WO2007007419A1

WO2007007419A1 - ヒノキ材を用いた土のう

Info

Publication number: WO2007007419A1
Application number: PCT/JP2005/014640
Authority: WO
Inventors: Kiyoshi Haraguchi
Original assignee: Kiyoshi Haraguchi
Priority date: 2005-07-11
Filing date: 2005-08-10
Publication date: 2007-01-18

Abstract

　ヒノキ材原料を細片加工し穀物でんぷんおよび砂と混合して透水性の天然素材による土のう袋に乾燥状態で封入すると、水分を得て短時間で膨潤して嵩増し増重し土のうとして機能する。使用中はヒノキ材含有の天然有効成分によって消臭防腐の効果を有すると共に使用後は環境に悪影響を及ぼさず廃棄処理が容易で無害の生分解性を有する。

Description

明細書

ヒノキ材を用いた土のう

技術分野

[0001] 本発明は、災害時等に用いられる土のうに関するものである。

背景技術

[0002] 土のうは、麻や化学繊維で編まれた袋に土砂などを封入して積み上げることによつて水や土砂の流入を防ぐなどの目的で用いられ、工事現場や災害時に使用されている。

[0003] 土のうは通常、袋のみで保管運搬され、現場において土砂などを袋内に詰めて封入することにより完成する。

[0004] 近年では、吸水性に富む化学素材例えば高分子ポリマーなどを土のう内に仕込み、水を得て膨張させる製品も散見されるが、化学素材ゆえの封入物流出時の周辺環境への影響不安、使用後には産業廃棄物としての廃棄手順を要するなど問題点がめつに。

[0005] また、化学素材若しくは天然有機素材の封入物を利用した製品では、水に対する比重が軽ぐ土のう自体が水に流されることもあって遮水工事には不向きであった。更にこれらの土のうでは水を得て膨張後に内容物が腐敗し易力つたり、悪臭を発生させるなどの使用中の問題もあった。

特許文献 1 :特開 2002— 275851

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] 土のうを使用する現場での封入土砂の手配や袋詰め作業に時間と手間を要し、緊急時の使用においては問題があった。また、高分子ポリマーや単なる植物繊維を用いた膨張材では、海水や泥水では完全な膨張までに時間がかかったり、使用中使用後の化学物質流出や腐敗悪臭の発生の問題など使用条件が限定されることがありこれらに制限されない製品を提供する。

課題を解決するための手段 [0007] 本発明は、膨張材として天然ヒノキ材を用いて、その他の混合材にも天然素材である穀物でんぷんやマンナン粉および砂を混合させることにより、使用中使用後の万一の内容物流出にぉ、ても周辺環境に悪影響を及ぼさな、。

[0008] 天然素材による土のう袋の中に、ヒノキ材細片と乾燥状態の穀物でんぷんやマンナン粉および砂を封入することによって、保管時には薄型軽量で使用時には短時間の吸水によって自重 23Kg前後まで膨張し、水中にお、ても沈降して流失しな、重量を得ることができる。

[0009] ヒノキ材細片は水を得てもすぐには完全吸収せずにやや時間をお!/、て吸水して!/、くので、土のう外部力与えられた水分はヒノキ材細片の隙間を通って土のう内容物の全体に隈無く行き渡る。ヒノキ材細片は土のう内容物として全体に片寄りなく混入されており、これによつて水分が均一に浸透して全体の膨張が均等化され、海水や泥水であっても膨張性能に変化が少な!/、。

発明の効果

[0010] この発明は前記のように構成されており、以下に記載のような効果を有する。

[0011] 第一として、本発明の土のうにおいては乾燥重量が 4. 5Kg程度であって、土のう袋にはヒノキ材他の膨張材が封入済みであって、このまま常温中での長期の保管が可能である。

[0012] 第二に、吸水時の膨張スピードにおいて、本発明の製品は混入されたヒノキ材の吸水率の低さから、乾燥時の製品を水中にそのまま投入しても土のう内の穀物でんぷんゃマンナン粉が均等に水分を吸収することができ、特に攪拌などの手間を要さずに短時間で完全に膨張することができる。

[0013] また、混入されたヒノキ材に含まれるヒノキチオールや香り成分フィトンチッドによつて、吸水後に膨張した土のう内容物が時間経過によって腐敗 ·悪臭発生することを抑制する。

[0014] 吸水膨張後の本発明製品は、その素材原料が土のう袋に到るまですベて天然素材であるから、使用中の有害成分の流出や使用後の廃棄処理において、土中への埋設や一般焼却処理が可能である。

[0015] なお、本発明製品は、土のう内の内容物に砂を適量混入させることによって、膨張時の比重が水よりも重くなるように調整されており、堤防決壊時などの緊急遮水工事においても流水に流されることなぐ水中投下して土のうを積み上げることが出来る。図面の簡単な説明

[0016] [図 1]本発明の製品の外観図を示す。

[図 2]図 1の A— A'断面図を示す。

[図 3]本発明の製品の乾燥時全体外観図を示す。

[図 4]本発明の製品の吸水膨張時全体外観図を示す。

符号の説明

[0017] 1…天然麻袋

2· ··ヒノキ材細片

3…砂

発明を実施するための最良の形態

[0018] 天然素材によって編まれた透水性の土のう袋に、ヒノキ材を帯状、くず状、チップ状などの細片あるいはより細かい粉状に加工し、主たる吸水膨張材としての穀物でんぷんゃマンナン粉を混合、更に対水比重を増すために砂を適量配合して土のう袋に封入する。

[0019] 本発明を更に詳細に説明する。

[0020] 図 1に示すのは本発明の土のうである力袋は天然素材例えば麻袋 1であって、透水性に富みながらも乾燥時の内容物の流出がないよう目の細かな編み込みによって作られている。

[0021] 図 2は、図 1の A—A'断面である。麻袋 1内にはヒノキ材細片 2および砂 3と主たる膨張材として穀物でんぷんやマンナン粉が混合されて詰められており、吸水後には土のうとしての使用重量まで増加膨張する。

[0022] 図 3は、本発明の土のうの乾燥時を示し、図 4は吸水後の膨張時を示す。

実施例 1

[0023] 天然素材による土のう袋は、例えば麻袋 1であって、乾燥時の内容物を流出させることがないように細かな編み目にて織り込まれたもので、使用時の吸水膨張のために外部からの水分の透過率に優れた外袋とする。また、麻袋ならば表面の摩擦係数が高いので、土のうを積み上げる際の滑り止め効果もある。

[0024] 土のう内容物は、まずヒノキ材の細片 2を用いる力例えば木材として製材時に発生する木クズを再利用すれば廃材の有効利用となる。膨張材の均等吸水作用にお、てヒノキ材は望ましくは細片状が良いが、木粉状のものであってもヒノキ独特の有効成分が残留しており、混合して利用が可能である。

[0025] また、ヒノキの木質部分のみならず、榭皮部分も細片に裁断することによって利用可能であり、特に榭皮部分の細片は反発力に富んでいるので、土のう内容物の膨張時の水分透過性能および土のうの嵩増しに寄与する点が確認された。

[0026] 各原材料の配合割合の一例としては容積比で、ヒノキ材細片 70%、穀物でんぷん或いはマンナン粉の単体またはそれらの混合体 20%、砂 10%とする。

[0027] 穀物でんぷんは、例えばジャガイモでんぷんであって、乾燥粉体状となっており、土のうサイズや使用用途によりこんにやく原料であるマンナン粉を代替的若しくは一部混入して使用することがある。

[0028] ジャガイモでんぷんはマンナン粉に比べてゼリー状態での粘度や硬度にお!、て柔軟性を有しており、膨張時において水分吸収性の遅いヒノキ材の隙間を浸漬してきた水分を全体においてほぼ均等且つ急速に吸収、ゼリー化していくので均一に土のうが膨張できる効果がある。

[0029] 本発明の土のうは、標準的には水分吸収を開始して 2分半から 3分で完全膨張状態となり、土のうとしての機能を得ることができるが、膨張に必要な水は淡水、水道水、海水、泥水あるいは油分を含む水であっても問題ない膨張性を有している。

[0030] 土のう内容物の加工にぉ、て、ヒノキ材細片、穀物でんぷん或、はマンナン粉、砂を混合攪拌すると、原材料中に含まれる僅かな水分によって親指大の球状力まりとなり、この混合物を土のう麻袋内に一例として約 4. 8Kg充填封入する。

[0031] 続いて保管時の土のう袋の厚みを減らすためと内容物の均等化および水分除去のためにプレス機にて加圧すると、土のう袋は重量約 4. 5Kg、厚み約 3cmに圧縮され、内容物も固化されるので粉体などの袋外流出がなくなる。

[0032] 使用時において、膨張後の本発明の土のうは重量約 23Kgとなり、水に対する比重は 1. 1となるように砂を混合して、るから水中に沈降して積み上げができ流出しな!ヽ。実証試験によると例えば吸水ポリマーだけの緊急用土のうであれば重量は 15Kg程度で対水比重は約 0. 7となるから、水中においては浮揚流出してしまう。

[0033] 使用中及び使用後において、本発明の土のうは天然素材である有機物で構成されていながらも、ヒノキ材の有効成分の働きにより腐敗や悪臭の発生が抑えられることが実証されている。

[0034] また使用後の処理においては、吸水後の本発明の土のうは更なる水分の追カ卩吸収力い場合で、夏場 10日程度、冬場 45日程度で完全膨張時の約半分まで収縮するので、そのまま土中に埋設したり、一般焼却によって廃棄処分することができる。産業上の利用可能性

[0035] 旧来、土のうは麻袋に土砂を詰めて閉じ口を封じて作られるものであった力土砂が豊富に手に入る工事現場での使用や山間部における砂止め用途ならば現場での土砂の調達が出来ても、近年各地で起こる自然災害時における土のうの使用においては、土のう袋に封入すべき土砂の入手が困難な場合があり、また都市部での冠水災害時では更に土砂の調達が難しい現実がある。

[0036] この場合において、本発明の土のうは平常時での備蓄保管が可能で、いざ災害時には海水であろうと泥水であろうと、吸水膨張できるだけの水があれば、土のうとしての大きさと機能を得ることができるものである。

[0037] 通常時において、水分がなければ本発明の土のうは一個あたり厚さ 3cm程度であるから、豪雨による緊急な冠水に備えて平時より地下室入り口付近などに配置しておけば、冠水流入してきた雨水によって本製品の土のうが吸水膨張して厚さ 16cm程度まで膨張、遮水効果を発揮するといつた使用も考えられる。

[0038] 本製品が水を得て土のうとして使用されている場合には、土のう内容物の流出などの万一のことも考えられるが、内容物は全てが天然素材によるものであるから、例え流出した場合であっても周辺環境に害をもたらすおそれがない。

[0039] 更に、本発明の土のう内容物中に含まれるヒノキ材は、天然成分ヒノキチオールに雑菌の繁殖抑制効果が、香り成分であるフィトンチッドには消臭効果が確認されており、実証試験によっても土のう使用中使用後の腐敗と悪臭発生が抑えられることが確 [0040] また、ヒノキ材の有効成分によって、本発明の土のうは水分吸収がない乾燥状態にある限り、約 5年間は品質保持が可能であり、長期の常備が可能な特徴も有している

[0041] なお、土のうは一時的な使用に用いられるものであるから、使用後の廃棄処理が必須となる力本発明の土のうはすべてが天然素材によるものであるから、土中埋設によったり、産業廃棄物としてではなく一般のゴミとして焼却などの簡便な廃棄が可能である。

Claims

請求の範囲

[1] ヒノキ材を帯状、くず状、チップ状の細片または木粉状とし穀物でんぷんと砂を混合させた吸水膨潤性を有する内容物を透水性天然素材の土のう袋に乾燥状態で封入したことを特徴とする土のう。

[2] 吸水性が遅いヒノキ材等の木質素材を土のう内容物全体に均等混合することにより穀物でんぷん或いはマンナン粉等の天然膨張材に水分が均等に透過して平均的な膨潤性を有することを特徴とする請求項 1に記載の土のう。

[3] ヒノキ材原料として木質部のみならず榭皮部を用いることを特徴とする請求項 1から

2のうち!/、ずれかに記載の土のう。

[4] 土のう内容物が吸水膨潤後、水中においても自重にて沈降するよう対水比重が調整されたことを特徴とする請求項 1から 3のうちいずれかに記載の土のう。