JP2015221765A - 医薬組成物 - Google Patents

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誠一 太田
Seiichi Ota
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Yukimitsu Suzuki
幸光 鈴木
翔大 平本
Shota Hiramoto
翔大 平本
成伸 江本
Shigenobu Emoto
成伸 江本
博紀 山口
Hironori Yamaguchi
博紀 山口
浩徳 石神
Hironori Ishigami
浩徳 石神
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丈二 北山
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Abstract

【課題】薬物を安定して内包し、長期に渡る徐放性を有する医薬組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の医薬組成物は、ヒアルロン酸を含む架橋ゲル(A)と、キレート形成基を有するヒアルロン酸を含むナノゲル(B)と、薬物とを含む。この医薬組成物では、該薬物がナノゲル(B)に内包されており、該薬物を内包したナノゲル(B)が架橋ゲル(A)に分散されている。
【選択図】なし

Description

本発明は医薬組成物に関する。より詳細には、本発明は、ヒアルロン酸を含む架橋ゲルと、該架橋ゲルに分散されたヒアルロン酸を含むナノゲルと、該ナノゲルに内包された薬物とを含む医薬組成物に関する。
ヒアルロン酸は、関節、ガラス体、皮膚等の生体内の細胞外マトリックスに広く存在することが知られている。ヒアルロン酸は、食品、化粧品等の分野だけではなく、関節機能改善薬や眼科手術補助剤として医療分野でも広く用いられている。近年、癒着防止材料、再生医療スキャフォールド、ドラッグデリバリーシステム(DDS)担体として適用可能なヒアルロン酸in situ架橋ゲルが提案されている(特許文献1)。また、ヒアルロン酸のレセプターであるCD44の発現量が多くのガン細胞で高くなることが知られており、抗がん剤にヒアルロン酸を添加し、治療する方法が提案されている(特許文献2)。
シスプラチン(CDDP)等の白金系抗ガン剤は、DNAと結合し複製を阻害することが知られている。そのため、CDDPを用いた様々なガン治療が行われている。例えば、持続温熱腹膜灌流装置を用いて、腹膜播種に対して高濃度でCDDPを送達する直接温熱療法が行われており、一定の効果をあげている。しかしながら、この場合、手術により部品を取り付ける必要があり、患者への負担が大きい。また、他の方法として、ゼラチンにCDDPを含ませたゲルシートを用いた治療が提案されている(非特許文献1)。この方法では、CDDPを均一に患部に送達することができるものの、外科手術が必要となる。さらに、ヒアルロン酸とCDDPとのナノ粒子を用いたDDS(非特許文献2)や、ヒアルロン酸ベースのin situ架橋ゲルを用いたDDS(非特許文献3)が提案されている。しかしながら、これらのDDSでは内包されたCDDPが短時間で放出される。そのため、より安定して薬物を内包でき、長期的な徐放性に優れたDDSが求められている。
国際公開第2012/165462号パンフレット 特開2009−46450号公報
Mitsunaga Konishi et al., Journal of Controlled Release 92 (2003) 301−313 YOUNG−IL JEONG et al., Pharmaceutical Nanotechnology, 97, (2008) S. Emoto and T.Ito et al.:Surgery Today (2013) 1−3
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、薬物を安定して内包し、長期に渡る徐放性を有する医薬組成物を提供することにある。
本発明の医薬組成物は、ヒアルロン酸を含む架橋ゲル(A)と、キレート形成基を有するヒアルロン酸を含むナノゲル(B)と、薬物とを含む。この医薬組成物では、該薬物がナノゲル(B)に内包されており、該薬物を内包したナノゲル(B)が架橋ゲル(A)に分散されている。
1つの実施形態においては、上記架橋ゲル(A)は互いに架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸を2種以上含む。
1つの実施形態においては、上記ナノゲル(B)に含まれるヒアルロン酸は上記互いに架橋可能な置換基をさらに有する。
1つの実施形態においては、上記キレート形成基は以下の置換基である:
(式中、RおよびRは(CHを表し、rは0〜2の整数である。RおよびRは同一であってもよく、異なっていてもよい)。
1つの実施形態においては、上記架橋可能な置換基はアルデヒド基とヒドラジド基との組合せ、アジド基とシクロオクチン基との組合せ、チオール基とマレイミド基との組合せ、ならびに、N−ヒドロキシコハク酸イミド基と水酸基との組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種である。
1つの実施形態においては、上記薬物は金属を含む薬物である。
1つの実施形態においては、上記薬物は抗がん剤である。
本発明の別の局面によれば、医薬組成物の調製方法が提供される。本発明の医薬組成物の調製方法、キレート形成基を有するヒアルロン酸と薬物とを用いて、薬物を内包するナノゲルを調製する工程と、互いに架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸に該薬物を内包するナノゲルを添加する工程と、該薬物を内包するナノゲルを添加したヒアルロン酸と、薬物を内包するナノゲルを添加していない他の互いに架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸とを接触させる工程とを含む。
1つの実施形態によれば、上記医薬組成物の調製はインサイチュで行われる。
本発明によれば、薬物を安定して内包し、長期に渡る徐放性を有する医薬組成物が提供され得る。本発明の医薬組成物は、内包される薬物だけではなく、薬物を内包したナノゲル(B)をも放出し得る。薬物を内包するナノゲル(B)は、それ自体が徐放性を有する。そのため、さらに長期的な徐放性を有する医薬組成物を得ることができる。このような構成にすることにより、薬物を安定して内包し、長期に渡る徐放性を有する医薬組成物を提供することができる。さらに、本発明の医薬組成物は内包する薬物とナノゲル(B)に含まれるヒアルロン酸が有するキレート形成基との組み合せにより、薬物の放出速度を調整し得る。さらに、キレート形成基を有するヒアルロン酸が互いに架橋可能な置換基をさらに有することにより、ナノゲル(B)と架橋ゲル(A)とが架橋し、より強固に薬物を保持することができる。そのため、本発明の医薬組成物は、内包する薬物を所望の量および時間で放出することができ、適切な治療効果を提供することができる。
医薬組成物の調製に用いるダブルシリンジの写真である。 Met−5Aの細胞生存率を示すグラフである。 MNK45Pの細胞生存率を示すグラフである。 各サンプルのキレート曲線である。 医薬組成物1および2の徐放曲線を表すグラフである。 医薬組成物3および4の徐放曲線を表すグラフである。 架橋ゲル濃度を変更した医薬組成物の徐放曲線を表すグラフである。 医薬組成物1、2、C1、および、C2におけるMKN45の細胞生存率を表すグラフである。 マウスの体重変化を表すグラフである。 播種重量変化を表すグラフである。 播種数変化を表すグラフである。 血中尿素窒素含有量を表すグラフである。 血中クレアチニン濃度を表すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
本発明の医薬組成物は、ヒアルロン酸を含む架橋ゲル(A)と、キレート形成基を有するヒアルロン酸を含むナノゲル(B)と、薬物とを含む。本発明の医薬組成物では、薬物がナノゲル(B)に内包されており、該薬物を内包したナノゲル(B)は、架橋ゲル(A)に分散・保持されている。本発明の医薬組成物は、内包される薬物だけではなく、薬物を内包したナノゲル(B)をも放出し得る。薬物を内包するナノゲル(B)は、それ自体が徐放性を有する。そのため、さらに長期的な徐放性を有する医薬組成物を得ることができる。このような構成にすることにより、薬物を安定して保持し、長期に渡る徐放性を有する医薬組成物を提供することができる。さらに、キレート形成基を有するヒアルロン酸が互いに架橋可能な置換基をさらに有することにより、ナノゲル(B)と架橋ゲル(A)とが架橋し、より強固に薬物を保持することができる。そのため、本発明の医薬組成物は、内包する薬物を所望の量および時間で放出することができ、適切な治療効果を提供することができる。
本発明の医薬組成物における、架橋ゲル(A)、ナノゲル(B)、薬物の配合割合は、所望の投与量、徐放速度等に応じて、選択することができる。例えば、医薬組成物における架橋ゲル(A)の割合を調整することにより、医薬組成物に含まれるナノゲル(B)および薬物の保持時間を調整することができる。また、本発明の医薬組成物では、薬物だけではなく、徐放性を有するナノゲル(B)自体も放出される。そのため、ナノゲル(B)の割合を調整することでも薬物の保持時間を調整することができる。本発明の医薬組成物では、架橋ゲル(A)およびナノゲル(B)の双方の割合を調整することにより、薬物の保持時間を調整することが可能であり、より徐放性が制御されたDDSを提供することができる。
<A.架橋ゲル>
本発明で用いる架橋ゲル(A)は、ヒアルロン酸を含む。本明細書において、ヒアルロン酸を含む架橋ゲルとは、ヒアルロン酸分子同士が架橋されることにより、三次元的な網目構造が形成されたゲルをいう。ヒアルロン酸は生体適合性に優れるため、DDSの担体として好適に用いることができる。また、内包する薬物として抗ガン剤を用いる場合、ガン細胞を標的とした投与を好適に行うことができ得る。
架橋ゲル(A)に含まれるヒアルロン酸の分子量は、例えば、10,000〜2,000,000であり、好ましくは20,000〜800,000である。
ヒアルロン酸の架橋は、任意の適切な方法により、行うことができる。1つの実施形態としては、架橋ゲル(A)は、互いに架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸を2種以上含み、これらの置換基同士が架橋することが好ましい。架橋剤を用いることなく、置換基同士が架橋して架橋ゲルを形成することにより、後述するように、in situ(インサイチュ)で医薬組成物を調製することができる。そのため、本発明の医薬組成物の投与のために、開腹手術を行う必要がなく、例えば、内視鏡手術等の負担が少ない方法により投与することができる。
上記互いに架橋可能な置換基は、生体内の条件で架橋可能な置換基であることが好ましい。具体的には、ヒドラジド基とアルデヒド基との組合せ、アジド基とシクロオクチン基との組合せ、チオール基とマレイミド基との組合せ、N−ヒドロキシコハク酸イミド基と水酸基との組合せ等が挙げられる。架橋ゲル(A)は上記組合せのうち1組を有するヒアルロン酸のみを含んでいてもよく、異なる置換基の組合せを有するヒアルロン酸を2種以上含んでいてもよい。生体内の条件下で速やかに架橋ゲルが形成されることから、ヒドラジド基を有するヒアルロン酸(HA−ADH)と、アルデヒド基を有するヒアルロン酸(HA−CHO)とを組み合わせて用いることが好ましい。HA−ADHとHA−CHOを用いる場合、ヒドラジド基とアルデヒド基が生体内の条件下で下記式のように結合し、架橋ゲルが形成される。
上記置換基を有するヒアルロン酸の置換基による修飾率は、好ましくは40%〜90%であり、より好ましくは50%〜85%である。修飾率が上記範囲内であれば、所望の架橋密度を有する架橋ゲルを好適に形成することができる。
互いに架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸を2種以上含む場合、通常、互いに架橋する置換基の割合がモル比で1:1となるように調整される。ナノゲル(B)に含まれるヒアルロン酸として、キレート形成基と上記置換基とを有するヒアルロン酸とを用いる場合、ナノゲル(B)に含まれるヒアルロンの有する置換基を考慮して、割合を調整してもよい。
架橋ゲル(A)の調製には、通常、ヒアルロン酸を任意の溶媒に溶解させたヒアルロン酸溶液が用いられる。このヒアルロン酸溶液の濃度を調整することにより、架橋ゲル(A)の架橋密度を調整することができ、所望の徐放速度や体内での保持時間に調整することができる。ヒアルロン酸溶液の濃度は好ましくは0.5重量%〜5重量%である。ヒアルロン酸溶液の濃度が上記の範囲内であることにより、安定して薬物を輸送することができ、さらに、例えば、抗ガン剤を内包する場合、播種数の減少効果とともに、架橋ゲルによる腎毒性をも防止し得る。ヒアルロン酸溶液の溶媒としては、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いることができる。
架橋ゲル(A)の別の実施形態としては、ヒアルロン酸を、例えば、ビスエポキシド類、ジビニルスルホン、ジヒドラジン、ジヒドラジド、または、ポリイソシアネート等の架橋剤を用いて架橋することにより調製する方法が挙げられる。
また、ヒアルロン酸を含む架橋ゲルとして、市販の架橋ヒアルロン酸を用いてもよい。市販の架橋ヒアルロン酸としては、例えば、Extracel(登録商標)−X(Glycosan Bio Systems,Inc製)、Corgel(登録商標)(Lifecore Biomedical,LLC.製)等が挙げられる。
<B.ナノゲル>
本発明で用いるナノゲル(B)は、キレート形成基を有するヒアルロン酸を含む。キレート形成基を有するヒアルロン酸を含むことにより、例えば、内包する薬物として金属を含む薬物を用いる場合、該薬物とヒアルロン酸に含まれるキレート形成基とがキレートを形成する。そのため、薬物がナノゲル(B)により安定して内包され得る。さらに、ヒアルロン酸が有するキレート形成基と薬物との結合はpHに依存して切断され得るので、本発明の医薬組成物はエンドソーム膜内で薬物を放出し得る。例えば、細胞外(pH7付近)ではキレート形成基と薬物との結合は維持されるのに対し、エンドソーム内(pH5〜6)ではその結合が切断される。そのため、本発明の医薬組成物は、標的まで安定して薬物を輸送することができる。上記ナノゲル(B)は、キレート形成基を有するヒアルロン酸を単独で含んでいてもよく、2種以上組み合わせて用いられていてもよい。2種以上のキレート形成基を有するヒアルロン酸を任意の割合で含むことにより、内包した薬物の徐放速度を調整することができる。
本発明で用いるキレート形成基を有するヒアルロン酸は、例えば、下記式(1)で表される。
式(1)において、Rはキレート形成基を表す。式(1)において、nはキレート基を有していないヒアルロン酸の繰り返し単位を表す。nは好ましくは25〜5,000であり、より好ましくは50〜1,000である。式(1)において、mはキレート基を有するヒアルロン酸の繰り返し単位を表す。mは好ましくは1〜3,250であり、より好ましくは2〜650である。キレート形成基を有するヒアルロン酸の配置は特に制限はなく、ブロック構造であっても、ランダム構造であってもよい。
上記キレート形成基Rとしては、ナノゲルが内包する薬物に応じて、任意の適切な官能基とすることができる。キレート形成基としては、例えば、カルボキシル基、ジカルボン酸アミノ基、ジカルボン酸基等が挙げられる。薬物として、CDDPを用いる場合、CDDPの有する塩素原子と良好に配位することから、カルボキシル基を側鎖に有するヒアルロン酸を用いることが好ましい。
は好ましくは下記式で表される置換基である。下記式で表されるキレート形成基を有することにより、より安定して薬物を保持することができる。
(式中、RおよびRは(CHを表し、rは0〜2の整数である。RおよびRは同一であってもよく、異なっていてもよい)。
およびRは直鎖状であることが好ましく、これらが同一であることがさらに好ましい。rは0〜2であり、キレート形成基がメチレン基を有さない、または、上記範囲内のメチレン基を有する直鎖のジカルボン酸である場合、キレート形成基を有するヒアルロン酸は薬物と多員環構造(通常、5〜7員環構造)のキレートを形成し得る。そのため、より安定した状態で薬物を保持し得る。
例えば、薬物としてCDDPを内包させる場合、CDDPとrが0であるキレート形成基を有するヒアルロン酸とは、以下のような6員環構造を形成し得る。
また、CDDPとrが1であるキレート形成基を有するヒアルロン酸とは、以下のような8員環構造を形成し得る。
上記のように、キレート形成基の種類に応じて形成されるキレートが異なり、それにより医薬組成物から放出される形態が変わり得る。例えば、rが0であるキレート形成基はCDDPとより安定した配位構造である6員環構造を形成する。そのため、より安定して薬物を内包するナノゲル(B)となり、このナノゲル(B)自体が医薬組成物から放出され得る。一方、キレート形成基と単座配位した薬物は、ナノゲル(B)から解離しやすい。そのため、キレート形成基と単座配位した薬物は、本発明の医薬組成物から薬物として容易に放出され得る。
キレート形成基を有するヒアルロン酸のキレート形成基の修飾率は、好ましくは5mol/mol%〜65mol/mol%であり、より好ましくは10mol/mol%〜50mol/mol%であり、さらに好ましくは20mol/mol%〜45mol/mol%である。キレート形成基の修飾率が上記の範囲内であれば、薬物の安定した内包性と適度な徐放性とを両立し得る。キレート形成基の修飾率は、H−NMRを用いて測定することにより、算出することができる。
キレート形成基を有するヒアルロン酸の薬物担持率は、好ましくは20mol/mol%〜100mol/mol%であり、より好ましくは25mol/mol%〜45mol/mol%である。薬物担持率が上記の範囲内であれば、薬物を多量に内包できるキャリアとしてよく知られているミセルとほぼ同等の薬物を担持することができ、優れたキャリアとして機能し得る。
上記キレート形成基を有するヒアルロン酸は架橋可能な置換基をさらに有することが好ましい。キレート形成基を有するヒアルロン酸が架橋可能な置換基を有することにより、ナノゲル(B)に含まれるヒアルロン酸が、架橋ゲル(A)を形成するヒアルロン酸とも架橋し、ナノゲル(B)をより安定して内包する医薬組成物が得られる。架橋可能な置換基としては、上記架橋ゲル(A)の項で例示した置換基が挙げられる。好ましくは、架橋ゲル(A)に含まれるヒアルロン酸が有する架橋可能な置換基と同じ置換基を有することが好ましい。架橋可能な置換基による修飾率は、キレート形成基によるキレートの形成を妨げない範囲であればよい。
ナノゲル(B)に薬物を内包させる方法としては、任意の適切な方法を用いることができる。ナノゲル(B)に薬物を内包させる方法の詳細については、以下のD−1項に詳述する。
<C.薬物>
本発明の医薬組成物に用いられる薬物としては、医薬組成物の用途に応じて、任意の適切な薬物を用いることができる。上記の通り、本発明で用いるナノゲル(B)はキレート形成基を有するヒアルロン酸を含む。本発明の1つの実施形態においては、薬物として金属を含む薬物を用いることが好ましい。また、本発明で用いる架橋ゲル(A)およびナノゲル(B)はヒアルロン酸を含み、ヒアルロン酸はガン細胞を標的とした投与に好適である。そのため、本発明の1つの実施形態としては、薬物として抗ガン剤を用いることが好ましい。
金属を含む薬物としては、例えば、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ロバプラチン、ヘプタプラチン等の白金錯体を含む抗ガン剤等が挙げられる。なかでも、金属を含む抗ガン剤である白金錯体を含む抗ガン剤は本発明の医薬組成物に含まれる薬物として、特に好適である。
<D.医薬組成物の調製方法>
本発明の医薬組成物の調製方法は、好ましくはキレート形成基を有するヒアルロン酸と薬物とを用いて、薬物を内包するナノゲルを調製する工程と、該薬物を内包させたナノゲルを架橋ゲルに分散させる工程とを含む。より好ましくは、本発明の医薬組成物の調製方法は、キレート形成基を有するヒアルロン酸と薬物とを用いて、薬物を内包するナノゲルを調製する工程と、互いに架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸に該薬物を内包するナノゲルを添加する工程と、該薬物を内包するナノゲルを添加したヒアルロン酸と、薬物を内包するナノゲルを添加していない他の互いに架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸とを接触させる工程とを含む。
D−1.薬物を内包するナノゲルの調製方法
薬物を内包するナノゲルを調製する方法としては、例えば、キレート形成基を有するヒアルロン酸と薬物とを混合して加熱する方法(加熱反応)、キレート形成基を有するヒアルロン酸と薬物とを撹拌する方法、硝酸銀法等が挙げられる。短時間で高い薬物担持率のナノゲルが得られることから加熱反応により内包させることが好ましい。
加熱反応により内包させる場合、加熱温度は好ましくは50℃〜120℃であり、より好ましくは70℃〜100℃である。加熱方法としては、任意の適切な加熱手段を用いることができ、例えば、ヒートブロック、ウォーターバス、オイルバス、ホットプレート等が挙げられる。
キレート形成基を有するヒアルロン酸を調製する方法としては、任意の適切な方法を用いることができる。例えば、ヒアルロン酸と水を混合してpHを7.0に調整した溶液に、脱水縮合剤を添加し、次いでpHを5.0に維持しながら、キレート形成基を提供し得る化合物を滴下し、透析する方法が挙げられる。
上記キレート形成基を提供し得る化合物としては、例えば、ジカルボン酸アミン等が挙げられる。具体的には、イミノ二酢酸、アミノマロン酸等が挙げられ、好ましくはイミノ二酢酸、アミノマロン酸である。また、ジカルボン酸アミンに代えて、例えばアミノマロン酸ジエチルとヒアルロン酸とを反応させた後、けん化することにより、キレート形成基の末端をカルボキシル基としてもよい。
上記脱水縮合剤としては、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド等が挙げられる。
架橋可能な置換基を有するキレート形成基を有するヒアルロン酸を調製する方法としては、得られたキレート形成基を有するヒアルロン酸のキレート形成基を有していない側鎖を、例えばアルデヒド化することにより、調製することができる。
D−2.薬物を内包させたナノゲルを分散させた架橋ゲルの調製方法
薬物を内包させたナノゲルを分散させた架橋ゲルは、上記D−1項の方法で得られたナノゲルを添加した後、例えば、上記A項に記載の互いに架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸を架橋することにより調製することができる。薬物を内包させたナノゲルを分散させた架橋ゲルは、互いに架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸を2種以上用いて、1つの架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸に上記薬物を内包するナノゲルを添加し、次いで、該薬物を内包するナノゲルを添加したヒアルロン酸と、薬物を内包するナノゲルを添加していない他の架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸とを接触させることにより、調製することが好ましい。このような方法を用いて、架橋ゲルを調製することにより、例えば、図1に示すダブルシリンジを用いて、インサイチュでの医薬組成物の調製が可能となる。
具体的には、架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸をそれぞれリン酸緩衝液(PBS)に添加し、一方の溶液に薬物を内包させたナノゲルを分散させた後、得られた溶液をダブルシリンジのそれぞれのシリンジに充填し、それらを同時に押し出し、静置することにより架橋ゲルを形成し得る。
ゲルの形成時間は、ヒアルロン酸溶液の濃度や、ヒアルロン酸の有する架橋可能な置換基の数等により、調整することができ、例えば、5秒間〜1時間であり、好ましくは30秒〜10分である。
薬物を内包するナノゲルを調製する際に、架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸を用いる場合、薬物を内包するナノゲルは、該ナノゲルに含まれるヒアルロン酸と同じ架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸に溶解させることが好ましい。このような構成であれば、架橋が防止され、シリンジからの押し出しが容易となる。
E.医薬組成物の用途
本発明の医薬組成物は、例えば、医薬組成物における架橋ゲル(A)の割合を調整することにより、医薬組成物に含まれるナノゲル(B)および薬物の保持時間を調整することができる。また、本発明の医薬組成物では、薬物だけではなく、徐放性を有するナノゲル(B)自体も放出される。そのため、ナノゲル(B)の割合を調整することでも薬物の保持時間を調整することができる。本発明の医薬組成物では、架橋ゲル(A)およびナノゲル(B)の双方の割合を調整することにより、薬物の保持時間を調整することが可能であり、より徐放性が制御されたDDSを提供することができる。また、ヒアルロン酸はガン細胞を標的とした投与に好適であるため、抗ガン剤を用いたDDSに好適に用いることができる。
例えば、腹膜播種のようなガンの治療においては、開腹手術等の外科手術を用いることが必要であり、患者への負担が大きい。本発明の医薬組成物はインサイチュでの調製が可能であり、内視鏡等を用いて、患者への負担をより軽減させた投与が可能である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
I.ヒアルロン酸の合成
[合成例1]アルデヒド化ヒアルロン酸(架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸1)
1.アルデヒド化ヒアルロン酸の合成
300mLのナスフラスコにヒアルロン酸(キッコーマンバイオケミファ(株)製、製品名:FCH-200、分子量:1,800,000〜2,200,000)1.5g(1等量)を入れ、milliQ水150mLを加え溶解した。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム(和光純薬(株)製、商品名:197−2402)0.4gを添加し、アルミホイルで遮光し、2時間撹拌した。撹拌後、エチレングリコール(和光純薬(株)製、商品名:058−00986)200μLを添加し、透析膜(Spectra/Por MWCO=6000〜8000)を用いて、飽和塩化ナトリウム水溶液2Lで透析した。次いで、純粋で2日間透析し、その後3日間凍結乾燥し、アルデヒド化ヒアルロン酸を得た(収率:30%)。合成例1の反応式は以下の通りである。
2.アルデヒド化率の測定
TNBSアッセイにより、合成したヒアルロン酸のアルデヒド化率を測定した。カルバジン酸t−ブチル(和光純薬(株)製、商品名:322−29171)1.6mgを1%トリクロロ酢酸(和光純薬(株)製、商品名:76−03−9)1mLに溶解した。次いで、得られたアルデヒド化ヒアルロン酸2mgを溶解し、24時間振とうして室温で反応させ、アルデヒド化ヒアルロン酸溶液を得た。別途、TNBS(和光純薬(株)、商品名:209−1−483)29.32mgを炭酸水素ナトリウム水溶液25mLに溶解し、4mM TNBS溶液を得た。得られたTNBS溶液2mLを試験管に入れ、200μLのアルデヒド化ヒアルロン酸溶液を加え、2時間反応させた。ホルムアルデヒドを用いて検量線を作成し、検量線の式からアルデヒド化率を算出した。得られたアルデヒド化ヒアルロン酸のアルデヒド化率は81.7%であった。
3.分子量の検討
300mLのナスフラスコにヒアルロン酸(キッコーマンバイオケミファ(株)製、製品名:FCH-200、分子量:1,800,000〜2,200,000)1.5g(1等量)を添加し、milliQ水150mLを加え溶解した。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム(和光純薬(株)製、商品名:197−2402)0.4gを添加し、アルミホイルで遮光しながら撹拌し、2、4、8、24、48時間後にサンプルを採取した。採取後のサンプルに、エチレングリコール(和光純薬(株)製、商品名:058−00986)200μLおよび塩化ナトリウム(和光純薬(株)製、商品名:191−01665)を添加し、透析膜(Spectra/Por MWCO=6000〜8000)を用いて、飽和塩化ナトリウム水溶液2Lで透析した。次いで、純粋で2日間透析し、その後3日間凍結乾燥を行った。得られた各サンプル1.0mgをリン酸緩衝液に溶解した後、0.44μmのフィルターでろ過し、100μLの溶液をGPCにインジェクションし、デキストランの検量線から分子量を算出した。用いた装置および測定条件は以下の通りである。各サンプルの分子量を表1に示す。

[装置]
島津高速液体クロマトグラフ用送液ユニット LC−10ADVP (株)島津製作所製
830−RI型インテリジェント示差屈折計 日本分光(株)社製
[測定条件]
カラム:TSK−GEL GMPWXL 東ソー(株)社製
溶離液:0.2M リン酸緩衝液(pH=6.8)
サンプル濃度:1mg/mL
流量:0.5mL/min
検量線:デキストラン
[合成例2]ヒドラジド修飾ヒアルロン酸(架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸2)
1.ヒドラジド修飾ヒアルロン酸の合成
300mLナスフラスコにヒアルロン酸(キッコーマンバイオケミファ(株)製、製品名:FCH-200、分子量:1,800,000〜2,200,000)0.5g(1.25mmol)を添加し、milliQ水100mLを加え、1晩撹拌した。さらに、アジポジヒドラジド(和光純薬(株)製、商品名:011−06795)2.18g(12.5mmol)を加え1時間撹拌した。次いで、塩酸(0.1N)または水酸化ナトリウム水溶液(0.1N)を滴下し、反応溶液のpHを6.8に調整した。別途、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)506.7mg(3.75mmol)をDMSO:milliQ=1:1の10mL溶液に溶かした溶液を調製し、反応溶液に滴下した。次いで、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(東京化成工業(株)製、商品名:H0468)718.9mg(3.75mmol)をmilliQ水3mLに溶解した溶液を反応溶液に滴下した後、塩酸(0.1N)または水酸化ナトリウム水溶液(0.1N)で反応溶液のpHを5に調整し、1晩撹拌した。1晩撹拌後、透析膜(Spectra/Por MWCO=6000〜8000)を用いて、飽和塩化ナトリウム水溶液3Lで透析し、その後3日間凍結乾燥し、ヒドラジド修飾ヒアルロン酸を得た(収量:0.4982g、収率:50%)。合成例2の反応式は以下の通りである。
2.ヒドラジド化率の測定
得られたヒドラジド修飾ヒアルロン酸の修飾率をH−NMRを用いて測定した。得られたヒドラジド修飾ヒアルロン酸の修飾率は62%であった。
[合成例3]イミノ二酢酸修飾ヒアルロン酸(キレート形成基を有するヒアルロン酸)
1.イミノ二酢酸修飾ヒアルロン酸の合成
200mLナスフラスコにヒアルロン酸(キッコーマンバイオケミファ(株)製、製品名:FCH-200、分子量:1,800,000〜2,200,000)0.20g(1等量)を添加し、milliQ水40mLを加えて2時間撹拌し、水酸化ナトリウム水溶液(1N)を用いて反応溶液のpHを7.0に調整した。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSCD)0.28g(3等量)をmilliQ水1.2mLに溶解し、パスツールピペットを用いて反応溶液に添加した。別途、イミノ二酢酸0.34g(5等量)を水酸化ナトリウム水溶液(1N)4mLに溶解し、反応溶液に滴下し、イミノ二酢酸溶液を0.5mL滴下するごとにpHメーターを用いて反応溶液のpHを確認し、反応溶液のpHを5.0程度に調整した。滴下後、30分ごとに反応溶液のpHを5.0程度に調整しながら、1晩撹拌した。1晩撹拌後、透析膜(Spectra/Por MWCO=6000〜8000)を用いて、純水3Lで2日間透析し、その後3日間凍結乾燥し、イミノ二酢酸修飾ヒアルロン酸を得た(収率:95%)。合成例3の反応式は以下の通りである。
2.イミド二酢酸による修飾率の測定
得られたイミド二酢酸修飾ヒアルロン酸の修飾率をH−NMRを用いて測定した。イミノ二酢酸に含まれる4つのプロトンのピーク(2.85ppm)とヒアルロン酸のアセチル基のピーク(1.97ppm)との積分比から修飾率を算出した。得られたイミド二酢酸修飾ヒアルロン酸の修飾率は36%であった。
[合成例4]アミノマロン酸修飾ヒアルロン酸(キレート形成基を有するヒアルロン酸2)
1.アミノマロン酸修飾ヒアルロン酸の合成
200mLナスフラスコにヒアルロン酸(キッコーマンバイオケミファ(株)製、製品名:FCH-200、分子量:1,800,000〜2,200,000)0.20g(1等量)を添加し、milliQ水40mLを加えて2時間撹拌し、水酸化ナトリウム水溶液(1N)を用いて反応溶液のpHを7.0に調整した。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSCD)0.28g(3等量)をmilliQ水1.2mLに溶解し、パスツールピペットを用いて反応溶液に添加した。フラスコを遮光し、別途アミノマロン酸ジエチル(和光純薬(株)製、商品名:356−12222)0.45g(5等量)をmilliQ水4mLに溶解して、反応溶液に滴下し、アミノマロン酸ジエチル溶液を0.5mL滴下するごとにpHメーターを用いて反応溶液のpHを確認し、水酸化ナトリウム水溶液(1N)または塩酸(1N)を用いて、反応溶液のpHを5.0程度に調整した。滴下後、30分ごとに反応溶液のpHを5.0程度に調整しながら、1晩撹拌した。次いで、反応溶液にアミノマロン酸の末端−COOCと等モルの水酸化ナトリウム(和光純薬(株)製、商品名:198−13765)を添加して1晩撹拌し、けん化した。1晩撹拌後、透析膜(Spectra/Por MWCO=6000〜8000)を用いて、飽和塩化ナトリウム水溶液3Lで1日間、純水で2日間透析し、その後3日間凍結乾燥し、アミノマロン酸修飾ヒアルロン酸を得た(収率:90%)。合成例4の反応式は以下の通りである。
2.アミノマロン酸による修飾率の測定
得られたアミノマロン酸修飾ヒアルロン酸の修飾率をH−NMRを用いて測定した。アミノマロン酸に含まれるアミノ基のピーク(2.85ppm)とヒアルロン酸のアセチル基のピーク(1.97ppm)との積分比から修飾率を算出した。得られたアミノマロン酸修飾ヒアルロン酸の修飾率は30%であった。
[合成例5]イミド二酢酸修飾アルデヒド化ヒアルロン酸(キレート形成基および架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸1)
1.イミド二酢酸修飾アルデヒド化ヒアルロン酸の合成
合成例3で得られたイミド二酢酸修飾ヒアルロン酸を用いた以外は合成例1と同様にして、イミド二酢酸修飾アルデヒド化ヒアルロン酸を得た。合成例5の反応式は以下の通りである。
2.イミド二酢酸修飾率の測定
合成例3と同様に、H−NMRを用いてイミド二酢酸修飾率を測定した。得られたイミド二酢酸修飾アルデヒド化ヒアルロン酸の修飾率は11%であった。
[合成例6]アミノマロン酸修飾アルデヒド化ヒアルロン酸(キレート形成基および架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸2)
1.アミノマロン酸修飾アルデヒド化ヒアルロン酸の合成
合成例4で得られたアミノマロン酢酸修飾ヒアルロン酸を用いた以外は合成例1と同様にして、アミノマロン酸修飾アルデヒド化ヒアルロン酸を得た。合成例6の反応式は以下の通りである、
2.アミノマロン酸修飾率の測定
合成例4と同様にして、H−NMRを用いてアミノマロン酸修飾率を測定した。得られたアミノマロン酸修飾アルデヒド化ヒアルロン酸の修飾率は14%であった。
<MTTアッセイ>
合成例1〜6で合成したヒアルロン酸を用いて、以下の方法により生体適合性評価を行った。評価にはヒト正常中皮細胞株MeT-5A細胞、および、マウス高度腹膜転移株MKN45Pを用いた。各細胞の培地の組成を表2に示す。
クリーンベンチ内で、各細胞を培養したシャーレ内の古い培地をアスピレーターで吸引して除去した後、PBSを約10mL添加し、浮遊している細胞を洗浄し、PBSをアスピレーターで吸引した。次いで、シャーレにトリプシン入りEDTAを5mL添加し、約5分インキュベートし、細胞を剥離した。剥離した細胞を培地に懸濁させ、ファルコンチューブに回収し、1000rpmで3分間遠心分離した。この際、懸濁液の一部を取り分け、細胞数をカウントした。遠心分離後、上澄み溶液をアスピレーターで吸引し、カウントした細胞数をもとに、細胞濃度が1×10cells/mLとなるよう新しい培地を添加した。この溶液を、8連結マルチピペッターを用いて、96穴マイクロプレートに50μLずつ加えた(このとき、各wellに5000個の細胞が存在する計算となる)。このマイクロプレートを24時間インキュベートした。合成例1〜6で得られたヒアルロン酸、および、イミノ二酢酸、アミノマロン酸の濃度がそれぞれ0.001mg/mL、0.01mg/mL、0.1mg/mL、1mg/mL、10mg/mLとなるように調整した培地溶液を調製し、この培地溶液100μLずつ添加し、24時間インキュベートした。Dye Soluition(Promega製、商品名:CellTiter96(登録商標)Non−Radioactive Cell Proliferation Assay)を各wellに15μLずつ添加し、4時間インキュベートした。クリーンベンチから取出し、Solubilization Solution(Promega製、商品名:CellTiter96(登録商標)Non−Radioactive Cell Proliferation Assay)を各wellに100μLずつ添加し、振盪器で1晩振盪した。マイクロプレートリーダーを用いて各wellの570nmにおける吸光度を測定した。コントロールwellとサンプル添加wellの吸光度の比から、各wellの細胞生存率を算出した。Met−5Aの細胞生存率を示すグラフを図2に、MNK45Pの細胞生存率を示すグラフを図3にそれぞれ示す。
アルデヒド修飾ヒアルロン酸およびヒドラジド修飾ヒアルロン酸はいずれの濃度でも高い生体適合性を有していた。イミノ二酢酸およびアミノマロン酸は、ヒアルロン酸を修飾する形態とすることにより、生体適合性が向上した。濃度が高くなるのにしたがって細胞生存率が低下した。通常、医薬組成物の調製に用いられる濃度では細胞生存率は60%以上であり、生体への影響は小さいと考えられた。
II.ナノゲルの合成および評価
[合成例7]CDDP内包ナノゲル1の調製
ナスフラスコに合成例3で得られたイミノ二酢酸修飾ヒアルロン酸100mgを添加し、milliQ水20mLを加え、撹拌した(A液)。マイクロチューブにシスプラチン(CDDP、日本化薬(株)製)15mgおよびmilliQ水1mLを添加し、ヒートブロックで95℃に加熱しCDDP溶液を得た(B液)。A液を800mL、B液を200mLそれぞれ採取し、ヒートブロック上で混合し、95℃で1時間加熱した。次いで、氷浴で冷却し、透析膜(MWCO=6,000−8,000)を用いて、1Lビーカー内で1時間透析を行った。透析後、溶液を凍結乾燥し、CDDP内包ゲル1を得た。
[合成例8]CDDP内包ナノゲル2の調製
イミノ二酢酸修飾ヒアルロン酸に代えて、合成例4で得られたアミノマロン酸修飾ヒアルロン酸を用いた以外は合成例7と同様にしてCDDP内包ゲル2を得た。
[合成例9]CDDP内包ナノゲル3の調製
イミノ二酢酸修飾ヒアルロン酸に代えて、合成例5で得られたイミド二酢酸修飾アルデヒド化ヒアルロン酸を用いた以外は合成例7と同様にしてCDDP内包ゲル3を得た。
[合成例10]CDDP内包ナノゲル4の調製
イミノ二酢酸修飾ヒアルロン酸に代えて、合成例6で得られたアミノマロン酸修飾アルデヒド化ヒアルロン酸を用いた以外は合成例7と同様にしてCDDP内包ゲル4を得た。
<CDDP担持率評価>
白金標準溶液1000ppmをPBSで希釈し、0、10、50、100ppbの標準溶液を作製した。原子吸光光度計(Z−2000、日立偏光ゼーマン原子吸光光度計システム)で各標準溶液の白金濃度を測定し検量線を作成した。同様に、合成例7および8で調製したナノゲルを原子吸光光度計で測定し、検量線から白金濃度を算出した。結果を表3に示す。
<キレート安定定数評価>
CDDPを用いて、ナノゲルを形成するヒアルロン酸とCDDPとのキレート安定度数を算出した。実験はキレート滴定により、以下のように行った。水酸化ナトリウム水溶液(0.1mol/L)を調製した。別途、窒素バブリングしたmilliQ水10mLにCDDPを溶解し、合成例7〜10のナノゲルをポリマー濃度が0.01mol/Lとなるよう調整し、サンプル溶液を得た。同様に、ナノゲルに代えて、イミノ二酢酸、アミノマロン酸をそれぞれ濃度が0.01mol/Lとなるよう調整し、比較サンプル溶液を得た。得られた水酸化ナトリウム水溶液を自動滴定装置のビュレットに入れ、窒素雰囲気下でサンプル溶液に滴下した。各サンプルのキレート滴定曲線を図4に示す。得られたキレート滴定曲線から以下の方法によりキレート生成定数を算出した。各サンプルの値を表4に示す。
キレート生成定数の算出
pH滴定から各pHにおけるKaを決定した。
次に、以下のマスバランス、電化バランス、および、経験式を連立し、経験式のnを算出した。
マスバランス
電化バランス
経験式
また、以下の3つの式から各pHにおける[HA]および
の値を算出し、プロットした。
次いで、
に対応するp([HA]/[H])の値からbおよびBの値を求めた。Bがキレート生成定数を表す。
なお、それぞれの式は以下の平衡式の値である。
錯体生成平衡
酸解離平衡
全体
錯体生成定数
イミノ二酢酸とアミノマロン酸の配位定数(1段目:b、2段目:b)の比較から、アミノマロン酸のPtとのキレート形成能はイミノ二酢酸よりも高いことが分かった。一方、アミノマロン酸をキレート形成基とした合成例4のヒアルロン酸では、キレート生成定数の値が低下し、ヒアルロン酸によるキレート形成阻害の影響が示唆された。これとは逆に、イミノ二酢酸をキレート形成基とした合成例3のヒアルロン酸では、キレート生成定数の値が上昇し、ヒアルロン酸によりキレート生成能が向上した。
III.医薬組成物
[実施例1]
合成例2で調製したヒドラジド修飾ヒアルロン酸20mgをPBS1mLに溶解し、1晩振とうした。合成例1で調製したアルデヒド修飾ヒアルロン酸20mgをPBS1mLに溶解し、0.02重量%となるよう合成例7で調製したナノゲル1を溶解した。各ヒアルロン酸溶液を2mLシリンジに充填した。直径12mmの孔をあけたシリコンモールドをガラス板にのせダブルシリンジ(図1)で溶液を注入しカバーガラスをかけた(n=4)。8時間静置し、医薬組成物1を調製した。
[実施例2]
合成例7で調製したナノゲルに代えて、合成例8で調製したナノゲルを用いた以外は実施例1と同様にして医薬組成物2を調製した。
[実施例3]
合成例7で調製したナノゲルに代えて、合成例9で調製したナノゲルを用いた以外は実施例1と同様にして医薬組成物3を調製した。
[実施例4]
合成例7で調製したナノゲルに代えて、合成例10で調製したナノゲルを用いた以外は実施例1と同様にして医薬組成物4を調製した。
(比較例1)
修飾されていないヒアルロン酸を用いた以外は合成例7と同様にして、CDDP内包ナノゲルを調製した。得られたナノゲルを用いた以外は実施例1と同様にして医薬組成物C1を調製した。
(比較例2)
イミノ二酢酸で修飾したカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いて、CDDP内包ナノゲルを調製した。得られたナノゲルを用いた以外は実施例1と同様にして医薬組成物C2を調製した。
<徐放性試験>
ケースの重さを計量し、医薬組成物1〜4を入れ、メディアとしてPBSを5mL加えた。次いで、ケースを37℃のインキュベーター内で振とうし、各測定時間に50μLずつメディアをサンプリングし、同時にゲルの重量を測定した。7日後にメディアをすべて回収しヒアルロン酸分解酵素入りのPBS(10unit/mL)を2mL添加し、ゲル内に残留した薬物を内包するナノゲル量を算出した。採取したサンプルを用いて、メディアに含まれる担体ポリマーの量を蛍光スペクトルを用いて測定した。またCDDPの量を原子吸光光度計(Z−2000、日立偏光ゼーマン原子吸光光度計システム)で測定した。医薬組成物1および2について得られた徐放曲線を図5に、医薬組成物3および4について得られた徐放曲線を図6にそれぞれ示す。
<架橋ゲル濃度依存性試験>
ヒドラジド修飾ヒアルロン酸およびアルデヒド修飾ヒアルロン酸の濃度が1重量%、2重量%、3重量%となるようPBS溶液にそれぞれ溶解した以外は実施例1と同様にして医薬組成物を調製し、上記の方法で徐放性試験を行った。徐放曲線を図7に示す。濃度が1重量%の場合、放出速度が最も早く、ゲルの膨潤度からナノゲルが即座に放出されていると考えられた。通常、濃度が高くなるにつれて、架橋密度が高くなり、放出速度が遅くなる。3重量%の場合、架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸が均一に混合されず、架橋されていない部分からの放出が起こったと解される。
<MTTアッセイ>
医薬組成物1、2、C1およびC2を用いて、上記の方法でMKN45細胞を用いたMTTアッセイを行った。各医薬組成物での細胞生存率の結果を図8に示す。医薬組成物1、2およびC1は中皮腫細胞であるMKN45細胞に選択的に取り込まれるため、ヒアルロン酸を含まないC2に比べて細胞毒性が高かった。
<マウス投与試験>
播種を形成したBALB/cヌードマウス(メス、5週齢)を用いて投与試験を行った。投与条件を表5に示す。実験はコントロール群はN=9、サンプル群はN=7で行った。PBSおよびCDDP/PBSは27Gの針を用いて10mLのシリンジで投与した。CDDP内包架橋ゲルおよびキレート形成基を有するヒアルロン酸を用いた架橋ゲルはダブルシリンジ(図1)を用いて投与した。1重量%のポリマー溶液は21Gの針を、2重量%のポリマー溶液は18Gの針を用いた。投与の3週間後、マウスの体重を測定した後、開腹し、播種総重量および播種数を測定した。さらに、血液を採取して、クレアチニンおよび尿素窒素(BUN)の量を測定した。マウスの体重変化を表すグラフを図9に、播種重量を示すグラフを図10に、播種数を示すグラフを図11に示す。また、播種のサイズと播種数とを表5に示す。また、血中のBUN量を図12に、クレアチニン量を図13にそれぞれ示す。
[評価]
マウスの体重を測定した結果、CDDP単独投与群では体重が顕著に減少した。また、架橋ゲル濃度を2重量%とした投与群では腹膜内にゲルが残留していることが確認された。腹膜内に残留したゲルは黄色であり、腎機能の低下による水やNaの貯留による黄色の腹水を引き寄せたものと解され、2重量%の架橋ゲルではゲルに貯留した水分の保持が起こったと解された。一方、1重量%の架橋ゲルを用いた投与群ではゲルは腹膜内に残留していなかった。
腹膜播種重量は各サンプル群の間に有意差はなかった(図10)。一方、播種数はキレート形成基を有するヒアルロン酸を用いたナノゲルに内包された薬物を用いたサンプル(架橋ゲル濃度:1重量%)群とコントロール群およびPBS+CDDP投与群との間に有意差があった(図11)。これらを播種のサイズごとに分類した結果を表6に示す。薬物を内包するナノゲルを架橋ゲルに分散することにより、特に10mm以下の播種数を効果的に減少させることができた。
架橋ゲルを投与すると腹腔内の腹水等の体液がゲルに引き寄せられ、脱水症状がでるおそれがある。血中のBUN量は過剰なタンパク質摂取や、脱水により上昇する。医薬組成物1−1(架橋ゲル1重量%)の投与群の血中BUN量はコントロール群と有意差がなかった(図12、図13)。そのため。架橋ゲルによる脱水症状が抑えられていたと考えられた。また、腎機能が低下すると血中クレアチニン量が上昇する。しかしながら、どの投与群においてもクレアチニン量に有意差はなかった。
本発明の医薬組成物は、製薬、医療等の分野で好適に用いられ得る。特に、抗ガン剤を用いた治療に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. (A)ヒアルロン酸を含む架橋ゲルと、
    (B)キレート形成基を有するヒアルロン酸を含むナノゲルと、
    薬物とを含む、医薬組成物であって、
    該薬物がナノゲル(B)に内包されており、
    該薬物を内包したナノゲル(B)が架橋ゲル(A)に分散されている、医薬組成物。
  2. 前記架橋ゲル(A)が互いに架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸を2種以上含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記ナノゲル(B)に含まれるヒアルロン酸が前記互いに架橋可能な置換基をさらに有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. 前記キレート形成基が以下の置換基である、請求項1から3のいずれかに記載の医薬組成物:
    (式中、RおよびRは(CHを表し、rは0〜2の整数である。RおよびRは同一であってもよく、異なっていてもよい)。
  5. 前記架橋可能な置換基がアルデヒド基とヒドラジド基との組合せ、アジド基とシクロオクチン基との組合せ、チオール基とマレイミド基との組合せ、ならびに、N−ヒドロキシコハク酸イミド基と水酸基との組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1から4のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. 前記薬物が金属を含む薬物である、請求項1から5のいずれかに記載の医薬組成物。
  7. 前記薬物が抗がん剤である、請求項1から5のいずれかに記載の医薬組成物。
  8. キレート形成基を有するヒアルロン酸と薬物とを用いて、薬物を内包するナノゲルを調製する工程と、
    互いに架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸に該薬物を内包するナノゲルを添加する工程と、
    該薬物を内包するナノゲルを添加したヒアルロン酸と、薬物を内包するナノゲルを添加していない他の互いに架橋可能な置換基を有するヒアルロン酸とを接触させる工程とを含む、医薬組成物の調製方法。
  9. 前記医薬組成物の調製がインサイチュで行われる、請求項8に記載の医薬組成物の調製方法。
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