WO2007004467A1

WO2007004467A1 - 電気二重層キャパシタ

Info

Publication number: WO2007004467A1
Application number: PCT/JP2006/312786
Authority: WO
Inventors: Satoshi Kubota
Original assignee: Nisshinbo Industries, Inc.
Priority date: 2005-06-30
Filing date: 2006-06-27
Publication date: 2007-01-11
Also published as: JPWO2007004467A1; US20090046412A1; EP1898434A1; CN101208761A

Abstract

【課題】　内部圧力の上昇による蓋体等の変形の少ない構造を持った電気二重層キャパシタを提供する。【解決手段】　複数の薄板状電極板１１，１２と、各電極板間に挿入されて電極板間を絶縁する薄板状の絶縁部材１３とを積層した積層体１５と、該積層体を収容する容器１９と、該容器１９内に充填される電解液１４と、前記容器１９内にあって、容器の積層方向の側方に空間１７を形成した状態で容器を覆う可撓性の蓋体１００と、該蓋体に穿設され、前記電極板に接続された正負のリード端子が挿通される２つの挿通孔１０１と、該挿通孔の縁部に設けられた補強部１０４とを有する。また、蓋体１００の平面部１１０に圧力調整弁１３０を設けている。

Description

明細書

電気二重層キャパシタ

技術分野

[0001] 本発明は電気二重層キャパシタに関し、特に、可撓性の容器や蓋体を使用しても、容器の内圧の上昇による変形が少ない電気二重層キャパシタに関する。

背景技術

[0002] 図 6は、従来の電気二重層キャパシタの構成例を模式的に示す断面図で、図 7は電極板の斜視図である。電気二重層キャパシタ 10は、正電極板 11と負電極板 12と、これらの間を絶縁する絶縁部材 13とを水平方向に積層して 1つのユニット Uとし、このユニット Uを別の絶縁部材 13で絶縁して複数ユニットを水平方向に積層して積層体 15とし、この積層体 15を容器 19内に収容したものである。容器 19内には電解物質として電解液 14を充填し、容器 19の上部の開口端側を蓋体 16で覆っている。蓋体 16は断面形状が矩形をした容器 19の対向する 2辺を跨ぐ山形をしており、その内側には、容器 19の上方、すなわち、積層方向の側方に空間 17が形成されるようになつている。

[0003] 正電極板 11と負電極板 12とは同じ構成で、厚さ 20〜60mのアルミ箔からなる集電体に、活性炭、導電剤、バインダー、溶剤等を混合してスラリー状にしたものを電極 1 la, 12a以外の部分の片面或いは両面に塗布して乾燥したものである。正電極板 11 と負電極板 12とをほぼ垂直方向に配置して、水平方向に複数枚積層している。絶縁部材 13は、各電極板 11 , 12及びユニット U同士が直接接触しないように絶縁するもので、紙、ポリプロピレン、ポリエチレン、ガラス繊維などの絶縁性素材を使用した不織布や多孔性フィルムを使用している。図 6では、便宜上、正電極板 11を実線、負電極板 12を点線、絶縁部材 13を二点鎖線で示している。ユニット Uは、 1枚の正電極板 11と負電極板 12とこれらの間にある絶縁部材 13と、これらの間に充填される電解液 14とからなり、 1つのコンデンサ（キャパシタ）を構成している。容器 19は、アルミラミネートフィルムなどの可撓性のシート状の素材で成型されたものである。

[0004] リード端子 18は、各ユニット Uの正電極 11aをまとめて接続したプラスのものと負電極 12aをまとめて接続したマイナスのものの 2つがある。蓋体 16の上端となる山形の稜線には、 2つのスリット状の揷通孔 16aがあり、リード端子 18を貫通させる。蓋体 16 および積層体 15は、容器 19で包んで封止される。

[0005] 電解液 14としては、水系溶媒を用いることもある力非水系溶媒を用いた方が高電圧を得られるという特徴がある。ただし、非水系溶媒では、水分の混入を極力妨げる必要がある。電気二重層キャパシタは、二次電池のように物質の化学変化を利用するものではないが、混入する不純物によってガスが発生して、容器 19内部の圧力が高まることがある。内部の圧力が上昇すると、容器 19が合成樹脂製であるから変形し易ぐ特に、リード端子の貫通している挿通孔 16aは弱ぐこの揷通孔 16aの部分に変形が集中する。

[0006] 図 8は蓋体 16の斜視図、図 9は蓋体 16の上面図で、（a)は変形前、（b)は圧力により変形した状態を示す。このように挿通孔 16aが変形すると、リード端子 18との間に隙間ができ、封止が破れて容器内部が外部に曝されてしまい、電解液や電極の劣化が進んでキャパシタの性能が低下することにもなる。

[0007] 水分は容器 19を取り巻く大気からも浸入するおそれがある。そのため、容器 19の素材としてシート状部材であるところの、アルミ箔を軟質の合成樹脂層でサンドイッチ状に挟んだアルミラミネートフィルムを使用すると、アルミ箔が空中の水分を遮断できるので、望ましレ、。しかし、空中の水分の遮断が可能なものであれば、アルミラミネ一トフイルム以外のものを使用することができる。

[0008] なお、アルミ箔は水分を完全に遮断するが、このアルミ箔を挟んでいる合成樹脂製のフィルム部分は微量ではあるが水分を透過する。したがって、大気と容器内部との間にアルミラミネートフィルムの合成樹脂層が介在していると、ここから大気中の水分が極微量であるが浸入するおそれがある。具体的には、容器 19はシート状のアルミラミネートの合成樹脂部分同士を熱融着して任意の形をした袋状に成形するのであるが、この合成樹脂同士を熱融着させた部分は袋の内部と外部とが合成樹脂のみによって隔てられていることになり、合成樹脂中を透過する水分は、少なくとも熱融着された長さだけ移動しなければならないが、容器内部に進入し得るのである。また、構造的にこの合成樹脂層の介在を全く無くすことはできない。そこで、このアルミラミネ一トフイルムの合成樹脂層内での水分の移動がなるべく長くなるように、容器 19の封止の仕方には、熱融着幅を大きくとる工夫がなされている。

[0009] 一方、内部の圧力が上昇したときは、適当な方法で圧力を下げることで、電解液の量が若干減少しても、残量が適当である限り、弓 Iき続きキャパシタとして使用することが可能である。そのような観点から、容器 19の上部（積層方向の側方）の蓋体 16の内側に空間 17を設け、電解液を多めに充填しておくことができるようにしている。

[0010] 容器 19の内部の圧力が上昇したとき、圧力を下げるための圧力調整弁を設けたものとして、特許文献 1に記載のものが知られている。これは、合成樹脂フィルムのような可撓性の外装体を用いた電気二重層キャパシタにおいて、その外装体に容易に装着できる、小型の回復可能な圧力調整弁を備えたものである。

[0011] しかし、特許文献 1に記載の小型の回復可能な圧力調整弁は、小さな薄い部品がポリオレフインやゴムなどから形成されている。そのため、圧力調整弁をアルミラミネ一トフイルムといった可撓性の容器部材に融着したとき、圧力調整弁の部品自体が、キャパシタの内外圧の差による力以外に、キャパシタの内外圧の差による圧力調整弁周辺の容器部材の変形に追随して伸縮してしまい、設定した圧力以下で弁が誤作動するなど、作動自体が不安定になったりするおそれがあった。

[0012] また、容器の上部にガスの溜まる空間を形成し、これに連通してコイルスプリングなどを使用した複雑で嵩高のガス抜きバルブを取り付けたものとして、特許文献 2に記載のものもある。この特許文献 2記載の嵩高なガス抜きバルブは、設定した圧力で正確に動作する。

[0013] しかし、バルブ自体が両側にある端子よりもかなり厚みがあるので、バルブの取付部分となっている筒状の開口部を、周囲のラミネートフィルムに溶着する際に、バルブ付近のラミネートフィルムをほぼ直角に曲げてバルブに溶着することになり、ラミネ一トフイルムにピンホールができやすくなるという問題があった。また、バルブの構成が複雑であり、高価になるという問題もあった。

特許文献 1 :特開 2002— 280272号公報

特許文献 2 :特開 2003— 272968号公報

発明の開示発明が解決しょうとする課題

[0014] 本発明は、このような事実から考えられたもので、圧力調整弁の作動回数が少なくて済むようになるべく高く設定した圧力まで、内部圧力が上昇しても蓋体等の変形の少ない構造を持った電気二重層キャパシタを提供することを目的としている。また、上記の目的に加え、設定した圧力で安定して動作可能で、ピンホールなどができにくく、しかも、構成が簡単な圧力調整弁を備えた電気二重層キャパシタを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0015] 上記の目的を達成するために本発明の電気二重層キャパシタは、複数の薄板状電極板と、各電極板間に揷入されて電極板間を絶縁する薄板状の絶縁部材とを積層した積層体と、シート状部材からなり該積層体を収容する容器と、該容器内に充填される電解液とからなる電気二重層キャパシタにおいて、前記容器内の前記積層方向の側方に空間を形成した状態で前記側方を覆う蓋体と、該蓋体に穿設され、前記電極板に接続された正負極のリード端子が挿通される 2つの揷通孔と、該挿通孔の縁部に設けられた補強部とを有することを特徴としている。補強部は、板状でリード端子に接着等によって固定できるものとしてもよい。

[0016] 容器内でガスが発生し、容器内の圧力が上昇すると、蓋体が可撓性なので変形する。特に、リード端子が挿通される揷通孔の部分は変形し易ぐここが大きく変形すると、封止が破れて容器内が外部に曝される。容器内部が外部に曝されると電極板や電解液が劣化して、キャパシタとしての性能が低下したり、使用不能となる場合も生じる。本発明では、最も弱い部分である挿通孔に補強部を設けたので、挿通孔の変形を抑えることができ、封止が破れて容器内部が外部に曝露されることを防止することができる。

[0017] 前記蓋体が、前記容器内の積層体の側方にあって容器内部の矩形断面の対向する 2辺を跨ぐ山形で、少なくとも一部に平面部を有し、該平面部に圧力調整弁を設けた構成としたり、前記蓋体が、容器内部の矩形断面の対向する 2辺を跨ぐ山形で、山形の一方側が平面部であって、他方側が外側に凸の曲面部である構成としたりすること力 Sできる。 [0018] また、前記蓋体には、前記容器のシート状部材が積層され、前記圧力調整弁が前記蓋体に穿設された貫通孔と、前記シート状部材に穿設された孔と、該孔に設けられたガス抜き弁とを有する構成としたり、前記蓋体には、前記シート状部材が積層され、前記圧力調整弁が、前記蓋体に穿設された貫通孔と、該貫通孔を封止するガス透過膜と、前記シート状部材に穿設された孔と、該孔に設けられたガス抜き弁とを有する構成としたり、さらには前記ガス抜き弁と前記ガス透過膜とが離れた位置に配置され、前記ガス抜き弁及びその周辺部、あるいは前記ガス抜き弁とガス透過膜及びその周辺部では前記シート状部材と蓋体とが接離可能である構成とすることができる

[0019] また、本発明の電気二重層キャパシタは、複数の薄板状電極板と各電極板間に挿入され電極板間を絶縁する薄板状の絶縁部材とを有する積層体と、シート状部材からなり該積層体を収容する容器と、該容器内に充填される電解液とを有する電気二重層キャパシタにおいて、前記容器内の積層体の側方にあって容器内部の矩形断面の対向する 2辺を跨ぐ蓋体を設け、該蓋体が少なくとも一部に平面部を有し、該平面部に圧力調整弁を設け、該圧力調整弁が、前記蓋体に穿設された貫通孔と、前記シート状部材に穿設された孔と、該孔に設けられたガス抜き弁とを有することを特徴としている。

[0020] 前記圧力調整弁が、前記蓋体の貫通孔を封止するガス透過膜を有する構成としたり、ガス抜き弁とガス透過膜とが重ならないように配置した構成としたり、ガス抜き弁が、軟質の素材からなり、スリット状の孔が穿設され、常時は孔が閉じており、圧力が上昇すると孔が開く構成としたり、前記蓋体が、山形である構成としてもよい。

発明の効果

[0021] 本発明によれば、可撓性の蓋体に形成された揷通孔の変形を、補強部で補強したので、挿通孔の変形を防止して封止が破れて容器内部が外部に曝露されることを防止できるという優れた効果を奏し得る。

[0022] 平面部に圧力調整弁を設けることによって、圧力調整弁の動作を正常にし、設定された圧力で正確に動作するようにできる。圧力調整弁が、ガス抜き弁と前記ガス透過膜とを有する構成とすることで、電解液がガス抜き弁から漏洩するのを防止することができる。また、これらが離れた位置に配置すると、大気から水分が容器内に浸入するのを防止することができる。

[0023] また、蓋体の一方を平面部とし、他方を曲面部とすることで、蓋体の内部にできる空間の高さを大きくすることなぐ空間の体積を大きくすることができる。

図面の簡単な説明

[0024] [図 1]本発明の電気二重層キャパシタの蓋体の部分を示す斜視図である。

[図 2]蓋体の図で、（a)は図 1の B— B線断面図、（b)は図 1の C C線断面図である。

[図 3]図 1の A— A線断面図で、（a)は使用前の電気二重層キャパシタの保管時、および使用し始めてまだ容器内外の圧力が等しい状態、（b)は容器内の圧力が外部よりも正圧になり、圧力調整弁の設定値以上に上昇した状態、（c)は電気二重層キャパシタを使用し始めたのち、容器内の圧力が外部よりも正圧だが、圧力調整弁の設定値未満の状態である。

[図 4] (a) , (b)は、圧力調整弁部分のシート状部材と接着されない範囲の形状の例を示す図である。

[図 5] (a)〜（d)は、蓋体が矩形の場合の例と、圧力調整弁の位置の変更例を示す図である。

[図 6]従来の電気二重層キャパシタの構成例を模式的に示す断面図である。

[図 7]電極板の斜視図である。

[図 8]従来の蓋体の斜視図である。

[図 9]図 8の蓋体の上面図で、（a)は変形前、（b)は圧力により変形した状態を示す。符号の説明

1 電気二直層キ 'パ、：

11 (正)電極板

12 (負）電極板

13 絶縁部材

14 電解液

15 積層体 100 蓋体

101 揷通孔

102 貫通孔

104 補強部

110 平面部

114 ガス透過膜

115 ガス抜き弁

120 曲面部

130 圧力調整弁

U ユニット

発明を実施するための最良の形態

[0026] 以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。

[0027] 図 1は、本発明の電気二重層キャパシタ 1の蓋体の部分を示す斜視図である。図 2 は蓋体 100の図で、（a)は図 1の B— B線断面図、（b)は図 1の C— C線断面図である。電気二重層キャパシタ 1の蓋体 100以外の部分、たとえば、リード端子 18, 18と容器 19を仮想線で示すが、蓋体 100以外の構造は、従来例で説明したものと同じである。

[0028] なお、正電極板 11と負電極板 12の配置順序であるが、積層体 15全体として正負の電極板が絶縁部材 13を挟んで 1枚ずつ交互に配置され、通常、積層体 15の両端部の電極板を負電極板にしている。

[0029] 蓋体 100は、プラスチック製で、射抜き成型、射出成型などにより成型され、あるレヽはそのようにして得られた成型部品を立体形状になるように組み立てたものである。蓋体 100は、容器 19の上端に開いた長方形の開口部から容器 19内に挿入され、容器 19の矩形断面の対向する 2つの長辺を跨ぐような構成で、山形をしており、山形の一方が平面部 110で他方は曲面部 120となっている。一方を曲面部 120ととし、外側に膨らませることによって、蓋体 100の内部にできる空間 17の高さ寸法を大きくすることなく体積のみを大きくすることができる。このことは、電気二重層キャパシタ 1の重量当たりのキャパシティを向上するために重要である。空間 17を大きくすることで、余剰電解液の量を増加でき、かつ、発生するガスを一時的に溜める緩衝機能を強化すること力 Sできる。

[0030] 図 2 (a)に示すように、蓋体 100のリード端子 18が揷通される部分には揷通孔 101 が穿設されている力この揷通孔 101の外側には、リブ 102を形成することができる。このリブは、山形の蓋体の外側だけでなく内側を肉厚にしたものであってもよレ、。さらにリブ 102の頂部には、 2枚の平行な板状の補強部 104が立設されている。これらは、蓋体 100の成型時にどちらかだけを蓋体と一体のものとして成型することができる力リブ 102と補強部 104とが一体になつたものを成形してもよいし、蓋体 100と別個に形成して蓋体に接着あるいは熱融着してもょレ、。

[0031] 蓋体 100と積層体 15を中に収めるため、容器 19は、アルミ箔 19aの両面を軟質の合成樹脂層で挟んだアルミラミネートフィルムを適宜の容積になるように袋状に形成する。たとえばシートを 2つ折りにし、その折目に接し対向する 2つの辺を熱圧着すればよい。この袋状の容器に積層体 15と電解液 14とを入れたのち、蓋体 100を入れ、蓋体 100の挿通孔 101にリード端子 18を貫通させリード端子 18を容器 19の外に突出させる。蓋体 100とリード端子 18の左右両面から袋状容器 19の開口部を熱融着することで、容器 19と蓋体 100及びリード端子 18の間を気密に密閉する。あるいはァルミラミネートフィルムに積層体 15全体、または半分の容積のくぼみを設けておき、これに別のアルミラミネートフィルム、または同様にくぼみを設けておいたアルミラミネ一トフイルムを合わせてくぼみ周囲を熱融着して容器を形成してもよい。

[0032] 合成樹脂層としては、電解液 14と不活性な材料であれば、特に制限はない。ただし、蓋体 100や容器 19と接する内側の合成樹脂層を熱可塑性樹脂にすると、接着剤を使用せずに容器 19のシート状部材を蓋体 100や容器 19に熱融着することができる。さらに、蓋体 100や容器 19に用レ、るものと同じ素材にすることで、融着し易くなる。このような素材としては、たとえば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられ、中でもポリプロピレン、ポリエチレンが好ましい。容器の最外層となる合成樹脂層としては、たとえば、 PET (ポリエチレンテレフタレート）を使用すると、容器の耐薬品性や耐熱性を向上させ、アルミ箔層を線状に折れることを妨げピンホール発生を防止することができる。

[0033] 補強部 104は、薄板状で、リード端子 18 (アルミニウム製で封止部に接する部分は容器 19のシート状部材の熱融着樹脂と熱融着可能な樹脂が固着している）に熱融着などによって接着固定される。補強部 104そのものでも補強となるが、リード端子 1 8と接着固定されることで、より強く補強することができる。補強部 104により、容器 19 内の圧力が上昇しても揷通孔 101の変形を防止することができる。さらに、リブ 102は、揷通孔 101の薄肉部分を厚くしてさらなる補強をしている。

[0034] この構成によって、容器 19と蓋体 100とは外部と気密に封止され、容器 19内の圧力が上昇しても、挿通孔 101の部分で変形することを防止することが可能となる。この部分の変形を防止し、容器内のそれ以上の正圧は次に説明する圧力調整弁により適宜外部へ開放し、容器の変形を防止することができる。なお、補強部 104等で挿通孔 101の変形を防止できるため、圧力調整弁が動作する圧力を高く設定することができ、高く設定することで、圧力調整弁の作動回数を減少することができるようになる。

[0035] 蓋体 100の平面部 110には、その外側表面の中央部付近に圧力調整弁 130が設けられている。図 3は図 1の A— A線断面図で、（a)は使用前の電気二重層キャパシタの保管時、および使用し始めてまだ容器 19内外の圧力が等しい状態、（b)は容器内の圧力が外部よりも正圧になり、圧力調整弁 130の設定値以上に上昇した状態、（ c)は電気二重層キャパシタを使用し始めたのち、容器内の圧力が外部よりも正圧だ、圧力調整弁の設定値未満の状態である。以下に圧力調整弁 130の構成を説明する。

[0036] 前述したように、蓋体 100は、容器 19のシート状部材で覆われている。シート状部材は、アルミ箔 19aの両面を軟質の合成樹脂層 19b, 19cで挟んだアルミラミネートフイルムを使用している。蓋体 100の平面部 110の外側表面には少なくとも 1つの円形の凹部と、その凹部の中央に平面部 110を貫通する孔がある。例えば図 3のように、 2つの円形の凹部 111， 112を設ける場合は、一方の凹部 111には、中央に平面部 110を貫通する孔 113が穿設され、孔 113を経由して空間 17と平面部 110の凹部 1 11 , 112側とが連通している。この孔 113は、平面部 110に設ける凹部が一つの場合はガス抜き弁のみを嵌装して閉塞する力 \ガス透過膜とガス抜き弁を重ねたもので嵌装して閉塞する。平面部 110に 2つの凹部を設ける場合は、凹部 111にはガス透過膜 114のみを嵌装して閉塞し、凹部 112にはガス抜き弁を収容する。凹部 111に嵌装し孔 1 13を閉塞するガス透過膜 114は、気体は通過できるが、液体は通過できない性質を備えている。

[0037] 他方の凹部 112と対向する容器 19のシート状部材には、ガス抜き弁 115が貼付されている。ガス抜き弁 115は、凹部 112内に進入可能で、容器 19のシート状部材が平面部 110に密着した状態のとき、ガス抜き弁 115は凹部 112内に収容される。ガス抜き弁 115は、柔軟性のある素材、たとえば、ゴムや合成樹脂で、中央にスリット 1 15 aを有する。シート状部材のスリット 115aと対向する位置には孔 19dが貫通している。スリット 115aに代えて小孔としてもよい。スリット 115aゃ小孔は、通常は素材の有する弾性により孔が閉じた状態で、一方の圧力が上昇すると、ガス抜き弁 115の孔が開くようになつている。したがって、このスリット 115aの大きさや使用する素材の弾性、ガス抜き弁としての厚み等でガス抜きする圧力を調整することができる。

[0038] シート状部材である容器 19は、電気二重層キャパシタを封止する目的で使用されるので、原則的には、平面部 110および曲面部 120の外側表面と容器 19のシート状部材とは接着材あるいは熱融着などによって密着している。しかし、図 1に示すように、凹部 111， 112の周囲に長円 131で示される範囲の内側は、平面部 110と容器 19 のシート状部材とは接着されてなぐ接離可能になっている。そして使用前の電気二重層キャパシタの保管時、および使用し始めてまだ容器 19内外の圧力が等しいときは、図 3 (a)に示すように、ガス抜き弁 115は凹部 112内に収容されている。リード端子 18をまたがるように袋状容器の開口部を熱融着して容器 19を密閉する際に、容器内部を減圧にすると、ガス抜き弁 115は凹部 112内に押しつけられてガス抜き弁 115 の凹部 112内への収容を確実にできる。

[0039] なお、圧力調整弁 130のシート状部材と接着されない範囲の形状を図 1では、長円 131で示した力この形状は長円に限定されるものではなレ、。たとえば、図 4 (a)に示すように、凹部 111と凹部 112の中間がくびれた形状 132や、図 4 (b)に示すように円の一部が重なった形状 133など、凹部 111 , 112よりやや大きい周囲の円形の範囲を、その円の直径よりも小さい幅で繋いだ形状とすることができる。図 1に示すような、長円の場合は最も製造が容易である。また図 4 (a)のような中間がくびれた形状や図 4 (b)のような円の一部分が重なった形などの場合は、シート状部材の平面部 110からの離反の距離を小さくできる。そうすると、図 2 (b)に示すように電気二重層キャパシタ 1を複数個連ねて使用する際に、圧力調整弁 130が隣接する電気二重層キャパシタと密着する可能性を非常に小さくできる。

[0040] 電気二重層キャパシタを使用し始めて容器 19内の圧力が外部より正圧になり、圧力調整弁 130の設定値を越えると、図 3 (b)に示すように、容器内に発生したガスは孔 113を通り、ガス透過膜 114を通過して容器 19のシート状部材と平面部 110との間に入り、シート状部材を平面部 110から離反させる。そして、容器内に発生したガスは、ガス抜き弁 115のスリット 115aを広げて孔にしてシート状部材に穿設された孔 19dから外部に抜け出る。これによつて、容器 19内の圧力を低下させることができる。

[0041] 容器 19内の圧力が低下し、ガス抜き弁 115の設定値未満になると、容器内の正圧により容器 19のシート状部材は図 3 (c)に示すように平面部 110から少し浮いた状態に保たれ、スリット 115aは閉じられ、ガスの漏洩はなくなる。このとき、容器内はガス抜き弁 115の設定値未満の正圧に保たれてレ、るので、？ LI 9dを通じて外部からの水分の侵入を抑制することができる。

[0042] 本発明の圧力調整弁 130は、平面部 110に形成されているので、動作が安定している。すなわち、設定された圧力になると圧力調整弁 130がガス抜きをし、設定圧未満では容器内外を遮断するシールとして働く。

[0043] また、ガス抜き弁 115の容器側にガス透過膜 114を設けたので、ガス抜き弁 115から電解液 14が漏出するのを抑制することができる。ガス抜き弁 115とガス透過膜 114 とは重なった位置にあってもょレ、が、ガス抜き弁 115とガス透過膜 114との位置を全く重ならないように離れた位置にずらし、ガス抜き弁 115をガス透過膜 114とは異なる凹部 112に嵌装することによって、ガス抜き弁 115の閉止を確実にできる。また、ガス抜き弁 115の構成を非常に簡単にすることができる。

[0044] さらにはガス抜き弁 115が載置される凹部 1 12の低部表面全体、および側面全体にアルミ箔を接着しておくと、ガス抜き弁 115のスリット 115aから蓋体 100の平面部 1 10ヘスリットの直線方向に透過する水分の進入を妨げることができ、使用前の電気二重層キャパシタの保管時、および使用し始めてまだ容器 19内外の圧力が等しレヽ状態での耐透湿性を向上させることができる。

[0045] 詳述すると、図 3 (a)のように使用前の電気二重層キャパシタの保管時、および使用し始めてまだ容器 19内外の圧力が等しい状態では、ガス抜き弁 115は閉じているが、シート状部材に穿設された孔 19dからシート状部材の合成樹脂層 19cを通って、容器 19内に大気中の水分が微量ではあるが侵入するおそれがあるのである力孔 19d 力も容器 19内部に向かって浸透可能な平面部 110の部分までの距離を長くすることにより、大気中の水分が侵入し難くなつているのである。

[0046] 本発明の蓋体 100は、山形で一方が平面部 110、他方が曲面部 120となっている力一般には凸形であればよぐ台形や、矩形でもよい。台形や矩形にした場合、圧力調整弁 130を頭頂面に設けることも可能となる。また、蓋体 100全体を曲面としてもよいが、圧力調整弁 130は、平面に設けることが望ましい。前述したように動作が正確になるからである。

[0047] 本発明の電気二重層キャパシタ 1は、図 2 (b)に示すように、複数個連ねて使用する。このとき、隣接する蓋体 100の平面部 110同士を対向させるようにすることで、圧力調整弁 130の前に空間が確保できる。仮に、圧力調整弁 130が隣接する電気二重層キャパシタと密着すると、圧力調整弁 130が閉塞され、圧力の開放ができなくなるが、蓋体 100の一方を傾斜した平面部 110に圧力調整弁 130を設け、平面部 110 同士を対向させることで、そのような問題を解決することができるのである。

[0048] 以上の実施例では、電解液 14を例示したが、電解液 14の代わりにゲル状や固体の電解質組成物を用いてもょレ、。

[0049] 図 5は、蓋体の他の実施例で、矩形の場合を示す図である。リード端子 18、リブ 10 2及び補強部 104は圧力調整弁 130が設けられる面に配置される力図上では省略してレ、る。図 5 (a)の蓋体 100 'は、コ字型の両端が閉じた箱型で、箱の底面になる部分が無い形状である。圧力調整弁 130は、蓋体 100 'の頂面の中央で、かつ、幅方向の中心に設けられている。図 5 (b)の蓋体 100 'は（a)と同じ底面の無い箱型で、圧力調整弁 130が頂面の長さ方向の中央で、幅方向では一方に偏った位置に設けられている。図 5 (c)の蓋体 100"は、コ字型の両端が開放され形状で、圧力調整弁 13 0は、蓋体 100"の頂面の中央に設けられている。図 5 (d)は、（c)と同じくコ字型の両端が開放された蓋体 100"で、圧力調整弁 130が頂面の長さ方向の中央で、幅方向では一方に偏った位置に設けられている。

いずれの場合も、蓋体 100 ' , 100"は矩形の箱型なので、二つの電気二重層キヤパシタに挟まれる一つのキャパシタにおいて、その側方に空間 17を最大限確保できる。また、圧力調整弁 130は、蓋体の平面部である頂面に形成されているので、複数の電気二重層キャパシタ 1を相互に密着して並べて配置した場合でも、隣接する電気二重層キャパシタ 1によって圧力調整弁 130が閉塞されることがない。さらには、空間 17が最大限確保されることと圧力調整弁 130が蓋体頂面に配置されることにより、キャパシタ内の電解液が余剰に存在していても、電解液を圧力調整弁に触れさせることなく余裕を持って留保できる。

Claims

請求の範囲

[1] 複数の薄板状電極板と、各電極板間に挿入されて電極板間を絶縁する薄板状の絶縁部材とを積層した積層体と、シート状部材からなり該積層体を収容する容器と、該容器内に充填される電解液とからなる電気二重層キャパシタにおいて、前記容器内の前記積層方向の側方に空間を形成した状態で前記側方を覆う蓋体と、該蓋体に穿設され、前記電極板に接続された正負極のリード端子が挿通される 2つの挿通孔と、該揷通孔の縁部に設けられた補強部とを有することを特徴とする電気二重層キャパシタ。

[2] 前記蓋体が、前記容器内の積層体の側方にあって容器内部の矩形断面の対向する 2辺を跨ぐ山形で、すくなくとも一部に平面部を有し、該平面部に圧力調整弁を設けたことを特徴とする請求項 1記載の電気二重層キャパシタ。

[3] 前記蓋体が、容器内部の矩形断面の対向する 2辺を跨ぐ山形で、山形の一方側が平面部であって、他方側が外側に凸の曲面部であることを特徴とする請求項 2記載の電気二重層キャパシタ。

[4] 前記蓋体には、前記容器のシート状部材が積層され、前記圧力調整弁が前記蓋体に穿設された貫通孔と、前記シート状部材に穿設された孔と、該孔に設けられたガス抜き弁とを有することを特徴とする請求項 2または 3のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ。

[5] 前記蓋体には、前記シート状部材が積層され、前記圧力調整弁が、前記蓋体に穿設された貫通孔と、該貫通孔を封止するガス透過膜と、前記シート状部材に穿設された孔と、該孔に設けられたガス抜き弁とを有することを特徴とする請求項 2または 3のレ、ずれかに記載の電気二重層キャパシタ。

[6] 前記ガス抜き弁と前記ガス透過膜とが離れた位置に配置され、前記ガス抜き弁と及びその周辺部、あるいは前記ガス抜き弁とガス透過膜及びその周辺部では前記シート状部材と蓋体とが接離可能であることを特徴とする請求項 4又は 5記載の電気二重層キャパシタ。

[7] 複数の薄板状電極板と各電極板間に挿入され電極板間を絶縁する薄板状の絶縁部材とを有する積層体と、シート状部材からなり該積層体を収容する容器と、該容器内に充填される電解液とを有する電気二重層キャパシタにおいて、前記容器内の積層体の側方にあって容器内部の矩形断面の対向する 2辺を跨ぐ蓋体を設け、該蓋体が少なくとも一部に平面部を有し、該平面部に圧力調整弁を設け、該圧力調整弁が、前記蓋体に穿設された貫通孔と、前記シート状部材に穿設された孔と、該孔に設けられたガス抜き弁とを有することを特徴とする電気二重層キャパシタ。

[8] 前記圧力調整弁が、前記蓋体の貫通孔を封止するガス透過膜を有することを特徴とする請求項 7記載の電気二重層キャパシタ。

[9] 前記蓋体が、山形であることを特徴とする請求項 7又は 8記載の電気二重層キャパシタ。