明 細 書
エレベータのかご 技術分野
[0001] この発明は、昇降路内を昇降されるエレベータのかごに関するものである。
背景技術
[0002] 従来、かご床に作用する偏荷重を支持するために、かご床が載せられた下枠に支 え部材を固定したエレベータのかごが提案されている。支え部材は、下枠の長手中 間の両側にそれぞれ設けられている。また、支え部材の一端部は、かご床の下枠か ら離れた部分に固定され、支え部材の他端部は、下枠に固定されている(特許文献 1 参照)。
[0003] 特許文献 1:特開 2000 - 191255号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] しかし、かご床が受けた偏荷重の大部分は、支え部材及び下枠を介して、曲げの 力となってかご枠の側枠に集中してしまうので、側枠の強化を図る必要がある。従つ て、側枠が大形ィ匕してしまう。
[0005] この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、力ご床が受け る偏荷重を簡単な構成で容易に支持することができるエレベータの力ごを得ることを 目的とする。
課題を解決するための手段
[0006] この発明によるエレベータのかごは、水平に延びる下枠と、下枠の上方に配置され た上枠と、上下方向へ延び、下枠及び上枠のそれぞれの端部を互いに連結する一 対の縦枠とを有するかご枠、各縦枠間に配置され、下枠上に載せられたかご床、各 縦枠を含む平面を挟むように配置され、かつ力ご床の縁部に下端部が固定され、上 下方向へ延びる一対の縦柱、各縦枠及び各縦柱のそれぞれの上端部間に固定され た複数の横部材、下枠を挟んだ状態で下枠の中間部にそれぞれ設けられ、かつ下 枠の長さ方向と交差する交差方向に沿ってそれぞれ配置された一対の支持体を有
し、かご床の荷重を受けるための支え装置、一方の縦枠と一方の縦柱との間、及び 他方の縦枠と他方の縦柱との間の少なくともいずれか一方に配置され、縦枠に一端 部が接続され、力ご床の縁部に他端部が接続された第 1斜め部材、及び一方の縦枠 と一方の縦柱との間、及び他方の縦枠と他方の縦柱との間の少なくともいずれか一 方に配置され、縦枠に一端部が接続され、横部材に他端部が接続された第 2斜め部 材を備えている。
図面の簡単な説明
[図 1]この発明の実施の形態 1によるエレベータのかごを示す斜視図である。
圆 2]図 1の力ご床及び支え装置を示す断面図である。
[図 3]この発明の実施の形態 2によるエレベータのかごに設けられたかご床、支え装 置及びかご床水平調整装置を示す断面図である。
圆 4]図 3の力ご床水平調整装置を示す分解斜視図である。
圆 5]図 3の力ご床水平調整装置を示す拡大図である。
圆 6]図 5の円筒部を反時計回りに回転させたときのかご床水平調整装置を示す拡大 図である。
圆 7]図 5の円筒部を時計回りに回転させたときのかご床水平調整装置を示す拡大図 である。
[図 8]この発明の実施の形態 3によるエレベータのかごに設けられたかご床、支え装 置及びかご床水平調整装置を示す断面図である。
圆 9]図 8の力ご床水平調整装置を示す分解斜視図である。
圆 10]図 8の力ご床水平調整装置を示す拡大図である。
圆 11]図 10の円筒部を反時計回りに回転させたときのかご床水平調整装置を示す 拡大図である。
圆 12]図 10の円筒部を時計回りに回転させたときのかご床水平調整装置を示す拡 大図である。
[図 13]この発明の実施の形態 4によるエレベータのかごを示す斜視図である。
[図 14]この発明の実施の形態 5によるエレベータのかごに設けられた支え装置を示 す正面図である。
[図 15]図 14の支え装置を示す側面図である。
[図 16]図 14のピンとブロックとの間隔が広がる方向へブロックを変位させたときの支え 装置を示す正面図である。
[図 17]この発明の実施の形態 6によるエレベータのかごを示す斜視図である。
[図 18]この発明の実施の形態 7によるエレベータのかごを示す斜視図である。
[図 19]この発明の実施の形態 8によるエレベータのかごを示す斜視図である。
発明を実施するための最良の形態
[0008] 以下、この発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態 1.
図 1はこの発明の実施の形態 1によるエレベータのかごを示す斜視図である。なお 、図 1は、斜め下方から見たときのかごを示す斜視図である。図において、昇降路 1 内には、図示しない複数本の主索により、エレベータのかご 2が吊り下げられている。 各主索は、昇降路 1内に設けられた卷上機(図示せず)の駆動力により移動される。 力ご 2は、各主索の移動により、昇降路 1内に設置された一対のかごガイドレール 3に 沿って昇降路 1内を昇降される。
[0009] 力ご 2は、力ご枠 4と、力ご枠 4内に配置されたかご室 5とを有している。かご枠 4は、 水平に延びる下枠 6と、下枠 6の上方に配置された上枠 7と、上下方向へ延び、下枠 6及び上枠 7のそれぞれの端部を互いに連結する一対の縦枠 8, 9とを有して 、る。 下枠 6及び上枠 7のそれぞれの両端部には、各かごガイドレール 3に案内される複数 のガイドシユー 10が設けられている。なお、各主索は、上枠 7に接続されている。
[0010] かご室 5は、下枠 6上に載せられたかご床 11と、かご床 11上に設けられたかご室本 体 12とを有している。かご室本体 12には、図示しないかご出入口が設けられている。
[0011] かご床 11は、各縦枠 8, 9間に水平に配置されている。この例では、かご床 11は、 矩形状の板状部材とされている。従って、かご床 11の縁部は、互いに平行な一対の 縦方向縁部と、各縦方向縁部に垂直で、互いに平行な一対の横方向縁部とから構 成されている。また、かご床 11は、各縦方向縁部がかご室 5の幅方向(かご出入口の 間口方向、図 1の左右方向)に対して垂直になり、各横方向縁部がかご室 5の奥行き 方向に対して垂直になるように、配置されている。なお、この例では、かご床 11の 4つ
の角部のうち、互いに対角の位置にある 2つの角部が第 1の角部とされ、残りの 2つの 角部が第 2の角部とされている。
[0012] 縦枠 8は一方の縦方向縁部に対向し、縦枠 9は他方の縦方向縁部に対向している 。また、各縦枠 8, 9は、それぞれの第 1の角部から、かご室 5の奥行き寸法の 1Z4以 下の寸法だけ、力ご室 5の奥行き方向内側へずれた位置に配置されている。従って、 下枠 6は、かご室 5の幅方向に対してかご室 5の奥行き方向へ傾斜されている。また、 各縦枠 8, 9を含む平面は、かご出入口を含む平面に対して傾斜されている。
[0013] かご床 11の縁部には、上下方向へ延びる一対の縦柱 13, 14の下端部が固定され ている。各縦柱 13, 14は、各縦枠 8, 9を含む平面を挟むように配置されている。この 例では、各縦柱 13, 14は、各第 2の角部における縦方向縁部にそれぞれ固定され ている。
[0014] 各縦枠 8, 9及び各縦柱 13, 14のそれぞれの上端部間には、かご室 5の奥行き方 向へ延びる一対の奥行き方向横部材 15と、かご室 5の幅方向へ延びる一対の幅方 向横部材 16とがそれぞれ固定されている。
[0015] 一方の縦枠 8と一方の縦柱 13との間には、縦枠 8に一端部が接続され、かご床 11 の縦方向縁部に他端部が接続された第 1の斜め部材 17と、縦枠 8に一端部が接続さ れ、一方の奥行き方向横部材 15に他端部が接続された第 2の斜め部材 18とが配置 されている。
[0016] 第 1の斜め部材 17の一端部は、縦枠 8の上部に接続されている。第 2の斜め部材 1 8の一端部は、縦枠 8の下部に接続されている。即ち、第 2の斜め部材 18の一端部 は、第 1の斜め部材 17の一端部よりも下方に位置している。また、第 1の斜め部材 17 の他端部は、縦方向縁部の縦枠 8よりも縦柱 13に近い部分に接続されている。第 2 の斜め部材 18の他端部は、一方の奥行き方向横部材 15の縦枠 8よりも縦柱 13に近 い部分に接続されている。
[0017] 他方の縦枠 9と他方の縦柱 14との間には、縦枠 9に一端部が接続され、かご床 11 の縦方向縁部に他端部が接続された第 1の斜め部材 19と、縦枠 9に一端部が接続さ れ、かご床 11の縦方向縁部に他端部が接続された第 2の斜め部材 20とが配置され ている。
[0018] 第 1の斜め部材 19の一端部は、縦枠 9の上部に接続されている。第 2の斜め部材 2 0の一端部は、縦枠 9の下部に接続されている。即ち、第 2の斜め部材 20の一端部 は、第 1の斜め部材 19の一端部よりも下方に位置している。また、第 1の斜め部材 19 の他端部は、縦方向縁部の縦枠 9よりも縦柱 14に近い部分に接続されている。第 2 の斜め部材 20の他端部は、他方の奥行き方向横部材 15の縦枠 9よりも縦柱 14に近 い部分に接続されている。
[0019] 下枠 6の中間部には、かご床 11の荷重を受けるための支え装置 21が設けられてい る。支え装置 21は、下枠 6から下方へ突出する突出部材 22と、下枠 6を挟んだ状態 で下枠 6及び突出部材 22に固定された一対の支え部材 (支持体) 23とを有している
[0020] 各支え部材 23は、下枠 6の長さ方向と交差する方向(交差方向)に沿ってそれぞれ 配置されている。この例では、かご床 11の各第 2の角部と下枠 6の中央部とを結ぶ直 線上に各支え部材 23が配置されて 、る。
[0021] 各支え部材 23の上下方向についての寸法は、第 2の角部側よりも下枠 6側が大きく なっている。即ち、各支え部材 23は、上下方向についての寸法が下枠 6から離れる に従って小さくなるように形成された台形状の板状部材である。
[0022] 各支え部材 23は、上下方向へ互いに間隔を置いて配置された複数のねじ 24によ り下枠 6及び突出部材 22に固定されている。
[0023] 図 2は、図 1のかご床 11及び支え装置 21を示す断面図である。図において、かご 床 11と支え部材 23との間には、かご床 11が水平になるように調整するためのかご床 水平調整装置 25が設けられている。この例では、かご床水平調整装置 25は、支え 部材 23の下枠 6から離れた側の先端部に設けられている。
[0024] かご床水平調整装置 25は、支え部材 23に水平に固定された固定部 26と、固定部 26のねじ穴に螺合され、固定部 26に垂直に通された調整ボルト 27と、調整ボルト 27 の固定部 26に対する位置を固定するための止めナット 28とを有している。
[0025] 調整ボルト 27上には、かご床 11の第 2の角部が載せられている。この例では、調整 ボルト 27は、かご床 11の下面に当接されている。また、調整ボルト 27の固定部 26に 対する上下方向についての位置は、固定部 26のねじ穴に対する調整ボルト 27の螺
合量の調整により、調整可能になっている。従って、固定部 26のねじ穴に対する調 整ボルト 27の螺合量の調整により、力ご床 11の支え部材 23に対する傾きが調整さ れ、かご床 11が水平に調整される。
[0026] また、かご床 11及び支え部材 23には、かご床 11の支え部材 23に対する位置を固 定するための位置固定装置 29が設けられている。位置固定装置 29は、かご床 11の 下面に固定された固定金具 30と、固定金具 30を支え部材 23に締着するための締 着ボルト 31とを有している。
[0027] 固定金具 30は、支え部材 23の側面に沿って配置されている。固定金具 30には、 長穴 32が上下方向に沿って設けられている。固定金具 30は、長穴 32に通された締 着ボルト 31により支え部材 23に締着される。固定金具 30の支え部材 23に対する位 置は、締着ボルト 31の支え部材 23への締着によって固定される。また、固定金具 30 は、締着ボルト 31を緩めることにより、支え部材 23に対して長穴 32に沿って変位可 能となる。
[0028] 次に、かご床 11を水平にするための手順について説明する。まず、締着ボルト 31 及び止めナット 28を緩める。この後、かご床 11が水平になるように調整ボルト 27の螺 合量を調整する。この後、止めナット 28を締め付けて調整ボルト 27の固定部 26に対 する位置を固定する。この後、締着ボルト 31を締め付けて固定金具 30の支え部材 2 3に対する位置を固定する。
[0029] このようなエレベータのかごでは、かご床 11が載せられた下枠 6の中間部に、かご 床 11の荷重を受けるための支え装置 21が設けられているとともに、第 1の斜め部材 1 7が縦枠 8及びかご床 11の縁部に接続され、第 2の斜め部材 18が縦枠 8及び奥行き 方向横部材 15に接続されているので、例えばかご床 11の第 2の角部に荷重が集中 し、かご床 11が偏荷重を受けた場合であっても、偏荷重を分散することができ、各縦 枠 8, 9にかかる曲げ応力を低減することができる。
[0030] 即ち、例えば一方の第 2の角部に荷重が集中して、力ご床 11が偏荷重を受けると、 偏荷重の一部は、偏荷重を受けた第 2の角部に近い側の第 1の斜め部材 17と、かご 床 11の縦方向縁部とがなすトラス構造を介して、一方の縦枠 8に伝達され、残りの偏 荷重の一部は、一方の支え部材 23から、下枠 6、他方の支え部材 23、他方の縦柱 1
4の順に伝達され、他方の奥行き方向横部材 15と、他方の第 2の斜め部材 20とがな すトラス構造を介して、他方の縦枠 9に伝達される。各縦枠 8, 9に伝達された荷重は 、各ガイドシユー 10を介して、各かごガイドレール 3によって支持される。従って、かご 床 11が受けた偏荷重の一部を、トラス構造を介して各縦枠 8, 9に伝達させるようにす ることができ、各縦枠 8, 9に作用する曲げ応力を低減することができる。
[0031] これにより、かご床 11や各縦枠 8, 9、下枠 6を強化する必要がなくなり、材料コスト の増加やかご 2の重量の増加を防止することができる。従って、力ごガイドレール 3や 主索、卷上機等の機器の仕様を標準仕様とすることができ、かご床 11が受ける偏荷 重を簡単な構成で容易に支持することができる。
[0032] また、このような構造によって、かご床 11が偏荷重を受けた場合であっても、かご床 11に発生する曲げや引っ張り力を小さくすることができるので、かご床 11の構造の自 由度を広げることができる。例えば、かご床の構造を防振材が組み込まれた構造とす ることができ、力ご 2内の乗客の乗り心地の低下を防止することができる。この場合、 かご床は、下枠 6に載せられた矩形状の床支持枠と、床支持枠の四隅に配置された 4つの防振材と、各防振材上に載せられた床部材とから構成される。また、支え部材 23、第 1の斜め部材 17及び縦柱 13, 14は、床支持枠に接続される。
[0033] また、各支え部材 23は、上下方向へ間隔を置いて配置された複数のねじ 24により 下枠 6に固定されているので、各支え部材 23の下枠 6に対する上下方向についての 固定強度を大きくすることができる。従って、かご床 11が偏荷重を受けた場合であつ ても、かご床 11の大きな曲げの発生の防止をさらに図ることができる。
[0034] また、各支え部材 23とかご床 11との間には、力ご床 11が水平になるように調整す るためのかご床水平調整装置 25が設けられているので、力ご床 11が何らかの原因 で傾 、た場合であっても、かご床 11を水平に調整することができる。
[0035] また、かご床水平調整装置 25は、かご床 11が載せられた調整ボルト 27を有し、調 整ボルト 27の支え部材 23に対する上下方向についての位置の調整により、力ご床 1 1を水平に調整するようになっているので、力ご床 11を簡単な構成で水平に調整す ることがでさる。
[0036] 実施の形態 2.
図 3は、この発明の実施の形態 2によるエレベータのかご 2に設けられたかご床 11、 支え装置 21及びかご床水平調整装置を示す断面図である。また、図 4は、図 3のか ご床水平調整装置を示す分解斜視図である。図において、力ご床 11と支え部材 23 との間には、力ご床 11を水平に調整するためのかご床水平調整装置 41が設けられ ている。かご床水平調整装置 41は、かご床 11に固定されたかご床固定部材 42と、 かご床固定部材 42を支え部材 23に締着するための調整ボルト 43及び締結ナット 44 とを有している。
[0037] 調整ボルト 43は、支え部材 23に設けられたボルト通し穴 45に通される棒状の通し 部 46と、通し部 46の一端部に設けられた頭部 47と、通し部 46の軸線方向について 頭部 47に隣接し、かつ通し部 46に固定され、通し部 46の軸線に対して偏芯した円 筒部 48とを有している。従って、円筒部 48及び通し部 46のそれぞれの中心軸線は、 互いに異なり、かつ平行となっている。通し部 46には、締結ナット 44が螺合されるよう になっている。
[0038] かご床固定部材 42は、支え部材 23の側面に沿って配置されて 、る。また、かご床 固定部材 42には、通し部 46が緩く通される貫通穴 49が設けられている。貫通穴 49 の内径は、ボルト通し穴 45の内径よりも大きくなつている。また、かご床固定部材 42 には、円筒部 48が嵌め合わされる円筒状の嵌合部(凹部) 50が設けられている。嵌 合部 50の内径は、貫通穴 49の内径よりも大きくされている。また、嵌合部 50は、貫通 穴 49と同軸にかご床固定部材 42に設けられている。従って、貫通穴 49に通された 通し部 46は、嵌合部 50に嵌め合わされた円筒部 48が周方向へ回転されることにより 、貫通穴 49内で円周上を移動される。
[0039] かご床固定部材 42は、貫通穴 49及びボルト通し穴 45の順に通された通し部 46と 、通し部 46の先端部に螺合された締結ナット 44とにより、支え部材 23に締着されるよ うになつている。また、力ご床固定部材 42の支え部材 23に対する上下方向について の位置は、嵌合部 50に嵌め合わされた円筒部 48の周方向についての角度を調整 することにより、調整される。従って、かご床 11は、力ご床固定部材 42の支え部材 23 に対する位置の調整により、水平に調整可能になっている。他の構成は実施の形態 1と同様である。
[0040] 次に、かご床 11を水平に調整するときの手順について説明する。図 5は、図 3のか ご床水平調整装置 41を示す拡大図である。また、図 6は、図 5の円筒部 48を反時計 回りに回転させたときの力ご床水平調整装置 41を示す拡大図である。さらに、図 7は 、図 5の円筒部 48を時計回りに回転させたときのかご床水平調整装置 41を示す拡大 図である。まず、調整ボルト 43及び締結ナット 44を緩める。この後、嵌合部 50に嵌め 合わされた円筒部 48を回しながら円筒部 48の角度を調整し、かご床 11を水平にす る。このとき、円筒部 48を反時計回りに回すと、力ご床 11と支え部材 23との間の間隔 が狭くなり、かご床 11の下面が基準位置 Aから下方へ変位される(図 6)。これに対し 、円筒部 48を時計回りに回すと、かご床 11と支え部材 23との間の間隔が広がり、か ご床 11の下面が基準位置 Aから上方へ変位される(図 7)。
[0041] この後、力ご床 11が水平になっている状態で、締結ナット 44を締め付け、かご床固 定部材 42の支え部材 23に対する位置を固定する。
[0042] このようなエレベータのかごでは、調整ボルト 43の軸線に対して偏芯した円筒部 48 が調整ボルト 43に設けられ、円筒部 48が嵌め合わされる嵌合部 50がかご床固定部 材 42に設けられており、円筒部 48の角度を調整することによりかご床 11を水平に調 整するようになっているので、かご床 11を容易に水平に調整することができる。また、 調整ボルト 43及び締結ナット 44の締め付けによって、かご床 11の支え部材 23に対 する位置を固定することができるので、かご床 11の位置固定のための位置固定装置 を別個に設ける必要がなくなり、構造の簡素化を図ることができる。
[0043] 実施の形態 3.
図 8は、この発明の実施の形態 3によるエレベータのかご 2に設けられたかご床 11、 支え装置 21及びかご床水平調整装置を示す断面図である。また、図 9は、図 8のか ご床水平調整装置を示す分解斜視図である。図において、力ご床 11と支え部材 23 との間には、力ご床 11を水平に調整するためのかご床水平調整装置 61が設けられ ている。かご床水平調整装置 61は、かご床 11に固定されたかご床固定部材 62と、 かご床固定部材 62を支え部材 23に締着するための締結ボルト 63及び調整ナット 64 とを有している。
[0044] 締結ボルト 63は、支え部材 23に設けられたボルト通し穴 65に通される棒状の通し
部 66と、通し部 66の一端部に設けられた頭部 67とを有している。
[0045] 調整ナット 64には、円筒部 68が固定されている。調整ナット 64及び円筒部 68には 、通し部 66が螺合されるねじ穴 69が貫通している。円筒部 68は、ねじ穴 69の軸線 に対して偏芯している。即ち、円筒部 68及びねじ穴 69のそれぞれの中心軸線は、互 いに異なり、かつ平行になっている。
[0046] かご床固定部材 62は、支え部材 23の側面に沿って配置されて 、る。また、かご床 固定部材 62には、調整ナット 64に固定された円筒部 68が嵌め合わされる円筒状の 嵌合部 70が設けられている。嵌合部 70は、かご床固定部材 62を貫通している。嵌 合部 70の内径は、ボルト通し穴 65の内径よりも大きくなつている。ねじ穴 69は、嵌合 部 70に嵌め合わされた円筒部 68が回転されることにより、嵌合部 70内で円周上を 移動される。
[0047] ボルト通し穴 65に通された通し部 66は、円筒部 68が嵌合部 70に嵌め合わされた 調整ナット 64に螺合される。かご床固定部材 62は、ボルト通し穴 65に通された通し 部 66と、通し部 66に螺合された調整ナット 64とにより、支え部材 23に締着されるよう になっている。また、かご床固定部材 62の支え部材 23に対する上下方向について の位置は、嵌合部 70に嵌め合わされた円筒部 68の周方向についての角度を調整 することにより、調整される。従って、かご床 11は、力ご床固定部材 62の支え部材 23 に対する位置の調整により、水平に調整可能になっている。他の構成は実施の形態 1と同様である。
[0048] 次に、かご床 11を水平に調整するときの手順について説明する。図 10は、図 8の かご床水平調整装置 61を示す拡大図である。また、図 11は、図 10の円筒部 68を反 時計回りに回転させたときの力ご床水平調整装置 61を示す拡大図である。さらに、 図 12は、図 10の円筒部 68を時計回りに回転させたときのかご床水平調整装置 61を 示す拡大図である。まず、締結ボルト 63及び調整ナット 64を緩める。この後、調整ナ ット 64を回しながら、嵌合部 70に嵌め合わされた円筒部 68の角度を調整し、力ご床 11を水平にする。このとき、調整ナット 64を反時計回りに回すと、かご床 11と支え部 材 23との間の間隔が狭くなり、かご床 11の裏面が基準位置 A力 下方へ変位される (図 11)。これに対し、調整ナット 64を時計回りに回すと、かご床 11と支え部材 23との
間の間隔が広がり、力ご床 11の裏面が基準位置 Aから上方へ変位される(図 12)。
[0049] この後、かご床 11が水平になっている状態で、締結ボルト 63を回して締結ボルト 6 3及び調整ナット 64を締め付け、かご床固定部材 62の支え部材 23に対する位置を 固定する。
[0050] このように、円筒部 68を調整ナット 64に設け、円筒部 68が嵌め合わされる嵌合部 7 0をかご床固定部材 62に設けても、かご床固定部材 62の支え部材 23に対する上下 方向につ 、ての位置を調整することができ、かご床 11を容易に水平に調整すること ができる。また、締結ボルト 63及び調整ボルト 64の締め付けによって、かご床 11の 支え部材 23に対する位置を固定することができるので、かご床 11の位置固定のため の位置固定装置を別個に設ける必要もなくなり、構造の簡素化を図ることができる。
[0051] 実施の形態 4.
図 13は、この発明の実施の形態 4によるエレベータのかごを示す斜視図である。図 において、下枠 6の中間部には、かご床 11の荷重を受けるための支え装置 81が設 けられている。支え装置 81は、下枠 6から下方へ突出する突出部材 82と、下枠 6を挟 んだ状態で下枠 6及び突出部材 82に固定された一対の支持体 83とを有している。
[0052] 各支持体 83は、下枠 6の長さ方向と交差する方向(交差方向)に沿ってそれぞれ配 置されている。この例では、かご床 11の各第 2の角部と下枠 6の中央部とを結ぶ直線 上に各支持体 83が配置されて ヽる。
[0053] 各支持体 83は、下枠 6に固定され交差方向に沿って水平に配置された棒状の水 平部材 84と、突出部材 82の下端部と水平部材 84の先端部とを結ぶ棒状の傾斜部 材 85とを有している。水平部材 84及び傾斜部材 85のそれぞれの端部は、共通の接 続部材 86に固定されている。従って、接続部材 86が下方の力を受けたときには、水 平部材 84は引っ張り力を受け、傾斜部材 85は圧縮力を受ける。
[0054] 各接続部材 86とかご床 11との間には、かご床 11を水平に調整可能とするために、 実施の形態 1のかご床水平調整装置 25と同様のかご床水平調整装置が設けられて いる。他の構成は実施の形態 1と同様である。
[0055] このようなエレベータのかご 2では、下枠 6に固定された水平部材 84と、下枠 6から 下方へ突出する突出部材 82の下端部と水平部材 84の先端部とを結ぶ傾斜部材 85
とを有する支持体 83がかご床 11の荷重を受けるようになって 、るので、支持体 83の 上下方向についての強度に効果的に寄与する部分のみを残して、支持体 83の材料 の量を効率良く削減することができる。これにより、支え装置 81の製造コストの低減ィ匕 を図ることができるとともに、力ご 2の軽量化も図ることができる。
[0056] なお、上記の例では、力ご床 11を水平に調整可能とするために、実施の形態 1の かご床水平調整装置 25と同様のかご床水平調整装置が各接続部材 86とかご床 11 との間に設けられている力 実施の形態 2あるいは実施の形態 3のかご床水平調整 装置 41あるいは 61と同様のかご床水平調整装置を各接続部材 86とかご床 11との 間に設けてもよい。
[0057] 実施の形態 5.
図 14は、この発明の実施の形態 5によるエレベータのかごに設けられた支え装置を 示す正面図である。また、図 15は、図 14の支え装置を示す側面図である。図におい て、下枠 6の中間部には、かご床 11の荷重を受けるための支え装置 91が設けられて いる。支え装置 91は、下枠 6から下方へ突出する突出部材 92と、下枠 6を挟んだ状 態で下枠 6及び突出部材 92に設けられた一対の支持体 93とを有している。
[0058] 各支持体 93は、下枠 6の長さ方向と交差する方向(交差方向)に沿ってそれぞれ配 置されている。この例では、かご床 11の各第 2の角部と下枠 6の中央部とを結ぶ直線 に沿って各支持体 93が配置されている。力ご床 11の下面には、支持体 93に沿って 配置された固定金具 94が固定されている。
[0059] 各支持体 93は、下枠 6に設けられたピン(回動軸) 95を中心に回動可能な水平部 材 96と、突出部材 92の下端部に設けられたピン(回動軸) 97を中心に回動可能な 傾斜部材 98とを有して 、る。
[0060] 傾斜部材 98は、水平部材 96に対して傾斜して 、る。また、傾斜部材 98は、傾斜部 材本体 99と、傾斜部材本体 99に設けられ、傾斜部材本体 99に対する位置が調整 可能なブロック 100とを有している。
[0061] 傾斜部材本体 99は、ピン 97に取り付けられた円柱部 101と、円柱部 101に固定さ れ、円柱部 101の長さ方向へ延びるねじ棒 102とを有している。ブロック 100は、ねじ 棒 102に設けられている。
[0062] ねじ棒 102は、ブロック 100に設けられたねじ棒通し穴 103に通されている。これに より、ブロック 100は、ねじ棒 102の長さ方向に沿って変位可能になっている。ねじ棒 102には、ねじ棒 102の長さ方向についてブロック 100を挟む一対の位置決め用ナ ット 104が螺合されている。ブロック 100のねじ棒 102に対する位置は、各位置決め 用ナット 104のねじ棒 102に対する位置の調整により、調整される。また、ブロック 10 0のねじ棒 102に対する位置の調整により、ピン 97とブロック 100との間隔 Lが調整さ れる。
[0063] ブロック 100には、ピン 97と平行な棒状のボルト部 105が固定されている。ボルト部 105は、水平部材 96の他端部に設けられた貫通穴 106と、固定金具 94に設けられ た貫通穴 107とに通されている。また、各貫通穴 106, 107を通されたボルト部 105 には、締結ナット 108が螺合されている。水平部材 96の他端部及びブロック 100は、 締結ナット 108の締め付けにより、固定金具 94に接続される。
[0064] 図 16は、図 14のピン 97とブロック 100との間隔が広がる方向へブロック 100を変位 させたときの支え装置 91を示す正面図である。図に示すように、ブロック 100のねじ 棒 102に対する位置を調整することにより、ピン 97とブロック 100との間隔が から(L + A L)に広がると、固定金具 94のピン 97に対する水平距離はほとんど変化しないこ と力ゝら、固定金具 94は上方へ変位される。また、水平部材 96は、固定金具 94の上方 への変位に伴って、上方へ回動される。これにより、力ご床 11が上方へ変位される。
[0065] これに対し、ブロック 100のねじ棒 102に対する位置をピン 97に近づく方向へ調整 すると、ピン 97とブロック 100との間隔が Lよりも狭くなる。従って、固定金具 94が下方 へ変位され、水平部材 96が下方へ回動される。これにより、かご床 11が下方へ変位 される。他の構成は実施の形態 1と同様である。
[0066] 次に、かご床 11を水平に調整するときの手順について説明する。まず、締結ナット 108を緩めた後、かご床 11が水平になるように、各位置決め用ナット 104を回しなが ら、ブロック 100のねじ棒 102に対する位置を調整する。この後、かご床 11が水平に なったところで、各位置決めナット 104を締め付けて、ブロック 100のねじ棒 102に対 する位置を固定する。この後、締結ナット 108を締め付けて、ブロック 100及び水平 部材 96を固定金具 94に固定する。
[0067] このようなエレベータのかごでは、固定金具 94に接続されるブロック 100が傾斜部 材本体 99に設けられ、ブロック 100の傾斜部材本体 99に対する位置を調整すること により、かご床 11を水平に調整するようにしたので、かご床 11を容易に水平に調整 することができる。また、かご床 11の支え装置 91に対する位置を固定することもでき るので、かご床 11の位置固定のための位置固定装置を別個に設ける必要もなくなり 、構造の簡素化を図ることができる。
[0068] 実施の形態 6.
図 17は、この発明の実施の形態 6によるエレベータのかごを示す斜視図である。図 において、力ご床 11の縁部及び各縦枠 8, 9間には、一対の斜め部材 17, 19がそれ ぞれ接続されている。一方の斜め部材 17の一端部は一方の縦枠 8に接続され、一 方の斜め部材 17の他端部はかご床 11の一方の縦方向縁部に接続されて!、る。また 、他方の斜め部材 19の一端部は他方の縦枠 9に接続され、他方の斜め部材 19の他 端部はかご床 11の他方の縦方向縁部に接続されている。
[0069] 一方の斜め部材 17の一端部は、縦枠 8の上部に接続されている。一方の斜め部材 17の他端部は、一方の縦方向縁部の縦枠 8よりも支え部材 23に近い部分に接続さ れている。また、他方の斜め部材 19の一端部は、縦枠 9の上部に接続されている。 他方の斜め部材 19の他端部は、他方の縦方向縁部の縦枠 9よりも支え部材 23に近 い部分に接続されている。
[0070] なお、各上記実施の形態で示す各縦柱 13, 14、各奥行き方向横部材 15、各幅方 向横部材 16、各第 2の斜め部材 18, 20は、かご 2には設けられていない。他の構成 は実施の形態 1と同様である。
[0071] このようなエレベータのかごであっても、例えばかご床 11の第 2の角部に荷重が集 中し、かご床 11が偏荷重を受けた場合に、偏荷重を受けた第 2の角部に近い側の斜 め部材 17と、かご床 11の縦方向縁部とがなすトラス構造を介して、偏荷重の一部を 一方の縦枠 8に伝達することができる。これにより、偏荷重を分散することができ、各 縦枠 8, 9に力かる曲げ応力の低減を図ることができる。
[0072] これにより、かご床 11や各縦枠 8, 9、下枠 6の強化を回避することができ、材料コス トの増加やかご 2の重量の増加を防止することができる。従って、かごガイドレール 3
や主索、卷上機等の機器の仕様を標準仕様とすることができ、かご床 11が受ける偏 荷重を簡単な構成で容易に支持することができる。
[0073] 実施の形態 7.
図 18は、この発明の実施の形態 7によるエレベータのかごを示す斜視図である。図 において、下枠 6の中間部には、かご床 11の荷重を受けるための支え装置 81が設 けられている。支え装置 81は、実施の形態 4の支え装置 81と同様の構成とされてい る。他の構成は実施の形態 6と同様である。
[0074] このようにすれば、かご床 11が受ける偏荷重を簡単な構成で容易に支持することが できるとともに、製造コストの低減やかご 2の軽量化も図ることができる。
[0075] 実施の形態 8.
図 19は、この発明の実施の形態 8によるエレベータのかごを示す斜視図である。図 において、下枠 6の中間部には、かご床 11の荷重を受けるための支え装置 111が設 けられている。支え装置 111は、下枠 6から下方へ突出する突出部材 112と、下枠 6 を挟んだ状態で下枠 6及び突出部材 112に設けられた一対の支持体 113とを有して いる。
[0076] 各支持体 113は、突出部材 112及びかご床 11間に接続された傾斜部材 114を有 している。傾斜部材 114は、かご床 11に対して傾斜されている。傾斜部材 114の一 端部は、突出部材 112の下端部に接続され、傾斜部材 114の他端部は、かご床 11 の下面に固定された接続部材 115に接続されている。他の構成は実施の形態 6と同 様である。
[0077] このようなエレベータのかごであっても、いずれかの斜め部材 17, 19と、力ご床 11 の縦方向縁部とがなすトラス構造を介して、かご床 11の偏荷重の一部を各縦枠 8, 9 のいずれかに伝達することができるので、各縦枠 8, 9にかかる曲げ応力の低減を図 ることがでさる。
[0078] なお、上記の例では、実施の形態 6に示すかごに支え装置 111が設けられている 力 実施の形態 1に示すかごに支え装置 111を設けてもよ!、。