WO2009116463A1

WO2009116463A1 - 浄化槽

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Publication number: WO2009116463A1
Application number: PCT/JP2009/054864
Authority: WO
Inventors: 喜多亮夫; 西川信彦; 黒川和正
Original assignee: 株式会社クボタ
Priority date: 2008-03-17
Filing date: 2009-03-13
Publication date: 2009-09-24
Also published as: CN101977851A; CN101977851B; CN102815835A; CN102815835B

Abstract

メンテナンスの手間を特に掛けることなく、沈殿槽Ｃにおける被処理水の水位を長期に亘って適正な水位に維持できるようにするために、越流堰１２を有した集水槽Ｅを沈殿槽Ｃの内側に備え、沈殿槽Ｃの被処理水が越流堰１２を越えて集水槽Ｅに流入した後、沈殿槽Ｃ以外の処理槽に流入するように構成してある浄化槽であって、集水槽Ｅに流入した被処理水を沈殿槽Ｃにおける水面よりも高い位置に揚水する揚水装置と、その揚水装置で揚水した被処理水を処理槽に流入させる流路とを設けてある。

Description

浄化槽

　本発明は、越流堰を有した集水槽を沈殿槽の内側に備え、前記沈殿槽の被処理水が越流堰を越えて前記集水槽に流入した後、前記沈殿槽以外の処理槽に流入するように構成してある浄化槽に関する。

　従来の浄化槽では、集水槽に流入した被処理水を、沈殿槽以外の処理槽、例えば、沈殿槽に対して隔壁を隔てて隣り合う消毒槽に流入させるために、消毒槽における被処理水の水面が沈殿槽における被処理水の水面よりも低くなるように消毒槽を配設し、隔壁の消毒槽における被処理水の水面よりも高い位置に集水槽に備えた樋部材の端部を固定して、集水槽の被処理水を樋部材の端部から消毒槽に自然流下させるように構成してある。
　そして、浄化槽の据え付け姿勢が所定姿勢に対して傾いていても、越流堰の略全幅に亘る範囲から被処理水が越えて集水槽に流入するように集水槽の水平姿勢を調整するために、沈殿槽と消毒槽とを隔てている隔壁に樋部材の下面側が入り込む凹部を形成し、その凹部を囲む隔壁周縁部分に湾曲長孔を形成すると共に、樋部材の端部外周に沿って形成してある固定用鍔部材にボルト挿通孔を形成して、水平姿勢を調整した後の集水槽を、隔壁周縁部分に形成した湾曲長孔と固定用鍔部材に形成したボルト挿通孔とに亘って挿通したボルトで隔壁に固定してある（例えば、特許文献１参照。）。
　この場合、凹部を囲む消毒槽の隔壁開口部や、その周縁部分のボルト固定部は沈殿槽の水位以下となるため、沈殿槽の被処理水が、消毒槽の被処理水との水頭差で、隔壁開口部やボルト固定部の隙間を通して、被処理水の水面が沈殿槽における水面よりも低い消毒槽に漏れ出して、沈殿槽における被処理水の水位を適正な水位に維持できなくなるおそれがあり、隔壁周縁部分と固定用鍔部材との間にパッキンなどのシール材を挟み込んである。
実用新案登録第２５５１００３号公報

　しかしながら、長期使用のうちにシール材が劣化すると、被処理水が沈殿槽から消毒槽に漏れ出すおそれがあり、この場合は、沈殿槽における被処理水の水位を適正な水位に維持できなくなるので、シール材の交換などのメンテナンスに手間が掛かる欠点がある。
　本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、メンテナンスの手間を特に掛けることなく、沈殿槽における被処理水の水位を長期に亘って適正な水位に維持できるようにすることを目的とする。

　本発明の第１特徴構成は、越流堰を有した集水槽を沈殿槽の内側に備え、前記沈殿槽の被処理水が越流堰を越えて前記集水槽に流入した後、前記沈殿槽以外の処理槽に流入するように構成してある浄化槽であって、
　前記集水槽に流入した被処理水を前記沈殿槽における水面よりも高い位置に揚水する揚水装置と、その揚水装置で揚水した被処理水を前記処理槽に流入させる流路とを設けてある点にある。

　本発明の第１の特徴構成によれば、集水槽に流入した被処理水を沈殿槽における水面よりも高い位置に揚水する揚水装置と、その揚水装置で揚水した被処理水を処理槽に流入させる流路とを設けてあるので、集水槽に流入した被処理水を流入させる処理槽に、沈殿槽の被処理水の水面よりも低い位置に開口する開口部を設ける必要がなく、沈殿槽の被処理水が集水槽の越流堰を介さずに沈殿槽以外の処理槽に流出するおそれがなくなるので、沈殿槽における被処理水の水位を長期に亘って適正な水位に維持できる。

　本発明の第２特徴構成は、水平方向に沿う軸芯周りで揺動できるように前記集水槽を支持する集水槽支持部と、前記集水槽支持部から離れた位置において前記集水槽を固定する姿勢固定部とを設けてある点にある。

　本発明の第２の特徴構成によれば、水平方向に沿う軸芯周りで揺動できるように集水槽を支持する集水槽支持部と、その集水槽を集水槽支持部から離れた位置において固定する姿勢固定部とを設けてあるので、浄化槽の据え付け姿勢が所定姿勢に対して傾いていても、被処理水が越流堰をその略全幅に亘る範囲から越えて集水槽に流入するように、集水槽の姿勢を水平調整することが容易になるとともに、姿勢固定部は少なくとも１ヵ所にあればよく、集水槽の固定作業も容易に行うことができる。

　本発明の第３特徴構成は、前記揚水装置は、下端部に吸水口を備えたエアーリフトポンプであり、前記集水槽支持部は前記集水槽の下端部に設けてあり、前記エアーリフトポンプの下端部を前記集水槽内の前記集水槽支持部近くに位置させてある点にある。

　本発明の第３の特徴構成によれば、下端部に吸水口を備えたエアーリフトポンプを揚水装置とし、その下端部を、集水槽の下端部に設けてある集水槽支持部近くに位置させてあるので、エアーリフトポンプの集水槽への入り込み深さを深くすることができ、揚水能力を向上させることができる。
　また、エアーリフトポンプを集水槽以外の浄化槽部分に固定してある場合に、集水槽の姿勢を調整するべく、その集水槽を揺動させても、エアーリフトポンプと集水槽とが互いに干渉するおそれが少なく、集水槽の姿勢の調整範囲を広く設定することができる。

　本発明の第４特徴構成は、前記集水槽は、前記越流堰を備えた集水部を設け、被処理水を貯留する有底筒状の凹入部を集水部の底部に備え、その凹入部に前記エアーリフトポンプの下端部を入り込ませてある点にある。

　本発明の第４の特徴構成によれば、集水槽は、越流堰を備えた集水部を設け、被処理水を貯留可能な有底筒状の凹入部を集水部の底部に備え、その凹入部にエアーリフトポンプの下端部を入り込ませてあるので集水部に備えた越流堰の幅を広く確保できるように集水部の大型化を図りながら、凹入部の容積を小さくして、集水槽を内側に備えている沈殿槽の容量を大きく確保することができる。

　本発明の第５特徴構成は、前記集水槽の前記集水槽支持部近くに、エアーリフトポンプの下端部を位置決めする位置決め部を設けてある点にある。

　本発明の第５の特徴構成によれば、エアーリフトポンプの下端部を集水槽支持部近くで位置決めできるので、集水槽の姿勢の調整範囲を広く設定することができるようにしながら、エアーリフトポンプの姿勢を安定させることができる。

本発明の第６の特徴構成は、前記揚水装置は、揚水管と、前記揚水管の下部にエアーを供給する空気供給管とヘッダー装置を設けてあり、前記ヘッダー装置は、流出ガイド部と、前記揚水管の上端部に接続する接続部を備え、前記流出ガイド部は前記揚水管によって揚水された被処理水を前記処理槽に流入させる流路であるエアーリフトポンプであって、
　前記接続部の上方部と前記流出ガイド部の上方部とを一連に開口する開口部が形成されているところにある。

　本発明の第６の特徴構成によれば、揚水装置を構成するエアーリフトポンプは、揚水管の上端部に接続する接続部の上方部と、流出ガイド部の上方部とを開口する開口部が形成されているので、浄化槽のマンホールの蓋を開けて点検する場合に、接続部の内側の状況も、流出ガイド部の内側の状況も、接続部の上方部と流出ガイド部の上方部とを開口する開口部を通して上方から確認し易い。
　また、接続部の上方部と流出ガイド部の上方部とを一連に開口する開口部が形成されているので、接続部の内側に堆積した汚泥をその開口部を通して、流出ガイド部に向けて掻き出し易い。
　従って、接続部の内側の状況も、流出ガイド部の内側の状況も確認し易く、接続部の内側に堆積した汚泥も流出ガイド部に向けて掻き出し易いので、ヘッダー装置の内部に対するメンテナンス作業を簡便に行える。

　本発明の第７の特徴構成は、前記開口部のうちの少なくとも前記接続部の上方部を開閉できるように覆う蓋体が設けられているところにある。

　本発明の第７の特徴構成によれば、開口部のうちの少なくとも接続部の上方を覆う蓋体が開閉できるように取り付けられているので、蓋体を開いて接続部の上方を開放しておくことにより、ヘッダー装置の内部に対するメンテナンス作業を簡便に行うことができ、蓋体を閉じて接続部の上方を塞いでおくことにより、揚水管の上端からの被処理水や汚泥の飛散を防止することができる。

　本発明の第８の特徴構成は、前記蓋体の取付け部とは別の箇所で、前記空気供給管の支持部を前記揚水管の内側に設けてあり、前記支持部は前記空気供給管の軸心が前記揚水管の軸芯に対して略平行に沿うように前記空気供給管を支持することにある。

　本発明の第８の特徴構成によれば、揚水管の内側で蓋体の取付け部とは別の箇所に、空気供給管の支持部を設けてあるので、空気供給管を支持部から特に外すことなく、蓋体を開閉することができ、ヘッダー装置の内部に対するメンテナンス作業を一層簡便に行える。
　また、空気供給管を揚水管の内部に取り付けることができるので、空気供給管の端部と揚水管との接続処理を行わなくとも、揚水管内に空気を供給することができ、空気供給管の取付作業の簡略化を図ることができる。

　本発明の第９の特徴構成は前記流出ガイド部から流出した被処理水を横方向に搬送する横搬送ガイド部材を設け、その横搬送ガイド部材に、前記流出ガイド部の外周面側を覆う樋状部を設け、樋内面側に向けて折り返してある形状の折り返し部を前記樋状部の上縁側に備え、前記樋状部と前記折り返し部との間に前記流出ガイド部を入り込ませて、前記横搬送ガイド部材を前記流出ガイド部に接続させてあることにある。

本発明の第９の特徴構成によれば、流出ガイド部の形状を特に変更することなく、樋状部と折り返し部との間に流出ガイド部を入り込ませて、横搬送ガイド部材を流出ガイド部に接続することができ、流出ガイド部から流出した被処理水を必要に応じて更に横方向に簡便に搬送することができる。

は、浄化槽の縦断面図である。は、図１のII－II線矢視図である。は、浄化槽の要部平面図である。は、集水槽と消毒槽を示す縦断面図である。は、集水槽と消毒槽を示す分解斜視図である。（イ）は、要部斜視図、（ロ）は、要部平面図である。は、担体の斜視図である。は、集水槽の内部を示す正面図である。は、要部の横断面図である。は、要部の縦断面図である。は、消毒槽の内部を示す正面図である。は、エアーリフトポンプの縦断面図である。は、エアーリフトポンプの一部断面正面図である。は、エアーリフトポンプの要部斜視図である。は、被処理水搬送装置の要部斜視図である。は、要部の別実施形態を示す縦断面図である。は、集水槽の別実施形態を示す斜視図である。

　　以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
　図１，図２は、生活排水（汚水）を被処理水として浄化処理する本発明による浄化槽１を示す。
　尚、図１中の実線の矢印は、被処理水の移流方向を示しており、破線の矢印は、槽底部に溜まった固形分（汚泥等）の返送方向を示している。
　図２は、図１におけるII－II線矢視図である。

　図１に示すように、浄化槽１は、マンホールＭなどを備えた槽外壁２の内部を、第１仕切り壁３と第２仕切り壁４とで仕切って、被処理水を嫌気処理する嫌気槽Ａと、嫌気槽Ａで嫌気処理した被処理水を好気処理する好気槽Ｂと、好気槽Ｂで好気処理した被処理水を沈殿処理する沈殿槽Ｃとに区画してある。そして、沈殿槽Ｃ以外の処理槽としての消毒槽Ｄを沈殿槽Ｃの内側に隔壁６１を隔てて設けてある。

　前記嫌気槽Ａは、被処理水が流入管７を通して外部から流入する固液分離槽Ａ１と、固液分離槽Ａ１で固液分離された被処理水を嫌気処理する嫌気処理槽Ａ２とに第３仕切り壁５で区画して、固液分離槽Ａ１で固液分離された被処理水を第３仕切り壁５に設けてある移流部９から嫌気処理槽Ａ２に流入させるように構成してある。

　前記固液分離槽Ａ１には、水平方向の断面形状が略コの字状のバッフルプレート１０を設け、その上端部分で流入管７の出口側を取り囲むようにバッフルプレート１０を槽外壁２に固定して、流入管７を通して固液分離槽Ａ１に流入する被処理水の流動方向を下向きに規制してある。

　前記嫌気処理槽Ａ２で嫌気処理した被処理水を第１仕切り壁３に設けてあるオーバーフロー口８から好気槽Ｂにオーバーフローで流入させ、好気槽Ｂで好気処理した被処理水を沈殿槽Ｃに移流させ、固形分を沈殿させた上澄の被処理水を沈殿槽Ｃの内側に備えた集水槽Ｅに流入させて、その集水槽Ｅに流入した被処理水を消毒槽Ｄに流入させ、薬剤筒１１から添加された薬剤で消毒された被処理水を排出管６から外部に排出させるように構成してある。
　また、沈殿槽Ｃの底部に沈殿した汚泥を第１エアーリフトポンプ５８で被処理水と共に固液分離槽Ａ１に返送する汚泥返送路５９を設けてある。

　前記好気槽Ｂは、底部に散気管７０を設け、輪郭形状が略球形の多数の樹脂製担体７１を槽内に流動可能に充填した担体流動槽で構成してあり、散気管７０から吹き込んだ空気でそれらの担体７１を攪拌しながら曝気することにより、担体７１の表面に付着生成している生物膜と被処理水とを繰り返し接触させて、被処理水中の有機物の分解除去や窒素化合物の酸化を行う。

　そして、第２仕切壁４の下端側を沈殿槽Ｃ側に屈曲させて、第２仕切壁４の下端側と槽内底面との間の流出口７２から好気処理した被処理水を沈殿槽Ｃに流出させるように構成してある。

　オーバーフロー口８及び流出口７２は、好気槽Ｂにおいて流動させる担体７１の最小外径よりも小さい上下方向幅で開口させてあるので、好気槽Ｂから担体７１が流出するのを防止する部材で流入口７又は流出口７２を覆うことなく、流入口８からの担体７１の流出、又は、流出口７２からの担体７１の流出を防止している。その上、オーバーフロー口８および流出口７２を、担体７１の最小外径よりも大きい水平方向幅で開口させてあるので、大きな開口面積を確保することができ、流入口８又は流出口７２が生物膜や剥離汚泥でも目詰まりし難い。

　前記散気管７０は、例えば複数の散気用穴が形成された円筒状の管体で構成される。そして、散気管７０は、槽外に設けられたブロア７３と空気供給管７４とに連通接続されてブロア７３からのエアーが供給されている。
　また、好気槽Ｂの槽上部には、担体７１流出防止用の多孔板７５を設けてある。

　担体７１は、例えば図７に示されるように、輪郭形状が略球形であり、軸心からその周縁側に向かう複数の略扇状のリブ７６が、軸心周りに等角度で放射状に配置されている。
　なお、図７における矢印は、微生物担持体が、軸心に沿ってその内部に汚水を流通させることが可能であることを示す。
　　そして、担体７１は、隣接するリブ７６同士にわたって、軸心に沿った面を有する連結板７７が複数設けられており、連結板７７によって隣接するリブ７６同士を一体に連結している。

　隣接するリブ７６同士に亘って、軸心に沿った面を有する連結板７７を設けることによって、その連結板７７が隣接するリブ７６同士を一体に連結しているため、連結板７７が設けられていない従来の微生物担持体に比べて、リブ７６同士がより強固に連結され得、微生物担持体全体としての剛性がより高くなる。
　さらに、連結板７７を設けることによって、その分、微生物担持体全体としての表面積が増加しうるので、従来の微生物担持体を比べて、より多くの微生物類を担持することが可能となり、浄化槽の処理能力もより向上しうる。

　また、その軸心方向におけるリブ７６の中間部に設けられたリング部材７８によってもリブ７６同士を連結されており、より一層の担体７１全体としての剛性強化を図っている。

　さらに、連結板７７の少なくとも片側の面と、リング部材７８の内側面に、軸心に沿ったフィン７９が設けられているので、その分さらに微生物担持体全体としての表面積が増加しうるので、さらにより多くの微生物類を担持することが可能となり、浄化槽の処理能力もより一層向上しうる。

　前記集水槽Ｅは、図３～図５、図８に示すように、側面視で三角波形の越流堰１２を形成してある集水壁１３で囲まれた横長の集水部１４と、その集水部１４の内側底部に連通する縦長の有底筒状の凹入部１５とを一体に備え、集水部１４の幅方向中央位置に凹入部１５を配置して正面視で略左右対称のＴ字状に形成し、沈殿槽Ｃの被処理水が越流堰１２を越えて集水部１４に流入した後、凹入部１５に流入して貯留されるように構成してある。

　前記凹入部１５は、水平方向の断面形状が略矩形の外周壁１６と底壁１７とで囲まれた有底筒状に形成してあり、底壁１７側ほど径が徐々に小さくなる先窄まり状に形成して、集水部１４よりも第２仕切り壁４側に突出させてある。

　そして、集水槽Ｅに流入した被処理水を沈殿槽Ｃにおける水面ＷＬ（越流堰下端の高さ）よりも高い位置に揚水可能な揚水装置としての第２エアーリフトポンプ１８と、揚水した被処理水を消毒槽Ｄに流入させる流路１９とを設けてある。

　水平方向に沿う軸芯Ｙ周りで揺動できるように前記集水槽Ｅを支持する集水槽支持部３９を集水槽Ｅの下端部に設け、集水槽支持部３９から離れた位置において集水槽Ｅの姿勢を調整可能、かつ、固定する姿勢固定部４０を設けてある。

　前記集水槽支持部３９は、図１０（ｂ）にも示すように、凹入部１５を形成する底壁１７の下端側に、貫通孔４１を形成してあるリブを一体に設けると共に、その貫通孔４１に入り込む支軸部材４２を第２仕切り壁４に設けて構成してある。

　前記姿勢固定部４０は、図１０（ａ）にも示すように、凹入部１５を形成する外周壁１６のうちの第２仕切り壁４側の壁部分を越流堰１２よりも上方に延設して、その壁部分に上下の板面が揺動軸芯Ｙを中心とする円弧状に略沿う固定用板材４３を一体に設けるとともに、集水槽Ｅの揺動方向に沿って長い長孔４４をその固定用板材４３に形成し、長孔４４に挿通させるボルト４５を第２仕切り壁４に固定して構成してある。

　そして、浄化槽１の据え付け姿勢が多少傾いていても、集水槽Ｅを揺動軸芯Ｙ周りで揺動させて、越流堰１２が略水平方向に沿うような姿勢で、ボルト４５に螺着した蝶ナット６０で締め付け固定することで、被処理水を越流堰１２の略全幅に亘る範囲から集水槽Ｅに流入させることができるように構成してある。

　前記消毒槽Ｄは、図３～図５，図１１に示すように、水平方向の断面形状が略矩形の上向きに開口する箱状に形成してある隔壁６１で沈殿槽Ｃの内側に区画して、薬剤筒１１を装着する薬剤筒受け４８を隔壁６１の上部に設け、集水槽Ｅを囲むバッフルプレート４９を隔壁６１の左右両側に設けてある。そして隔壁６１をそのバッフルプレート４９を介して、第２仕切り壁４に固定すると共に、排出管６を介して槽外壁２に固定して、集水槽Ｅの前面側に隣り合わせて装着してある。

　また、集水部１４の消毒槽Ｄ側を囲む集水壁部分５０に、被処理水の異状流入時のオーバーフロー口となる略Ｕ字状の切欠き部５１を形成し、消毒槽Ｄの集水槽Ｅ側を囲む槽壁部分５２にも略Ｕ字状の切欠き部５３を形成すると共に、その切欠き部５３の縁に沿って槽壁外面側に折り返してある折り返し部５４を形成し、折り返し部５４と槽壁部分５２との間に集水壁部分５０における切欠き部５１の縁を係合させて、消毒槽Ｄと集水槽Ｅとを一体に組み付けてある。

　前記薬剤筒受け４８は、折り返し部５４の上に重ねて係止させる係止部５５と、流出ガイド部２３の端部を支持する支持部５６と、筒状のバッフルプレート５７とを備え、流出ガイド部２３を通して薬剤筒受け４８に流下した被処理水に薬剤を添加して、バッフルプレート５７を通して消毒槽Ｄの底部に向けて流下させた後、排出管６を通して外部に排出できるように構成してある。

　前記薬剤筒１１は、上部に開口を有し、薬剤（塩素剤、りん除去剤、釘等）をその開口部分から収容することができる筒本体部８０を備えると共に、その開口部分を自在に開閉することができる蓋部８１が取り付けられている。

　筒本体部８０の下部（周部）には、移流する被処理水が流入しうる流入口８２と、被処理水が流出しうる流出口８３とを備えており、筒本体部８０に流入した被処理水と収容された薬剤とが接触しうる構成となっている。
　また、前記蓋部８１には、流入口８２の開度を表示する(即ち、流入口８２への被処理水の流入度を表示する)表示部が設けられており、作業者は、被処理水に対する消毒剤の溶解量を増加又は減少させるために、左右いずれの方向に薬剤筒１１を回転させるべきかを容易に判断することができる。

　図６（イ）、(ロ)は、薬剤筒１１を、薬剤筒受け４８に設置した状態で、その筒軸心周りに回転させ、流入口８２及び流出口８３の開度を調節している様子を示している。
　図６（ロ）は、流入口８２及び流出口８３の開度を半開としたときの様子である。このとき、エアリフトポンプによって揚水される被処理水の一部が、薬剤筒１１内に流入し、残りは、壁部８５に設けられた落水口より落水して消毒槽Ｄ内に流入する。

　筒本体部８０の下部外周面には、その直径方向の相対する位置に、２つの突起部８６が設けられており、壁部８５の被係止部８７と共に、ストッパー機構を構成している。即ち、薬剤筒１１を回転操作する際、筒本体部８０の突起部８６が、壁部８５の被係止部８７にて係止することによって、薬剤筒１１の回転操作が、流入口８２の開度が全開もしくは全閉である位置(一定の回転角位置)で規制されるように構成されている。

　前記第２エアーリフトポンプ１８は、図３～図５，図８、図９、図１２～図１４にも示すように、集水槽Ｅに備えた凹入部１５内に上下方向に沿わせて装着する円筒状の揚水管２０と、揚水管２０の下部にエアーを供給する円筒状の空気供給管２１とを設けてあると共に、揚水管２０の上端部に接続する揚水管接続部２２と、揚水管２０によって揚水された被処理水を横方向に流出させる上向きＵ字状の流出ガイド部２３とを一体に備えたヘッダー装置２４を設けてあり、揚水した被処理水を消毒槽Ｄに流入させる流路１９を流出ガイド部２３で形成してある。

　そして、揚水管２０の下端部に備えた吸水口４６を集水槽Ｅに入り込ませてあり、第２エアーリフトポンプ１８の下端部、つまり、揚水管２０の下端部を、凹入部１５を形成する底壁１７近くに入り込ませて、集水槽支持部３９近くに位置させてある。

　また、図８，図９に示すように、集水槽支持部３９近く、つまり、凹入部１５を形成する底壁１７近くにおける外周壁１６の内面に、凹入部１５に入り込ませた揚水管２０の下端部に外嵌して、その下端部を位置決めする位置決め部４７を設けてある。

　前記揚水管接続部２２と流出ガイド部２３は樹脂で一体成型してあり、揚水管接続部２２は揚水管２０の上端部に外嵌する円筒状に形成してあり、流出ガイド部２３は、揚水管接続部２２の径と略同幅の半割筒状の底板部２５と、底板部２５の左右上端縁に沿って互いに平行に延設してある一対の側壁部２６とを備えた上向きＵ字状に形成してある。

　前記側壁部２６の夫々を、揚水管２０の軸芯Ｘ方向視で、揚水管接続部２２の上縁近くに延設するとともに、揚水管接続部２２の直径方向に略沿わせて、かつ、揚水管２０の軸芯Ｘ方向に沿わせて形成してある端壁部２７の端部に連設して、揚水管接続部２２の上方部と流出ガイド部２３の上方部とを一連に開放する開口部２８を形成してあり、側壁部２６の端部をＬ字状に切欠いた形状に形成して、後述する横搬送ガイド部材２９を接続できるように構成してある。

　前記端壁部２７を挟んで、流出ガイド部２３とは逆の部位には、揚水管接続部２２の上方を周方向に沿って略半割円弧状に囲む円弧状囲壁３０と、揚水管接続部２２の上方を覆うドーム状の覆い壁部３１とを一体に設けてあり、端壁部２７の下端部を円弧状囲壁３０と覆い壁部３１とに連設して、円弧状囲壁３０及び覆い壁部３１の内側を流出ガイド部２３の内側に臨ませてある。

　前記揚水管接続部２２の上方を覆う略矩形の樹脂製蓋体３２が一方の側壁部２６ａに開閉自在に取り付けられ、蓋体３２の取付け部とは別の箇所、つまり、覆い壁部３１に、空気供給管２１を支持する円筒状の空気供給管支持部３３を揚水管２０の内側に設けてあり、空気供給管２１の軸芯が揚水管２０の軸芯Ｘに対して略平行に沿うように空気供給管２１を支持してある。

　前記空気供給管支持部３３は、空気供給管２１を筒状部の内側に挿通して支持できるように構成してあるが、図１６に示すように、覆い壁部３１の上方に突出する上向き筒状部３３ａと覆い壁部３１の下方に突出する下向き筒状部３３ｂとで構成し、空気供給管２１を、覆い壁部３１を挟んで上下に分断して、上側空気供給管部分２１ａの下端を上向き筒状部３３ａに外嵌し、下側空気供給管部分２１ｂの上端を下向き筒状部３３ｂに外嵌して、揚水管２０の内側に空気供給管２１の軸芯が揚水管２０の軸芯Ｘに対して略平行に沿うように空気供給管２１を支持できるように構成してあっても良い。

　前記蓋体３２には、左右の側壁部２６と端壁部２７の夫々の上端部を入り込ませる溝３４がその周縁に沿って形成されているとともに、可撓性を備えた取り付け用の帯板３５が一体に形成され、帯板３５の端部を一方の側壁部２６ａに着脱できるように取り付けて、蓋体３２が開閉できるように取り付けられ、溝３４に左右の側壁部２６と端壁部２７の夫々の上端部を入り込ませて、開口部２８を開閉できるように覆ってある。

　また、第２エアーリフトポンプ１８から消毒槽Ｄまでの距離が長い場合は、図１５に示すように、流出ガイド部２３の端部に、その流出ガイド部２３から流出した被処理水を横方向に搬送する半割樋状の横搬送ガイド部材２９を接続してある被処理水搬送装置Ｆを構成して、揚水した被処理水を消毒槽Ｄに流入させる流路１９を延長できるように構成してある。

　前記横搬送ガイド部材２９は、その全長に亘って、横断面形状がＵ字状の樋状部３７を設け、樋内面側に向けて折り返してある形状の折り返し部３８を樋状部３７の上縁に備え、樋状部３７と折り返し部３８との間に流出ガイド部２３の端部を入り込ませて、流出ガイド部２３の外周面側を樋状部３７で覆う状態で、横搬送ガイド部材２９を流出ガイド部２３に接続できるように構成してある。

　また、横搬送ガイド部材２９の内底面には、水量の目安を目視で確認できる４本の筋状マーク６２をその全長に亘って形成して、搬送水量の上限と下限とを確認できるようにしてある。
尚、第１エアーリフトポンプ５８は第２エアーリフトポンプ１８と同様の構造を有しており、沈殿槽から固液分離槽までの長さを有する横搬送ガイド部材２９を接続した被処理水搬送装置を構成してある。

〔その他の実施形態〕
１．本発明による浄化槽は、集水槽に流入した被処理水を流入させる、沈殿槽以外の処理槽が、計量槽や高度処理槽などであっても良い。
２．本発明による浄化槽は、集水槽に流入した被処理水を流入させる、沈殿槽に対して隔壁を隔てて隣り合う処理槽が、沈殿槽の外側に隣り合わせて設けられていても良い。
３．本発明による浄化槽は、揚水装置として被処理水を機械的に吸引するポンプを設けてあっても良い。
４．本発明による浄化槽は、揚水装置で揚水した被処理水を処理槽に流入させる流路を管の内側で形成してあっても良い。
５．本発明による浄化槽は、箱状あるいは図１７に示すように、底部を絞り込んだ形状に形成して、集水槽容量を大きくしてある集水槽Ｅを備えていても良い。

　　本発明は、沈殿槽以外の処理槽の水位の設定を、自在にできる浄化槽を提供できる。

Claims

　越流堰を有した集水槽を沈殿槽の内側に備え、前記沈殿槽の被処理水が越流堰を越えて前記集水槽に流入した後、前記沈殿槽以外の処理槽に流入するように構成してある浄化槽であって、
　前記集水槽に流入した被処理水を前記沈殿槽における水面よりも高い位置に揚水する揚水装置と、その揚水装置で揚水した被処理水を前記処理槽に流入させる流路とを設けてある浄化槽。
　水平方向に沿う軸芯周りで揺動できるように前記集水槽を支持する集水槽支持部と、前記集水槽支持部から離れた位置において前記集水槽を固定する姿勢固定部とを設けてある請求項１記載の浄化槽。
　前記揚水装置は、下端部に吸水口を備えたエアーリフトポンプであり、
　前記集水槽支持部は前記集水槽の下端部に設けてあり、
　前記エアーリフトポンプの下端部を前記集水槽内の前記集水槽支持部近くに位置させてある請求項２記載の浄化槽。
　前記集水槽は、前記越流堰を備えた集水部を設け、被処理水を貯留する有底筒状の凹入部を集水部の底部に備え、その凹入部に前記エアーリフトポンプの下端部を入り込ませてある請求項３記載の浄化槽。
　前記集水槽の前記集水槽支持部近くに、エアーリフトポンプの下端部を位置決めする位置決め部を設けてある請求項３又は４記載の浄化槽。
　前記揚水装置は、揚水管と、前記揚水管の下部にエアーを供給する空気供給管とヘッダー装置を設けてあり、前記ヘッダー装置は、流出ガイド部と、前記揚水管の上端部に接続する接続部を備え、前記流出ガイド部は前記揚水管によって揚水された被処理水を前記処理槽に流入させる流路であるエアーリフトポンプであって、
前記接続部の上方部と前記流出ガイド部の上方部とを一連に開口する開口部が形成されている請求項１～５のいずれか１項に記載の浄化槽。
　前記開口部のうちの少なくとも前記接続部の上方部を開閉できるように覆う蓋体が設けられている請求項６記載の浄化槽。
　前記蓋体の取付け部とは別の箇所で、前記空気供給管の支持部を前記揚水管の内側に設けてあり、前記支持部は前記空気供給管の軸心が前記揚水管の軸芯に対して略平行に沿うように前記空気供給管を支持する請求項７記載の浄化槽。
　前記流出ガイド部から流出した被処理水を横方向に搬送する横搬送ガイド部材を設け、
　その横搬送ガイド部材に、前記流出ガイド部の外周面側を覆う樋状部を設け、樋内面側に向けて折り返してある形状の折り返し部を前記樋状部の上縁側に備え、
　前記樋状部と前記折り返し部との間に前記流出ガイド部を入り込ませて、前記横搬送ガイド部材を前記流出ガイド部に接続させてある請求項６～８のいずれか１項記載の浄化槽．