JP2014043848A - ウォータポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】熱衝撃試験を行った際に、フランジ壁に膨張や収縮によるクラックの発生を抑制し得るウォータポンプを提供する。
【解決手段】ポンプハウジング2の内部にベアリング4を介して回転自在に支持された駆動軸7と、該駆動軸の一端部にフランジ壁5aを介して一体に結合され、ガラス繊維を含む合成樹脂材によって一体に成型されたプーリ5と、駆動軸の他端部に設けられたインペラ8と、フランジ壁の外周に一体に設けられた円筒部5bの内周に固着されて軸受を圧入保持する金属インサート6と、を備え、フランジ壁の外面に一体成形された補強リブ19は、フランジ壁の外面の径方向の中央位置に六角柱状に突出形成された突出部19aと、該突出部に形成された6つの角部19cから径方向外側に延出されて、その長さがフランジ壁の外径と同じ長さまで放射状に延長された6つの延設部19bと、から構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば内燃機関を冷却するための冷却水を内燃機関内部に供給するために用いられるウォータポンプに関する。
従来のウォータポンプとしては、以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
概略を説明すると、ウォータポンプは、内部にポンプ室を有するポンプハウジングと、前記ポンプ室内に回転自在に支持された合成樹脂製の駆動軸と、該駆動軸の一端部にフランジ壁を介して一体に結合された合成樹脂材のプーリと、該プーリの内周側に円筒状の金属製インサートを介して設けられたボールベアリングと、前記駆動軸の他端側に一体回転可能に設けられたインペラと、該インペラと前記プーリの間に設けられたメカニカルシールと、から構成されている。
特開2002−349481号公報
ところで、前記ウォータポンプにあっては、射出成形などによって樹脂成形された後の駆動軸やプーリなどの部品の耐久性を予めチェックするため、その一つとして極低温から極高温までの熱衝撃試験を行っている。
しかし、前記合成樹脂材のプーリと、前記金属製インサートの膨張率が大きく異なるため、熱衝撃試験を行うとフランジ壁が膨張、収縮する際に、前記金属製インサートによって直径方向の膨張、収縮が抑えられ、前記フランジ壁に残留応力が発生してしまう。この結果、フランジ壁にクラックが生じるおそれがある。
本発明は、前記従来のウォータポンプの実情に鑑みて案出されたもので、前記フランジ壁に補強用のリブを設けることによって膨張や収縮によってクラックが生じるのを抑制し得るウォータポンプを提供するものである。
内部にポンプ室を有するポンプハウジングと、該ポンプハウジング内に回転自在に支持された駆動軸と、該駆動軸の一端部にフランジ壁を介して一体に結合され、合成樹脂材によって前記駆動軸と一体に形成されたプーリと、該プーリのフランジ壁の外周に一体に形成された円筒部の内周に固着された筒状の金属部材と、該金属部材と前記ポンプハウジングとの間に介装されて、前記駆動軸を回転自在に軸受けするベアリングと、前記ポンプ室に収容されていると共に、前記駆動軸の他端部に一体回転可能に設けられたインペラと、を備え、
前記フランジ壁の少なくとも外面に、前記駆動軸の一端部が結合された中央側から外方向へ放射状に延びた補強リブを一体に設けたことを特徴とするウォータポンプ。
この発明によれば、プーリのフランジ壁に補強リブを設けることにより、熱衝撃試験による膨張や収縮によってクラックが生じるのを抑制することができる。
本発明に係るウォータポンプの第1実施形態の縦断面図である。 本実施形態におけるウォータポンプの分解斜視図である。 図1のA矢視図である。 本実施形態に供されるプーリの正面図である。 本実施形態に供されるインサートの斜視図である。 本実施形態に供される駆動軸と一体成形されたプーリの縦断面図である。 本実施形態に供される駆動軸と一体成形されたプーリの要部断面図である。 本実施形態に供される駆動軸の先端部を示す斜視図である。 本実施形態に供されるインペラの正面図である。 同インペラの背面図である。 本実施形態に供されるインペラを示す斜視図である。 本発明に係るウォータポンプの第2実施形態を示す正面斜視図である。 同第2実施形態の駆動軸と一体成形されたプーリの背面図である。 本発明に係るウォータポンプの第3実施形態を示す正面斜視図である。 本発明に係るウォータポンプの第4実施形態を示す正面斜視図である。 本発明に係るウォータポンプの第5実施形態を示す正面斜視図である。
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係るウォータポンプの各実施形態を図面に基づいて詳述する。このウォータポンプ1は、自動車のラジエータと内燃機関の間で冷却水である不凍液(エチレングリコール)を循環させる冷却装置に適用されている。
このウォータポンプ1は、図1及び図2に示すように、内燃機関の図外のシリンダブロックの側部にボルト固定等により直接取り付けられ、シリンダブロック側の前端部内にポンプ室3を有するポンプハウジング2と、該ポンプハウジング2の前端側に単一のボールベアリング4によって回転自在に支持されたプーリ5と、該プーリ5とボールベアリング4の間に介装された金属製のインサート6と、前記ポンプハウジング2の内部に挿通配置され、一端部7aが前記プーリ5と一体形成された駆動軸7と、該駆動軸7の他端側の小径軸部7bに固定されて、前記ポンプ室3内に回転自在に収容されたインペラ8と、前記ポンプハウジング2と駆動軸7との間に介装されて、ポンプ室3と前記ボールベアリング4との間をシールするメカニカルシール9と、から主として構成されている。
前記ポンプハウジング2は、アルミニウム合金材で一体に形成され、ポンプ室3側のハウジング本体10が異形円環状に形成されていると共に、該ハウジング本体10の後端側に段差径状の筒状部11が一体に有している。
前記ハウジング本体10は、前端にシリンダブロックの側部に有する平面部に当接する平坦な環状の取付面10aが形成されていると共に、外周にはシリンダブロックに螺着固定される取付ボルトが挿通されるボルト孔9bを構成するボス部10cが複数突設されている。
また、このハウジング本体10の内部には、図外のラジエータ側の吸入ポートからポンプ室3に流入した冷却水をインペラ8の回転に伴ってシリンダブロック内のウォータジャケット内に吐出する吐出ポート10dが形成されている。
前記筒状部11は、図1及び図2に示すように、ポンプ室3側の大径部11aと、該大径部11aから前記ボールベアリング4方向へ延出した中径部11bと、該中径部11bから駆動軸7の一端部7a方向へ延出した小径部11cと、から構成されている。
前記中径部11bは、重力方向下側に前記メカニカルシール9から漏れ出た冷却水の水滴を流下させるドレン孔12が上下方向に貫通形成されていると共に、該ドレン孔12の下側には該ドレン孔12から滴下した水滴を捕集貯留するドレンチャンバ13が前記大径部11aの内部に跨って形成されている。このドレンチャンバ13は、下端開口がドレンキャップ14によって液密的に封止されている。
また、前記中径部11bの重力方向の上側には、前記メカニカルシール9から漏出した、あるいは前記ドレンチャンバ13内などに貯留された冷却水の水蒸気を外部に排出する大気開放孔15が穿設されている。さらに、この中径部11bの内周側には、前記駆動軸7との間に円環状の環状空間室16が形成されており、この環状空間室16は、前記ドレン孔12と大気開放孔15に上下方向で連通している。また、前記中径部11bの外周には、前記大気開放孔15と大気とを連通する大気連通孔17を形成する円筒状の膨出部11eが一体に形成されている。
前記ボールベアリング4は、一般的なものであって、図1及び図2に示すように、前記小径部11に圧入された内輪4aと、前記インサート6に圧入された外輪4bと、前記内輪4aと外輪4bとの間に保持器を介して転動自在に設けられた複数のボール4cとから構成されている。
前記内輪4aは、その軸方向の最大圧入位置が前記筒状部11の中径部11bの前端縁に設けられた環状突部11fによって規制されている一方、外輪4bは、内輪4aの位置決めによって自ずと前記インサート6内への圧入によってその軸方向の位置が設定されている。
前記ボールベアリング4の前後位置には、図1及び図2に示すようにボールベアリング4内部に塵芥などの侵入を阻止するための、一対の第1、第2シール部材18,18が設けられており、この両シール部材18,18は、ボールベアリング4の軸方向両側を覆うように対向配置されている。
前記プーリ5は、図1及び図2、図5〜図7に示すように、後述するガラス繊維22の配合された合成樹脂材により前記駆動軸7と一体成形されており、前記駆動軸7の一端部7aから径方向に延出した円盤状のフランジ壁(連結壁)5aと、該フランジ壁5aの外周縁から駆動軸7の軸方向に折曲された大径状の円筒部5bと、該円筒部5bの外周面に突設されたベルト装着部5cとから構成されている。
また、前記フランジ壁5aは、図1、図2及び図4に示すように径方向のほぼ中央位置に楕円状の6つの貫通孔5eが円周方向のほぼ等間隔位置に穿設されている。この各貫通孔5eは、前記筒状部11の小径部11cの外周に前記ボールベアリング4の内輪4aを圧入する際に、図外の圧入用治具を挿入する作業用孔としての役割を有していると共に、前記ドレンチャンバ13内などから蒸発して小径軸部11cの内部に到達した水蒸気を外部に排出させる役割も有している。したがって、前記各貫通孔5eは、それぞれの形成位置と内径が前記各役割を果たすのに必要な位置と大きさに設定されている。
前記フランジ壁5aは、図1、図2及び図4に示すように、外面のほぼ中央位置から放射方向へ複数の凸部である補強リブ19が一体に設けられている。
前記補強リブ19は、図1、図2及び図4に示すように、前記フランジ壁5aの外面の径方向の中央位置に形成された突出部19aと、該突出部19aの外周縁から放射方向へ延出された6つの延設部19bと、から構成されている。
前記突出部19aは、前記フランジ壁5aの外面の中心を中心とした六角柱状に形成されて、外周に6つの角部19cを有している。
前記各延設部19bは、前記各貫通孔5eの間に配置され、前記各角部19cから径方向外側に延出されており、その長さが前記フランジ壁5aの外径と同じ長さまで放射状に延長されている。
なお、前記突出部19aの中央には、小径な突部21が一体に設けられている。
この突部21は、前記プーリ5と前記駆動軸7及び前記補強リブ19を金型により一体に樹脂成形する際に、溶融樹脂材の注入用に設けられた孔に樹脂材が充填されて形成されたものである。
前記プーリ5や駆動軸7を成形する合成樹脂材の内部には、図6及び図7に示すように、予め短いガラス繊維22が配合されており、このガラス繊維22は、合成樹脂材と一緒に射出成形時に金型の中に注入され、成形時に金型の内面に接していた前記補強リブ19の外面側内部とフランジ壁5aの外面側と内面側の内部に、図6及び図7に矢印で示すように、前記突部21(注入口)から径方向に向かって放射状に配向されている。
一方、前記金型に接していないフランジ壁5aの内部のガラス繊維22bは、円周方向に対して直交する方向に配向されている。
すなわち、ガラス繊維22は、前記補強リブ19と前記フランジ壁5aの表面に沿うように前記突部21(注入口)から径方向に向かって放射状に配向されている。
前記円筒部5bは、図1、図6及び図7に示すように、内周側に円筒状の金属で形成された前記インサート6が一体に設けられている。
このインサート6は、図5に示すように、円筒状の本体6aと、該本体6aの先端に一体に有するフランジ部6bと、から構成され、プーリ5の樹脂成形時に前記フランジ部6bが円筒部5bに埋設されて一体的に固定されている。
前記本体6aは、その軸方向の長さが前記外輪4bの軸方向の長さよりも僅かに大きく形成されていると共に、内径が前記外輪4bの外径よりも圧入代を考慮して僅かに小さく形成されている。そして、成形後に前記インサート6の内周面に前記ボールベアリング4の外輪4bが圧入固定されるようになっている。
前記フランジ部6bは、外周が波形状に形成されており、この波形状によって前記インサート6が前記円筒部5bの内周で空転するのを規制すると共に、円筒部5bの内周から抜け出るのを抑制している。
前記ベルト装着部5cは、波形歯状に形成された外周に、図外のクランクシャフトの先端部に固定された駆動プーリに巻回された伝達ベルトが巻回されて回転力が伝達されるようになっている。
前記駆動軸7は、図1及び図2に示すように、ガラス繊維22が配合された合成樹脂材によって形成され、一端部7aがプーリ5に一体に結合されていると共に、他端側に形成された小径軸部7bと、駆動軸7のほぼ中央位置に環状に切り欠かれた環状溝7cが形成されている。
前記小径軸部7bは、図1、図2及び図8に示すように、二面幅状に形成されて、平行な両側面7d,7eの先端側に係合部である係合溝7f,7fが径方向に沿って形成されている。この両係合溝7f,7fは、所定深さの断面ほぼ矩形状に形成されており、この両係合溝7f,7fによって先端部7gが突起状に形成されていると共に、平面長方形状に形成されている。
前記環状溝7cは、前記環状空間室16に臨む位置に設けられている。なお、環状空間室16の下部には、前記メカニカルシール9によって阻止された水を貯留する図外の貯留室が形成されており、この貯留室は、ドレンキャップ14によって閉止されている。
前記インペラ8は、合成樹脂材によって一体に形成され、図1及び図2、図9〜図11に示すように、ほぼ円盤状の基部8aと、該基部8aの前面外周面に中央部側から放射状に形成された8枚の羽根部8bと、前記基部8aの回転中心部である中央部に一体に軸方向へ突設されて、前記駆動軸7の小径軸部7bに係止固定される係止部8cと、から構成されている。
前記基部8aは、所定肉厚に形成されて、前記ポンプ室3の後面に隙間をもって回転するようになっている。
前記係合部8cは、図9〜図11に示すように、内部軸方向に前記駆動軸7の小径軸部7bを挿通させる半割状の一対の筒状部8d,8dと、該両筒状部8d,8dの周方向の対向面間に設けられて、前記小径軸部7bの各係合溝7f,7fに係止めする一対の係止爪8e,8eと、を備えている。
前記筒状部8d,8dは、前記基部8aの前面中央から突設されて、その突出量が羽根部8bよりも短く設定されていると共に、互いの対向する内部軸方向に前記小径軸部7bを挿通させる横断面ほぼ矩形状の挿通孔8fが貫通形成されている。
前記係止爪8e,8eは、細長い矩形板状に形成されて、互いに一定の隙間を介して対峙していると共に、基端部が前記基部8aから一体に立ち上がって各先端部側が基部8aを支点として互いに拡縮方向へ弾性変形可能に形成されている。
また、前記係止爪8e,8e間の隙間の幅は、前記小径軸部7bの幅長さよりも僅かに大きく設定されて、各内面を小径軸部8bの両側面7d,7eが摺接しながら挿通されると共に、前記小径軸部7bの係合溝7f,7fとほぼ相似形に形成されて、係止爪8e,8eの弾性復帰力によって各係合溝7f,7fに係合されている。これにより、インペラ8が駆動軸7と一体回転するようになっている。
また、前記基部8aには、図2、図9及び図10に示すように、前記両係止爪8e,8eの各両側面から4本のスリット部8g,8h,8i,8jが回転中心側から外周側に向かって形成されていると共に、基部8aの前面から背面に渡って貫通形成されている。
前記メカニカルシール9は、一般的なものであって、前記筒状部11の中径部11bの内周面に固定されたカートリッジ部9aと、前記駆動軸7の外周面に支持されたスリーブ部9bと、前記カートリッジ部9aの内周側と前記スリーブ部9bの外周側との間に設けられて摺動するシール部9cとから構成されている。
〔第1実施形態の作用効果〕
したがって、この実施形態によれば、機関のクランクシャフトが回転駆動して前記プーリ5が回転駆動されると、該プーリ5と一体成形された前記駆動軸7を介して前記インペラ5が回転してポンプ作用を行い、冷却水を前記吐出ポート10dから機関のウォータジャケットに圧送して内燃機関全体の冷却を行う。
そして、本実施形態では、前記プーリ5のフランジ壁5aの外面に突出部19aと、延設部19bとからなる補強リブ19を設けたことにより、前述した耐久テスト時の熱衝撃試験が加えられても径方向への応力集中が抑制されて、膨張や収縮によってクラックが生じるのを低減することができる。
すなわち、前記補強リブ19は、各延設部19bが熱衝撃試験時の過度な熱負荷によるフランジ壁5aの径方向の変形に対して補強するため、径方向の応力集中を抑制して、クラックの発生を抑制する。
また、前記金型の内面に接する前記補強リブ19の外面側内部と前記フランジ壁5aの外面側内部には、前記ガラス繊維22aが前記突部21から放射状に配向されるため、前記フランジ壁5aの強度だけではなく、前記補強リブ19の強度も向上させることができる。この結果、前記ガラス繊維22の配向が前記フランジ壁5aの径方向となる部分が多くなるため、前記フランジ壁5aのクラックの発生をさらに効果的に抑制できる。
また、前記金属インサート6を前記合成樹脂のプーリ5の内部に設けて成形するインサート射出成形する場合において、高温の樹脂が金型に流し込まれ、冷却されて収縮する際に、前記金属インサート6が壁となり前記フランジ壁5aの前記金属インサート6の径方向外側は収縮が抑制され内側が抑制されない。このため、前記フランジ壁5aの前記金属インサート6の径方向内側では比較的大きな引張応力が残るおそれがある。この際、本実施形態では前記フランジ壁5aの径方向の強度が向上することにより前記金属インサート6の径方向内側の収縮を抑制して、前記フランジ壁5aの引張応力の残留を抑制できる。
また、前記インペラ8に形成されたスリット部8g,8h,8i,8jによって、前記メカニカルシール9方向に流入した冷却水によって、該メカニカルシール9のスリーブ部9bが積極的に冷却されて、駆動軸7との摺動摩擦による焼き付きを効果的に抑制することができる。
前記メカニカルシール9方向に流入した冷却水は、その大部分がメカニカルシール9によって駆動軸7の中径部11b側への流入が阻止されるが、一部が、例えば、前記メカニカルシール9の摺動するシール部9cから漏れだして駆動軸7の外周面を伝って中径部11b側に流動する。この流動した冷却水は、環状溝7c方向に到達すると、駆動軸7の回転遠心力の作用に伴って環状溝7cの段差面の外周縁で切られて、前記環状空間室16を介してドレン孔12からドレンチャンバ13内に滴下して個々に捕集貯留される。
〔第2実施形態〕
図12及び図13は第2実施形態を示し、補強リブ19を前記プーリ5のフランジ壁5aの内面に一体成形したものである。すなわち、前記補強リブ19は、前記フランジ壁5aの内面に一体成形された前記6つの延設部19bから構成され、該各延設部19bは、前記各貫通孔5eの間に配置されていると共に、各内端縁が駆動軸7の外周面に結合されて、駆動軸7の外周から放射方向へ延出されて、各外端縁が前記フランジ壁5aの外径と同じ長さまで延長されている。
したがって、この実施形態によれば、前記補強リブ19を前記プーリ5のフランジ壁5aの内面に一体成形したことにより、熱負荷試験時における円周方向への応力集中が抑制されて、膨張や収縮によってクラックが生じるのを低減することができる。
すなわち、前記各延設部19bが熱衝撃試験時の過度な熱負荷によるフランジ壁5aの円周方向の変形に対して直角方向から補強するため、円周方向の応力集中が抑制されて、クラックの発生を効果的に抑制する。
さらに、前記金型に接する前記補強リブ19の外面側内部と前記フランジ壁5aの外面側内部に、前記ガラス繊維22aが金型に沿って前記駆動軸7の外周から放射状に配向されるため、前記補強リブ19の強度も上げることができる。
また、前記補強リブ19を前記フランジ壁5aの内面側に設けることにより、空気の流動が減少し、異音の発生を抑制できる。
また、他の構成は、第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
〔第3実施形態〕
図14は第3実施形態を示し、第1実施形態の前記補強リブ19の突出部19aを廃止し、残された6つの前記各延設部19bのみで補強リブ19を構成したものである。
また、図4に示す、前記フランジ壁5aの外面に穿設された貫通孔5eも廃止されている。
したがって、この実施形態によれば、前記各延設部19bを前記プーリ5のフランジ壁5aの外面に一体形成したことにより、前記各延設部19bが熱衝撃試験時の過度な熱負荷によるフランジ壁5aの円周方向の変形に対して直角方向から補強するため、円周方向の応力集中が抑制されて、クラックの発生を抑制することができる。
さらに、前記金型に接する前記各延設部19bの外面側内部には、前記ガラス繊維22aが金型に沿って前記突部21から放射状に沿って配向されるため、前記各延設部19bの強度も上げることができる。
また、他の構成は、第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
〔第4実施形態〕
図15は第4実施形態を示し、前記補強リブ19を、前記フランジ壁5aに設けられた6つの貫通孔5e間に周方向に沿って一体成形したものである。
すなわち、前記補強リブ19は、前記フランジ壁5aの外面に前記各貫通孔5eを連結するように設けられ、僅かに突出した円環状に形成されている。このように、前記各貫通孔5eが前記補強リブ19によって周方向に連結されることにより、クラックの発生しやすい前記各貫通孔5eの円周方向の間を直接的に補強することができるため、前記フランジ壁5aの強度を上げることができる。
したがって、前記補強リブ19自体の強度が上がることから前記フランジ壁5aにクラックが発生するのをされに低減することができる。
また、他の構成は、第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
〔第5実施形態〕
図16は第5実施形態を示し、前記フランジ壁5aの外面の円周方向に複数の波紋状の補強リブ19を一体形成したものである。
前記補強リブ19は、前記フランジ壁5aの外面中央から同心円上でかつ波紋状に複数形成されている。
すなわち、この実施形態では、クラックが発生しやすい前記フランジ壁5aの円周方向に波紋状の多重の補強リブ19dを前記プーリ5と駆動軸7と一体形成している。これにより、周方向の強度向上を図れる。
さらに、前記金型に接する前記補強リブ19の外面側内部と前記フランジ壁5aの外面側内部に沿って前記突部21から放射状に前記ガラス繊維22aが配向されるため、前記フランジ壁5aはもちろんのこと前記補強リブ19自体の強度を上げることができる。
したがって、補強リブ19の強度が上がっていることから前記フランジ壁5aの径方向のほぼ中央位置に周方向に沿ってクラックが発生するのをさらに低減することができる。
また、他の構成は、第1実施形態と同様であるから、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成を変更することも可能である。
前記実施形態から把握される前記請求項以外の発明の技術的思想について以下に説明する。
〔請求項a〕請求項1に記載のウォータポンプにおいて、
前記金属部材は、前記プーリが成形される際に一体的に固設されることを特徴とするウォータポンプ。
〔請求項b〕請求項aに記載のウォータポンプにおいて、
前記金属部材は、円筒状に形成されていることを特徴とするウォータポンプ。
この発明によれば、円環状の外輪の取り付け部として容易な形状である。
〔請求項c〕請求項1に記載のウォータポンプにおいて、
前記フランジ壁は、前記インペラの反対側の前記駆動軸の端部から径方向へ円盤状に形成されていることを特徴とするウォータポンプ。
〔請求項d〕請求項1に記載のウォータポンプにおいて、
前記補強リブは、前記フランジ壁の反インペラ側の外面に設けられていることを特徴とするウォータポンプ。
〔請求項e〕請求項1に記載のウォータポンプにおいて、
前記補強リブは、前記フランジ壁のインペラ側の内面に設けられていることを特徴とするウォータポンプ。
この発明によれば、前記補強リブがフランジ壁の内面側に設けられているため、駆動中における空気の流動が少なく異音が生じにくくなる。
〔請求項f〕請求項1に記載のウォータポンプにおいて、
前記補強リブは、前記フランジ壁の外面から突起し、前記プーリの直径方向内側から外側に向けて放射状に設けられた少なくとも1つの突起部であることを特徴とするウォータポンプ。
〔請求項g〕請求項fに記載のウォータポンプにおいて、
前記突起部は、複数設けられ、それぞれの太さが異なることを特徴とするウォータポンプ。
〔請求項h〕請求項fに記載のウォータポンプにおいて、
前記突起部は、太さが直径方向内側から外側にかけて変化することを特徴とするウォータポンプ。
〔請求項i〕請求項1に記載のウォータポンプにおいて、
前記補強リブは、前記フランジ壁において、前記プーリの直径方向内側から外側に向けて放射状に設けられた凸部であることを特徴とするウォータポンプ。
〔請求項j〕請求項1に記載のウォータポンプにおいて、
前記突起部は、複数個に分割して設けられていることを特徴とするウォータポンプ。
この発明によれば、必要な強度が得られれば全域に補強リブを設ける必要がない。これにより、コストの改善をすることができる。
〔請求項k〕請求項2に記載のウォータポンプにおいて、
前記補強リブは、前記駆動軸の回転中心から同心円上に少なくとも1つ設けられたことを特徴とするウォータポンプ。
この発明によれば、周方向の収縮変形に対する補強が図れる。
〔請求項l〕請求項kに記載のウォータポンプにおいて、
前記補強リブは、複数設けられ、それぞれの太さが異なることを特徴とするウォータポンプ。
この発明によれば、拡大、収縮の具合に応じて補強リブの太さを任意に設定することでより強度を上げることができる。
〔請求項m〕請求項1に記載のウォータポンプにおいて、
前記プーリの成形時における注入口が前記フランジ壁の中央であることを特徴とするウォータポンプ。
この発明によれば、フランジ壁の中央から注入するので、ガラス繊維の配列が中央から外側へ倣うように配向される。これにより前記フランジ壁の強度が上がる。
〔請求項n〕請求項1に記載のウォータポンプにおいて、
前記フランジ壁には、軸方向に少なくとも1つの貫通孔を有することを特徴とするウォータポンプ。
この発明によれば、ウォータポンプ内部の水蒸気の排出が可能となる。しかし、貫通孔があることで強度が低下するため、補強リブの効果が重要となる。
〔請求項o〕請求項nに記載のウォータポンプにおいて、
前記貫通孔は、楕円形状に設けられていることを特徴とするウォータポンプ。
この発明によれば、補強リブを有しながら孔の大きさを大きくとれる。
〔請求項p〕請求項oに記載のウォータポンプにおいて、
前記補強リブは、複数の前記貫通孔の間に設けられていることを特徴とするウォータポンプ。
この発明によれば、貫通孔間の箇所の強度を向上させることでフランジ壁の周方向の応力集中を抑制できる。
1…ウォータポンプ
2…ポンプハウジング
3…ポンプ室
4…ボールベアリング(ベアリング)
5…プーリ
5a…フランジ壁(連結壁)
5b…円筒部
6…インサート(金属部材)
7…駆動軸
8…インペラ
9…メカニカルシール
10…ハウジング本体
11…筒状部
19…補強リブ(凸部)
19a…突出部
19b…延設部
21…突部

Claims (3)

  1. 内部にポンプ室を有するポンプハウジングと、
    該ポンプハウジング内に回転自在に支持された駆動軸と、
    該駆動軸の一端部にフランジ壁を介して一体に結合され、合成樹脂材によって前記駆動軸と一体に形成されたプーリと、
    該プーリのフランジ壁の外周に一体に形成された円筒部の内周に固着された筒状の金属部材と、
    該金属部材と前記ポンプハウジングとの間に介装されて、前記駆動軸を回転自在に軸受けするベアリングと、
    前記ポンプ室に収容されていると共に、前記駆動軸の他端部に一体回転可能に設けられたインペラと、
    を備え、
    前記フランジ壁の少なくとも外面に、前記駆動軸の一端部が結合された中央側から外方向へ放射状に延びた補強リブを一体に設けたことを特徴とするウォータポンプ。
  2. 内部にポンプ室を有するポンプハウジングと、
    該ポンプハウジング内に回転自在に支持された駆動軸と、
    該駆動軸の一端部に円盤状の連結壁を介して一体に結合され、合成樹脂材によって前記駆動軸と一体に形成されたプーリと、
    前記プーリの連結壁の外周に一体に形成された円盤状の内周に固着された筒状の金属部材と、
    該金属部材と前記ポンプハウジングとの間に介装されて、前記駆動軸を回転自在に軸受けするベアリングと、
    前記ポンプ室に収容されていると共に、前記駆動軸の他端部に一体回転可能に設けられたインペラと、
    を備え、
    前記連結壁の外面または内面に放射状方向に延出した補強リブを設けたことを特徴とするウォータポンプ。
  3. 請求項1または2に記載のウォータポンプであって、
    前記合成樹脂材からなるプーリと補強リブは、内部にガラス繊維が含有されていることを特徴とするウォータポンプ。
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