WO2009101655A1

WO2009101655A1 - 牽引自動車用車両状態警告装置

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Publication number: WO2009101655A1
Application number: PCT/JP2008/000238
Authority: WO
Inventors: Motogi Honjo
Original assignee: Mamorukun Co., Ltd.
Priority date: 2008-02-15
Filing date: 2008-02-15
Publication date: 2009-08-20

Abstract

　車載機器の状態が、車両使用者の操作忘れによるものである場合に、その旨を車両使用者に警告する、牽引自動車用車両状態警告装置を提供する。一端側をトレーラーに接続された操作手段のスイッチ（３０）に接続し、トラクタとトレーラーを連結している牽引用機械的連結手段が連結状態にあるときはスイッチ（３０）は開かれ、牽引用機械的連結手段の連結が解除されて且つトラクタとトレーラーを連結している牽引用機械的連結手段以外の連結手段が連結状態にあるとき、トラクタの走行に連動して、停止しているトレーラー側に引っ張られる上記操作手段によりスイッチ（３０）の接点が閉じられ、スイッチ（３０）からリレー（２２）を経てバッテリー（２１）に至る回路と、バッテリー（２１）からリレー（２２）を経て警音器（２７、２８）に至る回路とが通電状態となり、バッテリー（２１）からの電流が警音器（２７、２８）に流れて警告音を発する。

Description

牽引自動車用車両状態警告装置

本発明は、牽引自動車用車両状態警告装置に関し、特に、車両使用者により操作可能な車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものである場合に、その旨を車両使用者に警告するものに関する。

従来より、ヘッドライトの消し忘れや車両の半ドア、車両キーの抜き忘れなどを検出し、かかる検出がなされた場合に車両側または車両使用者の携帯する携帯機側においてその旨の報知を行うシステムが知られている（例えば、特許文献１参照）。このシステムは、ヘッドライトをオン・オフさせるランプスイッチと、車両ドアの開状態を検出するドア開センサと、イグニッションキーの差し込み・抜き取りを検出するイグニッションキー検出センサとを有する車載機器を備えている。この車載機器は、車両使用者に携帯される携帯機の発する車両ドアのアンロック信号の受信強度が所定強度以下になった時点で、ヘッドライトがオンしていること、車両ドアが開状態にあることまたはイグニッションキーが差し込まれていることを検出した場合に、ヘッドライトの消し忘れ、半ドア、またはキー抜き忘れが生じたとして、その旨の報知を行う。

　しかしながら、車両使用者は、携帯機を所持して車両から降車するとき、本当にうっかりして車両操作を忘れることもあるが、車両使用者によっては故意あるいは自由意思で、ヘッドライトを付けたまま、車両ドアを半ドアにしたまま、またはキーを差し込んだままに車両状態を維持させることがある。かかる場合に、車両使用者の操作忘れが生じているとして報知がなされると、車両使用者にとっては車載機器の操作忘れに該当しないにも関わらず、無駄な報知がなされることになり、車両使用者に煩わしさを与えることとなってしまう。

　このように、車載機器の種類によっては、その車両の状態が実際に車両使用者の操作忘れによる場合と、車両使用者の故意あるいは自由意思による場合とがある。

　しかし、車載機器の中には、車両使用者の操作忘れがあると、重大な事故や機器の損傷につながる可能性が高くなり、操作忘れを許されないものがある。例えば、トラクタとトレーラーからなる牽引自動車において、トラクタからトレーラーへ供給される動力源は、トレーラーがトラクタに牽引されて走行しているときやトレーラーに貨物を積載する作業をするときやトレーラーに積載された貨物を降ろす作業をするときには必要であっても、積載した貨物を目的地まで搬送してすべて降ろした後には必要でなくなるので、トラクタとトレーラーを切り離すとともに、トラクタからトレーラーへの動力源の供給を絶つための作業が必要である。

そこで、本発明の理解を容易にするために、トラクタとトレーラーの連結動作を例にとって、以下に背景技術について説明する。

　例えば、図４において、トラクタ１とトレーラー２を連結するために、トラクタ１側には、カプラーと称する連結部品３を取り付け、トレーラー２側にはキングピンと称する連結部品４を取り付け、これら連結部品３と４を係合することにより、トラクタ１とトレーラー２を機械的に連結する構造が知られている。図５は、カプラーの一例を示す外観写真である。

　図４において、トラクタ１とトレーラー２を機械的に連結する場合には、トラクタ１がトレーラー２側に後退して接近し、トレーラー２側のキングピン４が、図５に示すカプラー３の開口部５からカプラー３の本体に入り込み、カプラー３内のロック部品がキングピン４をロックすることにより、トラクタ１とトレーラー２の連結が完了する。そして、運転者は、車両から降りて、カプラー３とキングピン４が正常に係合されていることを目視で確認する。一連の搬送作業が終了してトラクタ１とトレーラー２を切り離す必要が生じ、カプラー３とキングピン４の係合を解除する場合には、運転者が図５に示すカプラー操作ハンドル６を矢示７方向に回動することにより、ロックを解除することが可能となる。牽引自動車の運転者はトラクタ１とトレーラー２の機械的連結と切り離しに際して、上記のような係合確認動作と係合解除操作が必要とされる場合にその係合確認動作と係合解除操作を忘れるということは、あり得ない。

　ところが、図４において、トラクタ１からトレーラー２へ圧縮空気を供給するホース８の切り離し操作を、時として忘れることがある。というのは、圧縮空気をトレーラー２へ供給するためにトレーラー２の前部に設けられたホース８の連結部９と、カプラー３とキングピン４の係合位置とを平面視で見た場合、約１ｍほど離れていることが多いので、カプラー３とキングピン４の係合を解除する操作のときに、ホース８が連結されたままであることを視認できないことがある。また、連結部９からホース８を切り離す操作は、カプラー３とキングピン４の係合解除操作のように、運転者において、トラクタ１からトレーラー２を切り離すために絶対必要な作業であるという意識が必ずしも強いとは言えないからである。そのため、特に、１日のうちに様々な種類の貨物搬送作業を行う必要があるときなど、１日のスケジュールが過密であるときには、一連の搬送作業が終了した後において、カプラー３とキングピン４の係合を解除する操作を忘れることはなくても、連結部９からホース８を切り離す操作を忘れることがある。この場合、カプラー３とキングピン４の係合を解除してもホース８が連結部９に連結されたままで運転者がトラクタ１を発進させると、やがて、ホース８は伸びの限界に達してホース切断事故を招くことになる。また、ホース８の切断に止まらず、ホース８から噴出される圧縮空気により人身事故を招くこともある。
特開２００１－１６４８０７号公報

本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、車両使用者により操作可能な車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものである場合に、その旨を車両使用者に警告する、牽引自動車用車両状態警告装置を提供することにある。

上記目的を達成するために本発明の牽引自動車用車両状態警告装置は、スイッチとリレーとバッテリーと警音器を有し、スイッチからリレーを経てバッテリーに至る回路と、上記バッテリーから上記リレーを経て警音器に至る回路とを有する警音器システムを備えた牽引自動車用車両状態警告装置において、一端側をトレーラーに接続された操作手段の他端側をスイッチの接点開閉端子に接続し、トレーラーを牽引するためにトラクタとトレーラーを機械的に連結している牽引用機械的連結手段が連結状態にあるときはスイッチの接点は開かれ、牽引用機械的連結手段の連結が解除されてトラクタとトレーラーが切り離され且つトラクタとトレーラーを連結している牽引用機械的連結手段以外の他の連結手段が連結状態にあるとき、トラクタの走行に連動して、停止しているトレーラー側に引っ張られる上記操作手段に伴われるようにしてスイッチの接点開閉端子が閉側に操作されることによりスイッチの接点が閉じられ、スイッチからリレーを経てバッテリーに至る回路と、上記バッテリーから上記リレーを経て警音器に至る回路とが通電状態となり、バッテリーからの電流が警音器に流れて該警音器が警告音を発することを特徴としている。

　また、本発明の牽引自動車用車両状態警告装置は、スイッチとリレーとバッテリーと警音器を有し、スイッチからリレーを経てバッテリーに至る回路と、上記バッテリーから上記リレーを経て警音器に至る回路とを有する警音器システムを備えた牽引自動車用車両状態警告装置において、空気中を伝搬する媒体を出射する出射装置と、該出射装置から出射された媒体がトラクタの後面で反射された後に入射する入射装置とをトレーラーの前面に取り付け、上記出射装置から出射された媒体がトラクタの後面で反射されて入射装置に達するまでの時間または出射時と入射時を比べたときの媒体の特性の変化に基づいてトラクタの後面とトレーラーの前面との距離を演算することができる距離演算器と、該距離演算器により演算された距離が設定値に達すると信号を発する制御器とをトレーラーに備え、上記制御器から発せられた信号によりスイッチの接点が閉じられ、スイッチからリレーを経てバッテリーに至る回路と、上記バッテリーから上記リレーを経て警音器に至る回路とが通電状態となり、バッテリーからの電流が警音器に流れて該警音器が警告音を発することを特徴としている。

本発明は、牽引用機械的連結手段の連結が解除されてトラクタとトレーラーが切り離され且つトラクタとトレーラーを連結している牽引用機械的連結手段以外の他の連結手段が連結状態にあるとき、トラクタの走行に連動して停止しているトレーラー側に引っ張られる操作手段に伴われるようにしてスイッチの接点開閉端子が閉側に操作されることによりスイッチの接点が閉じられ、スイッチからリレーを経てバッテリーに至る回路と、上記バッテリーから上記リレーを経て警音器に至る回路とが通電状態となり、バッテリーからの電流が警音器に流れて該警音器が警告音を発するように構成されているので、車両使用者は自らが警音器のスイッチを操作しないにも関わらず警告音が発せられたことで、車載機器の操作忘れに気付いて、直ちにトラクタを停止させ、忘れていた必要な操作をすることができる。

　また、本発明は、空気中を伝搬する媒体を出射する出射装置と、該出射装置から出射された媒体がトラクタの後面で反射された後に入射する入射装置とをトレーラーの前面に取り付け、上記出射装置から出射された媒体がトラクタの後面で反射されて入射装置に達するまでの時間または出射時と入射時を比べたときの媒体の特性の変化に基づいてトラクタの後面とトレーラーの前面との距離を演算することができる距離演算器と、該距離演算器により演算された距離が設定値に達すると信号を発する制御器とをトレーラーに備え、上記制御器から発せられた信号によりスイッチの接点が閉じられ、スイッチからリレーを経てバッテリーに至る回路と、上記バッテリーから上記リレーを経て警音器に至る回路とが通電状態となり、バッテリーからの電流が警音器に流れて該警音器が警告音を発するように構成されているので、車両使用者は自らが警音器のスイッチを操作しないにも関わらず警告音が発せられたことで、車載機器の操作忘れに気付いて、直ちにトラクタを停止させ、忘れていた必要な操作をすることができる。

図１は、本発明の車両状態警告装置において使用することができる警音器システムの一例の回路構成図である。図２は、本発明の車両状態警告装置を適用した牽引自動車の一例の側面図である。図３は、本発明の車両状態警告装置を適用した牽引自動車の別の例の側面図である。図４は、従来の牽引自動車の一例の側面図である。図５は、トラクタとトレーラーを連結するために、トラクタに取り付けられるカプラーの一例を示す外観写真である。図６は、自動車において一般的に採用されている警音器システムの一例を示す回路構成図である。図７は、自動車において一般的に採用されている警音器システムで使用されているスイッチの配置場所の一例を示す斜視図である。

符号の説明

　１　　トラクタ
　２　　トレーラー
　３　　カプラー（連結部品）
　４　　キングピン（連結部品）
　５　　開口部
　６　　カプラー操作ハンドル
　８　　ホース
　９　　連結部
　１０　ワイヤ（操作手段）
　１１　連結部
　１２　バンド
　１３　支柱
　１４　スプリング
　１５　レーザ光源
　１６　受光素子
　１７　反射板
　１８　トラクタの後面
　１９　トレーラーの前面
　２１　バッテリー
　２２　リレー
　２３　電磁コイル
　２４　リレースイッチ
　２５　スパイラルケーブル
　２６　スイッチ
　２７　ハイピッチの警音器
　２８　ローピッチの警音器
　２９　ハンドル
　３０　第二スイッチ
　３０ａ　スプリング
　３１　接点開閉端子

（１）一般的な警音器システム
　本発明の牽引自動車用車両状態警告装置は、一般的に車両に設置されている警音器システムを利用することができる。図６は、自動車の警音器システムの一般的な回路構成を示す。図６において、２１はバッテリー、２２は電磁コイル２３とリレースイッチ２４から構成されるリレー、２５はスパイラルケーブル、２６はスイッチ、２７はハイピッチの警音器、２８はローピッチの警音器である。

　バッテリー２１は、通常１２Ｖの電圧のものが多く、ハイピッチの警音器２７とローピッチの警音器２８は、この電圧１２Ｖで作用するように構成されている。ハイピッチの警音器２７の基本周波数は４２０Ｈｚ程度、ローピッチの警音器２８の基本周波数は３５０Ｈｚ程度のものが多い。このハイピッチとローピッチの２種類の警音器は同時に鳴らされる。このようにハイピッチとローピッチの２種類の警音器を組みあわせる理由は音色の豊かさにあり、１種類のみであると、どうしても単純な音色となるので、通常はこのようにハイピッチとローピッチの２種類の警音器がセットで組み込まれている。また、ハイピッチの警音器２７とローピッチの警音器２８の音圧レベルは、１１０ｄＢ程度に設定されている。ハイピッチの警音器２７とローピッチの警音器２８は、通常、自動車の前部のラジエタグリル（図示せず）の内側付近に装着されており、図７に示すように、スイッチ２６は運転席のハンドル２９の中央部に設置されている。スパイラルケーブル２５は、ハンドルの回転の影響を受けることなく、スイッチ２６からの信号をリレー２２に送るための構成である。

図６の警音器システムの作用は以下のとおりである。まず、車両使用者がスイッチ２６を押圧すると、スイッチ２６の接点が閉じられて、スイッチ２６から電磁コイル２３を経てバッテリー２１に至る回路が通電状態になる。リレー２２内で電磁コイル２３が通電状態になることで、電磁誘導作用によってリレースイッチ２４が閉じ、バッテリー２１からリレースイッチ２４を経て警音器２７と２８に至る回路が通電状態になる。その結果、バッテリー２１からの電流が警音器２７と２８に流れて警音器２７と２８が警告音を発する。警音器２７と２８は、車両使用者がスイッチ２６を押し続けている間中、警告音を発する。

車両使用者が警音器２７と２８の警告音の発生を止めたいと思ったとき、車両使用者はスイッチ２６の押圧を停止する。すると、スイッチ２６の接点が開かれて、リレー２２内の電磁コイル２３への通電が遮断されてリレースイッチ２４が開き、バッテリー２１からの電流が警音器２７と２８に流れなくなって、警音器２７と２８は警告音を発しなくなる。
（２）本発明の牽引自動車用車両状態警告装置
本発明の牽引自動車用車両状態警告装置は、図６に示す一般的な警音器システムを利用することができる。図１は、本発明の牽引自動車用車両状態警告装置で使用することができる警音器システムの一例の回路構成図である。図６と共通する構成部分には同一参照番号を付して説明を省略する。

　３０は第二スイッチであり、この第二スイッチ３０は操作を加えていない状態において接点が開いている、いわゆるａ接点を示している。第二スイッチ３０の接点開閉端子３１には、一端側をトレーラーに接続された操作手段１０の他端側が接続されている。

　そして、トレーラーを牽引するためにトラクタとトレーラーを機械的に連結している牽引用機械的連結手段が連結状態にあるときは、スプリング３０ａのバネ力により第二スイッチ３０の接点は開くようにされる。

牽引用機械的連結手段の連結が解除されてトラクタとトレーラーが切り離され且つトラクタとトレーラーを連結している牽引用機械的連結手段以外の他の連結手段が連結状態にあるとき、トラクタを走行させると、トラクタの走行に連動して、停止しているトレーラー側に引っ張られる操作手段１０に伴われるようにしてスイッチの接点開閉端子３１が閉側に操作されることにより、第二スイッチ３０の接点が閉じられる。すると、第二スイッチ３０から電磁コイル２３を経てバッテリー２１に至る回路が通電状態になる。リレー２２内で電磁コイル２３が通電状態になることで、電磁誘導作用によってリレースイッチ２４が閉じ、バッテリー２１からリレースイッチ２４を経て警音器２７と２８に至る回路が通電状態になる。その結果、バッテリー２１からの電流が警音器２７と２８に流れて警音器２７と２８が警告音を発する。警音器２７と２８は、第二スイッチ３０の接点が閉じられている間中、警告音を発する。

そして、トラクタの走行を停止して、トラクタとトレーラーを連結している牽引用機械的連結手段以外の他の連結手段の連結を解除すると、スプリング３０ａのバネ力により第二スイッチ３０の接点が開かれて、リレー２２内の電磁コイル２３への通電が遮断されてリレースイッチ２４が開き、バッテリー２１からの電流が警音器２７と２８に流れなくなり、警音器２７と２８は警告音を発しなくなる。
（３）警音器の音圧増加手段
ａ．第一音圧増加手段
　警音器は、その内部に内蔵されている電磁コイル（ソレノイド）において励磁と解除を繰り返すことでダイアフラムを振動させ、その振動により吹鳴させるとともに、この吹鳴させた音をカーリングによって音圧を増幅させて警報とするものである。ところが、近年、ボディパネルの造形自由度の向上、軽衝突時における修理費用の低減、フロントグリルの内外観の向上、被水・雪害・塩害に対する警音器の耐久性向上等を目的として警音器をクロージングプレートとフェンダーとで形成される狭い空間に配置する場合がある。この場合、外気が取り込まれづらく、警音器付近の雰囲気の温度が上昇するため、警音器自体の温度も上昇することになる。すると、警音器に内蔵されている電磁コイルの温度も上昇して電気抵抗が増えるため、電磁コイルに起因して発生する電磁吸引力が小さくなり、ダイアフラムを吸引する力が弱くなるため、ダイアフラムが振動する幅が小さくなる。その結果、音圧が低下するという問題が生じる。

　このような警音器の音圧の低下を防止するには、エンジンルームの前端側であって、外気が取り込まれやすい部分に警音器を取り付けるのが好ましい。
ｂ．第二音圧増加手段
自動車用の警音器は、道路運送車両の安全基準第４３条によって、９３ないし１１２ｄＢの音圧が必要とされている。この警音器音圧を確保するために、一般的に、警音器の前方を閉塞しないように、フロントグリルのグリル開口部から警音器が十分に露見できるようにしてある。しかし、警音器がグリル開口部から露見する面積の割合である警音器開口率を大きくしようとすると、フロントグリルのデザインの制約が生じ、所望のデザインを行うことが困難となる場合がある。一方、警音器自体の音圧を大きくしようとすると、警音器の大型化や高コスト化につながる恐れがある。また、音圧向上のためだけに特別な構成を追加することも製造コストの点で不利である。

　そこで、警音器の音圧を確保するとともに車体前部のデザインの制約を低減するために、自動車の車体前部に警音器を取り付ける場合、警音器をフロントグリルの後方に配置し、フロントグリルの後面から警音器の外周に向かって音圧を反射する音圧反射カバーを配置し、この音圧反射カバーはエンジンからの熱風がラジエーターの前方へ回り込むことを防止するために、ラジエーターサポートシールの一部、フロントグリルの一部およびフロントバンパの一部の少なくとも一つによって構成されていることが好ましい。
（４）警音器の音圧適正化手段
警音器の警告音は、道路運送車両の保安基準において、「連続するものであり、かつ、音の大きさおよび音色が一定なもの。」と定められているとともに、音の大きさについても上記した範囲とするように規定されている。この基準に規定されている警音器の警告音の大きさは、ある程度離れている車両に対しても警告効果があるように設定されているから、本発明に従って警音器から発せられる警告音は、すぐ近くにいる歩行者や自転車に乗っている人に対して警告することになるので、この警告音が騒音となり、歩行者や自転車に乗っている人に不快感を与える場合がある。

　そこで、必要に応じて、本発明で使用する警音器としては、図１の警音器２７と２８に代えて、音圧レベルの低い別の警音器を使用することが好ましい。
（５）車両状態警告装置の補助手段
警音器による車両使用者への操作忘れに対する警告効果を補助するために、車両ドアが開放された状態ではバッテリーから発光装置へ電力を供給し、車両ドアが閉鎖された状態ではバッテリーから発光装置への電力の供給を停止するようなシステムを備えることが好ましい。車両ドアが開放されたときには、車両使用者がトラクタとトレーラーの牽引用機械的連結手段の連結を解除するために、トラクタから降りてカプラーとキングピンの係合を解除する操作を行うから、車両ドアが開放されたときに発光装置が発光したことを車両使用者が視認することで、牽引用機械的連結手段以外のトラクタとトレーラーの他の連結手段の連結を解除する操作を忘れることが少なくなるからである。このとき、車両使用者から見やすい位置（例えば、図７のハンドル２９）に発光装置を取り付けることが好ましい。

　発光装置としては、発光部と信号の送受信部とを並列に接続した構成のものを採用することができる。車両ドアの開放を検知する方法としては、車両が備えるドアスイッチの出力信号に基づいて車両ドアの開放を検知する方法や、ドアが開放されることによって点灯するルームランプの光を光センサで検知する方法や、ドアが開放される際の室内の気圧の変化を読み取る方法などを採用することができる。
（６）車両状態警告装置の警告効果向上手段
また、一般に、車載用コンビネーションメーターにはブザーが内蔵されている。このブザーは目的に応じて使い分けられている。例えば、ギアがリバースギア位置になっているとき、シートベルトが搭乗者に装着されていないとき、キーシリンダにイグニッションキーが差し込まれたたままドアが開けられたときなどにブザーが鳴るようになっている。このように、車両状態に応じてブザーを鳴らし、搭乗者に注意を促す仕組みになっている。　　　

　そこで、警音器に代えてブザーを用いることもできる。警音器の音圧レベルとブザーの音圧レベルとは明らかに異なるので、車両使用者に対する操作忘れ警告手段として、好ましいと言える。
（７）警音器の音圧適正化手段と警告効果向上手段の組み合わせ
本発明の警音器から発せられる警告音は車両使用者に操作忘れを認知させるための警報であるが、上記したように、すぐ近くにいる歩行者や自転車に乗っている人に対しては騒音となり得る。

　そこで、周囲の人に対して不快感を与えることなく車両使用者に注意を喚起するために、図１に示す警音器２７と２８に代えて、音圧が法定基準を満足する第１の警告音を発生するための第１警音器と、第１の警告音の音圧以下であるという条件および第１の警告音と異なる態様の警告音（例えば、人の聴覚に与える刺激が小さい優しい音色）であるという条件を満足する第２の警告音を発生するための第２警音器とを備え、図１において、スイッチ２６および第二スイッチ３０とバッテリー２１との間に配置するリレー２２を、それぞれのスイッチに対して個別に設け、スイッチ２６の接点が閉じられた場合は、第１警音器が警告音を発生させるようにし、第二スイッチ３０の接点が閉じられた場合は、第２警音器が警告音を発生させるようにするのが好ましい。

　第２警音器により警告音を発生させると、第２の警告音は第１の警告音の音圧以下であるという条件および第１の警告音と異なる態様の警告音（例えば、人の聴覚に与える刺激が小さい優しい音色）であるという条件を満足するため、車両の周囲の人に対して不快感を与えることはなく車両使用者に注意を喚起することができる。

　また、第２警音器に加えて、第２の警告音が発生していることを通知するための手段、例えば、あるメロディを発生させる音発生装置を運転室内に設けることが好ましい。さらに、第２警音器に加えて、第２の警告音の発生についての情報を表示するための表示装置、例えば、ランプを運転室内に設けることが好ましい。これらの音発生装置や表示装置により、運転者への注意の喚起をより万全なものとすることができる。

本発明の車両状態警告装置を適用した牽引自動車の例を図２と図３に示すが、本発明は図２と図３に示す牽引自動車以外にも適用できることは言うまでもなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において、適宜変更や修正が可能である。
（１）第一実施例（ワイヤによる警音器のスイッチの開閉）
　図２は、本発明の第一実施例を示す。図２と図４において、共通する構成部分には同一参照番号を付して説明を省略する。図２と図４の違いは、ホース８にはワイヤ（操作手段）１０の一端側が連結部１１を介して取り付けられている点である。１２はホース８を結束するバンドであり、バンド１２は支柱１３に結び付けられている。支柱１３の下端部は、スプリング１４を経てトラクタ１に取り付けられている。

　ワイヤ１０の他端側は図１の第二スイッチ３０の接点開閉端子３１に接続されている。トラクタ１のカプラー３とトレーラー２のキングピン４が係合されることによりトラクタ１とトレーラー２が機械的に連結されて、トレーラー２がトラクタ１に牽引されて走行しているときや、その走行を停止して、トレーラー２に貨物を積載する作業をするときやトレーラー２に積載された貨物を降ろす作業をするときには、スプリング３０ａのバネ力により第二スイッチ３０の接点は開かれたままである。

　しかし、一連の搬送作業が終了して、カプラー３とキングピン４の係合が解除されてトラクタ１とトレーラー２が切り離されたときにホース８が連結部９から切り離されずに連結された状態のままであると、トラクタ１が図２において右方に走行を開始すると、その走行に連動してワイヤ１０はホース８を介して停止しているトレーラー２側に引っ張られるので（そのとき同時にスプリング１４が伸びて支柱１３もホース８とともにトレーラー２側に引っ張られる）、そのワイヤ１０に伴われて接点開閉端子３１は左側に移動する。その結果、スプリング３０ａのバネ力に抗して第二スイッチ３０の接点が閉じられる。

すると、第二スイッチ３０から電磁コイル２３を経てバッテリー２１に至る回路が通電状態になる。リレー２２内で電磁コイル２３が通電状態になることで、電磁誘導作用によってリレースイッチ２４が閉じ、バッテリー２１からリレースイッチ２４を経て警音器２７と２８に至る回路が通電状態になる。その結果、バッテリー２１からの電流が警音器２７と２８に流れて警音器２７と２８が警告音を発する。警音器２７と２８は、第二スイッチ３０の接点が閉じられている間中、警告音を発する。

　従って、車両使用者は自らが警音器のスイッチを操作しないにも関わらず警告音が発せられたことで、車載機器の操作忘れに気付いて、直ちにトラクタを停止させ、忘れていた必要な操作をすることができる。
（２）第二実施例（距離感知センサによる警音器のスイッチの開閉）
　図３は、本発明の第二実施例を示す。図３と図４において、共通する構成部分には同一参照番号を付して説明を省略する。図３と図４の違いは、トレーラー２の前面１９に、トラクタ１に向けてレーザ光を出射するレーザ光源（レーザ発光部）１５と、トラクタ１で反射されたレーザ光が入射する受光素子（レーザ受光部）１６とが取り付けられ、トラクタ１の運転席の後面部１８にはレーザ光の反射板１７が取り付けられている点である。また、トレーラー２には、レーザ光源１５から出射されたレーザ光が反射板１７で反射されて受光素子１６に入射されるまでの時間に基づいて、トラクタ１の後面１８とトレーラー２の前面１９との距離を演算することができる距離演算器（図示せず）と、距離演算器により演算された距離が設定値に達すると信号を発する制御器（図示せず）とが搭載されている。そして、距離演算器により演算されたトラクタ１の後面１８とトレーラー２の前面１９との距離が設定値（ホース８の伸びを考慮して、ホース８が切断されることがない安全な距離）に達すると、制御器から発せられた信号により、図６に示すスイッチ２６の接点が閉じられるようになっている。

　この実施例２における安全な距離は、例えば、以下のように設定することができる。トラクタ１のカプラー３とトレーラー２のキングピン４が係合されることによりトラクタ１とトレーラー２が機械的に連結されて、且つトラクタ１が停止しているときのトラクタ１の後面１８とトレーラー２の前面１９との距離をＬとし、ホース８が連結部９で連結されたままでカプラー３とキングピン４の係合が解除され、トレーラー２が停止している状態でトラクタ１が走行することによりトラクタ１の後面１８とトレーラー２の前面１９との距離がＬより大きくなり、その距離が１．５Ｌに達するとホース８が切断されるとした場合、安全な距離は、１．０を超え且つ１．２以下の範囲内の任意の数値を状況に応じて選択することができる。

すなわち、トラクタ１のカプラー３とトレーラー２のキングピン４が係合されることによりトラクタ１とトレーラー２が機械的に連結されて、トレーラー２がトラクタ１に牽引されて走行しているとき、距離演算器により演算されるトラクタ１の後面１８とトレーラー２の前面１９との距離は、走行を停止しているときのその距離に比べて路面状況や走行状態に応じて変動するので、走行停止時のその距離に比べて増えることはあるが、走行時に変動する程度の数値では制御器から信号が発せられないように安全な距離を設定すべきである。また、その走行を停止して、トレーラー２に貨物を積載する作業をするときやトレーラー２に積載された貨物を降ろす作業をするときにも、厳密には距離演算器により演算されるトラクタ１の後面１８とトレーラー２の前面１９との距離は変動するが、その変動の範囲の数値では制御器から信号が発せられないように安全な距離を設定すべきである。

　しかし、一連の搬送作業が終了して、カプラー３とキングピン４の係合が解除されてトラクタ１とトレーラー２が切り離されたときにホース８が連結部９から切り離されずに連結された状態のままで（すなわち、トレーラー２が停止している状態）、トラクタ１が図３において右方に走行を開始すると、上記距離演算器により演算されるトラクタ１の後面１８とトレーラー２の前面１９との距離が増えて、やがて設定値（上記の安全な距離）に達すると、上記制御器から発せられた信号により、図６に示すスイッチ２６の接点が閉じられる。

すると、図６において、スイッチ２６から電磁コイル２３を経てバッテリー２１に至る回路が通電状態になる。リレー２２内で電磁コイル２３が通電状態になることで、電磁誘導作用によってリレースイッチ２４が閉じ、バッテリー２１からリレースイッチ２４を経て警音器２７と２８に至る回路が通電状態になる。その結果、バッテリー２１からの電流が警音器２７と２８に流れて警音器２７と２８が警告音を発する。警音器２７と２８は、スイッチ２６の接点が閉じられている間中、警告音を発する。

　従って、車両使用者は自らが警音器のスイッチを操作しないにも関わらず警告音が発せられたことで、車載機器の操作忘れに気付いて、直ちにトラクタを停止させ、忘れていた必要な操作をすることができる。

　なお、上記実施例２において、トラクタ１の後面１８とトレーラー２の前面１９との距離を感知するセンサとして、レーザ光を出射するレーザ光源（レーザ発光部）１５と、反射されたレーザ光が入射する受光素子（レーザ受光部）１６とを用いたが、距離を感知する媒体としては、音波、電波、磁気など様々な公知媒体を使用することができ、要は、非接触で２点間の距離を計測するために使用することができる媒体であればよい。また、その媒体が２点間を移動する時間に基づいて距離を演算するだけでなく、出射装置から出射された媒体が反射板で反射されて入射装置に達したときの量の変化（例えば、出射時の初期の光量の一部が反射板に吸収されて、入射装置に達したときには初期光量より低下している場合）や性質の変化（例えば、出射時と入射時を比べたときの媒体の周波数の変化）などの特性の変化に基づいて距離を演算することもできる。

　すなわち、空気中を伝搬する媒体を出射装置から出射し、その媒体が反射板で反射されて入射装置に達するまでの時間または出射時と入射時を比べたときの媒体の特性の変化に基づいて２点間の距離を演算することができるものであれば、レーザ光源（レーザ発光部）１５以外の媒体出射装置を用いることができ、受光素子（レーザ受光部）１６以外の媒体入射装置を用いることができる。

　また、トラクタ１の運転席の後面部に取り付ける反射板１７は必ずしも必要なものではなく、反射板が無くてもトラクタ１の後面が十分に媒体の反射機能を有する場合には反射板は不要とすることができる。

また、上記実施例１と２において、牽引用機械的連結手段以外の他の連結手段である連結部９に連結されるのは、圧縮空気を供給するホース８に限定されない。

　本明細書において、牽引自動車とは、運転席と荷台や客車が分離できる構造のものを指し、いわゆる、セミトレーラー、フルトレーラー、ポールトレーラーを含み、前記構造を有するすべての自動車を含む。

本発明は、すべての牽引自動車において、車両使用者により操作可能な車載機器の状態が車両使用者の操作忘れによるものである場合に、その旨を車両使用者に警告するために使用することができる。

Claims

　スイッチとリレーとバッテリーと警音器を有し、スイッチからリレーを経てバッテリーに至る回路と、上記バッテリーから上記リレーを経て警音器に至る回路とを有する警音器システムを備えた牽引自動車用車両状態警告装置において、　　
　一端側をトレーラーに接続された操作手段の他端側をスイッチの接点開閉端子に接続し、トレーラーを牽引するためにトラクタとトレーラーを機械的に連結している牽引用機械的連結手段が連結状態にあるときはスイッチの接点は開かれ、牽引用機械的連結手段の連結が解除されてトラクタとトレーラーが切り離され且つトラクタとトレーラーを連結している牽引用機械的連結手段以外の他の連結手段が連結状態にあるとき、トラクタの走行に連動して、停止しているトレーラー側に引っ張られる上記操作手段に伴われるようにしてスイッチの接点開閉端子が閉側に操作されることによりスイッチの接点が閉じられ、スイッチからリレーを経てバッテリーに至る回路と、上記バッテリーから上記リレーを経て警音器に至る回路とが通電状態となり、バッテリーからの電流が警音器に流れて該警音器が警告音を発することを特徴とする牽引自動車用車両状態警告装置。
　スイッチとリレーとバッテリーと警音器を有し、スイッチからリレーを経てバッテリーに至る回路と、上記バッテリーから上記リレーを経て警音器に至る回路とを有する警音器システムを備えた牽引自動車用車両状態警告装置において、　　
空気中を伝搬する媒体を出射する出射装置と、該出射装置から出射された媒体がトラクタの後面で反射された後に入射する入射装置とをトレーラーの前面に取り付け、上記出射装置から出射された媒体がトラクタの後面で反射されて入射装置に達するまでの時間または出射時と入射時を比べたときの媒体の特性の変化に基づいてトラクタの後面とトレーラーの前面との距離を演算することができる距離演算器と、該距離演算器により演算された距離が設定値に達すると信号を発する制御器とをトレーラーに備え、上記制御器から発せられた信号によりスイッチの接点が閉じられ、スイッチからリレーを経てバッテリーに至る回路と、上記バッテリーから上記リレーを経て警音器に至る回路とが通電状態となり、バッテリーからの電流が警音器に流れて該警音器が警告音を発することを特徴とする牽引自動車用車両状態警告装置。