WO2008136536A1 - 化学架橋ヒアルロン酸誘導体を含むハイブリッドゲルおよびそれを用いた医薬組成物 - Google Patents

化学架橋ヒアルロン酸誘導体を含むハイブリッドゲルおよびそれを用いた医薬組成物 Download PDF

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Nobuyuki Morimoto
Tai Hirakura
Tsuyoshi Shimoboji
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Abstract

 本発明により、架橋性基を有するヒアルロン酸誘導体、および疎水性基を有する親水性多糖類誘導体を含む組成物であって、前記架橋性基を有するヒアルロン酸誘導体が、前記親水性多糖類誘導体(ここで、当該親水性多糖類誘導体は架橋形成が可能な基を有していてもよい)の存在下、ヒアルロン酸または架橋形成が可能な基を有するその誘導体の架橋形成反応により調製される前記組成物が提供される。

Description

明細書
化学架橋ヒアルロン酸誘導体を含むハイプリッドゲルおよび
それを用いた医薬組成物
技術分野
本発明は、 ヒアルロン酸誘導体と疎水性基を導入した多糖類またはその誘導体から なる新規なハイブリッドゲル、 当該ハイブリッドゲルの製造方法、 当該ハイブリッド ゲルを含む医薬組成物、特に薬効を有するタンパク質またはペプチドを徐放する徐放 性製剤における利用に関する。
背景技術
近年、 薬効を持つタンパク質やペプチドの製剤が盛んに実用化されている。 一般に タンパク質やペプチドは消化管内での安定性および腸管膜からの吸収性が低いため、 経口投与製剤にすることは困難であり、 大部分が注射剤として臨床使用されている。 しかし、 タンパク質やペプチドは一般に血中半減期も短いため、'これらを薬物として 使用する場合は頻回投与とならざるを得ず、 患者の負担は過大なものとなっている。 できるだけ少量で薬効を発揮させかつ投与回数も少なくできる、 タンパク質またはべ プチドの実用的な徐放性製剤が望まれている。 また、 低分子化合物を薬物として投与 する場合も、 薬効を延長させるための持続製剤のニーズは高い。
また、 タンパク質またはペプチドの徐放性製剤においては、 製剤化工程中や生体内 へ投与した後の製剤中でタンパク質またはペプチドの変性あるいは凝集が起こると いう問題がある。 このような変性あるいは凝集を防止し、 回収率の低下を防ぐための 手段は、 生物学的利用率の向上の観点から非常に有益である。
ポリ乳酸—ポリグリコール酸共重合体 (P L GA) 等の生分解性高分子を基材にし た徐放性製剤化が試みられているが、 基材の疎水性や製剤化のための操作 (乳化、 乾 燥、 酸性化など) に起因するタンパク質の変性、 凝集が報告されている (非特許文献 1および 2を参照) 。 一方、 こうした問題が低減される親水性のハイド口ゲルを基材 に用いた徐放性製剤も報告されているが、 やはり実用化には至っていない。 また、 安 全性の面からは、 製剤に用いる素材は、 非抗原性、 非変異原性、 無毒性、 生分解性を 併せ持つものでなければならず、 タンパク質またはペプチドの封入率、 回収率および 安全性の全てにおいて、 実用化レベルに達している徐放 ffi製划の実現は難しい。
近年、 多糖を薬物担体の基材として用いるという報告がある。 その中でも、 ヒアル ロン酸 (HA) は、 1 9 3 4年、 K. M e y e rによって牛の眼の硝子体から単離さ れた生体材料 (多糖) であり、 細胞外マトリックスの主成分として古くから知られて いる。 HAは、 D—グルクロン酸と N—ァセチルダルコサミンとが |3 ( 1→3 ) ダリ コシド結合により連結されたニ糖単位から成るダルコサミドグリカンの一種である。 HAは、 化学的、 物理的構造に種差が無く、 ヒトも代謝系を持っており、 免疫性、 毒 性といった面でも最も安全な医用生体材料(B i o m a t e r i a 1 )の一つである。 近年、 微生物による高分子量 HAの大量生産が可能となり、 変形性軟骨治療薬、 化粧 品等の分野でも実用化されている。
非抗原性、 非変異原性、 無毒性、 生分解性を併せ持ち、 安全性の面から好ましいと 考えられる H Aを化学架橋したゲルからタンパク質やべプチドを薬物として徐放さ せる試みについていくつか報告されている。 HAを化学架橋でゲル化させる方法とし ては、 カルポジイミド (C D I ) 法 (特許文献 1参照) 、 ジビニルスルホン (D V S ) 法 (特許文献 2参照) 、 グリシジルエーテル (G E) 法 (特許文献 3参照) 等が知ら れている。 また、 H Aに架橋性官能基としてヒドラジド (H Z ) 基を導入した HA誘 導体 (HA— H Z ) を架橋剤で架橋する方法 (非特許文献 3参照) も知られている。
i n s i t u架橋により HAゲル中にタンパク質またはペプチドを封入する徐 放性製剤についても報告されており (例えば、特許文献 4参照)、 このような i n s i t u架橋徐放性製剤工程においては、 薬物への影響が少ないことが望まれる。 タン パク質およびペプチドの反応を極力抑えるため、穏和な条件下でのメルカプト基の酸 化による架橋反応を利用した薬物封入 H Aゲルの製造が報告されているが(特許文献 5参照)、システィン残基を含むタンパク質やペプチドへの適用に改良の余地がある。 同様にタンパク質またはペプチドとの反応を極力抑える方法として、ポリエチレング リコール(P E G)を基材に不飽和官能基を求核付加反応で架橋する報告もあるが(特 許文献 6参照) 、 反応選択性や汎用性に問題があり、 また上述したとおり、 生分解性 でない P E G断片が生体内に残存する点が問題となる。
副反応による夕ンパク質またはべプチドの変性は、生物活性の低下のみならず抗原 性発現の原因になる等の問題があることから、 ゲルを架橋する反応は、 封入されるタ ンパク質やペプチドに影響を及ぼさない高選択的なものである必要性があるが、その 反応の選択性、 汎用性、 安全性のすべてを解決した i n s i t u架橋方法は知られ ていない。
一方で、 ゲルを架橋した後にタンパク質またはペプチドを封入する方法では、化学 架橋時の薬剤と基材との副反応を完全に回避できる利点がある。 また、 ゲルを化学架 橋後に洗浄することにより薬物非存在下で余剰の架橋剤を除去したり、未反応の架橋 性官能基を別の反応性基により消失させることが可能なので、未反応の架橋性官能基 や架橋剤の残存というコン夕ミネ一シヨンの問題を回避できる利点がある。 しかし、 HAとタンパク質またはペプチドとの相溶性、静電反発等の問題でその封入効率は低 く、 かつ徐放性をほとんど示さないことが問題である。
これまでに、 親水性多糖類に疎水性基 (例えば、 コレステロール基やアルキル基な どを含む基) を導入して得られる多糖類 (以下、 疎水化多糖、 Hyd r o phob i z e d Po l y s ac c h a r i de、 HPとも称す) が、 水溶液中において自発 的に会合しヒドロゲル構造を有するナノサイズの微粒子 (ナノゲル) を形成すること (非特許文献 4、 および 5を参照) 、 このナノゲルは疎水性低分子、 ペプチド、 タン パク質などと複合化するホスト分子として機能すること (非特許文献 4、 6、 および 7を参照) 、 およびこのナノゲルはタンパク質の熱安定化やリフォ一ルディングを促 進する人工分子シャペロンとして機能することが報告されている (非特許文献 8、 お よび 9を参照)。さらに、このナノゲルにメタクリロイル基などの重合性基を導入し、 これを機能性モノマーで共重合反応することによって架橋したハイプリッドゲルが 報告されている (特許文献 8および非特許文献 10を参照) 。
特許文献 1 : 国際公開 W094Z02517号パンフレツト
特許文献 2 : 特開昭 61- 138601号公報
特許文献 3 : 特開平 5— 140201号公報
特許文献 4: 米国特許第 5827937公報
特許文献 5 : 国際公開第 WO 2004/046200号パンフレツト
特許文献 6 : 国際公開第 W02000/44808号パンフレツト 特許文献 7 : 国際公開第 WO 2004/0507 12号パンフレツ卜
特許文献 8 : 特開 2005— 298644号公報
特許文献 9 : 国際公開第 W02006/028 1 10号パンフレツト
特許文献 10 : 国際公開第 WO00/12564号パンフレツ卜
特許文献 1 1 : 欧州公開第 0842657号公報
特許文献 12 : 国際公開第 W02005/05430 1号パンフレツト 非特許文献 1 : J. Ph a rm. S c i . 第 88巻、 第 166— 173頁、 19 99年
非特許文献 2 : J. Mi c r o e n c ap s u l a t i on 第 15卷、 第 69 9-713頁、 1998年
非特許文献 3 : J . Am. Ch em. So c. 第 1 16巻、 第 751 5— 752 2頁、 1994年
非特許文献 4: Ma c r omo l e c u l e s 第 26巻、 第 3062 - 306 8頁、 1993年
非特許文献 5 : Ma c r omo l e c u l e s 第 30巻、第 857— 861頁、 1997年
非特許文献 6 : Ma c r omo l e c u l e s 第 27巻、 第 7654 - 765 9頁、 1994年
非特許文献 7 : J . Am. Ch em. S o c. 第 1 18巻、 第 61 10 - 61 1 5頁、 1996年
非特許文献 8 : B i o c on j ug a t e Ch em. 第 10巻、 第 32 1— 324頁、 1999年
非特許文献 9 : FEB S L e t t e r s 第 533巻、 第 271— 276頁、 2003年
非特許文献 10 : B i oma c r omo 1 e c u 1 e s 第 6巻、 第 1829— 1834頁、 2005年
非特許文献 1 1 : J. B i ome d i c a l Ma t e r i a l s Re s e a r c h 第 47巻 第 1 52— 1 69頁、 1 999年 非特許文献 12 : J. Con t r o l l e d Re l e a s e 第 54巻、 第 3 13— 230頁、 1998年
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
これまでに、 i n s i t uで安全性の高いヒアルロン酸を基剤として化学架橋す ることでゲルを調製し、 薬物、 特に薬効を有するタンパク質やペプチドをその生物活 性を維持したまま効率的にそこへ封入して長期間の徐放を可能にする方法は知られ ていない。 また、 あらかじめ架橋された HAゲルに効率的に薬物を封入し、 長期間徐 放することができるゲルおょぴその製造方法、およびこれらを用いた薬物の徐放型製 剤は知られていない。
発明が解決しょうとする課題は、 長時間の徐放が可能であり、 安全性に優れた、 徐 放性製剤用の薬物担体を提供することであり、 特に、 薬効を有するタンパク質または ぺプチドを薬物として含む徐放性製剤に使用する場合に、薬理活性を維持したまま薬 物を効率よく封入することができる薬物担体を提供することである。
課題を解決するための手段
本発明者は、 かかる問題点を解決する為に鋭意検討を進めたところ、 ヒアルロン酸 誘導体と、疎水性基を有する親水性多糖類誘導体を使用して調製される八イブリッド ゲルが、 薬物、 特に薬効を有するタンパク質またはペプチドを、 その生物活性を維持 したまま効率よく封入し、 長期間徐放し、 生分解性で安全性に問題のない薬物徐放担 体となることを見出し、 本発明を完成させた。
すなわち、 本発明は、 薬物、 特に薬効を有するタンパク質やペプチドを、 その生物 活性を維持したまま効率よく封入することができることを特徴とする、 ヒアルロン酸 誘導体および疎水性基を有する親水性多糖類誘導体を含むハイプリッドゲルとその 製造法、および薬物を該ハイプリッドゲルに封入することで得られる徐放性製剤とそ の製造方法に関する。
本発明の 1つの側面によれば、 ヒアルロン酸誘導体および疎水性基を有する親水性 多糖類誘導体を含むハイブリッドゲルが提供される。 上記側面によれば、 本発明のハ イブリツドゲルは、 ヒアルロン酸誘導体および疎水性基を有する親水性多糖類誘導体 を含み、化学結合による架橋構造と疎水的相互作用による物埋架橋構造を併せ持つゲ ル状組成物である。
本明細書で言及するゲルには、 ヒドロゲル (水を含んで膨潤しており、 流動性力低 下している、 または無くなつている状態) 、 オルガノゲル (有機溶媒を含んで膨潤し ており、 流動性が低下している、 または無くなつている状態) 、 キセロゲル (ヒドロ ゲル、 オルガノゲルを乾燥した状態) などが含まれる。
また、 ゲルを含む医薬組成物の調製法としては、 薬物を封入してからもしくは薬物 の封入と同時にヒド口ゲル化もしくはオルガノゲル化し、その後乾燥してキセロゲル 化する方法;ヒドロゲルもしくはオルガノゲルの状態で薬物を封入し、 その後乾燥し てキセロゲル化する方法;キセロゲルに水を加えてヒドロゲル化し、 その後薬物を封 入する方法、 などが挙げられる。
本発明の 1つの側面によれば、 架橋性基を有するヒアルロン酸誘導体、 および疎水 性基を有する親水性多糖類誘導体を含む組成物であって、前記架橋性基を有するヒア ルロン酸誘導体が、前記疎水性基の会合により微粒子を形成する前記親水性多糖類誘 導体 (ここで、 当該親水性多糖類誘導体は架橋形成が可能な基を有していてもよい) の存在下、 ヒアルロン酸または架橋形成が可能な基を有するその誘導体の架橋形成反 応により調製される前記組成物が提供される。
本発明の別の側面によれば、 架橋性基を有するヒアルロン酸誘導体、 および疎水性 基を有する親水性多糖類誘導体を含む組成物であって、前記疎水性基の会合により微 粒子を形成する前記親水性多糖類(ここで、 当該親水性多糖類誘導体は架橋形成が可 能な基を有していてもよい) を含む溶液 (例えば、 水溶液) 中で、 ヒアルロン酸また は架橋形成が可能な基を有するその誘導体を架橋形成することにより、前記架橋性基 を有するヒアルロン酸誘導体を調製する、 前記組成物が提供される。
本発明の組成物はゲル (例えば、 ヒドロゲル、 またはキセロゲル) を形成していて もよい。 本発明の組成物がキセロゲルである場合、 水分含有量は、 例えば 2 0重量% 以下、 好ましくは 1 0重量%以下である。 したがって、 1つの態様において、 本発明 はゲル状組成物である。
本発明のヒアル口ン酸誘導体とは、 ヒアルロン酸の少なくとも 1つ以上のカルボキ シ基またはヒドロキシ基に置換基を導入したものまたは塩を形成したものである。特 に限定されないが、 置換基として架橋形成が可能な基、 例えば、 アミノ基、 メルカプ ト基、 ホルミル基、 _CONHNH2、 炭素一炭素二重結合を含む基、 および炭素一 炭素三重結合を含む基が挙げられる。置換基はスぺーサーを介して結合していてもよ い。
前記架橋形成が可能な基は、 ヒアルロン酸の 1以上のカルボキシ基を— CO— Yに 変換することにより導入されてもよく、 Y基としては、 例えば以下の基:
— X11 - R12— Y2
— χη— R12— X12— CO— R13 - Y2 ;
—X11 - R12— X12— C (=NR24) — R13— Y2
_x i i _ R i 2 _ c o _ x i 3 _R i 3 _Y2 .
— X11— R12 - X12— CO— X13— R13— Y2 ;
— N (R11) N (R14) CO-Ri2-Y2
一 N (R11) N (R14) CO - R12— CON (R15) N (R16) CO - R13 - Y 2;および
— N (R11) N (R14) CO - R12 - CON (R15) N (R16) C (=NR24) 一 R13 - Y2
[式中、 X11、 X12および X13は、 独立に、 0および N (R11) から選択され: Υ2は、 アミノ基、 メルカプト基、 ホルミル基、 一 CONHNH2、 炭素—炭素二重 結合を含む基、 および炭素一炭素三重結合を含む基から選択され;
Rn、 R14、 R15、 R16および R24は、 独立に、 水素原子または C卜6アルキル 基から選択され;
R 12は、 2価の C 2_5。炭化水素基または 2価の C 2_ 5 Qポリアルキレンォキシ基で あり ;
R13は、 2価の〇卜5。炭化水素基、 2価の C25。ポリアルキレンォキシ基または 一 CH (R25) 一 CH2— S— CH2— R26— CH2—であり ; ここで、 R12および R
13が 2価の C25。炭化水素基である場合、 1〜10の酸素原子が挿入されて当該炭 化水素基が一部にポリアルキレンォキシ部分を含んでいてもよく ;または — R13— Y2は、 一緒になつて、 一 CH (NH2) CH2SH、 もしくは一 CH (N H2) CH2CH2SHを表し;または
— X11— R12— Y2は、 一緒になって、 システィン、 ホモシスティンまたはグル夕 チオンが末端のァミノ基で連結する基を表し;
R25は、 水素原子または C — 6アルキル基であり ;
R26は、 ― (CH (R27) ) m—または 1〜3の酸素原子が挿入されて一部にポリ アルキレンォキシ部分を含んでいてもよい 2価の C 。炭化水素基であり ;
mは、 1〜10の整数であり ;
R27は、独立に、水素原子、 ヒドロキシ基または _6アルキル基から選択される〕 が挙げられる。
ここで、 システィン、 ホモシスティンまたはグ タチオンが末端のァミノ基で連結 する基とは、 それぞれ以下の基:
-NHCH (C02H) 一 (CH2) — SH
-NHCH (C02H) 一 (CH2) 2 - SH
-NHCH (C02H) 一 (CH2) 2CONH - CH (CONHCH2C02H) ― CH2SH
を意味する。
Y2は、 アミノ基、 メルカプト基、 ホルミル基、 一 CONHNH2、 および炭素—炭 素二重結合を含む基から選択されるか;または一 R13—と一緒になつて、 一 CH (N H2) CH2SH、 もしくは— CH (NH2) C H2 CH2 S Hを表し;または一 X 11— R 12—と一緒になつて、 システィン、ホモシスティンまたはダル夕チオンが末端のァ ミノ基で連結する基を表すのが好ましい。
本発明の 1つの態様において、 Y基は、 以下の基:
_ χ 11 _ Κ 12 _γ 1 . — X11 - R12— X12— CO— R13 - Y1
— X11— R12 - CO— X13— R13 - Y1 ;
— X11— R12 - X12— CO— X13— R13 - Y1 ;
一 N (R11) N (R14) CO— R — Y1;および — N (R11) N (R14) CO— R12 - CON (R15) N (RI D) CO— R"— Y
[式中、 X11、 X12および X13は、 独立に、 Oおよび N (R11) から選択され: Y1は、 アミノ基、 メルカプト基、 ホルミル基、 炭素—炭素二重結合を含む基、 お よび炭素一炭素三重結合を含む基から選択され;
R11, R14、 R15および R16は、 独立に、 水素原子または C 6アルキル基から 選択され;
R 12および R 13は、 2価の C2_5 ()炭化水素基または 2価の C2_5。ポリアルキレン ォキシ基であり、 前記 2価の C25。炭化水素基は、 1〜 1 0の酸素原子が挿入され て一部にポリアルキレンォキシ部分を含んでいてもよい]
から選択される基であってもよい。
Y1は、 アミノ基、 メルカプト基、 ホルミル基、 および炭素—炭素二重結合を含む 基から選択されるのが好ましい。
Y基の好ましいものとしては、 例えば、
-NH- (CH2) P - O - CO— C (R17) =CH2
-NH- (CH2) -O-CO-CH (R17) 一 CH2— S— CH2 - CH (OH) — CH (OH) — CH2— SH;
— NH— (CH2) P-NH2
— NH— (CH2) oH ;
-NH- (CH2) p—顔一 CO— C (R17) =CH2
一 NH— (CH2) -NH-C (= NH) 一 (CH2) 3 - SH;
一 NH— (CH2) P— NH— CO— (CH2) R一 SH;
-NH- (CH2) P— NH— CO— CH (R17) -CH2- S -CH2-
H) -CH (OH) - — C h 2― S H;
一 NH— (CH2) P— NH - CO— CH (NH2) -CH2- SH;
一 NH— (CH2) P - NH - CO— CH (NH2) 一 (CH2) 2 - SH
一 NH— NH— CO— (CH,) 4一 CO— NH—題2
— NH - NH— CO - (CH2) 4一 CO— NH— NH - C (=NH) 一 (CH2) -SH;
— NH - (CH2-CH2-0) q - CH2 - CH2— 0 - CO - C (R17) =CH2; NH— (CH2 - CH2 - O) CH2— CH2— O - CO— CH (R17) CH -S-CH2-CH (OH) -CH (OH) — CH2 - SH ;
— NH - (CH2 - CH2 - O) q - CH2— CH2— NH2 ;
-NH- (CH2— CH2_〇) q - CH2 - CH2— SH ;
— NH— (CH2— CH2_0) a— CH2— CH2— NH— CO— C (R17) =CH NH - (CH2 CH2— O) q-CH2-CH2-NH-C (=NH) (CH2) 3-SH;
NH - (CH2- CH2 - O) q - CH2 - CH2 - NH - CO - (CH2) r— SH ; -NH- (CH2 -CHp-O) -CH -CH?-NH-CO-CH (R17) — C
H2 - S— CH2 - CH (OH) CH (OH) CH2 - SH ;
NH - (CH2-CH2-0) q - CH2 - CH2— NH - CO - CH (NH2) - CH2-SH;
— NH— (CH2-CH2-0) Q - CH2— CH2— NH - CO— CH (NH2) (CH2) 2 - SH;
— NH— CH (C02H) 一 (CH2) -SH;
— NH— CH (C02H) (CH2) 2— SH ;および
— NH - CH (C02H) (CH2) 2 - CONH—CH (CONH - CH2 - C 02H) — CH2 - SH
(ここで、 R17は、 水素原子または C 6アルキル基であり、 pは 2 10の整数、 qは 1 200の整数、 rは 1 3の整数を、 それぞれ表す)
が挙げられる。 特に、
NH CH CH O CO C (R17) =CH2
NH - NH CO— (CH2) 4— CO— NH - NH2 ;
— NH— NH - CO— (CH2) 4— CO— NH— NH— C (=NH) (CH 3-SH; _NH - (CH2-CH2-0) 2 - CH2 - CH2— NH2 ;
— NH - (CH2-CH2-0) 2— CH2— CH2 - NH - C (=NH) - (CH2) 3-SH;
-NH- (CH2-CH2-0) 2— CH2— CH2 - NH—CO - CH2— SH;お よび
— NH - CH2 - CH2 - O - CO— CH (R17) — CH2— S— CH2— CH (O H) -CH (OH) -CH2-SH
(ここで、 R17は、 水素原子または アルキル基である) が好ましい。
R17としては、 水素原子およびメチル基が好ましい。
前記架橋形成が可能な基は、 親水性多糖誘導体が力ルポキシ基を有する場合 (例え ば、 親水性多糖誘導体がヒアルロン酸である場合) 、 その 1以上の力ルポキシ基を一 CO— Yに変換することにより導入されてもよい。
前記架橋形成が可能な基は、親水性多糖誘導体あるいはヒアルロン酸またはその誘 導体の 1以上のヒドロキシ基を一 O—Zに変換することにより導入されてもよく、 Z 基としては、 例えば以下の基:
-CO-C (R21) =CH2
— CH2CH (OH) -R22— Y1
一 CH (CH2OH) 一 R22 - Y1
一 CONH— R23 - Υ1
— CO— R23 - Υ1
-CONH-CH2CH2- (X21-CH2CH2) n - Y1 ;
— CO - CH2CH2 - (X21-CH2CH2) n - Y1
[式中、 X21は、 Oおよび Sから選択され:
nは、 1〜50の整数を表し;
Y1は、 アミノ基、 メルカプト基、 ホルミル基、 炭素一炭素二重結合を含む基、 お よび炭素一炭素三重結合を含む基から選択され;
R 21は、 水素原子または C卜 6ァルキル基から選択され;
R22および R23は、 2価の C2_5。炭化水素基または 2価の C2s。ポリアルキレン ォキシ基であり、 前記 2価の c 25。炭化水素基は、 ι〜ι υの酸素腺于が揷人され て一部にポリアルキレンォキシ部分を含んでいてもよい]
が挙げられる。
本発明の一つの態様において、 ζ基は、 以下の基:
-CO-C (R21) =CH2
-CH2CH (OH) 一 R22— Y1
— CH (CH2OH) —R22— Y1
一 CONH— R23— Y1
— CO— R — Y1
[式中、 Y1は、 アミノ基、 メルカプト基、 ホルミル基、 炭素一炭素二重結合を含む 基、 および炭素一炭素三重結合を含む基から選択され;
R 21は、 水素原子または C i _ 6ァルキル基から選択され;
R22および R 23は、 2価の C2_5。炭化水素基または 2価の C25。ポリアルキレン ォキシ基であり、 前記 2価の C2_5。炭化水素基は、 1〜10の酸素原子が挿入され て一部にポリアルキレンォキシ部分を含んでいてもよい]
から選択される基であってもよい。
本明細書で言及する 「0^6アルキル基」 とは、 炭素数 1〜6の直鎖状、 分岐鎖状 のアルキル基を意味し、 例えば、 メチル、 ェチル、 n—プロピル、 i—プロピル、 n 一プチル、 s—プチル、 i一プチル、 t一ブチルなどの 「0^4アルキル基」 が含ま れ、 さらに、 n—ペンチル、 3—メチルブチル、 2ーメチルブチル、 1ーメチルブチ ル、 1一ェチルプロピル、 n --へキシル、 4ーメチルペンチル、 3—メチルペンチル 、 2—メチルペンチル、 1—メチルペンチル、 3—ェチルブチル、 および 2—ェチル ブチルなどが含まれる。
本明細書で言及する 「C8_5。炭化水素基」 は特に限定されず、 その例として、 炭 素数 8〜 50の直鎖状、 分岐鎖状、 環状および一部が環状のアルキル基、 アルケニル 基およびアルキニル基が挙げられ、 当該基は芳香族環基であってもよく、 または芳香 族環を構造の一部に含んでいてもよい。
本明細書で言及する 「2価の 。炭化水素基」 は特に限定されず、 その例とし て、 炭素数 1〜 50の直鎖状、 分岐鎖状、 環状およびー邠が攛状のアルキレン基、 ァ ルケ二レン基およびアルキニレン基が挙げられ、 当該基は 2価の芳香族環であつても よく、 または芳香族環を構造の一部に含んでいてもよい。
本明細書で言及する 「2価の C2 5(3炭化水素基」 は特に限定されず、 その例とし て、 炭素数 2〜 50の直鎖状、 分岐鎖状、 環状および一部が環状のアルキレン基、 ァ ルケ二レン基およびアルキニレン基が挙げられ、 当該基は 2価の芳香族環であつても よく、 または芳香族環を構造の一部に含んでいてもよい。
本明細書で言及する 「2価の 。炭化水素基」 は特に限定されず、 その例とし て、 炭素数 2〜10の直鎖状、 分岐鎖状、 環状および一部が環状のアルキレン基、 ァ ルケ二レン基およびアルキニレン基が挙げられ、 当該基は 2価の芳香族環であっても よく、 または芳香族環を構造の一部に含んでいてもよい。
本明細書で言及する 「2価の C2_5。ポリアルキレンォキシ基」 は特には限定され ず、 繰り返し単位のアルキレン基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。 「2価の C2_5。ポリアルキレンォキシ基」 の例には、 2価の C2_5。ポリエチレンォキシ基、 C3_48ポリプロピレンォキシ基、 C3_48ポリブチレンォキシ基などが含まれる。 当 該基は、 酸素原子または炭素原子を介して他の基と連結していてよく、 例えば C25 。ポリエチレンォキシ基には、 —0 (CH2CH20) χ_25-, 一 (CH2CH20) 125-、 ― (OCH2CH2) ^-、 - (CH2CH20) ,_24- (CH2CH2) - などが含まれる。
本明細書において、 炭化水素基に酸素原子が挿入される場合、 1または 2個の酸素 原子は炭化水素基の任意の位置に挿入されてよく、 3以上の酸素原子は当該基が一部 にポリアルキレンォキシ部分を含むように挿入されてもよい。
本明細書において 2価の C2_5。炭化水素基に 1〜 10の酸素原子が挿入される場 合、 1または 2個の酸素原子は炭化水素基の任意の位置に挿入されてよく、 3〜10 の酸素原子は前記基が一部にポリアルキレンォキシ部分を含むように挿入されても よい。 前記基に含まれるポリアルキレンォキシ部分としては、 C2 2。エチレンォキ シ、 C3_3。プロピレンォキシ、 C4 4。ポリプチレンォキシなどが含まれる。
本明細書で言及する 「炭素一炭素二重結合を含む基」 は特には限定されないが、 当 該基には例えば、 直鎖状、 分岐鎖状、 環状および一部が環状の c2_5。ァルケ二レン 基、 c23。アルケニレン基、 c210アルケニレン基などが含まれる。 さらに前記炭 素—炭素二重結合を含む基には、 例えば、 下式
— X14 - CO— C (R18) =CH2
[式中、 X14は、 0および N (R19) から選択され; R18は水素原子または アルキル基であり ; R19は水素原子または アルキル基である]
で表される基および下式:
1]
Figure imgf000015_0001
で表される基などが含まれる。
本明細書で言及する 「炭素一炭素三重結合を含む基」 は特には限定されないが、 当 該基には例えば、 直鎖状、 分岐鎖状、 環状および一部が環状の c25。アルキニレン 基、 C23。アルキニレン基、 Cs— i。アルキニレン基などが含まれる。
Z基としては、 一 CO— C (R21) =〇112が好ましく、 特にァクリロイル基およ びメタクリロイル基が好ましい。
本発明の上記側面において、 疎水性基を有する親水性多糖類誘導体は、 特には限定 されないが、 例えば、 親水性多糖類に 100単糖あたり 0. 5〜30個の疎水性基を 導入することで得られた親水性多糖類であつてもよい。当該疎水性基を導入した親水 性多糖類は、水溶液中において疎水性相互作用により数分子が自発的に会合すること でナノサイズ (1— 1, O O O nm) の微粒子を形成することなどにより、 疎水性薬 物や薬効を有するタンパク質やペプチドと複合化するものである。
前記親水性多糖類誘導体は、親水性多糖類およびその誘導体に疎水性基を導入して 得ることができる。 ここで、 親水性多糖類には、 水溶性多糖類が含まれ、 特には限定 されないが、 例えば、 プルラン、 アミ口べクチン、 アミロース、 デキス卜ラン、 マン ナン、 レバン、 ィヌリン、 キチン、 キトサン、 ヒアルロン酸、 デキストリンなどが含 まれる。
本明細書で言及する架橋とは、 共有結合などによる化学結合であっても、 疎水性相 互作用や静電的相互作用による物理結合 (会合) であってもよく、 また分子間、 分子 内架橋を含むものであり、 同時に分子間および分子内架橋を有する場合もある。本明 細書で言及する架橋性基とは、 上記の架橋を形成している基である。 本明細書で言及 する架橋形成が可能な基とは、架橋形成反応や一定の条件下におくことで架橋性基を 形成することができる基である。
本発明の上記側面において、 前記疎水性基は、 特には限定されないが、 例えば、 C s_5。炭化水素基またはステリル基を含む基であってもよい。
前記疎水性基は、 例えば、 前記親水性多糖類またはその誘導体の 1以上のヒドロキ シ基を一 OXに変換することにより導入され、 Xの例としては、 以下の基:
一 CO— R1
一 CO— X1— R2
一 CO— R3— X2 - CO— R1
一 CO - χΐ— R 3 - CO— Ri
一 C〇一 R3— CO— X3— R2
— CO— X1— R3 - CO— X3— R2
一 CO— X1— R3 - X2— CO— R1
CO-R3-X2-CO-X3-R2 および
— CO— X1— R3— X2 - CO— X3— R2
[式中、 R1は、 Cs_ 5。炭化水素基であり ;
R2は、 C85。炭化水素基またはステリル基であり ;
R3は、 2価の C25Q炭化水素基であり ;
X1、 X2および X3は、 独立に、 0および N (R4) から選択され;
R4は水素原子または C 6アルキル基である]
などが挙げられる。
本発明の一つの態様において、 は、 以下の基:
- C O - R 1; 一 CO— X1一 R2
一 CO— R3 — X2一 CO一 R1
一 CO— X1一 R3 -co — R1
— CO— X1一 R3 — CO -X3- R2
一 CO— X1一 R3 -x2- - CO— R1
一 CO— R3一 X2一 CO一 X3 - R2;および
一 CO— X1一 R3一 x2- - CO— X3-R2
[式中、 R1は、 C85Q炭化水素基であり ;
R2は、 Cs_5。炭化水素基またはステリル基であり ;
R3は、 2価の C2_5。炭化水素基であり ;
X1、 X2および X3は、 独立に、 Oおよび N (R4) から選択され;
R 4は水素原子または C i— 6アルキル基である]
から選択される基であってもよい。
Xとしては、 一 CO— R3— CO— X3— R2および一CO— X1— R3— X2— CO 一 X3— R2が好ましく、 一 CO— R3— CO— O— R2および一 CO— NH— R3— N H— CO— O— R2がさらに好ましく、 一 CO— NH— R3— NH— CO— 0— R2が なおさらに好ましい。
R3としては、 直鎖もしくは分岐鎖状の C2_5。アルキレン基、 直鎖もしくは分岐鎖 状の C 2 _ 50アルケニレン基、 直鎖もしくは分岐鎖状の C 2 _ 5。アルキニレン基等が挙 げられる。 好ましくは直鎖状の C25C)アルキレン基が挙げられる。 その炭素数は、 一 CO— R3_CO— X3— R2における R3としては 2〜2 0が好ましく、 2〜 1 0、 更には 2〜6が、 より好ましい。 一 CO— X1— R3— X2— CO— X3— R2における R3としては 2〜2 0が好ましく、 2〜1 0、 更には 4〜8が、 より好ましい。
C8_50炭化水素基としては、 直鎖もしくは分岐鎖状の C8_5。アルキル基、 直鎖も しくは分岐鎖状の C85。アルケニル基、 直鎖もしくは分岐鎖状の C8_5。アルキニル 基等が挙げられ、 好ましくは直鎖状の C8_50アルキル基が挙げられる。 その炭素数 は、 1 0〜3 0が好ましく、 1 0〜2 0がより好ましく、 例えば、 ラウリル基、 ミリ スチル基、 セチル基、 ステアリル基などが挙げられる。 - ステリル基としては、ステロール骨格を有する基であれは特に制限されす、例えば、 コレステリル基、 スチグマステリル基、 3—シトステリル基、 ラノステリル基、 エル ゴステリル基等が挙げられ、 好ましくはコレステリル基が挙げられる。
R2としては、 コレステリル基、 一 (CH2) ^CH 一 (CH2) 15CH3および ― (CH2) 19CH3が好ましく、 コレステリル基がさらに好ましい。
Xの具体例としては、
— CO— (CH2) t— C 0— 0—コレステリル;
-CO- (CH2) t一 CO— O— (CH2) X1CH3
一 CO - (CH2) t一 CO— O— (CH2) 15CH3
-CO- (CH2) t一 C〇_0— (CH2) 19CH3
-CO-NH- (CH2) u— NH— CO— O—コレステリル;
— CO - NH— (CH2) u— NH— CO— O - (CH2) ^CHg;
— CO— NH— (CH2) u— NH— CO—〇一 (CH2) 15CH3 ;および
-CO-NH- (CH2) u— NH - CO -〇— (CH2) 19CH3
(ここで、 tは 2〜6の整数であり、 uは 4〜8の整数である)
が好ましく、 特に、 -CO-NH- (CH2) 6 _NH— CO— O—コレステリルが好 ましい。
前記疎水性基は、 例えば、 前記親水性多糖類またはその誘導体の 1以上のカルポキ シ基を一 CO— OXに変換することにより導入されてもよい。
本発明の上記側面の 1つの態様において、 前記架橋形成反応は、 前記溶液中に架橋 剤を添加することにより行われる。
本発明の上記側面の 1つの態様において、架橋性基を有するヒアルロン酸誘導体に より、 架橋性基を有さない親水性多糖類誘導体が封入されていてもよい。 さらに、 本 発明の上記側面の 1つの態様において、 親水性多糖類誘導体が、 分子内架橋性基、 ま たは親水性多糖類誘導体およびヒアルロン酸誘導体に連結する分子間架橋性基を有 していてもよい。 さらに、 本発明の上記側面の 1つの態様において、 親水性多糖類誘 導体がヒアルロン酸誘導体にのみ連結する架橋性基を有していてもよい。
1つの態様において、 本発明の上記側面により提供される組成物は、 医薬組成物と して使用される。当該 S薬組成物に含まれる薬剤は、特には限定されないが、例えは、 タンパク質またはペプチドを薬剤として含有していてもよい。
本発明のさらなる側面によれば、本発明の上記側面により提供されるゲルに薬物溶 液を添加することで薬物を吸収させる工程を含む、医薬品組成物の製造方法が提供さ れる。
本発明のさらに別の側面によれば、 以下の工程、
( a) 架橋形成が可能な基を有するヒアルロン酸誘導体を製造する工程;
(b) 疎水性基を有する親水性多糖類誘導体を製造する工程;
( c ) 少なくとも 1種類以上の工程 (a) により生成するポリマーと、 少なくとも 1 種類以上の工程 (b ) により生成するポリマーから選択される、 少なくとも 2種類以 上のポリマーをハイプリッドゲル化させる工程;
を含む、 ゲル状組成物の製造方法が提供される。 当該工程 (c ) において八イブリツ ドゲル化させる方法は、ポリマーを架橋することができる一般的に知られている方法 を用いればよい。 特に限定されないが、 架橋形成が可能な基を有するヒアルロン酸誘 導体と疎水性基を有する親水性多糖類誘導体を架橋剤を用いて架橋してもよく、架橋 形成が可能な基を有するヒアルロン酸誘導体を前記親水性多糖類誘導体の存在下で 架橋してもよく、架橋形成が可能な基を有するヒアルロン酸誘導体と前記親水性多糖 類誘導体に架橋形成が可能な基を導入した誘導体を架橋してもよい。 当該工程は、 パ ルクで行ってもよく、 WZOエマルション中ゃ噴霧液滴中などの不連続相中で行って もよい。当該工程中に、架橋反応を停止する操作を行ってもよい。工程(c )の後に、 粉砕、 乾燥、 洗浄工程などを行ってもよい。
さらに本発明の別の側面によれば、 前記ゲルに薬物溶液を添加することで、 薬物を 封入する工程を含む、医薬品組成物の製造方法と当該製造方法によって得られる医薬 品組成物が提供される。 当該工程の後に粉砕、 乾燥、 洗浄工程などを行ってもよい。 さらに本発明の別の側面によれば、 以下の工程
( a) H Pまたはその誘導体からなるナノゲルに薬物を複合化させる工程;
( b ) 工程 (a ) で得られたナノゲルと薬物の複合体と HAまたはその誘導体をハイ プリッドゲル化させる工程; を含む医薬品組成物の製造方法と当該製造方法によって得られる医薬品組成物が提 供される。 ここで、 必要であれば、 工程 (b) の後に粉砕、 乾燥、 洗浄工程などを行 つてもよい。
発明の効果
本発明のゲルを用いることで、 薬物、 特に薬効を有するタンパク質やペプチドの従 来の徐放性製剤では達成できなかった、薬物をその生物活性を維持したまま効率よく 封入し、 長期間徐放し、 安全性に問題のない実用的な徐放性製剤を提供することが可 能である。
図面の簡単な説明
図 1は、 F I TC— I n sの吸収後の、 CH Pを封入した化学架橋 HA— MAハイ ブリッドゲルの写真の 1例である。
図 2は、 F I TC— I n sの吸収後の、 CH Pを封入した化学架橋 HA— MA八ィ プリッドゲルの緩衝液中における写真の 1例である。
図 3は、 F I TC— I n sを吸収させた後に、 CHPを封入した化学架橋 HA— M Aハイプリッドゲルにシクロデキストリンを添加した時の写真の 1例である。
図 4は、 F I TC— I n sを吸収させた後に、 CHPを封入した化学架橋 HA— M
Aハイプリッドゲルにヒアルロニダ一ゼを添加した時の写真の 1例である。
図 5は、 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイブリツドゲルに吸収されたイン スリン量を示すグラフである。
図 6は、 CHPを封入した化学架橋 H A— MAハイブリッドゲルからのインスリン 放出量を示すグラフである。
図 7は、 CHPを封入した化学架橋 HA— ΜΑΛイブリツドゲルからのインスリン 放出量に対する、 シクロデキストリンの影響を示すグラフである。
図 8は、 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイブリツドゲルに吸収された F I TC— I n s量を示すグラフである。
図 9は、 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルからの F I TC—
I n s放出量を示すグラフである。
図 10は、 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイブリツドゲルからの F I TC - I n s放出挙動に対する、 アルブミンの影響を示すグラフである。
図 11は、 CHP—MAと HA— SHとの化学架橋によるハイブリッドゲル調製検 討時の写真である。
図 12は、 CHP—MAと HA—SHとの化学架橋によるハイブリツドゲルからの F I TC— I n s放出特性を示すグラフである。
図 13は、 CHP—MAと HA— MAとの化学架橋によるハイブリツドゲル調製検 討結果を示す図である。
図 14は、 CHP—MAと HA— MAとの化学架橋によるハイブリッドゲルへの F I TC- I n s吸収量の経時変化を示すグラフである。
図 15は、 CHP—MAと HA— MAとの化学架橋によるハイブリッドゲルからの F I TC- I n s放出量の経時変化を示すグラフである。
図 16は、 CHP— MAと HA— MAとの化学架橋によるハイブリツドゲルからの F I TC- I n s放出挙動に与えるシクロデキストリンの影響を示すグラフである。 図 17は、 CHP—MAと HA— MAとの化学架橋によるハイブリッドゲルからの F I TC— I n s放出挙動に与えるアルブミンの影響を示すグラフである。
図 18は、 CHP— MAと HA— MAとの化学架橋によるハイブリッドゲルからの F I TC- I n s放出挙動に与えるヒアルロニダーゼの影響を示すグラフである。 図 19は、 各種化学架橋ハイプリッドゲルのゲル密度を示すグラフである。
図 20は、 CHP—MAと MP Cとの化学架橋によるハイブリッドゲルからの F I TC一 I n s放出挙動に与えるアルブミン (l OmgZmL) の影響を示すグラフで ある。
図 21は、 CHP— MA · MP Cハイブリッドゲルと CHPを封入した化学架橋 H A— MAハイプリッドゲルからの F I TC- I n s放出挙動に対するアルブミンの 影響の比較を示すグラフである。
図 22は、 HP— MAと MP Cとの化学架橋によるハイブリッドゲルからの F I T C一 I n s放出挙動に与えるアルブミン (50mg/mL) の影響を示すグラフであ る。
図 23は、 CHP—MAと MP Cのハイブリッドゲルと CHP— MAと HA— MA との化学架橋ハイプリッドゲルからの F I TC- I n s放出挙動に対するアルフミ ンの影響の比較を示すグラフである。
図 24は、 CHPを封入した各種ィ匕学架橋ハイブリツドゲルからのインスリン放出 挙動を示すグラフである。
図 25は、 CHcD e Xを封入した化学架橋 HA— MAハイブリッドゲルからのィ ンスリン放出挙動を示すグラフである。
図 26は、 C H Pを封入した化学架橋 H A— MAハイブリッドゲルからの G L P— 1放出挙動を示すグラフである。
図 27は、 (:11?を封入した化学架橋 1八一1^八ハィブリッドゲルからの EPOお よび CHPの放出挙動を示すグラフである。
図 28は、 CHPを封入した化学架橋 HA— AMハイブリツドゲルからの EPO放 出挙動を示すグラフである。
図 29は、 EPOと CHPの複合体、 および EPO共存下で化学架橋したハイプリ ッドゲルからの E P 0回収率を示すグラフである。
図 30は、 EPOと CHPの複合体溶液、 および E P O溶液のラット皮下投与後の E P O血漿中濃度推移を示すグラフである。
図 31は、 EPOを封入した各種ハイブリッドゲルのラット皮下埋め込み後の EP 0血漿中濃度推移を示すグラフである。
発明を実施するための好ましい形態
以下、 本発明を更に具体的に説明する。
本発明の組成物 (好ましくはゲル状組成物) は、 架橋性基を有するヒアルロン酸誘 導体および疎水性基を有する親水性多糖類誘導体を含むことを特徴とし、薬物徐放担 体として以下のような優れた特徴を有している。
1. 生分解性であり、 また生体内における安全性を有する。
2. 薬物、 特に薬効を有するタンパク質やペプチドの封入工程、 製剤中、 生体内で の変性を防ぐことができる。
3. 架橋密度および分解性を制御することにより、 徐放期間を制御することができ る。 本発明に用いられるヒアルロン酸誘導体は、 ヒアルロン酸の少なくとも 1つ以上の 力ルポキシ基またはヒドロキシ (OH) 基に置換基が結合したものである。 置換基は 1種類またはそれ以上のものであってもよい。製造方法は各種公知の方法により製造 することができる。特に限定されないが、架橋性官能基は例えば、アミノ基(AM)、 メルカプト基 (S H) 、 不飽和結合を有する基、 ホルミル基 (A L D) などが挙げら れ、 その調製法は、 例えば特許文献 5、 特許文献 9、 非特許文献 1 1に開示がある。 置換基はスぺ一サーを介して結合していてもよい。 さらに生分解速度を制御するため の修飾がされていてもよく、 この調製法は、 例えば特許文献 9に開示がある。
本発明に用いられるヒアルロン酸およびその誘導体の分子量は、特に限定されない が、 低分子量になるほど、 ゲル化の架橋反応効率が低下し、 高分子量になるほど溶液 粘度が増大することに起因して H Pまたはその誘導体や架橋剤と均一に混合するこ とが困難となる。そのため、当該分子量は、 l k D a〜l , O O O k D aが好ましく、 1 0 k D a〜3 0 0 k D aがさらに好ましい。
本発明に用いられるヒアルロン酸誘導体は、薬学的に許容される塩であってもよい。 薬学的に許容される塩としては、 例えば、 ナトリウム塩、 カリウム塩、 リチウム塩等 のアルカリ金属類を挙げることができ、 特に好ましい塩は、 医薬品として汎用されて いるナトリウム塩である。 ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩は、 鶏冠や 豚皮下等の生物由来のものを抽出する方法や生物発酵法等の各種公知の方法を用い て製造することができ、 あるいは市販のものを購入して (例えば、 株式会社資生堂、 電気化学工業株式会社、 生化学工業株式会社等から) 入手することも可能である。 本発明に用いられる疎水性基を有する親水性多糖類誘導体は、親水性多糖類および その誘導体に、多糖 1分子あたり少なくとも 1分子以上の疎水性基を導入して得るこ とができる親水性多糖類である。親水性多糖類としては特に限定されないが、 好まし くはプルラン、 アミ口べクチン、 アミロース、 デキストラン、 マンナン、 レバン、 ィ ヌリン、 キチン、 キトサン、 ヒアルロン酸、 デキストリンであり、 これらは市販され ているか、 文献記載の方法に従い、 種々の平均分子量を有するものを入手することも できる。 親水性多糖類として特に好ましいものは、 プルラン、 ヒアルロン酸、 デキス トリンである。 デキストリンとしてはクラスタ一デキストリン (登録商標) が好まし い。 クラスターデキストリン (登録商標) は、 江崎グリコ株式会社から版売されてい るものを購入して使用することができる。 疎水性基としては特に限定されないが、 好 ましくは C 8_ 5。の炭化水素基、 ステリル基、 ポリ乳酸 (P L A) 基、 ポリ乳酸-グ リコール酸共重合体 (P L GA) 基などの基またはこれらの基を含む基であり、 特に 好ましくはコレステリル基を含む基、 C 8_ 3 Qの直鎖または分岐アルキル基または当 該基を含む基である。 疎水性基はスぺーサ一を介して導入されていてもよい。
疎水性基を有する親水性多糖類誘導体は各種公知の方法により製造することがで き、 例えぱ親水性多糖類としてプルランのヒドロキシ基に、 疎水性基として N— [ 6 一 (コレステリルォキシカルボニルァミノ) へキシル] 力ルバモイル基を導入した親 水性多糖類誘導体 (以下、 「コレステロールプルラン」 、 「C H P」 とも称する) の 製造方法は、 特許文献 1 0に開示があり、 また市販のものを購入して (例えば、 日本 油脂株式会社)入手することも可能である。疎水性基を有する親水性多糖類誘導体は、 水溶液中において疎水性相互作用により数分子が自発的に会合することでナノサイ ズ (1〜1, O O O nm) のゲル構造を有する微粒子 (以下、 「ナノゲル」 とも称す る) を形成することなどにより、 疎水性薬物や薬効を有するタンパク質やペプチドと 複合化することがきるものであり、 例えば非特許文献 4、 非特許文献 5、 非特許文献 6、 非特許文献 7などで例示されているものである。 疎水基の導入率は特に限定され ないが、 安定にナノゲルを形成すること、 薬物を安定に複合化できること、 薬物複合 化可能量が多いこと、 を成しえる範囲が好ましく、 この範囲は親水性多糖類と疎水基 の組み合わせによって変動する。 例えば親水性多糖類としてプルランを用いた場合、 1 0 0単糖あたり 1〜5個の N— [ 6 - (コレステリルォキシカルボニルァミノ) へ キシル] 力ルバモイル基で置換されていることが好ましい。
疎水性基を有する親水性多糖類誘導体は、 1分子に少なくとも 1つ以上の疎水性基 が結合したものであり、その他にも置換基を導入することにより修飾されていてもよ い。前記親水性多糖類誘導体が有する疎水性基および置換基は 1種類またはそれ以上 のものであってもよい。 製造方法は各種公知の方法により製造することができる。 特 に限定されないが、置換基として架橋形成が可能な基が導入されているものであって もよい。 架橋形成が可能な基としては、 例えば、 アミノ基、 メルカプト基、 不飽和結 合 (炭素—炭素二重結合、 および炭素一炭素三重結合など) を有する δ、 およひ ル ミル基から選択される基など、 または当該基を含む基が挙げられ、 例えばメタクリロ ィル基を、 C H Pに導入した親水性多糖類誘導体の調製法は、 特許文献 8に開示があ る。 当該置換基はスぺーサ一部分を含んでいてもよい。
本発明に用いられる疎水性基を有する親水性多糖類誘導体の分子量は、特に限定さ れないが、 好ましくは 1 k D a〜l, 0 0 0 k D a、 さらに好ましくは 1 0 k D a〜 3 0 0 k D aである。 また前記親水性多糖類誘導体は、 薬学的に許容される塩であつ てもよい。
本発明の組成物 (好ましくはゲル状組成物) は、 架橋形成が可能な基を有するヒア ルロン酸誘導体、および疎水性基を有する親水性多糖類誘導体から選択される少なく とも 2種類以上のポリマーを架橋したハイプリッドゲルであり、 ポリマーの比率は、 当事者が適宜選択できる。 疎水性基を有する親水性多糖類誘導体は、 薬効を有する夕 ンパク質やべプチドおよび疎水性低分子薬物と複合化し、安定に保持する機能を有す るもので、 この組成比が高いほどハイプリッドゲル中への薬物封入量を増やすことが できる。
タンパク質などの薬物を安定に保持するために、疎水性基を有する親水性多糖類誘 導体が、疎水性基の会合により水溶液中で形成する微粒子の内部に薬物を保持するこ とにより、 薬物と上記のハイブリッドゲルと複合化するのが好ましい。 一方で、 微粒 子を形成せずとも、疎水性基を有する親水性多糖類誘導体における複数の疎水性基が、 水溶液中の複数の場所で会合し、その会合点の 1つまたは複数により薬物が保持され る場合もある。 特に、 疎水性基を有する親水性多糖類誘導体の水溶液中の濃度が高く なるに従い、 当該水溶液がバルクでゲル化しやすくなるため、 後者の形式で薬物が保 持される割合が高くなる。
本発明の組成物 (好ましくはゲル状組成物) は、 複合的な架橋構造を有するハイブ リツドゲルであってもよい。 架橋とは、 共有結合による化学結合であっても、 疎水性 相互作用や静電的相互作用などによる物理結合であってもよく、 また分子間、 分子内 架橋を含むものであり、 同時に分子間および分子内架橋を有する場合もある。 当該ハ イブリツドゲルは、 少なくとも 1種類以上の化学結合による化学架橋構造と、 1種類 以上の疎水的相互作用による物理架橋構造を合わせ持つことを特徴としてい 。
また、 本発明は、 架橋形成が可能な基を有するヒアルロン酸誘導体および疎水性基 を有する親水性多糖類誘導体から選択される少なくとも 2種類以上のポリマーをハ イブリツドゲル化させる工程にも関する。本発明のハイブリッドゲルは、 各種公知の 架橋方法によって形成される。
本発明の組成物の製造方法としては、 特に限定されないが、 例えば、 疎水性基を有 する親水性多糖類誘導体の存在下で、架橋形成が可能な基を導入したヒアルロン酸誘 導体を架橋する方法が挙げられる。 具体的には、 アミノ基を導入したヒアルロン酸誘 導体 (HA-AM) を、 C2_2。アルキレン基の両端にスクシンィミジルエステルや その他のイミドエステルを有する架橋剤(例えば、 ビス [スルフォスクシンィミジル] スべレート (BS3) 、 エチレングリコール一ビス [スルフォスクシンイミジル] ス クシネート (Su 1 f o-EGS)、 ジメチルアジピミデート塩酸塩(DMA) など) で縮合反応により架橋すればよい。 または、 HA— AMを、 C2_2。アルキレン基の 両端にホルミル基を有する架橋剤 (例えば、 ダルタルアルデヒドなど) で架橋すれば よい。 または、 ホルミル基を導入したヒアルロン酸誘導体 (HA— ALD) を、 C220アルキレン基の両端にアミノ基を有する架橋剤 (例えば、 エチレンジァミン (E DA) など) で架橋すればよい。 さらには、 メルカプト基を導入したヒアルロン酸誘 導体 (HA-SH) を酸化条件下 (例えば、 テトラチォネートナトリウム (STT) 存在下など) で酸化反応により架橋すればよい。 さらには、 HA— SHを C2_2。ァ ルキレン基の両端にマレイミド (MAL)基ゃメタクリロイル基などの不飽和結合を 有する架橋剤 (例えば、 1, 4—ビス一マレイミドブタン (BMB) 、 ジメタクリル 酸エチレン(EDMA)など)でマイケル付加反応により架橋すればよい。さらには、 ヒアルロン酸に不飽和結合を有する官能基 (例えば、 メタクリロイル基 (以下 「MA 基」 とも称する) 、 ァクリロイル基など) を導入したヒアルロン酸誘導体を、 C22 。アルキレン基の両端に SH基を有する架橋剤 (例えば、 ジチオスレィトール (DT T) など) でマイケル付加反応により架橋すればよい。 さらには前記不飽和結合を導 入したヒアルロン酸誘導体を各種重合開始剤(例えば、ペルォキソ二硫酸力リゥム(K PS) ZN, N, N, , N' —テトラメチルエチレンジァミン (TEMED) 、 I r g a c u r e 2959など) でラジカル重合により架橋すれはよい。 さらにほ、 匕;/ ルロン酸ナトリウムとジァミン化合物 (例えば、 EDA、 2, 2' - (エチレンジォ キシ) ビス (エチレンジァミン) など) 共存下、 縮合剤 (例えば、 N, N' 一力ルポ ニルジイミダゾ一ル (CD I) 、 N, N' —ジシクロへキシルカルポジイミド (DC C) 、 N—エトキシカルポニル— 2—エトキシ一 1, 2—ジハイド口キノリン (EE DQ) 、 4— (4, 6—ジメ卜キシー 1, 3, 5一卜リアジン) 一 4—メチルモルホ リウムクロライド (DMT- MM) 、 2—ベンゾトリアゾールー 1, 1, 3, 3—テ トラメチルゥロニゥム 4フッ化ホウ酸塩 (TBTU) 、 3, 4ージハイドロー 3—八 イド口キシー 4一ォキソ— 1, 2, 3—べンゾ卜リアジン (HODhb t) 、 ベンゾ トリァゾールー 1ーォキシートリス—ピロリジノーホスホニゥム 6フッ化リン酸塩 (PyBOP)、ベンゾトリアゾ一ルー 1一ィル—ォキシ—卜リス (ジメチルァミノ) フォスフォニゥム へキサフルオロフォスフエ一卜(BOP)、 1—ェチル一3—(3 ージメチルァミノプロピル) カルポジイミド (EDO または N—ハイドロキシスク シンイミド (NHS) など) によって架橋すればよい。 上記の架橋形成は、 ヒアルロ ン酸誘導体の分子内であっても、複数のヒアルロン酸誘導体の分子間であってもよい。 または、 本発明の組成物の製造方法としては、 特に限定されないが、 例えば、 疎水 性基を有する親水性多糖類誘導体の存在下で、異なる架橋性官能基を導入した 2種類 のヒアルロン酸誘導体同士を化学架橋する方法が挙げられる。 具体的には、 HA— A Mと活性エステル基を導入した HA誘導体を縮合反応により架橋すればよい。 または、 HA— AMと HA— ALDを架橋すればよい。 さらには、 HA— SHと HA— MAを マイケル付加反応により架橋すればよい。
さらには、 例えば、 ヒアルロン酸またはその誘導体および疎水性基を有する親水性 多糖類誘導体に含まれるヒドロキシ基もまた架橋形成が可能な基として利用するこ とができる。 すなわち、 ヒアルロン酸またはその誘導体、 および疎水性基を有する親 水性多糖類誘導体を、 特定の架橋剤、 例えば、 ジビニルスルホン (DVS) 、 力ルポ ジイミド、 または C2_2。アルキレン基の両端にグリシジルェ一テル基を有する架橋 剤などによって架橋すればよい。
さらには、 本発明の組成物の製造方法としては、 特に限定されないが、 例えば、 架 橋形成が可能な基を導入した疎水性基を有する親水性多糖類誘導体、 および栄摘形既 が可能な基を導入したヒアルロン酸誘導体を架橋する方法が挙げられる。具体的には、 アミノ基を導入した前記親水性多糖類誘導体誘導体 (HP— AM) と HA— AMを、 前例の架橋剤などで架橋すればよい。 または、 疎水性基を有する親水性多糖類誘導体 にホルミル基を導入した誘導体(HP— ALD) と HA— ALDを前例の架橋剤など で架橋すればよい。 さらには、 疎水性基を有する親水性多糖類誘導体にメルカプト基 を導入した誘導体 (HP— SH) と HA— SHを、 前例の方法などにより架橋すれば よい。 さらには、 疎水性基を有する親水性多糖類誘導体に不飽和結合を有する官能基 (例えば、 メタクリロイル基、 ァクリロイル基など) を導入した誘導体と不飽和結合 を有する官能基を導入したヒアルロン酸誘導体を、前例の方法などにより架橋すれば よい。 上記の架橋形成は、 ヒアルロン酸誘導体および親水性多糖類誘導体の分子内で あっても、複数のヒアルロン酸誘導体または親水性多糖類誘導体の分子間であつても よい。
さらには、 本発明の組成物の製造方法としては、 特に限定されないが、 例えば、 疎 水性基を有する親水性多糖類誘導体およびヒアルロン酸誘導体の各々に異なる架橋 形成が可能な基を導入した前記誘導体を化学架橋する方法が挙げられる。具体的には、 HP-AMと活性化エステル基を導入したヒアルロン酸誘導体を縮合反応により架 橋すればよい。 または、 HP— AMおよび HA— ALD、 または HP— ALDおよび HA— AMを架橋すればよい。 さらには、 HP— MAおよびと HP— SHや、 HP— SHおよび HA— MAをマイケル付加反応により架橋してもよい。
本発明の組成物 (好ましくはゲル状組成物) が有する化学架橋構造は、 架橋剤、 ポ リマーに導入した架橋形成が可能な基、 結合様式などに、 生体内で分解するものを用 いてもよい。 特に限定されないが、 例えば置換基にエステル結合を有するメタクリロ ィル基などで修飾した HA— MAや HP— MAなどを用いてもよい。 または、 Su l f o— EGSや EDMAなど、スぺーサー領域にエステル結合を有する架橋剤を用い てもよい。 生体内の酵素によって分解されるペプチドスぺーサ一を用いてもよい。 ま た、 メルカプト基の酸化によって形成するジスルフィド結合によって架橋したゲルは ジスルフィド交換反応や還元反応によって生体で分解される。分解性の化学架橋構造 を有することで、 ハイブリッドゲルの生体内での分解速度を制御することができ、 こ れによって薬物の放出速度も制御することが可能である。
本発明のハイブリッドゲル化させる工程は、 適宜その条件を選択してもよい。 架橋 の条件とは、 例えば、 ヒアルロン酸誘導体と疎水性基を有する親水性多糖類誘導体か ら選択した 2種類以上のポリマー、それらの架橋方法、ポリマ一濃度、ポリマ一比率、 架橋剤濃度、 溶媒、 溶媒 PH、 塩濃度、 温度、 時間などがある。
本発明のゲルの製造において、 架橋形成の反応条件の中で、 例えば化学架橋時のポ リマ一濃度および架橋形成が可能な基の導入率を高くすることで、生成するハイプリ ッドゲルの架橋密度を高くすることが可能である。
また、 本発明のハイプリッドゲル化工程におけるポリマ一濃度は、 ハイプリッドゲ ル化させる前にポリマ一や架橋剤を均一に混合するのに適した範囲で適宜選択して もよレ^この範囲はポリマ一分子量、置換基、選択する溶媒などによっても変動する。 例えば 20 kD aのヒアルロン酸誘導体を水中で用いる場合は、好ましくは 1%WZ v〜30 %wZv、 特に好ましくは 4%w/v〜20 %w/vである。 200 kD a の HAを水中で用いる場合は、 好ましくは 0. 1 %w/v〜 10 %wZv、 特に好ま しくは 0. 5 %w v〜4%W//vである。 また、 HPとして 100 kD aのプルラ ンに 100単糖あたり 1. 4個のコレステロール基が導入された CHPを水中で用い る場合、 好ましくは 0. l%w/v〜4. 0 %w/v、 特に好ましくは 0. 5%wZ v〜3. 0%w/vである。 また、 HPとして 150 kD aのクラスターデキストリ ン (登録商標) に 100単糖あたり 3. 8個のコレステロール基が導入された CHc D e Xを水中で用いる場合、 好ましくは 0. 1% ¥〜10. 0%wZv、 特に好 ましくは 0. 5 %wZv〜8. 0%w/vである。
本発明のハイプリッドゲル化工程における架橋剤濃度は、両端に架橋形成が可能な 基を有するものを使用する場合、当該基が過不足なく速やかに架橋反応に関与できる ような濃度で添加することが好ましい。例えば、 メタクリロイル基を導入したポリマ 一を DTTを用いてマイケル付加反応により架橋する場合は、 MA基: SH基 =3 :
1〜1 : 3が好ましく、 2 : 1〜1 : 2が特に好ましい。
本発明のハイプリッドゲル化工程において選択する溶媒は、ポリマ一および架橋剤 を充分に溶解することができるものが好ましく、 特に限定されないが、 フ _ 、 シグナル スルホキシド (D M S O) 、 ジメチルァセトアミド (DMA c ) 、 ジメチルホルムァ ミド (DM F) 、 N—メチルピロリドン (NM P) およびこれらから選択される混合 溶媒を用いることが好ましい。 また、 これらの溶媒に混和する有機溶媒を混合して使 用することも可能である。 特に限定されないが、 混和する有機溶媒としては例えば、 メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ夕ノール、アセトン、 ァセトニトリルなどが挙げられる。 なお、 疎水性基を有する親水性多糖誘導体の疎水 性基を会合させることで予め微粒子を形成しておくという観点では、水単独を溶媒と して用いることが好ましい。
本発明のハイブリッドゲル化工程における溶媒 p H、 塩濃度、 時間、 温度などは、 選択した架橋方法が速やかに進行する条件で、かつ選択したポリマーが化学的に安定 である条件を用いることが好ましい。 特に限定されないが、 塩濃度が高いとポリマ一 の溶解性が悪くなつたり、異種ポリマー間の相分離などが見られる場合があることか ら (実施例 3および 4参照) 、 塩濃度は低い方が好ましい。
本発明のハイブリッドゲル化させる工程は、 バルクで行ってもよく、 エマルシヨン 中や噴霧液滴中などの不連続相中で行ってもよい。 例えば、 WZOエマルシヨン中で 行う場合は、 ポリマーや架橋剤などを溶解させた水相を、 水に混和しない溶媒中に乳 化し、 ゲル化反応を行えばよい。 水に混和しない溶媒とは、 特に限定されないが、 例 えばへキサン、 クロ口ホルム、 ジクロロメタン、 酢酸ェチル、 中鎖脂肪酸トリグリセ リド (M C T) 、 流動パラフィン、 大豆油などが挙げられる。 乳化を安定化するため の界面活性剤を添加してもよい。 また、 例えば、 超臨界二酸化炭素中や P E G中など 脱溶媒が可能な溶媒中で行ってもよい。 この場合は、 ポリマーや架橋剤などを溶解さ せた水相や有機溶媒相を、前例の溶媒中に乳化、分散することで、脱溶媒(溶媒拡散) に伴うポリマーの濃縮が成されることから、 より高い架橋密度のハイプリッドゲルを 得ることが可能になる。 この方法を利用した例として、 デキストラン (D e x ) にグ リシジルメタクリレート (GMA) を導入した D e X— GMAの水溶液を P E G水溶 液中で脱水と同時に架橋する方法が、例えば特許文献 1 1に開示されている。乳化は、 例えばメカニカルスターラー、 回転型ホモジナイザー、 膜乳化、 超音波照射などを使 用して行ってもよい。 噴霧液滴中で行う場合は、 例えば噴耮乾墚機を用い ル化 S せてもよい。 この方法では、 特許文献 1 2に開示があるように、 ポリマ一や架橋剤な どを溶解した溶液を噴霧乾燥することで、 濃縮、 ゲル化、 乾燥、 微粒子化を同時に行 うことができる。
本発明の八イブリッドゲル化させる工程およびその後に、架橋反応を停止する操作 および残存した架橋性官能基を失活もしくは洗浄する操作を行ってもよい。反応に関 与しなかった架橋性官能基、架橋剤の片端のみが結合した基、残存した架橋剤などは、 安全性の観点、 保存中安定性の観点、 封入される薬物との副反応などの観点から除去 した方が好ましい。 特に限定されないが、 例えば、 未反応の架橋剤が残存している場 合は、 過剰の水などで洗浄することで除去してもよい。 また、 例えばポリマーに置換 したメタクリロイル基が残存する場合は、過剰のメルカプトェ夕ノールなどを添加し、 メタクリロイル基を失活させた後、過剰の水などで余剰のメルカプトエタノールを洗 浄することで除去してもよい。 さらには、 例えばメルカプト基が残存する場合は、 過 剰のプロピオン酸マレイミド、 酢酸ヨウ素などを添加し、 メルカプト基を失活させた 後、 過剰の水などで余剰のプロピオン酸マレイミド、 酢酸ヨウ素を洗浄することで除 去してもよい。
本発明のハイブリッドゲルイ匕させる工程の後に、 粉碎工程を行ってもよい。粉碎方 法としては、 乳棒と乳鉢を用いる粉砕やミルを用いる粉碎が挙げられるが、 ミルを用 いる粉砕が好ましい。 ミル粉砕装置としては、 遠心式粉砕機 (日本精機製作所) およ びインパクトミル (株式会社ダルトン)等の回転円板型の粉砕装置、ァトマィザ一(東 京アトマイザ一製造株式会社) 、 サンプルミル (東京アトマイザ一製造株式会社) 、 バンタムミル (東京アトマイザ一製造株式会社) 、 および S Kミル (トッケン) 等の スクリーンミルの粉砕装置、 超微少量ラポジェットミル (A— 0ジェットミル、 セィ シン企業) 等のジェット粉砕装置、 並びに、 超低温での粉砕が可能なリンレックスミ ル (リキッドガス株式会社) 等が挙げられるが、 S Kミルおよびリンレックスミルが 好ましい。
本発明のハイブリッドゲル化させる工程の後に、 乾燥工程を行ってもよい。乾燥方 法としては、 例えば通風乾燥、 恒温槽中での乾燥、 減圧乾燥、 熱風循環式乾燥などが 挙げられる。 風速、 乾燥時間、 温度、 圧力などは本発明の ル^ 解や^買 王しな い範囲で適宜選択される。
また、 本発明は、 前記の本発明のハイブリッドゲルに薬物を封入することで得られ る医薬組成物の製造方法に関する。
薬物封入方法として、 あらかじめ架橋されたハイプリッドゲルに薬物溶液を添加す る方法が挙げられる。 当該方法では、 まず、 膨潤したゲル内部へ拡散によって薬物が 吸収され、 吸収された薬物は、 ハイブリッドゲル中の疎水性相互作用による物理架橋 ドメインに保持されることによって薬物が封入される。 特に限定されないが、 溶媒、 塩濃度、 P H、 温度、 時間、 変性剤の添加などの条件は、 薬物が安定でかつ高収率で 封入されるように適宜選択してよい。 例えば、 薬物封入時の塩濃度や p Hによって、 ハイブリッドゲルの膨潤度や密度が変化し、 薬物の電離状態なども変わるため、 その 組み合わせによって適宜、適した条件を使用すればよい。また、 C H Pナノゲルと種々 タンパク質の複合化挙動は、 例えばインスリン (非特許文献 1 2参照) やアルブミン (非特許文献 7参照) などは常温において自発的に複合化するのに対して、 炭酸脱水 酵素 B (非特許文献 8参照) やクェン酸合成酵素 (非特許文献 9参照) などは熱変性 や変性剤による変性条件において複合化するというように、疎水性基を有する親水性 多糖類誘導体と複合化することができる条件は夕ンパク質やべプチドによって異な . る。 そのため、 本発明の組成物 (好ましくはゲル状組成物) への薬物封入条件は、 封 入する薬物の特性によって温度や変性剤の添加などを行うなど適宜調整すればよい。 変性剤を添加した場合は、 薬物封入後、 過剰の水などで洗浄して余剰の変性剤を除去 すればよい。 また、 当該方法においては、 本発明のハイブリッドゲルのサイズが小さ くなる程、 比表面積が広くなり、 また薬物が疎水架橋ドメインに保持されるまでに本 発明のゲル内を拡散する距離が短くなること力 ら、薬物封入工程にかかる時間が短縮 することができる。 本発明のハイブリッドの架橋密度は、 封入する薬物が拡散によつ て速やかに吸収される範囲であることが好ましく、架橋方法やハイプリッドゲル化さ せる条件によって封入される薬物の分子量やサイズなどに合わせて、その適した架橋 密度のハイブリッドゲルを調製すればよい。 また、 i n s i t u架橋の場合、 未反 応の架橋性官能基や架橋剤が製剤中に残存してしまうことから、 医薬品としての安全 性の観点から好ましくない。 これは、 洗浄工程や未反応の架橘性' 能 ftを他の反)心 1'王 試薬で消失させる工程により改善されるが、 これらの工程は封入された薬物の共存下 で行わなければならず、 回収率の低下や薬物変性の原因となるが、 当該方法では、 薬 物非存在下で洗浄工程などを行つた後に薬物封入を行える点で大きな利点がある。 ま た、疎水性基を有する親水性多糖類誘導体の疎水ドメインに保持されなかった薬物は、 生体内に投与された場合に速やかに本発明のハイプリッドゲルから放出されてしま うため、洗浄工程によって除去することが好ましい。薬物封入後に必要に応じて粉碎、 乾燥工程などを行ってもよく、 粉砕工程の条件や乾燥工程の風速、 乾燥時間、 温度、 圧力などは本発明のハイプリッドゲルや封入された薬物が分解や変質を生じない範 囲で適宜選択される。
また、 薬物封入方法として、 疎水性基を有する親水性多糖類誘導体が形成するナノ ゲルに薬物を複合化させた後、 このナノゲル ·薬物複合体とヒアルロン酸誘導体を i n s i t u架橋することでハイプリッドゲルイ匕させる方法が挙げられる。特に限定 されないが、 複合化の際の溶媒、 塩濃度、 p H、 温度、 時間、 変性剤の添加、 前記親 水性多糖類誘導体濃度、 薬物濃度、 H Pと薬物の比率などの条件は、 薬物が安定でか つ高収率でナノゲルと複合化されるように適宜選択してもよい。複合化されなかった フリーの薬物は、 透析法やサイズ排除クロマトグラフ (S E C) 法などで分離、 除去 すればよい。 i n s i t u架橋の際は、 ナノゲルに複合化された薬物が変性しない 架橋条件を用いることが好ましい。一般にヒアルロン酸誘導体と薬物を i n s i t u架橋する場合、薬物と基材が反応しない選択的な架橋反応を利用する必要があるが、 完全に選択性を得ることは難しい。 当該方法において、 H Pに複合化された薬物は、 フリーの薬物と比較して反応性が抑えられているために、 HAまたはその誘導体と i n s i t u架橋しても、基材との副反応が起こりにくい利点がある。本発明者らは、 エリスロポエチン (E P O) をモデル薬物として、 C H Pと複合化した E P Oとフリ 一の E P Oの間に前記反応性の違いがあることを実施例 3 0で示している。当該方法 においては、例えば疎水性基を有する親水性多糖類誘導体として C H Pのようなノニ オン性の骨格を持つポリマーを用いることが特に好ましい。 これは、 ノニオン性ポリ マーとヒアルロン酸およびその誘導体のようなァニオン性ポリマー同士の相溶性が よくないために、 C H Pとヒアルロン酸誘導体の間ではミクロ和力、離^起こり、 じ i Pに複合化されたナノゲル内の薬物は、 ヒアルロン酸誘導体の化学架橋反応から保護 されるためである。 i n s i t u架橋した後に必要に応じて粉砕、 乾燥、 洗浄工程 などを行ってもよく、各条件は本発明の八イブリツドゲルや封入された薬物が分解や 変質を生じない範囲で適宜選択される。
本発明のハイプリッドゲルからの薬物は、ハイプリッドゲル中の薬物および薬物と 疎水性基を有する親水性多糖類誘導体との複合体の拡散、 ハイプリッドゲルの分解、 および生体成分と薬物の置換によって放出される。放出される薬物とは、 フリーの薬 物であつても疎水性基を有する親水性多糖類誘導体との複合体であつてもよい。例え ば、 i n v i t r oにおいて、 C H P ·インスリン複合体にアルブミンを添加する と速やかに置換が起こりフリーのインスリンが放出されること、 また、 そのまま静脈 投与すると速やかに血液成分との置換が起こり、 フリーのインスリン水溶液を投与し た場合と比較してほぼ同等の薬効を示すことが非特許文献 1 2に例示されており、複 合体としてハイプリッドゲルから放出された薬物は、生体内において速やかに複合体 から解離すると考えられる。
薬物および複合体の拡散によって薬物放出がなされる場合には、本発明のハイプリ ッドゲルの架橋密度、および疎水架橋ドメインの量やその疎水性の強さによってその 速度を制御することが可能である。 特に薬物とナノゲルの結合定数が高い場合、 複合 体の拡散によって薬物は放出される。 この場合、 封入する薬物に依らず、 ハイブリツ ドゲルからのナノゲルの拡散速度を制御することで薬物放出速度を制御することが 可能である。
ハイブリッドゲルの分解とは、 例えば、 化学架橋ドメインの分解、 ヒアルロン酸誘 導体の骨格の分解、疎水性基を有する親水性多糖類誘導体誘導体の骨格の分解などが ある。 これらの分解により、 架橋密度の低下 (膨潤率の増大) が生じる。 またヒアル 口ン酸誘導体と疎水性基を有する親水性多糖類誘導体が化学的に結合している場合 は、 この結合が切れることになる。 架橋密度が低下すると、 ハイブリッドゲル中の薬 物や複合体の拡散速度が加速されるため放出が促進され、 また結合が切れることによ つても放出が促進される。 このため、 化学架橋ドメインの分解性、 ポリマー骨格の分 解性、 スぺ一サ一の分解性などを制御することによって、 薬物万又 ffi遝反 刺卿 こ とが可能である。
生体成分との置換とは、 例えば、 八イブリツドゲルを皮下や血中などの生体内に投 与した場合、 アルブミンなどの血漿タンパク質や脂質などが存在し、 これらがハイブ リッドゲル中に浸潤、封入されている薬物と置換されることにより薬物が放出される 場合を意味する。 本発明のハイブリッドゲルは、 C H Pなどの疎水性基を有する親水 性多糖類誘導体を、 架橋したヒアルロン酸誘導体中に封入することによって、 生体成 分の浸潤に伴う薬物との置換を抑制することが可能で、 例えば、 本発明者らは過剰の アルプミン存在下、非存在下のどちらにおいても薬物放出速度が変わらないことを実 施例 8に示している。 生体成分の浸潤は、 ハイブリッドゲルの架橋密度、 ゲル中の電 荷などによってその速度を制御することが可能である。 なお、 前記の架橋によりハイ プリッドゲルを形成後に薬物溶液を添加して薬物封入をする場合は、封入時に薬物は ハイプリッドゲル中に吸収されやすく、生体内では生体成分の浸潤が抑制されるよう に、 その封入条件を適宜選択することができる。 特に限定されないが、 例えば、 タン パク質を封入する場合、 その等電点付近で封入工程行うことで、 ヒアルロン酸誘導体 と薬物の静電反発を抑制することができる。 また、 ヒアルロン酸に含まれるダルク口 ン酸由来のカルボン酸の p K a (およそ 4 . 0 ) 以下で封入工程を行うことで、 ハイ プリッドゲルが持つ負電荷を弱めることができるので、その条件で負電荷に帯電して いるタンパク質との静電反発が抑制され、 封入効率の向上が可能となる。 また、 例え ば生体内よりも低い塩濃度において封入工程を行うことで、生体内よりもハイプリッ ドゲルの膨潤率が高くなるため、 封入が容易となる。
薬物を封入した前記ハイブリッドゲルに、 さらに、 2価の金属イオンや硫酸プロ夕 ミンなどの持続化剤を添加することで、 更に徐放期間を長くすることが可能である。 2価の金属イオンとしては、 例えば亜鉛、 マグネシウム、 鉄、 カルシウム、 アルミ二 ゥムなどが挙げられる。
前記八イブリッドゲルのサイズは、前記の不連続相中でゲル化を行う方法や粉砕方 法を用いることで、 用途によって調節することができる。 インジェクタブルな医薬組 成物とするためには通常、 0 . 0 1 !!!〜 1 5 0 mが好ましい。 経皮投与の時は、 0. 01 m〜l 50 mが好ましく、 経鼻、 経肺投与の時は、 0. 01 _im〜5 mが吸入効率の点で好ましく、 静注投与の時には、 0. 01 111〜0. 2 ^111程度が 血中動態の点から好ましい。
なお、 本発明のハイブリッドゲルに封入する薬物 (低分子化合物、 タンパク質、 ぺ プチド、 および核酸) の例としては、 以下のものを挙げることができる。
低分子化合物の例としては、例えば、制癌剤(例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、 アルカロイド等) 、 免疫抑制剤、 抗炎症剤 (ステロイド剤、 非ステロイド剤系抗炎症 剤、 等) 、 抗リウマチ剤、 抗菌剤 (i3-ラクタム系抗生物質、 アミノグリコシド系抗 生物質、 マクロライド系抗生物質、 テトラサイクリン系抗生物質、 新キノロン系抗生 物質、 サルファ剤、 等) などを挙げることができる。
タンパク質、 ペプチドの例としては、 例えば、 貧血治療薬、 臓器保護薬であるエリ スロポェチン (EPO) 、 好中球減少症治療薬であるダラニュロサイトコロニー刺激 因子 (G— CSF) 、 インタ一フエロン一 、 βゝ γ、 (I NF—ひ、 j8、 τ) 、 卜 ロンポポェチン (ΤΡΟ) 、 シリアリ一ニュー卜ロフイクファクタ一 (CNTF) 、 チュ一マ一ネクローシスファクター (TNF) 、 チューマーネクローシスファクタ一 結合タンパク質 (TNFbp) 、 インターロイキン一 10 (I L— 10) 、 FMS類 似チロシンカイネース (F i t— 3) 、 成長ホルモン (GH) 、 インシュリン、 イン シュリン類似成長因子— 1 (I GF— 1) 、 血小板由来成長因子 (PDGF) 、 イン ターロイキン一 1レセプターアンタゴニスト ( I L- 1 r a) 、 ブレイン由来ニュー ロトロフイクファクタ一 (BDNF) 、 ケラチノサイト成長因子 (KGF) 、 幹細胞 因子 (SCF) 、 メガカリオサイト成長分化因子 (MGDF) 、 ォステオプロテゲリ ン (OPG) 、 レブチン、 副甲状腺ホルモン (PTH) 、 塩基性フイブロブラスト成 長因子 (b— FGF) 、 骨形成タンパク質 (BMP) 、 心房性ナトリウム利尿べプチ ド (ANP) 、 脳性ナトリウム利尿ペプチド (BNP) 、 C型ナトリウム利尿べプチ ド (CNP) 、 グルカゴン様ペプチド一 1 (GLP— 1) 、 各種酵素補充療法薬、 抗 体、 ダイアポディー、 ミニボディー、 断片化抗体等を挙げることができる。
核酸の例としては、例えば、 DNA、 RNA、 アンチセンス、デコイ、 リポザィム、 sma l l i n t e r f e r i ng RNA、 RN Aァプ夕マ一等を挙げることがで さる。
本発明のハイブリッドゲルは、 薬物を封入して、 1種もしくはそれ以上の薬学的に 許容し得る希釈剤、 湿潤剤、 乳化剤、 分散剤、 補助剤、 防腐剤、 緩衝剤、 結合剤、 安 定剤等を含む医薬組成物として、 目的とする投与経路に応じ、 適当な任意の形態にし て投与することができる。投与経路は非経口的経路であっても経口的経路であっても よい。
薬物としては、 タンパク質およびペプチドが好ましく、 これらの薬物を封入するこ とで、 タンパク質およびペプチドを含有する、 本発明の組成物を得ることができる。 本発明により、 従来の徐放性製剤では得られない、 タンパク質、 ペプチド、 核酸、 低分子化合物といった薬物を長期間徐放できる安全性の高い徐放性製剤、医薬組成物 を提供することが可能である。
実施例
以下、 本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明する。
以下の記載中の HAュニッ卜とは、 ヒアルロン酸中の N—ァセチルダルコサミン— グルクロン酸を 1ユニットとするの繰り返し単位を意味する。 また、 実験操作におい て使用した超純水は、超純水製造装置(例えば、ミリポア(M i 1 1 i po r e)社製、 M i l l i—Q S P TOC (型番 ZD21TOCSP) など)を用いて調製した ものを使用した。
〔実施例 1〕 MA基を導入した HA誘導体 (HA— MA) の合成
(実施例 1— 1) カチオン交換樹脂のテトラプチルアンモニゥム (TBA) 塩ィ匕
D OWE X (登録商標) 50 WX— 8— 400 (アルドリツチ社製) を超純水に懸 濁させ、 デカンテーシヨンにより樹脂を超純水で 3回程度洗浄した。 40wt%テト ラブチルアンモニゥムヒドロキシド水溶液 (TBA— OH) (アルドリツチ社製) を 樹脂のカチオン交換能に対し約 1. 5倍モル等量加え、 30分間ほど撹拌した。 余剰 の TB A— OH溶液をデカンテーシヨンにより除去した後、 さらに過剰の超純水で洗 浄することで、 TB A塩ィ匕したカチオン交換樹脂を得た。
(実施例 1— 2) HAのTBA塩ィ匕
分子量 16 kD a、 100 kD aおよび 200 kD aのヒアルロン酸ナトリウム塩 (HA— Na、 100 kD aのものは資生堂株式会社製、 その他は電気化学工業株式 会社製) をそれぞれ 15mg/mLの濃度で超純水に溶解した。 実施例 1— 1項で T B A塩化したカチオン交換樹脂の懸濁液を H Aュニッ卜のモル数に対し樹脂のィォ ン交換能換算で 5倍モル等量添加した。 15分間ほど撹拌した後、 0. 45 mのフ ィルターを用いて濾過を行い、 濾液を凍結乾燥し、 ヒアルロン酸 TB A塩 (HA— T BA) を白色固体として得た。
得られた HA— TBAを約 101!18/1111^の濃度で020に溶解させ、 NMRによ る構造解析を行い (ダルコサミンのァセチル基 (3H : 1. 75 p pm) の積分値を 基準とし、 TBAの二つのメチレン (N (CH2CH CH2CH3) 4、 2H: 1. 3 5 - 1. 39 ppmおよび 2H: 1. 64- 1. 67 p pm) の積分値の比率より算 出) 、 HAユニットに対する TBAの量比を算出し、 この塩比から TBA— HAのュ ニット平均分子量を算出し、 この値を次項の合成に使用した。
(実施例 1一 3) メタクリロイル基を導入した HA誘導体 (HA-MA) の合成 実施例 1—2で調製した各分子量の HA— TBAを 5mg/mLで無水 D MSO に溶解した。 その後、 2—アミノエチルメタクリレート塩酸塩 (AEMA) (ポリサ ィエンス社製) を H Aユニットに対して表 1に記載した比率で各溶液に添加した。 次 に、 ベンゾトリアゾールー 1—ィルォキシートリス (ジメチルァミノ) ホスホニゥム へキサフルォロホスフェート (BOP試薬) を HAユニットに対して以下に示す表 1 に記載した比率で加え、 穏やかな攪拌下、 室温で一晩反応させた。 反応溶液は 0. 3 M NaC 1水溶液を使用して透析 (スぺクトラボア 4、 分画分子量 (MWCO) : 12 k- 14 kD a, 外液は 4回交換した) し、 次に外液を超純水に変え、 引き続き 透析 (外液は 6回交換した) して精製をした。 得られた透析液を凍結乾燥して HA— MAを白色固体として得た。
得られた HA— MAを約 1 011^//1111^の濃度で020に溶解させ、 NMRにより 構造解析を行い (ダルコサミンのァセチル基の積分値を基準とし、 AEMAのメチレ ン (CH = C (CH3) C02CH2CH2NH—、 5. 60 ppmおよび 6. 00 p pmの積分値の比率より算出) 、 HAユニットに対する MA基の導入率を算出し、 導 入率から HA— AMEAのユニット平均分子量を算出した (表 1参照) 。 この結果、 縮合剤 (BOP試薬) および AEMAの添加量によって、 MA導人举¾ 制御可能であることが示唆された。
[表 1]
表 1 HA— AEMAの調製条件と特性
Figure imgf000039_0001
上記表 1の HA— MA— 9は、 以後 「HA— MA— 200 k— 43」 とも称する。 〔実施例 2〕 化学架橋 H A— MAのゲルの調製条件検討
(実施例 2— 1 ) ゲル化反応の緩衝液調製
50 OmM リン酸緩衝液 (PB、 pH8. 0 ) に 500 mMになるようにトリエ 夕ノールァミン (TEA) を添加し、 よく混合した。 これを超純水で 5倍に希釈して ρΗを測定したところ、 pHは 9. 2であった。
(実施例 2— 2) ジチオトレイトール (DTT) 水溶液の調製
75mg/mL (486. 07mM) になるように DTTを超純水に溶解させた。 (実施例 2— 3) 化学架橋 HA— MAのゲルの調製
各サンプル調製 (サンプル 2— 1〜2— 14) に使用した HA— MA、 最終濃度を ¾k た。
実施例 1で合成した種々の H A— MAをマイク口チューブに样取し、超純水を添加 し、 4°Cでー晚静置して、 表 2に示す種々の濃度の溶液を得た。 次に実施例 2— 1で 調製した TEA/PB溶液を最終容量の 1/5添加し、 よく混合した。 さらに、 実施 例 2— 2で調製した DTT水溶液を M A基の最終濃度に対して 1/2のモル数(MA 基と SH基の比率が 1 : 1) になるように添加し、 よく混合した。 最終容量は、 どの 条件もおよそ 1 0 0 とした。遠心操作により混合時に発生した気泡を除去し、 3 7。じで 1 4時間静置することによつて化学架橋反応を行つた。
サンプル 2— 7およびサンプル 2 - 1 3では、 HA— MAが完全には溶解しなかつ た。
[表 2 ]
表 2 化学架橋 HA— MAの調製条件一 1
Figure imgf000040_0001
(実施例 2— 4 ) 化学架橋 HA— MAのゲルの特性評価
実施例 2— 3において調製したゲルをマイク口チューブより取り出し、全体がゲル 化していないものを 「一」 、 一部がゲル化したものを 「土」 、 全体がゲル化したもの を 「十」 としてスコアをつけた。 次に、 全体がゲル化したゲルを過剰の超純水を用い て 4°Cでー晚膨潤させた。膨潤したゲルのそれぞれについて、キムワイプ(登録商標) で表面についた水分を吸い取り、 重量を測定した (膨潤重量) 。 次に、 膨潤したゲル を凍結乾燥し、 重量を測定した (乾燥重量) 。 以下の式 (1 ) により膨潤時のゲル密 度を算出した (表 3 ) 。
式 (1 ) (膨潤時ゲル密度%wZw) = { (乾燥重量) / (膨潤重量) 1 X 1 0 0 ほ 3]
表 3 化学架橋 HA— MAのゲルの調製条件と特性
Figure imgf000041_0001
NT:測定せず
この結果、架橋性官能基である MA基の導入率が高いほどゲル密度が高くなること、 架橋時の HA— MA濃度が高いほどゲル密度が高くなること、 HA分子量が高いほど、 低い濃度でゲル化が起こることが示唆された。
〔実施例 3〕 コレステロール基導入プルラン (CHP) を封入した化学架橋 HA— M Aハイプリッドゲルの調製一 1
(実施例 3— 1) C HP水溶液の調製
分子量 100 kD aのプルランの 100単糖あたり 1. 38個のコレステロール基 が置換されている CHP (CHP- 100 - 1. 38と表記する; PUREBR I G HT CP— 100T、 日本油脂株式会社製) を 5mgZmLの濃度で DMSOに溶 解させた。 この DM SO溶液を超純水に対して透析 (スぺクトラポア 4、 MWCO: 12 k- 14 kD a) し、 得られた水溶液を 0. 22 mのフィルターで濾過し、 凍 結乾燥した。 得られた CHP— 100— 1. 38の白色粉末を 3 OmgZmLの濃度 になるように超純水に溶解させることで、 CH Pの水溶液を得た。
(実施例 3— 2 ) ゲル化反応の緩衝液調製
50 OmMリン酸緩衝液 (PB) (pH8. 0 ) に 500 mMになるようにトリェ 夕ノールァミン (TEA) を添加し、 よく混合した。 (実施例 3— 3) ジチオトレイトール (DTT) 水溶液の調製
25mg/mL (162. 02mM) および 15 Omg/mL (972. 13mM) になるように D T Tを超純水に溶解させた。
(実施例 3— 4) CHPを封入した化学架橋 ΗΑ— ΜΑの調製
各調製 (サンプル 3— 1〜3— 18) に使用した ΗΑ— ΜΑ、 最終濃度を表 4に示 した。
実施例 1で合成した Η Α— ΜΑ— 3および HA— MA— 8をマイク口チューブに 抨取し、 超純水および実施例 3— 1で調製した CHP水溶液を添加し、 4°Cでー晚静 置して、 表 4に示す種々の濃度の溶液を得た。 次に実施例 3— 2で調製した TEA/ PB溶液を最終容量の 1ノ 5添加し、 よく混合した。 さらに、 実施例 3— 3で調製し た DTT水溶液を MA基の最終濃度に対して 1 Z2のモル数(MA基と SH基の比率 が 1 : 1) になるように添加し (サンプル 3— 1〜3— 9は 15 OmgZmL溶液、 サンプル 3— 10〜3— 18は 25mg mL溶液使用) 、 よく混合した。 最終容量 は、 どの条件もおよそ 100 / Lとした。遠心操作により混合時に発生した気泡を除 去し、 37 °Cで 14時間静置することによって化学架橋反応を行った。
[表 4]
CHPを封入した化学架橋 HA— MAのハイプリッドゲルの調製条件— 1
HA分子量 MA導入率 H A— M A最終濃度 CHP最終濃度 サンプル HA-MA
(kD a) (ュニット%) (,mg/mL) (mg/mL)
3-1 HA-MA- 3 16 38. 2 50 5
3-2 HA-MA- 3 16 38. 2 50 10
3-3 HA-MA- 3 16 38. 2 50 20
3-4 HA-MA- 3 16 38. 2 100 5
3-5 HA-MA- 3 16 38. 2 100 10
3-6 HA-MA- 3 16 38. 2 100 20
3-7 HA-MA- 3 16 38. 2 200 5
3-8 HA-MA- 3 16 38. 2 200 10
3-9 HA-MA- 3 16 38. 2 200 20
3- 10 HA-MA- 8 200 41. 6 10 5
3- 11 HA— MA— 8 200 41. 6 10 10
3-12 HA-MA- 8 200 41. 6 10 20
3-13 HA-MA- 8 200 41. 6 20 5
3-14 HA-MA- 8 200 41. 6 20 10
3-15 HA-MA-8 200 41. 6 20 20
3- 16 HA-MA- 8 200 41. 6 40 5
3-17 HA-MA- 8 200 41. 6 40 10
3-18 HA-MA- 8 200 41. 6 40 20 (実施例 3— 5 ) C H Pを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルの特性評価 実施例 3— 4において調製した化学架橋 HA— MAをマイク口チューブマイク口 チューブより取り出し、 全体がゲルィヒしていないものを 「一」 、 一部がゲル化したも のを 「土」 、 全体がゲル化したものを 「十」 としてスコアをつけた。 また、 ゲルの外 観 (透明、 不透明) について表 5に記載した。 次に、 全体がゲル化したサンプルを過 剰の超純水を用いて 4 °Cで一晚膨潤させた。膨潤前のゲルの形状のまま膨潤したもの を均一に膨潤したゲル、 そうでないものを不均一に膨潤したゲルとした。 膨潤したそ れぞれのゲルは、 キムワイプで表面についた水分を吸い取り、 重量を測定した (膨潤 重量) 。 次に、 膨潤したゲルを凍結乾燥し、 重量を測定した (乾燥重量) 。 前記の式 ( 1 ) により膨潤時のゲル密度を算出した (表 5 ) 。
[表 5 ]
表 5 C H Pを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルの調製条件と特性—
Figure imgf000043_0001
N T:測定せず サンプル 3— 7〜3— 9では完全ではなかったが、全てのサンプルにおいてゲル化 の進行が確認された。 サンプル 3— 7〜 3— 9では、 H A— MAのみではゲル化した のに対して CHP共存下ではゲル化が完全には進行しなかったのは、 CHPを混合す ることでゲル化前の溶液粘度が増大し、 ポリマー、 架橋剤が均一に混合できなくなつ たことによるものと思われた。 また、 サンプル 3— 16〜3— 18では、 不均一な膨 潤挙動が見られた。 これは、 サンプル 3— 7〜3— 9と同様に CHPを混合すること でゲル化前の溶液粘度が増大し、ポリマ一、架橋剤が均一に混合できなくなった結果、 不均一な架橋となったと思われた。 実施例 2の結果と併せて、 高濃度での化学架橋に よるゲル化は、 HA— MAおよび CHP混合溶液の濃度や比率によって、 その溶解性 や粘度に起因する上限があるものと思われた。
また、 CHP濃度が上がるにつれて、 ゲル化反応直後のゲルが不透明となる場合が 確認されたが、 超純水に対する膨潤後は透明になった。 これは膨潤することによるゲ ル密度 (ポリマー濃度) の低下、 pHの変動、 TEAが除去されたことなどに起因す ると考えられた。
膨潤時のゲル密度は、 CHP含量が高くなるにつれ増大していた。 CHPはゲル化 の化学架橋反応に関与しないことから、超純水に対して膨潤しても封入されたままに なっていることが示唆された。本実施例により種々の組成およびゲル密度で CHPを 封入した化学架橋 H A— M Aハイプリッドゲルが得られることが示された。
〔実施例 4〕 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルの調製一 2 (実施例 4一 1) ゲル化反応の緩衝液調製
50 OmMになるようにトリエタノ一ルァミン (TEA) を超純水に対して溶解さ せた。 超純水で 5倍に希釈して pHを測定したところ、 pHは 9. 2であった。
(実施例 4— 2) ジチオトレイト一ル (DTT) 水溶液の調製
15 Omg/mL (972. 13 mM)になるように DTTを超純水に溶解させた。 (実施例 4— 3) CHPを封入した化学架橋 HA— ΜΑΛイブリッドゲルの調製 各ゲル調製 (サンプル 4一 1および 4一 2) に使用した HA— MA、 最終濃度を表 6に示した。
実施例 1で合成した H A— MA— 3をマイク口チューブに秤取し、超純水および実 施例 3— 1で調製した CHP水溶液を添加、 4 °Cでー晚静置することで種々の濃度で 溶解させた。 次に実施例 4一 1で調製した TEA水溶液を最終容量の 1/5添加し、 よく混合した。 さらに、 実施例 4一 2で調製した DTT水溶液を M A基の最終濃度に 対して 1Z2のモル数 (MA基と SH基の比率が 1 : 1) になるように添加し、 よく 混合した。 最終容量は、 どの条件もおよそ 10 とした。 遠心操作により混合時 に発生した気泡を除去し、 37°Cで 14時間静置することによって化学架橋反応を行 つた。
6]
CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルの調製条件
Figure imgf000045_0001
(実施例 4— 4) CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイブリッドゲルの特性評価 実施例 4一 3において調製した化学架橋 HA— MAゲルおよびハイプリッドゲル をマイクロチューブより取り出し、 ゲルの外観 (透明、 不透明) について表 7に記載 した。 次に、 ゲルを過剰の超純水を用いて 4°Cでー晚膨潤させた。 膨潤したそれぞれ のゲルは、キムワイプで表面についた水分を吸い取り、重量を測定した(膨潤重量)。 次に、 膨潤したゲルを凍結乾燥し、 重量を測定した (乾燥重量) 。 前記の式 (1) に より膨潤時のゲル密度を算出した。
[表 7]
CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルの調製条件と特性一
Figure imgf000045_0002
この結果から、 反応溶液から PBを除去しても、 化学架橋 HA— MAゲルは調製可 能であり、 むしろゲル密度が増大したことから、 化学架橋の反応効率は高いことが示 唆された。 また、 サンプル 4一 2においてゲルの不透明化は見られなかった。 実施例 3において不透明化したゲルを超純水に膨潤すると透明になったことと、本項の結果 を合わせて、 HA— MAと CHPの相分離は、 溶液塩濃度を低減することで抑制でき ることが示唆された。
〔実施例 5〕 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルの薬物吸収性お よび放出性、 ならびにゲル分解性の評価
(実施例 5— 1 ) ハイブリッドゲルへの F I T C— I n s封入
l O OmM PB (pH7. 4) に 100 X gZmLの濃度になるように F I TC - I n s (アルドリッチ社製) を溶解させた。 実施例 3において調製したサンプル 3 一;!〜 3— 6のハイプリッドゲルの凍結乾燥品に 5mLの F I TC— I n s溶液を 添加し、 4°Cにおいて 2日間インキュベーションしたところ、 実施例 3における膨潤 時は無色透明であったそれぞれのハイブリッドゲルは、周囲の F I TC- I n s溶液 より濃い黄色を呈していた。 このことから、 ハイブリッドゲルは F I TC— I n sを 自発的に吸収、 保持したものと考えられた。 F I TC— I n s溶液を除去したハイブ リッドゲルの外観を図 1に示した。
(実施例 5— 2 ) ハイプリッドゲルの F I T C _ I n s放出特性評価
実施例 5— 1で F I TC— I n sを封入したハイブリッドゲルに 5 mLの P B S (pH7. 4) を添加し、 37°Cにおいて 4日間インキュベーションした。 そのとき の外観を図 2に示した。 それぞれのハイブリッドゲルは黄色を呈したままで、 水溶液 は無色透明のままであったことから、 自発的に吸収、 保持された F I TC— I n sは 速やかに放出されないことが示唆された。 次に、 最終濃度で 1 OmMになるように 1 0 OmM 2—ヒドロキシプロピル一 ]3—シクロデキストリン (HP—]3—CD、 純 正化学株式会社製) 水溶液を添加し、 37°Cにおいてインキュベーションした。 経時 的に外観を観察したところ、 黄色を呈していたハイブリッドゲルは徐々に退色し、 水 溶液が徐々に黄色を呈した (HP— j3— CD添加後 2時間の外観、 図 3) 。 シクロデ キストリンは、 CHPのコレステロール基を包摂し、 コレステロール基と疎水性相互 作用によつて結合していたタンパク質やペプチドを放出することが知られているが、 このことから、 F I TC— I n sはコレステロール基との疎水性相互作用により保持 されていたことが示された。 また、 CHPナノゲルは水溶液中でインスリンと自発的 に複合化することが知られているが、実施例 3で調製した八イブリツドゲル中におい ても、 その複合化能を保持していることが確認された。
(実施例 5— 3 ) ハイプリッドゲルの分解性評価
実施例 5— 2の放出特性を評価したサンプル (CD添加 2時間後) .に、 それぞれ 1 25mUのヒアルロニダーゼ SD (Hy d a s e SD、 生化学工業株式会社製) を添 加し、 37°Cで 2日間インキュベーションした。 そのときの外観を図 4に示した。 分 子量 16 kD aの HAに MA基を導入した HA— MAを 5 Omgノ mL濃度でゲル 化させたサンプル 3—:!〜 3— 3のハイプリッドゲルは、酵素添加により完全に分解 され、 均一に薄く黄色に呈色した溶液となっており、 封入されていた F I TC- I n sは完全に放出されたと考えられた。 一方、 10 Omg/mL濃度でゲル化させたサ ンプル 3— 4〜 3― 6のハイプリッドゲルは、 大部分のゲルは分解されていたが、 一 部の薄く黄色に呈色したゲルが残存していた。 このことから、 実施例 3で調製したハ イブリツドゲルは、 生分解性であるとともに、 ゲル密度によってその分解速度が異な ることが示唆された。 また、 コレステロール基をシクロデキストリンで包摂して F I TC- I n sとコレステロール基の疎水性相互作用を切ることによって、 F I TC— I n sの放出が起こることが実施例 5— 2で示されたが、本実施例からハイプリッド ゲルの分解に伴って薬物放出が起こることも示唆された。
〔実施例 6〕 C H Pを封入した化学架橋 H A— MAハイプリッドゲルへのィンスリン 封入
(実施例 6 _ 1) CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルの調製 実施例 4に示した方法と同様の手順で表 8に記載したハイプリッドゲルを調製し た。 8]
表 8 CHPの封入した化学架橋 HA_MAハイプリッドゲルの調製条件— 3
Figure imgf000048_0001
(実施例 6— 2) インスリン封入の経時変化、 および封入量の算出
実施例 6— 1において調製したハイブリツドゲルをマイクロチューブより取り出 し、 過剰の超純水を用いて 4°Cでー晚膨潤させた。 超純水をデカンテ一シヨンにより 除去してから膨潤したゲルを凍結乾燥した。 4mLの 1 5 0mM PB (pH7. 4) をそれぞれの凍結乾燥ゲルに添加し、 4°Cでー晚膨潤させた後、 PBをデカンテ一シ ヨンにより除去した。 インスリン (ゥシ膝臓由来、 シグマ社製) を l O O g/mL になるように 1 5 0mM PB (pH7. 4) に溶解させた。 インスリンの分子量を 5, 7 3 3. 5として、 ゲル調製の仕込み量を基準とした CHP 4モルに対してイン スリン分子 1 5モルが添加されるように、ィンスリン溶液をそれぞれのゲルに添加し 4°Cにおいて静置した。 インスリン溶液添加後、 1日、 3日、 5日目に上澄みを 7 0 X Lずつ回収し、上澄み中のィンスリン濃度を液体ク口マトグラフィ一の逆相モード (RP-HPLC) で定量した。 上澄み中から減少したインスリン量 (=ゲル中に封 入されたィンスリン量、 定量のために回収した上澄み中のィンスリン減少分は補正) をプロットしたグラフを図 5に示した (サンプル 6— 3はサンプル 6— 2と同条件な のでデータは省略) 。 RP— HP LCの分析条件は以下に示した。 また、 添加したィ ンスリン溶液はデカンテ一ションにより除去し、 各ゲルは実施例 7に供した。
RP—HPLC^*
システム: Wa t e r s A 1 1 i a n c e 2 7 9 0/248 7
カラム: C a d e n z a CD 1 8 -C (3 / m) 3. OmmX 5 Omm ( I m t a k t社製)
流速: 0. 7 5mLZ分 検出: UV (280 nm)
溶出液 A: 0. 01 %w/vTF A含有超純水
溶出液 B: 0. 01 %wZvTFA含有ァセトニトリル
溶出方法: 溶出液 AZ溶出液 B = 80Z20から 50Z50のリ二ァーグラジェ ン卜
この結果、実施例 5と同様にインスリンはハイプリッドゲルに自発的に封入された。 サンプル 6— 1とサンプル 6 _ 2の比較から、ハイブリッドゲルに封入されるインス リン量は C H P含量に依存しており、ハイブリッドゲル中の C H Pがィンスリンを保 持するリザ一バーとして機能していることが示唆された。 また、 サンプル 6— 2とサ ンプル 6— 4の比較から、 封入される速度はゲルの架橋密度が高いほど遅く、 ゲル中 へのィンスリンの拡散速度はゲルの架橋密度に依存することが示唆された。
〔比較例 1〕 H A— M A化学架橋ゲルへのィンスリン封入
(比較例 1— 1) H A— MA化学架橋ハイプリッドゲルの調製
実施例 4に示した方法と同様の手順で、表 9に記載した化学架橋 H A— MAゲルを 調製した。
ほ 9]
表 9 化学架橋 HA— MAの調製条件一 2
Figure imgf000049_0001
(比較例 1一 2) インスリン封入の経時変化、 および封入量の算出
比較例 1一 1で調製した化学架橋 HA— MAのゲルに、実施例 6— 2と同様の方法 でィンスリン封入を行った。 ィンスリン溶液は、 実施例 6— 2のサンプル 6— 2と同 量添加した。 ゲル中に封入されたインスリン量を図 5に併せて記載した。 この結果、 C H Pを含有しない H Aゲルに封入されるインスリン量はハイブリッドゲルに対し て極めて少なかった。本検討の化学架橋 HA— MAゲル自体にはインスリンを自発的 に吸収する能力はほとんどないことが示唆された。
〔実施例 7〕 C H Pを封入した化学架橋 H A— MAハイプリッドゲルからのィンスリ ン放出挙動
ハイプリッドゲル中や表面の CH Pに保持されていないィンスリンを除去するた め、 実施例 6においてインスリンを封入したハイブリッドゲルに 5 mLの 1 OmM PB、 15 OmM NaC l、 pH7. 4 (PBS) を添加し、 4°Cにおいて 1時間 静置した後、 PBSをデカンテ一シヨンによって除去した。 さらに、 5mLの PBS を添加し、 4°Cで 1日間静置後、 PBSを除去した。 再度この操作を繰り返した。 サンプル 6— 2、 サンプル 6— 4、 サンプル 6— 5のハイブリッドゲルには 500 iLの PB S、サンプル 6— 3のハイブリッドゲルには 500 Lの 1 OmMの HP _/3— CDを含む PBSを添加し、 37 °Cでインキュべ一ションした。 インキュベー シヨン開始後、 1時間、 3時間、 1日、 2日、 5日、 7日後に、 400 Lの上澄み を回収、 新たに 400 Lの各リリースバッファー (CDを含まない PBS (CD (一) ) 、 CDを含む PBS (CD (+) ) ) を添加する操作を行った。 回収した上 澄み中のインスリン濃度を RP— HPLC (実施例 6— 2に記載の条件) で定量し、 各測定時までにハイプリッドゲルからリリ一スされた累積のィンスリン量を算出し た。 この値を封入されたインスリン量 (実施例 6— 2で算出) に対するパーセント量 としてプロットしたものを図 6および図 7に示した。
この結果、 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルからのインスリ ン放出挙動は、 初期バ一ストの少ない徐放性を有するものであり、 サンプル 6— 2と サンプル 6— 4の比較から、 その放出速度はゲル密度 (架橋密度) に依存することが 明らかとなった。 このことから、 架橋密度を制御することによって薬物放出速度を制 御することが可能なことが示唆された。サンプル 6— 2とサンプル 6— 5のハイプリ ッドゲルからの放出速度はほぼ同様であった。 この 2つのサンプルは HA分子量が異 なるがゲル密度はほぼ同様であり、前記の結果と併せてゲル密度によって放出速度が 規定されることがわかった。 また、 サンプル 6 _ 2とサンプル 6— 3の比較から、 シ クロデキストリンを添加することでィンスリンの放出速度が大幅に加速された。実施 例 5の結果と同様、ィンスリンはコレステロール基との疎水性相互作用により保持さ れており、 CHPナノゲルはハイブリッドゲル中においても、 その複合化能を保持し ていることが示された。 また、 リリース試験において回収した上澄みについて以下に示したサイズ排除クロ マトグラフィ一 (SEC) 分析を行ったところ、 放出された種として、 サンプル 6— 3以外のサンプルではインスリン ·ナノゲル複合体のみが検出され (保持時間 6. 2 分) 、 サンプル 6— 3では複合体およびフリーのインスリン (保持時間 10. 8分) が検出された。この結果、 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルは、 インスリン ·ナノゲル複合体を徐放すること、 シクロデキストリンによって疎水性基 (コレステロール基) を包摂すると、 フリーのインスリンが放出されることがわかつ た。
SEC分析条件
システム: Wa t e r s A l l i an c e 2790/2487
カラム: G2000 SWXL (TO S OH社製)
流速: 1. OmL/7
検出: UV検出 (280 nm)
溶出液: P B S
インジェクション容量: 100
〔実施例 8〕 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルへの封入特性お よび放出特性の評価
(実施例 8— 1) CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルの調製 実施例 4に示した方法と同様の手順で表 10に記載したハイプリッドゲルを調製 した。 得られたハイブリッドゲル溶液の最終容量が 50 ^Lになるように調製した。
10] · 表 10 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルの調製条件一 4
Figure imgf000051_0001
(実施例 8— 2) F I TC— I n s封入量の算出
実施例 8— 1において調製したハイプリッドゲルをマイクロチューブより取り出 し、 過剰の超純水を用いて 4 °Cでー晚膨潤させた。 超純水をデカンテーシヨンにより 除去してから膨潤したゲルを凍結乾燥した。 4mLの 150 mM PB (pH7. 4) をそれぞれの凍結乾燥ゲルに添加し、 4°Cでー晚膨潤させた後、 PBをデカンテ一シ ヨンにより除去した。 F I TC— I n s (アルドリッチ社製) を l O O gZmLに なるように 150mM PB (pH7. 4) に溶解させた。 F I TC— I n sは分子 量を 6122. 49 (インスリン 1分子に F I TCが 1分子結合していると仮定) と して、ゲル調製の仕込み量を基準とした CHP 4モルあたり F I TC— I n s分子 1 5モルが添加されるように、 F I TC— I n s溶液をそれぞれのゲルに添加し 4 °Cに おいて静置した。 インスリン溶液添加後、 1時間、 1日、 3日、 5日後に上澄みを 1 00 Lずつ回収し、 上澄み中の F I TC- I n s濃度を分光光度計 (検出波長、 4 94nm) で定量した。 上澄み中から減少した F I TC— I n s量 (=ゲル中に封入 された F I TC— I n s量、定量のために回収した上澄み中の F I TC— I n s減少 分は補正) を算出した。 サンプル 8— 1〜8— 3のゲル中に封入された F I TC- I n s量のハイプリッドゲル乾燥重量に対する重量パ一セントをプロットしたグラフ を図 8に示した。 また、 添加した F I TC- I n s溶液はデカンテ一シヨンにより除 去し、 各ゲルは実施例 8— 3に供した。
(実施例 8— 3) F I TC— I n sのハイプリッドゲルからの放出挙動
実施例 8— 2で F I TC— I n sを封入したそれぞれのハイプリッドゲルに 5 m Lの 10mM PB、 15 OmM NaC l、 ρΗ7. 4 (PBS) を添加し、 4°C において 1時間静置した後、 PBSをデカンテ一シヨンによって除去した。 さらに、 5mLの PBSを添加し、 4°Cで 1日間静置後、 PBSを除去した。 再度この操作を 繰り返した。 この操作により、 ハイブリッドゲル中や表面の CHPに保持されていな い F I TC— I n sが除去されると考えられる。
サンプル 8— 1およびサンプル 8— 2のハイブリツドゲルには 500 Lの P B S、サンプル 8— 3のハイブリッドゲルには 500 の 1 OmgZmLのゥシ血清 アルブミン (BSA) を含む PBSを添加し、 37 °Cでインキュベー ョンした。 ィ ンキュベーシヨン開始後、 1時間、 3時間、 1日、 2日、 5日、 7日後に、 40 0 M
Lの上澄みを回収、 新たに 40 0 Lの各リリースバッファー (85八を含まなぃ BS (BSA (—) ) 、 BS Aを含む PBS (BS A (+) ) ) を添加する操作を行 つた。 回収した上澄み中の F I TC- I n s濃度をサイズ排除クロマトグラフィー (S E C) で定量し、 各測定時までにハイプリッドゲルからリリースされた累積の F I TC- I n s量を算出した。 この値を八イブリツドゲル中に封入された F I TC— I n s量 (実施例 8— 2で算出) に対するパーセント量としてプロットしたものを図 9および図 10に示した。 用いた SEC分析条件を以下に示す。
SEC分析条件
システム: Wa t e r s A l 1 i anc e 2790/2475
カラム: G2000 SWXL (TOSOH社製)
流速: 1. OmL/分
検出:蛍光検出 (励起波長 494 nm、 検出波長 518 nm)
溶出液: 10 mM HP-jS-C D含有 P B S
各サンプルは 0. 05%wZv Twe e n 80含有 PB Sで 20倍に希釈してか ら、 10 Lずつ HP LCにアプライした。
この結果、 F I TC— I n sのハイプリッドゲルからの放出速度は、 実施例 7と同 様にゲル密度に依存しており、ゲル密度による放出速度制御が可能なことが示唆され た。
また、 溶液状態において、 CHPナノゲルとインスリンの複合体に BSAを添加す ると、 速やかに (数時間以内に) インスリンの放出が起こることが知られているが、 ハイプリッドゲルからの放出速度は、 1〜 2日の間はほぼ変化がなかった。 このこと から、 ハイブリッドゲル中へ B S Aが急速には拡散しないこと力 S示唆された。 5日以 降の放出量は BS A ( + ) で多くなつていた。 これは、 化学架橋点の加水分解が進行 することで、 ゲル密度がより低くなつた結果、 BS Aがハイブリッドゲル中に拡散し やすくなつたためと推察される。
〔実施例 9〕 SH基を導入した H A誘導体 (HA—SH) の合成
(実施例 9一 1) HZ基を導入した HA誘導体 (HA— HZ) の合成
分子量 20 kD aおよび 200 k D aのヒアルロン酸ナトリウム (HA— Na、 電 気化学工業) それぞれ 536. 9mg、 524. 8mgを超純水に 2 m g/mLにな るように溶解させた後、 同量のエタノール (E t OH) を加え、 50%v/v E t 〇H溶液とした。 HAユニット/ 1—ェチル—3— (3—ジメチルァミノプロピル) カルポジイミド (EDC、 同仁堂社製) アジピン酸ジヒドラジド (ADH、 東京ィ匕 成工業社製) =1/0. 2 5/40 (mo 1 Zmo 1 Zmo 1 ) の等量比で添加し、 反応させた。 5N HC 1水溶液により pHは 4. 7-4. 8を維持し、 2時間反応 させた後、 100 mM NaC 1水溶液、 25 % v/v E t OH水溶液、 超純水の 順に透析精製し (スぺクトラポア 4、 MWCO: 12 k - 14 kD a) 、 限外ろ過濃 縮 (YM— 10、 MWCO: 10 kDa、 ミリポア社製) の後、 凍結乾燥することで HA— HZを白色粉末として得た。収量は 20 kD aの HAを原料に用いたもので 4 90. 93mg、 200 0 &で375. 77mgであった。
得られた HA— HZを約 1 011^//1111^の濃度で020に溶解させ、 NMRにより 構造解析を行い (ダルコサミンのァセチル基の積分値を基準とし、 ADHの 4つのメ チレン (1. 5、 2. 1および 2. 25 p pmの積分値の比率より算出) 、 HAュニ ットに対する HZ基の導入率を算出したところ、 20 kD aの HAを原料に用いたも ので 20. 3 %および 200 kD aで 32. 0%であった。 また、 この導入率から H A— HZのュニット平均分子量を算出し、 この値を次項の合成に使用した。
(実施例 9一 2) SH基を導入した H A誘導体 (HA—SH) の合成
実施例 9一 1で得られた分子量の異なる HA— HZ (それぞれ 480. 54mg、 365. 2 lmg) を 20 m gZmLになるよう超純水に溶解させた後、 HZ基に対 して約 2倍当量のイミノチォレイン塩酸塩 (ピアス社製) を加え、 室温で 3時間反応 させた。 反応後、 10 OmLの E t OHを加えることで目的生成物を沈殿させた。 沈 殿は遠心分離により回収し、 E t OHで洗浄後、 減圧乾燥にすることで H A— SHを 白色固体として得た。 収量は 20 kD aの HAを原料に用いたもので 513. 72m g、 200 kD aで 37 1. 58mgであった。
得られた HA— SHを約 1 OmgZmLの濃度で D20に溶解させ、 NMRにより 構造解析を行い (ダルコサミンのァセチル基の積分値を基準とし、 SH基の隣のメチ レン (2. 85 p pmの積分値の比率より算出) 、 H Aユニットに対する SH基の導 入率を算出したところ、 20 kD aの HAを原料に用いたもので 18. 0 % (以下、 この HA—SHを 「HA_SH— 20 k— 18」 とも称する) および 200 kD aで 27. 0 % (以下、 この HA— SHを 「HA— SH— 200 k— 27」 とも称する) であった。 また、 この導入率から HA—SHのユニット平均分子量を算出し、 この値 を実施例 11のハイプリッドゲル調製に使用した。
〔実施例 10〕 MA基を導入した CHP (CHP-MA) の合成および水溶液中での 会合挙動
(実施例 10— 1) CHP— MAの合成一 1
CHP (コレステロール置換度 1. 5/100単糖、 Mw=108 kDa、 日本油 脂株式会社より入手) を 60°Cにて 2日間、 減圧乾燥した。 減圧乾燥した 10 OmL の三口フラスコをフレームドライした後ゴム栓をして、 窒素気流下、 1 g (9. 26 mo 1 ) の CHPおよび 257. 5mg (2. 11 mm o 1 ) のジメチルアミノピ リジン (DMAP) を加えた。 ガラスシリンジを用いて 25mLの DMSOを加え、 完全に溶解するまで室温で約 1時間攪拌した後、 92. 6 /iL (0. 7 mm o 1 ) の グリシジルメタクリレート (GMA) を注入し、 室温で 24時間反応させた。 1M塩 酸を数滴滴下して反応を停止した後、総量が約 10 OmLとなるように蒸留水を加え た。 透析チューブ (スぺクトラポア 6、 MWCO: 3500) に反応溶液を入れ、 蒸 留水に対して 1週間透析を行い、凍結乾燥することにより目的物を白色固体として得 た。
得られた CHP— MAを DMSO— d6および D20の混合溶媒 (容量比で 20対 1) に溶解させ、 NMRにより構造解析を行った。 プルランに含まれる 1→6結合 を形成するダルコ一スユニット 1位炭素上のプロトン (ァノメリックプロトン (ひ 1 -6) 、 4. 60- 7. 75 p pm) の積分値と、 MA基のメチレン (5. 65 ρ ρ mおよび 6. 15 p pm) の積分値の比較により、 グルコースュニットに対する MA 基の導入率を算出したところ、 2. 4% (以下、 この CHP— MAを 「CHP— MA -2. 4」 とも称する) であった。
(実施例 10— 2) CHP— MAの合成一 2
添加した0^ を277. 8 (2. l lmmo l) として、 他は実施例 10— 1と同様の方法により、 CHP— MAの白色固体を得た。 NMRによる構造解析を行 つたところ、 グルコースユニットに対する MA基の導入率は、 18. 7 % (以下、 こ の CHP—MAを 「CHP— MA— 18. 7」 とも称する) であった。
(実施例 10— 3) CHP-MA- 2. 4の水溶液中での会合挙動
CHP-MA- 2. 4の水中での会合挙動を S ECの多角度光散乱 (MALS) 検 出により行った。 3£じは東ソ一製の丁3 6 1 G4000 SWカラム、 溶離液 として 5 OmMの NaC 1を含む超純水を用い、 0. 5 mL/分の流速にて MAL S (DAWN DSP, Wy a t t T e c h n o 1 o g y社製) に接続した。 屈折率 定数 (dnZdc) を 0. 143として分子量、 多分散度、 z—平均慣性二乗半径を 求めた。 CHP— MA— 2. 4水溶液は、 lmg/mLとなるように超純水に溶解さ せた後、 プローブ型ソニケ一ター (SON I F I ER250、 BRAN SON社製) を用いて 40Wで 15分間超音波照射を行い、 ポアサイズ 0. 45 111のフィルター で濾過してから、 SEC— MALS測定に供した。
この結果、 CHP— MA— 2. 4の水溶液中における会合体 (ナノゲル) は、 Mw = 583 kDa、 Mw/Mn= 1. 04、 Rg= 13. 8nmであり、 CHPと同様 にナノメートルオーダ一でサイズのそろった微粒子を形成すること、また、多糖約 5. 4分子が会合して 1つの会合体が形成していることが確認された。
〔実施例 11〕 CHP— MAと HA— SHとの化学架橋によるハイブリッドゲルの調 製
(実施例 11— 1) CHP— MAと HA— SHとの化学架橋によるハイブリッドゲル の調製— 1
各ゲル調製 (サンプル 11ー1〜11一 6) に使用した HA— SH、 CHP—MA およびこれらの最終濃度を表 11に示す。 11]
表 11 CHP— MAと HA— SHとの化学架橋の調製条件一 1
Figure imgf000057_0001
実施例 9および実施例 10において合成した HA— SH— 20 k— 18、 HA—S H— 200 k— 27、 CHP— MA— 2. 4、 CHP— MA— 18. 7に、 それぞれ
40 mg/mLになるように、 2 OmMのトリス (2—力ルポキシェチル) ホスフィ ン (TCEP) を含む超純水を添加し、 ー晚攪拌することで溶解させた。 これらのサ ンプルを遠心チューブに注入した。最終容量は、 どの条件もおよそ 1000 とし た。遠心操作により混合時に発生した気泡を除去し、 37°Cで静置することによって 化学架橋反応を行った。 各時間におけるゲル化の確認を T i 1 t法にて行った。 72 時間後の外観を図 11に示した。
この結果、 サンプル 11— 1およびサンプル 11— 2では、 24時間後には粘度上 昇が確認されたが、 72時間後まで観察したところゲル化は起こっていなかった。 サ ンプル 11一 3およびサンプル 11一 4では、 10時間後には粘度上昇が確認された が、 72時間後には相分離が観察された。 サンプル 11—5およびサンプル 11一 6 では、 相分離しないゲルの調製が確認された。
本項の化学架橋反応は、 MA基と S H基のマイケル付加による架橋と S H基同士の 酸化反応 (ジスルフィド結合の形成) の二つの反応が起こると考えられるが、 同様の 条件で H A— S Hのみでゲル化の有無を検討したところ、粘度の上昇は見られたもの の、 ゲル化は起こらなかった。 このことから、 少なくともマイケル付加反応により架 橋が起こっていることが示唆され、本項のハイブリツドゲル中では CHPと HAが化 学的に結合していると思われた。
(実施例 11— 2) CHP— MAと HA— SHとの化学架橋によるハイブリッドゲル の調製— 2
各ゲル調製 (サンプル 11— 7〜11-8) に使用した HA— SH、 CHP—MA およびこれらの最終濃度を表 12に示す。
12]
表 12 CHP-MA · H A— SH化学架橋ハイブリツドゲルの調製条件一 2
Figure imgf000058_0001
実施例 9および実施例 10において合成した HA— SH— 200 k— 27、 CHP — MA— 18. 7をそれぞれ 4 Omg/mLになるように、 20mMのトリス (2— カルボキシェチル) ホスフィン (TCEP) を含む超純水を添加し、 一晩攪拌するこ とで溶解させた。 これらのサンプルを遠心チューブに注入した。 次に最終濃度で 10 OmMになるように TEAを添加した。最終容量は、 どの条件もおよそ 1000 L とした。 遠心操作により混合時に発生した気泡を除去し、 37°Cで 5日間静置するこ とによって化学架橋反応を行った。各サンプルは 5日後に相分離力 S観察されないゲル となっていた。 未反応の MA基を消失させるため、 メルカプトェ夕ノールを仕込みの MA基に対して 10モル倍量加え、 ー晚反応させた。 この反応液を除去し、 過剰の超 純水によって洗浄した後に、未反応の SH基を消失させるためョ一ドエタノ一ルを仕 込みの SH基に対して 10モル倍量加え、さらにー晚反応させた。この反応液を除去、 過剰の超純水によって洗浄後、 凍結乾燥した。
〔実施例 12〕 化学架橋 CHP—MA · HA— SHのハイプリッドゲルへの F I TC ラベル化インスリン封入
実施例 11において調製したサンプル 11—4のハイプリッドゲル 5 m gを 10 OmM PB (pH7. 4) により平衡膨潤させた。 これを UV用のセルに移し、 1 500 r pm、 1分間遠心分離して上清を除去し、 ここに 3mLの 50 gZmLの F I TC— I n sを含む PB溶液を加え、 20°Cで静置した。 0時間から 24時間の 間、 経時的に吸光度 (492 nm) を測定し、 検量線から F I TC— I n sの HA— CHPハイブリッドゲル内への取込み量の定量を行った。
この結果、 ハイブリッドゲルへの F I TC- I n sの取込みは徐々に進行し、 20 時間でほぼ平衡に達していた。 吸光度は 0. 117減少し、 ここから乾燥ハイブリツ ドゲルの単位重量あたりの F I TC— I n s 1 i nの取込み量は 0. 775 nm o 1 /mg (0. 47 %w/w) と算出された。
〔実施例 13〕 化学架橋 CHP— MA · HA— SHのハイプリッドゲルからの F I T Cラベル化ィンスリン放出挙動
実施例 12において、 F I TC- I n s溶液を添加したハイプリッドゲルサンプル を遠心処理して、 上澄みをデカンテーシヨンにより除去し、 l O OmM PB (pH 7. 4) を加え洗浄した (3mL、 2回) 。 ここに 3mLの l O OmM PB (pH 7. 4) を加え 20°Cにて 492 nmの波長を UV— V I S分光光度計でモニタ一す ることで放出挙動を評価した。 その結果を図 12に示した。
これより本項の化学架橋 C HP— MA · HA—SHのハィブリッドゲルは、 F I T C一 I n s放出の初期バース卜が非常に小さく、 リザ一バ一型の徐放性を示すことが 明らかとなった。
〔実施例 14〕 化学架橋 CHP— MA · HA— MAのハイプリッドゲルの調製 (実施例 14—1) CHP— MA— 2および CHP— MA— 7の合成
実施例 10の GMA添加量を変え、他は同様の方法によりグルコースュニットに対 する MA基の導入率が 2. 0 % (以下、 「CHP— MA—2」 とも称する)および 7. 0 % (以下、 「CHP— MA— 7」 とも称する) の CH P— MAを合成した。
(実施例 14— 2)化学架橋 CHP— MA · HA— MAのハイプリッドゲルの調製条 件検討
各ゲル調製 (サンプル 14一 1〜14— 10) に使用した CHP— MA、 HA— M A、 最終濃度を表 13に示した。 [表 13]
表 13 CHP— MAと HA— MAとの化学架橋の調製条件一 1
Figure imgf000060_0001
実施例 1で合成した HA— MA— 9 (「HA— MA— 200 k— 43」 とも称する) および実施例 14— 1で合成した CHP— MA— 7をそれぞれ 4 Omg/mLにな るように超純水に溶解させた。表 13に示した組成になるように 2種類のポリマー溶 液を混合した後、最終濃度で 10 OmMになるように TEAを添加し、よく混合した。 さらに、 DTT水溶液を系中の M A基の最終濃度に対して 1/2のモル数(MA基と SH基の比率が 1 : 1) になるように添加し、 よく混合した。 最終容量は、 どの条件 もおよそ 1000 iLとした。 遠心操作により混合時に発生した気泡を除去し、 3 7°Cで 24時間静置することによって化学架橋反応を行い、 T i 1 t法によりゲル化 の判定を行った。 結果の模式図を図 13に示した。
この結果、 系中に含まれる全 MA基の増加によりゲル化が進行した。 サンプル 14 一 3〜14一 5の結果から、単独ではゲル化が進行しなかった HA— MAI Omg/ mLの条件下、 ナノゲルを添加していくと、 ナノゲル含量が 1 Omg/mLで粘度上 昇が観察され、 2 OmgZmL加えた場合においてゲル化が確認された。 このことか ら、 ナノゲルの M A基がゲル化に寄与していると考えられた。 これらのゲル化はいず れも反応開始後 2時間以内に確認された。 これらのゲルは調製後すぐに超純水に膨潤 させると、 ゲル化直後相分離が起こり不透明なゲルであったサンプル 14一 5、 サン プル 14ー 7であっても透明なゲルが得られた。 また、 CHP— MA— 2を用いて同 様の検討を行つたところ、 ほとんど同様のゲル化挙動を示した。 (実施例 14一 3) 化学架橋 CHP— MA · HA— MAのハイブリッドゲルの調製 各ゲル調製 (サンプル 14一 11〜14— 14) に使用した CHP—MA、 HA— MA、 最終濃度を表 14に示した。 実施例 14— 2と同様の方法でゲル化させた後、 系中に仕込んだ MA基に対して過剰のメルカプトエタノールを添加し反応させるこ とで、 残存していると思われる未反応の MA基を消失させ、 さらに過剰の超純水で洗 浄することで余剰のメルカプトエタノールを除去し、凍結乾燥してから次項に供した。
[表 14]
表 14 CHP— MAと HA—MAとの化学架橋の調製条件— 2
Figure imgf000061_0001
〔実施例 15〕 CHP— MA · HA— MA化学架橋ハイブリッドゲルへの F I TC— I n s封入
実施例 14一 .3において調製したサンプル 14一 1;!〜 14—14のハイブリツ ドゲル 5mgに 5mLの 50 g/mLの F I TC- I n sを含む 10 OmM P B (pH7. 4) を加え、 20°Cで静置した。 0時間から 72時間の間、 経時的に吸 光度 (494 nm) を測定した。 サンプル 14— 13およびサンプル 14一 14につ いての吸光度の経時変化を図 14に示した。
この結果、ハイプリッドゲルへの F I TC— I n sの取込みは添加するだけで自発 的に進行し、 72時間でほぼ平衡に達していた。検量線から 72時間後の F I TC- I n sのハイプリッドゲル内への取込み量の定量を行った結果を表 15に示した。 [表 15]
表 15 化学架橋 CHP— MA · HA— MAのハイブリツドゲルへの F I TC— I n s封入量
Figure imgf000062_0001
封入された F I T C— I n s量はナノゲル含有量が多いほど増加するが、 MA基の 置換度には依存していなかった。 このことからナノゲルの含有量が F I TC— I n s 取込量の増減に寄与することが示唆された。
〔実施例 16〕化学架橋 CHP— MA · HA— MAのハイブリッドゲルからの F I T
C一 I n s放出挙動
(実施例 16— 1) 緩衝液中での放出特性
実施例 15において調製した F I TC- I n s溶液を添加したハイプリッドゲル サンプルから、上澄みを遠心、デカンテーシヨンにより除去し、 l O OmM PB (p
H7. 4) を加え洗浄した (3mL、 2回) 。 ここに 3mLの l O OmM PB (p
H7. 4) を加え 37°Cにて 494nmの波長を UV— V I S分光光度計でモニタ一 することで放出の経時変化を測定した。 その結果を図 15に示す。
この結果いずれのゲルからも 3日間程度までは持続的に F I TC- I n sが放出 されることが明らかとなった。放出開始より 12時間以降に観察された放出の遅い相 は、 CHP— MAの置換基導入率が高いほど、 またナノゲル含有量が多いほど、 より 遅い放出速度を示しており、置換基導入率やナノゲル含有量により徐放速度を制御可 能なことが示唆された。
(実施例 16— 2) シクロデキストリン存在下における放出挙動
実施例 15と同様の方法で調製した F I TC- I n s溶液を添加したハイプリッ ドゲルサンプルについて、 洗浄操作を 1回として、 その他は実施例 16— 1と同様の 方法で放出挙動を評価した。 また、放出開始から 5日後に 1 OmMになるように /3— CDを添加し、 さらに放出挙動を評価した。 結果を図 16に示す。
まず、 洗浄操作を 2回した場合 (実施例 16— 1) と比較すると、 CHP含量の低 いサンプル 14—11およびサンプル 14—13では初期バース卜が約 30 %増加 したが、 C HP含量の高いサンプル 14— 12およびサンプル 14一 14ではほとん ど初期バースト量に変化はなかった。 これはナノゲル含量が少ないハイブリッドゲル では、 HAマトリクスに封入されていた F I TC— I n sの割合が高かったことを示 唆した。 また、 実施例 5や実施例 7の CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリ ッドゲルでの結果と同様に、 シクロデキストリン添加により放出速度は加速され、 F I TC一 I n sはコレステロール基との疎水性相互作用によってハイプリッドゲル 中に保持されていることが示唆された。
(実施例 16-3) アルブミン存在下における放出特性
実施例 15と同様の方法で調製した F I TC- I n s溶液を添加したハイプリッ ドゲルサンプルについて、 リリースバッファーを 5 OmgZmLの B S Aを含む 10 OmM PB (pH7. 4) に変更し、 その他は実施例 16— 1と同様の方法で放出 挙動を評価した。 結果を図 17に示す。
この結果、 F I TC— I n sの 24時間までの放出速度は、 ゲルの組成にかかわら ず B S A未添加の場合 (実施例 16— 1) と比較してほとんど変化は確認されなかつ た。 これは CHPを封入したハイブリッドゲル (実施例 8) の結果と同様、 化学架橋 HAゲルによる効果と考えられた。 5 Omg/mLというアルブミン濃度は、 ほぼ血 液中濃度に等しいことから、血液中においても緩衝液と同様の放出特性が期待された。
(実施例 16— 4) ヒアルロニダ一ゼ存在下における放出特性
実施例 15と同様の方法で調製した F I TC- I n s溶液を添加したハイブリツ ドゲルサンプルについて、 Uリースバッファーを 285mU/mLのヒアル口ニダ一 ゼ SDおよび 5 OmgZmLの B S Aを含む 10 OmM PB (pH6. 2) に変更 し、 その他は実施例 16— 1と同様の方法で放出挙動を評価した。 結果を図 18に示 した。
この結果、 F I TC— I n sの 24時間までの放出速度は、 ヒアルロニダーゼ SD 未添加の場合 (実施例 16— 1) と比較して加速された。 これは CHPを封入したハ イブリツドゲル (実施例 5) の結果と同様、 ハイブリッドゲルの分解 (化学架橋した HA部分の分解) に伴って、 薬物放出が起こることが示唆された。
〔比較例 2〕 化学架橋 CHP— MA · MP Cハイプリッドゲルの調製および薬物放出 性評価
(比較例 2— 1) 化学架橋 CHP— MA · MPCハイブリッドゲルの調製
実施例 14において合成した CHP— MA— 7と 2—メタクリロイルォキシェチ ルホスホリルコリン (MPC) をそれぞれ 3 Omg/mL, 32mg/mLになるよ うに超純水に溶解させ、 2, 2 ' ーァゾビス [2 - (2—イミダゾリン一 2—ィル) プロパン] (VA— 044、 和光純薬製) を系中の MA基に対してモル比で 0. 00 5倍量添加し、 アルゴン脱気後、 50°Cで 5時間重合反応を行った。 得られたハイブ リツドゲルを、 過剰の水に対して 1週間膨潤させることで精製を行い、 凍結乾燥して 白色個体を得た。
以下、 本比較例で調製した八イブリッドゲルを 「サンプル C一 2」 とも称する。 (比較例 2-2) ハイプリッドゲルへの F I TC- I n s封入
比較例 2—1において作製したハイプリッドゲル 10 m gを用いた他は実施例 1 5と同様の手順で F I TC- I n sを封入した。
〔実施例 17〕 各種ハイプリッドゲルの膨潤率と薬物放出性比較
(実施例 17— 1 ) 凍結乾燥ハイプリッドゲルの膨潤率評価
実施例 8— 1のサンプル 8— 2と同一条件においてサンプル 17— 1のハイプリ ッドゲルを調製し、 凍結乾燥した (表 16に記載) 。 また、 実施例 14一 3のサンプ ル 14一 1 1〜14と同一条件においてサンプル 17— 2〜5 (表 17に記載) のハ ィプリッドゲルを調製し、 凍結乾燥した。 サンプル 17— 1〜 5およびサンプル C— 2について、 凍結乾燥ハイブリッドゲルをそれぞれ 5〜1 Omg程度秤取して (乾燥 重量) 、 過剰の PBS (pH7. 4) に対して 4°Cで 24時間膨潤させ、 デカンテ一 シヨンによって溶媒を除去した後、 キムワイプ (登録商標) で表面についた水分を吸 い取り、 重量を測定し (膨潤重量) 、 前記の式 (1) により PBS中における膨潤時 のゲル密度を算出した。 この結果をグラフにしたものを図 19に示した。 16]
表 16 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルの調製条件— 5
Figure imgf000065_0001
[表 17]
表 17 CHP— MAと HA— MAとの化学架橋の調製条件一 3
Figure imgf000065_0002
(実施例 17— 2) CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルと化学架 橋 CHP— MA * MPCハイブリツドゲルの薬物放出性比較
比較例 2 _ 2において調製した F I TC- I n s封入 CHP— MA · MP Cハイブ リツドゲルについて、実施例 16— 1および実施例 16一 3で示した方法と B S A濃 度以外は同一の手順で、 リリースバッファーに B S Aを含まない場合(BSA (―) ) と 1 Omg/mLの BS Aを含む場合 (BSA (+) ) の薬物放出性を評価した。 そ の結果を図 20に示した。 また、 この結果および実施例 8— 3で実施した F I TC— I n sの放出挙動について、 リリースバッファーに B S Aを含まない条件でのリリー ス量に対する B S Aを含む条件でのリリース量の比率(BSA ( + ) /BSA (—) ) を経時的にプロットしたものを図 21に示した。
(実施例 17— 3)化学架橋 CHP— MA · H A— M Aハイプリッドゲルと化学架橋 CHP— MA · MP Cハイブリツドゲルの薬物放出性比較
比較例 2— 2において調製した F I TC一 I n s封入 CHP— MA'MPCハイブ リッドゲルについて、実施例 16— 1および実施例 16— 3で示した方法と同一の手 順で、 リリースバッファーに B S Aを含まない場合 (BSA (—) ) と BSAを含む 場合 (BSA ( + ) ) の薬物放出性を評価した。 その結果を図 22に示した。 また、 この結果および実施例 16で実施した F I TC- I n sの放出挙動について、 リリ一 スバッファ一に B S Aを含まない条件でのリリ一ス量に対する B S Aを含む条件で のリリース量の比率 (BSA (+) ノ BSA (―) ) を経時的にプロットしたものを 図 23に示した。
本実施例に用いた CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルおよび 化学架橋 CHP— MA · HA— MAハイプリッドゲルの膨潤時ゲル密度は、 サンプル C-2と比較して低かったにも関らず、アルブミンによる薬物リリース速度の加速は 有意に抑制されていた。
〔実施例 18〕 AM基を導入した HA誘導体 (HA— AM) の合成
分子量 21 kDa、 27 kD aのヒアルロン酸ナトリウム塩 (資生堂株式会社製) を用いて実施例 1一 2と同様の方法で調製した HA— TBAを 5mg/mLで無水 DMSOに溶解した。 その後、 2, 2, 一 (エチレンジォキシ) ビス (ェチルァミン) (EDOBEA) (アルドリッチ社製) を H Aユニットに対してモル比で 50倍量を 各溶液に添加した。 次に、 BOP試薬を HAユニットに対してモル比で 0. 4倍量を 添加し、 穏やかな攪拌下、 室温で一晩反応させた。 反応溶液は 0. 3M NaC l水 溶液を使用して透析 (スぺクトラポア 4、 分画分子量 (MWCO) : 12 k— 14k Da、 外液は 4回交換した) し、 次に外液を超純水に変え、 引き続き透析 (外液は 6 回交換した) することにより精製した。 得られた透析液を凍結乾燥して HA— AMを 白色固体として得た。
得られた HA— AMを約 1 Omgノ mLの濃度で D20に溶解させ、 NMRにより 構造解析を行い、 HAユニットに対する AM基の導入率を算出し (ダルコサミンのァ セチル基の積分値を基準とし、 EDOBEAのメチレン (NH9-CH9- (CH2- ◦一 CH2) 2— CH2— NH— ) 、 3. 22 p pm付近の積分値の比率より算出) 、 導入率から HA— AMのュニット平均分子量 (未修飾 HAュニットはナトリウム塩、 HA— AMユニットは塩酸塩として) を算出した (表 18参照) 。 [表 18]
H A— A Mの調製条件と特性
Figure imgf000067_0001
〔実施例 19〕 SH基 (イミノチォレイン、 I TL) を導入した HA誘導体 (HA— I TL) の合成
実施例 18で得られた HA— AM— 2を 1 OragZmLで 10 OmM PB ( Η 7. 4) に溶解した。 その後、 2—イミノチォレイン塩酸塩 (ピアス社製) を ΗΑュ ニットに対してモル比で 0. 35倍量を添加し、 穏やかな攪拌下、 室温で 2時間反応 させた。 次に、 無水コハク酸 (SUC) を HAユニットに対してモル比で 40倍量添 加し、 室温で 2時間反応させた。 反応溶液は 0. 3 M NaC 1水溶液を使用して透 析 (スぺクトラポア 4、 分画分子量 (MWCO) : 12 k— 14 kD a、 外液は 4回 交換した) し、 次に外液を超純水に変え引き続き透析 (外液は 6回交換した) 、 さら に外液を ImM塩酸水溶液に変え引き続き透析 (外液は 3回交換した) することで精 製を行った。 得られた透析液を凍結乾燥して HA— I TLを白色固体として得た。 得られた HA— I TLを約 10mg/mLの濃度で D2〇に溶解させ、 NMRによ り構造解析を行い、 HAュニッ卜に対する I TL基および SUC基の導入率を算出し (ダルコサミンのァセチル基の積分値を基準とし、 I TLのメチレン (SH— CH2 -CH9-CH9-C (=NH2 +) 一) 、 2. 40 p pm付近の積分値の比率、 およ び SUCのエチレン (COOH— _£旦2—_^旦2— CO—) 、 2. 70 p pm付近の積 分値の比率より算出) 、 導入率から HA— I TLのユニット平均分子量 (未修飾 HA ュニットはフリーカルボン酸体、 HA— AM— SUCュニットはフリーカルボン酸体、 HA-AM- I TLュニットのィミノ基は塩酸塩として)を算出した(表 19参照)。 [表 19]
HA— I TLの調製条件と特性
Figure imgf000068_0001
〔実施例 20〕 SH基 (チオダリコ一ル酸、 TGA) を導入した HA誘導体 (HA— TGA) の合成
(実施例 20— 1) H A— AMへの SAT A基の導入
実施例 18で得られた HA— AM— 3を 1 OmgZmLで 10 OmM PB (pH 7. 4) に溶解した。 その後、 N—スクシンィミジル S—ァセチルチオアセテート (SATA) (ピアス社製) を AM基が導入された H Aユニットに対してモル比で 3 倍量 (H Aユニットに対してモル比で 0. 85倍量) を添加し、 穏やかな攪拌下、 室 温で 2時間反応させた。 次に、 無水コハク酸 (SUC) を HAユニットにたいして 4 0倍等量添加し、 室温で 2時間反応させた。 反応溶液は 0. 3M NaC l水溶液を 使用して透析 (スぺクトラボア 4、 分画分子量 (MWCO) : 12 k- 14 kD a, 外液は 4回交換した) し、 次に外液を超純水に変え引き続き透析 (外液は 6回交換し た) することで精製をした。 得られた透析液を凍結乾燥して SAT Aが導入された H A誘導体 (HA— SATA) を白色固体として得た。
(実施例 20-2) S—ァセチル基の脱保護による HA— TGAの合成
本実施例に使用した全ての溶媒は窒素パブリングしてから以下の検討に供した。 実施例 20一 1で得られた HA— SAT Aの白色粉末を 1 OmgZmLの濃度で 50 OmMヒドロキシァミン (NH2— 0H) および 10 mMT C E Pを含む 50 m M塩酸水溶液 (pH7. 0) に溶解させ、 室温で 1時間攪拌した。 得られた溶液をあ らかじめ ImM塩酸水溶液で平衡化した脱塩カラム (PD— 10、 GEヘルスケアバ ィォサイエンス社)にアプライし、回収した溶液を ImM塩酸水溶液に対して透析(ス ぺクトラポア 4、 分画分子量 (MWCO) : 12 k— 14kDa、 外液は 2回交換し た) することで精製を行った。 得られた透析液を凍結乾燥して TGAが導入された H A誘導体 (HA— TGA) を白色固体として得た。 得られた HA— TGAを約 1 Omg/mLの濃度で D20に溶解させ、 NMRによ り構造解析を行い、 HAュニットに対する TGA基および SUC基の導入率を算出し
(ダルコサミンのァセチル基の積分値を基準とし、 TGAの SH基隣のメチレン (S H— _£旦2— CO— ) 、 3. 26 p pm付近の積分値の比率、 および SUCのェチレ ン (COOH— _^旦2— 旦2— CO—) 、 2. 70 p pm付近の積分値の比率より算 出) 、 導入率から HA— TGAのユニット平均分子量 (未修飾 H Aユニットはフリー カルボン酸体、 HA— AM— SUCユニットはフリーカルボン酸体として) を算出し た (表 20参照) 。
[表 20]
表 20 HA— TGAの調製条件と特性
Figure imgf000069_0001
〔実施例 21〕 SH基 (ジチオトレイトール、 DTT) を導入した HA誘導体 (HA -DTT) の合成
(実施例 21— 1) HA— MAの合成
実施例 1の HA— MA— 2〜4と同様の条件で HA— MAを合成したところ、 MA 基の導入率は 35. 2 %、 ユニット平均分子量は 432. 7であった。
以下、 本実施例で合成した HA— MAを HA— MA— 11とも称する。
(実施例 21— 2) HA— DTTの合成
本実施例に使用した全ての溶媒は窒素パブリングしてから以下の検討に供した。 実施例 21— 1において得られた HA— MAを 2 OmgZmLの濃度で超純水に 溶解した。 ここに最終濃度で HA— MAが 5mgZmL、 TEAが 10mM、 DTT が MA基に対してモル比で 25倍量になるように、 TEA、 超純水、 DTTの順に各 試薬を添加し、 室温で一晩反応させた。 得られた溶液をあらかじめ ImM塩酸水溶液 で平衡ィ匕した脱塩カラム (PD— 10、 GEヘルスケアバイオサイエンス社) にアブ ライし、 回収した溶液に 1 OmMになるように TCEPを添加し、 室温で 1時間反応 させた。再度、脱塩カラムによる精製を行った後、 ImM塩酸水溶液に対して透析(ス ぺクトラポア 4、 分画分子量 (MWCO) : 12 k_ 14kDa、 外液は 2回交換し た) することで精製を行った。得られた透析液を凍結乾燥して DTTが導入された H A誘導体 (HA— DTT) を白色固体として得た。
得られた HA— DTTを約 1 Omg/mLの濃度で D2〇に溶解させ、 NMRによ り構造解析を行った。反応により HA— MAの MA基由来のピーク(1. 91 p pm、 5. 73 ppmおよび 6. 13 p pm) が消失したことから、 未反応 MA基はなく、 すべての MA基が DTTの SH基とマイケル付加したことが示唆された。 また、 2. 69 ρρπ!〜 2. 86 p pmの間に検出された数本の重なったピークは、 DTTの S H基隣のメチレン (4H/DTT基) 、 付加反応を受けた MA基由来のメチレン (D TT-CHp-CH (CH3) —COO -) およびメチン (DTT - CH9 - CH (C H3) 一 COO—) 由来のピークと帰属された。 この積分値の和 (7H/MA-DT T基) と付加反応を受けた M A基由来のメチル (1. 23 ppm、 DTT— CH2— CH (CH3) 一 COO—) の積分値の比率から、 MA基に対してDTTが過不足な く導入されたものと推察された。 以上より、 HAユニットに対する DTT基の導入率 は HA— MA— l 1の MA基導入率と同一であるとし、 HA— DTTのユニット平均 分子量 (未修飾 HAュニットはフリーカルボン酸体として)を算出した(表 21参照)。
[表 21]
表 21 HA— DTTの調製条件と特性
Figure imgf000070_0001
〔実施例 22〕 コレステロール基を導入したクラスターデキストリン誘導体(CHc D e x) の合成
分子量 150 kD aのクラスターデキストリン (cDex) (江崎グリコ株式会社 より入手) を 10 Omg/mLで無水 DMSOに溶解した。 その後、 無水ピリジンに 溶解させたコレステリル一 N— (6—イソシァネ一卜へキシル) カーバメート (CH I) (日油株式会社より入手) を cD exユニットに対してモル比で 0. 05倍量を 添加し、 窒素雰囲気下、 80°Cで 9. 5時間反応させた。 反応溶液を過剰のェタノ一 ル-ジェチルエーテル混合溶媒 (容量比 3 : 17) に供し、 再沈殿により白色沈殿を 得た。 得られた沈殿を減圧乾燥後、 DMSOに溶解させ、 超純水に対して透析 (スぺ クトラポア 6、 分画分子量 (MWCO) : 3. 5 kDa、 外液は 6回交換した) する ことによって精製を行った。得られた透析液をフィルタ一(0. 8 ^m)濾過した後、 凍結乾燥して CHc D e Xを白色固体として得た。
得られた CHcD e Xを DMSO— d6 · D20混合溶媒 (容量比 9 : 1) に溶解さ せ、 NMRにより構造解析を行い、 cDe Xユニットに対するコレステロール基の導 入率を算出(cDex中に 94%含まれる a 1— 4結合由来のァノメリックプロトン
(4.9 - 5.3 p pm付近)の積分値を基準とし、コレステロール由来のピーク(0. 2-2. 4ppm付近) の積分値の比率より算出) したところ、 100グルコースュ ニットあたり 3. 8個であった。
〔比較例 3〕 各種化学架橋 H Aゲルの調製
各サンプル調製 (サンプル C 3— :!〜 11) に使用した HA誘導体、 最終濃度、 架 橋剤、 反応条件等を表 22に示した。
(比較例 3— 1) HA— MAをマイケル付加反応によって架橋した HAゲルの調製 ゲル化反応の緩衝液を 50 OmMTEA/10 OmM塩酸水溶液(最終濃度は 1 / 5、 希釈後の pHは 8. 1) に変更した他は実施例 2で示した方法と同様の手順で、 表 22に示したサンプル C 3-1-3の化学架橋 H Aゲルを調製し、膨潤時のゲル密 度を算出した。
(比較例 3— 2) HA— MAをラジカル重合によって架橋した HAゲルの調製
■ 50 OmM塩酸水溶液に 50 OmMになるように N, N, N' , N' —テトラメチ ルエチレンジアミン (TEMED) を溶解させた。 超純水で 1 Z 5に希釈したところ 溶液 pHは 7. 3であった。
超純水に 50mg/mL (185. OmM) になるようにペルォキソ二硫酸力リウ ム (KPS) を溶解させた。
実施例 1で合成した HA— MA— 2をマイク口チューブに秤取し、超純水を添加し、 4°Cでー晚静置して溶解させた。前記で調製した TEMED溶液を最終容量の 1/5 添加し、 よく混合した。 さらに前記で調製した KPS溶液を最終濃度で 2 OmMにな るように添加し、 よく混合した。 最終容量は 100 X 1とした。 遠心操作により混合 時に発生した気泡を除去し、室温で 1時間静置することによって化学架橋反応を行つ た。 ここで調製したサンプル C 3— 4について、 実施例 2— 4で示した方法と同様の 手順で膨潤時のゲル密度を算出した。
(比較例 3— 3) HA— MAを光重合した HAゲルの調製
10 OmM塩酸水溶液に 50 OmMになるように TEAを溶解させた。超純水で 1 / 5に希釈したところ溶液 pHは 8. 1であった。
エタノールに 5 Omg/mL (223. OmM)になるように 2—ヒドロキシ一 4 ' 一 (2—ヒドロキシェチル) ― 2—メチルプロピオフエノン (I n i t i a t o r) (A 1 d r i c h社製) を溶解させた。
実施例 1で合成した HA— MA— 2をマイク口チューブに秤取し、超純水を添加し、 4 °Cでー晚静置して溶解させた。前記で調製した TEA溶液を最終容量の 1Z5添加 し、 よく混合した。 さらに前記で調製した I n i t i a t o r溶液を最終濃度で 20 mMになるように添加し、 よく混合した。 最終容量は 100 ^ 1とした。 遠心操作に より混合時に発生した気泡を除去し、 UVランプで 10分間 UV光を照射(365 η m、 〜4W/cm2) することによって化学架橋反応を行った。 ここで調製したサン プル C 3-5について、実施例 2— 4で示した方法と同様の手順で膨潤時のゲル密度 ¾ (jtJし /こ。
(比較例 3— 4) HAと EDOBEAを縮合反応によって架橋した HAゲルの調製 25 OmM塩酸水溶液に 500 mMになるように T E Aを溶解させた。超純水で 1 ノ 5に希釈したところ溶液 pHは 7. 4であった。
100 OmM塩酸水溶液に 50 OmMになるように EDOB E Aを溶解させた。溶 液 pHは 7. 5であった。
超純水に 4一 (4, 6—ジメトキシ— 1, 3, 5—トリアジン一 2—ィル) -4- メチルモルホリニゥムクロライド (DMT— MM) (国産化学株式会社製) を 500 mg/mL (試薬に予め含まれている水分量 (11. 7%) を補正すると 1595. 5mM) になるように溶解させた。
21 kD aのヒアルロン酸ナトリウム (資生堂株式会社製) をマイクロチューブに 秤取し、 超純水を添加し、 4°Cでー晚静置して溶解させた。 前記で調製した TEA溶 液を最終容量の 1/5、前記で調製した EDOBEA溶液を HAュニットに対してモ ル比で 0. 28倍になるように添加し、 よく混合した。 さらに前記で調製した DMT — MM溶液を HAュニッ卜に対してモル比で 2倍量になるように添加し、 よく混合し た。 最終容量は 100 1とした。 遠心操作により混合時に発生した気泡を除去し、 37°Cで 16時間静置することによって化学架橋反応を行った。 ここで調製したサン プル C 3-6について、実施例 2— 4で示した方法と同様の手順で膨潤時のゲル密度 を算出した。
(比較例 3— 5) HA— AMを縮合反応によって架橋した HAゲルの調製
250 mM塩酸水溶液に 500 mMになるように T E Aを溶解させた。超純水で 1 Z 5に希釈したところ溶液 pHは 7. 4であった。
超純水に DMT— MMを 65 Omg/mL (試薬に予め含まれている水分量( 11. 7%) を補正すると 2074. ImM) になるように溶解させた。
実施例 18で合成した HA— AM— 1をマイクロチューブに抨取し、超純水を添加 し、 4 °Cでー晚静置して溶解させた。 前記で調製した TEA溶液を最終容量の 1Z 5 添加し、 よく混合した。 さらに前記で調製した DMT— MM溶液を HAユニットに対 してモル比で 2倍量になるように添加し、 よく混合した。 最終容量は 100 1とし た。遠心操作により混合時に発生した気泡を除去し、 37°Cで 16時間静置すること によって化学架橋反応を行った。 ここで調製したサンプル C 3— 7について、 実施例 2一 4で示した方法と同様の手順で膨潤時のゲル密度を算出した。
(比較例 3— 6) HA— I TLを酸化反応によって架橋した HAゲルの調製
本比較例に使用した超純水は窒素パブリングしてから以下の検討に供した。
超純水に 50 OmMになるように TEAを溶解させた。超純水で 1/5に希釈した ところ溶液 pHは 9. 2であった。
30 %の過酸化水素 (0 X) 水溶液を超純水で希釈することで 1 % O X水溶液を調 製した。
実施例 19で合成した HA— I TLをマイクロチューブに秤取し、超純水を添加し、
4 °Cでー晚静置して溶解させた。前記で調製した T E A溶液を最終容量の 1 Z 5添加 し、 よく混合した。 さらに前記で調製した 1% OX水溶液を SH基に対してモル比で 等量になるように添加し、 よく混合した。 最終容量は 100 1とした。 遠心操作に より混合時に発生した気泡を除去し、 37°Cで 16時間静置することによって化学架 橋反応を行った。 ここで調製したサンプル C 3— 8について、 実施例 2— 4で示した 方法と同様の手順で膨潤時のゲル密度を算出した。
(比較例 3— 7) HA-TGAを酸化反応によつて架橋した H Aゲルの調製 実施例 20で合成した H A— TG Aを用いた他は、比較例 3— 6で示した方法と同 様の手順でサンプル C 3-9を調製し、 膨潤時のゲル密度を算出した。
(比較例 3— 8) HA— MAと HA— DTTをマイケル付加反応によって架橋した H Aゲルの調製
本比較例に使用した超純水は窒素バブリングしてから以下の検討に供した。
10 OmM塩酸水溶液に 50 OmMになるように TEAを溶解させた。超純水で 1 / 5に希釈したところ溶液 ρΗは 8. 1であった。
実施例 21— 1で合成した ΗΑ— ΜΑ— 11および実施例 21— 2で合成した Η Α— DTTをそれぞれ別のマイクロチューブに秤取し、 超純水を添加し、 4°Cでー晚 静置して溶解させた。 HA— MA— l 1および HA— DTT溶液を系中の MA基と H A基の比率が 1になるように混合した後、前記で調製した T E A溶液を最終容量の 1 /5添加し、 よく混合した。 最終容量は 100 1とした。 遠心操作により混合時に 発生した気泡を除去し、 37°Cで 16時間静置することによって化学架橋反応を行つ た。 ここで調製したサンプル C 3— 10について、 実施例 2— 4で示した方法と同様 の手順で膨潤時のゲル密度を算出した。
(比較例 3— 9) HA— MAと HA— TGAをマイケル付加反応によって架橋した H Aゲルの調製
本比較例に使用した超純水は窒素パブリングしてから以下の検討に供した。
10 OmM塩酸水溶液に 500 mMになるように T E Aを溶解させた。超純水で 1
/ 5に希釈したところ溶液 pHは 8. 1であった。
実施例 21一 1で合成した HA— MA— 11および実施例 20で合成した H A—
TG Aをそれぞれ別のマイクロチューブに秤取し、 超純水を添加し、 4°Cで一晚静置 して溶解させた。 HA— MA— 11および HA— DTT溶液を系中の MA基と HA基 の比率が 1になるように混合した後、前記で調製した T E A溶液を最終容量の 1 Z 5 添加し、 よく混合した。 最終容量は 100 1とした。 遠心操作により混合時に発生 した気泡を除去し、 37°Cで 16時間静置することによって化学架橋反応を行った。 ここで調製したサンプル C 3- 11について、実施例 2— 4で示した方法と同様の手 順で膨潤時のゲル密度を算出した。
[表 22]
各種化学架橋 HAゲルの調製条件
Figure imgf000075_0001
〔実施例 23〕 ナノゲル (CHP、 CHcDex) を封入した各種化学架橋 HAハイ ブリツドゲルの調製
各サンプル調製 (サンプル 23— 1〜15) に使用した HA誘導体、 ナノゲル、 最 終濃度、 架橋剤、 反応条件等を表 23に示した。
(実施例 23-1) HA— MAをマイケル付加反応によって架橋した CHP封入ハイ プリッドゲルの調製
化学架橋する前のサンプル溶液に 2 Omg/mLの CHPを含む他は比較例 3— 1で示した方法と同様の手順で、表 23に示したサンプル 23— 1〜3の CHP封入 ハイプリッドゲルを調製し、 膨潤時のゲル密度を算出した。
(実施例 23— 2) HA— MAをラジカル重合によって架橋した CHP封入ハイプリ ッドゲルの調製
化学架橋する前のサンプル溶液に 2 OmgZmLの CHPを含む他は比較例 3— 2で示した方法と同様の手順で、表 23に示したサンプル 23— 4の CHP封入ハイ プリッドゲルを調製し、 膨潤時のゲル密度を算出した。
(実施例 23-3) HA— MAを光重合した CHP封入ハイプリッドゲルの調製 化学架橋する前のサンプル溶液に 20mg/mLの CHPを含む他は比較例 3— 3で示した方法と同様の手順で、表 23に示したサンプル 23— 5の CHP封入ハイ ブリツドゲルを調製し、 膨潤時のゲル密度を算出した。
(実施例 23-4) HAと EDOBEAを縮合反応によって架橋した CHP封入ハ イブリツドゲルの調製
化学架橋する前のサンプル溶液に 20mgZmLの CHPを含む他は比較例 3— 4で示した方法と同様の手順で、表 23に示したサンプル 23一 6の CHP封入ハイ ブリツドゲルを調製し、 膨潤時のゲル密度を算出した。
(実施例 23-5) HA— AMを縮合反応によって架橋した CHP封入ハイブリッド ゲルの調製
化学架橋する前のサンプル溶液に 20mg/mLの CHPを含む他は比較例 3— 5で示した方法と同様の手順で、表 23に示したサンプル 23 - 7および 23— 8の CHP封入ハイブリッドゲルを調製し、 膨潤時のゲル密度を算出した。
(実施例 23-6) HA- I TLを酸化反応によって架橋した CHP封入ハイプリッ ドゲルの調製
化学架橋する前のサンプル溶液に 20mgノ mLの CHPを含む他は比較例 3— 6で示した方法と同様の手順で、表 23に示したサンプル 23— 9の CHP封入ハイ プリッドゲルを調製し、 膨潤時のゲル密度を算出した。
(実施例 23-7) HA— TGAを酸化反応によって架橋した CHP封入ハイブリツ ドゲルの調製
化学架橋する前のサンプル溶液に 20mg/mLの CHPを含む他は比較例 3一
7で示した方法と同様の手順で、表 23に示したサンプル 23- 10の CHP封入ハ イブリッドゲルを調製し、 膨潤時のゲル密度を算出した。
(実施例 23-8) HA— MAと HA— DTTをマイケル付加反応によって架橋した
C HP封入ハイプリッドゲルの調製
化学架橋する前のサンプル溶液に 7. 5mg/mLの CHPを含む他は比較例 3—
8で示した方法と同様の手順で、表 23に示したサンプル 23— 11の CHP封入ハ イブリッドゲルを調製し、 膨潤時のゲル密度を算出した。
(実施例 23-9) HA— MAと HA— TGAをマイケル付加反応によって架橋した
CHP封入ハイプリッドゲルの調製
化学架橋する前のサンプル溶液に 7. 5mg/mLの CHPを含む他は比較例 3—
9で示した方法と同様の手順で、表 23に示したサンプル 23— 12の CHP封入ノ、 イブリッドゲルを調製し、 膨潤時のゲル密度を算出した。
(実施例 23- 10) HA— MAをマイケル付加反応によって架橋した CHcD e x 封入ハイプリッドゲルの調製
化学架橋する前のサンプル溶液に 2 OmgZmLの CHcD e Xを含む他は比較 例 3 _ 1で示した方法と同様の手順で、表 23に示したサンプル 23一 13の CHP 封入ハイブリツドゲルを調製し、 膨潤時のゲル密度を算出した。
前記、比較例 3— 1〜 9および実施例 23— 1〜 10において算出したゲル密度の 結果を表 24に示した。 凍結乾燥ゲル重量から理論収量に対する収率を算出すると、 全てのゲルの収率はほぼ 100%であったこと、 および、 ナノゲル (CHPおよび C
HcDex)共存下、各種化学反応によって架橋したハイプリッドゲルのゲル密度は、 ナノゲル非共存下と比較して増大していたことから、本実施例において調製した種々 ハイプリッドゲル中にナノゲルが封入されたことが示唆された。 [表 23]
表 23 各種ナノゲル封入化学架橋 ΗΑΛィプリッドゲルの調製条件
Figure imgf000078_0001
[表 24]
表 24 各種ナノゲル封入ハイプリッドゲルおよび化学架橋 H Aゲルの膨潤時ゲル 密度比較
Figure imgf000079_0001
〔実施例 24〕 CHPを封入した各種化学架橋 H Aハイプリッドゲルへのインスリン 封入特性および放出特性の評価
(実施例 24- 1) 各種ハイプリッドゲルの調製
表 25に示したサンプル 24— 1 5をそれぞれ 2個ずつ、実施例 23で示した方 法と同様の手順で各種凍結乾燥ハイプリッドゲルを調製し、それぞれマイクロチュー ブに入れた。
[表 25]
表 25 各種ナノゲル封入化学架橋 H Aハイプリッドゲルの調製条件
HA誘導体 最終濃度 架橋剤等の添加剤
サンプル 反応溶液 反応条件 ナノゲル等 (mg/mL) 添加比率、 濃度等
HA-MA- 2 50. 0 DTT 10 OmMTEA 37°C
24-1
CHP 20. 0 3«[基/11八基= 1 20 mM塩酸 16時間
ΗΑ-λίΑ-2 50. 0 2 OmMKP S inn
24-2 100 mM塩酸
CHP 20. 0 10 OmMTEMED 1時間
HA— MA— 2 50. 0 2 OmM 10 OmMTEA uv照射
24-3
CHP 20. 0 I n i t i a t o r 20 mM塩酸 10分間
HA 50. 0
DMT— MM 10 OmMTEA 371C
24-4 EDOBEA 5. 2
(DMT-MM/HA=2) 50 mM塩酸 16時間
CHP 20. 0
HA- I TL 50. 0 過酸化水素 (
24-5 ox) 37*C
10 OmMTEA
CHP 20. 0 (OX/SH基 =1) 16時間 (実施例 24— 2) インスリンの封入、 および封入量の算出
インスリン (ゥシ滕臓由来) を 250 2 gZmLになるように 30 OmMPB (p H7. 0) に溶解させた。
ィンスリン溶液をハイブリッドゲルが入ったマイク口チューブに 1 mLずつ添加 し、 4°Cで 3日間静置した後、 デカンテーシヨンによってインスリン溶液を除去し、 過剰の PB S (PB Sタブレットを超純水に溶解することにより調製、 シグマ社製) を添加し、 4°Cで静置、 数時間後に添加した PBSをデカンテーシヨンによって除去 した。 この操作を数回繰り返した後、 ゲル表面の水分をキムワイプで吸い取り、 一方 は以下の封入量評価の検討に、他方は実施例 24— 3のインスリン放出挙動評価の検 討に供した。
インスリンを封入した各ハイプリッドゲルに 25mMのHP— i3— CDぉょび0. 05%の丁 € e n 20を含む PBS (CTB) を 500 1添加し、 37°Cでイン キュベ一シヨンした。 インキュベーション開始後、 2時間、 1日、 2日、 4日後に、 400 Lの上澄みを回収、 新たに 400 Lの CTBを添加する操作を行った。 回 収した上澄み中のインスリン濃度を RP— HP LC (実施例 6— 2に記載の条件) で 定量し、各測定時までにハイプリッドゲルからリリ一スされた累積のィンスリン量を 算出した。 すべてのサンプルで 2日後から 4日後まで間、 インスリンのリリースが止 まっていたことから、 4日後までの累積リリース量をハイプリッドゲルへのインスリ ンの封入量とした。 その結果を表 26に示した。
[表 26]
表 26 各種ナノゲル封入ハイブリッドゲルヘインスリン封入量
Figure imgf000080_0001
(実施例 24-3) インスリンの放出挙動 実施例 24— 2においてインスリンを封入した各ハイブリッドゲルに 0. 05%の アジ化ナトリウムを含む PB S (SAB) を 500 1添加し、 37 °Cでインキュべ ーシヨンした。 インキュベーション開始後、 2時間、 1日、 2日、 4日、 7日、 10 日、 15日後 (サンプル 25— 5は 10日まで) に、 400 Lの上澄みを回収、 新 たに 400 Lの S ABを添加する操作を行った。回収した上澄み中のインスリン濃 度を RP— HPLC (実施例 6— 2に記載の条件) で定量し、 各測定時までにハイブ リッドゲルからリリースされた累積のインスリン量を算出した。 この値を封入された インスリン量(実施例 24— 2で算出) に対するパーセント量としてプロットしたも のを図 24に示した。
この結果、本検討に用いた全てのハイプリッドゲルからのィンスリン放出挙動は徐 放性を有していた。 放出挙動が異なっているのは、 それぞれのゲル密度や分解速度が 異なるためと推察された。
〔実施例 25〕 CHcDを封入した各種化学架橋 HAハイプリッドゲルへのィンスリ ン封入特性および放出特性の評価
(実施例 25— 1) インスリンの封入、 および封入量の算出
表 27に示したサンプル 25— 1を 2個、実施例 23で示した方法と同様の手順で 凍結乾燥ハイブリツドゲルを調製し、 それぞれマイクロチューブに入れた。
実施例 24— 2で示した方法と同様の手順でィンスリンを封入し、封入量を算出し たところ、 CHcD e Xの仕込み量に対する重量比で 3. 4%w/w、 乾燥ゲルに対 する重量比で 1. 0%w/wであった。
27]
CHcDexを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルの調製条件
Figure imgf000081_0001
(実施例 25— 2) インスリンの放出挙動
実施例 25一 1でインスリン封入したサンプル 25- 1について、実施例 24-3 で示した手順と同様の方法でインスリンの放出挙動を評価し、結果を図 25に示した。 この結果、 骨格多糖の異なる疎水化多糖 (ナノゲル) である CHcDexを封入し たハイプリッドゲルからのインスリンの放出挙動は徐放性を有するものであった。 〔実施例 26〕 CHPを封入した化学架橋 HA— MA八イブリツドゲルへのグルカゴ ン様ペプチド— 1 (GLP— 1) の封入特性および放出特性評俪
(実施例 26— 1) GLP- 1の封入、 および封入量の算出
表 28に示したサンプル 26— 1を 2個、実施例 23で示した方法と同様の手順で 各種凍結乾燥ハイプリッドゲルを調製し、 それぞれマイク口チューブに入れた。
天然型 GLP— 1 [7-37] (アメリカンペプチド社製) をペプチド濃度として 500 gZmLになるように 30 OmMPB (pH7. 0) に溶解させた。
実施例 24— 2で示した方法と同様の手順で GL P— 1を封入し、サンプル 26— 1について封入量を算出したところ、 CHPの仕込み量に対する重量比で 20. 6% w/w、 乾燥ゲルに対する重量比で 5. 9%w/wであった。
[表 28]
表 28 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイブリッドゲルの調製条件
Figure imgf000082_0001
(実施例 26— 2) GLP— 1の放出挙動
実施例 26— 1で GLP— 1封入したサンプル 26— 1について、実施例 24-3 で示した手順と同様の方法で GLP— 1の放出挙動を評価し、結果を図 26に示した。 この結果、本検討に用いたハイブリッドゲルからの GLP— 1放出挙動は徐放性を有 していた。
〔実施例 27〕 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルへのエリス口 ポェチン (EPO) の封入特性および放出特性評価
(実施例 27— 1) EPOの封入、 および封入量の算出
表 29に示したサンプル 27— 1を 2個、実施例 23で示した方法と同様の手順で 各種凍結乾燥八ィプリッドゲルを調製し、 それぞれマイク口チューブに入れた。
エリスロポエチン (EPO) 原薬溶液 (中外製薬株式会社製) をポリペプチド濃度 として 500 gZmLになるように 5 OmMPB (pH6. 5) で希釈した。
各ハイブリッドゲルに添加した薬物溶液量を 0. 5mLに、 静置した温度および時 間を 37°C、 4日間に変更した他は、 実施例 24— 2で示した方法と同様の手順で E P〇を封入した。 また、 以下に示す SEC分析条件において定量を行った他は実施例 24— 2で示した方法と同様の手順で EPOおよび C HPの封入量を算出した。 (本 SEC分析において、 ΕΡΟ · CHP複合体から EPOは完全に解離しフリーの EP Oとして定量的に検出されることをあらかじめ検証した。 ) この結果、 EPO封入量 は CHPの仕込み量に対する重量比で 6. 8 %wZw、乾燥ゲルに対する重量比で 2. 0%wZwであった。 また、 CHPの仕込み量に対する放出量比 (ゲル化、 洗浄、 封 入工程などにおける収率) は 6 1. 3%であった。
SEC分析条件
システム: Wa t e r s A l l i anc e 2790/2487
カラム: G2000 SWXL (TOSOH社製)
流速: 1. OmL/分
検出: UV検出 (280 nm)
溶出液: 10mM ΗΡ-β-C D含有 P B S
ィンジェクション容量: 50 L
[表 29]
表 29 CHPを封入した化学架橋 HA— MAハイプリッドゲルの調製条件
Figure imgf000083_0001
(実施例 27— 2) EPOぉょびCHPの放出挙動
実施例 27- 1で EPOを封入したハイプリッドゲルからの EPOおよび CHP の放出挙動を以下に示す SEC分析条件で定量した他は、実施例 24— 3で示した手 順と同様の方法で経時的な EPOおよび CHPの放出挙動を評価し、結果を図 27に 示した。
本検討に用いたハイプリッドゲルからの E P O放出挙動は徐放性を有していた。 ま た、 CHPについて徐放性が観察されたとともに、 その放出挙動は EPOのそれとほ ぼ同様であった。 実施例 7において、 ハイブリッドゲルから放出された種はインスリ ン · CHP複合体のみであったこと、 本検討において、 EPOと CHPの放出挙動が ほぼ同様であったことから、 ハイブリッドゲルからの薬物放出は、 ナノゲルが放出さ れることに伴って生じることが示唆された。
SEC分析条件
システム: Wa t e r s A l 1 i anc e 2790/2487/2414 カラム ·· G2000 SWXL (T OS OH社製)
流速: 1. OmLZ分
検出: EP〇については UV検出 (280 nm)
CHPについては示唆屈折率 (R I) 検出
溶出液: 10mM HP— j3— CD含有 PBS
インジェクション容量: 50 L
〔実施例 28〕 CHPを封入した化学架橋 HA— AMハイブリツドゲルへのエリス口 ポェチン (EPO) の封入特性および放出特性評価
(実施例 28— 1) EPOの封入、 および封入量の算出
表 30に示したサンプル 28 - 1および 28— 2をそれぞれ 2個ずつ、実施例 23 で示した方法と同様の手順で各種凍結乾燥ハイプリッドゲルを調製し、それぞれマイ クロチューブに入れた。
実施例 27— 1で示した方法と同様の手順で EPOを封入し、 封入量を算出した。 この結果を表 31に示した。 [表 30]
表 30 CHPを封入した化学架橋 HA— AMハイプリッドゲルの調製条件
Figure imgf000085_0001
[表 31]
表 31 CHPを封入した HA— AMハイブリッドゲルへ EPO封入量
Figure imgf000085_0002
(実施例 28— 2) EPOの放出挙動
実施例 28— 1で EPOを封入したハイブリッドゲルからの E P 0放出挙動を実 施例 27— 2で示した手順と同様の方法で経時的な EPO放出挙動を評価し、結果を 図 28に示した。
本検討に用いたハイプリッドゲルからの EP〇放出挙動は徐放性を有していた。 ま た、 実施例 6と同様に、 ゲル密度 (実施例 23で算出したサンプル 23— 7および 2 3-8のゲル密度を参照) に依存してリリ一ス速度が異なっていた。
〔実施例 29〕ナノゲルと EPOの複合体共存下で H A誘導体を化学架橋したハイブ リッドゲルの調製
本比較例に使用した超純水は窒素パブリングしてから以下の検討に供した。
10 OmM塩酸水溶液に 50 OmMになるように TEAを溶解させた。超純水で 1 Z 5に希釈したところ溶液 pHは 8. 1であった。
実施例 21— 1で合成した H A— MA— 11および実施例 21— 2で合成した H A— DTTをそれぞれ別のマイクロチューブに秤取し、 超純水を添加し、 4°Cでー晚 静置して溶解させた。
DTTを 5 OmgZmLの濃度で超純水に溶解させた。 CHPを 3 OmgZmLの濃度で超純水に溶解させた。
エリスロポエチン (EPO) 原薬溶液 (中外製薬株式会社製) 、 前記 CHP溶液お よび超純水を混合することで、 EPOポリペプチド濃度として 450 g/mL、 C HP濃度 15mg/mL溶液を調製し、 37°Cでー晚静置した。 実施例 7に示した S EC分析条件において SEC分析を実施したところ、 フリーの EPO (保持時間 7. 1分) は検出されず、 EPO * CHP複合体 (保持時間 5. 6分) のみが検出され、 系中の E P 0全量が CHPと複合体を形成していることが確認された。
各種 H A誘導体溶液、 EPO · C HP複合体溶液、 超純水、 DTT溶液 (サンプル 29— 2のみ) 、 TEA溶液を表 32に示した割合になるように混合した。 最終容量 は 50 1とした。遠心操作により混合時に発生した気泡を除去し、 37°Cで 16時 間静置することによって化学架橋反応を行った。 ここで調製したサンプルは実施例 3 0に供した。
[表 32]
E P O ·ナノゲル複合体共存下で化学架橋したハイブリッドゲルの調製条件
Figure imgf000086_0001
〔比較例 4〕 EPO共存下で HA誘導体を化学架橋したハイプリッドゲルの調製 エリスロポエチン (EPO) 原薬溶液 (中外製薬株式会社製) に超純水を混合する ことで、 EPOポリペプチド濃度として 450 /1 gZmLになるように希釈した。 前記 E P O溶液を用いた他は、実施例 29に示した方法と同様の手順で表 33に示 したハイプリッドゲルを調製し、 実施例 30に供した。 W
[表 33]
表 33 EPO共存下で化学架橋したハイプリッドゲルの調製条件
Figure imgf000087_0001
〔実施例 30〕 E P 0およびナノゲル · E P O複合体共存下で化学架橋により薬物封 入したハイブリッドゲル中の薬物安定性評価
実施例 29および比較例 4で調製したそれぞれのサンプルに 251111^の11?ー;3 一 CDおよび 0. 05 %の Twe e n 20を含む PB Sを 250 X 1添加し、 37°C でインキュベーションした。 インキュベーション開始後、 2時間、 10時間、 2日、 3日、 5日、 7日、 1 1日後に、 200 Lの上澄みを回収、 新たに、 5mMの HP — ]3— CDおよび 0. 05%の Twe e n 20を含む PBSを 200 / L添加する操 作を行った。 回収した上澄み中の EPO濃度を RP— HPLC (分析条件は以下に記 載) および実施例 27— 1で示した SEC分析条件で定量し、 各測定時までにリリー スされた累積の EPO量を算出した。 RP— HP LCと SECによる定量結果に有意 な差は見られなかった。すべてのサンプルで 7日後から 1 1日後まで間、 EPOのリ リースが止まっていた。仕込んだ EPO量に対する 1 1日後までの累積リリ一ス量を EPO回収率とし、 その値 (RP— HPLC定量値) を図 29に示した。
この結果、 あらかじめ EPOをナノゲルと複合化させておくことで、 ゲルから回収 された E P O量は有意に増加し、特にサンプル 29一 1では仕込んだ E P Oのほぼ全 量が回収された。これは、ナノゲルに複合化した E P〇はフリーの E P Oと比較して、 HA誘導体や架橋剤との反応性が著しく低下しているためと推察された。よって実施 例 29で示した方法は、化学架橋 HAゲルに薬物共存下で化学架橋して薬物封入する 場合に、 不本意な副反応を回避するために有効な手法であると考えられた。
RP— HPLC分析条件
システム: Wa t e r s A l 1 i an c e 2790/2487 カラム: S ymme t r y 300 C 4 (3. 5 ^m) 2. ImmX 50 mm (W a t e r s社製)
流速: 0. 75mLZ分
検出: UV (280 nm)
溶出液 A: 0. 1%WZVTFA含有超純水
溶出液 B: 0. 1 %W//vTFA含有ァセトニトリル
溶出方法: 溶出液 AZ溶出液 B=90/10から 40/60のリニアーグラジェ ン卜
〔実施例 31〕 ラットにおける薬物動態試験用各種ハイプリッドゲルの調製 表 34に示したサンプル 31— 1、 31— 2をそれぞれ 15個ずつ、 サンプル 31 ー3を 27個、実施例 23に示した方法と同様の手順で調製し、ゲル密度を算出した。 その結果を表 35に示した。
[表 34]
表 34 薬物動態試験用ハイプリッドゲルの調製条件
Figure imgf000088_0001
[表 35]
薬物動態試験用ハイプリッドゲルの調製結果
Figure imgf000088_0002
〔実施例 32〕薬物動態試験用各種ハイプリッドゲルへの EPO封入および封入量評 価 実施例 31で調製したサンプル 31— 1〜 3のそれぞれの凍結乾燥ハイブリッド ゲルについて、 実施例 27— 1で示した方法と同様の手順で EPOを封入した。 EP Oを封入した各サンプルのなかから無作為に選択したそれぞれ 3個について実施例 27— 1で示した方法と同様の手順でゲルサンプル 1個あたりに封入された EPO 量を算出した。 その結果を表 36に示した。
[表 36]
表 36 薬物動態試験用ハイプリッドゲルのへの E P 0封入量
Figure imgf000089_0001
〔比較例 5〕 エリスロポエチン ' CHP複合体のラットにおける薬物動態試験
(比較例 5— 1) EPO · CHP複合体溶液および EPO溶液の調製
CHPを 1 OmgZmLの濃度で PBS (pH7. 4) に溶解させた。
エリスロポエチン (EPO) 原薬溶液 (中外製薬株式会社製) 、 前記 C HP溶液お よび PBSを混合することで、 EPOポリペプチド濃度として 25 X gZmL、 CH P濃度 3mg/mL溶液を調製し、 37°Cでー晚静置した。 実施例 7に示した SEC 分析条件において SEC分析を実施したところ、 フリーの EPO (保持時間 7. 1分) は検出されず、 EPO, CHP複合体 (保持時間 5. 6分) のみが検出され、 系中の E P O全量が C H Pと複合体を形成していることが確認された。
別に、 EPOポリペプチド濃度として 25 / g/mLの PB S溶液を調製した。 (比較例 5— 2) 薬物動態試験
表 37に示した用量で、 比較例 5— 1で調製した EPO · CHP複合体溶液および EPO溶液を正常ラット (SD、 7週齢、 雄) の皮下に単回投与した。 投与後、 経時 的にへパリン処理をしたシリンジで頸静脈採血を行った。得られた血液は血漿分離し、 EPO血漿中濃度を EL I S Aキットにて測定した。 EPOの血漿中濃度推移 (平均 値) を図 30に示した。 この結果、 ΕΡΟ · CHP複合体とフリーの ΕΡΟはほぼ同様の血漿中濃度推移を 示し、 ナノゲルと複合体を形成することによって有意な徐放性は観察されなかった。 これは、 皮下に投与された ΕΡΟ · CHP複合体から生体成分 (アルブミンなど) と の置換により速やかに Ε Ρ Οが放出されたと考えられ、 CHPと複合化を形成するこ とによって ΕΡΟの皮下からの吸収過程や体内消失過程にほとんど影響を及ぼさな いことが示唆された。
[表 37]
表 37 ΕΡΟ - CHP複合体溶液および Ε Ρ〇溶液の組成および投与量
Figure imgf000090_0001
〔実施例 33〕 ラットにおけるハイプリッドゲルからのエリスロポエチン徐放性評価 実施例 32で EPOを封入したサンプルを表 38に示した用量で正常ラット (SD、 7週齢、 雄) の皮下に埋め込んだ。 投与後、 経時的にへパリン処理をしたシリンジで 頸静脈採血を行った。 得られた血液は血漿分離し、 EPO血漿中濃度を EL I SAキ ットにて測定した。各種ハイブリツドゲル投与時の EPOの血漿中濃度推移(平均値) および比較例 5の EPO · CHP複合体溶液投与時の血漿中濃度推移 (平均値) を併 せて図 31に示した。 また、 薬物動態パラメ一夕一 (血漿中濃度一時間曲線下面積外 挿値 (AUC∞) および平均滞留時間 (MRT) ) を Wi nNon l i n Ve r. 5. 0. 1 (Ph a r s i gh t社製) によって解析し、 その値を表 39に示した。 この結果、ハイブリッドゲルからの EPO放出挙動は i n V i v oにおいても徐 放性を有するものであり、その放出速度は架橋密度やゲルを架橋する反応の種類によ り制御可能なことが示唆された。 [表 38]
表 38 EP O封入ハイブリッドゲルの特性および投与量
Figure imgf000091_0001
[表 39]
表 39 EPO封入ハイブリッドゲルの薬物動態パラメーター
Figure imgf000091_0002

Claims

請求の範囲
1. 架橋性基を有するヒアルロン酸誘導体、 および疎水性基を有する親水性多糖類 誘導体を含む組成物であって、 前記架橋性基を有するヒアルロン酸誘導体が、 前記親 水性多糖類誘導体(ここで、 当該親水性多糖類誘導体は架橋形成が可能な基を有して いてもよい) の存在下、 ヒアルロン酸または架橋形成が可能な基を有するその誘導体 の架橋形成反応により調製される前記組成物。
2. 前記親水性多糖類誘導体が、 100単糖あたり 0. 5〜 30個の疎水性基を有 する、 請求項 1に記載の組成物。
3. 前記親水性多糖類誘導体が、 前記疎水性基の会合により微粒子を形成する、 請 求項 1または 2に記載の組成物。
4. 前記親水性多糖類誘導体が、 プルラン、 アミ口べクチン、 アミロース、 デキス トラン、 マンナン、 レバン、 ィヌリン、 キチン、 キトサン、 ヒアルロン酸、 およびデ キストリンから選択される親水性多糖類またはその誘導体に疎水性基を導入して得 ることができる、 請求項 1〜 3のいずれか 1項に記載の組成物。
5. 前記架橋形成が可能な基が、 アミノ基、 メルカプト基、 ホルミル基、 炭素一炭 素二重結合を含む基、および炭素一炭素三重結合を含む基から選択される 1以上の基 を含む、 請求項 1〜4のいずれか 1項に記載の組成物。
6. 前記疎水性基が、 C 85。炭化水素基を含む基またはステリル基を含む基であ る、 請求項 1〜 5のいずれか 1項に記載の組成物。
7. 前記疎水性基が、 前記水溶性多糖類の 1以上のヒドロキシ基を一 OXに変換す ることにより導入され、 Xは、 以下の基:
-CO-R1
一 CO— χΐ - R2
一 CO - R 3 - X2 - CO - Ri;
一 CO - X1 - R3— CO - R1
-CO-R3-CO-X3-R2
一 CO - X1— R3 - CO - X3 - R2 ;
一 CO - X1 - R3— X2 - CO— R1; 一 CO— R3 - X2— CO - X3 - R2 ;および
一 CO - X1 - R3 - X2 - CO - X3 - R2
[式中、 R1は、 Cs5。炭化水素基であり ;
R2は、 C8_5()炭化水素基またはステリル基であり ;
R3は、 2価の C2_5。炭化水素基であり ;
X1、 X2および X3は、 独立に、 0および N (R4) から選択され;
R4は、 水素原子または — 6アルキル基である]
から選択される、 請求項 1〜 6のいずれか 1項に記載の組成物。
8. R2がコレステリル基である、 請求項 7に記載の組成物。
9. 前記水溶性多糖類またはその誘導体が、 プルランまたはその誘導体、 およびデ キストリンまたはその誘導体から選択される、請求項 4〜 8のいずれか 1項に記載の 組成物。
10. 前記架橋形成が可能な基が、 ヒアルロン酸の 1以上のカルボキシ基を— CO 一 Yに変換することにより導入され、 Y基は、 以下の基:
一 X11— R12— Y2 ;
一 X11— R12— X12 - CO— R13— Y2
— X11— R12 - X12 - C (=NR24) — R13— Y2
一 X11— R12_CO— X13— R13— Y2
_ Xl l _ R 12 _ X 12 _ C O _ X l 3 _ R 13 _Y2 . 一 N (R11) N ( 14) CO - R12— Y2 ;
一 N (R11) N (R14) CO - R12— CON (R15) N (R16) CO— R13 - Y 2;および
— N (R11) N (R14) CO— R12— CON (R15) N (R16) C (=NR24) 一 R 13一 γ2 [式中、 X11、 X12および X13は、 独立に、 Οおよび N (R11) から選択され:
Υ2は、 アミノ基、 メルカプト基、 ホルミル基、 一 CONHNH2、 炭素—炭素二重 結合を含む基、 および炭素一炭素三重結合を含む基から選択され;
R11, R14、 R15、 R16および R24は、 独立に、 水素原子または アルキル 基から選択され;
R12は、 2価の C250炭化水素基または 2価の C2_5。ポリアルキレンォキシ基で あり ;
R13は、 2価の(^_5。炭化水素基、 2価の C2_5。ポリアルキレンォキシ基または 一 CH (R25) — CH2 - S - CH2— R26_CH2 -であり; ここで、 R12および R 13が 2価の C2_5。炭化水素基である場合、 独立に、 1〜10の酸素原子が挿入され て当該炭化水素基が一部にポリアルキレンォキシ部分を含んでいてもよく ;または
— Ri3一 γ2は、 一緒になつて、 —CH (NH2) CH2SHもしくは一 CH (NH
2) CH2CH2SHを表し;または
— X11— R12— Y2は、 一緒になつて、 システィン、 ホモシスティンまたはグルタ チオンが末端のァミノ基で連結する基を表し;
R25は、 水素原子または アルキル基であり ;
R26は、 一 (CH (R27) ) m—または 1〜3の酸素原子が挿入されて一部にボリ アルキレンォキシ部分を含んでいてもよい 2価の 。炭化水素基であり ;
mは、 1〜 10の整数であり ;
R27は、独立に、水素原子、 ヒドロキシ基または -6アルキル基から選択される] から選択される、 請求項 1〜 9のいずれか 1項に記載の組成物。
11. Y基が、
-NH-CH2-CH2-0-CO-C (R17) =CH2
一 NH - NH— CO— (CH2) 4一 C 0 - NH— NH2
-NH-NH-CO- (CH2) 4-CO-NH-NH-C (=NH) 一 (CH2) 3-SH;
一 NH - (CH2 - CH2—〇) 2 - CH2— CH2— NH2
— NH - (CH2 - CH2 - O) 2— CH2 - CH2— NH - C (=NH) 一 (CH2) 3— SH ;
-NH- (CH2 - CH2 - O) 2 - CH2— CH2— NH - CO— CH2 - SH;お よび
— NH - CH2— CH2 - O— CO - CH (R17) 一 CH2— S - CH2 - CH (O H) 一 CH (OH) — CH2 - SH
[式中、 R17は、 水素原子または — 6アルキル基である]
から選択される、 請求項 10に記載の組成物。
12. 前記架橋形成が可能な基が、 親水性多糖誘導体、 またはヒアルロン酸もしく はその誘導体の 1以上のヒドロキシ基を一 O— Zに変換することにより導入され、 Z 基は、 以下の基:
一 CO— C (R21) =CH2
一 CH2CH (OH) — R22— γ1
一 CH (CH2OH) 一 R — Y1
— CONH— R23— Y1
一 CO - R23 - Υΐ;
[式中、 Υ1は、 アミノ基、 メルカプト基、 ホルミル基、 炭素一炭素二重結合を含む 基、 および炭素一炭素三重結合を含む基から選択され;
R 21は、 水素原子または C i _ 6アルキル基から選択され;
R22および R23は、 2価の C25。炭化水素基または 2価の C2_5。ポリアルキレン ォキシ基であり、 前記 2価の C25。炭化水素基は、 1〜10の酸素原子が挿入され て一部にポリアルキレンォキシ部分を含んでいてもよい]
から選択される、 請求項 1〜 11のいずれか 1項に記載の組成物。
13. Y1が、 以下の基:
-X14-CO-C (R18) =CH2
[式中、 X14は、 Oおよび N (R19) 力 ^ら選択され; R18は水素原子または ( 卜 6 アルキル基であり ; R19は水素原子または — 6アルキル基である] および
[化 1]
Figure imgf000095_0001
から選択される炭素—炭素二重結合を含む基である、請求項 1〜12のいずれか 1項 に記載の組成物。
1 4. 前記架橋形成反応が、 前記溶液中に架橋剤を添加することにより行われる、 請求項 1〜 1 3のいずれか 1項に記載の組成物。
1 5 . 架橋性基を有するヒアルロン酸誘導体により、 架橋性基を有さない親水性多 糖類誘導体が封入されている、 請求項 1〜 1 4のいずれか 1項に記載の組成物。
1 6 . 親水性多糖類誘導体が、 分子内架橋性基、 または親水性多糖類誘導体および ヒアルロン酸誘導体に連結する分子間架橋性基を有する、請求項 1〜1 4のいずれか 1項に記載の組成物。
1 7 . 親水性多糖類誘導体がヒアルロン酸誘導体にのみ連結する架橋性基を有する、 請求項 1〜 1 3のいずれか 1項に記載の組成物。
1 8 . ヒアルロン酸誘導体が、 分子内架橋性基、 またはヒアルロン酸誘導体に連結 する分子間架橋性基を有する、 請求項 1 7に記載の組成物。
1 9 . ゲル状である、 請求項 1〜 1 8のいずれか 1項に記載の組成物。
2 0 . 医薬として使用される、 請求項 1〜1 9のいずれか 1項に記載の組成物。
2 1 . タンパク質またはペプチドを含有する、 請求項 2 0に記載の組成物。
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