明 細 書
静止画像取り込み装置及び静止画像取り込み方法、並びに画像揺れ補 正装置
技術分野
[0001] 本発明は、画像の揺れを補正して撮影した画像カゝら色収差による像ズレが最も少 なくなるタイミングで静止画の取り込みを行う静止画像取り込み装置及び静止画像取 り込み方法、並びに非光学的に色収差を補正する機能を有する画像揺れ補正装置 に関する。
背景技術
[0002] 撮影画像の揺れを補正する画像揺れ補正装置として、従来、撮影時に画像の揺れ を補正
する機能をカメラ本体に装備したものが知られている。特許文献 1には、この画像揺 れ補正の 1つの方法としてプリズムを利用した方式が提案されて 、る。
[0003] この方式に用いられるアクティブ ·プリズムは、 2枚のガラス板を特殊フィルムででき た伸縮自在の蛇腹で接続された 2枚のガラス板の間に当該ガラス板とほぼ同一の光 学屈折率を有する液体を注入した構造を有する。そして、このアクティブ ·プリズムは 、 CCDイメージセンサとビデオカメラ本体の前面に設けられた対物レンズ力 CCDィ メージセンサに被写体を導くレンズユニットの対物レンズとの間の位置に設けられて おり、ビデオカメラ本体の縦方向又は横方向に対する各ガラス版の傾き角を変化させ て、画像揺れを補正する。
[0004] しかし、特許文献 1に記載の画像揺れ補正装置のように屈折素子を用いて画像の 揺れを補正する装置では、光学屈折率を利用して画像揺れ補正を行うので、光の波 長ごとに異なる光学屈折率により光学像に色収差が発生する。これにより撮影した画 像が色ごとにずれて劣化(以下、像ズレと称する)する傾向にあるので、利用者に対し て撮影した画像を鮮明な画像で提供することができなかった。
[0005] そこで、この色収差を光学的に補正することが考えられる。し力しながら、通常のレ ンズでは光軸を中心に放射状に色収差が発生するのに対して、プリズムを用 、て画
像の揺れを補正する装置を用いると光軸に関係なく一方向に色収差が発生し、かつ 時間的にその方向が変化し逆方向となるため通常のレンズのように光学的に色収差 を補正することは困難であった。
[0006] また、撮影した画像から静止画像を取り込む静止画像取り込み装置として、利用者 による静止画取り込み信号を受信した直後に、撮影した画像の中カゝら静止画像を取 り込むものが、一般的に知られている。
[0007] しかし、特許文献 1に記載の画像揺れ補正装置を用いて補正した画像から上記の 一般的な静止画像取り込み装置を用いて静止画を取り込む場合、画像の揺れの補 正量が大きくなるにつれ、入射光の屈折角が大きくなるので、これに応じて取り込ん だ静止画像の色収差による像ズレも大きくなる。
[0008] このため、上記のような一般的な静止画像取り込み装置では、画像揺れの補正量 が最大のときに静止画取り込み信号を受信すると、取り込んだ画像の色収差による 像ズレが最大になり、鮮明な静止画を取り込むことができな力つた。
[0009] そこで、特許文献 2には、動画撮像時の角変位の閾値を設け、閾値以下になった 場合に静止画像の取り込みを可能とする撮像装置が提案されている。
特許文献 1:特開平 9— 51469号公報
特許文献 2:特許 3548308号公報
発明の開示
[0010] しかし、特許文献 2に記載の撮像装置では、動画撮像時の角変位に閾値を設け、 閾値以下になった場合に静止画像の取り込みを行うので、補正動作時において常に 色収差による像ズレが最も少ない静止画像を取り込むことが難し力つた。また、この 装置に対して閾値を設定できる構成にしたとしても、設定した閾値が低すぎると、補 正量の極小値が閾値に満たなくなり、静止画像の取り込みができなくなる不具合が 懸念される。この場合、この閾値の設定が非常に困難になり、色収差による像ズレを 常に最小限に抑えることができな力つた。
[0011] 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、
(1)撮影した画像の中から静止画像を取り込む際に、色収差により生じる像ズレを最 小限に抑える静止画像取り込み装置及び静止画像取り込み方法、及び、
(2)色収差により生じる像ズレを非光学的に補正する機能を搭載した画像揺れ補正装 置、
を提供することを目的とする。
[0012] 上記目的を達成するため、本発明に係る静止画像取り込み装置の第 1の特徴は、 光学レンズカゝら入射した光による被写体像を撮像素子により電気信号へ変換して 画像を得る撮像装置の振れに起因する画像の揺れを補正し、補正した手振れ補正 画像カゝら静止画像を取り込む静止画像取り込み装置において、
撮像装置に生じる水平又は垂直振れを検出する振れ検出部と、
撮像素子に入射するまでの光路上に配置され、前記光を任意の方向に屈折させる 光屈折手段と、
振れ検出部で検出した振れを打ち消すように光屈折手段による前記光の屈折方向 を制御する手振れ制御手段と、
手振れ制御手段により制御される光屈折手段の制御量を検出する制御量検出手 段と、
制御量検出手段により検出した制御量力 水平方向又は垂直方向の手振れ角を 算出する手振れ角算出手段と、
静止画像の取り込みを要求する要求信号を受信したときに、前記手振れ角算出手 段により算出した水平方向又は垂直方向の手振れ角の絶対値がゼロ、又は極小値と なる時点に基づき静止画像の取り込み基準時を決定する取り込み基準時決定手段 と、
取り込み基準時決定手段により決定した取り込み基準時の直後に前記撮像素子か ら読み出された手振れ補正画像を静止画像として取り込む静止画処理部と
を備えたことを要旨とする。
[0013] 本発明に係る静止画像取り込み装置の第 2の特徴は、
光学レンズカゝら入射した光による被写体像を撮像素子により電気信号へ変換して 画像を得る撮像装置の振れに起因する前記画像の揺れを補正し、補正した手振れ 補正画像から静止画像を取り込む静止画像取り込み装置において、
撮像装置に生じる水平又は垂直振れを検出する振れ検出部と、
振れ検出部により検出した振れから水平方向又は垂直方向の手振れ角を算出する 手振れ角算出手段と、
静止画像取り込みの要求信号を受信したときに、手振れ角算出手段により算出した 水平方向又は垂直方向の手振れ角の絶対値がゼロ、又は極小値となる時点に基づ き静止画像の取り込み基準時を決定する取り込み基準時決定手段と、
取り込み基準時決定手段により決定した取り込み基準時の直後に撮像素子力 読 み出された手振れ補正画像を静止画像として取り込む静止画処理部と
を備えたことを要旨とする。
本発明に係る静止画像取り込み装置の第 3の特徴は、
光学レンズカゝら入射した光による被写体像を撮像素子により電気信号へ変換して 画像を得る撮像装置の振れに起因する前記画像の揺れを補正し、補正した手振れ 補正画像から静止画像を取り込む静止画像取り込み装置において、
撮像装置に生じる水平又は垂直振れを検出する振れ検出部と、
撮像素子に入射するまでの光路上に配置され、前記光を任意の方向に屈折させる 光屈折手段と、
振れ検出部で検出した振れを打ち消すように光屈折手段による光の屈折方向を制 御する手振れ制御手段と、
手振れ制御手段により制御される光屈折手段の制御量を検出する制御量検出手 段と、
制御量検出手段により検出した制御量力 水平方向又は垂直方向の手振れ角を 算出する手振れ角算出手段と、
予め定めた所定の時間内に前記撮像素子から読み出された複数の手振れ補正画 像と該複数の手振れ補正画像それぞれの撮影時期を特定する情報と手振れ角算出 手段により算出した水平方向又は垂直方向の手振れ角とを対応付けて記憶部に記 憶する記憶手段と、
静止画像取り込みの要求信号を受信したときに、手振れ角算出手段により算出した 水平方向又は垂直方向の手振れ角の絶対値がゼロ、若しくは極小値となる第 1の時 点、又は前記記憶部に記憶された水平方向又は垂直方向の手振れ角の絶対値が
ゼロ、若しくは極小値となる第 2の時点を静止画像の取り込み基準時として決定する 取り込み基準時決定手段と、
第 2の時点を静止画像の取り込み基準時として決定した場合に、前記取り込み基 準時決定手段により決定した取り込み基準時の直後又は直前に撮像素子力 読み 出されて記憶部に記憶された手振れ補正画像を静止画像として取り込む静止画処 理部と
を備えたことを要旨とする。
本発明に係る静止画像取り込み装置の第 4の特徴は、
光学レンズカゝら入射した光による被写体像を撮像素子により電気信号へ変換して 画像を得る撮像装置の振れに起因する前記画像の揺れを補正し、補正した手振れ 補正画像から静止画像を取り込む静止画像取り込み装置において、
撮像装置に生じる水平又は垂直振れを検出する振れ検出部と、
撮像素子に入射するまでの光路上に配置され、光を任意の方向に屈折させる光屈 折手段と、
振れ検出部で検出した振れを打ち消すように光屈折手段による前記光の屈折方向 を制御する手振れ制御手段と、
手振れ制御手段により制御される前記光屈折手段の制御量を検出する制御量検 出手段と、
制御量検出手段により検出した制御量力 水平方向又は垂直方向の手振れ角を 算出する手振れ角算出手段と、
手振れ角算出手段にて算出した水平方向又は垂直方向の手振れ角がゼロである 直後に前記撮像素子カゝら読み出された手振れ補正画像と該複数の手振れ画像それ ぞれの撮影時期を特定する情報とを対応付けて記憶部に記憶する記憶手段と、 静止画像取り込みの要求信号を受信したときに、手振れ角算出手段により算出した 水平方向又は垂直方向の手振れ角の絶対値がゼロ、若しくは極小値となる第 1の時 点、又は記憶部に記憶された水平方向又は垂直方向の手振れ角がゼロとなる最新 の第 2の時点を静止画像の取り込み基準時として決定する取り込み基準時決定手段 と、
第 2の時点を静止画像取り込み基準時として決定した場合に、取り込み基準時決 定手段により決定した取り込み基準時の直後に撮像素子力 読み出されて記憶部に 記憶された手振れ補正画像を静止画像として取り込む静止画処理部と
を備えたことを要旨とする。
[0016] 本発明に係る静止画像取り込み装置の第 5の特徴は、
光学レンズカゝら入射した光による被写体像を撮像素子により電気信号へ変換して 画像を得る撮像装置の振れに起因する前記画像の揺れを該揺れに対応した補正量 で補正された手振れ補正画像から、静止画像を取り込む静止画像取り込み装置に おいて、
振れ補正量の絶対値がゼロ、又は極小値となる時点に基づき静止画像の取り込み 基準時を決定する取り込み基準時決定手段と、
取り込み基準時決定手段により決定した取り込み基準時の直後に前記撮像素子か ら読み出された手振れ補正画像を静止画像として取り込む静止画処理部と
を備えたことを特徴とする静止画像取り込み装置であることを要旨とする。
[0017] 上記目的を解決するため、本発明に係る画像揺れ補正装置の第 1の特徴は、 光学レンズカゝら入射した撮像光を撮像素子により電気信号に変換して画像を得る 撮影機器の撮影中の振れに起因する撮影画像の揺れを補正する画像揺れ補正装
¾【こ; /、て、
撮影機器に生じる振れを検出する振れ検出手段と、
光学レンズの入射側に配置され、前記光学レンズに入射する光の屈折方向を変化 させる一対の可動屈折素子と、
可動屈折素子をそれぞれ光軸回りに回動させる 2つの回動手段と、
振れ検出手段で検出した振れを打ち消すように前記 2つの回動手段を制御する回 動制御手段と、
可動屈折素子の回動量を検出する回動量検出手段と、
得られた画像の画像データを 3原色の画像に分離する色分離手段と、 色分離手段によって分離した各色画像を回動に伴い出力する際、各色画像の出 力位置の像ズレ量を回動量検出手段によって検出した回動量力 算出する像ズレ量
算出手段と、
像ズレ量算出手段により各色画像間の相対的な像ズレを補正する色収差補正手 段と
を備えたことを要旨とする。
[0018] 本発明に係る画像揺れ補正装置の第 2の特徴は、
光学レンズカゝら入射した撮像光を撮像素子により電気信号に変換して画像を得る 撮影機器の撮影中の振れに起因する撮影画像の揺れを補正する画像揺れ補正装 ¾【こ; i l /、て、
得られた画像の画像データを 3原色の画像に分離する色分離手段と、
色分離手段により分離した各色画像を重ね合わせ、重ね合わせた色画像を上下左 右 1画素ずつずらし、画素ごとの出力値の差分を合計し、合計した差分値合計を最 小とする各色画像の位置を決定する像ズレ量算出手段と、
像ズレ量算出手段により決定した各色画像の位置に基づいて各色画像の出力位 置を補正する色収差補正手段と
を備えたことを要旨とする。
図面の簡単な説明
[0019] [図 1]図 1は、本発明の実施の形態に係る静止画像取り込み装置の構成を示すプロ ック図である。
[図 2]図 2は、図 1に示す静止画像取り込み装置の補正部を示す概略図であり、図 2 ( a)は概略正面図、図 2 (b)は概略側面図である。
[図 3]図 3は、補正部の構成図であり、図 3 (a)は正面図、図 3 (b)は図 2 (a)に示す B 方向から見た断面図、図 3 (c)は図 2 (a)に示す A方向力も見た断面図である。
[図 4]図 4は、図 3に示す補正部が備える固定プリズムの斜視図である。
[図 5]図 5は、図 3に示す補正部が備えるァクチユエータとセンサの配置図で、図 5 (a) は概略側面図、図 5 (b)は可動プリズム 10Aのァクチユエータとセンサの配置図、図 5
(c)は可動プリズム 10Bのァクチユエータとセンサの配置図である。
[図 6]図 6は、プリズムによる被写体像の移動について説明する図であり、図 6 (a)は プリズムによる光の屈折を説明する図、図 6 (b)は(a)においてプリズムを正面方向か
ら見た図である。
[図 7]図 7は、可動プリズムが回転しない場合の像シフトベクトルを示す図である。
[図 8]図 8は、可動プリズムが回転した場合の被写体像の移動について説明する図で あり、図 8 (a)は可動プリズムが回転した場合の像シフトベクトルを示す図、図 8 (b)は 図 8 (a)に示す像シフトベクトルの変化量を取り出した図である。
[図 9]図 9は、被写体像 (被写体)の平行移動の形態を示す図で、図 9 (a)は被写体像 が第 2象限に移動した図、図 9 (b)は被写体像が第 1象限に移動した図、図 9 (c)は 被写体像が第 3象限に移動した図、図 9 (d)は被写体像が第 4象限に移動した図で ある。
[図 10]図 10は、換算焦点距離とシフト面を説明する図であり、図 10 (a)は換算焦点 距離を説明する図、図 10 (b)はシフト量を説明する図である。
[図 11]図 11は、手振れ補正について説明する図であり、図 11 (a)は手振れによる被 写体像の移動を説明する図、図 11 (b)は手振れによる被写体像の移動に対する手 振れ補正を説明する図である。
[図 12]図 12は、プリズムが光軸上にない場合における黒字に白で「A」の文字を撮像 素子により撮像した像を示す図である。
[図 13]図 13は、プリズムが光軸上にある場合における黒字に白で「A」の文字を撮像 素子により撮像した像を示す図である。
[図 14]図 14は、手振れ角がゼロとなる場合の手振れ角曲線を示した説明図である。
[図 15]図 15は、手振れ角の絶対値が極小値となる場合の手振れ角曲線を示した説 明図である。
[図 16]図 16は、本発明の実施の形態に係る静止画像取り込み装置の処理フローを 示す図である。
[図 17]図 17は、水平方向及び垂直方向の手振れの位相差がゼロの場合の手振れ 角曲線を示す説明図である。
[図 18]図 18は、垂直方向の手振れ角の位相が水平方向の手振れ角の位相より 45度 マイナス方向にずれた場合の手振れ角曲線を示す説明図である。
[図 19]図 19は、手振れ角が予め定めた取り込み制限時間にゼロ、又は極小値となら
ない場合の手振れ角曲線を示した説明図である。
[図 20]図 20は、図 1におけるレンズ系を示す図である。
[図 21]図 21は、図 1に示す補正部とレンズ系とのその他の配置関係を示す図であり、 図 21 (a)はレンズ系内に補正部を配置した図、図 21 (b)はレンズ系の後方に補正部 を配置した図である。
[図 22]図 22は、本実施の形態に係る補正部のその他の構成として固定プリズムなし の補正部を示す図であり、図 22 (a)は正面図、図 22 (b)は平面図、図 22 (c)は側面 図である。
[図 23]図 23は、本実施の形態に係るプリズムのその他の構成として固定プリズム 2枚 を備える補正部を示す図であり、図 23 (a)は正面図、図 23 (b)は平面図、図 23 (c) は側面図である。
[図 24]図 24は、本実施の形態に係るプリズムのその他の構成を示す図であり、図 24 (a)は単体プリズムを示す図、図 24 (b)は複合プリズムを示す図、図 24 (c)はプリズ ム効果を有する平行板を示す図である。
[図 25]図 25は、本発明の実施形態に係る画像揺れ補正装置の構成を示すブロック 図である。
[図 26]図 26は、図 25に示す画像揺れ補正装置の補正部を示す概略図で、図 (a)は 概略正面図、図 (b)は概略側面図である。
[図 27]図 27は、図 26に示す補正部の構成図であり、図 27 (a)は正面図、図 27 (b) は図 26 (a)に示す B方向から見た断面図、図 27 (c)は図 26 (a)に示す A方向から見 た断面図である。
[図 28]図 28は、図 27に示す補正部が備える固定プリズムの斜視図である。
[図 29]図 29は、図 27に示す補正部が備えるァクチユエータとセンサの配置図であり 、図 29 (a)は概略側面図、図 29 (b)は可動プリズム 60Aのァクチユエータとセンサの 配置図、図 29 (c)は可動プリズム 60Bのァクチユエータとセンサの配置図である。
[図 30]図 30は、プリズムによる被写体像の移動について説明する図であり、図 30 (a) はプリズムによる光の屈折を説明する図、図 30 (b)は図 30 (a)においてプリズムを正 面方向から見た図である。
[図 31]図 31は、可動プリズムが回転しな 、場合の像シフトベクトルを示す図である。
[図 32]図 32は、可動プリズムが回転した場合の被写体像の移動について説明する 図であり、図 32 (a)は可動プリズムが回転した場合の像シフトベクトルを示す図、図 3 2 (b)は図 32 (a)に示す像シフトベクトルの変化量を取り出した図である。
[図 33]図 33は、被写体像 (被写体)の平行移動の形態を示す図であり、図 33 (a)は 被写体像が第 2象限に移動した図、図 33 (b)は被写体像が第 1象限に移動した図、 図 33 (c)は被写体像が第 3象限に移動した図、図 33 (d)は被写体像が第 4象限に移 動した図である。
[図 34]図 34は、換算焦点距離とシフト面を説明する図であり、図 34 (a)は換算焦点 距離を説明する図、図 34 (b)はシフト量を説明する図である。
[図 35]図 35は、手振れ補正について説明する図であり、図 35 (a)は手振れによる被 写体像の移動を説明する図、図 35 (b)は手振れによる被写体像の移動に対する手 振れ補正を説明する図である。
[図 36]図 36は、プリズムが光軸上にない場合における黒字に白で「A」の文字を撮像 素子により撮像した像を示す図である。
[図 37]図 37は、プリズムが光軸上にある場合における黒字に白で「A」の文字を撮像 素子により撮像した像を示す図である。
[図 38]図 38は、本実施形態である画像揺れ装置における色収差による像ズレを補正 する処理フローを示す図である。
[図 39]図 39は、色収差による像ズレが生じた場合の RGB出力画像の一例を示す図 である。
[図 40]図 40は、 3板式の本発明の画像揺れ補正装置の一実施の形態を示す。
[図 41]図 41 (a)は、画素配列のアドレスを示す図である。図 41 (b)は、色収差による 像ズレがない場合の画像の一部を拡大した図である。図 41 (c)は、図 41 (b)の場合 の信号出力を示した図である。
[図 42]図 42は、本実施形態に係る画像揺れ補正装置における色収差補正の処理手 順を示す色収差補正処理フローである。
[図 43]図 43 (a)は、色収差による像ズレがある場合の白色の短形被写体画像の一部
を拡大した一例を示した図である。図 43 (b)〜図 43 (d)は、 R、 G、 B各々の出力画 像の一例を示した図である。図 43 (e)〜図 43 (h)は、各々、図 43 (a)〜図 43 (d)に 対応する信号出力の一例を示した図である。
[図 44]図 44 (a)は、 R、 G、 B出力画像の一例における差分を示す図である。図 44 (b )は、 R、 G出力画像の一例における差分を示す図である。図(c)は、 G、 B出力画像 の一例における差分を示す図を示す。
[図 45]図 45 (a)は、 R出力画像を右へ 1画素ずらしたときの R出力画像の一例を示し た図である。図 45 (b)は、 B出力画像を左へ 1画素ずらしたときの B出力画像の一例 を示した図である。図 45 (c)及び図 45 (d)は、図 45 (a)及び図 45 (b)に対応する信 号出力の一例を示した図である。
[図 46]図 46 (a)は、 R、 B出力画像を左右へ 1画素ずつずらしたときの R、 G、 B出力 画像の一例における差分を示す図である。図 46 (b)は、 R、 G出力画像の一例にお ける差分を示す図である。図 46 (c)は、 G、 B出力画像の一例における差分を示す図 である。図 46 (d)〜図 46 (f)は、各々、図 46 (a)〜図 46 (c)に対応する信号出力の 一例を示した図である。
[図 47]図 47は、図 25におけるレンズ系を示す図である。
[図 48]図 48は、図 25に示す補正部とレンズ系とのその他の配置関係を示す図であり 、図 48 (a)はレンズ系内に補正部を配置した図、図 48 (b)はレンズ系の後方に補正 部を配置した図である。
[図 49]図 49は、本実施の形態に係る補正部のその他の構成として固定プリズムなし の補正部を示す図であり、図 49 (a)は正面図、図 49 (b)は平面図、図 49 (c)は側面 図である。
[図 50]図 50は、本実施の形態に係る補正部のその他の構成として固定プリズム 2枚 を備える補正部を示す図であり、図 50 (a)は正面図、図 50 (b)は平面図、図 50 (c) は側面図である。
[図 51]図 51は、本実施の形態に係るプリズムのその他の構成を示す図であり、図 51 (a)は単体プリズムを示す図、図 51 (b)は複合プリズムを示す図、図 51 (c)はプリズ ム効果を有する平行板を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0020] 以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[0021] <静止画像取り込み装置 >
まず、静止画像取り込み装置の実施形態について説明する。本実施形態では、プ リズムを用いて手振れを補正し、この手振れ補正した画像の中から静止画像を取り込 む際、プリズムの色収差により生じる像ズレを最小限に抑える静止画像取り込み装置 を例に挙げて説明する。
[0022] 図 1は、本発明に係る静止画像取り込み装置の一実施形態を示したブロック図であ る。本発明の静止画像取り込み装置は、例えば撮像装置であるビデオカメラ 1内に設 けられる。
[0023] 本実施形態におけるビデオカメラ 1は、固定プリズムと、光軸 laを回転中心として独 立的に回動可能な一対の可動プリズムとを備える補正部 2と、被写体を撮影するレン ズ系 3と、レンズ系 3から入射した光を結像させ、結像させた被写体像を電気信号に 変換する CCD部 13と、 CDS機能、 AGC機能、及び A/D変換機能を備えた前処 理用 IC部 19と、前処理用 IC部 19から入来した入力信号に各種デジタル処理を施す カメラ DSP部 20と、補正部 2内の一対の可動プリズムをそれぞれ独立的に回動させ るァクチユエータ 4A, 4Bと、手振れ等によるビデオカメラ 1の角速度などにより振れを 検出して手振れ信号を出力する手振れ検出部 5と、手振れ検出部 5からの手振れ信 号に応じて振れを打ち消すようにァクチユエータ 4A, 4Bを回動制御するように制御 信号を送信する回動制御部 6Aとセンサ 8A, 8Bで検出した可動プリズムの回動量か ら手振れ角を算出する手振れ角算出部 6Bと画像の取り込み基準時を決定する取り 込み基準時決定部 6Cとを有する CPU6と、 CPU6の回動制御部 6Aからの制御信 号に応じてァクチユエータ 4A, 4Bを駆動させるモータ駆動電子回路 (MDE) 7と、補 正部 2内の一対の可動プリズムの回転状態を検知するセンサ 8A, 8Bと、撮影画像 等を記憶する記憶部 24と、静止画像を取り込む静止画処理部 25と、外部操作系 26 とを備える。
[0024] 本実施形態の静止画像取り込み装置では、補正部 2と CPU6とを含む構成としてい るが、少なくとも回動制御部 6Aと手振れ角算出部 6Bと取り込み基準時決定部 6Cと
を含んでいれば良い。
[0025] 図 2は、図 1に示す静止画像取り込み装置の補正部 2を示す概略図で、図 2 (a)は 概略正面図、図 2 (b)は概略側面図である。図 3は補正部 2の構成図で、図 3 (a)は 正面図、図 3 (b)は図 2 (a)に示す B方向から見た断面図、図 3 (c)は図 2 (a)に示す A 方向から見た断面図である。図 4は、補正部 2が備える固定プリズムの斜視図である。
[0026] 図 2に示すように、補正部 2は、レンズ系 3とこのレンズ系 3の前面を覆うフード部 lb との間に配設されており、図 3 (a)〜(c)に示すように、補正部 2は、固定して設置され た固定プリズム 9と、光軸を回転中心として回動可能な一対の可動プリズム 10A, 10 Bとを備えている。
[0027] 固定プリズム 9は、図 4に示すように、光軸 laに対して垂直な面である第 1の面 9aと 、第 1の面 9aに対して微小な角度の傾きを有して対向する平面である第 2の面 9bとを 形成した、アクリル等よりなるプリズムである。可動プリズム 10A, 10Bも同様の形状、 材質である。
[0028] 図 5は、補正部 2が備えるァクチユエータとセンサの配置図で、図 5 (a)は概略側面 図、図 5 (b)は可動プリズム 10Aのァクチユエータとセンサの配置図、図 5 (c)は可動 プリズム 10Bのァクチユエータとセンサの配置図である。
[0029] ァクチユエータとセンサとは補正部 2に取り付けられて 、る。そして、図 5 (b) , (c)に 示すように、ァクチユエータ 4Aとセンサ 8Aは可動プリズム 10A用であり、ァクチユエ ータ 4Bとセンサ 8Bは可動プリズム 10B用である。
[0030] ァクチユエータ 4A, 4Bは CPU6の回動制御部 6Aからの制御信号に応じて可動プ リズム 10A, 10Bを回動させる。ァクチユエータ 4A, 4Bは負荷トルクの小さい小型パ ルスモータや、小型リニアモータ、小型超音波モータ等により構成される。
[0031] センサ 8A, 8Bは小型フォトインタラプタ、 MR素子、ホール素子等により構成され、 可動プリズム 10A, 10Bの回動状態を検出して回動状態の情報を CPU6に出力する
[0032] センサ 8A, 8Bとして小型フォトインタラプタを用いる場合には、パルスモータとの組 で用い、可動プリズム 10A, 10Bの外周側をマスキングし、そのマスキング上にそれ ぞれ穴 10a, 10bを設ける。穴 10a, 10bは、可動プリズム 10A, 10Bが初期位置に
なったときにセンサ 8A, 8Bの位置に来るように設ける。
[0033] 小型フォトインタラプタは、赤外線発光ダイオードとフォトトランジスタとを備え、可動 プリズム 10A又は 10Bが赤外線発光ダイオードとフォトトランジスタとの間に配置され るように設置する。
[0034] 小型フォトインタラプタは、電源 ON時に可動プリズム 10A, 10Bを回動させ、穴 10 a, 10bを通過した赤外線発光ダイオードの光をフォトトランジスタで受光することによ り原点位置を検出する。可動プリズム 10A, 10Bの回動状態の情報は、原点位置で のパルスをゼロとして回動時のパルス数をカウントすることにより得られる。
[0035] また、センサ 8A, 8Bとして MR素子又はホール素子を用いる場合には、穴 10a, 1 Obを設ける替わりに、可動プリズム 10A, 10Bにそれぞれ磁性体を取り付ける。
[0036] MR素子又はホール素子は、可動プリズム 10A, 10Bの回動と共に回動する磁性 体による磁界の変化を検出することにより回動状態の情報を検出する。
[0037] 本実施形態の静止画像取り込み装置では、手振れ検出部 5で検出した振れを打ち 消すように可動プリズム 10A, 10Bを回動させることより手振れによる画像揺れを補 正し、この可動プリズム 10A, 10Bの回転角を検出し、検出した回転角力も手振れ角 を算出し、手振れ角がゼロ又は最小となる直後に対応する画像を静止画像として取り 込む。
[0038] そのため、以下に手振れ補正の処理について説明した後、静止画像取り込み処理 について説明する。
[0039] 《手触れ補正》
本実施形態の静止画像取り込み装置では、手振れ検出部 5で検出した振れを打ち 消すように可動プリズム 10A, 10Bを回動させることより手振れによる画像揺れを補 正する。
[0040] 図 6は、プリズムによる被写体像の移動について説明する図であり、図 6 (a)はプリ ズムによる光の屈折を説明する図、図 6 (b)は図 6 (a)においてプリズムを正面方向(a 方向)力も見た図である。図 6 (b)では図 6 (a)に示すプリズム 11を αだけ回転させて いる。図 6 (a) , (b)に示すように、入射した光はプリズム 11によって屈折角 fで屈折さ れ、その結果、被写体 Aの像が P点方向に向力つて ΑΊこシフト(平行移動)する。
[0041] 図 6 (a) , 6 (b)において、 "i"はプリズム 11のプリズム角(光の入射角)、 "L"はプリズ ム長、 " δ "はプリズム高さ、 " δ "は最も薄い部分のプリズム高さ、 "Ν"は屈折率、 " "は光の屈折角、 " Θ "は像シフト角(偏角)、 " ex "はプリズム回転角、 "L "はプリズム 回転量、 " e"は像シフト方向の単位ベクトル、 " Θ "は像シフトベクトルである。
vector vector
なお、添え字" "はベクトル量を表すものとする。なお、図 6〜: L 1においては、これ
vector
らのベクトル量を添え字" "の代わりに、太字で表して 、る。
vector
[0042] ここで、
θ = Θ e (式 1)
vector vector
である。
[0043] 図 6 (a)に示すように、プリズム角(入射角) iと屈折角 fと像シフト角(偏角) Θとの間 には、
Θ = → (式 2)
が成り立つ。さら〖こ、スネルの法則により、
sini =Nsini (式 3)
が成り立つ。
[0044] ここで、プリズム角 iが小さいと仮定すると、(式 3)は、
f =Ni (式 4)
と近似できるので、(式 4)を (式 2)に代入すると、
Θ = (N- l) i (式 5)
となる。
[0045] また、図 6 (b)より、プリズム回転量 L とプリズム回転角 aとの間には、
L = (L/2) a (式 6)
つまり、
a = (2/L) L (式 7)
が成り立つ。また、
δ =Ltani+ δ (式 8)
つまり、
L= ( S— δ ) /tani (式 9)
が成り立つ。
[0046] 図 7は、補正部 2内の可動プリズム 10A, 10Bが回転していない場合 (初期状態)の 像シフトベクトルを示す図である。
[0047] 図 7において、 θ , θ , Θ はそれぞれ固定プリズム 9、可動プリズム 10 vector 1 vector 2 vector 3
A, 10Bによる像シフトベクトルである。図 7に示すように、 0 と Θ の合成べク vector 2 vector 3 トルを Θ が打ち消すように固定プリズム 9、可動プリズム 10A, 10Bの位置を設定 vector 1
する。これにより、固定プリズム 9、可動プリズム 10A, 10Bの 3枚で平行平板と等価と なるため、補正部 2の入射角と出射角とが同一となり、被写体の像は移動しない。
[0048] 図 8は、可動プリズム 10A, 10Bが回転した場合の被写体像の移動について説明 する図であり、図 8 (a)は可動プリズムが回転した場合の像シフトベクトルを示す図、 図 8 (b)は図 8 (a)に示す像シフトベクトルの変化量を取り出した図である。
[0049] 図 8 (a)において、可動プリズム 10A, 10Bがそれぞれ α , a だけ回転したときの
1 2
像シフトベクトルをそれぞれ 0 Θ 'とする。ここで、図 8 (a)に示す回転方 vector 2 vector 3
向を α , a の正(+ )の方向とする。
2
[0050] また
Θ = Θ ' - Θ (式 10)
vector a vector 2 vector 2
θ = Θ ' - θ (式 11)
vector b vector 3 vector 3
とする。
[0051] すると、図 8 (b)に示すように、被写体 Aの像が ΑΊこ平行移動することになる。このと き、その像シフトベクトルは 0 と Θ の合成ベクトルとして、
vector a vector b
θ = Θ + θ = ( θ , θ ) (式 12)
vector vector a vector b X Y
となる。
[0052] このとき、図 8 (a) , (b)より
θ = Θ sin a — θ (1 -cos a ) (式 13)
X 2 1 3 2
θ = Θ sin a — θ (1 -cos a ) (式 14)
Υ 3 2 2 1
が成り立つ。ここで、 0 は Θ のスカラーを表し、 0 は Θ のスカラーを表す。
2 vector 2 3 vector 3
[0053] ここで、 oc , a を成分とするベクトル a = , a )を考える。 (式 13)及び(式
1 2 vector 1 2
14)を a , a につ!/、て解くと、
1 2
a =±cos (CZD) + a (式 15)
a =±cos_1{[( 0 + θ ) - Θ sina ]/θ } (式 16)
2 X 3 2 1 3
を得る。ここで、
C=[A2+B2+ θ 2- θ 2]/2θ (式 17)
2 3 2
D=(A2 + B2)1 2 (式 18)
a i* = ±cos_1(AZD) (Bの符号を選択) (式 19)
Α=( θ + Θ ) (式 20)
Υ 2
Β=( θ + Θ ) (式 21)
X 3
である。
[0054] ここで、 の符号が一の場合、 a の符号は 0 の符号を選択し、 a の符号が +の
1 2 Y 1
場合、 a の符号は +を選択する。
2
[0055] 図 9は被写体像 (被写体)の平行移動の形態を示す図であり、図 9(a)は被写体像 が第 2象限に移動した図、図 9(b)は被写体像が第 1象限に移動した図、図 9(c)は 被写体像が第 3象限に移動した図、図 9 (d)は被写体像が第 4象限に移動した図で ある。
[0056] 被写体像が第 1象限に移動する場合は、図 9(b)に示すように、 0 >0, Θ >0で
X Y
あるため、 oc >0, a >0である。また、被写体像が第 2象限に移動する場合は、図
1 2
9(a)に示すように、 θ <0, Θ 〉0であるため、 a <0, 〉0である。また、被写
X Y 1 2
体像が第 3象限に移動する場合は、図 9(c)に示すように、 θ <0, Θ <0であるた
X Y
め、 a <0, a く 0である。また、被写体像が第 4象限に移動する場合は、図 9(d)
1 2
に示すように、 Θ 〉0, Θ く 0であるため、 α 〉0, く 0である。
X Y 1 2
[0057] 図 10は、換算焦点距離とシフト量について説明する図であり、図 10(a)は換算焦 点距離を説明する図、図 10(b)はシフト量を説明する図である。
[0058] 図 10(a)において、 Sは被写体 Aからレンズ系 3の第 1主点までの距離、 fはレンズ
F
系 3の焦点距離である。このとき換算焦点距離 f は、レンズ系 3の第 2主点から被写 体像 14Aを結像する CCD部 13までの距離であり、
f =f+S (式 22)
B
S =F/S (式 23)
で表される。
[0059] 次に、図 10 (b)に示すように、補正部 2を挿入することによって被写体像 14Aが被 写体像 14ΑΊこ移動し、その像シフト角を 0とすると、シフト量 Sは、
S=f tan 0 (式 24)
で表される。
[0060] 図 11は、手振れ補正について説明する図であり、図 11 (a)は手振れによる被写体 像の移動を説明する図、図 11 (b)は手振れによる被写体像の移動に対する手振れ 補正を説明する図である。
[0061] 図 11 (a)に示すように、ビデオカメラ等の本体に対しレンズ系 3が上方向に回転(図
11の時計回り方向に回転)すると、被写体 Aは相対的に下方向に回転(図 11の反時 計回り方向に回転)することになる。
[0062] このため、被写体像 14Aが被写体像 14A,にずれ、 CCD部 3からはみ出す。ここで
、 Θ
ctor *は手振れ角ベクトルであり、手振れ角を 0 *、手振れ方向の単位ベクトル ve を ve e* (= - e)とすると、
ctor vector
θ * = θ * e* (式 25)
vector vector
である。
[0063] 次に、図 11 (b)に示すように、レンズ系 3の前方に補正部 2を挿入すると、補正部 2 による像シフトベクトル Θ
vector と手振れ角ベクトル Θ
vector *が手振れ補正条件
θ =— θ * (式 26)
vector vector
を満たすとき、被写体像 14A'が被写体像 14Aの位置に移動して手振れが補正され る。
[0064] 次に、本実施形態の静止画像取り込み装置の動作を説明する。
[0065] センサ 8A, 8Bは、可動プリズム 10A, 10Bの回転状態を検出して回転状態の情報 を CPU6の回動制御部 6Aに出力する。
[0066] 手振れ検出部 5は手振れによるビデオカメラ 1の振れを検出し、これを手振れ信号 として CPU6の回動制御部 6Aに出力する。 CPU6の回動制御部 6Aではこの手振 れ信号に基づいて、振れの大きさ及び方向を示す手振れ角ベクトル Θ
vector *を θ * = ( θ *, θ *) (式 27)
vector X Y
により計算する。ここで、(式 26)より、
( θ , Θ ) = (— Θ * , — Θ *) (式 28)
X Y X Y
となる。
[0067] そして、 CPU6の回動制御部 6Aは、(式 15)〜(式 21)に基づいてベクトル aを vector 算出し、可動プリズム 10A, 10Bを回転角が α , a になるように制御信号をモータ
1 2
駆動電子回路 7に出力する。
[0068] モータ駆動電子回路 7は、 CPU6の回動制御部 6Aからの制御信号に応じてァクチ ユエータ 4A, 4Bを駆動させ、ァクチユエータ 4A, 4Bは、可動プリズム 10A, 10Bを 回転角が α , a になるように回動させる。
1 2
[0069] このように本実施形態の静止画像取り込み装置は、手振れ検出部 5で検出した振 れを打ち消すように可動プリズム 10A, 10Bを回動させることより手振れによる画像揺 れを補正する。
[0070] 《静止画像取り込み処理》
次に、上記のようにして手振れ補正された被写体像からの静止画像取り込み処理 ついて、以下に説明する。
[0071] 上記のように可動プリズム 10A, 10Bを回動させることにより手振れによる画像揺れ を補正することができるが、プリズムによる光学屈折率を利用して画像揺れ補正を行 うので、光の波長ごとに異なる光学屈折率により被写体像に色収差が発生する。
[0072] 図 12は、プリズムが光軸上にない場合に、プリズムを介さずに、黒地に白の「A」の 文字を RGBの各カラーフィルターを備えた撮像素子により撮像した像を示し、図 13 は、プリズムが光軸上に配置した場合に、黒地に白の「A」の文字を撮像素子により プリズムを介して撮像した像を示す。ただし、図面上白黒反転させている。
[0073] 図 12の場合、像は白で「A」がはっきり見えるのに対し、図 13の場合、プリズムによ り光が屈折する際、光の波長によって屈折率が異なるため、 R、 G、 Bの 3種類の像が ずれて現れる。これが色収差による像ズレである。
[0074] この色収差による像ズレは、振れを打ち消すために必要な画像の揺れの補正量が 大きい程、即ち手振れ角が大きい程、大きくなる。
[0075] そこで、本実施形態の静止画像取り込み装置は、補正動作における可動プリズム 1
OA, 10Bの回転角を検出し、検出した回転角から手振れ角を算出し、手振れ角がゼ 口又は最小となる直後に対応する画像を静止画像として取り込むことで、色収差によ り生じる像ズレを最小限に抑える。
[0076] 具体的には、静止画像取り込み装置は、センサ 8A及び 8Bによって検出した補正 動作における可動プリズム 10A, 10Bの回転角 α , a から水平及び垂直方向の
10 20
手振れ角を算出し、利用者のボタン操作や外部からの指示など静止画像取り込みの 要求信号を受信したときに、この水平方向又は垂直方向の手振れ角の絶対値がゼロ 、又は極小値となる時点を静止画像の取り込み基準時として決定し、取り込み基準時 の直後に撮像素子カゝら読み出された手振れ補正画像をカメラ DSP部 20から静止画 像として取り込む。
[0077] 図 14は、手振れ角がゼロとなる場合を含む手振れ角曲線を示した説明図である。
[0078] 図 14力も分力るように、手振れ角曲線 301は利用者の手振れによって、時間と共に 変化する(例えば、振動する)。一方、図 14中の蓄積処理 303に示すように、手振れ 補正された画像を CCD部 13へ蓄積するためには一定の時間を要するので、蓄積さ れた画像情報を読み出して静止画像の取り込みが可能なタイミングは、各蓄積処理 後、つまり図中の各蓄積処理 303の両矢印の右端となる。
[0079] また、図 14に示す PA1は静止画像取り込みの要求信号を受信したタイミング、 PA 2は静止画像の取り込み基準時、 PA3は静止画像としての取り込み時を示している。
[0080] 図 14では、 PA1時に CPU6の取り込み基準時決定部 6C力 外部操作系 26の利 用者の操作による静止画像取り込みの要求信号を受信している。これを受け、取り込 み基準時決定部 6Cは、手振れ角の絶対値がゼロ、又は極小値であるカゝ否かを判断 する動作を開始する。
[0081] 図 14では、 CPU6の取り込み基準時決定部 6Cは、 PA2時にお!、て、手振れ角が ゼロであることを検出する。このとき取り込み基準時決定部 6Cは、手振れ角がゼロと なる時点を静止画像の取り込み基準時として決定し、 PA2直後の蓄積処理後である PA3時において、静止画処理部 25が、カメラ DSP部 20から手振れ補正画像を静止 画像として取り込む。
[0082] 取り込み基準時決定部 6Cは、振れ補正量である手振れ角の情報を連続して、又
は所定時間間隔毎に取り込んで、手振れ角の絶対値がゼロ、又は極小値となる時点 を検出する。
[0083] 所定時間間隔毎に取り込んだ場合には、その手振れ角情報に基づいて手振れ角 の絶対値がゼロ、又は極小値となる時点を求め、その時点直後、又は直前の取り込 み時点を取り込み基準時として設定する。
[0084] 図 15は、手振れ角の絶対値が極小値となる場合の手振れ角曲線を示した説明図 である。
[0085] 図 15に示す PB 1は静止画像取り込みの要求信号を受信したタイミング、 PB2は静 止画像の取り込み基準時、 PB3は静止画像として取り込み時を示している。
[0086] 図 15では、 PB 1時に CPU6の取り込み基準時決定部 6C力 外部操作系 26の利 用者の操作による静止画像の取り込みを要求する要求信号を受信して 、る。これを 受け、取り込み基準時決定部 6Cは、手振れ角の絶対値がゼロ、又は極小値カゝ否か の判断を開始
する。
[0087] 図 15では、 CPU6の取り込み基準時決定部 6Cは、 PB2時において、手振れ角の 絶対値が極小値であることを検出する。このとき取り込み基準時決定部 6Cは、手振 れ角の絶対値が極小となる時点を静止画像の取り込み基準時として決定し、 PB2直 後の蓄積処理後である PB3時において、静止画処理部 25が、カメラ DSP部 20から 手振れ補正画像を静止画像として取り込む。
[0088] 次に、本実施形態の静止画像取り込み装置の処理フローについて、図 16のフロー チャートを参照して以下に説明する。
[0089] まず、 CPU6の手振れ角算出部 6Bは、センサ 8A及び 8Bによって検出した可動プ リズム 10A, 10Bの回転角 α 、 a を受信する(ステップ S201)。
10 20
[0090] 次に、 CPU6の手振れ角算出部 6Bは、像シフトベクトル , Θ )を、 vector X Y θ = Θ sin α 一(1— cosひ ) Θ (式 29)
X 2 10 20 3
θ = Θ sin a 一(1 cosひ ) Θ (式 30)
Y 3 20 10 2
として算出する。ここで、 θ 、 Θ は可動プリズム 10A、 10B各々の像シフト角である。
2 3
[0091] そして、 CPU6の手振れ角算出部 6Bは、この振れの大きさ及び方向を示す手振れ
角ベクトル θ = ( θ , θ )を、像シフトベクトル 0の成分である 0 , Θ を vector X Y vector X Y 用いて、
( θ *, θ *) = (— θ , — θ ) (式 31)
X Υ X Υ
により算出する (ステップ S203)。
次に、 CPU6の取り込み基準時決定部 6Cは、外部操作系 26にて受け付けた利用 者の押し釦操作等によって静止画像取り込みの要求信号を受信したときに (ステップ S205)、 CPU6の手振れ角算出部 6Bにより算出した水平方向又は垂直方向の手振 れ角の絶対値がゼロ、又は極小値となる手振れ角に対応する時点を静止画像の取り 込み基準時として決定する (ステップ S 207、 S209)。
[0092] なお、 CPU6の取り込み基準時決定部 6Cは、水平方向又は垂直方向いずれかの 手振れ角により静止画像の取り込み基準時を決定するので、手振れ角の水平方向 又は垂直方向のいずれを優先して静止画像の取り込み基準時として決定するかを設 定しておく必要がある。
[0093] 例えば、画面が横長の為に横側周辺で光学レンズの水平解像度が低下しているこ とを考慮して、画面水平方向の手振れ角を取り込み基準に設定することや、画面の 垂直方向のコントラストを優先した!/、場合には画面垂直方向の手振れ角を取り込み 基準として設定する。
[0094] 次に、静止画処理部 25は、 CPU6の取り込み基準時決定部 6Cより決定した取り込 み基準時を受信し、その直後の読み出しタイミングに対応する手振れ補正画像、つ まり CPU6の回動制御部 6Aにより制御し撮影した画像をカメラ DSP部 20から静止画 像として取り込む (ステップ S211)。
[0095] これにより、本実施形態の静止画像取り込み装置は、画像の揺れを補正した画像 の中から静止画像を取り込む際に、最も手振れ角の小さいタイミング直後の静止画 像、即ち色収差により生じる像ズレが最も小さい静止画像を取り込むことができ、利用 者に鮮明な静止画像を提供することができる。
[0096] なお、本実施形態の静止画像取り込み装置では、光屈折手段として可動プリズム 1 OA, 10Bを用い、この可動プリズム 10A, 10Bの回転角を検出し、検出した回転角 力も手振れ角を算出するが、他の光屈折方式として、例えば、プリズムを傾けたり、レ
ンズをシフトしたりなどの周知の方式を用いることもできる。
[0097] そして、プリズムを傾ける方式の場合、撮影機器の縦方向又は横方向のいずれか の各異なる方向に対する傾き角を可変させて、画像揺れを補正し、このプリズムの傾 き角(制御量)を検出し、検出した傾き角力も手振れ角を算出することも可能である。
[0098] «本実施形態の変形例》
<変形例 1 >
本実施形態の静止画像取り込み装置では、可動プリズム 10A, 10Bの回転角を検 出し、検出した回転角力 手振れ角を算出し、手振れ角がゼロ又は最小となる直後 の読み出し画像を静止画像として取り込むことで、色収差により生じる像ズレを最小 限に抑えるようにした。
[0099] 変形例 1では、装置を簡素化するため、手振れ検出部 5により検出した振れから直 接的に水平及び垂直方向の手振れ角を算出する。
[0100] 具体的には、手振れ検出部 5が像シフト角を検出し、この像シフト角を手振れ角算 出部 6Bが CPU6の回動制御部 6Aを経由して受信し、この受信した像シフト角から( 数式 30)により手振れ角を算出する。
[0101] その後、取り込み基準時決定部 6Cが、外部操作系 26にて受け付けた利用者の押 し釦操作等によって静止画像取り込みの要求信号を受信したときに、手振れ角算出 部 6Bにより算出した手振れ角の絶対値がゼロ、又は極小値となる手振れ角に対応 する時点を静止画像の取り込み基準時として決定し、取り込み基準時決定部 6Cによ り決定した取り込み基準時の直後の時点に対応する手振れ補正画像、つまり CPU6 の回動制御部 6Aにより制御し撮影した画像を静止画像として取り込む。
[0102] これにより、手振れ検出部 5により検出した像シフト角力 直接的に手振れ角を算出 するので、光屈折手段として汎用の光屈折構造を用いることができ、静止画像取り込 み装置の構成を簡素化することができる。
[0103] <変形例 2>
本実施形態の静止画像取り込み装置では、手振れ角がゼロ又は最小となる直後に 読み出される画像をカメラ DSP部 20から直接的に静止画像として取り込む力 変形 例 2では、記憶部 24に記憶された画像のな力から静止画像を選択して取り込むこと
を可能とする。
[0104] 具体的には、この変形例 2の静止画像取り込み装置は、記憶部 24に予め定めた所 定の時間分の手振れ補正画像と撮影時点を特定する情報と CPU6の手振れ角算出 部 6Bにより算出した水平及び垂直方向の手振れ角とを対応付けて記憶しておく。
[0105] そして、 CPU6の取り込み基準時決定部 6Cは、外部操作系 26にて受け付けた利 用者の押し釦操作等によって静止画像取り込みの要求信号を受信したときに、 CPU 6の手振れ角算出部 6Bにより算出した水平方向又は垂直方向の手振れ角の絶対値 がゼロ、若しくは極小値となる時点、又は記憶部 24に記憶された水平方向又は垂直 方向の手振れ角の絶対値がゼロ、若しくは極小値となる時点を静止画像の取り込み 基準時として決定する。
[0106] その後、静止画処理部 25が、 CPU6の取り込み基準時決定部 6Cにより決定した取 り込み基準時の直後の時点に対応する画像をカメラ DSP部 20又は、記憶部 24から 静止画像として取り込む。
[0107] これにより、静止画像の取り込みの要求信号を受信する以前の直近の手振れ角の 絶対値がゼロ又は、最小となるタイミングを含んだ静止画像を取り込むことができ、よ り手振れ角の小さいタイミングの静止画像、即ち色収差により生じる像ズレが最も小さ V、静止画像を取り込むことができる。
[0108] なお、手振れ補正画像を記憶部 24へ記憶する時間は、予め設定しておく必要があ り、例えばこの記憶する時間を 1秒と設定すると、利用者が外部操作系 26の押し釦操 作を行う 1秒前力も読み出された複数の手振れ補正画像が記憶部 24に記憶されるこ とになる。そのためこの設定時間は、利用者に対し外部操作系 26の押し釦操作を行 つたときの画像と静止画として取り込んだ画像の違いに違和感を覚えさせない程度 の長さに設定することが望ま 、。
[0109] <変形例 3 >
本実施形態の静止画像取り込み装置では、手振れ角がゼロ又は最小となる直後に 対応する画像をカメラ DSP部 20から直接的に静止画像として取り込む力 変形例 3 では、予め手振れ角がゼロとなる手振れ補正画像を記憶した記憶部 24から静止画 像を取り込むことを可能にする。
[0110] 具体的には、静止画像取り込み装置は、記憶部 24に CPU6の手振れ角算出部 6B にて算出した水平方向又は垂直方向の手振れ角がゼロである直後に読み出された 手振れ補正画像と撮影時点を特定する情報とを対応付けて記憶しておく。
[0111] そして、 CPU6の取り込み基準時決定部 6Cは、静止画像取り込みの要求信号を受 信したときに、手振れ角算出部 6Bにより算出した水平方向又は垂直方向の手振れ 角の絶対値がゼロ、若しくは極小値となる時点、又は記憶部 24に記憶された水平方 向又は垂直方向の手振れ角がゼロとなる最新の時点を静止画像の取り込み基準時 として決定する。
[0112] その後、静止画処理部 25が、取り込み基準時決定部 6Cにより決定した取り込み基 準時の直後の時点に対応する手振れ角がゼロである時点を含んで蓄積され読み出 された手振れ補正画像をデジタル処理部 20又は、記憶部 24から静止画像として取 り込む。
[0113] これにより、静止画像の取り込みの要求信号を受信する以前に手振れ角がゼロとな る場合においても、そのタイミングを含んで蓄積され読み出された静止画像を取り込 むことができ、より手振れ角の小さいタイミングの静止画像、即ち色収差により生じる 像ズレが最も小さい静止画像を取り込むことができる。
[0114] <変形例 4>
本実施形態の静止画像取り込み装置では、水平方向又は垂直方向の手振れ角の うち、予め定めたいずれか一方がゼロ又は最小となる直後に対応する画像を静止画 像として取り込むが、変形例 4では、水平又は垂直方向の手振れ角のうち、取り込み 要求信号を受信した後、先にゼロ又は最小となる直後に読み出された画像を静止画 像として取り込む。
[0115] 具体的には、 CPU6の手振れ角算出部 6B力 水平方向及び垂直方向の両方の手 振れ角を算出し、 CPU6の静止画像取り込み部 6Cが、水平方向及び垂直方向の手 振れ角のうち、先にゼロ、又は極小値となる手振れ角に対応する時点を静止画像の 取り込み基準時として決定する。
[0116] 図 17は、水平方向及び垂直方向の手振れの位相差がゼロの場合の手振れ角曲 線を示す。
[0117] 図 17から分力るように、水平方向及び垂直方向の手振れ角曲線は、可動プリズム 1 OA, 10Bの回転角に応じて独立に描くことができる。そして、 CPU6の取り込み基準 時決定部 6Cは、水平方向及び垂直方向の手振れ角のうち、先にゼロ、又は極小値 となる手振れ角に対応する時間を静止画像の取り込み基準時として決定する。
[0118] 図 17では、水平方向及び垂直方向の手振れに位相差が生じていないので、外部 操作系 26にて受け付けた利用者の押し釦操作等によって静止画像取り込みの要求 信号を受信した時点が、図 17中の T2であるとすると、水平方向及び垂直方向の手 振れ角がゼロとなるのは共に T5時である。そのため、図 17に示す場合においては、 水平方向、垂直方向の 、ずれを優先して取り込み基準時として決定しても同じ結果 となる。
[0119] 一方、水平方向、垂直方向の位相差が生じた場合は、いずれかを優先して取り込 み基準時を決定することによって、より素早く手振れ角の小さいタイミングの静止画像 、即ち色収差により生じる像ズレが最も小さい静止画像を取り込むことができる。
[0120] 図 18は、一例として図 17に対し垂直方向の位相が 45度マイナス方向にずれた場 合の手振れ角曲線を示す。
[0121] 図 18から分力るように、外部操作系 26にて受け付けた利用者の押し釦操作等によ つて静止画像取り込みの要求信号を受信した時点が、図 18中の T2であるとすると、 垂直方向の手振れ角がゼロとなるのは T4時であるのに対し、水平方向の手振れ角 の絶対値が極小となるのは T5時である。この場合、水平方向又は垂直方向の手振 れ角のうち、先にゼロ又は最小となるのは垂直方向であるから、垂直方向の手振れ 角を優先し、垂直方向の手振れ角の絶対値がゼロとなった時点、つまり T4時を静止 画像の取り込み基準時として決定する。
[0122] これにより、水平及び垂直方向のうち、カメラの手振れに応じて自動的にいずれか 一方が設定されるため、より素早く手振れ角の小さいタイミングの静止画像、即ち色 収差により生じる像ズレが最も小さい静止画像を取り込むことができる。
[0123] <変形例 5 >
本実施形態の静止画像取り込み装置では、手振れ角がゼロ又は最小となる直後に 対応する画像をカメラ DSP部 20から直接的に静止画像として取り込む力 変形例 5
では、所定の時間を経過したとき、その直後を取り込み基準時として決定する。
[0124] 具体的には、 CPU6の取り込み基準時決定部 6Cが、 CPU6の手振れ角算出部 6B により算出した手振れ角が予め定めた取り込み制限時間にゼロ、又は極小値となら ない場合は、この取り込み制限時間経過時を静止画像の取り込み基準時として決定 する。
[0125] 図 19は、手振れ角が予め定めた取り込み制限時間にゼロ、又は極小値とならない 場合の手振れ角曲線を示した説明図である。
[0126] 図 19に示す PC1は静止画像取り込みの要求信号を受信したタイミング、 PC2は静 止画像の取り込み基準時、 PC3は静止画像として取り込み時を示している。
[0127] 図 19では、 PC1時に CPU6の取り込み基準時決定部 6C力 外部操作系 26の利 用者の操作による静止画像取り込みの要求信号を受信している。そこで、取り込み基 準時決定部 6Cは、手振れ角の絶対値がゼロ、又は極小値カゝ否かを判断する。しか し、図 19では、 PC2時において、 CPU6の手振れ角算出部 6Bにより算出した手振 れ角の絶対値がゼロ、又は極小値となることなく、取り込み制限時間を経過している。
[0128] そこで、取り込み基準時決定部 6Cは、 PC2時を静止画像の取り込み基準時として 決定し、読み出しタイミングである PC3時において、静止画処理部 25が、カメラ DSP 部 20から手振れ補正画像を静止画像として取り込む。
[0129] これにより、所定の時間内に手振れ角がゼロ、又は極小値とならない場合にも静止 画像の取り込み基準時として決定でき、静止画像を取り込むことができる。
[0130] なお、この取り込み制限時間は、予め設定しておく必要があり、例えば取り込み制 限時間を 1秒に設定すると、利用者が釦操作した後の 1秒間に手振れ角の絶対値が ゼロ、又は極小値とならない場合は、利用者が釦操作した 1秒後を静止画像の取り込 み基準時として決定する。そのため、この取り込み制限時間は、利用者に対し外部操 作系 26の押し釦操作を行ったときの画像と静止画として取り込んだ画像の違いに違 和感を覚えさせな 、程度の長さに設定することが望ま 、。
[0131] <変形例 6 >
図 1に示す本実施形態におけるビデオカメラ 1では、レンズ系 3は 1つのブロックとし て描いてある力 複数枚のレンズ群として構成されていてもよい。図 20は、図 1にお
けるレンズ系 3を示す図であり、図 21は、図 1に示す補正部 2とレンズ系 3とのその他 の配置関係を示す図であり、図 21 (a)はレンズ系 3内に補正部 2を配置した図、図 21 (b)はレンズ系 3の後方に補正部 2を配置した図である。
[0132] レンズ系 3は、第 1〜第 4レンズ群 3a〜3dを備える。レンズ系 3の後方には、図 1で は図示を省略したが、ノイズ (偽信号)を抑制する光学ローパスフィルタ 16と、被写体 像を結像する CCD部 13が設けられる。
[0133] 図 1では、補正部 2を図 20に示すようにレンズ系 3の前方に配置している力 図 21 ( a)に示すようにレンズ系 3の内部に配置してもよぐまた、図 21 (b)に示すようにレン ズ系 3の後方に配置してもよい。これにより、レンズ系 3を通過中、又は通過後の光束 の狭いところに補正部 2を配置することになるので、補正部 2を小型化することができ る。
[0134] また、補正部 2は、図 3に示すように、固定プリズム 9、可動プリズム 10A, 10Bを備 える構成のものを説明したが、固定プリズム 9を削除してもよぐまた、固定プリズムを 1枚追加した構成としてもょ 、。
[0135] 図 22は、補正部 2のその他の構成として固定プリズムなしの補正部を示す図であり 、図 22 (a)は正面図、図 22 (b)は平面図、図 22 (c)は側面図である。また、図 23は、 補正部 2のその他の構成として固定プリズム 2枚を備える補正部を示す図で、図 23 ( a)は正面図、図 23 (b)は平面図、図 23 (c)は側面図である。
[0136] 図 23の場合は、初期状態における補正部 2の入射角と出射角とが同一となるように 各プリズムの位置を調整する。その他の動作は図 22、図 23のいずれの場合も上記 実施の形態と同様であり、同様の効果が得られる。
[0137] なお、図 22の場合、可動プリズム 10A、 10Bの 2枚のみを備える構成としているの で、図 8 (b)力 分力るように、初期状態では像シフト角 Θだけ像がずれているが、こ れは画像揺れ補正とは直接の関係はな 、。
[0138] ただし、固定プリズム 9を削除した図 22の場合は図 3、図 23の場合に比べて色収差 による像ズレが大きくなる。即ち、図 3、図 23の場合は、固定プリズム 9により補正部 2 の入射角と出射角とが初期状態で同一となるように構成したが、これは画像揺れ補 正時のプリズム作用による色収差の影響を最小限に抑え、色収差による像ズレ補正
を低減するためである。
[0139] これに対して、図 22の場合は固定プリズム 9を削除していることから、入射角と出射 角とが初期状態で同一とならない。そのため、図 3、図 23の場合に比べて色収差によ る像ズレが大きくなり、必要となる色収差による像ズレ補正量が大きくなる。その反面 、図 22に示す固定プリズムなしの構成では、補正部 2の光軸方向の長さを短くして小 型ィ匕することができる。
[0140] また、色収差による像ズレ補正量抑制と小型化双方の効果をバランス良く両立して 得られる選択も可能である。色収差による像ズレ補正量が図 22の場合ほど大きくなく 、図 3及び図 23の場合より補正部 2を小型にする、つまり図 22の場合と図 3及び図 2 3の場合にぉ 、て色収差による像ズレ量が中間となるように、固定プリズム 9のプリズ ム角を調整することも可能である。これにより、色収差による像ズレ補正の抑制と補正 部 2の小型化とのバランスを取ることができる。
[0141] また、図 3、図 22及び図 23に示す実施形態における各プリズムを、単体にしてもよ いし、複合プリズムにしてもよい。また、プリズム効果を有する平行板にしてもよい。図 24は、本実施の形態に係るプリズムのその他の構成を示す図であり、図 24 (a)は単 体プリズムを示す図、図 24 (b)は複合プリズムを示す図、図 24 (c)はプリズム効果を 有する平行板を示す図である。
[0142] 例えば、可動プリズム 10Aを、図 24 (b)に示すような、微小角度を有する 2枚のプリ ズム lOAa, lOAbを貼り合わせた複合プリズムとしてもよい。複合プリズムにすると、 プリズム単体の角度を大きくすることができ、単体プリズムでは難しい微小角のプリズ ムを容易に製作することができる。
[0143] また、図 24 (c)に示すように、屈折率 Nが、例えば、 N= l. 5から N= l. 4に変化し
、プリズム効果を有する平行板 17を各プリズムに替えて用いてもよい。プリズムは傾き 角の生産管理が必要となる力 平行板 17であれば容易に加工することができる。
[0144] <画像揺れ補正装置 >
次に、画像揺れ補正装置の実施形態について説明する。本実施形態では、プリズ ムの色収差により生じる像ズレを非光学的に補正する画像揺れ補正装置を例に挙げ て説明する。
[0145] 図 25は、本発明に係る画像揺れ補正装置の一実施形態を示したブロック図である 。本発明の画像揺れ補正装置は、例えば周知のビデオカメラ 51内に設けられる。
[0146] 本実施形態の画像揺れ補正装置は、光軸 51aを回転中心として独立的に回動可 能な一対の可動プリズムと固定プリズムとを備える補正部 52と、被写体を撮影するレ ンズ系 53と、レンズ系 53から入射した光を結像させ、結像させた被写体像を電気信 号に変換する CCD部 63と、 CDS機能、 AGC機能、及び A/D変浦能を備えた前 処理用 IC部 69と、前処理用 IC部 69からの入力信号を RGBに色分離する RGB分離 部 70Aと信号の色収差による像ズレの補正処理を行う色収差補正部 70Bを備えた力 メラ DSP部 70と、補正部 52内の一対の可動プリズムをそれぞれ光軸回りに回動させ るァクチユエータ 54A, 54Bと、手振れ等によるビデオカメラ 51の振れを検出して手 振れ信号を出力する手振れ検出部 55と、手振れ検出部 55からの手振れ信号に応じ て振れを打ち消すようにァクチユエータ 54A, 54Bを制御するように制御信号を送信 する回動制御部 56Aとセンサ 58A, 58Bで検出した可動プリズムの回動量力も色収 差によって発生する各色分離画像の位置座標の像ズレ量を算出する像ズレ量算出 部 56Bとを有する CPU56と、 CPU56の回動制御部 56Aからの制御信号に応じてァ クチユエータ 54A, 54Bを駆動させるモータ駆動電子回路(MDE) 57と、補正部 52 内の一対の可動プリズムの回転状態を検知するセンサ 58A, 58Bとを備える。
[0147] 図 26は、図 25に示す画像揺れ補正装置の補正部 52を示す概略図で、図 26 (a) は概略正面図、図 26 (b)は概略側面図である。図 27は補正部 52の構成図で、図 27 (a)は正面図、図 27 (b)は図 26 (a)に示す B方向から見た断面図、図 27 (c)は図 26 (a)に示す A方向から見た断面図である。図 28は補正部 52が備える固定プリズムの 斜視図である。
[0148] 図 26に示すように、補正部 52は、レンズ系 53とこのレンズ系 53の前面を覆うフード 部 51bとの間に配設されており、図 27 (a)〜(c)に示すように、補正部 52は、固定し て設置された固定プリズム 59と、光軸を回転中心として回動可能な可動プリズム 60 A, 60Bとを備えて!/ヽる。
[0149] 固定プリズム 59は、図 28に示すように、光軸 51aに対して垂直な面である第 1の面 59aと、第 1の面 59aに対して微小な角度の傾きを有して対向する平面である第 2の
面 59bとを形成した、アクリル等よりなるプリズムである。可動プリズム 60A, 60Bも同 様の形状、材質である。
[0150] 図 29は、補正部 52が備えるァクチユエータとセンサの配置図であり、図 29 (a)は概 略側面図、図 29 (b)は可動プリズム 60Aのァクチユエータとセンサの配置図、図 29 ( c)は可動プリズム 60Bのァクチユエータとセンサの配置図である。
[0151] ァクチユエータとセンサとは補正部 52に取り付けられている。そして、図 29 (b) , (c
)に示すように、ァクチユエータ 54Aとセンサ 58Aとは可動プリズム 60A用であり、ァク チユエータ 54Bとセンサ 58Bとは可動プリズム 60B用である。
[0152] ァクチユエータ 54A, 54Bは CPU56の回動制御部 56Aからの制御信号に応じて 可動プリズム 60A, 60Bを回動させる。ァクチユエータ 54A, 54Bは小型パルスモー タ、小型リニアモータ、小型超音波モータ等により構成され、負荷トルクは小さい。
[0153] センサ 58A, 58Bは小型フォトインタラプタ、 MR素子、ホール素子等により構成さ れ、可動プリズム 60A, 60Bの回転状態を検出して回転状態の情報を CPU56の回 動制御部 56Aに出力する。
[0154] センサ 58A, 58Bとして小型フォトインタラプタを用いる場合には、パルスモータとの 組で用い、可動プリズム 60A, 60Bの外周をマスキングし、そのマスキング上にそれ ぞれ穴 60a, 60bを設ける。穴 60a, 60bは、可動プリズム 60A, 60B力 S初期位置に なったときにセンサ 58A, 58Bの位置に来るように設ける。
[0155] 小型フォトインタラプタは、赤外線発光ダイオードとフォトトランジスタとを備え、可動 プリズム 60A又は 60Bが赤外線発光ダイオードとフォトトランジスタとの間に配置され るように設置する。
[0156] 小型フォトインタラプタは、電源 ON時に可動プリズム 60A, 60Bを回動させ、穴 60 a, 60bを通過した赤外線発光ダイオードの光をフォトトランジスタで受光することによ り原点位置を検出する。可動プリズム 60A, 60Bの回転状態の情報は、原点位置で のパルスをゼロとして回転時のパルス数をカウントすることにより得られる。
[0157] また、センサ 58A, 58Bとして MR素子又はホール素子を用いる場合には、穴 60a , 60bを設ける替わり〖こ、可動プリズム 60A, 60Bにそれぞれ磁性体を取り付ける。
[0158] MR素子又はホール素子は、可動プリズム 60A, 60Bの回転と共に回転する磁性
体による磁界の変化を検出することにより回転状態の情報を検出する。
[0159] 本実施形態の画像揺れ補正装置では、手振れ検出部 55で検出した振れを打ち消 すように可動プリズム 60A, 60Bを回動させることより手振れによる画像揺れを補正し 、この可動プリズム 60A, 60Bの回転角を検出し、検出した回転角力も色収差によつ て発生する画像のズレを補正する。
[0160] そのため、以下に手振れ補正の処理について説明した後、色収差補正の処理に ついて説
《手触れ補正》
本実施形態の画像揺れ補正装置では、手振れ検出部 55で検出した振れを打ち消 すように可動プリズム 60A, 60Bを回動させることより手振れによる画像揺れを補正 する。
[0161] 図 30は、プリズムによる被写体像の移動を説明する図であり、図 30 (a)はプリズム による光の屈折を説明する図、図 30 (b)は図 30 (a)においてプリズムを正面方向(a 方向)力も見た図である。図 30 (b)では図 30 (a)に示すプリズム 61を aだけ回転させ ている。図 30 (a) , (b)に示すように、入射した光はプリズム 11によって屈折角 fで屈 折され、被写体 Aの像が にシフト(平行移動)する。
[0162] 図 30 (a) , 30 (b)において、 "i"はプリズム 11のプリズム角(光の入射角)、 "L"はプ リズム長、 " δ "はプリズム高さ、 " δ "は最も薄い部分のプリズム高さ、 " "は光の屈 折角、 "Ν"は屈折率、 " Θ "は像シフト角(偏角)、 " ex "はプリズム回転角、 "L "はプリ ズム回転量、 " e"は像シフト方向の単位ベクトル、 " Θ "は像シフトベクトルであ
vector vector
る。なお、添え字" "はベクトル量を表すものとする。なお、図 30〜35においては、
vector
これらのベクトル量を添え字" "の代わりに太字で表して 、る。
vector
[0163] ここで、
θ = Θ e (式 32)
vector vector
である。
[0164] 図 30 (a)に示すように、プリズム角(入射角) iと屈折角 fと像シフト角(偏角) Θとの 間には、
Θ = - (式 33)
が成り立つ。さら〖こ、スネルの法則により、
sini =Nsini (式 34)
が成り立つ。
[0165] ここで、プリズム角 iが小さいと仮定すると、(式 33)は、
f =Ni (式 35)
と近似できるので、(式 35)を (式 33)に代入すると、
Θ = (N- l) i (式 36)
となる。
[0166] また、図 30 (b)より、プリズム回転量 L とプリズム回転角 aとの間には、
L = (L/2) a (式 37)
つまり、
a = (2/L) L (式 38)
が成り立つ。また、
δ =Ltani+ δ (式 39)
つまり、
L= ( S— δ ) /tani (式 40)
が成り立つ。
[0167] 図 31は、補正部 52内の可動プリズム 60A, 60Bが回転していない場合(初期状態
)の像シフトベクトルを示す図である。
[0168] 図 31において、 θ , θ , Θ はそれぞれ固定プリズム 59、可動プリズム vector 1 vector 2 vector 3
60A, 60Bによる像シフトベクトルである。図 31に示すように、 0 と Θ の合成 vector 2 vector 3 ベクトルを Θ が打ち消すように固定プリズム 59、可動プリズム 60A, 60Bの位置 vector 1
を設定する。これにより、固定プリズム 59、可動プリズム 60A, 60Bの 3枚で平行平板 と等価となるため、補正部 52の入射角と出射角とが同一となり、被写体の像は移動し ない。
[0169] 図 32は、可動プリズム 60A, 60Bが回転した場合の被写体像の移動について説明 する図であり、図 32 (a)は可動プリズムが回転した場合の像シフトベクトルを示す図、 図 32 (b)は図 32 (a)に示す像シフトベクトルの変化量を取り出した図である。
[0170] 図32(&)にぉぃて、可動プリズム60八, 60 がそれぞれ0; , α だけ回転したとき の像シフトベクトルをそれぞれ θ ', Θ 'とする。なお、図 32 (a)に示す回転 vector 2 vector 3
方向を α , a の正(+ )の方向とする。
[0171] また
θ = Θ — Θ (式 41)
vector a vector 2 vector 2
θ = Θ '- θ (式 42)
vector b vector 3 vector 3
とする。
[0172] すると、図 32(b)に示すように、被写体 Aの像が ΑΊこ平行移動することになる。この とき、その像シフトベクトルは 0 と Θ の
vector a vector b 合成ベクトル Θとして、
vector
θ = Θ + θ = ( θ , θ ) (式 43)
vector vector a vector b X Y
となる。
[0173] このとき、図 32 (a), 32(b)より、
θ = Θ sina — θ (1-cosa ) (式 44)
X 2 1 3 2
θ = Θ sina — θ (1-cosa ) (式 45)
Υ 3
が成り立つ。 :で、 0 は Θ のスカラーを表し、 0 は Θ のスカラーを
3 vector 3 表す。
2を成分とするベクトノレ a )を考える。(式 44)及び (式
1 vector
45)を a , a につ ヽて解くと、
1 2
a =±cos_1(CZD) + a * (式 46)
a =±cos_1{[( 0 + θ ) - θ sina ]/ θ (式 47)
2 X 3 2 1 3
を得る。ここで、
C=[A2+B2+ θ 2- θ 2]/2 θ (式 48)
2 3 2
D= (A2 + B2)1 2 (式 49)
a i* = ±cos_1(AZD) (Bの符号を選択) (式 50)
Α= ( θ + Θ ) (式 51)
Υ 2
Β= ( θ + Θ ) (式 52)
X 3
である。
[0175] ここで、 a の符号が一の場合、 a の符号は 0 の符号を選択し、 a の符号が +の
1 2 Y 1
場合、 a の符号は +を選択する。
2
[0176] 図 33は、被写体像 (被写体)の平行移動の形態を示す図であり、図 33(a)は被写 体が第 2象限に移動した図、図 33(b)は被写体が第 1象限に移動した図、図 33(c) は被写体が第 3象限に移動した図、図 33 (d)は被写体が第 4象限に移動した図であ る。
[0177] 被写体が第 1象限に移動する場合は、図 33(b)に示すように、 0 >0, Θ >0で
X Y
あるため、 a >0, a >0である。また、被写体が第 2象限に移動する場合は、図 33
1 2
(a)に示すように、 θ <0, Θ 〉0であるため、 a <0, 〉0である。また、被写体
X Y 1 2
が第 3象限に移動する場合は、図 33(c)に示すように、 θ <0, Θ く 0であるため、
X Y
a <0, a く 0である。また、被写体が第 4象限に移動する場合は、図 33(d)に示
1 2
すように、 Θ 〉0, Θ く 0であるため、 α 〉0, く 0である。
X Y 1 2
[0178] 図 34は、換算焦点距離とシフト量について説明する図であり、図 34(a)は換算焦 点距離を説明する図、図 34(b)はシフト量を説明する図である。
[0179] 図 34 (a)において、 Sは被写体 Aからレンズ系 53の第 1主点までの距離、 fはレン
F
ズ系 53の焦点距離である。このとき換算焦点距離 f は、レンズ系 53の第 2主点から 被写体像 64Aを結像する CCD部 63までの距離であり、
f =f+S (式 53)
m B
S =f2/S (式 54)
B F
で表される。
[0180] 次に、図 34(b)に示すように、補正部 52を挿入することによって被写体像 64Aが被 写体像 64ΑΊこ移動し、その像シフト角を 0とすると、シフト量 Sは、
S=f tan0 (式 55)
で表される。
[0181] 図 35は、手振れ補正について説明する図であり、図 35 (a)は手振れによる被写体 像の移動を説明する図、図 35 (b)は手振れによる被写体像の移動に対する手振れ 補正を説明する図である。
[0182] 図 35 (a)に示すように、ビデオカメラ等の本体に対しレンズ系 53が上方向に回転( 図 35の時計回り方向に回転)すると、被写体 Aは相対的に下方向に回転(図 35の反 時計回り方向に回転)することになる。このため、被写体像 64Aが被写体像 64ΑΊこ
ずれ、 CCD部 63からはみ出す。ここで、 Θ *は手振れ角ベクトルであり、手振れ vector
角を 0 *、手振れ方向の単位ベクトルを e* (=— e)とすると、
vector vector
θ * = θ * e* (式 56)
vector vector
である。
[0183] 次に、図 35 (b)に示すように、レンズ系 53の前方に補正部 52を挿入すると、補正 部 52による像シフトベクトル Θと手振れ角ベクトル Θ *が手振れ補正条件 vector vector
θ = - Θ (式 57)
vector vector
を満たすとき、被写体像 14A'が被写体像 14Aの位置に移動して手振れが補正され る。
[0184] 次に、本実施形態の画像揺れ補正装置の動作を説明する。
[0185] センサ 58A, 58Bは、可動プリズム 60A, 60Bの回転状態を検出して回転状態の 情報を CPU56の回動制御部 56Aに出力する。
[0186] 手振れ検出部 55は手振れによるビデオカメラ 51の振れを検出し、これを手振れ信 号として CPU56の回動制御部 56Aに出力する。 CPU56の回動制御部 56Aではこ の手振れ信号に基づいて、振れの大きさ及び方向を示す手振れ角ベクトル Θ * vector を
θ * = ( θ *, Θ *) (式 58)
vector X Y
により計算する。ここで、(式 57)より、
( θ , θ ) = (- θ *, ~ θ *) (式 59)
X Υ X Υ
となる。
[0187] そして、 CPU56の回動制御部 56Αは、(式 46)〜(式 52)に基づいてベクトル vector αを算出し、可動プリズム 60A, 60Βを回転角が α , a になるように制御信号をモ
1 2
ータ駆動電子回路 57に出力する。
[0188] モータ駆動電子回路 57は、 CPU56の回動制御部 56Aからの制御信号に応じて ァクチユエータ 54A, 54Bを駆動させ、ァクチユエータ 54A, 54Bは、可動プリズム 6 OA, 60Bを回転角が α , a になるように回動させる。
1 2
[0189] このように本実施形態の画像揺れ補正装置は、手振れ検出部 55で検出した振れ を打ち消すように可動プリズム 60A, 60Bを回動させることより手振れによる画像揺れ
を補正する。
[0190] 《色収差による像ズレ補正》
次に、上記のようにして手振れ補正された被写体像の色収差よる像ズレ補正につ いて、以下に説明する。
[0191] 上記のように可動プリズム 60A, 60Bを回動させることにより手振れによる画像揺れ を補正することができるが、プリズムによる光学屈折率を利用して画像揺れ補正を行 うので、光の波長ごとに異なる光学屈折率により被写体像に色収差が発生する。
[0192] 図 36は、プリズムが光軸上にない場合に、プリズムを介さずに、黒地に白で「A」の 文字を RGBの各カラーフィルターを備えた撮像素子により撮像した像を示し、図 37 は、プリズムが光軸上に配置した場合に、黒地に白で「A」の文字を撮像素子により プリズムを介して撮像した像を示す。ただし、図面上白黒反転させている。
[0193] 図 36の場合、像は白で「A」がはっきり見えるのに対し、図 37の場合、プリズムによ り光が屈折する際、光の波長によって屈折率が異なるため、 R、 G、 Bの 3種類の像が ずれて現れる。これが色収差による像ズレである。
[0194] このように、プリズムによって生じる色収差は、一般のレンズのように光軸を中心に 放射状に発生するのではなぐ一方向に色収差が発生するため、非光学的にこの色 収差による像ズレを補正することが可能となる。
[0195] そこで、本実施形態の画像揺れ装置は、以下に示す非光学的に補正処理を行うこ とによって、色収差による像ズレを補正する。
[0196] 具体的には、画像揺れ装置は、画像揺れ補正した画像を色ごとに分離し、色収差 によって発生する各色分離画像の位置座標の像ズレ量をセンサ 58A及び 58Bによ つて検出した可動プリズム 60A, 60Bの回転角 , a 力も算出し、算出した像ズ
10 20
レ量をなくすように補正する。
[0197] 次に、図 25に示す本実施形態の画像揺れ装置のうち、色収差による像ズレ補正を 行う箇所について説明する。
[0198] 図 25に示すように、上述のように手振れ補正された被写体像は、レンズ系 53により
CCD部 63の光電変換面(図示しない)に結像される。 CCD部 63の光電変換面の前 にはフィルター(図示しない)を配置しており、 CCD部 63は光電変換面で被写体像
を電気信号に変換する。
[0199] 電気信号に変換された被写体像の信号は前処理用 IC部 69へ入力される。前処理 用 IC部 69は、 CDS、 AGC、 AZD変 «能を有しており、 CDS機能により信号のノ ィズを除去し、 AGC機能により信号を増幅し、 AZD変換を行う。
[0200] カメラ DSP部 70の RGB分離部 70Aは、前処理用 IC部 69からの入力された被写体 像の信号を R (赤色)、 G (緑色)、 B (青色)に色分離する。そしてカメラ DSP部 70の 色収差補正部 70Bは、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bにより算出した像ズレ量に基 づ 、て、 RGBに色分離した信号の色収差による像ズレ補正を行う。
[0201] 次に、この色収差による像ズレ補正処理について、以下に説明する。
[0202] 図 38に本実施形態の画像揺れ装置における色収差による像ズレを補正する処理 フローを示す。
[0203] まず、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、センサ 58A及び 58Bによって検出した可 動プリズム 60A, 60Bの回転角 α , a を受信し、テーブル又は計算等により回転
10 20
角を算出する (ステップ S 701)。
[0204] 次に、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、可動プリズム 60Aの R、 G、 B出力ごとの 像シフト角 θ 、 θ 、 Θ を、それぞれ、
aR aG aB
θ =-(1-Ν )i (式 60)
aR aR a
Θ =-(l-N )i (式 61)
aG aG a
Θ =-(l-N )i (式 62)
aB aB a
により算出する(ステップ S703)。ここで、 N 、N 、N は R、 G、 B出力ごとの可動 aR aG aB
プリズム 60Aの屈折率、 iを可動プリズム 60Aの頂角を表す。
a
同様に、 N 、N 、N を R、 G、 B出力ごとの可動プリズム 60Bの屈折率、 iを可動 bR bG bB b プリズム 10Bの頂角とすると、可動プリズム 60Bについての R、 G、 B出力ごとの像シフ ト角 0 、 0 、 0 は、それぞれ、
bR bG bG
θ =-(1-Ν )i (式 63)
bR bR b
Θ =-(l-N )i (式 64)
bG bG b
Θ =-(l-N )i (式 65)
bB bB b
により算出される。
[0205] 次に、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、ステップ S701で受信した可動プリズム 6 OA, 60Bの回転角 α , a と、ステップ S703で算出した R出力の像シフト角とから
10 20
可動プリズム 60A、 60Bを合わせた複合プリズムとして、 R出力の像シフト角の x、 y成 分(θ , Θ )を、
xR yR
Θ Θ sin a (1 cos a ) Θ (式 66)
xR aR 10 20 bR
Θ Θ sin α 一(1— cosひ ) Θ (式 67)
yR bR 20 10 aR
により算出する (ステップ S705)。
同様に、 G, B出力の像シフト角の x、y成分(0 , Θ )、 (0 , Θ )についても、 xG yB xB yB
(式 66) , (式 67)を用いて算出する。
[0206] 次に、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、ステップ S705で算出した R出力の像シ フト角の x、y成分(θ , Θ )力 像シフト量の x、y成分(S , S )を、
xR yR xR yR
S =f * tan 0 (式 68)
xR m xR
S =f * tan 0 (式 69)
yR m yR
により算出する (ステップ S707)。
同様に、 G, B出力の像シフト量の x、y成分(S , S ) , (S , S )ついても、(式 6 xG yG xB yB
8)、(式 69)を用いて算出する。
[0207] ここで、本実施形態の画像揺れ装置においては、 G出力を相対的な基準として、 R
、 B出力を G出力の位置に補正する処理を行う。
[0208] そのため、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、ステップ S707で算出した像シフト量 の x、 y成分力 Gの像シフト量を基準として R、 Bの像シフト量がどの程度ずれて A S = (S -S , S -S ) (式 70)
R xR xG yR yG
A S = (S -S , S -S ) (式 71)
B xB xG yB yG
により算出する (ステップ S709)。
次に、色収差補正部 70Bは、像ズレ量算出部 56Bによりステップ S709で算出した 像ズレ量 A S 、 A Sをなくすように色分離画像を補正する。具体的には、 R出力につ
R B
いて、像ズレ量 A Sの成分を(A S , A S )とすると、色収差補正前の R出力の位
R xR yR
置座標(S , S )から(A S , A S )と分だけ差し引いた値を補正後の Rの位置座 xR yR xR yR
標として新たに上書きすることで、補正を行う。即ち、補正後の R、 B出力の位置座標
を(newS , newS (newS , newS )とすると、これらの座標は、
xR yR xB yB
(newS , newS ) (式 72)
xR = (s - A S ,
yR xR s A S )
xR yR yR
(newS , newS ) - A S , A S ) (式 73)
B yB = (s xB - xB s yB yB
と表される。
[0209] これにより色収差補正部 70Bは、 R、 B出力の位置座標を決定し、 R、 Bの位置を相 対的に補正することで、色収差により発生する像ズレを補正でき、利用者は撮影した 画像をより鮮明に視認することができる。
[0210] 位置の補正は、 DSP70内に設けた第 1のメモリ部に、まず、画像を記憶し、次に第
2のメモリ部に補正をカ卩えることにより行う。また、 R、 G、 Bの各信号をディレイさせるこ とによりネ ΐ正することちできる。
[0211] 《本実施形態の変形例〉〉
<変形例 1 >
本実施形態の画像揺れ補正装置では、色収差によって発生する RGB出力画像の 像ズレ量を算出し、撮像素子の素子ごとにリアルタイムに像ズレをなくすように補正を 行うが、回路を簡素化するため、変形例 1では、この色収差による像ズレ補正を画面 単位で行うことを特徴とする。
[0212] 例えば、可動プリズム 60A, 60Bの回転角 α 、 a は時間ごとに変化するので、
10 20
ある一定時間ごとに画面単位で色収差による像ズレ補正を行う。このとき可動プリズ ム 60A, 60Bの回転角 α , a は一定時間内の平均値を用いる。
10 20
[0213] これにより、例えば手振れ周期が 8Hzで画面周波数が 60Hzである場合、画面周 波数は手振れ周期より十分大きいので、色収差による像ズレ補正に対して、誤差は 小さく十分な補正効果を得ることができる。
[0214] <変形例 2 >
本実施形態の画像揺れ補正装置では、可動プリズム 60A, 60Bの回転角 a , a
10 2 力 色収差によって発生する RGB出力画像の位置座標の像ズレ量 A S、 A Sを算
0 R B 出し、算出した像ズレ量をなくすように補正を行ったが、実際には、装置誤差等の影 響により算出した像ズレ量と実際の像ズレ量との間に誤差が生じることがある。
[0215] そこで、変形例 2では、装置誤差等を加味して像ズレ量を決定する。
[0216] 具体的には、誤差をカ卩味した像ズレ量を A S 、 A S とすると、この誤差を加味し
Rk Bk
た像ズレ量と算出した像ズレ量 A S、 A Sとの間の誤差を吸収する誤差補正係数 K
R Β
、 Κを設定する。この誤差補正係数 Κ、 Κは、実写テストを行った実験データ等を
R B R Β
基に算出される。そして、この誤差補正係数 Κ、 Κを用いて、算出した像ズレ量 A S
R B
、 A Sの代わりに
R B
A S =K * A S (式 74)
Rk R R
A S =K * A S (式 75)
Bk B R
を用いて算出した新たな像ズレ量 A S 、 A S により色収差補正を行う。
Rk Bk
さらに、この誤差補正係数 K、 Kを可変とし、利用者が入力した K、 Kによって新
R B R B
たな像ズレ量 A S 、 A S を算出し、これにより色収差補正を行うようにしてもよい。
Rk Bk
[0217] <変形例 3 >
本実施形態の画像揺れ補正装置では、可動プリズム 60A, 60Bの回転角 a , a
10 2 力も色収差によって発生する RGB出力画像の位置座標の像ズレ量を算出し、算出
0
した像ズレ量をなくすように補正を行うため、図 39に示すように画面の周囲部分には
R、 G、 B出力の一部しか出力されない領域が生じることになる。
[0218] そのため、カメラ DSP部 70の色収差補正部 70Bは、 R、 G、 Bの全てが出力されて いる共通領域を切り出し、共通領域の画像の寸法が画面に出力する際必要な大きさ に満たない場合は、共通領域の画像を出力画面の大きさに拡大し、共通領域以外 の部分のデータを削除する。
[0219] また、カメラ DSP部 70の色収差補正部 70Bは、 R、 G、 Bの全てが出力されている 共通領域を切り出し、その他の領域については、 R、 G、 B出力のうち出力されている 少なくとも 1つの出力から白黒画面を生成し、この白黒画面で共通領域の周辺画面 をネ甫完するようにしてもよ 、。
[0220] これらの方法によれば、補正量が小さぐ共通領域の画像の寸法が画面に出力す る際、必要な大きさを超えている場合に有効である。
[0221] <変形例 4>
本実施形態の画像揺れ補正装置では、図 25に示す CCD部 63のように、 1枚の C
CD受光部をもつ単板式を例に挙げているので、カメラ DSP部 70の RGB分離部 70
Aにおいて、前処理用 IC部 69からの入力された被写体像の信号を R、 G、 B出力信 号に色分離する必要があった。
[0222] そこで、変形例 4では、 R、 G、 B各々専用の CCD部を用いて色分離を行う 3板式を 採用する。
[0223] 図 40は、このような 3板式を採用する変形例 4を示したブロック図である。
[0224] 図 40の 3板式の画像揺れ補正装置では、被写体像をレンズ系 63により R、 G、 Bの 3つの光線に分離し、各々 CCD部 63R、 CCD部 63G、 CCD部 63Bの光電変換面 に結像させる。光電変換面の前には他色の光線が入射されるのを防止するため R、 G、 Bの色フィルターが配置されている(図示しない)。そして、 CCD部 63R、 CCD部 63G、 CCD部 63Bの光電変換面で、結像させた R、 G、 B各々の被写体像を電気信 号に変換する。さらに変換された電気信号は変換 AZD変換部 71R、 71G、 71B、 画像メモリ 72R、 72G、 72Bを経由して、カメラ DSP部 70の色収差補正部 70Bに送 信される。
[0225] カメラ DSP部 70の色収差補正部 70Bは、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bにより算 出した像ズレ量に基づ ヽて、色収差による像ズレ補正を行う。
[0226] また、色分離方式により色収差補正された R、 G、 B出力から輝度信号を生成する 場合と、 R、 G、 B出力とは別に輝度信号を生成する場合がある。
[0227] そこで、 R、 G、 B出力とは別に輝度信号を生成する場合、 R、 G、 B出力の色収差補 正を行った後、色補正を行った R、 G、 B出力情報を輝度信号に加えることで、解像 度の向上を図ることができる。
[0228] 例えば、色収差補正された R、 G、 B出力より輝度信号を生成し、元の輝度信号と一 定比率で合成する。
[0229] <変形例 5 >
本実施形態の画像揺れ補正装置では、画像揺れ補正した画像の画像データを色 ごとに分離し、センサ 58A及び 58Bによって検出した可動プリズム 60A, 60Bの回転 角 α , α カゝら色収差によって発生する RGB出力画像の位置座標の像ズレ量を算
10 20
出し、算出した像ズレ量をなくすように補正を行ったが、変形例 5では、出力する画像 から直接的に補正処理を行う。
[0230] 具体的には、 CPU56の像ズレ量算出部 56B力 RGB分離部 70Aにより分離した RGB出力画像データを基に出力される RGB出力画像を重ね合わせ、重ね合わせた RGB出力画像を上下左右 1画素ずつずらし、画素ごとの出力値の差分を合計し、合 計した差分値合計を最小とする RGB出力画像の位置を決定し、決定した位置に基 づ 、て色収差補正部 70Bが像ズレ補正を行う。
[0231] 図 41 (a)は、画素配列のアドレスを示している。 1から 5の四角形で表現した 1つ 1 つの画素が水平垂直の 2次元に配列されおり、図中画素(m, n)は mラインの n番目 のアドレスを示している。
[0232] 図 41 (b)に色収差による像ズレがない場合の画像の一部を拡大した図を、図 41 (c )にこの場合の信号出力を示す。
[0233] 図 41 (b)に示すように、色収差による像ズレがな 、場合は、全画素共に R、 G、 B出 力値が一致している。
[0234] 次に、図 42の色収差補正処理フローに従って、色収差補正の処理手順について 説明する。
[0235] まず、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、 G出力画像を基準として R、 B出力画像を 画面に向力つて左右方向へ 1画素ずつずらし差分値合計を算出するため、 R、 B出 力画像位置を基準位置に設定する (ステップ S801)。ここで、基準位置とは、色収差 による像ズレ補正前の R、 B出力画像の左右方向における位置を指す。
[0236] この左右方向の基準位置から R、 B出力画像を左右方向へ 1画素ずつずらし、 R、 B 出力画像両端までの差分値合計を算出することによって、後述する上下方向に R、 B 出力画像を 1画素ずつずらした場合にも、その上下位置で、左右方向の全ての差分 値合計を算出することができる。
[0237] 即ち、ステップ S801から S819までの上下方向へずらした場合の差分値合計を算 出するループ処理で囲まれたステップ S803から S817までの左右方向へずらした場 合の差分値合計を算出するループ処理を行うことで、 R、 B出力画像を上下左右両 端まで移動したときの全ての差分値合計を算出できる。
[0238] 次に CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、差分値合計を算出するラインを設定する( ステップ S803)。設定するラインは、固定ラインとしてもよいし、利用者が任意のライ
ンを設定可能なようにしてもょ 、。
[0239] 次に CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、ステップ S805力らステップ S809において 差分値合計を算出する。
[0240] この処理について、図 43に示す具体例に基づいて説明する。
[0241] 図 43 (a)は、色収差による像ズレがある場合の白色の短形被写体画像の一部を拡 大した図を示す。
[0242] 図 43 (b)力 図 43 (d)は、 R、 G、 B各々の出力画像を示す。図 43 (c)に示す G出 力画像を基準とすると、色収差によって、図 43 (b)に示す R出力画像は左方向に 2画 素ずつずれ、図 43 (d)に示す B出力画像は右方向に 2画素ずつずれている。
[0243] 図 43 (e)力ら図 43 (h)までの図は、各々図 43 (a)力ら図 43 (d)に対応する信号出 力を示している。
[0244] このように、色収差による像ズレが発生して 、る場合、図 43 (a)に示す中央部分で ある座標(5, 4)から座標(6, 7)で囲む領域のみが R、 G、 B出力共に出力されており 、その他の領域については、例えば、座標(3, 4)から座標(4, 7)で囲む領域のよう に、 R、 G、 B出力の一部しか出力されていない。
[0245] そこで、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、この R、 G、 B出力の一部しか出力され て 、な 、領域の数に相当する差分値合計を算出する (ステップ S805〜S809)。
[0246] そのため、まず CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、 R出力と G出力のうち、いずれか 一方が出力されて!、る部分である RG差分値を算出する (ステップ S805)。
[0247] 図 44 (a)に、 R、 G、 B出力画像の差分を示す図を、図 44 (b)に、 R、 G出力画像の 差分を示す図を、図 44 (c)に、 G、 B出力画像の差分を示す図を示す。
[0248] CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、図 44 (b)から分かるように、 1ライン当りの RG差 分値を、 "4"画素として算出する。
[0249] 次に、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、 B出力画像と G出力画像のうち、いずれ か一方が出力されている部分である BG差分値を算出する (ステップ S807)。具体的 には、図 44 (c)に示すように、 B出力と G出力のうち、いずれか一方が出力されている 部分を BG差分値とすると、 1ライン当りの BG差分値は、 "4"画素となる。
[0250] そして、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、ステップ S805で求めた 1ライン当りの R
G差分値と、ステップ S805で求めた 1ライン当りの BG差分値の合計を 1ライン当りの 差分値合計として算出する (ステップ S809)。
[0251] 図 44 (a)では、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、 1ライン当りの差分値合計を、 4
+4 = "8"画素として算出する。
[0252] 次に CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、記憶部 74から差分値合計を読み出す (ス テツプ S811)。
[0253] このとき、読み出した差分値合計が null値である力、または読み出した差分値合計 が null値ではなぐかつステップ S809で算出した差分値合計の値が読み出した差 分値合計の値がより小さい場合は、ステップ S809で算出した差分値合計を記憶部 7 4へ記憶する(ステップ S813、 S815)。
[0254] これにより差分値合計の最小値を求めることができる。
[0255] 次に、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、 G出力の画像を基準とし、 R出力画像を 右方向へ 1画素ずらし、 B出力画像を左方向へ 1画素ずらす (ステップ S817)。
[0256] 図 45 (a)及び図 45 (b)は、 R、 B出力画像を左右へ 1画素ずつずらしたときの R、 B 各々の出力画像を示し、図 45 (c)及び図 45 (d)は、各々図 45 (a)及び図 45 (b)に 対応する信号出力を示す。
[0257] また、図 46 (a)は、 R、 B出力画像を左右へ 1画素ずつずらしたときの R、 G、 B出力 画像の差分を示す図を、図 46 (b)は、 R、 G出力画像の差分を示し、図 46 (c)は、 G
、 B出力画像の差分を示す。
[0258] CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、図 45 (a)及び図 45 (b)のように R、 B出力画像 を左右へ 1画素ずつずらした後、図 46 (a)、図 46 (b)、図 46 (c)から差分値合計を算 出する(ステップ S805〜S809)。
[0259] CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、図 46 (b)から分かるように、 1ライン当りの RG差 分値を、 "2"画素として算出する (ステップ S805)。
[0260] 次に、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、図 46 (c)から分かるように、 1ライン当りの
BG差分値を、 "2"画素として算出する (ステップ S807)。
[0261] そして、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、ステップ S805で求めた 1ライン当りの R
G差分値と、ステップ S807で求めた 1ライン当りの BG差分値とを合計する。図 46 (a)
の例では、 1ライン当りの差分値合計は、 2 + 2 = "4"画素となる(ステップ3809)。
[0262] そして、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、算出した差分値合計とメモリから読み 出した差分値合計とを比較する (ステップ S813)。図 46 (a)の場合、算出した差分値 合計" 4"画素は、記憶部 74から読み出した差分値合計" 8"画素より小さいので、算 出した差分値合計" 4"画素を記憶部 74へ上書きする (ステップ S815)。
[0263] このようにして、 CPU56の像ズレ量算出部 56B力 R、 B、 G出力画像を左右 1画素 ずつずらし、画素ごとの出力値の差分を合計する。
[0264] さらに、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、 R、 G、 B出力画像の位置が左右両端 に達したとき、 R、 B、 G出力画像を上下 1画素ずつずらした後、同様に R、 B、 G出力 画像を左右両端まで 1画素ずつずらし、画素ごとの出力値の差分を合計する。
[0265] このようにして差分値合計を算出することで、 R、 B出力画像を上下左右両端まで移 動させたときの全ての差分値合計を算出し、その最小値を求めることができる。
[0266] そして、 CPU56の像ズレ量算出部 56Bは、 R、 B出力画像を上下左右両端まで移 動させたときに、記憶部 74に記憶されている差分値合計を最小値として、その差分 値合計の最小値に対応する R、 B出力画像の位置を決定し (ステップ S821、 S823) 、決定した位置に基づ 、て色収差補正部 70Bが色収差による像ズレ補正を行う。
[0267] 以上のように、出力する画像力 直接的に色収差による像ズレ補正を行うことで、利 用者は撮影した画像をより鮮明に視認することができる。
[0268] <変形例 6 >
図 25に示す本実施形態の画像揺れ補正装置では、レンズ系 53は 1つのブロックと して描 、てあるが、実際には複数枚のレンズ群として構成されて 、る。
[0269] 図 47は図 25におけるレンズ系 53を示す図である。図 48は、図 25に示す補正部 5 2とレンズ系 53とのその他の配置関係を示す図であり、図 48 (a)はレンズ系内に補正 部を配置した図、図 48 (b)はレンズ系の後方に補正部を配置した図である。
[0270] レンズ系 53は、第 1〜第 4レンズ群 53a〜53dを備える。レンズ系 53の後方には、 図 25では図示を省略した力 ノイズ (偽信号)を抑制する光学ローパスフィルタ 66と、 被写体像を結像する CCD部 63が設けられる。
[0271] 図 25では、補正部 52を図 47に示すようにレンズ系 53の前方に配置している力 図
48 (a)に示すようにレンズ系 3の内部に配置してもよぐまた、図 48 (b)に示すように レンズ系 53の後方に配置してもよい。これにより、レンズ系 53を通過する光束の狭い ところに補正部 52を配置することになるので、補正部 52を小型化することができる。
[0272] また、本実施形態の画像揺れ装置では、補正部 52は、図 27に示すように、固定プ リズム 59、可動プリズム 60A, 60Bを備える構成であった力 固定プリズム 59を削除 してもよく、また、固定プリズムを 1枚追加した構成としてもよい。
[0273] 図 49は、補正部 52のその他の構成として固定プリズムなしの補正部を示す図であ り、図 49 (a)は正面図、図 49 (b)は平面図、図 49 (c)は側面図である。また、図 50は 、補正部 52のその他の構成として固定プリズム 2枚を備える補正部を示す図で、図 5 0 (a)は正面図、図 50 (b)は平面図、図 50 (c)は側面図である。
[0274] 図 50の場合は、初期状態における補正部 52の入射角と出射角とが同一となるよう に各プリズムの位置を調整する。その他の動作は図 49、図 50のいずれの場合も上 記実施の形態と同様であり、同様の効果が得られる。
[0275] なお、図 49の場合、可動プリズム 60A、 60Bの 2枚のみを備える構成としているの で、図 32 (b)から分力るように、初期状態では像シフト角 Θだけ像がずれている力 こ れは画像揺れ補正とは直接の関係はな 、。
[0276] ただし、図 49の場合は図 27、図 50の場合に比べて色収差による像ズレが大きくな る。図 27、図 50の場合は、固定プリズム 59により補正部 52の入射角と出射角とが初 期状態で同一となるように構成した力 これは画像揺れ補正時のプリズム作用による 色収差の影響を最小限に抑え、色収差による像ズレ補正を低減するためである。こ れに対して、図 49の場合は固定プリズム 59を削除していることから、入射角と出射角 とが初期状態で同一とならない。そのため、図 27、図 50の場合に比べて色収差によ る像ズレが大きくなり、色収差による像ズレ補正量が大きくなる。その反面、図 49に示 す固定プリズムなしの構成では、補正部 52の光軸方向の長さを短くして小型化する ことができる。
[0277] また、色収差による像ズレ補正量抑制と小型化の中間を選択することも可能である 。色収差による像ズレ補正量が図 49の場合ほど大きくなぐ図 27及び図 50の場合よ り補正部 2を小型にする、つまり図 49の場合と図 27及び図 50の場合において色収
差による像ズレ量が中間となるように、固定プリズム 59のプリズム角を調整することも 可能である。これにより、色収差による像ズレ補正の抑制と補正部 52の小型化とのバ ランスを取ることができる。
[0278] また、図 27、図 49及び図 50に示す実施形態における各プリズムを、単体にしても よいし、複合プリズムにしてもよい。また、プリズム効果を有する平行板にしてもよい。 図 51は、本実施の形態に係るプリズムのその他の構成を示す図であり、図 51 (a)は 単体プリズムを示す図、図 51 (b)は複合プリズムを示す図、図 51 (c)はプリズム効果 を有する平行板を示す図である。
[0279] 例えば、可動プリズム 60Aを、図 51 (b)に示すような、微小角度を有する 2枚のプリ ズム 60Aa, 60Abを貼り合わせた複合プリズムとしてもよい。複合プリズムにすると、 プリズム単体の角度を大きくすることができ、単体プリズムでは難しい微小角のプリズ ムを容易に製作することができる。
[0280] また、図 51 (c)に示すように、屈折率 Nが、例えば、 N= l. 5から N= l. 4に変化し 、プリズム効果を有する平行板 17を各プリズムに替えて用いてもよい。プリズムは傾き 角の生産管理が必要となる力 平行板 17であれば容易に加工することができる。 産業上の利用可能性
[0281] 以上に説明したことから明らかなように、本発明の静止画像取り込み装置によれば 、画像の揺れを補正し撮影した画像の中から静止画像を取り込む際、色収差により 生じる像ズレを最小限に抑えることができ、利用者に対して鮮明な静止画像を提供 することができる。また、本発明の画像揺れ補正装置によれば、屈折素子の色収差 により生じる像ズレを非光学的に補正でき、利用者は撮影した画像をより鮮明に視認 することができる。