明 細 書
シロキサン化合物を含有するポジ型感光性樹脂組成物
技術分野
[0001] 本発明は、ポジ型感光性榭脂組成物及びそれから得られる硬化膜に関する。より 詳しくは、パターン表面に高い撥水性を有し、膜中にサイズ制御可能な空孔を作製 可能なポジ型感光性榭脂組成物及びその硬化膜、並びに該硬化膜を用いた各種材 料に関するものである。さらに本発明は、 UV—オゾン等の処理後にあっても高い撥 水性と高い撥油性を表面に有する画像を形成できるポジ型感光性榭脂組成物及び その硬化膜、並びに該硬化膜を用いた各種材料にも関する。上記本発明のポジ型 感光性榭脂組成物は特に液晶ディスプレイや ELディスプレイにおける層間絶縁膜、 インクジェット方式に対応した遮光材料や隔壁材料として用いるのに好適である。 背景技術
[0002] 一般に、薄膜トランジスタ(TFT)型液晶表示素子、有機 EL (electroluminescent )素子等のディスプレイ素子においては、パターンが形成された電極保護膜、平坦ィ匕 膜、絶縁膜等が設けられている。これらの膜を形成する材料としては、感光性榭脂組 成物の中でも、必要とする画像を得るための工程数が少なくしかも十分な平坦性を 有するという特徴を持つところの感光性榭脂組成物が、従来から幅広く使用されてい る。
[0003] また、ディスプレイ表示素子の作製工程にぉ 、てインクジェットを用いたフルカラー 表示基板作製技術も近年活発に検討されて ヽる。たとえば液晶表示素子における力 ラーフィルター作製に関しては、従来の印刷法、電着法、染色法または顔料分散法 に対して、あら力じめパターユングされた画素を規定する区画 (以下バンクと 、う)を、 光を遮断する感光性榭脂層で形成し、このバンクに囲まれた開口部内にインク滴を 滴下するカラーフィルターおよびその製造方法 (例えば、特許文献 1、特許文献 2及 び特許文献 3参照。)などが提案されている。また有機 EL表示素子においてもあらか じめバンクを作製し、同様に発光層となるインクを滴下し、有機 EL表示素子を作製す る方法 (例えば、特許文献 4参照。)が提案されている。
[0004] しかしインクジェット法でバンクに囲まれたインク滴を滴下する場合、バンクを超えて 隣の画素にインク滴が溢れる事態を防ぐため、基板には親インク性 (親水性)を持た せ、バンク表面には撥水性を持たせる必要がある。
[0005] 上記の目的を達成するため、酸素ガスプラズマ処理及びフッ素ガスプラズマ処理な どの連続的プラズマ (オゾン)処理により、基板に親水性を持たせ、且つバンクには撥 水性を持たせることができると提案されている (例えば、特許文献 5参照)が、工程が 煩雑である。また、感光性有機薄膜にフッ素系界面活性剤やフッ素系ポリマーを配 合した提案もなされている (例えば、特許文献 6参照)が、相溶性や添加量など、感光 性のみならず塗膜性も含めて考慮すべき点が多ぐ実用的とは言い難力つた。
[0006] そして、上述のこれらの膜には撥水性の他、低誘電率、耐熱性、耐溶剤性などのプ ロセス耐性に優れていること、下地との密着性が良好であること、使用目的に合わせ た様々なプロセス条件で画像を形成し得る広 、プロセスマージンを有すること、加え て、高感度且つ高透明性であること並びに現像後の膜ムラが少な 、こと等の諸特性 が要求される。そこで、斯カる要求特性の点から、従来、上記の感光性榭脂組成物と しては、ナフトキノンジアジドィ匕合物を含む樹脂が汎用されてきた。
[0007] ところで、斯カる感光性榭脂材料の要求特性にぉ 、て、特に重要な特性の一つと して、感度が挙げられる。感度の向上は、ディスプレイ素子等の工業的な生産におい て、その生産時間の大幅な短縮を可能にするため、液晶ディスプレイの需要量が著 しく増大している現在の状況にあっては、感度は、この種の感光性榭脂材料に要求 される最も重要な特性の一つとなって 、る。
[0008] そこで、これまでにも、感光性榭脂材料の高感度化を目的として幾つかの開発がな されている。例えば、アルカリ可溶性榭脂と特定のポリヒドロキシィ匕合物及びその誘導 体の少なくとも何れかを含有する感放射線性榭脂組成物が提案されて ヽる(例えば、 特許文献 7参照)。
[0009] 一方、高感度、高解像度の感光性材料として従来、化学増幅型レジストが開発され ている。半導体用レジストとして開発されてきた従来の化学増幅型レジストは、 i線より も短波長の光源 (KrF、 ArF)にも適応することができ、より微細な画像形成が可能で あるが、膜硬化に用いるような高温の下では、またレジスト剥離液の存在下では、保
護基の結合部やエーテル結合の熱架橋部が容易に分解してしま!ヽ、耐熱性及び耐 薬品性が著しく低ぐ永久膜として利用することは殆ど不可能であった (例えば、特許 文献 8参照)。また、熱硬化を可能とするために、エポキシ類ゃァミノプラスト類の架橋 系をィ匕学増幅型レジストに導入しょうとしても、露光によりレジスト中の光酸発生剤 (P AG)力 発生した酸の影響により、露光部の架橋が進行し、未露光部との溶解コント ラストが消失するなどの問題が新たに生じるため、斯カる架橋系の化学増幅型レジス トへの導入は困難であった。
特許文献 1:特開平 10— 206627号公報
特許文献 2:特開平 11― 326625号公報
特許文献 3:特開平 2000— 187111号公報
特許文献 4:特開平 11 54270号公報
特許文献 5:特開 2000— 353594号公報
特許文献 6 :特開平 10— 197715号公報
特許文献 7:特開平 4 - 211255号公報
特許文献 8 :米国特許第 5075199号明細書
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、その解決しょうとする課題は、 液晶表示素子、有機 EL表示素子等に使用されるパターン状絶縁性膜を形成するた めの材料や画素間隔壁材料として好適な感光性榭脂組成物、具体的には、 UV- オゾン等の処理後もパターン表面に高い撥水性さらには高い撥油性を有し、高い精 度、高 ヽスループットで容易にパターンを形成することができるポジ型感光性榭脂組 成物を提供することにある。
[0011] また、本発明は、斯様なポジ型感光性榭脂組成物を用いて得られる硬化膜であつ て、インクジェットを用いた基板作製において、バンクを超えて隣の画素にインク滴が 溢れる事態を防ぐことができる硬化膜、並びに、斯様な硬化膜を用いて作られる各種 の素子 ·材料を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、本発明を見出 すに至った。
すなわち本発明は、第 1観点として、下記 (A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分 、 (E)成分及び (F)溶剤を含有するポジ型感光性榭脂組成物、
(A)成分:(C)成分の化合物との間で熱架橋反応をなしうるための官能基、並びに、 (D)成分の化合物との間で熱硬化反応をなしうる膜硬化のための官能基を有し、且 つ、数平均分子量が 2, 000乃至 30, 000であるアルカリ可溶性榭脂
(B)成分:数平均分子量が 100乃至 2, 000であるシロキサン化合物
(C)成分: 1分子中二個以上のビニルエーテル基を有する化合物
(D)成分: 1分子中二個以上のブロックイソシァネート基を有する化合物
(E)成分:光酸発生剤
(F)溶剤
第 2観点として、前記熱架橋反応をなしうるための官能基は、カルボキシル基及び フエノール性ヒドロキシ基の群力も選ばれる少なくとも一種であり、また前記膜硬化の ための官能基は、フエノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有す るァミノ基の群力 選ばれる少なくとも一種である、第 1観点に記載のポジ型感光性 榭脂組成物、
第 3観点として、 (B)成分がフッ素変性シロキサンィ匕合物であることを特徴とする第 1観点又は第 2観点に記載のポジ型感光性榭脂組成物。
第 4観点として、(B)成分が、式(1)で表される繰り返し単位を有するシロキサンィ匕 合物であることを特徴とする、第 1観点又は第 2観点に記載のポジ型感光性榭脂組 成物。
[0013] [化 1]
[0014] (式中、 R1及び R2はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はフエニル基であり 、 ρは正の整数を表す。 )
第 5観点として、(B)成分が、前記式(1)において R1及び/又は R2がフルォロアル キル基を表すシロキサンィ匕合物であることを特徴とする、第 4観点に記載のポジ型感 光性榭脂組成物。
第 6観点として、(B)成分が、エポキシ基を持たないシロキサンィ匕合物であることを 特徴とする第 1観点乃至第 5観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性榭脂組 成物。
第 7観点として、(Α)成分 100質量部に基づいて、 0. 1乃至 30質量部の(Β)成分、 1乃至 80質量部の(C)成分、 1乃至 80質量部の(D)成分、及び、 0. 5乃至 80質量 部の (Ε)成分を含有する、第 1観点乃至第 6観点のうちいずれか一項に記載のポジ 型感光性榭脂組成物。
第 8観点として、 (Β)成分力フッ素変性シロキサンィ匕合物であるポジ型感光性榭脂 組成物において、(G)成分として、(Α)成分以外のフッ素系アルカリ可溶性榭脂を更 に (Α)成分 100質量部に基づいて 0. 1質量部乃至 20質量部含有する、第 1観点乃 至第 7観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性榭脂組成物。
第 9観点として、(Η)成分として、ァミン化合物を更に (Α)成分 100質量部に基づ いて 0. 001乃至 5質量部含有する、第 1観点乃至第 8観点のうちいずれか一項に記 載のポジ型感光性榭脂組成物。
第 10観点として、(I)成分として、界面活性剤を更にポジ型感光性榭脂組成物中に 0. 2質量%以下含有する、第 1観点乃至第 9観点のうちいずれか一項に記載のポジ 型感光性榭脂組成物。
第 11観点として、第 1観点乃至第 10観点のうちいずれか一項に記載のポジ型感光 性榭脂組成物を用いて得られる硬化膜。
第 12観点として、第 11観点に記載の硬化膜を有する有機 EL表示素子用隔壁材。 第 13観点として、第 11観点に記載の硬化膜を有する液晶表示素子。
第 14観点として、第 11観点に記載の硬化膜からなる液晶ディスプレイ用アレイ平 坦化膜。
第 15観点として、第 11観点に記載の硬化膜からなる層間絶縁膜。
発明の効果
[0015] 本発明のポジ型感光性榭脂組成物は、高い保存安定性を有するとともに高感度で あり、液晶表示素子、有機 EL表示素子等に使用されるパターン状絶縁性膜を形成 するための材料や画素間隔壁材料として好適である。
[0016] そして本発明のポジ型感光性榭脂組成物は、 (B)成分としてシロキサン化合物を 用いることにより、パターン表面に高い撥水性を有し、オゾン処理後もその撥水性が 大きく低下しない絶縁性のパターンを、高い精度、高いスループットで容易に形成す ることができ、また、パターン内部にサブミクロンの空孔を形成することができる。
[0017] また本発明のポジ型感光性榭脂組成物は、(B)成分として特にフッ素変性シロキサ ン化合物を用いることにより、長時間のオゾン処理後もパターン表面に有する高い撥 水性及び高い撥油性が大きく低下しない絶縁性のパターンを、高い精度、高いスル 一プットで容易に形成することができる。
[0018] また、本発明の上記ポジ型感光性榭脂組成物を用いて得られる硬化膜は、インク ジェットを用いた基板作製において、バンクを超えて隣の画素にインク滴が溢れる事 態を防ぐことができ、さらに、斯様な硬化膜を用いて作られる各種の素子'材料を提 供することができる。
発明を実施するための最良の形態
[0019] 本発明のポジ型感光性榭脂組成物は、(A)成分のアルカリ可溶性榭脂、(B)成分 のシロキサンィ匕合物、(C)成分のビニルエーテル基を有する化合物、(D)成分のブ ロックイソシァネート基を有する化合物、 (E)成分の光酸発生剤及び (F)溶剤を含有 し、且つ、それぞれ所望により、(G)成分の他のアルカリ可溶性榭脂、さら〖こは後述 する (H)成分のァミン化合物または (I)成分の界面活性剤を含有する組成物である。 以下、各成分の詳細を説明する。
[0020] < (A)成分 >
(A)成分は、榭脂の構造中に、(C)成分のビニルエーテル基を有する化合物との 間で熱架橋反応をなしうるための官能基、並びに、(D)成分のブロックイソシァネート 基を有する化合物との間で熱硬化反応をなしうる膜硬化のための官能基を有し、且 つ、ポリスチレン換算の数平均分子量 (以下、数平均分子量と称す。)が 2, 000乃至 30, 000であるアルカリ可溶性榭脂である。
[0021] 熱架橋反応をなしうるための官能基は、高められた温度の下 (C)成分の化合物中 のビュルエーテル基と反応して、(C)成分の化合物との間で熱架橋をなし、レジスト 膜を形成しうる基であり、その代表的な官能基は、カルボキシル基及びフエノール性 ヒドロキシ基の群力 選ばれる少なくとも一種である。
[0022] また、膜硬化のための官能基は、上記の (A)成分及び (C)成分から形成された熱 架橋体において (露光部にあっては、熱架橋体が更に解離した脱架橋体において) 、より高められた温度の下、(D)成分の化合物との間でブロック部分が解離したイソシ ァネート基を介して架橋反応をなし、膜を硬化せしめうる基であり、その代表的な官 能基は、フエノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基 の群力も選ばれる少なくとも一種である。ここで、活性水素を有するァミノ基とは、反 応により水素を放出しうる 1級又は 2級のアミノ基を意味する。従って、アミド基は、活 性水素を持たな 、ので、活性水素を有するァミノ基に該当しな 、。
[0023] (A)成分の榭脂は、斯カる構造を有するアルカリ可溶性榭脂であればよぐ榭脂を 構成する高分子の主鎖の骨格及び側鎖の種類などについて特に限定されない。
[0024] 然しながら、(A)成分の榭脂は、数平均分子量が 2, 000乃至 30, 000の範囲内に あるものである。数平均分子量が 30, 000を超えて過大なものであると、現像残渣が 発生し易くなり、感度が大きく低下する一方、数平均分子量が 2, 000未満で過小な ものであると、現像の際、未露光部の膜減りが相当量発生し、硬化不足になる場合が ある。
[0025] (A)成分のアルカリ可溶性榭脂としては、例えばアクリル系榭脂、ポリヒドロキシスチ レン系榭脂等が挙げられる。特に、アクリル系榭脂は、透明性が高いので、より好まし い。
[0026] また、本発明においては、複数種のモノマーを重合して得られる共重合体 (以下、 特定共重合体と称す。 )力 なるアルカリ可溶性榭脂を (A)成分として用いることもで きる。この場合、(A)成分のアルカリ可溶性榭脂は、複数種の特定共重合体のプレン ド物であってもよい。
[0027] すなわち、上記の特定共重合体は、熱架橋反応をなしうるための官能基を有する モノマー、即ちカルボキシル基及びフエノール性ヒドロキシ基のうち少なくとも一方を
有するモノマーの群力 適宜選ばれる少なくとも一種のモノマーと、膜硬化のための 官能基を有するモノマー、即ちフエノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性 水素を有するァミノ基のうち少なくとも一方を有するモノマーの群力 適宜選ばれる 少なくとも一種のモノマーとを、必須の構成単位として形成された共重合体であって
、その数平均分子量力 000乃至 30, 000のものである。
[0028] 上記の「カルボキシル基及びフ ノール性ヒドロキシ基のうち少なくとも一方を有す るモノマー」には、カルボキシル基を有するモノマー、フエノール性ヒドロキシ基を有 するモノマー、ならびに、カルボキシル基及びフエノール性ヒドロキシ基の両方を有す るモノマーが含まれる。これらのモノマーは、カルボキシル基又はフエノール性ヒドロ キシ基を一個有するものに限らず、複数個有するものでもよい。
[0029] また上記の「フエノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するァ ミノ基のうち少なくとも一方を有するモノマー」には、フエノール性ヒドロキシ基以外のヒ ドロキシ基を有するモノマー、活性水素を有するアミノ基を有するモノマー、ならびに 、フエノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するァミノ基の両方 を有するモノマーが含まれる。これらのモノマーは、フエノール性ヒドロキシ基以外のヒ ドロキシ基又は活性水素を有するアミノ基を一個有するものに限らず、複数個有する ものでもよい。
[0030] 以下、上記モノマーの具体例を挙げる力 これらに限定されるものでない。
[0031] カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロト ン酸、モノー(2—(アタリロイルォキシ)ェチル)フタレート、モノー(2—(メタクリロイル ォキシ)ェチル)フタレート、 N- (カルボキシフエ-ル)マレイミド、 N— (カルボキシフ ェ -ル)メタクリルアミド、 N— (カルボキシフエ-ル)アクリルアミド等が挙げられる。
[0032] フエノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシスチレン、 N (ヒドロキシフエ-ル)アクリルアミド、 N— (ヒドロキシフエ-ル)メタクリルアミド、 N— ( ヒドロキシフエ-ル)マレイミド等が挙げられる。
[0033] フエノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、 2 ーヒドロキシェチルアタリレート、 2 ヒドロキシプロピルアタリレート、 5—アタリロイルォ キシ一 6 ヒドロキシノルボルネン 2 カルボキシリック 6—ラタトン、 2 ヒドロキシ
ェチルメタタリレート、 2 ヒドロキシプロピルメタタリレート、 5—メタクリロイルォキシー 6 ヒドロキシノルボルネンー 2 カルボキシリック 6 ラタトン等が挙げられる。
[0034] さらに、活性水素を有するアミノ基を有するモノマーとしては、 2 アミノエチルアタリ レート、 2—アミノメチルメタタリレート等が挙げられる。
[0035] また、特定共重合体は、熱架橋反応をなしうるための官能基を有するモノマー及び 膜硬化のための官能基を有するモノマー以外のモノマー(以下、その他モノマーと称 す。 )をも構成単位として形成された共重合体であってもよ ヽ。
[0036] その他モノマーは、具体的には、カルボキシル基及びフエノール性ヒドロキシ基のう ちの少なくとも一方を有するモノマー、並びに、フエノール性ヒドロキシ基以外のヒドロ キシ基及び活性水素を有するァミノ基のうちの少なくとも一方を有するモノマーと共 重合することが可能なものであればよぐ(A)成分の特性を損ねない限り、特に限定 されるものでない。
[0037] その他モノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステ ル化合物、マレイミドィ匕合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及 びビニルイ匕合物等が挙げられる。
[0038] アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアタリレート、ェチルアタリレート 、イソプロピルアタリレート、ベンジルアタリレート、ナフチルアタリレート、アントリルァク リレート、アントリルメチルアタリレート、フエ-ルアタリレート、 2, 2, 2—トリフルォロェ チルアタリレート、 tert ブチルアタリレート、シクロへキシルアタリレート、イソボル- ルアタリレート、 2—メトキシェチルアタリレート、メトキシトリエチレングリコールアタリレ ート、 2 エトキシェチルアタリレート、テトラヒドロフルフリルアタリレート、 3—メトキシ ブチルアタリレート、 2—メチル 2—ァダマンチルアタリレート、 2—プロピル一 2—ァ ダマンチルアタリレート、 8—メチル 8—トリシクロデシルアタリレート、及び、 8—ェチ ル— 8—トリシクロデシルアタリレート等が挙げられる。
[0039] メタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタタリレート、ェチルメタクリレ ート、イソプロピノレメタタリレート、ベンジノレメタタリレート、ナフチノレメタタリレート、アント リノレメタタリレート、アントリルメチルメタタリレート、フエ-ルメタタリレート、 2, 2, 2—トリ フルォロェチルメタタリレート、 tert ブチルメタタリレート、シクロへキシルメタクリレー
ト、イソボル-ルメタタリレート、 2—メトキシェチルメタタリレート、メトキシトリエチレング リコールメタタリレート、 2—エトキシェチルメタタリレート、テトラヒドロフルフリルメタタリ レート、 3—メトキシブチルメタタリレート、 2—メチルー 2—ァダマンチルメタタリレート、 2 -プロピル一 2 -ァダマンチルメタタリレート、 8—メチルー 8 -トリシクロデシルメタク リレート、及び、 8—ェチル—8—トリシクロデシルメタタリレート等が挙げられる。
[0040] ビュル化合物としては、例えば、メチルビ-ルエーテル、ベンジルビ-ルエーテル、 2—ヒドロキシェチルビ-ルエーテル、フエ-ルビ-ルエーテル、及び、プロピルビ- ルエーテル等が挙げられる。
[0041] スチレン化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモ スチレン等が挙げられる。
[0042] マレイミド化合物としては、例えば、マレイミド、 N—メチルマレイミド、 N—フエ-ルマ レイミド、及び N—シクロへキシルマレイミド等が挙げられる。
[0043] 本発明に用いる特定共重合体を得る方法は特に限定されな 、が、例えば、カルボ キシル基およびフエノール性ヒドロキシ基のうち少なくとも一方を有するモノマーの群 力 適宜選ばれる少なくとも一種のモノマーと、フエノール性ヒドロキシ基以外のヒドロ キシ基及び活性水素を有するァミノ基のうち少なくとも一方を有するモノマーの群か ら適宜選ばれる少なくとも一種のモノマーと、所望により上記モノマー以外のモノマー と、所望により重合開始剤等を溶剤中において、 50乃至 110°Cの温度下で重合反 応させること〖こより、得られる。その際、用いられる溶剤は、特定共重合体を構成する モノマー及び特定共重合体を溶解するものであれば特に限定されな 、。具体例とし ては、後述する (F)溶剤に記載する溶剤が挙げられる。
[0044] このようにして得られる特定共重合体は、通常、この特定共重合体が溶剤に溶解し た溶液の状態である。
[0045] また、上記のようにして得られた特定共重合体の溶液を、ジェチルエーテルや水等 の撹拌下に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過 '洗浄した後、常圧又は減 圧下で、常温あるいは加熱乾燥することで、特定共重合体の粉体とすることができる 。このような操作により、特定共重合体と共存する重合開始剤や未反応モノマーを除 去することができ、その結果、精製した特定共重合体の粉体を得られる。一度の操作
で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解して、上記の操作を繰 り返し行えば良い。
[0046] 本発明においては、特定共重合体の粉体をそのまま用いても良ぐあるいはその粉 体を、たとえば後述する (F)溶剤に再溶解して溶液の状態として用いても良い。
[0047] < (B)成分 >
本発明の(B)成分は、数平均分子量が 100乃至 2, 000のシロキサン化合物である 。ここで言うところのシロキサンィ匕合物とは、オルガノシロキサン化合物及びその一部 が水素原子ゃヒドロキシ基で置換されたィ匕合物並びにこれらの変性物をさす。
[0048] この(B)成分であるシロキサンィ匕合物は、本発明のポジ型感光性榭脂組成物から 硬化膜 (パターン形成膜)を形成する過程で行う一連の加熱処理工程、すなわち、( A)成分と (C)成分の架橋反応のための加熱処理、露光後加熱処理、そして (D)成 分との架橋反応のための加熱処理にぉ 、て、パターン表面に滲み出る特性を有する ものであることが好ましい。
[0049] このようなシロキサン化合物としては、例えば、直鎖状シロキサン化合物、分岐構造 を有するシロキサンィ匕合物、環状シロキサンィ匕合物及びこれらの共重合体が挙げら れる。また、これらのシロキサンィ匕合物を、アルコキシ変性、ポリエーテル変性、フッ素 変性、メチルスチリル変性、高級脂肪酸ヱステル変性、親水性特殊変性、高級アルコ キシ変性等の非反応性基で変性したシロキサンィ匕合物、及び、ァミノ変性、エポキシ 変性、カルボキシ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フエノー ル変性等の反応性基で変性したシロキサンィ匕合物等を挙げることができる。
[0050] これらの具体例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルェチルシロキサン、ポリ メチルフエニルシロキサン、ポリメチルヒドロキシシロキサン、ポリメチルプロピルシロキ サン、ポリジフエ-ルシロキサン、ポリメチルブチルシロキサン等の直鎖状シロキサン またはその共重合体、環状ポリジメチルシロキサン、環状ポリメチルフエニルシロキサ ン、環状ポリメチルヒドロキシシロキサン、環状ポリメチルェチルシロキサン、環状ポリメ チルプロピルシロキサン、環状ポリメチルブチルシロキサン等の環状シロキサン、アル コキシ変性、ポリエーテル変性、フッ素変性、メチルスチリル変性、高級脂肪酸エステ ル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性等の非反応性基変性シロキサン、ァ
ミノ変性、エポキシ変性、カルボキシ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカ ブト変性、フ ノール変性等の反応性基変性シロキサン及びこれらの共重合体等が 挙げられる。
[0051] 上記のシロキサン化合物は、市販品として容易に入手が可能であり、その具体例と しては、例えば L— 45 (日本ュ-カー(株)製)、 SH200、 510、 550、 710、 705、 11 07 (東レ'ダウコ一-ング (株)製)、 X— 22— 162C、 3701E、 3710、 1821、 164S 、 170DX、 176DX、 164A、 4952、 KF96、 50、 54、 99、 351、 618、 910、 700、 6001、 6002、 8010、 KR271、 282 (信越ィ匕学工業 (株)製)等の直鎖状シロキサン 化合物、 VS— 7158 (日本ュ-カー(株)製)、 ΒΥ11— 003 (東レ 'ダウコーユング( 株)製)等の環状シロキサンィ匕合物、 L— 77、 720、 7001、 7604、 Y— 7006、 L— 9 300、 FZ— 2101、 2110、 2130、 2161、 3704、 3711、 3722、 3703、 3720、 37 36、 3705、 3760 (日本ュ-カー(株)製)、 SF8427、 8428、 8413、 8417、 SH19 3、 194、 190、 192、 556、 3746、 3749、 3771、 8400、 SRX280A, BY16— 03 6、 一848、 一828、 一 853B、 一 855B、 一839、 一845、 一752、 一750、 一838、 — 150B、 BX16— 854、—866、 SF8421EG、 SH28PA、 SH30PA、 ST89PA、 ST103PA (東レ'ダウコーユング (株)製)、 ES1001N、 1023、 X— 22— 161、—1 63、—169、—162、— 164、 KF— 860、—101、—102、—6001、—6011、—6 015、 一 8001、 一 351、 一 412、 一 910、— 905 (信越ィ匕学工業 (株)製)等の変性 シロキサン化合物、 FS1265 (東レ'ダウコーユング (株)製)、 FL— 5、 FL— 10、 X— 22— 820、 X— 22— 821、 X— 22— 822、 FL100 (信越ィ匕学工業 (株)製)等のフッ 素変性シロキサン化合物、 FZ— 2203、 2207、 2222 (日本ュ-カー(株)製)等のポ リシロキサンとポリアルキレンオキサイドの共重合体を挙げることができる。
[0052] 上記のようなシロキサンィ匕合物の中でも、特に式(1)で表される構造の繰り返し単 位を有するシロキサンィ匕合物が好まし 、。
[0053] [化 2]
[0054] (式中、 R
1及び R
2はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はフエニル基であり 、 pは正の整数を表す。 )
[0055] 本発明においては、上記式(1)で表される構造の繰り返し単位を有するシロキサン 化合物であれば、変性されて ヽても未変性であっても 、ずれでもよ ヽ。
[0056] また、上記シロキサンィ匕合物が、エポキシ基を有する場合、露光時に後述する(E) 成分の光酸発生剤から発生した酸成分が該エポキシ基と反応する虞があるため、ェ ポキシ基を持たな ヽシロキサンィ匕合物が好まし!/、。
[0057] エポキシ基を持たな ヽシロキサン化合物としては、未変性のシロキサンィ匕合物、ァ ルコキシ変性、ポリエーテル変性、フッ素変性、メチルスチリル変性、高級脂肪酸エス テル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性等の非反応性基で変性したシロキ サン化合物、及び、ァミノ変性、カルボキシ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、 メルカプト変性、フ ノール変性等の反応性基で変性したシロキサンィ匕合物等が挙げ られる。
[0058] 上記(B)成分のシロキサンィ匕合物のうち、未変性のシロキサンィ匕合物及びカルビノ ール変性したシロキサンィ匕合物は、(A)成分との相溶性が得られ易ぐまた、フッ素 変性したシロキサンィ匕合物は、撥油性が得られるので好ま 、。
ここで言うところのフッ素変性シロキサン化合物とは、上述のオルガノシロキサン化 合物及びその一部が水素原子ゃヒドロキシ基で置換された化合物並びにそれらの変 性物がフッ素でさらに変性された化合物をさす。
[0059] このようなフッ素変性シロキサンィ匕合物とは、具体的には前述の式(1)において、式 中の R1及び/または R2がフルォロアルキル基である、シロキサン化合物である。 ここでフルォロアルキル基の導入量は 10乃至 100%が好ましぐより好ましくは 20 乃至 80%である。フルォロアルキル基の導入量が少ない場合は撥油性が低下し、フ ルォロアルキル基の導入量が多すぎる場合は UV—オゾン処理耐性が低下すること がある。
[0060] 本発明に用いる(B)成分のシロキサンィ匕合物にあっては、前述の化合物の中でも、 カルビノール変性したシロキサンィ匕合物又はフッ素変性シロキサン化合物、並びに、 フッ素でのみ変性されたシロキサン化合物がより好ましぐ特に、未変性のシロキサン
化合物をフッ素変性したフッ素変性シロキサンィ匕合物、すなわち、フッ素変性以外の 変性が施されて 、な 、シロキサンィ匕合物が好ま U、。
[0061] 本発明に用いる(B)成分であるシロキサン化合物としては、本発明のポジ型感光性 榭脂組成物の溶液において、各成分との相溶性、特に (A)成分のアルカリ可溶性共 重合体との相溶性が良好で、且つ該ポジ型感光性榭脂組成物が良好な安定性を有 することに加え、現像液への溶解性、ならびに非露光領域 (遮光部分)である残存パ ターン上面部の撥水性さらには撥油性を付与する観点から、数平均分子量が 100乃 至 2, 000の化合物が好ましい。
[0062] (B)成分であるシロキサンィ匕合物は、(A)成分のアルカリ可溶性共重合体 100重 量部に対して好ましくは 0. 1乃至 30質量部、より好ましくは 1乃至 20質量部、特に好 ましくは 3乃至 15質量部の割合で使用される。
(B)成分の化合物の使用量が上記範囲の下限未満の量であると、パターンの表面 における撥水性が不十分なものとなる場合がある。またパターン内部に形成される空 孔のサイズ力 S小さくなりすぎる場合がある。また、(B)成分としてフッ素変性シロキサン 化合物を用いた場合には、パターン表面において、撥水性に加え撥油性が不十分 なものとなるだけでなぐさらに UV—オゾン処理耐性も不十分なものとなる場合があ る。
一方、(B)成分の化合物の使用量が上記範囲の上限を超える量であると、塗膜形 成時に白化や膜ムラが発生する場合がある。
[0063] そして、本発明においては、(B)成分であるシロキサン化合物の種類や使用量を適 宜選択することで、得られる塗膜及び硬化膜に生成する空孔の大きさを制御すること も可能である。
[0064] < (C)成分 >
(C)成分は、 1分子中二個以上のビュルエーテル基を有する化合物である。これは 、慣用のプリベータ温度で (A)成分のアルカリ可溶性榭脂と熱架橋することができる ようなビニルエーテル基を 1分子中二個以上有する化合物であればよぐその種類及 び構造にっ 、て特に限定されるものでな 、。
[0065] この(C)成分の化合物は、 (A)成分のアルカリ可溶性榭脂との熱架橋の後、光酸
発生剤の存在下での露光により生じた酸により、(A)成分のアルカリ可溶性榭脂から 分離 (脱架橋)し、その後アルカリ現像液を用いた現像により(A)成分のアルカリ可溶 性榭脂ともに除去される。従って、この種の化合物としては、一般にビュルエーテル 型化学増幅型レジストの成分に使用されるビニルエーテル系化合物などが適用され うる。斯かる化合物の使用の場合、該化合物の配合量を変えて熱架橋密度を調整す ることにより、形成される膜の形状を制御することができるという利点を有する。
[0066] そして、(C)成分の化合物としては、上記ビニルエーテル系化合物の中でも、特に 式(2)及び式(3)で表される化合物力 露光部にお!、て残膜ゃ残渣なく現像される 点で、好ましい。
[0067] [化 3]
[0068] (式中、 nは 2乃至 10の整数、 kは 1乃至 10の整数であり、 R3は n価の有機基を表す。
[0069] [化 4]
[0070] (式中、 mは 2乃至 10の整数を表す。)
[0071] 式(2)の nは、 1分子中のビュルエーテル基の数を表す力 nとしては、 2乃至 4の整 数がより好ましい。そして、式(3)の mも一分子中のビニルエーテル基の数を表すが 、 mとしては、 2乃至 4の整数がより好ましい。
[0072] 式(2)及び式(3)で表される化合物の具体例としては、ビス (4 (ビニロキシメチル )シクロへキシルメチル)グルタレート、トリ(エチレングリコール)ジビュルエーテル、ァ
ジピン酸ジビュルエステル、ジエチレングリコールジビュルエーテル、トリス(4ービ- 口キシ)ブチルトリメリレート、ビス(4— (ビ-口キシ)ブチル)テレフタレート、ビス(4— ( ビ-ロキシ)ブチルイソフタレート、及びシクロへキサンジメタノールジビュルエーテル 等が挙げられる。
[0073] また、(C)成分の化合物は、(A)成分のアルカリ可溶性榭脂 100質量部に対して 1 乃至 80質量部、好ましくは 5乃至 40質量部の割合で使用される。(C)成分の化合物 の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、未露光部における膜減りが顕 著となりパターン様のレリーフ形状が不良になる。一方、(C)成分の化合物の使用量 が前記範囲の上限を超える過多量であると、膜の感度が大きく低下し、現像後にバタ ーン間の残渣が生じるようになる。
[0074] < (D)成分 >
(D)成分は、 1分子中二個以上のブロックイソシァネート基を有する化合物である。 これは、(C)成分の化合物との間で熱架橋された或いは更にそれとの間で脱架橋さ れた (A)成分のアルカリ可溶性榭脂からなる膜に対して、例えば慣用のポストベータ 温度で熱硬化することができるようなブロックイソシァネート基を 1分子中二個以上有 する化合物であればよぐその種類及び構造について特に限定されるものでない。
[0075] この(D)成分の化合物は、イソシァネート基(-NCO)が適当な保護基によりブロッ クされたブロックイソシァネート基を 1分子中二個以上有し、そして熱硬化の際の高温 に曝されると、保護基 (ブロック部分)が熱解離して外れ、生じたイソシァネート基を介 して (A)成分のアルカリ可溶性榭脂中の熱硬化のための官能基 (例えばフエノール 性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基及び活性水素を有するアミノ基)相互の間で架橋 反応が進行するものであり、例えば、式 (4)
[0076] [化 5] 式 (4)
[0077] (式中、 R4はブロック部の有機基を表す。)で表される基を 1分子中二個以上 (この基 は同一のものでも、また各々異なって!/、るものでもよ 、)有する化合物が挙げられる。
[0078] 1分子中二個以上のブロックイソシァネート基を有する(D)成分の化合物は、例え ば 1分子中二個以上のイソシァネート基を有する化合物に対して適当なブロック剤を 作用せしめること〖こより、得ることができる。
[0079] 1分子中二個以上のイソシァネート基を有する化合物としては、例えば、イソホロン ジイソシァネート、 1, 6—へキサメチレンジイソシァネート、メチレンビス(4ーシクロへ キシルイソシァネート)、トリメチルへキサメチレンジイソシァネート等、またはそれらの 二量体、三量体、或いは、これらとジオール類、トリオール類、ジァミン類、トリアミン類 との反応物が挙げられる。
[0080] ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、 n—ブタノ一 ル、 2—エトキシへキサノール、 2—N, N—ジメチルァミノエタノール、 2—エトキシェ タノール、シクロへキサノール等のアルコール類、フエノール、 o— -トロフエノール、 p —クロ口フエノール m—又は p—タレゾール等のフエノール類、 ε—力プロラタ タム等のラタタム類、アセトンォキシム、メチルェチルケトンォキシム、メチルイソブチ ルケトンォキシム、シクロへキサノンォキシム、ァセトフエノンォキシム、ベンゾフエノン ォキシム等のォキシム類、ピラゾール、 3, 5—ジメチルビラゾール、 3—メチルピラゾ ール、などのピラゾール類、ドデカンチオール、ベンゼンチオール等のチオール類が 挙げられる。
[0081] (D)成分の化合物は、ポストベータ温度のようなより高温では、ブロック部分の熱解 離が生じイソシァネート基を介して架橋反応が進行するものであるが、プリベータ温 度のようなより低温では、イソシァネート基による架橋が進行しないものとするために、 ブロック部分の熱解離の温度がプリベータ温度よりも相当に高いもの、例えば 120°C 乃至 230°Cであるものが(D)成分の化合物として特に好ましい。
[0082] 斯かる(D)成分の化合物としては、例えば次の具体例が挙げられる。
[0083] [化 6]
[0084] 式中、イソシァネートイ匕合物がイソホロンジイソシァネートから誘導されるものである
(D)成分の化合物が、耐熱性、塗膜性の点力 より好ましぐ斯様な化合物としては、 以下のものが挙げられる。下記式中の Rは有機基を表す。
[0085] [化 7]
置s008
[6^ ] [ 800]
Z 0090/L00ZdT/13d 03 Z68 動 0Z OAV
本発明において、(D)成分の化合物は一種単独で用いてもよぐまた二種以上を 組合せて用いてもよい。
[0089] また、(D)成分の化合物は、(A)成分のアルカリ可溶性榭脂 100質量部に対して 1 乃至 80質量部、好ましくは 5乃至 40質量部の割合で使用される。(D)成分の化合物 の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、熱硬化が不十分となって満足 な硬化膜が得られず、一方、(D)成分の化合物の使用量が前記範囲の上限を超え る過多量であると、現像が不十分となり、現像残渣を生じるようになる。
[0090] < (E)成分 >
(E)成分は、光酸発生剤(PAG)である。これは、露光に使用される光の照射によ つて直接もしくは間接的に酸 (スルホン酸類、カルボン酸類など)を発生する物質であ り、斯様な性質を有するものであれば、その種類及び構造などは特に限定されるもの でない。
[0091] (E)成分の光酸発生剤としては、例えば、ジァゾメタン化合物、ォ-ゥム塩ィ匕合物、 スルホンイミド化合物、ジスルホン系化合物、スルホン酸誘導体化合物、ニトロべンジ ル化合物、ベンゾイントシレートイ匕合物、鉄アレーン錯体、ハロゲン含有トリアジン化 合物、ァセトフエノン誘導体化合物、及び、シァノ基含有ォキシムスルホネート化合物 などが挙げられる。従来知られ又は従来から使用されている光酸発生剤は、いずれ も、特に限定されることなぐ本発明において適用することができる。なお、本発明に おいて、(E)成分の光酸発生剤は、一種単独で用いてもよぐまた二種以上を組合 わせて用いてもよい。
[0092] 光酸発生剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。もっとも、これらの化合物 は極めて多数の適用可能な光酸発生剤の中の一例であり、当然それらに限定される ものではない。
[0093] [化 10]
式 (5)
式 (6)
式 (7)
式 (8)
ジフエ-ルョードニゥムクロリド、ジフエ二ルョードニゥムトリフノレオロメタンスノレホネート 、ジフエ二ルョードニゥムメシレート、ジフエ二ルョードニゥムトシレート、ジフエニノレョ ドニゥムブ口ミド、ジフヱ-ルョードニゥムテトラフルォロボレート、ジフエ-ルョードニゥ ムへキサフルォロアンチモネート、ジフエ二ルョードニゥムへキサフルォロアルセネー ト、ビス(p—tert—ブチルフエ二ノレ)ョードニゥムへキサフルォロホスフェート、ビス(p — tert—ブチルフエ-ル)ョードニゥムメシレート、ビス(p— tert—ブチルフエ-ル)ョ 一ドニゥムトシレート、ビス(p— tert—ブチルフエ-ル)ョードニゥムトリフルォロメタン スルホネート、ビス(p - tert -ブチルフエニル)ョードニゥムテトラフルォロボレート、
ビス(p— tert—ブチルフエ-ル)ョードニゥムクロリド、ビス(p—クロ口フエニル)ョード -ゥムクロリド、ビス(p—クロ口フエ-ル)ョードニゥムテトラフルォロボレート、トリフエ- ルスルホ -ゥムクロリド、トリフエ-ルスルホ-ゥムブ口ミド、トリフエ-ルスルホ -ゥムトリ フルォロメタンスルホネート、トリ(p—メトキシフエ-ル)スルホ-ゥムテトラフルォロボレ ート、トリ(p—メトキシフエ-ル)スルホ -ゥムへキサフルォロホスホネート、トリ(ρ—エト キシフエ-ル)スノレホニゥムテトラフノレオロボレート、トリフエ-ノレホスホ-ゥムクロリド、ト リフエ-ルホスホ-ゥムブロミド、トリ(p—メトキシフエ-ル)ホスホ-ゥムテトラフルォロ ボレート、トリ(ρ—メトキシフエ-ル)ホスホ-ゥムへキサフルォロホスホネート、トリ(ρ— エトキシフエ-ル)ホスホ-ゥムテトラフノレオロボレート、
[化 11]
[Zl^ [9600]
Z 0090/L00ZdT/13d 93 Z68 動 OAV
[0098] [化 14]
[3ΐ^ ] [6600]
ひ 0090婦 Zdf/ェ:) d 83 Z68 動 0ί OAV
[0100] [化 16]
3 ) 1
)
[0103] また、(E)成分の光酸発生剤は、(A)成分のアルカリ可溶性榭脂 100質量部に対 して 0. 5乃至 80質量部、好ましくは 1乃至 30質量部の割合で使用される。(E)成分 の光酸発生剤の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、露光の際、熱架 橋された (C)成分の化合物の、(A)成分のアルカリ可溶性榭脂からの解離が十分に 進行せず、所望のパターン様のレリーフが得られ難くなり、一方、(E)成分の光酸発 生剤の使用量が前記範囲の上限を超える過多量であると、ポジ型感光性榭脂組成 物の保存安定性に劣るようになる。
[0104] く(F)溶剤 >
本発明のポジ型感光性榭脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分 及び (E)成分を含有し、それらが (F)溶剤に溶解された状態にある。
[0105] したがって本発明に用いる (F)溶剤は、(A)成分乃至 (E)成分を溶解し、且つ所望 により添加される後述の (G)成分乃至 (I)成分などを溶解するものであり、斯様な溶 解能を有する溶剤であれば、その種類及び構造などは特に限定されるものでな 、。
[0106] 斯様な(F)溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ェチレ ングリコーノレモノェチノレエーテノレ、メチノレセロソノレブアセテート、ェチノレセロソノレブァ セテート、ジエチレングリコーノレモノメチノレエーテル、ジエチレングリコーノレモノェチノレ エーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコーノレモノメチノレエーテル、プロピレ ングリコーノレモノメチノレエーテノレアセテート、プロピレングリコーノレプロピノレエーテノレ アセテート、トルエン、キシレン、メチルェチルケトン、シクロペンタノン、シクロへキサノ ン、 2—へプタノン、 γ ブチロラタトン、 2—ヒドロキシプロピオン酸ェチル、 2—ヒドロ キシ 2—メチルプロピオン酸ェチル、エトキシ酢酸ェチル、ヒドロキシ酢酸ェチル、 2 ーヒドロキシー 3—メチルブタン酸メチル、 3—メトキシプロピオン酸メチル、 3—メトキ シプロピオン酸ェチル、 3—エトキシプロピオン酸ェチル、 3—エトキシプロピオン酸メ チル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸ェチル、酢酸ェチル、酢酸ブチル、乳酸ェチル 、乳酸ブチル、 Ν, Ν ジメチルホルムアミド、 Ν, Ν ジメチルァセトアミド、及び Ν— メチルピロリドン等が挙げられる。
[0107] これらの溶剤は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用することができる。
[0108] これら(F)溶剤の中、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート、 2—へプタノン、プロピレングリコールプロピルエー テル、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸ェチル、乳酸ブチル等 力 塗膜性が良好で安全性が高いという観点より好ましい。これら溶剤は、一般にフ オトレジスト材料のための溶剤として用いられている。
[0109] く(G)成分 >
本発明のポジ型感光性榭脂組成物にあっては、本発明の効果を損なわない限りに おいて、更に(G)成分として、(A)成分以外の他のアルカリ可溶性榭脂を配合するこ とができる。 (G)成分の配合は、本発明のポジ型感光性榭脂組成物において、現像 時の現像不良を抑制し易くなる、多様な機能特性を付与できる等の点で好まし 、。 斯様な (G)成分としては、例えば、(A)成分以外のアクリル系榭脂及びヒドロキシス チレン系榭脂、フエノールノボラック榭脂、ポリアミド榭脂、ポリイミド前駆体、ポリイミド 榭脂、並びに、これらアルカリ可溶性榭脂において、例えばフッ素原子で置換された 有機基を側鎖に有するようなフッ素系アルカリ可溶性榭脂等が挙げられる。
[0110] 本発明に用いる(G)成分の他のアルカリ可溶性榭脂において、前記 (B)成分がフ ッ素変性シロキサンィ匕合物である場合には、上記フッ素系アルカリ可溶性榭脂を採 用することが望ましい。
[0111] 上記フッ素系アルカリ可溶性榭脂において、フッ素原子で置換された有機基として は、特に限定されるものではないが、特に、パーフルォロアルキル基が好ましい。
[0112] そして上記フッ素系アルカリ可溶性榭脂としては、フッ素原子で置換された有機基 を有するモノマーを他のモノマーと併用して共重合したアクリル重合体 (以下、単に「 フッ素系共重合体」とも 、う)が好ま U、。
[0113] フッ素原子で置換された有機基を有するモノマーの具体例として、ペンタフルォロ プロピルアタリレート、ヘプタフルォロブチルアタリレート、ペンタデカフルォロォクチ ルアタリレート、ヘプタデカフルォロデシルアタリレート、 2- (ノナフルォロブチル)ェ チルアタリレート、 2— (パーフルォロデシル)ェチルアタリレート、 2- (パーフルォロ へキシル)ェチノレアタリレート、トリフノレォロェチノレアタリレート、ペンタフノレォロプロピ ルメタタリレート、ヘプタフルォロブチルメタタリレート、ペンタデカフルォロォクチルメ タクリレート、ヘプタデカフルォロデシルメタタリレート、 2- (ノナフルォロブチル)ェチ
ルメタタリレート、 2- (パーフルォロデシル)ェチルメタタリレート、 2- (パーフルォロ へキシル)ェチルメタタリレート、トリフルォロェチルメタタリレート等が挙げられる。
[0114] これらのうち、特にパーフルォロアルキル基を有するモノマー、例えば 2—(パーフ ルォロデシル)ェチルアタリレート、 2- (パーフルォ口へキシル)ェチルアタリレート、 トリフルォロェチルアタリレート、 2— (パーフルォロデシル)ェチルメタタリレート、 2- ( パーフルォ口へキシル)ェチルメタタリレート、トリフルォロェチルメタタリレート等がより 好ましい。
[0115] 上述のフッ素系共重合体は、(A)成分の特定共重合体を得る方法と同様の方法で 得ることができ、その際、特定共重合体を構成するモノマー成分と、上記フッ素系モノ マーとを共重合すれば良 、。
[0116] 本発明において、(G)成分の他のアルカリ可溶性榭脂は、通常、(A)成分の 100 質量部に基づいて 1質量部乃至 90質量部含有することができる。
但し、前記 (B)成分としてフッ素変性シロキサンィ匕合物を用い、且つ、(G)成分とし てフッ素系アルカリ可溶性榭脂を使用する場合、上述した範囲では本発明の効果を 損なうことがあることから、フッ素系アルカリ可溶性榭脂の含有量は、(A)成分の 100 質量部に基づいて、例えば 0. 1乃至 20質量部であり、また場合により 0. 5乃至 15質 量部であり、また好ましくは、 1乃至 10質量部である。上記フッ素系アルカリ可溶性榭 脂の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、現像時に現像不良が発生す る場合があり、一方、上記フッ素系アルカリ可溶性榭脂の使用量が前記範囲の上限 を超える過多量であると、 UV—オゾン耐性が低下する場合がある。
[0117] < (H)成分 >
(H)成分は、アミンィ匕合物である。本発明のポジ型感光性榭脂組成物にあっては、 その保存安定性を高めるという目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、 更にアミンィ匕合物を含有することができる。
[0118] (H)成分のアミンィ匕合物としては、特に制限されないが、例えば、トリエタノールアミ ン、トリブタノールァミン、トリイソプロパノールァミン、トリメチルァミン、トリェチルァミン 、トリノルマルプロピルァミン、トリイソプロピルァミン、トリノルマルブチルァミン、トリ— t ert—ブチルァミン、トリオクチルァミン、トリフエ-ルァミン及びジァザビシクロオクタン
等の 3級ァミンや、ピリジン及び 4ージメチルァミノピリジン等の芳香族ァミンが挙げら れ、また、更に、ベンジルァミン及びノルマルブチルァミン等の 1級ァミンや、ジェチ ルァミン及びジノルマルブチルァミン等の 2級ァミンも挙げられる。
[0119] (H)成分のアミンィ匕合物は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用すること ができる。
[0120] アミンィ匕合物が使用される場合、その含有量は、(A)成分のアルカリ可溶性榭脂 1 00質量部に対して、例えば 0. 001乃至 5質量部であり、また場合により 0. 005乃至 1質量部であり、また好ましくは、 0. 01乃至 0. 5質量部である。(H)成分のアミンィ匕 合物の使用量が前記範囲の下限未満の過少量であると、ポジ型感光性榭脂組成物 の保存安定性を十分に高めることができず、一方、(H)成分のァミン化合物の使用 量が前記範囲の上限を超える過多量であると、ポジ型感光性榭脂組成物の感度が 低下する場合がある。
[0121] < (1)成分 >
(I)成分は、界面活性剤である。本発明のポジ型感光性榭脂組成物にあっては、そ の塗布性を向上させるという目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に 界面活性剤を含有することができる。
[0122] (I)成分の界面活性剤としては、特に制限されないが、例えば、フッ素系界面活性 剤、シリコーン系界面活性剤、ノ-オン系界面活性剤などが挙げられる。この種の界 面活性剤としては、例えば、住友スリーェム (株)製、大日本インキ化学工業 (株)製 或いは旭硝子 (株)製等の市販品を用いることができる。これら市販品は、容易に入 手することができるので、好都合である。その具体的な例としては、エフトップ EF301 、 EF303、 EF352 ( (株)ジェムコ製)、メガファック F171、 F173 (大日本インキ化学 工業 (株)製)、フロラード FC430、 FC431 (住友スリーェム (株)製)、アサヒガード A G710、サーフロン S— 382、 SC101、 SC102、 SC103、 SC104、 SC105、 SC10 6 (旭硝子 (株)製)等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。
[0123] (I)成分の界面活性剤は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用すること ができる。
[0124] 界面活性剤が使用される場合、その含有量は、ポジ型感光性榭脂組成物 100質
量%中に通常 0. 2質量%以下であり、好ましくは 0. 1質量%以下である。(I)成分の 界面活性剤の使用量が 0. 2質量%を超える量に設定されても、上記塗布性の改良 効果は鈍くなり、経済的でなくなる。
[0125] <その他添加剤 >
更に、本発明のポジ型感光性榭脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにお いて、必要に応じて、レオロジー調整剤、シランカップリング剤等の接着補助剤、顔 料、染料、保存安定剤、消泡剤、または多価フ ノール、多価カルボン酸等の溶解促 進剤等を含有することができる。
[0126] <ポジ型感光性榭脂組成物 >
本発明のポジ型感光性榭脂組成物は、(A)成分のアルカリ可溶性榭脂、(B)成分 のシロキサンィ匕合物、(C)成分のビニルエーテル基を有する化合物、(D)成分のブ ロックイソシァネート基を有する化合物、 (E)成分の光酸発生剤及び (F)溶剤を含有 し、且つ、それぞれ所望により、(G)成分のアルカリ可溶性榭脂、(H)成分のアミン化 合物、(I)成分の界面活性剤、及びその他添加剤のうち一種以上を更に含有するこ とができる組成物である。
[0127] 中でも、本発明のポジ型感光性榭脂組成物の好ま ヽ例は、以下のとおりである。
[1]: (A)成分 100質量部に基づいて、 0. 1乃至 30質量部の(B)成分、 1乃至 80質 量部の(C)成分、 1乃至 80質量部の(D)成分、及び、 0. 5乃至 80質量部の(E)成 分を含有し、これら成分が (F)溶剤に溶解したポジ型感光性榭脂組成物。
[2]:上記 [1]の組成物にぉ 、て (但し (B)成分がフッ素変性シロキサンィ匕合物であ る場合にぉ 、て)、更に (G)成分 (フッ素系アルカリ可溶性榭脂)を (A)成分 100質 量部に基づ 1ゝて 0. 1乃至 20質量部含有するポジ型感光性榭脂組成物。
[3]:上記 [1]又は [2]の組成物において、更に (H)成分を (A)成分 100質量部に 基づ 、て 0. 001乃至 5質量部含有するポジ型感光性榭脂組成物。
[4] :上記[1]、 [2]又は [3]のポジ型感光性榭脂組成物中に、更に (I)成分を 0. 2 質量%以下含有するポジ型感光性榭脂組成物。
[0128] 本発明のポジ型感光性榭脂組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶 剤に溶解している限り、特に限定されるものではないが、例えば 1乃至 80質量%であ
り、また例えば 5乃至 60質量%であり、または 10乃至 50質量%である。ここで、固形 分とは、ポジ型感光性榭脂組成物の全成分から (F)溶剤を除!ヽたものをさす。
[0129] 本発明のポジ型感光性榭脂組成物の調製方法は、特に限定されな ヽが、その調 製法としては、例えば、(A)成分 (アルカリ可溶性榭脂)を (F)溶剤に溶解し、この溶 液に(B)成分 (シロキサンィ匕合物)、(C)成分( 1分子中に二個以上のビニルエーテ ル基を有する化合物)、(D)成分(1分子中に二個以上のブロックイソシァネート基を 有する化合物)、 (E)成分 (光酸発生剤)及び (I)成分 (界面活性剤)を所定の割合で 混合し、均一な溶液とする方法、或いは、この調製法の適当な段階において、必要 に応じて (H)成分 (アミンィ匕合物)、(G)成分 (アルカリ可溶性榭脂)及び Z又はその 他添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
[0130] 本発明のポジ型感光性榭脂組成物の調製にあたっては、(F)溶剤中における重合 反応によって得られる特定共重合体の溶液をそのまま使用することができ、この場合 、この (A)成分の溶液に前記と同様に (B)成分、(C)成分、(D)成分などを入れて均 一な溶液とする際に、濃度調整を目的としてさらに (F)溶剤を追加投入してもよい。こ のとき、特定共重合体の形成過程で用いられる (F)溶剤と、ポジ型感光性榭脂組成 物の調製時に濃度調整のために用いられる(F)溶剤とは同一であってもよいし、異な つてもよい。
[0131] 而して、調製されたポジ型感光性榭脂組成物の溶液は、孔径が 0. 2 μ m程度のフ ィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
[0132] く塗膜及び硬化膜〉
本発明のポジ型感光性榭脂組成物を半導体基板 (例えば、シリコン Z二酸ィ匕シリコ ン被覆基板、シリコンナイトライド基板、金属例えばアルミニウム、モリブデン、クロムな どが被覆された基板、ガラス基板、石英基板、 ITO基板等)の上に、回転塗布、流し 塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布などに よって塗布し、その後、ホットプレートまたはオーブン等で予備乾燥することにより、塗 膜を形成することができる。その後、この塗膜を加熱処理することにより、ポジ型感光 性榭脂膜が形成される。
[0133] この加熱処理の条件としては、例えば、温度 70°C乃至 160°C、時間 0. 3乃至 60分
間の範囲の中から適宜選択された加熱温度及び加熱時間が採用される。加熱温度 及び加熱時間は、好ましくは 80°C乃至 140°C、 0. 5乃至 10分間である。
[0134] また、ポジ型感光性榭脂組成物カゝら形成されるポジ型感光性榭脂膜の膜厚は、例 えば 0. 1乃至 30 mであり、また例えば 0. 2乃至 10 mであり、更に例えば 0. 2乃 至 5 μ mで teる。
[0135] そして、形成されたポジ型感光性榭脂膜は、形成時の加熱処理により、(C)成分の ビュルエーテル基を有する化合物が (A)成分の榭脂に架橋することにより、アルカリ 現像液に難溶な膜となる。この場合、加熱処理の温度が上記の温度範囲の下限より もより低い場合には、熱架橋が不十分なものとなり、未露光部において膜減りが生じ ることがある。また、加熱処理の温度が上記の温度範囲の上限を超えて高すぎる場 合には、一旦形成された熱架橋部が再び切断され、未露光部において膜減りをひき 起こすことがある。
[0136] 本発明のポジ型感光性榭脂組成物から形成されるポジ型感光性榭脂膜は、所定 のパターンを有するマスクを用いて紫外線、 ArF、 KrF、 Fレーザー光等の光で露光
2
されると、ポジ型感光性榭脂膜中に含まれる (E)成分の光酸発生剤 (PAG)から発生 する酸の作用によって、該膜のうち露光部はアルカリ性現像液に可溶なものとなる。
[0137] 次 ヽで、ポジ型感光性榭脂膜に対して露光後加熱 (PEB)が行われる。この場合の 加熱の条件としては、温度 80°C乃至 150°C、時間 0. 3乃至 60分間の範囲の中から 適宜選択された加熱温度及び加熱時間が採用される。
[0138] その後、アルカリ性現像液を用いて現像が行われる。これにより、ポジ型感光性榭 脂膜のうち、露光された部分が除去され、パターン様のレリーフが形成される。
[0139] 使用されうるアルカリ性現像液としては、例えば、水酸ィ匕カリウム、水酸ィ匕ナトリウム などのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸ィ匕テトラメチルアンモニゥム、水酸化テ トラェチルアンモ-ゥム、コリンなどの水酸化第四級アンモ-ゥムの水溶液、エタノー ルァミン、プロピルァミン、エチレンジァミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液 が挙げられる。さらに、これらの現像液には、界面活性剤などを加えることもできる。
[0140] 上記の中、水酸化テトラエチルアンモ -ゥム 0. 1乃至 2. 38質量%水溶液は、フォ トレジストの現像液として一般に使用されており、本発明のポジ型感光性榭脂組成物
においても、このアルカリ性現像液を用いて、膨潤などの問題をひき起こすことなく良 好に現像することができる。
[0141] また、現像方法としては、液盛り法、デイツビング法、揺動浸漬法など、 Vヽずれも用 いることができる。その際の現像時間は、通常、 15乃至 180秒間である。
[0142] 現像後、ポジ型感光性榭脂膜に対して流水による洗浄を例えば 20乃至 90秒間行 V、、続 、て圧縮空気もしくは圧縮窒素を用いてまたはスピユングにより風乾することに より、基板上の水分が除去され、そしてパターンが形成された膜が得られる。
[0143] 続 、て、斯カるパターン形成膜に対して、熱硬化のためにポストベータを行うことに より、具体的にはホットプレート、オーブンなどを用いて加熱することにより、耐熱性、 透明性、平坦化性、低吸水性、耐薬品性などに優れ、良好なパターンを有する膜が 得られる。
[0144] ポストベータとしては、一般に、温度 140°C乃至 250°Cの範囲の中力も選択された 加熱温度にて、ホットプレート上の場合には 5乃至 30分間、オーブン中の場合には 3 0乃至 90分間処理すると ヽぅ方法が採られる。
[0145] 而して、斯カるポストベータにより、目的とする、良好なパターンを有する硬化膜を 得ることができる。
[0146] 以上のように、本発明のポジ型感光性榭脂組成物により、十分高感度であり且つ現 像の際に未露光部の膜減りが非常に小さぐ微細なパターンを有する塗膜を形成す ることがでさる。
そして、この硬化膜は、膜中にサブミクロンの空孔を有する構造である。
[0147] この硬化膜の特性としては、耐熱性及び耐溶剤性に優れ、膜表面に高 ヽ撥水性を 有し、さらに前記 (B)成分としてフッ素変性シロキサンィ匕合物を採用した場合には高 い撥油性をも有しており、酸素プラズマ処理後における撥水性及び撥油性の低下を 抑帘 Uすることができる。
[0148] そのため、例えば、有機 ELの画素分画用バンクなどの用途や、 TFT型液晶素子 のアレイ平坦ィ匕膜、液晶又は有機 ELディスプレイにおける各種の膜、例えば層間絶 縁膜、保護膜、絶縁膜などの用途に好適である。
実施例
[0149] 以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例 に限定されるものでない。
[0150] [実施例で用いる略記号]
以下の実施例で用いる略記号の意味は、次のとおりである。
MAA:メタクリル酸
MMA:メチルメタタリレート
HEMA: 2 ヒドロキシェチルメタタリレート
CHMI: N シクロへキシルマレイミド
PFMA:パーフルォロアルキルメタタリレート
TMSSMA:メタクリル酸 3—[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルエステル AIBN:ァゾビスイソブチロニトリル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MAK:メチノレアミノレケトン (2-ヘプタノン)
PAG1:ォキシムスルホネート系光酸発生剤:チノく'スペシャルティ ·ケミカルズ (株)製
CGI1397 (商品名)
PVE1: 1, 4ーシクロへキサンジメタノールジビュルエーテル
NCOl: 1分子中にブロックイソシァネート基を 2個有する化合物:デグサ AG製 VE STAGON (登録商標) B 1065 (商品名)
R30 :大日本インキ化学工業 (株)製 メガファック R— 30 (商品名)
PDMS1 :ポリジメチルシロキサン ヒドロキシ末端 数平均分子量(以下、 Mnと称す
) : 550
PDMS2 :ポリジメチルシロキサン—co—ポリジフエ-ルシロキサン ヒドロキシ末端 Mn: l, 000
PDMS3 :ポリジメチルシロキサン Mn: 580
PDMS4 :ポリジメチルシロキサン ビスヒドロキシアルキル末端 Mn: 5, 600 PDMS5 :ポリジメチルシロキサン ジビュル末端 Mn: 250, 000
PDMS6 :ポリジメチルシロキサン ヒドロキシ末端 Mn: 8, 000
PDFS 1 : 50%フッ素変性ポリジメチルシロキサン Mn: l, 000
PDFS2 : 100%フッ素変性ポリジメチルシロキサン Mn: l, 000
[0151] [数平均分子量及び重量平均分子量の測定]
以下の合成例に従い得られる特定共重合体の数平均分子量及び重量平均分子 量は、日本分光 (株)製 GPC装置(Shodex (登録商標)カラム KF803Lおよび KF8 04L)を用い、溶出溶媒テトラヒドロフランを流量 lmlZ分でカラム中に (カラム温度 4 0°C)流して溶離させるという条件で測定した。なお、下記の数平均分子量 (以下、 M nと称す。)及び重量平均分子量 (以下、 Mwと称す。)は、ポリスチレン換算値にて表 される。
[0152] <合成例 1 >
特定共重合体を構成するモノマー成分として、 MAA 15. 5g、 CHMI 35. 3g、 HEMA 25. 5g、 MMA 23. 7gを使用し、ラジカル重合開始剤として AIBN 5gを 使用し、これらを溶剤 PGMEA 200g中において温度 60°C乃至 100°Cで重合反応 させることにより、 Mn4, 100、 Mw7, 600である (A)成分 (特定共重合体)の溶液( 特定共重合体濃度 : 27. 5質量%)を得た。 (P1)
[0153] <合成例 2>
特定共重合体を構成するモノマー成分として、 MAA 8. 0g、 CHMI 12. 0g、 H EMA 12. 0g、 PFMA 8. Ogを使用し、ラジカル重合開始剤として AIBN 0. 88g を使用し、これらを溶剤 PGMEA 95. 4g中において温度 60°C乃至 100°Cで重合 反応させることにより、 Mn6, 400、 MwlO, 500である(A)成分(特定共重合体)の 溶液 (特定共重合体濃度: 30. 0質量%)を得た。 (P2)
[0154] <実施例 1乃至 6及び比較例 1乃至 5 >
次の表 1に示す組成に従い、(A)成分の溶液に、(B)成分、(C)成分、(D)成分、( E)成分及び (F)溶剤、更に (I)成分を所定の割合で混合し、室温で 3時間撹拌して 均一な溶液とすることにより、各実施例及び各比較例のポジ型感光性榭脂組成物を 調製した。
[0155] [表 1]
(A)fi¾»©赚 (B)成分 (C)成分 (D)成分 (E)成分 (F)溶剤 (I)成分
(g) (g) (g) (g) (g) (g) (g)
PI PDMS1 PVE1 NCOl PAGl PGMEA
実施例 1 ―
15 0. 21 0. 62 0. 41 0. 21 5. 75
PI PDMS1 PVE1 NCOl PAGl PGMEA
実施例 2 ―
15 0. 41 0. 62 0. 41 0. 21 5. 75
PI PDMS2 PVE1 NCOl PAGl PGMEA
実施例 3
15 0. 21 0. 62 0. 41 0. 21 5. 75
PI PDMS2 PVE1 NCOl PAGl PGMEA
実施例 4
15 0. 41 0. 62 0. 41 0. 21 5. 75
PI PDMS3 PVE1 NCOl PAGl PGMEA
実施例 5 - 15 0. 21 0. 62 0. 41 0. 21 5. 75
PI PD S3 PVE1 NCOl PAGl PGMEA
実施例 6 一
15 0. 41 0. 62 0. 41 0. 21 5. 75
PI PDMS4 PVE1 NCOl PAGl PGMEA
比較例 1 ―
15 0. 21 0. 62 0. 41 0. 21 5. 75
PI PD S4 PVE1 NCOl PAGl PGMEA
比較例 2 ―
15 0. 41 0. 62 0. 41 0. 21 5. 75
PI PDMS5 PVE1 NCOl PAGl PGMEA
比較例 3
15 0. 21 0. 62 0. 41 0. 21 5. 75
PI PDMS6 PVE1 NCOl PAGl PGMEA
比較例 4 ―
15 0. 21 0. 62 0. 41 0. 21 5. 75
PI PVE1 NCOl PAGl PGMEA R30 比較例 5 ―
15 0. 62 0. 41 0. 21 5. 75 0.0028
P1/P2 PVE1 NCOl PAGl PGMEA R30 比較例 6
14.3/0.7 0. 62 0. 41 0. 21 5. 75 0.0028
[0156] 得られた実施例 1乃至実施例 6並びに比較例 1乃至比較例 6の各組成物について
、それぞれ、アクリル榭脂との溶液安定性、感度、膜減り(未露光部における)、接触 角、空孔、 MEA耐性及び耐熱性の評価を行った。
[0157] [溶液安定性評価]
上記で得られたポジ型感光性榭脂組成物について、この組成物の調製後、透明で 均一に溶解しているものを〇、白濁または不溶物が析出しているものを Xとした。
[0158] [感度の評価]
ポジ型感光性榭脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した 後、温度 110°Cで 120秒間ホットプレート上においてプリベータを行い膜厚 2.
の塗膜を形成した。膜厚は FILMETRICS製 F20を用いて測定した。この塗膜に キャノン (株)製紫外線照射装置 PLA— 600FAにより 365nmにおける光強度が 5.
5mWZcm2の紫外線を一定時間照射し、次いで温度 110°Cで 120秒間ホットプレー
ト上において露光後加熱 (PEB)を行った。その後 0. 4質量%の水酸ィ匕テトラメチル アンモ-ゥム(以下、 TMAHと称す)水溶液に 60秒間浸漬することで現像を行った 後、超純水で 20秒間流水洗浄を行った。露光部において溶け残りのなくなる最低の 露光量 (mjZcm2)を感度とした。
[0159] [膜減りの評価]
ポジ型感光性榭脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した 後、温度 110°Cで 120秒間ホットプレート上においてプリベータを行い膜厚 2.
の塗膜を形成した。この膜を 0. 4質量%TMAH水溶液に 60秒間浸漬した後、超純 水で 20秒間流水洗浄を行った。次いで、この膜の厚さを測定することで、現像による 未露光部の膜減り度合いを評価した。この評価における膜厚は、 FILMETRICS製 F20を用いて測定した。
[0160] [接触角の評価]
ポジ型感光性榭脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温 度 110°Cで 120秒間ホットプレート上においてプリベータを行い膜厚 2. 5 μ mの塗膜 を形成した。この塗膜を温度 230°Cで 30分間加熱することによりポストベータを行 ヽ 、膜厚 1. 9 mの硬化膜を形成した。この硬化膜上の水およびヨウ化メチレンの接触 角を協和界面科学 (株)製 Drop Masterを用いて測定した。
[0161] [プラズマ処理耐性の評価]
ポジ型感光性榭脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した 後、温度 110°Cで 120秒間ホットプレート上においてプリベータを行い膜厚 2.
の塗膜を形成した。この塗膜を 230°Cで 30分加熱することによりポストベータを行 、、 膜厚 1. 9 mの硬化膜を形成した。この塗膜を (株)テクノビジョン製 UV— 312を用 V、て 5分間オゾン洗浄した。オゾン洗浄処理した膜上の水の接触角を協和界面科学 (株)製 Drop Masterを用い、前記 [接触角の評価]と同様の方法で測定した。
[0162] [空孔の評価]
ポジ型感光性榭脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した 後、温度 110°Cで 120秒間ホットプレート上においてプリベータを行い膜厚 2.
の塗膜を形成した。この塗膜を温度 230°Cで 30分間加熱することによりポストベータ
を行い、膜厚 1. 9 mの硬化膜を形成した。この塗膜断面を走査型電子顕微鏡 (以 下、 SEMと称す。)を用いて空孔の有無および空孔径を確認した。なお、以下の表 2 中における「く 100」という表記は、直径 lOOnm未満の空孔が存在することを意味す る。
[0163] [MEA耐性の評価]
ポジ型感光性榭脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温 度 120°Cで 120秒間ホットプレート上においてプリベータを行い膜厚 2. 5 μ mの塗膜 を形成した。この塗膜を 0. 4質量%TMAH水溶液に 60秒間浸漬した後、超純水で 20秒間流水洗浄を行った。次いで、温度 230°Cで 30分加熱することによりポストべ ークを行い、膜厚 1. 9 の硬化膜を形成した。この塗膜を温度 60°Cに加熱したモ ノエタノールァミンに 20分間浸漬させた後、純水で 20秒間洗浄した。ついで温度 18 0°Cのホットプレート上で 10分間乾燥させた後、膜厚を測定した。ポストベータ後の膜 厚と MEA処理、乾燥後の膜厚の変化がないものを MEA耐性〇、減少したものを X とした。
[0164] [耐熱性の評価]
上記の [MEA耐性の評価]において、基板を石英基板力 シリコンウェハーに変更 した以外は同様の方法で、膜厚 1. 9 /z mの硬化膜を形成した。この硬化膜を削り取 つて試料とし、 DTA—TG測定した。試料の質量が 5質量%減少する温度を「5%質 量減少温度」とした。
[0165] [評価の結果]
以上の評価を行った結果を、次の表 2に示す。
[0166] [表 2]
接触角 0 5%質量 溶液 膜減り 空孔径 MEA
ダラス'マ処理後 減少温度 安定性 、 m) 水 ^H2I2 (nm) 耐性
水 (°C) 実施例 1 〇 25 なし 100° 74° 92。 < 100 〇 305 実施例 2 〇 25 なし 101° 76° 94° < 500 O 305 実施例 3 〇 32 なし 100° 76。 93° く 50 〇 305 実施例 4 〇 32 なし 103° 78° 93° < 150 〇 305 実施例 5 〇 27 なし 101° 75° 94° < 10 〇 305 実施例 6 〇 27 なし 103° 77° 94° < 20 〇 305 比較例 1 X - ― ― ― ― 一 比較例 2 X 一 ― ― ― - 比較例 3 X ― ― ― ― - 一 - 比較例 4 X ― 一 ― ― ― 比較例 5 〇 27 なし 72° 42° 43° 空孔なし O 305 比較例 6 〇 27 なし 94° 73° 67° 空孔なし 〇 305
※「膜減りなし」とは測定結果において膜減りが観測されな力、つた(つまり、実際上問題となるような膜 減りが無い)ことを表す
[0167] 実施例 1乃至 6は、ポジ型感光性樹脂組成物の調製後、ゲル化や分離のな 、均一 な溶液が得られた。
また実施例 1乃至 6のポジ型感光性樹脂組成物は、いずれも、高感度であり、未露 光部において実際上問題となる膜減りが観察されず、プラズマ処理前後いずれも表 面に高い撥水性を有し、更に、膜中に空孔が形成された。
[0168] 一方、比較例 1乃至 4は、ポジ型感光性榭脂組成物の溶液安定性が低く均一な溶 液を得ることができな力つた。
また比較例 5のポジ型感光性榭脂組成物は、膜表面の撥水性が低ぐ膜中の空孔 は形成されなかった。
さらに比較例 6のポジ型感光性榭脂組成物は、表面の撥水性は高 ヽが UVプラズ マ耐性が低ぐ膜中に空孔も形成されな力 た。
[0169] <合成例 3〉
特定共重合体を構成するモノマー成分として、 MAA 15. 5g、 CHMI 35. 3g、 HEMA 25. 5g、 MMA 23. 7gを使用し、ラジカル重合開始剤として AIBN 5gを 使用し、これらを溶剤 PGMEA 185g中において温度 60°C〜: 100°Cで重合反応さ せることにより、 Mn4, 100、 Mw7, 600である(A)成分 (特定共重合体)の溶液 (特
定共重合体濃度 : 35. 0質量%)を得た。 (P3)
[0170] <合成例 4>
特定共重合体を構成するモノマー成分として、 MAA 7. 5g、 MMA 20. Og、 H EMA 10. Og、PFMA 12. 5gを使用し、ラジカル重合開始剤として AIBN 1. 59 gを使用し、これらを溶剤 PGMEA 154. 7g中において温度 60°C〜100°Cで重合 反応させることにより、 Mnl2, 600、 Mw20, 300である (A)成分 (特定共重合体) の溶液 (特定共重合体濃度: 25. 0質量%)を得た。 (P4)
[0171] <合成例 5 >
特定共重合体を構成するモノマー成分として、 MAA 3. Og、 MMA 3. 0g、 HE MA 4. Og、TMSSMA 9. Ogを使用し、ラジカル重合開始剤として AIBN 0. 96 gを使用し、これらを溶剤 PGMEA 59. 9g中において温度 60°C〜100°Cで重合反 応させることにより、 Mn8, 200、 Mwl2, 900である(A)成分(特定共重合体)の溶 液 (特定共重合体濃度: 25. 0質量%)を得た。 (P5)
[0172] <実施例 7乃至 10及び比較例 7乃至 11 >
次の表 3に示す組成に従い、(A)成分の溶液に、(B)成分、(C)成分、(D)成分、( E)成分及び (F)溶剤、実施例 7にお 、ては更に (G)成分としてフッ素系アルカリ可 溶性榭脂を所定の割合で混合し、室温で 3時間撹拌して均一な溶液とすることにより 、各実施例及び各比較例のポジ型感光性榭脂組成物を調製した。
[0173] [表 3]
(A)成分 (B)成分 (C)成分 (D)成分 (E)成分 (F)溶剤 (G)成分 の溶液 (g) (g) (g) (g) (g) (g) (g)
P3 PDFS1 PVE1 NCOl PAG1 MAK P4 実施例 7
11. 8 0. 21 0. 62 0. 41 0. 21 0. 83
P3 PDFS 1 PVE1 NCOl PAG1 MAK
実施例 8
11. 8 0. 21 0. 62 0. 41 0. 21 5. 33
P3 PDFS 1 PVE1 NCOl PAG1 MAK
実施例 9
11. 8 0. 41 0. 62 0. 41 0. 21 6. 03
P3 PDFS2 PVE1 NCOl PAG1 MAK
実施例 10
11. 8 0. 62 0. 41 0. 21 6. 03
P3 PDMS6 PVE1 NCOl PAG1 PGMEA - 比較例 7 o
11. 8 0. 21 0. 62 0. 41 0. 21 5. 33
P3 PDMS6 PVE1 NCOl PAG1 PGMEA
比較例 8
11. 8 0. 31 0. 41 0. 21 5. 63
P3/P4 P dVE1 NCOl PAG1 PGMEA
比較例 9 一
5. 9/8. 2 0. 62 0. 41 0. 21 2. 54
P3 PVE1 NCOl PAG1 PGMEA
比較例 10 ―
11. 8 0. 62 0. 41 0. 21 4. 50
P3/P5 PVE1 NCOl PAG1 PGMEA
比較例 11
5. 9/8. 2 0. 62 0. 41 0. 21 2. 54
[0174] 実施例 7乃至実施例 10並びに比較例 7乃至比較例 11の各組成物について、それ ぞれ、アクリル榭脂との溶液安定性、感度、膜減り(未露光部における)、接触角、プ ラズマ処理耐性及び耐熱性の評価を行った。 n
[0175] [溶液安定性評価]
上記で得られたポジ型感光性榭脂組成物について、この組成物の調製後、透明で 均一に溶解しているものを〇、白濁または不溶物が析出しているものを Xとした。
[0176] [感度の評価]
ポジ型感光性榭脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した 後、温度 110°Cで 120秒間ホットプレート上においてプリベータを行い膜厚 2. 5 μ πι の塗膜を形成した。膜厚は FILMETRICS製 F20を用いて測定した。この塗膜に キャノン (株)製紫外線照射装置 PLA— 600FAにより 365nmにおける光強度が 5. 5mWZcm2の紫外線を一定時間照射し、次!/、で温度 110°Cで 120秒間ホットプレー ト上において露光後加熱(PEB)を行った。その後 0. 4質量%の水酸ィ匕テトラメチル アンモ-ゥム(以下、 TMAHと称す)水溶液に 60秒間浸漬することで現像を行った 後、超純水で 2(^少間流水洗浄を行った。露光部において溶け残りのなくなる最低の 露光量 (mj/cm2)を感度とした。
[0177] [膜減りの評価]
ポジ型感光性榭脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した 後、温度 110°Cで 120秒間ホットプレート上においてプリベータを行い膜厚 2.
の塗膜を形成した。この膜を 0. 4質量%TMAH水溶液に 60秒間浸漬した後、超純 水で 20秒間流水洗浄を行った。次いで、この膜の厚さを測定することで、現像による 未露光部の膜減り度合いを評価した。この評価における膜厚は、 FILMETRICS製
F20を用いて測定した。
[0178] [接触角の評価]
ポジ型感光性榭脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温 度 110°Cで 120秒間ホットプレート上においてプリベータを行い膜厚 2. 5 μ mの塗膜 を形成した。この塗膜を温度 230°Cで 30分間加熱することによりポストベータを行 ヽ 、膜厚 1. 9 mの硬化膜を形成した。この硬化膜上の水およびドデシルベンゼン (D B)の接触角を協和界面科学 (株)製 Drop Masterを用いて測定した。
[0179] [プラズマ (オゾン)処理耐性の評価]
ポジ型感光性榭脂組成物を石英基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、温 度 110°Cで 120秒間ホットプレート上においてプリベータを行い膜厚 2. 5 μ mの塗膜 を形成した。この塗膜を 230°Cで 30分加熱することによりポストベータを行い、膜厚 1 . 9 μ mの硬化膜を形成した。この塗膜を (株)テクノビジョン製 UV— 312を用いて 15 分間オゾン洗浄した。オゾン洗浄処理した膜上の水の接触角を協和界面科学 (株) 製 Drop Masterを用い、前記 [接触角の評価]と同様の方法で測定した。
なお、上記実施例 7のポジ型感光性榭脂組成物カゝら形成した硬化膜の、オゾン洗 浄処理前及びオゾン処理後(5分、 10分、 15分)の接触角の測定結果を [図 1] (水) 及び [図 2] (ドデシルベンゼン)に示した。
[0180] [耐熱性の評価]
上記の [接触角の評価]において、基板を石英基板力 シリコンウェハーに変更し た以外は同様の方法で、膜厚 1. 9 /z mの硬化膜を形成した。この硬化膜を削り取つ て試料とし、 DTA— TG測定を行った。試料の質量が 5質量%減少する温度を 5% 質量減少温度とした。
[0181] [評価の結果]
以上の評価結果を、次の表 4に示す,
[0182] [表 4]
※「膜減りなし」とは測定結果において膜減りが観測されな力、つた (つまり、実際上問題となるような膜 減りが無い)ことを表す
[0183] 実施例 7乃至実施例 10にお!、ては、ポジ型感光性樹脂組成物の調製後、ゲルィ匕 や分離のな 、均一な溶液が得られた。
また、実施例 7乃至実施例 10についてはいずれも高感度であり、未露光部におい て実際上問題となる膜減りが観察されず、良好な耐熱性を示した。そして、 UVオゾン 処理後も、硬化膜表面の高い撥水性及び高い撥油性の低下が抑制された。
[0184] また実施例 7のポジ型感光性樹脂組成物力 なる硬化膜のオゾン洗浄処理前後に おける接触角の測定結果をみると、水(図 1)、ドデシルベンゼン(図 2)共にオゾン洗 浄処理の時間経過による接触角の低下が起こらず、むしろ洗浄処理の経過とともに 接触角が大きくなる傾向を示した。
[0185] 一方、比較例 7及び比較例 8は、ポジ型感光性榭脂組成物の溶液安定性が低く、 均一な溶液を得ることができず、塗膜及び硬化膜を得ることができなカゝつた。
比較例 9は、表面の撥水性及び撥油性は高いが、オゾン処理耐性が低力つた。 比較例 10は、撥水性、撥油性及びオゾン処理耐性ともに低力つた。
比較例 1 1は、表面の撥水性は高いがオゾン処理耐性に劣り、撥油性も低かった。
産業上の利用可能性
[0186] 本発明によるポジ型感光性榭脂組成物は、薄膜トランジスタ (TFT)型液晶表示素 子、有機 EL素子等の各種ディスプレイにおける保護膜、平坦化膜、絶縁膜等の硬 化膜を形成する材料として好適であり、特に、 TFT型液晶素子の層間絶縁膜、カラ 一フィルターの保護膜、アレイ平坦ィ匕膜、反射型ディスプレイの反射膜下側の凹凸 膜、有機 EL素子の絶縁膜等を形成する材料としても好適であり、さらにマイクロレン ズ材料などの各種電子材料としても好適である。
図面の簡単な説明
[0187] [図 1]実施例 7のポジ型感光性榭脂組成物から形成した硬化膜のオゾン洗浄処理前 及び処理後(5分、 10分、 15分)の水の接触角 Θ (° )を示す図である。
[図 2]実施例 7のポジ型感光性榭脂組成物から形成した硬化膜のオゾン洗浄処理前 及び処理後(5分、 10分、 15分)のドデシルベンゼンの接触角 Θ (° )を示す図であ る。