JP2004291751A - ジャックナイフ現象防止装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セミトレーラ(3)の前部に着脱自在に装着された位置センサ(14)と、セミトラクタ(1)に装着された該位置センサ(14)の発信信号を受信する受信装置(12)と、位置センサ(14)に連通された位置コントローラ(18)と、該位置コントローラ(18)に連通された走行安定制御装置(20)、とで構成されている。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はセミトレーラのジャックナイフ現象防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7、8は、セミトレーラのジャックナイフ現象とその回避のための説明図であって、トラクタ1のカプラ5にセミトレーラ3の前輪(カプラピン)が嵌着されて連結状態にある状態を示している。
【0003】
図7は連結側面を示し、図8は上面図であって、図8において、トラクタ1の制動とセミトレーラ3の制動のタイミングがずれて、セミトレーラ3の制動力がトラクタ1より遅れた場合あるいはスリップ等によりトラクタの制動力が所定値より小さくなった場合のジャックナイフ現象の状態を示している。符号θはジャックナイフ現象によって生じた連結角である。とくに急制動時にこの連結角θが大きくなって全車スピン状態や、転覆にいたることがある。
【0004】
このような現象は、濡れた路面、雪道、氷結路面等による路面摩擦係数の低い状態で発生し、その対策として一般にABS等が使用されている。
【0005】
図8における符号20は、ISO規格でスタビリティー・コントロール・システムと定義されている走行安定装置(例えば、商品名ESC)であって、トラクタ1の操舵角、ヨーレート、車速等を検知してトラクタ1及びセミトレーラ3の各軸、各輪1f、1r及び3rに制動力をかけながらエンジン回転速度を制御して車両走行の安定性を図っている。
【0006】
しかしながら、この走行安定装置20ではジャックナイフ現象に至らない範囲では有効であるが、ジャックナイフ現象を検知できないこと、したがってジャックナイフ現象から加速して車両姿勢を立て直す操作ができない、という欠点があった。
【0007】
従来、提案されている技術で、トレーラ3の前部に設けた電磁コイルとリミットスイッチによりトラクタ1とトレーラ3の相対回動角θを検知してカプラ5に設けたロック装置を作動させる例がある(例えば、特許文献1参照)。
また、トラクタ1にリターダを設けた連結車両のリターダ作動時に連結部への突き上げ力が所定値以上ではカプラ5に設けたロック装置を作動させる例がある(例えば、特許文献2参照)。
また、走行中にトラクタ1側のブレーキ力よりもトレーラ3側のブレーキ力が弱くなり連結部に発生する突き上げ力が所定のしきい値以上になると、そのしきい値に応じたエア圧を供給してトレーラ3のブレーキ力を調整する例がある(例えば、特許文献3参照)。
また、ブレーキ作動時のトレーラ3の軸重に応じたエア圧をトレーラの各チャンバに供給させてABS制御を効果的に行う例がある(例えば、特許文献4参照)。
また、トレーラ3がスイング傾向になったときにトレーラ3のブレーキレシオを小さくし、ジャックナイフ傾向になったときにブレーキレシオを大きくしている例がある(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、上記技術は何れも構造が複雑であり、実用的に作用効果を安定にすることが困難であった。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−219340号(図1及びその説明参照)
【特許文献2】
特開平7−257335号(図1及びその説明参照)
【特許文献3】
特開平8−91186号(図1及びその説明参照)
【特許文献4】
特開平9−58442号(図1及びその説明参照)
【特許文献5】
特開平10−129461号(図1及びその説明参照)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、構成が単純で安定性のあるジャックナイフ現象防止装置の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者は種々研究の結果、実績のある走行安定装置(例えば、商品名ESC)等と組み合わせたジャックナイフ現象防止装置を開発した。
【0011】
本発明のジャックナイフ現象防止装置は、セミトレーラ(3)の前部に着脱自在に装着された位置センサ(14)と、セミトラクタ(1)に装着された該位置センサ(14)の発信信号を受信する受信装置(12)と、位置センサ(14)に連通された位置コントローラ(18)と、該位置コントローラ(18)に連通された走行安定制御装置(20)、とで構成されている(請求項1)。
【0012】
上記構成によって、位置センサの受信装置からの検知信号に基いて位置コントローラが連結角を算出してそのデータを走行安定制御装置に送信し、走行安定制御装置に最適制御をさせる。また、位置コントローラが連結角を算出してジャックナイフ現象が発生したらドライバに注意信号を発信する。前記、走行安定制御装置は商品名ESCが好ましい。
【0013】
前記位置センサ(14)は、ジャンパーケーブル(13)に係設されていることが好ましい(請求項2)。
【0014】
上記によって、位置センサはジャンパーケーブルの着脱と共に確実にトレーラにあるいは、から着脱される。また、位置センサはトラクタ側の電源が使用できる。
【0015】
前記位置センサ(14)は、非接触型センサであることが好ましい(請求項3)。
【0016】
非接触型センサは、磁気波、超音波、レーザ波、等の発信装置のいずれでもよい。
【0017】
セミトレーラ(3)の前部とセミトラクタ(1)の間に水平横方向に適宜の間隔を設けて着脱自在に取付けられた複数の変位計測手段と、その複数の変位計測手段に連通された変位コントローラ(18A)と、該変位コントローラ(18A)に連通された走行安定制御装置(20)、とで構成されている(請求項4)。
【0018】
上記構成によって、複数の変位計測手段によるトラクタ〜トレーラ間の距離の差に基いて変位コントローラが連結角を算出してそのデータを走行安定制御装置に送信し、走行安定制御装置に最適制御をさせる。また、変位コントローラが連結角を算出してジャックナイフ現象が発生したらドライバに注意信号を発信する。
【0019】
前記変位計測手段は、リボン式変位計(21)であることが好ましい(請求項5)。
【0020】
変位計測手段は、たとえば差動トランス方式のものは、壊れ難く、信頼性が高いので好適である。
【0021】
前記リボン式変位計のリボン端部はマグネット式着脱装置(15)が装着されていることが好ましい(請求項6)。
【0022】
上記構成を採用すれば、リボンの端部をトレーラへ着脱することは容易であり、且つ、確実に着脱することが出来る。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。従来技術の説明で使用した符号、名称は、構成、機能が同じであれば重ねて使用する。
【0024】
図1〜図3において、本発明のジャックナイフ現象防止装置の第1実施形態について説明する。
図1、2は、トラクタ1のカプラ5にセミトレーラ3が連結された状態での、ジャックナイフ現象防止装置Z1の配置構成を示している。
【0025】
トレーラ3の前端の車両中心近傍に、位置センサ14がジャンパーケーブル13に係設されてかつ、マグネット式着脱装置15に固定にされていて、トレーラ3の連結、切り離しに対応できるよう構成されている。位置センサ14は磁気波、超音波、レーザ波等の発信装置のいずれでもよい。位置センサ14と後記する受信装置12とは、通常、車両中央部に設けられるケーブル懸架部材との干渉を避けた位置であってもよい。
【0026】
トラクタ1のキャブバック2に位置センサ14からの位置信号を受信する機能を有する受信装置12が、位置センサ14に相対する位置に取付けられていて、図示しない電線でトラクタ1の適宜な位置に設置されている位置コントローラ18に連通されている。
【0027】
位置コントローラ18は、受信装置12からの位置信号を受信して、トレーラ3の折れ曲がり角、即ち連結角を演算して走行安定装置20に図示しない電線を介して送信する機能を有して構成されている。
【0028】
走行安定装置20は、ISO規格で規定される公知の機能即ちトラクタ1の操舵角、ヨーレート、車速等を検知して、トラクタ1及びトレーラ3の各輪1f、1r及び3rの制動力とエンジン回転速度とを制御して走行安定をはかる演算機能を有して構成され、位置コントローラ18の信号に基いて姿勢制御をさせる機能を有している。走行安定装置20は、例えば商品名ESCがよい。
【0029】
上記構成による、ジャックナイフ現象防止装置Z1の作用について、図3を参照して説明する。
図3は、制動時のトラクタ1とトレーラ3の制動タイミング差によって連結角θ2が生じた状態を示している。
【0030】
図3の状態に到る前の車両走行時とそれ以前の停車状態を含めて、トレーラ3の挙動を常時、位置センサ14が検知する。そして、その位置情報を受信装置12に送信する。受信センサ12はその信号を位置コントローラ18に送信する。
【0031】
位置コントローラ18に送られたその送信情報は、図3における位置センサ14と受信装置12との間の距離の変化、図においては連結角θがゼロの場合の距離{L1}と、連結角θがθ2の場合の距離{L2}との差によって直進状態からの偏差である連結角θ2が算出される。そしてその連結角θ2を走行安定装置20に送信する。同時に連結角θ2が所定の値以上、あるいは連結角θの増加率が所定値以上であれば、ドライバに警報あるいは警光等を発信する。
【0032】
走行安定装置20は、位置コントローラ18から送られた送信情報と、ABS機能の1部である各輪1f、1rの左右輪のスリップ状態とから、連結角θ2の方向たとえば図においては進行方向の右側であることを判断して最適な制御を行い、ジャックナイフ現象防止を防止する。
【0033】
また、ドライバは走行安定装置20による制御にまかせることのほかに、場合によってはトラクタ1を加速させて、ジャックナイフ現象の増加を予防したり、ジャックナイフ現象からの脱出ができる。
【0034】
上記は、制動時のジャックナイフ現象についての説明であるが、旋回時のトレーラスイング現象にも同様の作用によって対応がされる。
また、極低速でのバック走行時に起きるジャックナイフ現象の防止にも同様の警報あるいは警光等を発信する。
【0035】
図4、5は、ジャックナイフ現象防止装置の第2実施形態であって、トラクタ1のカプラ5にセミトレーラ3が連結された状態での、ジャックナイフ現象防止装置Z2の配置構成を示している。
【0036】
トレーラ3とトラクタ1との間に本例では2組の変位計測手段が水平横方向に適宜の距離を設けて下記のように取付けられている。
即ち、トレーラ3前端の車両幅の右端近傍に、変位計測手段であるリボン式変位計21のリボン端部24がマグネット式着脱装置15で固定されていて、トレーラ3の連結、切り離しに対応できるよう構成されている。
【0037】
リボン式変位計21のリボンストロークを変位として検出する変位検出部22は、トラクタ1のキャブバック2にリボン端部24に相対する位置に取付けられていて、図示しない電線で変位コントローラ18Aに連通されている。
【0038】
左端と同様に、トレーラ3前端の車両幅の左端近傍に、リボン式変位計25のリボン端部28がマグネット式着脱装置15で固定されていて、トレーラ3の連結、切り離しに対応できるよう構成され、トラクタ1のキャブバック2にリボン式変位計25の変位検出部部26がリボン端部28に相対する位置に取付けられていて、図示しない電線で変位コントローラ18Aに連通されている。
【0039】
変位コントローラ18Aは、リボン式変位計21及び25からの変位信号を受信して、トレーラ3の折れ曲がり角、即ち連結角を演算して走行安定装置20に図示しない電線を介して送信する機能を有して構成されている。
【0040】
走行安定装置20は、ISO規格で規定される公知の機能即ちトラクタ1の操舵角、ヨーレート、車速等を検知して、トラクタ1及びトレーラ3の各輪1f、1r及び3rの制動力とエンジン回転速度とを制御して走行安定をはかるABSの基本的な機能を有して構成され、さらに位置コントローラ18Aの信号に基いて姿勢制御をさせる機能を有している。走行安定装置20は、例えば商品名ESCがよい。
【0041】
上記構成による、ジャックナイフ現象防止装置Z2の作用を図6を参照して説明する。
図6は、走行時の制動時のトラクタ1とトレーラ3の制動タイミング差によって連結角θ3が生じた状態を示している。
【0042】
図6の状態に到る前の車両走行時とそれ以前の停車状態を含めて、トレーラ3の挙動をトラクタ1との間の距離によって、常時、リボン式変位計21及び25が検知する。そして、その変位情報を変位検出部22及び26からそれぞれ変位コントローラ18Aに送信する。
【0043】
変位コントローラ18Aに送られたその送信情報によって、図6におけるリボン式変位計21のリボン端部24と変位検出部22の間の距離{L21}と、リボン端部28と変位検出部部26の間の距離{L25}との差から連結角θ3が算出される。そしてその連結角θ3を走行安定装置20に送信する。同時に連結角θ3が所定の値以上、あるいは連結角θの増加率が所定値以上であれば、ドライバに警報あるいは警光等を発信する。
【0044】
走行安定装置20は、変位コントローラ18Aから送られた送信情報から、連結角θ3の方向たとえば図においては進行方向の右側であることを判断して最適な制御を行い、ジャックナイフ現象防止を防止する。
【0045】
また、ドライバは走行安定装置20による制御にまかせることのほかに、場合によってはトラクタ1を加速させて、ジャックナイフ現象の増加を予防したり、ジャックナイフ現象からの脱出をはかることができる。
【0046】
上記は、制動時のジャックナイフ現象についての説明であるが、旋回時のトレーラスイング現象にも同様の作用によって対応がされる。
また、極低速でのバック走行時に起きるジャックナイフ現象の防止にも同様の警報あるいは警光等を発信する。
【0047】
【発明の効果】
本発明の作用効果を以下に列挙する。
(a) 本発明の第1実施形態によれば、トレーラに取付けた位置センサと、トラクタに取付けた位置コントローラによりジャックナイフ現象にいたるトレーラの直進状態からの偏差である連結角が算出され、その連結角に対して走行安定装置(商品名ESC)が各輪ごとの制動力とエンジン回転速度を制御してジャックナイフ現象を防止するので構造が単純で安定性のある装置にできる。
(b) 第1実施形態の位置センサをジャンパーケーブルに係設すれば、トラクタ側の電源で作動させることができ、他の電源を要しない。
(c) 第1実施形態の位置センサを非接触型センサにすれば、配線が省略され装着が容易である。
(d) 第2実施形態によれば、トラクタとトレーラの間を複数の変位計測手段で計測し、それら変位量の差から直進状態からの偏差である連結角が算出され、その連結角に対して走行安定装置(商品名ESC)が各輪ごとの制動力とエンジン回転速度を制御してジャックナイフ現象を防止するので構造が単純で安定性のある装置にできる。
(e) 第2実施形態の変位計測手段をリボン式変位計にすれば、堅牢で信頼性の高い計測手段になる。
(f) リボン式変位計のリボン端部及び位置センサをマグネット着脱装置にすれば、着脱が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示す車両側面図。
【図2】同上の上面図。
【図3】第1実施形態によるジャックナイフ現象防止作用の説明図。
【図4】本発明の第2実施形態の構成を示す車両側面図。
【図5】同上の上面図。
【図6】第2実施形態によるジャックナイフ現象防止作用の説明図。
【図7】従来のセミトレーラのジャックナイフ現象とその回避のための説明図であって、トラクタとセミトレーラの連結側面図。
【図8】図8と同様なジャックナイフ現象とその回避のための説明図であって、トラクタとセミトレーラの上面図。
【符号の説明】
θ・・・連結角
1・・・トラクタ
1f・・トラクタ前輪
1r・・トラクタ後輪
3・・・セミトレーラ
3r・・セミトレーラ後輪
5・・・カプラ
12・・受信装置
13・・ジャンパーケーブル
14・・位置センサ
15・・マグネット式着脱装置
18・・位置コントローラ
20・・ESC(走行安定制御装置)
Claims (6)
- セミトレーラの前部に着脱自在に装着された位置センサと、セミトラクタに装着された該位置センサの発信信号を受信する受信装置と、位置センサに連通された位置コントローラと、該位置コントローラに連通された走行安定制御装置、とで構成されることを特徴とするジャックナイフ現象防止装置。
- 前記位置センサは、ジャンパーケーブルに係設されている請求項1のジャックナイフ現象防止装置。
- 前記位置センサは、非接触型センサである請求項1のジャックナイフ現象防止装置。
- セミトレーラの前部とセミトラクタの間に水平横方向に適宜の間隔を設けて着脱自在に取付けられた複数の変位計測手段と、その複数の変位計測手段に連通された変位コントローラと、該変位コントローラに連通された走行安定制御装置、とで構成されることを特徴とするジャックナイフ現象防止装置。
- 前記変位計測手段は、リボン式変位計である請求項4のジャックナイフ現象防止装置。
- 前記リボン式変位計のリボン端部はマグネット式着脱装置が装着されている請求項4あるいは請求項5のジャックナイフ現象防止装置。
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