WO2010061668A1

WO2010061668A1 - コンバイン

Info

Publication number: WO2010061668A1
Application number: PCT/JP2009/064650
Authority: WO
Inventors: 田中祐二; 東泰一郎; 奥田史郎; 井上喜博; 山下直樹; 文野裕一; 高崎和也; 林茂幸; 三井孝文
Original assignee: 株式会社クボタ
Priority date: 2008-11-27
Filing date: 2009-08-21
Publication date: 2010-06-03
Also published as: CN202535741U; CN202077421U

Abstract

　脱穀装置３の選別部２６に開度を変更できるチャフシーブ５９を設けたコンバインが開示される。チャフシーブ５９の側部に支点軸６７を備え、複数の選別板を枢支した支持枠６４に接続された操作軸６５を備え、支点軸６７と操作軸６５とに亘って操作部材６８を接続し、操作部材６８をシーブケース２７の側板２７ａに位置決め用固定部材７０を介して固定することにより、支持枠６４が固定されてチャフシーブ５９の開度が設定されるように構成してある。

Description

コンバイン

　本発明はコンバイン（Combine-Harvester）に関する。より特定的には、本発明はコンバインにおけるチャフシーブ（chaff sieve）構造の改良に関するが、これに限定するものではない。

　従来、コンバインにおけるチャフシーブ構造として、脱穀装置の扱室の下方に位置する選別部３に、受網６から落下した脱穀処理物を選別するチャフシーブ１９を備えたシーブケース９を前後揺動自在に設けている。前記チャフシーブ１９において、多数の選別板（チャフリップ板１９ａ）が所定ピッチで前後に並列配備され、前記複数の選別板１９ａが横軸芯周りに揺動自在に支持され、前記複数の選別板１９ａに亘って前後に長い支持枠（連結板２９）が接続され、前記支持枠２９の前後移動に連動して複数の選別板１９ａの角度が変更されるように構成したものが知られている（特許文献１参照）。

　特許文献１に示されたものは、選別板１９ａの下端部に設けた横向き支軸２８（係止ピン３８）を支持枠２９に枢支し、操作レバー３６に一つの選別板１９ａの上端部の支点軸２９に一端を枢支している。前記操作レバー３６の中間部に長孔３７を形成した状態で該長孔３７に選別板１９ａの下端部の係止ピン３８を内嵌して長孔３７の範囲内で、選別板１９ａを揺動可能とし、係止ピン３８に選別板１９ａを閉じ方向に付勢するコイルバネ３０ａを設けて、常態では選別板１９ａが長孔３７の上端に接当するように構成している。操作レバー３６の下端部を係合ピン３８に係止して操作レバー３６の位置決めを行うとともに、操作レバー３６を係合ピン３８と係合する位置を変更することによって、チャフシーブの開度を変更するように構成されている。

　特許文献１のものでは、操作レバー３６の位置を変更することによってチャフシーブ１９の開度（選別板１９ａの角度）を変更することができるが、脱穀処理量に対応できるように、操作レバー１９ａを所定の位置に固定していても、処理量が多くなる（重くなる）とコイルバネ３０ａに抗して選別板１９ａの角度が変化してチャフシーブ１９の開度が大きくなるように構成されている。この脱穀装置は、特に稲の収穫に適したように構成されており、この構成をそのまま菜種などを収穫するコンバインに適用することは、可能であっても好ましくない。
　即ち、菜種などを収穫する普通型のコンバインでは、扱胴が長く、受網から流下した菜種粒、鞘類、小さな茎部屑等が混在した処理物が選別部で選別処理されることになる。そして、菜種を収穫するときの受網の目合いも小さく設定されるから、チャフシーブでの選別作用に、大きく開度が変わるものを使用すると、処理量が多いときには大部分が風選別されずにそのままチャフ板間から流下してしまい、選別不良が生じる虞がある。

　又、従来、コンバインにおけるチャフシーブ構造として、特許文献２に示されているように、脱穀装置の扱室３の下方に位置する選別部Ｂに、受網４から落下した脱穀処理物を選別するチャフシーブ７を備えたシーブケース１０を前後揺動自在に設けるとともに、前記チャフシーブ７を、多数の選別板（チャフ板１１）が所定ピッチで前後に並列配備され、前記複数の選別板１１が横軸芯周りに揺動自在に支持され、前記複数のチャフ板１１に亘って前後に長い支持枠（リンク部材１３）が接続され、前記支持枠１３の前後移動に連動して複数の選別板１１の角度が変更されるように構成したものが知られている。

　特許文献２に示されたものは、一つの選別板１１の上端部に設けた枢支軸１４と下端部に設けた枢支ピン１８に対して操作アーム１７を取付け、操作アーム１７の下端部に引き操作可能にレリーズワイヤ２２を係止するとともに、レリーズワイヤ２２とは逆方向のチャフシーブ７の選別板１１が閉じる方向に弾性付勢力を与えるスプリング２３を設けて、レリーズワイヤ２２の先端に取付けた手動操作レバー等でチャフシーブの開度を変更できるように構成されている。
　このものは、特許文献１に示されているように、操作レバーに形成した長孔の範囲内でチャフ板が揺動するものではないが、操作レバーを所定の位置に固定した状態では、特許文献１のものと同様、選別板１１はスプリング２３で閉じ方向に付勢されていて、処理量が多くなる（重くなる）と、スプリング２３に抗して選別板１１の角度が変化してチャフシーブ７の開度が大きくなる構造となっている。従って、この構造のものをそのまま菜種を脱穀するコンバインに適用すると、特許文献１のものと同様の選別不良が生じる虞がある。
　（以上の説明における符号は各特許文献のものである。）

特開２０００－２６２１３８号公報（JP-A-2000-262138）特開平１０－７５６４０号公報（JP-A-10-075640）

　本発明の目的は、菜種粒等のように小さな穀粒と小さな処理屑が混在する処理物の選別、或いは、菜種や豆類のように略所定の大きさ以下の穀粒と処理屑が混在する処理物の選別に適したチャフシーブ構造を備えたコンバインを提供することにある。

　上記目的を達成するため、本発明の第１特徴構成は次の点にある。すなわち：
　受網とその下方の選別部とを有する脱穀装置を備えたコンバインであって、
　前記選別部が、前後揺動可能なシーブケースと、このシーブケースに設けられ前記受網から落下した脱穀処理物を選別するチャフシーブとを備え、
　前記チャフシーブが、所定ピッチで前後方向に並列配備され且つそれぞれ横軸芯周りに揺動可能に支持された複数の選別板と、これら複数の選別板に亘って接続された前後方向に長い支持枠とを備え、前記支持枠の前後移動に連動して前記各選別板の角度が変更されることによって前記チャフシーブの開度が設定されるように構成されたものにおいて、
　前記チャフシーブの側部に設けた支点軸と前記支持枠に接続された操作軸とに亘って操作部材が設けられ、
　この操作部材を前記シーブケースの側板に位置決め用固定部材を介して固定することによって、前記支持枠の前後位置が固定されて前記チャフシーブの開度が設定されるように構成されていることを特徴とするコンバイン。

　この特徴構成によれば、操作部材が支点軸と操作軸とに亘って接続されているので、シーブケースに対する操作部材の位置が決まれば、操作軸の位置が決まり、選別板の角度（チャフシーブの開度）が決まる。これにより、操作部材を操作して選別板の角度を変更することによって、チャフシーブの開度を収穫する作物の種類に適した開度に設定することができる。
　特に、菜種を収穫する場合は、菜種粒、鞘類、茎部屑などが小さいので、開度が所定開度よりも大きくなると、チャフシーブ上で処理物が選別されずにそのまま選別板間から流下してしまい、選別不良が生じやすい。これに対し、上記第１特徴構成によれは、開度設定されたチャフシーブに対して、処理量が多少多くなっても選別板が揺動しないので（チャフシーブの開度が変化しないので）、処理物に混在する処理屑が多量に選別板間から流下することも回避でき、良好な選別処理を行うことができる。
　選別板を操作部材に連結するに当たって、選別板の支点軸だけに操作部材を固定するか、選別板のみに操作部材を連結して、選別板の支点軸を中心に選別板を揺動させて、チャフシーブの開度を変更することも考えられるが、作業中、常に揺動するチャフシーブにおいては支持強度上、不利である。
　これに対して、上記第１特徴構成においては、操作部材が前記支点軸と前記操作軸との２軸間に亘って接続され、位置決め用固定部材を介してシーブケースの側板に固定されるので、操作部材が３点で支持および固定される状態となって、操作部材に大きな応力が加わることがなく、操作部材が破損するのも回避させやすい。
　したがって、処理物の多少に係らず所定の選別処理が行えるので、菜種などの選別に適した選別処理が行うことができるに至った。又、操作部材を破損させることなく長期に良好に使用することができる。

　上記第１特徴構成に加えることが可能な、本発明の第２特徴構成は次の点にある。すなわち：
　前記支点軸が、前記複数の選別板のうちいずれか一つの選別板の上端部位又は下端部位の一方に備えられて支点を形成し、
　前記操作軸が、前記一つの選別板の上端部位又は下端部位の他方に備えられて前記支持枠に接続されている。

　この特徴構成によれば、支点軸および操作軸を選別板の角度を変更するために選別板の上端部および下端部に設けられた支軸とすることができ、支点軸と操作軸を選別板の支軸に兼用することができる。したがって、別途、支点軸および操作軸を設ける必要がなく、簡素な構造とすることができる。

　上記第１又は第２特徴構成に加えることが可能な、本発明の第３特徴構成は次の点にある。すなわち：
　前記操作部材が、前記チャフシーブの側板の外側外面に沿って近接配設され、
　前記操作軸が、前記チャフシーブの側板を貫通した状態で前記操作部材と接続され、
　前記操作軸の揺動範囲に沿って前記側板に長孔が形成され、この長孔が、前記操作軸の揺動範囲において前記操作部材によって閉塞可能に構成されている。

　この特徴構成によれば、前記支点軸と、シーブケースの内側に配設された支持枠に接続された操作軸とをシーブケースの外側に配設した操作部材に接続して、支点軸を支点として操作軸を揺動させてチャフシーブの開度を変更するものであるから、シーブケースには、シーブケースを貫通した操作軸を揺動操作するため、必然的に操作軸を揺動させる長孔が必要である。そして、シーブケースの左右の側壁間で、脱穀処理された処理物が揺動選別されることから、前記長孔を開放したままであると、穀粒だけでなく未選別の処理屑も長孔を通って穀粒回収部に回収される虞がある。
　また、操作部材で長孔を閉塞し、操作部材を長孔の蓋体として機能するようにしてあるので、別途長孔閉塞用の蓋板を設ける必要がなく、部品点数を削減できながら、チャフシーブの開度を変更したときも変更した孔を閉塞する作業も不要となり、チャフシーブの開度変更作業も容易に行える利点がある。

　その他の特徴構成、およびこれから奏する効果や有利な点については、添付図面を参照しながら以下の説明を読めば明らかになろう。

は、第１実施形態のコンバイン（以下、図１５まで同じ）の全体側面図である。は、コンバインの全体平面図である。は、脱穀装置の縦断側面図である。は、唐箕（winnowing fan）の選別風の風路を示す部分側面図である。は、扱室の縦断正面図である。は、扱胴の側面図である。は、扱胴における扱歯の配置を示す展開図である。は、第１チャフシーブの全開状態を示す一部破断側面図である。は、第１チャフシーブの選別板と操作部材と脱穀装置の左側壁を示す一部縦断正面図である。は、第１チャフシーブの選別板の左半部を示す一部縦断正面図である。は、第１チャフシーブの全閉状態を示す一部破断側面図である。は、第２チャフシーブの最大開度状態を示す一部破断側面図である。は、第２チャフシーブの選別板と開度設定用の操作具を示す一部縦断正面図である。は、第２チャフシーブの選別板の左半部を示す一部縦断正面図である。は、第２チャフシーブの最小開度状態を示す一部破断側面図である。は、第１実施形態の別形態を示す選別板の部分斜視図である。は、第２実施形態によるコンバイン（以下、図２５まで同じ）の右側面図である。は、普通型コンバインの平面図である。は、普通型コンバインの左側面図である。は、穀粒回収装置のスイッチ操作具の取付位置を示す斜視図である。は、脱穀装置前部の外枠と外枠に支持した穀粒搬出筒の格納用支持台を示す正面図である。は、格納用支持台の取付構造を示す一部破断側面図である。は、通常使用状態の格納用支持台の取付位置を示す平面図である。は、出荷時の格納用支持台の取付位置を示す平面図である。は、（ａ）は穀粒回収装置のスイッチ操作具の取付構造を示す断面図、（ｂ）は同正面図である。は、第３実施形態によるコンバイン（以下、図３６まで同じ）を示す側面図である。は、コンバインを示す平面図である。は、コンバイン後部を示す側面図である。は、コンバインを示す側面図である。は、伝動状態を示す図である。は、回転規制装置を示す斜視図である。は、回転規制装置を示す側面図である。は、回転規制装置を示す平面図である。は、回転規制装置を示す平面図である。は、縦オーガの回動範囲を示す平面図である。は、突出ピンおよび回動レバーの各状態を示す平面図である。は、第３実施形態に対する従来技術における、突出ピンおよび回動レバーの各状態を示す平面図である。は、第４実施形態によるコンバイン（以下、図４９まで同じ）の全体側面図である。は、コンバインの全体平面図である。は、副切断装置、連動機構、搭乗運転部、搬送機構を示す正面図である。は、副切断装置、連動機構、搬送機構を示す平面図である。は、副切断装置の駆動構造を示す側面図である。は、左右中間に位置する昇降フレームと機体との間に設けた付勢手段を示す側面図である。は、副切断装置に対する偏芯駆動ユニットを示す縦断正面図である。は、副切断装置に対する偏芯駆動ユニットを示す一部切り欠き側面図である。は、畦越え時に、係合片の短い脚部を中間連結部材の係合用孔部に係合させて、連係部材と搬送装置とを連係して、副切断装置が主切断装置の昇降作動に連動して、持ち上がった状態を示す側面図である。は、（ａ）中間連結部材と係合片の短い脚部との連係を断って、副切断装置を搬送装置に連動しない状態を示す正面図、（ｂ）中間連結部材と係合片の短い脚部とを連係して、副切断装置を搬送装置と伴に上昇作動することができる状態を示す正面図である。は、（ａ）係合片の短い脚部を中間連結部材の係合用孔部から離間させて、連係部材と搬送装置との連係を断って、副切断装置を搬送装置に連動しない状態を示す正面図、（ｂ）係合片の短い脚部を中間連結部材の係合用孔部に係合させて、連係部材と搬送装置とを連係して、副切断装置を搬送装置と伴に上昇作動することができる状態を示す正面図である。は、副切断装置を上昇側に付勢する付勢手段の別実施構造を示す側面図である。

［第１実施形態］
　まず、図１～図１５を参照しながら、第１実施形態について説明する。
　まず、普通型又は全稈投入型（normal type or whole-culm charging type）のコンバインの全体構成について説明する。図１、図２は、コンバインの全体側面図、および全体平面図を示す。図１、図２に示すように、左右一対のクローラ走行装置１を備えた走行機体２の上部に、軸流型の脱穀装置３および作物回収部４が左右に並列して配備されており、作物回収部４の前方に運転部５が配備されている。

　脱穀装置３の前部には支点Ｘ周りに上下揺動自在に刈取り作物搬送用のフィーダ６が連結され、このフィーダ６の前端に略機体横幅に相当する刈幅を有する刈取り部７が連結されている。

　刈取り部７は、左右一対の分草フレーム８に亘って設けられたバリカン型の刈取装置９と、左右一対の分草フレーム８に亘って架設されたオーガ１０とを備えて構成されており、刈取装置９により刈り取った作物をオーガ１０によって左右中央部に横送りしてフィーダ６に供給できるように構成されている。オーガ１０は、ドラム状のオーガ本体１１の外周部に、掻込み爪１２とスクリュー１３とを備えて構成されている。

　フィーダ６には、掻き揚げコンベア１４が内装されており、フィーダ６から供給された処理対象作物をフィーダ６の底面に沿って搬送して、脱穀装置３に供給できるように構成されている。
　普通型コンバインで収穫される処理対象作物としては、稲麦、稗、粟、豆類、ごま、菜種など種々あるが、ここでは、菜種を収穫する処理対象作物としている。以下において収穫の目的とする菜種を穀粒と称し、茎、および穀粒を包んでいた鞘を含めて茎部と称し、場合によっては鞘と茎部を分けていうことがある。

　走行機体２における主デッキ１５の前部とフィーダ６の下部とに亘って油圧シリンダ１６が配設されており、この油圧シリンダ１６を伸縮することにより、刈取り部７およびフィーダ６を支点Ｘ周りに上下揺動駆動できる。

　刈取り部７の前部上方に、植立した作物を後方に掻き込んで引き上げる掻込みリール１７が装備されている。左右の分草フレーム８の後端部に、支点Ｙ周りに上下揺動自在な左右の支持アーム１８が枢支連結されており、この支持アーム１８の前部に掻込みリール１７が支持ブラケット１９を介して枢支連結されている。

　分草フレーム８と支持アーム１８とに亘って油圧シリンダ２０が配設されており、この油圧シリンダ２０によって支持アーム１８を上下揺動することで掻込みリール１７の掻込み作用高さを変更することができるとともに、支持ブラケット１９を支持アーム１８に沿ってスライド調節して掻込み作用位置を前後に調節することができるように構成されている。

　図３に示すように、脱穀装置３は、その上部に形成した扱室２１に、刈取った処理対象作物の搬送方向に沿って架設した前後向きの扱胴軸２２回りに回転する扱胴２３を配備し、その扱胴２３の下方に、扱胴２３の下部側を下方から覆う正面視Ｕ字状に形成された受網２４を装備し、脱穀装置３の脱穀処理方向下手側端部となる受網２３の後方に送塵口２５を形成し、受網２４の下方に選別部２６を設けている。選別部２６には、受網２４の直ぐ下にシーブケース２７を備えた揺動選別機構２８を配置し、揺動選別機構２８の前下方に唐箕２９を配備し、揺動選別機構２８の前部側下方に１番回収部３０を形成し、揺動選別機構２８の後部側下方に２番回収部３１を形成し、揺動選別機構２８の後方に排塵口３２を形成し、扱胴２３の上部側を上方から覆う天板３３を備えている。

　扱室２１は、扱胴２３を覆う受網２４や天板３３などによって区画形成され、その前端下方部位に供給口３４が形成され、その供給口３４にフィーダ６の後端部が接続され、そのフィーダ６で搬送された刈取り処理対象作物の全体が脱穀処理物として供給口３４から投入供給される。

　扱胴２３は、その扱胴軸２２が脱穀装置３の前壁３５と後壁３６とにわたって回転可能に架設され、唐箕２９などを介して伝達されるエンジン（図示せず）からの動力で、扱胴軸２２を支点にして正面視右回りに回転駆動されることで、扱室２１に供給された処理対象作物に対して脱穀処理を施して、穀粒の単粒化を促しながら、脱穀処理物を脱穀処理方向下手側となる後方に向けて搬送する。

　受網２４は、格子状に形成されたコンケーブ受網であり、扱室２１に供給された処理対象作物の茎部を受け止め、脱穀処理で得られた単粒化穀粒や鞘付き穀粒、あるいは、脱穀処理で発生した鞘や茎部の処理屑を下方の揺動選別機構２８に向けて漏下させる一方で、茎部の揺動選別機構２８への漏下を防止する。受網２４の目合いは稲の場合よりも小さくしてあり、稲を脱穀する場合は、稲用の受網と交換する。

　前記扱胴２３は、その前端部に装備した円錐台状の掻込部３７と、その掻込部３７の後端に連接した扱き処理部３８とを備えて構成されている。掻込部３７の外周面には、扱胴２３の回転作動時に、供給口３４から供給された刈取穀稈を後方の扱き処理部３８に向けて掻込み搬送する２枚の螺旋歯３９が一体装備されている。

　扱き処理部３８は、扱胴軸２２の前部に連結されたプレートからなる前部支持部材４０、扱胴２３の前後中間部に配置された円環状状の中空プレートからなる中間支持部材４１、扱胴軸２２の後端部に連結されたプレートからなる後部支持部材４２を備え、これらの支持部材４０～４２によって、扱胴軸２２に沿う前後向きの姿勢で、扱胴２３の周方向に一定間隔を隔てて並ぶように支持された丸パイプ鋼材などからなる６本の扱胴フレーム４３、および、各扱胴フレーム４３に、扱胴フレーム４３から扱胴２３の径方向外方に向けて突出する姿勢で、前後方向に所定間隔を隔てて並ぶように装備した複数の扱歯４４などによって籠状に構成されている。

　つまり、扱胴２３は、その外方に向けて突出する複数の扱歯４４が、扱き処理部３８の周方向と前後方向とに間隔を隔てて並ぶように整列配備され、又、扱き処理部３８の内部空間Ｓが扱室２１に連通して、その内部空間Ｓへの脱穀処理物の入り込みを許容するようになっている。

　図５、図６に示すように、前記各支持部材４０～４２の外形は、扱胴軸２２を中心とする円形で、外周側における扱胴軸２２からの等距離の位置に扱胴フレーム４３がボルト連結されている。各支持部材４０～４２の外周側に、その周方向に一定間隔を隔てて並ぶ状態に６本の扱胴フレーム４３を配備して、扱胴２３の胴径を大きくするようにしているのであり、これによって、扱胴２３に対する脱穀処理作物の茎部の巻き付きを防止することができる。

　扱歯４４は法線に対して先端側が回転方向で遅れる遅れ角をもった傾斜した状態で取付けられている。これによって、扱歯４４に引っ掛かった茎部が回転に伴って扱歯４４から離脱しやすくなっている。

　周方向６本の扱胴フレーム４３には、周方向で交互に前部支持部材４０および後部支持部材４２から距離Ｌの間隔を隔てた位置から扱歯４４が前方向および後方向に一定ピッチＰで並び、最後（交互に前端部又は後端部）の扱歯４４が１／２ピッチＰで取付けられている。

　即ち、図６において最上部の扱胴フレーム４３およびこれに一つ飛びの計３本の扱胴フレーム４３（最上部の扱胴フレーム４３から数えて奇数本目の扱胴フレーム４３）については、前部支持部材４０から距離Ｌを隔てた位置を基点として後方に向けて一定ピッチＰで同一回転軌跡を描くように扱歯４４が並び、最後の扱歯４４が２分の１ピッチＰで配設されている。又、図６において最下部の扱胴フレーム４３およびこれに一つ飛びの計３本の扱胴フレーム４３（最上部の扱胴フレーム４３から数えて偶数本目の扱胴フレーム４３）については、後部支持部材４２から距離Ｌを隔てた位置を基点として前方に向けて一定ピッチＰで同一回転軌跡を描くように扱歯４４が並び、最前の扱歯４４が２分の１ピッチＰで配設されている。そして、前記扱胴フレーム４３の奇数本目の後端の扱歯４４群と偶数本目の後端の扱歯４４群との前後方向の距離、および前記扱胴フレーム４３の偶数本目の前端の扱歯４４群（回転軌跡）と偶数本目の前端の扱歯４４群（回転軌跡）との前後方向の距離はそれぞれ４分の１ピッチＰだけ離れている。

　即ち、図６、図７に示すように、奇数本目の扱胴フレーム４３に配設された扱歯４４群と偶数本目の扱胴フレーム４３に配設された扱歯４４群との前後方向のピッチは、前端部と後端部では４分の１ピッチＰ、２分の１ピッチＰ、４分の１ピッチＰとなり、それ以外の前後間では４分の１ピッチＰと４分の３ピッチＰが交互に繰り返されるピッチで配設されている。

　これにより、周方向複数の扱歯４４（奇数本目と偶数本目の各３本の扱胴フレーム４３の扱歯４４群）が同一回転軌跡を描くように配設され、同一回転軌跡を描く複数の扱歯４４からなる２つの扱歯４４群が前後方向に複数組存在するように構成されており、一組（例えば周方向奇数の組）の扱歯４４群と前側に隣接する組（例えば周方向偶数の組）の扱歯４４群とのピッチと、前記一組（奇数組）の扱歯４４群と後側に隣接する組（偶数組）の扱歯４４群とのピッチとが、４分の１ピッチＰと４分の３ピッチＰとに大小異なるように、複数組の扱歯４４群の前後方向のピッチを設定してある。

　結局、扱胴２３の前後方向には、４分の３ピッチＰの距離毎に、４分の１ピッチＰで近接する２組の扱歯４４群が存在することになり、脱穀処理物が脱穀されるときは、４分の１ピッチＰで前後に近接する２組の扱歯４４群で扱き処理され、受網に叩きつけられながら脱穀処理物が扱胴搬送方向下手側に移動し、広い４分の３ピッチＰの距離だけ隔てた空間を脱穀処理物が通り抜け、その空間内をランダムに転がって姿勢変更されながら、下手側の扱歯４４群で扱き処理されることを繰り返されて順次脱穀処理される。

　即ち、近接した２組の扱歯４４群は近接しているので、脱穀処理物は、近接した２組の扱歯４４群のうち、概して前側（搬送方向上手側）の扱歯４４群のうちの扱歯４４に叩かれる（打撃を受ける）が、脱穀処理物は、近接した２組の扱歯４４群のうち、
（１）前後いずれかの扱歯４４群に叩かれる。
（２）前側の扱歯４４群の扱歯４４と後側の扱歯４４群の扱歯４４に連続して叩かれる。（３）前後の各扱歯４４群における前後２個の扱歯４４に同時に当たって叩かれる。
ことになる。
（１）の場合は、扱胴全長を通過する間の脱穀処理物が扱歯４４に叩かれる回数が軽減（半減）されるので、打撃が軽減される。
（２）の場合は、前後の扱歯４４に連続的に叩かれるので、後の扱歯４４に叩かれるときの脱穀処理物の速度低下が少なく、扱歯４４の回転速度と脱穀処理物の回転速度との速度差が小さいから、脱穀処理物が後方の扱歯４４に叩かれるときの衝撃が緩和される。
（３）の場合は、一つの脱穀処理物が前後２個の扱歯４４に同時に当たるので、衝撃が緩和される。
　従って、いずれの場合も全体としての脱穀処理物の衝撃が緩和される。即ち、前後に近接した２組の扱歯４４群でもって、これらが対となって全体としての脱穀処理物に対する衝撃を緩和するように機能して脱穀処理が行われる。

　即ち、ピッチの短い前後２組の扱歯４４群によって、脱穀処理物は、概して、移送方向上手側の扱歯４４に叩かれるが、前記（１）の現象が生じる場合は、脱穀処理物は対を成す２組の下手側の扱歯４４を通り過ぎて、次の２組の近接した扱歯４４群に脱穀処理されることとなり、扱歯４４に衝撃的に打撃される回数が少なくなる。
　脱穀処理物が、対を成す２組の近接した扱歯４４群のうち、前側（移送方向上手側）の扱歯４４に叩かれた後、引き続いて、対を成す後方の扱歯４４群の扱歯４４に叩かれる場合（前記（２）の場合）は、前側の扱歯４４に打撃を受けた後、直ぐに再打撃を受けることとなる。この場合、対を成す前後２組の扱歯４４群の距離（ピッチ）は短く両者は接近しているから、脱穀処理物は短時間の間に続け様に前後の扱歯４４に打撃を受けることになる。扱歯４４に打撃を受けた脱穀処理物は、瞬間的には扱歯と回転速度と略同速度回転する。脱穀処理物が扱歯から離れると速度低下が生じるが、近接した前後の扱歯４４で続け様に打撃を受けると、対を成す後の扱歯４４で打撃を受けるときの速度低下は少ないから、後の扱歯４４で再打撃されるときの衝撃力が小さく、全体として２組の扱歯４４のピッチを短くした場合は、ピッチの広い２組の衝撃力の総和よりも小さくなる。
　脱穀処理物が対を成すピッチの短い２組の扱歯４４群の前後の扱歯４４に略同時に当たったときは（前記（３）の場合）、その前後何れか一方の扱歯４４の回転速度と脱穀処理物の回転速度が同速度で当たったことと同じ、即ち、一方が速度差零で当たったとみなせるから、一対の扱歯４４に略同に時叩かれたときは衝撃力が概ね半減する。又、対を成す２組の前後の扱歯に完全に同時に叩かれたときも衝撃力は半減する。
　以上のように、扱歯４４による脱穀処理物に対する衝撃力が緩和されるから、脱穀処理物の茎汁の発生を抑制でき、総じて脱穀負荷も軽減される。

　菜種の茎部は水分が多く含んでおり、高速で何回も強く扱歯で叩かれてすぎると、茎汁が多く出る。扱胴が茎汁でベタベタすると、それが脱穀負荷を増大させるとともに、選別処理も良好に行えず、品質が低下してしまう。しかるに、本実施形態では、ピッチの短い２組の扱歯４４群によって、脱穀処理物が確実に扱き作用を受けることができながら、全体としての扱歯４４による扱き処理回数が少なくなる、或いは全体としての打撃力が緩和されるので茎汁の発生も生じ難くなり、しかも、隣接する組の扱歯４４群の各扱歯４４どうしを、互いに周方向に位置をずらせた千鳥状に配設してあるので、回転位相の異なる対を成す前後の扱歯群の何れかの扱歯で確実に脱穀処理物が行われるとともに、衝撃力が緩和されながらも前後の扱歯群の扱歯で、連続的に脱穀される作用も生じやすく、脱穀負荷を軽減できながら、良好な脱穀処理を行うことができるとともに、選別処理を良好に行え、品質の良い穀粒を回収することができる。

　図３に示すように、扱室２１の後端の送塵口２５から排出された大きい茎や鞘などの脱穀処理屑、および、選別部２６の後端から排出された脱穀屑類は、排塵口３２の後部に配設された回転刃４５と固定刃４６を備えた細断装置としてのチョッパ４７で細断処理するよう構成されている。

　図３に示すように、前記シーブケース２７は、その前部左右が選別部２６における左右の側壁４８の内面に固定された前下がり傾斜姿勢の案内レール４９に左右のローラ５０を介して前後移動可能に係止案内されるとともに、シーブケース２７の後部が、左右の側壁４８間に亘って横架装着された偏芯回動機構５１に脱着可能に連結されている。偏芯回動機構５１が偏芯回動作動することで、シーブケース２７の前部が斜め前後方向に直線的に往復移動するとともに、シーブケース２７の後部が上下前後に循環回動作動し、載置した脱穀処理物の後方送り機能と篩い選別機能が発揮されるよう構成されている。

　前記案内レール４９の後端から脱穀装置後部に亘って、前記ローラ５０を載置して転動案内する挿抜用レール（図示せず）が連設されており、偏芯回動機構５１との連結を解除したシーブケース２７のローラ５０を挿抜用レールで案内して後方に導き、シーブケース２７を排塵口３２から後方に抜き出すことができるようになっている。

　前記唐箕２９は、ベルト式の伝動機構（図示せず）を介して伝達されるエンジン２からの動力で回転駆動されることで選別風を生起し、その選別風が、３つの風路Ｒ１～Ｒ３を通って、受網２４から漏下した選別処理物や、揺動選別機構２８で選別される選別処理物などに向けて供給されることで、選別処理物に対して風力選別処理を施して、選別処理物から比重の小さい稈屑などを吹き分けて、脱穀処理方向下手側の排塵口３２に向けて搬送する。

　図３、図４に示すように、唐箕２９からの選別風のうち、上段の風路Ｒ１を通る選別風は、シーブケース２７に形成された風路Ｒ４を通って、扱胴２３の中間支持部材４１に向けて流動するようになっている。これによって、中間支持部材４１によって脱穀処理方向下手側への流動が阻止される脱穀処理物を、扱胴２３の周囲に向けて風力搬送することができ、結果、脱穀処理物が中間支持部材４１の直前箇所で堆積して、脱穀処理に支障を来す虞を未然に回避することができる。

　前記風路Ｒ１を形成する唐箕ケース２９ａの後端縁２９ｂと、風路Ｒ４の開口６０ａを形成するグレンパン６０の開口前縁６０ｂとの位置関係は、偏芯回動機構５１の作動によって揺動するシーブケース２７が最前位置において、グレンパン６０の開口前縁６０ｂが唐箕ケース２９ａの後端縁２９ｂよりも後方に位置するようにして、グレンパン６０に形成された風路Ｒ４の開口６０ａ全体が、常に、唐箕ケース２９ａの後端縁２９ｂよりも後方に位置するように構成することによって、グレンパン６０上に落下した穀粒が跳ねて、開口６０ａから落下することがあっても、唐箕ケース２９ａのデッドスペースに落下することなく、当該穀粒を唐箕による選別風によって、１番回収部３０に移動させて確実に回収することができる。

　前記１番回収部３０で回収された１番物は横送りスクリュー５３で搬送されて装置外に搬出された後、スクリューコンベアからなる揚送装置５４によって穀粒回収部４に送り込まれ、回収された２番物は横送りスクリュー５５で搬送されて装置外に搬出された後、スクリュー式の還元装置５６で搬送されてシーブケース２７の前部に還元供給されて再選別処理を受けるようになっている。

　シーブケース２７の前部には受網２４の前部から漏下した脱穀処理物および還元された２番物を後方に揺動移送する波板状の前部グレンパン５７、前部グレンパン５７の終端に至った処理物をほぐす篩い線５８、篩い線５８の後端に至った処理物および受網２４の前後中間部位から漏下した脱穀処理物を後方に揺動移送しながら篩い選別する第１チャフシーブ５９、篩い線５８および第１チャフシーブ５９から漏下した選別処理物を篩い選別する精選別用のグレンパン６０およびグレンシーブ６１並びに第１チャフシーブ５９の終端に至った選別処理物および受網２４から落下してきた脱穀処理物を後方に揺動移送しながら篩い選別して残った処理屑を排塵口３２に送り出す第２チャフシーブ６２等が装備されている。

　前部グレンパン５７は、その揺動移送中に処理物をその比重差によって上下に層分けする、いわゆる比重差選別を行うものであり、比重の大きい菜種を下層に、茎や鞘の処理屑などの比重の小さい処理物を上層に分けて次の篩い線５８に送り出すように構成されている。

　前部グレンパン５７によって凡そ上下２層に仕分けられた処理物が篩い線５８上に移動すると、下層の菜種（穀粒）は直ちに落下してグレンパン６０およびグレンシーブ６１に供給され、篩い線５８から落下しなかった上層の処理屑およびこれに紛れ込んでいる穀粒が第１チャフシーブ５９に受け渡されてゆく。

　第１チャフシーブ５９の開度を調節する構造は以下のように構成されている。図８に示すように、第１チャフシーブ５９は、前後方向に略水平に設けられており、２枚の薄板を接合した多数の選別板６３が定ピッチでもって前後に並列配備して構成されている。選別板６３は、操作部材６８に連結された前後方向中央の選別板６３Ａと、これ以外の前後の選別板６３Ｂとからなる。図８、図９に示すように、中央の選別板６３Ａは、下端部に流下してきた選別処理物を受け止める補強を兼ねた折り曲げ片６３ａを形成した板材６３ｂと、板材６３ｂの上端部に固設した丸棒からなる支点軸６７と、板材６３ｂの下端部の左右に配置した下部枢支ピンからなる操作軸６５と、板材６３ｂの左右に配置され支点軸６７と操作軸６５とを保持する保持板６３ｃとを備えている。図８、図１０に示すように、前後の選別板６３Ｂは、下端部に流下してきた選別処理物を受け止める補強を兼ねた折り曲げ片６３ａを形成した板材６３ｂと、板材６３ｂの上端部の左右に配置した上部枢支ピンからなる支点軸６７ａと、板材６３ｂの下端部の左右に配置した下部枢支ピン６５ａと、支点軸６７ａと下部枢支ピン６５とを保持し板材６３ｂと重合する補強板６３ｄとを備えている。

　選別板６３Ａ、６３Ｂは、シーブケース２７の左右の側板２７ａに取り付けた左右のチャフシーブ取付枠８９に対して支点軸６７、６７ａの横軸芯ａ周りに前後揺動可能に接続されるとともに、各選別板６３Ａ、６３Ｂにおける左右の下端部の下部枢支ピン６７、６７ａが前後に長くほぼ水平に配置された左右一対の支持枠６４に接続され、支持枠６４の前後移動に連動して複数の選別板６３Ａ、６３Ｂの角度が変更されるようになっている。つまり、支持枠６４が前方に移動すると各選別板６３Ａ、６３Ｂの角度がゆるくなって第１チャフシーブ５９の開度が小さくなり、逆に、支持枠６４が後方に移動すると各選別板６３Ａ、６３Ｂの角度がきつくなって第１チャフシーブ５９の開度が大きくなるのである。

　中央の選別板６３Ａの下端部と機体左側の支持枠６４とを接続する下部枢支ピンからなる操作軸６５が、シーブケース２７の左側板２７ａに形成された円弧状の長孔６６を貫通してシーブケース２７の左側板２７ａの左外側に突出されている。中央の選別板６３Ａの上端部の左側のチャフシーブ取付枠８９に枢支された支点軸６７が、シーブケース２７の左側板２７ａに形成された孔を貫通してシーブケース２７の左側板２７ａの左外側に突出されている。支点軸６７の左一端部には雄ネジが形成されており、シーブケース２７の左の側板２７ａの外側で支点軸６７に操作部材６８を外嵌してある。操作部材６８の中間部には選別板６３Ａに回動自在に保持された操作軸６５の一端を固着してある。操作部材６８を揺動操作することで支持枠６４が前後に移動し、これにより第１チャフシーブ５９の開度が変更されるようになっている。

　複数の選別板６３の上端部の支点軸６７、６７ａは、それぞれ左右のチャフシーブ取付枠８９に枢着し、選別板６３の下端部の操作軸６５は支持枠６４に接続されて第１チャフシーブ５９をユニット化してあり、左右のチャフシーブ取付枠８９をシーブケース２７の左右の側板２７ａにボルトで固定することにより、支点軸６７、６７ａをチャフシーブ取付枠８９を介してシーブケース２７の側板２７ａに取付けてある。

　前記操作部材６８は、前記シーブケース２７の左側板２７ａに複数（５つ）の操作位置に形成された円形の孔６９の内側部分にナット６９ａを固定し、そのうちの一つに位置決め用固定部材としてのボルト７０を螺合して固定することで位置保持可能に構成されており、操作部材６８を前方に揺動するほど、第１チャフシーブ５９の開度が小さくなる方向に作動される。逆に、操作部材６８を後方に揺動するほど、第１チャフシーブ５９の開度が大きくなる方向に作動される。

　前記操作部材６８は、幅広の矩形に形成され、中央の選別板６３の左下端部に嵌合した操作軸６５を貫通した前記円弧状の長孔６６は、操作部材６８の全範囲の取付け位置の状態で、即ち、操作部材６８が５箇所の何れの位置に固定されても操作部材６８の板面で全体が閉塞されるように構成されている。つまり、操作部材６８は長孔６６のカバー部材を兼ねている。

　図１、図８～図１０に示すように、選別部２６の左側壁４８には、前記操作部材６８の外側部に対応する位置に開口７１が形成されており、この開口７１を着脱自在な開閉蓋７２で閉塞されている。第１チャフシーブ５９の開度を変更するときは、開閉蓋７２を外して、操作部材６８を揺動操作してボルト止め固定する孔６９の位置を変更することによって、第１チャフシーブ５９の設定角度を変更する。

　前記第２チャフシーブ６２は、次のように構成されている。
　前記シーブケース２７における２番回収部３１の上方からシーブケース２７の後端部に亘って第２チャフシーブ６２が前部よりも後部が高い後上がりに設けられている。第２チャフシーブ６２には多数の選別板７３が所定ピッチで前後に並列配備されている。
　選別板７３は、開口設定用の操作具７５に連結された選別板７３Ａと、これ以外の前後の選別板７３Ｂとからなる。図１２、図１３に示すように、選別板７３Ａは、下端部に流下してきた選別処理物を受け止める補強を兼ねた折り曲げ片７３ａを形成した板材７３ｂと、板材７３ｂの上端部に固設した丸棒からなる支点軸８０と、板材７３ｂの下端部の左右に配置した下部枢支ピンからなる操作軸８１と、板材７３ｂの左右に配置され支点軸８０と操作軸８１とを保持する保持板７３ｃとを備えている。図１２、図１４に示すように、前後の選別板７３Ｂは、下端部に流下してきた選別処理物を受け止める補強を兼ねた折り曲げ片７３ａを形成した板材７３ｂと、板材７３ｂの上端部の左右に配置した上部枢支ピンからなる支点軸８０ａと、板材７３ｂの下端部の左右に配置した下部枢支ピン８１ａと、支点軸８０ａと下部枢支ピン８１ａとを保持し板材７３ｂと重合する補強板７３ｄとを備えている。

　選別板７３Ａ、７３Ｂは、シーブケース２７の左右の側板２７ａに取り付けた左右の上枠８６に対して支点軸８０、８０ａの横軸芯ｂ周りに前後揺動可能に接続されるとともに、各選別板７３Ａ、７３Ｂにおける左右の下端部の下部枢支ピン８１、８１ａが前後に長く後上がり傾斜に配置された左右一対の支持枠７４に接続され、支持枠７４の前後移動に連動して複数の選別板７３Ａ、７３Ｂの角度が変更されるようになっている。つまり、支持枠７４が前方に移動すると各選別板７３Ａ、７３Ｂの角度がゆるくなって第２チャフシーブ６２の開度が小さくなり、逆に、支持枠７４が後方に移動すると各選別板７３Ａ、７３Ｂの角度がきつくなって第２チャフシーブ６２の開度が大きくなるのである。

　選別板７３Ａの下端部と機体左側の支持枠７４とを接続する下部枢支ピンからなる操作軸８１が、シーブケース２７の左側板２７ａに形成された円弧状の長孔８２を貫通してシーブケース２７の左側板２７ａの左外側に突出されている。選別板７３Ａの上端部の左側の上枠８６に枢支された支点軸８０が、シーブケース２７の左側板２７ａに形成された孔を貫通してシーブケース２７の左側板２７ａの左外側に突出されている。支点軸８０の左一端部には雄ネジが形成されており、シーブケース２７の左の側板２７ａの外側で支点軸８０に開度設定用の操作具７５を外嵌してある。操作具７５の中間部には選別板７３Ａに回動自在に保持された操作軸８１の一端を固着してある。操作具７５を揺動操作することで支持枠７４が前後に移動し、これにより第２チャフシーブ６２の開度が変更されるようになっている。支持枠７４をシーブケース２７に対して固定することにより開度が設定される。この開度は、第２チャフシーブ６２に連結した開度設定用の操作具７５を揺動操作して所定の位置に固定することで設定される。

　複数の選別板７３Ａ、７３Ｂの上端部の支点軸８０、８０ａは、それぞれ左右の上枠８６に枢着し、選別板７３Ａ、７３Ｂの下端部の下部枢支ピン８１、８１ａは支持枠７４に接続されて第２チャフシーブ６２をユニット化してあり、左右の上枠８６をシーブケース２７の左右の側板２７ａにボルトにより、支点軸６７、６７ａを上枠８６を介してシーブケース２７の側板２７ａに着脱自在に取付けてある。

　シーブケース２７の後部の左右の側板２７ａの下端には、第２チャフシーブ６２で選別された２番物を２番回収部に流下させるための底板７６が備えられている。シーブケース２７の左側の側板２７ａの後部下側に、側板２７ａに沿う状態で断面Ｌ字状の操作具固定用板７７がボルト７８で前記底板７６に固定されている。操作具固定用板７７には、開度設定用の操作具７５を１５度ピッチで固定するためのピン７９が３つ付設されている。操作具７５の遊端部には前記ピン７９に係合して操作具７５を位置決め固定するための係合孔８３が形成されている。可撓性の樹脂板で形成されており、図１３の二点鎖線で示すように、操作具７５を湾曲させてピン７９に対して係脱して操作具７５を位置変更できるようにしてある。

　前後に並設された選別板７３のうちの中央部の選別板７３の上端に固定した丸棒からなる支点軸８０をシーブケース２７の左側板２７ａを貫通してその外側まで延設し、前記開度設定用の操作具７５を側板２７ａを貫通させた支点軸８０に固定し、操作具７５の遊端側を脱穀装置３の後端に位置する排塵口３２に向けて斜め下方に延出してある。選別板７３の下端部に植設してある下部枢支ピン８１からなる操作軸を操作具７５の中間部に接続し、シーブケース２７の側板２７ａには、操作軸８１が揺動できる長孔８２を形成してある。操作具７５は脱穀装置３の左側の外壁側で、排塵口３２から手の届く排塵口３２近くに位置する。操作具７５の操作は脱穀装置３の排塵口３２の後方左側部より操作する。

　前記第２チャフシーブ６２の各選別板７３の上端は、上枠８６に枢着され、上枠８６は、図１２、図１３に示すように、複数のボルト８７でシーブケース２７の左右の側板２７ａに取付けてある。

　前記チョッパ４７は、脱穀装置３の後壁３６との間に設けた縦軸の縦軸心Ｑ周りに機体左右横外側を揺動させて排塵口３２を開放できるように取付けてあり、チョッパ４７を閉じた状態で図示しない固定金具で固定するように構成してある。

　前記第２チャフシーブ６２の開度の変更は、チョッパ４７の固定金具を外し、チョッパ４７を縦軸心Ｑ周りで開いて排塵口３２を開放した状態で、作業者が排塵口３２から操作具７５を操作してピン７９との係合を変更して行う。
　第２チャフシーブ６２を取外すときは、チョッパ４７を大きく開放して、偏芯回動機構５１の連結を外して、シーブケース２７を後方に引き出してから、ボルト８７を外すと取外すことができる。そして、目合いの異なるチャフシーブやストローラックと付け替えることで、異なる種類の収穫物の収穫に対処することができる。

　尚、第１チャフシーブ５９および第２チャフシーブ６２の複数の選別板７３の上端部の支点軸６７、８０と、操作軸６５、８１をそれぞれ左右のチャフシーブ取付枠８９と支持枠６４、および上枠８６と支持枠７４に枢着して第１チャフシーブ５９および第２チャフシーブ６２をそれぞれユニット化し、左右のチャフシーブ取付枠８９および上枠８６をシーブケース２７の左右の側板２７ａにボルトにより、支点軸６７、８０をチャフシーブ取付枠８９および上枠８６を介してシーブケース２７の側板２７ａに着脱自在に取付けてある。

　〔第１実施形態の別形態〕
　（１）上記実施形態では、第１チャフシーブ５９、第２チャフシーブ６２の選別板６３、７３の上端部の横軸芯ａ、ｂ周りに下端部を揺動させるようにしてあるが、横軸芯ａ、ｂと支持枠６４、７４を上下逆にして、複数の選別板６３、７３の下端部の横軸芯ａ、ｂ周りに揺動自在に支持され、複数の選別板６３、７３の上端部が前後に長い支持枠６４、７４に接続され、支持枠６４、７４の前後移動に連動して複数の選別板６３、７３の角度が変更されて第１チャフシーブ５９又は第２チャフシーブ６２の開度が設定されるように構成してもよい。

　（２）上記実施形態および前記（１）に記載のものにおいて、操作部材６８および操作具７５をシーブケース２７の側板２７ａに固定する位置決め用固定部材（ナット６９ａ又はピン７９）を選別板７３の上側に設けてもよい。

　（３）上記実施形態では、第１チャフシーブ５９の支点軸６７と操作軸６５、および、第２チャフシーブ６２の支点軸８０と操作軸８１を、選別板６３、７３の上端部と下端部における選別板６３、７３自体に設けてあるが、選別板６３、７３とは別の位置に、第１チャフシーブ５９の支点軸６７と操作軸６５或いは第２チャフシーブ５９の支点軸８０と操作軸８１を独立して設けてもよい。

　（４）上記実施形態では、第１チャフシーブ５９および第２チャフシーブ６２の複数の選別板７３の上端部の支点軸６７、８０と、操作軸６５、８１をそれぞれ左右のチャフシーブ取付枠８９と支持枠６４、および上枠８６と支持枠７４に枢着して第１チャフシーブおよび第２チャフシーブ６２をそれぞれユニット化し、左右のチャフシーブ取付枠８９および上枠８６をシーブケース２７の左右の側板２７ａにボルトにより、支点軸６７、８０をチャフシーブ取付枠８９および上枠８６を介してシーブケース２７の側板２７ａに着脱自在に取付けてあるが、支点軸６７或いは支点軸８０の一方又は両方を直接シーブケース２７の側板２７ａに取付けてもよい。

　（５）上記実施形態では、選別板６３、７３全体を角度変更可能に第１チャフシーブ５９と第２チャフシーブ６２に取付けてあるが、選別板６３、７３の一部をシーブケース２７に固定したものでもよい。

　（６）第１チャフシーブ５９および第２チャフシーブ６２の選別板６３Ｂ、７３Ｂについては、板材６３ｂ、７３ｂと補強板６３ｄ、７３ｄとの２枚の板を重合させて選別板６３Ｂ、７３Ｂの強度アップを図っているが、これらの選別板６３Ｂ、７３Ｂに代えて、図１５に示すように、選別板６３Ｂ、７３Ｂの上下中間位置に左右全長に亘って「コ」の字状の波形リブ９０を形成し、上部枢支ピン６７ａ、８０ａおよび下部枢支ピン６５ａ、８１ａを保持板９１で保持するようにしてもよい。選別板６３Ｂ、７３Ｂの下端には補強用の折り曲げリブ９２を形成してあるが、このリブ９２の上面は選別処理物が、選別板６３Ｂ、７３Ｂを流下してきたときに、リブ９２で選別処理物を一旦受け止めて、揺動風選別を受けて、軽い鞘や茎葉が風選別される。選別板６３Ｂ、７３Ｂの上下中間部に波形リブ９０を設ければ、その上面でも揺動風選別を受けるので、選別精度がより向上するとともに、材料の節約にもなる。

　（７）第１チャフシーブ５９と第２チャフシーブ６２とを一体にした一つのチャフシーブで構成してもよい。この場合、一部固定の選別板を備えていてもよい。

　（８）上記実施形態は、菜種だけでなく、ゴマや豆類を収穫するコンバインの脱穀装置にも適用することができる。

［第２実施形態］
　次に、図１７～図２５を参照しながら、第２実施形態について説明する。

〔全体構成〕
　図１７～図１９に、コンバインの一例としての普通型コンバインが示されている。
　この普通型コンバインは、機体フレーム１１０を左右一対のクローラ走行装置１１１、１１１上に搭載して自走機体１０１を構成し、自走機体１０１上に、運転座席１２０が装備された搭乗運転部１０２と、運転座席１２０の下方に位置するエンジン１１２と、脱穀対象の被処理物を投入して脱穀および選別処理する脱穀装置１１３と、脱穀された被処理物を回収するための穀粒回収装置１０３とを搭載設置してある。
　そして、自走機体１０１の機体前方側には、刈り取り対象茎稈を収穫するための刈取前処理装置１１４のフィーダ１１５を、その後端部の横向き軸心（図外）周りで上下揺動自在に連結してあり、これらの各装置の組み合わせによって、刈り取られた脱穀処理対象物の全稈を脱穀処理する普通型コンバインを構成してある。

〔クローラ走行装置〕
　前記クローラ走行装置１１１は、機体フレーム１１０にフレーム脚１０８を介して連結している機体前後向きのトラックフレーム１０９、このトラックフレーム１０９の長手方向に並んでトラックフレーム１０９に遊転自在に支持させてある複数個の接地転輪１３３、トラックフレーム１０９の後端部に遊転自在に支持させてある緊張輪体１３４、トラックフレーム１０９の前端側に取付けたブラケット１１６に駆動回動自在に支持されているクローラ駆動輪体１３５、トラックフレーム１０９の前後方向の中間部に間隔を隔てて立設した前後のブラケット１１９、１１９に遊転支持されている前後２個の上部転輪１３６、１３６、トラックフレーム１０９の中央部に枢支した左右向き支軸１４６の軸心Ｐ回りで上下に揺動自在なアーム１２１の下端部に取り付けられた上下揺動自在な揺動輪１３７、前記の全ての輪体１３３～１３７にわたって巻回してあるゴム製のクローラ無端帯としてのクローラベルト１３８を備えて構成してある。揺動輪１３７は、前後の上部転輪１３６、１３６の間（前後中間位置）に配設されている。

　前側の３個の接地転輪１３３、１３３間、および後側２個の接地転輪１３３、１３３と緊張輪体１３４との間に渡って脱輪防止用の橇状ガイド１３９を備えている。

　前記アーム１２１の上端部に固定した支軸１４６がトラックフレーム１０９の上端面に固定されたボスに支承され、アーム１２１が図示しない付勢機構によって下降揺動する方向に付勢されている。付勢機構によるアーム１２１の下降は、トラックフレーム１０９に固定された下ストッパー１４８によって阻止される。下ストッパー１４８によってアーム１２１の下端部に軸支した揺動輪１３７の下限位置が決定されている。対地反力によるアーム１２１の上昇は、トラックフレーム１０９に固定された上ストッパー１４９によって阻止される。これによって揺動輪１３７の上限位置が決定されている。　

〔搭乗運転部〕
　前記搭乗運転部１０２では、エンジン１１２の上方側を覆うように箱状に形成された原動部カバー１２２の上側に運転座席１２０を配備してあり、原動部カバー１２２が座席支持台を兼用するように構成されている。
　運転座席１２０の前方側には、機体フレーム１１０上の運転部フロア１２３の前端部から立設された操縦搭１２４を備え、その操縦搭１２４の左側部から後方の原動部カバー１２２にわたって操縦ボックス１２５を設けてあり、運転座席１２０の右側部には、エンジン１１２側に機体の横外側部上方から防塵網１２６ａを介して外気を取り込むための吸気ダクト１２６を、原動部カバー１２２に対して一体に連設してある。

　前記操縦搭１２４の上面側には、機体進行方向を制御する操向操作レバー１２７を設けてあり、操縦ボックス１２５の上面側には機体走行速度を制御する変速レバー１２８や、刈取前処理装置１１４の駆動を断続する刈取クラッチレバー１２９を設けてある。また、その他の各種計器類が操縦搭１２４および操縦ボックス１２５の上面側に形成される操作パネル面に装備されている。

　前記吸気ダクト１２６の前下がり姿勢の上面側には、図１７、図２０に示すように、穀粒回収装置１０３を構成するグレンタンク１０４と穀粒搬出装置１０５のうちの穀粒搬出装置１０５に対して、その穀粒搬出位置を選択操作するためのスイッチ操作具１３２を設けてある。
　また、前記吸気ダクト１２６の機体内方側の側面と運転座席１２０との間には、穀粒回収装置１０３のグレンタンク１０４に貯留されている穀粒を外部へ取り出すための、穀粒搬出装置１０５を駆動する状態と駆動停止する状態とに切換操作可能な穀粒搬出用クラッチ１８７の操作具としての穀粒搬出クラッチレバー１３１を設けてある。
　これらのスイッチ操作具１３２および穀粒搬出クラッチレバー１３１の操作については後ほど詳述する。

　前記運転座席１２０の後方側には、エンジン１１２に対する吸気用のエアクリーナ１１７を設けてあり、そのエアクリーナ１１７には、上下に長い円筒状の吸気管１５１が接続されており、この吸気管１５１の上部にプレクリーナ１１８が接続されている。吸気管１５１は、グレンタンク１０４の内側面に沿って上方に延出されて、その上下方向の中間部がグレンタンク１０４の内側の面に固定されている。これにより、比較的塵埃の少ない機体上部箇所の外気がプレクリーナ１１８およびエアクリーナ１１７を介して浄化されてエンジン１１２の燃焼用空気として供給される。

　前記吸気管１５１のうち、プレクリーナ１１８に接続された筒１５２（内筒）は、その下の筒１５３（外筒）に内嵌されている。外筒１５３には、上部位置に対称に形成された一対の長孔１５３ａとその下方位置に対称に形成された一対のボルト孔１５３ｂが形成され、内筒１５２には対称に形成された一対のボルト孔１５２ａが形成されている。図示しないボルトを内筒１５２の一対のボルト孔１５２ａと外筒１５３の一対の上の長孔１５３ａまたは下のボルト孔１５３ｂに亘って挿通してボルト締めすることで、プレクリーナ１１８を上下方向に位置変更可能に固定することができる。出荷搬送時等には、コンテナに格納して運送するために、図１７～図１９に示すように、プレクリーナ１１８の内筒１５２をエアクリーナ１１７の外筒１５３内に押し込んで、プレクリーナ１１８の上端高さを低くする。

〔脱穀部〕
　前記脱穀装置１１３は、下部に風選別室が形成され、上部に前端がフィーダ１１５に接続された扱室を備えている。扱室の前壁の前方には、扱胴軸を駆動する入力軸等の伝動装置を内蔵した筒状の伝動ケース１５７を備えている。伝動ケース１５７は、脱穀装置１１３の外枠を形成する脱穀装置１１３の前部の左右の縦フレーム１５８の上部に架設されている。伝動ケース１５７の左右の上下に伝動ケース１５７を縦フレーム１５８の前面に取り付けるボルト挿通用の取付部１５９が形成されており、この取付部１５９のボルト挿通孔にボルトを通して、縦フレーム１５８の前部に螺着してある。伝動ケース１５７は、脱穀装置１１３の外枠を構成する横フレームとして機能している。
　前記脱穀装置１１３は、扱室に供給された刈取り穀稈を走行機体前後向きの軸芯周りに回動する軸流型の扱胴（図外）によって脱穀処理するように構成してあり、その脱穀された被処理物を扱胴の下方に配備された選別処理装置（図外）で脱穀処理物を脱穀粒と藁屑とに選別処理し、脱穀粒を穀粒回収装置１０３のグレンタンク１０４に供給するように構成してある。前記グレンタンク１０４に貯留される対象の脱穀処理物（脱穀粒）以外の藁屑などは、自走機体１０１の後方に落下放出するように構成してある。

〔グレンタンク関係〕
　前記グレンタンク１０４は、タンク本体１４０の下部に貯留した穀粒を後方に向けて送り出す底スクリュー１４１を備えて構成されている。
　また、図１７に示すように、前記グレンタンク１０４の下部後端には、底スクリュー１４１の後端部を支承する搬出ケース１４２が連結されるとともに、グレンタンク１０４が搬出ケース１４２とともに上下向き軸心ｙ回りで旋回可能に支持されている。

　前記タンク本体１４０の天井部１４３は、自走機体１０１上に位置しているタンク本体１４０の前部側の天井部１４３ａよりも後部側の天井部１４３ｂが低くなるように形成されている。そして、低く形成された後部側の天井部１４３ｂに設けたメンテナンス用開口を蓋体１４４で閉塞するように構成してあるとともに、その蓋体１４４に、穀粒搬出装置１０５の穀粒搬出筒１７０を案内するためのガイド体１４５を設け、このガイド体１４５を手で持つことによりメンテナンス用開口の開閉操作が行い易くなるように構成してある。

　図１７～図１９は、ガイド体１４５を取付けた蓋体１４４を取り外した状態を示し、図１７、図１８では、蓋体１４４およびガイド体１４５を二点鎖線で示してある。図１７～図１９に示す穀粒搬出筒１７０は、格納用支持台１３０を最下位置に下げ、機体の中央寄り位置に移動させた状態で穀粒搬出筒１７０を格納用支持台１３０に支持させた状態の図を示す。図１７～図１９に示すプレクリーナ１１８も最下位置に下げた状態を示す。

　前記ガイド体１４５は、穀粒搬出装置１０５の穀粒搬出筒１７０が自走機体１０１の上方を移動するに伴って、水平よりも下向き姿勢にある穀粒搬出筒１７０を上方側へ持ち上げ案内するように機能させるためのものであり、上下向き軸心ｙ回りで旋回する穀粒搬出筒１７０が、自走機体１０１上を移動する際に、横向き軸心ｘ回りで上下揺動して、比較的機体上の高さが高いプレクリーナ１１８を交わして、機体上の格納用支持台１３０に載置させるようにするためのものである。
　このガイド体１４５による案内作用は、穀粒搬出筒１７０の上下向き軸心ｙ回りの回動範囲で、格納用支持台１３０が存在する位置から搭乗運転部１０２が存在する側の機体横端部との間で機能するものであり、これ以外の範囲ではガイド体１４５による案内作用は生じない。

〔格納用支持台〕
　前記格納用支持台１３０は、脱穀装置１１３の天板１１３ａよりも上位に位置していて、縦フレーム１５８の上部に架設した伝動ケース１５７の左右横方向中間部に立設したステー１６４の上端に取り付けてある。
　ステー１６４は、上部ステー１６４ａと下部ステー１６４ｂとからなり、両者に形成したピン挿通孔１６６に挿通したピン１６５によって固定されている。下部ステー１６４ｂには上下２箇所にピン挿通孔１６６が形成されており、通常使用状態は下部ステー１６４ｂの上側のピン挿通孔１６６にピン１６５を通して下部ステー１６４ｂと上部ステー１６４ａとを連結している（図２２の二点鎖線で示す状態）。下部ステー１６４ｂの下側のピン挿通孔１６６にピン１６５を通して、下部ステー１６４ｂに上部ステー１６４ａを連結すると（図２１および図２２の実線で示す状態）、格納用支持台１３０に穀粒搬出筒１７０を載置したとき、穀粒搬出筒１７０の前端高さを下げることができ、出荷搬送（コンテナ格納）時のコンバインの最大車高を低くすることができる。

　伝動ケース１５７の左側（図２１の右側）にはエンジンの動力を受ける入力プーリ１７４を備え、右側（図２１の左側）には反転用の入力プーリ１７４ａを備えている。伝動ケース１５７の内部には、入力プーリ１７４からの動力を伝達する正転用入力軸（図示せず）と、反転用の入力プーリ１７４ａから動力を伝達する反転用入力軸（図示せず）が内蔵され、左右何れからの入力軸から左右中央部に設けたベベルギヤを介して、扱胴に動力が伝達されるように構成されている。伝動ケース１５７の左右中央部には、ベベルケース１７５が装着されており、このベベルケース１７５にベベルギヤおよび扱胴軸のベベルギヤが内蔵されている。
　ベベルケース１７５の後部の開口外周にフランジ１７６が形成されていて、このフランジ１７６と扱室前壁１７７が固定連結されている。
　通常は、反転用入力軸は動力遮断状態で、正転用入力軸からの動力で扱胴が駆動するようにしており、詰まりが生じた場合に、正転用の入力軸への動力を断って、逆転用の入力軸に伝動するクラッチを入れて扱胴を反転させて詰まりを解消するようにしてある。

　前記伝動ケース１５７の中央部左側とベベルケース１７５の上部にステー取付部１７２が形成されている。ステー取付部１７２に下部ステー１６４ｂの下端の板状支持部材１６４ｃがボルト１７９で固定されている。

　上部ステー１６４ａの上部には、穀粒搬出筒１７０を左右２箇所で格納用支持台１３０に支持させるための、格納用支持台１３０の取付け部としての取付板１８０を固設してある。取付板１８０には、格納用支持台１３０を左右２箇所に位置変更できるように、複数のボルト孔１８１ａ、１８１ｂが形成されている。取付板１８０に形成されたボルト孔１８１ａは、通常使用状態の孔で、このボルト孔１８１ａにボルト１８２を通して、図２３に示すように、格納用支持台１３０をボルト止めしている。ボルト孔１８１ｂは、図２４に示すように、コンバインをコンテナに積載するときに、下部ステー１６４ｂの下側のピン挿通孔１６６にピン１６５を通して、格納用支持台１３０を下げた状態において、穀粒搬出筒１７０の先端を自走機体１０１の左右方向中央部寄りに寄せるために出荷時に格納用支持台１３０をボルト止めする孔である。この場合は、穀粒搬出筒１７０を左右方向中央部寄りに寄せるときに障害とならないように、ガイド体１４５を取り外しておくとともに、プレクリーナ１１８を下げる。

　前記格納用支持台１３０は、上部ステー１６４ａの上端の取付板１８０にボルト止めされる側面視Ｌ字状で、正面視で上が広がったＵ字状凹部が形成された支持板１３０ａと、Ｕ字状凹部の端縁に沿って取付けられた穀粒搬出筒載置用帯板１３０ｂとで構成されている。

〔穀粒搬出装置関係〕
　前記グレンタンク１０４の後方には、底スクリュー１４１によって送出された穀粒を揚送した後に、横搬送して機外に搬出するスクリュー式の穀粒搬出装置１０５が装備されている。この穀粒搬出装置１０５は、グレンタンク１０４の後面下端に連通接続されたスクリュー式の縦搬送機構１０６と、この縦搬送機構１０６の上端に連通接続されたスクリュー式の横搬送機構１０７とから構成されており、穀粒搬出装置１０５全体が、縦搬送機構１０６のスクリュー軸心と同芯である上下向き軸心ｙを中心にして、搬出ケース１４２に対して旋回可能となっている。

　前記縦搬送機構１０６は、上下向き軸心ｙと同心位置に設けられる縦スクリュー１６１と、その縦スクリュー１６１を内装する縦送り筒１６０との組み合わせで構成してある。
　前記縦送り筒１６０は、その下端側が搬出ケース１４２の上端側に接続されているとともに、その接続箇所の少し上部の外周にギヤ部１６０ａを備え、そのギヤ部１６０ａに咬合するピニオン１６２を備えた旋回用電動モータ１６３によって上下向き軸心ｙ回りで旋回駆動されるように構成してある。旋回用電動モータ１６３は、搬出ケース１４２側に固定されている。

　前記底スクリュー１４１と縦スクリュー１６１とは連動機構５０を介して連動連結されている。縦送り筒１６０の上端側には、図１７および図１８に示すように、上端ケース１６７が設けられ、この上端ケース１６７から縦搬送機構１０６の動力が横搬送機構１０７に伝達されるように構成されている。

　前記横搬送機構１０７は、縦送り筒１６０内を揚送された穀粒を受け取って外部へ搬出するための穀粒搬出筒１７０と、その穀粒搬出筒１７０内に設けられた搬送スクリュー１７１との組み合わせで構成してある。
　前記穀粒搬出筒１７０は、縦送り筒１６０の上端ケース１６７から穀粒搬出方向の下手側に接続された横送り筒部１７３を備えており、穀粒搬出筒１７０内部に搬送スクリュー１７１を装備してある。

　前記横送り筒部１７３とこれと一体に揺動するアーム部材１７８とに亘って油圧シリンダ１５６の上端部を接続し、下端部を縦送り筒１６０の上端部に取り付けたシリンダ取付用ブラケット１６８に接続してある。

　底スクリュー１４１へのベルト式の動力伝達系には穀粒搬出用クラッチ１８７が備えられている。この穀粒搬出用クラッチ１８７は、図１７に示すように、テンションローラ１８８を伝動ベルト１８５に押圧作用させるテンションクラッチに構成されており、後述するよう、搭乗運転部１０２からの穀粒搬出用クラッチ１８７を、クラッチ操作具の一例である穀粒搬出クラッチレバー１３１の操作で入り切り操作が行われる。

〔穀粒搬出装置の作動に関する構成〕
　穀粒搬出装置１０５の上下向き軸心ｙ回りでの旋回動作、および横向き軸心ｘ回りでの上下揺動は次のようにして行われる。

　前記吸気ダクト１２６の前下がり姿勢の傾斜面１５４における上部側に該傾斜面１５４より上方に突出するカバー１５５を設け、このカバー１５５の上面よりも低い位置に前記スイッチ操作具１３２を設けている。スイッチ操作具１３２は、図２０、図２５に示すように、上方側に設けた第１操作スイッチ１３２ａと、下方側に設けた第２操作スイッチ１３２ｂとの組み合わせで構成され、これら２つの第１スイッチ１３２ａおよび第２スイッチ１３２ｂは、カバー１５５の上面を窪ませた凹部内に配置されて、第１スイッチスイッチ１３２ａと第２スイッチ１３２ｂは側面視で、カバー１５５に隠れるように配置されている。第１操作スイッチ１３２ａが、穀粒搬出筒１７０の水平方向における旋回方向の左右何れかを選択操作するシーソースイッチであり、第２操作スイッチ１３２ｂが、穀粒搬出筒１７０の揺動方向を上下何れかに選択するシーソースイッチである。

　前記第１操作スイッチ１３２ａは、中立復帰された正逆押し込み操作型に構成されて横向き姿勢で配備されており、左右いずれかの押し込み部を押し込み操作している間だけ押し込んだ方向に横搬送機構１０７を旋回作動させ、押し込みを解除すると旋回が停止されるようになっている。第２操作スイッチ１３２ｂは、中立復帰された正逆押し込み操作型に構成されて縦向き姿勢で配備されており、上下いずれかの押し込み部を押し込み操作している間だけ押し込んだ方向に横搬送機構１０７を上下揺動作動させ、押し込みを解除すると上下動が停止されるようになっている。

　前記第１操作スイッチ１３２ａおよび第２操作スイッチ１３２ｂの配線は、吸気ダクト１２６の内部を通して図示されていない制御装置に接続され、第１操作スイッチ１３２ａの操作に基づいて制御装置が旋回用電動モータ１６３に作動指令を出力し、第２操作スイッチ１３２ｂの操作に基づいて油圧シリンダ１５６を伸縮操作する指令を制御用の電磁弁（図外）に対して出力するように構成されている。
　これらの第１操作スイッチ１３２ａおよび第２操作スイッチ１３２ｂは、運転座席１２０よりも機体外側に位置するように配置されているので、運転座席１２０に着座して操作できるとともに、自走機体１０１から降りて地上からでも操作可能となっている。

［第２実施形態の別形態］
　この実施形態の構成は、稲麦の穀物や、稗、粟、豆類を脱穀する普通型コンバインの他、刈り取った穀稈をフィードチェーンで挟持しながら脱穀する自脱型コンバインにも適用できる。

〔第２実施形態の要約〕
　以上述べた通り、この実施形態によるコンバインでは、以下の構成を特徴とする。すなわち：－
　自走機体の左右方向の一方に脱穀装置を、他方にグレンタンクを備え、前記グレンタンク内の脱穀物を搬出する穀粒搬出筒を、前記グレンタンクの後部に位置する上下向き軸心回りに旋回自在に且つ横向き軸心回りに上下方向に揺動自在に備え、前記穀粒搬出筒の長手方向中間部を載置支持する格納用支持台を前記脱穀装置の前部に設けてあるコンバインであって、前記脱穀装置の外枠を形成する該脱穀装置前部の左右の縦フレームの上部に横フレームを架設し、この横フレームの左右方向中間部に立設したステーを介して前記穀粒搬出筒の格納用支持台を設けてある。
　これによれば、穀粒搬出筒の格納用支持台を、左右の縦フレームと、この縦フレームの上部に架設された横フレームとで構成された丈夫な門形のフレーム枠の上部に設けたので、前記横フレームと格納用支持台との間に介装されるステーの丈を短くできる。
　また、脱穀装置の横幅に相当する間隔を備えた左右の縦フレームにより、ステーおよび格納用支持台が二股状に十分な強度で支持される。
　したがって、穀粒搬出筒の格納用支持台を設けるに当たって、脱穀装置の外枠を形成する既存の部材である左右の縦フレームを有効利用することにより、機体フレームから専用の長い支柱を設ける必要はなく（ステーを支持するための専用の部材を備えたとしても、小規模のものでよく）、短い丈のステーで簡便に形成することができる。そして、ステーの強度としては短柱としての強度があればよく、小型軽量のステーとすることができ、軽量化を図ることができる。
　好適には、上記構成において、前記横フレームが脱穀装置の扱胴を駆動する伝動装置を内蔵した伝動ケースとされる。
　この構成によれば、脱穀装置を駆動する伝動装置を内蔵した既存の部材である伝動ケースを、ステーを支持する横フレームを兼ねている。したがって、ステーおよび格納用支持台の支持構造を簡略化することができる。

［第３実施形態］
　次に、図２６～図３７を参照しながら、第３実施形態について説明する。

　この実施形態は、特に、アクチュエータの駆動により移動可能な移動体と、前記移動体に取り付けられた被検出体と、前記被検出体に接触して揺動可能な接触子を有する位置検出機構と、前記位置検出機構にて被検出体を検出するとアクチュエータの駆動を停止させる制御機構とを設けたコンバインに関する。

　例えば、図２９に示すように、機体フレーム２０２に回動可能に設けられた縦オーガ２０８（移動体の一例）に突出ピン２３１（被検出体の一例）を取り付けると共に、その突出ピン２３１に接触して揺動可能な回動レバー２３２ａ（接触子の一例）を有する位置検出機構２３２を設ける。例えば、穀粒をトラックの荷台に排出する場合には、アクチュエータＭの駆動により縦オーガ２０８を軸芯２０８Ｘ周りで回動させ、横オーガ２０９の排出口をトラックの荷台の上方に位置させ、縦オーガ２０８に設けられたスクリュー２０８ｂおよび横オーガ２０９に設けられたスクリュー２０９ｂの回転により穀粒を排出する。縦オーガ２０８が所定の回動範囲を超えて回動しようとすると、例えば、図３３、図３４に示すように、回動レバー２３２ａが突出ピン２３１に接触して揺動する。回動レバー２３２ａが中立位置（図３３（ａ）の紙面左側の回動レバー２３２ａの位置および紙面右側の回動レバー２３２ａの２点鎖線の位置、図３４（ａ）の紙面左側の回動レバー２３２ａの２点鎖線の位置および紙面右側の回動レバー２３２ａの位置）から所定の量を超えて一方側に揺動するとアクチュエータの駆動を停止させる。

　従来、この種のコンバインでは、単に、縦オーガ２０８が所定の回動範囲を超えて回動しようとすると、位置検出機構２３２にて突出ピン２３１を検出してアクチュエータＭの駆動を停止させるものであった。
　しかしながら、例えば図３７に示すように、縦オーガ２０８が反時計回りに回動するときに（図３７（ａ）を参照）、縦オーガ２０８の回動の慣性や位置検出機構２３２の検出不良等により、縦オーガ２０８が所定の回動範囲（図３７（ｂ）を参照）を超えて移動する場合がある。このとき、回動レバー２３２ａが突出ピン２３１から外れる場合がある（図３７（ｃ）を参照）。回動レバー２３２ａが突出ピン２３１から外れると、回動レバー２３２ａが他方側に揺動して中立位置（図３７（ｃ）の回動レバー２３２ａの２点鎖線の位置）に弾性復帰する。この状態から縦オーガ２０８が時計回りに回動すると、回動レバー２３２ａが中立位置（図３７（ｄ）の回動レバー２３２ａの２点鎖線の位置）から他方側に揺動することになり（図３７（ｄ）を参照）、回動レバー２３２ａの位置が適正検出範囲から外れて位置検出機構が故障することがある。

　以上の問題に鑑み、移動体が所定の移動範囲を超えて移動したときにおいても、位置検出機構の故障を防止できることが望まれる。そのためには、以下の構成が考えられる。以下、その構成について詳細に説明する。

　図２６に示すように、コンバイン（作業車の一例）は、クローラ走行装置２０１、そのクローラ走行装置２０１の上部に設けられた機体フレーム２０２、その機体フレーム２０２の前部に設けられた刈取部２０３等を備えている。機体フレーム２０２には、作業者が運転する操縦部２０４、刈取穀稈を脱穀および選別する脱穀部２０５、その脱穀部２０５から供給される穀粒を貯留するグレンタンク２０６、そのグレンタンク２０６から機外に穀粒を排出するアンローダ２０７等を備えている。尚、本実施形態では普通型コンバインを例示したが、これに限られるものではなく、自脱型（culm-head charging type）のコンバインであってもよい。

　図２７～図３０に示すように、前記アンローダ２０７は、グレンタンク２０６に接続され、グレンタンク２０６に貯留された穀粒を上方に搬送する縦オーガ２０８（移動体の一例）、縦オーガ２０８にて搬送された穀粒をトラック等の荷台に排出する横オーガ２０９、縦オーガ２０８と横オーガ２０９とを連結する接続部材２１０等を備えている。縦オーガ２０８は、筒状の外装ケース２０８ａと、その外装ケース２０８ａの内部に配設された縦送りスクリュー２０８ｂとを有している。横オーガ２０９は、筒状の外装ケース２０９ａと、その外装ケース２０９ａの内部に配設された横送りスクリュー２０９ｂとを有している。接続部材２１０は、筒状の外装ケース２１０ａと、その外装ケース２１０ａの内部に配設された横送りスクリュー２１０ｂとを有している。

　前記グレンタンク２０６の下部には排出スクリュー２１１が配設されている。グレンタンク２０６の後側にはロアケース２１２が取り付けられている。排出スクリュー２１１がロアケース２１２およびグレンタンク２０６に回転可能に支持されている。排出スクリュー２１１の一端側がロアケース２１２から突出しており、その突出部に一方のプーリ２１３ａが取り付けられている。ロアケース２１２と機体フレーム２０２とに亘って筒状部材２１７が設けられ、第１軸部材２１４が筒状部材２１７に回転可能に支持されている。第１軸部材２１４の一端側が筒状部材２１７から突出しており、その突出部に他方のプーリ２１３ｂが取り付けられている。それら一対のプーリ２１３ａ、２１３ｂを巻回するベルト２１５が設けられている。第１軸部材２１４の他端部には一方のベベルギヤ２１６ａが取り付けられている。縦送りスクリュー２０８ｂの下端部には、一方のベベルギヤ２１６ａに噛合する他方のベベルギヤ２１６ｂが取り付けられている。縦送りスクリュー２０８ｂの上端部には一方のベベルギヤ２１８ａが取り付けられている。横送りスクリュー２１０ｂの他端部にはその一方のベベルギヤ２１８ａに噛合する他方のベベルギヤ２１８ｂが取り付けられている。横送りスクリュー２１０ｂの一端部には一方のベベルギヤ２１９ａが取り付けられている。横送りスクリュー２０９ｂの基端部にはその一方のベベルギヤ２１９ａに噛合する他方のベベルギヤ２１９ｂが取り付けられている。

　以上の構成により、エンジンＥの駆動により排出スクリュー２１１が回転すると、その排出スクリュー２１１に連動連結されている縦送りスクリュー２０８ｂが回転し、その縦送りスクリュー２０８ｂに連動連結されている横送りスクリュー２１０ｂが回転し、その横送りスクリュー２１０ｂに連動連結されている横送りスクリュー２０９ｂが回転する。これにより、グレンタンク２０６の穀粒は、縦送りスクリュー２０８ｂの回転により縦オーガ２０８を通って上方に搬送され、横送りスクリュー２０９ｂの回転により横オーガ２０９を通って先端側に搬送され、横オーガ２０９の先端に設けられた排出口２０９ｃを通って排出される。また、一対のプーリ２１３ａ、２１３ｂを巻回するベルト２１５が設けられているので、穀粒の詰まり等により、縦送りスクリュー２０８ｂ、横送りスクリュー２０９ｂ、２１０ｂに大きなトルクが掛かったとしても、ベルト２１５が滑ることにより破損を防止できる。

　図２８、図２９に示すように、前記縦オーガ２０８の外装ケース２０８ａには、リングギヤ２２１が固着されている。縦オーガ２０８の外装ケース２０８ａの下端部がロアケース２１２の上側筒部２１２ａに相対回転可能に内嵌されている。ロアケース２１２の上側筒部２１２ａにてリングギヤ２２１が載置支持されている。機体フレーム２０２には、第１縦フレーム２２２および第２縦フレーム２２５が立設されている。第１縦フレーム２２２の上部には、第１取付部材２２６が設けられている。第２縦フレーム２２５と第１取付部材２２６とに亘って横フレーム２２７が架設されている。第１取付部材２２６には、縦オーガ２０８の中間部を回動可能に保持する第２取付部材２２８が設けられている。グレンタンク２０６には、縦オーガ２０８の上部を回動可能に保持する第３取付部材２２９が設けられている。第１縦フレーム２２２には、ブラケットＢを介してモータＭ（アクチュエータの一例）が取り付けられている。モータＭの回転軸には、リングギヤ２２１に噛合するギヤ２２３が固定されている。モータＭの駆動により縦オーガ２０８を縦軸芯２０８Ｘ周りに回動可能に構成されている。

　接続部材２１０の外装ケース２１０ａと横オーガ２０９の外装ケース２０９ａとに亘って油圧シリンダ２２４が設けられている。油圧シリンダ２２４の伸縮により横オーガ２０９を上下方向に揺動可能に構成されている。

　グレンタンク２０６の穀粒をトラックの荷台（図示しない）に排出する場合には、油圧シリンダ２２４を伸長させて横オーガ２０９の先端を起立させ、モータＭを駆動させてアンローダ２０７を旋回させて、横オーガ２０９の排出口２０９ｃをトラックの荷台の上方に位置させる。その後、排出スクリュー２１１、縦送りスクリュー２０８ｂ、横送りスクリュー２０９ｂ、２１０ｂを回転させて、横オーガ２０９の排出口２０９ｃから穀粒を排出する。

　図３１～図３４に示すように、前記アンローダ２０７には、縦オーガ２０８の回動を規制する回転規制装置Ｃが設けられている。前記回転規制装置Ｃは、縦オーガ２０８の外周部に取付けられたリングギヤ２２１の上面から突出する上側の突出ピン２３１ａ（被検出体の一例）、平面視で上側の突出ピン２３１ａと同じ位置においてリングギヤ２２１の下面から突出する下側の突出ピン２３１ｂ（被検出体の一例）、上側の突出ピン２３１ａに接触して揺動可能な回動レバー２３２ａ（接触子の一例）を有する一対の位置センサ２３２（位置検出機構の一例）、下側の突出ピン２３１ｂに当接して縦オーガ２０８の回動を規制する一対の固定のストッパ２３３、位置センサ２３２にて上側の突出ピン２３１ａを検出するとモータＭ（アクチュエータの一例）の駆動を停止させるＣＰＵ（制御機構の一例。図示しない。）等を備えている。リングギヤ２２１の貫通孔にピンを挿入固定し、そのピンの上部を上側の突出ピン２３１ａとし、下部を下側の突出ピン２３１ｂとすることにより、上側の突出ピン２３１ａと下側の突出ピン２３１ｂとを平面視で同じ位置に設けている。これにより、リングギヤ２２１の貫通孔にピンを挿入固定するだけの簡単な組み付け作業で、上側の突出ピン２３１ａと下側の突出ピン２３１ｂとを平面視で同じ位置に設けることができる。

　本実施形態では、上側の突出ピン２３１ａと下側の突出ピン２３１ｂとを平面視で同じ位置に設ける構成を例示した。しかし、平面視で略同じ位置に設けてもよく、上側の突出ピン２３１ａと下側の突出ピン２３１ｂとを、周方向に位相をずらせて設けてもよい。
　また、上側の突出ピン２３１ａが下側の突出ピン２３１ｂよりも長い構成を例示したが、上側の突出ピン２３１ａと下側の突出ピン２３１ｂとが同じ長さでもよく、あるいは、上側の突出ピン２３１ａが下側の突出ピン２３１ｂよりも短くてもよい。また、上側の突出ピン２３１ａと下側の突出ピン２３１ｂとを１組設ける構成を例示したが、上側の突出ピン２３１ａと下側の突出ピン２３１ｂとを複数組設けてもよい。
　さらに、リングギヤ２２１のいずれか一方の面から突出する突出ピン２３１を設け、その突出ピン２３１に接触して揺動可能な回動レバー２３２ａを有する一対の位置センサ２３２、および、その突出ピン２３１に当接して縦オーガ２０８の回動を規制する一対の固定のストッパ２３３を設けてもよい。

　前記第１縦フレーム２２２には、第１取付部材２３５が固着されている。第１取付部材２３５は、矩形板状の平板部２３５ａ、平板部２３５ａの上端から横方向に延びる略台形状の上側の折曲部２３５ｂ、平板部２３５ａの下端から横方向に延びる略台形状の下側の折曲部２３５ｃを備えて、断面形状が横向きに開口したコ字状に構成されている。上側の折曲部２３５ｂおよび下側の折曲部２３５ｃには、夫々三角形状の切欠２３５ｄ、２３５ｅが形成されている。それら切欠２３５ｄ、２３５ｅが第１縦フレーム２２２の隅部に嵌りあう状態で固着されている。

　前記第１取付部材２３５の側部には、第２取付部材２３６が取り付けられている。第２取付部材２３６は、上面にてモータＭを載置固定する切欠２３６ｄが形成された円板状の支持部２３６ａ、支持部２３６ａの一方側の端部から下方に延びる一方側の折曲部２３６ｂ、支持部２３６ａの他方側の端部から下方に延びる他方側の折曲部２３６ｃを備えて、断面形状が下向きに開口したコ字状に構成されている。切欠２３６ｄが縦オーガ２０８に沿う状態で近接している。第１取付部材２３５の平板部２３５ａと第２取付部材２３６の一方側の折曲部２３６ｂとがボルト等の締結手段にて固定されている。一方側の折曲部２３６ｂおよび他方側の折曲部２３６ｃの先端側（縦オーガ２０８の側）は、夫々内側に折り曲げられている。これにより、折曲部２３６ｂ、２３６ｃの先端側には、夫々固定のストッパ２３３が形成されている。それら一対のストッパ２３３の間隔が、縦オーガ２０８に向かうほど幅狭になっている。

　一対のストッパ２３３を連結する平板状の連結部材２３７と、一対のストッパ２３３を連結すると共に連結部材２３７の下面に接続する略く字状で平板状の支持部材２３８とが設けられている。これにより、一対のストッパ２３３が連結部材２３７および支持部材２３８により補強されている。さらに、一対のストッパ２３３が上側筒部２１２ａに固着されている。

　一方の位置センサ２３２（図３３（ａ）、図３４（ａ）の紙面右側の位置センサ２３２）は、縦軸芯回りに揺動可能な回動レバー２３２ａを有している。回動レバー２３２ａが中立位置に復帰するように、回動レバー２３２ａと一方の位置センサ２３２とに亘って弾性バネ（図示しない）が取り付けられている。回動レバー２３２ａが中立位置から所定の量を超えて一方側に揺動するとモータＭの駆動を停止させる。中立位置から所定の量を超えて一方側に揺動した最大揺動位置までの範囲が回動レバー２３２ａの適正検出範囲を構成する。

　図３２に示すように、前記一方の位置センサ２３２は、一方の取付片２４１を介して第１取付部材２３５の上側の折曲部２３５ｂに取り付けられている。一方の取付片２４１は、平板状の第１取付部分２４１ａと、その第１取付部分２４１ａの端部に接続する平板状の第２取付部分２４１ｂとを備えている。上側の折曲部２３５ｂの上面に第１取付部分２４１ａが固定され、第２取付部分２４１ｂに一方の位置センサ２３２が取り付けられている。

　他方の位置センサ２３２（図３３（ａ）、図３４（ａ）の紙面左側の位置センサ２３２）は、一方の位置センサ２３２とほぼ同じ構成であり、他方の取付片２４２を介して第２取付部材２３６の他方側の折曲部２３６ｃに取り付けられている。他方の取付片２４２は、平板状の第１取付部分２４２ａと、その第１取付部分２４２ａの端部に接続する平板状の第２取付部分２４２ｂと、その第２取付部分２４２ｂの端部に接続する平板状の第３取付部分２４２ｃとを備えている。他方側の折曲部２３６ｃの側面に第１取付部分２４２ａが固定され、第３取付部分２４２ｃに他方の位置センサ２３２が取り付けられている。以上の構成により、第１取付部材２３５および第２取付部材２３６が、モータＭを縦オーガ２０８に対して機体フレーム２０２の側に取り付けるブラケットＢを構成する。

　以下、縦オーガ２０８が所定の回動範囲を超えて回動したときに、縦オーガ２０８の移動が規制される動作について説明する。

　図３３、図３６に示すように、モータＭの駆動により縦オーガ２０８が反時計回りに回動するときに（図３６（ａ）を参照）、一方の位置センサ２３２の回動レバー２３２ａが上側の突出ピン２３１ａに接触して揺動する。回動レバー２３２ａが中立位置から所定の量を超えて一方側に揺動すると、モータＭの駆動を停止させる（図３６（ｂ）を参照）。縦オーガ２０８の慣性等により縦オーガ２０８が所定の回動範囲を超えて移動したときに、回動レバー２３２ａが上側の突出ピン２３１ａに接触した状態を維持しながら、下側の突出ピン２３１ｂが一方のストッパ２３３（図３３（ｂ）、図３４（ｂ）の紙面右側のストッパ２３３）に当接する（図３６（ｃ）を参照）。この状態から縦オーガ２０８が時計回りに回動すると、回動レバー２３２ａが突出ピン２３１から離れて中立位置に弾性復帰するのである（図３６（ｄ）を参照）。これにより、回動レバー２３２ａが中立位置から他方側に揺動する状態（図３７（ｄ））は生じない。その結果、回動レバー２３２ａが適正検出範囲から外れて一方の位置センサ２３２が故障することを防止できる。一方のストッパ２３３は、縦オーガ２０８の軸芯２０８Ｘに向かう方向に対して他方側（図３３の紙面右側）に傾斜している。

　図３４に示すように、モータＭの駆動により縦オーガ２０８が時計回りに回動するときに、他方の位置センサ２３２の回動レバー２３２ａが上側の突出ピン２３１ａに接触して揺動する。回動レバー２３２ａが中立位置から所定の量を超えて一方側に揺動するとモータＭの駆動を停止させる。このとき、縦オーガ２０８の慣性等により縦オーガ２０８が所定の回動範囲を超えて回動を超えて移動したときに、回動レバー２３２ａが上側の突出ピン２３１ａに接触した状態を維持しながら、下側の突出ピン２３１ｂが他方のストッパ２３３（図３３（ｂ）、図３４（ｂ）の紙面左側のストッパ２３３）に当接する。この状態からモータＭの駆動により縦オーガ２０８が反時計回りに回動すると、回動レバー２３２ａが上側の突出ピン２３１ａから離れて中立位置に弾性復帰するのである。これにより、回動レバー２３２ａが中立位置から他方側に揺動する状態は生じない。その結果、回動レバー２３２ａが適正検出範囲から外れて他方の位置センサ２３２が故障することを防止できる。他方のストッパ２３３は、縦オーガ２０８の軸芯２０８Ｘに向かう方向に対して他方側（図３３の紙面上側）に傾斜している。

　図３５に示すように、位置センサ２３２の回動レバー２３２ａが上側の突出ピン２３１ａに接触してモータＭの駆動を停止させることにより縦オーガ２０８の回動が規制される。このときの縦オーガ２０８の回動範囲を第１回動範囲α１とする。また、上側の突出ピン２３１ａがストッパ２３３に当接することによっても縦オーガ２０８の回動が規制される。このときの縦オーガ２０８の回動範囲を第２回動範囲α２とする。第２回動範囲α２を第１回動範囲α１よりも広く設定してある。縦オーガ２０８が第１回動範囲α１を超えて回動しても、第２回動範囲α２内にその回動範囲が規制されるので、位置センサ２３２が故障することはない。

　本実施形態では、一方の位置センサ２３２および一方のストッパ２３３の位置と、他方の位置センサ２３２および他方のストッパ２３３の位置とを、所定の回動範囲の分だけ位相をずらせて配置してある。それら位置センサ２３２およびストッパ２３３の配置を変更することにより回動範囲を適宜設定できる。

〔第３実施形態の別形態〕
（１）上記実施形態では、モータＭを、ブラケットＢを介して機体フレーム２０２の第１縦フレーム２２２に取り付ける構成を例示したが、このような構成に限られるものではなく、モータＭを、ブラケットＢを介して機体フレーム２０２のロアケース２１２に取り付ける構成としてもよい。

（２）上記実施形態では、第１取付部材２３５に一方の位置センサ２３２が取り付けられ、第２取付部材２３６に他方の位置センサ２３２が取り付けられる構成を例示したが、このような構成に限られるものではなく、例えば、第２取付部材２３６に一方の位置センサ２３２および他方の位置センサ２３２が取り付けられる構成としてもよい。

（３）上記実施形態では、アンローダ２０７は、機体フレーム２０２に縦軸芯２０８Ｘ周りに回動可能な縦オーガ２０８と、その縦オーガ２０８に接続され、縦オーガ２０８との接続箇所を支点に上下方向に揺動可能な横オーガ２０９とを備え、縦オーガ２０８の下部には、回転規制装置Ｃが設けられる構成を例示した。しかし、このような構成に限られるものではなく、例えば、アンローダ２０７は、機体フレーム２０２に固定された縦オーガ２０８と、その縦オーガ２０８に接続され、縦オーガ２０８との接続箇所を支点に上下方向に揺動可能にかつ左右方向に旋回可能な横オーガ２０９とを備え、縦オーガ２０８の上部には、回転規制装置Ｃが設けられる構成としてもよい。

（４）上記実施形態の構成は、コンバインやトラクタ、建機等の各種作業車に適応可能である。又、アクチュエータの駆動により回転可能な回転体以外、具体的には、アクチュエータの駆動により直線的に移動可能な移動体にも適応可能である。

〔第３実施形態の要約〕
　以上述べた通り、この実施形態による作業車（コンバイン）は、以下の構成を特徴とする。すなわち：－
　アクチュエータの駆動により移動可能な移動体と、前記移動体に取り付けられた被検出体と、前記被検出体に接触して揺動可能な接触子を有する位置検出機構と、前記位置検出機構にて被検出体を検出するとアクチュエータの駆動を停止させる制御機構とを設けたものであって、その第１特徴構成は、前記被検出体に当接して移動体の移動を規制する固定のストッパを設け、前記接触子が被検出体に接触した状態を維持しながら、前記被検出体がストッパに当接するように、前記位置検出機構およびストッパを配置してある。

　本構成によれば、例えば、図３６に示すように、縦オーガ２０８（移動体の一例）が反時計回りに回動して（図３６（ａ）、（ｂ）を参照）、縦オーガ２０８が所定の回動範囲を超えて回動したときに、回動レバー２３２ａ（接触子の一例）が突出ピン２３１（被検出体の一例）に接触した状態を維持しながら、突出ピン２３１がストッパ２３３に当接する（図３６（ｃ）を参照）。この状態から縦オーガ２０８が時計回りに回動すると、回動レバー２３２ａが突出ピン２３１から離れて中立位置に弾性復帰するのである（図３６（ｄ）を参照）。これにより、回動レバー２３２ａが中立位置から他方側に揺動する状態（図３７（ｄ））は生じない。その結果、接触子の位置が適正検出範囲から外れて位置検出機構が故障することを防止できる。

　一好適実施形態では、前記アクチュエータをブラケットを介して移動体に対して機体フレームの側に取り付けると共に、そのブラケットに位置検出機構およびストッパを取り付けてある。
　本構成によれば、アクチュエータをブラケットを介して移動体に対して機体フレームの側に取り付けると共に、そのブラケットに位置検出機構およびストッパを取り付けてあるので、アクチュエータを移動体に対して機体フレームの側に取り付けるためのブラケットを位置検出機構およびストッパを取り付ける構成に兼用して構成の簡素化を図ることができる。

　一好適実施形態では、前記移動体が回転可能な回転体であり、前記回転体の外周部にアクチュエータのギヤに噛合するリングギヤを設け、前記被検出体がリングギヤの両側面に設けられた突出ピンであり、前記位置検出機構およびストッパをリングギヤを挟んで振り分け配置してある点にある。
　本構成によれば、回転体の外周部にリングギヤを設けると共に、そのリングギヤの両側面に突出ピンを設け、位置検出機構およびストッパをリングギヤを挟んで振り分け配置してあるので、リングギヤを挟んで位置検出機構およびストッパが振り分け配置されることになり、全体のコンパクト化を図ることができる。

［第４実施形態］
　以下、図３８～図４９を参照しながら第４実施形態について説明する。
　図３８にはコンバインの全体側面が示されており、このコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置３０１の駆動で走行する機体３０２の前部に、刈取対象穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する搬送装置としての刈取搬送装置３０３を左右向きの第１軸心Ｘ１周りに上下揺動可能に連結し、その刈取搬送装置（搬送装置）３０３からの刈取対象穀稈に対して脱穀処理を施すとともに、この脱穀処理で得られた処理物に対して選別処理を施す脱穀装置３０４や、この脱穀装置３０４からの穀粒を貯留する穀粒タンク３０５などを機体３０２に搭載し、機体３０２における穀粒タンク３０５の前方箇所に搭乗運転部３０６を形成して、稲や麦などを刈取対象穀稈とした全稈投入型に構成されている。

　図３８および図３９に示すように、刈取搬送装置３０３は、機体の走行に伴って、その前部左右両端に装備されたデバイダ３０７が刈取対象穀稈と非刈取対象穀稈とを梳き分け、刈取搬送装置３０３の前部上方に配備された回転リール３０８が、左右のデバイダ３０７で梳き分けられた刈取対象穀稈を後方に向けて掻き込み、刈取搬送装置３０３の底部に装備されたバリカン形の主切断装置３０９が刈取対象穀稈の所定箇所を切断し、主切断装置３０９の後方に配備されたオーガ３１０が、主切断装置３０９による切断後の刈取対象穀稈を左右方向の所定箇所に寄せ集めるとともに、その所定箇所において後方に向けて送り出し、その所定箇所から脱穀装置３０４の前上部にわたる搬送機構３１１が、オーガ３１０からの刈取対象穀稈を脱穀装置３０４に向けて搬送するように構成され、その搬送機構３１１と機体３０２とにわたって架設した油圧式のシリンダ３１２の作動で左右向き第１軸心Ｘ１周りに上下揺動し、その上下揺動で、刈取対象穀稈に対する主切断装置３０９の高さ位置を変更する刈り高さ調節を行えるようになっている。

　バリカン型の副切断装置３１４の支持構造について説明する。図３９および図４０に示すように、機体３０２の前端位置に左右向きの角パイプ製の横向きフレーム３１６を架設し、横向きフレーム３１６の左右方向３箇所に軸受部３１７を備えている。図４３に示すように、軸受部３１７は横向きフレーム３１６に取付られる脚部３１７Ａと、その脚部３１７Ａと一体形成されたボス部３１７Ｂとからなり、ボス部３１７Ｂにニードルベアリングを介して筒状軸３１８を揺動自在に装着してある。

　筒状軸３１８は、ボス部３１７Ｂより第２軸芯Ｘ２に沿って横向きに突出し、その突出部分に昇降フレーム３１３を連結固定してある。左右方向の３箇所で軸受部３１７に支持された昇降フレーム３１３の先端部同士をアングル状の連結フレーム３１５で連結して、昇降フレーム３１３を一体で揺動可能に構成してある。

　昇降フレーム３１３の揺動範囲の下限位置を設定し、その昇降フレーム３１３を上昇側に付勢する付勢手段Ａについて説明する。図４０および図４３に示すように、左右方向３箇所に設けている昇降フレーム３１３のうちの中間に位置する中間昇降フレーム３１３に対して付勢手段Ａを作用させて、３個の昇降フレーム３１３を全て上昇側に付勢している。

　つまり、付勢手段Ａは、圧縮コイルバネ３１９と、圧縮コイルバネ３１９の軸線位置に位置する支持ボルト軸３２０と、支持ボルト軸３２０の下端に螺合するホルダー３２１と、圧縮コイルバネ３１９の上下端を受け止める上下受ディスク３２２Ａ、３２２Ｂとで構成してある。
　下受ディスク３２２Ｂを支持するアングル状の受フレーム３２３を機体３０２の上下向き前端フレーム３０２Ａから前方に向けて延出し、受フレーム３２３の前端部を、ミッションケース３２４から左右クローラ式走行装置３０１の駆動輪に向けて延出された前車軸ケース３２５に支持させている。

　受フレーム３２３に下受ディスク３２２Ｂを載置し、下受ディスク３２２Ｂの軸芯位置に支持ボルト軸３２０の下端に外嵌したホルダー３２１を内嵌保持してある。ホルダー３２１を介して下受ディスク３２２Ｂに支持された支持ボルト軸３２０は、中間昇降フレーム３１３に向けて上向きに延出され、延出上端位置に上受ディスク３２２Ａを装着してある。

　中間昇降フレーム３１３の下面には皿状の受止具３２６が装着してあり、受止具３２６には調節ボルト３２７が取り付けてあり、調節ボルト３２７の下端ボルト頭３２７Ａを、支持ボルト軸３２０の上端ボルト頭３２０Ａに当接させて、中間昇降フレーム３１３を前記した圧縮コイルバネ３１９で押し上げ付勢してある。調節ボルト３２７を受止具３２６に対して上下方向に出退調節させることによって、上受ディスク３２２Ａとの当接位置を調節し、圧縮コイルバネ３１９の押し上げ付勢力を調節可能である。

　副切断装置３１４の構造について説明する。図３８～図４３に示すように、副切断装置３１４は、連結フレーム３１５に背中合わせで取付固定されているアングル状の基台３２９と、基台３２９に装着された受け刃３３０と、受け刃３３０に支持されている可動刃３３２と、可動刃３３２を駆動するナイフバー３３と、ナイフバー３３３３を保持するナイフクリップ３３４とで構成されている。

　連結フレーム３１５の下向き面には橇３４８が後に張り出す状態で取り付けてあり、刈取り面の凹凸に副切断装置３１４が追従しやすく構成してある。橇３４８は、連結フレーム３１５の横方向３箇所に設けてあり、各昇降フレーム３１３の下方に設けてある。そして、３つの橇３４８は、左右のクローラ式走行装置３０１とは左右外側に偏位した位置に設けてある。副切断装置３１４が昇降時に、橇３４８がクローラ式走行装置３０１と干渉しないためである。

　可動刃３３２の駆動構造について説明する。図４０～図４２に示すように、３個の昇降フレーム３１３を支持する軸受部３１７における左端に位置する左端軸受部３１７に駆動構造が設けてある。図４４に示すように、左端軸受部３１７に支持された筒状軸３１８の内部空間に、左右一対の転がりベアリング３３５が内装してあり、左右の転がりベアリング３３５に亘って駆動軸３３６が支承してある。

　駆動軸３３６における筒状軸３１８より突出する片持ち端部３３６Ａには、入力スプロケット３３７を取り付けた回転ボス３３８が取付けてあり、入力スプロケット３３７の取付位置より更に片持ち先端部分に偏芯駆動ユニットＣ１が取り付けてある。

　図４４および図４５に示すように、偏芯駆動ユニットＣ１は、駆動軸３３６に偏芯した状態で取付固定された回転コア部３３９と、回転コア部３３９に大ベアリング３４０を介して外嵌装着されている揺動ホルダー部３４１と、揺動ホルダー部３４１の上下両端軸３４１Ａに小ベアリング３４２を介して装着されている駆動フォーク部３４３とからなっている。

　上記のような構成において、駆動軸３３６に取付られている回転コア部３３９は駆動軸３３６と一体回転するが偏芯状態にあるために、回転コア部３３９に大ベアリング３４０を介して外嵌されている揺動ホルダー部３４１は、矢印で示すように、駆動軸３３６の回転軸芯に直交する軸芯周りで左右に揺動可能に駆動される。そして、この揺動ホルダー部３４１の上下両端軸に外嵌されている駆動フォーク部３４３も連動して左右に揺動可能に振れ作動する。

　図４２、図４４および図４５に示すように、駆動フォーク部３４３には前方下向き姿勢の駆動ロッド軸３４４が取付固定してあり、駆動ロッド軸３４４を副切断装置３１４の近傍まで延出してある。左昇降フレーム３１３の下端部から駆動ロッド軸３４４に向けて取付台３４５が延出してあり、取付台３４５の先端側にベアリングブロック３４６が取付固定され、このベアリングブロック３４６が駆動ロッド軸３４４の先端部を回転自在に支持している。
　このような構成によって、駆動ロッド軸３４４は、駆動フォーク部３４３の左右揺動に連動して、駆動ロッド軸自体の軸芯Ｚ周りで揺動自在に構成されている。

　駆動ロッド軸３４４のベアリングブロック３４６より下方に突出する下端部に揺動駆動ユニット３４７が取付固定してあり、この駆動ユニット３４７から延出した駆動アーム３４７Ａを可動刃用のナイフバー３３３に連係してある。
　以上のような構成によって、可動刃３３２は、偏芯駆動ユニットＣ１の入力スプロケット３３７、駆動軸３３６、回転コア部３３９、揺動ホルダー部３４１、駆動フォーク部３４３、駆動ロッド軸３４４、揺動駆動ユニット３４７、駆動アーム３４７Ａを介して伝達された駆動力によって左右に往復駆動される。

　次に、連動機構Ｂ１の構成について説明する。図３８～図４１に示すように、連動機構Ｂ１は、副切断装置３１４と主切断装置３０９とを、主切断装置３０９が刈高さを変更すべく昇降作動を行っても、副切断装置３１４と主切断装置３０９との上下間隔が所定間隔未満であれば、副切断装置３１４を主切断装置３０９の昇降作動に連動させない状態に維持し、所定間隔以上になると、副切断装置３１４を主切断装置３０９の上昇作動に連動させるべく構成してある。

　図４７および図４８に示すように、連動機構Ｂ１は、上下方向に長い帯板状の連係部材３５０と、その連係部材３５０の中間部を刈取搬送装置３０３に対して接続、および接続を解除する状態に切換操作するための係合操作体３５１とで構成されている。
　連係部材３５０は、その下端部に副切断装置３１４の連結フレーム３１５に連結ピン３５２で連結可能な取付孔と、上下中間位置に板状の中間連結部材３５４を装着し、中間連結部材３５４の装着部位に、連係部材３５０自身の長手方向に沿った長孔３５３を形成して、構成してある。また、連係部材３５０の上端部には、握り操作具３５５が形成してあり、握り操作具３５５は搭乗運転部３０６から操縦者が握り操作することが可能な高さに位置している。
　連係部材３５０は、弾性の高い鋼板で構成してあり、握り操作具３５５を握って機体の左右方向、すなわち、連係部材３５０の板面に直交する方向で少し揺動操作すると、自身の弾性で撓み変形し、中間連結部材３５４に形成した係合用孔部３５４ａと係合操作体３５１との相対位置を変更操作して、係脱操作を行うことができる。

　係合操作体３５１は、図４７および図４８に示すように、Ｕ字状に丸棒材を曲げ形成した係合片３５６と、その係合片３５６を装着すべく搬送ケース３１１Ａの側面に取付られたチャンネル状のブラケット３４９とで構成される。
　つまり、係合片３５６は、平行に延出された脚部３５６ａ、３５６ｂと脚部同士を連結する基端部３５６ｃとを一体に曲げ形成されている。基端部３５６ｃをブラケット内部空間内に位置させて、基端部３５６ｃから抜き差し方向に両脚部３５６ａ、３５６ｂをブラケット３４９から延出させる状態で係合片３５６はブラケット３４９に取り付けられている。

　ブラケット３４９から延出された一方の脚部３５６ａを、連係部材３５０のスライド用の長孔３５３に嵌入させ、他側の短い脚部３５６ｂを中間連結部材３５４の係合用孔部３５４ａに対して係脱自在であるように、係合片３５６は鉤状に構成されている。係合片３５６には、その係合片３５６の前記短い側の脚部３５６ｂを前記係合用孔部３５４から抜け出し側へ付勢するバネ３５７を外嵌装着している。

　したがって、係合片３５６の長い脚部３５６ａが連係部材３５０の長孔３５３に係合し、かつ、係合片３５６の短い脚部３５６ｂが中間連結部材３５４の係合用孔部３５４ａから離間した非係合状態では、図４７（ａ）および図４８（ａ）のように、刈取搬送装置３０３が上昇作動した場合には、長い脚部３５６ａが、係合用孔部３５４ａに係合した状態で相対スライド移動するだけで、副切断装置３１４は上昇作動しない。
　ただし、刈取搬送装置３０３が刈り高さ制御範囲を越えて大きく上昇する場合には、長い脚部３５６ａが係合用孔部３５４ａの上端に当接し、連係部材３５０とともに副切断装置３１４は刈取搬送装置３０３と一体で上昇する。

　一方、上記した短い脚部３５６ｂを中間連結部材３５４の係合用孔部３５４ａから離間させた状態で、連係部材３５０の操作部３５５を握って連係部材３５０を少し右方へ操作すると、図４７（ｂ）および図４８（ｂ）に示すように、係合片３５６の短い脚部３５６ｂが係合用孔部３５４ａに挿入される。この状態で刈取搬送装置３０３を上昇させると、係合片３５６の短い脚部３５６ｂが中間連結部材３５４に係合して、連係部材３５０を刈取搬送装置３０３で持ち上げ、副切断装置３１４が刈取搬送装置３０３と一体で吊り上げられる。

　また、この吊り上げ状態では、副切断装置３１４の重量が係合用孔部３５４ａと係合片３５６との接触面に作用して、握り操作具３５５から手を離しても、係合用孔部３５４ａと係合片３５６との係合状態が維持される。もちろん、刈取搬送装置３０３を下降させて副切断装置３１４が接地すると、その副切断装置３１４の重量が前記接触面に作用しなくなるので、前記連係部材３５０は自身の弾性でもとの状態に復帰し、前記係合状態は解除される。

　このように構成されたコンバインでは、図４６に示すように、畦越え走行時などに、連動機構Ｂ１を操作して副切断装置３１４を刈取搬送装置３０３の昇降作動に連動する状態に切換え、刈取搬送装置３０３を上昇操作することによって、副切断装置３１４も追従して持ち上げられた姿勢とする。
　尚、図４７および図４８中に示す符号３５８は、前記スライド用の長孔３５３に挿入された一方の脚部３５６ａがそのスライド用の長孔３５３から抜け出すことを防止するためのワッシャであり、符号３５９は抜止ピンである。

　次に、副切断装置３１４を圃場面側に付勢するガススプリング３６９について説明する。図４１および図４２に示すように、刈取り穂先部分を横送り搬送するオーガ３１０を収納するケース３１０Ａにおける脱穀装置３０４に向かう面に、ガススプリング３６９が設けてある。ガススプリング３６９は、搬送機構３１１の両側に設けてある左右一対のものであり、一方のガススプリング３６９は前記脱穀装置３０４に向かう面の左右中央近くに位置し、他方のガススプリング３６９は前記脱穀装置３０４に向かう面の左側端部に位置し、両ガススプリング３６９は、オーガ３１０を収納するケース３１０Ａから脱穀装置３０４に向けて延出されている。

　脱穀装置３０４に向かう面に左右一対のブラケット３７０を設け、前記左右一対のブラケット３７０における左右中央側に位置するブラケット３７０Ｂに、一方のガススプリング３６９のシリンダ３６９Ａの上端部を連結してあり、そのシリンダ３６９Ａから下向きに延出されたピストン３６９Ｂの下端フォーク部３６９ｂを、左右中間に位置する昇降フレーム３１３に取り付けたブラケット４５に取付けてある。

　左右一対のブラケット３７０における左側端に位置するブラケット３７０Ａに、他方のガススプリング３６９のシリンダ３６９Ａの上端部を連結してあり、そのシリンダ３６９Ａから下向きに延出されたピストン３６９Ｂの下端フォーク部３６９ｂを左端に位置する昇降フレーム３１３に取り付けたブラケット４５に取付けてある。

　以上のような二つのガススプリング３６９によって、副切断装置３１４の昇降作動が抑制される。
　刈取搬送装置３０３を刈り高さ制御によって、昇降作動させた場合にも、ガススプリング３６９を伸縮作動させることによって、副切断装置３１４の高さを付勢手段Ａに受止られた略一定高さ位置に維持することができる。つまり、刈取搬送装置３０３を上昇作動させると、その上昇作動につれてガススプリング３６９のピストン３６９Ｂが伸長作動して、副切断装置３１４を略一定位置に維持する。

　畦越え等を行う為に、刈取搬送装置３０３を大きく上昇作動させた場合には、連動機構Ｂ１によって、副切断装置３１４を連係して上昇作動させるように構成してある。その場合に、ガススプリング３６９はピストン３６９Ｂを伸縮させた状態で、刈取搬送装置３０３と副切断装置３１４との間隔を維持している。

〔第４実施形態の別形態〕
（１）　昇降フレーム３１３を上向き付勢する付勢手段Ａとしては、コイルバネ２１９を利用したものを説明したが、コイルバネ以外の板バネ、皿バネ等のバネ構造を呈するものでもよい。或いは、バネ以外のオイルダンパー等も使用できる。

（２）　付勢手段Ａは、以下のように構成してもよい。
　すなわち、図４９に示すように、副切断装置３１４を支持する連結フレーム３１５から略三角形状の取付用ブラケット３６０を立設し、取付用ブラケット３６０の前端上部の前面にベアリングホルダー３６１を取付け、ベアリングホルダー３６１内にベアリング３６２を装入して、ベアリング３６２で偏芯駆動ユニットＣ１から前方下向きに延出された駆動ロッド軸３４４の先端部を挿通支持してある。
　取付用ブラケット３６０の後端部における横側面に、付勢手段Ａ用の上受ブラケット３６３を固定してある。受ブラケット３６３の下方には、機体３０２から延出されたアングル状の下受ブラケット３６４を設けてある。上下受ブラケット３６３、３６４に亘って芯軸３６５を設けてあり、下受ブラケット３６４には芯軸３６５を保持する筒状ホルダー３６６が装着してあり、芯軸３６５の上端近くに受プレート３６７を装着して、受プレート３６７と下受ブラケット３６４の間に圧縮式コイルバネ３６８を介在させて芯軸３６５に外嵌装着してある。
　このような構成によって、図示していない昇降フレーム３１３、付勢手段Ａ、駆動ロッド軸３４４を単一の取付用ブラケット３６０で支持できる。

　（３）連係部材５０としては、前記した帯板状のものに代えて、チェーンを搬送機構３１１の搬送ケース１１Ａの側面と昇降フレーム３１３とに亘って架設して設けてもよい。

　（４）ガススプリング３６９については、特に設けなくともよい。

〔第４実施形態の要約〕
　以上述べた通り、この実施形態によるコンバインは、以下の構成を特徴とする。すなわち：－
　植立穀稈の穂先部分を刈り取る主切断装置と、切断後に前記穂先部分を搬送する搬送装置とを、機体に昇降自在に取り付け、前記主切断装置より低い位置で前記植立穀稈に作用する副切断装置を機体に対して昇降自在に支持し、
　前記副切断装置を上昇側に付勢する付勢手段を設けてある。

　この構成によれば、副切断装置が常に付勢手段によって上昇側に付勢されているので、軽快に昇降作動することができ、凸部が圃場に存在しても、軽く乗り越えることが可能であり、凸部に干渉することを未然に回避できる。
　このように副切断装置を上昇側に付勢するだけの簡単な改造を施すことによって、刈り株高さを低く揃えることができながら、凸部に対しても干渉を回避することができる副切断装置を備えたコンバインの刈取前処理構造を提供することができた。

　一好適実施形態では、前記副切断装置を機体に対して昇降自在な昇降フレームに取付け、前記昇降フレームと機体とに亘って前記付勢手段を設けてある。
　このように構成すれば、副切断装置が昇降フレームに取付られているので、副切断装置を昇降フレームにより安定して昇降自在に支持させることができ、凸部に追従して軽快に副切断装置を昇降作動させて干渉を回避できるとともに、大きな凸部が圃場に存在しても、副切断装置が昇降フレームとともに大きく昇降作動することができるので、凸部に干渉することなく副切断装置を退避させることができる。
　このように、軽快に昇降作動させる付勢手段と大きく上昇回避する昇降フレームに副切断装置を取り付ける改造を施すことによって、両機能によって凸部を回避して、大きな凸部に対しても干渉を回避することができる副切断装置を備えたコンバインを提供することができる。

　一好適実施形態では、前記副切断装置に橇を付設してある。
　この構成によれば、橇が接地するので、前記付勢手段の付勢力と相俟って、副切断装置が刈取り面の凹凸部に追従しやすく、かつ、凸部に突っ込む等の不測な事態を回避し易い。

　一好適実施形態では、前記主切断装置および前記搬送装置の昇降作動によって、前記副切断装置と前記主切断装置との上下間隔が所定間隔未満であれば前記副切断装置を前記主切断装置の昇降作動に連動させない状態に維持し、前記所定間隔以上になると、前記副切断装置を前記主切断装置の上昇作動に連動させる連動機構が設けられる。
　この構成によれば、植立穀稈の長短に応じて主切断装置を上下動調節する場合等においては、主切断装置と副切断装置との上下間隔は所定間隔未満に抑えられるところから、副切断装置は連動せずに、刈り高さを変動させない。
　これによって、主切断装置で着粒部を刈り取られた植立茎稈は、副切断装置によって一定の刈株高さで刈り取られるので、圃場に残る刈り株高さは一定である。
　例えば、畦際での旋回時において、刈取前処理部を大きく上昇させる際には、主切断装置と副切断装置の上下間隔が所定間隔以上となるので、連動機構が作用して、副切断装置も上昇する。これによって、畦際での旋回時においては、副切断装置が圃場面等と干渉することはない。
　したがって、副切断装置が機能しなければならない刈取時においては、一定の適切な高さで植立茎稈の刈取を行うことができる。
　畦際旋回時等の刈取作業を必要としない場合には、主切断装置に連動させて副切断装置を上昇退避させることができ、主副切断装置が不測に障害物と干渉することを未然に回避できる。

　一好適実施形態では、前記連動機構を、前記主切断装置を備えた搬送装置と前記副切断装置を備えた昇降フレームとに亘って、前記主切断装置と前記副切断装置との上下間隔が一定以上になることを制限する連係部材を設けて構成してある。
　この構成によれば、主切断装置を機体に対して昇降作動する搬送装置に設け、副切断装置を機体に取り付けた昇降フレームに取り付けることによって、主切断装置と副切断装置とを分離して、主切断装置が刈高さ調節によって上下動しても副切断装置を連動しない状態にできる。
　そして、畦際旋回時等においては、主切断装置と同様に副切断装置を圃面から上方に退避させる必要があるので、連係部材で昇降フレームを搬送装置に連結し、主切断装置と副切断装置を連動した。したがって、搬送装置と昇降フレームの上下間隔が所定間隔以上になると、連係部材が機能して昇降フレームを搬送装置の上昇作動に連動する。
　このように、昇降フレームと搬送装置とを、主切断装置と前記副切断装置との上下間隔が一定以上になることを制限する連係部材で連係している。よって、機械的な連係機構によってコストを安くできる。

［符号の説明］
　３　　　　　脱穀装置
　２１　　　　扱室
　２４　　　　受網
　２６　　　　選別部
　２７　　　　シーブケース
　２７ａ　　　側板
　５９　　　　チャフシーブ
　６３　　　　リップ板
　６４　　　　支持枠
　６５　　　　操作軸（下部枢支ピン）
　６６　　　　長孔
　６７　　　　支点軸
　６８　　　　操作部材
　７０　　　　位置決め用固定部材（ボルト）
　ａ　　　　　支点

　以上述べた通り、本発明はコンバインに関するものである。各実施形態の構成は、相反するものではない限り同一のコンバインに採用することが可能である。

Claims

　受網とその下方の選別部とを有する脱穀装置を備えたコンバインであって、
　前記選別部が、前後揺動可能なシーブケースと、このシーブケースに設けられ前記受網から落下した脱穀処理物を選別するチャフシーブとを備え、
　前記チャフシーブが、所定ピッチで前後方向に並列配備され且つそれぞれ横軸芯周りに揺動可能に支持された複数の選別板と、これら複数の選別板に亘って接続された前後方向に長い支持枠とを備え、前記支持枠の前後移動に連動して前記各選別板の角度が変更されることによって前記チャフシーブの開度が設定されるように構成されたものにおいて、
　前記チャフシーブの側部に設けた支点軸と前記支持枠に接続された操作軸とに亘って操作部材が設けられ、
　この操作部材を前記シーブケースの側板に位置決め用固定部材を介して固定することによって、前記支持枠の前後位置が固定されて前記チャフシーブの開度が設定されるように構成されていることを特徴とするコンバイン。
　前記支点軸が、前記複数の選別板のうちいずれか一つの選別板の上端部位又は下端部位の一方に備えられて支点を形成し、
　前記操作軸が、前記一つの選別板の上端部位又は下端部位の他方に備えられて前記支持枠に接続されていることを特徴とする請求項１記載のコンバイン。
　前記操作部材が、前記チャフシーブの側板の外側外面に沿って近接配設され、
　前記操作軸が、前記チャフシーブの側板を貫通した状態で前記操作部材と接続され、
　前記操作軸の揺動範囲に沿って前記側板に長孔が形成され、この長孔が、前記操作軸の揺動範囲において前記操作部材によって閉塞可能に構成されていることを特徴とする請求項１又は２記載のコンバイン。