明 細 書
メタノール燃料電池力ートリッジ
技術分野
[0001] 本発明は、直接型メタノール燃料電池 (DMFC)の燃料タンクや詰め替え用容器等 として好適に用いられる、携帯可能なメタノール燃料電池力ートリッジに関する。 背景技術
[0002] メタノールを燃料とする直接型メタノール燃料電池(DMFC)は、ノートパソコン、携 帯電話等のモパイル機器用の電源として注目され、種々のタイプのものが知られて いる (例えば、特許文献:!〜 3参照)。
特許文献 1 :特開 2004— 265872号公報
特許文献 2:特開 2004— 259705号公報
特許文献 3:特開 2004— 152741号公報
[0003] そして、これらの燃料電池では電池の小型化を図るために、燃料となるメタノールを 収納する燃料タンク (カートリッジ)を小型化、軽量化することが求められ、種々提案さ れている(例えば、特許文献 3、 4参照)。
特許文献 4:特開 2004— 155450号公報
[0004] し力、しながら、メタノールを収納するカートリッジを樹脂材料により構成した場合には
、樹脂材料中に含まれる酸化防止剤や滑剤等の低分子量有機化合物が不純物とし てメタノール中に溶出し、燃料電池の起電圧が低下し長時間の連続発電が困難にな るとレ、う欠点がある。
一方、不純物による燃料電池の発電性能の低下を防止するために、フィルターを 設けたり、燃料電池に供給される燃料や酸化剤ガスに含まれる不純物をキレートイ匕 剤を含む不純物捕集器により捕集する等の技術が提案されている (例えば、特許文 献 5参照)。燃料電池にこのような機器を付加した場合には、燃料電池の小型化や軽 量化が困難になるとともに、コストアップを招くといった問題点がある。
特許文献 5:特開 2004— 227844号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] したがって、メタノール燃料電池の発電性能が低下せずに長時間の連続運転が可 能となるとともに、小型化、軽量ィ匕することのできるメタノール燃料電池カートリッジを 低コストで提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0006] 本発明では、上記課題を解決するために、次の 1〜7の構成を採用する。
1.樹脂フィルムをメタノール中に 60°Cで 7日間浸漬した後に、該メタノールを常温で 蒸留水で 2倍に希釈した液の 300nmにおける光線透過率が 10%以上である樹脂に より構成された内層樹脂層を有することを特徴とするメタノール燃料電池カートリッジ
2.内層樹脂層が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリェチ レン、ポリプロピレン系重合体、環状ポリオレフイン共重合体、ポリアミド、フッ素系樹 脂、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートから選ばれた樹脂により 構成されたものであることを特徴とする 1に記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
3.内層樹脂層を構成する樹脂が、酸化クロム系触媒を用いた Phillips法によって重 合された高密度ポリエチレン;又はメタ口セン触媒を用いた重合法によって重合され た直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン系重合体から選 ばれた樹脂により構成されたものであることを特徴とする 2に記載のメタノール燃料電 池カートリッジ。
4.さらに、環状ポリオレフイン共重合体からなるメタノールバリア層を有することを特 徴とする 1〜3のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
5.メタノール燃料電池カートリッジが、回収樹脂を含むポリオレフイン系樹脂により構 成された主層を含有することを特徴とする 1〜4のいずれかに記載のメタノール燃料 電池カートリッジ。
6.メタノール燃料電池カートリッジ力 注出口に漏洩防止のためのバルブ機構を有 することを特徴とする 1〜5のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
7.メタノール燃料電池カートリッジ力 剛性材料により構成された外側ケース内に収 納されていることを特徴とする 1〜6のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリ
ッジ。
発明の効果
[0007] 本発明によれば、メタノール燃料電池の発電性能が低下せずに長時間の連続運 転が可能となるメタノール燃料電池カートリッジを低コストで得ることができる。本発明 のメタノール電池カートリッジは、小型化、軽量化することができ、 DMFCの燃料タン クゃ詰め替え用の容器として好適に用いられる。
発明を実施するための最良の形態
[0008] (光線透過率)
本発明では、樹脂フィルムをメタノール中に 60°Cで 7日間浸漬した後に、該メタノー ルを常温で蒸留水で体積比にて 2倍に希釈した液の 300nmにおける光線透過率が 10%以上である樹脂により、メタノール燃料電池カートリッジの内層樹脂層を構成す る。
この光線透過率は、縦 15mm、横 40mm、厚さ lmmの樹脂フィルム 8枚を、和光 純薬工業製メタノール (精密分析用:メタノール含量 99. 8%) 50mL中に 60°Cで 7日 間浸漬した後に、該メタノールを常温で蒸溜水で体積比にて 2倍に希釈した液につ いて、 日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計 U— 3310を使用して、波長 300η mにおレ、て測定した値を意味する。
[0009] 本発明のメタノール燃料電池カートリッジの内層樹脂層を構成する樹脂としては、 該樹脂が上記した光線透過率を有するものであれば特に制限はなレ、が、低密度ポリ エチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン系重合体 、環状ポリオレフイン共重合体、ポリアミド、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート 又はポリエチレンナフタレートから選ばれた樹脂を使用することが好ましレ、。これらの 樹脂は、単独で或いは 2種以上をブレンドして使用することができる。
特に好ましい樹脂としては、酸化クロム系触媒を用いた Phillips法によって重合さ れた高密度ポリエチレン;又はメタ口セン触媒を用いた重合法によって重合された直 鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン系重合体が挙げられる
[0010] 本発明のメタノール燃料電池カートリッジの層構成としては、カートリッジの内層に
上記した樹脂層を有するものであれば特に制限はなぐ例えば、内層樹脂層となる榭 脂からなる単層構成のカートリッジとすることができる。また、上記内層樹脂層の外側 に少なくとも 1層の樹脂或いは他の材料により構成された層を有する、多層構成の力 ートリッジとすることができる。
多層構成のカートリッジとする場合には、メタノールバリア層、特に 40°Cにおけるメ タノール蒸気透過係数が 15 μ g 'mm/m2'hr以下であるメタノールバリア層や、力 ートリッジを製造する際に発生するバリや不良品等からなる回収樹脂を含むポリオレ フィン系樹脂により構成された主層、を設けることが好ましい。
[0011] このようなメタノールバリア層を構成する材料としては、例えば、環状ォレフィン系樹 脂やポリエステル系樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、無延伸で、或いは適宜 1軸 又は 2軸延伸して使用することができる。
環状ォレフィン系樹脂としては、ボトルを構成する材料として公知の環状ォレフィン 系重合体(COP)、又はエチレンと環状ォレフィンとの共重合体(COC: cycloolefin copolymer)を使用することができる。 COCとしては、実質的に全体が COCからな るもののほかに、 COCに他のポリオレフイン類をブレンドしたものでもよレ、。
COCとしては、 10〜50モル0 /0、特に 15〜48モル0 /0の環状ォレフィンと残余のェ チレンとから誘導され、 5〜200°C、特に 40〜: 190°Cのガラス転移点を有する非晶質 乃至低結晶性の共重合体が好適に使用される。また、環状ォレフィンと共重合される エチレンの一部を、プロピレン、 1ーブテン、 1 ペンテン、 1一へキセン、 1—オタテン 、 3—メチルー 1 ペンテン、 1ーデセン等の炭素数 3〜20程度の他の α—ォレフィ ンで置換した共重合体を使用してもよい。
[0012] 環状ォレフィンとしては、エチレン系不飽和結合とビシクロ環とを有する脂環族炭化 水素化合物が好ましぐ特にノルボルネン構造を有する繰り返し単位を構成するもの としては、 列えば 8—ェチノレ一テトラシクロ〔4. 4. 0. 1. 2, 5. 12, 5. 17, 10〕 _ドデ 力一 3_ェン、 8—ェチリデン一テトラシクロ〔4. 4. 0. 1. 2, 5. 17, 10〕_ドデカ _ 3 —ェン、 8 _メチル一テトラシクロ〔4. 4. 0. 1. 2, 5. 17, 10〕一ドデ力一 3_ェン等 が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有しない繰り返し単位を構成するものとして は、 5—ェチリデン一ビシクロ〔2, 2, 1〕ヘプト _ 2_ェン、 5 _ェチル一ビシクロ〔2, 2
, 1〕ヘプト— 2—ェン、テトラシクロ〔7. 4. 0. 02, 7. 110, 13〕—トリデカ— 2, 4, 6,
11ーテトラェン等が例示される。
[0013] ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレン テレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のように、テレフタル酸、イソ フタル酸、 p_ /3—ォキシエトキシ安息香酸、ナフタレン 2, 6—ジカルボン酸、ジフエ ノキシェタン _4, 4,一ジカルボン酸、 5 _ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、 セバシン酸またはこれらのアルキルエステル誘導体などのジカルボン酸成分やトリメリ ット酸等の多価カルボン酸成分と;エチレングリコール、プロピレングリコール、 1 , 4_ ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、 1, 6 _へキシレングリコール、シクロへキ サンジメタノール、ビスフエノーノレ Aのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコー ノレ、トリエチレングリコールなどのダリコール成分を反応させて得られるポリエステル単 独重合体又は共重合体が挙げられる。また、ポリ乳酸のようにヒドロキシカルボン酸を 反応させて得られる単独重合体又は共重合体を使用してもよい。これらのポリエステ ル類は、単独で又は 2種以上をブレンドして用いることができる。
[0014] 他のポリエステル樹脂としては、ポリグリコール酸樹脂等の密度が 1. 5以上の高密 度ポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリグリコール酸はヒドロキシ酢酸の重合体であり、例えば米国特許第 2, 676, 94 5号明細書に示されているように、エステル結合間の炭素数が 1のポリエステルである 。ポリグリコール酸は、通常の熱可塑性ポリエステルに比較して緻密な結晶構造を持 つために高い密度を有し、ポリエステル類の中では低い透湿度を示す。また、ポリグ リコール酸の単独重合体のみならず、グリコール酸の一部が他の共重合成分で置換 された共重合体も使用することができる。
[0015] メタノール不透過性層を構成する他の材料としては、無機質被膜を有する樹脂類を 使用すること力 Sできる。無機質被膜としては、ダイヤモンド様炭素被膜、変性炭素被 膜等の各種炭素被膜;酸化チタン被膜;酸化珪素 (シリカ)被膜;酸化アルミニウム (ァ ルミナ)被膜;セラミック被膜;炭化珪素被膜;窒化珪素被膜などが挙げられる。これら の被膜を形成する樹脂類としては特に制限はなぐ通常プラスチック容器を製造する のに用いられる熱可塑性樹脂類は、レ、ずれも使用することができる。
[0016] 好適な無機質被膜を有する樹脂としては、例えば、シリカ蒸着ポリエステルフィルム 、アルミナ蒸着ポリエステルフィルム、シリカ蒸着ナイロンフィルム、アルミナ蒸着ナイ ロンフィルム、アルミナ蒸着ポリプロピレンフィルム、炭素膜蒸着ポリエステルフィルム 、炭素膜蒸着ナイロンフィルムが挙げられる。さらに、アルミナ及びシリカをポリエステ ルフィルムやナイロンフィルム等のベースフィルムに同時蒸着した 2元蒸着フィルム 等が挙げられる力 S、これらに限定されるものではない。
無機質被膜を有する樹脂層は、フィルム又はシート状の樹脂表面に、化学蒸着、 プラズマ蒸着、スパッタリング等によりあらかじめ無機質被膜を形成したものとして使 用すること力 Sできる。
[0017] 本発明のメタノール燃料電池カートリッジを多層構成とする場合には、さらに、容器 の中間層、あるいは外層等を構成する材料として、ヒートシール性を有し又は有さな い熱可塑性樹脂類を使用することができる。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン エチレン共重合体、結晶性ポリブテン 1、結晶性ポリ 4ーメチルペンテン 1、低 中 或いは高密度ポリエチレン、エチレン 酢酸ビュル共重合体(EVA) EV Aケン化物、エチレン アクリル酸ェチル共重合体(EEA)、イオン架橋ォレフィン共 重合体(アイオノマー)等のポリオレフイン類;ポリスチレン、スチレン ブタジエン共重 合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビュル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン 化ビエル重合体;ポリアクリル系樹脂;アクリロニトリル スチレン共重合体、アタリロニ トリルースチレン ブタジエン共重合体の如き二トリル重合体;ポリエチレンテレフタレ ート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;フッ 素系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂を挙げること ができる。これらの熱可塑性樹脂は単独で又は二種以上をブレンドして使用すること ができる。また、これらの熱可塑性樹脂に各種の添加剤を配合して使用してもよい。
[0018] 多層構成容器の各層の間には、必要に応じて接着樹脂を介在させる。このような接 着樹脂としては特に制限はなぐ通常プラスチック容器の製造に用いられるポリウレタ ン系樹脂、酸変性エチレン' a—ォレフイン共重合体、酢酸ビニル系樹脂等はいず れも使用すること力 Sできる。
酸変性エチレン' ひーォレフイン共重合体としては、エチレンとプロピレン、 1ーブテ ン、 1—ペンテン、 1 ヘプテン、 1—オタテン等の炭素数 10までの α —ォレフィンを 共重合させたエチレン · α—ォレフイン共重合体をアクリル酸、メタアクリル酸、マレイ ン酸、フマール酸、ィタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸又はこれらの無水物 でグラフト変性した樹脂を使用することが好ましい。これらの接着樹脂のグラフト変性 率は、 0. 05〜5重量%程度とすることが好ましい。これらの酸変性エチレン' a—ォ レフイン共重合体は、単独で又は 2種以上を混合して使用することができる。また、予 め高濃度の酸で変性したエチレン' a—ォレフイン共重合体と;未変性の低密度ポリ エチレン、エチレン '酢酸ビュル共重合体、エチレン' ひ—ォレフイン共重合体、高密 度ポリエチレン等のポリオレフイン系樹脂;を配合し、樹脂全体としての酸変性率を 0 . 05〜5重量%程度に調整したブレンド物を接着樹脂として使用することも好ましレヽ
[0019] 本発明のメタノール燃料電池カートリッジを構成する樹脂層中には、必要に応じて ォレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エル力酸アミド、ベへニン酸アミド等の高級脂肪 酸アミド等からなる滑剤や;プラスチック容器中に通常添加される結晶核剤;紫外線 吸収剤;帯電防止剤;顔料等の着色剤;酸化防止剤及び中和剤等の添加剤を配合 すること力 Sできる。
[0020] 本発明のメタノール燃料電池カートリッジの形状に制限はなぐボトル、カートリッジ 、カップ等の中空容器の他、平バウチ、スタンディングバウチ等各種の形状にすること ができる。
容器の製造方法としては通常の方法を採用することができ、例えばボトル、カートリ ッジ、カップ等の中空容器は、射出成形、ダイレクトブロー又は 2軸延伸ブロー成形 等のブロー成形、真空'圧空成形等の方法により製造することができるが、 2軸延伸 ブロー成形を採用することが好ましい。また、平バウチ、スタンディングバウチ等のパ ゥチ類は、最内層にヒートシール性樹脂層を有する多層フィルムをヒートシールする ことにより製造することができる。これらの容器類には、スクリューキャップ、スパゥト等 の注出口形成手段を設けることが好ましい。また、メタノール燃料電池カートリッジの 注出口には、漏洩防止のためのバルブ機構を設けることが、特に好ましい。
[0021] 本発明のメタノール燃料電池カートリッジの寸法にも特に制限はないが、ノートパソ コン、携帯電話等の電源として用いられる DMFCの燃料タンクや、詰め替え用の容 器とする場合には、内容量が:!〜 500ml、特に 10〜200ml程度とすることが好まし レ、。
[0022] 本発明のメタノール燃料電池カートリッジは、単層或いは多層構成の容器として製 造すること力 Sできる。また、得られた容器を、金属、繊維強化プラスチック等の剛性材 料からなる外側ケースに収納した形態とすることもできる。
容器を多層構成とする場合の好ましい層構成としては、例えば、容器の内層側から 順に、高密度ポリエチレン (HDPE) Z接着樹脂 (Ad) Z環状ポリオレフイン共重合体 (COC) /Ad/HDPE; HDPE/HDPE +回収樹脂(Reg) /Ad/COC/Ad/ HDPE;低密度ポリエチレン(LDPE) /Ad/COC/Ad/HDPE/; LDPE/HD
(PP) ; LDPE/Ad/COC/Ad/PP + Reg/PP ;メタ口セン触媒重合直鎖状低密 度ポリエチレン(m—LLDPE) /Ad/COC/Ad/PP ;m—LLDPE/Ad/COC /Ad/PP + Reg/PP; HDPE/Ad/COC/Ad/HDPE + Reg/HDPE; HD PE/Ad/COC/Ad/PP; HDPE/PP + Reg/Ad/COC/Ad/PP; HDPE
HDPE + m— LLDPE; HDPE + m— LLDPE/HDPE + Reg/Ad/COC/Ad /HDPE + m— LLDPE; HDPE + m— LLDPE/Ad/COC/Ad/HDPE + Re g/HDPE + m -LLDPE ; HDPE + m-LLDPE/Ad/COC/Ad/PP ; HDP E + m-LLDPE/PP + Reg/Ad/COC/Ad/PP ; HDPE + m-LLDPE/A dZC〇CZAd/PP+RegZPP等が挙げられる。 (ここで、 「A+B」は、樹脂 Aと樹 脂 Bをブレンドした樹脂を意味する。 )
実施例
[0023] 次に、実施例により本発明をさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定する ものではない。以下の実施例において、樹脂フィルムの光線透過率及びメタノール 燃料電池の発電性能は、次のようにして測定した。
(光線透過率)
縦 15mm、横 40mm、厚さ lmmの樹脂フィルム 8枚を、和光純薬工業製メタノール (精密分析用:メタノール含量 99· 8%) 50mL中に 60°Cで 7日間浸漬した後に、該メ タノールを常温で蒸溜水で体積比にて 2倍に希釈した液を試料とする。この試料の 光線透過率を、 日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計 U— 3310を使用して、波 長 300nmにおいて測定する。
(発電性能)
燃料カートリッジに和光純薬工業製メタノール (精密分析用:メタノール含量 99. 8 %) 50mLを充填し、テトラフルォロエチレン製パッキンを内包するキャップにより密封 して、 60°Cで 168時間保存する。保存後のメタノールを燃料として、マイクロ燃料電 池試験装置を用いて発電を行なった際の、初期起電圧に対して起電圧が 20%低下 するのに要した時間を求めた。その時間が 100時間以下であるものを Xとし、 100時 間を超えて 500時間以下のものを〇とし、 500時間を超えるものものを◎と判定した。
[0024] (実施例 1)
容器を構成する樹脂として、光線透過率が 93%であって、 190°Cにおける MFRが 0. 5g/10min、密度 0. 929g/cm3の LDPE (添加剤無添カロ)を使用した。この榭 脂を定法により押出して得られたパリソンを、ロータリーブロー成形機でダイレクトプロ 一することによって、層厚 500 /i m、満注時の内容量 60mL、質量 10gの LDPE単層 構成のボトル型燃料カートリッジを製造した。
[0025] (実施例 2)
容器を構成する樹脂として、光線透過率が 87%であって、 190°Cにおける MFRが 0. 9g/10min、密度 0. 908g/cm3の m— LLDPE (添加剤無添力 0)を使用した以 外は、実施例 1と同様にして、同様の m_LLDPE単層構成の燃料カートリッジを製 造した。
[0026] (実施例 3)
容器を構成する樹脂として、光線透過率が 26%であって、 190°Cにおける MFRが 0. 25g/l0min、密度 0. 951gZcm3の Ziegler系触媒を用いて重合した高密度ポ リエチレン(Z_HDPE :添カロ斉 1Jとして IrganoxlOlOを 150ppm、 Irgafosl68を 200 ppm、ァーモスリップ 310を 2000ppm、ステアリン酸カルシウムを lOOOppm含有)を
使用した以外は、実施例 1と同様にして、同様の z— HDPE単層構成の燃料カートリ ッジを製造した。
[0027] (実施例 4)
容器を構成する樹脂として、光線透過率が 94%であって、 190°Cにおける MFRが 0. 3g/l0min、密度 0. 946gZcm3の Phillips系触媒を用いて重合した高密度ポ リエチレン (p— HDPE :添加剤無添加)を使用した以外は、実施例 1と同様にして、 同様の P— HDPE単層構成の燃料カートリッジを製造した。
[0028] (実施例 5)
容器を構成する樹脂として、光線透過率が 97%であって、 190°Cにおける MFRが 0. 35g/l0min、密度 0. 959gZcm3のメタ口セン系触媒を用いて重合した高密度 ポリエチレン (m— HDPE :添加剤無添加)を使用した以外は、実施例 1と同様にして 、同様の m_HDPE単層構成の燃料カートリッジを製造した。
[0029] (実施例 6)
容器を構成する樹脂として、光線透過率が 10%であって、 230°Cにおける MFRが 1. 7g/10min、密度 0. 9g/cm3の Ziegler系触媒を用いて重合したプロピレン系 ランダム共重合体(z—ランダム PP:添カロ剤として Irganoxl 010を 2000ppm、エル 力酸アミドを 1000ppm、ステアリン酸カルシウムを 1000ppm、ハイド口タルサイトを 1 OOOppm含有)を使用した以外は、実施例 1と同様にして、同様の z—ランダム PP単 層構成の燃料カートリッジを製造した。
[0030] (実施例 7)
容器を構成する樹脂として、光線透過率が 82%であって、 230°Cにおける MFRが 2. 0g/l0min、密度 0. 9gZcm3のメタ口セン系触媒を用いて重合したプロピレン 系ランダム共重合体(m—ランダム PP:添加剤として IrganoxlOlOを 200ppm含有) を使用した以外は、実施例 1と同様にして、同様の m—ランダム PP単層構成の燃料 カートリッジを製造した。
[0031] (実施例 8)
容器を構成する樹脂として、光線透過率が 83%であって、相対粘度(96%H SO
2 4 溶液) 4. 05、融点 196°Cのナイロン 6/66共重合体(ナイロン 66含量 15mol% :添
加剤としてステアリン酸カルシウム 300ppm含有)を使用した以外は、実施例 1と同様 にして、同様のナイロン 6/66共重合体単層構成の燃料カートリッジを製造した。
[0032] (実施例 9)
容器を構成する樹脂として、光線透過率が 99%であって、 372°Cで 5kgf荷重にお ける MFRが 2g/l0min、融点 305°Cのフッ素系樹脂(テトラフルォロエチレン一パ 一フルォロアルキルビュルエーテル共重合体:添加剤無添加)を使用した以外は、 実施例 1と同様にして、同様のフッ素系樹脂単層構成の燃料カートリッジを製造した [0033] (比較例 1)
容器を構成する樹脂として、光線透過率が 8%であって、 190°Cにおける MFRが 0 . 75g/l0min、密度 0. 922gZcm3の Ziegler系触媒を用いて重合した直鎖状低 密度ポリエチレン(Z— LLDPE :添加剤として IrganoxlOlOを 330ppm、 Irgafosl6 8を 670ppm含有)を使用した以外は、実施例 1と同様にして、同様の z— LLDPE単 層構成の燃料カートリッジを製造した。
[0034] (比較例 2)
容器を構成する樹脂として、光線透過率が 5%であって、 230°Cにおける MFR力 . lg/10min、密度 0. 9g/cm3の Ziegler系触媒を用いて重合したプロピレン系ブ ロック共重合体(z—ブロック PP :添加剤として IrganoxlOlOを 5400ppm、 Irgafosl 68を 1000ppm、エレク卜ロス卜ジッノ一 EAを 2300ppm、チヌビン 326を 540ppm、 ステアリン酸カルシウムを 1600ppm含有)を使用した以外は、実施例 1と同様にして 、同様の z—ブロック PP単層構成の燃料カートリッジを製造した。
[0035] 上記実施例:!〜 9及び比較例 1、 2で得られた各燃料カートリッジについて、発電性 能試験を行なレ、、その結果を表 1に記載した。
[0036] [表 1]
発電性能試験
判定 起電圧 2 0 %低下に要した時間(h i: )
実施例 1 ◎ > 5 0 0
実施例 2 〇 4 5 0
実施例 3 〇 2 9 0
実施例 4 ◎ > 5 0 0
実施例 5 > 5 0 0
実施例 6 〇 1 1 0
実施例 7 〇 4 2 0
実施例 8 〇 4 4 0
実施例 9 © > 5 0 0
比較例 1 X 2 5
比較例 2 X 9
[0037] 以下の例では、溶融張力が低いために単層でのダイレクトブローが困難な樹脂を 内層に用いて、定法により多層多重ダイスを使用して共押出ししてパリソンを得た。 得られたパリソンを、ロータリーブロー成形機でダイレクトブローすることによって、 2種 3層構成(総層厚み: 500 m)のボトル型燃料カートリッジを製造した。
[0038] (実施例 10)
カートリッジの内層を構成する樹脂として、光線透過率が 93%であって、 260°Cに おける MFRが 15g/ 1 Ominである COC、エチレン.テトラシクロドデセン共重合体( エチレン含有量 82mol%:添加剤としてステアリン酸カルシウム 3000ppm含有)、接 着樹脂として 60meq/100gのカルボ二ル基を含有する無水マレイン酸変性ポリェ チレン、外層を構成する樹脂として比較例 2で使用した z—ブロック PPを使用し、定 法により共押出ししてパリソンを得た。得られたパリソンを、ロータリーブロー成形機で ダイレクトブローすることによって、内層から順に、 COC (膜厚 150 z m) /Ad (膜厚 2 O /i m) /z—ブロック PP (膜厚 330 μ m)力 なる 2種 3層構成で、満注時の内容量 6 OmL、質量 10gの燃料カートリッジを製造した。
[0039] (比較例 3)
内層を構成する樹脂として、光線透過率が 7%であって、固有粘度(IV) 0. 75dl/ g、密度 1. 27g/cm3の非晶性ポリエチレンテレフタレート系共重合体(PETG :添加
剤無添加)を使用した以外は、実施例 10と同様にして、内層から順に、 PETG (膜厚 150 /i m) /Ad (膜厚 20 μ m) /z—ブロック PP (膜厚 330 μ m)力らなる 2種 3層構 成で、満注時の内容量 60mL、質量 10gの燃料カートリッジを製造した。
[0040] 上記実施例 10及び比較例 3で得られた各燃料カートリッジについて、発電性能試 験を行ない、その結果を表 2に記載した。
[0041] [表 2]
[0042] 以下の例では、ポリエステル樹脂を用いてプリフォームを射出成形した。このプリフ オームを 2軸延伸ブロー成形機(日精 ASB機械工業製:日精 ASB— 50H)により、縦 方向 2. 6倍、横方向 2. 2倍に 2軸延伸ブロー成形することにより、単層ボトル型燃料 カートリッジを製造した。
[0043] (実施例 11)
プリフォームを構成するポリエステル樹脂として、光線透過率が 91 %であって、ゲル マニウム系触媒を用いて重合した固有粘度(IV) 0. 75dlZg、密度 1. 40g/cm3、 融点 252°Cのポリエチレンテレフタレート(PET:添加剤無添加)を使用した。得られ たプリフォームを 2軸延伸ブロー成形することにより、満注時の内容量 60mL、質量 1 0g、平均肉厚 0. 45mmの単層燃料カートリッジを製造した。
[0044] (実施例 12)
ポリエステル樹脂として、光線透過率が 94%であって、アンチモン系触媒を用いて 重合した固有粘度(IV) 0. 70dl/g、密度 1. 33g/cm3、融点 265°Cのポリエチレン ナフタレート(PEN :添加剤無添加)を使用した以外は、実施例 11と同様にして、満 注時の内容量 60mL、質量 10g、平均肉厚 0. 45mmの単層燃料カートリッジを製造 した。
[0045] (実施例 13)
ポリエステル樹脂として、実施例 1 1で使用した PETと実施例 12で使用した PENを 、 PET含有率が 30重量%となるようにブレンドした樹脂を使用した以外は、実施例 1 1と同様にして、満注時の内容量 60mL、質量 10g、平均肉厚 0. 45mmの単層燃料 カートリッジを製造した。
[0046] 上記実施例 11〜 13で得られた各燃料カートリッジにつレ、て、発電性能試験を行な レ、、その結果を表 3に記載した。
[0047] [表 3]
[0048] 以下の例では、多層カートリッジのいずれ力、 1層にメタノールバリア性を有する COC を用いて、定法により多層多重ダイスを使用して共押出ししてパリソンを得た。得られ たパリソンをロータリーブロー成形機でダイレクトブローすることによって、総層厚み 5 00 μ mの多層ボトル型燃料カートリッジを製造した。
[0049] (実施例 14)
最内層及び最外層を構成する樹脂として実施例 4で用いた p— HDPE、主層を構 成する樹脂として回収樹脂を含む同じく p— HDPE、中間層を構成する樹脂として実 施例 10で用いた COC、接着樹脂として実施例 10で用いた接着樹脂を使用し、定法 により共押出ししてノ リソンを製造した。得られたパリソンを、ロータリーブロー成形機 でダイレクトブローすることによって、内層から順に、 p— HDPE (膜厚 100 μ ΐη) /Α d (膜厚 20 μ m) /COC (膜厚 150 μ m) /Ad (膜厚 20 μ m) /p - HDPE +Reg ( 膜厚 135 μ m) /p - HDPE (膜厚 75 μ m)からなる 4種 6層構成で、満注時の内容 量 60mL、質量 10gの多層燃料カートリッジを製造した。
[0050] (実施例 15)
最内層を構成する樹脂として実施例 1で用いた LDPE、最外層を構成する樹脂とし
て比較例 2で用いた z—ブロック PP、主層を構成する樹脂として回収樹脂を含む同じ く z—ブロック PPを使用した以外は、実施例 14と同様にして、内層から順に、 LDPE ( 膜厚 100 μ m) /Ad (膜厚 20 μ m) /COC (膜厚 150 μ m) /Ad (膜厚 20 μ m) /ζ —ブロック PP + Reg (膜厚 135 μ m) Ζζ—ブロック ΡΡ (膜厚 75 μ m)からなる 5種 6 層構成で、満注時の内容量 60mL、質量 10gの多層燃料カートリッジを製造した。
[0051] (実施例 16)
最内層を構成する樹脂として実施例 2で用いた m— LLDPEを使用した以外は、実 施例 15と同様にして、内層から順に、 m— LLDPE (膜厚 100 x m) ZAd (膜厚 20 μ 111) 7〇〇〇(膜厚150 111) /八(1 (膜厚20 111) /2 _ブロック?? + 1^^ (膜厚135 μ τη) /ζ -ブロック PP (膜厚 75 x m)からなる 5種 6層構成で、満注時の内容量 60 mL、質量 10gの多層燃料カートリッジを製造した。
[0052] (実施例 17)
最内層を構成する樹脂として実施例 4で用いた p— HDPEを 70重量%と実施例 2 で用いた m— 1^0?£30重量%とをブレンドした樹脂を使用した以外は、実施例 15 と同様にして、内層から順に、 p— 110?£ (70重量%) +m— 1^0?£ (30重量%) ( 膜厚 100 μ m) /Ad (膜厚 20 μ m) /COC (膜厚 150 μ m) /Ad (膜厚 20 μ m) /ζ —ブロック PP + Reg (膜厚 135 μ ΐη) /ζ—ブロック PP (膜厚 75 /i m)からなる 5種 6 層構成で、満注時の内容量 60mL、質量 10gの多層燃料カートリッジを製造した。
[0053] 上記実施例 14〜: 17、ならびに実施例 1〜3及び 10で得られた各燃料カートリッジ について、発電性能試験と下記のメタノール減量試験を行ない、その結果を表 4に記 載した。
(メタノール減量試験)
燃料カートリッジに、和光純薬工業製メタノール (精密分析用:メタノール含量 99. 8 %) 50mLを充填し、テトラフルォロエチレン製パッキンを内包するキャップをして、 40 °Cで 24時間保存後、燃料カートリッジの重量を測定し、初期重量 (W )とする。
0
初期重量測定後、さらに 40°Cで 14日間保存した後の燃料カートリッジの重量 (W ) を測定し、減量値 (W -W )を求め、 1日当りのメタノール減量を算出する。
0 1
[0054] [表 4]
発電性能試験 メタノ- -ル減量度 判定 起電圧 20%低下に要した時間 (h r ) (m g / ,d a y〕 実施例 1 ◎ > 500 30 . 6 実施例 2 〇 450 35 . 7 実施例 3 〇 290 1 1 . 6 実施例 10 〇 390 5. 0 実施例 14 ◎ > 500 3. 9 実施例 1 5 ◎ > 500 6. 7 実施例 16 〇 340 5. 9 実施例 1 Ί > 500 4. 5