WO2007015469A1

WO2007015469A1 - 注射器用プランジャーとこれを用いたシリンジ及びプレフィルドシリンジ

Info

Publication number: WO2007015469A1
Application number: PCT/JP2006/315172
Authority: WO
Inventors: Shigeki Tanaka; Masanobu Iwasa; Ryohei Namba; Hidero Kato; Teruhisa Hirobe
Original assignee: Nipro Corporation
Priority date: 2005-08-01
Filing date: 2006-07-31
Publication date: 2007-02-08
Also published as: JPWO2007015469A1; US9731077B2; KR101316487B1; EP1917991B1; EP1917991A4; JP4784605B2; EP1917991A1; US20110178475A1; KR20080042856A

Abstract

　簡易な構造で不可抗力によるプランジャーロッドの脱落を防止することが可能な注射器用プランジャーを提供すること。　プランジャーロッド及びガスケットを含む注射器用プランジャーであって、前記ガスケットは、上端が閉塞して内側空間を備え、且つ下端に該内側空間の径より細径の開口部が形成され、前記プランジャーロッドは、該プランジャーロッドの先端に装着されるカラーを備え、該カラーを前記ガスケットの前記内側空間に位置させた際、前記プランジャーロッドと前記ガスケットとが密着せず遊嵌状態とされた注射器用プランジャーを用いる。

Description

明細書

注射器用プランジャーとこれを用いたシリンジ及びプレフィルドシリンジ技術分野

[0001] 本発明は、ガスケットからのプランジャーロッドの脱落防止機構を備えた注射器用プランジャー及びこれを用いたプレフィルドシリンジに関する。

背景技術

[0002] 通常のシリンジは、ガスケットにプランジャーロッドを圧入して予めセットとして組み立ててから、ガスケットをバレルに挿入することで得られている。これに対し、薬液充填済みシリンジ、すなわちプレフィルドシリンジは、通常、バレルに薬液を充填し、ガスケットを打栓した後にプランジャーロッドをガスケットに結合させることで得られている。つまり、ガスケットが打栓されたシリンジに、後工程としてプランジャーロッドを結合する方法が、プレフィルドシリンジを得る方法として採用されている。この方法が採用されるのは、予めガスケットにプランジャーロッドが付いていると、薬液を密封するための打栓工程が困難となることによるものである。

[0003] このような、プレフィルドシリンジのガスケットとプランジャーロッドの結合方法としては、ブチルゴムやエラストマ一等のゴム弾性材料で形成されたガスケットの雌ねじと、例えばポリプロピレンなどのプラスチックで形成されたプランジャーロッドの雄ねじとの螺合が広く採用されている。なぜなら、通常のシリンジの場合ようにガスケットにプランジャーロッドを圧入すると、その圧力でガスケットや先端ノズルカゝら薬液が漏出してしまうおそれがある力である。

[0004] しかし、従来の直接螺合することによるガスケットとプランジャーロッドとの結合は、製造時におけるネジの寸法の誤差や、組立機の締め付けトルクの誤差などが原因で

、緩くなつている場合がある。このような場合には、例えば車で運搬中などの場合にプレフィルドシリンジに与えられた振動等によりプランジャーロッドが回転して螺合が外れることでプランジャーロッドが脱落するおそれがあり、また製造中にぉ、てもブランジャーロッドが脱落するおそれもある。

[0005] このようなプランジャーロッドの脱落を防止するために、ガスケットとプランジャーロッドとの結合に関して検討され、改良された結合の機構が提案されている。例えば、雄ネジを設けた天面を有するプランジャーロッドと、該雄ねじと螺合する雌ねじを設けたガスケットを含むプランジャーにおいて、プランジャーロッドの天面には、先端方向に突出する凸部が設けられるとともに、ガスケットには、凸部と嵌合する凹部が設けられることにより、凸部と凹部が嵌合することによって螺合させたガスケットとプランジャーロッドが外れにく、ようにされたプランジャーが提案されて、る（特許文献 1)。

[0006] また、ガスケット内部にプランジャーロッドの先端部に形成された鍔状フランジに螺合し得る螺合部と、該螺合部の先端側に形成された空間とを有し、プランジャーロッドの先端部に形成された鍔状フランジが前記螺合部を越えて前記空間に進入したとき、前記鍔状フランジが前記空間に対し遊嵌状態で係合するよう構成されたプランジヤーを備えることで、プランジャーロッドに作用した外力が直接ガスケットに伝達されることを防止したシリンジも提案されて、る (特許文献 2)。

[0007] 特許文献 1 :特開 2005— 80957

特許文献 2：特開 2002— 272843

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] しかし、特許文献 1のような、凸部と凹部が係合することによって螺合させたガスケットとプランジャーロッドが外れにく!、ようにされたプランジャーの構造では、プランジャ一ロッドに回転方向の力が加わった際には直接ガスケットにも回転力を与えてしてしまうため、プランジャーロッドに反螺揷方向の回転力が加わった際にはプランジャーロッドとガスケットの螺合が解除されることは避けられない。また、例えばシリンジボンプにシリンジを設置する際、シリンジポンプのプランジャーロッド取り付け部はプランジヤーロッドの縦リブをはめ込む構造になって、るので、プランジャーを回転させなければシリンジポンプにシリンジを設置することができな、ため、プランジャーを回転させることによってプランジャーロッドとガスケットとの螺合が緩んでしまい吐出量が変動する恐れがある。また、特許文献 2のような、プランジャーロッドの先端部に形成された鍔状フランジが螺合部を越えてガスケットの空間に進入する構造の場合、プランジャ一ロッドとバレル内に打栓されたガスケットとを螺合させる際、バレル内部でプランジヤーロッドをバレルに対して傾けて螺合させる必要がある。そのため、バレル内半径とほぼ同等の太さであるプランジャーロッドを用いた場合、プランジャーロッドをバレル内部で傾けることができなくなるのでプランジャーロッドの先端部に形成された鍔状フランジを螺合部に螺合させること及び鍔状フランジが螺合部を越えて空間に進入することは困難となる。そこで、プランジャーロッドの脱落を防止し、且つ傾けることなくプランジャーロッドとガスケットとが結合可能な構造が必要である。さらには必要に応じてガスケットに回転力を与えることも可能であることが望ましい。

[0009] 本発明の目的は簡易な構造で不可抗力によるプランジャーロッドの脱落を防止することが可能な注射器用プランジャーを提供することにある。さらに、このプランジャーを備えたシリンジ及びプレフィルドシリンジを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0010] そこで、本発明者らは、プランジャーロッド及びガスケットを含む注射器用プランジャ一であって、該ガスケットは、上端が閉塞して内側空間を備え、且つ下端に該内側空間の径より細径の開口部が形成され、該プランジャーロッドは先端にカラーが装着され、該カラーを該ガスケットの該内側空間に含む状態とすることで、先端にカラーを備えた該プランジャーロッドと該ガスケットとが遊嵌状態とされたことを特徴とする注射器用プランジャーを用いることにより、プランジャーロッドに回転力が作用した際に力ラーとガスケットとの圧接の有無によってカラーのガスケット内側空間での滑動の阻害及び滑動が決まるため、製造の際にはプランジャーロッドをガスケットに容易に装着し、シリンジポンプに取り付ける際や輸送中にはプランジャーロッドが脱落することがなぐまた、ガスケットの内側空間にカラーが存在し、プランジャーロッドにカラーを装着させることで、先端にカラーを備えたプランジャーロッドとガスケットとが遊嵌状態となり、プランジャーロッドとガスケットとの結合を簡易に達成可能であることを見出し本願発明に至った。

[0011] また、上記のプランジャーロッドと用いたシリンジおよびプレフィルドシリンジは、プランジャーロッドの脱落が無、ために、より簡単な操作でシリンジポンプや注射などに使用することができる。

発明の効果 [0012] 本発明のプランジャーは、ガスケットとプランジャーロッドの間にカラーを有し、カラ一が空転する構造をもっため、プランジャーロッドが脱落する恐れがないので好適に用いることができる。また、本発明の注射器用プランジャーと、これを用いたシリンジ及びプレフィルドシリンジは上述のように、カラーをガスケット内に存在させプランジャ一ロッドとガスケットを直接連結しないことによって、カラーの空転 ·回転を自在に操ることで、医療に好適に用いることができる。

図面の簡単な説明

[0013] [図 1]本発明の注射器用プランジャーについての一実施態様例の縦断面図。

[図 2]図 1に記載した注射器用プランジャーの先端拡大図。

[図 3] (a)〜（c)本発明の注射器用プランジャーについての他の実施態様例における部分拡大縦断面図。

[図 4] (a)本発明の注射器用プランジャーにおける他の実施態様例における部分拡大縦断面図。（b)図 4 (a)に示した実施態様例に用いられるカラーの斜視図。

[図 5] (a)本発明の注射器用プランジャーにおける他の実施態様例における部分拡大縦断面図。（b)図 5 (a)に示した実施態様例に用いられるカラーの斜視図。

[図 6] (a)本発明の注射器用プランジャーにおける他の実施態様例における部分拡大縦断面図。（b)図 6 (a)に示した実施態様例に用いられるカラーの斜視図。

[図 7] (a)本発明の注射器用プランジャーにおける他の実施態様例における部分拡大縦断面図。（b)図 7 (a)に示した実施態様例に用いられるカラーの斜視図。

[図 8]図 1に記載した注射器用プランジャーを用いたプレフィルドシリンジにつ、ての一実施態様例の縦断面図。

符号の説明

[0014] 1 ガスケット

2 カラー

2' カラー (上面閉塞型）

3 プランジャーロッド

4 プレフィルドシリンジ

5 トップキャップ 11 内側空間

12 開口部

13 環状リブ

14 天井面

21 雌ねじ

22 カラー下面

23 カラー上面

31 雄ねじ

32 雄ねじ基部

33 プランジャーロッド上面

34 間隙

41 ノレノレ

42 注出口

43 フランジ

44 脱落防止部

発明を実施するための最良の形態

[0015] 以下、図を用いて本発明の注射器用プランジャー及びそれを用いたプレフィルドシリンジを説明する。しかし、本願発明は、これら図面に記載した実施態様例に限定されるものではない。

[0016] 図 1は、本発明の注射器用プランジャーについての一実施態様例の縦断面図である。図 2はプランジャーの先端拡大図である。図 3 (a)〜（c)は、プランジャーロッドと力ラーとの螺合状態の他の実施態様例の部分拡大縦断面図である。図 4〜図 7はカラ一上面の凸部とガスケットの天井面の凹部との他の実施態様例の縦断面図及びカラ一の斜視図である。図 8は、本発明の注射器用プランジャーについての一実施態様例の縦断面図である。

[0017] 図 1は、ガスケット 1とカラー 2とプランジャーロッド 3との組み合わせ力もなる注射器用プランジャーである。ガスケット 1は、上端が閉塞し内側空間 11を備え、ガスケット 1 の下端には該内側空間 11より細径の開口部 12が形成されている。図 1に示すガスケットにおいては、筒状中空体として形成され、開口部 12には環状リブ 13を有し、内側空間 11が開口部 12を介して外側へと通じている。少なくとも下端に開口部を有する中空のカラー 2は、環状リブ 13より上部で形成された内側空間 11に収納され、環状リブ 13によってカラー 2が脱落しな、ようになって、る。カラーの内側には雌ねじ 21が設けてある。雌ねじ 21に螺合する雄ねじ 31を先端に備えたプランジャーロッド 3に力ラー 2が螺合によって装着されて、先端にカラー 2を装着したプランジャーロッド 3はガスケット 1と遊嵌状態となっている。図 1においては、プランジャーロッドに装着されたカラー下面 22とプランジャーロッド上面 33と雄ねじの基端である雄ねじ基部 32によつて間隙 34が形成されている。ガスケット 1の環状リブ 13は、間隙 34に挿入され、環状リブ 13とカラー下面 22、雄ねじ基部 32及びプランジャーロッド上面 33とが密接することなく間隙 34の内部に存在する。カラー 2を先端に装着したプランジャーロッド 3 がガスケットと遊嵌状態である構造となっていることでプランジャーロッドに外力が作用してもガスケット内でプランジャーロッドの先端に装着されているカラーが空転し、カラーとプランジャーロッドとが分離することがない。従って、輸送中のプランジャー口ッド脱落が防止でき、シリンジポンプ（図示省略)へのシリンジ設置の際にプランジャ一ロッド 3とカラー 2との結合が外れるおそれもな、。

[0018] ガスケット 1は、ゴム弾性体であり、材質として通常のシリンジ用ガスケットで用いられるゴム弾性を示す榭脂を用いることができる。前記ゴム弾性体は液密であることから、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマ一、シリコーンエラストマ一等を用いることができる。また、プランジャーロッド 3は、シリンジに用いることができれば特に限定されるものではなぐ公知の材質を用いることができる力成型が容易であることから熱可塑性榭脂が好ましい。

[0019] 本発明の注射器用プランジャーは、ガスケット 1の内側空間 11にカラー 2を挿入した後にカラー 2の雌ねじ 21にプランジャーロッド 3の先端の雄ねじ 31を螺合することにより得られてもよぐカラー 2の雌ねじ 21にプランジャーロッド 3の先端の雄ねじ 31を螺合した後にプランジャーロッド 3の先端に螺合されたカラー 2をガスケット 1の内側空間 11に挿入することにより得られても良い。また、カラーをプランジャーロッドに装着させる方法は螺合に限定されるものではなぐカラーとプランジャーロッドとに穴部（窪み）と穴部（窪み）〖こ係合する爪部とを形成してカラーとプランジャーロッドとを係合させる方法や、カラーとプランジャーロッドとをそれぞれ嵌合させる形状にし、カラー内壁と接着させる方法などがあるが、カラーとプランジャーロッドとを螺合させる方法は、必要に応じてプランジャーロッドをカラーより着脱可能であることから特に好ましい。

[0020] 本発明の注射器用プランジャーは、通常、ガスケット 1の内側空間 11にカラー 2を挿入した後にカラー 2の雌ねじ 21にプランジャーロッド 3の先端の雄ねじ 31を螺合すること〖こより得られる。雄ねじ 31を雌ねじ 21に螺合させる際、プランジャーロッド 3で力ラー 2をガスケット 1の内側空間 11の天井面 14に押す。ガスケット 1の内側空間 11の天井面 14にカラー上面 23を圧接した際、摩擦によりガスケットの天井面 14におけるカラー 2の滑動が阻害されるので、カラー 2がガスケット 1の内側空間 11で空転することなしにプランジャーロッド 3とカラー 2とを螺合させることが容易に行うことができる。また、螺合されている状態において、プランジャーロッド 3を押しながら反螺揷方向に回すと螺合を容易に解除することができる。

[0021] ガスケット 1とカラー 2との螺合及び螺合状態の際、ガスケット 1とカラー 2との螺合及び螺合の解除を可能とするためにプランジャーロッド上面 33とガスケットの開口部 12 が密着しないように、間隙の長さを K、リブの太さを L、リブ上面力ガスケットの内側空間の天井面までの高さを M、カラー高さを Nとすると、これらの長さの関係は (K L) > (M-N)になっている。また、カラー 2のみがガスケット 1の内側空間 11の天井面 14と接触するように、カラー 2とプランジャーロッド 3が螺合状態では雄ねじ 31の先端がカラー上面 23を越えないことが好ましい。そのため、プランジャーロッド 3の雄ねじ 31がカラー 2の上部へ螺入しないようにカラー 2の雌ねじの溝がカラー上部にない構造にすることができる（図 2)。

[0022] 図 3 (a) , (b)は、本発明の注射器用プランジャーにおける、カラー 2とプランジャーロッド 3とが螺合されている状態を示す部分拡大縦断面図であり、カラーとプランジャ一ロッドとの螺合状態で、雄ねじの先端力 Sカラー上面を越えな、ようにする構造の他の実施例である。図 2のようにカラー 2の雌ねじの溝がカラー上部にない構造以外に、カラー上部の側壁を厚くした構造（図示省略)や、図 3 (a)のように雄ねじの基部 32 の径を長くした構造によって雄ねじのカラー上部への螺入を抑えてもよい。図 3 (b)に示すように、上端が閉塞したカラー 2'を用いた場合には、プランジャーロッド 3の雄ねじ部分がカラー 2の雌ねじ部分より長くても、螺合時においてプランジャーロッド 3とガスケット 1とが直接接触することがないので、上述の遊嵌状態を容易に形成することができる。

[0023] カラー 2は、その外形が特に限定されるものではないが、円柱もしくは六角以上の柱状であることが好ましい。しかし、角を有するとガスケットを痛める可能性があること力も円柱であることが特に好ましい。また、ガスケットの空間に挿入しやすいように、図 3 (c)に示すように、カラーの外側面を先端方向に縮径するテーパー状にしてもよい

[0024] ガスケットとカラーとが圧接した状態ではガスケットの空間内でのカラーの滑動は阻害され、圧接していない状態ではガスケットの空間内でカラーは空転するので、ブランジャーロッドを押しながら回転させるとガスケットとカラーとが圧接するためカラーとプランジャーロッドとの螺合及び螺合の解除が可能であり、押さない状態であればガスケットとカラーとが圧接することがな、ため勝手に螺合が解除することはな、。

[0025] ガスケット 1とカラー 2の摩擦力でも滑動の阻害は可能であるが、より確実に阻害するために、カラー上面に凸部を設け、前記ガスケットの前記天井面に該凸部と係合又は嵌合する凹部を設けてもよい。凸部と凹部を形成する場合、前記リブ上面からガスケットの内側空間の天井面までの高さ Mはリブ上面力天井面に形成された凹部を除いた天井面までの高さであり、前記カラー高さ Nはカラー上面に形成された凸部の頂点までを含む高さとする。図 4〜図 7はカラー上面の凸部とガスケットの天井面の凹部の実施例である。凸部は図 4のように 1つをカラー上面の端部に形成してもよいし、図 5のように複数を上面の端部に形成してもよ!/、。図 6のように直角三角柱を垂直面が螺揷方向に向くように倒した形の凸部を形成してもよい。図 7のように上端が閉塞したカラーの上面の中央に円周方向に歯が突出した歯車状の凸部を形成してもよ!/、。また、図 7のように上端が閉鎖したカラーの場合は上面にランダムに凸部を形成してもよい。複数の凸部を形成する場合、各々の凸部の形状及び間隔は一定でなくてもよいが、係合又は嵌合のしゃすさを考慮すれば形状及び間隔は一定であることが望ましい。凹部は凸部と係合又は嵌合する形状であればよいが、凸部と同形状であることが好ましい。また、係合又は嵌合することが可能であれば凸部より多く凹部が形成されてもかまわない。

[0026] カラーに細かい同形状の凸部を規則的に多数形成した際には容易に凸部と凹部を係合又は嵌合することができ医療時間の短縮ができると同時に、係合又は嵌合させる際の煩わしさを解消することが可能である。また、少数の凸部を形成した際には、凸部の寸法変化による嵌合 (係合)の影響が少ないので、製造に精密さを要しなく、摩耗により凸部又は凹部が消滅する恐れがない。よって、凸部の個数はいくつであつてもよいが、プランジャーロッドに押しながら回転力を加えた際にカラーの凸部とガスケットの凹部との嵌合が外れにくぐガスケットに対して均等に押す力及び回転力が加わるようするため 3個以上であることが好ましぐさらに、凸部は同形状 ·同間隔で形成されていることが好ましい。また、凸部の形状はカラーの阻害を高めるため螺揷方向が略垂直面であることが望ましく三角柱を倒したもの若しくは柱状であることが好ましい。

[0027] 上端が閉塞したカラーの上面に凸部を形成する場合、上端が開口したカラーと同様に凸部を上面の端部に形成する以外にも、上面に複数の凸部を規則的に形成することや図 7のように上面の中央に歯車状の凸部を形成することも有効である。歯車状の凸部を上面に形成した場合は、中央に凸部が形成されていることによってプランジャーロッドを押した際にカラーを安定してガスケットの内側空間の天井面に圧接させることが可能である。凸部の円周方向に形成された歯がガスケットに対して回転方向の力を及ぼすため、プランジャーロッドに回転力をカ卩えた際、歯車の歯数がカラーとガスケットとのより確実な滑動の阻害及びガスケットの回転力に影響する。細か、歯を多数形成した際には容易に凸部と凹部を係合又は嵌合することができ医療時間の短縮ができると同時に、係合又は嵌合させる際の煩わしさを解消することが可能である。また、少数の凸部を形成した際には凸部の寸法変化による嵌合 (係合)の影響が少ないので、製造に精密さを要しなぐ摩耗により凸部の歯又は歯と嵌合 (係合)する凹部が消滅する恐れがない。よって、歯車の歯数はいくつでもよぐ歯の形状'間隔も不規則でもよいが、プランジャーロッドに押しながら回転力を加えた際にカラーの凸部とガスケットの凹部との嵌合 (係合)が外れにくぐガスケットに対して均等に回転力が加わるようにするため 3個以上であることが好ましぐさらに歯は同形状'同間隔で形成されていることが好ましい。また、歯の形状はカラーの滑動の阻害を高めるため螺揷方向が略垂直面であることが望ましい。また、カラーの上面中央に歯車状の凸部と、上面端部に螺揷方向に略垂直面を持つ凸部とを形成したものでもよい。

[0028] ガスケット 1の内部空間内でのカラー 2の滑動をより確実に阻害するために、カラー上面に凸部を設け、前記ガスケットの前記天井面に該凸部と嵌合する凹部を設けるのと同様に、カラー上面に凹部を設け、前記ガスケットの前記天井面に該凹部と嵌合する凸部を設けてもよい。即ち上述のカラーとガスケットとの嵌合部（凹部及び凸部）を逆に形成した形でもよい。凸部と凹部を形成する場合、前記リブ上面力もガスケットの内側空間の天井面までの高さ Mはリブ上面力天井面に形成された凸部の頂点までの高さであり、前記カラー高さ Nはカラー上面に形成された凹部を除く高さとなるようにする。また、カラー上面及びガスケットの天井面に凸部及び凹部を形成する以外にも、摩擦力の大きな例えばラバー等をカラー上面若しくはガスケットの天井面に貼り付けてもよい。

[0029] また、本発明は、上述の注射器用プランジャーを用いたプレフィルドシリンジでもあり、図 8にその一実施態様例を示す。プレフィルドシリンジ 4に用いられるバレル 41は、先端に細径の注出口 42を備え、基端が開口した筒状であって、基端に指掛け用のフランジ 43と、基端開口部付近の内側には環状のガスケット脱落防止部 44がー体成型されている。注出口には着脱可能なキャップ 5が装着されている。バレル 41の内部にはガスケット 1が摺動可能な状態に収納され、ガスケット外周はバレル内部に密接しており、薬液がガスケットとバレルとで囲まれた空間に含まれている。ガスケット 1は上端が閉塞し下端が開口した筒状中空体であり開口部には環状リブ 11を有し、環状リブ 11より上部で形成された空間 12に少なくとも下端に開口部を有する中空体状のカラー 2が収納され、中空体状のカラーの内側には雌ねじ 21が設けてある。雌ねじ 2 1に螺合する雄ねじ 31を先端に設けたプランジャーロッド 3にカラー 2が螺合によって装着され、先端にカラーを備えたプランジャーロッド 3がガスケット 1と遊嵌状態となつて、る。螺合されたカラー 2の下面 22とプランジャーロッド上面 33と雄ねじの基端である雄ねじ基部 32によって間隙 34が形成されており、ガスケットの環状リブ 11は間隙に挿入される形で環状リブ 13とカラー下面 22、雄ねじ基部 32及びプランジャー口ッド上面 33とが密接することなく間隙 34の内部に存在する。

[0030] 前記プレフィルドシリンジの製造は、バレル 4内に薬液を含んだ後、前記空間 12内にカラー 2が予め挿入されたガスケット 1を、バレル 4に摺動可能な状態として打栓することが行われる。次いで、プランジャーロッド 3の雄ねじ 31をカラー 2の雌ねじ 21に螺合させることによりプレフィルドシリンジを得ることができる。

[0031] 雄ねじ 31を雌ねじ 21に螺合させる際、プランジャーロッドでカラーをガスケットの空間の天井面方向に押す。ガスケットの空間の天井面にカラー上面を圧接した際、摩擦によりガスケットの天井面 14におけるカラーの滑動が阻害されるので、カラーがガスケット内側の空間内で空転することなしにプランジャーロッドとカラーとを螺合させることが、容易に行うことができる。また、螺合されている状態において、プランジャー口ッドを押しながら反螺合方向に回すと螺合を容易に解除することができる。

[0032] 螺揷方向に略垂直面を持つ凸部を形成したカラーの場合は、螺合が容易にでき、またガスケットがバレル内壁に強く付着した際には、プランジャーロッドを押しながら螺揷方向に回すことによってガスケットに回転力を与えることが可能となり、バレル内でガスケットを回転させることによってバレル力もガスケットの剥離ができるため、プランジャーロッドを押し引きしてガスケットを剥離する必要がないので薬液が菌によって汚染される心配がない。特に図 4及び図 5のような螺揷方向と反螺揷方向の双方向に略垂直面を持つ凸部を形成したカラーの場合は、ガスケットの剥離だけでなくブランジャーロッドとカラーの螺合及び螺合の解除を容易に行うことができる。

[0033] 上記プランジャーは、プレフィルドシリンジとしてではなぐ通常のシリンジに用いてもよい。プレフィルドシリンジ以外のシリンジとして用いた場合であっても、プランジャ一ロッドの脱落防止をすることができ、シリンジの使用時においてプランジャーの回転による螺合の緩みが生じ難ぐまた、螺合によってカラーをプランジャーロッドに装着した場合には、シリンジの使用後にプランジャーロッドを押しながら反螺揷方向に回転させることにより螺合を容易に解除することができるので、プランジャーロッドのみを取り外して廃棄することも可能であるために、シリンジ使用後の処理が容易である。

[0034] 上記プランジャーの構造を用いることによって、バレル内に打栓されたガスケットにプランジャーロッドを装着させる際、プランジャーロッドを傾けることなくガスケットにプランジャーロッドを装着でき、且つガスケットとプランジャーロッドとを遊嵌状態に結合させることが可能であるためプランジャーロッドの太さを細くする必要がない。そのため、プランジャーロッドの太さを細くすることによってプランジャーロッドがバレル内でぶれるため安定性が失われ保管時や使用時に不安定となることや、その不安定なプランジャーロッドによってガスケット自体に歪みが生じるといったおそれがない。

[0035] 上述のシリンジ又はプレフィルドシリンジをシリンジポンプに設置する際、シリンジポンプのプランジャーロッド取り付け部はプランジャーロッドの縦リブをはめ込む構造になって、るため、プランジャーを回転させなければシリンジポンプにシリンジを設置することができない。この際、プランジャーを回転させることによってプランジャーロッドとガスケットとの螺合が緩む恐れがあるが、上述の構造ならばカラーが空転することによりプランジャーに影響なくセットできる。

[0036] 本発明の注射器用プランジャー及びこれを用いたシリンジ、プレフィルドシリンジは上述のように、カラーをガスケット内に存在させプランジャーロッドとガスケットを直接連結しないことによって、カラーの空転 ·回転を自在に操ることで、医療に好適に用いることがでさる。

Claims

請求の範囲

[1] プランジャーロッド及びガスケットを含む注射器用プランジャーであって、

前記ガスケットは、上端が閉塞して内側空間を備え、且つ下端に該内側空間の径より細径の開口部が形成され、

前記プランジャーロッドは、該プランジャーロッドの先端に装着されるカラーを備え、該カラーを前記ガスケットの前記内側空間に位置させた際、前記プランジャーロッドと前記ガスケットとが密着せず遊嵌状態とされた

注射器用プランジャー。

[2] 前記プランジャーロッドに外力が作用した際、前記ガスケット内で前記カラーが空転することにより前記カラーと前記プランジャーロッドとの装着が解除されない請求項 1 に記載の注射器用プランジャー。

[3] 前記ガスケットの前記内側空間の天井面に前記カラー上面を圧接した際、前記天井面における前記カラーの滑動が阻害され、前記カラーの空転が制御可能である請求項 1又は 2に記載の注射器用プランジャー。

[4] 前記カラーの上面に凸部を設け、前記ガスケットの前記天井面に前記凸部と係合又は嵌合する凹部を設けてなる請求項 1乃至 3の何れかに記載の注射器用プランジヤー。

[5] 前記カラーの上面に凹部を設け、前記ガスケットの前記天井面に前記凹部と係合又は嵌合する凸部を設けてなる請求項 1乃至 3の何れかに記載の注射器用プランジヤー。

[6] 前記カラーの外形形状を先端方向に縮径するテーパー状にする請求項 1乃至 5の何れかに記載の注射器用プランジャー。

[7] 前記プランジャーロッドと前記カラーとが、前記プランジャーロッドの先端に設けられた雄ねじ部と前記カラーの内側に設けられた雌ねじ部との螺合により装着される請求項 1乃至 6の何れかに記載の注射器用プランジャー。

[8] 前記ガスケットの前記内側空間の天井面に前記カラー上面を圧接した際、前記プランジャーロッドと前記カラーとの螺合及び螺合の解除が自在とされて、る請求項 7 に記載の注射器用プランジャー。

[9] 請求項 1乃至 8の何れかに記載の注射器用プランジャーを液密且つ摺動可能となるように前記注射器用プランジャーをバレルに挿着したシリンジ。

[10] 請求項 9に記載のシリンジで、前記ガスケットと前記バレルで囲まれた空間に薬剤を含むプレフィルドシリンジ。