WO2008038696A1 - Method of assaying target substance in sample, aptamer molecule and method of constructing the same - Google Patents
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Definitions
- Patent Document 3 Japanese Patent Laid-Open No. 2003-294681
- Non-patent literature l Tuerk, C. and Gold (1990), Science, 249, 505-510
- a column or a filter as used in kumatography can be adopted.
- a sensor chip for SPR is commercially available as described above, biotin is bound to one end of the oligonucleotide, and the oligonucleotide is attached to the sensor chip by avidin-biotin binding. Can be immobilized.
- Non-Patent Document 3 it is not indispensable for maintaining the basic structure of each abutama. For example, a plurality of regions of about 3 to 5 mer are associated with each obtained aptamer. Randomly exchange (shuffle) between areas. Further, random single-base substitution is introduced into each region after shuffling. These shuffles and single base substitutions are introduced by computer. Then, an abutama having a new base sequence created by a computer is chemically synthesized to form a second nucleic acid library, which is attached to the above-described site.
- an aptamer having a base sequence in which one to several bases are substituted, deleted, inserted and / or added is provided.
- A-PrP and those that bind to -PrP can also be used as an alternative to anti-prion antibodies.
- the total number of substitutions, deletions, insertions and additions is 1 to several (up to 9), preferably 1 to 5.
- Substitution, deletion, insertion, and addition should be performed at or near the end of Abama, which is preferably performed at a portion not involved in binding to the target substance, at least at a portion other than the stem'loop portion. preferable. In particular, if it is a part other than the stem 'loop, deletion of one to several nucleotides at the end of the aptamer or addition of one to several nucleotides at the end will affect structure switching. It is thought not to.
- the single Abuta molecule having the structure switching property of the present invention can be used for measuring a target substance.
- the measurement of the target substance using one molecule of the abutama of the present invention can be performed as follows, for example.
- the target substance in the sample is brought into contact with the above-mentioned Abutama. This can be done by mixing and incubating the sample and a solution of Abutama.
- Incubation conditions are not particularly limited, but it is convenient and preferable to carry out at room temperature.
- the reaction time is not particularly limited, but is usually about 1 minute to 30 minutes, preferably about 10 minutes to 20 minutes.
- the mixed solution of the sample and Abutama is brought into contact with the above-described oligonucleotide immobilized on a solid phase.
- This can be performed by mixing and incubating the above-described carrier on which the oligonucleotide is immobilized and a mixed solution of the sample and the aptamer.
- the carrier may simply be passed through the column or filter.
- a complementary strand (CaDNA-3, SEQ ID NO: 6) of 9 bases (SEQ ID NO: 3) at the 5 ′ end of CaAp-3 was immobilized on a sensor chip for SPR. That is, the oligonucleotide having the nucleotide sequence shown in SEQ ID NO: 6 is bound to the 3 ′ end of the oligonucleotide, and avidin is immobilized on the surface using an avidin-biotin bond to the sensor chip for SPR. Immobilized to.
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Description
明 細 書
試料中の被検物質の測定方法並びにアブタマ一分子及びその作出方法 技術分野
[0001] 本発明は、試料中の被検物質の測定方法並びにアブタマ一分子及びその作出方 法に関する。
背景技術
[0002] 試料中のタンパク質等の被検物質の測定は、現在、主として免疫測定法により行な われている。免疫測定法としては様々な方法が知られており、実用化されているが、 いずれの方法においても、被検物質に対する特異抗体が用いられる。被検物質に対 する特異抗体の作出は常法により行なうことができる力 手間がかかり、このため特異 抗体は高価である。
[0003] 一方、任意の分子と特異的に結合する核酸分子であるアブタマ一が知られている。
所望の標的分子と特異的に結合するァプタマ一は、 SELEX (Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)と呼ばれる方法により作出可能である (非特許 文献 1)。この方法では、標的分子を担体に固定化し、これに膨大な種類のランダムな 塩基配列を有する核酸から成る核酸ライブラリを添加し、標的分子に結合する核酸を 回収し、これを PCRにより増幅して再び標的分子を固定化した担体に添加する。この 工程を 10回程度繰り返すことにより、標的分子に対して結合力の高いアブタマ一を 濃縮し、その塩基配歹 IJを決定して、標的分子を認識するアブタマ一を取得する。なお 、上記核酸ライブラリ一は、核酸の自動化学合成装置により、ランダムにヌクレオチド を結合していくことにより容易に調製可能である。このように、ランダムな塩基配列を 有する核酸ライブラリーを用いた、偶然を積極的に利用する方法により、任意の標的 物質と特異的に結合するアブタマ一を作出できる。また、アブタマ一は、通常、一本 鎖領域を有しており、標的物質と結合していない状態ではこの一本鎖領域に相補的 なオリゴヌクレオチドが該一本鎖領域にハイブリダィズすることができ、標的物質に結 合している状態では、ハイブリダィズすることができないァプタマ一を、 SELEXに修飾 を加えた方法により作出することも知られている(非特許文献 2)。
[0004] 特許文献 1:特開 2003-294679号公報
特許文献 2:特開 2003-294680号公報
特許文献 3:特開 2003-294681号公報
非特許文献 l : Tuerk, C. and Goldし(1990), Science, 249, 505-510
非特許文献 2 : Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 1061-1065
非特許文献 3 : Kazunori Ikebukuro et al., Nucleic Acids Research, 33(12), el08 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 本発明の目的は、被検物質に対する抗体を用いることなぐ試料中の被検物質を 特異的に測定することができる被検物質の測定方法を提供することである。
[0006] また、本発明の目的は、アブタマ一を用いた標的物質の測定に有用な、新たな性 質を有する新規アブタマ一分子及びその作出方法を提供することである。
課題を解決するための手段
[0007] 本願発明者らは、鋭意研究の結果、被検物質と結合している状態ではオリゴヌタレ ォチドとハイブリダィズできる力 S、被検物質と結合していない状態では、オリゴヌクレオ チドがハイブリダィズすることができないァプタマ一を利用し、該ァプタマ一を試料と 接触させ、被検物質と結合したアブタマ一を、該ァプタマ一とハイブリダィズする固定 化したオリゴヌクレオチドと接触させて固相に結合し、固相に結合したアブタマ一を測 定することにより試料中の被検物質を測定できることを見出し、本発明を完成した。
[0008] すなわち、本発明は、被検物質と結合する性質を有し、被検物質と結合している状 態では固相に固定化された固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする力 S、被検物 質と結合して!/、な!/、状態では前記固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズすること ができないアブタマ一と、試料中の被検物質と、前記オリゴヌクレオチドを固定化した 前記固相とを同時又は逐次的に接触させ、洗浄後、固相に結合されたアブタマ一を 測定することを含む、試料中の被検物質の測定方法を提供する。また、本発明は、 担体上に前記オリゴヌクレオチドを固定化して成る、上記本発明の方法を行なうため の固相を提供する。
[0009] また、本願発明者らは、鋭意研究の結果、標的物質と結合することができ、該標的
物質と結合した状態でオリゴヌクレオチドとハイブリダィズすることができるアブタマ一 分子に、オリゴヌクレオチドとハイブリダィズするハイブリダィズ領域を付加又は挿入し 、かつ、このハイブリダィズ領域として、その少なくとも一部分がァプタマ一の他の領 域と相補的な塩基配列を有するように設定することにより、標的物質の非存在下では 、前記ハイブリダィズ領域が分子内ハイブリダィゼーシヨンに供されて前記オリゴヌク レオチドとハイブリダィズできなくなり、一方、標的物質の存在下では、標的物質との 相互作用によって前記分子内ハイブリダィゼーシヨンがほどけて前記オリゴヌクレオ チドとハイブリダィズすることが可能になるアブタマ一分子を作出可能であることを見 し/し。
すなわち、本発明は、 1本の核酸から成り、標的物質と結合することができ、該標的 物質と結合した状態でオリゴヌクレオチドとハイブリダィズすることができるアブタマ一 分子であって、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする領域の少なくとも一部分が 、アブタマ一分子内の他の領域と相補的な塩基配列を有し、前記標的物質の非存 在下では、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする前記領域の前記少なくとも一 部分が、これと相補的な前記他の領域と分子内ハイブリダィズし、それによつて前記 オリゴヌクレオチドとのハイブリダィゼーシヨンが起きず、前記標的物質の存在下では
、前記分子内ハイブリダィゼーシヨンがほどけて前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィ ズする前記領域が露出し、それによつて前記オリゴヌクレオチドとのハイブリダィゼー シヨンが可能である、構造スィッチング性を有するアブタマ一分子を提供する。また、 本発明は、 1本の核酸から成り、標的物質と結合することができるアブタマ一分子に、 オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする領域を付加又は挿入した改変アブタマ一分子 を調製する工程と、得られた改変アブタマ一分子が、前記標的物質との結合能を維 持しており、かつ、前記標的物質と結合した状態で前記オリゴヌクレオチドとハイプリ ダイズすることができ、前期標的物質の非存在下では上記オリゴヌクレオチドとハイブ リダィズできないァプタマ一分子をスクリーニングする工程とを含むァプタマ一分子の 作出方法であって、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする領域の少なくとも一 部分が、アブタマ一分子内の他の領域と相補的な塩基配列を有し、前記標的物質の 非存在下では、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする前記領域の前記少なくと
も一部分が、これと相補的な前記他の領域と分子内ハイブリダィズし、それによつて 前記オリゴヌクレオチドとのハイブリダィゼーシヨンが起きず、前記標的物質の存在下 では、前記分子内ハイブリダィゼーシヨンがほどけて前記オリゴヌクレオチドとハイブリ ダイズする前記領域が露出し、それによつて前記オリゴヌクレオチドとのハイブリダィ ゼーシヨンが可能である、構造スイッチング性を有するァプタマ一分子の作出方法を 提供する。
発明の効果
[0011] 本発明により、被検物質に対する抗体を用いることなく被検物質を特異的に測定す ることができる新規な測定方法及びそのための固相が提供された。アブタマ一は、自 動化学合成装置を用いて作製できるので、特異抗体に比べてはるかに容易かつ安 価に調製することができる。このため、本発明により、種々の被検物質の特異的な測 定を従来よりも安価に行なうことが可能となる。従って、本発明は各種疾患の診断、 飲食品の品質検査、環境中の有害物質による汚染度の測定等、様々な分野におい て大いに貢献するものと考えられる。
[0012] また、本発明により、標的物質の存在下では所定の固定化オリゴヌクレオチドとハイ ブリダィズすることができ、標的物質の非存在下では該固定化オリゴヌクレオチドとハ イブリダィズすることができない構造スイッチング性を有するァプタマ一分子及びその 作出方法が初めて提供された。このような構造スイッチング性を有するアブタマ一分 子を利用すれば、高価な抗体を用いることなぐ周知の種々の免疫測定方法と同様 な方法で標的物質を測定することが可能になる。
発明を実施するための最良の形態
[0013] 本発明の方法により測定される被検物質は、それと特異的に結合するアブタマ一 が作製可能なものであれば何ら限定されるものではなぐ種々のタンパク質 (糖タンパ ク質ゃリポタンパク質等のタンパク複合体を包含する)、糖類(多糖類、少糖類及び単 糖類並びに糖脂質のような糖複合体を包含する)、脂質、核酸、低分子化合物等を 例示すること力 Sできる。上記の通り、アブタマ一は、 SELEXのような、偶然を積極的に 利用する方法により作出されるので、ほとんど全ての標的分子に対して、これと特異 的に結合するアブタマ一を作出することが可能である。下記実施例では、 α—へリツ
タス型のプリオン(正常型プリオン、 α -PrP)を被検物質としている力 上記の通り被 検物質はこれに限定されるものではなぐ好ましい具体例として、疾病のマーカー分 子となる、インシュリン、グルカゴンや、肝臓ガンマーカーとなる αフエトプロテイン、消 化器ガンマーカーである CEA、前立腺ガンマーカーの PSA、卵巣ガンマーカーの CA 125、勝臓ガンマーカーの CA19_9、各種感染症のマーカーとなる HIVウィルス抗体、 C型肝炎ウィルス抗体、 A型肝炎ウィルス抗体、 B型肝炎ウィルス抗体等を挙げること 力できる。なお、本発明において、「測定」には、定量、半定量及び検出が包含される
〇
[0014] 本発明の方法に用いるアブタマ一は、被検物質と結合する性質を有し、被検物質 と結合している状態では固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする力 S、被検物質 と結合してない状態では固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズすることができない アブタマ一である。なお、本発明の方法に用いるアブタマ一としては、後述する本発 明のァプタマ一分子が好ましいが、上記要件を満たすァプタマ一であれば、後述す る本発明のァプタマ一以外のァプタマ一であっても本発明の方法に用いることができ る。本発明の方法に用いるァプタマ一のサイズは特に限定されないが、通常、 30mer ないし lOOmer程度、好ましくは 50merないし 70mer程度である(merはヌクレオチド数を 示す)。また、ァプタマ一は、 DNAでも RNAでもよく、他の人工核酸でもよいが、化学 的に安定で自動化学合成も容易な DNAが好まし!/、。
[0015] 前記ァプタマ一は、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズした状態でループ状の 一本鎖領域を有することが好ましぐ該一本鎖領域の両端にそれぞれ隣接する領域 同士が二本鎖領域を形成していることが好ましい。アブタマ一は、多くの場合、このよ うないわゆる「ステム'ループ構造」を含むことが知られており、主として一本鎖のルー プ構造部分で被検物質と特異的に結合することも知られている。該一本鎖領域のサ ィズは特に限定されないが、通常、 8merから 25mer程度である。また、該一本鎖領域 の両端に隣接し、互いに二本鎖領域を形成する領域のサイズは、特に限定されない ヽ 2bpから 10bpであることが好ましい。なお、ァプタマ一の二次構造は、コンピュータ 一を用いた常法により、容易に決定することができる。なお、(アブタマ一の二次構造 の解析ソフトとしては、例えば、周知の Mfoldを利用することができ、このソフトは、 Mfo
Id web server. (URL: http://www.bioinfo.rpi.edu/applications/mfold/dna/)で無料で 使用できる。
[0016] 本発明に用いるアブタマ一は、後述する固相に結合したアブタマ一を容易に測定 できるように、標識されたものであることが好ましい。標識としては、免疫測定に常用さ れている周知の標識を採用することができ、例えば、酵素標識、蛍光標識、化学発光 標識、放射標識、金コロイド標識等を採用することができる。これらの標識は、ァプタ マーを作製後、常法によりアブタマ一に結合してもよいし、後述する SELEXによるァ プタマーの調製過程にぉレ、て行なわれる PCRのプライマーとして、末端 (増幅される ポリヌクレオチドの末端になる側の末端)に標識が結合されたプライマーを用いること によっても標識化されたアブタマ一を得ることができる。標識によってアブタマ一と被 検物質との特異的な結合が妨害されないように、標識はアブタマ一の一末端若しく はその近傍に結合することが好ましい。なお、アブタマ一を標識することにより、固相 に結合したアブタマ一を測定することが容易になるので好ましいが、下記実施例に記 載するように、表面プラズモン共鳴 (SPR)法によれば、ァプタマ一を標識しなくても固 相に結合したアブタマ一を測定することができるので、標識は必須的ではない。
[0017] 上記アブタマ一にハイブリダィズする、固定化オリゴヌクレオチドは、測定条件下( 後述)において、該ァプタマ一とハイブリダィズすることによりァプタマ一を固相に結 合できるオリゴヌクレオチドであれば特に限定されないが、アブタマ一中の少なくとも 連続する一部分に相補的であり、そのサイズ力 merから 25mer、さらに好ましくは 8me rから 25merである領域を含むものであることが好ましい。ァプタマ一が、被検物質と結 合している状態では固相に固定化された固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズす るが、被検物質と結合してレ、なレ、状態では前記固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダ ィズすることができない性質(以下、本発明において、「構造スイッチング性」ということ がある)を有することを達成するために、アブタマ一の塩基配列と固定化オリゴヌタレ ォチドの塩基配列の組合せを適切に設定することができる。これについては後で詳し 述べる。
[0018] 上記オリゴヌクレオチドは、固相に固定化して用いられる。すなわち、オリゴヌクレオ チドは、固体の担体に結合された状態で用いられる。オリゴヌクレオチドを固相に固
定化する方法自体は周知である。例えば、オリゴヌクレオチドの一端にビォチンを共 有結合させ、一方、担体にアビジンを固定化しておき、アビジンービォチン結合を介 してオリゴヌクレオチドを担体に結合することができるがこの方法に限定されるもので はなぐダルタルアルデヒド架橋法等により直接担体に共有結合してもよい。さらに、 DNAをよく吸着するナイロンやニトロセルロース等から成る膜等に物理吸着させること もできる。また、オリゴヌクレオチドは、直接担体に結合することも可能であるし、ビォ チンのような低分子化合物を介して担体に結合することも可能である。さらには、オリ ゴヌクレオチドは、スぺーサーを介して担体に結合することも可能である。例えば、固 定化すべきオリゴヌクレオチドを一端に含む、より長いオリゴヌクレオチドを調製し、固 定化すべきオリゴヌクレオチドと反対側の端部を上記したビォチン アビジン結合等 により担体に結合することもできる。この場合、担体に固定化した核酸のうち、上記固 定化すべきオリゴヌクレオチド以外のポリヌクレオチド部分は、単なるスぺーサ一とし て機能するので、その塩基配列やサイズは何ら限定されるものではない。なお、固相 として用いられる担体は、核酸の固定化に常用されて!/、るものをそのまま用いること ができる。例えば、アビジンを合成樹脂ゃァガロース等の高分子から成るビーズに固 定化したアビジンビーズは市販されて!/、るので、市販品をそのまま利用することがで きる。あるいは、ガラス、シリコン、合成樹脂製等の、市販されている DNAチップ用の 基板を用いることもできる。このような担体は、ビーズ状やプレート状のものの他に、ク 口マトグラフィ一に用いられるようなカラム状のものやフィルター状のものを採用するこ ともできる。あるいは、測定を SPRにより行う場合には、固相として SPR用のセンサーチ ップを用いること力 Sできる。この場合も、上記と同様、アビジン又はストレプトアビジン 等が固定化されたセンサーチップが市販されているので、オリゴヌクレオチドの一端 にビォチンを結合し、アビジンービォチン結合により、オリゴヌクレオチドをセンサー チップに固定化することができる。
本発明に用いるアブタマ一は、被検物質と結合している状態では前記固定化オリ ゴヌクレオチドとハイブリダィズするが、被検物質と結合してレ、な!/、状態では前記固定 化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズできないものである。すなわち、被検物質と結合 してレ、る状態と、結合してレ、なレ、状態とで上記アブタマ一の二次構造及び/又は三
次構造が変化し、その結果、被検物質と結合している状態では前記アブタマ一とオリ ゴヌクレオチドがハイブリダィズする力 S、被検物質と結合して!/、な!/、状態ではァプタマ 一とオリゴヌクレオチドがハイブリダィズすることができなくなるものである。
[0020] 任意の被検物質に結合することができる、このような構造スイッチングアブタマ一は 、先ず、上記 SELEX法又は後述するその変法により、被検物質と結合するアブタマ 一を作出し、次いで、得られたァプタマ一のうち、構造スイッチング性を有するものを スクリーニングすることにより作出すること力 Sできる。あるいは、上記 SELEX法又は後 述するその変法により、被検物質と結合するアブタマ一を作出し、次いで、得られた アブタマ一を、上記構造スイッチング性が発揮されるように意図的に改変し、改変し たアブタマ一が構造スイッチング性を有することをチェックすることにより作出すること 力できる。後者の方法の方が、所望の構造スイッチング性を有するアブタマ一を効率 的に得ることができ、用いる被検物質の量も少なくて済む (被検物質は、しばしば貴 重な生体物質であり、アブタマ一の作出に必要な被検物質の量が少ないことは有利 な特徴である)ので好ましい。アブタマ一の意図的な改変方法は後で詳述する。
[0021] いずれの場合も、先ず、 SELEX法又は後述するその変法により、被検物質と結合す るァプタマ一を作出する。ァプタマ一のサイズは、通常、 30mer〜100mer程度である ので、この程度のサイズのランダムな塩基配列を有する核酸のライブラリーを核酸自 動合成機により合成する。この場合、核酸の全長をランダムな塩基配列としてもよい 1S SELEXを実施する際の PCRを簡便にするために、核酸の両端部分は既知の塩基 配列としてもよい。この場合には、この既知配列の部分に PCRのプライマーをそれぞ れハイブリダィズさせることができる。核酸の両端部分に位置する、プライマーがハイ ブリダィズする領域のサイズは、特に限定されないが、通常、 lOmerから 25mer程度で ある。下記実施例では、配列番号 1の核酸ライブラリーを自動合成した。配列番号 1 中の「N」が任意の塩基であるので、膨大な数の種類の塩基配列を有する核酸のライ ブラリーが形成される。なお、プライマーがハイブリダィズする領域は、設けておけば 、後述する PCRの前にァプタマ一の塩基配列を決定する必要がなくなるのでァプタ マーの作製過程が単純化される力 S、アブタマ一の配列の自由度がその分小さくなる ので、設けなくてもよい。
[0022] 次に、被検物質を固相に固定化したものを準備し、上記の通り作製した核酸ライブ ラリーを、固定化被検物質と反応させる。被検物質の固定化は、ニトロセルロース膜、 ナイロン膜、ろ紙、ポリスチレン製のマイクロタイタープレートのゥエル等の固相に、単 に被検物質を物理吸着させたものでもよいし、被検物質がタンパク質の場合には、被 検物質のカルボキシル基やアミノ基等を利用して、担体に共有結合させたものでもよ い。前者が簡便である。核酸ライブラリーと被検物質との反応の条件は、実際の被検 物質の測定時と同じ条件を採用することが好ましいので、室温下で行なうことが簡便 で好ましい。反応時間は、特に限定されないが、通常、 1分間〜 30分間程度、好まし くは 10分間〜 20分間程度である。被検物質を作用させると、被検物質と結合するァ プタマ一は、固定化被検物質と結合して固相に固定化される。一方、被検物質と結 合しない核酸は、固相に結合されないので、洗浄により除去される。
[0023] 洗浄により、固相に結合されなかった核酸を除去した後、固定化被検物質と結合し たアブタマ一を溶離する。溶離は、例えば、固相を 6M〜8M程度の高濃度の尿素で 処理することにより行なうこと力 Sできる。溶離した核酸は、常法であるフエノール抽出 やフエノール'クロ口ホルム抽出とエタノール沈殿等により回収することができる。回収 されたアブタマ一は、いずれも固定化被検物質と結合したものである。
[0024] 次に、回収されたァプタマーを铸型として、 PCRを行い、ァプタマ一を増幅する。 自 動合成した核酸が、両端部分に上記したプライマー結合領域を有するものである場 合には、それらのプライマーを用いて PCRを行なう。このようなプライマー結合領域を 設けていない場合には、回収したアブタマ一の塩基配列を決定し、それらの両端部 分に相補的な一対の PCRプライマーをそれぞれ合成し、それらを用いて PCRを行なう 。非対称 PCR (PCRに用いる一対のプライマーのうちの一方を過剰量用いる)を行なう ことにより主として一本鎖の核酸を増幅することができる。あるいは、 PCRに用いる一 方のプライマーとして、ビォチン標識したプライマーを用い、増幅された二本鎖核酸 をアビジンビーズに結合させ、この状態で NaOH等により核酸を変性させ、ビーズから 分離した核酸を回収することにより、増幅された二本鎖核酸から一本鎖核酸 (ビォチ ン標識されていない方の鎖)を回収することができる。これにより、固定化被検物質と 結合するアブタマ一のみが増幅され、し力、も、固定化被検物質とよく結合するァプタ
マーは、 PCRの際に铸型となる分子が多数含まれるため、増幅核酸ライブラリーの中 に占める割合も多くなる。
[0025] 次に、増幅されたアブタマ一のライブラリーを上記した核酸ライブラリ一として用いて 、上記一連の工程、すなわち、固定化被検物質との反応、洗浄、アブタマ一の溶離と 回収、 PCRによる増幅、の工程から成るサイクルを数回から十数回程度繰り返す。こ れにより、被検物質とよく結合するアブタマ一が濃縮され、被検物質と高い結合能を 有するアブタマ一を得ることができる。
[0026] 本願発明者らは、先に、コンピューター内でァプタマ一を進化させる、 SELEXの改 良法を発明している(非特許文献 3)。上記した非特許文献 2に記載の方法に、非特 許文献 3記載のコンピューター内進化を適用することにより、所望のアブタマ一の作 出を効率化することが可能である。この方法は、後述する本発明のアブタマ一の作出 方法において詳述する。
[0027] また、本願発明者らは、通常の SELEXにおいて、被検物質との結合能がより高いァ プタマーを効率的に得ることができる SELEXの改良法を発明し、特許出願している( 特開 2007-14292)。この SELEX改良法により、所望の被検物質と高い特異性を持って 結合するアブタマ一を効率的に作出することができる。この方法については、本発明 のアブタマ一分子の作出方法にお!/、て説明する。
[0028] 次に、このようにして得られたァプタマ一について、構造スイッチング性を有するか 否かをチェックする。被検物質との結合性のランキングが 1位であったアブタマ一に っレ、てチェックし、構造スイッチング性を有さな!/、場合にはランキング 2位 (すなわち、 増幅後の核酸ライブラリ一中の割合が第 2位のもの)、ランキング 2位のものが構造ス イツチング性を有さない場合には第 3位のものをチェックしていき、構造スイッチング 性を有するものを見つけ出す。
[0029] もっとも、この方法は、効率が必ずしも高くはなぐ手間が掛かり、必要な被検物質 の量も多くなる可能性が少なくない。そこで、本願発明者らは、構造スイッチング性が 得られるように意図的にアブタマ一を改変する方法を考え出した。この方法について は、後述の本発明のアブタマ一分子の作出方法において説明する。
[0030] 上記した固定化オリゴヌクレオチド及びァプタマ一を用いて、本発明の方法は次の
ようにして実施すること力 Sできる。まず、試料中の被検物質と上記アブタマ一とを接触 させる。これは、試料とアブタマ一の溶液とを混合し、インキュベートすることにより行 なうこと力 Sできる。被検物質を定量する場合には、試料中の想定される被検物質量に 対して過剰量のアブタマ一を反応させ、全被検物質を標識アブタマ一に結合させる ことが好ましい。インキュベーションの条件は特に限定されないが、室温下で行なうこ とが簡便で好ましい。反応時間は、特に限定されないが、通常、 1分間〜 30分間程 度、好ましくは 10分間〜 20分間程度である。
[0031] 次に、試料とアブタマ一との混合溶液を、上記した固定化オリゴヌクレオチドと接触 させる。これは、上記したオリゴヌクレオチドを固定化した担体と、試料とァプタマ一と の混合溶液とを混合してインキュベートすることにより行なうことができる。あるいは、 オリゴヌクレオチドを固定化している担体がカラム状やフィルター状のものである場合 には、単にカラムやフィルターを通過させるだけでもよい。被検物質を定量する場合 には、固定化オリゴヌクレオチドの量は、測定に供される試料中の被検物質の想定さ れる量よりも過剰量 (すなわち、測定に供される試料中の被検物質の全量力 ァプタ マーを介して固定化オリゴヌクレオチドに結合できる量)であることが好ましい。インキ ュベーシヨンの条件は、ァプタマ一の作出時の SELEX変法において採用したのと同 様、室温下で行なうことが簡便で好ましぐまた、反応時間は、特に限定されないが、 通常、 1分間〜 30分間程度、好ましくは 10分間〜 20分間程度である。このインキュ ベーシヨン後、固相を洗浄し、固相に結合しなかったァプタマ一を除去する。なお、 S PRにより測定する場合には、 SPRはリアルタイムで結合を測定することができるので、 上記のインキュベーションは不要である。
[0032] 試料中に被検物質が含まれる場合、被検物質はアブタマ一と結合する。被検物質 と結合したアブタマ一は、上記の通り、固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズし、 固相に結合される。一方、被検物質と結合しなかったアブタマ一は、固定化オリゴヌ クレオチドとハイブリダィズすることができないので、洗浄により除去される。
[0033] 次の工程において、固相に結合したァプタマ一を測定する。上記の通り、固相に結 合したアブタマ一は、被検物質と結合したアブタマ一であるから、固相に結合したァ プタマーを測定することにより、試料中の被検物質を測定することができる。
[0034] 固相に結合したァプタマ一の測定は、例えば、下記実施例に記載したように SPRに より行なうこと力 Sできる。この場合、 SPR用のセンサーチップにオリゴヌクレオチドを固 定化したものを上記固相として用いて上記方法を行なうことができる。あるいは、上記 の通り、標識したアブタマ一を用い、固相に結合された標識を測定することによつても 固相に結合したアブタマ一を測定することができる。標識としては、上記の通り、免疫 測定にお!/、て常用されてレ、る!/、ずれの標識をも用いることができ、それらの測定も各 標識について周知の常法により行うことができる。例えば、標識が蛍光標識である場 合には、固相に結合した標識の蛍光強度を測定する。標識が化学発光標識や放射 標識の場合には、固相に結合した標識の発光強度や放射能の強度を測定する。標 識が酵素である場合には、酵素反応に必要な基質を加え、その酵素反応により生じ た生成物を測定する。電気化学反応を触媒する酵素の場合には、酵素の基質を添 加した溶液に作用電極、対向電極及び参照電極を浸漬し、作用電極と対向電極間 に生じる起電力を測定する。これは通常の酵素電極を用いた酵素反応の測定と同じ であり、常法により容易に行なうことができる。酵素反応生成物が着色物質である場 合には、反応溶液の吸光度を測定することにより生成物を測定することができる。ま た、固相に結合した標識を測定する際、遊離の状態で標識を測定したい場合には、 NaOH処理等により二本鎖 DNAを変性させること等により、ァプタマ一を固相から離 脱させてから標識を測定してもよ!/、。
[0035] なお、上記した方法では、試料と標識アブタマ一とを先ず混合し、この混合溶液を 固定化オリゴヌクレオチドと反応させたが、必ずしも試料と標識アブタマ一を先に混 合する必要はなぐ試料、標識アブタマ一及び固定化オリゴヌクレオチドの三者を同 時に反応させてもよいし、先に試料と固定化オリゴヌクレオチドを反応させ、次にアブ タマ一を反応させることも可能である。
[0036] 試料中の被検物質の定量を行なう場合には、検量線を作製しておき、測定された S PRのシグナル又は標識に由来するシグナルを測定し、それを検量線に当てはめるこ とにより試料中の被検物質の定量を行なうことができる。すなわち、異なる種々の既 知濃度の被検物質を含む複数の標準試料を準備し、これらについて上記方法を行 い、 SPRのシグナル又は固相に結合された標識に起因するシグナルを測定する。標
準試料中の被検物質の濃度を横軸、測定されたシグナルを縦軸にとって検量線を作 成する。未知の試料について、検量線作成時と同じ条件で測定を行い、測定結果を 上記検量線に当てはめることにより未知の試料中の被検物質を定量することができる
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[0037] また、上記の通り、本発明は、構造スイッチング性を有する新規なアブタマ一分子 及びその作出方法を提供する。この構造スイッチング性を有する新規なアブタマ一 分子は、上記した本発明の方法に用いることができる力 上記本発明の方法に利用 可能なアブタマ一は、このアブタマ一に限定されるものではない。以下、上記の説明 とかなり重複する力 構造スイッチング性を有する本発明の新規なアブタマ一分子及 びその作出方法にっレ、て説明する。
[0038] 本発明のアブタマ一分子が結合する標的物質は、それと特異的に結合する(すな わち、標的物質とは結合するが、標的物質とは構造がある程度異なる他の物質とは 結合しない)アブタマ一が作製可能なものであれば何ら限定されるものではなぐ上 記した本発明の方法の被検物質と同様である。
[0039] 本発明のアブタマ一分子は、標的物質と結合する性質を有し、標的物質と結合し てレ、る状態ではオリゴヌクレオチドとハイブリダィズする力 標的物質と結合してな!/ヽ 状態では固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズすることができない、一本の核酸 から成るアブタマ一分子である。本発明に用いるアブタマ一分子のサイズは特に限 定されないが、通常、 30merないし lOOmer程度、好ましくは 50merないし 70mer程度で ある(merはヌクレオチド数を示す)。また、ァプタマ一分子は、 DNAでも RNAでもよく、 他の人工核酸でもよ!/、が、化学的に安定で自動化学合成も容易な DNAが好まし!/、。 また、「一本の核酸から成る」とは、分子内ハイブリダィゼーシヨンの有無にかかわら ず一本の核酸から成るという意味であり、分子内の領域同士がハイブリダィズして部 分的に二本鎖になっているァプタマ一も「一本の核酸から成る」ァプタマ一に該当す る。また、標的物質との結合やオリゴヌクレオチドとのハイブリダィゼーシヨンは、室温 下、水又は PBS (界面活性剤を含んでいてもよい)のような水系緩衝液中で起きること が好ましい。
[0040] 前記ァプタマ一は、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズした状態でループ状の
一本鎖領域を有することが好ましぐ該一本鎖領域の両端にそれぞれ隣接する領域 同士が二本鎖領域を形成していることが好ましい。アブタマ一は、多くの場合、このよ うないわゆる「ステム'ループ構造」を含むことが知られており、主として一本鎖のルー プ構造部分で標的物質と特異的に結合することも知られている。該一本鎖領域のサ ィズは特に限定されないが、通常、 8merから 25mer程度である。また、該一本鎖領域 の両端に隣接し、互いに二本鎖領域を形成する領域のサイズは、特に限定されない ヽ 2bpから 10bpであることが好ましい。なお、ァプタマ一の二次構造は、コンピュータ 一を用いた常法により、容易に決定することができる。なお、(アブタマ一の二次構造 の解析ソフトとしては、例えば、周知の Mfoldを利用することができ、このソフトは、 Mfo Id web server. (URL: http://www.bioinro.rpi.edu/ applications/mfold/dna/)で無料で 使用できる。
[0041] 上記ァプタマ一にハイブリダィズする、オリゴヌクレオチドは、ァプタマ一を標的物質 の測定に供した場合の測定条件下(上述)において、該ァプタマ一とハイブリダィズ するオリゴヌクレオチドであれば特に限定されないが、アブタマ一中の少なくとも連続 する一部分に相補的であり、そのサイズ力 merから 25mer、さらに好ましくは 8merから 25merである領域を含むものであることが好ましい。ァプタマ一が、構造スイッチング 性を有することを達成するために、アブタマ一の塩基配列と前記オリゴヌクレオチドの 塩基配列の組合せを適切に設定することができる。これについては後で詳しく述べる
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[0042] 本発明のアブタマ一分子は、標的物質と結合している状態では前記オリゴヌクレオ チドとハイブリダィズするが、標的物質と結合してレ、な!/、状態では前記オリゴヌクレオ チドとハイブリダィズできないものである。すなわち、標的物質と結合している状態と、 結合して!/、な!/、状態とで上記アブタマ一の二次構造及び/又は三次構造が変化し 、その結果、標的物質と結合している状態では前記アブタマ一とオリゴヌクレオチドが ハイブリダィズする力 S、標的物質と結合して!/、な!/、状態ではァプタマ一とオリゴヌタレ ォチドがハイブリダィズすることができなくなるものである。
[0043] 任意の標的物質に結合することができる、このような構造スイッチングアブタマ一は 、先ず、上記 SELEX法又は後述するその変法により、標的物質と結合するアブタマ
一を作出し、次いで、得られたアブタマ一を、上記構造スィッチング性が発揮されるよ うに意図的に改変し、改変したアブタマ一が構造スイッチング性を有することを確認 することにより作出すること力 Sできる。アブタマ一のこの意図的な改変方法は後で詳 述する。
[0044] 本発明の構造スイッチング性を有するアブタマ一分子は、次のようにして作出する ことができる。先ず、 SELEX法又は後述するその変法により、標的物質と結合するァ プタマーを作出する。ァプタマ一のサイズは、通常、 30mer〜100mer程度であるので 、この程度のサイズのランダムな塩基配列を有する核酸のライブラリーを核酸自動合 成機により合成する。この場合、核酸の全長をランダムな塩基配列としてもよいが、 SE LEXを実施する際の PCRを簡便にするために、核酸の両端部分は既知の塩基配列と してもよい。この場合には、この既知配列の部分に PCRのプライマーをそれぞれハイ ブリダィズさせること力 Sできる。核酸の両端部分に位置する、プライマーがハイブリダ ィズする領域のサイズは、特に限定されないが、通常、 lOmerから 25mer程度である。 下記実施例では、配列番号 1の核酸ライブラリーを自動合成した。配列番号 1中の「N 」が任意の塩基であるので、膨大な数の種類の塩基配列を有する核酸のライブラリー が形成される。なお、プライマーがハイブリダィズする領域は、設けておけば、後述す る PCRの前にァプタマ一の塩基配列を決定する必要がなくなるのでァプタマ一の作 製過程が単純化されるが、アブタマ一の配列の自由度がその分小さくなるので、設け なくてもよい。
[0045] 次に、標的物質を固相に固定化したものを準備し、上記の通り作製した核酸ライブ ラリーを、固定化標的物質と反応させる。標的物質の固定化は、ニトロセルロース膜、 ナイロン膜、ろ紙、ポリスチレン製のマイクロタイタープレートのゥエル等の固相に、単 に標的物質を物理吸着させたものでもよいし、標的物質がタンパク質の場合には、標 的物質のカルボキシル基やアミノ基等を利用して、担体に共有結合させたものでもよ い。前者が簡便である。核酸ライブラリーと標的物質との反応の条件は、実際の標的 物質の測定時と同じ条件を採用することが好ましいので、室温下で行なうことが簡便 で好ましい。反応時間は、特に限定されないが、通常、 1分間〜 30分間程度、好まし くは 10分間〜 20分間程度である。標的物質を作用させると、標的物質と結合するァ
プタマ一は、固定化標的物質と結合して固相に固定化される。一方、標的物質と結 合しない核酸は、固相に結合されないので、洗浄により除去される。
[0046] 洗浄により、固相に結合されなかった核酸を除去した後、固定化標的物質と結合し たアブタマ一を溶離する。溶離は、例えば、固相を 6M〜8M程度の高濃度の尿素で 処理することにより行なうこと力 Sできる。溶離した核酸は、常法であるフエノール抽出 やフエノール'クロ口ホルム抽出とエタノール沈殿等により回収することができる。回収 されたァプタマ一は、いずれも固定化標的物質と結合したものである。
[0047] 次に、回収されたァプタマーを铸型として、 PCRを行い、ァプタマ一を増幅する。 自 動合成した核酸が、両端部分に上記したプライマー結合領域を有するものである場 合には、それらのプライマーを用いて PCRを行なう。このようなプライマー結合領域を 設けていない場合には、回収したアブタマ一の塩基配列を決定し、それらの両端部 分に相補的な一対の PCRプライマーをそれぞれ合成し、それらを用いて PCRを行なう 。非対称 PCR (PCRに用いる一対のプライマーのうちの一方を過剰量用いる)を行なう ことにより主として一本鎖の核酸を増幅することができる。あるいは、 PCRに用いる一 方のプライマーとして、ビォチン標識したプライマーを用い、増幅された二本鎖核酸 をアビジンビーズに結合させ、この状態で NaOH等により核酸を変性させ、ビーズから 分離した核酸を回収することにより、増幅された二本鎖核酸から一本鎖核酸 (ビォチ ン標識されていない方の鎖)を回収することができる。これにより、固定化標的物質と 結合するアブタマ一のみが増幅され、しかも、固定化標的物質とよく結合するァプタ マーは、 PCRの際に铸型となる分子が多数含まれるため、増幅核酸ライブラリーの中 に占める割合も多くなる。
[0048] 次に、増幅されたアブタマ一のライブラリーを上記した核酸ライブラリ一として用いて 、上記一連の工程、すなわち、固定化標的物質との反応、洗浄、アブタマ一の溶離と 回収、 PCRによる増幅、の工程から成るサイクルを数回から十数回程度繰り返す。こ れにより、標的物質とよく結合するアブタマ一が濃縮され、標的物質と高い結合能を 有するアブタマ一を得ることができる。
[0049] 本願発明者らは、先に、コンピューター内でァプタマ一を進化させる、 SELEXの改 良法を発明している(非特許文献 3)。上記した非特許文献 2に記載の方法に、非特
許文献 3記載のコンピューター内進化を適用することにより、所望のアブタマ一の作 出を効率化することが可能である。この方法では、上記 SELEXの 1サイクル目完了後 、得られたアブタマ一の塩基配列を決定すると共に、標的物質との結合能を測定し、 結合能の順序をつける。アブタマ一のこれまでの研究により、アブタマ一の基本構造 は 4つのタイプ、すなわち、ヘアピン型、バルジ型、シユードノット型及びグァニンカル テツト型の 4種類に分類されることがわかっており、どのような塩基配列を有するァプ タマ一がどの構造をとるのか及びその基本構造の維持に必要なヌクレオチドがどれ かということはコンピューターによる解析により容易にわかる。非特許文献 3記載のコ ンピューター内進化を利用する方法では、各アブタマ一の基本構造の維持に不可欠 ではない、例えば 3〜5mer程度の複数の領域を、得られた各ァプタマ一の対応する 各領域どうしの間でランダムに交換する(シャフル)する。そして、さらにシャフル後の 上記各領域に、ランダムな一塩基置換を導入する。これらのシャフル及び一塩基置 換の導入はコンピューターで行なう。そして、コンピュータ一により作出された新たな 塩基配列を有するアブタマ一を化学合成して第 2の核酸ライブラリ一とし、上記したサ イタルに付す。第 2の核酸ライブラリーを作製する際、結合能の順序の高かったアブ タマ一に由来する領域を有するアブタマ一の量を最も多くし、以下、順序が下がるに つれてその比率を少なくする。以上のように、コンピューター内でのシャフル及び一 塩基置換により人為的に変異を導入することにより、 SELEXによる進化の効率を高め ること力 Sでさる。
また、本願発明者らは、通常の SELEXにおいて、標的物質との結合能がより高いァ プタマーを効率的に得ることができる SELEXの改良法を発明し、特許出願している( 特開 2007-14292)。この SELEX改良法により、所望の標的物質と高い特異性を持って 結合するアブタマ一を効率的に作出することができる。特開 2007-14292に記載した S ELEX改良法では、通常の SELEXにおいて、所望の標的物質 (本発明における標的 物質)と核酸ライブラリ一中の核酸とを結合させる際に、非標的物質を固定化した担 体を共存させ、所望の標的物質と結合した核酸のみを回収し、 PCRにより増幅し、増 幅物から一本鎖核酸を取得し、これを核酸ライブラリ一として、標的物質を固定化し た領域に接触させ、固相に結合した核酸を回収し、同様に PCRで増幅し、一本鎖を
取得し、これを核酸ライブラリーとして再度、標的物質と非標的物質をそれぞれ固定 化した領域と接触させ、以下同様にサイクルを繰り返す方法である。この方法によれ ば、非標的物質や担体に結合するアブタマ一は淘汰され、標的物質に特異的に結 合するアブタマ一が濃縮されていくので、標的物質と特異的に結合するアブタマ一を 効率的に得ることができる。
[0051] 次に、このようにして得られたァプタマ一について、構造スイッチング性を有するよう に改変する。この改変は次のようにして行なう。
[0052] 先ず、得られたアブタマ一分子に対し、オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする領域
(以下、便宜的に「ノヽイブリダィズ領域」 )を付加又は挿入した改変アブタマ一分子を 調製する。ここで、前記ハイブリダィズ領域の少なくとも一部分は、アブタマ一分子内 の他の領域と相補的な塩基配列を有する。このため、前記標的物質の非存在下では 、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする前記領域の前記少なくとも一部分力 こ れと相補的な前記他の領域と分子内ハイブリダィズし、このため前記オリゴヌクレオチ ドとのハイブリダィゼーシヨンが起きない。一方、標的物質の存在下では、前記分子 内ハイブリダィゼーシヨンがほどけて前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする前記 領域が露出し、それによつて前記オリゴヌクレオチドとのハイブリダィゼーシヨンが可 能となるァプタマ一分子をスクリーニングする。なお、ここで、 「スクリーニング」という語 を用いているが、これは、標的物質の非存在下において、上記のような分子内ハイブ リダィゼーシヨンが起きるアブタマ一分子であっても、必ずしも構造スィッチング性を 有するとは限らないため、ある程度の数の異なるアブタマ一分子を作製し、その中か ら構造スイッチング性を有するものを選び出す必要がある場合も包含されるので、「ス クリーニング」と表現している。し力、しながら、本発明の作出方法は、構造スイッチング 性が得られるように意図的に改変するものであり、特に後述する好ましい態様で改変 を行なった場合には、力、なり高い確率で所望の構造スイッチングアブタマ一分子を作 出できる。このため、最初に作出したアブタマ一分子が所望の構造スイッチング性を 有している可能性も少なくなぐその場合には、最初に作出したアブタマ一分子が構 造スイッチング性を有して!/、ることを確認するだけの工程になる力 構造スイッチング 性を有しているか否かをチェックするァプタマ一分子がたとえ 1種類の場合でも、本
発明でいう「スクリーニング」に包含される。
[0053] 構造スイッチング性を有するアブタマ一分子が得られる可能性を高めるため、アブ タマ一分子は、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズした状態において、ループ状 の一本鎖領域を有し、該一本鎖領域の両端にそれぞれ隣接する領域同士が二本鎖 領域を形成しているものであることが好ましい。特に、前記固定化オリゴヌクレオチドと ハイブリダィズする領域の少なくとも一部と相補的な領域を、前記ループ中又は前記 ループと前記二本鎖領域に跨る部分に有するようにハイブリダィズ領域を設定するこ とが好ましい。さらには、前記ループ中又は前記ループと前記二本鎖領域に跨る部 分の、前記固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする領域の少なくとも一部と相 補的な領域のサイズを 3mer〜10merに設定することが好ましい。以上のようにハイブリ ダイズ領域を設定することにより、標的物質の非存在下における分子内ハイブリダィ ゼーシヨンにより、ループ部の二次元及び/又は三次元構造が変化する。一方、標 的物質の存在下では、標的物質とアブタマ一分子の相互作用により、構造変化した ループ部は、標的物質と特異的に結合可能な構造に戻って標的物質と結合した方 が化学的に安定である場合が多ぐ分子内ハイブリダィゼーシヨンをほどいて本来の ループ構造に戻って標的物質と結合する可能性がかなり高い。これが起きると、分子 内ハイブリダィゼーシヨンはほどかれ、ァプタマ一分子のループ部の構造が本来の構 造に戻り、従って、ハイブリダィズ領域は露出してオリゴヌクレオチドとハイブリダィゼ ーシヨンできるようになる可能性がかなり高い。すなわち、ハイブリダィズ領域を上記 のように設定することにより、所望の構造スィッチイング性を有するアブタマ一分子が 得られる可能性がかなり高くなる。
[0054] 上記の改変方法について、後述の実施例で作製したアブタマ一を参照して具体的 に説明する。
[0055] 先ず、上記の方法により得られた、標的物質と特異的に結合するアブタマ一の塩基 配列をシーケンサ一等により決定し、その二次構造をコンピュータ一により決定する。 下記実施例において作出したアブタマ一 (Clone 4-9と命名)の二次構造及び塩基配 歹 IJ (配列番号 2)を図 1に示す。上記の通り、アブタマ一の基本構造は 4つのタイプ、 すなわち、ヘアピン型、バルジ型、シユードノット型及びグァニンカルテット型の 4種類
に分類されることがわかっている。もちろん、典型的な形態以外に、例えば、ヘアピン (ステム'ループ構造)を複数含むもの等もある。いずれの型の場合も、一本鎖のルー プになる領域が含まれ、この一本鎖のループ部分が標的物質との結合に関与してレ、 ることもわ力、つている。 Clone 4-9は、図 1に示すように、大小 2個のステム'ループ構 造を有し、基本的にヘアピン型に分類される。
[0056] 標的物質との結合には、通常、一本鎖のループ部が関与していることがわかってい る。従って、ループ部の維持に不要と考えられる領域(例えば、ステム'ループ部のス テム部の端から 3塩基以上離れた一本鎖領域等)は、構造を単純化するために初め に削除してもよい。下記実施例では、 Clone 4-9の 5'側から lnt〜16nt (16ntは、 5'側 力、ら 16番目のヌクレオチドを示す、以下同様)の一本鎖領域を削除した。この領域を 削除しても、ステム'ループ構造が維持されることはコンピューターを用いた解析から もわかるし、結合実験によっても結合性が維持されることが確認された。
[0057] 上記の通り、標的物質との結合には、一本鎖のループ部が関与していることがわか つているので、本願発明者らが開発したアブタマ一の改変方法では、標的物質の非 存在下では、固定化オリゴヌクレオチドと結合する領域の少なくとも一部力 前記ル ープ部分中又はループ部とそれに隣接するステム部(二本鎖領域)に跨る部分と分 子内ハイブリダィズし、それによつて固定化オリゴヌクレオチドと結合できないようにす る。すなわち、ループ部分中又はループ部とそれに隣接するステム部(二本鎖領域) に跨る部分と、少なくとも一部が相補的な塩基配列を有する領域を、固定化オリゴヌ クレオチドとのハイブリダィズ領域として付加する。このハイブリダィズ領域は、例えば 、アブタマ一の 5'末端に付加することができる。下記実施例では、図 1に示すように、 Clone 4-9の lnt〜16ntを削除した後、削除後の 5'末端 (Clone 4-9の 17nt)に GTTCgg cac (配列番号 3)のハイブリダィズ領域を付加した(図 1中矢印で表示)。このハイプリ ダイズ領域は、固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズするものであるので、固定化 オリゴヌクレオチドは、配列番号 3で示す塩基配列の相補鎖になる。なお、固定化ォ リゴヌクレオチドとのハイブリダィズ領域のサイズは、通常、 4merから 25mer、好ましく は 8merから 25mer程度である。図 1に示すハイブリダィズ領域のうち、小文字で示した ggcacの部分は、 Clone4-9の 41ntから 45ntの領域(図 1中に矢印で示す)と相補的で
あり、この部分と分子内ハイブリダィズすることを意図している。大文字で示した GTT Cの部分は、小文字で示した ggcacの部分だけでは固定化 DNAとハイブリダィズする のに十分ではないと考え、分子内ハイブリダィズに関わらない配列として付加した。 分子内ハイブリダィズは、アブタマ一が標的物質と接触した場合に、ほどけて固定化 オリゴヌクレオチドとのハイブリダィズ領域が一本鎖になる必要があるので、余りに強 固なものは不適であり、サイズは通常、 3merから lOmer程度、好ましくは 4merから 6mer 程度である。
[0058] 以上のように設計したアブタマ一(「CaAp-3と命名」)(配列番号 7)は、標的物質(
a -PrP)の非存在下では、図 2に示す二次構造を有する(改変後のアブタマ一の二 次構造もコンピュータ一により解析することができる)。一方、標的物質と接触すると、 標的物質との相互作用により、上記した分子内ハイブリダィゼーシヨンがほどけ、図 1 に示すような二次構造を有するに至り、固定化オリゴヌクレオチドとのハイブリダィズ 領域が一本鎖になって露出し、固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズすることが 可能になる。
[0059] 次に、上記のように改変したアブタマ一力 実際に構造スイッチング性を有するか 否かを実験的にチェックする。これは、例えば、下記実施例に記載するように、次のよ うにして行なうことができる。先ず、 SPR用のセンサーチップ上に標的物質を固定化し 、これをアブタマ一溶液と接触させ、アブタマ一が標的物質との結合能を維持してい ることを確認する。次に、 SPR用のセンサーチップ上に上記固定化オリゴヌクレオチド を固定化し、アブタマ一を単独で含む溶液と、アブタマ一と標的物質との混合溶液を 、それぞれセンサーチップと接触させ、アブタマ一単独の場合には、アブタマ一が固 定化オリゴヌクレオチドと結合せず、アブタマ一と標的物質との混合溶液の場合には アブタマ一が固定化オリゴヌクレオチドに結合することを確認することにより行なうこと カできる。あるいは、 SPRに代えて、ァプタマ一を標識し、ァプタマ一の固相への結合 は、固相に結合された標識を測定することによつても行なうことができる。なお、チエツ クの結果、構造スイッチング性が得られな力、つた場合には、分子内ハイブリダィズ領 域を別の部位に変えたアブタマ一を合成し、上記と同様に実験的にチェックする。す なわち、構造スイッチング性を有するアブタマ一分子をスクリーニングする。
[0060] 上記方法により、配列番号 7で示す塩基配列を有し、 a -PrPを標的物質とし、構造 スイッチング性を有する CaAp-3が得られた。下記実施例に具体的に示すように、この 構造スイッチングァプタマ一は、 /3— PrPとも結合する。 a -PrPと /3— PrPは、立体構 造は異なる(前者は主として αヘリックス型、後者は主として /3シート型)力 アミノ酸 配列は完全に同一である。 a -PrPと /3— PrPの両者と結合するということは、両タンパ ク質の、同一のアミノ酸配列を有する比較的狭!、範囲の部分を標的として結合するも のと考えられ、 /3 -PrPに対しても上記した構造スイッチング性を発揮すると考えられる 。 a -PrPと /3— PrPの両者と結合するァプタマ一は、 /3— PrP、すなわち感染型(異常 型)のプリオンの測定に有用である。すなわち、 a -PrP、すなわち天然型(正常型)の プリオンは、セリンプロテアーゼで処理すると分解する力 β—PrPは分解しない。こ のため、プリオンを含む試料をセリンプロテアーゼで処理し、処理後の試料中にプリ オンが検出されれば、検出されたプリオンは感染型(異常型)であることがわかる。現 在、感染型 (異常型)及び天然型 (正常型)の両者に結合する抗体を用い、上記方法 により感染型(異常型)のみを検出する免疫測定キットが実用化されて!/、る。本発明 の CaAp-3を用いれば、このような免疫測定キットと同様なプリオン測定用キットを提 供すること力 Sできる。上記の通り、アブタマ一は、化学合成のみによって得ることがで き、煩雑な精製の必要もないので抗体よりもコスト的に有利である。さらに、サンドイツ チ ELISA等の、汎用されているサンドイッチ免疫測定法では、プリオンと抗原抗体反 応する 2種類の抗体が必要である力 ァプタマ一の場合には 1種類のァプタマ一と、 短い固定化オリゴヌクレオチドがあればよぐこの点でも免疫測定よりも有利である。
[0061] なお、配列番号 7で示される塩基配列において、 1個ないし数個の塩基が置換し、 欠失し、揷入され及び/又は付加された塩基配列を有するアブタマ一であって、 a - PrPに対して構造スィッチイング性を発揮するァプタマ一も CaAp-3と同様にプリオン の測定に用いることができる。この場合、置換、欠失、揷入及び付加の合計数は 1個 ないし数個(最大 9個)、好ましくは 1個ないし 5個である。置換、欠失、揷入及び付加 は、標的物質との結合に関与しない部分において行なわれることが好ましぐァプタ マーの末端又はその近傍、少なくとも、ステム'ループ部以外の部分で行なうことが好 ましい。特に、ステム'ループ部以外の部分であれば、ァプタマ一の末端の 1個〜数
個のヌクレオチドを欠失させたり、末端に 1個〜数個のヌクレオチドを付加しても構造 スイッチングには影響しなレ、と考えられる。
[0062] ちなみに、配列番号 2で示す塩基配列を有する Clone 4_9や、その 17nt_66nt断片 及び 19nt_66nt断片は、構造スイッチング性を有さないが、 a _PrP及び β _PrPの両者 と結合するものである。した力 Sつて、これらは、 a -PrP及び /3 -PrPの両者と抗原抗体 反応する抗体の代替物として利用可能である。アブタマ一は、化学合成のみにより合 成すること力 Sでき、精製の必要性がなぐ抗体よりも安価であるので、抗体をアブタマ 一で代替できれば有利である。また、上記と同様、配列番号 2で示す塩基配列にお いて、 1個ないし数個の塩基が置換し、欠失し、揷入され及び/又は付加された塩基 配列を有するァプタマ一であって、 a -PrP及び -PrPと結合するものも抗プリオン抗 体の代替物として利用可能である。この場合、上記と同様、置換、欠失、揷入及び付 加の合計数は 1個ないし数個(最大 9個)、好ましくは 1個ないし 5個である。置換、欠 失、揷入及び付加は、標的物質との結合に関与しない部分において行なわれること が好ましぐアブタマ一の末端又はその近傍、少なくとも、ステム'ループ部以外の部 分で行なうことが好ましい。特に、ステム'ループ部以外の部分であれば、ァプタマ一 の末端の 1個〜数個のヌクレオチドを欠失させたり、末端に 1個〜数個のヌクレオチド を付加しても構造スイッチングには影響しないと考えられる。
[0063] すなわち、(1)配列番号 2で示す塩基配列を有するアブタマ一、(2)配列番号 2の塩 基配列の 17nt〜66ntから成るァプタマ一、(3)配列番号 2の塩基配列の 19〜66ntから 成るアブタマ一、(4) 上記 (1)〜(3)の塩基配列において、 1個ないし数個の塩基が置 換し、欠失し、揷入され及び/又は付加された塩基配列を有するアブタマ一であつ て、 a -PrP及び β -PrPと結合するァプタマ一は、 a -PrP及び β -PrPの測定に用いる こと力 Sできる。上記のように、 a -PrPはセリンプロテアーゼにより分解されるので、セリ ンプロテアーゼ処理後の試料を測定に供すれば、セリンプロテアーゼにより分解され ない /3 -PrPのみを測定することができる。
[0064] 本発明の構造スイッチング性を有するアブタマ一分子は、標的物質の測定に用い ること力 Sできる。本発明のアブタマ一分子を用いた標的物質の測定は、上述の通り、 例えば、次のようにして fiうこと力 Sできる。
[0065] まず、試料中の標的物質と上記アブタマ一とを接触させる。これは、試料とアブタマ 一の溶液とを混合し、インキュベートすることにより行なうことができる。標的物質を定 量する場合には、試料中の想定される標的物質量に対して過剰量のアブタマ一を反 応させ、全標的物質を標識アブタマ一に結合させることが好ましい。インキュベーショ ンの条件は特に限定されないが、室温下で行なうことが簡便で好ましい。反応時間は 、特に限定されないが、通常、 1分間〜 30分間程度、好ましくは 10分間〜 20分間程 度である。
[0066] 次に、試料とアブタマ一との混合溶液を、固相に固定化した上記したオリゴヌクレオ チドと接触させる。これは、上記したオリゴヌクレオチドを固定化した担体と、試料とァ プタマーとの混合溶液とを混合してインキュベートすることにより行なうことができる。 あるいは、オリゴヌクレオチドを固定化して!/、る担体がカラム状やフィルター状のもの である場合には、単にカラムやフィルターを通過させるだけでもよい。標的物質を定 量する場合には、固定化オリゴヌクレオチドの量は、測定に供される試料中の標的物 質の想定される量よりも過剰量 (すなわち、測定に供される試料中の標的物質の全量
1S アブタマ一を介して固定化オリゴヌクレオチドに結合できる量)であることが好まし い。インキュベーションの条件は、ァプタマ一の作出時の SELEX変法において採用し たのと同様、室温下で行なうことが簡便で好ましぐまた、反応時間は、特に限定され ないが、通常、 1分間〜 30分間程度、好ましくは 10分間〜 20分間程度である。この インキュベーション後、固相を洗浄し、固相に結合しなかったァプタマ一を除去する。 なお、 SPRにより測定する場合には、 SPRはリアルタイムで結合を測定することができ るので、上記のインキュベーションは不要である。
[0067] なお、オリゴヌクレオチドを担体に固定化する方法は、周知であり、常法により行なう こと力 Sできる。例えば、オリゴヌクレオチドの一端にビォチンを共有結合させ、一方、 担体にアビジンを固定化しておき、アビジンービォチン結合を介してオリゴヌクレオチ ドを担体に結合することができるがこの方法に限定されるものではなぐダルタルアル デヒド架橋法等により直接担体に共有結合してもよい。さらに、 DNAをよく吸着するナ イロンゃニトロセルロース等から成る膜等に物理吸着させることもできる。また、オリゴ ヌクレオチドは、直接担体に結合することも可能であるし、ビォチンのような低分子化
合物を介して担体に結合することも可能である。さらには、オリゴヌクレオチドは、スぺ 一サーを介して担体に結合することも可能である。例えば、固定化すべきオリゴヌタレ ォチドを一端に含む、より長いオリゴヌクレオチドを調製し、固定化すべきオリゴヌタレ ォチドと反対側の端部を上記したビォチン アビジン結合等により担体に結合するこ ともできる。この場合、担体に固定化した核酸のうち、上記固定化すべきオリゴヌタレ ォチド以外のポリヌクレオチド部分は、単なるスぺーサ一として機能するので、その塩 基配列やサイズは何ら限定されるものではない。なお、固相として用いられる担体は 、核酸の固定化に常用されているものをそのまま用いることができる。例えば、ァビジ ンを合成樹脂ゃァガロース等の高分子から成るビーズに固定化したアビジンビーズ は市販されているので、市販品をそのまま利用することができる。あるいは、ガラス、 シリコン、合成樹脂製等の、市販されている DNAチップ用の基板を用いることもできる 。このような担体は、ビーズ状やプレート状のものの他に、クロマトグラフィーに用いら れるようなカラム状のものやフィルター状のものを採用することもできる。あるいは、測 定を SPRにより行う場合には、固相として SPR用のセンサーチップを用いることができ る。この場合も、上記と同様、アビジン又はストレプトアビジン等が固定化されたセン サーチップが市販されているので、オリゴヌクレオチドの一端にビォチンを結合し、ァ ビジンービォチン結合により、オリゴヌクレオチドをセンサーチップに固定化すること ができる。
[0068] 試料中に標的物質が含まれる場合、標的物質はアブタマ一と結合する。標的物質 と結合したアブタマ一は、上記の通り、固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズし、 固相に結合される。一方、標的物質と結合しなかったアブタマ一は、固定化オリゴヌ クレオチドとハイブリダィズすることができないので、洗浄により除去される。
[0069] 次の工程において、固相に結合したァプタマ一を測定する。上記の通り、固相に結 合したアブタマ一は、標的物質と結合したアブタマ一であるから、固相に結合したァ プタマーを測定することにより、試料中の標的物質を測定することができる。
[0070] 固相に結合したァプタマ一の測定は、例えば、下記実施例に記載したように SPRに より行なうこと力 Sできる。この場合、 SPR用のセンサーチップにオリゴヌクレオチドを固 定化したものを上記固相として用いて上記方法を行なうことができる。あるいは、上記
の通り、標識したアブタマ一を用い、固相に結合された標識を測定することによつても 固相に結合したアブタマ一を測定することができる。本発明のアブタマ一分子を標識 することにより、標的物質を周知の免疫測定と同様な手法で測定することができるよう になる。本発明は、本発明のアブタマ一分子を標識した標識アブタマ一分子をも提 供するものである。標識としては、免疫測定に常用されている周知の標識を採用する ことができ、例えば、酵素標識、蛍光標識、化学発光標識、放射標識、金コロイド標 識等を採用することができる。これらの標識は、アブタマ一を作製後、常法によりアブ タマ一に結合してもよいし、上記した SELEXによるァプタマ一の調製過程において行 なわれる PCRのプライマーとして、末端 (増幅されるポリヌクレオチドの末端になる側 の末端)に標識が結合されたプライマーを用いることによつても標識化されたアブタマ 一を得ることができる。標識によってアブタマ一と被検物質との特異的な結合が妨害 されないように、標識はアブタマ一の一末端若しくはその近傍に結合することが好ま しい。なお、アブタマ一を標識することにより、固相に結合したアブタマ一を測定する ことが容易になるので好ましいが、下記実施例に記載するように、表面プラズモン共 鳴 (SPR)法によれば、ァプタマ一を標識しなくても固相に結合したァプタマ一を測定 すること力 Sできるので、標識は必須的ではない。標識の測定も各標識について周知 の常法により行うことができる。例えば、標識が蛍光標識である場合には、固相に結 合した標識の蛍光強度を測定する。標識が化学発光標識や放射標識の場合には、 固相に結合した標識の発光強度や放射能の強度を測定する。標識が酵素である場 合には、酵素反応に必要な基質を加え、その酵素反応により生じた生成物を測定す る。電気化学反応を触媒する酵素の場合には、酵素の基質を添加した溶液に作用 電極、対向電極及び参照電極を浸漬し、作用電極と対向電極間に生じる起電力を 測定する。これは通常の酵素電極を用いた酵素反応の測定と同じであり、常法により 容易に行なうことができる。酵素反応生成物が着色物質である場合には、反応溶液 の吸光度を測定することにより生成物を測定することができる。また、固相に結合した 標識を測定する際、遊離の状態で標識を測定したい場合には、 NaOH処理等により 二本鎖 DNAを変性させること等により、アブタマ一を固相から離脱させてから標識を 測定してもよい。
[0071] なお、上記した方法では、試料と標識アブタマ一とを先ず混合し、この混合溶液を 固定化オリゴヌクレオチドと反応させたが、必ずしも試料と標識アブタマ一を先に混 合する必要はなぐ試料、標識アブタマ一及び固定化オリゴヌクレオチドの三者を同 時に反応させてもよいし、先に試料と固定化オリゴヌクレオチドを反応させ、次にアブ タマ一を反応させることも可能である。
[0072] 試料中の標的物質の定量を行なう場合には、検量線を作製しておき、測定された S PRのシグナル又は標識に由来するシグナルを測定し、それを検量線に当てはめるこ とにより試料中の標的物質の定量を行なうことができる。すなわち、異なる種々の既 知濃度の標的物質を含む複数の標準試料を準備し、これらについて上記方法を行 い、 SPRのシグナル又は固相に結合された標識に起因するシグナルを測定する。標 準試料中の標的物質の濃度を横軸、測定されたシグナルを縦軸にとって検量線を作 成する。未知の試料について、検量線作成時と同じ条件で測定を行い、測定結果を 上記検量線に当てはめることにより未知の試料中の標的物質を定量することができる
〇
[0073] 以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実 施例に限定されるものではない。
実施例 1
[0074] 1. α -PrP結合性ァプタマ一の作出
特開 2007-14292に記載した、 SELEXの変法により、 a -PrP結合性ァプタマ一を次 のようにして作出した。
[0075] (1) すなわち、先ず、配列番号 1に示す塩基配列を有する DNAを自動 DNA合成機に より化学合成した。配列番号 1中の「N」は、任意のヌクレオチドであり、自動 DNA合成 機により、配列番号 1中の連続する Nで表される領域がランダムな塩基配列を有する 一本鎖 DNAのライブラリーを構築した。一本鎖 DNAを結合バッファ(10mM Tris-HCl 、 ρΗ7·4、 lOOmM KC1)で lnmol/100 1に調製し、 95°Cで 3分間加熱した後、 30分間 で室温の 25°Cまで徐冷することにより、フォールデイングさせた。調製した一本鎖 DN A溶液を結合バッファで 3000 1に希釈し、蛋白質を固定化した
[0076] (2) ニトロセスルース膜上に、 α — PrPと、転写タンパク質の 1種である Zif268とを別々
の部位に物理吸着させた。このニトロセルロース膜を、 (1)で調製した DNAランダムラ イブラリーの溶液(総 DNA濃度: 1ラウンドでは 500 nM、 2ラウンドでは 40 nM、 3ラウンド では 20 nM、 4ラウンドでは 5 nM)と共に室温で 1時間インキュベートした。この時の溶 液のバッファ一としては、 PBS_T(0.05% Tween20 (商品名)を含む PBS)を用いた(以下 の!/、ずれの操作にお!/、ても特に断りがない限り緩衝液は PBS-Tを用いた)。インキュ ベーシヨン後、溶液を捨て、ニトロセルロース膜をさらに数回 PBS-Tで洗浄した。
[0077] (3) 次に、ニトロセルロース膜上の α -PrPに 7M尿素溶液を作用させて、結合してい た DNAを溶出させた。これを常法に従いフエノール'クロ口ホルム抽出及びエタノール 沈殿により DNAを回収した。
[0078] (4) 回収した DNAを铸型とし、配列番号 1の「n」以外の各領域と相補的な塩基配列を 有する一対のプライマーを用いて、 PCR (40サイクノレ、 94°C、 34秒で変性、 46°C、 3 0秒でアニーリング、 72°C、 30秒で伸長反応)を行い、 DNAを増幅した。得られた増 幅二本鎖 DNAをアビジン固定化ビーズに添加し、 0.15M NaOHで溶出することによ り一本鎖 DNAを調製した。
[0079] 増幅した一本鎖 DNAライブラリーを铸型として用いて上記 (2)〜(4)のサイクルを 4回 繰り返した。その結果、最もよく増幅された、すなわち、最も良く α — PrPに結合したァ プタマ一として、配列番号 2に示す塩基配列を有するアブタマ一が得られた。このァ プタマーを Clone 4-9と命名した。
[0080] 2. Clone 4-9及びその断片のキャラクタリゼーシヨン
Clone 4-9 (配列番号 2)の二次構造をコンピューター(解析ソフト: Mfold, URL: http: //www.bioinfo. rpi.edu/applications/mfold/dna/) ίこ J:り角早ネ; Tした。 ; ¾を HI 1 ίこ す。 ステム'ループ構造を有するァプタマ一の場合、通常、ループ部が標的物質との結 合に関与していることが知られている。従って、 5'側から 1個目のステム'ループ構造 の根元の部分から 3塩基上流の 18ntよりも上流の部分は、 a _PrPとの結合に関与し ていないことが推測された。このため、 Clone 4-9の lnt〜18ntを欠失させたァプタマ 一を自動 DNA合成機により合成した。このァプタマ一を「Clone 4-9(19-66)」と命名し た。また、 1個目のステム'ループ構造よりも下流の部分(すなわち、 Clone 4-9の 47nt 〜66nt)をさらに欠失させたァプタマ一も合成した。このァプタマ一を「Clone 4-9(19-4
6)」と命名した。
[0081] Clone 4-9、 Clone 4-9(19-66)及び Clone 4-9(19-46)の、 a -PrPとの結合能を SPRに より測定した。すなわち、センサーチップ CM5 (BIACORE社製商品名、金薄膜表面に カルボキシメチルデキストランが固定化されたチップ)に a -PrPを、そのアミノ基を介 して共有結合させることにより固定化した。 2 Mの Clone 4_9を 95°Cで熱処理した後 、 30分かけて 25°Cまで徐々に冷却することにより Clone 4-9のフォールディングを行 なった。 SPRは、 BIACORE社製の BIACORE Xを用いた。ランニングバッファ一は、 PB S、再生化は 0.05% SDSで行なった。約 10000RU (レゾナンスユニット)の α -PrPを固定 化したセンサーチップに、種々の濃度の Clone 4-9溶液を 50 Lインジェタトし、相互 作用を室温下で測定した。測定は流速 10 ^ L/minで行い、 PBSバッファー (pH 7.0)を 用いて行なった。また、上記した Clone 4-9 (19-66)および Clone 4-9 (19-46)につい ても同様に実験を行なった。ただし、流速 20 し/½ で行なった。
[0082] 結果を図 3に示す。図 3に示されるように、 Clone 4-9 (19-66)については、 Clone 4- 9とほぼ同等のシグナルが得られ、 Clone 4-9 (19-66)が a -PrPと結合することが確認 された。ただし、僅かな結合能の低下が見られた。 Clone 4-9の 19_66ntのステム'ル ープ構造の両末端には、酉 S列 TT(17_18ntと 47_48nt)がある。ステム'ループ構造の 両末端にある配歹 IJTTはそのステムループ構造を安定化する事がある。このため、 Clo ne 4-9 (19_66)の僅かな結合能の低下は酉己列 TTの削除のためだと考え、所望の構 造スイッチング性を有するァプタマ一の策出には、酉己列 ΤΤを残した Clone 4-9 (17-66 )を改変することで行なった。
[0083] 3. ァプタマ一の改変
Clone 4-9 (17-66)を、上記の通り改変した。すなわち、図 1に示すように、 Clone 4- 9 (17-66)の 5'末端に配列番号 3で示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを付 カロした DNAを合成した。配列番号 3で示される塩基配列を有する付加領域は、固定 化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする領域であり、固定化オリゴヌクレオチドは、こ の領域の相補鎖である。配列番号 3で示される塩基配列のうち、 3'側の ggcacは、図 1 中に矢印で示す、 Clone 4-9の 41nt〜45ntと相補的であり、 α -PrPの非存在下にお いてこの領域と分子内ハイブリダィゼーシヨンする(図 2参照)。上記のとおり、この改
変により得られたアブタマ一を CaAp-3と命名し、その塩基配列は配列番号 7に示さ れている。
[0084] 同様に、配列番号 4に示す塩基配列を有する CaAp-1及び配列番号 5に示す塩基 配列を有する CaAp-2を合成した。 CaAp-1及び CaAp-2とも、 5'末端に付加した領域 の 3'側の 6塩基、すなわち、 acagaaが、図 1に示す Clone 4-9の 27nt〜32nt及び 37nt 〜42ntの相補鎖になって!/、るものである (Clone 4-9の 27nt〜32nt及び 37nt〜42ntは 共に ttctgt)。これらの場合も、 α -PrPの非存在下では、分子内ハイブリダィゼーシヨン により、 5'側から 1個目のループが壊れるように設計されている。
[0085] 4. ァプタマ一の結合能の測定
合成した 3種類のァプタマ一のそれぞれについて、上記 2と同様にして SPRにより、 a -PrPとの結合能を測定した。結果を図 4に示す。
[0086] 図 4に示すように、合成した 3種類のァプタマ一は、いずれも、濃度依存的に SPR強 度(平衡レゾナンスユニット (RU))が増大しており、 a -PrPとの結合能を有していること がわかる。特に、 CaAp-3は、改変前の Clone 4_9と同等以上の結合能を有しており、 a -PrPとの結合親和性が 3種類のァプタマ一の中で最も高かった。一方、 CaAp-1及 び CaAp-2は、 a -PrPとの結合親和性が改変前の Clone 4_9に比べてかなり低下して おり、これらの 3種の中では CaAp-3が最も優れている。なお、 CaAp-3の結果より作製 したスキャッチヤード 'プロットから Kd = 116 nMが得られた。
[0087] 5. CaAp-3を用いた a -PrPの定量
CaAp-3の 5'末端の 9塩基(配列番号 3)の相補鎖(CaDNA-3、配列番号 6)を、 SPR 用のセンサーチップに固定化した。すなわち、配列番号 6に示す塩基配列を有する オリゴヌクレオチドの 3'末端にビォチンを結合し、表面にアビジンを固定化した SPR用 センサーチップにアビジンービォチン結合を利用してオリゴヌクレオチドをセンサー チップに固定化した。
[0088] 0.1 Mの CaAp-3と、 0〜1.00 Mの範囲の種々の濃度の a -PrPを含む複数の標 準溶液を調製した。これらをそれぞれインジェ外し、室温下で相互作用を測定した。 測定は流速 20 ^ L/minで行い、 PBSバッファー (pH 7.0)を用いて行なった。
[0089] 結果を図 5に示す。図 5に示されるように、平衡 RUの値は、濃度依存的に増大して
おり、上記方法により α -PrPが定量可能であることがわ力、る。
実施例 2
[0090] CaAp-3を用いた ELISAによる a -PrPの定量
固定化 DNAとして CaDNA-3 (配列番号 6)の 5'端に 11 merのチミンオリゴ DNAをスぺ ーサ一として揷入した、ビォチン修飾した CaDNA-3-l lTを用いた。 0.1 M CaDNA- 3-1 IT ( 100 L)をストレプトアビジンコートプレートに固定化した後、 1%スキムミルクで ブロッキングした。種々の濃度の a -PrPまたは BSAを 0.1 μ M CaAp-3 (終濃度)と混 合し、室温で 30分間インキュベートした。このインキュベート試料 100 しを、 DNA固定 化プレートに添加し、室温で 2時間インキュベートした。インキュベート後、 200〃 L P BS-T (0.05% tween20 (商品名))で 4回洗浄を行ない、蛍光測定を行なった。なお、試 料調製にも PBS-Tを用いた。
[0091] 蛍光測定の結果を図 6に示す。 a -PrPの濃度依存的に蛍光強度が変化していた。
一方、対照の BSAの場合には、濃度に応じて蛍光強度は変化しな力、つた。このこと力、 ら、このプレートアツセィにより、標的分子を定量できる事が示された。
[0092] なお、補足として CaDNA-3の代わりに 20 merのチミンオリゴ DNAを用いて同様に行 なった対照実験の結果を図 7に示す。図 7で示されるように 20T-DNAを用いた場合 は高い蛍光強度は観察されず、 CaAp-3と CaDNA-3の a -PrPへの非特異結合が起 きて!/、な!/、ことが確認された。
実施例 3
[0093] ゲルシフトアツセィによる CaAp-3の構造変化の確認
CaAp-3と CaDNA-3は 5'端に FITC標識した物を用いた。 a -PrPと CaAp-3を混合し 室温で 15分間以上静置した後、 CaDNA-3を加えさらに室温で 15分間以上静置した 。試料調製には 150 mM NaCl, 20 mMリン酸バッファーを用い、試料は終濃度 4 M a -PrP, 400 nM CaAp-3, 400 nM CaDNA-3で混合した。調製した混合試料を用い てポリアクリルアミドゲル電気泳動を行ない、得られたゲルの蛍光スキャンを行なった 。対照実験として、各試料の代わりに試料調製用 bufferを混合し、同様の実験を行な つた。電気泳動は PhastSystem (GEヘルスケアサイエンス)で行い、 8-25%グラジェント ゲルを用いた。
[0094] ゲルシフトアツセィの結果を図 8に示す。図 8中、黒いバンドが FITCの蛍光を示して いる。ゲルシフトイメージの上部に混合した各試料を示した。 白文字の "+ "は DNAが F ITC非標識であること示す。 CaAp-3のみを示すレーン 1のバンドに対し、レーン 2では CaAp-3と a _PrPの複合体によるバンドのシフトが観察された。このレーン 2の混合試 料に対しさらに CaDNA-3を加えたレーン 6の混合試料は、レーン 2とほぼ同程度のバ ンドのシフトが観察された。し力、し、レーン 7と 8の対照実験から、このレーン 6で見られ るバンドが a _PrP、 CaAp-3、 CaDNA-3の 3種類の試料で構成されていることが示され た。したがって、このゲルシフトアツセィの結果は CaAp-3が α -PrP認識により構造変 化し、これに伴い CaDNA-3とハイブリダィズすることを支持している。なお、レーン 2と レーン 6、 7、 8のバンドのシフトに差が観察されなかったのは、 CaDNA-3が 9塩基から なる小さなオリゴ DNAのためだと考えられる。
図面の簡単な説明
[0095] [図 1]本発明の実施例 1で得られた、 α -PrPに結合するァプタマ一である Clone 4-9 の塩基配列及び二次構造並びにその改変方法を示す図である。
[図 2]本発明の実施例 1で合成した、構造スイッチング性を有する、 α -PrP結合性ァ プタマーの α -PrPの非存在下における二次構造を示す図である。
[図 3]Clone 4_9及びその断片と a -PrPとの、 SPRによる結合試験の結果を示す図で ある。
[図 4]本発明の実施例 1で合成した 3種類のァプタマ一及び Clone 4-9と a -PrPとの、 SPRによる結合試験の結果を示す図である。
[図 5]本発明の実施例 1で合成したアブタマ一 CaAp-3をアブタマ一として用いた本発 明の方法により、種々の濃度の a -PrPを SPRで測定した結果を示す。
[図 6]実施例 2で行った、ァプタマ一 CaAp-3をァプタマ一として用いた本発明の方法 に従い、種々の濃度の a -PrPを ELISAと同様な方法で測定した結果を示す。
[図 7]実施例 2の対照実験で行った、アブタマ一 CaAp-3をアブタマ一として用い、固 定化オリゴヌクレオチドとして、ァプタマ一 CaAp-3と相補性を有さない 20 merのチミン オリゴ DNAを用いた結果を示す。
[図 8]実施例 3で行った、アブタマ一 CaAp-3を用いたゲルシフトアツセィの結果を示
す図である。
Claims
[1] 被検物質と結合する性質を有し、被検物質と結合している状態では固相に固定化 された固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする力 S、被検物質と結合していない 状態では前記固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズすることができないアブタマ 一と、試料中の被検物質と、前記オリゴヌクレオチドを固定化した前記固相とを同時 又は逐次的に接触させ、洗浄後、固相に結合されたアブタマ一を測定することを含 む、試料中の被検物質の測定方法。
[2] 前記ァプタマ一が標識されており、固相に結合されたァプタマ一の測定は、該標識 を測定することにより行われる請求項 1記載の方法。
[3] 前記アブタマ一は、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズした状態にお!/、て、ル ープ状の一本鎖領域を有し、該一本鎖領域の両端にそれぞれ隣接する領域同士が 二本鎖領域を形成している請求項 1又は 2記載の方法。
[4] 前記ァプタマ一は、前記固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする領域の少な くとも一部と相補的な領域を、前記ループ中又は前記ループと前記二本鎖領域に跨 る部分に有する請求項 3記載の方法。
[5] 前記ループ中又は前記ループと前記二本鎖領域に跨る部分の、前記固定化オリゴ ヌクレオチドとハイブリダィズする領域の少なくとも一部と相補的な領域のサイズが 3m er〜 lOmerである請求項 4記載の方法。
[6] 前記アブタマ一と前記被検物質とを混合した後、該混合物を前記固相に接触させ ることを含む請求項 1ないし 5のいずれか 1項に記載の方法。
[7] 担体上に前記オリゴヌクレオチドを固定化して成る、請求項 1ないし 6のいずれか 1 項に記載の方法を行なうための固相。
[8] 1本の核酸から成り、標的物質と結合することができ、該標的物質と結合した状態で オリゴヌクレオチドとハイブリダィズすることができるァプタマ一分子であって、前記ォ リゴヌクレオチドとハイブリダィズする領域の少なくとも一部分力 S、ァプタマ一分子内の 他の領域と相補的な塩基配列を有し、前記標的物質の非存在下では、前記オリゴヌ クレオチドとハイブリダィズする前記領域の前記少なくとも一部分力 S、これと相補的な 前記他の領域と分子内ハイブリダィズし、それによつて前記オリゴヌクレオチドとのハ
イブリダィゼーシヨンが起きず、前記標的物質の存在下では、前記分子内ハイブリダ ィゼーシヨンがほどけて前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする前記領域が露出 し、それによつて前記オリゴヌクレオチドとのハイブリダィゼーシヨンが可能である、構 造スイッチング性を有するアブタマ一分子。
[9] 前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズした状態において、ループ状の一本鎖領域 を有し、該一本鎖領域の両端にそれぞれ隣接する領域同士が二本鎖領域を形成し てレ、る請求項 8記載のアブタマ一分子。
[10] 前記ァプタマ一は、前記固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする領域の少な くとも一部と相補的な領域を、前記ループ中又は前記ループと前記二本鎖領域に跨 る部分に有する請求項 9記載のアブタマ一分子。
[11] 前記ループ中又は前記ループと前記二本鎖領域に跨る部分の、前記固定化オリゴ ヌクレオチドとハイブリダィズする領域の少なくとも一部と相補的な領域のサイズが 3m er〜10merである請求項 10記載のァプタマ一分子。
[12] 標的物質が α型プリオンタンパク質であり、 /3型プリオンタンパク質とも結合する請 求項 1 1記載のアブタマ一分子。
[13] 配列番号 7で示される塩基配列又は該塩基配列において、 1個ないし数個の塩基 が置換し、欠失し、揷入され及び/又は付加された塩基配列を有する請求項 12記 載のアブタマ一分子。
[14] 配列番号 7で示される塩基配列を有する請求項 13記載のアブタマ一分子。
[15] 請求項 8ないし 14のいずれ力、 1項に記載のァプタマ一分子を標識して成る標識ァ プタマー分子。
[16] 1本の核酸から成り、標的物質と結合することができるアブタマ一分子に、オリゴヌク レオチドとハイブリダィズする領域を付加又は挿入した改変アブタマ一分子を調製す る工程と、得られた改変アブタマ一分子が、前記標的物質との結合能を維持しており 、かつ、前記標的物質と結合した状態で前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする こと力 Sでき、前期標的物質の非存在下では上記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズで きないことアブタマ一分子をスクリーニングする工程とを含むアブタマ一分子の作出 方法であって、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする領域の少なくとも一部分が
、アブタマ一分子内の他の領域と相補的な塩基配列を有し、前記標的物質の非存 在下では、前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする前記領域の前記少なくとも一 部分が、これと相補的な前記他の領域と分子内ハイブリダィズし、それによつて前記 オリゴヌクレオチドとのハイブリダィゼーシヨンが起きず、前記標的物質の存在下では
、前記分子内ハイブリダィゼーシヨンがほどけて前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィ ズする前記領域が露出し、それによつて前記オリゴヌクレオチドとのハイブリダィゼー シヨンが可能である、構造スイッチング性を有するアブタマ一分子の作出方法。
[17] 前記オリゴヌクレオチドとハイブリダィズした状態において、ループ状の一本鎖領域 を有し、該一本鎖領域の両端にそれぞれ隣接する領域同士が二本鎖領域を形成し ている請求項 16記載の方法。
[18] 前記ァプタマ一は、前記固定化オリゴヌクレオチドとハイブリダィズする領域の少な くとも一部と相補的な領域を、前記ループ中又は前記ループと前記二本鎖領域に跨 る部分に有する請求項 17記載の方法。
[19] 前記ループ中又は前記ループと前記二本鎖領域に跨る部分の、前記固定化オリゴ ヌクレオチドとハイブリダィズする領域の少なくとも一部と相補的な領域のサイズが 3m er〜 lOmerである請求項 18記載の方法。
[20] 請求項 15ないし 19のいずれ力、 1項に記載の方法により作出されたァプタマ一分子 を化学合成又は遺伝子工学的に生産することを含む、アブタマ一の生産方法。
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