明 細 書
アミノ酸の精製方法
技術分野
[0001] 本発明は、塩基性アミノ酸の精製方法に関する。
背景技術
[0002] 塩基性アミノ酸および微生物の菌体を含む培養液から、イオン交換榭脂を用いて 塩基性アミノ酸を分離、精製する方法としては、(1)酸性に調整した該培養液から遠 心分離、高分子凝沈剤を用いた凝縮沈殿または限外ろ過等の手段により、微生物の 菌体等の固形成分を除去したのち、菌体を含まない培養液を pH0.5〜pH3.0に調整 した強酸性カチオン交換榭脂を充填したカラムの上部力 通塔した後、カラム上部か ら溶出液を通塔することにより塩基性アミノ酸を分離、精製する方法 (特許文献 1〜3 など)、(2)塩基性アミノ酸を含む、数種のアミノ酸を含有する中性の水溶液から、弱 酸性カチオン交換榭脂を用いて塩基性アミノ酸を分離する方法 (特許文献 4)、およ び (3)微生物の菌体を含む培養液を、強酸性カチオン交換樹脂が充填されたカラム に上方力 通塔してアミノ酸を榭脂に吸着させた後、カラム下方力 水を逆送するこ とにより樹脂に付着した菌体を浮遊させカラム上方カも該浮遊菌体を取り除き、ァミノ 酸を溶出させる方法 (特許文献 5)が知られて 、る。
[0003] し力しながら、上記(1)の方法ではイオン交換樹脂と培養液とを接触させる前に培 養液中から微生物の菌体を除去するという前処理が必要であり、また該方法では菌 体を効率よく分離するために培養液を PH3以下の酸性にしなければならないが、当 該 pHは弱酸性イオン交換樹脂の交換可能な pH領域ではなぐ塩基性アミノ酸の弱 酸性イオン交換樹脂への吸着が弱 、。よって菌体除去後の酸性の培養液から弱酸 性イオン交換榭脂を用いて塩基性アミノ酸を効率よく分離することはできな 、。
[0004] 微生物の菌体を含む中性の培養液から菌体を分離、除去した後、上記(2)の方法 を適用する場合、中性領域での菌体分離性が悪いことに起因し、精製収率が悪くな るなどの問題がある。
また上記(3)の方法では、アミノ酸と共に培養液に含まれて 、た菌体の大部分が榭
脂に付着するためアミノ酸の精製効率が悪いという問題がある。
特許文献 1:特公昭 53-39516号公報
特許文献 2:特公平 6-61272号公報
特許文献 3:特公昭 39-5050号
特許文献 4 :米国特許第 2549378号明細書
特許文献 5:特公平 4-53509号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 本発明の目的は、微生物の菌体を含む培養液から安価で簡便に高純度の塩基性 アミノ酸を精製する方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0006] 本発明は以下の(1)〜(3)に関する。
(1)塩基性アミノ酸を含有する培養液から該アミノ酸を分離、精製する方法において 、塩基性アミノ酸および微生物の菌体を含む培養液を、粒子径が 300 m以上の弱 酸性カチオン交換榭脂を充填したカラムの上部力 通塔した後、溶出液を通塔する ことにより塩基性アミノ酸を分離、精製することを特徴とする方法。
(2)塩基性アミノ酸および微生物の菌体を含む培養液の pHが 4〜10である上記(1) の方法。
(3)塩基性アミノ酸力 アルギニン、リジンまたはオル-チンである上記(1)または(2) の方法。
発明の効果
[0007] 本発明により、微生物の菌体を含む培養液から安価、かつ簡便に高純度の塩基性 アミノ酸を精製することができる。
発明を実施するための最良の形態
[0008] 本発明における塩基性アミノ酸および微生物の菌体を含む培養液としては、塩基 性アミノ酸を生産する能力を有する微生物を培地で培養し、該培地中に塩基性ァミノ 酸を生成、蓄積させて得られる培養液をあげることができる。
上記した微生物としては、塩基性アミノ酸を生産する能力を有する微生物であれば いずれでも良ぐ好ましくは原核生物、より好ましくは細菌をあげることができる。原核 生物としては、ェシエリヒア(Escherichia)属、セラチア(Serratia)属、バチルス属、ブレ ビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネパクテリゥム(Corvnebacterium)属、ミクロバ クテリゥム属(Microbacterium)、シユードモナス(Pseudomonas)属、ァグロバタテリゥム (Agrobacterium)属、アリシクロバチノレス属 (Alicvclobacillus)、アナべナ (Anabena)属 、アナシスティス (Anacvstis)属、ァスロバクタ一(Arthrobacter)属、ァゾトパクター otobacter)属、クロマチゥム(Chromatium)属、エノレビニァ(Erwinia)属、メチロバクテリ ゥム (Methvlobacterium)属、フォノレミディゥム (Phormidium)属、口ドノくクタ一 (Rhodoba cter)属、ロドシュードモナス(RhodoDseudomonas)属、ロドスピリゥム (Rhodospirillum) 属、セネデスムス (Scenedesmus)属、ストレプトマイセス(StreDtomvces)属、シネコッカ ス(Svnechoccus)属、ザィモモナス (Zvmomonas)属等に属する微牛.物、例えば、ェシ エリヒア.コリ、バチルス,サチリス(Bacillus subtilis)、バチルス 'メガテリゥム(Bacillus m eeaterium)、バチノレス ·アミロリケファシエンス (Bacillus amvloliauefaciens)、バチノレス · コアギュランス (Bacillus coaeulans)、ノ チノレス ·リケ-フオルミス (Bacillus licheniformis )、バチノレス ·プミノレス (Bacillus pumilus)、ブレビバタテリゥム ·アンモニアゲネス (Brevi bacterium ammoniagenes )、ブレヒノヽクァリゥム ' マリオフイノレム (Brevibacterium imm ariophilum)、ブレビノクテリゥム ·サッカロリティカム (Brevibacterium saccharolvticum) 、ブレビパクテリゥム ·フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビパクテリゥム ·ラクトファ ーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、コリネノ クテリゥム ·グノレタミカム(Corvne bacterium glutamicum)、コリネノ グァリウム · ,でト ントスイノレム (し orvnebactenumac etoacidophilum)、ミクロノくクアリ1ノム' ,ンモ二-/ノイルム (Microbacterium ammoniaphi lum)、セラチア ·フィカリア (Serratia ficaria)、セラチア ·フォンチコラ (Serratia fonticola )、セラチア ·リケファシエンス (Serratia liauefaciens)、セラチア ·マノレセッセンス (Serra tia marcescens)、、ノュ. ~~トモナス ·エルキノ1 ~~サ (Pseudomonas aeruginosa)、ンュ ~~ト モナス ·プチダ (Pseudomonas putida)、ァグロバタテリゥム ·ラジオパクター (Agrobacte rium radiobacter)、 7グロノ クァリゥム 'リン、ン' ~~ンズ (Agrobacterium rhizogenes、 7 グロノくクテリウム'ノレビ (A fobacterium rubi)、アナべナ'シリンドリカ (Anabaena cvlind
rica)、アナべナ ·ドリオノレム (Anabaena doliolum)、アナべナ ·フロスアクア (Anabaena f los-aauae)、アースロノくクタ一'オーレッセンス(Arthrobacter aurescens)、アースロノく クタ一 .シトレウス (Arthrobacter citreus)、アースロバクタ一 .グロプフォルミス (Arthro bacter globformis)、アースロノくクタ一 .ヒドロカーボグノレタミカス (Arthrobacter hvdroc arboglutamicus)、 ~~スロノくクタ1 ~~ ' ^ソレンス (Arthrobacter mvsorens)、 ~~スロノヽ クタ一 ·ニコチアナ (Arthrobacter nicotianae)、アースロバクタ一 ·パラフイネウス (Arth robacter paraffineus)、 7 ~~スロノ クタ1 ~~ ·フ—口トフオノレ ェ (Arthrobacter protophormi ae)ゝアースロノくクタ一 ·ロセオノ ラフイナス (Arthrobacter roseoparaffinus)ゝアース口 パクタ^ ~ .スノレフレウス (Arthrobacter sullureus)、アースロバクタ^ ~ ·ウレァファシェン ス (Arthrobacter ureafaciens)、クロマテゥム ·ブァリ (Chromatium buderi)、クロマチウ ム ·ァヒタム (し hromatium tepidum)、クロマチゥム ·ビノサム (し nromatium vinosum、 クロマチゥム .ヮーミンギ (Chromatium warmineii)、クロマチゥム ·フルビアタティレ( l romatium fluviatile)、エノレビ-ァ .ウレドノくラ (Erwinia uredovora)、エノレビ-ァ '力ロト ノ ラ (Erwinia carotovora)、エノレビ-ァ ·ァナス (Erwinia ananas)、エノレビ-ァ ·ヘリコラ (Erwinia herbicola)、エノレビニァ ·ノ ンクタタ (Erwinia punctata)、エノレビニァ ·テレウス (Erwinia terreus)、メテロノヽクァリゥム ·ロアンァナム ( Metnviobacterium rhoaesianum )、メチロバクテリウム ·ェクソトノレクエンス (Methvlobacterium extorauens)、フオノレミデ ィゥム ·エスピー(Phormidium SD.) ATCC29409,ロドパクタ^ ~ ·力プスラタス (Rhodobac ter capsulatus)、ロトノ クタ1 ~~ 'スフエロ^!ァス (Rhodobacter sphaeroides)、ロドシュ1 ~~ ドモナス ·ブラスチカ (Rhodopseudomonas blastica)、ロドシユードモナス ·マリナ (Rhod opseuQomonas marina)、ロドシュ1 ~~トモナス -ノ、ノレス卜リス ( Rhodopseudomonas paiustr is)、ロドスピリゥム ·リブラム (Rhodospirillum rubrum)、ロドスピリゥム ·サレキシゲンス ( Rhodospirillum salexigens)、ロトスピリゥム *サリナフム (Rhodospirillum sannarum)、ス トレプトマイセス ·アンボファシエンス (Streptomvces ambofaciens)、ストレプトマイセス' オーレオファシエンス (Streptomvces aureofaciens) 、ストレプトマイセス ·ァゥレウス( treptomvces aureus)、ス卜レフ。卜マイセス ·フンンンァィカス (Streptomvces lungicidicu s)、ストレプトマイセス ·グリセォクロモゲナス(Streptomvces griseochromogenes)、スト レプトマイセス ·グリセウス(Strertomyces griseus)、ストレプトマイセス ·リビダンス (Stre
ptomvces lividans)、ストレプトマイセス ·オリボグリセウス (Streptomvces olivogriseus) 、ストレプトマイセス ·ラメウス(Streptomvces rameus)、ストレプトマイセス 'タナシェン ンス (Streptomvces tanashiensis 、ストレフトマ セス ·ビナセウス (Streptomvces vinac eus)、ザィモモナス ·モビリス (Zvmomonas mobilis)等をあげることがでる。
[0009] 好ましい原核生物としては、ェシエリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテ リウム属、コリネバクテリウム属、シユードモナス属またはストレブトマイセス属等に属す る細菌、より好ましくはコリネパクテリゥム属に属する細菌をあげることができ、例えば 上記したェシエリヒア属、セラチア属、バチノレス属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテ リウム属、シユードモナス属またはストレブトマイセス属等に属する種、好ましくはコリネ ノ クテリゥム属に属する種をあげることがでる。
[0010] より好ましい細菌としてはェシエリヒア'コリ、コリネバクテリウム'ダルタミクム、コリネバ クテリゥム 'アンモニアゲネス、コリネバタテリゥム 'ラタトフアーメンタム、コリネバタティ ルム 'フラバム、コリネバタテリゥム 'エフイカシス、ブレビバタテリゥム 'フラバム、バチル ス'サチノレス、バチルス.メガテリゥム、セラチア'マノレセッセンス、シユードモナス'プチ ダ、シユードモナス'エノレギノーサ、ストレプトマイセス 'セリカラーまたはストレプトミセ ス 'リビダンス、さらに好ましい細菌としてはコリネバクテリウム'ダルタミクムをあげること ができる。
[0011] 本発明における塩基性アミノ酸としては、正電荷をもつアミノ酸であればいずれでも よぐ好ましくはアルギニン、オル-チンおよびリジン等をあげることができる。また塩 基性アミノ酸は、 L体、 DL体、 D体およびそれらの混合物のいずれでもよい。
上記した微生物を培養する培地としては、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源 および無機塩類等を含有し、該微生物の培養を効率的に行える培地であれば天然 培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
[0012] 炭素源としては、該微生物が資化し得るものであればよぐグルコース、フラクトース 、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭 水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノールなどのアルコー ル類等を用いることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモ-ゥム、硫酸アンモ-ゥム、酢酸アンモ-
ゥム、リン酸アンモ-ゥム等の無機酸もしくは有機酸のアンモ-ゥム塩、その他の含窒 素化合物、ならびに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼィ ン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体およびその消化物 等を用いることができる。
[0013] 無機塩としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸 マグネシウム、塩ィ匕ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム 等を用いることができる。
培養は、振盪培養または深部通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。培養温度 は 15〜40°Cがよぐ培養時間は、通常 6時間〜 14日間である。培養中の pHは 4.0〜10 .0に保持することが好ま 、。
[0014] 本発明で用いられる弱酸性カチオン交換榭脂としては、該榭脂をカラムに充填した 際、その粒子間を微生物の細胞、好ましくは原核生物の細胞、より好ましくは細菌の 細胞、さらに好ましくはコリネパクテリゥム属に属する細菌の細胞、特に好ましくはコリ ネバクテリゥム ·ダルタミクムの細胞が通過できる程度の空隙ができる粒子径を有する 榭脂あればよぐその粒子径は不均一であってもよ!/、。
[0015] 該榭脂としては、粒子径が 300 μ m以上、好ましくは 350 μ m以上、より好ましくは 400 μ m以上、さらに好ましくは 420 μ m以上、特に好ましくは 500 μ m以上、最も好ましくは 600 m以上の榭脂をあげることができる。前記した粒子径を有する榭脂としては、粒 子径が不均一な榭脂を、 目開きが 0.30mm、 0.35mm, 0.40mm, 0.42mm, 0.50mmまた は 0.60mmの篩いにかけて取得することができる榭脂をあげることができる。
[0016] また粒子間の空隙が大き!/、ほど微生物の細胞は粒子間を通過しやす 、ので、本発 明で用いられる榭脂は、粒子径カ ¾00 m以上の榭脂であればその粒子径に特に上 限はないが、取扱いの容易性、およびアミノ酸の精製効率がよい担体としては、粒子 径 2000 μ m以上の粒子含量が 10%以下、好ましくは粒子径 1500 μ m以上の粒子含 量が 10%以下、さらに好ましくは粒子径 1180 μ m以上の粒子含量が 10%以下の榭脂 をあげることができる。
[0017] 上記した弱酸性カチオン交換榭脂としては、例えばダイヤイオン WK10、 WK11、 W K20、および WK40 (三菱化学社製)、 MAC- 3 (ダウケミカル社製)、 CNP80、 CNPLFお
よび CNP105 (バイエル社製)、 IRC50および IRC76 (アンバーライト社製)等のアクリル 酸系またはメタクリル酸系の榭脂、および該榭脂から粒子径を調整して得られる榭脂 をあげることができる。
[0018] 上記の榭脂の粒子径の調整法としは、該榭脂を目開きが 0.30mm、好ましくは 0.35m m、より好ましくは 0.40mm、さらに好ましくは 0.42mm、特に好ましくは 0.50mm、最も好 ましくは 0.60mmの篩で篩 、分けし、篩 、目を通過しな 、榭脂を採取する方法等をあ げることができる。
弱酸性カチオン交換樹脂が充填されたカラムに通塔する培養液中の塩基性ァミノ 酸の濃度は特に制限されず、塩基性アミノ酸が溶解している状態であれば良い。培 養終了後の培地中に該アミノ酸の結晶が析出している場合は、該アミノ酸結晶をカロ 水、加温もしくは酸を添加することにより溶解した後、または該アミノ酸結晶を分離し た培養液を通塔することができる。
[0019] カラムに通塔する培養液の pHは特に調整する必要はなぐ pH4.0〜10.0、好ましく は 5.0〜8.0の培養液が用いられる力 必要に応じて培養液の pHを、塩酸、硫酸、酢 酸、リンゴ酸等の無機または有機の酸、水酸ィ匕ナトリウム等のアルカリ溶液、尿素、炭 酸カルシウム、アンモニアなどを用いて上記範囲内に調整してもよ!/、。
本発明に用いられるカラムは、通常化学物質の精製に用いられるカラムであればど のようなものでも良い。
[0020] 本発明で用いられる弱酸性カチオン交換樹脂の量は、当業者であれば精製する塩 基性アミノ酸の種類、通塔する培養液の pHに応じて容易に設定することができ、例え ば該培養液中の塩基性アミノ酸濃度が 10%程度である場合、該培養液量の 1〜2倍 量をあげることができる。
本発明の方法では、塩基性アミノ酸および微生物の菌体を含む培養液を粒子径が 300 m以上の弱酸性カチオン交換榭脂を充填したカラムの上部、いわゆるカラムべ ッド上層から通塔する。
[0021] 通塔速度としては、線速 0.3〜10m/hが好ましぐ 0.5〜7m/hがより好ましい。
培養液の通塔後、溶出液をカラム上部、すなわちカラムベットから好ましくは連続的 に通塔し、塩基性アミノ酸を溶出させることにより、塩基性アミノ酸を分離、精製するこ
とがでさる。
本発明で用いられる溶出液としては、弱酸性カチオン交換樹脂に結合している塩 基性アミノ酸を溶出することができる溶液であればその種類および濃度には特に制 限はないが、例えば濃度が 0.2〜6 mol/L、より好ましくは 0.5〜3 mol/Lのアンモニア 水溶液、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ性水溶液をあげることができる。
[0022] 溶出液の通塔速度としては、線速 0.3〜10m/hが好ましぐ 0.5〜7m/hがより好ましい 上記で分離、精製した塩基性アミノ酸は、さらに脱色、濃縮および晶析等の手段に より精製することができる。
塩基性アミノ酸を溶出した後の弱酸性カチオン交換榭脂は、カラム上部から水を通 塔することにより、カラム内部の溶出液を押し出すだけで、特別の榭脂再生操作を行 うことなぐ繰返して本発明の方法に使用することができる。
[0023] 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定される ものではない。
実施例 1
[0024] L-ァノレギニンの精製
L-アルギニン 90g/l、シトルリン 8g/l、グルタミン酸 lg/l、硫酸マグネシウム 3g/L、塩 化ナトリウム 10g/l、硫酸ナトリウム 3g/lおよびコリネパクテリゥム属に属する微生物の 細胞を湿菌体重量で 18g含有する培養液 200mlを硫酸で pH5.0に調整した後、篩 、 分けにより粒子径 420 μ m未満の粒子を除 ヽた弱酸性カチオンイオン交換榭脂であ る WK40 (三菱化学社製) 200mlを充填したカラムに 45°C、線速度 1.0m/hで通塔するこ とにより、 L-アルギニンを吸着させた。次に 200mlの水を通塔することでカラム中に残 存する培養液を押し出した後、 2.5mol/lのアンモニア水を用い、線速度 1.0m/hで L- アルギニンを溶出した。溶出開始からの液量が 140〜280mlの画分を主画分、 280〜4 80mlの画分を副画分として取得した。主画分、副画分を合わせた L-アルギニンの回 収率は 98%、色素除去率は 96%、菌体除去率は 99%であった。
実施例 2
[0025] L-オル二チンの精製
L-オル-チン 120g/l、シトルリン 8g/l、グルタミン酸 lg/l、硫酸マグネシウム 3g/L、 塩化ナトリウム 10g/l、硫酸ナトリウム 3g/lおよびコリネパクテリゥム属に属する微生物 の細胞を湿菌体重量で 12g含有する培養液 200mlを硫酸で pH6.0に調整した後、篩 い分けにより粒子径 420 μ m未満の粒子を除いた WK40を 200ml充填したカラムに 45 。C、線速度 1.0m/hで通塔することにより、 L-オル-チンを吸着させた。次に 200mlの 水を通塔することでカラム中に残存する培養液を押し出した後、 2.5mol/lのアンモ- ァ水を用い、線速度 1.0m/hで L-オル-チンを溶出した。溶出開始からの液量が 140 〜280mlの画分を主画分、 280〜480mlの画分を副画分として取得した。主画分、畐 ij 画分を合わせた L-オル二チンの回収率は 98%、色素除去率は 96%、菌体除去率は 99%であった。
実施例 3
L-リジンの精製
L-リジン 100g/l、塩化ナトリウム 10g/l、硫酸ナトリウム 3g/lおよびコリネバタテリゥム 属に属する微生物の細胞を湿菌体重量で 20g含有する培養液 200mlを硫酸で pH6. 0に調整した後、篩い分けにより粒子径 420 m未満の粒子を除いた弱酸性カチオン 交換榭脂である MAC-3 (ダウケミカル社製)を 200ml充填したカラムに 25°C、線速度 1. Om/hで通塔することにより L-リジンを吸着させた。次に 200mlの水を通塔することで力 ラム中に残存する培養液を押し出した後、 2.0mol/lのアンモニア水を用い、線速度 1. Om/hで L-リジンを溶出した。溶出開始からの液量が 140〜280mlの画分を主画分、 28 0〜380mlの画分を副画分として取得した。主画分、副画分を合わせた L-リジンの回 収率は 98%、色素除去率は 97%、菌体除去率は 99%であった。
比較例 1
L-ァノレギニンの精製(1)
実施例 1で用いた培養液 200mlを硫酸で pHl.5に調整した後、篩い分けによる粒子 調整して!/ヽな 、強酸性カチオン交換榭脂である SK1B (三菱化学社製)を 200ml充填 したカラムに 45°C、線速度 1. Om/hで通塔した力 80ml通塔したところでカラムが閉塞 した。
比較例 2
L-アルギニンの精製(2)
実施例 1で用いた培養液 200mlを硫酸で pHl.5に調整した後、遠心分離により菌体 を除去し、篩 、分けによる粒子調整して!/、な 、強酸性カチオン交換榭脂である SK1B を 200ml充填したカラムに 45°C、線速度 1.0m/hで通塔することによりアルギニンを吸 着させた。次に 200mlの水を通塔することでカラム中に残存する培養液を押し出した 後、 2mol/lのアンモニア水を用い、線速度 1.0m/hで L-アルギニンを溶出した。溶出 開始からの液量が 180〜380mlの画分を主画分、 380〜480mlの画分を副画分として 取得した。主画分、副画分を合わせた L-アルギニンの回収率は 98%、色素除去率は 62%であった。
産業上の利用可能性
本発明により、塩基性アミノ酸および微生物の菌体を含む培養液から該塩基性アミ ノ酸を効率よく精製することができる。