WO2008072516A1 - 冷却ファン - Google Patents

Abstract

　本発明の冷却ファンは、有底筒状のボス部２と、ボス部２の外周面に設けられ径方向に向かって放射状に延びる複数のブレード３とから成り、ブレード３の先端よりも径方向内側に各々ブレード３を相互に連結するリング部材２０が設けられる。本発明によると、ブレードを薄肉化しても騒音特性の悪化を防止し、且つ汎用性を向上させることができる冷却ファンを提供することが出来る。

Description

明 細 書

冷却ファン

技術分野

[0001] 本発明は、自動車用ラジェータ等に使用される冷却ファンに関する。

本願 (ま、 2006年 12月 11曰に、 曰本 ίこ出願された特願 2006— 333037号 ίこ基づ き優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002] 従来から、自動車用ラジェータ等に使用される冷却ファンは、軸流ファンや斜流フ アンである場合が多い。この種の冷却ファンは、エンジンや電動モータ等の駆動源に より回転する有底筒状のボス部と、このボス部の外周面に設けられ径方向に向かって 放射状に延びる複数のブレードとで構成されている。

ところで、各ブレードの先端を円環状のリング部材で相互に連結し、ブレードの強度 向上を図っている冷却ファンがある。このようにブレード先端にリング部材を設けた冷 却ファンでは、ブレードの重量が重くなつてしまうため、ブレードを薄肉化することでブ レードの軽量化を図って!/、る（例えば、特許文献 1参照）。

特許文献 1：特開 2004— 218513号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] しかしながら、上述の従来技術にあっては、ブレードの薄肉化により、冷却ファンを 回転させたときにブレードがばたついてしまうため、騒音特性が悪化してしまうという 課題がある。

また、ブレード先端にリング部材を設けることで冷却ファンの直径が大きくなつてしま い、専用のファンシュラウドが必要になってしまう。このため、冷却ファンの汎用性が 低下してしまうという課題がある。

[0004] そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ブレードを薄肉 化しても騒音特性の悪化を防止し、且つ汎用性を向上させることができる冷却ファン を提供するものである。 課題を解決するための手段

[0005] 本発明に係る冷却ファンは、有底筒状のボス部と、前記ボス部の外周面に設けられ 径方向に向力 て放射状に延びる複数のブレードとから成り、前記ブレードの先端よ りも径方向内側に各々ブレードを相互に連結するリング部材が設けられる。

[0006] 本発明の冷却ファンにおいて、前記リング部材を前記ブレードの径方向中央よりも 外側に設けることが望ましい。

[0007] 本発明の冷却ファンにおいて、前記リング部材の径方向内側に位置する前記ブレ 一ドの肉厚と、前記リング部材の径方向外側に位置する前記ブレード肉厚とが互い に異なるように設定されることが望まし!/、。

[0008] 本発明の冷却ファンにおいて、前記リング部材の径方向内側に位置する前記ブレ 一ドの肉厚を前記リング部材の径方向外側に位置するブレードの肉厚よりも薄く設定 することが望ましい。

発明の効果

[0009] 本発明によれば、ブレード先端よりも径方向内側にリング部材を設けるため、冷却フ アンの直径のサイズアップを防止することができる。このため、ブレード強度の向上を 図りつつ、冷却ファンの汎用性を向上させることができる。

また、ブレードの先端にリング部材を設ける場合と比較して、リング部材の直径を小 さくすることカできる。このため、製造コス卜の低減を図ること力 Sできる。

[0010] さらに、ブレードの付け根からリング部材が設けられている部分までの間隔をブレー ド先端にリング部材を設けた場合と比較して短くすることができる。このため、ブレード を薄肉化した場合であっても、ブレードの強度を確保することが可能となり、冷却ファ ンを回転させたときのブレードのばたつきを抑制することができる。よって、ブレードの 軽量化を図りつつ騒音特性の悪化を防止することができる。

[0011] また、本発明によれば、ブレードのリング部材の径方向内側は、ボス部とリング部材 とによって支持されていることになる。これに対して、ブレードのリング部材の径方向 外側は、リング部材のみに支持されていることになる。したがって、リング部材の径方 向内側に位置するブレードの強度がリング部材の径方向外側に位置するブレードの 強度よりも強くなる。 [0012] このため、リング部材の径方向内側のブレードの肉厚をリング部材の径方向外側の ブレードの肉厚よりも薄く設定することができ、軽量化を図りつつ強度バランスの優れ たブレード 3とすることができる。よって、例えば、自動車の走行中に水撃等の外力が 加わるおそれのある箇所であっても冷却ファンを配置することが可能になり、車載レイ アウト性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

[0013] [図 1]本発明の実施形態における冷却ファンの斜視図である。

[図 2]図 1の A— A線に沿う断面図である。

[図 3]本発明の実施形態における冷却ファンの平面図である。

[図 4]本発明の実施形態における冷却ファンの騒音特性を示すグラフである。

[図 5]本発明の実施形態における冷却ファンの強度を示すグラフである。

符号の説明

[0014] 1 冷却ファン

2 ボス部

3 ブレード

3a 付け根部

3b 先端部

20 リング部材

発明を実施するための最良の形態

[0015] 次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。

図 1〜図 3に示すように、自動車用ラジェータの冷却ファン 1は、電動モータ 11の回 転軸 12に取り付けられる有底筒状のボス部 2と、このボス部 2の外周面に設けられ径 方向に向かって放射状に延びる複数 (この実施形態では 7枚）のブレード 3とを備え た軸流ファンであって、ブレード 3の先端より径方向内側に各々ブレード 3を相互に連 結する筒状のリング部材 20が設けられている。

[0016] ボス部 2は、周壁 2aと底壁 2bとで構成されている。これら周壁 2aと底壁 2bとの接合 部分、つまり、周壁 2aと底壁 2bとの交差稜線部分は円弧状 (丸面取り状）に形成され ている。底壁 2bの径方向中央には、電動モータ 11の回転軸 12が貫通する貫通孔 4 が形成されている。底壁 2bの外表面には、貫通孔 4の周囲に平面視略円形の凹部 5 が形成されている。

[0017] ボス部 2の底壁 2bには、内面側に同心円状に形成された 2つの補強リブ 6aが内側 と外側とに設けられていると共に、径方向に向かって放射状に延びる複数の補強リブ 6bが接続されている。また、周壁 2aの内周面には補強リブ 6cが設けられている。この 補強リブ 6cは、底壁 2bに設けられている補強リブ 6bと連なるように形成されている。

[0018] さらに、底壁 2bの内面側には、径方向中央にプレート収納凹部 7が設けられ、この プレート収納凹部 7上にボルト孔 8が 4箇所周方向に等間隔で形成されている。この プレート収納凹部 7には、電動モータ 11の回転軸 12と係合するファンプレート 9がボ ノレト 10によって締結固定されている。ファンプレート 9の径方向中央には、回転軸 12 の断面形状に対応する取付け孔 13が形成されている。

[0019] この取付け孔 13に回転軸 12が係合することにより、回転軸 12とファンプレート 9 (ボ ス部 2)とが共回りするようになっている。因みに、この実施形態においては、回転軸 1 2及び取付け孔 13の形状が平面視 D状に形成されている力 S、回転軸 12及び取付け 孔 13の形状は、これに限られるものではなぐ両者が共回りできる形状であればよい

[0020] ボス部 2の周壁 2aに設けられたブレード 3は前進翼であって、回転方向に向かって 弓状に、ボス部 2と一体成形されている。また、ブレード 3は、付け根部 3bの迎角が大 きく設定されると共に翼弦長が短く設定され、先端に向かって迎角が小さく設定され ると共に翼弦長が長く設定されてレ、る。

[0021] 図 2に示すように、ブレード 3の肉厚は、リング部材 20を設けていない従来のブレー ドと比較して薄肉に形成されており、従来のブレードの肉厚と略同等の付け根部 3a 力、らリング部材 20に向かって徐々に肉厚が薄くなるように形成されている。一方、リン グ部材 20よりも径方向外側に位置するブレード 3の先端部 3bの肉厚は、付け根部 3a の肉厚と略同一に設定されている。

[0022] すなわち、リング部材 20の径方向内側で、且つリング部材 20近傍に位置するブレ ード 3の肉厚 tlは、従来のものよりも薄ぐ且つリング部材 20の径方向外側に位置す るブレード 3の肉厚 t2よりも薄く設定されている。尚、リング部材 20の肉厚 t3は、ブレ ード 3の先端部 3bの肉厚 t2と略同等に設定されている。

[0023] 図 1、図 2に示すように、リング部材 20の軸線方向の長さ Hは、ブレード 3のリング部 材 20が設けられている部位の軸線方向の幅 Eに対応（この実施形態においては略 一致)するように設定されている。すなわち、リング部材 20の軸線方向の長さ Hは、リ ング部材 20の直径 D1 (ブレード 3のリング部材 20が設けられている部位）に対応して 変ィ匕することとなる。

[0024] リング部材 20の直径 D1は、リング部材 20がブレード 3の先端より内側に位置すると 共に、ブレード 3の径方向中央より外側に位置するように設定することが望ましい。具 体的には、例えば、冷却ファン 1のファン径 D2が φ 340mmである場合、リング部材 2 0の直径 D1は、 φ 280mm程度であることが望ましい。このように設定することで効果 的にブレード 3の強度を確保しつつ薄肉化を図ることができる。

[0025] したがって、上述の実施形態によれば、ブレード 3の先端より径方向内側に各々ブ レード 3を相互に連結する筒状のリング部材 20を設けるため、冷却ファン 1のファン径 D2をリング部材 20を設けないタイプの冷却ファンと同等にすることができる。このた め、冷却ファン 1専用のファンシュラウドを製作する必要がなぐ冷却ファン 1の汎用性 を向上させることができる。

[0026] ここで、ファンシュラウドとは、冷却ファンの効率を高めるために装着される導風のた めのダクトのことをいい、自動車用ラジェータと冷却ファン 1との間に配置される風洞 状のパーツである。このファンシュラウドは、通常、樹脂で製作される場合が多い。

[0027] また、上述の実施形態によれば、ブレード 3の先端にリング部材 20を設ける従来の タイプのものと比較してリング部材 20の直径 D1を小さくすることができる。このため、 リング部材 20が設けられた冷却ファン 1の製造コストを低減させることができる。

[0028] さらに、ブレード 3の付け根部 3aからリング部材 20までの間隔 L (図 2参照）をブレー ド 3の先端にリング部材 20を設けた場合と比較して短くすることができる。このため、 ブレード 3の付け根部 3aからリング部材 20に向かって肉厚が薄くなるように形成して もブレード 3の強度を確保することが可能となり、冷却ファン 1を回転させたときのブレ ード 3のばたつきを抑制することができる。よって、ブレード 3の軽量化を図りつつ騒 音特性の悪化を防止することができる。 [0029] 図 4は、この実施形態の冷却ファン 1と、従来の冷却ファンとの騒音特性を比較した グラフである。同図に示すように、冷却ファン 1の騒音は、従来の冷却ファンの騒音に 対して約 1割低減していることが確認できる。

[0030] また、上述の実施形態によれば、ブレード 3のリング部材 20の径方向内側は、ボス 部 2とリング部材 20とによって支持されていることになる。これに対して、ブレード 3のリ ング部材 20の径方向外側は、リング部材 20のみに支持されていることになる。したが つて、リング部材 20の径方向内側に位置するブレード 3の強度がリング部材 20の径 方向外側に位置するブレード 3 (先端部 3b)の強度よりも強くなる。

[0031] このため、リング部材 20の径方向内側のブレード 3の肉厚をブレード 3の先端部 3b よりも薄く設定することができ、軽量化を図りつつ強度バランスの優れたブレード 3と すること力 Sできる。よって、例えば、自動車の走行中に水撃等の外力が加わるおそれ のある箇所であっても冷却ファン 1を配置することが可能になり、車載レイアウト性を 向上させること力 Sでさる。

[0032] 図 5は、この実施形態の冷却ファン 1と、従来の冷却ファンとの強度を比較したダラ フである。同図に示すように、冷却ファン 1の強度は、従来の冷却ファンと比較して約 2倍となって!/、ること力 S確認できる。

[0033] さらに、上述の実施形態によれば、ブレード 3の強度をリング部材 20によって確保 すること力 Sできるため、ボス部 2の直径を小さくでき、その分だけファン容量を拡大で きる。このため、冷却ファン 1の小型化を図ることができる。

[0034] 尚、本発明は上述した実施形態に限られるものではなぐ本発明の趣旨を逸脱しな い範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。

また、上述の実施形態では、冷却ファン 1が軸流ファンである場合について説明し たが、斜流ファンタイプのものであってもよい。

さらに、上述の実施形態では、冷却ファン 1は自動車用ラジェータに使用される場 合にっレ、て説明したが、これに限られるものではな!/、。

[0035] また、上述の実施形態では、リング部材 20の径方向内側に位置するブレード 3の肉 厚 tlが従来のものよりも薄ぐ且つリング部材 20の径方向外側に位置するブレード 3 の肉厚 t2よりも薄く設定されている場合について説明した。し力もながら、これに限ら れるものではなぐリング部材 20の径方向外側に位置するブレード 3の肉厚 t2を従来 のものよりも薄く、且つリング部材 20の径方向内側に位置するブレード 3の肉厚 より あ薄く設定してあよい。

[0036] このように構成した場合であっても、リング部材 20の径方向外側に位置するブレー ド 3の肉厚 t2が薄肉化されているので、従来の冷却ファンと比較して軽量化を図るこ と力 Sできる。さらに、ブレード 3の先端より径方向内側にリング部材 20を設けつつ、リン グ部材 20の径方向内側に位置するブレード 3の肉厚 tlを従来のものと略同等にす れば、従来の冷却ファンと比較して強度を向上させることが可能になる。

産業上の利用可能性

[0037] 本発明によると、ブレードを薄肉化しても騒音特性の悪化を防止し、且つ汎用性を 向上させることができる冷却ファンを提供することが出来る。

Claims

請求の範囲

[1] 有底筒状のボス部と、前記ボス部の外周面に設けられ径方向に向力、つて放射状に 延びる複数のブレードとから成り、

前記ブレードの先端よりも径方向内側に各々ブレードを相互に連結するリング部材 が設けられる冷却ファン。

[2] 前記リング部材が前記ブレードの径方向中央よりも外側に設けられる請求項 1に記 載の冷却ファン。

[3] 前記リング部材の径方向内側に位置する前記ブレードの肉厚と、前記リング部材の 径方向外側に位置する前記ブレード肉厚とが互いに異なるように設定される請求項 1に記載の冷去卩ファン。

[4] 前記リング部材の径方向内側に位置する前記ブレードの肉厚と、前記リング部材の 径方向外側に位置する前記ブレード肉厚とが互いに異なるように設定される請求項 2に記載の冷却ファン。

[5] 前記リング部材の径方向内側に位置する前記ブレードの肉厚が前記リング部材の 径方向外側に位置する前記ブレードの肉厚よりも薄く設定される請求項 3に記載の 冷却ファン。

[6] 前記リング部材の径方向内側に位置する前記ブレードの肉厚が前記リング部材の 径方向外側に位置する前記ブレードの肉厚よりも薄く設定される請求項 4に記載の 冷却ファン。