JP7112234B2 - X線発生装置及びx線利用システム - Google Patents

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Description

本発明の一形態は、X線発生装置であり、別の形態はX線利用システムである。
X線発生装置は、ターゲットに対して電子を衝突させることにより、X線を発生させる。X線管への入力エネルギは、X線のエネルギと、熱エネルギとに変換される。例えば、特許文献1に示すように、X線発生装置は、X線管が発する熱エネルギを排出する冷却装置を備えている。特許文献2は、X線発生装置からX線を照射する際に冷却装置の動作が影響を及ぼすことを示唆している。例えば、特許文献3は、熱媒体としてのオイルの流れを制御することにより、X線を安定に照射する技術を開示する。
特開平5-56958号公報 特許第2769434号公報 特許第5315914号公報
X線管が出射するX線のエネルギが大きくなるに従い、入力エネルギも大きくなる。その結果、熱エネルギも大きくなる。そこで、冷却装置の出力を上げて、X線管から発生した熱エネルギを十分に排出させる必要が生じる。しかし、冷却装置の出力の増加に伴って、冷却装置の動作がX線発生装置の動作安定性に及ぼす影響も増大する可能性が生じる。
そこで、本発明の一側面及び別の側面は、高い安定性をもって動作することができるX線発生装置及びX線利用システムを提供することを目的とする。
本発明の一形態であるX線発生装置は、X線管と、モータを有し、X線管に熱媒体を提供する熱媒体提供部と、モータの回転数を制御するモータ制御部と、X線管及び熱媒体提供部が取り付けられる装置筐体と、を備え、モータ制御部は、モータの回転数を、X線管及び装置筐体を含む構造物が有する共振周波数からずらす。
このX線発生装置は、熱媒体提供部から提供される熱媒体によってX線管の温度が制御される。ここで、熱媒体提供部は、モータを有しており、当該モータの回転数は、モータ制御部から提供される制御信号によって制御される。モータ制御部は、モータの回転数を、X線管及び装置筐体を含む構造物が有する共振周波数からずらす。そうすると、モータが発する振動に起因する共振現象が避けられる。従って、X線管への振動の影響が低減される。その結果、X線発生装置は、高い安定性をもって動作することができる。
上記のX線発生装置は、X線管から出力されるX線の強度を制御するX線制御部をさらに有し、モータ制御部は、X線の強度に基づいてモータの回転数を制御してもよい。X線管が発生する熱量は、X線の強度と関連する。そこで、モータの回転数をX線の強度と関連付けることにより、効率のよい冷却を行うことができる。
モータ制御部は、X線の強度が大きくなるほどモータの回転数を大きくし、X線の強度が小さくなるほどモータの回転数を小さくしてもよい。X線の強度が大きくなると、X線管が発する熱量も多くなる。そこで、モータ制御部は、モータの回転数を大きくし、冷却性能を上げる。一方、X線の強度が小さくなると、X線管が発する熱量も少なくなる。そこで、モータ制御部は、モータの回転数を小さくし、冷却性能を下げる。従って、さらに効率のよい冷却を行うことができる。
熱媒体提供部は、モータによって回転するファンを含み、ファンによって熱媒体である気体をX線管に提供してもよい。この構成によれば、簡易な構成によってX線管の温度を制御することができる。
上記のX線発生装置は、X線管を収容し、装置筐体に取り付けられる収容部をさらに備え、収容部は、熱媒体提供部から離間した位置に配置されてもよい。この構成によれば、装置筐体において熱媒体提供部とX線管とが互いに離れた位置に配置される。その結果、熱媒体提供部が発した振動は、X線管に伝わるまでに減衰し易くなる。従って、熱媒体提供部の動作に起因するX線管への影響がさらに抑制されるので、X線発生装置は、高い安定性をもって動作することができる。
上記のX線発生装置は、X線管に電圧を提供する電源を含む樹脂ブロック部をさらに備え、収容部は、樹脂ブロック部を介して装置筐体に取り付けられてもよい。この構成によれば、装置筐体に伝わった振動は、樹脂ブロック部を介してX線管を収容した収容部に伝わる。その結果、振動は、樹脂ブロック部を伝わる間に減衰する。従って、熱媒体提供部の動作に起因するX線管への影響がいっそう抑制されるので、X線発生装置は、高い安定性をもって動作することができる。
本発明の別の形態に係るX線利用システムは、X線管と、モータを有しX線管に熱媒体を提供する熱媒体提供部と、X線管及び熱媒体提供部が取り付けられる装置筐体と、を有するX線発生装置と、モータの回転数を制御するモータ制御装置と、X線発生装置が取り付けられるシステム筐体と、を備え、モータ制御装置は、モータの回転数を、X線発生装置及びシステム筐体を含む構造物が有する共振周波数からずらす。
X線利用システムでは、モータ制御装置が、モータの回転数を、X線発生装置及びシステム筐体を含む構造物が有する共振周波数からずらす。そうすると、当該構造物が共振現象を生じることがない。従って、熱媒体提供装置の動作に起因するX線利用システム全体への影響が抑制される。従って、X線利用システムは、高い安定性をもって動作することができる。
本発明のさらに別の形態に係るX線利用システムは、X線管と、X線管が取り付けられる装置筐体と、モータ制御部と、を有するX線発生装置と、モータを有しX線管に熱媒体を提供する熱媒体提供装置と、X線発生装置及び熱媒体提供装置が取り付けられるシステム筐体と、を備え、モータ制御部は、モータの回転数を、X線発生装置及びシステム筐体を含む構造物が有する共振周波数からずらす。
このX線利用システムによっても、熱媒体提供装置の動作に起因するX線利用システム全体への影響が抑制されるので、X線利用システムは、高い安定性をもって動作することができる。
本発明のさらに別の形態に係るX線利用システムは、X線管と、X線管が取り付けられる装置筐体と、を有するX線発生装置と、モータを有し、X線発生装置に熱媒体を提供する熱媒体提供装置と、モータの回転数を制御するモータ制御装置と、X線発生装置及び熱媒体提供装置が取り付けられるシステム筐体と、を備え、モータ制御装置は、モータの回転数を、X線発生装置及びシステム筐体を含む構造物が有する共振周波数からずらす。
このX線利用システムによっても、熱媒体提供装置の動作に起因するX線利用システム全体への影響が抑制されるので、X線利用システムは、高い安定性をもって動作することができる。
本発明の一側面及び別の側面によれば、高い安定性をもって動作することができるX線発生装置及びX線利用システムを提供することができる。
第1実施形態のX線発生装置の外観を示す斜視図である。 図1におけるII-II線に沿った断面図である。 図2におけるIII-III線に沿った上壁部の断面図である。 X線管の構成を示す断面図である。 第1実施形態のX線発生装置を示す図である。 焦点径とモータ回転数との関係を示すグラフである。 第2実施形態のX線検査システムを示す図である。 焦点径とモータ回転数との関係を調整するためのフロー図である。 筐体に対する電源装置及びX線管の固定例を示す図である。 第1変形例に係るX線検査システムの構成を示す図である。 第2変形例に係るX線検査システムの構成を示す図である。 第3変形例に係るX線検査システムの構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、「上」、「下」等の所定の方向を示す語は、図面に示される状態に基づいており、便宜的なものである。
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係るX線発生装置の外観を示す斜視図である。図2は、図1におけるII-II線に沿った断面図である。図1及び図2に示されるX線発生装置1は、例えば、被検体の内部構造を観察するX線非破壊検査に用いられる微小焦点X線源である。X線発生装置1は、筐体2(装置筐体)を有する。筐体2の内部には、主に、X線を発生するX線管3と、X線管3の一部を収容するX線管収容部4と、X線管3に電力を供給する電源部5とが収容されている。筐体2は、第1収容部21と、第2収容部22(包囲部)とを有する。
第1収容部21は、主に電源部5を収容する部分である。第1収容部21は、底壁部211と、上壁部212と、側壁部213とを有する。底壁部211及び上壁部212は、それぞれ略正方形状を有する。底壁部211の縁部と上壁部212の縁部とは、4つの側壁部213を介して連結されている。これにより、第1収容部21は、略直方体状に形成されている。なお、本実施形態では便宜的に、底壁部211と上壁部212とが互いに対向する方向をZ方向とし、底壁部211側を下方、上壁部212側を上方と定義する。また、Z方向に直交し、互いに対向する側壁部213同士が対向する方向をX方向及びY方向とする。
図3は、図2における下側から見た上壁部212の断面図である。図3に示されるように、Z方向から見た上壁部212の中央部には、円形の開口部212aが設けられている。また、上壁部212には、開口部212aを挟んでX方向に互いに対向する位置において、一対の開口部212b,212c(第1開口部,第2開口部)が設けられている。開口部212b,212cは、長手方向がY方向に沿った略長方形状を有する。
底壁部211と上壁部212との間には、底壁部211及び上壁部212のいずれからも離間した位置に中間壁部214が設けられている。このような中間壁部214によって、第1収容部21の内部には、上壁部212と側壁部213と中間壁部214とに囲まれた第1収容空間S1と、底壁部211と側壁部213と中間壁部214とに囲まれた第2収容空間S2とが画成されている。第1収容空間S1において、中間壁部214の上面214aには、電源部5が固定されている。第2収容空間S2において、中間壁部214の下面214bには、制御回路基板7が取り付けられている。制御回路基板7上には、図示しない各種電子部品によってX線発生装置1の各部(例えば、電源部5、後述する送風ファン9、及び後述する電子銃11等)の動作を制御するための制御回路が構成されている。
第2収容部22は、第1収容部21の上部に接続され、X線管3及びX線管収容部4を収容する部分である。第2収容部22は、X線管3の管軸AXに沿った方向(管軸方向、Z方向)から見て、X線管収容部4を包囲している。第2収容部22は、上壁部212の上面212eに対してネジ留め等で固定されている。第2収容部22の上部には、少なくともX線管3のX線出射窓33a(図1及び図4参照)を外部に露出させるための開口部221aが設けられている。
X線管収容部4は、高い熱伝導率を有する(放熱性が高い)金属により形成されている。X線管収容部4の材料は、例えばアルミニウムや、鉄、銅、及びそれらを含む合金等が好ましく、本実施形態においてはアルミニウム(またはその合金)である。X線管収容部4は、X線管3の管軸方向(Z方向)における両端に開口を有する筒状をなしている。X線管収容部4の管軸は、X線管3の管軸AXと一致している。X線管収容部4は、保持部41と、円筒部42と、フランジ部44とを有する。保持部41は、図示しない固定部材を用いて、X線管3をフランジ部311において保持する部分であり、X線管3とともにX線管収容部4の上部開口を気密に封止している。円筒部42は、保持部41の下端に接続され、Z方向に延びる円筒状に形成された部分である。フランジ部44は、円筒部42の端部に接続され、Z方向から見て外側に延びる部分である。フランジ部44は、Z方向から見て、上壁部212の開口部212aを包囲する位置において、上壁部212の上面212eに対して気密に固定されている。本実施形態では、フランジ部44は、上壁部212の上面212eに熱的に接続(熱伝導可能に接触)している。X線管収容部4の内部には、電気絶縁性の液体である絶縁オイル45が気密に封入(充填)されている。
電源部5は、X線管3に数kV~数百kV程度の電力を供給する部分である。電源部5は、固体のエポキシ樹脂からなる絶縁ブロック51(樹脂ブロック部)と、絶縁ブロック51内にモールドされた高電圧発生回路を含む内部基板52とを有する。絶縁ブロック51は、略直方体状をなしている。絶縁ブロック51の上面中央部は、上壁部212の開口部212aを貫通し、突出している。一方、絶縁ブロック51の上面縁部51aは、上壁部212の下面212fに対して気密に固定されている。絶縁ブロック51の上面中央部には、内部基板52に電気的に接続された円筒状のソケットを含む高圧給電部54が配置されている。電源部5は、高圧給電部54を介してX線管3に電気的に接続されている。
開口部212aに挿通された絶縁ブロック51の突出部分の外径は、開口部212aの内径と同じか僅かに小さくされている。
本実施形態では、X方向に互いに対向する側壁部213A,213Bの各々に、通風孔部Aが設けられている。通風孔部Aには、第1収容空間S1と外部とを連通させる複数の通風孔213aが設けられている。一方の側壁部213Aの内側には、冷却部として送風ファン9(熱媒体提供部)が設けられている。送風ファン9は、筐体2内に形成された空間構成を利用することにより、X線管収容部4、電源部5及び制御回路基板7等の各部を効率的に冷却する。
具体的には、送風ファン9は、側壁部213Aに設けられた通風孔部Aから外気を取り込むことにより冷却気体を発生させ、当該冷却気体を第1収容空間S1のうち側壁部213Aと電源部5との間の空間S11に送風する。空間S11内に送風された冷却気体により、電源部5が冷却される。
空間S11内を流通する冷却気体の一部は、上壁部212の開口部212bを介して、X線管収容部4の外面(円筒部42の外面)と第2収容部22の内面との間に画成された包囲空間S3に流入する。また、包囲空間S3は、X線管3と第2収容部22の内面との間にも画成されている。包囲空間S3は、Z方向から見てX線管収容部4を取り囲むように形成されている。包囲空間S3に流入した冷却気体は、X線管収容部4の周囲を通過することによりX線管3及びX線管収容部4の外面を冷却する。そして、当該冷却気体は、上壁部212の開口部212cを介して、再度第1収容空間S1(第1収容空間S1のうち側壁部213Bと電源部5との間の空間S12)に流入し、側壁部213Bに形成された通風孔部A(排気部)から外部に排出される。
中間壁部214には、空間S11と第2収容空間S2とを連通させる開口部214cと、空間S12と第2収容空間S2とを連通させる開口部214dとが形成されている。これにより、空間S11内を流通する冷却気体の一部は、中間壁部214の開口部214cを介して第2収容空間S2に流入する。第2収容空間S2に流入した冷却気体により、制御回路基板7が冷却される。そして、当該冷却気体は、中間壁部214の開口部214dを介して、再度第1収容空間S1(空間S12)に流入し、側壁部213Bに形成された通風孔部Aから外部に排出される。
次に、X線管3の構成について説明する。図4に示されるように、X線管3は、いわゆる反射型X線管と呼ばれるものである。X線管3は、内部を真空に保持する真空外囲器としての真空筐体10と、電子発生ユニットとしての電子銃11と、ターゲットTとを備えている。電子銃11は、例えば、高融点金属材料等からなる基体に易電子放射物質を含浸させたカソードCを有する。また、ターゲットTは、例えば、タングステン等の高融点金属材料からなる板状部材である。ターゲットTの中心は、X線管3の管軸AX上に位置している。電子銃11及びターゲットTは、真空筐体10の内部に収容されており、電子銃11から出射された電子がターゲットTに入射するとX線が発生する。X線はターゲットTを基点に放射状に発生する。X線出射窓33a側に向かうX線の成分のうち、X線出射窓33aを介して外部に取り出されたX線が、求められるX線として利用される。
真空筐体10は、主として、絶縁性材料(例えばガラス)により形成された絶縁バルブ12と、X線出射窓33aを有する金属部13とから構成されている。金属部13は、陽極となるターゲットTが収容される本体部31と、陰極となる電子銃11が収容される電子銃収容部32とを有する。
本体部31は、筒状に形成されており、内部空間Sを有している。本体部31の一端部(外側端部)には、X線出射窓33aを有する蓋板33が固定されている。X線出射窓33aの材料は、X線透過材料であって、例えばベリリウムやアルミニウム等である。蓋板33によって、内部空間Sの一端側が閉鎖されている。本体部31は、フランジ部311と、円筒部312とを有する。フランジ部311は、本体部31の外周に設けられており、上述したX線管収容部4の保持部41に固定される部分である。円筒部312は、本体部31の一端部側において円筒状に形成された部分である。
電子銃収容部32は、円筒状に形成されており、本体部31の一端部側の側部に固定されている。本体部31の中心軸線(すなわち、X線管3の管軸AX)と電子銃収容部32の中心軸線とは、略直交している。電子銃収容部32の内部は、電子銃収容部32の本体部31側の端部に設けられた開口32aを介して、本体部31の内部空間Sと連通している。
電子銃11は、カソードCと、ヒータ111と、第1グリッド電極112と、第2グリッド電極113とを備えており、各構成の協働によって発生する電子ビームの径を小さくすること(微小焦点化)ができる。カソードC、ヒータ111、第1グリッド電極112及び第2グリッド電極113は、それぞれ平行に延びる複数の給電ピン114を介して、ステム基板115に取り付けられている。カソードC、ヒータ111、第1グリッド電極112及び第2グリッド電極113は、それぞれに対応する給電ピン114を介して外部から給電される。
絶縁バルブ12は、略筒状に形成されている。絶縁バルブ12の一端側は、本体部31に接続されている。絶縁バルブ12は、その他端側において、ターゲットTが先端に固定されたターゲット支持部60を保持している。ターゲット支持部60は、例えば銅材等により円柱状に形成されており、Z方向に延在している。ターゲット支持部60の先端側には、絶縁バルブ12側から本体部31側に向かうにつれて電子銃11から遠ざかるように傾斜する傾斜面60aが形成されている。ターゲットTは、傾斜面60aと面一になるように、ターゲット支持部60の端部に埋設されている。
ターゲット支持部60の基端部60bは、絶縁バルブ12の下端部よりも外側に突出しており、電源部5の高圧給電部54(図2参照)に接続されている。本実施形態では、真空筐体10(金属部13)が接地電位とされており、高圧給電部54においてターゲット支持部60にプラスの高電圧が供給される。ただし、電圧印加形態は、上記例に限られない。
[送風ファンの制御]
ところで、上記のX線発生装置1が備えるX線管3は、X線の発生原理から入射したエネルギの大部分を熱として放出する。その結果、X線の出力を高めるほど発生する熱量が多くなる。その結果、X線管3の熱により、動作安定性の低下や構成部材の劣化等、様々な影響が生じる。そこで、X線管3から発生した熱を効率よく排出するための構成を要する。当該構成として本実施形態におけるX線発生装置1は、強制空冷方式を採用し、熱媒体としての空気を提供するための送風ファン9を有する。
図5に示すように、送風ファン9は、ファン9aとモータ9bとを有する。モータ9bは回転機械であるので、動作中に機械的な振動を発生させることがある。この振動Vは、送風ファン9が固定された筐体2に伝わる。この筐体2には、X線発生装置1を構成する種々の部品が取り付けられている。X線管3もその部品の一つである。そうすると、モータ9bが発した振動Vは、X線管3にも伝達され得る。
X線管3では、ターゲットTに対して高い位置精度を持って電子を照射する必要がある。X線管3に振動が伝播されると、ターゲットTと電子銃11との相対的な位置関係の変動を生じさせる可能性がある。その結果、X線の焦点の大きさ(以下「焦点径」と呼ぶ)やX線焦点の位置(以下「焦点位置」と呼ぶ)のふらつきが生じるので、得られるX線が安定しない。その結果、例えば連続撮影時において、得られる複数のX線画像におけるX線照射条件がそれぞれ一定ではなくなり、撮影の質が低下してしまう。また、撮影された画像の鮮鋭度も低下してしまう。
また、X線発生装置1は、撮影画像の鮮鋭度を向上するため、得られるX線の焦点を数十μm~数nmにまで微小化したもの、いわゆるマイクロフォーカスX線源である。マイクロフォーカスX線源では、X線出力に基づいて焦点径を制御する場合がある。X線出力が増加すると、ターゲットTに提供するエネルギが増加する。その際、単位面積あたりの入射エネルギが大きくなりすぎると、ターゲットTにダメージを与えることがある。そのため、ターゲットTの損傷を防止する観点から、単位面積あたりのターゲットTへの入射エネルギを一定に保つ制御を行う場合がある。例えば、X線出力を増大したときは、焦点径を大きくする。逆に、X線出力を減少したときは、焦点径を小さくする。以下、当該条件を「本条件」と呼ぶ。
以下においては、本条件下において、X線発生装置1がX線出力に基づいて送風ファン9を制御する場合を記載する。X線発生装置1は、制御回路基板7を有しており、当該制御回路基板7は、モータ制御部7aと、電源制御部7b(X線制御部)と、を含む。送風ファン9の制御は、制御回路基板7が有するモータ制御部7aにより行われる。モータ制御部7aは、第1の制御として、X線出力に基づいて、モータ9bの回転数を増減させる。例えば、X線出力が小さいときには、ターゲットTに提供するエネルギが小さいので、X線管3が発する熱量も小さくなる。つまり、過大な冷却能力は必要なく、X線管3が発する熱量の排出に必要な気体、例えば空気を提供すればよい。そして、X線管3への空気の提供量は、ファン9aの回転数によって制御される。従って、X線出力が小さいときには、ファン9aを回転させるモータ9bの回転数を小さくする。本条件においては、X線出力が小さい場合には、焦点径も小さい。つまり、焦点径が小さいときには、モータ9bの回転数を小さくする。逆に、X線出力が大きい場合には、焦点径も大きい。つまり、焦点径が大きいときには、モータ9bの回転数を大きくする。
この焦点径と回転数との関係は、一次関数で示される直線状であってもよい(図6の(a)部参照)。また、焦点径と回転数との関係は、ステップ状であってもよい(図6の(b)部参照)。つまり、焦点径をいくつかの範囲に区分し、区分ごとに所定の回転数を設定する。例えば、焦点径が1マイクロメートル以上10マイクロメートル以下であるとき、回転数を第1の回転数(R1)に設定する。焦点径が10マイクロメートル以上30マイクロメートル以下であるとき、回転数を第2の回転数(R2)に設定する。焦点径が30マイクロメートル以上であるとき、回転数を第3の回転数(R3)に設定する。なお、それぞれの回転数は、r1<r2<r3を満たす。
ここで、送風ファン9からX線管3へ振動が伝わるとき、所定の条件下においてはX線管3の振動が急激に増大することがあり得る。具体的には、送風ファン9を加振源と仮定し、筐体2及びX線管3等を振動系と仮定したとき、送風ファン9が発する振動の周波数が、振動系の有する共振周波数に一致すると共振現象が生じる。この共振現象によって、振幅が増大されるので、焦点径や焦点位置のふらつきも大きくなり得る。ここで、第1実施形態でいう共振周波数とは、X線管3において、モータ9bの動作に起因する変位或いは加速度の振幅が最大となるモータ9bの回転数を周波数に換算したものである。このような共振周波数は、例えば、X線発生装置1の構造解析によって得てもよい。また、モーダルサーベイ(共振点探査)といった試験を行って実測してもよい。
そこで、モータ制御部7aは、第2の制御として、モータ9bが発する振動の周波数を共振周波数とずらす。モータ9bが発する振動の周波数は、モータ9bの回転数に起因する。つまり、振動の周波数が共振周波数と重複しないように、モータ9bの回転数を制御する。
図6の(c)部に示すように、共振周波数には回転数(Re)が対応する。この回転数(Re)の近傍においては、回転数をステップ状に設定する。例えば、このステップの幅は、いわゆる半値幅を利用して設定してよい。回転数(Re)が共振周波数に対応するとき(つまり共振状態)の振動エネルギに対して、振動エネルギがその半値となる別の周波数は、共振のピークを挟んで2個存在する(ω1、ω2)。半値幅は、周波数(ω1)から周波数(ω2)までの幅である。そして、周波数(ω1)が回転数(Re1)に対応し、周波数(ω2)が回転数(Re2)に対応するとする。そして、焦点径が回転数(Re1)に対応する大きさ(fc1)以上であり、且つ、回転数(Re2)に対応する大きさ(fc2)以下であるとき、回転数は、(Re2)の一定値に設定する。なお、回転数は、(Re1)の一定値としてもよい。
なお、上記の半値幅を利用する設定手法は、例示であって、その他の設定手法を用いてもよい。
また、図6の(b)部に例示したステップ状に回転数を制御する場合では、第1、第2、第3の回転数は、共振周波数に対応する回転数と一致させない。つまり、ステップ状に変化する部分と共振周波数を示すラインとを交差させる。
[作用効果]
このX線発生装置1は、送風ファン9から提供される空気WによってX線管3から熱が排出される。ここで、送風ファン9は、モータ9bを有しており、当該モータ9bの回転数は、モータ制御部7aから提供される制御信号によって制御される。モータ制御部7aは、モータ9bの回転数を、X線管3及び筐体2を含む構造物が有する共振周波数からずらす。そうすると、モータ9bが発する振動に起因する共振現象が避けられる。従って、X線管3への振動の影響が低減される。その結果、X線発生装置1は、高い安定性をもって動作することができる。特に、同じ振幅であっても、その影響は焦点径が小さいほど大きい、つまり、振動の影響は焦点径が小さくなるほど顕著になるため、本発明は本実施形態のようなマイクロフォーカスX線源において特に好ましい。
制御回路基板7は、X線管3から出力されるX線の強度を制御する制御信号を生成し、制御回路基板7が有するモータ制御部7aは、X線の強度に基づいてモータ9bの回転数を制御する制御信号を生成する。X線管3が発生する熱量は、X線の強度と関連する。そこで、モータ9bの回転数をX線の強度と関連付けることにより、効率のよい冷却を行うことができる。
モータ制御部7aは、X線の強度が大きくなるほどモータ9bの回転数を大きくし、X線の強度が小さくなるほどモータ9bの回転数を小さくする。X線の強度が大きくなると、X線管3が発する熱量も多くなる。そこで、モータ制御部7aは、モータ9bの回転数を大きくし、冷却性能を上げる。一方、X線の強度が小さくなると、X線管3が発する熱量も少なくなる。そこで、モータ制御部7aは、モータ9bの回転数を小さくし、冷却性能を下げる。従って、さらに効率のよい冷却を行うことができる。
送風ファン9は、モータ9bによって回転するファン9aを含み、ファン9aによって熱媒体である空気WをX線管3に提供する。この構成によれば、簡易な構成によってX線管3を冷却することができる。また、熱媒体は空気に限らず、他の気体(例えば不活性ガスとしての窒素等)でもよく、さらに、熱媒体は気体に限らず、水等の液体でもよい。この場合、モータ9bは、ポンプ(チラー)等の液体の給排水機構の駆動源として使用される。
X線発生装置1は、X線管3を収容するX線管収容部4をさらに備え、X線管収容部4は、送風ファン9から離間した位置に配置される。この構成によれば、筐体2において送風ファン9とX線管3とが互いに離れた位置に配置される。その結果、送風ファン9が発した振動は、X線管3に伝わるまでに減衰し易くなる。従って、送風ファン9の動作に起因するX線管3への影響がさらに抑制されるので、高い安定性をもって動作することができる。
上記のX線発生装置1は、X線管3に電圧を提供する電源部5を含む絶縁ブロック51をさらに備え、X線管収容部4は、絶縁ブロック51を介して筐体2の中間壁部214に取り付けられる。この構成によれば、中間壁部214に伝わった振動は、絶縁ブロック51を介してX線管収容部4に伝わる。その結果、振動は、絶縁ブロック51を伝わる間に減衰する。従って、送風ファン9の動作に起因するX線管3への影響がいっそう抑制されるので、高い安定性をもって動作することができる。
[第2実施形態]
ところで、X線発生装置1は、X線を利用するX線検査システムなどに利用される。つまり、X線発生装置1は、それ単体で用いられず、X線検査システムの構成要素として用いられることがある。図7に示すように、X線検査システム200(X線利用システム)は、X線発生装置201と、検査装置202と、システム筐体203と、を有する。X線発生装置201は、X線Rを検査装置202に提供する。検査装置202は、当該X線Rを利用して、種々の検査を行う。そして、X線発生装置201及び検査装置202は、共通のシステム筐体203に取り付けられる。
X線管3における共振周波数は、システム筐体203の機械的特性、システム筐体203に対する構成要素の固定位置、システム筐体203に対する構成要素の固定構造などの影響に起因して、変化する可能性がある。ここで、第2実施形態でいう共振周波数とは、X線管3において、モータ9bの動作に起因する変位或いは加速度の振幅が最大となるモータ9bの回転数を周波数に換算したものである。そうすると、X線発生装置201を単体で用いる場合に最適となるモータ9bの制御態様は、X線検査システム200へ組み込んだ場合に必ずしも最適とならない場合が生じ得る。
そこで、制御回路基板7のモータ制御部7aは、焦点径と回転数との関係(以下「制御パターン」と呼ぶ)を調整する。
図8は、調整動作の一例を示すフロー図である。この動作を行う前に、X線発生装置201の単体において所望の性能を発揮可能な制御パターンを得る。ここでいう所望の性能とは、所望の焦点径のX線がX線発生装置201から出射されることとしてよい。つまり、制御パターンによれば、想定される動作範囲において、焦点径を基準値以下とすることが可能である。そして、制御パターンに基づく焦点径と回転数との制御によって、実際に得られる焦点径の測定値を得る。この測定値を、当該X線発生装置1の実力値である基準焦点径データして記録しておく。
まず、X線発生装置201をX線検査システム200に組み込む。次に、基準となるX線画像を得る(工程ST1)。次に、X線画像を利用して、焦点径を算出焦点径データとして得る(工程ST2)。例えば、X線画像の半影から、焦点径に換算してもよい。次に、算出焦点径データと基準焦点径データとを比較する(工程ST3)。具体的には、算出焦点径データが基準焦点径データ以下であるか否かを判定する。そして、算出焦点径データが基準焦点径データ以下であるとき、システムへの組み付けに伴う共振周波数の変化は、X線発生装置1の実力を損なわないものと判断できる。従って、当初設定した当該制御パターンを利用して、実際の検査工程を開始する(工程ST5)。一方、算出焦点径データが基準焦点径データ以上であるとき、システムへの組み付けに伴う共振周波数の変化がX線発生装置1の動作に影響を及ぼしていると判断できる。そこで、焦点径と回転数との関係を調整する(工程ST4)。そして、再び工程ST1から順に処理を行い、工程ST3が満たされるまで当該サイクルを繰り返す。
この処理によれば、システムへの組み付けによって生じ得る共振周波数の変化に対応して、X線発生装置201を所望の性能を発揮できる状態に再設定することができる。
なお、この調整フローは、制御パターンを決定する際にも利用できる。図9に示されるように、X線発生装置1は、いくつかの構造を採用し得る。なお、ここでは説明を簡易化するために、X線発生装置1としてX線管3と電源部5のみを模式的に図示する。例えば、筐体2に電源部5を介して固定するものがある(図9の(a)部参照)。また、X線管3と電源部5との境界近傍で筐体2に固定するものもある(図9の(b)部参照)。さらに、筐体2にX線管3を介して固定するものもある(図9の(c)部参照)。これらの構造の違いは、共振周波数の違いとして現れることもある。さらに、同じ構造であっても固定の態様によって共振周波数が異なる場合もあり得る。要するに、X線発生装置1の共振周波数は、種々の要因によってばらつく。
そこで、焦点径と回転数との関係を設定するときに、焦点径の要求値を基準として当該要求値を満たし得る回転数を順次設定してよい。この場合には、共振周波数を直接に利用することはないが、要求値を満たし得る回転数は、結果的に共振周波数を避けたものとなる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、X線管3は、ターゲットに対する電子入射方向と異なる方向からX線を取り出す反射型X線管であるが、ターゲットに対する電子入射方向に沿ってX線を取り出す(ターゲットで発生したX線がターゲット自体を透過してX線出射窓から取り出される)透過型X線管でもよい。また、送風ファン9は、外部からの気体を送風するものに限らず、内部の気体を外部へ吸い出すことで気体を流通させる吸引ファンでもよい。また、送風ファン9(熱媒体提供部)は、熱媒体として、冷風(冷却気体)だけでなく温風を流通させる機能を有していてもよい。例えば、送風ファン9は、冷風を送風するモードと温風を送風するモードとを切替可能に構成された、X線管3の温度制御部として機能してもよい。X線発生装置1を起動した後、X線管3の動作を安定化させるために、X線管収容部4内の温度(すなわち、絶縁オイル45の温度)を一定の温度まで上昇させたい場合があり得る。このような場合に、温風を送風するように送風ファン9を切り替えることにより、包囲空間S3内に温風を流通させ、X線管収容部4内の温度を効率良く上昇させることができる。その結果、X線発生装置1を起動してからX線管3の動作を安定化させるまでの時間を短縮できる。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
[第1変形例]
上記実施形態では、X線発生装置201が送風ファン9及びモータ制御部7aを備えていたが、例えば、図10に示すように、X線発生装置201Aは、モータ制御部7aを備えておらず、X線検査システム200Aがモータ制御装置207を備えていてもよい。この場合、モータ制御装置207は、制御回路基板7Aから焦点径に関するデータを受け取る。そして、当該焦点径に対応するモータ9bの回転数に関するデータを制御回路基板7Aに提供する。なお、モータ制御装置207は、制御回路基板7Aを介することなく、制御信号をモータ9bへ直接に送信してもよい。このX線検査システム200Aによっても、送風ファン9の動作に起因するX線発生装置201Aへの影響が抑制される。その結果、X線検査システム200Aは所望の性能を発揮することができる。
[第2変形例]
また、図11に示すように、X線発生装置201Bは、送風ファン9を備えておらず、送風ファン209(熱媒体提供装置)は、X線検査システム200Bの構成要素としてもよい。この場合、モータ制御部7aは制御信号を送風ファン209へ出力する。このX線検査システム200Bによっても、送風ファン209の動作に起因するX線発生装置201Bへの影響が抑制される。その結果、X線検査システム200Bは所望の性能を発揮することができる。
[第3変形例]
さらに、図12に示すように、X線発生装置201Cは、送風ファン9及びモータ制御部7aを備えておらず、送風ファン209及びモータ制御装置207は、X線検査システム200Cの構成要素としてもよい。このX線検査システム200Cによっても、送風ファン209の動作に起因するX線発生装置201Cへの影響が抑制される。その結果、X線検査システム200Cは所望の性能を発揮することができる。
1…X線発生装置、2…筐体、3…X線管、4…X線管収容部、5…電源部、7…制御回路基板、7a…モータ制御部、9…送風ファン(熱媒体提供部)、21…第1収容部(収容部)、22…第2収容部(包囲部)、45…絶縁オイル(絶縁性の液体)、212…上壁部、212b…開口部(第1開口部)、212c…開口部(第2開口部)、AX…管軸、S1…第1収容空間、S2…第2収容空間、S3…包囲空間。

Claims (9)

  1. X線管と、
    モータを有し、前記X線管に熱媒体を提供する熱媒体提供部と、
    前記モータの回転数を制御するモータ制御部と、
    前記X線管及び前記熱媒体提供部が取り付けられる装置筐体と、を備え、
    前記X線管が発生するX線の焦点径及び前記X線の焦点位置は、前記モータの回転に起因して発生する振動の影響を前記装置筐体を介して受け、
    前記モータ制御部は、前記X線の焦点径及び前記X線の焦点位置のふらつきの少なくとも一方に対して要求される条件を満たすために、前記モータの回転数に基づく前記モータの振動の周波数が、前記X線管及び前記装置筐体を含む構造物が有する共振周波数からずれるように、前記モータの回転数を制御する、X線発生装置。
  2. 前記X線管から出力されるX線の強度を制御するX線制御部をさらに有し、
    前記モータ制御部は、前記X線の強度に基づいて前記モータの回転数を制御する、請求項1に記載のX線発生装置。
  3. 前記モータ制御部は、前記X線の強度が大きくなるほど前記モータの回転数を大きくし、
    前記X線の強度が小さくなるほど前記モータの回転数を小さくする、請求項2に記載のX線発生装置。
  4. 前記熱媒体提供部は、前記モータによって回転するファンを含み、前記ファンによって前記熱媒体である気体を前記X線管に提供する、請求項1又は2に記載のX線発生装置。
  5. 前記X線管を収容し、前記装置筐体に取り付けられる収容部をさらに備え、
    前記収容部は、前記熱媒体提供部から離間した位置に配置される、請求項1~4の何れか一項に記載のX線発生装置。
  6. 前記X線管に電圧を提供する電源を含む樹脂ブロック部をさらに備え、
    前記収容部は、前記樹脂ブロック部を介して前記装置筐体に取り付けられる、請求項5に記載のX線発生装置。
  7. X線管と、モータを有し前記X線管に熱媒体を提供する熱媒体提供部と、前記X線管及び前記熱媒体提供部が取り付けられる装置筐体と、を有するX線発生装置と、
    前記モータの回転数を制御するモータ制御装置と、
    前記X線発生装置が取り付けられるシステム筐体と、を備え、
    前記X線管が発生するX線の焦点径及び前記X線の焦点位置は、前記モータの回転に起因して発生する振動の影響を前記システム筐体を介して受け、
    前記モータ制御装置は、前記X線の焦点径及び前記X線の焦点位置のふらつきの少なくとも一方に対して要求される条件を満たすために、前記モータの回転数に基づく前記モータの振動の周波数が、前記X線発生装置及び前記システム筐体を含む構造物が有する共振周波数からずれるように、前記モータの回転数を制御する、X線利用システム。
  8. X線管と、前記X線管が取り付けられる装置筐体と、モータ制御部と、を有するX線発生装置と、
    モータを有し前記X線管に熱媒体を提供する熱媒体提供装置と、
    前記X線発生装置及び前記熱媒体提供装置が取り付けられるシステム筐体と、を備え、
    前記X線管が発生するX線の焦点径及び前記X線の焦点位置は、前記モータの回転に起因して発生する振動の影響を前記システム筐体を介して受け、
    前記モータ制御部は、前記X線の焦点径及び前記X線の焦点位置のふらつきの少なくとも一方に対して要求される条件を満たすために、前記モータの回転数に基づく前記モータの振動の周波数が、前記X線発生装置及び前記システム筐体を含む構造物が有する共振周波数からずれるように、前記モータの回転数を制御する、X線利用システム。
  9. X線管と、前記X線管が取り付けられる装置筐体と、を有するX線発生装置と、
    モータを有し、前記X線発生装置に熱媒体を提供する熱媒体提供装置と、
    前記モータの回転数を制御するモータ制御装置と、
    前記X線発生装置及び前記熱媒体提供装置が取り付けられるシステム筐体と、を備え、
    前記X線管が発生するX線の焦点径及び前記X線の焦点位置は、前記モータの回転に起因して発生する振動の影響を前記システム筐体を介して受け、
    前記モータ制御装置は、前記X線の焦点径及び前記X線の焦点位置のふらつきの少なくとも一方に対して要求される条件を満たすために、前記モータの回転数に基づく前記モータの振動の周波数が、前記X線発生装置及び前記システム筐体を含む構造物が有する共振周波数からずれるように、前記モータの回転数を制御する、X線利用システム。
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