WO2007088732A1

WO2007088732A1 - 複合高周波部品および移動体通信装置

Info

Publication number: WO2007088732A1
Application number: PCT/JP2007/050664
Authority: WO
Inventors: Takanori Uejima; Naoki Nakayama
Original assignee: Murata Manufacturing Co., Ltd.
Priority date: 2006-01-31
Filing date: 2007-01-18
Publication date: 2007-08-09
Also published as: KR20080053946A; CN101375515A; EP1981173A1; CN101375515B; US20080191812A1; US7696842B2; EP1981173A4; JPWO2007088732A1; KR100983017B1; JP4678408B2

Abstract

複数の通信系の周波数帯の送受信信号を分波・合波するダイプレクサ（１０２）と、送受切替スイッチ（１０３）（１０４）と、フィルタ（１０５）（１０６）と、平衡－不平衡型受信信号切替スイッチ（１２４）と、マッチング回路（１０８）を備え、平衡－不平衡型受信信号切替スイッチ（１２４）を受信信号切替スイッチ（１２１）と平衡－不平衡型フィルタ（１２２）（１２３）とで構成し、送受切替スイッチ（１０３）内のストリップライン（ＧＳＬ２）と受信信号切替スイッチ（１２１）内のストリップライン（ＡＳＬ２）を同一層に構成し、その間にキャパシタ（ＧＣｕ３）（ＡＧＰｒ）からなるマッチング回路（１０８）を設ける。

Description

明細書

複合高周波部品および移動体通信装置

技術分野

[0001] この発明は、複合高周波部品およびそれを用いた移動体通信装置に関し、特に、複数の異なる移動体通信システムに利用可能な複合高周波部品およびそれを用いた移動体通信装置に関する。

背景技術

[0002] 従来、それぞれの周波数帯が異なる複数の通信系を用いて通信を行うデュアルバンドまたはマルチバンドの移動体通信装置が用いられて、る。例えば特許文献 1には、このようなマルチバンドの移動体通信装置に用いられる複合高周波部品が開示されている。

[0003] ここで、特許文献 1に示されて、る複合高周波部品を用いた移動体通信装置の高周波回路部の構成を図 1に示す。

この高周波回路は、 1800MHz帯の GSM1800 (DCS)、 1900MHz帯の GSM1 900 (PCS)、 850MHz帯の GSM850、および 900MHz帯の GSM900 (EGSM) に適応するものである。

図 1にお、てアンテナスィッチモジュール 10の部分が特許文献 1に示されて、る複合高周波部品であり、次のように構成されている。

[0004] 図 1においてダイプレクサ 2は、 GSM850ZGSM900系の送受信信号と、 GSM1 800ZGSM1900系の送受信信号を分波 ·合波する。送受切替スィッチ 3は GSM8 50ZGSM900系の送信信号と受信信号を切り替える。同様に送受切替スィッチ 4は GSM1800ZGSM1900系の送信信号と受信信号を切り替える。フィルタ 5は GSM 850ZGSM900系の送信信号の基本波を通過させるとともに高調波を減衰させる。同様にフィルタ 6は GSM1800ZGSM1900系の送信信号の基本波を通過させるとともに、高調波を減衰させる。

[0005] このアンテナスィッチモジュール 10を用いて移動体通信装置の高周波回路部（フロントエンド部)を構成する場合には、受信信号帯域のみを通過させて不要な周波数帯の信号を除去するとともに平衡型の低雑音増幅器 (LNA)で受信信号増幅するために、不平衡入力平衡出力型の SAWを用いる。図 1において SAWフィルタ 22, 23 はそれぞれ GSM850および GSM900の受信信号を通過させるフィルタである。また受信信号切替スィッチ 21は GSM850と GSM900の受信信号を切り替える。この 2 つの SAWフィルタ 22, 23および受信信号切替スィッチ 21によって平衡ー不平衡型フィルタモジュール 20を構成することができる。

[0006] また、送受切替スィッチ 7は GSM1800の受信信号と GSM1900の受信信号を切り替える。 SAWフィルタ 41は GSM1800の受信信号を通過させ平衡出力し、 SAW フィルタ 42は GSM1900の受信信号を通過させ平衡出力する。

また、このようにアンテナスィッチモジュール 10に対して SAWフィルタまたは SAW フィルタを備えたモジュールを接続するために、それらの間にはインピーダンス整合を図るマッチング回路 30, 51, 52を設けることになる。

特許文献 1：特開 2000— 201097号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0007] このように 3つの平衡出力部を備えた、 3つの LNA (ローノイズアンプ）に対応する高周波回路部（フロントエンド部）は、図 1に示したように、アンテナスィッチモジユール 10と平衡ー不平衡型フィルタモジュール 20との間、受信信号切替スィッチ 7と SA Wフィルタ 41, 42およびそれらの間に入るマッチング回路 30, 51, 52が設けられて構成されるので、全体の部品点数が多ぐその実装面積が広いことから移動体通信装置 (携帯電話機)が大型化すると!ヽぅ問題があった。

[0008] また、アンテナスィッチモジュール 10と平衡ー不平衡型フィルタモジュール 20との間、さらには単体の SAWフィルタ 41, 42との間のマッチング調整も必要となり、移動体通信装置のセット設計時の煩雑さが問題となっていた。

[0009] そこで、この発明の目的は、複数の通信系の周波数帯の送受信信号を扱うダイプレクサと送受信信号を切り替える送受切替スィッチと平衡ー不平衡型受信信号切替スィッチとを複合ィ匕して上述の問題を解消した複合高周波部品およびそれを備えた移動体通信装置を提供することにある。課題を解決するための手段

上述の問題を解決するためにこの発明は次のように構成する。

(1)それぞれの周波数帯が異なる複数の通信系の送受信信号を単一のアンテナで送受信するための複合高周波部品であって、前記複数の通信系の周波数帯の送受信信号を周波数帯で分波 '合波するダイプレクサ（102)と、前記ダイプレクサに接続され、前記複数の通信系の送受信信号を送信信号と受信信号とにそれぞれ分離する送受切替スィッチ（103, 104)と、前記送受切替スィッチに接続されたフィルタ（ 105, 106)と、第 1の周波数帯と第 2の周波数帯の受信信号を切り替えるとともに不平衡型で入力し、平衡型で出力する平衡—不平衡型受信信号切替スィッチ（124) と、前記複数の送受切替スィッチのうち少なくとも 1つの送受切替スィッチ（103)と前記平衡ー不平衡型受信信号切替スィッチ（124)との間に設けられたマッチング回路 (108)と、を備え、

前記平衡ー不平衡型受信信号切替スィッチ（124)は、第 1の周波数帯の不平衡信号を入出力する第 1のポート (P1)と、第 2の周波数帯の不平衡信号を入出力する第 2のポート (P2)と、第 1の周波数帯の不平衡信号および第 2の周波数帯の不平衡信号に共通の第 3のポート (P3)と、を備え、信号経路を第 3のポート第 1のポート間または第 3のポート第 2のポート間のいずれかに切り替える受信信号切替スイツチ（121)と、第 1のポート (P1)に接続され、第 1の周波数帯の不平衡信号を入力する第 4のポート (P4)と、第 1の周波数帯の平衡信号を出力する第 5 ·第 6のポート (P5 , P6)とを備え、第 1の周波数帯を通過帯域とする第 1の平衡ー不平衡型フィルタ（1 22)と、第 2のポート (P2)に接続され、第 2の周波数帯の不平衡信号を入力する第 7 のポート (P7)と、第 2の周波数帯の平衡信号を出力する第 8 ·第 9のポート (P8, P9) とを備え、第 2の周波数帯を通過帯域とする第 2の平衡ー不平衡型フィルタ（123)と、を備え、

前記ダイプレクサ（102)、前記送受切替スィッチ（103, 104)、前記フィルタ（105 , 106)、前記平衡ー不平衡型受信信号切替スィッチ（124)、および前記マッチング回路（108)を、セラミック力もなる複数のシート層を積層してなる多層基板に一体に設けたことを特徴としている。 [0011] (2)また、前記第 1 ·第 2の平衡—不平衡型フィルタ（122, 123)は、例えば平衡— 不平衡型の弾性表面波フィルタまたは厚み縦振動圧電フィルタで構成する。

[0012] (3)また、前記第 1の周波数帯で前記第 5のポート (Ρ5)力前記第 1の分岐ポート（ B1)までの電気長と、前記第 1の周波数帯で前記第 6のポート (Ρ6)から前記第 2の分岐ポート (Β2)までの電気長とがほぼ等しぐ且つ前記第 2の周波数帯で前記第 8 のポート (Ρ8)から前記第 1の分岐ポート (B1)までの電気長と、前記第 2の周波数帯で前記第 9のポート (Ρ9)から前記第 2の分岐ポート (Β2)までの電気長とがほぼ等しくなるように構成する。

[0013] (4)また、前記第 2のポートと前記第 3のポートとの間に配置されたストリップライン（ ASL2)と、前記マッチング回路（108)を介して前記平衡ー不平衡型フィルタに接続される前記送受切替スィッチ内のストリップライン (GSL2)とは、前記多層基板の同一シート層上に形成されたものとする。

[0014] (5)また、前記マッチング回路（108)は、コンデンサ（AGPr, GCu3)により構成されたものとする。

[0015] (6)また、この発明の移動体通信装置は、上記いずれかの構成力もなる複合高周波部品を高周波回路部に備えて構成する。

発明の効果

[0016] (1)複数の通信系の周波数帯の送受信信号を分波'合波するダイプレクサ、送受切替スィッチ、フィルタ、平衡ー不平衡型フィルタ、およびマッチング回路をセラミック力なる複数のシート層を積層してなる多層基板に一体に設けたことにより、部品点数の削減、移動体通信装置の小型計量化、移動体通信装置の高周波回路部の回路設計の簡略ィ匕が可能となる。

[0017] また積層体の平面に第 1 ·第 2の平衡一不平衡型フィルタを搭載して、積層体の内部にマッチング回路を構成することが容易となり、全体の小型計量ィ匕の効果が高まる

[0018] (2)前記第 1 ·第 2の平衡ー不平衡型フィルタを平衡ー不平衡型の弾性表面波フィルタまたは厚み縦振動圧電フィルタで構成することにより、一方のフィルタの通過帯域が他方のフィルタで遮断されるため、信号の回り込みが低減でき、低損失化が図れる。

[0019] (3)第 1の周波数帯での第 5ポート第 1の分岐ポート間の電気長と、第 1の周波数帯での第 6ポート第 2分岐ポート間の電気長とがほぼ等しぐ且つ第 2周波数帯での第 8ポート第 1分岐ポート間の電気長と、第 2の周波数での第 9ポート第 2分岐ポート間の電気長とがほぼ等しいため、整合素子は第 1 ·第 2の平衡ー不平衡型フィルタの平衡ポートから見て同位相となる位置に接続されていることになり、これらの各ポート間の配線および整合素子の付カ卩により平衡特性が損なわれることがない。すなわち、第 5ポート第 1分岐ポート間の電気長と、第 6ポート第 2分岐ポート間の電気長とが第 1の周波数帯でほぼ等しいことにより、第 1の周波数での平衡特性が維持でき、第 8ポート第 1分岐ポート間の電気長と、第 9ポート第 2分岐ポート間の電気長とが第 2の周波数帯でほぼ等しいことにより、第 2の周波数帯での平衡特性が維持できる。このため、良好な電気的特性を維持できる。

[0020] (4)前記第 2のポートと第 3のポートとの間に配置されたストリップラインと前記マッチング回路を介して平衡一不平衡型フィルタに接続される送受切替スィッチ内のストリップラインとが多層基板の同一シート層上に存在することによって、シート枚数を削減することができるので、低背化が可能となる。また、ダイプレクサ、送受切替スィッチ、フィルタ、平衡ー不平衡型受信信号切替スィッチ、およびマッチング回路を一体化することにより、他のストリップラインと共に多層基板内に複数層にわたって形成する際の無駄な引回しが無くなり、より小型化が図れる。

[0021] (5)前記マッチング回路をコンデンサで構成したことにより、前記送受切替スィッチと前記平衡ー不平衡型受信信号切替スィッチの制御用電圧の印加時の直流電流を送受切替スィッチと平衡ー不平衡型受信信号切替スィッチとの間で分離するための回路が不要となって部品点数が削減できる。

[0022] (6)上記平衡ー不平衡型フィルタモジュールを高周波回路部に備えたことにより、周波数帯の異なる複数の通信信号を扱う小型低コストな移動体通信装置が構成できる。

図面の簡単な説明

[0023] [図 1]従来のアンテナスィッチモジュールを用いた移動体通信装置の高周波回路部の構成例を示す図である。

圆 2]第 1の実施形態に係る複合高周波部品の回路図である。

圆 3]同複合高周波部品をセラミック力もなる複数のシート層を積層してなる多層基板に構成する場合の各層の導体パターンを示す図である。

[図 4]図 3に続く各層の導体パターンを示す図である。

[図 5]図 4に続く各層の導体パターンを示す図である。

圆 6]同複合高周波部品の積層体最上層の構成を示す図である。

圆 7]第 2の実施形態に係る複合高周波部品の回路図である。

圆 8]第 3の実施形態に係る移動体通信装置の構成を示す図である。

符号の説明

102 ダイプレクサ

103 -送受切替スィッチ

104 -送受切替スィッチ

105, 106 フィルタ

107 -受信信号切替スィッチ

121 - -受信信号切替スィッチ

122, 123— SAWフィルタ

141, 142— SAWフイノレタ

100 -複合高周波部品

120 -SAWデュプレクサ

108 -マッチング回路

124- -平衡—不平衡型受信信号切替スィッチ

P1 P9 第 1〜第 9のポート

Bl, B2—第 1 ·第 2の分岐ポート

LG—整合素子

ANT—アンテナ端子

発明を実施するための最良の形態

《第 1の実施形態》第 1の実施形態に係る複合高周波部品について図 2〜図 5を参照して説明する。図 2は複合高周波部品の回路図である。この複合高周波部品 100は、 GSM850, GSM900, GSM1800, GSM1900の 4つの周波数帯に対応するものである。

[0026] この複合高周波部品 100は大きく分けてダイプレクサ 102、送受切替スィッチ 103 , 104、フィルタ 105, 106、受信信号切替スィッチ 107、平衡—不平衡型受信信号切替スィッチ 124、およびマッチング回路 108から構成している。また、平衡—不平衡型受信信号切替スィッチ 124は受信信号切替スィッチ 121と SAWデュプレクサ 1 20とから構成している。

[0027] ダイプレクサ 102は、キャパシタ Cul, Ctl,ストリップライン Ltl力もなるローパスフィルタ部分と、キャパシタ Ccl, Cc2, Ct2およびストリップライン Lt2からなるハイパスフィルタ部分とを備え、アンテナ端子 ANTに接続して、る。

[0028] 送受切替スィッチ 103はダイプレクサ 102のローパスフィルタ側に接続している。この送受切替スィッチ 103は、 GSM850Z900の送信信号入力側にダイオード GDI 、インダクタ GSL1を設け、 GSM850Z900の受信信号出力側に、ダイオード GD2 、ストリップライン GSL2、キャパシタ GC5、抵抗 Rgを設けている。そして GSM850Z 900の送受切り替え信号を端子 Vclから入力するように構成して、る。

[0029] もう 1つの送受切替スィッチ 104はダイプレクサ 102のハイパスフィルタ側に接続している。この送受切替スィッチ 104は、 GSM1800Z1900の送信信号入力側にダイオード DDI、インダクタ DPSL1、ストリップライン DPSLtおよびキャパシタ DPCtを設け、 GSM1800Z1900の受信信号出力側にダイオード DD2、ストリップライン DSL 2、キャパシタ DC5, DCu3, CDPrおよび抵抗 Rdを設けている。そして、制御端子 V c3によって GSM1800Z1900の送受を切り替えるように構成している。なお、送受切替スィッチ 104の受信信号出力側と受信信号切替スィッチ 107の入力側間には、キャパシタ CDPr, DCu3からなるマッチング回路 109を構成して!/、る。

[0030] 受信信号切替スィッチ 107は送受切替スィッチ 104の受信信号出力側に接続している。この受信信号切替スィッチ 107は、 GSM1900側の受信信号出力側にダイォード DD3、ストリップライン PSL1およびキャパシタ DCu4を設けて、 GSM1800側の受信信号出力側にダイオード DD4、ストリップライン PSL2、キャパシタ PC5、および抵抗 Rpを設けている。また制御端子 Vc4からの制御信号によって GSM1900と 180 0を切り替えるように構成して、る。

[0031] 受信信号切替スィッチ 121は送受切替スィッチ 103の受信信号出力側に接続している。この受信信号切替スィッチ 121は、 GSM850の受信信号出力側にダイオード GD3、インダクタ ASL1を設け、 GSM900の受信信号出力側にダイオード GD4、ストリップライン ASL2、キャパシタ AC5および抵抗 Raを設けている。また、制御端子 V c2からの制御信号によって GSM850と 900を切り替えるように構成して!/、る。なお、この受信信号切替スィッチ 121は GSM850の受信信号を不平衡で出力する第 1のポート P1と、 GSM900の受信信号を不平衡で出力する第 2のポート P2と、この 2つの周波数帯の不平衡信号に共通の第 3のポート P3とを備えている。

[0032] フィルタ 105は、 GSM850Z900の送信信号の周波数帯域を通過させ、 GSM85 OZ900の特に 3次高調波の周波数成分の信号を遮断するローパスフィルタである。このフィルタ 105は、ストリップライン GLtl、キャパシタ GCul, GCu2, GCclでローパスフィルタ回路を構成し、送受切替スィッチ 103の送信信号入力側に接続して、る

[0033] フィルタ 106は GSM1800Z1900の送信信号の周波数帯域を通過させ、 GSM1 800Z1900の特に 2次と 3次の高調波の周波数成分の信号を遮断するローパスフィルタである。このフィルタ 106は、ストリップライン DLtl, DLt2と、キャパシタ DCul, DCu2, DCcl, DCc2とで構成し、送受切替スィッチ 104の送信信号入力側に接続している。

[0034] SAWデュプレクサ 120は第 1 ·第 2の SAWフィルタ（弾性表面波フィルタ）からなり、第 1の SAWフィルタ（第 1の平衡ー不平衡型フィルタ） 122と第 2の SAWフィルタ（第 2の平衡—不平衡型フィルタ） 123を備えている。第 1の SAWフィルタ 122は GSM8 50の受信信号を不平衡で入力する第 4のポート P4とその平衡信号を出力する第 5 · 第 6のポート P5, P6を備えて!/ヽる。同様【こ、第 2の SAWフイノレタ 123ίま GSM900の受信信号を不平衡で入力する第 7のポート Ρ7とその平衡信号を出力する第 8 ·第 9のポート Ρ8, Ρ9を備えている。

[0035] この第 1の SAWフィルタ 122の平衡出力部の一方のポート（第 5のポート P5)と第 2 の SAWフィルタ 123の平衡出力部側の一方のポート（第 8のポート P8)を第 1の分岐ポート B1で共通接続し、第 1の SAWフィルタ 122の平衡入出力部の他方のポート（第 6のポート P6)と第 2の SAWフィルタ 123の平衡入出力部の他方のポート（第 9のポート P9)を第 2の分岐ポート B2で共通接続している。そして、 GSM850と GSM90 0の平衡信号の両方に対してインピーダンス整合する整合素子を LGA (バランスコィル）を接続している。また、第 5のポート P5から第 1の分岐ポート B1までの GSM850 の周波数帯での電気長と、第 6のポート P6から第 2の分岐ポート B2までの GSM850 の周波数帯での電気長とはほぼ等しい。また、第 8のポート P8から第 1の分岐ポート B1までの GSM900の周波数帯での電気長と、第 9のポート P9から第 2の分岐ポート B2までの GSM900の周波数帯での電気長とがほぼ等しくなるように構成している。

[0036] マッチング回路 108は、 GSM850Z900側の送受切替スィッチ 103の受信信号出力部と受信信号切替スィッチ 121との間に設けている。この両者のインピーダンスマツチングを図るために、ラインに直列のキャパシタ AGPrと、ライン一接地間に接続したキャパシタ GCu3とで構成して!/、る。

[0037] SAWフィルタ 141は、その不平衡入力ポートを GSM1800Z1900の受信信号切替スィッチ 107の GSM1900の受信信号出力側に接続している。この SAWフィルタ 141の平衡出力ポートには整合素子 (バランスコイル) LPを接続している。また SAW フィルタ 142は、その不平衡入力ポートを上記受信信号切替スィッチ 107の GSM18 00の受信信号出力側に接続している。この SAWフィルタ 142の平衡出力ポートには整合素子 (マッチングコイル) LDを接続して、る。

[0038] 上記受信信号切替スィッチ 121の動作は次のとおりである。まず、制御端子 Vc2にハイレベルの信号が印加されると、ダイオード GD4, GD3がオンする。これにより、ダィオード GD3が導通して第 1のポート P1と第 3のポート P3との間の信号経路が導通する。一方、線路 ASL2の電気長は GSM850の周波数帯においてほぼ 1Z4波長となるようにしていて、ダイオード GD4のオンにより、線路 ASL2のポート P2側が等価的に接地されて、ポート P3から P2側を見たインピーダンスは等価的に開放となる。

[0039] 制御端子 Vc2にローレベルの信号が印加されると、ダイオード GD4がオフして、第 2のポート P2と第 3のポート P3との間は線路 ASL2を介して信号経路が構成される。一方、ダイオード GD3もオフすることにより、第 1ポート P1と第 3のポート P3との間の信号経路が遮断される。このダイオード GD3のオフ状態で、第 3のポート P3から第 1 のポート P1を見たインピーダンスは開放状態となる。

[0040] SAWフィルタ 122は、第 1の周波数帯（GSM850)を通過させ、第 2の周波数帯（ GSM900)を遮断するので、受信信号切替スィッチ 121が第 1のポート P1側の信号経路を選択している状態で、 GSM850Z900の受信信号出力ポートには GSM850 の受信信号が出力される。また、 SAWフィルタ 123は第 2の周波数帯（GSM900)の信号を通過させ、第 1の周波数帯 (GSM850)の信号を遮断するので、受信信号切替スィッチ 121が第 2のポート P2側の信号経路を選択している状態で、 GSM850/ 900の受信信号出力ポートには GSM900の受信信号が出力される。

[0041] このように、 2つの SAWフィルタ 122, 123のうち一方のフィルタの通過帯域が他方のフィルタの遮断周波数域となるので、第 1 ·第 2の周波数帯の信号の回り込みが低減され、低損失で 1つの平衡出力ポートを共用できる。

[0042] また、上述したとおり、 GSM850の周波数帯での第 5のポート P5から第 1の分岐ポート B1までの電気長と、第 6のポート P6から第 2の分岐ポート B2までの電気長とはほぼ等しぐ GSM900の周波数帯での第 8のポート P8から第 1の分岐ポート B1までの電気長と、第 9のポート P9から第 2の分岐ポート B2までの電気長とはほぼ等しい。そのため、バランスコイル LGAは SAWフィルタ 122, 123の平衡ポートから見て同位相となる位置に接続されていることになり、これらの各ポート間の配線および整合素子の付カ卩により平衡特性が損なわれることがない。そのため、良好な電気的特性を維持できる。

[0043] 次に、上記複合高周波部品を、セラミック力なる複数のシート層を積層してなる多層基板に一体化した場合の構成例を図 3〜図 6を基に説明する。

図 3〜図 6は各層における導体パターンの平面図である。図 3の（1)が最下層、図 5 の（21)が最上層であり、図示の都合上図 3〜図 5の 3つの図に分けて表している。図 3〜図 5におヽて図中の各部の符号は図 2に示した回路中の各符号に対応して、る。またこれらの図中の GNDは接地電極である。なお、図 2中の LGA, Cgt, AC5, G SL1, Cant, DPSL1, Cdpt, LP, LDはいずれもこの複合高周波部品を実装する、他移動体通信装置の回路基板に設けるものであるので、図 3〜図 5には現れない。

[0044] 図 3の（1)において Gは接地端子、 NCは空き端子である。その他の端子は図 2に示した回路中の各符号に対応している。

図 3 ·図 4に示すように、（8)〜（14)の層にわたつてストリップライン ASL2を形成して、る。また図 4に示すように（9)〜（14)の層にわたつてストリップライン GSL2を形成している。また（9)〜（13)の層にわたってストリップライン PSL2を形成している。同様に（9)〜（14)層にわたつてストリップライン DSL2を形成して、る。このように高周波スィッチで用いる所定電気長のストリップラインをそれぞれほぼ同一層にわたって形成したことにより、限られた面積且つ限られた層数でストリップラインを構成することができ、全体の回路規模が大きくなつてもチップサイズの増大が抑えられる。

[0045] 図 6は積層体の最上面に各チップ部品を搭載した状態を示している。ここで SAW フィルタ（122, 123)は、図 2に示した GSM850Z900用の 2つの SAWフィルタ 122 , 123を含むデュアルの SAWフィルタである。同様に SAWフィルタ（141, 142)は、図 2に示した GSM1800Z1900用の 2つの SAWフィルタ 141, 142を含むデュアルの SAWフィルタである。

[0046] 以上のように、この発明の複合高周波部品によれば、それぞれの周波数帯が異なる複数の通信系の送受信信号を単一のアンテナで送受信するためのダイプレクサと、複数の通信系の送受信信号を送信信号と受信信号とにそれぞれ分離する送受切替スィッチと、この送受切替スィッチに接続されるフィルタと、 2つの周波数帯の信号を平衡—不平衡型で入出力する平衡—不平衡型フィルタとを一体化して設計することによって、送受切替スィッチとダイプレクサとを含むアンテナスィッチ回路と上記平衡ー不平衡型フィルタとの間のマッチングを予めとつた状態で構成でき、外部にマツチング素子を設ける必要がなくなる。

[0047] また、上記アンテナスィッチ回路で用いるストリップラインと平衡一不平衡型フィルタで用いるストリップラインとを多層基板の同じ層に形成したことにより、両者の占有面積が小さくでき、チップサイズの増大が抑えられる。

また、セラミック多層基板によりワンチップで構成するため、ディスクリート部品を用いて構成する場合に比べて部品間の配線による損失が削減できる。また、スィッチプレクサ（アンテナスィッチモジユーノレ）とマッチング回路を基板上に別々に構成する場合に比べて部品間隔を無くすことができ、全体の小型化が図れる

[0048] なお、この実施形態におけるマッチング回路 108, 109は、それぞれ（GCu3, AG Pr) , (DCu3, CDPr)で構成した力 AGPr, CDPrのみでマッチングをとることができれば、それらのみでマッチング回路 108, 109を構成してもよい。

[0049] 《第 2の実施形態》

次に、第 2の実施形態に係る複合高周波部品について図 7を参照して説明する。図 2に示した複合高周波部品と異なるのは、 GSM1800Z1900の受信信号出力ポートを単一の（共用の）平衡出力ポートにした点である。すなわち 2つの SAWフィルタ 141, 142の平衡出力ポートを束ねた共通の平衡出力ポートから GSM1800または 1900の受信信号を出力するように構成している。また、 GSM850Z900の受信信号出力ポートと同様に、整合素子 (マッチングコイル) LDを 2つのポート間に接続している。

[0050] なお、図 7に示した例では、送受切替スィッチ 103の受信信号出力側と受信信号切替スィッチ 121の入力側間のマッチング回路 108をキャパシタ AGPrのみで構成し、送受切替スィッチ 104の受信信号出力側と受信信号切替スィッチ 107の入力側間のマッチング回路 109をキャパシタ CDPrのみで構成した力第 1の実施形態の場合と同様に、マッチング回路 108, 109にキャパシタ GCu3, DCu3を並列に設けてもよい。

[0051] なお、第 1 ·第 2の実施形態では平衡ー不平衡フィルタとして SAWフィルタを用いた 1S SAWフィルタ（弾性表面波フィルタ）の代わりの厚み縦振動圧電フィルタ（BAW フイノレタ）を用いてもよい。

[0052] 《第 3の実施形態》

次に、第 3の実施形態に係る移動体通信装置の構成を図 8を参照して説明する。図 8はクヮッドバンドの携帯電話機の構成をブロック図として表したものである。その高周波回路部には第 1 ·第 2の実施形態で示した複合高周波部品 100を備えている。この複合高周波部品 100は、そのアンテナ端子にアンテナ 201を接続していて、 G SM1800Z1900の送信信号 Txl、 GSM850Z900の送信信号 Τχ2を入力し、 G SM1800Z1900の受信信号 Rxl、 GSM850Z900の受信信号 Rx2を出力する。高周波集積回路 203は複合高周波部品 100に対して前記制御端子 Vc l〜Vc4へ制御信号をそれぞれ与えて送受の切り替えおよび受信信号の切り替えを行う。パヮ一アンプモジュール 202は高周波集積回路 203から出力される送信信号を電力増幅して複合高周波部品 100へ与える。ベースバンド IC 204は高周波集積回路 203 に対して音声信号の入出力等を行、、ベースバンドの信号処理を行う。

このように高周波回路部 (フロントエンド部）に第 1 ·第 2の実施形態で示した複合高周波部品を用いることによって、新たなマッチング回路等設けることなくクワットバンドの携帯電話機を容易に構成できる。

Claims

請求の範囲

[1] それぞれの周波数帯が異なる複数の通信系の送受信信号を単一のアンテナで送受信するための複合高周波部品であって、

前記複数の通信系の周波数帯の送受信信号を周波数帯で分波 '合波するダイプレクサと、

前記ダイプレクサに接続され、前記複数の通信系の送受信信号を送信信号と受信信号とにそれぞれ分離する送受切替スィッチと、

前記送受切替スィッチに接続されたフィルタと、

第 1の周波数帯と第 2の周波数帯の受信信号を切り替えるとともに不平衡型で入力し、平衡型で出力する平衡—不平衡型受信信号切替スィッチと、

前記複数の送受切替スィッチのうち少なくとも 1つの送受切替スィッチと前記平衡不平衡型受信信号切替スィッチとの間に設けられたマッチング回路と、を備え、前記平衡—不平衡型受信信号切替スィッチは、

第 1の周波数帯の不平衡信号を出力する第 1のポートと、第 2の周波数帯の不平衡信号を出力する第 2のポートと、第 1の周波数帯の不平衡信号および第 2の周波数帯の不平衡信号に共通の第 3のポートと、を備え、信号経路を第 3のポート第 1のポート間または第 3のポート第 2のポート間のいずれかに切り替える受信信号切替スィッチと、

第 1のポートに接続され、第 1の周波数帯の不平衡信号を入力する第 4のポートと、第 1の周波数帯の平衡信号を出力する第 5 ·第 6のポートとを備え、第 1の周波数帯を通過帯域とする第 1の平衡ー不平衡型フィルタと、

第 2のポートに接続され、第 2の周波数帯の不平衡信号を入力する第 7のポートと、第 2の周波数帯の平衡信号を出力する第 8 ·第 9のポートとを備え、第 2の周波数帯を通過帯域とする第 2の平衡ー不平衡型フィルタと、を備え、

前記ダイプレクサ、前記送受切替スィッチ、前記フィルタ、前記平衡不平衡型受信信号切替スィッチ、および前記マッチング回路を、セラミック力もなる複数のシート層を積層してなる多層基板に一体に設けた複合高周波部品。

[2] 前記第 1 ·第 2の平衡ー不平衡型フィルタは、平衡ー不平衡型の弾性表面波フィルタまたは厚み縦振動圧電フィルタである請求項 1に記載の複合高周波部品。

[3] 前記第 1の周波数帯で前記第 5のポートから前記第 1の分岐ポートまでの電気長と、前記第 1の周波数帯で前記第 6のポートから前記第 2の分岐ポートまでの電気長とがほぼ等しぐ且つ前記第 2の周波数帯で前記第 8のポートから前記第 1の分岐ポートまでの電気長と、前記第 2の周波数帯で前記第 9のポートから前記第 2の分岐ポートまでの電気長とがほぼ等しい請求項 1または 2に記載の複合高周波部品。

[4] 前記第 2のポートと前記第 3のポートとの間に配置されたストリップラインと、

前記マッチング回路を介して前記平衡ー不平衡型フィルタに接続される前記送受切替スィッチ内のストリップラインとは、前記多層基板の同一シート層上に形成されている請求項 1〜3のうちいずれか 1項に記載の複合高周波部品。

[5] 前記マッチング回路は、コンデンサにより構成されたものである請求項 1〜4のうちいずれか 1項に記載の複合高周波部品。

[6] 請求項 1〜5のうちいずれか 1項に記載の複合高周波部品を高周波回路部に備えた移動体通信装置。