WO2007072779A1 - 便器排水路の吸気装置 - Google Patents

Abstract

　空気を含んだ水がリムに供給されて異音が発生することが防止される便器排水路の吸気装置を提供する。 　ｔ１の時点において、主弁Ｖ１が開弁操作されると、制御手段が開閉弁Ｖ２を開弁し、配管１２から洗浄水がエゼクタ５０に供給される。エゼクタ５０内に水が流れることにより、エゼクタ５０が、負圧タンク３０内の空気を吸気する。エゼクタ５０の流出口から流出するエゼクタ吐出水は水槽２０内に導入され、水槽２０内においてエゼクタ吐出水から空気が分離される。分離された空気は、通気口２２から水槽２０の外に排気される。空気が分離された水は配管１４を介してリム３に供給される。このため、水がリム３から便鉢２に流出されるときに、気泡の破裂音などに起因する異音が発生することが防止ないし抑制される。

Description

明 細 書

便器排水路の吸気装置

技術分野

[0001] 本発明は、便器排水路の吸気装置に関する。

背景技術

[0002] 従来、便器本体の便鉢の下部及びそれに連なる上昇管路により水封部が形成され 、水封部の下流側に連なる便器排水路の空気を吸気する便器排水路の吸気装置が 提案されている (特許文献 1)。特許文献 1記載の一例の便器排水路の吸気装置は、 便器本体のリムに吐水するための給水管の途中に設けたェゼクタ (ejector) (特許文 献 1では、「ァスビレータ（aspirator)」と称している。）と、ェゼクタの下流側の給水管に 設けられた切換弁とを備えている。ェゼクタによって便器排水路力 吸気された空気 は、ェゼクタから吐出される吐出水と共に便器本体のリムへ放出される。

[0003] 特許文献 1 :特開平 10— 96255号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0004] しかし、上記特許文献 1記載の便器排水路の吸気装置は、便器排水路から吸気さ れた空気が混入された吐出水をリムへ放出している。このため、ェゼクタの吐出水が リム力 便鉢内へ放出されるときに、気泡の破裂音などの異音が発生する。

[0005] 本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、異音の発生が防止さ れる便器排水路の吸気装置を提供することを解決すべき課題としている。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明の便器排水路の吸気装置は、便器本体の水封部の下流側に連なる便器排 水路力 空気を吸気する吸気手段を備えた便器排水路の吸気装置において、 前記吸気手段は、洗浄水が通水されることにより負圧を生じるェゼクタと、 該ェゼクタで生じた負圧を前記便器排水路に伝達する吸気管と、

該ェゼクタから吐出される吐出水を前記便器本体に流出する水路と、

該水路に接続され、該吐出水から空気を分離して該水路外へ排出する空気分離 手段とを有することを特徴とする。

[0007] 本発明の便器排水路の吸気装置では、ェゼクタの吐出水は、空気分離手段によつ て空気が分離されてから便器本体に流出する。このため、ェゼクタの吐出水が便器 本体に流出するときに異音 (例えば、気泡の破裂音など）が発生することが防止ない し抑制される。

[0008] したがって、本発明の便器排水路の吸気装置は、異音の発生を防止することがで きる。

[0009] 空気分離手段は、吐出水が導入され、空気の流入及び流出用の通気口が形成さ れた水槽を有することが好ましい。こうであれば、水槽内で吐出水から空気を確実に 分離することができる。

[0010] 空気分離手段は、水槽内の吐出水が通気ロカ 流出することを阻止する開閉手段 を有することが好ましい。こうであれば、水槽内の吐出水が通気ロカ 溢出することを 阻止することができる。

[0011] 開閉手段は、水槽の水位の上昇とともに浮上して通気口を閉止し、水槽の水位が 低下して水槽内の空気圧力が所定以下まで低下すると下降して通気口を開放する 浮子を有するフロート弁であることが好ましい。このようにすれば、ェゼクタの作動に 伴って水槽内に吐出水が流入すると、吐出水中から空気が離脱し、通気口を経て大 気へ排出される。水槽内の水位上昇に伴って浮子が通気口を閉止すると、その後は 水槽内の上部に、吐出水中から離脱した空気が溜まってくる。この空気は水道水圧 によって加圧される。

[0012] ェゼクタ力 の吐出水の流入が停止した後、水槽に蓄圧された空気によって、水槽 内に残留していた吐出水が便器本体へ速やかに流出する。この吐出水がリムへ放出 されるときには、リムに供給される洗浄水に水槽からの吐出水が追加されることになり 、洗浄水の供給量を増加させることができる。この洗浄水の供給量の増加は、通常は 、便器洗浄行程の後期に行なう。この便器洗浄行程の後期にリムへの洗浄水の供給 量が増加すると、便鉢内の浮遊物が便器排水路へ排出され易くなると共に、サイホン のブレーク (破封）が遅延され、便器洗浄が十分に行われるようになる。

[0013] また、開閉手段は、ェゼクタへの通水及び通水停止に応じて開閉制御される開閉 弁であってもよい。この場合、ェゼクタへの通水及び通水停止を制御することにより、 水槽内から便器本体に供給される水量を増カロさせるタイミングを制御することができ る。

[0014] 即ち、例えば、ェゼクタが作動開始して力 所定の間は開閉弁を開としておく。この 間、ェゼクタの吐出水は、水槽を通過するときに空気が分離されると共に、水槽内の 水位を徐々に上昇させる。

[0015] また、ェゼクタの作動開始後、所定時間が経過して水槽内の水位が十分に高くな つた時点で開閉弁を閉とする。これにより、通気口を経て水槽から吐出水が溢出する ことが防止される。その後、ェゼクタの吐出水力 分離された空気が水槽内に徐々に 溜まる。この空気は水道水圧によって加圧状態となっている。ェゼクタへの通水が停 止した後、この加圧空気によって水槽内の吐出水が便器本体へ速やかに流出する。

[0016] 上記のフロート弁の場合と同じぐこの水がリムに供給される場合、便器洗浄行程後 期において洗浄水の供給量を増加させ、便器本体を十分に洗浄することが可能とな る。

図面の簡単な説明

[0017] [図 1]実施例の便器排水路の吸気装置を備えた洋風便器設備が非洗浄時にあるとき の作動状態を示す模式図である。

[図 2]第 1図の洋風便器設備が便鉢洗浄'負圧蓄圧行程にあるときの作動状態を示 す模式図である。

[図 3]第 1図の洋風便器設備が吸気行程にあるときの作動状態を示す模式図である。

[図 4]第 1図の洋風便器設備が洗浄水増加行程初期にあるときの作動状態を示す模 式図である。

[図 5]第 1図の洋風便器設備が洗浄水増加行程中期にあるときの作動状態を示す模 式図である。

[図 6]第 1図の洋風便器設備が覆水行程にあるときの作動状態を示す模式図である。

[図 7]第 1〜6図の洋風便器設備の作動を説明するタイミングチャートである。

[図 8]空気分離手段の他の実施例を示す要部概略図である。

[図 9]実施例の便器排水路の吸気装置を備えた便器本体の縦断面図である。 圆 10]実施例の便器排水路の吸気装置を備えた便器本体の平面図である。

[図 11]図 10の A— A線に沿う断面図である。

圆 12]実施例の便器排水路の吸気装置を備えた便器本体の要部断面図である。

[図 13]実施例の便器排水路の吸気装置を備えた便器本体の縦断面図を示し、図（a )はサイホン排出行程の初期状態を示し、図（b)はサイホン排出行程の終期状態を 示す。

符号の説明

1·· '便器本体

2·· -便鉢

3·· 'リム

4·· -水封部

5·· •便器排水路

6·· -滞留部

7·· -排水口

10· …給水配管

20· …水槽

22· '··通 口

23- …浮子

30- "負圧タンク

40- …作動タンク

41- …第 1室

42- …第 2室

43- …隔膜

44· ··連通路

50· ··ェゼクタ

60· ··ロータンク

70· ··吸気装置

80· ··低勾配部 90· ··排水ソケッ卜

発明を実施するための最良の形態

[0019] 以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。

[0020] 第 1〜6図は実施例に係る便器排水路の吸気装置を備えた洋風便器設備がそれ ぞれ順に、非洗浄時、便鉢洗浄，負圧蓄圧行程、吸気行程、洗浄水増加行程初期、 洗浄水増加行程中期及び覆水行程にあるときの作動状態を示す模式図である。第 7 図は第 1〜6図の洋風便器設備の作動を説明するタイミングチャートである。

[0021] 陶器製の便器本体 1における便鉢 2の上部内周にリム 3が設けられている。便鉢 2 は、水封部 4、便器排水路 5及び滞留部 6を介して排水口 7と連通している。この便器 排水路 5は、水封部の最高位部 4aから、下方に立ち下がって滞留部 6に連なってい る。排水口 7は排水管に接続される。

[0022] この滞留部 6は、便器排水路 5の管壁下部の最低位部 6bの下側を回り込み、次い で溢出用の最高位部 6aに到る U字状流路よりなる。この滞留部 6の最高位部 6aの高 さは、最低位部 6bよりも若干高位となっている。

[0023] ただし、最低位部 6bは、最高位部 6aよりも若干高位とされてもょ 、。この場合、滞 留部 6内に洗浄水が溜まっても、水面の高さは最低位部 6bより低位となっている。し かし、便器排水路 5に後述の通り負圧がかけられ、滞留部 6内に多量の洗浄水が流 れ込むと、滞留部 6内の水位が最低位部 6bよりも上昇し、滞留部 6が封水される。こ れにより、便器排水路 5内と排水口 7側とが封隔される。

[0024] 上記リム 3に対し、主弁 VIを備えた給水配管 10が接続されている。なお、この便器 本体 1は、便鉢 2の後方側力 リム 3の右側又は左側にのみ洗浄水が供給される片回 り給水方式となっている。このため、給水配管 10よりリム 3に向って洗浄水が供給され ると、便鉢 2内に右回り又は左回りの旋回流が形成される。

[0025] この給水配管 10のうち主弁 VIよりも下流側から、配管 11, 12が分岐している。配 管 11の先端にはバキュームブレーカ 1 laが設けられて 、る。

[0026] 配管 12は、開閉弁 V2を備えている。この配管 12は、ェゼクタ 50の流入口に接続さ れている。ェゼクタ 50の吐出口は、配管 13を介して水槽 20の下部に接続されている [0027] この水槽 20は天板 20a及び底板 20bを有する略円筒形となっている。この天板 20 aの一部は上方に突起して凸部 21となっており、該凸部 21内の空間に浮子 23が収 容されている。また、この浮子 23が水槽 20の下側に落下するのを防止するため、こ の凸部 21内の空間の下側に金網や平板等よりなるストッパ 24が設けられている。こ の凸部 21の上面に通気口 22力 S設けられて 、る。

[0028] この水槽 20の下部に配管 14の一端側が接続されている。この配管 14は、水槽 20 の通気口 22よりも高位まで立ち上げられており、その他端側が上記リム 3に接続され ている。

[0029] なお、これら配管 13、 14は、略円筒形の水槽 20の接線方向に接続されている。

[0030] ェゼクタ 50のスロート部に設けられた吸気口は、逆止弁 V3を備えた吸気配管 51を 介して負圧タンク 30に接続されて 、る。

[0031] 逆止弁 V3は、空気が吸気配管 51からェゼクタ 50へ流れることを許容し、これと反 対方向へ空気が流れることを阻止するものである。

[0032] 負圧タンク 30は、作動弁 V4を備えた配管 31を介して、作動タンク 40の上部に接続 されている。この作動タンク 40内は可動仕切体としての隔膜 43によって上側の第 1 室 41と下側の第 2室 42とに区画されている。配管 31は第 1室 41に接続されている。 また、作動タンク 40の第 1室 41には、大気開放弁 V5を備えた配管 32が接続されて いる。配管 32は大気に開放している。作動タンク 40の第 2室 42と便器排水路 5の上 端部とが連通路 44を介して連通して 、る。

[0033] 主弁 VI、開閉弁 V2、作動弁 V4及び大気開放弁 V5は開閉弁であり、この洋風便 器設備には、各弁 VI、 V2、 V4及び V5の開閉のタイミングを制御する制御手段（図 示略）が設けられている。この制御手段としては特に限定はなぐ例えば電気信号に よって各弁を開閉させるものであってもよぐ機械的に各弁を開閉させるものであって もよい。機械的に各弁を開閉させる場合、例えば、給水配管 10に水車を設け、水車 の回転を歯車列を介して複数のカムを備えた軸に伝え、各カムの回転によりカム駆 動式の各弁を開閉させるようにしてもょ 、。

[0034] 図示は省略する力 これら水槽 20、負圧タンク 30、作動タンク 40、制御手段等は 便器本体 1の後部に設けられたユニットケース内に収納されている。 [0035] このように構成された洋風便器設備の作動について次に説明する。

[0036] [非洗浄時 (第 1図) ]

第 7図において、 tl時点よりも前の非洗浄時には、主弁 VI、開閉弁 V2、作動弁 V

4及び大気開放弁 V5は閉弁して!/、る。

[0037] この状態では、作動タンク 40内の隔膜 41は作動タンク 40内の底面に当接している

。また、水槽 20内の浮子 23はストッパ 24に支持され、通気口 22は開放している。

[0038] [便鉢洗浄 ·負圧蓄圧行程 (第 2図) ]

用便後、第 7図の tlの時点において、便器使用者によって主弁 VIが開弁操作され る。このとき、制御手段によって、開閉弁 V2が開弁される。

[0039] 主弁 VIが開弁すると、給水配管 10から洗浄水がリム 3に供給され、便鉢 2の内面 に沿って旋回しながら流れ落ち、便鉢 2内に旋回流が形成される。この旋回流によつ て固形排泄物が便鉢の中央に集められると共にペーパーがほぐれて洗浄水となじみ

、洗浄水中に分散するようになる。このため、後にサイホン排出流が形成されると、排 泄物及びペーパーがスムーズに排出される。

[0040] また、開閉弁 V2が開弁すると、給水配管 10内を流れる洗浄水の一部が配管 12を 通ってェゼクタ 50に供給される。このェゼクタ 50内に洗浄水が流れることにより、ェ ゼクタ 50が負圧タンク 30内の空気を吸気配管 51及び逆止弁 V3を介して吸気する。 これにより、負圧タンク 30内に負圧が徐々に蓄積される。

[0041] 配管 12からの洗浄水と負圧タンク 30から吸気された空気とは、ェゼクタ 50内で混 合され、ェゼクタ 50の吐出水としてェゼクタ 50の吐出口から吐出する。このェゼクタ 5

0の吐出水は、配管 13を介して水槽 20内に導入される。

[0042] 水槽 20内において、このェゼクタ 50の吐出水中の空気は、浮上して吐出水中から 離脱することにより、ェゼクタ 50の吐出水中から分離される。ここで、配管 13は、略円 筒形の水槽 20の接線方向に接続されている。このため、吐出水は配管 13から水槽 2

0内に乱れることなくスムーズに流入することになり、水槽 20内において空気が吐出 水中から効率よく分離される。

[0043] 分離された空気は、通気口 22から水槽 20の外に排気される。なお、水槽 20の上 流側からの水道水圧により、水槽 20内の水位は徐々に上昇する。 [0044] このようにして空気が分離された吐出水は、配管 14及びリム 3を介して便鉢 2に供 給される。このため、吐出水が便鉢 2に流出するときに、気泡の破裂音などに起因す る異音が発生することが防止ないし抑制される。

[0045] このように、給水配管 10及び配管 14からの洗浄水によって、便鉢 2が洗浄される。

[0046] なお、この配管 14も水槽 20の接線方向に接続されている。このため、吐出水は水 槽 20から配管 14内に乱れることなくスムーズに流れることになる。

[0047] [吸気行程 (第 3図）]

t2の時点において、制御手段によって作動弁 V4が開弁される。これにより、負圧タ ンク 30内の負圧が配管 31及び作動弁 V4を介して作動タンク 40の第 1室 41に伝達 され、第 1室 41内が減圧される。この第 1室 41内の減圧により作動タンク 40内の隔膜 43が引き上げられ、第 3図の通り隔膜 43が移動して作動タンク 40の天井面に当接 する。

[0048] 隔膜 43が移動することにより、便器排水路 5内の空気が連通路 44を介して作動タ ンク 40の第 2室 42内に吸気され、便器排水路 5内を負圧にする。このとき、便鉢 2内 の水位は給水配管 10からの給水によって十分に高くなつており、水封部の最高位部 4aとの間の水頭差が十分に大きなものとなっている。このため、便鉢 2内の汚水は、 この水頭差と便器排水路 5内の負圧との重畳した付勢力により水封部 4から便器排 水路 5へ勢いよく排出され、水封部 4及び便器排水路 5内に強力なサイホン排出流が 形成される。

[0049] このサイホン排出流の形成により便鉢 2内の洗浄水が勢いよく流れると、便鉢 2内の 水位が低下し、水封部 4の入口の高さに近づく。このため、ペーパー等の水に浮く軽 量物が水封部 4の入口から容易に排出される。

[0050] このように、本実施例では、負圧タンク 30内に十分に蓄積された負圧を用いて便器 排水路 5内を負圧にする。このため、作動弁 V4を開弁すると、急激に便器排水路 5 内が負圧になり、便鉢 2から水封部 4へ洗浄水が勢い良く流れ込むようになり、効率よ くサイホン排出流が形成される。

[0051] 本実施例では、作動タンク 40内が隔膜 43によって第 1室 41と第 2室 42とに区画さ れ、第 2室 42のみが便器排水路 5と連通している。このため、便器排水路 5の汚水や 臭気を含んだ空気などが負圧タンク 30ゃェゼクタ 50側へ入り込むことが防止される

[0052] 本実施例では、隔膜 43が作動タンク 40の底面と当接する位置力 作動タンク 40の 天井面に当接する位置に移動することにより、作動タンク 40の容積に相当する一定 量の空気が便器排水路 5から吸気される。従って、作動タンク 40の容積を適切に選 定することにより、便器排水路 5から適量の空気を過不足なく吸気することができる。

[0053] なお、便鉢 2や水封部 4、便器排水路 5の容積などに応じて作動タンク 40の内容積 を選定することにより、便器排水路 5から第 2室 42へ吸気される空気量を適切な量に することができる。

[0054] また、負圧タンク 30の容積や作動弁 V4の開口径、開度、配管 31の管径などを調 整することにより、便器排水路 5内の空気の吸気速度を調整することができる。例えば 、負圧タンク 30の容積が大きぐ大容量の負圧を蓄えることができる場合にあっては、 負圧タンク 30内の負圧により隔膜 43は急激に引き上げられることになり、便器排水 路 5内からの空気の吸気速度が速くなる。作動弁 V4の開度を大きくした場合も同様 である。一方、負圧タンク 30の容積を小さくしたり、作動弁 V4の開度を小さくしたりし た場合にあっては、便器排水路 5内からの空気の吸気速度が遅くなる。

[0055] なお、本行程においても、水槽 20の上流側の水道水圧のために、水槽 20内の水 位は上昇を続ける。

[0056] [洗浄水増加行程 (第 4, 5図）]

第 4図の通り、便鉢 2の水位が水封部 4の入口の高さ近傍にまで低下した t3の時点 において、水槽 20内が満水となる。このとき、浮子 23が浮上して通気口 22を閉止す る（第 4図）。この通気口 22が閉止されると、水槽 20から流出する水量は、通気口 22 が開放しているときよりも増加する。

[0057] 即ち、通気口 22が開放している状態にあっては（第 3図）、水槽 20内の上部は、通 気口 22を介して大気と連通しているため大気圧となっている。一方、水槽 20内の吐 出水は、上流側の水道水圧によって加圧状態となっている。このため、水槽 20内の 水位は徐々に上昇することになり、この水位上昇に伴い、水槽 20上部の空気は通気 口 22から流出する。ここで、水槽 20内の水位が上昇するということは、水槽 20に流 入した吐出水の一部が水槽 20内に溜まり、残部のみが配管 14を通ってリム 3に供給 されるということである。このように、水槽 20から流出する水量は、水槽 20に流入する 水量よりも少なくなる。

[0058] これに対して、通気口 22が閉止される場合にあっては（第 4図）、ェゼクタ 50の吐出 水が水槽 20内に流入すると、ェゼクタ 50の吐出水中の空気は、浮上して水中力 離 脱し、水槽 20の上部に溜まる。空気が溜まるに従って水槽 20の水面は下方に押圧 され、溜まった空気と同体積の吐出水が水槽 20から流出する。このため、水槽 20内 に流入する水量よりも、水槽 20内に溜まった空気の分だけ、流出する水量の方が多 くなる。

[0059] このように、水槽 20から流出する水量が増加するため、便鉢 2に供給される水量が 増加する。このため、水封部 4は破封せず、サイホン作動が途切れることなく継続する ようになり、汚物の排出能力が高いものとなる。また、この吐出水によって便鉢 2内に 残留するペーパー等の軽量物が強力に排出される。

[0060] なお、水槽 20内の上部に溜まっている空気は、水道水圧によって加圧されている。

このため、水槽 20内の水位が低下しても、浮子 23は通気口 22に押し付けられ、通 気口 22は浮子 23によって閉止される（第 5図）。

[0061] t3の時点からしばらく経過した t4の時点で、開閉弁 V2が制御手段によって閉弁さ れる。なお、開閉弁 V2を閉とした後も、水槽 20から吐出水が空気圧で押し出されるこ とにより、便鉢 2の洗浄及びサイホンが継続する。開閉弁 V2の閉弁により、水槽 20内 に水道水圧が加わらなくなると共に、水槽 20からリム 3へ吐出水が流出することにより 、水槽 20内の圧力が低下して、浮子 23が通気口 22から離反する。これにより、水槽 20内が大気圧に戻り、水槽 20からリム 3への吐出水の流出も停止する。

[0062] その後、便鉢 2内の水位がさらに低下し、やがてサイホンがブレークする。

[0063] [大気開放 ·覆水行程 (第 6図) ]

t5の時点で、制御手段によって作動弁 V4が閉弁されると共に、大気開放弁 V5が 開弁される。これにより、作動タンク 40内の第 1室 41が大気圧に戻り、この大気圧及 び隔膜 43の自重により隔膜 43が下方に押し下げられて作動タンク 40内の底面に当 接し、第 1図の状態に復帰する。その後、 t6の時点で制御手段によって大気開放弁 V5が閉弁される。

[0064] サイホン作動が停止して力 しばらく経過し、便鉢 2内に水が溜まると、 t7の時点に おいて主弁 VIが閉弁される。これにより非洗浄時の状態に戻り、洗浄が終了する。

[0065] 本実施例は本発明の一例であり、本発明は上記実施例に限定されるものではない 。例えば、上記実施例ではェゼクタ 50及び水槽 20を有する配管 14と配管 10とを並 列に設けて 、るが、主弁 VIの通過水の全量をェゼクタ 50に導くようにしてもょ 、。

[0066] 本発明では、水槽 20からの空気圧による吐出水の流出を覆水に用いるようにしても よい。

[0067] 本発明では、図 8に示すように、浮子 23及びストッパ 24を省略し、通気口 22に開閉 弁 25を設け、該開閉弁 25の開閉のタイミングを制御手段 27によって制御してもよい 。この場合、ェゼクタ 50への通水及び通水停止を行なう開閉弁 V2の開閉に応じて 開閉弁 25を制御することにより、洋風便器設備を上記実施例と同様に作動させること ができる。また、制御手段 27は、主弁 VI、開閉弁 V2、作動弁 V4及び大気開放弁 V 5の開閉のタイミングを制御するものであれば、開閉弁 V2のみでなく主弁 VI、作動 弁 V4及び大気開放弁 V5の開閉に応じて開閉弁 25を制御することが可能になる。

[0068] 上記実施例において、作動タンク 40を省略し、配管 31の先端を便器排水路 5に接 続するようにしてちょい。

[0069] また、作動タンク 40及び負圧タンク 30を省略し、配管 51の先端を便器排水路 5〖こ 接続するようにしてもよい。なお、これらの場合、水槽 20の通気口 22と、便器排水路 5又はその下流側とを空気戻し配管によって接続することが好ましい。このようにする と、便器排水路 5内の臭気を帯びた空気は、ェゼクタ 50及び配管 13を介して水槽 2 0内に導入された後、通気口 22から空気戻し配管を介して便器排水路 5又はその下 流側に戻される。このため、トイレルーム内に臭気力 S排気されることが無ぐ衛生的で ある。水槽 20は密閉式である力 非密閉式としてもよい。

[0070] 次に、本発明の便器排水路の吸気装置を組み込むのに適した便器本体について 第 9図〜第 13図を参照して詳細に説明する。

[0071] 便器本体 1は、底部に上向きかつ略水平な流出口 2aを有した便鉢 2、流出口 2aに 連なる水封部 4及び便器排水路 5を有している。水封部 4は、流出口 2aの下方力 便 器本体 1の後部上方に向けて立ち上がる立上部 4bを有している。便器排水路 5は、 水封部 4の立上部 4bの上端から下方に延在する立下部 5aを有している。第 9図にお V、て、水封部 4の立上部 4bと便器排水路 5の立下部 5aとの境界の最下部が頂端 4a となっている。該頂端 4aの高さまで便鉢 2内に洗浄水が溜まったときにおける便鉢 2 の水面が溜水面 81である。

[0072] 便鉢 2の上端に、便鉢 2内方に張り出したリム 3が周設されて 、る。リム 3の便鉢 2の 後部右側に吐水口 82が設けられている。この吐水口 82はリム 3の長手方向に向って 開口している。リム 3は、上面 3a及び内周面 3bにて構成されている力 上面 3aのみ で構成されてもよい。

[0073] 便器本体 1の上部後端はロータンク 60を載置するためのロータンク載置部 lrとなつ ている。ロータンク載置部 lrに載置されたロータンク 60とリム 3とは、図示しないディス トリビュータを介して接続されている。このディストリビュータは、リム 3に片回り方向に 水を供給するよう構成されている。ロータンク 60内に吸気装置 70が設けられ、吸気 装置 70の底部と便器排水路 5とが連通路 44によって接続されている。なお、ロータン ク 60を省略して、給水管カゝら直接、洗浄水をリム 3に供給する水道水直結式の便器 本体にしてもよい。この場合、吸気装置は便器本体の上部後端等に載置される。

[0074] 第 12図を参照して、流出口 2a周囲の低勾配部 80について説明する。

[0075] 4tは、水封部 4の立上部 4b側の便鉢 2の内面の最下端部であり、便鉢 2内の水は この最下端部 4t付近を回り込んで立上部 4bに流れる。

[0076] Sは、この最下端部 4tを含む水平面である。

[0077] fは、この水平面 Sと流出口 2aの内面との交点から立てた鉛直線である。

[0078] 80aは、低勾配部 80の外周縁であり、この外周縁 80aよりも外側では便鉢内面の勾 配は 20° を超えている。

[0079] 80bは、低勾配部 80の内周縁であり、これよりも外周側では便鉢内面の勾配が 20

° 以下である。内周縁 80bよりも流出口中心側では、勾配が 20° を超えている。

[0080] 低勾配部 80は、内周縁 80bから外周縁 80aまでの範囲である。

[0081] Lは内周縁 80bから外周縁 80aまでの水平距離であり、 L1は鉛直線 f力も外周縁 8

Oaまでの水平距離であり、 L2は鉛直線 fから内周縁 80bまでの水平距離である。 [0082] この Lは 20〜120mm特に 50〜100mmとりわけ 50〜80mmであることが好ましい 。 Lを 20mm以上とすることにより、便鉢 2内の洗浄水が水封部 4内に急激に流入して 空気が水封部 4に吸い込まれることが防止され、サイホンが長時間にわたって «I続し 、汚物排出能力が向上する。 Lを 120mm以下とすることにより、便鉢 2内の汚物がス ムーズに流出口 2aへ流れ込むようになる。

[0083] L1は 20〜140mm特に 60〜90mmであることが好ましい。

[0084] L2は 0〜20mm特に 5〜： LOmmであることが好ましい。

[0085] なお、この低勾配部 80は、その全体が溜水面 81よりも下位に位置することが望まし い。

[0086] この低勾配部 80の勾配は好ましくは 10〜15° である。 15° 以上であると低勾配 部 80に汚物が残留することが防止され、 10° 以下であると水封部 4が急激に破封す ることがより確実に防止される。

[0087] 該流出口 2aは略円形となっている。また、溜水面 81がリム 3の略中央に位置し、流 出口 2aが溜水面 81の略中央に位置している。

[0088] なお、略円形とは、流出口 2aの便器本体 1の前後方向の径 (縦径）と便器本体 1の 左右方向の径 (横径）との比（縦径 Z横径）が好ましくは 0. 85〜： L 25特に 0. 9〜1.

2とりわけ 0. 95〜： L 1であることを意味する。

[0089] このように構成された便器本体 1は、トイレルームの床面に固定され、便器排水路 5 の下流端が排水ソケット 90を介して、図示しない床面内の排水管の端部に接続され る。

[0090] この便器本体 1の便器洗浄時の状態につ!ヽて第 13図（a) , (b)を参照して説明す る。第 13図（a)は吸気装置 70により便器排水路 5の空気を吸気してサイホン排出流 を形成する行程の初期における状態を示す縦断面図、第 13図 (b)はサイホン排出 流を形成する行程の終期における状態を示す縦断面図である。

[0091] 第 9図の状態において、フラッシュハンドルやフラッシュスィッチが操作されると、口 一タンク 60内の洗浄水がリム 3に供給開始される。洗浄水は、リム 3を周回方向に流 れながら、徐々に便鉢 2内に流れ落ち、便鉢 2の内面を旋回しながら流下する。これ に伴って、便鉢 2内の水位及び水封部 4内の水位が上昇して水封部 4の立上部 4bや 便器排水路 5の立下部 5aに溢流が開始する。

[0092] また、便器排水路 5内の空気が連通路 44を介して吸気装置 70内に吸気され、便器 排水路 5内に負圧が形成される。これにより便器排水路 5にサイホンが形成され、第 1 3図（a)の通り、洗浄水が便器排水路 5へ吸い出されるようにして排出され、便鉢 2内 の水位が低下し始める。

[0093] 第 13図（a)において、便鉢 2内の水面は低勾配部 80より上方に位置している。ここ で、便鉢 2の前後方向及び左右方向において、リム 3から水面までの距離はほぼ等し ぐかつ水面から流出口 2aまでの距離もほぼ等しいため、溜水が偏って吸引されるこ と力 Sなく、汚物とりわけ浮遊性の汚物 bがスムーズに排出される。

[0094] 第 13図（b)の通り、サイホン排出行程の終期には、便鉢 2内の水面は流出口 2aの 近傍まで低下する。このとき、リム 3から供給された洗浄水は、便鉢 2の内面上部の急 勾配に沿って流下する力 低勾配部 80において洗浄水の流れ方向が水平方向側 に変化させられる。これにより、洗浄水が一気に流出口 2aから水封部 4内に流れ込ん で便鉢 2内の水位が急激に低下することが防止される。このため、水封部 4内が一気 に破封することがなくなり、サイホン現象が長期にわたって継続し、汚物が十分に排 出される。また、サイホンの終了時に吸い込まれる空気量も少ないので、破封音も小 さい。

[0095] また、流出口 2aは略円形であるため、破封時まで流出口 2aの付近に強力な旋回 流が形成され、便鉢 2内の汚物が十分に排出される。

[0096] 便器本体 1は、ロータンク 60内の洗浄水をリム 3に供給するものに限定されない。例 えば、ロータンク 60を省略し、給水管カゝらリム 3に直接洗浄水を供給する水道水直結 式のちのとしてちよい。

産業上の利用可能性

[0097] 本発明は、水洗式便器に利用可能である。

Claims

請求の範囲

[1] 便器本体の水封部の下流側に連なる便器排水路から空気を吸気する吸気手段を 備えた便器排水路の吸気装置において、

前記吸気手段は、洗浄水が通水されることにより負圧を生じるェゼクタと、 該ェゼクタで生じた負圧を前記便器排水路に伝達する吸気管と、

該ェゼクタから吐出される吐出水を前記便器本体に流出する水路と、

該水路に接続され、該吐出水から空気を分離して該水路外へ排出する空気分離 手段とを有することを特徴とする便器排水路の吸気装置。

[2] 前記空気分離手段は、前記吐出水が導入され、空気の流入及び流出用の通気口 が形成された水槽を有する請求項 1記載の便器排水路の吸気装置。

[3] 前記空気分離手段は、前記水槽内の前記吐出水が前記通気口から流出すること を阻止する開閉手段を有する請求項 2記載の便器排水路の吸気装置。

[4] 前記開閉手段は、前記水槽の水位の上昇とともに浮上して前記通気口を閉止し、 該水槽の水位が低下して該水槽内の空気圧力が所定以下まで低下すると下降して 該通気口を開放する浮子を有するフロート弁である請求項 3記載の便器排水路の吸 気装置。

[5] 前記開閉手段は、前記ェゼクタへの通水及び通水停止に応じて開閉制御される開 閉弁である請求項 3記載の便器排水路の吸気装置。