JPS6346160Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は一般家庭や住宅団地等において、屎尿
処理又は屎尿と生活排水とを合併して汚泥水処理
するのに用いる浄化槽に関するものである。

〔従来の技術〕

従来この種の屎尿処理又は屎尿と生活排水等の
汚泥水処理用浄化槽においては、本出願人が実公
昭57−53672号（登録第1498737号）公報において
提供した第４図示の考案のように、必ず沈澱分離
室３０が曝気室２と共に設けられている。そして
汚水は、流入口１１からまず沈澱分離室３０に入
り、ここで汚水中の粗大な浮遊固形物を沈澱分離
させ、汚泥と分離液とに分け、分離液のみを次の
曝気室２に導入させ、散気室１５を介して空気の
送入・撹拌により曝気浄化した後に沈澱室３に移
流させて上澄み水をさらに消毒室１８を通過させ
て流出口２０から槽外に放流させる工程になつて
いる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが浄化槽に沈澱分離室を設けることは、
まだ浄化処理をしていない生の屎尿をただ単に溜
めておくだけの役割しか機能しない状態であるか
ら、期間の経過に伴う腐敗により、また屎尿その
他の汚泥物自体からの強い悪臭や異臭が発散する
と共にこれが槽外に漏れて周囲に不快感を与え、
環境衛生を損なう原因となつていた。

また従来の浄化槽においては、スカムと呼ばれ
る新しく消化される汚泥の一部が、発生ガスを含
んで軽くなつて水の表面に浮き上がり、これが長
い間表面に止まることにより、ガスの放出の阻害
やタンクの有効容量の減少及び消化作用の機能低
下をもたらす原因となつていた。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで本考案は、浄化槽からの強い悪臭や異臭
の臭気発散を防止して従来の浄化槽における問題
点を解決することを目的とする。前記の目的を達
成するために本考案は浄化槽において、槽本体を
二つの曝気室と二つの沈澱室とで形成し、汚水流
入側から第１曝気室，第１沈澱室，第２曝気室，
第２沈澱室の順序で一体的に配列設置し、第１曝
気室に連通口を有する仕切壁で隔てたスカムの滞
留室を設けるものである。

〔作用〕

本考案の作用は次の通りである。まず流入口か
ら第１曝気室に入つた汚水は、曝気装置の散気管
からの噴出空気による撹拌によつて旋回流を起こ
して粗大固形物が破砕され、最初の曝気浄化を行
いながら次の第１沈澱室に導入される。この場合
第１曝気室には、下部が連通する仕切壁により、
隣接して設けられているスカム滞留室にガスを含
んで軽くなつた汚泥（スカム）が入り込んで水面
近くに浮上して溜まる。

次に第１沈澱室に移入した汚水にはまだ浮遊汚
泥を含有しているが、沈下して第１曝気室に逆戻
りして溜まり、ある程度浄化された汚水は第２曝
気室に導入される。第２曝気室においては、接触
材が収容されているのでその接触材の表面に生成
し、付着した生物膜により汚水をさらに浄化す
る。そして第２曝気室から移流する汚水は第２沈
澱室に入り、ここでまだ汚水に含まれている浮遊
物が沈下し、浄化された水は薬剤が混入されてい
る消毒室を通過して殺菌された状態で流出口から
槽外に放流される。

なお、屎尿と台所・浴室等の生活排水とを合併
して汚泥水処理する浄化槽の場合は、第２沈澱室
のあとにさらに単一又は複数の曝気室と、その各
曝気室の後に単一又は複数の沈澱室を設置するこ
とにより、それらの各室を通過し、最後の沈澱室
に設けた流出口から槽外に放流される。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を説明する。第１〜３図は
槽本体を形成する各室２〜５が一体型を成す屎尿
専用の浄化槽を示す。

１は合成樹脂製の浄化槽本体で、汚水流入口１
１から第１曝気室２，第１沈澱室３，第２曝気室
４，第２沈澱室５とから成り、且つ前記各室２〜
５の順序に交互に配列設置する。

前記第１曝気室には仕切壁６を設け、その下部
に連通口７を有するスカム滞留室８が形成されて
いる。また第１曝気室２と第１沈澱室３、及び第
２曝気室４とが第２沈澱室５とは、それぞれ仕切
壁９，１０とで隔絶し且つその下部に連通口１
２，１３を形成してある。そして第１沈澱室３と
第２曝気室４とは、その上部において流通口１４
が設けられている。

第１曝気室２及び第２曝気室３には散気管１
５，１５が収容され、両室２，３の内底部近傍に
位置する管の部位に小孔１５₁から空気が噴出で
きるような構造になつている。

第２曝気室４には接触材１６が収容され、当該
室内の汚水を接触させると共に、接触材に付着し
ている好気性菌によつて汚水を無害な化合物に分
解処理が行われる。なお接触材１６の構造は、紐
状物を束ねたもの、又は波形板状物若しくは網状
物等から成るものを適宜用いるものである。

第２沈澱室５の上部流出口２０の近傍には通路
１７で連通して薬剤入り薬筒１９を備えた消毒室
１８が設けられ、ここで殺菌処理した後、槽外に
放流する排水に薬剤が混入するようになつてい
る。

図中２１は槽本体１の上部開口を覆う閉塞体、
２２はその閉塞体のマンホール開口部２３を塞ぐ
マンホール型蓋体、２４はコンプレツサー等の空
気供給源（図示省略）から散気管１５に空気を送
るための供給管を示す。

〔考案の効果〕

本考案は上記の構成であるから、浄化槽を構成
する槽本体には従来存在していた沈澱分離室を撤
廃したため、屎尿や他の生活排水をただ滞溜させ
ておくだけの槽は一切除去されている。従つて汚
水による不快な悪臭や異臭の発生源がなくなり、
浄化槽内からの臭気が槽外に漏れるのを防止して
不快な臭気の発散が消去されることにより、浄化
槽周辺の環境衛生を良好に保持することができ
る。而も沈澱分離室を設けない分だけ浄化槽全体
の小型化が図れて狭いスペースでの設置が便利で
ある。

また曝気室及び沈澱室を共に複数設けたので、
曝気室においては２個所で好気性菌により汚泥水
に含まれる有機性物質を単純化、無機化して無害
な化合物に分解することができる。

而も第１曝気室と第２曝気室との間に第１沈澱
室が介在しているので、第１曝気室の浮遊物が第
２曝気室に入りにくいため、第２曝気室の接触材
の汚泥付着の度合が高くなく、それだけ接触材の
機能が十分に保持される。

さらに第１曝気室においては、当該室内に流入
した汚水が曝気により活性化された汚泥が生じ
る。従つて、そのままの状態では汚泥濃度が上が
つて機能が低下するが、当該曝気室に仕切壁を介
してスカム滞留室を形成したので、第１曝気室に
おける曝気作用により発生した浮遊物はスカム滞
留室に導入され、当該曝気室の汚泥濃度が低下
し、機能効果を長持ちさせることができる。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は本考案に係る浄化槽の実施例を示
すもので、全体が一体成形型の槽であり、第１図
は縦断正面図、第２図は第１図の２−２線に沿う
縦断面図、第３図は閉塞体を除去した平面図、第
４図は従来型の浄化槽の一例を示す縦断正面図で
ある。 １……浄化槽本体。２……第１曝気室。３……
第１沈澱室。４……第２曝気室。５……第２沈澱
室。６，９，１０……仕切壁。７，１２，１３…
…連通口。８……スカム滞留室。１１……汚水流
入口。１４……流通口。１５……散気管。１６…
…接触材。１８……消毒室。１９……薬剤筒。２
０……流出口。２１……閉塞体。２２……マンホ
ール型蓋体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 槽本体を複数の曝気室と複数の沈澱室とで形成
   し、汚水流入口側から第１曝気室、第１沈澱室、
   第２曝気室、第２沈澱室の順序で交互に配列設置
   し、第１曝気室に連通口を有する仕切壁で隔てた
   スカム滞留室を設けたことを特徴とする浄化槽。