以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、実施形態に係る試験装置100の構成を、被試験デバイス200とあわせて示す図である。試験装置100は、半導体回路等の被試験デバイス200に対して所定の試験信号を印加することで、被試験デバイス200を試験する。本例の試験装置100は、動作モードを切り替えることで、試験信号の周波数を切り替える。
試験装置100は、パターン発生器10、クロック発生部12、タイミング発生器20、および、判定部14を備える。パターン発生器10は、試験パターンを生成する。試験パターンは、被試験デバイス200に印加すべき試験信号の論理パターンを含む。
例えば試験パターンは、被試験デバイス200の各ピンにパルスを入力するか否かを、各試験サイクルについて順次示すパターンであってよい。また、パターン発生器10は、被試験デバイス200に入力される各パルスが、各試験サイクル内のいずれの位相で配置されるかを示す設定データを更に生成する。例えば、試験サイクルと同一周期のレート信号について、各試験サイクルでパルスを除去するか否かを試験パターンに応じて決定して、各試験サイクルにおけるレート信号のパルスを設定データに応じて遅延させることで、所定の試験信号を生成することができる。
クロック発生部12は、所定の周波数の基準クロックを生成する。タイミング発生器20は、入力信号を遅延させたタイミング信号を出力する。本例のタイミング発生器20は、パターン発生器10が生成した試験パターンに応じたレート信号を入力信号として受け取り、当該入力信号の各パルスを、設定データに応じて遅延させる。これにより、タイミング発生器20は、所定の論理パターンを所定のタイミングで被試験デバイス200に印加する。
タイミング発生器20は、ロジック部30、逓倍器32、周期遅延部40、高精度遅延部34、および、モード切替部70を有する。ロジック部30は、パターン発生器10から試験パターンおよび設定データを受け取る。ロジック部30は、試験パターンに応じたレート信号および設定データを、クロック発生部12が生成した基準クロックに同期して出力する。ロジック部30は、複数個並列に設けられ、レート信号および設定データを、n本(way)ずつ並列に出力する。
周期遅延部40は、ロジック部30が出力したレート信号および設定データを受け取る。周期遅延部40は、設定データで示される遅延量のうちの、与えられる動作クロックの周期の整数倍の成分に応じた遅延量で、レート信号の各パルスを遅延させる。また、周期遅延部40は、レート信号に対する遅延量と同一の遅延量で、設定データの少なくとも一部を遅延させて出力する。
周期遅延部40は、例えば動作クロックに応じて動作する縦続接続されたフリップフロップと、いずれのフリップフロップが出力する信号を取り出すかを選択することにより、遅延量を調整する選択部とを有してよい。周期遅延部40は、複数個並列に設けられ、レート信号および設定データを、n本ずつ並列に出力する。
逓倍器32は、クロック発生部12が出力する基準クロックの周波数をL逓倍した動作クロックを出力する。逓倍器32は、基準クロックを参照信号として受け取るPLL回路を有してよい。逓倍器32は、動作クロックを、周期遅延部40、モード切替部70、および、高精度遅延部34に分配する。
モード切替部70は、周期遅延部40が出力するn本のレート信号および設定データを受け取る。モード切替部70は、設定される動作モードに応じて、出力する信号の本数mと、出力する各信号の周波数とを切り替える。例えば低速モードの場合、モード切替部70は、受け取ったn本のレート信号および設定データを通過させてよい(すなわち、m=n)。
また、高速モードの場合、モード切替部70は、入力される信号の本数より少ないm本の信号を出力する。例えば高速モードの場合、モード切替部70は、第1の周期遅延部40および第2の周期遅延部40が出力する2つのレート信号をインターリーブした1つのレート信号を出力してよい。同様に、モード切替部70は、第1の周期遅延部40および第2の周期遅延部40が出力する2つの設定データをインターリーブした1つの設定データを出力する。出力信号の本数mは、入力信号の本数nの約数であることが好ましい。
ここでインターリーブとは、例えば複数の信号の論理和をとることで、複数の信号のパルスを、各パルスの相対位相の関係を維持して同一の時間軸に配列した信号を生成する処理であってよい。データ信号についても、各データ値を、各データ値の相対位相の関係を維持して同一の時間軸に配列することで、高周波のデータ信号を生成することができる。このとき、時間軸で隣接したデータが重なる場合、各データの時間長を調整することが好ましい。
より具体的には、T、3T、5T、・・・の各タイミングでパルスを有する信号と、2T、4T、6T、・・・の各タイミングでパルスを有する信号をインターリーブすることで、T、2T、3T、4T、・・・の各タイミングでパルスを有する高周波の信号を生成することができる。高精度遅延部34は、モード切替部70が出力するレート信号の各パルスを、モード切替部70が出力する設定データの各データ値に応じて遅延させる。高精度遅延部34は、動作クロックの周期未満の遅延を生成する。
なお、タイミング発生器20は、モード切替部70が出力するレート信号の本数の最大値nに応じた個数、高精度遅延部34を並列に有することが好ましい。これにより、モード切替部70が、いかなる本数のレート信号を出力しても、それぞれのレート信号について高精度遅延部34を割り当てることができる。
タイミング発生器20は、高精度遅延部34が出力するレート信号に基づいて、被試験デバイス200に試験信号を印加する。例えばタイミング発生器20は、当該レート信号を試験信号として被試験デバイス200に印加してよく、2つのレート信号をセット信号およびリセット信号としてセットリセットラッチ回路に入力することで、試験信号を生成してもよい。
このような構成により、ハードウェアを変更せずに、出力周波数の異なる複数種類のタイミング発生器20を実現することができる。また、ロジック部30および周期遅延部40の動作可能周波数よりも高い周波数のレート信号を出力することができる。
更に、高精度遅延部34より前段でレート信号をインターリーブするので、高精度遅延部34の素子バラツキによる、インターリーブ後のレート信号におけるジッタの発生を低減することができる。また、設定データについてもインターリーブするので、高周波のレート信号における各パルスの遅延量を制御することができる。
判定部14は、試験信号が印加された被試験デバイス200の動作に基づいて、被試験デバイス200の良否を判定する。例えば判定部14は、被試験デバイス200が出力する応答信号の論理パターンが、所定の期待値パターンと一致するか否かに基づいて、被試験デバイス200の良否を判定してよい。また判定部14は、被試験デバイス200に印加される電圧または電流に基づいて、被試験デバイス200の良否を判定してもよい。
図2は、タイミング発生器20の概要を説明する図である。本例では、図1において説明した信号の本数nを8とする。また、低速モードではm=2として2本のレート信号を出力して、高速モードではm=1として1本のレート信号を出力する。また、クロック発生部12からタイミング発生器20に与えられる基準クロックの周波数を500MHzとする。また、逓倍器32は、基準クロックを8逓倍した4GHzの動作クロックを出力する。
本例のタイミング発生器20は、2つのロジック部30、2つの周期遅延部40、モード切替部70、逓倍器32、および、2つの高精度遅延部34を有する。それぞれのロジック部30は、4個のロジック回路36を有する。それぞれのロジック回路36は、1組のレート信号および設定データを、基準クロックに同期して出力する。つまり、それぞれのロジック部30は、500MHz(500Mbps)のレート信号および設定データを4組ずつ出力する。
第1の周期遅延部40-1は、第1のロジック部30-1が出力する4組のレート信号および設定データを受け取る。また、第2の周期遅延部40-2は、第2のロジック部30-2が出力する4組のレート信号および設定データを受け取る。それぞれの周期遅延部40は、それぞれのレート信号を、対応する設定データに応じて遅延させる。
上述したように、周期遅延部40は、設定データに示される遅延量のうち、動作クロックの整数倍の成分を生成する。即ち、周期遅延部40は、250psの分解能で、対応するレート信号を遅延させる。これにより、第1の周期遅延部40-1および第2の周期遅延部40-2は、パルスおよびデータの位相を250psの分解能で調整した500MHzのレート信号および設定データを、それぞれ4組出力する。
モード切替部70は、第1の周期遅延部40-1および第2の周期遅延部40-2が出力する8組のレート信号および設定データを受け取り、1本または2本のレート信号を出力する。モード切替部70は、第1の高精度遅延部34-1に対して、第1の周期遅延部40-1が出力するレート信号のみから生成した2GHzのレート信号を入力するか、または、第1の周期遅延部40-1および第2の周期遅延部40-2が出力するレート信号をインターリーブして生成した4GHzのレート信号を入力するかを切り替える。
例えば低速モードの場合、モード切替部70は、それぞれの周期遅延部40から受け取った4本のレート信号を、それぞれ1本のレート信号に変換する。モード切替部70は、並列に受け取る4本のレート信号を、それぞれ1本のシリアル信号に変換するシリアライザを有してよく、また、4本のレート信号の論理和を出力する論理和回路を有してもよい。これにより、2GHzのレート信号を2本生成できる。
低速モードの場合、モード切替部70は、第1の周期遅延部40-1が出力するレート信号から生成した2GHzのレート信号を、第1の高精度遅延部34-1に入力する。また、モード切替部70は、第2の周期遅延部40-2が出力するレート信号から生成した2GHzのレート信号を、第2の高精度遅延部34-2に入力する。
また、高速モードの場合、モード切替部70は、2つの周期遅延部40から受け取った8本のレート信号を、1本のレート信号に変換する。これにより、4GHzのレート信号を1本生成できる。モード切替部70は、4GHzのレート信号を、第1の周期遅延部34-1に入力する。このとき、第2の周期遅延部34-2には、レート信号が入力されなくてよい。また、モード切替部70は、第2の周期遅延部34-2に、第1の周期遅延部34-1と同一の信号を分配してもよい。
なお、モード切替部70は、設定データについても、レート信号と同様に処理する。これにより、モード切替部70は、低速モードで動作する場合に、第1の高精度遅延部34-1の遅延量を、第1の周期遅延部40-1が出力する設定データにより制御させ、第2の高精度遅延部34-2の遅延量を、第2の周期遅延部40-1が出力する設定データにより制御させる。
また、モード切替部70は、高速モードで動作する場合に、第1の高精度遅延部40-1の遅延量を、第1の周期遅延部40-1が出力する設定データおよび第2の周期遅延部40-2が出力する設定データをインターリーブしたデータで制御させる。このとき、第2の周期遅延部40-2には、設定データが与えられなくてよい。
第1の高精度遅延部34-1および第2の高精度遅延部34-2は、モード切替部70から与えられるレート信号の各パルスを、対応する設定データの各データ値に応じて遅延させる。これにより、多様な周波数のレート信号を、同一の回路構成で生成することができる。
図3は、周期遅延部40の構成例を示す図である。なお図3では、第1の周期遅延部40-1の構成を図示するが、それぞれの周期遅延部40は同一の構成を有する。周期遅延部40は、ロジック部30から入力される入力信号(本例ではレート信号)の本数に応じた個数の回路モジュール60を有する。本例では、それぞれの周期遅延部40は、4個の回路モジュール60を有する。それぞれの回路モジュール60は、対応する入力信号を遅延させたレート信号をそれぞれ出力する。
回路モジュール60は、クロック変換部42、位相検出部44、信号リタイミング回路46、下位リタイミング回路48、上位リタイミング回路50、信号遅延部52、および、データ遅延部54を有する。クロック変換部42は、逓倍器32から動作クロックを受け取り、動作クロックをL分周した分周クロックを生成する。つまり、クロック変換部42は、クロック発生部12が発生した基準クロックと同一の周波数の分周クロックを生成する。
位相検出部44は、クロック変換部42が生成した分周クロックのエッジタイミングが、ロジック部30から与えられる信号のアイ開口の略中央に配置されるように、分周クロックの位相を制御する。本例の位相検出部44は、例えば設定データおよび分周クロックの位相差を検出して、当該位相差を試験装置100の制御系に通知する。当該制御系は、位相検出部44から通知される位相差が所定の値となるように、クロック変換部42が出力する分周クロックの位相を制御する。
信号リタイミング回路46は、ロジック部30から入力される入力信号を、分周クロックによりリタイミングする。また、下位リタイミング回路48は、ロジック部30から入力される設定データ(例えば10ビット)のうち、下位の所定ビット(例えば下位7ビット)を受け取り、受け取った下位ビットを分周クロックによりリタイミングする。
また、上位リタイミング回路50は、ロジック部30から入力される設定データのうち、上位の所定ビット(例えば上位3ビット)を受け取り、受け取った上位ビットを分周クロックによりリタイミングする。それぞれのリタイミング回路は、分周クロックに応じて動作するフリップフロップであってよい。
信号遅延部52は、信号リタイミング回路46によりリタイミングされたレート信号を、上位リタイミング回路50が出力する設定データの上位ビットに応じて遅延させる。また、データ遅延部54は、下位リタイミング回路48によりリタイミングされた設定データの下位ビットを、上位リタイミング回路50が出力する設定データの上位ビットに応じて遅延させる。
信号遅延部52およびデータ遅延部54は、動作クロックの周期に、設定データの上位ビットにより指定される数を乗じた遅延量で、それぞれの信号を遅延させてよい。このような構成により、それぞれの回路モジュール60は、レート信号と、レート信号に対して高精度遅延部34で生じさせるべき遅延量を示す7ビットの設定データとを出力する。本例の周期遅延部40は、回路モジュール60を4個有するので、レート信号および設定データを4組出力する。
図4は、モード切替部70の構成を、高精度遅延部34とあわせて示す図である。本例のモード切替部70は、第1の多入力論理和回路72、第1のデータインターリーブ部74、第2の多入力論理和回路76、第2のデータインターリーブ部78、信号バイパス部80、データバイパス部82、信号通過部84、データ通過部86、第1の電力制御部90、および、第2の電力制御部88を有する。
なお、本例のモード切替部70には、試験装置100の制御系から、モード選択信号ENB、および、電力制御信号PCが与えられる。一例として、ENB=0が低速モードを示しており、ENB=1が高速モードを示す。
信号バイパス部80は、高速モードの場合に、第2の周期遅延部40-2が出力するレート信号を、第1の多入力論理和回路72にバイパスして入力する。なお、信号バイパス部80は、低速モードの場合に、第2の周期遅延部40-2が出力するレート信号を、第1の多入力論理和回路72に入力しない。
データバイパス部82は、高速モードの場合に、第2の周期遅延部40-2が出力する設定データを、第1のデータインターリーブ部74にバイパスして入力する。なお、データバイパス部82は、低速モードの場合に、第2の周期遅延部40-2が出力する設定データを、第1のデータインターリーブ部74に入力しない。
第1の多入力論理和回路72は、入力される信号をインターリーブした信号(例えば、入力された信号の論理和)を出力する。低速モードの場合、本例の第1の多入力論理和回路72には、第1の周期遅延部40-1が出力するレート信号のみが入力される。また、高速モードの場合、本例の多入力論理和回路72には、第1の周期遅延部40-1が出力するレート信号に加え、第2の周期遅延部40-2が出力するレート信号が、信号バイパス部80を介して入力される。これにより、第1の多入力論理和回路72は、動作モードに応じた周波数のレート信号を、第1の高精度遅延部34-1に入力する。
第1のデータインターリーブ部74は、入力される設定データをインターリーブして出力する。ここで、インターリーブとは、入力される設定データの論理和を生成する処理であってよい。低速モードの場合、本例の第1の多入力論理和回路72には、第1の周期遅延部40-1が出力する設定データのみが入力される。また、高速モードの場合、本例の多入力論理和回路72には、第1の周期遅延部40-1が出力する設定データに加え、第2の周期遅延部40-2が出力する設定データが、データバイパス部82を介して入力される。これにより、第1のデータインターリーブ部74は、動作モードに応じた周波数で、第1の高精度遅延部34-1の遅延量を制御する。
第2の多入力論理和回路76は、入力される信号をインターリーブした信号(例えば、入力された信号の論理和)を出力する。低速モードの場合、本例の第2の多入力論理和回路76には、第2の周期遅延部40-2が出力するレート信号が、信号通過部84を介して入力される。また、高速モードの場合、信号通過部84は、第2の多入力論理和回路76へのレート信号の入力を遮断する。これにより、第2の多入力論理和回路76は、動作モードに応じて、第2の高精度遅延部34-2にレート信号を入力するか否かを切り替える。
第2のデータインターリーブ部78は、入力される設定データをインターリーブして出力する。低速モードの場合、本例の第2のデータインターリーブ部78には、第2の周期遅延部40-2が出力する設定データが、データ通過部86を介して入力される。また、高速モードの場合、データ通過部86は、第2データインターリーブ部78への設定データの入力を遮断する。これにより、第2データインターリーブ部78は、動作モードに応じて、第2の高精度遅延部34-2の遅延量を制御するか否かを切り替える。
第1の電力制御部90は、電力制御信号PCに基づいて、第1の高精度遅延部34-1に電力を供給するか否かを切り替える。例えば第1の電力制御部90は、電力制御信号PCが論理値1を示す場合に、第1の高精度遅延部34-1への電力供給を停止させる。
第2の電力制御部88は、電力制御信号PCおよびモード選択信号ENBに基づいて、第2の高精度遅延部34-2に電力を供給するか否かを切り替える。例えば第2の電力制御部88は、電力制御信号PCおよびモード選択信号ENBのいずれかが論理値1を示す場合に、第2の周期遅延部34-2への電源電力の供給を停止させる。
このような構成により、動作モードに応じた周波数のレート信号を生成することができる。また、高速モードの場合に、動作しない第2の高精度遅延部34-2への電力供給を停止させるので、電力消費を低減することができる。
図5は、タイミング発生器20の動作例のタイミングチャートを示す。本例では、高速モードにおけるタイミング発生器20の動作を説明する。また、以下の例では、略等間隔にパルスが配置されたレート信号を生成する場合の動作を説明する。
図5におけるレート信号1から4は、第1の周期遅延部40-1が出力するレート信号を示しており、レート信号5から8は、第2の周期遅延部40-2が出力するレート信号を示す。また、合成信号Aは、第1の高精度遅延部34-1に入力される信号を示しており、合成信号Bは、第2の高精度遅延部34-2に入力される信号を示す。
高速モードの場合、図5に示すように、第1の周期遅延部40-1および第2の周期遅延部40-2は、互いに異なるタイミングでパルスを有するレート信号を生成する。なお、各レート信号は、基準クロックと同一の周期を有する。
第1の周期遅延部40-1および第2の周期遅延部40-2は、基準クロックの周期(2ns)を、レート信号の本数(8)で分割したそれぞれのタイミングで、いずれかのレート信号がパルスを有するように、それぞれのレート信号のパルスタイミングを設定する。当該パルスタイミングは、周期遅延部40において、それぞれのレート信号を、動作クロック(基準クロックを8逓倍したクロック)の周期の整数倍で遅延させることで調整できる。
モード切替部70は、当該8個のレート信号の論理和を生成することで、高周波の合成信号Aを生成して、第1の高精度遅延部34-1に入力する。なお、モード切替部70は、合成信号Bを生成しなくてよい。
図6は、タイミング発生器20の動作例のタイミングチャートを示す。本例では、低速モードにおけるタイミング発生器20の動作を説明する。低速モードの場合、第1の周期遅延部40-1および第2の周期遅延部40-2は、互いに独立して、レート信号を生成してよい。つまり、図6に示すように、第1の周期遅延部40-1および第2の周期遅延部40-2は、同一のタイミングでパルスを有するレート信号を生成してもよい。
それぞれの周期遅延部40は、基準クロックの周期(2ns)を、自己が出力するレート信号の本数(4)で分割したそれぞれのタイミングで、いずれかのレート信号がパルスを有するように、それぞれのレート信号のパルスタイミングを設定する。モード切替部70は、レート信号1から4の論理和に基づいて合成信号Aを生成して、レート信号5から8の論理和に基づいて合成信号Bを生成する。
図7は、第1のデータインターリーブ部74および第2のデータインターリーブ部78の動作例のタイミングチャートを示す。本例では、高速モードにおける動作例を説明する。なお図7において、設定データ1から4は、第1の周期遅延部40-1が出力する設定データを示しており、設定データ5から8は、第2の周期遅延部40-2が出力する設定データを示す。なお、それぞれの周期遅延部40は、それぞれの設定データを、対応するレート信号と同期して出力する。また、それぞれのデータ遅延部54は、動作クロックと略同一の周期(本例では250ps)の設定データを出力する。本例の設定データは、図5に示したレート信号と同期する。
また、合成データAは、第1の高精度遅延部34-1の遅延量を制御するデータを示しており、合成データBは、第2の高精度遅延部34-2の遅延量を制御するデータを示す。高速モードの場合、第1のデータインターリーブ部74には、設定データ1から8が入力される。
上述したように、第1のデータインターリーブ部74は、設定データの論理和を出力する。各設定データは、対応するデータ遅延部54において、ロジック部30から入力された状態での上位ビットに応じた遅延量で遅延されるので、第1のデータインターリーブ部74は、各設定データの当該上位ビットの値に応じた順番で、各設定データを出力する。これにより、比較的に高周波数の合成信号Aに同期した、合成データAを生成することができる。なお、第2のデータインターリーブ部78には、設定データが入力されないので、合成データBは生成されない。
図8は、第1のデータインターリーブ部74および第2のデータインターリーブ部78の動作例のタイミングチャートを示す。本例では、低速モードにおける動作例を説明する。なお、本例の設定データは、図6に示したレート信号と同期する。
低速モードの場合、第1のデータインターリーブ部74には、設定データ1から4が入力され、第2のデータインターリーブ部78には、設定データ5から8が入力される。これにより、比較的に低周波数の2つの合成信号に同期した、合成データAおよび合成データBが生成される。
図9は、第1の多入力論理和回路72の構成例を示す図である。なお、第2の多入力論理和回路76も、第1の多入力論理和回路72と同様の構成を有する。第1の多入力論理和回路72は、Pチャネルトランジスタ92、および、複数のNチャネルトランジスタ94を有する。
Pチャネルトランジスタ92は、複数のNチャネルトランジスタ94のそれぞれと、高圧側電源ラインとの間に接続される。Pチャネルトランジスタ92は、第1の高精度遅延部34-1に電源電力が供給されている場合にオン状態に制御され、高圧側電源ラインから、複数のNチャネルトランジスタ94に電流を流す。Pチャネルトランジスタ92は、第1の高精度遅延部34-1に電源電力が供給されていない場合にオフ状態に制御され、高圧側電源ラインから複数のNチャネルトランジスタ94に電流を供給させない。
複数のNチャネルトランジスタ94は、Pチャネルトランジスタ92と、低圧側電源ラインとの間に互いに並列に設けられる。また、Nチャネルトランジスタ94は、多入力論理和回路72に入力されるレート信号の本数に応じた個数が設けられる。それぞれのNチャネルトランジスタ94は、対応するレート信号がH論理の場合にオン状態に制御され、L論理の場合にオフ状態に制御される。
第1の多入力論理和回路72は、複数のNチャネルトランジスタ94およびPチャネルトランジスタ92の接続点における電位を、第1の高精度遅延部34-1に出力する。このような構成により、複数のレート信号の論理和を生成することができる。なお、入力されるレート信号の本数によらず、それぞれのレート信号が通過するトランジスタの段数は1段となる。このため、低電圧の電源で、第1の多入力論理和回路72を動作させることができる。
図10は、試験装置100の他の構成例を示す図である。なお図10では、判定部14の記載を省略する。本例の試験装置100は、パターン発生器10、クロック発生部12、第1のタイミング発生器20-1、第2のタイミング発生器20-2、および、論理和回路96を有する。第1のタイミング発生器20-1および第2のタイミング発生器20-2は、それぞれ異なるタイミングでパルスを有するレート信号を出力する。
論理和回路96は、第1のタイミング発生器20-1および第2のタイミング発生器20-2が出力するレート信号の論理和を出力する。これにより、1つのタイミング発生器20を用いる試験装置100に比べ、2倍の周波数のレート信号を生成することができる。
また、クロック発生部12において、基準クロックの周波数を変更してもよい。例えば、クロック発生部12は、500MHzの基準クロック、または、250MHzの基準クロックのいずれかを出力可能であってよい。
試験装置100は、クロック発生部12における基準クロックの周波数、タイミング発生器20の動作モード、および、複数のタイミング発生器20の出力の論理和を生成するか否か、の組み合わせを制御してよい。これにより、試験装置100は、生成するレート信号の周波数および本数について、多様な組み合わせを生成することができる。
図11は、位相検出部44の構成例を示す図である。位相検出部44は、分周クロックのパルスと、ロジック部30から与えられるレート信号の立ち下がりエッジとの位相差を、当該パルスを検出してから当該立ち下がりエッジを検出するまでの期間の動作クロックのパルスを計数することで測定する。本例の位相検出部44は、論理積回路102、および、カウンタ104を有する。
図12は、位相検出部44の動作例を示す。論理積回路102は、逓倍器32が出力する動作クロック、および、ロジック部30が出力するレート信号の出力の論理積をカウンタ104に供給する。つまり、論理積回路102は、レート信号がH論理を示す期間、カウンタ104に動作クロックを供給する。
カウンタ104は、論理積回路102からのクロックが、クロック端子に入力されて、当該クロックのパルスを計数する。また、カウンタ104は、クロック変換部42からの分周クロックがリセット端子に入力されて、分周クロックのパルス毎に、計数値をリセットする。これにより、カウンタ104は、分周クロックのパルスと、ロジック部30から与えられるレート信号の立ち下がりエッジとの位相差に応じた計数値を出力する。
試験装置100の制御系は、当該計数値が所定の値となるように、クロック変換部42が出力する分周クロックの位相を調整する。これにより、分周クロックの位相を、レート信号および設定データのデータ期間の略中央に設定することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。