入し、一体成形する。同図(b)に示した例は連続部材50Pの両面に剛性部材50Qを一体化する例であって、金型M12A,M12Bの接合面に予め成形された又は未成形の連結部材50Pを配置し、剛性部材50Qを形成するキャビティa11A,a11Bを有する金型M12A,M12Bを嵌め合わせ、キャビティa11A,a11Bに連通する射出口a10A,a10Bに射出装置M11,M11を接続してキャビティa11A,a11B内に成形材料を注入し、一体成形する。
このようなインサート成形技術を用いることで、連続部材50Pと剛性部材50Qとの密着力が飛躍的に向上し、連続部材50Pと剛性部材50Qとを剥がす外力が作用しても、連続部材と樹脂間の剥がれを抑制することが可能となり、振動方向変換部そのものの信頼性(長期に至る使用が可能)が向上する。なお、リンク部分51又は連結部分53を構成する剛性部材を、発泡構造又は非発泡構造にしてもよく、特に限定はない。なお、前述のインサート成形技術は、2005年5月12日に米国出願されたUS20050127233(公開番号:US2005/253298)、2005年5月13日に米国出願されたUS20050128232(公開番号:US2005/253299)に記載されており、本願は前記の公報に記載される内容を援用する。
図7は、関節部分52の形成例を示した説明図である。同図(a)に示した例は、連続部材50Pの一部を薄厚にして関節部分52を形成している。連続部材50Pの肉厚部分がリンク部分51又は連結部分53であって、薄厚部分が関節部分52になっている。図示の例では連続部材50Pの両面側から凹部を形成して関節部分52を形成している。同図(b)に示した例は、連続部材50Pの一部を湾曲状にして関節部分52を形成している。連続部材50Pの直線部分がリンク部分51又は連結部分53であって、湾曲部分が関節部分52になっている。同図(c),(d)は、本発明の変形例であって、同図(c)ではリンク部分51と連結部分53或いはリンク部分51間に形成される関節部分52を線状部材52fの縫い合わせによって形成している。同図(d)ではリンク部分51と連結部分53或いはリンク部分51間に形成される関節部分52を蝶番部材52gによって形成している。
図8及び図9は、本発明の他の実施形態に係るスピーカ装置を示した説明図である(同図(a)がX軸方向に沿った断面図、同図(b)が駆動部の動作を示した説明図)。前述の説明と共通する箇所は同一符号を付して重複説明を一部説明する。図8及び図9に示した実施形態に係るスピーカ装置1A,1Bでは、ボイスコイル支持部40に連結されてボイスコイル支持部40と一体に振動する第1の連結部分53Aと、振動板10に連結されて振動板10と一体に振動する第2の連結部分53Bとを備えると共に、リンク部分を複数備えたリンク機構50Lが形成されている。
図8に示した実施形態に係るスピーカ装置1Aでは、振動方向変換部50は剛性の第1のリンク部分51Aと第2のリンク部分51Bを備えたリンク機構50Lによって形成されている。第1のリンク部分51Aは、一端側に関節部分52Aを介して第1の連結部分53Aが形成され、他端側に関節部分52Bを介して第2の連結部分53Bが形成されており、第2のリンク部分51Bは、一端側に関節部分52Cを介して第1のリンク部分51Aの中間部が形成され、他端側に関節部分52Dを介してボイスコイル支持部40の振動に対して不動の連結部分53Cが形成されている。
そして、図示の例では、第1の連結部分53Aは連結部60を介して又は直接ボイスコイル支持部40の端部に連結されており、第2の連結部材53Bは直接振動板10に連結されており、不動の連結部分53Cは静止部13となるフレーム12の底面12Aに連結されている。第1のリンク部分51Aと第2のリンク部分51Bはボイスコイル支持部40の振動方向(X軸方向)に対して異なる方向に傾斜配置され、静止部13は、振動方向変換部50に対して振動板10側とは逆側に設けられている。図示の例では、静止部13はフレーム12の底面12Aによって形成しているが、これに換えて磁気回路20のヨーク部22Aを振動方向変換部50の下まで延在させ、このヨーク部22Aを静止部13にしてもよい。
図8(b)に示すように、ボイスコイル支持部40側の関節部分52Aはボイスコイル支持部40の移動に伴ってX軸方向に移動し、静止部13に連結された関節部分52Dは固定された状態になり、静止部13から受ける反力によって、関節部分52Aの移動が第1のリンク部分51Aと第2のリンク部分51Bの角度変化に変換され、振動板10側の関節部分52Bを振動板10の振動方向(例えばZ軸方向)に移動させる。
図9に示した実施形態に係るスピーカ装置1Bは、図8に示した駆動部14を左右対称に互いに対向配置したものであり、駆動部14(R),14(L)を備え、それぞれの駆動部14(R),14(L)にリンク機構50L(R),50L(L)とボイスコイル支持部40(R),40(L)と磁気回路20(R),20(L),連結部60(R),60(L)を設けている。
そして、リンク機構50L(R),(L)は、対向配置される一対の第1のリンク部分51A,一対の第2のリンク部分51B,一対の第1の連結部分53A,第2の連結部分53B,不動の連結部分53Cが一体になって振動方向変換部50を形成している。一対の第1の連結部分53Aはそれぞれボイスコイル支持部40に連結され、第2の連結部分53Bは振動板10に連結され、不動の連結部分53Cはフレーム12の底部12Aに連結されている。
これによると、図9(b)に示すように、ボイスコイル支持部40(R),40(L)の振動方向を同期させた逆向きにすることで、2つの駆動部14(R),14(L)の駆動力を合わせて振動板10を振動させることができる。また、振動板10側の関節部分52Bを複数箇所に設けることができるので、振動板10の支持点が増え、振動板10の振動の位相を合わせることが可能になる。
図10及び図11は、図9に示した実施形態に係るスピーカ装置1Bに用いた振動方向変換部を示す説明図である(図10(a)は斜視図、図10(b)は同図(a)におけるA部の拡大図、図11(a)は関節部分を引き伸ばして全体を平坦化した状態の平面図、図11(b)は関節部分を引き伸ばして全体を平坦化した状態の側面図である。)。振動方向変換部50は一体化された一部品で形成され、前述したように、一対の第1のリンク部分51Aとその両端にそれぞれ関節部分52A,52Bが形成され、一対の第2のリンク部分51Bとその両端にそれぞれ関節部分52C,52Dが形成されている。また、一対の第1のリンク部分51Aの一端側に関節部分52Aを介して第1の連結部分53Aが形成され、一対の第1のリンク部分51Aの他端側に形成される関節部分52B間に第2の連結部分53Bが形成され、第2のリンク部分51Bの他端側に形成された関節部分52D間に不動の連結部分53Cが形成されている。そして、第1のリンク部分51A,51Aと第2の連結部分53Bが凸状に屈折され、第2のリンク部分51B,51Bと不動の連結部分53Cが凹状に屈折されている。
図10(b)に示すように、関節部分52Aは、前述した連続部材50Pによって屈折自在に形成され、第1のリンク部分51Aには前述した剛性部材50Qが貼り付けられ、第1の連結部分53Aにも前述した剛性部材50Qが貼り付けられている。そして、前述した全ての関節部分が同様の構成に形成されている。また、各関節部分では傾斜面51t,53tが対向して形成されている。
図11(a)に示すように、リンク部分51A,51Bと各関節部分と連結部分53A,53B,53Cからなる振動方向変換部50は、一体のシート状部品から形成されている。一体のシート状部品を直線的に横断するように関節部分52Aが形成され、一体のシート状部品を部分的に横断するように関節部分52B,52C,52Dが形成されている。また、一体のシート状部品の長手方向に沿って一対の切り欠き部50Sを形成することで第2のリンク部分51B,51Bと不動の連結部分53Cが切り出されて形成されている。
このような振動方向変換部50を形成するには、例えば、シート状部材である連続部材50P上全面に剛性部材50Qを形成するための樹脂材を積層させ、各関節部分とその両側の傾斜面51t,53tを形成すべくV字状の型抜きを行う。その後前述した切り欠き部50Sを形成して、樹脂材を硬化させる。
また、各関節部分とその両側の傾斜面51t,53tを形成する際、剛性部材50Qを樹脂材で形成すると同時に成形しても構わない。この時、剛性部材50Qを成形する金型に予め断面形状がV字状の溝又は凹部を形成しておくことが好ましい。
図12,図13,図14は、本発明の実施形態における振動方向変換部50の他の例を示す説明図である(図12(a)が側面図、図12(b)が斜視図、図13が動作説明図、図14(a),(b)が形成例の説明図)。この振動方向変換部50(リンク機構50L)は、駆動部を一対設けて、振動方向変換部50を互いに略左右対称に対向配置させる場合であって、複数のリンク部分で平行リンクを形成している。
この実施形態に係る振動方向変換部50は、一端を第1の連結部分53A(R),53A(L)との関節部分52A(R),52A(L)とし、他端を第2の連結部分53Bとの関節部分52B(R),52B(L)とする一対の第1のリンク部分51A(R),51A(L)を有する。また、一端を第1のリンク部分51A(R),51A(L)の中間部との関節部分52C(R),52C(L)とし、他端を不動の連結部分53Cとの関節部分52D(R),52D(L)とする一対の第2のリンク部分51B(R),51B(L)を有する。前述したように第1の連結部分53Aはボイスコイル支持部40に直接又は連結部60を介して連結され、第2の連結部分53Bは振動板10に連結され、不動の連結部分53Cは、静止部となるフレーム12の底部12Aや磁気回路20を形成するヨーク部22等に連結される。
更に、一端が第1の連結部分53A(R),53A(L)から一体的に延設される一対の連結部分53D(R),53D(L)との関節部分52E(R),(L)であって、他端が第2の連結部分53Bと一体の連結部分53Eとの関節部分52F(R),52F(L)である第3のリンク部分51C(R),(L)を有する。
そして、第1のリンク部分51A(R)と第3のリンク部分51C(R)、第1のリンク部分51A(L)と第3のリンク部分51C(L)、第2のリンク部分51B(R)と第3のリンク部分51C(L)、第2のリンク部分51B(L)と第3のリンク部分51C(R)がそれぞれ平行リンクを形成している。
このような振動方向変換部50のリンク機構50Lは、実質的は、図8に示した実施形態のリンク機構と平行リンク機構を組み合わせた機能を有し、各リンク部分及び連結部分を連続部材50Pに剛性部材50Qを一体化させて形成し、リンク部分間の各関節部分は屈折自在な連続部材50Pのみで線状に形成して、リンク部分相互間が関節部分を介して一体的に形成されている。
この振動方向変換部50の動作を図13によって説明する。この例ではフレーム12に支持される不動の連結部分53Cが静止部として機能することになる。このような振動方向変換部50によると、ボイスコイル支持部40の振動によって、関節部分52A(R),(L)がX軸方向の基準位置X0からX1に移動すると、平行リンク機構によって第2の連結部分53Bとそれに一体の連結部分53Eが平行状態を維持して上昇し、平行リンクを形成している第1のリンク部分51A(R),(L)と第3のリンク部分51C(R),(L)が立ち上がるように角度変更する。その際、関節部分52D(L),(R)が静止部となる不動の連結部分53Cの両端で支持されているので、静止部からの反力を受けて第1のリンク部分51A(R),(L)と第3のリンク部分51C(R),(L)の角度変更が確実に行われ、関節部分52A(R),(L)の位置X0から位置X1への変位を振動板10の位置Z0から位置Z1への変位に確実に変換する。
同様に、関節部分52A(R),(L)がX軸方向の基準位置X0からX2に移動すると、平行リンク機構によって第2の連結部分53Bとそれに一体の連結部分53Eは平行状態を維持して下降し、平行リンクを形成している第1のリンク部分51A(R),(L)と第3のリンク部分51C(R),(L)が倒れるように角度変更する。その際、関節部分52D(R),(L)が静止部に支持されているので、静止部からの反力を受けて第1のリンク部分51A(R),(L)と第3のリンク部分51C(R),(L)の角度変更が確実に行われ、関節部分52A(R),(L)の位置X0から位置X2への変位を振動板10の位置Z0から位置Z2への変位に確実に変換する。
このような実施形態によると、一つのボイスコイル支持部40のX軸方向の振動が略同位相・略同振幅で振動する関節部分52B(R),(L),52F(R),(L)及び第2の連結部分53BにおけるZ軸方向の振動に変換されることになる。これによって、振動板10は、広い範囲で支持されて略同位相・略同振幅の振動が与えられることになるので、面積が広い平面的な振動板10に対してボイスコイル支持部40の振動を略同位相で伝達することができる。
図12(b)に示すように、振動方向変換部50は、連結部分53B,53D(R),(L),第3のリンク部分51C(R),(L)をそれぞれ幅方向一対に平行配置しており、第1のリンク部分51A(R),(L)を二股に形成してその中間部に第2のリンク部分51B(R),(L)との関節部分52C(R),(L)が形成され、第2のリンク部分51B(R),(L)及び連結部分53Cは、幅方向一対に平行配置されている連結部分53B,53D(R),(L),第3のリンク部分51C(R),(L)の間に配備されている。
このようにリンク部分を1つのシート状(板状)部品で形成することで、振動板10を面で支持して振動させることができるので、振動板10全体を略同位相で振動させることができ、分割振動を抑制することが可能になる。
また、図12(b)に示すように、この実施形態の振動方向変換部50は、リンク部分を形成する一つの板状部材全体を凸台形状に屈折させて第1のリンク部分51A(R),(L)と第2の連結部分53Bを形成し、この板状部材を部分的に切り出して凹台形状に屈折させて第2のリンク部分51B(R),(L)と不動の連結部分53Cを形成している。
図14によって、このような振動方向変換部50の形成方法を説明する。一つの形成方法としては、この振動方向変換部50は、図14(a)に示すように、複数(2枚)のシート状(板状)部品501,502を貼り合わせて形成し、一方のシート状部品501に、第1の連結部分53A(R),(L),第1のリンク部分51A(R),(L),第2のリンク部分51B(R),(L),第2の連結部分53B,不動の連結部分53Cを形成し、他方のシート状部品502に、連結部分53D,第3のリンク部分51C(R),(L)と連結部分53Eを形成している。そして、第1のリンク部分51A(R),(L)と第2の連結部分53Bに沿って連結部分53D(R),(L)と第3のリンク部分51C(R),(L)を形成すると共に、第2のリンク部分51B(R),(L)と不動の連結部分53Cに対応する開口502Aがシート状部品502に形成されている。
この例では、一方のシート状部品501における第2のリンク部分51B(R),(L)と不動の連結部分53Cに対応する他方のシート状部品502に形成される開口502Aの大きさが、他方のシート状部品502の一端から内側に向かって拡大するように形成されている。このようにすることで、第2のリンク部分51B(R),(L)と不動の連結部分53Cが他のシート状部品502に接触することが無く、リンク機構の動きを円滑に行わせることができる。
シート状部品501,502が連続部材50Pと剛性部材50Qによって形成されているものでは、図14(b)に示すように、連続部材50Pを対面させた状態で2つの部品501,502を連結する。これによると、連続部材50Pを一体化して、関節部分52の屈折を円滑に行うことができる。
また、各関節部分の近傍において、各リンク部分の端部には図3(c)に示したような傾斜面が形成されている。傾斜面はリンク部分が関節部分において屈折する際に、互いに干渉しないように形成されており、リンク部分が関節部分において効率良く屈折できるようになっている。
他の形成例としては、図14(c)に示すように、前述したシート状部品501の端部に連続して前述したシート状部品502を一体に形成して、折りたたみ線fで矢印方向に折り畳むことで、図12及び図13に示した振動方向変換部50を得ることができる。この例では、図11に示した例と同様に、シート状部材である連続部材50P上全面に剛性部材50Qを形成するための樹脂材を積層させ、各関節部分とその両側の傾斜面を形成すべくV字状の型抜きを行い、その後前述した切り欠き部50Sと開口502Aを形成して、樹脂材を硬化させることで簡易に形成することができる。
また、各関節部分とその両側の傾斜面51t,53tを形成する際、剛性部材50Qを樹脂材で形成すると同時に成形しても構わない。この時、剛性部材50Qを成形する金型に予め断面形状がV字状の溝又は凹部を形成しておくことが好ましい。
図9〜図14に示した実施形態では、2つの対向するボイスコイル支持部40に対して一つの一体部品の装着のみで振動方向変換部のリンク機構を形成することができるので、一対の駆動部を備えたスピーカ装置を形成する場合にも組み立て作業を簡易に行うことができる。また、不動の連結部分53Cを設けることで、ボイスコイル支持部40の対向振動(複数のボイスコイル支持部40が互いに逆方向となるように振動すること)に対しては、特に関節部分52D(R),(L)をフレーム12に支持しなくても、この関節部分52D(R),(L)の位置が常に一定に保持されることになり、これによっても振動方向変換部のスピーカ装置への組み込みを簡易化することができる。
そして、図12〜図14に示した実施形態では、リンク機構として、右側の第1のリンク部分51A(R)と第3のリンク部分51C(R)、左側の第1のリンク部分51A(L)と第3のリンク部分51C(L)によって平行リンクが形成されているので、ボイスコイル支持部40の対向振動に対して振動板10に固着される第2の連結部分53BをZ軸方向に沿って安定に平行移動させることができる。これによって、平面状の振動板10に対して安定した振動を加えることが可能になる。
このような本発明の実施形態に係るスピーカ装置1,1A,1Bによると、音声信号SSが入力されると、振動板10の許容される振動方向とは異なる方向に沿って形成された磁気ギャップ20Gに沿ってボイスコイル支持部40が振動することになり、この振動が振動方向変換部50によって方向変換されて振動板10に伝達されることになって、振動板10を振動させて音響放射方向SDに音声信号SSに応じた音が放射される。
この際、磁気ギャップ20Gの方向を振動板10の振動方向及びスピーカ装置1,1A,1Bの厚さ方向に交差させているので、磁気回路20の駆動力或いはボイスコイル支持部40の振動ストロークを大きくすることが直接的にスピーカ装置1,1A,1Bの厚さ方向(Z軸方向)の大きさに影響を与えない。よって、大音量化を図りながらスピーカ装置1,1A,1Bの薄型化を実現することが可能になる。
また、振動方向変換部50は、機械的なリンク機構によってボイスコイル支持部40の振動方向を変換して振動板10に伝えているので、振動の伝達効率が高い。特に、図3及び図4に示した実施形態に係るスピーカ装置1A,1Bでは、第1のリンク部分51Aと第2のリンク部分51Bの角度変更がボイスコイル支持部40の振動と静止部13からの反力によって行われるので、より確実にボイスコイル支持部40からの振動を振動板10に伝えることができる。これによって、スピーカ装置1A,1Bの良好な再生効率を得ることができる。
また、連結部60を設けることで、ボイスコイル支持部40の端部の位置と振動方向変換部50の端部50Aの位置との間に段差を形成することができる。これによって、磁気回路20のZ軸方向の幅(高さ)を振動方向変換部50の高さの中に収めることができ、駆動力を確保する上で必要になる磁気回路20の高さを十分に確保しながら、スピーカ装置1〜1Bを薄型化することが可能になる。また、連結部60を設けることでスピーカ装置1〜1Bの薄型化を達成しても十分に振動方向変換部50の必要高さ(リンク部分51の長さ)を確保することができ、振動板10の大きな振幅を得ることが可能になる。
更には、連結部60の底面61がフレーム12の底面12A或いは静止部13上をスライドするように形成することで、ボイスコイル支持部40の振動を安定化することが可能になると共に、振動方向変換部50の端部の移動を直線的に行うことができ、振動板10に連結される振動方向変換部50の端部50Bの動きを確実且つ安定化することができる。
図15に示す実施形態は、図12に示した実施形態の改良例である。図15(a)に示す例では、ボイスコイル支持部40の対向振動によって曲げが生じ易いリンク部分に対して凸部510を設けて剛性を高めている。図示の例では、第1のリンク部分51A(R),(L),第2のリンク部分51B(R),(L),連結部分53D(R),(L),連結部分53Cにそれぞれ凸部510が設けられている。また、同図(b)に示す例では、特に強度を必要としないリンク部分において開口部520を設けて振動方向変換部の軽量化を図っている。図示の例では、連結部分53Bに開口部520が設けられている。振動方向変換部の軽量化は特に再生特性の広域化や、所定の音声電流に対する音波の振幅及び音圧レベルを大きくすることに有効である。
図16は、振動方向変換部50の変形例を示している。この振動方向変換部50は、ボイスコイルの振動方向(矢印A方向)に沿って隣接する一対の関節部分52が配置され、一対の関節部分52を結ぶ直線は、ボイスコイルの振動方向(矢印A方向)に対し略平行である。この振動方向変換部50におけるリンク機構は少なくとも4つの関節部分52を備え、4つの関節部分52間のリンク部分51及び連結部分53は平行四辺形を形成し、且つ関節部分52は平行四辺形の頂部近傍に配置されている。
ここで、同図(a)に示した例では、一対の関節部分52は、剛性部材50Qの同じ表面側に配置されている。また、すべての関節部分52は、剛性部材50Qの内側に形成されている。これに限らず、剛性部材50Qの外側に形成することもできる。これによると、連続部材50Pによって平行四辺形を形成しやすくなり、連続部材50Pで形成される関節部分52を平行四辺形の頂点に配置して動きの円滑な平行リンクを形成することができる。
これに対して、同図(b),(c)は、関節部分52が剛性部材50Qの内側や外側に形成されている。これによると、連続部材50Pを接合する際に間に剛性部材50Qが介在することがあり、連続部材50Pを正確に平行四辺形状に形成するには剛性部材50Qの長さを調整する必要がある。
図17は、本発明の他の実施形態に係るスピーカ装置を示した説明図である。この実施形態では、振動方向変換部50とボイスコイル支持部40とが一体に形成され、振動方向変換部50のリンク部分51とボイスコイル支持部40は、連続部材50Pと剛性部材50Qとが積層されて形成され、ボイスコイル支持部40では、剛性部材50Qの内部又は表面上にボイスコイル30が支持されている。
図示のように、一対の駆動部を対向配置させる場合には、一方のボイスコイル支持部40から一方の振動方向変換部50のリンク部分51、更には振動板10との連結部分53、他方の振動方向変換部50のリンク部分51から他方のボイスコイル支持部40で連続するように、連続部材50Pを延在させている。そして、ボイスコイル支持部40とリンク部分51との間の関節部分52A,52Aとリンク部分51と連結部分53との間の関節部分52B,52Bを除いた連続部材50Pの表面上に剛性部材50Qを一体に積層させ、磁気回路20の磁気ギャップ20G内に配置されるボイスコイル支持部40においては、剛性部材50Qの内部又は表面上にボイスコイル30が支持されている。
このような実施形態によると、ボイスコイル支持部40と振動方向変換部50を一体化することで、スピーカ装置内での部品の組付けを簡素化することができる。また、振動の伝達系を一体化することで、振動伝達効率を向上させることができ、ボイスコイル支持部40の振動を確実に振動板10に伝達することができる。
以下に、本発明の実施形態に係るスピーカ装置の細部について更に詳細に説明する。
[保持部(ダンパ)15]
保持部15は、ボイスコイル支持部40が磁気回路20に接触しないように、ボイスコイル支持部40を磁気ギャップ20G内の規定位置に保持するとともに、ボイスコイル支持部40を振動方向(X軸方向)に沿って直線的に振動するように支持している。この保持部15は、ボイスコイル支持部40の振動方向と異なる方向、例えばZ軸方向やY軸方向には、ボイスコイル支持部40が移動しないように規制している。
保持部15は、ボイスコイル支持部40が磁気回路20に接触しないように、ボイスコイル支持部40を磁気ギャップ20G内の規定位置に保持するとともに、ボイスコイル支持部40を振動方向(X軸方向)に沿って直線的に振動するように支持している。この保持部15は、ボイスコイル支持部40の振動方向と異なる方向、例えばZ軸方向やY軸方向には、ボイスコイル支持部40が移動しないように規制している。
図18は、保持部15によるボイスコイル支持部40の保持機構の具体例を示した説明図である。保持部15は、例えば、導電性金属で形成され、ボイスコイル支持部40側の端部でボイスコイル30の端部又は該端部からのボイスコイル引き出し線43と電気的に接続され、フレーム側の端部で音声信号入力端子と電気的に接続されている。前述したように保持部15自体を導電性金属からなる振動配線にしても良いし、保持部15が配線基板(基板上に例えば線状の配線が形成されているもの)になっていてもよい。ボイスコイル30は、平面形状が略矩形状に形成されており、Y軸方向に沿って形成された直線部30A,30Cと、X軸方向に沿って形成された直線部30B,30Dにより構成されている。ボイスコイル30の直線部30A,30Cは、磁気回路20の磁気ギャップ20G内に配置され、磁場の方向がZ軸方向に沿うように規定されている。
図示の例では、保持部15は、ボイスコイル支持部40の振動方向に沿った一方向の変形を許容して他の方向への変形を規制した湾曲板状部材であり、ボイスコイル支持部40を略左右対称に保持している。図18の例では、保持部15の両端部は、一端が接続部15Xによってボイスコイル支持部40側に取り付けられており、他端が接続部15Yでフレーム側に取り付けられている。接続部15X,15Yは樹脂等の絶縁体で構成されており、ボイスコイル30から引き出されたボイスコイル引き出し線43は、保持部15と半田等を用いて電気的に接続されており、保持部15は音声信号入力端子と電気的に接続されている。
また、この接続部15X,15Yが電気的な接続端子を形成していてもよく、接続部15Xがボイスコイル30の端部又はその端部から引き出されたボイスコイル引き出し線43に接続され、接続部15Yが音声信号入力端子と電気的に接続されていてもよい。
従来のスピーカ装置に使用されるリード線は、スピーカ装置を駆動する際、振動するので、リード線がスピーカ装置を構成する部材、例えばフレームに接触することを抑止すべく、所定の空間内にてリード線を引き回す必要があり、スピーカ装置の薄型化を阻害する一つの要因となっている。しかし、図18の例のように、ボイスコイル支持部40上にボイスコイル引き出し線43が形成されることで、ボイスコイル引き出し線43を引き回すための所定の空間を設ける必要がなく、スピーカ装置を薄型化することが可能となる。
接続部15Yには、保持部15の他端が取り付けられており、ボイスコイル支持部40が基本的にX軸方向に振動するよう、接続部15Yは保持部15をフレームに支持している。また、ボイスコイル引き出し線43が導電性の保持部15まで延びて、電気的に接続されることで、ボイスコイル引き出し線43と保持部15とが断線することを抑止でき、スピーカ装置の信頼性を向上させることができる。
湾曲板状部材である導電性金属からなる保持部51は、保持部15の変形によってX軸に沿った方向にボイスコイル支持部6の移動を許容し、Z軸に沿った方向に関しては湾曲板状部材の高い剛性によって移動を規制している。したがって、ボイスコイル支持部40はZ軸方向にはフレームに対して常に所定の高さが保持されている。また略左右対称に保持部5を設けることで、ボイスコイル支持部40のY方向の動きに対しては保持部15の弾性力による釣り合い状態にあり、これもフレームに対して所定の位置に保持されている。
図19は、ボイスコイル支持部,連結部,保持部,取り付けユニットを説明する説明図(同図(a)がX軸方向とY軸方向の中間方向からみた斜視図、同図(b)がその逆向きからみた斜視図)である。ここでは、ボイスコイル支持部40及び連結部60を直接又は他の部材を介してフレームに保持する或いはフレームに取り付けるための具体的な構造を示す。
ボイスコイル支持部40は、その振動方向の一端に連結部60が取り付けられ、連結部60はボイスコイル支持部40の幅に沿って延在するように取り付けられている。ボイスコイル支持部40は平板状の絶縁平面板41にボイスコイル取り付け箇所41aが形成され、そのボイスコイル取り付け箇所41aにボイスコイル30が取り付けられている。ボイスコイル支持部40におけるボイスコイル30の内側には開孔部41bが形成され、ボイスコイル支持部40の軽量化を図っている。
連結部60には、振動方向変換部50の第1の連結部分53Aが接続される接続孔60sが形成されると共に、ボイスコイル支持部40の振動方向に沿って貫通する貫通孔60pが形成されている。貫通孔60pはボイスコイル支持部40の振動に対して連結部60が抵抗になるのを避けるために形成される通気孔である。
このボイスコイル支持部40及び連結部60は保持部15によって直接又は他の部材を介してフレームに保持される。保持部15は、ここでもボイスコイル支持部40のX軸方向に沿った移動を許容しながらそれ以外の方向への移動を規制するための構造を備えており、具体的には、Z軸方向に沿った厚みを有する板材でX軸方向に沿った凸状の湾曲が形成され、湾曲の曲げ伸ばし方向に関する変形を許容しながらそれ以外の変形を規制している。
保持部15は、一端がボイスコイル支持部40又は連結部60に接続され、他端が取り付けユニット16に接続されるか、或いは、その中間部がボイスコイル支持部40又は連結部60に接続され、その両端が取り付けユニット16に接続されている。ここでは取り付けユニット16を介してボイスコイル支持部40又は連結部60をフレームに保持している。
図示の例では、保持部15は第1の保持部15Aと第2の保持部15Bとを備えており、第1の保持部15Aと第2の保持部15Bは、取り付けユニット16を介してボイスコイル支持部40をフレーム12に保持している。第1の保持部15Aは連結部60を取り付けユニット16に保持しており、左右それぞれに設けられた第1の保持部15Aの内側の端部が連結部60の両外側の端部に接続され、各第1の保持部15Aの外側の端部が取り付けユニット16にそれぞれ接続されている。より具体的には、連結部60の両外側端部には係合突起60a,60aが形成されており、第1の保持部15Aの内側の端部には係合突起60a,60aに係合する係合孔15a,15aが形成されている。また、取り付けユニット16には連結部60の左右両側に第1の接続部16a,16aが形成されており、第1の保持部15Aの外側の端部には第1の接続部16a,16aの係合突起16a1,16a1に係合する係合孔15aが形成されている。
第2の保持部15Bは、図示の例では、一部材の中央部が取り付けユニット16の第2の接続部16bに接続され、その両端がボイスコイル支持部40の左右端に接続されている。第2の接続部16bには係合突起16b1が形成され、この係合突起16b1に第2の保持部15Bの係合孔15bが係合されている。ボイスコイル支持部40の左右端には係合突起41c,41cが形成され、この係合突起41c,41cに第2の保持部15Bの両端に形成された係合孔15bが係合している。ここでは、第2の保持部15Bをボイスコイル支持部40の幅内に配置して、ボイスコイル支持部40の保持機構がホイスコイル支持部40の幅方向に嵩張らないようにしている。スペースに余裕が有る場合には、第2の接続部16bを第1の接続部16aと同様に左右両側に配置して、ボイスコイル支持部40の左右端をそれぞれ第2の保持部15Bを介して左右の第2の接続部16bに接続するようにしてもよい。
取り付けユニット16は、第1の保持部15Aの端部が接続される第1の接続部16aが連結部60の左右両側に設けられ、第2の保持部15Bが接続される第2の接続部16bがボイスコイル支持部40の後方に設けられ、第1の接続部16aと第2の接続部16bとを一体に支持する一体支持部16cを有する。また、フレーム12に対して取り付けられる取り付け係止部16d或いは取り付け係止孔16eを備えており、ホイスコイル支持部40と連結部60と保持部15(第1の保持部15A,第2の保持部15B)と取り付けユニット16とをユニット化して1工程の取り付け作業でフレーム12に組み込むことができるようにしている。
また、このような実施形態では、取り付けユニット16の第1の接続部16aが音声信号入力端子を兼ねるようにし、音声信号が第1の保持部15Aを介してボイスコイル30に供給されるようにすることができる。この場合には、第1の保持部15Aに信号線を沿わせるか、第1の保持部15Aをフレキシブル配線板とするか、或いは第1の保持部15Aを導電性材料で形成してこれ自体を信号線とするかのいずれかにすることができる。そして、ボイスコイル30からのボイスコイル引き出し線43を絶縁平面板41上に形成し、このボイスコイル引き出し線43の先端をボイスコイル接続端子42に電気的に接続し、ボイスコイル接続端子42を第1の保持部15Aの信号線端子に電気的に接続する。
このような音声信号の入力配線経路を形成することで、入力信号線の配線スペースを省くことができ、装置内でのスペース効率を高めることができる。また、ボイスコイル支持部40の振動時にも信号線の暴れが無く、信号線が装置内の各部に接触して異音を発する不具合も生じない。
[磁気回路20]
前述した実施形態では、磁気回路20は、Z軸方向で互いに逆向きの磁極を有する一対の磁石21A,21BをX軸方向の所定間隔で並べて配置し、一対の磁石21A,21Bとヨーク部22Bとの間に前述した磁気ギャップ20Gを形成している。そして磁石21A,21B上を流れる電流がY軸方向で互いに逆方向になるようにボイスコイル30を巻き回すことで、ボイスコイル30にX軸方向に沿ったローレンツ力が働くようにしている。
前述した実施形態では、磁気回路20は、Z軸方向で互いに逆向きの磁極を有する一対の磁石21A,21BをX軸方向の所定間隔で並べて配置し、一対の磁石21A,21Bとヨーク部22Bとの間に前述した磁気ギャップ20Gを形成している。そして磁石21A,21B上を流れる電流がY軸方向で互いに逆方向になるようにボイスコイル30を巻き回すことで、ボイスコイル30にX軸方向に沿ったローレンツ力が働くようにしている。
磁石21とヨーク部22の配置を変えても、前述と同様な機能を有する磁気回路20を形成することができる。図20に示す例では、ボイスコイル30の直線部30Aにかかる磁場の向きが、直線部30Cに係る磁場の向きに対して逆向きとなるように、磁石21Aと磁石21Cが同方向に着磁されて、その間に磁気ギャップ20G2が形成され、磁気ギャップ20G1はヨーク部22A,22Bのそれぞれに形成したヨーク凸部22a,22b間に形成している。
磁石21の着磁は磁石21とヨーク部22とを組み付けた後に行うことができるが、前述した実施形態ではその際の着磁工程を2回行うことが必要になる。これに対して、図20に示す例では、磁気ギャップ20G2を形成する磁石21A,21Cを同方向に着磁するだけでよいから、磁石21とヨーク部22とを組み付けた後に行う着磁工程を1回で済ませることができ、工程の簡略化が可能になる。
磁気ギャップ20Gの両側に配置され磁石21A,21Cがそれぞれ接合される一対のヨーク部22A,22Bは、例えば、図20(b)に示すように、ボイスコイル支持部40の移動空間を囲繞するように端部が結合されている。これによると上下のヨーク部22A,22Bを磁気的に結合することで磁気ギャップ20G内の磁束密度をより高くすることができる。
また、磁気ギャップ20Gの両側に配置され磁石21A,21Cがそれぞれ接合される一対のヨーク部22A,22Bは、例えば、図20(c)に示すように、端部を非磁性体のスペーサ22Sで支持することもできる。これによると上下のヨーク部22A,22Bを安定に支持して磁気ギャップ20Gの間隔を一定に保つことができる。
[振動方向変換部の具体例]
振動方向変換部50を形成する剛性部材50Qとしては、軽量、高剛性、低内部損失、連続部材50Pとの高い密着性、熱による収縮が少ないなどの耐環境性が高い樹脂材料が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロンといった結晶性樹脂、或いは結晶性樹脂のグラスフィラーやグラスファイバー,カーボンフィラーやカーボンファイバー、マイカなどによる強化樹脂、発泡剤を添加した発泡性樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの非晶性樹脂、或いは非晶性樹脂のグラスフィラー,グラスファイバー,カーボンフィラー,カーボンファイバーやマイカなどによる強化樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル系樹脂、フェノール系樹脂などを用いることができる。
振動方向変換部50を形成する剛性部材50Qとしては、軽量、高剛性、低内部損失、連続部材50Pとの高い密着性、熱による収縮が少ないなどの耐環境性が高い樹脂材料が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロンといった結晶性樹脂、或いは結晶性樹脂のグラスフィラーやグラスファイバー,カーボンフィラーやカーボンファイバー、マイカなどによる強化樹脂、発泡剤を添加した発泡性樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの非晶性樹脂、或いは非晶性樹脂のグラスフィラー,グラスファイバー,カーボンフィラー,カーボンファイバーやマイカなどによる強化樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル系樹脂、フェノール系樹脂などを用いることができる。
連続部材50Pとしては、軽量、耐疲労性(繰り返し屈折に対する耐久性)、柔軟性(しなやかな動き)、剛性部材50Qの樹脂との密着性の要求を満たすものが好ましく、アラミド繊維(メタ系アラミド繊維,パラ系アラミド繊維),液晶繊維,PBO繊維,超分子量ポリエチレン繊維,ポリエステル繊維,ポリプロピレン繊維,ナイロン繊維,ポリウレタン繊維、綿布などの天然繊維、これら繊維による織物、不織物などを用いることができる。また、連続部材50Pは剛性部材50Q接着時の剥がれを防止するための表面処理を施すことが好ましい。表面処理としては、所謂プライマー処理、具体的には、連続部材50Pに例えばメラミン系樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド系樹脂)、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエステル樹脂(エポキシアクリレート樹脂)などの熱硬化性樹脂、例えばEVA樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂のような公知の樹脂材料を塗布又は含浸(付与)させることなどが挙げられる。
[実施例と搭載例]
図21は、本発明の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である(同図(a)が平面図、同図(b)がX−X断面図、同図(c)が背面図)。前述した説明と共通する部分は同一符号を付して重複説明を省略する。振動方向変換部50としては図12及び図13に示した例を採用しており、その第1の連結部分53Aが連結部60に接続され、連結部60を介して振動方向変換部50とボイスコイル支持部40が接続されている。ボイスコイル支持部40は第1の保持部15Aと第2の保持部15Bによって取り付けユニット16の第1の接続部16aと第2の接続部16bにそれぞれ接続されている。フレーム12は、振動板10の周囲をエッジ11を介して支持すると共に、磁気回路20を支持し、更には装置の背面側で取り付けユニット16を支持している。
図21は、本発明の実施例に係るスピーカ装置を示した説明図である(同図(a)が平面図、同図(b)がX−X断面図、同図(c)が背面図)。前述した説明と共通する部分は同一符号を付して重複説明を省略する。振動方向変換部50としては図12及び図13に示した例を採用しており、その第1の連結部分53Aが連結部60に接続され、連結部60を介して振動方向変換部50とボイスコイル支持部40が接続されている。ボイスコイル支持部40は第1の保持部15Aと第2の保持部15Bによって取り付けユニット16の第1の接続部16aと第2の接続部16bにそれぞれ接続されている。フレーム12は、振動板10の周囲をエッジ11を介して支持すると共に、磁気回路20を支持し、更には装置の背面側で取り付けユニット16を支持している。
この実施例によると、磁気回路20の高さがほぼ装置全体の全高になっており、その磁気回路20の中心付近をボイスコイル支持部40が振動する構造になり、ボイスコイル支持部40の端部と振動方向変換部50の端部とが連結部60を介して異なる高さで接続されている。これによって、振動方向変換部50の各リンク部分は装置の高さ内で十分な長さを確保することができ、また、磁気回路20の高さの一部を振動方向変換部50の高さ内に収めることが可能になる。
以上のように、本発明の実施形態或いは実施例に係るスピーカ装置は薄型化が可能であり、且つ大音量化の実現も可能である。このようなスピーカ装置は各種電子機器や車載用として効果的に用いることができる。図22は、本発明の実施形態に係るスピーカ装置を備える電子機器を示した説明図である。同図(a)に示した携帯電話或いは携帯情報端末のような電子機器2、或いは同図(b)に示したフラットパネルディスプレイのような電子機器3は、スピーカ装置1の設置に必要な厚さスペースを小さくできるので、電子機器全体の薄型化が可能になる。また、薄型化された電子機器においても充分な音声出力を得ることができる。図23は、本発明の実施形態に係るスピーカを備えた自動車を示した説明図である。同図に示した自動車4は、スピーカ装置1の薄型化によって車内スペースの拡大が可能になる。特にドアパネルに本発明の実施形態に係るスピーカ装置1を内装したものでは、ドアパネルの出っ張りを無くし運転者の操作スペースの拡大が可能になる。また、充分な音声出力が得られるので、雑音が多い高速走行時等でも車内で快適に音楽やラジオ放送を楽しむことができる。
また、スピーカ装置1を備える建築物として、人の居住を用途とする住宅(建築物)や会議、講演会、パーティー等、多数の人数を収容して催しを行うことができるホテル、旅館や研修施設等(建築物)にスピーカ装置1を設置した場合、スピーカ装置1の設置に必要な厚さスペースを小さくできるので、不要なスペースを削除でき、スペースを有効に活用することができる。また、近年、プロジェクターや大画面テレビ等の普及に伴い、音響・映像設備を備える居室を設ける例が見られるようになっており、一方で音響・映像設備を備える居室を設けずに、リビングルーム等をシアタールームとして使用するケースも見られる。このようなケースにおいても、スピーカ装置1を用いることで、簡易にリビングルーム等をシアタールーム化でき、さらにリビングルーム内の空間を有効に活用することが可能である。なお、スピーカ装置1の配置場所は、例えば、居室内の天井や壁等が挙げられる。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用することができる。
また、上述の各実施形態における技術を、必要に応じ、平板状のボイスコイルを用いるダイナミック型のスピーカ装置(例:リッフェル型のスピーカ装置、リボン型スピーカ装置、平板状のボイスコイルの音響放射側及び音響放射側とは逆側に磁極部を配置するスピーカ装置)に適用することができ、スピーカ装置を薄型化することができる。
なお、2008年1月28日に国際出願したPCT/JP2008/051197、2008年10月14日に国際出願したPCT/JP2008/68580、2009年1月20日に国際出願したPCT/JP2009/050764に記載される全ての内容は、本出願に組み込まれる。
また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用することができる。
また、上述の各実施形態における技術を、必要に応じ、平板状のボイスコイルを用いるダイナミック型のスピーカ装置(例:リッフェル型のスピーカ装置、リボン型スピーカ装置、平板状のボイスコイルの音響放射側及び音響放射側とは逆側に磁極部を配置するスピーカ装置)に適用することができ、スピーカ装置を薄型化することができる。
なお、2008年1月28日に国際出願したPCT/JP2008/051197、2008年10月14日に国際出願したPCT/JP2008/68580、2009年1月20日に国際出願したPCT/JP2009/050764に記載される全ての内容は、本出願に組み込まれる。
Claims (44)
- スピーカ装置に用いられ、ボイスコイルを支持するボイスコイル支持部の振動を方向変換し、振動板を前記ボイスコイル支持部の振動方向と異なる方向に振動させる振動方向変換部であって、
前記ボイスコイル支持部と前記振動板との間で角度変更自在に斜設される剛性のリンク部分と、該リンク部分の両端に形成される関節部分とを備え、
前記関節部分は、当該関節部分を跨いだ両側の部分で連続する屈折自在な連続部材で形成されていることを特徴とするスピーカ装置用振動方向変換部。 - 前記ボイスコイル支持部に連結されて該ボイスコイル支持部と一体に振動する第1の連結部分と、前記振動板に連結されて該振動板と一体に振動する第2の連結部分とを備え、
前記関節部分を跨いで前記リンク部分と前記第1又は第2の連結部分が形成されることを特徴とする請求項1記載のスピーカ装置用振動方向変換部。 - 前記ボイスコイル支持部に連結されて該ボイスコイル支持部と一体に振動する第1の連結部分と、前記振動板に連結されて該振動板と一体に振動する第2の連結部分とを備えると共に、前記リンク部分を複数備えたリンク機構が形成され、
該リンク機構は、
一端側に前記関節部分を介して前記第1の連結部分が形成され、他端側に前記関節部分を介して前記第2の連結部分が形成される第1のリンク部分と、
一端側に前記関節部分を介して前記第1のリンク部分の中間部が形成され、他端側に前記関節部分を介して前記ボイスコイル支持部の振動に対して不動の部分が形成される第2のリンク部分とを備え、
前記第1のリンク部分と前記第2のリンク部分とが異なる方向に斜設配置されることを特徴とする請求項1記載のスピーカ装置用振動方向変換部。 - 一端側に前記関節部分を介して前記第1の連結部分と一体の部分が形成され、他端側に前記関節部分を介して前記第2の連結部分と一体の部分が形成された第3のリンク部分を備え、
前記第1のリンク部分と前記第3のリンク部分とが平行リンクを形成することを特徴とする請求項3記載のスピーカ装置用振動方向変換部。 - 前記関節部分を跨いだ両側の部分の端部には、面が対向する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記リンク部分は、前記連続部材に剛性の部材を一体化してなることを特徴とする請求項5に記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記第1又は第2の連結部分は、前記連続部材に剛性の部材を一体化してなることを特徴とする請求項6のいずれかに記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記ボイスコイルの振動方向に沿って隣接する一対の前記関節部分が配置され、
一対の前記関節部分を結ぶ直線は、前記ボイスコイルの振動方向に対し略平行であることを特徴とする請求項7に記載のスピーカ装置用振動方向変換部。 - 前記ボイスコイルの振動方向に沿って隣接する一対の前記関節部分が配置され、
一対の前記関節部分は、前記剛性の部材の同じ表面側に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のスピーカ装置用振動方向変換部。 - すべての前記関節部分は、前記剛性の部材の内側又は外側の一方の側に形成されることを特徴とする請求項7に記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記リンク機構は少なくとも4つの前記関節部分を備え、4つの前記関節部分間のリンク部分及び連結部分は平行四辺形を形成し、且つ前記関節部分は平行四辺形の頂部近傍に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 複数のシート状部品を組み合わせて形成されることを特徴とする請求項1記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 剛性の部材と前記連続部材にて形成される複数の前記シート状部品は、前記連続部材が対面する状態で連結されることを特徴とする請求項12に記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記関節部分は線状に形成されることを特徴とする請求項7に記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記リンク機構は、前記リンク部分が略左右対称に対向配置されていることを特徴とする請求項3記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記第1又は第2の連結部分は、前記連続部材が前記剛性の部材にインサートされて形成されていることを特徴とする請求項7記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記連続部材は表面処理が施されていることを特徴とする請求項7記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記リンク部分は前記連続部材に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を付与させてなることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記連続部材は、繊維部材で形成されることを特徴とする請求項1記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記繊維部材が前記ボイスコイル支持部の振動方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項19記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記繊維部材は織物を形成し、該織物は縦糸と横糸の材料が異なることを特徴とする請求項19記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 一体のシート状部品から形成されることを特徴とする請求項1記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記連続部材はシート状部材であって、前記リンク部分は前記連続部材表面に剛性の部材を貼り付けてなることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記リンク部分は前記連続部材を挟持するように剛性の部材を貼り付けてなることを特徴とする請求項1記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記剛性の部材は多層に積層されてなることを特徴とする請求項24記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 前記関節部分は前記リンク部分に対して薄肉状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置用振動方向変換部。
- 振動板と、該振動板を振動方向に沿って振動自在に支持するフレームと、該フレームに設けられ、音声信号によって前記振動板に振動を与える駆動部とを備え、
前記駆動部は、
前記振動板の振動方向とは異なる方向に沿って磁気ギャップを形成する磁気回路と、
音声信号が入力されるボイスコイルを支持し前記磁気ギャップに沿って振動可能に保持されるボイスコイル支持部と、
前記ボイスコイル支持部の振動を方向変換して前記振動板に伝える振動方向変換部とを備え、
前記振動方向変換部は、
前記ボイスコイル支持部と前記振動板との間で角度変更自在に斜設される剛性のリンク部分と、該リンク部分の両端に形成される関節部分とを備え、
前記関節部分は、当該関節部分を跨いだ両側の部分で連続する屈折自在な連続部材で形成されていることを特徴とするスピーカ装置。 - 前記振動方向変換部は、一端部が前記駆動部に角度変更自在に直接又は他の部材を介して連結されるとともに、他端部が前記振動板に角度変更自在に直接又は他の部材を介して連結され、
前記振動板の振動方向および前記駆動部の移動方向それぞれに対して斜設されて配置されることを特徴とする請求項27に記載のスピーカ装置。 - 前記振動方向変換部は、
前記リンク部分を複数備えたリンク機構が形成され、該リンク機構は、前記リンク部分が前記振動板とは逆側に位置する静止部からの反力を受けて角度変更することを特徴とする請求項27記載のスピーカ装置。 - 前記ボイスコイル支持部に連結されて該ボイスコイル支持部と一体に振動する第1の連結部分と、前記振動板に連結されて該振動板と一体に振動する第2の連結部分とを備え、
前記関節部分を跨いで前記リンク部分と前記第1又は第2の連結部分が形成されることを特徴とする請求項27記載のスピーカ装置。 - 前記ボイスコイル支持部に連結されて該ボイスコイル支持部と一体に振動する第1の連結部分と、前記振動板に連結されて該振動板と一体に振動する第2の連結部分とを備えると共に、前記リンク部分を複数備えたリンク機構が形成され、
前記リンク機構は、
一端側に前記関節部分を介して前記第1の連結部分が形成され、他端側に前記関節部分を介して前記第2の連結部分が形成される第1のリンク部分と、
一端側に前記関節部分を介して前記第1のリンク部分の中間部が形成され、他端側に前記関節部分を介して前記ボイスコイル支持部の振動に対して不動の部分が形成される第2のリンク部分とを備え、
前記第1のリンク部分と前記第2のリンク部分とが異なる方向に斜設配置されることを特徴とする請求項27記載のスピーカ装置。 - 一端側に前記関節部分を介して前記第1の連結部分と一体の部分が形成され、他端側に前記関節部分を介して前記第2の連結部分と一体の部分が形成された第3のリンク部分を備え、
前記第1のリンク部分と前記第3のリンク部分とが平行リンクを形成することを特徴とする請求項31記載のスピーカ装置。 - 前記振動方向変換部と前記ボイスコイル支持部とが一体に形成され、
前記振動方向変換部のリンク部分と前記ボイスコイル支持部は、前記連続部材と剛性の部材とが積層されて形成され、
前記ボイスコイル支持部では、前記剛性の部材の内部又は表面上に前記ボイスコイルが支持されることを特徴とする請求項27記載のスピーカ装置。 - 前記静止部は、前記フレームの一部であることを特徴とする請求項28記載のスピーカ装置。
- 前記静止部は、前記リンク機構における前記ボイスコイル支持部の振動に対して不動の部分によって形成されることを特徴とする請求項28記載のスピーカ装置。
- 前記駆動部を一対設け、
前記リンク機構は、前記リンク部分が略左右対称に対向配置されていることを特徴とする請求項28に記載のスピーカ装置。 - 前記磁気回路は磁束方向が異なる一対の磁気ギャップが前記ボイスコイル支持部の振動方向に沿って並べて配置され、
前記ボイスコイルが前記磁気ギャップを巡回するように配置されていることを特徴とする請求項27記載のスピーカ装置。 - 前記磁気回路は、前記磁気ギャップの片側又は両側に配置される磁石と前記磁気ギャップの両側に配置され前記磁石に接合される一対のヨーク部とを備え、
前記ヨーク部は、前記ボイスコイル支持部の移動空間を囲繞するように端部が結合されていることを特徴とする請求項27記載のスピーカ装置。 - 前記磁気回路は、前記磁気ギャップの片側又は両側に配置される磁石と前記磁気ギャップの両側に配置され前記磁石に接合される一対のヨーク部とを備え、
前記ヨーク部は、端部が非磁性体のスペーサで支持されていることを特徴とする請求項27記載のスピーカ装置。 - 前記ボイスコイル支持部が直線的に振動するように該ボイスコイル支持部を前記フレームに直接又は他の部材を介して保持する保持部を備え、
音声信号入力端子に入力された音声信号が前記保持部を介して前記ボイスコイルに入力されることを特徴とする請求項27に記載のスピーカ装置。 - 前記保持部は、導電性材料で形成され、前記ボイスコイル支持部側の端部で前記ボイスコイルと電気的に接続され、前記フレーム側の端部で前記音声信号入力端子と電気的に接続されていることを特徴とする請求項20に記載のスピーカ装置。
- 請求項27に記載のスピーカ装置を備えることを特徴とする電子機器。
- 請求項27に記載のスピーカ装置を備えることを特徴とする自動車。
- 請求項27に記載のスピーカ装置を備えることを特徴とする建築物。
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