明 細 書
コジェネレーションシステム
技術分野
[0001] 本発明は、コジェネレーションシステムに関するものである。
背景技術
[0002] コジェネレーションシステムは、電力及び熱を発生する電熱発生装置を備える。電 熱発生装置にて発生する電力は電気機器に供給され、発電に伴って発生する熱は 給湯、暖房等の熱機器に供給される。コジェネレーションシステムによれば発電に伴 つて発生する熱の有効利用が可能となるため、導入場所でのエネルギコストの低減 を図ることができる。
[0003] 近年、コジェネレーションシステムのエネルギ利用効率を向上するために、事前に 電力量及び熱量を予測し、予測された電力量及び熱量に基づいて電熱発生装置を 運転することが検討されている。例えば、特許文献 1には、導入場所での電力及び熱 の供給量に基づいて経済的な運転パターンを予測して運転するコジェネレーション システムが記載されて 、る。
特許文献 1:特開 2005 - 283028号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] しかし、特許文献 1に記載したような過去の測定結果に基づ 、た予測では、自然環 境の大幅な変化 (例えば、気候条件の変化など)、あるいは生活環境の大幅な変化( 例えば、長期不在)に対して適切に対応することは難しい。その場合、予測に基づい た運転を継続しても、経済的な運転を維持することは困難となるおそれがある。
[0005] 本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、現在の状況に基づ V、て経済的な運転をすることが可能なコジェネレーションシステムを提供することを目 的とする。
課題を解決するための手段
[0006] このような目的を達成するために、本発明によるコジェネレーションシステムは、電
力および熱を発生する電熱発生装置と、電熱発生装置カゝら発生した熱を回収して温 められた水を貯える貯湯槽と、貯湯槽内に設けられ、貯湯槽内に貯えられた水の温 度を計測する複数の温度計と、予め蓄積された所定の時間帯の使用電力量及び使 用熱量を用いて算出された所定の時間帯における電力量及び熱量の予測値に基づ いて、電熱発生装置から発生させる電力及び熱を制御する予測運転モードと、貯湯 槽内に貯えられた水の温度状況に応じて電熱発生装置の起動及び停止を制御する 非予測運転モードとを切り替える運転モード切替手段と、運転モード切替手段によつ て非予測運転モードに切り替えられた後に、複数の温度計に含まれる第 1の温度計 により計測された第 1の温度が、予め定められた所定の温度未満である場合に、電熱 発生装置を起動させ、複数の温度計に含まれ且つ第 1の温度計より下方に設置され た第 2の温度計により計測された第 2の温度が、予め定められた所定の温度以上で ある場合に、電熱発生装置を停止させる起動停止制御手段と、を備えることを特徴と する。
[0007] また、本発明によるコジェネレーションシステムは、電力および熱を発生する電熱発 生装置と、電熱発生装置力 発生した熱を回収して温められた水を貯える貯湯槽と、 予め蓄積された所定の時間帯の使用電力量及び使用熱量を用いて算出された所定 の時間帯における電力量及び熱量の予測値に基づいて、電熱発生装置から発生さ せる電力及び熱を制御する予測運転モードと、貯湯槽内に貯えられた水の温度状況 に応じて電熱発生装置の起動及び停止を制御する非予測運転モードとを切り替える 運転モード切替手段と、運転モード切替手段によって非予測運転モードに切り替え られた後、貯湯槽に貯えられている水のうち所定の温度以上に温められている水の 割合が第 1の閾値未満である場合に、電熱発生装置を起動させ、貯湯槽に貯えられ ている水のうち所定の温度以上に温められている水の割合が第 1の閾値よりも大きな 第 2の閾値以上である場合に、電熱発生装置を停止させる起動停止制御手段と、を 備えることを特徴とする。
[0008] これらのコジェネレーションシステムは、予め蓄積されたデータに基づく予測運転モ 一ドと貯湯槽内に貯えられた水の温度状況に基づく非予測運転モードとを切り替え る運転モード切替手段を備える。そのため、予測が困難な状況に陥った場合であつ
ても、現在の状況に基づいて経済的な運転をすることが可能である。また、非予測運 転モードでは、第 1の温度計で計測された第 1の温度が所定の温度未満である場合 、あるいは所定の温度以上に温められている水が第 1の閾値未満である場合には、 電熱発生装置を起動し貯湯槽内の温水が不足する事態を回避する。一方、第 1の温 度計より下方にある第 2の温度計によって計測された第 2の温度が所定の温度以上 である場合、あるいは所定の温度以上に温められて 、る水が第 1の閾値より大き 、第 2の閾値以上ある場合には、電熱発生装置を停止して無駄な熱の発生を抑制する。 このように、これらのコジェネレーションシステムの非予測運転モードでは、現在の状 況に基づ 、て経済的な運転を実現して 、る。
[0009] 起動停止制御手段は、電熱発生装置が停止状態であり、且つ第 1の温度が所定の 温度以上であるときに、複数の温度計によって計測された温度に基づいて求められ る所定の温度以上である水量が、所定の時間帯における電力量及び熱量の予測値 に基づいて算出される予測使用水量未満である場合には、電熱発生装置を起動さ せることが好ましい。あるいは、起動停止制御手段は、電熱発生装置が停止状態で あって、且つ所定の温度以上に温められている水の割合が第 1の閾値以上であると きに、当該第 1の閾値以上である水量力 所定の時間帯における熱量の予測値に基 づいて算出される予測使用水量未満である場合には、電熱発生装置を起動させるこ とが好ましい。貯湯槽に貯えられている温水の量が現在の使用状況に対しては十分 であったとしても、その後さらに多量の温水が必要になる場合がある。そのようなこと が予測された場合には、電熱発生装置を停止したままとせず起動させ、温水不足と なる事態の発生を抑制することが可能となる。
[0010] 起動停止制御手段は、電熱発生装置が停止状態であり、且つ第 1の温度が所定の 温度未満であるときに、現時点において使用されている電力量が予め定められた電 熱発生装置の最低発電量未満である場合には、電熱発生装置の停止状態を継続さ せることが好ましい。あるいは、起動停止制御手段は、電熱発生装置が停止状態で あって、所定の温度以上に温められている水の割合が第 1の閾値未満であるときに、 現時点にお 、て使用されて 、る電力量が予め定められた電熱発生装置の最低発電 量未満である場合には、電熱発生装置の停止状態を継続させることが好ましい。これ
により、使用電力が電熱発生装置の最低発電量よりも少ない場合に無駄に発電する ことが抑制される。
[0011] 運転モード切替手段は、予測運転モードに切り替えた後に、所定の時間帯におけ る電力量の予測値と所定の時間帯において実際に使用された電力量との間の電力 量相関係数と、所定の時間帯における熱量の予測値と所定の時間帯において実際 に使用された熱量との間の熱量相関係数との和が、所定の相関係数閾値未満であ る場合に、非予測運転モードに切り替えることが好まし 、。
[0012] 電力量相関係数と熱量相関係数との和は予測運転モードによる予測の精度を表 すため、電力量相関係数と熱量相関係数との和に基づ!、て予測精度の低下を判断 することができる。上記コジェネレーションシステムでは、電力量相関係数と熱量相関 係数との和から予測精度の低下が判断された場合、すなわち実際の使用量と予測 使用量との間の乖離が認識された場合、非予測運転モードに切り替え、経済的な運 転を良好に維持することが可能となる。
発明の効果
[0013] 本発明によれば、現在の状況に基づ!/、て経済的な運転をすることが可能なコジヱ ネレーシヨンシステムを提供することができる。
図面の簡単な説明
[0014] [図 1]実施形態に係るコジェネレーションシステムの構成を示す図である。
[図 2]実施形態に係るコジェネレーションシステムの運転制御部の機能ブロック図であ る。
[図 3] 1時間ごとの使用電力量、及び予測電力量のデータの表である。
[図 4]実施形態に係るコジェネレーションシステムの動作を示すフロー図である。
[図 5]実施形態に係るコジェネレーションシステムの起動処理における動作を示すフ ロー図である。
[図 6]実施形態に係るコジェネレーションシステムの停止継続処理における動作を示 すフロー図である。 符号の説明
[0015] 1 コジェネレーションシステム
A、 2B 熱回収用配管 出湯用配管
0 コジェネレーションュ1 電熱発生装置
2 熱交換器
3 運転制御部
4、 51 電力線
0 貯湯ユニット
1 貯湯槽
2 第 1出湯用配管3 配管
4 上水用配管
5 三方弁
6 第 2出湯用配管θ 和湯
記録システム
1 電流計
2 流量計
3、 44 温度計
商用電力系統 給水系統
1 水道管
I 電気機器
I 熱機器
0 運転モード切替部 1 電熱予測部
2 電熱制御部
3 温度取得部
104 温度判断部
105 起動停止制御部
106 起動停止判断部
107 予測使用水量有無判断部
108 電力判断部
発明を実施するための最良の形態
[0016] 以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる こととし、重複する説明は省略する。また、以下の説明における「水」とは、上水のよう に冷た!/、水だけではなぐ温度の高!、温水など液体の状態である水 (湯)をすベて含 み得る。
[0017] 図 1は実施形態に係るコジェネレーションシステム 1の構成を示す図である。図 1に 示すようにコジェネレーションシステム 1は、コジェネレーションユニット 10と、貯湯ュ- ット 20と、給湯器 30と、記録システム 40とを備える。コジェネレーションシステム 1は、 商用電力系統 50及び給水系統 60に接続している。
[0018] コジェネレーションシステム 1は、コジェネレーションユニット 10で発電した電力を電 気機器 EI〖こ供給するとともに、発電に伴って発生した熱で加熱した水を貯湯ユニット 20に貯えて熱機器 HIに供給する。
[0019] コジェネレーションユニット 10は、電熱発生装置 11と、熱交換器 12と、運転制御部 13とを有する。電熱発生装置 11は、電力及び熱の双方を発生する装置であって、 例えば燃料電池、又は内燃機関 (例えばガスエンジン)とこの内燃機関により駆動さ れる発電装置との組合せ、又は外燃機関と発電装置との組合せなどである。電熱発 生装置 11は、発生させた電力を電力線 14を介して電気機器 EIに出力し、発電に伴 つて発生する熱を熱交 に出力する。
[0020] 電力線 14は商用電力系統 50から供給される電力を送電する電力線 51と接続して おり、電熱発生装置 11において発生された電力だけでなぐ商用電力系統 50からの 電力も共に電気機器 EIに供給する。
[0021] 電力線 51と接続された電力線 14上には電流計 41が設置されている。電流計 41は
、電熱発生装置 11及び商用電力系統 50から電気機器 EIに供給される電力を電流 値として計測する。
[0022] 熱交 は、電熱発生装置 11で発生する熱を回収し、熱交^^ 12と貯湯ュ- ット 20との間で水を循環させる熱回収用配管 2A、 2B内の水に熱を伝達する。より具 体的には、熱交翻12は、貯湯ユニット 20から流出された熱回収用配管 2B内の水 に熱を伝達し、貯湯ユニット 20に流入する熱回収用配管 2A内に熱伝達された水を 流す。運転制御部 13は、電熱発生装置 11の運転を制御するための手段であり、後 述する電力量及び熱量の予測値に基づ 、て電熱発生装置 11の運転を制御するた めの手段である。
[0023] 貯湯ユニット 20は、貯湯槽 21と三方弁 25とを有し、これらは第 1出湯用配管 22、配 管 23、上水用配管 24、及び第 2出湯用配管 26を介して給湯器 30に接続している。 貯湯槽 21は、電熱発生装置 11から発生した熱を回収して温められた水を貯えるタン クであり、熱交 において熱伝達された水が貯えられる。
[0024] 貯湯槽 21内には、複数 (本実施形態では 5つ)の温度計 TM1〜TM5が当該貯湯 槽 21の上下方向に関して等間隔に配置されるように設けられている。各温度計 TM 1〜TM5は、貯湯槽 21を上下方向に 5等分して得られる各領域に対し、当該各領域 の上下方向での中間位置に設置される。温度計 TM1〜TM5は、貯湯槽 21内に貯 えられた水の温度を計測する。
[0025] 複数の温度計 TM1〜TM5に対して、第 1及び第 2の温度計が設定される。ただし 、第 2の温度計は、第 1の温度計より下方に位置する。例えば、第 1の温度計として温 度計 TM2を設定し、第 2の温度計として温度計 TM5を設定する。
[0026] 貯湯槽 21は、上部において熱回収用配管 2Aと接続しており、熱交換器 12で熱伝 達された水を熱回収用配管 2Aを介して流入可能な構成となっている。貯湯槽 21は 、下部において熱回収用配管 2Bと接続しており、貯湯槽 21の下部に貯えられた水 を流出し、熱交換器 12に流入可能な構成となっている。
[0027] 貯湯槽 21は、上部においてさらに第 1出湯用配管 22と接続しており、貯湯槽 21の 上部に貯えられた水を出湯可能な構成となっている。貯湯槽 21は、下部において配 管 23と接続しており、貯湯槽 21の下部から上水を給水可能な構成となっている。配
管 23には、上水用配管 24から上水が流入する。
[0028] 三方弁 25は、第 1出湯用配管 22及び上水用配管 24の双方力も流入した水を第 2 出湯用配管 26に流出することが可能な構成になっている。上水用配管 24は、商用 の給水系統 60から上水を貯湯ユニット 20に供給する水道管 61と接続している。水道 管 61上には温度計 43が設置されており、貯湯ユニット 20に供給される上水の温度 を計測する。
[0029] 第 2出湯用配管 26は、第 1出湯用配管 22によって運ばれた水及び上水用配管 24 によって運ばれた水の双方を混合した水又は一方の水を給湯器 30へ流出する。第 2 出湯用配管 26には流量計 42が接続されており、給湯器 30に流入する水の流量を 計測する。
[0030] 給湯器 30は、第 2出湯用配管 26によって流入された水を、出湯用配管 3を介して 熱機器 HIに供給する。給湯器 30は、必要に応じて第 2出湯用配管 26によって流入 された水を加熱する。出湯用配管 3上には温度計 44が設置されている。温度計 44は 、給湯器 30から熱機器 HI〖こ供給される水の温度を計測する。
[0031] 記録システム 40は、電流計 41の測定値、流量計 42の測定値、温度計 43の測定値 、及び温度計 44の測定値を、測定日及び測定時間帯とともに記録する。電流計 41 の測定値、流量計 42の測定値、温度計 43の測定値、及び温度計 44の測定値は、 必要に応じて記録時に必要な形式に変更して記録される。
[0032] すなわち、記録システム 40は、例えば電流計 41の測定値に基づ 、て各時間帯の 電力量を算出し、測定日及び測定時間とともに内蔵されたノヽードディスクに記録する 。また、記録システム 40は、例えば流量計 42の測定値、温度計 43の測定値、及び 温度計 44の測定値に基づいて各時間帯の熱量を算出し、測定日及び測定時間とと もに内蔵されたノ、ードディスクに記録する。
[0033] 次に、図 2を参照して運転制御部 13の機能について説明する。図 2は、運転制御 部 13の機能構成を示す図である。図 2に示すように、運転制御部 13は、運転モード 切替部 (運転モード切替手段) 100と、電熱予測部 101と、電熱制御部 102と、温度 取得部 103と、温度判断部 104と、起動停止制御部 (起動停止制御手段) 105と、起 動停止判断部 106と、予測使用水量有無判断部 107と、電力判断部 108とを有する
[0034] 運転モード切替部 100は、予測運転モードと非予測運転モードとを切り替える。予 測運転モードとは、予め蓄積された所定の時間帯の使用電力量及び使用熱量を用 いて算出された所定の時間帯における電力量及び熱量の予測値に基づいて、電熱 発生装置力 発生させる電力及び熱を制御するモードである。予測運転モードは、 主に電熱予測部 101と、電熱制御部 102とによって実現される。
[0035] 一方、非予測運転モードとは、貯湯槽内に貯えられた水の温度状況に応じて電熱 発生装置の起動及び停止を制御するモードである。非予測モードは、主に温度取得 部 103と、温度判断部 104と、起動停止制御部 (起動停止制御手段) 105と、起動停 止判断部 106と、予測使用水量有無判断部 107と、電力判断部 108とによって実現 される。
[0036] 運転モード切替部 100は、手動によってモードが切り替えられてもよいし、予め設 定された条件に基づいて運転制御部 13により切り替えられてもよい。本実施形態に おいては、運転モード切替部 100が例えば、所定の時間帯における予測値と所定の 時間帯において実際に使用された計測値データとの間の相関係数を条件としてモー ドを切り替える場合にっ 、て説明する。
[0037] 相関係数を条件としてモードを切り替える場合について具体的に説明する。運転モ ード切替部 100は、予測運転モードに切り替えられた後、所定の時間帯における電 力量の予測値と所定の時間帯において実際に使用された電力量との間の電力量相 関係数、及び所定の時間帯における熱量の予測値と所定の時間帯において実際に 使用された熱量との間の熱量相関係数を求める。電力量相関係数 R及び熱量相関
E
係数 R はいずれも、以下の式(1)で求められる。
H
[数 1]
X" (ただし、式(1)中では「X」に上付きバーを付したもので表示)
…予測電力量の平均値、又は予測熱量の平均値
Y…所定の時間帯ごとの使用電力量、又は使用熱量
Y" (ただし、式(1)中では「Y」に上付きバーを付したもので表示)
…使用電力量の平均値、又は使用熱量の平均値
Ν…データの数
[0038] 運転モード切替部 100は、求められた電力量相関係数 Rと熱量相関係数 Rとを
Ε Η
加算してこれらの和を求め、当該和が相関係数閾値 (例えば、 1. 0)未満であるか否 か判断する。運転モード切替部 100は、予測運転モードに切り替えた後に、電力量 相関係数 R
Εと熱量相関係数 R との
Η 和が相関係数閾値未満である場合に、非予測運 転モードに切り替える。
[0039] 図 3に示した表は、予測対象日の 1日前の 1時間ごとに使用された電力量 (予測対 象日 1日前の使用電力量 (kWH) )、 1時間ごとに予測された電力量 (予測電力量 (k WH) )、及び実際に 1時間ごとに使用された電力量 (実際の使用電力量 (kWH) )の データをそれぞれの 1日分(24時間分)表す。ここでは、予測対象日の 1日前のデー タを予測値としている。このデータに対し、式(1)を適用した場合、電力量相関係数 R は約 0. 39を示す。
E
[0040] 電熱予測部 101は、予測対象日の所定の時間帯 (すわなち、予測対象時間帯)に おいて必要とされる電力量及び熱量の予測値を算出する。予測の方法としては、例 えば過去一週間の予測対象時間での使用電力量及び使用熱量のデータをそれぞ れ平均して、予測値を算出してもよい。
[0041] あるいは、例えば、予測対象日の 1日前から 7日前までの使用電力量及び使用熱 量のうち、 1日前及び 7日前の使用電力量及び使用熱量に対する重み付け係数を他 の日の使用電力量及び使用熱量に対する重み付け係数よりも重くした上で、予測対 象日の 1日前から 7日前までの各日における使用電力量及び使用熱量のそれぞれ に対して、それぞれの使用電力量及び使用熱量に対応する重み付け係数を乗算し 、当該乗算された各値を加算することによって予測値を算出してもよい。なお、重み
付け係数とは、各対象データが予測値に対して占める割合を表す係数をいう。すな わち、予測値に対して各対象データが与える影響の度合いを示す係数である。
[0042] あるいは、予測対象日の 1日前の予測対象時間帯の電力量及び熱量をそれぞれ 予測値として算出してもよい。
[0043] 電熱発生制御部 102は、電熱予測部 101が算出した電力量及び熱量の予測値に 基づ 、て、電熱発生装置 11にお 、て発生させる電力及び熱を制御する。
[0044] 温度取得部 103は、貯湯槽 21内に設けられた各温度計 TM1〜TM5によって計 測された貯湯槽内の水の温度 T1〜T5を取得する。ここで、第 1の温度計によって計 測された温度を第 1の温度とし、第 2の温度計によって計測された温度を第 2の温度 とする。したがって、例えば第 1及び第 2の温度計として温度計 ΤΜ2、 ΤΜ5がそれぞ れ設定される場合、温度計 ΤΜ2によって計測された温度が第 1の温度であり、温度 計 ΤΜ5によって計測された温度が第 2の温度である。
[0045] 温度判断部 104は、第 1の温度計 ΤΜ2によって計測された第 1の温度 Τ2が 40°C ( 所定の温度)未満であるカゝ否カゝ判断する。また、温度判断部 104は、第 2の温度計 T M5によって計測された第 2の温度 T5が 40°C以上であるか否力判断する。
[0046] 温度判断部 104は上記したように温度を判断することによって、貯湯槽 21に貯えら れて 、る水のうち 40°C以上に温められて 、る水の割合が所定の閾値以上(ある 、は 所定の閾値未満)であるカゝ否かを判断する。
[0047] 温度判断部 104での温度判断と、 40°C以上に温められている水の割合について の判断との関係を具体的に説明する。温度判断部 104が、第 1の温度計 TM2によつ て計測された第 1の温度 T2は 40°C未満であると判断した場合を考える。この場合、 第 1の温度計 TM2より下方にある水は 40°C未満であると考えられるため、 40°C以上 の水の割合は多くても第 1の温度計 TM2より上方の水の割合ということになる。した がって、本実施形態においては、第 1の温度 T2が 40°C未満である場合には 40°C以 上の水の割合は貯湯槽全体の 30% (第 1の閾値)未満ということになる。
[0048] 一方、温度判断部 104が、第 2の温度計 TM5によって計測された第 2の温度 T5は 40°C以上であると判断した場合を考える。この場合、第 2の温度計 TM5より上方に ある水は 40°C以上であると考えられるため、 40°C以上の水の割合は少なくとも第 2の
温度計 TM5より上方の水の割合ということになる。したがって、本実施形態において は、第 2の温度 T5が 40°C以上である場合には 40°C以上の水の割合は貯湯槽全体 の 90% (第 2の閾値)以上ということになる。なお、ここに示した例のように、第 1の閾 値 (この例では、 30%)は、第 2の閾値 (この例では、 90%)よりも小さい。
[0049] 起動停止制御部 105は、温度判断部 104の判断に基づいて、電熱発生装置 11の 起動及び停止を制御する。したがって、起動停止制御部 105は、第 1の温度 T2が 40 °C未満であると温度判断部 104が判断した場合に、電熱発生装置 11を起動させる。 一方、起動停止制御部 105は、第 2の温度 T5が 40°C以上であると温度判断部 104 が判断した場合に、電熱発生装置 11を停止させる。
[0050] このことは、閾値にしたがって考えることもできる。すなわち、起動停止制御部 105 は、貯湯槽 21に貯えられている水のうち 40°C以上に温められている水の割合が第 1 の閾値 (例えば、 30%)未満であると温度判断部 104が判断した場合に、電熱発生 装置 11を起動させる。一方、起動停止制御部 105は、貯湯槽 21に貯えられている水 のうち 40°C以上に温められている水の割合が第 2の閾値 (例えば、 90%)以上である と温度判断部 104が判断した場合に、電熱発生装置 11を停止させる。
[0051] 起動停止判断部 106は、電熱発生装置 11が起動状態にあるか、あるいは停止状 態にあるかを判断する。
[0052] 予測使用水量有無判断部 107は、温度計 TM1〜TM5によって計測された温度 T 1〜T5に基づいて求められる 40°C以上の水の量力 所定の時間帯における電力量 及び熱量の予測値に基づいて算出される予測使用水量未満であるか否か、すなわ ち貯湯槽 21内で 40°C以上に温められている水の量力 所定の時間帯における熱量 の予測値に基づいて算出される予測使用水量未満である力否かを判断する。
[0053] 具体的には、予測使用水量判断部 107はまず、電熱予測部 101で所定の時間帯 において必要とされる熱量の予測値を算出し、当該予測値力 所定の時間において 使用されるであろう水の量 (予測使用水量)を予測する。予測使用水量有無判断部 1 07は、求められた水の量 (予測使用水量)に相当する位置と同じ位置、あるいは同じ 位置に温度計が存在しない場合には予測使用水量に相当する位置の下方直近の 位置にある温度計 TMi(i= 1〜5)を、貯湯槽 21内に設けられた複数の温度計 TM1
〜TM5の中から特定する。予測使用水量有無判断部 107はさらに、特定された温 度計 TMiの温度 Tiを取得し、温度 Ti力 0°C未満であるカゝ否かを判断する。すなわ ち、温度 Tiが 40°C未満である場合というのが、予測使用水量未満の場合に相当する
[0054] 電力判断部 108は、現時点において使用されている電力量力 予め定められた電 熱発生装置 11の最低発電量未満である力否かを判断する。
[0055] 次に、本実施形態に係るコジェネレーションシステム 1の動作について、図 4〜図 6 を参照しながら説明する。
[0056] 図 4は、予測運転モードから非予測運転モードに切り替えて運転される場合のコジ エネレーシヨンシステムの動作を示すフロー図である。図 4に示すように、まず、コジェ ネレーシヨンシステム 1は、予測運転モードによって運転されている(ステップ Sl、 S2 )。すなわち、電熱予測部 101は、予測対象時間帯における電力量及び熱量の予測 値を算出する (ステップ Sl)。電熱制御部 102は、電熱予測部 101において算出され た電力量及び熱量の予測値に基づいて、電熱発生装置 11が発生する電力及び熱 を制御する (ステップ S2)。
[0057] 運転モード切替部 100は、電力量相関係数と熱量相関係数との和が相関係数閾 値未満であるか否力判断する (ステップ S3)。電力量相関係数と熱量相関係数との 和が相関係数閾値未満でない場合 (ステップ S3 : no)、そのまま予測運転モードでの 運転が継続される。電力量相関係数と熱量相関係数との和が相関係数閾値未満で ある場合 (ステップ S3 : yes)、運転モード切替部 100は運転モードを非予測運転モ ードに切り替える(ステップ S4)。
[0058] 非予測運転モードに切り替えられた後、温度取得部 103は、貯湯槽 21内に設けら れた各温度計 TM1〜TM5によって計測された貯湯槽内の水の温度 T1〜T5を取 得する (ステップ S5)。起動停止判断部 106は、電熱発生装置 11が起動状態にある 力 あるいは停止状態にあるかを判断する (ステップ S6)。
[0059] 起動停止判断部 106が電熱発生装置 11は起動状態にあると判断した場合 (ステツ プ S6 :yes)、温度判断部 104は、第 2の温度計 TM5によって計測された第 2の温度 T5が、 40°C以上である力否かを判断する (ステップ S7)。この判断により、貯湯槽 21
に貯えられている水のうち 40°C以上に温められている水の割合が第 2の閾値以上で あるカゝ否かが判断される。
[0060] 第 2の温度 T5は 40°C以上であると温度判断部 104が判断した場合 (ステップ S7 :y es)、起動停止制御部 105は電熱発生装置 11を停止する (ステップ S8)。一方、第 2 の温度 T5は 40°C以上でな 、と温度判断部 104が判断した場合 (ステップ S7: no)に は、起動停止制御部 105は電熱発生装置 11の起動状態を継続する (ステップ S9)。
[0061] 起動停止判断部 106が電熱発生装置 11は起動状態にない、すなわち停止状態に あると判断した場合 (ステップ S6 : no)、温度判断部 104は、第 1の温度計 TM2によ つて計測された第 1の温度 T2が 40°C未満であるか否かを判断する (ステップ S10)。 この判断により、貯湯槽 21に貯えられて 、る水のうち 40°C以上に温められて 、る水 の割合が第 1の閾値未満である力否かが判断される。
[0062] 第 1の温度 T2は 40°C未満であると温度判断部 104が判断した場合 (ステップ S10: yes)、起動停止制御部 105は起動処理を実行する (ステップ S 11)。一方、第 2の温 度 T5は 40°C以上であると温度判断部 104が判断した場合 (ステップ S10 :no)、起 動停止制御部 105は停止継続処理を実行する (ステップ S12)。
[0063] 次に、図 5を参照して上述したステップ S 11の起動処理における動作を説明する。
図 5は、起動処理における動作を示すフロー図である。まず、電力判断部 108は、現 時点において使用されている電力量が、予め定められた電熱発生装置 11の最低発 電量未満であるか否かを判断する (ステップ S 101)。
[0064] 現時点において使用されている電力量は最低発電量未満であると電力判断部 10 8が判断した場合 (ステップ S 101: yes)、起動停止制御部 105は電熱発生装置 11 の停止状態を継続する (ステップ S 102)。一方、現時点において使用されている電 力量は最低発電量未満でないと電力判断部 108が判断した場合 (ステップ S101 :n o)、起動停止制御部 105は電熱発生装置 11を起動する (ステップ S 103)。
[0065] 次に、図 6を参照して上述したステップ S 12の停止継続処理における動作を説明す る。図 6は、停止継続処理における動作を示すフロー図である。まず、予測使用水量 有無判断部 107は、温度計 TM1〜TM5によって計測された温度 T1〜T5に基づい て求められる 40°C以上の水の量が、所定の時間帯における熱量の予測値に基づい
て算出される予測使用水量未満である力否かを判断する (ステップ Sl l l)。
[0066] 40°C以上に温められている水の量は予測使用水量未満でない、すなわち 40°C以 上に温められている水の量は予測使用水量を満たすと予測使用水量有無判断部 10 7が判断した場合 (ステップ Si l l :no)、起動停止制御部 105は電熱発生装置 11の 停止状態を継続する (ステップ S 112)。 40°C以上に温められている水の量は予測使 用水量未満である、すなわち 40°C以上に温められている水の量は予測使用水量を 満たさないと予測使用水量有無判断部 107が判断した場合 (ステップ Si l l :yes)、 起動停止制御部 105は電熱発生装置 11を起動する (ステップ S 113)。
[0067] コジェネレーションシステム 1は予測運転モードだけでなぐ貯湯槽 21内の状況に 基づいて運転する非予測運転モードを備える。そのため、予測が困難な状況に陥つ た場合であっても、現在の状況に基づ 、て経済的な運転をすることが可能である。
[0068] 非予測運転モードでは、第 1の温度計 TM2によって計測された第 1の温度 T2が 4 0°C未満であると温度判断部 104にお ヽて判断された場合、起動停止制御部 105は 電熱発生装置 11を起動する。すなわち、 40°C以上に温められている水が第 1の閾 値 (この場合 30%)未満である場合、起動停止制御部 105が電熱発生装置 11を起 動する。仮に必要な量の温水が貯湯槽 21内に貯えられていなければ、使用時に温 水が不足するおそれがある。したがって、貯湯槽 21に貯えておく温水の量として最低 限必要な量に対応する位置の温度計を第 1の温度計として設定しておくことで、温水 が不足してしまう事態に至ることを抑制できる。
[0069] また、非予測運転モードでは、第 2の温度計 TM5によって計測された第 2の温度 T 5が 40°C以上であると温度判断部 104にお 、て判断された場合、起動停止制御部 1 05は電熱発生装置 11を停止する。 40°C以上に温められている水が第 2の閾値 (こ の場合 90%)以上ある場合、起動停止制御部 105が電熱発生装置 11を停止する。 仮に十分な量以上の温水を貯湯槽 21に貯えておいたとしても、使うことなく冷めてし まえばこの温水を得るのに発生した熱が無駄になってしまう。したがって、第 1の温度 計の下方にあり、且つ貯湯槽 21に貯えておくのに十分な量に対応する位置にある温 度計を第 2の温度計として設定しておくことで、電熱発生装置 11で無駄な熱を発生 することが抑制される。
[0070] このように、コジェネレーションシステム 1の非予測運転モードでは、電熱発生装置 1 1において無駄な熱を発生することを抑制すると同時に、温水が不足してしまう事態 に至ることを抑制している。そのため、経済的な運転をすることが可能である。
[0071] なお、貯湯槽 21内の水の温度は、上方から下方への一方向で低下する。したがつ て、第 1の温度計を第 2の温度計の上方に設定することで、第 1の温度計により必要 条件を判断でき、第 2の温度計により十分条件を判断できる。
[0072] 運転モード切替部 100は、電力量相関係数と熱量相関係数との和に基づいて、予 測運転モードから非予測運転モードに切り替える。予測値による運転では、自然環 境の大幅な変化、あるいは生活環境の大幅な変化に対して適切に対応することは困 難である。電力量相関係数と熱量相関係数との和から、実際の使用量と予測使用量 との間の乖離が認識された場合、コジェネレーションシステム 1は貯湯槽に貯えられ た水の温度状況に基づいて運転する非予測運転モードに切り替えられる。そのため 、予測が困難な状況に陥った場合であっても、経済的な運転を良好に維持すること が可能である。
[0073] 貯湯槽 21に設けられた温度計 TM1〜TM5は上下方向に並んで配置されている。
すなわち、複数の温度計 TM1〜TM5は、貯湯槽 21内の水の温度が低くなる方向 に沿ってこの順で並んで配置されている。したがって、特定の温度計 Tiの温度を得る ことで、温度判断部 104は当該温度計 TUり上方の水の温度状況及び下方の水の 温度状況を的確に把握することができる。そのため、温度判断部 104は、複数の温 度計 TM1〜TM5によって計測された温度 T1〜T5に基づいて、 40°Cの水の割合を 算出することが可能である。
[0074] コジェネレーションシステム 1では、第 1の温度 T2が 40°C未満であり電熱発生装置 11を起動した方がょ 、と判断される場合であっても、現時点にお 、て使用されて 、る 電力量が最低発電量未満である場合、電熱発生装置 11の停止状態を継続する。そ のため、電熱発生装置 11を起動してしまい必要とされる電力量以上の無駄な電力を 発生してしまう事態の発生を抑制することができる。
[0075] また、コジェネレーションシステム 1では、第 1の温度 T2が 40°C以上であり電熱発生 装置 11を停止状態にしてお 、た方がょ 、と判断される場合であっても、 40°C以上で
ある水の量が予測使用水量未満である場合、電熱発生装置 11を起動する。現在の 使用状況に対しては、貯湯槽 21に貯えられている温水の量が十分であったとしても 、その後さらに多量の温水が必要になる場合がある。そのようなことが予測された場 合には、電熱発生装置 11を停止したままとせず起動させ、温水不足となる事態の発 生を抑制することができる。
[0076] 以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に 限定されるものではなぐ様々な変形が可能である。例えば、運転制御部 13は、温度 計によって計測された温度に基づいて、温度計 TM1〜TM5のうち 40°C以上の温度 が計測された温度計の割合を算出する算出部 (算出手段)を更に備えてもよい。算出 部は、例えば 40°C以上が計測された温度計が TM1である場合温度計の割合を 1Z 10 (10%)として算出し、 40°C以上が計測された温度計が TM1、 TM2である場合 温度計の割合を 3ZlO (30%)として算出し、 40°C以上が計測された温度計が TM1 、 TM2、 TM3である場合温度計の割合を 5Z10 (50%)として算出し、 40°C以上が 計測されたか温度計が TM1、 TM2、 TM3、 TM4である場合温度計の割合を 7Zl 0 (70%)として算出し、 40°C以上が計測されたか温度計が TM1、 TM2、 TM3、 T Μ4、 ΤΜ5である場合温度計の割合を 9Z10 (90%)として算出する。起動停止制 御部 105は、算出部により算出された温度計の割合が第 2の閾値 (例えば 90%)以 上である場合に、電熱発生装置 11を停止させ、算出された温度計の割合が第 1の閾 値 (例えば 30%)未満である場合に、電熱発生装置を起動させる。
[0077] また、設置される温度計の数は、上記実施形態に係るコジェネレーションシステム 1 の貯湯槽 21に設けられた数に限らず、 4つ以下であっても、あるいは 6つ以上であつ てもよい。さらに、複数の温度計は、貯湯槽内において上下方向に関して予め定めら れた所定の間隔を有して 、ればよく、等間隔で設置されて 、なくてもょ 、。
[0078] また、運転切り替え手段が、モードを切り替える際に判断する所定の温度は、上記 実施形態で例示した 40°Cに限らず、他の温度であってもよ!/、。