JP4994975B2 - 軸流ファン - Google Patents

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Description

本発明は、一般に自動車機関等の冷却用として回転駆動する軸流型のエンジン冷却用ファンに係り、より詳しくはボス部(ハブ)の外周面に放射状に延びる複数枚のファンブレードを有する軸流ファンに関するものである。
この種の従来の軸流ファンとしては、例えば図10(a)、(b)に示すように、断面形状が略T字形の円筒状のボス部(ハブ)11の外周面に放射状に延びる複数枚のファンブレード12が突設された構造によって構成されたものが知られている。この軸流ファンの場合は、前記ボス部11の内周面側のほぼ中央部に軸芯に対しほぼ直角に突出した取付け壁11aに相手部材への取付け部材(インサート)13の一部が埋設されて取付けられている。
また、図11(a)、(b)に示すように、円筒環状のボス部(ハブ)21の外周面に放射状からなる複数枚のファンブレード12が突設され、かつ前記ボス部21の内周面側に、軸芯方向に直角な相手部材への取付け部材23が設けられた軸流ファンであって、前記ボス部21のファンブレード間の壁部に切欠き送気溝22が設けられたエンジン冷却用ファン(特許文献1参照)や、図12(a)、(b)に示すように、ボス部31から放射状に延びる複数枚のファンブレード32を有する軸流ファンであって、前記ボス部の軸方向端面のうち前記ファンブレード32の前縁側に位置する曲面32aが、この軸端面側からファンブレードの付け根側に設けて構成された射出成型による軸流ファン(特許文献2参照)等が知られている。
実公昭63−25359号公報 特開2002−310097号公報
しかしながら、前記図10に示す軸流ファンは、図中に矢印で示すように円筒状のボス部(ハブ)11の内部へ空気あるいは風が流れ込むことにより渦流が発生し、ボス部11の前面付近の風や空気の流れが悪化するという欠点がある。また、図11に示すエンジン冷却用ファンの場合は、ボス部21内側と該ボス部21の内周面側に設けられた取付け部材23との間へ空気あるいは風が流れ込むことにより渦流が発生し、前記の軸流フンと同様、ボス部21の前面付近の風や空気の流れが悪化するという欠点に加え、ボス部を切欠いているため該ボス部の強度が低いという欠点がある。さらに、図12に示す軸流ファンの場合は、ファンブレード32の付け根部の曲面32aに沿ってブレード32の根元を空気が周方向に流れ易いという欠点がある。
本発明は上記した従来の軸流ファンの欠点を解消するためになされたもので、ボス部前面からファンブレードの前縁にかけてガイドベーンを設けることによりファン前方の気流の流れを改善でき、消費馬力を抑えつつ高風量を得ることができると共に、ボス部の強度も高い軸流ファンを提供しようとするものである。
本発明に係る軸流ファンは、ボス部の外周面に放射状に延びる複数枚のファンブレードと前記ボス部前面に放射状に設けるガイドベーンを有する軸流ファンにおいて、前記ガイドベーンがファンブレードの付け根部付近の前縁から当該ブレードの裏面に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部がブレード後縁のほぼ中間部まで滑らかな曲面にて延長され、かつ該延長部はさらに前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成された構造となしていることを特徴とするものである。
また、本発明に係る他の軸流ファンは、ボス部の外周面に放射状に延びる複数枚のファンブレードと前記ボス部前面に放射状に設けるガイドベーンを有する軸流ファンにおいて、前記ガイドベーンがファンブレードの付け根部付近の前縁から当該ブレードの裏面に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部がブレード後縁の外周末端部まで滑らかな曲面にて延長され、かつ該延長部はさらに前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成された構造となしていることを特徴とするものである。
本発明の前記軸流ファンにおける前記ガイドベーンは、各ファンブレードに対応して設けられていることを特徴とし、また、前記ガイドベーンは、前記ボス部と一体または別体であることを特徴とするものである。さらに、前記ガイドベーンは、前記ファンブレードの前縁部からボス部中心部に向ってガイド面が凸状に湾曲した形状、あるいは前記ファンブレードの前縁部からブレード後縁のほぼ中間部に向ってガイド面が凸状に湾曲した形状、または前記ファンブレードの前縁部からブレード後縁の外周末端部に向ってガイド面が凸状から凹状に変化して湾曲した形状、さらにはこれらを組み合わせた形状となすことを好ましい態様とするものである。
本発明に係る軸流ファンは、ガイドベーンがファンブレードの付け根部付近の前縁から当該ブレードの裏面に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部がブレード後縁のほぼ中間部まで滑らかな曲面にて延長され、かつ該延長部はさらに前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成された構造、またはガイドベーンがファンブレードの付け根部付近の前縁から当該ブレードの裏面に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部がブレード後縁の外周末端部まで滑らかな曲面にて延長され、かつ該延長部はさらに前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成された構造となしたことにより、ファン前方のボス部前面に放射状流れを生起し、かつボス部外周部付近の流れに斜流成分を持つよう空気の流れを著しく改善できると共に、ボス部前面に沿って流れる空気をボス部外周面側へ向って放射状にスムーズにガイドすることができるので、ボス部背面での回り込みも改善されて、消費馬力を抑えつつ高風量を得ることができる。また、ボス部からブレード裏面にわたって設ける前記ガイドベーンにより当該ボス部およびファンブレードが補強されるので、ボス部およびファンブレードの強度の向上にも有効である。
図1は本発明に係る軸流ファンの第1実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB−B線上の横断平面図、図2は同じく本発明の第2実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB−B線上の横断平面図、図3は同じく本発明の第3実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB−B線上の横断平面図、図4は同じく本発明の第4実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB矢視図、図5は同じく本発明の第5実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB矢視図、図6は同じく本発明の第6実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB矢視図、図7は同じく本発明の第7実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB−B線上の横断平面図、図8は同じく本発明の第8実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB矢視図、図9(a)〜(f)は本発明に係る軸流ファンのボス後端とファンブレード後縁およびガイドベーン後端の他の態様例を示す図8(c)相当図であり、1はボス部、1−1はボス部前面、1−2はボス後端、2はファンブレード、2−1はブレードの前縁、2−2はブレードの後縁、2a〜2hはブレード付け根部、3、3a〜3hはガイドベーン、3−3はガイドベーン後端、3−4、3−4´は突出部、4はボス部の補強部材を兼ねた相手部材への取付け部材(インサート)である。
図1に示す第1実施例の軸流ファンは、断面形状が略コ字形のボス部(ハブ)1の外周面に当該ボス部より放射状に延びる複数枚のファンブレード2を有し、該ファンブレード2のボス部付け根部2aの前縁2−1および後縁2−2はボス部1の外周面とほぼ面一であって、前記ボス部の前面1−1に複数個の板状のガイドベーン3aが設けられている。このガイドベーン3aは、前記ボス部の前面1−1からファンブレード2の付け根部付近の前縁2−1まで延びるボス部前面側延長部3a−1と、該ボス部前面側延長部3a−1に連なって当該ブレード2の裏面2−3側に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部がブレード後縁2−2のほぼ中間部まで滑らかな曲面にて延長されかつ前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成されたボス部外周面側延長部3a−2を有し、前記ボス部前面側延長部3a−1とボス部外周面側延長部3a−2は、ファンが回転した際に気流が前記ボス部1の中心側から外周部に向って流れるとともにボス部外周を軸方向に流れ、さらにファンブレード2の裏面に沿ってブレード外端側へ流れるように、ファンブレード2の付け根部付近の前縁2−1からボス部中心部へ向ってガイド面が凸状に滑らかに湾曲した形状となし、さらにファンブレードの前縁部からブレード後縁のほぼ中間部に向ってガイド面が凸状に滑らかに湾曲した形状となしている。このガイドベーン3aのボス部前面1−1側端部は当該ボス部の内周面近傍に位置している。そして、各ガイドベーン3aはボス部外周面側延長部3a−2の部分がファンブレード2間に位置するように各ファンブレード2毎に設けられる。
なお、各ガイドベーン3aのボス部前面側延長部3a−1は、ボス部前面1−1にほぼ垂直に形成されている。4aは相手部材への取付け部材(インサート)4に設けられた締結用ボルト孔である。
すなわち、かかる構成の軸流ファンは、前記ボス部前面1−1に放射状に設けるガイドベーン3aを前記ボス部の前面1−1からファンブレード2の付け根部付近の前縁2−1まで延びるボス部前面側延長部3a−1と、該ボス部前面側延長部3a−1に連なって当該ブレード2の裏面2−3に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部がブレード後縁2−2のほぼ中間部まで滑らかな曲面にて延長されかつ前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成されたボス部外周面側延長部3a−2とで構成することにより、ファンが回転した際にボス部前面1−1に添って流れる空気が矢印イで示すように前記ガイドベーン3aの存在によりボス部外周面側へ放射状にガイドされ、かつボス部外周を軸方向に流れるとともにファンブレード2の裏面に沿ってブレード後縁側へ流れる。
図2に示す第2実施例の軸流ファンは、ファンブレード2の前縁2−1側のブレード付け根部2bがボス部前面1−1より風上側に突出し、かつガイドベーン3bのボス部前面側延長部3b−1を前記ボス部前面1−1より風上側に突出しているブレード付け根部2bの前縁2−1とほぼ面一になるように形成した以外は、前記図1に示すものと実質的に同じ構造となした軸流ファンを例示したものである。2b−1はそのブレード付け根部の突出部である。
したがって、この第2実施例の軸流ファンにおいても、前記ボス部前面1−1に放射状に設けるガイドベーン3bを前記ボス部の前面1−1からファンブレード2の付け根部付近の前縁2−1まで延びるボス部前面側延長部3b−1と、該ボス部前面側延長部3b−1に連なって当該ブレード2の裏面2−3側に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部がブレード後縁2−2のほぼ中間部まで滑らかな曲面にて延長されかつ前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成されたボス部外周面側延長部3b−2とで構成することにより、ファンが回転した際にボス部前面1−1に添って流れる空気が矢印ロで示すように前記ガイドベーン3bの存在によりボス部外周面側へ放射状にガイドされ、かつボス部外周を軸方向に流れるとともにファンブレード2の裏面に沿ってブレード後縁側へ流れる。
図3に示す第3実施例の軸流ファンは、ガイドベーン3cのボス部前面側延長部3c−1を前記ボス部前面1−1より風上側に突出したブレード付け根部2cの前記突出部2c−1よりさらに前方へ突出するように形成した以外は、前記図2に示すものと実質的に同じ構造となした軸流ファンを例示したものである。
したがって、この第3実施例の軸流ファンにおいても、前記ボス部前面側延長部3c−1とボス部外周面側延長部3c−2とで形成されたガイドベーン3cの作用により、前記第2実施例の軸流ファンと同様、ファンが回転した際にボス部前面1−1に添って流れる空気が矢印ハで示すように前記ガイドベーン3cの存在によりボス部外周面側へ放射状にガイドされ、かつボス部外周を軸方向に流れるとともにファンブレード2の裏面に沿ってブレード後縁側へ流れる。
次に、図4〜図6に示す第4〜第6実施例の軸流ファンは、前記ガイドベーン3a〜3cのボス部外周面側延長部3a−2〜3c−2の先端部をさらにブレード後縁の外周末端部まで延長して形成した軸流ファンを例示したものである。
まず、図4に示す第4実施例の軸流ファンは、前記図1に示す第1実施例のものと同様、断面形状が略コ字形のボス部(ハブ)1の外周面に当該ボス部より放射状に延びる複数枚のファンブレード2を有し、該ファンブレード2のボス部付け根部2dの前縁2−1および後縁2−2はボス部1の外周面とほぼ面一であって、前記ボス部の前面1−1に複数個の板状のガイドベーン3dが設けられている。このガイドベーン3dは、前記ボス部の前面1−1からファンブレード2の付け根部付近の前縁2−1まで延びるボス部前面側延長部3d−1と、該ボス部前面側延長部3d−1に連なって当該ブレード2の裏面2−3側に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部がブレード後縁2−2の外周末端部まで滑らかな曲面にて延長され、該延長部はさらに前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成されたボス部外周面側延長部3d−2を有し、前記ボス部前面側延長部3d−1とボス部外周面側延長部3d−2は、ファンが回転した際に気流が前記ボス部1の中心側から外周部に向って流れるとともにボス部外周を軸方向に流れ、さらにファンブレード2の裏面に沿ってブレード末端側へ流れるように、ファンブレード2の付け根部付近の前縁2−1からボス部中心部へ向ってガイド面が凸状に滑らかに湾曲した形状となし、さらにファンブレードの前縁部からブレード後縁の外周末端部に向ってガイド面が凸状から凹状に滑らかに変化して湾曲した形状となしている。このガイドベーン3dのボス部前面1−1側端部は当該ボス部の内周面近傍に位置している。そして、各ガイドベーン3dはボス部外周面側延長部3d−2の部分がファンブレード2間に位置するように各ファンブレード2毎に設けられる。なお、各ガイドベーン3dのボス部前面側延長部3d−1は、ボス部前面1−1にほぼ垂直に形成されている。4aは相手部材への取付け部材(インサート)4に設けられた締結用ボルト孔である。
すなわち、かかる構成の軸流ファンは、前記ボス部前面1−1に放射状に設けるガイドベーン3dを前記ボス部の前面1−1からファンブレード2の付け根部付近の前縁2−1まで延びるボス部前面側延長部3d−1と、該ボス部前面側延長部3d−1に連なって当該ブレード2の裏面2−3側に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部がブレード後縁2−2の外周末端部まで滑らかな曲面にて延長されかつ前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成されたボス部外周面側延長部3d−2とで構成することにより、ファンが回転した際にボス部前面1−1に添って流れる空気が矢印ニで示すように前記ガイドベーン3dの存在によりボス部外周面側へ放射状にガイドされ、かつボス部外周を軸方向に流れるとともにファンブレード2の裏面に沿ってブレード外周末端側へ流れるように構成したものである。
図5に示す第5実施例の軸流ファンは、前記図2に示す第2実施例のものと同様、ファンブレード2の前縁2−1側のブレード付け根部2eがボス部前面1−1より風上側に突出し、かつガイドベーン3eのボス部前面側延長部3e−1を前記ボス部前面1−1より風上側に突出しているブレード付け根部2eの前縁2−1とほぼ面一になるように形成した以外は、前記図4に示すものと実質的に同じ構造となした軸流ファンを例示したものである。2e−1はそのブレード付け根部の突出部である。
したがって、この第5実施例の軸流ファンにおいても、前記ボス部前面1−1に放射状に設けるガイドベーン3eを前記ボス部の前面1−1からファンブレード2の付け根部付近の前縁2−1まで延びるボス部前面側延長部3e−1と、該ボス部前面側延長部3e−1に連なって当該ブレード2の裏面2−3側に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部がブレード後縁2−2の外周末端部まで滑らかな曲面にて延長されかつ前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成されたボス部外周面側延長部3e−2とで構成することにより、ファンが回転した際にボス部前面1−1に添って流れる空気が矢印ホで示すように前記ガイドベーン3eの存在によりボス部外周面側へ放射状にガイドされ、かつボス部外周を軸方向に流れるとともにファンブレード2の裏面に沿ってブレード外周末端側へ流れる。
図6に示す第6実施例の軸流ファンは、前記図3に示す第3実施例のものと同様、ファンブレード2の前縁2−1側のブレード付け根部2fがボス部前面1−1より風上側に突出し、かつガイドベーン3fのボス部前面側延長部3f−1を前記ボス部前面1−1より風上側に突出しているブレード付け根部2fの前縁突出部2f−1よりさらに前方へ突出するように形成した以外は、前記図5に示すものと実質的に同じ構造となした軸流ファンを例示したものである。
したがって、この第6実施例の軸流ファンにおいても、前記ボス部前面側延長部3f−1とボス部外周面側延長部3f−2とで形成されたガイドベーン3fの作用により、前記第5実施例の軸流ファンと同様、ファンが回転した際にボス部前面1−1に添って流れる空気が矢印ヘで示すようにボス部外周面側へ放射状にガイドされ、かつボス部外周を軸方向に流れるとともにファンブレード2の裏面に沿ってブレード末端外周側へ流れる。
図7に示す第7実施例の軸流ファンは、ガイドベーンのボス部前面1−1側の湾曲形状を変えた以外は、前記図1に示す第1実施例のものと実質的に同じ構造となした軸流ファンを例示したものである。すなわち、この第7実施例の軸流ファンのガイドベーン3gは、前記ボス部の前面1−1からファンブレード2の付け根部付近の前縁2−1まで延びるボス部前面側延長部3g−1の形状を前記ボス部の内周側から外周面側に向ってガイド面を凹状から凸状に途中から変えて湾曲した形状となしたものである。2gはブレード付け根部である。
したがって、この第7実施例の軸流ファンにおいても、前記ボス部前面側延長部3g−1とボス部外周面側延長部3g−2とで形成されたガイドベーン3gの作用により、前記第1実施例の軸流ファンと同様、ファンが回転した際にボス部前面1−1に添って流れる空気が矢印トで示すようにボス部外周面側へ放射状にガイドされ、かつボス部外周を軸方向に流れるとともにファンブレード2の裏面に沿ってブレード後縁側へ流れる。
図8に示す第8実施例の軸流ファンは、ガイドベーンのボス部前面1−1側の湾曲形状を変えた以外は、前記図4に示す第1実施例のものと実質的に同じ構造となした軸流ファンを例示したものである。すなわち、この第8実施例の軸流ファンのガイドベーン3hは、前記図7に示すものと同様、前記ボス部の前面1−1からファンブレード2の付け根部付近の前縁2−1まで延びるボス部前面側延長部3h−1の形状を前記ボス部の内周側から外周面側に向ってガイト面を凹状から凸状に途中から変えて湾曲した形状となしたものである。2hはブレード付け根部である。
したがって、この第8実施例の軸流ファンにおいても、前記ボス部前面側延長部3h−1とボス部外周面側延長部3h−2とで形成されたガイドベーン3hの作用により、前記第7実施例の軸流ファンと同様、ファンが回転した際にボス部前面1−1に添って流れる空気が矢印チで示すようにボス部外周面側へ放射状にガイドされ、かつボス部外周を軸方向に流れるとともにファンブレード2の裏面に沿ってブレード外周末端側へ流れる。
以上、本発明の第1実施例〜第8実施例の軸流ファンについて説明したが、本発明に係る軸流ファンのボス後端とファンブレード後縁およびガイドベーン後端の態様については、前記のものに限定されるものではなく、例えば図9(a)〜(f)に示す態様も含まれることはいうまでもない。
すなわち、図9(a)に示すボス後端とファンブレード後縁およびガイドベーン後端の態様例は、軸流ファンのボス後端1−2とファンブレード2の外周の当該ブレード後縁2−2が面一で、かつガイドベーン後端3−3ラインがボス後端1−2ラインと面一となした態様例である。同図(b)は、ボス後端1−2よりファンブレード2外周の当該ブレード後縁2−2が風上側で、かつガイドベーン後端3−3のラインがボス後端1−2ラインより風上側にテーパ状となした態様例である。同図(c)は、ボス後端1−2よりファンブレード2外周の当該ブレード後縁2−2が風下側で、かつガイドベーン後端3−3ラインがボス後端1−2ラインより風下側でテーパ状となした態様例である。同図(d)は、ガイドベーン3の外周先端がファンブレード2の後縁2−2と面一となした態様例である。同図(e)は、ファンブレード2とガイドベーンが一体に成形され、ガイドベーン後端3−3に、当該ガイドベーン3の外周先端がボス後端1−2ラインと面一のファンブレード2の後縁2−2相当部(鎖線で示す)より風下側へ一体に突出した突出部3−4を有する態様例である。同図(f)は、ファンブレード2とガイドベーンが別体に成形され、ガイドベーン後端3−3に、当該ガイドベーン3の外周先端がボス後端1−2ラインと面一のファンブレード2の後縁2−2より風下側に突出したブレード2とは別体の突出部3−4´を有する態様例である。
なお、本発明にかかる前記軸流ファンは、樹脂材による射出成型あるいはアルミニウムまたはアルミニウム合金材による鋳造成型等によってファンブレード2およびガイドベーン3a〜3hをボス部1と一体に設けるか、あるいはガイドベーン3a〜3hをボス部と別体のものを取着して設ける。
本発明者らの実験によれば、例えば、本発明の軸流ファンと従来の軸流ファンを使用して、1300rpmで回転させ同じ車輌抵抗で送風した場合の風量を比較すると、送風風量は2.2〜10.4%程度以上向上する結果が得られた。
本発明は、ボス部前面に放射状に設けるガイドベーンをファンブレードの付け根部付近の前縁から当該ブレードの裏面側に該ブレードに沿うように回り込ませてその先端部をブレード後縁のほぼ中間部まで滑らかな曲面にて延長し、かつ該延長部をさらに前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延ばして当該ボス部外周面を覆うように形成した構造、またはガイドベーンをファンブレードの付け根部付近の前縁から当該ブレードの裏面側に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部をブレード後縁の外周末端部まで滑らかな曲面にて延長し、かつ該延長部をさらに前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成した構造としたことにより、ファン前方のボス部前面に放射状流れを生起し、かつボス部外周部付近の流れに斜流成分を持つよう空気の流れを著しく改善できると共に、ボス部前面に沿って流れる空気をボス部外周面側へ向って放射状にスムーズにガイドすることができるので、ボス部背面での回り込みも改善されて、消費馬力を抑えつつ高風量を得ることができる。また、ボス部からブレード裏面にわたって設ける前記ガイドベーンにより当該ボス部およびファンブレードが補強されるので、ボス部およびファンブレードの強度の向上にも有効である。したがって、本発明は、より品質的に優れた軸流ファンを実現でき、自動車機関等の冷却用として回転駆動する軸流型のエンジン冷却用ファンのみならず、各種動力機関の冷却用ファン等にも適用可能である。
本発明に係る軸流ファンの第1実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB−B線上の横断平面図である。 同じく本発明の第2実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB−B線上の横断平面図である。 同じく本発明の第3実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB−B線上の横断平面図である。 同じく本発明の第4実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB矢視図である。 同じく本発明の第5実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB矢視図である。 同じく本発明の第6実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB矢視図である。 同じく本発明の第7実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB−B線上の横断平面図である。 同じく本発明の第8実施例を示す三面図で、(a)は要部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図、(c)は(a)のB矢視図である。 本発明に係る軸流ファンのボス後端とファンブレード後縁およびガイドベーン後端の他の態様例を示す図8(c)相当図である。 従来の軸流ファンの一例を示し、(a)は一部正面図、(b)は(a)のA−A線上の縦断側面図である。 従来の軸流ファンの他の例を示し、(a)は一部正面図、(b)は(a)のB−B線上の縦断側面図である。 従来の軸流ファンの別の例を示し、(a)は一部正面図、(b)は(a)のC−C線上の縦断側面図である。
符号の説明
1 ボス部
1−1 ボス部前面
1−2 ボス後端
2 ファンブレード
2−1 ブレードの前縁
2−2 ブレードの後縁
2a〜2h ブレード付け根部
3、3a〜3h ガイドベーン
3−3 ガイドベーン後端
3−4、3−4´ 突出部
4 相手部材への取付け部材(インサート)

Claims (5)

  1. ボス部の外周面に放射状に延びる複数枚のファンブレードと前記ボス部前面に放射状に設けるガイドベーンを有する軸流ファンにおいて、前記ガイドベーンがファンブレードの付け根部付近の前縁から当該ブレードの裏面に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部がブレード後縁のほぼ中間部まで滑らかな曲面にて延長され、かつ該延長部はさらに前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成された構造となしていることを特徴とする軸流ファン。
  2. ボス部の外周面に放射状に延びる複数枚のファンブレードと前記ボス部前面に放射状に設けるガイドベーンを有する軸流ファンにおいて、前記ガイドベーンがファンブレードの付け根部付近の前縁から当該ブレードの裏面に該ブレードに沿うように回り込んでその先端部がブレード後縁の外周末端部まで滑らかな曲面にて延長され、かつ該延長部はさらに前記ボス部外周面に沿って風下側に向って軸方向に延びて当該ボス部外周面を覆うように形成された構造となしていることを特徴とする軸流ファン。
  3. 前記ガイドベーンは、各ファンブレードに対応して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の軸流ファン。
  4. 前記ガイドベーンは、前記ボス部と一体または別体であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の軸流ファン。
  5. 前記ガイドベーンは、前記ファンブレードの前縁部からボス部中心部に向ってガイド面が凸状の湾曲形状をしてなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の軸流ファン。
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