WO2010100758A1

WO2010100758A1 - 耕耘爪及びこの耕耘爪を備えるロータリ

Info

Publication number: WO2010100758A1
Application number: PCT/JP2009/054308
Authority: WO
Inventors: 新井　弘之; 早田　裕光; 栄二山▲崎▼
Original assignee: ヤンマー株式会社
Priority date: 2009-03-06
Filing date: 2009-03-06
Publication date: 2010-09-10
Also published as: EP2404491B1; EP2404491A4; ES2711500T3; RU2479181C1; EP2404491A1

Abstract

　本発明の課題は、一方向の回転による通常の耕耘作業の他に、他方向に回転させることで深耕作業を行うことができる耕耘爪を提供することにある。そこで、次の解決手段をとる。耕耘軸１２に取り付けられる基部２１と、前記基部２１から延出して耕耘軸１２の回転方向と逆向きに湾曲する刃体部２２とを備え、前記刃体部２２が、前記基部２１から該基部２１と同平面状に延出する直平部２３と、前記直平部２３の先端より前記耕耘軸方向に曲折される曲折部２４と、で構成される耕耘爪２０において、前記曲折部２４の先端には前記耕耘軸１２の回転方向と逆側の端面を頂点２５ａとするくさび状の刃先部２５が形成されるとともに、側面視において、前記耕耘軸１２の軸心Ｏを通り、かつ、前記曲折部２４の折り曲げ開始線３０と垂直な仮想線３１が、前記曲折部２４と交わるように前記曲折部２４が形成される。

Description

耕耘爪及びこの耕耘爪を備えるロータリ

　本発明は、歩行型管理機等の耕耘軸に装着する耕耘爪及びこの耕耘爪を備えるロータリの構成に関する。

　従来より、ロータリ耕耘装置の回転軸に植設された耕耘爪で耕耘しつつ、さらに耕耘爪によって走行する小型の歩行型管理機がある。これらの歩行型管理機は手軽で小回りが効くため、広く一般に普及している。

　前記歩行型管理機において、土壌が通常の耕耘深さで十分であるならば、図６（ａ）に示すようななた爪４０を用いて耕耘作業を行う（例えば特許文献１から特許文献３参照）。また、土壌に十分な耕耘深さが必要であるならば、なた爪４０を専用の耕耘爪（深耕爪）に付け替えて深耕作業を行う。
　しかしながら、前記方法では、深耕作業を行うために耕耘爪を別途用意する必要があり、作業者の負担となった。更に、使用していない耕耘爪の保管場所も必要となり、管理が手間となった。

特開平９－２９８９０３号公報特開２００２－１２５４０４号公報特開２００６－６２８４号公報

　そこで、本発明の課題は、一方向の回転による通常の耕耘作業の他に、他方向に回転させることで深耕作業を行うことができる耕耘爪を提供することにある。

　本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。

　本発明においては、耕耘軸に取り付けられる基部と、前記基部から延出して耕耘軸の回転方向と逆向きに湾曲する刃体部とを備え、前記刃体部が、前記基部から該基部と同平面状に延出する直平部と、前記直平部の先端より前記耕耘軸方向に曲折される曲折部と、で構成される耕耘爪において、前記曲折部の先端には前記耕耘軸の回転方向と逆側の端面を頂点とするくさび状の刃先部が形成されるとともに、側面視において、前記耕耘軸の軸心を通り、かつ、前記曲折部の折り曲げ開始線と垂直な仮想線が、前記曲折部と交わるように前記曲折部が形成されるものである。

　本発明においては、前記耕耘軸の回転方向と逆方向に回転したときにおいて、前記折り曲げ開始線と、前記折り曲げ開始線の両端におけるそれぞれの回転軌跡の接線となす角度が共に略４５°以下に形成されるものである。

　本発明においては、前記刃先部は、前記曲折部の長手方向に対して切断線により斜めに切断されるとともに、側面視において、前記切断線は、前記頂点の回転軌跡における接線と略同等、または、前記切断線と、前記接線となす角度が鋭角に形成されるものである。

　本発明においては、回転方向の前後の面を斜面としたテーパ状の刃部が形成されるものである。

　本発明においては、本発明の耕耘爪を取り付けた左右の耕耘軸を、左右に入れ替え可能に構成し、該耕耘爪を刃先部から土壌に突入させて深耕耕耘するものである。

　本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。

　本発明においては、この耕耘爪を車軸耕耘型の管理機に装着した場合、その刃先部を回転方向の後方に向けて取り付けた通常の取付状態で回転させることによって、管理機の走行が可能となり、その走行の際には管理機に備えられた抵抗棒で走行抵抗を与えると、耕耘爪は刃体部の直平部で切り込んで土中に入り、刃体部の曲折部で土壌を反転して耕耘作業が可能となる。また、耕耘爪を、その刃先部を回転方向の前方に向けて取り付けた、即ち前記とは逆向きに取り付けた状態でダウンカット回転させることによって、刃先部から土壌に突き刺して深く入り込ませることが可能となり、深耕耕耘が可能となる。

　本発明においては、前記耕耘軸の軸心を通るとともに前記曲折部の折り曲げ開始線と垂直な仮想線が、前記曲折部と交わるように前記曲折部が形成され、前記曲折部の刃先部が耕耘爪の回転方向の後方に向くこととなり、土壌の反転性能を確保することができる。そして、耕耘爪を逆向きに取り付けてダウンカットさせることによって、刃先部から土壌に突き刺して深く入り込ませることが可能となり、深耕耕耘が可能となる。

　本発明においては、耕耘爪を通常の取付状態で回転させるとき、刃先部は接線方向となるため、刃先の摩耗が小さくなる。また、耕耘爪を逆向きの取付状態で回転させるとき、刃先部は尖った部分を土壌に突き刺すことになるため、食い込み抵抗が小さく、耕耘爪を深く入り込ませることが可能となる。

　本発明においては、耕耘爪を通常の取付状態とした場合でも、逆向きの取付状態とした場合でも、刃部が土壌を切ることになり、耕耘抵抗を小さくして、駆動エネルギーの低減を図ることができる。したがって、効率よく作業ができるようになる。

　本発明においては、耕耘軸を左右反転して付け替えることで、複数の耕耘爪をその向きを変えて回転することが可能となる。したがって、一つのロータリで異なる耕耘作業ができる。しかも、耕耘作業の変更は、耕耘爪を一つ一つ取り外してその向きを変える必要がないため、簡単に行うことができる。

歩行型管理機１の全体的な構成を示す側面図。耕耘軸の背面図。耕耘爪の形状を示す図。（ａ）側面図。（ｂ）平面図。（ｃ）図３（ｂ）におけるＣ－Ｃ矢視断面図。（ｄ）刃先部の背面図。耕耘爪の側面図。（ａ）矢印Ａ方向に回転するときの状態を示す図。（ｂ）矢印Ｂ方向に回転するときの状態を示す図。耕耘軸を左右入れ替え時の状態を示す背面図。従来のなた爪の形状を示す図。（ａ）側面図。（ｂ）曲折部の背面図。耕耘爪の形状を示す図。（ａ）曲折前の図。（ｂ）曲折後の曲折部の側面図。（ｃ）曲折後の背面図。（ｄ）矢印Ｂ方向に回転するときの状態を示す図。耕耘爪の形状を示す図。（ａ）曲折前の図。（ｂ）曲折後の曲折部の側面図。（ｃ）曲折後の背面図。（ｄ）矢印Ｂ方向に回転するときの状態を示す図。

発明を実施するための形態

　次に、本発明の一実施形態に係る耕耘爪を装着した車軸耕耘型の歩行型管理機の実施形態を説明する。
　尚、以下の説明においては、図１における矢印Ｆの方向を歩行型管理機１の前方向として、その反対を後方向、前方向に対する左右を左右方向とする。

　まず、本発明の一実施形態に係る歩行型管理機１の全体構成を説明する。
　図１に示すように、歩行型管理機１の機体フレーム２の前部には機体を保護するバンパー３が固設され、後部には走行抵抗を付与するための抵抗棒４が固設されている。そして、機体フレーム２の後部上方にはハンドル５が延出され、該ハンドル５の後側に把持部５ａが備えられている。前記把持部５ａの近傍には、主クラッチレバーやアクセルレバー等の操作部５ｂが設けられている。

　機体フレーム２の上部には、動力源としてエンジン２と伝動ケース９とが設けられて、左右方向に並置されている。機体フレーム２に対してミッションケース８が上下方向に延設され、ミッションケース８の下部両側から車軸１１・１１が左右両側方に突出されている。該車軸１１・１１にはロータリ１０の耕耘軸１２・１２が取り付けられ、前記機体フレーム２の下部にロータリ１０が配設される。

　図２に示すように、ロータリ１０は、左右の耕耘軸１２Ｌ・１２Ｒと、左右のディスク１４・１４と、複数の耕耘爪２０・２０・・・を備える。
　左右の各耕耘軸１２はパイプ状に形成され、該耕耘軸１２の一端は前記車軸１１に外嵌されて、固定ピン１５等の固定部材により両者が固定されている。本実施形態では、車軸１１と耕耘軸１２にピン孔を軸心方向と直角方向に開口して、該ピン孔に固定ピン１５を挿入することによって、車軸１１と耕耘軸１２とを固定している。耕耘軸１２の他端には延長耕耘軸１２ａの取付軸１２ｂ又はディスク１４の取付軸１４ａを挿入して前記同様に固定ピン１５等で固定できるようにしている。

　前記耕耘軸１２上及び延長耕耘軸１２ａ上には、取付板（フランジ）１３が、軸長に合わせて、一つまたは複数所定の間隔を開けて取り付けられている。つまり、耕耘幅に合わせて耕耘軸１２に延長耕耘軸１２ａが直列に連結され、耕耘爪２０の左右幅に応じて取付板１３が耕耘軸１２（延長耕耘軸１２ａ）上に固設され、最外側の耕耘軸１２（延長耕耘軸１２ａ）に取付軸１４ａを介してディスク１４が固定される。前記取付板１３は耕耘軸１２の軸心Ｏに対して直角方向に延長するように固設されている。但し、耕耘軸１２と延長耕耘軸１２ａは同じ長さとして同一構成とすることも可能である。また、取付板１３の代わりに各パイプ状のホルダを耕耘軸１２より放射状に突設して、該ホルダに耕耘爪２０を取り付ける構成とすることも可能である。
　ディスク１４は、円板の中心より取付軸１４ａを側方に突設して最外側の前記耕耘軸１２または延長耕耘軸１２ａに挿入し、固定ピン１５の固定部材を用いて固定する。
　このような構成において、耕耘軸１２と車軸１１を固定する固定ピン１５を抜くことにより、耕耘軸１２を容易に着脱することが可能となり、ロータリ１０の左右付け替えも容易にできるようにしている。

　そして、エンジン６が駆動され、該エンジン６の動力が伝動ケース９を介してミッションケース８に伝えられ、該ミッションケース８内で変速されて耕耘軸１２に伝達されて、この耕耘軸１２、ひいては耕耘爪２０が回転するように構成されている。こうして、歩行型管理機１は、耕耘爪２０の回転によって、土壌を耕耘するとともに走行するようになっている。

　次に、本発明の一実施形態である耕耘爪２０について詳しく説明する。
　耕耘軸１２の回転方向を矢印Ａ方向として、耕耘軸１２の回転方向と逆方向を矢印Ｂ方向と規定する。

　図３に示すように、耕耘爪２０は例えばＳＵＰ６等の金属素材でできた帯状板材で構成される。耕耘爪２０には、前記耕耘軸１２の取付板１３に取り付ける基部２１と、土壌に切り込み反転・放てきさせる刃体部２２とを備える。
　該耕耘爪２０の基部２１と刃体部２２、または、刃体部２２は回転方向の前後の面を斜面としたテーパ状の刃部を形成している。つまり、図３（ｃ）に示すように、耕耘爪２０の回転方向前側の面（矢印Ａ方向の前側の面）は斜めに削られて刃部２０ａが形成され、回転方向後側の面（矢印Ｂ方向の前側の面）も斜めに削られて刃部２０ｂが形成されている。前記刃部２０ａと刃部２０ｂは同じ側に形成されているが、逆側の面に形成される構成とすることも可能である。

　基部２１は、前記耕耘軸１２の取付板１３と同平面（耕耘軸と垂直方向）に形成される。該基部２１には、二つの取付孔２１ａ・２１ａが適宜な間隔をあけて（取付板１３の取付孔に合わせて）穿設され、前記取付板１３にボルトナット１３ａで取り付けられる（図１参照）。また、基部２１の耕耘軸側の一辺には、円弧状の切削部２１ｂが形成され、できるだけ耕耘軸１２に近づけて固定できるようにしている。
　尚、本実施形態の基部２１は、耕耘軸１２の取付板１３に固定させるフランジタイプの基部であるが、ホルダに挿入して固定するような基部とすることもできる。この場合には、取付孔２１ａは一つとなる。

　刃体部２２は、前記基部側より基部２１と同平面状に延出する直平部２３と、該直平部２３の先端より曲折される曲折部２４と、前記曲折部２４の先端に形成される刃先部２５と、で構成される。

　前記刃先部２５は、図３（ｄ）に示すように、曲折部２４の先端において長手方向に対して切断線３４により斜めに切断されて形成され、この先端部は、耕耘軸１２の回転方向と逆側の端面（矢印Ｂ方向の前側の端面）を頂点２５ａとするくさび形状に形成され、該頂点２５ａが回転時に最外側に位置するように構成される。そして、前記切断線３４は、図３（ａ）に示すように、側面視において、刃先部２５の頂点２５ａにおける接線３５と略同等に形成される。または、前記切断線３４と、前記接線３５とがなす角度α１が鋭角に形成される。
　これにより、矢印Ｂ方向に耕耘爪２０を回転させた時、頂点２５ａから土壌に入り込むこととなり、頂点２５ａの回転方向（前記接線３５方向）と、刃先部２５の延出方向が略一致するため、刃先部２５の尖った部分を土壌に突き刺すことになり、土壌への抵抗が小さく、耕耘爪２０を深く入り込ませることが可能となる。

　前記刃体部２２（前記直平部２３及び曲折部２４及び刃先部２５）は、折り曲げ形成される前の帯状の平板の状態では、前記基部２１の先端から耕耘軸１２の回転方向と逆方向（矢印Ｂ方向）に徐々に湾曲して形成される。さらに前記曲折部２４は、図３（ａ）および図３（ｂ）に示すように、長手方向基部側または中途部に設定した折り曲げ開始線３０より耕耘軸方向（右または左方向）に、折り曲げ開始線３０より先端に向かって徐々に折り曲げられる。この折り曲げ開始線３０と耕耘爪２０の関係は、本実施形態では以下のように設定することで、矢印Ｂ方向に回転させたときに耕耘爪２０が土壌から受ける抵抗が低減され、深耕作業が可能な構成となっている。

　すなわち、側面視において、前記折り曲げ開始線３０を湾曲中心側へ延長し、該折り曲げ開始線３０と垂直であって前記耕耘軸１２の軸心Ｏを通る仮想線３１は、前記曲折部２４の先端とが交わるように、前記曲折部２４が曲折して形成される。
　前記折り曲げ開始線３０は、直平部２３の先端に位置し、直平部２３の長手方向に対して所定の角度を有する直線である。
　前記仮想線３１は、前記折り曲げ開始線３０と垂直に交わり、耕耘軸１２の軸心Ｏから半径方向に延長した線である。

　ここで、折り曲げ開始線３０すなわち曲折部２４の折り曲げ方と、その耕耘爪２０を回転して耕耘作業したときに土壌から受ける抵抗の関係について、図７、図８によって説明する。
　説明を容易にするため、図７（ａ）及び図８（ａ）に示すように刃体部が帯状の平板を折曲させて形成される耕耘爪（直刃）６０・８０とし、耕耘爪６０・８０は、それぞれの折り曲げ開始線７０・９０の位置及び角度のみ相違しているものとして説明する。この時、爪幅の中央延長上に軸心Ｏを配設する。とくに、土壌抵抗の問題を理解しやすくするため、徐々に折り曲げ形成するのではなく、直角に折り曲げて折り曲げ開始線で折り曲げが完了する形状とした。
　また、耕耘爪を軸心Ｏを中心として矢印Ｂ方向に回転させたとき、折り曲げ開始線の一端（折り曲げ開始線が刃体部の両側と交わる点）における運動方向は、一端における回転軌跡の接線方向となる。この一端における回転軌跡の接線と、折り曲げ開始線とのなす角度を角度βとする。

　図７（ａ）に示すように、耕耘爪６０は、折り曲げ開始線７０を刃体部６２の長手方向に対して直角に形成される。この時、折り曲げ開始線７０の両端７０ａ・７０ｂにおける角度β２１・β２２はともに小さい角度となる。
　このように構成した耕耘爪６０を、矢印Ｂ方向に回転させたとき、曲折部６４の曲面６４ａ・６４ｂは土壌に対して対面せず、曲折部５４の突入時における土壌から受ける抵抗が小さくなる。つまり、土壌に深く入り込み易い構造となっている。

　一方、図８（ａ）に示すように、耕耘爪８０は折り曲げ開始線９０を刃体部８２の長手方向に対して斜めに形成される。この時、折り曲げ開始線９０の両端９０ａ・９０ｂにおける角度β３１・β３２は、前記折り曲げ開始線３０が斜めに形成されるため、前記角度β２１（β２２）よりも大きい角度となる。
　このように構成した耕耘爪６０を、矢印Ｂ方向に回転させたとき、曲折部９４がひねられるように形成されるので、前記曲折部８４の曲面８４ａ・８４ｂが土壌に対して対面して、突入する時における土壌から受ける抵抗が大きくなる。つまり、土壌に深く入り込み難い構造となっている。
　尚、図８から明らかのようにβ３１及びβ３２の角度が大きくなるにつれ、曲面８４ａ・８４ｂの土壌に突入する時の接触面積が大きくなり、土壌から受ける抵抗が増大する。

　以上のことから、矢印Ｂ方向に回転させた場合、折り曲げ開始線と折り曲開始線の両端における回転軌跡の接線とのなす角度が、β２１及びβ２２の如く小さく形成されるほど、土壌から受ける耕耘爪への抵抗が低減される（図７参照）。また、折り曲げ開始線と折り曲開始線の両端における回転軌跡の接線とのなす角度が、β３１及びβ３２の如く大きく形成されると、土壌から受ける耕耘爪への抵抗が増大される（図８参照）。

　尚、前記説明においては刃体部が湾曲されず、帯状の平板の耕耘爪（直刃）６０・８０として説明したが、湾曲される刃体部においても同様となる。
　具体的には、本実施形態の耕耘爪２０では側面視三日月状に湾曲して形成され、耕耘爪６０の如く角度βが小さく形成される。つまり、耕耘爪２０を矢印Ｂ方向に回転させた場合、折り曲げ開始線３０と折り曲開始線３０の両端３０ａ・３０ｂにおける回転軌跡の接線３２・３３とのなす角度β１・β２を小さく、側方に曲折して形成することで、矢印Ｂ方向に回転させた場合、土壌から受ける耕耘爪２０への抵抗が低減される。

　次に、仮想線３１と、角度β１・β２の関係を説明する。
　図３（ａ）に示すように、一端３０ａと軸心Ｏとを結ぶ線分３６と、折り曲げ開始線３０と、前記仮想線３１とにより直角三角形を形成すると、角度β１は、線分３６と、仮想線３１となす角度β１となることが明らかである。同様に、一端３０ｂと軸心Ｏとを結ぶ線分３７と、折り曲げ開始線３０と、前記仮想線３１とにより直角三角形を形成すると、角度β２は、線分３７と、仮想線３１となす角度となることが明らかである。

　このとき、β１すなわち、線分３６と、仮想線３１となす角度が小さくなると、仮想線３１が前記曲折部２４と交わることとなる。同様に、β２すなわち、線分３７と、仮想線３１となす角度が小さくなると、仮想線３１が前記曲折部２４と交わることとなる。
　また、β１すなわち、線分３６と、仮想線３１となす角度が大きくなると、仮想線３１が前記曲折部２４と遠く離れることとなる。同様に、β２すなわち、線分３７と、仮想線３１となす角度が大きくなると、仮想線３１が前記曲折部２４と遠く離れることとなる。

　尚、本実施形態においては、角度β１・β２は、ともに略４５°以下の構成とされる。
　また、図３（ａ）で明らかのようにβ１＞β２の関係を有するが、折り曲げ開始線３０の位置及び角度により角度β１及び角度β２の大小関係は変化する。

　以上のように、側面視において、前記折り曲げ開始線３０を湾曲中心側へ延長し、該折り曲げ開始線３０と垂直であって前記耕耘軸１２の軸心Ｏを通る仮想線３１は、前記曲折部２４の先端とが交わるように、前記曲折部２４が曲折されるので、β１・β２が小さく形成される。これにより、前記刃先部２５が前記耕耘軸１２の回転方向と逆方向（矢印Ｂ方向）に向くように取り付けて、耕耘爪２０を耕耘軸１２の回転方向と逆方向（矢印Ｂ方向）に回転させたときに土壌から受ける抵抗が小さくなり、耕耘爪２０が十分に土壌に入り込み、深耕作業を行うことができる。

　なお、従来のなた爪４０の場合は、図６（ａ）に示すように、折り曲げ開始線５０を湾曲中心側へ延長し、該折り曲げ開始線５０と垂直であって前記耕耘軸１２の軸心Ｏを通る仮想線５１は、前記曲折部４４の先端から外れた構成となる。
　そして、本実施形態の角度β１は従来のなた爪４０の角度β１１よりも当然小さい構成となっている。

　また、前記耕耘爪２０の側面視（図３ａ）における刃体部２２（湾曲）の曲率半径をＲ１とすると、従来のなた爪４０の刃体部４２の曲率半径Ｒ１と比較してやや大きな曲率半径（Ｒ１＞ｒ１）となるように形成される。そして、背面視（図３ｂ）における前記曲折部２４（曲折）の曲率半径をＲ２とするとすると、この曲率半径Ｒ２は従来のなた爪４０の曲折部４４の曲率半径ｒ２よりも大きく形成される。
　ただし、Ｒ１及びＲ２は前記に限定するものでなく、Ｒ１の値は耕耘爪２０を前記耕耘軸１２の回転方向と逆方向（矢印Ｂ方向）に回転させたときに耕耘抵抗や、耕耘の深さに影響を与えるものであり、作業内容に応じて適宜調整される。Ｒ２の値は、耕耘爪２０を前記耕耘軸１２の回転方向と逆方向（矢印Ｂ方向）に回転させたときの耕耘爪２０の突入箇所への影響が少なく、耕耘爪２０を前記耕耘軸１２の回転方向（矢印Ａ方向）に回転させたときの土壌の反転性や、すき込み性等を考慮して適宜調整される。

　このような前記耕耘爪２０を、図４（ａ）に示すように前記耕耘軸１２の回転方向（矢印Ａ方向）に回転させると、耕耘爪２０の土壌に最初に接触する接地箇所が直平部２３となり、刃体部２２が土壌に徐々に切り込んでいく。そして、前記直平部２３で切削された土壌が曲折部２４で反転させられ、耕耘される。このように、耕耘爪２０を矢印Ａ方向に回転させると、従来のなた爪４０（図６ａ参照）のごとき使い方が可能となり、耕耘作業を行うことができる。

　そして、図４（ｂ）に示すように、耕耘爪２０を通常と逆方向に取り付けて、言い換えれば、刃先部２５が回転方向の前方に位置するように取り付けて、耕耘爪２０を矢印Ｂ方向に回転させたときは、最初に接触する接地箇所が刃先部２５となり、さらに、前記刃先部２５はくさび形状に形成されるので、土壌から受ける抵抗が少なく、土壌に突き刺して切り込むことができる。さらに、曲折部２４の曲面２４ａ・２４ｂは土壌に対して対面せず、曲折部２４の突入時における土壌から受ける抵抗が小さくなるので、耕耘爪２０が矢印Ａ方向に回転したときよりも深く土壌に入り込むこととなる。このように、耕耘爪２０を矢印Ｂ方向に回転させたときは、深耕作業を行うことができる。

　以上のように、耕耘爪２０の回転方向を矢印Ａ方向または矢印Ｂ方向に切り替えることによって、耕耘作業、深耕作業を行うことができる。

　次に、耕耘軸１２（車軸１１）の回転方向は同じで、前記耕耘爪２０の回転方向を変更（作業を変更）する手段について説明する。

　はじめに、図５に示すように、左耕耘軸１２Ｌの端部（ミッションケース側）に挿嵌された固定ピン１５を抜脱して、左耕耘軸１２Ｌをミッションケース８の左車軸１１Ｌから取り外す。同様に、右耕耘軸１２Ｒの端部（ミッションケース側）に挿嵌された固定ピン１５を抜脱して、右耕耘軸１２Ｒをミッションケース８の右車軸１１Ｒより取り外す。そして、左耕耘軸１２Ｌと右耕耘軸１２Ｒを矢印のように移動させて入れ替えた後に、右耕耘軸１２Ｒと左車軸１１Ｌのピン孔を一致させて固定ピン１５で右耕耘軸１２Ｒを左車軸１１Ｌに固設する。同様に、左耕耘軸１２Ｌと右車軸１１Ｒのピン孔を一致させて固定ピン１５で左耕耘軸１２Ｌを右車軸１１Ｒに固設する。つまり、耕耘爪２０を装着した左耕耘軸１２Ｌと、右耕耘軸１２Ｒとを入れ替える。

　こうして、以前は矢印Ａ方向に回転していたそれぞれの耕耘爪２０が、矢印Ｂ方向にそれぞれ回転することとなる。もしくは、以前は矢印Ｂ方向に回転していたそれぞれの耕耘爪２０が、矢印Ａ方向にそれぞれ回転することとなる。つまり、耕耘爪２０の回転方向が前記入替の前後で変更されるので、この耕耘爪２０を用いて行う一方の作業と、他方の作業とが変更される。
　尚、取付板１３に取り付けられた個々の耕耘爪２０を裏返し、付け替えてもよい。この場合、複数の耕耘爪２０をひとつずつ付け替える必要があるので手間がかかるが、耕耘軸が前記のように分離できない管理機であっても耕耘爪の回転方向を切り替えることができ、多様な機種に耕耘爪２０を適用できる。

　また、耕耘爪２０が植設された耕耘軸１２と、管理機の移動に供する車軸が別々である管理機の場合、つまり、走行輪の後方にロータリ１０が装着された構成の場合にも前記構成を適用可能である。この場合、左右のロータリ１０を付け替えたり、ロータリ１０を逆回転させる構成であってもよい。

　以上のように、耕耘軸１２に取り付けられる基部２１と、前記基部２１から延出して耕耘軸１２の回転方向と逆向きに湾曲する刃体部２２とを備え、前記刃体部２２が、前記基部２１から該基部２１と同平面状に延出する直平部２３と、前記直平部２３の先端より前記耕耘軸方向に曲折される曲折部２４と、で構成される耕耘爪２０において、前記曲折部２４の先端には前記耕耘軸１２の回転方向と逆側の端面を頂点２５ａとするくさび状の刃先部２５が形成されるとともに、側面視において、前記耕耘軸１２の軸心Ｏを通り、かつ、前記曲折部２４の折り曲げ開始線３０と垂直な仮想線３１が、前記曲折部２４と交わるように前記曲折部２４が形成されるので、この耕耘爪２０を車軸耕耘型の管理機１に装着した場合、その刃先部２５を回転方向の後方に向けて取り付けた通常の取付状態で回転させることによって、管理機１の走行が可能となり、その走行の際には管理機１に備えられた抵抗棒４で走行抵抗を与えると、耕耘爪２０は刃体部２２の直平部２３で切り込んで土中に入り、刃体部２２の曲折部２４で土壌を反転して耕耘作業が可能となる。また、耕耘爪２０を、その刃先部２５を回転方向の前方に向けて取り付けた、即ち前記とは逆向きに取り付けた状態でダウンカット回転させることによって、刃先部２５から土壌に突き刺して深く入り込ませることが可能となり、深耕耕耘が可能となる。

　また、前記耕耘軸１２の回転方向と逆方向に回転したときにおいて、前記折り曲げ開始線３０と、前記折り曲げ開始線３０の両端３０ａ・３０ｂにおけるそれぞれの回転軌跡の接線３２・３３となす角度が共に略４５°以下に形成されるので、前記耕耘軸１２の軸心Ｏを通るとともに前記曲折部２４の折り曲げ開始線３０と垂直な仮想線３１が、前記曲折部２４と交わるように前記曲折部２４が形成され、前記曲折部２４の刃先部２５が耕耘爪２０の回転方向の後方に向くこととなり、土壌の反転性能を確保することができる。そして、耕耘爪２０を逆向きに取り付けてダウンカットさせることによって、刃先部２５から土壌に突き刺して深く入り込ませることが可能となり、深耕耕耘が可能となる。

　また、前記刃先部２５は、前記曲折部２４の長手方向に対して切断線３４により斜めに切断されるとともに、側面視において、前記切断線３４は、前記頂点２５ａの回転軌跡における接線３５と略同等、または、前記切断線３４と、前記接線３５となす角度が鋭角に形成されるので、耕耘爪２０を通常の取付状態で回転させるとき、刃先部２５は接線方向となるため、刃先の摩耗が小さくなる。また、耕耘爪を逆向きの取付状態で回転させるとき、刃先部２５は尖った部分を土壌に突き刺すことになるため、食い込み抵抗が小さく、耕耘爪２０を深く入り込ませることが可能となる。

　また、回転方向の前後の面を斜面としたテーパ状の刃部が形成されるので、耕耘爪２０を通常の取付状態とした場合でも、逆向きの取付状態とした場合でも、刃部が土壌を切ることになり、耕耘抵抗を小さくして、駆動エネルギーの低減を図ることができる。したがって、効率よく作業ができるようになる。

　また、請求項１から請求項４のいずれか一項に記載の耕耘爪２０を取り付けた左右の耕耘軸１２Ｌ・１２Ｒを、左右に入れ替え可能に構成し、該耕耘爪２０を刃先部２５から土壌に突入させて深耕耕耘するので、耕耘軸２０を左右反転して付け替えることで、複数の耕耘爪２０をその向きを変えて回転することが可能となる。したがって、一つのロータリで異なる耕耘作業ができる。しかも、耕耘作業の変更は、耕耘爪２０を一つ一つ取り外してその向きを変える必要がないため、簡単に行うことができる。

　本発明においては、ロータリの耕耘爪に適用できる。

符号の説明

　１　　　歩行型管理機
　１２　　耕耘軸
　１２Ｌ　左耕耘軸
　１２Ｒ　右耕耘軸
　２０　　耕耘爪
　２１　　基部
　２２　　刃体部
　２３　　直平部
　２４　　曲折部
　２５　　刃先部
　２５ａ　頂点
　３０　　折り曲げ開始線
　３１　　仮想線
　３４　　切断線

Claims

　耕耘軸に取り付けられる基部と、前記基部から延出して耕耘軸の回転方向と逆向きに湾曲する刃体部とを備え、前記刃体部が、前記基部から該基部と同平面状に延出する直平部と、前記直平部の先端より前記耕耘軸方向に曲折される曲折部と、で構成される耕耘爪において、
　前記曲折部の先端には前記耕耘軸の回転方向と逆側の端面を頂点とするくさび状の刃先部が形成されるとともに、側面視において、前記耕耘軸の軸心を通り、かつ、前記曲折部の折り曲げ開始線と垂直な仮想線が、前記曲折部と交わるように前記曲折部が形成されることを特徴とする耕耘爪。
　前記耕耘軸の回転方向と逆方向に回転したときにおいて、前記折り曲げ開始線と、前記折り曲げ開始線の両端におけるそれぞれの回転軌跡の接線となす角度が共に略４５°以下に形成されることを特徴とする請求項１に記載の耕耘爪。
　前記刃先部は、前記曲折部の長手方向に対して切断線により斜めに切断されるとともに、側面視において、前記切断線は、前記頂点の回転軌跡における接線と略同等、または、前記切断線と、前記接線となす角度が鋭角に形成されることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の耕耘爪。
　回転方向の前後の面を斜面としたテーパ状の刃部が形成されることを特徴とする請求項１から請求項３のいずれか一項に記載の耕耘爪。
　請求項１から請求項４のいずれか一項に記載の耕耘爪を取り付けた左右の耕耘軸を、左右に入れ替え可能に構成し、該耕耘爪を刃先部から土壌に突入させて深耕耕耘するロータリ。