WO2007119715A1 - 軟x線発生装置および除電装置 - Google Patents

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Hitoshi Inaba
Yoshinori Okubo
Yoshiyuki Yagi
Shunichi Sato
Kazuhito Nishimura
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Takasago Thermal Engineering Co., Ltd.
Casio Computer Co., Ltd.
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Abstract

 本発明は、軟X線を発生させる装置において、発熱量を抑え、寿命を延ばすことを目的としている。本発明においては、電子放出部であるエミッタとターゲットを備えた除電装置において、粒径が2nm~100nmのダイヤモンド粒子からなる薄膜がエミッタの表面に形成されている。この薄膜は、XRD測定においてダイヤモンドのXRDパターンを有し、かつラマン分光測定を行った際に、膜中のsp3結合成分とsp2結合成分の比が、2.5~2.7:1である。直流電圧がエミッタに印加されると、しきい値電界強度が1V/μm以下で、エミッタから従来よりも多数の電子が放出され、しかもエミッタの温度も殆ど上昇せず、長寿命化が図ることができる。

Description

明 細 書
軟 X線発生装置および除電装置
技術分野
[0001] 本発明は、軟 X線発生装置、および帯電している物体力 静電気を除去するため の除電装置に関するものである。
背景技術
[0002] たとえば半導体デバイスや FPD用ガラス基板、その他の電子部品の製造装置、製 造ラインにおいては、これらの電子部品から静電気を除去するために、長波長域 (低 エネルギー域)の X線である、波長が 1 A〜数百 Aの軟 X線をこれらの電子部品やそ の基板に対して照射することが行われて 、る。
[0003] 上記したような軟 X線を照射して除電する除電装置においては、基本的には、 X線 の発生方法自体は従来からほぼ同じ手段を用いて 、る。
[0004] すなわち真空雰囲気において、電子放出源であるフィラメントを数百 °C以上に加熱 し、かつ周辺に対し負電圧を印加することで電子を放出させる方式が一般的な発生 方法である。高温での電子放出であるため、放出される電子は熱電子と一般的に言 われている。そして放出された熱電子は電界によって正電位側に向けて加速され、 最終的に真空管構成部材 (いわゆるターゲット)に衝突する。電子のエネルギーは印 カロされる電圧差によって決まるので、例えば電子放出部であるフィラメント電位が 9 kVで、電子が衝突する部材の電位が OVの場合は、放出される電子の運動エネルギ 一は 9keVとなる。
[0005] そして電子放出部力も放出された電子が衝突するターゲットに、制動 X線や特性 X 線を放出しやすい素材を用いることで、 X線が発生する。この種の X線用ターゲットの 材料としては、一般には Wや Ti、 Cu、 Mo等が多く用いられ、ターゲットの厚さは、透 過型の場合は電子進入深さと軟 X線透過率の関係から最適な厚さが特定されるが、 0. 1〜10 ;ζ ΐη程度が一般的である。一方、反射型の場合は、電子進入深さ以上で あればよぐ特に厚みは限定されないターゲット材カも発生した X線は、 X線を比較的 透過しやすい部材で構成された窓を透過して外部に出射される。 [0006] このような発生原理に基づ!/、た X線発生装置にぉ 、て、 X線量を増カロさせるために は、発生させる電子量を増加させる必要がある。例えば、 X線量を 10倍にするために は、発生電子量も 10倍にする必要がある。この場合、印加電圧を変えずに電子数を 10倍にするには、フィラメントの電子発生表面積を増加させる力、あるいはフィラメント 温度をさらに高温ィ匕させるかのいずれかを行う必要がある力 何れの方法においても
、発熱量の大幅な増加につながる。従来の X線発生装置の発熱源の大部分はこのよ うな電子の発生部で起こり、電子電流による発熱(=電子電流 X電圧)は全体の 10 〜25%程度にすぎない。
[0007] 以上のことを踏まえたうえで従来技術を概観すると、特許文献 1 (日本国特許第 27 49202号公報)において使用されている X線発生装置は、 X線透過性の基体上に、 電子を受けて X線を放射する材料よりなる薄 ヽターゲット膜が形成されて ヽるターゲッ ト材を用い、フィラメントとターゲットとの間にグリッド電極が設けられているものを使用 している。
特許文献 2 (日本国特開 2005— 11635号公報)においては、フィラメントに通電し 数百 °C以上にした後に、当該フィラメントにターゲットに対し負電圧を印加することで 、熱電子をターゲットに照射している。
同様に特許文献 3 (日本国特開 2001— 266780号公報)においても、 X線ターゲッ トへの電子として熱電子を用いて 、る。
同様に特許文献 4 (日本国特開平 7— 211273号公報)でも、 X線ターゲットへの電 子として棒状フィラメントから発生させる熱電子を用いて 、る。
特許文献 1 :日本国特許第 2749202号公報
特許文献 2 :日本国特開 2005— 116354号公報
特許文献 3 :日本国特開 2001— 266780号公報
特許文献 4:日本国特開平 7— 211273号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] し力しながら除電用の X線除電装置では、他の用途の X線発生装置と異なり低エネ ルギー(5〜15keV)でかつ X線量の多い線源が必要となるため多くの問題がある。 その中で最も大きい課題は発熱の問題である。
[0009] 特許 2749202号の用途である除電においては、 X線源の発熱のため、精密な温 度制御が要求される工程、例えば液晶ディスプレイ製造や半導体製造における露光 工程に対しては、熱による処理への悪影響があるため、近傍での使用が難しい。そ のため所定の距離を離し、かつ発熱負荷が雰囲気の温度上昇源にならないように、 熱排気や水冷と 、つた個別の排熱処理設備の導入が必要となる。除電性能は距離 のほぼ 3乗に反比例して低下することから、近距離での使用ができないことは、除電 性能面で極めて不利となる。
[0010] また冷却設備は現場での排気ダクトまたは冷却水配管工事も伴うため、トータルコ ストは除電装置本体の 2〜3倍にまで高くなる。さらに X線管構成部材の耐熱性の制 約から、 X線発生装置の除電性能向上には限界があり、用途によっては除電性能が 不十分で適用できな 、ところがある。特に搬送速度の速 、フィルム製造工程などに おいては、現在の X線発生装置では性能不十分であるのが実状である。既述したよう に、高出力化のために X線量を増大させようとすると、発生させる電子量を増加させ なければないが、電子量を増カロさせると必然的に発熱量も増大してしまうからである
[0011] X線除電装置の寿命も発熱による劣化が主な要因である。従来の X線除電装置の 寿命は 10000時間程度であり、連続使用した場合には 1年ぐら!/、で交換しなければ ならない。それゆえさらなる長寿命化のためには、ェミッタの劣化抑制が必要となって くる。具体的には、ェミッタとしてフィラメント構造を採用している場合、使用に伴って 細くなつていくことによる断線防止を図る必要がある。し力しながら何れも高温条件で の使用であることから、現在の技術レベルでは、大幅な改善は難しい。特に、高出力 化と寿命とはトレードオフの関係にあり、両者を同時に改善することは不可能である。
[0012] また一方、 X線除電装置としては、棒状や平板状の X線発生が構造上最も望ま 、 形態であるが、従来の電子発生原理による X線発生装置では、このような構造にする には極めて不向きである。例えば 5cmW (幅) X lOOcmL (高さ) X 2cmD (奥行き) の長方形形状の発生装置を製作するには、 100cmのフィラメントを複数本必要とし、 それに伴って発熱量、発熱面積ともに非常に大きくなつてしまい、その結果本体は水 冷機構を採用した水冷ィ匕構造を採らざるを得なくなり、大型化は避けられない。高い 除電性能を得るには、静電気が発生する場所の近傍に除電装置を設置することが最 も重要であることから、このような水冷ィ匕による大型化は設置の上で大きな制約条件 となり、適用できない場合が多くなる。さらに、フィラメントの総延長の増加は、結果的 に寿命の大幅な短縮ィ匕を招 、てしまうことから、現在の技術では実用化不可能な状 況にある。
[0013] また特開 2005— 116354によれば、本 X線管での発熱の多くは本フィラメント部で の発熱が占め、発生管自身の温度は 100°C前後まで容易に上昇する。既述したよう 、フィラメント自身が細くなることによる断線によってその寿命が定まり、通常 10000時 間程度が限度である。また点灯時は振動にも弱ぐ衝撃によりフィラメントは切れやす くさらに短寿命となってしまう。このため、振動の発生しやすい場所での使用には適さ ないという問題もある。
特開 2001— 266780においては、熱電子発生部がフィラメント構造体でないため 断線がなぐ寿命の点に関しては特開 2005— 116354に比べると長くできるものと期 待できる。し力しながら所定量の熱電子を得るためには、フィラメント相当の昇温が必 要であり、かつフィラメントより加熱容積が大きいことから、発熱量としてはより多くなる ことが予想され、発熱でのデメリットはさらに大きくなる。それと同時に、熱電子の高効 率放出に重要な条件である雰囲気の真空レベルに関しては、特開 2005— 116354 に比べて真空レベルの低下は早くなると推測でき、 X線管の寿命は短くなるものと考 えられる。
特開平 7— 211273に開示された技術でも、フィラメントを採用している関係上、発 熱総量が多くなり、発熱によるデメリットは大きくなる。また、雰囲気の真空度低下に 関しても特開 2001— 266780と同様である。
[0014] 以上述べた従来技術における、大きな出力と連続点灯が要求される除電用 X線発 生装置固有の課題をまとめると次のようになる。
(1)発熱の制約条件力 X線量の高出力化に限界がある。
(2)耐熱性の制約条件から、 X線発生管に使用できる構成部材には制限がある。
(3)高出力化と寿命はトレードオフの関係にある。 (4)面光源化および発生面の大面積化が困難である。
[0015] 本発明は力かる点に鑑みてなされたものであり、電子を発生させる電子放出部の発 熱が抑えられ、それによつて前記した課題を解決した軟 X線発生装置、及び当該軟 X線発生装置を使用した除電装置を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
[0016] 上記目的を達成するため、本発明の軟 X線発生装置は、軟 X線を発生させるため の電子放出部の表面を、粒径が 2nm〜100nmのダイヤモンド粒子、好ましくは 5nm 〜50nmのダイヤモンド粒子カゝらなる薄膜で構成したことを特徴としている。
[0017] ダイヤモンドは、 NEA (負性電子親和力 Negative Electron Affinity)を有し、電子親 和力が小さ 、ので、電子放出部の表面を粒径が nmサイズのダイヤモンド粒子からな る薄膜を構成することにより、電子放出部の表面近傍のポテンシャルバリアが低減し 、より低い電圧、低い電界集中で電子を放出させることができる。そして従来のような フィラメントを採用した熱電子の放出ではないので、発熱量は大幅に抑えられ、かつ 低い電圧でも電子を容易に放出させることが可能であるから、高出力化、すなわち多 量の電子放出によるエックス線量の増加が容易である。さらに発熱削減により、従来 は高温のフィラメントおよび近傍の部材カも脱ガスが少な力もず有り、ターゲット表面 への脱ガス付着による X線発生特性の劣化があった。これに対し本発明では、電子 放出部からは発熱がないため、従来のような脱ガスによるターゲットの劣化が抑制さ れる。またダイヤモンドは、結晶構造が強固なため、硬度が高く化学的にも安定であ るので、素子の劣化が起こりにくぐ軟 X線の発生装置における電子放出素子の材料 として適している。
[0018] ところで、ダイヤモンドを電子放出素子に用いた場合、ダイヤモンドの結晶性が高 いほど基本的な電気伝導度は低ぐ電極ともなる導電性基板との間に良好な電気的 接触を得られにくいということも考えられる。そのため電子放出部の表面に、粒径が n mサイズのダイヤモンド粒子カゝらなる薄膜を形成する場合、ダイヤモンドと導電性基 板との密着性を良好なものとし、しかもダイヤモンド微粒子を均一に分散させることが 重要である。さらにまた高出力のエックス線を得るためには、よりしきい値電界強度の 低 ヽ電子放出素子として電子放出部を構成する必要がある。 [0019] 発明者らは力かる点に照らし、電子放出部の表面に形成される粒径が 2ηπ!〜 100 nm、より好ましくは 5nm〜50nmのサイズのダイヤモンド粒子力もなる薄膜として、次 のような新しい薄膜を開発した。なお粒径が 2ηπ!〜 lOOnmというのは、発明者ら力 後述の図 3と同様なエックス線解析 (リーベルト法の計算)によって得られた結果に基 づくものである。
[0020] すなわちこの薄膜は、 XRD測定にお!、てダイヤモンドの XRDパターンを有し、力 つラマン分光測定を行った際に、膜中の sp3結合成分と sp2結合成分の比が、 2. 5 〜2. 7 : 1である。これによつて後述するように、 ImAZcm2をもたらす電界強度が、 1 V/ μ m以下と 、う条件をクリアした電子放出部を実現して 、る。
[0021] 発明者らの知見によれば、前記した構成のダイヤモンド薄膜を電子放出部の表面 に形成した場合、使用空気雰囲気温度が 25°Cのとき、電子放出部の温度上昇が従 来技術では通常 600°C以上 (周辺との温度差 575°C以上)であったのに対して、本 発明の軟 X線発生装置では 80°C以下 (周辺との温度差 55°C以下)とすることができ 、し力も発生電子数も従来よりもはるかに多く得ることができる。
[0022] さらにまた導電性基板上にカーボンナノウォール (CNW)と前記ダイヤモンド膜と連 続的に成長させることで、よりしきい値電界強度の低い電子放出素子が得られる。ま たこのような 2段構造とすることで電界集中の強化による電子放出特性が向上する。 し力もダイヤモンド薄膜と導電性基板との間に、可塑性に富むカーボンナノウォール を挟むことで、基板材料の選択の幅が広がるだけでなぐダイヤモンド薄膜を成膜し た後の冷却過程にぉ 、て発生する、サーマルショックによるダイヤモンド膜剥離を抑 える効果がある。なおカーボンナノウォールの厚さは、 5 m以下が好ましぐまたそ の形状は、膜状であっても、散在した核状のものであってもよい。
[0023] 軟 X線発生装置として具体化する場合、電子放出部の印加電圧と、ターゲットとの 間の電位差が 5〜15kVで、かつ電子放出部の温度上昇が周辺環境温度比 50°C以 下であることが好ましい。
[0024] また軟 X線が出射される X線出射部の電位が一 100〜+ 100Vの範囲であることが 好ましい。
[0025] 前記電子放出部とターゲットは、例えば両者で平行平板構造をなしているような構 造でもよい。
[0026] そして本発明の除電装置は、以上の軟 X線発生装置を有し、さらに出射される軟 X 線のエネルギー域が 5〜 15keVであることを特徴として!/、る。
[0027] 除電装置の筐体は、体積抵抗率が 109 Ω ·πι未満の導体で構成され、かつ静電遮 蔽できる構造であることが好まし 、。
[0028] また軟 X線を出射する出射用窓は、発生する軟 X線の透過率が 5%以上であること が好ましい。
[0029] 前記出射用窓の窓材は、 Be、ガラス又は A1の少なくとも 1種で構成されていてもよ い。
発明の効果
[0030] 本発明によれば、電子発生に伴う発熱量を大幅に削減することができるので、例え ば除電装置として使用する場合、周囲の雰囲気の温度を変動させず、また高出力化 も容易である。また電子放出部周辺の構成部材として耐熱性は必要なぐしかも容易 に大量の電子が発生できることから、 X線透過能が多少低い材質の窓材でも出射窓 に使用することができる。したがって有害で大面積ィ匕が難しい Be以外に A1(A1合金 含む)やガラスも使用できるようになり、装置設計の自由度が向上している。しかも温 度上昇が少ないので、雰囲気の真空度低下を大幅に改善することができ、長寿命化 が達成できる。もちろんフィラメントを使用しないので断線によって寿命が尽きることも ない。
図面の簡単な説明
[0031] [図 1]第 1の実施の形態に力かる除電装置の平面及び側面断面を示した説明図であ る。
[図 2]第 1の実施の形態に力かる除電装置に用いたェミッタの構造を示す説明図であ る。
[図 3]図 2のェミッタの薄膜の XRD回折図である。
[図 4]図 2のェミッタの薄膜のラマンスペクトルを示すグラフである。
[図 5]図 2のェミッタの薄膜からの電子放出特性を示すグラフである。
[図 6]図 2のェミッタの薄膜における SP3結合成分と SP2結合成分の比と薄膜の電気 抵抗率の変化を示すグラフである。
[図 7]第 2の実施の形態に力かる除電装置の平面及び側面断面を示した説明図であ る。
[図 8]第 3の実施の形態に力かる除電装置の平面及び側面断面を示した説明図であ る。
[図 9]第 4の実施の形態に力かる除電装置の平面及び側面断面を示した説明図であ る。
[図 10]図 9の除電装置と従来型の熱電子放出型の除電装置における印加電圧ーィ オン生成量の関係を示すグラフである。
[図 11]カーボンナノウォールを有するェミッタの構造を示す説明図である。
[図 12]図 11のェミッタのェミッタ膜の XRD回折図である。
[図 13]図 11のェミッタの薄膜からの電子放出特性を示すグラフである。
符号の説明
[0032] 1、 31、 41、 51 除電装置
2、 32、 42、 52 筐体
13、 47、 61 ェミッタ
14 直流電源
15、 44 ターゲット
22、 64 薄膜
63 カーボンナノウォーノレ
発明を実施するための最良の形態
[0033] 次に本発明の好ましい実施の形態について説明すれば、図 1は第 1の実施の形態 にかかる除電装置 1の平面、及び側面断面を示しており、これらの図カゝらもゎカゝるよう に、本実施の形態にカゝかる除電装置 1は、全体として箱形の形状を有している。
[0034] この除電装置 1の真空容器となる筐体 2は、 A1 (アルミニウム)からなる 6枚のパネル 、すなわち天板 3、底板 4、左側板 5、右側板 6、前側板 7、後側板 8が気密に接合さ れて構成されている。筐体 2自体は、接地されている。左側板 5、右側板 6、前側板 7 、後側板 8の内側には、各々絶縁体 11が設けられている。また底板 4の上面には、絶 縁板 12が設けられ、さらにこの絶縁板 12の上面には、電子放出部となるェミッタ 13 が設けられている。ェミッタ 13に対しては、除電装置 1の外部に設置されている直流 電源 14から、所定の直流電圧が印加される。
[0035] 天板 3の裏面(内側面)には、ターゲット 15が設けられている。本実施の形態では、 厚さが: L mのタングステンの薄膜を使用した。なおターゲット 15の材質はエネルギ 一が 5〜15keVの制動 X線あるいは特性 X線を放出する物であればよいので、特に タングステンに限定されるものではなぐその他に例えばチタンなども使用することが できる。ェミッタ 13とターゲット 15とは平行に位置しており、両者で平行平板構造をな している。またェミッタ 13およびターゲット 15とも、サイズは 3cmX 15cmの長方形で ある。 A1の天板 3は、 X線出射窓を構成する。出射窓しては、軟 X線に対する透過性 能が高い物質でかつ真空容器の構成部材としての機械的強度があるものが好ましい 。またターゲット材を蒸着させる基材 (通常は出射窓と兼用される)には、軟 X線透過 能以外に熱伝達能が高 、ことが好ま U、。
[0036] 次にェミッタ 13の構造について詳述する。本実施の形態で用いたェミッタ 13は、図 2に示した構造を有している。すなわち導電性基板 21の上に nmサイズ、例えば 5nm 〜50nmのダイヤモンド粒子が集合した多結晶膜である薄膜 22が形成されている。 薄膜 22の厚さは、 1〜10 μ m、好ましくは 1〜3 μ mがよい。
[0037] この薄膜 22は、次のようにして形成される。まず導電性基板 21として、 Ra (中心線 平均粗さ)が 3 m以下の低抵抗シリコン単結晶板を使用した。そして、 DCプラズマ CVD装置を用いて、導電性基板 21に対して成膜処理を行う。
すなわちまず、シリコン単結晶ウェハ(100)を 30mm X 30mmの方形に切り出し、例 えば 1〜5 μ m径のタイヤモンド粒子でその表面に対してスクラッチ加工を行い、その 後基板表面の脱脂、洗浄を十分に行う。これにより、導電性基板 21表面の Raを 3 m以下にする。
[0038] ついで、メタンガスを 50SCCMと水素ガスを 500SCCM流し、 CVD装置の処理容 器内の圧力を 7998Pa (60Torr)に維持し、導電性基板 21を lOrpmで回転させ、基 板上の温度のばらつきを 5°C以内となるように、基板を加熱するヒータを調整して成 膜処理を行う。そして成膜初期段階においては、基板温度を 750°Cで 30分間保持し 、その後、ヒータの電圧を上昇させて基板温度を 840°C〜890°C、好ましくは 860°C 〜870°Cに上昇させて、 120分間成膜処理を行った。
[0039] このようにして成膜された薄膜 22の表面は、図 2中の円内で示したように、走査型 電子顕微鏡見ると、ダイヤモンドの微粒子が数十力 数百個程度集まってできた「笹 葉」構造が見られる。また膜の表面は平坦で歪みも無い。薄膜自体は単一組織であ り、図 3に示した XRDパターン回折によっても、薄膜 22は、導電性基板 21との界面 力も薄膜 22の表面までダイヤモンドの均一膜であることが確かめられた。なお図 3は 、平行ビーム法によるものであり、 α = 1° である。なおこの薄膜 22においては、ダラ ファイトのピークは確認できな力つた。
[0040] 次にその特徴をさらに詳しく言うと、
(1)表面は 5ηπ!〜 50nmの微粒が数十力も数百個程度集まってそれらが 1つの「笹葉 」のような構造を示している。
(2)薄膜 22の平坦な表面から突出した部分の高さが 3 μ m以上 10 μ m以下であり、 太さが 10〜: LOOnm程度の針状突起が、 1万本〜 10万本 Zmm2の密度で存在して いる。
(3)針状突起のない部分の表面粗さは、薄膜下部の構造が反映されなければ Raが 500nm以下である。
(4)波長が 532nmのレーザによるラマン分光測定によれば、 1333cm_1ダイヤモン ドのピークの半値幅が 500cm_1以上であり、図 4に示したように、 1360cm_1付近を 頂点とするピークと、 1581cm_ 1がピークの、 2つのピークを有している。
[0041] この薄膜 22の I—V特性を調べると、図 5に示したようになった。これによれば、しき い値電界強度は 0. 95VZ mであった。なおこの薄膜 22が表面に形成されている ェミッタ 13からの電子放出による蛍光板の発光状態を調べると、発光の斑も無く均一 な発光状態が観察できた。
[0042] また発明者がさらに調べたところ、この薄膜 22における膜中のダイヤモンド成分に 由来する sp3結合と、グラフアイト成分に由来する sp2結合の比を調べると、 2. 5であ つた。そこで前記した成膜温度の範囲内で適宜変更して、 sp3結合成分と sp2結合 成分の比を変え、電気抵抗率と関係を示すと、図 6のようになった。 sp3結合成分と sp 2結合成分の比の評価は、ラマン発光法によって評価した。また sp3結合成分と sp2 結合成分の比は、プラズマ密度によっても影響されるが、成膜の過程で分光すること でその放射率を計算し、放射率が 0. 7であれば、 sp3 (ダイヤモンド)、 1に近ければ s p2 (グラフアイト)と、間接的に膜組成を推測することができる。そして、 sp3結合 ZsP2 結合成分比が、 2. 5から 2. 7の間で、良好なェミッションとして期待できる電気抵抗 率である lk Ω cm〜20k Ω cmが得られることが判った。
[0043] 以上の特性を有する薄膜 22をェミッタ 13の表面に形成した本実施の形態に力かる 除電装置 1によれば、ェミッタ 13に直流電圧を印加することで、軟 X線は出射窓(天 板 3)から 180度に近い広がりで照射される。そしてェミッタ 13に対して一 9. 5kVの 直流電圧を印カロした際、電子照射量 (電子電流換算)は 5mAとなり、従来のフィラメ ント型と比べて約 30倍にも達した。本実施の形態では、出射窓(天板 3)の材料に、 従来一般の Beより透過能の低い A1を使用しているので、結果的に透過率は Be比で 約 1Z5となるが、最終的に得られる軟 X線の X線量は、従来のフィラメント Be出射 窓型の 6倍(30 X 1Z5)になった。
[0044] そしてェミッタ 13での温度上昇はほとんどなぐ数。 Cレベルであった。もっとも、電子 電流による発熱分(5mAX 9kV=45W)は発熱する力 出射窓(天板 3)、および筐 体 2の材料に熱伝達率の高い A1を使用しているため、装置自身の温度上昇は比較 的低いものである。この点、本実施の形態に力かる除電装置と同様の X線照射量を 得るために従来のフィラメント型の軟 X線除電装置を動作させた場合には、総発熱量 は 300W相当にもなると予測され、温度上昇による短寿命化と、除電対象物への熱 の影響が懸念される。し力しながら前記したように、本実施の形態に力かる除電装置 1によれば、温度上昇が小さいので、寿命がはるかに長くなり、また除電対象物、周 囲環境の温度に対する影響は少な!/、ものである。
[0045] なお本実施の形態では、出射窓の材料に Beより透過率の低い A1を使用した力 A1 は Beよりも機械的強度が高いことから、厚みは Beよりも薄くすることができる。また機 械的強度が高いので、 Beを窓材に使用した装置よりも、取り扱いが容易であり、しか も Beよりも大型の出射窓を形成することも容易である。
[0046] もちろん出射窓の材料に Beを用いてもよぐその場合には、たとえば長手方向 2cm 毎に適宜の補強材を追加することで、より透過率の高い Be製の出射窓とすることは 可能である。かかる場合、同じ X線量を得るのに、電子発生量は 1Z5に削減できるこ とから、発熱総量を 9W(=45Z5)と、さらに大幅に軽減できるメリットがある。
[0047] なお発明者らの知見によれば、本発明に使用する電子放出部としてのェミッタを製 造する場合、基板は、その表面の中心線平均粗さが 3 m以下のものがよぐまた成 膜ガスとして使用するガスについては、メタン濃度をそれ以外のガス濃度に対する比 を 8%以上とするのがよい。また成膜のラスト 0. 5時間以上において、基板温度を、基 板表面の一部にグラフアイトが堆積し始める温度から— 20°C〜 + 20°Cの範囲で制 御して成膜処理するのがよ 、。
[0048] 前記した第 1の実施の形態にかかる除電装置 1は、全体として箱型形状であつたが 、もちろん本発明の除電装置は、その他の形状の装置としても具現ィ匕できる。図 7に 示した第 2の実施の形態に力かる除電装置 31は、幅の大きなフィルムやガラス基板 などが連続搬送される際に発生する静電気の除電用に適した装置構成を有しており 、全体として棒状の構造としている。そのため出射窓(天板 3)の大きさは、 0. 5cm X 100cmのものを使用している。また筐体 32自体は、第 1の実施の形態に力かる除電 装置 1と同様、 A1合金を採用している。なお第 1の実施の形態に力かる除電装置 1と 同一の機能を持った部材には、同一の符号を付している。そしてこの第 2の実施の形 態に力かる除電装置 31においては、ターゲット 15の材料に Tiを用い、また印加電圧 を— 10kVとしている。この第 2の実施の形態に力かる除電装置 31においても、第 1 の実施の形態に力かる除電装置 1と同様、数 cmおきに、適宜補強材を追加すること で、出射窓(天板 3)のみ、材料を Beに容易に変更できることはもちろんである。
[0049] 図 8には、第 3の実施の形態に力かる除電装置 41の平面、及び側面断面を示して いる。この第 3の実施の形態に力かる除電装置 41は、ガラスの円筒型の X線除電装 置である。すなわちこの除電装置 41の筐体 42自体は、全て絶縁体である円筒形の ガラスで構成されている。そして出射窓となる直径 2cmの天板 43の裏面には、ター ゲット 44が設けられている。本実施の形態では、ターゲット 44に、厚さが 1 μ mのタン ダステン膜を採用している。また底板 45の上面には、絶縁体 46を介して円盤状のェ ミッタ 47が設けられ、このェミッタ 47は、直流電源 14と接続されている。このェミッタ 4 7の構造は、前記した第 1の実施の形態に力かるェミッタ 13と同じであり、その表面に は、前記した薄膜 22と同一構成のダイヤモンド薄膜が形成されている。
[0050] 除電装置 41の筐体 42は、前記したように全て絶縁材のガラスで構成されて ヽるた め、天板 43以外の筐体 42の表面、すなわち外周、底板 45の外側は、 A1合金からな る円筒形のケース 48で覆われており、このケース 48は接地されている。
[0051] この第 3の実施の形態に力かる除電装置 41において、印加電圧を一 12kVとして ェミッタ 47に直流電圧を印加すると、電子照射量は 2mAで、総発熱量は約 24Wで あった。そして得られる X線量は、 X線透過能が Beの 1Z5の A1を出射窓(天板) 43 に使用して 、るにもかかわらず、従来のフィラメント Be出射窓タイプの装置と比べ て 2倍であった。
[0052] 図 9は、第 4の実施の形態にかかる除電装置 51の平面、側面断面を示しており、こ の除電装置 51の筐体 52は、第 3の実施の形態に力かる除電装置 41における天板 4 3以外は、筐体 42と同じガラス製の円筒形状をなしている。そしてこの第 4の実施の 形態に力かる除電装置 51においては、天板 53の材料に、 Beを使用している。
[0053] この第 4の実施の形態に力かる除電装置 51によれば、出射窓となる天板に Beを用 いたので、 X線量は従来と比べて 10倍となる。また発熱量は第 3の実施の形態にか 力る除電装置 41と同じ 24Wである。したがって、 X線量が 1Z10の従来装置と同等 の発熱量であるので、同じ X線量当たりの発熱量は従来のフィラメント Be出射窓タ イブの装置よりも 1Z10に削減されていることが分かる。
[0054] 次にこの除電装置 51において、出射窓となる天板 53に、 0. 6mmの Be板、ターゲ ット 44に Mo、ェミッタ 47に、表面カ¾111サイズのダイヤモンド粒子からなる薄膜を有 する約 0. 25cm2のェミッタを使用した場合と、熱電子を放出するフィラメントをェミツ タに使用している従来型の除電装置との、同じ照射距離における除電性能を評価し た結果例を図 10のグラフに示した。
[0055] このグラフにおいては、横軸にェミッタ ターゲット間の電位差 (直流印加電圧)をと り、縦軸に除電性能の指標となる空気イオン (正と負のイオン)生成量を単位消費電 力当たりで示した。除電性能はイオン対生成量とは比例関係にあり、イオン生成量が 2倍であれば除電性能も 2倍となる。上記仕様に力かる除電装置 51のイオン生成量 は、印加電圧上昇と共に若干増加傾向にあり、何れの印加電圧域においても、ェミツ タとして熱電子を放出するフィラメントを使用している従来型の除電装置のイオン生 成量の 10倍以上の発生量が得られて 、る。
[0056] なお、前記した仕様の除電装置 51ェミッタ電流密度は 4〜6mAZcm2のレベルで あり、最適な範囲となっている。また、ェミッタとターゲット間の距離は 10mm以下であ り、非常にコンパクトな除電装置となっている。また除電装置全体で説明すると、比較 した従来型除電装置よりも 10倍の除電性能を有している前記仕様になる除電装置 5 1の消費電力は 5〜6Wであり、これに対して従来型除電装置は 6〜8Wであったので 、同一イオン生成量に対しては、 1Z10以下の消費電力で済み、極めて効率がよい 。なおこの比較においては、実施の形態の除電装置の電源系でのロス分が含まれて いないため、実際には数分の一程度の差になるものと予測される。
[0057] なお図 10に示したデータは、従来型とほぼ同じ構造の除電装置でのイオン生成量 の比較データである力 図 1、図 7、図 8において示した構造の除電装置においても、 同様に大幅なイオン生成量の増加が見込まれる。
[0058] 前記各実施の形態において使用したェミッタ 13、 47においては、導電性基板の上 にダイヤモンドの薄膜を形成したものを用いていたが、導電性基板と薄膜との間に、 カーボンナノウォールを介在させたェミッタを用いてもよ 、。
[0059] 図 11にカーボンナノウォールを介在させたェミッタ 61の構造を示した。このェミッタ 61は、ニッケル基板 62の上にカーボンナノウォール力 なる中間層 63が形成され、 さらにその上に粒径が 2nm〜100nm、好ましくは 5nm〜50nmのダイヤモンド粒子 力もなる薄膜 64が形成された構造を有して 、る。
[0060] 力かる構造を有するェミッタ 61は、例えば次のようなプロセスによって得られる。ま ずニッケル基板 62上に、 DCプラズマ CVD装置を用いて、カーボンナノウォールの 核を形成し、っ 、でこの核を成長させて花弁状の炭素薄片を備えたカーボンナノゥォ ールを形成させる。形成前には、既述した薄膜形成のときと同様、ニッケル基板 62の 表面を脱脂、洗浄を十分に行う。
[0061] 反応ガスは炭素含有化合物気体と水素との混合気体であり、炭素含有化合物とし ては、メタン、ェタン、アセチレンなどの炭化水素化合物、メタノール、エタノールなど の酸素含有炭化水素化合物、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、二酸化炭 素およびこれらの混合物を用いることができる。そしてこれらの反応ガスの混合比、ガ ス圧、基板バイアス電圧などの条件を適切に選択することにより、基板温度 700°C〜 1000°Cの範囲において、ニッケル基板 62上のスクラッチ近傍にカーボンナノウォー ルの核を形成することができる。
[0062] 例えばメタン流量を 50SCCM、水素を 500SCCM流し、 CVD装置の処理容器内 の圧力を 7998Pa (60Torr)に維持し、ニッケル基板 62を lOrpmで回転させ、基板 上の温度のばらつきを 5°C以内となるように、基板を加熱するヒータを調整して成膜を 行った。そして成膜の際の基板の温度は、 900°C〜1100°C、好ましくは 890°C〜95 0°Cとし、成膜時間は 120分として成膜処理を行った。これによつて、まずニッケル基 板 62上にカーボンナノウォールの核が発生し、この核が成長することによって花弁状 の炭素薄片を備えたカーボンナノウォールを形成させてニッケル基板 62上にカーボ ンナノウオールの中間層 63を形成させることができ、さらに成長が進んで連続して当 該中間層 63上に薄膜 64を形成することができる。
[0063] カーボンナノウォールは優れた電子放出特性をもつ力 数ミクロンの凹凸があり均 一なェミッションサイトを形成することが困難である。したがって微粒ダイヤモンドの薄 膜をカーボンナノウォール上に成膜することで均一な表面形状を得ることができる。こ の場合のカーボンナノウォールの厚さは、膜の形成には至らない核のみの状態〜 5 μ mまでがよい。そしてこれを中間層としてその上に形成されるナノダイヤモンド膜の 厚さは、 0. 5 m〜5 μ m、好ましくはカーボンナノウォール核、カーボンナノウォー ル膜を全面被覆する最低の厚さがよい。すなわち、ダイヤモンド膜は、カーボンナノ ウォールの花弁状グラフエンシート集合体の包絡面を、欠損がなく皮膜するまで成膜 されるのがよい。
[0064] そしてナノダイヤモンド膜がカーボンナノウォールの凸凹をなめらかにするため、ェ ミッタ力 の電子放出が平坦ィ匕される。また構造が平坦ィ匕するために電界集中が弱 まるが、その効果以上に仕事関数が下がるために、しきい値電界強度を 0. 9ν μ m以下にすることができる。
[0065] さらにカーボンナノウォールはダイヤモンドと比べると、比較的容易にあらゆる物質 に成膜することができる。そのため金属基板上への微粒ダイヤモンドを成膜するため の中間層としてカーボンナノウォールを生成させ、その上に微粒ダイヤモンドを堆積 させた構造のェミッタは、導電性基板の材料の選択の幅が広がり、設計の自由度が 高い。
[0066] 図 11に示した構成を有するェミッタ 61のェミッタ膜の X線回折図を図 12に示した。
既述のェミッタ 13と比較すると、グラフアイト (CNW)のピークが観察されている。そし てこのェミッタ 61の I—V特性を調べると、図 13のようになった。これによれば、しきい 値電界強度は 0. 84VZ / mであった。すなわちカーボンナノウォールの中間層を有 するェミッタ 61によれば、カーボンナノウォールの中間層を持たない前出のェミッタ 1 3よりもさらにしきい値電界強度が下がっている。したがって電界集中の強化によって 、さらに電子放出特性が向上する。また製造にあたっても触媒を必要とせず、し力も 導電性基板の選択の幅が広がるというメリットがある。
[0067] 以上説明したように、従来の熱電子方式の軟 X線発生装置では、電子放出量がェ ミッタ温度、ェミッタ表面積、およびェミッタ表面に印加される電界強度に依存する。 ところ力 ェミッタは使用と共に細くなることによる表面積の減少や表面温度の変化が あるため、電子放出量は変動しやすい。この対策として、一般的に、ェミッタとターゲ ット間にグリッド電極を設けて、電子電流が一定となるようグリッド電極に電圧を印加し 制御している。
一方、本発明の軟 X線発生装置ゃ除電装置では、発生する電子電流は、ェミッタ 面積とェミッタ表面近傍の電界強度のみに依存するため、これらには経時変化がなく
、設計通りの電子電流が永続的に安定して得られる。つまり、グリッド電極のない簡単 な構造でコンパクトかつ安価な軟 X線発生装置とすることができる特徴を有する。もち ろん、グリッド電極を設けても性能面でのデメリットはないので、従来と同様の 3極構 造 (ェミッタ、グリッド、ターゲット電極)にしても問題はない。
[0068] ナノダイヤモンド電子放出素子を応用した素子は、サブミリメートルオーダーの電子 の発生斑があるために可視光の発光素子として用いる場合には、 3極構造などの対 策を講じ、平滑ィ匕する必要がある。しかし軟 X線発生管による除電装置に応用した場 合は、軟 X線発生源力ゝらの X線の広がりが大きぐ放射される X線に斑が生じにくい。 また軟 X線によって被除電物周辺の大気をイオンィ匕させることで除電を行なうため、 発生イオンの移動範囲内で X線のばらつき(斑)があっても、機能的に問題がない。よ つて除電装置は、ナノダイヤモンドエミッタを用いた応用装置として最適である。 産業上の利用可能性
本発明は、特に半導体デバイスをはじめとする各種電子部品や、 FPD用ガラス基 板、その他温度条件が厳格な環境の下で製造される製品の製造プロセスにおいて、 これら部品、製品の静電気の除去に特に有用である。

Claims

請求の範囲
[1] 電子放出部とターゲットを備えた軟 X線発生装置であって、
前記電子放出部の表面は、粒径が 2ηπ!〜 lOOnmのダイヤモンド粒子力 なる薄膜 で構成されている。
[2] 請求項 1の軟 X線発生装置において、
前記薄膜は、 XRD測定においてダイヤモンドの XRDパターンを有し、かつラマン分 光測定を行った際に、膜中の sp3結合成分と sp2結合成分の比力 2. 5〜2. 7 : 1で ある。
[3] 請求項 1の軟 X線発生装置において、
前記電子放出部の導電性基板と前記薄膜との間には、厚さが 5 μ m以下のカーボン ナノウォールが設けられて 、る。
[4] 請求項 1の軟 X線発生装置において、
電子放出部の印加電圧と、ターゲットとの間の電位差が 5〜15kVであり、 電子放出部の温度上昇が周辺環境温度比 50°C以下である。
[5] 請求項 1の軟 X線発生装置において、
軟 X線が出射される X線出射部の電位が— 100〜 + 100Vの範囲である。
[6] 請求項 1の軟 X線発生装置において、
前記電子放出部とターゲットは平行平板構造をなしている。
[7] 対象物あるいはその近傍に軟 X線を照射して、当該対象物の静電気を除去する除電 装置であって、
電子放出部とターゲットを備えた軟 X線発生装置を有し、
前記電子放出部の表面は、粒径が 2ηπ!〜 lOOnmのダイヤモンド粒子力 なる薄膜 で構成され、
この除電装置から出射される軟 X線のエネルギー域が 5〜15keVである。
[8] 請求項 7に記載の除電装置において、
除電装置の筐体は、体積抵抗率が 109 Ω ·πι未満の導体で構成され、かつ静電遮蔽 できる構造である。
[9] 請求項 7に記載の除電装置において、 軟 X線を出射する出射用窓は、発生する軟 X線の透過率が 5%以上である。 請求項 9に記載の除電装置において、
前記出射用窓の窓材は、 Be、ガラス又は A1の少なくとも 1種で構成されている
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"Kochi-Ken Chiiki Kesshugata Kyodo Kenkyu Jigyo Jisedai Joho Device yo Usumaku Nano Gijutsu no Kaihatsu", ZAIDAN HOJIN KOCHI-KEN SANGYO SHINKO CENTER, February 2006 (2006-02-01), pages 6 - 14, XP003018548 *

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